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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G01G
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G01G
管理番号 1382264
総通号数
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2022-03-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-04-27 
確定日 2022-02-03 
事件の表示 特願2017− 37318「計量装置」拒絶査定不服審判事件〔平成30年 9月13日出願公開、特開2018−141748〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成29年2月28日にされた特許出願であって、その出願後の手続の経緯の概略は、次のとおりである。
令和 2年11月19日付け:拒絶理由通知書
令和 3年 1月26日 :意見書の提出
同月29日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。)
(原査定の謄本の送達日:令和3年2月2日)
同年 4月27日 :審判請求書、手続補正書の提出


第2 令和3年4月27日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和3年4月27日に提出された手続補正書による補正を却下する。

[補正の却下の決定の理由]
1 補正の内容
令和3年4月27日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲について補正をするものである。本件補正前(出願時のものをいう。以下同じ。)の特許請求の範囲の請求項1及び本件補正後の特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおりである。下線は、当審が付したものであり、補正箇所を示す。

(1) 本件補正前
「【請求項1】
物品を搬送する搬送部と、
前記搬送部が前記物品を搬送する際に、前記物品の搬送を停止させずに前記物品の質量を計量する第1計量、及び前記物品の搬送を停止させて前記物品の質量を計量する第2計量を実施する計量部と、
前記計量部が前記第2計量を実施している際に、前記計量部が前記第1計量を実施している際とは異なる態様で、光及び音の少なくとも一方を発する報知部と、を備える、計量装置。」

(2) 本件補正後
「【請求項1】
物品を搬送する搬送部と、
前記搬送部が前記物品を搬送する際に、前記物品の搬送を停止させずに前記物品の質量を計量する第1計量、及び前記物品の搬送を停止させて前記物品の質量を計量する第2計量を実施する計量部と、
前記計量部が前記第2計量を実施している際に、前記計量部が前記第1計量を実施している際とは異なる態様で、光及び音の少なくとも一方を発する報知部と、を備え、
前記計量部が前記第2計量を実施している際に前記報知部が光及び音の少なくとも一方を発する態様は、前記搬送部に異常が生じた際に前記報知部が光及び音の少なくとも一方を発する態様とは異なる、計量装置。」

2 本件補正の適否
(1) 本件補正の目的
本件補正による請求項1についての補正は、「前記計量部が前記第2計量を実施している際に前記報知部が光及び音の少なくとも一方を発する態様」について、「前記搬送部に異常が生じた際に前記報知部が光及び音の少なくとも一方を発する態様とは異なる」ことを限定するものである。そして、本件補正前の請求項1に記載された発明と本件補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題は、同一である。
したがって、特許請求の範囲を補正する本件補正のうちの請求項1についての補正は、特許法17条の2第5項2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

(2) 独立特許要件について
本件補正による請求項1についての補正は、特許法17条の2第5項2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、本件補正後の請求項1に記載されている事項により特定される発明(以下「本件補正発明」という。)が同条6項において準用する同法126条7項の規定に適合するか、すなわち、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかについて、以下検討を行う。

ア 本件補正発明
本件補正発明は、前記1(2)に摘記した、本件補正後の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものである。

イ 引用文献1に記載された発明の認定
(ア) 引用文献1の記載事項
本願の出願前に発行された特開平5−118897号公報(以下「引用文献1」という。)には、以下の記載がある。下線は、当審が付したものであり、後述の引用発明の認定に直接用いるところに付してある。

「【特許請求の範囲】
【請求項1】 被計量物を搬送するコンベア手段と、このコンベア手段上を搬送される被計量物の重量を搬送途上で測定する計量手段とを有する計量コンベア装置であって、上記コンベア手段の駆動中に所定の重量測定タイミングにおいて計量手段が示す重量値が安定しているときには、コンベア手段の駆動状態を持続させて、その重量値を出力すると共に、重量値が不安定であるときには、コンベア手段を停止させて安定した重量値を出力する制御手段が設けられていることを特徴とする計量コンベア装置。」

「【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、被計量物をコンベアで搬送する過程で重量測定を行う計量コンベア装置に関する。
【0002】
【従来の技術】被搬送物の重量測定や量目チェックを自動化する装置としては計量コンベア装置が知られている。この計量コンベア装置は、左右1対のローラ間に搬送ベルトなどを掛け渡してなるコンベアを計量器で支持して、上流側の搬入コンベアから受け渡された被計量物の重量とコンベアの重量とが計量器に負荷されるように構成されたものであるが、コンベアの重量は一定であることから上記被計量物の重量が計量されることになる。
【0003】ところで、この種の計量コンベア装置における計量方式は、被計量物の搬送中に重量測定を行う移動計量方式と、コンベアを一旦停止させてから重量測定を行う静止計量方式に大別されるが、この両方式の長所、短所を列挙すると次の表1に従ったものとなる。
【0004】
【表1】

【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記表1に示したように、移動計量方式と静止計量方式とは機能的に見て相反する特徴を有するため、被計量物の種類に応じて計量方式を使い分けることが試みられている。この場合、移動計量のモードと静止計量のモードの切換は手動によって行われるのが通例である。したがって、被計量物の寸法や重量に応じた計量方式の選択が難しく、両方式の特徴を生かし切れないばかりでなく、寸法や重量が異なる被計量物をランダムに処理する場合には、計量モードを頻繁に切り換える必要があって処理効率が低下するという新たな問題を発生することになる。
【0006】そこで、この発明は上記の事情にかんがみて、被計量物の寸法や重量に応じた適切な計量方式を自動的に選択できる計量コンベア装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】すなわち、本願に係る計量コンベア装置は、被計量物を搬送するコンベア手段と、このコンベア手段上を搬送される被計量物の重量を搬送途上で測定する計量手段とを有する計量コンベア装置において、上記コンベア手段の駆動中に所定の重量測定タイミングにおいて計量手段が示す重量値が安定しているときには、該コンベア手段の駆動状態を持続させて、その重量値を出力すると共に、重量値が不安定であるときには、コンベア手段を停止させて安定した重量値を出力する制御手段を設けたことを特徴とする。
【0008】
【作用】上記の構成によれば、上記コンベア手段の駆動中に所定の重量測定測定タイミングにおいて搬送途上の被計量物の重量値が安定しているときには、コンベア手段が停止することなく駆動状態を持続すると共に、上記測定タイミングにおいて被計量物の重量値が安定してないときには、コンベア手段が停止状態となって移動計量用のモードから静止計量用のモードに切り換わることになる。これにより、搬送方向に短い被計量物や比較的軽い被計量物は移動計量方式で計量されると共に、搬送方向に長い被計量物や重い被計量物は静止計量方式で計量されることになって、高い計量精度を維持しながら計量効率が向上することになる。しかも、被計量物によって移動計量用のモードと静止計量用のモードとが自動的に切り換えられるので、手動によるモードの切換操作の煩雑さが回避されて稼働率が向上することにもなる。
【0009】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。
【0010】図1、図2に示すように、この実施例に係る計量搬送システムには、被搬送物の重量を計量する計量コンベア1と、該計量コンベア1の上流側に配置された搬入コンベア2と、同じく計量コンベア1の下流に配置された搬出コンベア3とが設けられている。
【0011】上記計量コンベア1は、架台4上に据え付けられた計量器5と、この計量器5の上に設置された搬送ユニット6とで構成されている。この搬送ユニット6は、フレーム7a,7bの両端部にそれぞれ軸支された駆動ローラ8と従動ローラ9との間に巻装された搬送ベルト10と、上記駆動ローラ8を回転させる第1モータ11とを有する。
【0012】そして、この計量コンベア1の搬送方向の下流側には物体を検知する光センサ12が設けられている。この光センサ12はフォトインタラプタ式のもので、図2に示すように、一方のフレーム7bにステー13を介して取り付けられた発光部12aと、他方のフレーム7aに上記発光部12aに対して搬送ベルト10を挟んだ対向位置に同じくステー14を介して取り付けられた受光部12bとから構成されていると共に、上記発光部12aから照射されて受光部12bに入射するビームLの受光量の変化によって物体を検知するようになっている。
【0013】一方、搬入コンベア2と搬出コンベア3とは同一の構成であって、それぞれ架台15,16を有すると共に、フレーム17a,17b;18a,18bの両端部にそれぞれ軸支された駆動ローラ19,20と従動ローラ21,22との間に搬送ベルト23,24がそれぞれ巻装されている。そして、搬入コンベア2における駆動ローラ19は第2モータ25で駆動され、また搬出コンベア3における駆動ローラ20は第3モータ26で駆動されるようになっている。
【0014】そして、この計量搬送システムには、システムを制御するコンソール27が備えられている。このコンソール27の前面には各種データを表示するディスプレイ28と、各種コマンドや数値データを入力するキー操作部29とが設けられている。
【0015】次に、この計量搬送システムの制御系統を説明すると、図3に示すように、上記コンソール27に内蔵された制御ユニット30は、計量コンベア1における計量器5からの重量信号と、光センサ12からの物体検知信号とを入力して、これらの信号に基づいて計量コンベア1、搬入コンベア2及び搬出コンベア3をそれぞれ駆動する第1〜第3モータ11,25,26の作動を制御すると共に、上記重量信号が示す重量値を上記ディスプレイ28に表示するようになっている。
【0016】次に、本発明の特徴部分である計量コンベア1の制御動作を説明すると、図4のフローチャートに従ったものとなる。
【0017】すなわち、制御ユニット30はステップS1で計量器5からの重量信号を読み込み、ステップS2で所定の計量安定条件を満足しているか否かを判定して、計量安定と判定したときにはステップS3で計量安定フラグFAの値に1を代入し、また計量安定ではないと判定したときにはステップS4に移って計量安定フラグFAの値に0を代入して、ステップS5で光センサ12からの物体検知信号が入力したか否かを判定して、YESと判定するまでステップS1〜S5のループ処理を実行する。そして、物体検知信号を入力した時点で上記ループ処理から抜け出してステップS6へ進み、計量安定フラグFAの値が計量安定状態を示す1か否かを判定する。
【0018】制御ユニット30は上記ステップS6において計量安定フラグFAの値が1ではないと判定したときには、すなわち計量安定上多都内と判定したときにはステップS7で第1モータ11を停止させて計量コンベア1における搬送ベルト10の搬送動作を停止させると共に、ステップS8,S9で重量信号を読み込んで計量安定状態になるまで第1モータ11の停止状態を維持する。そして、計量安定と判定したときにステップS10で第1モータ11を作動させて計量コンベア1における搬送ベルト10の搬送動作を再開させると共に、ステップS11で重量信号が示す重量値を確定して、その計量データを出力してディスプレイ28に表示させる。
【0019】一方、制御ユニット30は上記ステップS6において計量安定フラグFAの値が1であると判定したとき、すなわち計量安定状態と判定したには、ステップS12に移って重量信号を読み込んだ後ステップS11へ復帰し、その重量信号が示す重量値を確定した計量データとして出力する。
【0020】したがって、例えば図5の実線で示すように、搬入コンベア2から計量コンベア1に対して搬送方向に短い被計量物Xが受け渡されたとすると、その被計量物Xの重量が極端に重くない場合には、光センサ12のビームLを遮断した時点で計量安定フラグFAの値が1にセットされていることになる。したがって、計量コンベア1は停止することなく上記被計量物Xを搬出コンベア3へ受け渡すことになる。
【0021】これに対して、例えば図5の鎖線で示すように、搬入コンベア2から計量コンベア1に対して搬送方向に長い被計量物X'が受け渡されたとすると、その被計量物X'が光センサ12のビームLを遮断した時点で計量安定フラグFAの値が0にクリアされていることになる。したがって、計量コンベア1はその状態で一旦停止し、計量安定状態となってから再び動き出して上記被計量物X'を搬出コンベア3へ受け渡すことになる。
【0022】すなわち、換言すれば、搬送方向に短い被計量物や比較的軽い被計量物は移動計量方式で計量されると共に、搬送方向に長い被計量物や重い被計量物は静止計量方式で計量されることになる。
【0023】
【発明の効果】以上のように本発明に係る計量コンベア装置によれば、コンベア手段の駆動中に所定の重量測定測定タイミングにおいて搬送途上の被計量物の重量値が安定しているときには、コンベア手段が停止することなく駆動状態を持続すると共に、上記測定タイミングにおいて被計量物の重量値が安定してないときには、コンベア手段が停止状態となって移動計量用のモードから静止計量用のモードに切り換わることになる。これにより、搬送方向に短い被計量物や比較的軽い被計量物は移動計量方式で計量されると共に、搬送方向に長い被計量物や重い被計量物は静止計量方式で計量されることになって、高い計量精度を維持しながら計量効率が向上することになる。しかも、被計量物によって移動計量用のモードと静止計量用のモードとが自動的に切り換えられるので、手動によるモードの切換操作の煩雑さが回避されて稼働率が向上することにもなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 計量搬送システムの全体概略正面図である。
【図2】 計量コンベア及びその周辺構成を示す概略平面図である。
【図3】 計量搬送システムの制御システム図である。
【図4】 計量コンベアの制御動作を示すフローチャート図である。
【図5】 実施例の作用を示す平面図である。」

「【図1】



「【図2】


「【図3】



「【図4】




「【図5】



(イ) 引用発明の認定
引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

<引用発明>
「 被計量物を搬送するコンベア手段と、このコンベア手段上を搬送される被計量物の重量を搬送途上で測定する計量手段とを有する計量コンベア装置であって、上記コンベア手段の駆動中に所定の重量測定タイミングにおいて計量手段が示す重量値が安定しているときには、コンベア手段の駆動状態を持続させて、その重量値を出力すると共に、重量値が不安定であるときには、コンベア手段を停止させて安定した重量値を出力する制御手段が設けられている計量コンベア装置。(【請求項1】)」

ウ 慣用技術Aの認定
(ア) 引用文献2に記載された技術事項
本願の出願前に発行された特開2013−131号公報(以下「引用文献2」という。)には、以下の記載がある。下線は、当審が付したものである。

「【0014】
〔額で体温測定する際の使用方法など〕
図1に示される体温計10は、額から放射される赤外線を検知して体温を測定する額式体温計であり、測定者が持ち手部20を手で持って、先端の計測部12を被測定者の額に接触させ、計測した体温を報知部30で報知するようになっている。(以下省略)」

「【0018】
〔体温計の形状等〕
以下、体温計の形状等を、上述した図1、及び図2〜図4をもって説明する。なお、以下に説明する体温計は、被測定者(体温を測られる者)が乳幼児であることを想定したものである。
体温計10は、額式体温計であって、全体的に乳幼児が誤飲をしようとしても喉を通過しない径からなる略円柱状の本体とされ、その先端に計測部12、後端に報知部30、計測部12と報知部30との間に持ち手部20を有している。」

「【0025】
報知部30は、本体の後端に配置され、少なくとも体温を知らせる手段を有している。その知らせる手段としては音声も利用できるが、本実施形態の場合は発光ダイオード、液晶等を利用した表示手段とされている。
具体的には、図2に示されるように、報知部30は、体温だけではなく、電源起動、計測中、体温計測種別、バテリーの交換サインが表示される。
すなわち、円形の上面24であって、報知部30の隣にはスイッチ32が設けられており、このスイッチ32は電源のON・OFF機能を有し、電源ONにより体温計10が起動すると、報知部30の砂時計マークが点滅するようになっている。また、報知部30は、赤外線センサが赤外線を感知すると、赤ちゃんのマークが表示され、その後、計測が終了すると温度が表示される。
また、体温計10は、体温を予測して瞬時に表示する「予測体温計測モード」と、皮膚表面の実際の温度を表示する「実測体温計測モード」とを有する。そして、スイッチ32を押すと、予測体温計測モードか実測体温計測モードのいずれか一方の計測モードとなり、長押しすることで、他方の計測モードへの切り替えが行われる。本実施の形態では、実測体温計測モードの場合、報知部30には太陽のマークが表示され、予測体温計測モードの場合、報知部30には赤ちゃんのマークが表示されるようになっている。」

「【図1】



「【図2】



(イ) 引用文献3に記載された技術事項
本願の出願前に発行された特開平6−241799号公報(以下「引用文献3」という。)には、以下の記載がある。下線は、当審が付したものである。

「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、コーナーキューブ等のターゲットを自動追尾する測量装置及びターゲットまでの距離又は角度を測定する測定装置の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、コーナーキューブ等のターゲットを視準する測量器械本体としての測量装置を用いて測設点を探索し、測設点の位置を特定する方法としては、図1に示すように、既知点としてのP点に測量器械本体を設置し、コーナーキューブ等のターゲットを未知点である測設点Bの近傍のC点にセットし、このターゲットを測量器械本体側の作業者が視準してそのターゲットの位置を測定し、ターゲットの位置と測設点Bの位置との隔たりをターゲットの位置を基準として、かつ、測設点Bの位置を測量器械本体の望遠鏡の光軸方向Oとこの光軸方向Oと直交する方向のX−Y方向座標系に分解し、X方向の隔たりΔαとY方向の隔たりΔβとを測量器械本体側で求めて、この隔たりをターゲット側の作業者に知らせて測設点Bの位置を特定する測量作業が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この従来の測量作業では、測量器械本体側とターゲット側との双方に測量作業者を必要とし、少なくとも二人以上の測量作業者が必要である。そこで、測量機本体側の無人化を図ることが考えられている。この場合に、ターゲットの側にいる測量作業者にターゲットの位置の測定が完了したか否かを知らせる必要がある。
【0004】また、多数の地点位置の測定、すなわち、その地点までの距離又は基準方向からの角度を測定する際に2以上のターゲットを用いる場合においても同様にターゲット側にいる測量作業者に測定モードか否か知らせる必要がある。
【0005】本発明は、上記の事情に鑑みて為されたもので、測量器械本体側の無人化を図るのに好適の測量装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の測量装置は、上記課題を解決するために、設置すべき場所としての測設点を探索するためのターゲットを追尾する追尾モードと、そのターゲットの位置を測定する測定モードとの両モードを取り得る測定部と、前記測定部から離れて配置されるターミナル部とを有し、前記測定部には前記ターミナル部からの指令を受けて前記ターゲットの位置を測定してその測定結果を前記ターミナル部へ送信する送受信部が設けられると共に前記追尾モードにあるか前記測定モードにあるかを判別するモード判別部とその判別結果を報知する報知部とが設けられ、前記ターミナル部には前記送受信部との間で情報の授受を行う送受信部が設けられていると共に前記測定結果に基づき前記ターゲットの位置と測設点との隔たりを表示する表示部が設けられていることを特徴とする。
【0007】
【作用】本発明に係わる測量装置によれば、ターゲット側のターミナル部からの指令に基づいて、測定部は設置すべき場所としての測設点を探索するためのターゲットを追尾し、そのターゲットの位置を測定する。その際、測量部が追尾モードにあるときに、報知部が追尾モードにあることを報知し、測量部が測定モードにあるときには、報知部が測定モードにあることを報知する。ターミナル部を有する測量作業者はこれに基づいて測量部が追尾モードに入っていること、及び、測定モードに入っていることを知ることができる。また、測量作業では、複数個の測設点の探索作業を行う際に、複数人が測量作業に従事する場合があり、ターゲット側の測量作業者には、ターミナル部のそばにいない者もいることになるが、このターミナルのそばにいない者も同様にその測量部のモードを確認できる。
【0008】
【実施例】以下に、本発明に係わる測量装置の実施例を図面を参照しつつ説明する。
【0009】図2において、10は例えば既知点Rに設置の測量台、11は測定点Qに設置のターゲットとしてのコ−ナ−キュ−ブで、13はコーナーキューブ11の近傍に置かれたターミナル部としての携帯電子器具、14は測量台10に設置の測定部としての測量機、15は送受信部としての無線機、Sは測設点である。コーナーキューブ11はおよその見当で測設点Sの近傍に配置される。測量機14は固定台16と水平回動部17とを有する。水平回動部17は、図3に示すように固定台16に対して矢印A方向に回転され、支持部18を有する。支持部18には垂直方向回動軸19が設けられ、垂直方向回動軸19には測量機本体20が設けられている。測量機本体20は、水平回動部17の回転により水平方向に回動されると共に、垂直方向回動軸19の回転により図2に矢印Bで示すように垂直方向に回転される。無線機15はここでは支持部18に取り付けられている。」

「【0013】測量機本体20には図8に示すように電子回路46が設けられている。この電子回路46は制御演算部47、視準光学系走査部48、追尾光束走査部49、追尾光束受光部50、測距部(EDM)51、エンコーダー52、視準ずれ量演算部53、測定モード表示ランプ54を有する。測定モード表示ランプ54は、ここでは、図1、図2に示すように測量機本体20の頂部に設けられている。制御演算部47にはエンコーダー52からのパルス信号が入力され、これにより測量機本体20の基準位置からの水平方向の回転角、垂直方向の回転角が検知される。制御演算部47は無線機15に接続され、後述する測定開始指令を受信すると測定を開始する。視準光学系走査部48は視準光学系21の視野内にコーナキューブ11がないときには制御演算部47の指令に基づいてコーナーキューブ11が視野内に入るように測量機本体20を回転させる制御を行う。追尾光束走査部49は制御演算部47の指令に基づいてレーザーダイオード33、水平方向偏向素子35、垂直方向偏向素子36を駆動制御する。追尾光束受光部50は受光素子40を備えており、受光素子40の出力は視準ずれ量演算回路53に入力される。視準ずれ量演算回路53は視準光学系21の光軸Oとコーナーキューブ11との水平、垂直方向のずれを求める。その視準ずれ量演算回路53の演算出力は演算制御回路47と視準光学系走査部48とに入力される。その視準ずれ量演算回路53に基づく制御の詳細については作用と共に説明する。測距部51はレーザー光源43と受光素子44とを含み、レーザー光源43は制御演算部47の指令に基づいて駆動され、受光素子44の出力は演算制御部47に入力され、演算制御部47は測量機本体20からコーナーキューブ11までの距離を演算する。このコーナキューブ11までの距離は無線機15を介して携帯電子器具13に伝送される。モード表示ランプ54は、測量作業者にコーナキューブ11を設置の側から、測量機本体20の捜索モード状態と、追尾モード状態と、測定モード状態とのいずれであるかを確認することができるように設けられた報知部の一部として機能するもので、測定開始前は消灯状態、視準光学系21の視野内にコーナーキューブ11がない捜索モード状態のときは常時点灯状態、視準光学系21の視野内にコーナーキューブ11があってそのコーナーキューブ11を追尾しているときは点滅状態、視準光学系21の視野内にコーナーキューブ11があってそのコーナーキューブ11の追尾が完了し、測量機本体20が測定モードに入ったときには追尾しているときの点滅状態よりも一層短い周期の点滅状態となるように制御演算部47によって制御される。ここでは、このモード表示ランプ54は指向性を有するものとされ、視準光軸Oと同方向に向くようにされている。」

「【0023】(イ)実施例においては、モード表示ランプ54を点滅状態を変更させて追尾モードか測定モードか確認させる構成としたが、色を変更することにより追尾モードか測定モードか確認させる構成とすることもできる。」

「【図1】



「【図2】



「【図3】



「【図8】



(ウ) 引用文献4に記載された技術事項
本願の出願前に発行された特開平9−58644号公報(以下「引用文献4」という。)には、以下の記載がある。下線は、当審が付したものである。

「【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、ラベルプリンタ付き秤、ジャーナルプリンタ付き秤等のプリンタで修正モードにおける印字に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ラベルプリンタ付き秤やジャーナルプリンタ付き秤において、品名コード、ロットNO.、シリアルNO.、日付、作業NO.、出荷コード、風袋引量等多数の項目を設定して印字している。これらの印字データは通常シリアルNO.でその印字した各項目のデータを記憶管理しているのが普通である。もし誤計量或いは誤設定によって間違ったデータを印字してしまったときは、この間違った印字データを全て取り消した後、再度全ての項目のデータを再設定して印字していた。又特公平2−1740では間違ったデータがインプットされていることがプリント発行前の検出器で発見されたとき、対応する商品ラベルはデータが消去され発行されないことが開示されている。又特開平5−35973では商品情報を呼び出して単価のデータを変更することが開示されているが、単価のみで他のデータについての開示はされていない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前述のように全ての項目を再設定するには手間もかかるし、再び誤設定ということも考えられる。従ってこのような欠点をなくすためシリアルNO.で記憶されている計量データ或いはラベル印字データの内、正しいデータはそのまま使用でき間違ったデータだけを再設定する機能を持った機器を実現することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】この発明は、計重器に通信ケーブルで接続されたプリンタをキーボード、表示器、CPU、ROM、RAM及びメモリ等で構成し、間違ったデータを印字したとき、キーボードによって計量モードを修正モードに切り換えて表示器の表示を計量モードの反転色か又は異なったカラー色とし、次にそのときのシリアルNO.をキーボードにより入力して計量データをメモリから読み出して表示し、キーボードにより修正項目のみを修正して印字し、その修正した新しい計量データをメモリに記憶更新することを特徴とする。
【0005】
【作用】間違ったデータを印字してしまったときは、計量モードを修正モードに切り換えることにより、表示器の表示色を計量モードと異なるようにし、間違ったデータをメモリから読み出して表示し、修正項目のみを修正してその新しいデータを記憶更新するので、正確且つ迅速に修正作業ができる。」

「【0009】図4は表示器3で通常使用される表示内容例で通常計量時の状態を示す図である。この図において32はシリアルNO.、33は加工日、34はロットNO.35は規格NO.、36は品名コード、37は品名、38はグロス重量、39は風袋重量、40はネット重量、41は数量、42は計量モード、43は得意先コード、44は得意先の各表示欄であり、前述のように印字条件が整い計重器にて重量データが発信されたとき表示器3に表示される。又図5はメモリ19に記憶され、シリアルNO.により管理されたデータ例を示している。
【0010】図6は間違ったデータを印字してしまったとき、計量モードを修正モードに切り替えたときの表示器3の表示内容例であり、図4の計量モード42が通常計量から修正計量に変更となった外は同じである。又図7は上記修正モードとしたときのプログラムであり順序を追って説明する。上記のように間違ったデータを印字してしまったときは、先ずステップS1でキーボード4の修正モードキーを押すと、ステップS2にて通常計量と修正計量とを区別するため表示色を反転させ、42の計量モード欄を修正計量と表示する。次にステップS3にて修正を必要とするシリアルNO.をキーボード4により入力すると、ステップS4でそのシリアルNO.で計量データが記憶されているかの確認をし、もし該当データが無ければステップS5にて”該当データ無し”と表示された上リターンとなり、YESのときはステップS6で該当データが表示されるので必要項目を修正した上、ステップS7で修正したデータで印字をし、ステップS8にて今までの記憶データを新しいデータに記憶更新をし、完了すればリターンし、修正作業を完了する。なおステップS2で表示器がカラーグラフィック表示管を使用しているときは、表示色を変えればモード区別がわかり易い。」

「【図4】



「【図6】



(エ) 引用文献5に記載された技術事項
本願の出願前に発行された特開2001−186381号公報(以下「引用文献5」という。)には、以下の記載がある。下線は、当審が付したものである。

「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子機器に係り、特に複数の処理モードと発音手段を備えた電子機器に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、簡単なスイッチ操作でベル音の設定を変更することができる電話器が特開平6−205084号の公報に示されている。
【0003】また、従来から起動時に起動音を発する電子カメラが知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の特開平6−205084号の公報に示されている電話器は、予め着信音の設定を変更して、複数台設置してある電話器のどれが着信中であるかを判別するためのものである。
【0005】また、従来の電子カメラの起動音も電子カメラの電源が投入されて起動したことを通知するためのものであるため、電子カメラの起動音から動作モードを識別することはできなかった。したがって利用者は、起動後に表示を見て起動したモードを確認するか、設定してあるモードをスイッチの情報から読み取るといった確認作業が必要であった。
【0006】本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、電子機器の起動時において起動するモード毎に異なる音を発するようにして、利用者が容易に処理モードを認識することが可能な電子機器を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決する為の手段】前記目的を達成するために請求項1の発明は、選択可能な複数の処理モードを備えた電子機器において、前記電子機器の起動を指示する起動スイッチと、前記複数の処理モードの中から所望の処理モードを設定するモード設定手段と、音を発する発音手段とを備え、前記発音手段は前記起動スイッチの指示によって前記電子機器の起動が指示されると、前記モード設定手段によって設定されている処理モードに応じた音を発することを特徴としている。
【0008】本発明によれば、電子機器の起動を指示する起動スイッチと、複数の処理モードの中から所望の処理モードを設定するモード設定手段と、音を発する発音手段とを備え、前記発音手段は前記起動スイッチの指示によって前記電子機器の起動が指示されると、前記モード設定手段によって設定されている処理モードに応じた音を発するようにしたので、利用者は容易に処理モードを認識することが可能となる。」

「【0028】D/A変換器48は、撮影モードを示すデジタル音声データを時間軸上の音声信号に変換してスピーカーアンプ50に出力する。すると発音手段28からは撮影モードであることを示す音(F minor9 、Eb major7、Bb major7、Ab minor )が出力される。このときに出力される音は、音声メッセージであってもよいし、一定周波数の音であってもよいし、トレモロ、ビブラートがかかっていてもよいし、他の和音の組み合わせを時系列で変化させて現在の処理モードを識別できるように出力してもよい。」

「【0034】また、電子カメラ10の起動が指示された時に、モード設定手段22の設定モードが「再生」のモードである場合には、制御手段44はD/A変換器48に対して再生モードで起動されたことを意味する音声データを出力し、表示手段24にも再生モードであることを示す表示を指示するとともに各処理モジュールに対して再生の準備を開始する指令を出力する。例えば表示手段24に対しては表示手段24のLCD制御回路に電源を供給してLCDのバックライトを点灯するとともに表示回路を起動して表示を開始する。なお、D/A変換器48はデジタル音声データを時間軸上の音声信号に変換してスピーカーアンプ50に出力する。すると発音手段28からは再生モードであることを示す音(例えば、Eb minor7、B minor、F minor、Gb )が出力される。
【0035】なお、上記の説明では電子カメラ10の電源スイッチ30が操作されて電子カメラ10の処理が開始された場合に、撮影モードと再生モードとにおいて異なった音を発する例で説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、セットアップモード、通信モード、処理の終了等の各モードにおいてそれぞれ異なった音を発するように構成してもよい。
【0036】また、モードに対応した音を発するタイミングは、電子カメラ10の処理が開始された時に限らず、処理モードの設定が切り換えられた時点で各処理モードに対応した音を発音手段28から発して、利用者に現在の処理モードを音で通知してもよい。更に、電子カメラ10が撮影の条件に応じて自動で撮影のプログラムを変更する際や、発光部14からフラッシュ光を発光するなどのように撮影のモードを自動で変更した際にも、各処理モードに対応した音を発音手段から発して利用者に通知してもよい。
【0037】また、上記の説明では選択可能な複数の処理モードを有する電子機器の例として電子カメラを用いた例で説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、録音再生装置、携帯電話、プリンター、パソコン、電子手帳、PDA、電子辞書、電卓、等の電子機器に適用しても本発明の目的を達成することが可能である。」

「【図2】



「【図4】



(オ) 慣用技術Aの認定
前記(ア)〜(エ)において、引用文献2〜5の記載事項を摘記して例示したように、次の技術事項は、様々な分野において用いられている慣用技術であると認められる(以下「慣用技術A」という。)。
<慣用技術A>
「機器の動作モードに応じた光や音を出力することにより、操作者に機器の動作モード認識しやすくすること」

エ 周知技術Bの認定
(ア) 引用文献8に記載された技術事項
当審が新たに引用する、本願の出願前に発行された特開2010−151778号公報(以下「引用文献8」という。)には、以下の記載がある。下線は、当審が付したものである。

「【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を搬送しながらその物品の重量を計量する計量コンベアに関し、更に詳しくは長さの異なる物品を長さに応じた計量装置で計量する計量コンベアに関する。」

「【0011】
又、前記計量コンベアは、前記搬送手段、前記計量手段、前記計測手段で何らかの異常が発生した場合、その異常が発生した旨とその明細を報知する報知手段と、前記報知手段により異常が報知された時、前記搬送装置、搬送計量装置の搬送手段を停止する停止手段と、を備えた構成としてもよい(請求項3)。
前記報知手段としては、ブザーの鳴動、赤色等の点灯、或いは音声出力等が挙げられる。
【0012】
上記手段によれば、作業者はどの搬送計量装置でどの物品を搬送中、或いは計量中、又は計量装置による計量中に、何の異常が発生したのかを知ることができる。しかも、異常が発生した時点で搬送計量装置の搬送手段が停止されるので、作業者への危険や各装置が二次災害或いは副次的な故障を発生させてしまう危険性を回避することができる。」

「【発明の効果】
【0019】
本発明の計量コンベアは請求項1記載の構成により、各搬送計量装置の許容長さ以下の物品の重量は、それぞれの搬送計量装置の計量値が選択採用され、機長がもっとも長い搬送計量装置より長い物品については、前記複数の搬送計量装置を載置した基台側計量装置の計量値が選択採用される。即ち、各物品の重量は、それら物品の長さに対応する計量手段の計量値が採用される為、正しい計量値を得ることができる。
又、請求項2記載の構成により、前記請求項1記載の構成と比べて少ない計量手段で同等の計量能力を備えた計量コンベアを提供できると共に、計量手段の数が少ない分安価に製作することができる。
又、請求項3記載の構成により、作業者はどの搬送計量装置、搬送装置でどの物品を搬送中、或いは計量中、又は計量装置による計量中に、何の異常が発生したのかを知ることができる。しかも、異常が発生した時点で搬送計量装置又は搬送装置の搬送手段が停止されるので、作業者への危険や各装置が二次災害或いは副次的な故障を発生させてしまう危険性を回避することができる。」

「【実施例1】
【0024】
図示の実施の形態は、搬送計量装置が2台、計量装置が1台からなる計量コンベアを示す。
図1〜図3は、本発明に係る計量コンベアの概略図で、物品Wを搬送する搬送手段1aと物品Wの重量を計量する計量手段1bを備えた第1搬送計量装置1と、物品Wを搬送する搬送手段2aと物品Wの重量を計量する計量手段2bを備えた第2搬送計量装置2と、前記第1搬送計量装置と第2搬送計量装置を載承保持する計量手段3bのみを備えた第3計量装置3とで構成されている。
前記第1搬送計量装置と第2 搬送計量装置は、搬送手段1a,2aの機長に長短差(1a>2a)をつけて構成され、その第1搬送計量装置1と第2搬送計量装置2を、搬送方向が一直線となり連続して搬送し得るように直列且つ隣接して配置されている。そして、配置の順番は、搬送方向に沿い手前側に機長の長い第1搬送計量装置1を、その先(搬送方向前方)に第2搬送計量装置2が配置されている。尚、前記第1搬送計量装置1の上流側と前記第2搬送計量装置2の下流側にはそれぞれ物品Wを搬送する搬送コンベア7,7’が連設配置されている。
【0025】
前記第3計量装置3は、前記第1搬送計量装置1と第2搬送計量装置2を載承して変形しないだけの強度を備えたフレーム3aを備え、そのフレームの略四隅下部に計量手段3bが配置されている。そして、前記計量装置3は前記計量手段3bを、上面が水平に維持された基台上に載置され、第1搬送計量装置1と第2搬送計量装置2に搬送載置されている全ての物品Wの合計重量を計量し得るように構成されている基台側の計量装置である。
【0026】
前記第1搬送計量装置1の搬送手段1a、及び第2搬送計量装置2の搬送手段2aは、ベルトコンベアで構成され、その搬送手段1a、2aの各フレームの四隅下部と、前記第3計量装置3のフレーム上面との間にそれぞれの搬送計量装置1,2の計量手段1b,2bが配置されている。これによって、第1搬送計量装置1の搬送手段1aに搬送載置された物品の重量は計量手段1bで、第2搬送計量装置2の搬送手段2aに搬送載置された物品の重量は計量手段2bで、それぞれ計量される。
【0027】
前記第1搬送計量装置1、第2搬送計量装置2、及び第3計量装置3が備える計量手段1b,2b,3bは、今日計測に一般的に採用されるロードセル(起歪体にひずみゲージを貼り付けたもの)を用いて構成される。そして、該ロードセルは、回路等を工夫し温度ドリフトを小さくする、防錆、防水、耐薬品、耐衝撃、耐振動等、耐環境性を強化して設置される。」

「【0031】
次に、計量コンベアによる搬送物品の計量及び物品の長さ計測の動作を図12のフローチャートに基づいて説明する。
S101…プログラムを終了するか否かの判定をする。表示部に表示されている「終了」或いは入力操作部に設けられた「終了」ボタンが押されたか否かの判定。押された場合(YES)はエンドへ、それ以外(NO)はS102へ進む。
S102…作業開始か否かの判定をする。具体的には表示部に表示されている「開始」、或いは入力操作部に設けられた「開始」ボタンが押されたか否かの判定。押された場合(YES)はS103へ進み、それ以外(NO)はS101へ戻る。
S103… 第1搬送計量装置1の搬送手段1aと第2搬送計量装置2の搬送手段2aを始動させる。
S104… 現在、エラー状態にあるか否かを判定する。具体的には、第1搬送計量装置1、第2搬送計量装置2、第3計量装置3の各計量手段が計量不能の状態、各搬送手段に異常があり物品を搬送できない状態、計測手段(検知センサ)4に異常がある場合等、検出されたエラーがあるか否かの判定。異常がある場合(YES)は、その異常内容を表示部へ表示しS105へ進み、異常がない場合(NO)はS106へ進む。
【0032】
S105… 表示部に表示されている「解除」或いは入力操作部に設けられた「解除」ボタンが押されたか否かの判定をする。「解除」が押された場合はS103へ戻る。
物理的な原因によるエラーの場合、作業者によって対策(処置)されていない場合には、「解除」ボタンを押せないようにしてもよい。
S106… 上位の管理装置より出荷IDを受信しているか否かを判定する。受信している場合(YES)はS107へ進み、受信していない場合(NO)はS108へ進む。
受信していない場合とは、上位管理装置で記憶する出荷作業データ(図8参照)が全て終わっている或いは無い場合は、出荷データ無が受信されるので、一意の仮想出荷IDを連番でRAM12のワークエリアへ自動作成し、その出荷IDを現在の物品の出荷IDとしてセットしS108へ進む。尚、出荷IDは、搬送計量する物品と計量確定した重量とを紐付けるために使われる。上位管理装置側で、出荷指示データ一つ一つをユニーク(唯一)とする出荷IDが附番(或る起点からの数字をインクリメントしたものでも良い)される。上位管理装置で附番されない場合は、計量コンベアの制御盤のCPU10がRAM12のワークエリアへ搬送計量される物品毎に出荷IDを附番する。
S107…上位管理装置へ出荷作業データを問い合わせ、受信した出荷IDはRAM12のワークエリアへ記憶しS108へ進む。
【0033】
S108… 搬送手段で搬送される物品のイン(IN)とアウト(OUT)を検知する検知センサ(計測手段)4により、物品が搬送されてきたか否かを判定する。フォトセンサ1個で物品の長さを計測する場合は、光センサにより一定間隔でON/OFFを検出する。前記検出する時間の間隔は、搬送手段(ベルトコンベア)の搬送速度に応じて変化するようになっている。搬送手段(ベルトコンベア)の搬送速度は、メンテナンスモードで設定され、RAM12の条件設定エリアに記憶される。
センサがONの場合(NO)は、物品Wが搬送されてきていないと判断しS106へ戻り、センサがOFFの場合(YES)は、物品Wが搬送されてきたと判断しS109へ進む。尚、フォトセンサは1個で行ってもよいが、2個以上のフォトセンサを使い一定間隔でON/OFFを各センサで検知し、物品Wの長さを計測するようにしてもよい。
尚、前記検知は、bright=ON(物品によりセンサが遮られていない)、dark=OFF(物品によりセンサが遮られている)の信号判定を行っているが、条件に合わせて前記出力信号の判定を適宜変更してもよい。
S109…前記センサのON/OFFの計測と搬送手段の搬送速度により、搬送物品Wの長さが演算される。
前記演算にて物品の長さを算出する方法の他に、搬送計量装置の両端に物品検出センサを設けて、その物品検出センサが出力するON/OFFの出力信号の組み合わせ、或いはその順序により計量装置を選択する方法、又は、単純に物品が搬送計量装置の搬送方向の前後端からはみ出しているか否かにより計量装置を選択する方法により、選択する秤装置の番号を決定するようにしてもよい。
S110… 物品Wの重量を計量手段1b〜3b(計量部19,22,23)各々が計測し、その計測値をワークメモリへ記憶する。
【0034】
S111… 搬送物品Wの計量値は、前記検知センサ(計測手段)4で計測された物品Wの長さに基づいて、大荷重を計量する計量手段3b、中荷重を計量する計量手段1b、小荷重を計量する計量手段2bからの計量値を各々連続して記憶したRAM12の中から選択決定される。
その選択決定は、前記検知センサによる物品の検知時間と搬送手段の搬送速度から算出された物品W の長さが、440mm以下の場合はRAM12に記憶された秤選択情報(図9参照)に基づいて小荷重を計量する第2搬送計量装置2の計量手段2b(秤番号:1)からの計量値を読み出しS112へ進む。物品Wの長さが441mm以上1050mm以下の場合は、同様にRAM12に記憶された秤選択情報(図9参照)に基づいて中荷重を計量する第1搬送計量装置1の計量手段1b(秤番号:2)からの計量値を読み出しS113へ進む。
物品Wの長さが1051mm以上の場合は、同様にRAM12に記憶された秤選択情報(図9参照)に基づいて大荷重を計量する第3計量装置3の計量手段3b(秤番号:3)からの計量値を読み出しS114へ進む。
S109で秤装置の番号を決定する方法の場合、S109で決定された秤装置の番号に従い分岐するものとする。
【0035】
S112…第2搬送計量装置2の機長内に収まる長さの物品W1が搬送されたので、計量手段2b(秤番号:1)の計量値に基づいて重量を算出しS115へ進む(図11(a)参照)。
連続して搬送される複数物品毎の重量確定は、前記長さを検知する検知センサ(計測手段)4での通過時間(ONからOFFまでの時間)と搬送手段1a、2aの搬送速度と、前記RAM12に連続して記憶された計量手段2b(秤番号:1)の計測値により、物品単位の周期変動毎に切り出すことができるので、切り出された計測値毎に夫々の物品の重量を周知慣用技術である移動平均等で算出して連続して搬送される物品の重量を順次確定させる。
尚、計測及び計量時に異常があった場合や、算出された物品の重量が異常を示す値であった場合には、異常が発生している旨とその原因とをRAM12のワークエリアへ記憶する。
【0036】
S113… 第2搬送計量装置2の機長より長く第1搬送計量装置1の機長内に収まる長さの物品W2が搬送されたので、計量手段1b(秤番号:2)の計量値に基づいて重量を算出しS115へ進む(図11(b)参照)。
連続して搬送される複数物品毎の重量確定は、前記同様、前記長さを検知する検知センサ(計測手段)4での通過時間(ONからOFFまでの時間)と搬送手段1a、2aの搬送速度と、前記RAM12に連続して記憶された計量手段1b(秤番号:2)の計測値により、物品単位の周期変動毎に切り出すことができるので、切り出された計測値毎に夫々の物品の重量を周知慣用技術である移動平均等で算出して連続して搬送される物品の重量を順次確定させる。
尚、計測及び計量時に異常があった場合や算出された物品の重量が異常を示す値であった場合には異常が発生している旨とその原因とをRAM12のワークエリアへ記憶する。
【0037】
S114…第1搬送計量装置1の機長より長い物品W3が搬送されたので、計量手段3(秤番号:3)の計量値に基づいて重量を算出しS115へ進む(図11(c)参照)。
連続して搬送される複数物品毎の重量確定は、前記同様、前記長さを検知する検知センサ(計測手段)4での通過時間(ONからOFFまでの時間)と搬送手段1a、2aの搬送速度と、前記RAM12に連続して記憶された計量手段3b(秤番号:3)の計測値により、物品単位の周期変動毎に切り出すことができるので、切り出された計測値毎に夫々の物品の重量を周知慣用技術である移動平均等で算出して連続して搬送される物品の重量を順次確定させる。
尚、計測及び計量時に異常があった場合や算出された物品の重量が異常を示す値であった場合には異常が発生している旨とその原因とをRAM12のワークエリアへ記憶する。
【0038】
S115… 計測時、計量時、搬送時、重量算出時、及び各種センサの異常があったか否か等を、RAM12のワークエリアに記憶された情報に基づいて判定を行う。エラーと判定された場合(YES)はS116へ進み、エラーが無い場合(NO)はS118へ進む。
S116…エラー内容を表示部13に表示する。或いはパトライトを点灯(点滅)させる。
S117…第1搬送計量装置1の搬送手段1aと第2送計量装置2の搬送手段2aを停止させS104へ戻る。
S118… 計測及び計量データが表示されている制御盤(コンソール)の画面へ、算出された物品の重量を表示する。( 表示される重量は、物品の搬送順とそれに対応する長さ、重量等を項目名と其れに対応する値を示す二次元の表で随時表示を行う。)
前記計量データの表示は、現在搬送されている物品が計量され変動していく値が随時表示され、重量が算出され確定されると確定された重量が固定表示される。
S119… 前記結果を実績として記憶する。RAM12の実績記憶エリアに記憶すると共に、上位管理装置へ送信する。尚、常に上位管理装置へ随時送信する場合には、RAM12の実績記憶エリアに記憶しなくてもよい。
S120… 出荷作業が完了したか否か、或いは出荷作業を中断するかの判定をする。作業完了或いは中断の場合(YES)はS101へ戻り、作業が完了していない場合(NO)はS104へ戻る。
物品の出荷作業を終了するか否かは、表示部13に表示されている「完了/中断」、或いは入力操作部に設けられた「完了/中断」ボタンが押されたか否か、或いは上位管理装置から「完了/中断」を受信したかの判定で行われる。「完了/中断」ボタンが押された、或いは「完了/中断」のデータを上位管理装置より受信した場合はS101へ戻り、それ以外はS104へ戻る。」

「【図1】



「【図2】



「【図3】



「【図12】



(イ) 周知技術Bの認定
前記(ア)において、引用文献8の記載事項を摘記して例示したように、次の技術事項は、搬送手段を有する計量装置の技術分野において、周知の技術であると認められる(以下「周知技術B」という。)。
<周知技術B>
「搬送手段を有する計量装置において、異常が発生した場合に、報知手段により光や音を発して異常が発生したことを報知するとともに、搬送手段を停止すること」

オ 自明の技術事項Cの認定
(ア) 引用文献9に記載された技術事項
当審が新たに引用する、本願の出願前に発行された特開2007−188316号公報(以下「引用文献9」という。)には、以下の記載がある。下線は、当審が付したものである。

「【技術分野】
【0001】
本発明は、外部と情報の無線通信を行う無線タグ回路素子を備えたタグ媒体を搬送しつつその搬送される無線タグ回路素子と無線通信を行う無線タグ情報通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
小型の無線タグとリーダ(読み取り装置)/ライタ(書き込み装置)との間で非接触で情報の読み取り/書き込みを行うRFID(Radio Frequency Identification)システムが知られている。例えばラベル状の無線タグに備えられた無線タグ回路素子は、所定の無線タグ情報を記憶するIC回路部とこのIC回路部に接続されて情報の送受信を行うアンテナとを備えており、無線タグが汚れている場合や見えない位置に配置されている場合であっても、リーダ/ライタ側よりIC回路部の無線タグ情報に対してアクセス(情報の読み取り/書き込み)が可能であり、商品管理や検査工程等の様々な分野において既に実用化が進みつつある。
【0003】
このような無線タグは、通常、ラベル状の素材上に無線タグ回路素子を設けて形成され、このタグラベルが例えば各種書類・物品の分類・整理のために対象物品等に貼り付けられることが多い。またこのとき、内部に記憶された無線タグ情報とは別に、その無線タグ情報に関連した情報をラベルに印字しておくようにすれば、ユーザ側から上記関連情報をラベル上で視認でき何かと便利である。このため、従来、そのような観点からの無線タグ情報通信装置が既に提唱されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
この従来技術の無線タグ情報通信装置では、無線タグ回路素子(RF−IDタグ)を備えたタグ媒体としてのラベルつき台紙に貼り付け、このタグ媒体を所定位置まで搬送した後搬送を停止して装置側アンテナ(RF−ID読み込み/書き込み装置)から無線タグ回路素子へ情報を送信して所定の情報書き込みを行い、その直後に搬送を再開してラベルの表面に印字ヘッドにより印字を行い、これにより印字済のタグラベルを連続的に生成するようになっている。
【0005】
【特許文献1】特開2001−96814号公報(段落0032〜0035及び0068、図7)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来技術では、無線タグラベルを作成するときには、無線タグ回路素子を備えたタグ媒体を所定の位置(装置側アンテナの近傍)まで搬送した後、搬送を停止して無線タグ回路素子との通信を行い、さらに搬送を再開して搬送しながら印字を行い、作成された無線タグラベルを装置外へと排出する。このとき、書き込み処理がうまく行かなかった場合にはブザーやLEDによりその旨の報知を行うようになっているものの、それ以外の通常の搬送時、搬送停止後の無線通信時、搬送再開時等において、(書き込み処理がうまくいかなかった場合を除けば)操作者に対し特になんらの報知も行っていない。したがって、操作者は、その時点で装置が誤動作なく正常に動作しているのかを確認することができず、心理的に大きな不安をもたらすこととなっていた。特に、通信位置まで無線タグ回路素子が搬送されてきた後、無線通信のためにいったん搬送が停止する場合、この停止が無線通信のための正常な動作の一過程であるのか、何らかの搬送異常のため止まってしまったのかが操作者にとって直感的にわかりづらく、不安感が増大する問題があった。また、無線通信のために一旦停止したにもかかわらず、操作者が無線タグラベルの作成が完了したものと勘違いし、端部を引き出すことにより作成が失敗してしまう恐れがあった。
【0007】
本発明の目的は、装置動作に関する操作者の不安感を払拭し、信頼感を増大させることができ、作成の失敗がない無線タグ情報通信装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、第1の発明は、情報を記憶するIC回路部及びこのIC回路部に接続されたタグ側アンテナを備えた無線タグ回路素子を備えたタグ媒体を搬送する搬送手段と、前記搬送手段の搬送により前記無線タグ回路素子が所定位置に到達して当該搬送が減速又は停止状態となったときに、前記無線タグ回路素子との間で無線通信により情報の送受信を行う送受信手段と、前記減速又は停止状態において前記送受信手段が情報送受信状態であることを第1態様で操作者に報知する第1報知手段とを有することを特徴とする。
【0009】
本願第1発明においては、タグ媒体が搬送手段によって搬送され、タグ媒体に備えられた無線タグ回路素子が所定の位置に到達すると、搬送手段の搬送が減速又は停止され、その減速又は停止状態において送受信手段から無線通信によって無線タグ回路素子へアクセスが行われ、情報の送受信が行われる。このとき、第1報知手段が、所定の態様(第1態様)で操作者に対して報知を行うことにより、搬送手段が当該減速又は停止状態になったことが、搬送手段の不具合や故障等ではなく無線タグ回路素子への情報送受信のためのものであり、正常な動作の一過程であることを操作者に対し明確にすることができる。この結果、操作者の不安感を払拭し、装置への信頼感を増大させることができる。」

「【0020】
第7発明は、上記第6発明において、前記第1及び第2報知手段は、音声又は視覚的表示によって前記操作者への報知を行うことを特徴とする。
【0021】
音声を用いる場合には、操作者の聴覚に訴えることで操作者が装置から目を離していても確実に報知を行うことができ、視覚的表示を用いる場合には、操作者の視覚に訴えることで操作者に対し一目瞭然に明確に報知を行うことができる。
【0022】
第8発明は、上記第7発明において、前記第1報知手段と前記第2報知手段とを、共通の手段として構成したことを特徴とする。
【0023】
2つの態様を1つの手段で実現することにより、構造の簡素化、省スペース、及びコストダウンを図ることができる。
【0024】
第9発明は、上記第8発明において、前記第1及び第2報知手段は、視覚的表示によって前記操作者への報知を行う共通の1つの表示手段であることを特徴とする。
【0025】
1つの表示手段が、無線タグ回路素子が所定位置到達時の搬送減速(又は停止)前後で視覚的表示の態様を切り替えることで、搬送手段による搬送状態から、送受信手段による通信状態に移行したことを操作者に対し明確に示すことができる。
【0026】
第10発明は、上記第9発明において、前記表示手段は、前記第2態様として、前記第1態様に対して、色、明るさ、点滅状態のうち少なくとも1つが異なる表示態様で、前記操作者への報知を行うことを特徴とする。
【0027】
1つの表示手段が、無線タグ回路素子が所定位置到達時の搬送減速(又は停止) 前後で色、明るさ、点滅状態等を切り替えて表示することで、搬送手段による搬送状態から送受信手段による通信状態に移行したことを操作者に対し明確にわかりやすく示すことができる。
【0028】
第11発明は、上記第8発明において、前記第1及び第2報知手段は、音声によって前記操作者への報知を行う共通の1つの発音手段であることを特徴とする。
【0029】
1つの発音手段が、無線タグ回路素子が所定位置到達時の搬送減速(又は停止)前後で音声の態様を切り替えることで、搬送手段による搬送状態から、送受信手段による通信状態に移行したことを操作者に対し明確に示すことができる。
【0030】
第12発明は、上記第11発明において、前記発音手段は、前記第2態様として、前記第1 態様に対して、周波数、音量、断続状態、楽曲のうち少なくとも1つが異なる発音態様で、前記操作者への報知を行うことを特徴とする。
【0031】
1つの発音手段が、無線タグ回路素子が所定位置到達時の搬送減速(又は停止)前後で周波数、音量、断続状態、楽曲等を切り替えて発音することで、搬送手段による搬送状態から送受信手段による通信状態に移行したことを操作者に対し明確にわかりやすく示すことができる。」

「【発明の効果】
【0038】
本発明によれば、搬送手段が減速又は停止状態になったことが、搬送手段の不具合や故障等ではなく正常な動作の一過程であることを操作者に対し明確にして不安感を払拭し、装置への信頼感を増大させることができる。」

「【0040】
図1は、本実施形態のタグラベル作成装置を備えた無線タグ生成システムを表すシステム構成図である。
【0041】
図1に示すこの無線タグ生成システムTSにおいて、タグラベル作成装置1は、有線あるいは無線による通信回線NWを介してルートサーバRS、複数の情報サーバISと接続されている、端末118a、及び汎用コンピュータ118bに接続されている。なお、端末118a及び汎用コンピュータ118bを総称して以下適宜、単に「PC118」と称する。
【0042】
図2は、上記タグラベル作成装置1の全体構造を表す斜視図である。
【0043】
図2において、タグラベル作成装置1は、上記PC118に接続されてPC118からの操作に基づき所望の印字つき無線タグラベルを作成するものであり、装置本体2と、この装置本体2の上面に開閉可能に設けられた開閉蓋3とを有している。
【0044】
装置本体2は、手前側(図2中、左手前側)に位置し、装置本体2内で作成された無線タグラベルT(詳細は後述)を外部に排出するラベル排出口11を備えた側壁10と、この側壁10のうちラベル排出口11の下方に設けられ下端が回動可能に支持された側蓋12とを備えている。
【0045】
側蓋12は押部13を備えており、この押部13を上方より押し込むことで側蓋12が前方に開放されるようになっている。また、側壁10のうち上記開閉ボタン4の下方には、印字済みタグラベル用テープ109(タグ媒体;詳細は後述)の搬送状態や無線通信状態を示す2色LED(第1報知手段、第2報知手段、表示手段;詳細は後述)131が設けられている。この2色LED131の下方には、タグラベル作成装置1の電源のオン・オフを行う電源ボタン14が設けられている。さらにこの電源ボタン14の下方には、装置本体2内に配設された切断機構15(後述の図3参照)を使用者の手動操作で駆動するためのカッター駆動ボタン16が設けられ、このボタン16が押されることで印字済みタグラベル用テープ109を所望の長さにカットして無線タグラベルTを作成するようになっている。」

「【0111】
上記のような基本構成のタグラベル作成装置1においては、印字済みタグラベル用テープ109の搬送中でループアンテナLCから無線通信によりアクセスされるために停止する際に、2色LED131が所定の色と発光動作を行うことで正常な情報送受信のための停止であることを操作者に示す。以下、その搬送位置に応じた制御の挙動を図21、図22を用いて説明する。なお、本実施形態では、ラベル印字R が長いか短いかに応じてテープ後端側の後ハーフカット線HC2の位置を可変に制御するため、印字Rが長い場合と短い場合とで場合を分けて説明する。
【0112】
(A)印字長が比較的長い場合
図21(a)〜(j)はそれぞれ、連続的に繰り出される印字済みタグラベル用テープ109の識別子PM、無線タグ回路素子To、ラベル印字Rの印字領域Sと、ループアンテナLC、マークセンサ127、ハーフカットユニット35、切断機構15、印字ヘッド23との位置関係、及び2色LED131の発光状態を表す説明図である。なお、図示のように、本実施形態では、基材テープ101において、識別子PMのテープ搬送方向先端位置から無線タグ回路素子Toのテープ搬送方向先端までの距離Lが、マークセンサ127と印字ヘッド23との間のテープ搬送方向距離Loに等しくなるように、予め設定されている。
【0113】
まず、図21(a)は、カートリッジ7から印字済みタグラベル用テープ109の繰り出しが開始される直前の状態を表している。図示の状態では識別子PMはマークセンサ127によって検出されておらず、また2色LED131はまだ消灯した状態となっている。
【0114】
この状態から印字済みタグラベル用テープ109の繰り出しが開始するとともに2色LED131も緑色に点灯表示し始め(以降、図21(f)まで点灯表示を継続)、さらに印字済みタグラベル用テープ109の搬送(言い換えれば基材テープ101及びカバーフィルム103の搬送。以下同様)が進むと、無線タグ回路素子Toのテープ搬送方向先端付近が印字ヘッド23の位置に到達する(図21(b))。ここで、前述のように、L=Loとなっていることから、印字済みタグラベル用テープ109の移動により識別子PMの先端がマークセンサ127の位置に到達したとき、カバーフィルム103の無線タグ回路素子Toに対応する位置(基材テープ101の無線タグ回路素子To位置と貼りあわされることとなる位置)が、印字ヘッド23の位置に到達する。これに対応し、識別子PMがマークセンサ127で検出されると、カバーフィルム103にラベル印字R の印刷が開始される(図21(c))。この例では、後述の図21(i)〜図21(j)に示すように、比較的長い文字(アルファベット文字「ABCDEFGHIJKLMN」)を印字する場合を例にとっている。
【0115】
上記図21(c)の状態からさらに印字済みタグラベル用テープ109の搬送が進むと、予め設定された前ハーフカット線HC1の位置(前述したように、テープ先端から距離X1の位置。図18参照)が、ハーフカットユニット35の位置に到達する(図21(d))。この状態では前述のように既にマークセンサ127によって識別子PMを検出した後であるため、この位置に来たことの検出は、前述の図21(b)の状態(識別子PM検出開始状態)から印字済みタグラベル用テープ109が所定距離だけ進んだことを検知することによって行う。この検出に対応して、印字済みタグラベル用テープ109の搬送を停止し、ハーフカットユニット35によって前ハーフカット線HC1を形成する(図21(d))。
【0116】
その後、印字済みタグラベル用テープ109の搬送を再開し、上記図21(d)の状態からさらに印字済みタグラベル用テープ109の搬送が進む(図21(e))と、無線タグ回路素子ToがループアンテナLCの位置に到達する(図21(f))。このとき、この例ではラベル印字Rとして前述のように比較的長い文字(「ABCDEFGHIJKLMN」)の印刷を行っていることから、この時点ではまだ印字領域Sにおけるすべての印刷が終了していない。このため、印字済みタグラベル用テープ109の搬送及び印刷を一旦停止(中断)させて、その搬送停止状態でループアンテナLCより無線タグ回路素子T
oとの無線通信を行う。ここで、それまで継続的に点灯表示していた2色LED131は無線通信を行う間(例えば1秒程度)において同じ緑色のまま点滅表示を行う。なお、この状態では、例えば印字済みタグラベル用テープ109の先端部は排出口11より装置1の外部へと露出している場合もある。そして、後で詳細を説明するところの無線通信が成功終了した後には、2色LED131が消灯するとともに搬送及び印刷を再開し(図21(g))、最終的にすべての(「ABCDEFGHIJKLMN」)の印刷を完了させる(図21(h))。
【0117】
上記図21(h)の状態からさらに印字済みタグラベル用テープ109の搬送が進むと、予め設定された後ハーフカット線HC2の位置(前述したように、テープ後端から距離X2の位置。図18参照)が、ハーフカットユニット35の位置に到達する。この位置に来たことの検出は、上記前ハーフカット線HC2の位置検出と同様、図21(b)の状態から印字済みタグラベル用テープ109が所定距離だけ進んだことを検知することによって行う。この検出に対応して、印字済みタグラベル用テープ109の搬送を停止し、ハーフカットユニット35によって後ハーフカット線HC2を形成する(図21(i))。
【0118】
上記図21(i)の状態からさらに印字済みタグラベル用テープ109の搬送が進むと、ラベル印字Rの長さに対応して可変に設定された各無線タグラベルTの印字領域Sのテープ長手方向寸法Xに対応した切断線CLの位置が、切断機構15の位置に到達する(なお上記図21(g)からこの段階までは、2色LED131は消灯したままである)。この位置に来たことの検出も、上記同様、図21(b)の状態から印字済みタグラベル用テープ109が所定距離だけ進んだことを検知することによって行う。この検出に対応して、印字済みタグラベル用テープ109の搬送を停止し、切断機構15によって切断線CLにおいて切断を行い(図21(j))、印字済みタグラベル用テープの先端側を切り離して無線タグラベルTとする。
【0119】
なお、以上の行程は上記無線通信が正常に行われた場合を説明しているが、一方、無線通信が失敗した場合にはその後の搬送と印刷の再開時(図21(g))から印刷完了(図21(j))までの間、2色LED131が赤色で継続的に点灯表示して通信エラーを操作者に報知する。」

(イ) 自明の技術事項Cの認定
前記(ア)において、引用文献9の記載事項を摘記して例示したように、次の技術事項は、当業者にとって、自明の技術事項であると認められる(以下「自明の技術事項C」という。)。
<自明の技術事項C>
「装置が正常な動作として停止した場合と異常により停止した場合を操作者が区別できるように、光や音で報知すること」


カ 対比
(ア) 対比分析
本件補正後の請求項1の記載順に沿って、本件補正発明と引用発明を対比する。
a 引用発明における「被計量物」は、本件補正発明における「物品」に相当し、引用発明における「被計量物を搬送するコンベア手段」は、本件補正発明における「物品を搬送する搬送部」に相当する。
したがって、「計量装置」の発明である本件補正発明と、「計量コンベア装置」の発明である引用発明は、「物品を搬送する搬送部」を備える「計量装置」の発明である点で一致する。

b 引用発明における「このコンベア手段上を搬送される被計量物の重量を搬送途上で測定する計量手段」は、本件補正発明における「計量部」に相当する。
そして、引用発明において「上記コンベア手段の駆動中に所定の重量測定タイミングにおいて計量手段が示す重量値が安定しているときには、コンベア手段の駆動状態を持続させて、その重量値を出力する」ことは、本件補正発明における「前記搬送部が前記物品を搬送する際に、前記物品の搬送を停止させずに前記物品の質量を計量する第1計量」に相当する。
また、引用発明において「重量値が不安定であるときには、コンベア手段を停止させて安定した重量値を出力する」ことは、本件補正発明における「前記物品の搬送を停止させて前記物品の質量を計量する第2計量」に相当する。
以上を踏まえると、本件補正発明と引用発明は、「前記搬送部が前記物品を搬送する際に、前記物品の搬送を停止させずに前記物品の質量を計量する第1計量、及び前記物品の搬送を停止させて前記物品の質量を計量する第2計量を実施する計量部」を備える点で一致する。

(イ) 一致点及び相違点
前記(ア)の対比分析の結果をまとめると、本件補正発明と引用発明の一致点及び相違点は、次のとおりである。

a 一致点
「 物品を搬送する搬送部と、
前記搬送部が前記物品を搬送する際に、前記物品の搬送を停止させずに前記物品の質量を計量する第1計量、及び前記物品の搬送を停止させて前記物品の質量を計量する第2計量を実施する計量部と、を備える、
計量装置」である点。

b 相違点
本件補正発明は、
「前記計量部が前記第2計量を実施している際に、前記計量部が前記第1計量を実施している際とは異なる態様で、光及び音の少なくとも一方を発する報知部と、を備え」(以上を、以下「部分相違点A」という。)、
さらに、「前記計量部が前記第2計量を実施している際に前記報知部が光及び音の少なくとも一方を発する態様は、前記搬送部に異常が生じた際に前記報知部が光及び音の少なくとも一方を発する態様とは異なる」(「さらに」の後の部分を、以下「部分相違点B」という。)のに対して、
引用発明は、報知部を備えていない点。

キ 本件補正発明の想到容易性の判断
(ア) 部分相違点Aについて
前記第2の2(2)ウ(オ)において認定したように、「機器の動作モードに応じた光や音を出力することにより、操作者に機器の動作モード認識しやすくすること」は、様々な分野において用いられている慣用技術である。したがって、引用発明において、(本件補正発明の「第2計量」に相当する動作モードである)「コンベア手段を停止させて安定した重量値を出力する」際に、(本件補正発明の「第1計量」に相当する動作モードである)「コンベア手段の駆動状態を持続させて、その重量値を出力する」場合とは異なる光や音を出力するようにすることは、当業者が適宜選択できる設計事項にすぎない。すなわち、引用発明において、「前記計量部が前記第2計量を実施している際に、前記計量部が前記第1計量を実施している際とは異なる態様で、光及び音の少なくとも一方を発する報知部」を備えるという、部分相違点Aの構成を備えるようにすることは、当業者が適宜選択できる設計事項にすぎないから、部分相違点Aは格別のものではない。

(イ) 部分相違点Bについて
前記第2の2(2)エ(イ)において認定したように、搬送手段を有する計量装置の技術分野において、「搬送手段を有する計量装置において、異常が発生した場合に、報知手段により光や音を発して異常が発生したことを報知するとともに、搬送手段を停止すること」は、周知の技術であると認められる(「周知技術B」)。したがって、引用発明において、部分相違点Aの構成を備えることに加えて、周知技術Bの構成を備えるようにすることは、当業者にとっては、適宜選択すべき設計事項にすぎない。
前記第2の2(2)オ(イ)において認定したように、「装置が正常な動作として停止した場合と異常により停止した場合を操作者が区別できるように、光や音で報知すること。」は、当業者にとって、自明の技術事項であり、当然の配慮事項であると認められる(「自明の技術事項C」)。
したがって、引用発明において部分相違点A及び周知技術Bの構成を備えるようにする際に、「前記計量部が前記第2計量を実施している際に前記報知部が光及び音の少なくとも一方を発する態様は、前記搬送部に異常が生じた際に前記報知部が光及び音の少なくとも一方を発する態様とは異なる」という部分相違点Bの構成を更に備えるようにすることは、当業者にとっては、至極当然の配慮事項にすぎない。

(ウ) 本件補正発明の想到容易性のまとめ
以上検討のとおり、部分相違点A及び部分相違点Bは、いずれも格別のものではない。そして、本件補正発明の奏する作用効果には、引用発明、慣用技術A、周知技術B及び自明の技術事項Cから予測されるものを超える、格別顕著なものは認められない。
したがって、本件補正発明は、引用発明、慣用技術A、周知技術B及び自明の技術事項Cに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(エ) 請求人の主張について
a 請求人の主張の概要
請求人は、審判請求書において、次の主張をしている。
「動計量と静止計量とを自動的に切替え可能に構成された計量装置において、動計量から静止計量に自動的に切り替わった際に、搬送部の異常に起因して搬送が止まったとオペレータが誤解するというオペレータの誤認」を抑制しようとする動機付けは、コンベア手段の異常についてすら記載がない引用発明に見出すことは、当業者であっても容易ではない。
引用発明2〜6は、それぞれが別々の作用効果、具体的には「それぞれの技術分野において、ある機器の動作モードに対して、ある光や音の出力態様が割り当てられている」ことで単に「現在どのモードなのかを認識し易い」という効果に奏するにすぎない。
そのため、引用発明2〜5等の光や音の出力を引用発明に適用し得たとしても、前記相違点の構成には至らない。

b 請求人の主張についての検討
前記(ア)において説示したとおり、「機器の動作モードに応じた光や音を出力することにより、操作者に機器の動作モード認識しやすくすること」は、様々な分野において用いられている慣用技術であるから、引用発明において、「コンベア手段を停止させて安定した重量値を出力する」際に、報知手段から「コンベア手段の駆動状態を持続させて、その重量値を出力する」場合とは異なる光や音を出力するようにすることは、当業者が適宜選択できる設計事項にすぎない。
そして、(イ)において説示したとおり、搬送手段を有する計量装置の技術分野において、「搬送手段を有する計量装置において、異常が発生した場合に、報知手段により光や音を発して異常が発生したことを報知するとともに、搬送手段を停止すること」は、周知の技術であるから、引用発明において、部分相違点Aの構成を備えることに加えて、周知技術Bの構成を備えるようにすることは、当業者にとっては、適宜選択すべき設計事項にすぎない。そして、その際、異常を報知するためには、他の報知と異なるものとすべきことは、当然のことであり、より具体的にみても、前記第2の2(2)オ(イ)において認定したように、「装置が正常な動作として停止した場合と異常により停止した場合を操作者が区別できるように、光や音で報知すること」(「自明の技術事項C」)は、当業者にとって、自明の技術事項であり、当然の配慮事項である。本件補正発明の構成及び効果は、このような当業者が当然の配慮を行ったことの結果及びその結果により奏される自明の効果にすぎず、格別のものとは認めることができない。
したがって、請求人の主張は、採用することができず、前記(ウ)の結論を左右するものではない。

ク 独立特許要件についての判断のまとめ
前記キにおいて検討したとおり、本件補正発明は、引用発明、慣用技術A、周知技術B及び自明の技術事項Cに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。

3 補正の却下の決定の理由のむすび
以上検討のとおり、本件補正は、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するから、同法159条1項において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。
よって、補正の却下の決定の結論のとおり決定する。


第3 本件発明について
1 本件発明の認定
本件補正は、上記第2に示したとおり却下したから、本願の請求項1に係る発明(以下「本件発明」という。)は、前記第2の1(1)の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものである。

2 原査定における拒絶の理由の概要
原査定における拒絶の理由のうち、本件発明に対する拒絶の理由は、本件発明は、次の本願の出願前に発行された引用文献1(前記第2の2(2)イ参照)に記載された発明と引用文献2〜5等に例示される本願の出願前の慣用技術A(前記第2の2(2)ウ参照)に基づいて、本願の出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により、特許を受けることができない、というものである。

3 引用文献に記載された発明等
引用文献1に記載された技術事項及び引用発明の認定は、前記第2の2(2)イにおいて示したとおりである。また、引用文献2〜5に記載された技術事項及び慣用技術Aの認定は、前記第2の2(2)ウにおいて示したとおりである。

4 対比・判断
(1)対比
ア 本件発明は、本件補正発明のうち、「前記計量部が前記第2計量を実施している際に前記報知部が光及び音の少なくとも一方を発する態様は、前記搬送部に異常が生じた際に前記報知部が光及び音の少なくとも一方を発する態様とは異なる」という限定(すなわち、「部分相違点B」である。前記第2の2(2)カ(イ)b参照)を省いたものである。

イ そうすると、本件発明と引用発明の相違点は、前記第2の2(2)カ(イ)bに示した相違点のうちの「部分相違点A」と同一である。

(2)判断
部分相違点Aについては、前記第2の2(2)キ(ア)において説示したとおり、引用発明と慣用技術Aから当業者が容易に想到し得たものである。そして、本件発明には、当業者の予測を超える、格別顕著な効果の存在を認めることはできない。したがって、本件発明は、引用発明及び慣用技術Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。


第4 むすび
以上検討のとおり、本件発明は、特許法29条2項の規定により、特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。

 
別掲 (行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。
 
審理終結日 2021-11-29 
結審通知日 2021-11-30 
審決日 2021-12-13 
出願番号 P2017-037318
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G01G)
P 1 8・ 575- Z (G01G)
最終処分 02   不成立
特許庁審判長 居島 一仁
特許庁審判官 岡田 吉美
濱本 禎広
発明の名称 計量装置  
代理人 黒木 義樹  
代理人 阿部 寛  
代理人 ▲高▼口 誠  
代理人 長谷川 芳樹  

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