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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H01L
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 取り消して特許、登録 H01L
管理番号 1382313
総通号数
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2022-03-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-07-12 
確定日 2022-03-09 
事件の表示 特願2017− 74991「加熱光源装置」拒絶査定不服審判事件〔平成30年11月15日出願公開、特開2018−181925、請求項の数(2)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成29年4月5日の出願であって、令和3年2月8日付けで拒絶理由通知がされ、同年3月3日付けで手続補正がされるとともに意見書が提出され、同年5月18日付けで拒絶査定(原査定)がされ、これに対し、同年7月12日に拒絶査定不服審判の請求がされたものである。

第2 原査定の概要
原査定(令和3年5月18日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

1.(新規性)本願請求項1、2に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の引用文献1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。

2.(進歩性)本願請求項1、2に係る発明は、下記の引用文献1に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
1.特開平8−45863号公報

第3 本願発明
本願請求項1、2に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」、「本願発明2」という。)は、令和3年3月3日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1、2に記載された事項により特定される発明であり、そのうちの本願発明1は以下のとおりの発明である。

「【請求項1】
環状の加熱ランプと、当該加熱ランプの背後に設けられた環状の反射鏡とで構成された光照射部が、同心円状に複数配置されてなる加熱光源装置において、
前記反射鏡は放物面鏡であり、当該反射鏡の焦点に前記加熱ランプの発光中心が配置されており、
前記光照射部の各々の前記反射鏡の光軸が、前記加熱光源装置の中心軸側に向けて傾斜されていることを特徴とする加熱光源装置。」

なお、本願発明2は、本願発明1を減縮した発明である。

第4 引用文献、引用発明等
1 引用文献1について
(1)原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は、合議体が付加した。以下同じ。)。

「【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、赤外線ランプを使用して半導体基板を熱処理する装置に係り、詳記すれば、被処理物への照射量を均一な温度になるようにして温度均一性を向上させることによって、熱処理精度を上げ、生産性を向上させた半導体基板の枚葉式熱処理装置に関するものである。」
「【0004】
【発明が解決しようとする課題】この発明は、このような従来の枚葉式ランプ加熱処理装置の問題点を一挙に解決し、昇温時及び照射時の面内温度均一性に抜群に優れた基板の熱処理装置を提供することを目的とする。」
「【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、本発明者は鋭意研究を重ねた結果、赤外線ランプを、基板の形状と略同じリング状に形成すると共に、該赤外線ランプを同心状で且つ外方にいくほど基板方向に傾斜するように配設することによって、昇温時及び照射時の面内温度均一性が著しく高まることを見いだし、本発明に到達した。
【0006】即ち、本発明は、半導体基板の形状と略同じリング状に形成した赤外線ランプを、同心状で且つ外方にいくほど基板方向に傾斜するように複数本配設したことを特徴とする。要するに本発明は、半導体基板の形状と略同じリング状に形成した赤外線ランプを、同心状で且つ外方にいくほど基板方向に傾斜するように複数本配設することによって、基板の中心部と外周部とで放熱度合が異なることによる基板温度の不均一性を解消したことを要旨とするものである。更に、基板の複数個所の温度を測定し、その測定結果に基づいて、赤外線ランプの出力を調整することによって、微細な温度の差を均一化することができるので、ほぼ完璧な面内温度の均一性を得ることができる。」
「【0007】
【実施例】次に、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の実施例を示す断面図であり、石英チャンバー15内にサセプター若しくは均熱板のような基板支持台12が内装され、該基板支持台12上に被処理基板11が載置され、基板11の上方と下方には、多数のリング状の赤外線ランプ(タングステンーハロゲンランプ、遠赤外線ランプ)13が円弧状に配置され、該赤外線ランプ13の裏面には、基板加熱の向上と温度均一性とを向上させるための反射板14が設けられている。
【0008】温度モニター用放射温度計16によって、被処理基板11の中央と周辺の温度を測定し、その信号を中継器19へ送ることによって、温度の信号を電圧若しくは電流の信号に変換し、図5に示すようにコントローラで均一温度との差異をチエックし、その結果の信号をSCRに送って、赤外線ランプ13の出力を基板が均一温度となるように制御するようになっている。上記実施例に於いては、赤外線ランプ13は、基板11の上方及び下方に配置されているが、図8に示すように下方だけであっても、或は図9に示すように上方だけであっても良い。
【0009】基板保持台12の裏面中央には、回転機構部18によって、回転自在に構成された回転軸17が連結されている。基板処理中は、基板保持台12を回転させることによって、基板11自体の温度を更に均一にすることができる。リング状に形成した赤外線ランプ13は、図1及び図3に示すように、同心円状に平行で且つ等間隔に配設され、外方にいくほど基板方向に傾斜し、縦断面で円弧状の線上に位置するように配設されている。
【0010】赤外線ランプ3は、図2、図3及び図4に示すように、基板ウエハーの形状と略同じ円形、四角形、三角形等の形状に構成されている。・・・」
「【0012】
【作用】本発明は、半導体基板の形状と略同じリング状に形成した赤外線ランプを、同心状で且つ外方にいくほど基板方向に傾斜するように複数本配設しているので、放熱度合が高い外周部ほどよりエネルギーを与えることができるから、基板温度が略均一となるように加熱することができ、温度むらが生じ難くなる。更に、基板の複数の場所の温度を測定し、赤外線ランプの出力を基板温度が均一となるように調整することによって、温度の微差迄均一化可能となるので、理想的な温度均一性を得ることができる。」

図1、2、8、9は、以下のとおりのものである。



(2)上記記載から、引用文献1には、次の技術的事項が記載されているものと認められる。

赤外ランプの裏面に設けられている反射板は、赤外ランプが、リング状に形成され、同心状に複数本配設されたものであるから、リング状の反射板であり、同心状に配置されていること(段落【0006】、【0007】、図1、2)。

(3)上記(1)、(2)から、上記引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「半導体基板の形状と略同じリング状に形成した赤外線ランプを、同心状で且つ外方にいくほど基板方向に傾斜し、縦断面で円弧状の線上に位置するように複数本配設することによって、基板の中心部と外周部とで放熱度合が異なることによる基板温度の不均一性を解消した、半導体基板の枚葉式熱処理装置であって、
該基板の上方と下方には、多数のリング状の赤外線ランプが円弧状に配置され、該赤外ランプの裏面には、基板加熱の向上と温度均一性とを向上させるための、リング状の反射板が同心状に配置されている半導体基板の枚葉式熱処理装置。」

第5 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。

ア 引用発明における「リング状に形成した赤外ランプ」、「反射板」、「半導体基板の枚葉式熱処理装置」は、それぞれ、本願発明1における「環状の加熱ランプ」、「反射鏡」、「加熱光源装置」に相当する。

イ 引用発明において、「反射板」は、「該赤外ランプの裏面」に、「リング状の反射板が同心状に配置されている」ものであるから、本願発明1における「当該加熱ランプの背後に設けられた環状の反射鏡」に相当するといえる。また、引用発明における、「リング状に形成した赤外ランプ」と、「リング状の反射板」とで構成された部分は、本願発明1の「光照射部」に相当するといえる。
したがって、本願発明1と引用発明とは、「環状の加熱ランプと、当該加熱ランプの背後に設けられた環状の反射鏡とで構成された光照射部が、同心円状に複数配置されてなる加熱光源装置」である点で一致する。

ウ したがって、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。

<一致点>
「環状の加熱ランプと、当該加熱ランプの背後に設けられた環状の反射鏡とで構成された光照射部が、同心円状に複数配置されてなる加熱光源。」
<相違点>
<相違点1>
「反射鏡」について、本願発明1では、「前記反射鏡は放物面鏡であり、当該反射鏡の焦点に前記加熱ランプの発光中心が配置されており」という構成を備えるのに対し、引用発明における「反射板」はそのような構成を備えていない点。
<相違点2>
本願発明1は、「前記光照射部の各々の前記反射鏡の光軸が、前記加熱光源装置の中心軸側に向けて傾斜されている」という構成を備えるのに対し、引用発明はそのような構成を備えていない点。

(2)相違点についての判断
ア 相違点1、2について
上記相違点1、2は、関連するものであるから、まとめて検討する。

(ア)引用文献1には、上記第4の1(1)のとおり、再掲すると以下の記載がある。
「【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、赤外線ランプを使用して半導体基板を熱処理する装置に係り、詳記すれば、被処理物への照射量を均一な温度になるようにして温度均一性を向上させることによって、熱処理精度を上げ、生産性を向上させた半導体基板の枚葉式熱処理装置に関するものである。」
「【0004】
【発明が解決しようとする課題】この発明は、・・・、昇温時及び照射時の面内温度均一性に抜群に優れた基板の熱処理装置を提供することを目的とする。」
「【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、本発明者は鋭意研究を重ねた結果、赤外線ランプを、基板の形状と略同じリング状に形成すると共に、該赤外線ランプを同心状で且つ外方にいくほど基板方向に傾斜するように配設することによって、昇温時及び照射時の面内温度均一性が著しく高まることを見いだし、本発明に到達した。」
「【0012】
【作用】本発明は、半導体基板の形状と略同じリング状に形成した赤外線ランプを、同心状で且つ外方にいくほど基板方向に傾斜するように複数本配設しているので、放熱度合が高い外周部ほどよりエネルギーを与えることができるから、基板温度が略均一となるように加熱することができ、温度むらが生じ難くなる。更に、基板の複数の場所の温度を測定し、赤外線ランプの出力を基板温度が均一となるように調整することによって、温度の微差迄均一化可能となるので、理想的な温度均一性を得ることができる。」

(イ)引用発明は、「半導体基板の形状と略同じリング状に形成した赤外線ランプを、同心状で且つ外方にいくほど基板方向に傾斜し、縦断面で円弧状の線上に位置するように複数本配設することによって、基板の中心部と外周部とで放熱度合が異なることによる基板温度の不均一性を解消した、半導体基板の枚葉式熱処理装置」であって、「該赤外ランプの裏面には、基板加熱の向上と温度均一性とを向上させるための、リング状の反射板が同心状に配置されている半導体基板の枚葉式熱処理装置」であり、また、上記(ア)の段落【0001】、【0004】、【0005】、【0012】に摘記のとおり、引用文献1には、被処理物(半導体基板)の面内温度均一性を向上させる旨が記載されている。
すなわち、引用文献1には、枚葉式熱処理装置に配置された赤外ランプについて、発光中心の位置や赤外光の光路について記載も示唆もされておらず、また、リング状の反射板についても、その形状、反射板の焦点と赤外ランプとの位置関係や、各々の反射板の光軸の向きについて記載も示唆もされていないことから、引用発明もそのような課題解決手段を有するとは認められない。

一方、相違点1に係る本願発明1の「前記反射鏡は放物面鏡であり、当該反射鏡の焦点に前記加熱ランプの発光中心が配置されており」という構成、及び相違点2に係る本願発明1の「前記光照射部の各々の前記反射鏡の光軸が、前記加熱光源装置の中心軸側に向けて傾斜されている」という構成は、引用発明の「基板温度の不均一性を解消した、半導体基板の枚葉式熱処理装置」における、「基板加熱の向上と温度均一性とを向上させるための、リング状の反射板」とは異なり、また、引用文献1に記載されたものでもない。そうすると、当業者といえども、引用発明から、相違点1、2に係る本願発明1の構成に容易に想到することはできない。

イ まとめ
したがって、本願発明1は、当業者であっても、引用発明に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。

2 本願発明2について
本願発明2も、本願発明1の「前記反射鏡は放物面鏡であり、当該反射鏡の焦点に前記加熱ランプの発光中心が配置されており、前記光照射部の各々の前記反射鏡の光軸が、前記加熱光源装置の中心軸側に向けて傾斜されている」と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。

第6 むすび
以上のとおり、本願発明1、2は、当業者が引用発明に基づいて容易に発明をすることができたものではない。したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2022-02-16 
出願番号 P2017-074991
審決分類 P 1 8・ 121- WY (H01L)
P 1 8・ 113- WY (H01L)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 辻本 泰隆
特許庁審判官 小川 将之
恩田 春香
発明の名称 加熱光源装置  
代理人 五十畑 勉男  
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