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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 B23Q
管理番号 1382308
総通号数
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2022-03-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-06-22 
確定日 2022-02-15 
事件の表示 特願2017−148479「工具保持アーム及び工作機械」拒絶査定不服審判事件〔平成31年 2月21日出願公開、特開2019− 25606、請求項の数(5)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成29年7月31日を出願日とする出願であって、令和2年11月30日付けで拒絶理由通知がされ、令和3年2月4日に意見書が提出されるとともに手続補正がなされ、令和3年3月17日付けで拒絶査定(原査定)がされ、これに対し、令和3年6月22日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正がなされたものである。


第2 原査定の概要
原査定(令和3年3月17日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

本願請求項1−3、5−6に係る発明は、以下の引用文献1−2、4−5に記載された発明に基いて、請求項1−2、4−6に係る発明は、以下の引用文献1、3−5に記載された発明に基いて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
1.特開2005−271179号公報
2.実願昭60−193943号(実開昭62−100838号)のマイクロフィルム(周知技術を示す文献)
3.特開2001−194350号公報(周知技術を示す文献)
4.特開2004−158428号公報(周知技術を示す文献)
5.特開2016−217480号公報(周知技術を示す文献)


第3 本願発明
本願請求項1−5に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」−「本願発明5」という。)は、令和3年6月22日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1−5に記載された事項により特定される発明であり、以下のとおりの発明である。

「【請求項1】
アームと、
該アームの端部に枢軸を介して中途部が回転可能に連結した二つの回転棒と、
該二つの回転棒における一端部の間に配置してあり、各一端部を離間する方向に付勢する付勢部材と
を備え、
前記二つの回転棒の間において、前記回転棒の他端部における工具と接する部分よりも内側に前記枢軸の中心が配置してあり、
前記他端部の間に工具を保持し、
前記アームの端部に前記回転棒を支持する支持部が設けてあり、
前記支持部に形成した溝に前記回転棒を挿入してある
工具保持アーム。
【請求項2】
前記二つの回転棒の中途部はそれぞれ互いに向けて突出し、
前記枢軸は前記中途部の突出した部分に連結する
請求項1に記載の工具保持アーム。
【請求項3】
前記枢軸を複数備え、
前記二つの回転棒は夫々異なる前記枢軸に連結している
請求項1又は2に記載の工具保持アーム。
【請求項4】
前記付勢部材は単数である
請求項1から3のいずれか一つに記載の工具保持アーム。
【請求項5】
工具を装着する主軸と、
請求項1から4のいずれか一つに記載の工具保持アームと
を備える工作機械。」


第4 引用文献、引用発明等
1 引用文献1について
(1)原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は当審で付与した。以下同様。)。

「【0007】
このため、符号C1及びC2で示す部分においてフィンガー4及びホルダ把持部2の一方或いは双方が磨耗し、グリップアーム1の寿命低下、工作機械の工具交換動作の信頼性の低下を招くという問題があった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、工具ホルダを着脱する際に工具把持部材の各部で磨耗が生じることを極力防止した工作機械の工具交換装置を提供することである。」

「【0017】
次に、グリップアーム36の構成について図3及び図4を参照しながら説明する。
前記グリップアーム36のアーム本体41(把持部材本体に相当)は、その両端部のうちマガジンベース35側(内周側)の端部に孔部(図示せず)を有しており、その孔部に鋼球42が圧縮コイルばね(図示せず)と共に収容されている。前記鋼球42の一部はグアーム本体41の端面から突出しており、マガジンベース35の軸線a周りに設けられた案内面43に当接している。
【0018】
前記揺動軸36aは、アーム本体41の長手方向中央部よりもマガジンベース35側に寄せて設けられている。
前記アーム本体41のうち揺動軸36aよりも反マガジンベース35側(外周側)の部分は、その長手方向中央付近で折曲しており、前記折曲部44よりも先の部分がホルダ把持部45とされている。具体的には、アーム本体41のうち折曲部44よりも先の部分には二股状に構成されたホルダ受け部46が設けられている。ホルダ受け部46の内側面には円弧面状のホルダ支持面47が設けられている。前記ホルダ支持面47は工具ホルダ32を支持可能な形状及び寸法に設定されている。
【0019】
また、ホルダ受け部46の基部には一対の把持アーム48(アーム部材に相当)が回動軸49を介して支持されている。前記把持アーム48は、ホルダ受け部46のうち反主軸ヘッド25側の面に配置されており、その長手方向中央付近が回動中心となるように構成されている。前記把持アーム48のマガジンベース35側の端部は折曲部44付近に位置しており、その間には圧縮コイルばね50が介装されている。
【0020】
前記把持アーム48の反マガジンベース35側の端部は、ホルダ受け部48の先端よりも突出しており、その突出部分に把持ローラ51(ローラ部材に相当)が回転自在に支持されている。前記把持ローラ51の回転軸51aは、ホルダ把持部45に把持される工具ホルダ32の軸線と略平行になるように設定されている。また、前記把持ローラ51の厚み方向中心はホルダ受け部46の厚み方向中心と略一致するように設定されている。前記圧縮コイルばね50により、両把持アーム48は前記ローラ51近づく方向に付勢される。」

「【0026】
このように、本実施例では、アーム本体41に一対の把持アーム48を回動可能に設け、前記把持アーム48の先端部に工具ホルダ32の把持溝32aに係合する把持ローラ51を設けた。そして、ホルダ把持部45に工具ホルダ32が差し込まれるとき、或いは、ホルダ把持部45から工具ホルダ32が取り外されるときは、ばね50の付勢力に抗して前記把持アーム48が押し広げられて把持ローラ51が離間することにより当該ローラ51間を前記工具ホルダ32が通過するようにした。従って、従来の工具交換装置と異なり、工具ホルダ32の着脱時に把持ローラ51や把持アーム48等の部材が特定の部位に強く押し当てられることがないため、ホルダ把持部45に磨耗が生じることを抑えることができる。
【0027】
また、把持ローラ51の間を工具ホルダ32が通過するとき、前記ローラ51は把持溝32aに係合しつつ回転する。従って、工具ホルダの通過に伴いフィンガーが把持溝を修道していた従来の工具交換装置と異なり、把持ローラ51自身の磨耗も抑えることができる。
更に、本実施例では、把持アーム48間をばね50で連結し、前記ばね50により把持ローラ51の付勢力を得るように構成した。従って、グリップアームに付勢ばねを内蔵していた従来の工具交換装置に比べて、ばね50の設置スペースの制約がなく、ばね50の設計上の自由度が増す。このため、ばね50の大きさやばね定数を適宜の値に設定することにより、工具ホルダ32の十分な把持力を確保しつつ、工具交換動作性の優れたグリップアーム26の構成を実現できる。
また、前記ばね50は、グリップアーム26を横切るように設けられているため、前記把持アーム48による工具ホルダ32の十分な把持力を確保するために前記ばね50を大きくしても、グリップアーム26が大形化することがない。」


(2)上記(1)の記載(特に下線部の記載)より、引用文献1には次の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。

<引用発明1>
「アーム本体41と、
ホルダ把持部45に回動軸49を介して長手方向中央付近が回動中心となるように支持されている一対の把持アーム48と、
該一対の把持アーム48におけるマガジンベース35側の端部の間に介装されており、該一対の把持アーム48における反マガジンベース35側の端部同士が近づく方向に付勢する圧縮コイルばね50と
を備え、
前記一対の把持アーム48における反マガジンベース35側の端部の間に工具ホルダ32を保持し、
前記ホルダ把持部45に前記把持アーム48を支持するホルダ受け部46が設けてあり、
前記ホルダ受け部46のうち反主軸ヘッド25側の面に前記把持アーム48が配置されている
グリップアーム36。」


2 引用文献2について
(1)原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている。

「 上記各工具保持装置8は、第3図および第4図に拡大詳示するように、先端(マガジン6の半径方向外側端)に工具Tのクランプ溝t1に係合可能な係合鍔部14を有する一対の工具保持爪15,15を備えてなる。該両工具保持爪15,15は上記各工具Tをクランプ・アンクランプするよう、そのほぼ中間部にてそれぞれ上記マガジン6外周にその裏面側からマガジン6の旋回軸10と平行なピン16,16でもって揺動可能に支持されているとともに、夫々の後端部間に縮装したスプリング17により常時工具Tをクランプする方向に付勢されている。また、上記両工具保持爪15,15間のマガジン6裏面側には工具位置決め用キー部材18が3本の埋込みボルト19,19,19により固設され、そのキー部材18先端のキー部17aは工具Tのキー溝(図示せず)に位置決め係合可能に上記両工具保持爪15,15の係合鍔部14,14間に臨ませられている。
さらに、上記キー部材18の後端部には対向する一対のブラケット20,20が一体に突設され、該両ブラケット20,20には先端を両工具保持爪15,15間に挿入可能な保持爪ロック部材21が軸22を介して上記マガジン6に対しその前後方向へ揺動可能に支持されている。また、上記ロック部材21の後端部と上記キー部材18との間にはスプリング23が縮装されており、上記マガジン6の前進移動時にはスプリング23のバネ力により上記ロック部材21を第4図に仮想線で示す如く回動させ、これによりそのロック部材21先端を上記両工具保持爪15,15間に挿入して両工具保持爪15,15をクランプ状態につまりそのアンクランプ方向への揺動をロック規制するようになされている。」(第8ページ第5行−第9ページ第17行)


(2)上記引用文献2の記載(特に下線部の記載)及び第3図の記載より、引用文献2には次の技術的事項A及びBが記載されていると認められる。

<技術的事項A>
「マガジン6にピン16を介して中間部が揺動可能に支持されている一対の工具保持爪15と、
該一対の工具保持爪15における後端部間に縮装してあり、先端側の端部をクランプする方向に付勢されているスプリング17と
を備え、
前記先端側の端部の間に工具Tを保持する工具保持装置8において、
工具保持爪15のアンクランプ方向への揺動をロック規制することが可能な保持爪ロック部材21を設けること」

<技術的事項B>
「一対の工具保持爪15の間において、前記工具保持爪15の先端側の端部における工具Tと接する部分よりも内側にピン16の中心が配置してあること」


3 引用文献3について
(1)原査定の拒絶の理由に引用された引用文献3には、図面とともに次の事項が記載されている。

「【0046】ケーブル保持具全体の構造としては、図2(a)に示すように、弾性体8の復帰力によってプローブ部4と受け部材7とでケーブルを挟み込む構造が好ましい。これによって、送信手段、受信手段、温度センサを、ケーブルの被覆層表面に常に一定荷重で安定して接触させることができる。
【0047】弾性体は、荷重を容易に設定できる点では種々のバネが好ましいが、ゴムなどの弾性材料の塊状物であってもよい。弾性体の復帰力は、圧縮、引っ張り、捩じり、曲げなどのいずれの変位によるものであってもよい。また、弾性体の力を利用してケーブルを挟み込む機構に特に制限はない。図2(a)の態様では、2つのレバーL1、L2を支点部9でリンク状に結合し、圧縮コイルバネ8の力を作用させて、洗濯バサミの様にケーブルCを挟む構造となっている。」


(2)上記引用文献3の記載(特に下線部の記載)より、引用文献3には次の技術的事項C及びDが記載されていると認められる。

<技術的事項C>
「ケーブル保持具の構造が、
支点部9を介して中途部がリンク状に結合した2つのレバーL1、L2と、
該2つのレバーL1、L2における一端部の間に配置してあり、他端部を近づける方向に付勢する圧縮コイルバネ8と
を備え、
前記他端部の間にケーブルCを挟む構造となっていること」

<技術的事項D>
「2つのレバーL1、L2の間において、前記レバーL1、L2の他端部におけるケーブルCと接する部分よりも内側に支点部9の中心が配置してあること」


第5 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明1とを対比する。

ア 引用発明1における「アーム本体41」は、本願発明1における「アーム」に相当し、以下同様に、「ホルダ把持部45」は「アームの端部」に、「回動軸49」は「枢軸」に、「『長手方向中央付近』が回動中心となるように支持されている『一対の把持アーム48』」は「『中途部』が回転可能に連結した『二つの回転棒』」に、「該一対の把持アーム48における『マガジンベース35側の端部』の間に介装されており」は「該二つの回転棒における『一端部』の間に配置してあり」に、「圧縮コイルばね50」は「付勢部材」に、「一対の把持アーム48における『反マガジンベース35側の端部』」は「二つの回転棒における『他端部』」に、「工具ホルダ32」は「工具」に、「ホルダ受け部46」は「支持部」に、「グリップアーム36」は「工具保持アーム」に、それぞれ相当する。
また、引用発明1における「一対の把持アーム48」は、「長手方向中央付近が回動中心となるように支持」されていることから、一方の端部が近づく場合には他方の端部は離間し、一方の端部が離間する場合には他方の端部は近づく、という構造であると認められるものであり、引用発明1における「該一対の把持アーム48における『反マガジンベース35側の端部同士が近づく方向』に付勢する圧縮コイルばね50」は、「該一対の把持アーム48における『マガジンベース35側の端部同士が離間する方向』に付勢する圧縮コイルばね50」といえるものであり、本願発明1における「『各一端部を離間する方向』に付勢する付勢部材」に相当する。

イ したがって、本願発明1と引用発明1は以下の一致点及び相違点1−2を有する。

<一致点>
「アームと、
該アームの端部に枢軸を介して中途部が回転可能に連結した二つの回転棒と、
該二つの回転棒における一端部の間に配置してあり、各一端部を離間する方向に付勢する付勢部材と
を備え、
前記他端部の間に工具を保持し、
前記アームの端部に前記回転棒を支持する支持部が設けてある
工具保持アーム。」

<相違点1>
本願発明1は、「前記二つの回転棒の間において、前記回転棒の他端部における工具と接する部分よりも内側に前記枢軸の中心が配置」されているのに対し、
引用発明1は、そのような特定がされていない点。

<相違点2>
本願発明1は、「前記支持部に形成した溝に前記回転棒を挿入」してあるのに対し、
引用発明1は、「前記ホルダ受け部46のうち反主軸ヘッド25側の面に前記把持アーム48が配置」されている点。


(2)相違点についての判断
相違点1について検討する。

ア 引用文献2及び引用文献3には、上記相違点1に係る本願発明1と同様な「前記二つの回転棒の間において、前記回転棒の他端部における工具と接する部分よりも内側に前記枢軸の中心が配置」してあるという構成が記載されている(技術的事項B及び技術的事項D)。
しかしながら、引用文献2及び引用文献3には、上記技術的事項Bの構成又は技術的事項Dの構成を採用すること自体の目的、機能、効果等について明示がないことから、たとえ、引用文献2及び引用文献3に、上記相違点1に係る本願発明1と同様な構成が記載されているとしても、引用発明1に当該引用文献2に記載される技術的事項B又は引用文献3に記載される技術的事項Dを適用することの動機付けを見いだすことはできないものである。

イ また、本願発明1では、「工具挿入時に要する力を低減する」(段落【0005】)という課題を解決するために、上記相違点1に係る構成である「前記二つの回転棒の間において、前記回転棒の他端部における工具と接する部分よりも内側に前記枢軸の中心が配置」する構成を採用しているものであり、当該構成が果たす「回転棒の他端部よりも外側に枢軸を配置する場合に比べて、前記他端部に大きなモーメントが回転棒に作用する。」(段落【0007】)という機能によって、「工具挿入時に要する力を低減することができる。」(段落【0008】)という効果が発揮されるものといえる。
しかしながら、引用文献1には、本願発明1における上記課題については記載も示唆もされておらず、また、当該課題が当業者にとっては周知の課題であるとは認められず、また、引用発明1のようなグリップアームにおいて当然に内在する課題であるとも認められないものであり、したがって、上記「工具挿入時に要する力を低減する」という課題を認識していない引用発明1において、当該課題を解決するための構成である、引用文献2及び引用文献3に記載されている本願発明1と同様な「前記二つの回転棒の間において、前記回転棒の他端部における工具と接する部分よりも内側に前記枢軸の中心が配置」する構成を採用することは、当業者であっても容易に想到し得ないものである。

ウ 以上のことから、引用文献1−3には、いずれも、本願発明1における課題、当該課題を解決するための構成、当該構成が果たす機能及び効果について、記載も示唆もされていないものであり、引用文献2及び引用文献3において、単に上記相違点1に係る本願発明1と同様な構成があるというだけで、引用発明1に上記引用文献2及び引用文献3に記載される技術的事項をすぐさまに適用して本願同様に構成するとまではいえない。

エ 審判請求時の補正は請求項4の削除を目的とするものであり、また、請求項4の削除に伴い請求項5及び請求項6の引用関係を整理するものである。
そのため、本願発明1は、原査定時における請求項1に係る発明と同じ発明であり、上記相違点1に係る本願発明1の構成は、原査定時における請求項1に係る発明においても特定される構成である。
そして、原査定では、上記相違点1に係る本願発明1の構成に関する判断として、上記引用文献2に記載された技術的事項B及び引用文献3に記載された技術的事項Dを、「二つの回転棒の間において、前記回転棒の他端部よりも内側に枢軸が配置してあり、前記他端部の間に工具を保持する(工具)保持アーム」が周知技術であることの例示として用いるとともに、引用発明1を、当該周知技術の構成とすることに格別の困難性はないと判断しているものである。
しかしながら、上記相違点1に係る本願発明1の構成が、引用文献2及び引用文献3に記載されるような周知技術に係る構成であるとしても、上記ア−ウにおいて判断するように、引用発明1に当該周知技術に係る構成をすぐさまに適用して本願同様に構成するとまではいえないものである。
よって、上記相違点1に係る本願発明1の構成に関する判断について、原査定の判断を維持することはできない。

オ さらにいえば、支持部に形成した溝に回転棒を挿入してあるものは周知技術であることを示すために原査定で提示された文献である引用文献4−5においても、上記相違点1に係る本願発明1の構成について記載されておらず、引用発明1において、引用文献4−5に記載される技術的事項を参照したとしても、相違点1に係る本願発明1の構成を得ることは、当業者が容易になし得たこととはいえない。

カ したがって、引用発明1において、引用文献2ないし引用文献5に記載された技術的事項に基いて、本願発明1の相違点1に係る構成を得ることは、当業者が容易になし得たこととはいえない。
よって、相違点2について検討するまでもなく、本願発明1は、引用文献1−2、4−5に記載された発明又は引用文献1、3−5に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえず、原査定の理由を維持することはできない。


2 本願発明2−5について
本願発明1を直接的又は間接的に引用する本願発明2−5も、上記相違点1に係る構成を備えるものである。
したがって、本願発明1と同じ理由により、本願発明2−5は、引用文献1−2、4−5に記載された発明に基いて、又は、本願発明2、4−5は、引用文献1、3−5に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえず、原査定の理由を維持することはできない。


第6 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。

 
審決日 2022-01-27 
出願番号 P2017-148479
審決分類 P 1 8・ 121- WY (B23Q)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 河端 賢
特許庁審判官 貞光 大樹
大山 健
発明の名称 工具保持アーム及び工作機械  
代理人 河野 登夫  
代理人 河野 英仁  

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