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審決分類 審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  C09J
審判 全部申し立て 2項進歩性  C09J
管理番号 1382345
総通号数
発行国 JP 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2022-03-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2020-05-27 
確定日 2021-11-10 
異議申立件数
訂正明細書 true 
事件の表示 特許第6609983号発明「粘着テープ基材用ポリエステルフィルムおよび粘着テープ」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6609983号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書、特許請求の範囲及び図面のとおり訂正後の請求項1、2、3について訂正することを認める。 特許第6609983号の請求項3に係る特許を取り消す。 同請求項1、2に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
本件特許に係る出願は、平成27年5月1日に特許出願され、令和元年11月8日に設定登録され(請求項の数3。)、同月27日に特許掲載公報が発行され、令和2年5月27日に特許異議申立人 秋山 満(以下「申立人」という。)により、請求項1〜3に係る特許に対して特許異議の申立てがされたものである。
その後の経緯は以下のとおりである。
令和2年10月 7日付 当審から取消理由通知
令和2年12月 7日 特許権者による意見書の提出及び訂正の請求(以下「本件訂正」という。)
令和3年 1月18日 申立人による意見書の提出
令和3年 4月14日付 当審から取消理由通知(決定の予告)(以下「本件通知」という。)
なお、本件通知に対して、特許権者から指定期間内に応答がなかった。

第2 本件訂正についての判断
1 訂正事項等
本件訂正は次の訂正事項1〜3からなるものである。当審が、訂正箇所に下線を付した。
(1)訂正事項1
訂正前の請求項1に、
「厚さが0.8〜3.0μmであり、平均表面粗さ(Ra)が0.03〜0.07μmであり、平均粒径の異なる2種類以上の微粒子を含有するポリエステルフィルムであって、
フィルムとフィルムの動摩擦係数(μd)が0.6以下であることを特徴とする粘着テープ基材用ポリエステルフィルム。」とあるのを、
「厚さが0.8〜3.0μmであり、平均表面粗さ(Ra)が0.03〜0.07μmであり、最大高さ(Rt)が1.4μm以下であり、平均粒径の異なる2種類以上の微粒子を含有するポリエステルフィルムであって、
フィルムとフィルムの動摩擦係数(μd)が0.6以下であることを特徴とする粘着テープ基材用ポリエステルフィルム。」と訂正する。
(2)訂正事項2
訂正前の請求項2に、
「請求項1に記載のフィルムの少なくとも一方のフィルム面に粘着剤層を有することを特徴とする粘着テープ。」とあるのを、
「厚さが0.8〜3.0μmであり、平均表面粗さ(Ra)が0.03〜0.07μmであり、最大高さ(Rt)が1.4μm以下であり、平均粒径の異なる2種類以上の微粒子を含有するポリエステルフィルムであって、
フィルムとフィルムの動摩擦係数(μd)が0.6以下であることを特徴とする粘着テープ基材用ポリエステルフィルムの少なくとも一方のフィルム面に粘着剤層を有することを特徴とする粘着テープ。」と訂正する。
(3)訂正事項3
訂正前の請求項3に、
「前記粘着剤層の厚さが0.5〜2.0μmの範囲であり、かつ、前記粘着テープの総厚さが6.0μm以下である、請求項2に記載の粘着テープ。」とあるのを、
「厚さが0.8〜3.0μmであり、平均表面粗さ(Ra)が0.03〜0.07μmであり、平均粒径の異なる2種類以上の微粒子を含有するポリエステルフィルムであって、
フィルムとフィルムの動摩擦係数(μd)が0.6以下であることを特徴とする粘着テープ基材用ポリエステルフィルムの少なくとも一方のフィルム面に粘着剤層を有し、
前記粘着剤層の厚さが0.5〜2.0μmの範囲であり、かつ、前記粘着テープの総厚さが6.0μm以下であることを特徴とする粘着テープ。」と訂正する。
(4)別の訂正単位とする求めについて
特許権者は、訂正後の請求項2及び請求項3について、当該請求項についての訂正が認められる場合には、一群の請求項の他の請求項とは別途訂正することを求めている。
2 訂正要件について
(1)訂正事項1について
ア 目的要件
訂正前の請求項1において、ポリエステルフィルムの最大高さ(Rt)が特定されないが、訂正事項1により「最大高さ(Rt)が1.4μm以下であり、」と特定されたものであるから、訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に記載する特許請求の範囲の減縮を目的するものといえる。
イ 実質上拡張・変更の有無
前記アのとおり、訂正事項1は特許請求の範囲を減縮するものであって、カテゴリーや対象、目的を変更するものでないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
したがって、訂正事項1は特許法第120条の5第9項で準用する同法126条第6項の規定に適合するものといえる。
新規事項の追加の有無
本件の願書に添付した明細書の段落【0020】には、「またフィルムの最大高さ(Rt)は1.4μm以下が好ましく」と記載され、同段落【0021】には、「フィルムの最大高さ(Rt)が1.4μmを超える場合も、フィルム表面の突起が粘着層を突き抜ける不具合が生じる」と記載されていることから、「最大高さ(Rt)が1.4μm以下」という発明特定事項を追加する訂正は、新規事項を追加する訂正ではない。
したがって、訂正事項1は、特許法第120条の5第9項で準用する同法126条第5項に適合するものである。
(2)訂正事項2について
ア 目的要件
(ア)訂正事項2のうち、「最大高さ(Rt)が1.4μm以下であり、」という発明特定事項を追加する訂正は、前記(1)アと同様に特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的するものといえる。
(イ)訂正事項2のうち、前記(ア)以外の訂正は、訂正前の請求項2が請求項1の記載を引用する記載であったものを、請求項間の引用関係を解消し、請求項1の記載を引用しないものとする訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に規定する「他の請求項を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものにすること」を目的とするものといえる。
イ 実質上拡張・変更の有無
(ア)訂正事項2のうち、「最大高さ(Rt)が1.4μm以下であり、」という発明特定事項を追加する訂正は、前記(1)イと同様に実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
(イ)訂正事項2のうち、前記(ア)以外の訂正は、訂正前の請求項2が請求項1の記載を引用する記載であったものを、請求項間の引用関係を解消し、請求項1の記載を引用しないものとする訂正であるから、実体に影響のない訂正であって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
(ウ)前記(ア)、(イ)から、訂正事項1は特許法第120条の5第9項で準用する同法126条第6項の規定に適合するものといえる。
新規事項の追加の有無
(ア)訂正事項2のうち、「最大高さ(Rt)が1.4μm以下であり、」という発明特定事項を追加する訂正は、前記(1)ウと同様に新規事項を追加する訂正ではない。
(イ)訂正事項2のうち、前記(ア)以外の訂正は、訂正前の請求項2が請求項1の記載を引用する記載であったものを、請求項間の引用関係を解消し、請求項1の記載を引用しないものとする訂正であるから、実体に影響のない訂正であって、新規事項を追加する訂正ではない。
(ウ)前記(ア)、(イ)から、訂正事項2は特許法第120条の5第9項で準用する同法126条第5項の規定に適合するものといえる。
(3)訂正事項3について
ア 目的要件
訂正前の請求項3は、請求項1を引用する請求項2を更に引用するものであったところ、訂正事項3は、訂正後の請求項3を、請求項1、2の両方を引用しないものとするものであって、特許法第120条の5ただし書第4号に規定する「他の請求項を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものにすること」を目的とするものといえる。
イ 実質上拡張・変更の有無及び新規事項の追加の有無
前記アのとおり、訂正事項3は、訂正前の請求項3が請求項1、2の記載を引用する記載であったものを、請求項間の引用関係を解消し、請求項1、2の記載を引用しないものとする訂正であるから、実体に影響のない訂正であって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでなく、また、新規事項を追加する訂正ではない。
したがって、訂正事項3は、特許法第120条の5第9項で準用する同法126条第5項及び第6項の規定に適合するものといえる。
4 一群の請求項について
訂正前の請求項2は、請求項1を直接引用するものであり、訂正前の請求項3は請求項1を間接的に引用するものであるから、訂正前の請求項1〜3は特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項といえる。そして、本件訂正は、一群の請求項ごとになされたものである。
5 小括
(1)本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第4号を目的とするものであって、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項、第6項に適合するものである。
(2)前記4の求めは認められるから、本件訂正による訂正後の請求項1、2、3について訂正することを認める。

第3 本件発明
前記第2のとおり本件訂正は認められるから、本件発明は以下のとおりの発明(以下、請求項の番号にしたがって、「本件発明1」〜「本件発明3」という。)である。
「【請求項1】
厚さが0.8〜3.0μmであり、平均表面粗さ(Ra)が0.03〜0.07μmであり、最大高さ(Rt)が1.4μm以下であり、平均粒径の異なる2種類以上の微粒子を含有するポリエステルフィルムであって、
フィルムとフィルムの動摩擦係数(μd)が0.6以下であることを特徴とする粘着テープ基材用ポリエステルフィルム。
【請求項2】
厚さが0.8〜3.0μmであり、平均表面粗さ(Ra)が0.03〜0.07μmであり、最大高さ(Rt)が1.4μm以下であり、平均粒径の異なる2種類以上の微粒子を含有するポリエステルフィルムであって、
フィルムとフィルムの動摩擦係数(μd)が0.6以下であることを特徴とする粘着テープ基材用ポリエステルフィルムの少なくとも一方のフィルム面に粘着剤層を有することを特徴とする粘着テープ。
【請求項3】
厚さが0.8〜3.0μmであり、平均表面粗さ(Ra)が0.03〜0.07μmであり、平均粒径の異なる2種類以上の微粒子を含有するポリエステルフィルムであって、
フィルムとフィルムの動摩擦係数(μd)が0.6以下であることを特徴とする粘着テープ基材用ポリエステルフィルムの少なくとも一方のフィルム面に粘着剤層を有し、
前記粘着剤層の厚さが0.5〜2.0μmの範囲であり、かつ、前記粘着テープの総厚さが6.0μm以下であることを特徴とする粘着テープ。」

第4 本件通知の取消理由について
1 証拠の一覧
申立人の提示した証拠は以下のとおりである(以下甲第1号証を「甲1」などという)。
甲1:特開2013−14723号公報
甲2:特開2013−72074号公報
甲3:特開2006−169466号公報
甲4:特表2016−522102号公報
なお、甲4の発行日は本件特許出願後であるが、甲5の翻訳文として採用する。
甲5:国際公開2014/169074号(平成26年10月16日発行)
甲6:特開2013−199576号公報
甲7:特開2012−224730号公報
甲8:特開2003−136644号公報
甲9:特開平9−67550号公報
2 取消理由の概要
(1)取消理由1
本件発明3は、甲1に記載された発明及び本件出願前周知の技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができた発明であり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない発明であるから、本件発明3に係る特許は、特許法第113条第2号の規定により、取り消されるべきものである。
(2)取消理由2
本件発明3は、甲6に記載された発明並びに本件出願前周知の技術事項及び甲1に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができた発明であり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない発明であるから、本件発明3に係る特許は、特許法第113条第2号の規定により、取り消されるべきものである。
3 本件発明3
(1)本件発明3
本件発明3は、前記第3で示したとおりであるが、再掲する。
「【請求項3】
厚さが0.8〜3.0μmであり、平均表面粗さ(Ra)が0.03〜0.07μmであり、平均粒径の異なる2種類以上の微粒子を含有するポリエステルフィルムであって、
フィルムとフィルムの動摩擦係数(μd)が0.6以下であることを特徴とする粘着テープ基材用ポリエステルフィルムの少なくとも一方のフィルム面に粘着剤層を有し、
前記粘着剤層の厚さが0.5〜2.0μmの範囲であり、かつ、前記粘着テープの総厚さが6.0μm以下であることを特徴とする粘着テープ。」
(2)「粘着剤層の厚さ」について
本件明細書の段落【0040】には、「・・・剥離フィルムの剥離処理面に、前記塗工液を乾燥後の膜厚が0.5〜2.0μmになるように、・・・従来公知の塗工方法により塗工・・・乾燥後、基材ポリエステルフィルムを貼合して片面粘着フィルムを作成する。」と記載され、同段落【0041】に「前記塗工液を乾燥後の膜厚が0.5〜2.0μmになるように、前記と同様に塗工、乾燥後、前記の片面粘着フィルムの基材ポリエステルフィルム面と貼合することにより、本発明の両面粘着テープが得られる。」と記載されていることから、本件発明における「粘着剤層の厚さが0.5〜2.0μmの範囲」という特定は、片面あたりの厚さであると解される。
4 前記2の取消理由についての判断
(1)刊行物の記載事項
ア 甲1の記載事項
甲1には次の記載がある。
(ア)「【請求項1】
樹脂フィルムからなる支持体の両面に、粘着剤層を有する両面粘着テープであって、
総厚みが2〜10μmであり、前記支持体の厚みが1〜3μm、熱収縮率が3%以下、動摩擦係数が0.20〜0.28であることを特徴とする両面粘着テープ。
【請求項2】
前記支持体が、ポリエチレンテレフタレートフィルムからなる支持体である請求項1に記載の両面粘着テープ。
・・・
【請求項6】
前記粘着剤層の厚みが0.5μm〜4μmである請求項1〜5の何れかの項に記載の両面粘着テープ。」
(イ)「【技術分野】
【0001】
本発明は、両面粘着テープに関し、特に、携帯用電子機器の筐体や部品の接合部において好適に使用される薄型の両面粘着テープ又はシートに関する。
【背景技術】
【0002】
粘着テープは、作業性に優れ、接着信頼性の高い接合手段として、OA機器や家電製品等の各産業分野において部品固定用途等に使用されている。これらOA機器は各種の高機能化と並行して、小型化や薄型化が図られており、パソコンやデジタルビデオカメラ、さらには、電子手帳、携帯電話、PHS、スマートフォン、ゲーム機器、電子書籍等の携帯電子端末においては特に小型化や薄型化の要請が高い。このような携帯電子端末等においては、主要構成部品の薄型化と共に、これらの固定に用いられる粘着テープにおいても薄型化が要求されている。」
(ウ)「【0004】
これら粘着テープ又はシートは、その総厚を非常に薄くすることで、薄型化の要請の高い携帯端末機器のクリアランス適合性を図っている。しかし、このような薄型粘着テープは、製造時にシワが入りやすいため、支持体にかかる張力ができるだけ低くなるように調整する工程等を有する製造方法によりシワを抑制しており、生産性が著しく低いものであった。・・・
【0006】
本発明はこのような事情のもとで、携帯用電子機器の筐体や部品の接合部に用いられる薄型で、生産性・耐熱性に優れる両面粘着テープを提供することを目的としてなされたものである。」
(エ)「【0013】
本発明の両面粘着テープの総厚み(テープ厚み)としては、2μm〜10μmであれば特に制限されないが、好ましくは3μm〜7μm、さらに好ましくは3μm〜5μmである。ここで、両面粘着テープの総厚みとは、剥離ライナーを除いた貼り付けに際して使用される厚み、すなわち、一方の粘着剤層表面から他方の粘着剤層表面にかけての厚みをいう。」
(オ)「【0017】
(支持体)
支持体の厚みは1μm〜3μmである。好ましくは1.5μm〜2.5μmである。上記範囲の厚みとすることで、薄型でありながら、必要充分な耐熱性や接着性を発現させることができる。
【0018】
支持体の動摩擦係数は0.20〜0.28である。さらに好ましくは0.22〜0.26である。上記範囲にあることで、適度な滑り性が支持体にあり、薄膜であってもシワが入りにくく、粘着テープの生産性に優れる。支持体の動摩擦係数は下記方法で測定する。
【0019】
(支持体の動摩擦係数)
JISK7125に準じ、SUS鏡面とフィルム面の摩擦係数を測定する。図4のように裏打ち用片面粘着テープ「DIC製 PET50SER」21で裏打ちしたフィルム22を貼り、63mm×63mmのすべり片(重さ:1.96N)23と片面粘着テープ21が接するように固定する。次にそのすべり片に固定したフィルム22がSUS鏡面25と接するように置き、100mm/minですべり片23をロードセル26で引っ張り測定した。動摩擦係数は次式で算出する。
動摩擦係数[−]=動摩擦力[N]/1.96[N]」
(カ)「【0020】
本発明においては、上記動摩擦係数を有する支持体を適宜選択して使用すればよく、また、支持体の動摩擦係数は微量の無機粒子を添加する等の手法により制御することができる。このような無機粒子としては、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、酸化ケイ素、カオリン、酸化アルミニウム等の粒子を添加することが好ましい。
【0021】
粒子の平均粒径は特に限定されるものではないが、0.1μm〜3μmが好ましい。その中でも0.2μm〜2.5μmが好ましい。該範囲とすることで、動摩擦係数を上記範囲に調整しやすく、テープ製造時のシワの発生を好適に抑制しやすくなる。また、当該範囲とすることで支持体の凹凸が大きくなりすぎず、ラミネート時に粘着剤層を追従させやすく、高温環境下での熱収縮の抑制にも貢献しやすくなる。」
(キ)「【0042】
各粘着剤層の厚みとしては、特に制限されないが、0.5μm〜4μmが好ましく、さらに好ましくは1μm〜3μmである。上記範囲にあることで薄さと粘着物性を両立しやすい。特に0.5μm未満である場合は、接着力が著しく低下する。また、支持体の両面に形成された2つの粘着剤層の厚みは、同一であっても、異なっていてもよい。」
(ク)「【0048】
本発明の両面粘着テープは、支持体の片面に、剥離ライナー上に形成された粘着剤層を貼り合わせて、支持体上に第1の粘着剤層を形成する際に、支持体にかかる張力を実質0にしなくても通常の張力範囲で、支持体の厚みが非常に薄くても、シワ等を生じさせず、良好な状態で両面粘着テープを製造することができる。」
(ケ)「【0060】
(実施例1)
先ず、剥離フィルム(商品名「PET38×1K0」)に前記粘着剤Aを乾燥厚みが1.5μmとなるようロールコーターにて塗工し、100℃で1分乾燥し、これを支持体であるポリエステルフィルム(商品名「K100−2.0W」三菱化学ポリエステル社製;厚さ:2μm、動摩擦係数:0.26、熱収縮率:1.4%)に貼り合せる。この時の支持体の繰り出し張力は50N/mであり、剥離フィルムの貼り合せ張力は300N/mであった。次に、剥離フィルム(商品名)「PET25×1A3」に前記粘着剤Aを乾燥厚みが1.5μmとなるようロールコーターにて塗工し、100℃で1分乾燥し、前記支持体の粘着されていない面に貼り合せ、両面粘着テープ(厚み:5μm)を得た。
・・・
【0062】
(実施例3)
粘着剤Aの乾燥厚みを1.5μの代わりに0.5μmにした以外は実施例1と同様にして、両面粘着テープ(厚み:3μm)を得た。」
(コ)「【0081】
【表1】


イ 甲2の記載事項
甲2には次の記載がある。
(ア)「【請求項1】
樹脂フィルム層と着色層とを有する着色基材の少なくとも一面に粘着剤層が設けられた着色粘着テープであって、
前記樹脂フィルム層の厚みが2〜5μm、動摩擦係数が0.1〜0.4であり、
テープの総厚みが15μm以下であることを特徴とする着色粘着テープ。
【請求項2】
前記樹脂フィルム層が、ポリエステルフィルム層である請求項1記載の着色粘着テープ。
・・・
【請求項5】
前記着色層が着色インキからなり、着色層表面の表面粗さRaが0.05〜0.4μmである請求項1〜4のいずれかに記載の着色粘着テープ。
【請求項6】
前記着色インキ中に平均粒径(コールター法)1.0〜3.0μmの粒子系ブロッキング防止剤を含有する請求項1〜5のいずれかに記載の着色粘着テープ。」
(イ)「【0004】
着色した薄型の粘着テープとしては例えば、厚み1μm以上10μm未満である透明プラスチック基材を含んで構成される両面粘着テープであって、テープの総厚みが30μm未満、透過率が0.3%以下、且つ、少なくとも一方の表面の反射率が55%以上である反射及び遮光機能を有する両面粘着テープが開示されている(特許文献1)。またテープ基材の少なくとも一面に粘着剤層が積層一体化されてなり、上記テープ基材は、厚みが10μm以下の基材フィルムの一面に、ゴム化合物を含有する中間層を介して遮光層が積層一体化されていることを特徴とする表示装置組み立て用粘着テープが開示されている(特許文献2)。
【0005】
これら粘着テープは、その総厚さを非常に薄くすることで、薄型化の要請の高い携帯端末機器のクリアランス適合性を図っているが、テープの厚みは20μm〜54μmと、未だ厚いものであった。
【0006】
また、このような着色した薄型の粘着テープは、薄い樹脂フィルムへの着色の工程で、フィルムへシワが入りやすいため、生産性が著しく悪いものであった。
・・・
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明はこのような事情のもとで、極薄型でも良好な隠蔽性や接着性を有し、生産性に優れた着色粘着テープを提供することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは上記の目的を達成するために鋭意検討した結果、特定の厚みと特定の動摩擦係数である樹脂フィルムを使用することで、本発明の目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明は樹脂フィルム層と着色層とを有する着色基材の少なくとも一面に粘着剤層が設けられた着色粘着テープであって、前記樹脂フィルム層の厚みが2〜5μm、動摩擦係数が0.1〜0.4であり、テープの総厚みが15μm以下であることを特徴とする着色粘着テープを提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の着色粘着テープは、総厚みが15μm以下の極薄型の構成でありながら、良好な隠蔽性、接着性を有し、生産性に優れた着色粘着テープである。そのため、本発明の着色粘着テープは、小型化や薄型化の要請、環境対応性の要請が高い携帯電子機器の部品固定用途や、携帯電子機器の薄型部品の保護用途に好適に適用でき、特に、テープの薄型化の要請の高い放熱シートの保護用途や磁性シートの保護用途に好適に適用できる。」
(ウ)「【0015】
(樹脂フィルム層)
着色基材の樹脂フィルム層は、厚さが2〜5μmであり、動摩擦係数が0.1〜0.4である。当該厚さと動摩擦係数を範囲とすることで、テープの総厚を15μmとした際にも、良好な生産性や隠蔽性や接着性を得ることができる。動摩擦係数はJIS K7125に準じて、図4で測定される値である。具体的には、図4のように裏打ち用片面粘着テープ「DIC製 PET50SER」12で、本発明に使用する樹脂フィルム11を裏打ちし、11mm×11mmのすべり片(重さ:0.98N)13と片面粘着テープ12が接するように設置した。また、本発明に使用する樹脂フィルム11を裏打ち用片面粘着テープ12で裏打ちして、台座14上に設置した。すべり片に固定した樹脂フィルム11と台座に固定した樹脂フィルム11とが接するように置き、100mm/minですべり片13をロードセル16で引っ張り測定した。動摩擦係数は次式で算出した。
動摩擦係数[−]=動摩擦力[N]/0.98[N]
ここで、裏打ち用片面粘着テープはフィルムが薄いため、データーの再現性を高めるために使用した。
【0016】
樹脂フィルム層の厚さは薄型化できるため、2〜4μmが好ましい。さらに好ましくは2〜3μmである。また樹脂フィルムの動摩擦係数は生産性の点から0.2〜0.35がであることが好ましく、さらに好ましくは0.2〜0.3である。なお、静摩擦係数は0.1〜0.4であることが好ましい。」
(エ)「【0020】
(滑材)
上記動摩擦係数を実現するため、樹脂フィルム中には滑材を配合することが好ましい。滑材としては粒子状のものや、非粒子状のものが用いられる。粒子状のものとしては、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、硫酸ケイ素、酸化アルミニウム等の微粒子が用いられる。非粒子状のものとしては、脂肪酸アミド、アルキレンビス脂肪酸アミド系が用いられる。その中でも平均粒径3.0μm〜7.0μmの粒子径滑材を用いることがインキや粘着剤への影響が少なく、滑り性を発現できるため好ましい。より好ましくは平均粒径3.0μm〜7.0μmのシリカが好ましい。そのなかでも、特にコロイダルシリカが好ましい。滑材の含有量としては樹脂フィルム中に0.01〜10質量%であることが好ましく、さらに好ましくは0.02〜1質量%である。なお、平均粒径は任意の各種測定法により測定すれば良いが、上記数値は、顕微鏡写真から50〜200の粒子、好ましくは100の粒子の最大粒径を測定した平均値により求められる平均粒径である。」
(オ)「【0025】
(着色層)
本発明の着色粘着テープにおける着色層は、特に限定されるものではないが、着色インキからなる層であることが好ましい。インキ層としてはガラス転移温度(Tg)が−30〜10℃のポリエステルウレタン系樹脂を主たるバインダー成分とするポリエステルウレタン系インキからなる層であることが好ましい。ポリエステルウレタン系インキはポリエステル系やアクリル系インキに比べ、薄いフィルムであってもカールが発生しにくく、また顔料を高濃度に分散できる。
【0026】
着色層の表面粗さRaは0.05μm〜0.4μmであることが好ましい。さらに好ましくは0.1μm〜0.3μmであり、最も好ましくは0.2μm〜0.3μmである。Raを0.05μm以上とすることで着色工程での生産性が向上し、また0.4μm以下とすることで着色層表面への粘着剤の追従性が向上しやすくなる。尚、RaはJIS B0601に従い、測定される。
【0027】
上記範囲のRaを実現するため、シリカ、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、タルク、ウレタンビーズ、アクリルビーズ、シリコーンビーズ等の粒子系ブロッキング防止剤を添加することが好ましい。粒子径ブロッキング防止剤の平均粒径としては、コールター法で1.0μm〜3.0μmであるものが好ましい。そのなかでも平均粒径1.0μm〜3.0μmのシリカが好ましく、さらに好ましくは平均粒径1.5μm〜2.0μmのシリカが好ましい。」
(カ)「【0049】
[粘着剤層]
本発明の着色粘着テープの粘着剤層の厚みは、特に限定されるものではないが、0.5μm〜5μmであることが好ましい。さらに好ましくは1μm〜3μmである。上記範囲にあることで極薄型の構成とした際にも良好な接着物性を実現できる。特に0.5μm未満である場合は、接着力が著しく低下すしやすい。」
(キ)【0078】
「[基材の作成]
(黒インキコートフィルムA)
三菱樹脂製ポリエステルフィルムK100−2.0W(厚み:2.0μm、動摩擦係数:0.36)に黒インキAを乾燥厚み1.5μmとなるよう図5のグラビアコーターでグラビアコートし、1000mm幅×1000m長さのロール巻き取り、40℃で1日エージングして黒インキコートフィルムAを得た。インキ面の表面粗さRaは0.15μmだった。
・・・
【0087】
(実施例1)
先ず、剥離フィルム(商品名「PET38×1K0」)に前記粘着剤Aを乾燥厚みが4.0μmとなるようロールコーターにて塗工し、100℃で1分乾燥し、これを基材である黒インキコートフィルムAのインキ面に貼り合せ、さらに40℃で2日エージングした。」
(ク)「【0098】
(樹脂フィルムの動摩擦係数)
JISK7125に準じ、フィルム面とフィルム面の摩擦係数を測定した。図6のように裏打ち用片面粘着テープ「DIC製 PET50SER」21で裏打ちしたフィルム22を貼り、11mm×11mmのすべり片(重さ:0.98N)23と片面粘着テープ21が接するように固定した。次にそのすべり片に固定したフィルム22がフィルム面25と接するように置き、100mm/minですべり片23をロードセル26で引っ張り測定した。動摩擦係数は次式で算出した。
動摩擦係数[−]=動摩擦力[N]/0.98[N]」
(ケ)「【0106】
(生産性)
図5のグラビアコーターを用いて黒インキコートフィルムを60m/minで製造したとき、シワの入り具合で評価した。
◎:シワが全く入らない。(0箇所/1000m)
○:シワが殆ど入らない。(1〜10箇所/1000m)
×:シワが入り、巻き取れない。(11箇所以上/1000m)
【0107】


ウ 甲3の記載事項
甲3には次の記載がある。
(ア)「【請求項1】
有機粒子と、当該有機粒子よりも大きな平均粒径の粒子とを含有するポリエステル層を有する厚さ6μm以下のフィルムであり、フィルム表面の算術平均粗さ(Ra)が両面ともに0.031〜0.045μmであり、フィルム間の動摩擦係数が0.25〜0.70であることを特徴とするポリエステルフィルム。」
(イ)「【0003】
各種用途で用いられるポリエステルフィルムに対しては、当該用途における要求にからんで表面の平滑性が求められる方向にあり、とりわけ、昇華型感熱転写方式の用途に代表さるように、リボン状フィルムから受像紙へ染料を転写することにより、高品質の画像を実現することが求められている。
【0004】
加えて、従来の銀塩写真に匹敵する長期間の画質維持(例えば、「耐候性」「耐光性」)を付与するため、転写後の画像の上に保護層を設けることがなされている。この保護層は、リボン状フィルム上に各色の染料層と並置して保護層が設けられ、基材の裏面より加熱することにより、保護層を画像側に転写させる方式が一般的である。
【0005】
しかしながら、この保護層を転写するためのリボンの基材が粗面化されていると、基材と転写前の保護層を積層する際に界面での保護層が粗面化してしまい、この面が転写後の保護層の表面となり、凹凸が、光の乱反射を招き、光沢度が低下してしまい、画質を損なってしまう。光沢度を高めるために基材の表面を平滑化することが容易に思いつくものの、薄膜化したフィルムにおいては、表面を平滑化することでフィルム間の(フィルム同士の)滑り性が低下し、工程のハンドリング上、巻き特性が極端に落ち、工業生産上、不適当である。」
(ウ)「【0012】
本発明のポリエステルフィルムは、その厚みが、6μm以下である。最終製品としての容量の点から5μm以下が好ましく、また、フィルム製造時の巻き歩留まりの点から3μm以上が好ましい。
【0013】
本発明のポリエステルフィルムは、平滑性を向上させるため、フィルム表面の算術平均粗さ(Ra)が0.031〜0.045μmである必要があり、好ましくは0.033〜0.038μmである。なお、算術平均粗さ(Ra)については、後述する。算術平均粗さ(Ra)が0.045μmを超える場合は、保護層転写後の画像の光沢度が劣り、不適当である。また、算術平均粗さ(Ra)が0.031μm未満では、基材ベースの巻き特性が悪化し、不適である。」
(エ)「【0014】
本発明の特徴の一つは、巻き特性を向上させる目的で、ポリステルに含有させる粒子に特定の組成を設けることにある。すなわち、有機粒子と、これよりも平均粒径が大きい粒子とを含有するポリエステル層を有することが本発明の重要な構成要件の一つである。なお、平均粒径(d50)については、それぞれについて、後述する。
【0015】
本発明で言う有機粒子としては、例として架橋高分子粒子、シュウ酸カルシウム等を挙げることができる。これら有機粒子は、少量の添加でフィルムの動摩擦係数を飛躍的に低減することが可能であり、これにより、フィルムのハンドリング性が大幅に向上する。
【0016】
単一の粒子のみを含有する場合は、粒子種に依らず、フィルムの粗度と滑り特性(ハンドリング性)を同時に満足することはできず、不適当である。すなわち、粒子種に依らず、単一の粒子のみの場合は、少量では、十分な滑り特性が得られず、反対に、多量では、平滑性が得られない。
【0017】
本発明においては、滑り特性に大きく寄与する粒子種として有機粒子を選択し、かつ、これより平均粒径の大きい粒子を併用することにより、表面の平滑性を維持しながら、フィルム間の滑り性をも満足させることが可能となったものである。
【0018】
本発明において、上述の粒子組成を採用し、かつ、他の生産条件を最適範囲に設定することにより、フィルム間(フィルム同士)の動摩擦係数を0.25〜0.70として、フィルムのハンドリング性を維持することができる。なお、フィルム間(フィルム同士)の動摩擦係数(μd)については、後述する。フィルム間の動摩擦係数が0.25未満の場合、滑りすぎることにより、ロール状に巻き取る際に巻きずれしやすく、フィルム間の動摩擦係数が0.70を超えると、ロール状に巻き取った際にフィルム間の空気が均一に抜けにくく、巻き姿が劣り、いずれも不適当である。より好ましいフィルム間の動摩擦係数は、0.30〜0.55である。」
(オ)「【0027】
なお、本発明の要旨を満足する範囲であれば、種々の最終用途に応じ、接触する層との接着性を付与するためにフィルム表面に塗布層を設けることができる。この接着性を付与するために、特に水性ポリエステル系ポリマーおよび水性アクリル系ポリマーからなる群から選ばれた少なくとも1種からなるポリマー(バインダーポリマー)が有用である。・・・」
(カ)「【0038】
(6)フィルム間(フィルム同士)の動摩擦係数(μd)
マスターロールの幅方向の中央部より、切り取った試験片について、23±5℃、50±10%RHにて調温調湿した後に測定を行った。長手方向をロールの長手方向、幅方向をロールの幅方向に一致させ、幅(=ロールの幅方向)15mmに切り出し、この試験片を2枚重ねて(ロール状の場合と同じく、一方の面と他方の面を接するようにし、長手方向を移動方向になるよう設置)、一方を平坦な金属板に固定し、他方を荷重計に接続、試験片の上に荷重(おもり)104gを載せ、20mm/分の速度で試験片を平行に移動させる。移動開始後15秒後と16秒後の間の荷重Fdを求め、その荷重よりフィルム間の動摩擦係数(μd)を算出する。測定回数(n)は10回とし、その平均値を採用する。
フィルム間(フィルム同士)の動摩擦係数(μd)=Fd/おもり荷重(上記式中、Fdの単位はg重、おもり荷重の単位はg重である)
【0039】
(7)巻き特性
実施例中に記載する方法で作製したマスターロールから500mm幅、35000m長のロール状に巻き取る際の良品率(巻きずれ、しわ等の欠陥なく巻くことができたロールの比率)について以下の基準で判定した。
◎:良品率が高く、経済性優秀
○:若干、良品率が下がるが、経済上、問題ないレベルであり、良好
×:良品率が低く、経済上、弊害なレベルであり、不良」
(キ)「【実施例1】
【0052】
ポリエステル(a)とポリエステル(b)とポリエステル(c)を混合し、平均粒径2.2μmのシリカ粒子 0.05%および平均粒径0.3μmの架橋高分子粒子 0.02%を含有する原料とした。この混合した原料を常法により乾燥して押出機に供給し、290℃で溶融してシート状に押出し、静電印加密着法を用いて冷却ロール上で急冷し、無定形シートとした。得られたシートを、ロール延伸法を用いて縦方向に90℃で2.75倍延伸した後、さらに75℃で1.65倍延伸した。その後、テンターに導いて、横方向に110℃で4.35倍延伸し、230℃で熱処理を行い、厚み4.5μmの二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。このマスターロールから500mm幅にトリミングしながら、内径6インチの巻き芯にトータル長35000m、250m/分の速度で、ロール状に巻き取り、ロール状フィルムとした。」
(ク)「【0061】
【表1】


(ケ)「【0062】
本発明のフィルムは、例えば、昇華型感熱転写方式、インクジェット方式に代表される各種の方式での平滑性を要求されるような用途、特に、前述したような転写型画像保護フィルムの基材用、ブラウン管保護用フィルムのような、光学特性を要求されるような用途等において、好適に利用することができる。」
エ 甲5(甲4)の記載事項
甲5の翻訳文である甲4には次の記載がある。
(ア)「【請求項1】
ポリエステルと、第一の潤滑剤粒子と、第二の潤滑剤粒子とを含む二軸配向基材層を含む、熱転写印刷のための基材複合フィルムであって、
前記基材複合フィルムは、
(1)最大高さSRmaとピーク数SPcとの比が、l≦SRma/SPc≦4.5であり、
(2)中心面平均粗さSraが15〜30nmであり、
(3)動摩擦係数が0.60未満であり、及び
(4)20度光沢及び60度光沢が160SGUより大きい
ことを満たす、基材複合フィルム。
・・・
【請求項3】
第一の潤滑剤粒子が、第二の潤滑剤粒子より3〜15倍大きい数平均粒子径を有する、請求項1に記載の基材複合フィルム。
【請求項4】
前記基材層が、0.05〜0.18質量%の第一の潤滑剤粒子、及び0.02〜0.15質量%の第二の潤滑剤粒子を含む、請求項3に記載の基材複合フィルム。
・・・
【請求項8】
前記基材層の表面上に接着剤層を更に含む、請求項1に記載の基材複合フィルム。」
(イ)「【0017】
図1において、基材複合フィルムを包含する色素転写フィルムを説明する。基材複合フィルムは、その表面上に、多数の小さな突起、及びいくつかの大きい突起を含む。これらの突起は、基材フィルムに選択した粒子を加えることによって意図的に生じさせてある。フィルム基材を、例えば、バーコード印刷又は写真画像印刷のための色素転写プロセスで使用する場合、インク層はこの表面上に堆積される。基材層及び接着剤層を含む基材複合フィルムは、中間製品として調製することができる。すなわち、インク層のない基材複合フィルムを巻き上げ、包装し、典型的には幅の広いロールとして、流通のために保存することができる。インク層は、後の工程で、基材複合フィルムに適用することができる。インクを適用した後、色素転写フィルムを裁断し、予め選択された幅及び長さに巻回して、ロールとして包装してもよい。色素転写フィルムのロールの好ましい最終用途は、双方向に操作され、自動化された写真印刷機である。」
(ウ)「【0022】
いくつかの実施形態において、表面上で測定される中心面平均粗さが約15〜約30nm、好ましくは20〜28nmとなるように、ポリエステルフィルムに表面テクスチャを付与することが望ましい。中心面平均粗さが15nmより小さいと、典型的には滑りが不十分になり、その結果、得られたフィルムを高速で屈曲する間に皺が寄るか、又は熱印字ヘッドを通過させる際に皺が寄るか、若しくは固着する傾向がある。中心面平均粗さが30nmより大きいと、十分な光沢を有する画像を得ることができない程度に、印刷の間、印刷画像の光沢が低減する。」
(エ)「【0025】
潤滑剤微粒子を使用して、所望の表面粗さを生じさせることができる。潤滑剤微粒子は、マイクロメートル又はサブミクロンのスケールで粗い表面テクスチャを生ずる効果的な態様で、基材層の中又は上に分散していてもよい。潤滑剤は、無機粒子又は有機粒子の形態であることができ、0.1〜5μm、好ましくは0.4〜1.8μmの粒子径を有することができる。粒子径は、スラリー中に懸濁した粒子のレーザー回折を使用して測定することができる。光電検出器によって光散乱の量を検出し、粒子径を算出する。更なる範囲は、好ましくは0.4μm〜1.8μmである。
【0026】
代表的な潤滑剤としては、二酸化ケイ素、炭酸カルシウム、アルミナ、カオリン、高架橋ポリスチレン、及び/又はシリコーン粒子である。単一の潤滑剤粒子を使用してもよく、2以上の異なる潤滑剤粒子を使用してもよい。好ましくは、2以上の異なる潤滑剤粒子を用いて、フィルムの表面上に異なるサイズの突起を生じさせる。
【0027】
粒子の量が多いと、主に取扱性、例えば屈曲性が改善する。一方、粒子の量が多いと、印刷の質、例えば光沢が悪化する。粒子の量が少ないと、印刷の質が改善する。しかしながら、粒子の量が少ないと、取扱性が悪化する。潤滑剤のサイズ及び潤滑剤の量の特定の組合せが、良好なプリント品質及び良好な取扱性の両方を提供することができることが分かった。好ましくは、潤滑剤は、基材層の0.05〜0.6質量%、より好ましくは、0.1〜0.3質量%の量で存在する。
【0028】
上記で定義した特別な表面のフィルムを得るには、好ましくは、2以上の異なる種類の潤滑剤を用いる。好ましくは、各々の潤滑剤は、異なる数平均粒子径を有する。より好ましくは、より大きい潤滑剤粒子は、より小さい潤滑剤粒子よりも3〜15倍大きい。更に、好ましくは、より大きい潤滑剤粒子は、基材層中に0.05〜0.18質量%の量で存在し、より小さい粒子は、基材層中に0.02〜0.15質量%の量で存在する。例えば、基材フィルムは、2.6μmの粒子を0.12質量%、及び0.8μmの粒子を0.07質量%含有して、上記で定義した表面を達成してもよい。いくつかの実施形態において、より大きい潤滑剤粒子は、より小さい潤滑剤粒子よりも3〜15倍大きいか、又はより小さい潤滑剤粒子よりも3〜8倍大きい。更に、いくつかの実施形態において、より大きい潤滑剤粒子は、基材層中に0.05〜0.18質量%の量で存在し、より小さい粒子は、基材層中に0.02〜0.15質量%の量で存在する。いくつかの実施形態において、より大きい潤滑剤粒子は、基材層中に0.06〜1.11質量%の量で存在し、より小さい粒子は、基材層中に0.02〜0.08質量%の量で存在する。」
(オ)「【0040】
(4)表面粗さ
ET−30HK三次元粗さ計測装置(株式会社小坂研究所)によって、SRa、SPc、SRmaの値を測定した。SRa及びSRmaは、標準JTS−B0601(1994)に基づいて測定した。SPcは、ピーク計数レベルを粗さ曲線の中央線から平行に0.01μmに設定することで測定した。区分値は0.25mm、測定長さは0.5mm、測定ピッチは5μm、触針に対する負荷は10mg、測定速度は100μm/s、測定数は80回であった。」
(カ)「【0042】
《例1》
平均径2.6μmの酸化ケイ素粒子[TORAY PLASTICS(AMERICA)社]0.12質量部、平均径0.8μmの高架橋ポリスチレン粒子[Toray Plastics (America)社]0.07質量部、及び固有粘度0.65のポリエチレンテレフタレート[Toray Plastics (America)社]100質量部の組成を有する混合物を押出機に供給し、280℃(536°F)で溶融混合した。融解したポリマーシートを、温度21℃(70°F)の回転冷却ドラム上にキャストして、非晶質未延伸フィルムを調製した。得られた非晶質未延伸フィルムを複数の加熱ロールに導入し、長手方向延伸プロセスにおいて121℃(250°F)で延伸率6.0倍に延伸し、次いで温度21℃(70°F)のローラーで冷却した。次に、表1に示す組成の接着剤コーティング溶液を、一軸配向したフィルムの一方の側に適用した。被覆したフィルムを、クリップでフィルムの両端位置を把持するテンターに導き、フィルムを100℃(212°F)の温度で乾燥及び予熱した。フィルムを、温度116℃(240°F)、延伸率4.0倍で、横方向に延伸した。その後、フィルムを230℃(446°F)で熱処理し、横方向の幅で4.0%弛緩させ、厚さ4.5μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。フィルムの屈曲性及び光沢を評価し、結果を表1に示した。
【0043】
《例2〜8、及び比較例1〜8》
粒子の組成、及びポリエステルフィルムの最終的な厚みを表1に示すように変更したことを除いては、例1の手順を繰り返した。これらの実施例において、平均径0.2μmの粒子は酸化ケイ素粒子であった。フィルムの屈曲性及び光沢を評価し、結果を表1に示した。
【0044】
比較例1〜3において、基材層の組成に微粒子は存在せず、比較例8の基材層の組成に大粒子は存在しなかった。行った例1〜8の全ては、本発明によれば、優れた屈曲性及び十分許容できる光沢が得られたことを実証した。」
(キ)「【0045】
・・・
【表1】


オ 甲6の記載事項
(ア)「【請求項1】
平均粒径が0.4〜2.0μmの粒子を0.1〜5.0重量%含有し、フィルム厚さが0.9〜4.2μmであり、フィルムの厚さ振れが0.40μm以下である二軸配向ポリエステルフィルムの両面に、厚さ1〜5μmの範囲の粘着剤層をそれぞれ有し、総厚さが9.5μm以下であることを特徴とする両面粘着テープ。」
(イ)「【0006】
ところが一般的にポリエステルフィルムの厚さが薄膜化されると、巻取り性を向上させるため、フィルム中に大きな粒子を含有させることが通常行われている。しかしながら、粒径が大きすぎると、粒子によるフィルム表面の突起が大きすぎて、突起周辺の厚さが大きくなったり、適正な粒径を使用しても他の条件によりフィルム全体の厚さ振れを大きくなったりすることから、接着部材に許容されるクリアランスを超えてしまい不具合が生じることがある。」
(ウ)「【0009】
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであり、その解決課題は、巻取り性や作業性を向上させるだけでなく、10μm以下という極めて薄いクリアランスを要求される接着部材として好適な両面粘着テープを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記の解決課題について、鋭意検討した結果、以下に記載のフィルムを開発するに至った。
【0011】
すなわち、本発明の要旨は、平均粒径が0.4〜2.0μmの粒子を0.1〜5.0重量%含有し、フィルム厚さが0.9〜4.2μmであり、フィルムの厚さ振れが0.40μm以下である二軸配向ポリエステルフィルムの両面に、厚さ1〜5μmの範囲の粘着剤層をそれぞれ有し、総厚さが9.5μm以下であることを特徴とする両面粘着テープに存する。
【発明の効果】
【0012】
本発明の両面粘着テープは、携帯電話、PDAなどの携帯端末機器、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラなどの電子・光学部品の部材固定用の粘着テープとして極めて薄いクリアランスにも好適に用いることができ、本発明の工業的価値は高い。」
(エ)「【0016】
本発明におけるポリエステルフィルムには、フィルム製膜時の巻き上げ工程や、粘着テープ作製時や使用時の作業性を向上させるため、表面を粗面化してフィルムに適度な滑り性が付与される。
【0017】
具体的には、フィルムの表面を適当に粗面化するために平均粒径が0.4〜2.0μm、好ましくは0.8〜1.5μmの無機または有機の微粒子を0.1〜5.0重量%、好ましくは0.1〜3.0重量%、さらに好ましくは0.2〜2.0重量%含有させる。
【0018】
かかる粒子の例としては炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、リン酸リチウム、リン酸マグネシウム、リン酸カルシウム、フッ化リチウム、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化チタン、カオリン等の無機粒子やアクリル樹脂、グアナミン樹脂や架橋高分子微粉体等の有機粒子を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。また、2成分以上を同時に用いてもよい。2成分以上用いる場合は、それらの全体の平均粒径および含有量が上記した範囲内にあることが必要である。
【0019】
平均粒径が0.4μm未満であったり、微粒子の含有量が0.1重量%未満であったりする場合は、フィルム表面の粗面化が不足し十分な巻取り作業性が得られない。また、平均粒径が2.0μmを超える場合、粒子による突起が大きすぎて、突起周辺の厚さが大きくなり、接着部材に許容されるクリアランスを超えてしまう不具合が生じる。含有量が5.0重量%を超える場合、フィルム表面が粗面化しすぎて、粘着剤を均一に塗布することが困難となる。
【0020】
本発明においては上記したような方法により表面を適度に粗面化したフィルムを得るが、作業性や加工性を考慮すると、フィルム表面の平均粗さ(Ra)は、通常0.03〜0.2μm、好ましくは0.04〜0.16μmの範囲となるように便宜、条件を選択する。本発明のフィルムは極めて薄いフィルムであるので、フィルムの長手方向と幅方向の破断強度を通常180MPa以上、好ましくは220MPa以上とすることにより、優れた強度を有する粘着テープを得ることができる。」
(オ)「【0031】
基材ポリエステルフィルムの両面の各粘着剤層の厚さとしては、それぞれ1〜5μmの範囲でかつ、両面粘着テープの総厚さとして9.5μm以下にする必要がある。粘着剤層のいずれかの厚さが1μm未満では、貼付適正の低下および粘着力の低下などの不具合が生じ、粘着剤層のいずれかの厚さが5μmを超えると、相対的に基材ポリエステルフィルムの厚さが減少し、加工適正の低下などの不具合が生じる。両面粘着テープの総厚さが9.5μmを超えると、薄膜両面テープを提供する本発明の目的が達せられない。
【0032】
なお、基材ポリエステルフィルムの両面に設けられる粘着剤層の厚さは前記範囲にあれば、それぞれ同じ厚さであってもよく、異なる厚さであってもよい。」
(カ)「【0053】
以下の実施例および比較例にて使うポリエステル原料は次の方法にて製造した。
<ポリエステルの製造>
テレフタル酸ジメチル100重量部、エチレングリコール60重量部を出発原料とし、触媒として、酢酸マグネシウム・四水塩0.09重量部を反応器に取り、反応開始温度を150℃とし、メタノールの留去とともに徐々に反応温度を上昇させ、3時間後230℃とした。4時間後、実質的にエステル交換反応を終了させた。この反応混合物にエチルアシッドフォスフェ−ト0.04部を添加した後、平均粒子1.1μmの球状有機架橋粒子0.5重量部および三酸化アンチモン0.03部を加えて、4時間重縮合反応を行った。
一方、圧力は常圧より徐々に減じ、最終的には0.3mmHgとした。反応開始後、反応槽の攪拌動力の変化により、極限粘度0.65に相当する時点で反応を停止し、窒素加圧下ポリマーを吐出させ、ポリエステル(A1)のチップを得た。この、ポリエステルの極限粘度は0.65であった。
【0054】
実施例1:
<基材フィルムの製造>
ポリエステル(A1)チップを、ベント付き二軸押出機により、290℃で溶融押出し、静電印加密着法を用いて表面温度を40℃に設定した冷却ロール上で冷却固化して未延伸シートを得た。次いで、83℃で縦方向に3.8倍延伸した後、テンターに導き、110℃で横方向に4.0倍延伸し、さらに225℃で熱処理を行い、厚さ2.0μmの基材フィルムを得た。この基材フィルムの特性を下記表1に示す。
【0055】
<粘着剤組成物(塗工液)の製造>
重量平均分子量80万のアクリル酸エステル系重合体(アクリル酸ブチル95重量%、アクリル酸2重量%およびメタクリル酸メチル3重量%)、濃度30重量%の酢酸エチル溶液100重量部に対し、粘着性付与剤[荒川化学工業社製、商品名「パインクリスタルKE−359」、ロジンエステル系、軟化点94〜104℃、酸価10〜20mgKOH/g]30重量部、およびイソシアネート系架橋剤[東洋インキ製造社製、商品名「BHS8515」、固形分濃度37.5%]1重量部を加えてトルエンで希釈し、固形分濃度20重量%の粘着剤組成物(塗工液)を製造した。
【0056】
<両面粘着テープの製造>
軽剥離型ポリエチレンテレフタレート(PET)剥離フィルム[三菱樹脂社製、商品名「ダイアホイルMRF38」、フィルム厚さ38μm]の剥離処理面に前記塗工液を、乾燥後の膜厚が3.5μmになるようにナイフコーターで塗布し、100℃で1分間乾燥後、前記の厚さ2.0μmのポリエステルフィルムを貼合して、片面粘着フィルムを得た。
次いで重剥離型PET剥離フィルム[三菱樹脂社製、商品名「ダイアホイルMRX38」、フィルム厚さ38μm]の剥離処理面に前記塗工液を、乾燥後の膜厚が3.5μmになるようにナイフコーターで塗布し、100℃で1分間乾燥後、前記の片面粘着フィルムのPET面と貼合して両面粘着テープを製造した。得られた両面粘着テープの軽剥離型PET剥離フィルムの剥離力は15mN/10mmであり、重剥離型PETフィルムの剥離力は30mN/10mmであった。この両面テープの特性を表1に示す。
【0057】
実施例2、3:
ポリエステル(A1)の製造において、球状有機架橋粒子の粒子径を1.8μmおよび0.5μmに変えた以外は、概製造法と同様の方法で極限粘度0.62のポリエステル(A2)および(A3)チップを得た。実施例1において、使用したポリエステル(A1)チップの代わりに、ポリエステル(A2)および(A3)チップを用いた以外は、実施例1と同様の方法で基材ポリエステルフィルムを得た。得られた基材フィルムを使用し実施例1と同様の方法で両面粘着テープを製造した。この基材フィルムおよび両面粘着テープの特性を表1に示す。
【0058】
実施例4、5:
ポリエステル(A1)の製造において、球状有機架橋粒子添加量を0.2重量%および3.0重量%に変えた以外は、概製造法と同様の方法で極限粘度0.62のポリエステル(A4)および(A5)チップを得た。実施例1において、使用したポリエステル(A1)チップの代わりに、ポリエステル(A4)および(A5)チップを用いた以外は、実施例1と同様の方法で基材ポリエステルフィルムを得た。得られた基材フィルムを使用し実施例1と同様の方法で両面粘着テープを製造した。この基材フィルムおよび両面粘着テープの特性を表1に示す。
【0059】
実施例6:
基材ポリエステルフィルムの製造において、フィルムの厚さを1.0μmとした以外は実施例1と同様の方法で基材ポリエステルフィルムを得た。両面粘着テープの製造において、塗工液の乾燥後の膜厚を4.0μmとし、この基材フィルムを使用した以外は実施例1と同様の方法で両面粘着テープを製造した。この基材フィルムおよび両面粘着テープの特性を表1に示す。
【0060】
実施例7:
基材ポリエステルフィルムの製造において、フィルムの厚さを4.0μmとした以外は実施例1と同様の方法で基材ポリエステルフィルムを得た。両面粘着テープの製造において、塗工液の乾燥後の膜厚を2.0μmとし、この基材ルフィルムを使用した以外は実施例1と同様の方法で両面粘着テープを製造した。この基材フィルムおよび両面粘着テープの特性を表1に示す。」
(キ)「【0067】
【表1】


カ 甲7の記載事項
甲7には次の記載がある。
(ア)「【請求項1】
平均粒径が0.4〜2.0μmの粒子を0.1〜5.0重量%含有し、フィルムヘーズ値が8〜25%である、厚さ0.9〜4.2μmの二軸配向ポリエステルフィルムの両面に、厚さ1〜5μmの粘着剤層を有し、総厚さが9.5μm以下であることを特徴とする両面粘着テープ。」
(イ)「【0005】
特に近年、部品間のクリアランスがさらに狭くなり、10μm以下という極めて薄いクリアランスに要求される10μm未満の粘着テープについては、十分な粘着力を発揮するためには4μm以下の極めて薄いポリエステルフィルムを基材として使用しなければならない。
【0006】
ところが一般的にポリエステルフィルムの厚さが薄膜化されると、巻取り性を向上させるため、フィルム中に大きな粒子を含有させることが通常行われている。しかしながら、粒径が大きすぎると、粒子によるフィルム表面の突起が大きすぎて、突起周辺の厚さが大きくなり、接着部材に許容されるクリアランスを超えてしまい不具合が生じることがある。
【0007】
また、検査の簡略化のため、部品を貼合した状態で光学欠点検査を実施することが多くなっており、粘着テープの基材ポリエステルフィルム透明性が検査速度ならびに検査精度に影響する問題が発生してきた。」
(ウ)「【0010】
本発明は、上記の従来の問題点を解決しようとするものであり、その解決課題は、巻取り性や作業性を向上させるだけでなく、10μm以下という極めて薄いクリアランスを要求される接着部材として好適な両面粘着テープを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、上記の解決課題に鑑み、鋭意検討した結果、特定の構成を有する粘着テープによれば、上記課題を容易に解決できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0012】
すなわち、本発明の要旨は、平均粒径が0.4〜2.0μmの粒子を0.1〜5.0重量%含有し、フィルムヘーズ値が8〜25%である、厚さ0.9〜4.2μmの二軸配向ポリエステルフィルムの両面に、厚さ1〜5μmの粘着剤層を有し、総厚さが9.5μm以下であることを特徴とする両面粘着テープに存する。」
(エ)「【0018】
具体的には、フィルムの表面を適当に粗面化するために平均粒径0.4〜2.0μm、好ましくは0.8〜1.5μmの無機または有機の微粒子を0.1〜5.0重量%、好ましくは0.1〜3.0重量%、さらに好ましくは0.2〜2.0重量%含有させる。
【0019】
かかる粒子の例としては炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、リン酸リチウム、リン酸マグネシウム、リン酸カルシウム、フッ化リチウム、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化チタン、カオリン等の無機粒子やアクリル樹脂、グアナミン樹脂や架橋高分子微粉体等の有機粒子を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。また、2成分以上を同時に用いてもよい。2成分以上用いる場合は、それらの全体の平均粒径および含有量が上記した範囲内にあることが必要である。
【0020】
平均粒径が0.4μm未満であったり、微粒子の含有量が0.1重量%未満であったりする場合は、フィルム表面の粗面化が不足し十分な巻取り作業性が得られない。また、平均粒径が2.0μmを超える場合、粒子による突起が大きすぎて、突起周辺の厚さが大きくなり、接着部材に許容されるクリアランスを超えてしまう不具合が生じる。含有量が5.0重量%を超える場合、フィルム表面が粗面化しすぎて、粘着剤を均一に塗布することが困難となる。
【0021】
本発明においては上記したような方法により表面を適度に粗面化したフィルムを得るが、作業性や加工性を考慮すると、フィルム表面の平均粗さ(Ra)が通常0.03〜0.2μm、好ましくは0.04〜0.16μmの範囲となるように便宜、条件を選択する。・・・」
(オ)「【0032】
基材ポリエステルフィルムの両面の各粘着剤層の厚さとしてはそれぞれ1〜5μmの範囲でかつ、両面粘着テープの総厚さとして9.5μm以下にする必要がある。粘着剤層の厚さが1μm未満では、貼付適正の低下および粘着力の低下などの不具合が生じ、粘着剤層の厚さが5μmを超えると、相対的に基材ポリエステルフィルムの厚さが減少し、加工適正の低下などの不具合が生じる。両面粘着テープの総厚さが9.5μmを超えると薄膜両面テープを提供する本発明の目的が達せられない。」
(カ)「【0056】
以下の実施例および比較例にて使うポリエステル原料は次の方法にて製造した。
<ポリエステルの製造>
テレフタル酸ジメチル100重量部、エチレングリコール60重量部を出発原料とし、触媒として、酢酸マグネシウム・四水塩0.09重量部を反応器に取り、反応開始温度を150℃とし、メタノールの留去とともに徐々に反応温度を上昇させ、3時間後230℃とした。4時間後、実質的にエステル交換反応を終了させた。この反応混合物にエチルアシッドフォスフェ−ト0.04部を添加した後、平均粒子1.1μmの球状有機架橋粒子0.5重量部および三酸化アンチモン0.03部を加えて、4時間重縮合反応を行った。一方、圧力は常圧より徐々に減じ、最終的には0.3mmHgとした。反応開始後、反応槽の攪拌動力の変化により、極限粘度0.65に相当する時点で反応を停止し、窒素加圧下ポリマーを吐出させ、ポリエステル(A1)のチップを得た。この、ポリエステルの極限粘度は0.65であった。」
(キ)「【0057】
実施例1:
<基材フィルムの製造>
ポリエステル(A1)チップを、ベント付き二軸押出機により、290℃で溶融押出し、静電印加密着法を用いて表面温度を40℃に設定した冷却ロール上で冷却固化して未延伸シートを得た。次いで、83℃で縦方向に3.8倍延伸した後、テンターに導き、110℃で横方向に4.0倍延伸し、さらに225℃で熱処理を行い、厚さ2.0μmの基材フィルムを得た。この基材フィルムの特性を下記表1に示す。
【0058】
<粘着剤組成物(塗工液)の製造>
重量平均分子量80万のアクリル酸エステル系重合体(アクリル酸ブチル95重量%、アクリル酸2重量%およびメタクリル酸メチル3重量%)、濃度30重量%の酢酸エチル溶液100重量部に対し、粘着性付与剤[荒川化学工業社製、商品名「パインクリスタルKE−359」、ロジンエステル系、軟化点94〜104℃、酸価10〜20mgKOH/g]30重量部、およびイソシアネート系架橋剤[東洋インキ製造社製、商品名「BHS8515」、固形分濃度37.5%]1重量部を加えてトルエンで希釈し、固形分濃度20重量%の粘着剤組成物(塗工液)を製造した。
【0059】
<両面粘着テープの製造>
軽剥離型ポリエチレンテレフタレート(PET)剥離フィルム[三菱樹脂社製、商品名「ダイアホイルMRF38」、フィルム厚さ38μm]の剥離処理面に前記塗工液を、乾燥後の膜厚が3.5μmになるようにナイフコーターで塗布し、100℃で1分間乾燥後、前記の厚さ2.0μmのポリエステルフィルムを貼合して、片面粘着フィルムを得た。
次いで重剥離型PET剥離フィルム[三菱樹脂社製、商品名「ダイアホイルMRX38」、フィルム厚さ38μm]の剥離処理面に前記塗工液を、乾燥後の膜厚が3.5μmになるようにナイフコーターで塗布し、100℃で1分間乾燥後、前記の片面粘着フィルムのPET面と貼合して両面粘着テープを製造した。得られた両面粘着テープの軽剥離型PET剥離フィルムの剥離力は15mN/10mmであり、重剥離型PETフィルムの剥離力は30mN/10mmであった。この両面テープの特性を表1に示す。」
(ク)「【0060】
実施例2、3:
ポリエステル(A1)の製造において、球状有機架橋粒子の粒子径を1.8μmおよび0.5μmに変えた以外は、概製造法と同様の方法で極限粘度0.62のポリエステル(A2)および(A3)チップを得た。実施例1において、使用したポリエステル(A1)チップの代わりに、ポリエステル(A2)および(A3)チップを用いた以外は、実施例1と同様の方法で基材ポリエステルフィルムを得た。得られた基材フィルムを使用し実施例1と同様の方法で両面粘着テープを製造した。この基材フィルムおよび両面粘着テープの特性を表1に示す。
【0061】
実施例4、5:
ポリエステル(A1)の製造において、球状有機架橋粒子添加量を0.2重量%および3.0重量%に変えた以外は、概製造法と同様の方法で極限粘度0.62のポリエステル(A4)および(A5)チップを得た。実施例1において、使用したポリエステル(A1)チップの代わりに、ポリエステル(A4)および(A5)チップを用いた以外は、実施例1と同様の方法で基材ポリエステルフィルムを得た。得られた基材フィルムを使用し実施例1と同様の方法で両面粘着テープを製造した。この基材フィルムおよび両面粘着テープの特性を表1に示す。
【0062】
実施例6:
基材ポリエステルフィルムの製造において、フィルムの厚さを1.0μmとした以外は実施例1と同様の方法で基材ポリエステルフィルムを得た。両面粘着テープの製造において、塗工液の乾燥後の膜厚を4.0μmとし、この基材フィルムを使用した以外は実施例
1と同様の方法で両面粘着テープを製造した。この基材フィルムおよび両面粘着テープの特性を表1に示す。
【0063】
実施例7:
基材ポリエステルフィルムの製造において、フィルムの厚さを4.0μmとした以外は実施例1と同様の方法で基材ポリエステルフィルムを得た。両面粘着テープの製造において、塗工液の乾燥後の膜厚を2.0μmとし、この基材ルフィルムを使用した以外は実施例1と同様の方法で両面粘着テープを製造した。この基材フィルムおよび両面粘着テープの特性を表1に示す。」
キ 甲8の記載事項
甲8には、次の記載がある。
「【0002】
【従来の技術】近年、熱溶融転写方式、昇華熱転写方式、インクジェット転写方式等をはじめとする各種プリント方式において、銀塩写真画質並みの印画物を得ることが求められている。中でも、昇華性あるいは熱拡散性染料(以下、昇華性染料)を使用した昇華熱転写方式は、他方式に比べて高解像度の印画物が得られるという特性を有するため、銀塩写真記録方式の代替の記録方式として期待されている。
【0003】ところで、昇華熱転写方式においては、印画紙の染料受容層に、インクリボンから昇華性染料が熱転写して染料画像が形成されるが、得られた染料画像は耐擦過性や耐光性が十分でないために、透明な画像保護フィルムを染料画像(被保護画像)上にラミネートすることが行われている。
【0004】ここで、透明な画像保護フィルムのラミネート方法については、種々の方法が知られており、例えば、熱ローラにより熱可塑性樹脂透明フィルムを染料画像面に熱圧着する方法や、常温で粘着剤を用いて透明フィルムを接着させる方法が広く行われている。また、基材上に透明な熱可塑性樹脂からなる画像保護層を積層した転写型画像保護フィルムを用意し、この転写型画像保護フィルムの画像保護層を被保護画像上に熱転写することにより被保護画像上に画像保護層(即ち、透明フィルム)を形成する方法も提案されている(特開昭60−204397号公報、特開昭59−85793号公報、特開昭59−76298号公報)。これらの場合、インクリボンの基材上に昇華染料層と転写型の画像保護層とを並列的に形成した態様も提案されている。このようなインクリボンによれば、熱転写ヘッドを使用したプリンタ内部で、画像形成に連続して画像保護層を被保護画像上にセルフラミネートすることが可能となる。
【0005】ところで、被保護画像に熱転写される画像保護層には、染料画像の耐薬品性、耐油脂性、耐溶剤性、耐擦過性を向上させることが求められているが、耐光性に関しては、種々の紫外線吸収剤を転写型の画像保護層に添加することで対応している。」
ク 甲9の記載事項
甲9には、次の記載がある。
「【請求項1】印刷面に貼着して印刷面を保護するシートであって、
該シートは、支持体、非粘着性樹脂層、接着層および剥離材がこの順序に積層されてなり、
該支持体が、ポリエチレンテレフタレート、トリアセテート、ポリエチレン、ポリプロピレンおよびこれらの樹脂を主成分とする複合樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも一種類の樹脂で形成されたフィルムであり、
該非粘着性樹脂層が、50℃以上のガラス転移温度(Tg)を有する重量平均分子量30万以上の(メタ)アクリレート系(共)重合体を主成分とする透明樹脂から形成されており、
該接着層が、−10℃以下のガラス転移温度(Tg)を有するアクリル系粘着剤を主成分とする粘着剤から形成されていることを特徴とする印刷面保護シート。」
(2)取消理由1(甲1発明を主引用例とする進歩性
ア 甲1発明の認定
前記(1)ア(ケ)に摘記した甲1の実施例3から次の発明(以下「甲1発明」という。)が認定できる。
「厚さ2.0μmであり、動摩擦係数が0.26であるポリエステルフィルムからなる支持体の両面にテープ厚み3.0μmになるように粘着剤が塗工された両面粘着テープ。」
イ 本件発明3との対比
(ア)甲1発明の支持体において、「ポリエステルフィルムからなる支持体」は、本件発明3における「粘着テープ基材用ポリエステルフィルム」に相当し、「厚さ2.0μm」、「動摩擦係数が0.26」は、本件発明1における「厚さが0.8〜3.0μm」、「動摩擦係数(μd)が0.6以下」を充足する。
(イ)甲1発明における「テープ厚み」は、本件発明3における「総厚さ」に相当するから、甲1発明における「テープ厚み3.0μm」は、「総厚さが6.0μm以下」を充足する。また、甲1発明において「粘着剤が塗工された」は、層を形成することは明らかであるから、本件発明3における「粘着剤層」に相当し、その厚みは、前記3(2)において検討したとおり本件発明3では「片面あたりの厚さである」と解され、甲1発明では前記4(1)ア(キ)に摘記した甲1の段落【0042】の「支持体の両面に形成された2つの粘着剤層の厚みは、同一であっても、異なっていてもよい」との記載から、片面あたりの厚さを計算すると、テープ厚み3.0μmから支持体厚み2.0μmを引いた1.0μmを2で割ると0.5μmとなり、少なくとも一方の粘着剤層の厚みは0.5μm以上1.0μm未満である。そうすると、甲1発明の粘着剤層の厚みは、本件発明3の「粘着剤層の厚さが0.5〜2.0μm」を充足する。
(ウ)一致点
甲1発明と、本件発明3とは次の点で一致し、下記相違点1−1、相違点1−2で相違する。
「厚さが0.8〜3.0μmである、ポリエステルフィルムであって、
動摩擦係数(μd)が0.6以下であることを特徴とする粘着テープ基材用ポリエステルフィルムの少なくとも一方のフィルム面に粘着剤層を有し、
前記粘着剤層の厚さが0.5〜2.0μmの範囲であり、かつ、前記粘着テープの総厚さが6.0μm以下であることを特徴とする粘着テープ。」
(エ)相違点1−1
本件発明3においては、動摩擦係数がフィルムとフィルムの間と特定されており、平均表面粗さ(Ra)が0.03〜0.07μmと特定されているのに対して、甲1発明の支持体においては、動摩擦係数がフィルムとフィルムの間と特定されておらず、平均表面粗さ(Ra)も特定されていない点。
(オ)相違点1−2
本件発明3においては、平均粒径の異なる2種類以上の微粒子を含有するのに対して、甲1発明の支持体においては明らかでない点。
ウ 相違点1−1について
相違点1−1は、次の(ア)、(イ)、(エ)の各記載及び(ウ)の記載のうち表面粗さの下限値の記載から、ポリエステルフィルム基材を用いる技術分野において本件出願前周知の技術と認められ、相違点1−1に係る構成を採用することは、当業者が容易に想到しうることと当審は判断する。
(ア)前記(1)ウ(ウ)に摘記した甲3の段落【0013】の「フィルム表面の算術平均粗さ(Ra)が0.031〜0.045μmである必要があり、好ましくは0.033〜0.038μmである。」及び同(エ)の段落【0018】の「フィルム間(フィルム同士)の動摩擦係数を0.25〜0.70として、フィルムのハンドリング性を維持することができる。・・・より好ましいフィルム間の動摩擦係数は、0.30〜0.55である。」との記載。
(イ)前記(1)エ(キ)の表1に記載された甲5(甲4参照)の例5の動摩擦係数が0.51であり、表面粗さが29nm(当審注:有効桁数を1桁とすると0.03μm)であるとする記載。
(ウ)前記(1)オ(エ)に摘記した甲6の段落【0020】及び甲7の段落【0021】の「表面を適度に粗面化したフィルムを得るが、作業性や加工性を考慮すると、フィルム表面の平均粗さ(Ra)は、通常0.03〜0.2μm、好ましくは0.04〜0.16μmの範囲となるように便宜、条件を選択する。」との記載。
(エ)前記(1)イ(キ)に摘記した甲2の段落【0098】の「JISK7125に準じ、フィルム面とフィルム面の摩擦係数を測定した。」との記載及び同(ウ)に摘記した甲2の段落【0016】の「樹脂フィルムの動摩擦係数は生産性の点から0.2〜0.35がであることが好ましく、さらに好ましくは0.2〜0.3である。」との記載。
エ 相違点1−2について
相違点1−2については、下記(ア)〜(ウ)の各記載からみて、ポリエステルフィルム基材を用いる技術分野において本件出願前周知の技術と認められ、相違点1−2に係る本件発明の構成を採用することは、当業者が容易に想到しうることと当審は判断する。
(ア)前記(1)ウ(エ)に摘記した甲3の段落【0014】の「すなわち、有機粒子と、これよりも平均粒径が大きい粒子とを含有するポリエステル層を有する」及び同(キ)に摘記した甲3の段落【0052】の「ポリエステル(a)とポリエステル(b)とポリエステル(c)を混合し、平均粒径2.2μmのシリカ粒子 0.05%および平均粒径0.3μmの架橋高分子粒子 0.02%を含有する原料とした。」との記載。
(イ)前記(1)エ(エ)に摘記した甲5(甲4参照)の段落【0028】の「特別な表面のフィルムを得るには、好ましくは、2以上の異なる種類の潤滑剤を用いる。好ましくは、各々の潤滑剤は、異なる数平均粒子径を有する。より好ましくは、より大きい潤滑剤粒子は、より小さい潤滑剤粒子よりも3〜15倍大きい。」及び同(カ)に摘記した甲5(甲4参照)の段落【0042】の「平均径2.6μmの酸化ケイ素粒子[TORAY PLASTICS(AMERICA)社]0.12質量部、平均径0.8μmの高架橋ポリスチレン粒子[Toray Plastics (America)社]0.07質量部、及び固有粘度0.65のポリエチレンテレフタレート[Toray Plastics (America)社]100質量部の組成を有する混合物を押出機に供給」との記載。
(ウ)前記(1)オ(エ)に摘記した甲6の段落【0018】の「かかる粒子の例としては炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、リン酸リチウム、リン酸マグネシウム、リン酸カルシウム、フッ化リチウム、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化チタン、カオリン等の無機粒子やアクリル樹脂、グアナミン樹脂や架橋高分子微粉体等の有機粒子を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。また、2成分以上を同時に用いてもよい。」との記載から、異なる成分である場合、平均粒径も異なる蓋然性が高いこと。
オ 効果について
本件発明3が、相違点1−1及び相違点1−2に係る構成を有することにより甲1発明に対して予測できない効果を奏すると認めることはできない。したがって、本件発明3は、甲1発明及び甲2,3,5(甲4参照),6に記載された周知の技術事項に基づいて当業者が容易に発明できたものと認められる。
カ 特許権者の意見書における主張に対して
(ア)相違点1−1のうちRaについて
a 特許権者は意見書において、甲3、5(甲4参照)に記載されたRaの数値は、光沢性などを考慮したものであって、甲1発明に適用することに動機付けがないと主張する。
しかしながら、前記(1)ウ(ウ)に摘記した甲3の段落【0013】には、基材ベースの巻き特性も考慮すると記載されており、前記(1)エ(ウ)に摘記した甲5(甲4参照)の段落【0022】には、「得られたフィルムを高速で屈曲する間に皺が寄る」と記載されていることから、甲3及び甲5に記載された技術事項は、光沢性以外に生産性を考慮してRaを定めているのであるのであって、甲1発明の生産性の向上という課題を解決するために甲3及び甲5に記載された事項を採用することには動機付けがある。特許権者の主張には理由がない。
b 特許権者は、甲6、7におけるRaの下限及び上限は、0.03〜0.2μmとされているから、本件発明3におけるRaの下限及び上限である0.03〜0.07μmとは、上限値において乖離していると主張する。
しかしながら、前記(1)オ(キ)に摘記した甲6の段落【0067】の【表1】に記載された実施例3及び実施例4においては、粗さRaが0.05μmであるから、甲6、7においても、本件発明3の数値範囲内とすることも示唆されていることになる。特許権者の主張には理由がない。
(イ)相違点1−1のうちμdについて
特許権者は、甲2、3は、巻き取り工程におけるシワの入りやすさを考慮して、動摩擦係数μdを定めたものでないため、甲1発明に、甲2、3に記載された事項を採用することの動機付けがないと主張する。
しかしながら、前記(1)イ(ク)に摘記した甲2の段落【0106】及び前記(1)ウ(カ)に摘記した甲3の段落【0039】においても巻取り工程におけるシワが入らないことを生産性の向上として評価していることが読み取れる。したがって、甲2、3に記載された事項を甲1発明に適用することには動機付けがあるといえ、特許権者の主張は理由がない。
キ 小括
本件発明3は、甲1発明及び出願日前周知の技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができた発明であるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない発明であって、特許法第113条第2号の規定により取り消されるべきものである。
(3)取消理由2(甲6発明を主引用例とする進歩性
ア 甲6発明について
甲6の前記(1)オ(カ)に摘記した甲6の実施例3に注目すると、次の発明(以下「甲6発明」という。)が開示されている。
「平均粒径0.5μmの有機粒子が0.5%含有するポリエステルからなる基材フィルムの厚さが2.0μmであり、基材フィルムの粗さRaが0.05μmであって、両面にそれぞれ粘着剤を厚さ3.5μmに塗工された両面粘着テープ。」
イ 本件発明3との対比
甲6発明を本件発明3と対比する。
(ア)甲6発明の基材フィルムにおける「有機粒子」「粗さRa」は、本件発明3の基材用フィルムにおける「微粒子」「平均表面粗さ(Ra)」にそれぞれ相当する。
そうすると、甲6発明の機材フィルムの「厚さが2.0μm」、「粗さRaが0.05μm」は、本件発明3の基材用フィルムにおける「厚さが0.8〜3.0μm」、「平均表面粗さ(Ra)が0.03〜0.07μm」をそれぞれ充足する。
(イ)一致点
本件発明3と甲6発明は次の点で一致する。
「厚さが0.8〜3.0μmであり、平均表面粗さ(Ra)が0.03〜0.07μmであり、微粒子を含有するポリエステルフィルムである粘着テープ基材用ポリエステルフィルムの少なくとも一方のフィルム面に粘着剤層を有する。」点
(ウ)本件発明3は、次の点で甲6発明と相違する。
a 相違点6−1
含有する微粒子について、本件発明3においては、「平均粒径の異なる2種類以上の微粒子」であるのに対して、甲6発明の基材フィルムにおいては特定がない点。
b 相違点6−2
本件発明3においては、フィルムとフィルムの動摩擦係数(μd)が0.6以下であるのに対し、甲6発明の基材フィルムにおいては明らかでない点。
b 相違点6−3
本件発明3においては、「粘着剤層の厚さが0.5〜2.0μm」、「総厚さが6.0μm以下」であるのに対して、甲6発明においては、粘着剤層の厚さが3.5μmであり、基材フィルムの厚さと粘着剤層の厚さとの総厚さが9.0μmである点。
ウ 相違点6−1について
前記(1)オ(エ)に摘記した甲6の段落【0018】には、「また、2成分以上を同時に用いてもよい。」と記載されているから、甲6発明の基材フィルムにおいても有機粒子を2成分以上同時に用いる動機付けがある。そして、下記(ア)〜(ウ)のポリエステルフィルム基材を用いる技術分野における周知技術からみて、相違点6−1に係る本件発明3の構成は、当業者が容易に採用できることと当審は判断した。
(ア)前記(1)ウ(ア)に摘記した甲3の請求項1の「有機粒子と、当該有機粒子よりも大きな平均粒径の粒子とを含有するポリエステル層」及び同(エ)に摘記した【0016】の「単一の粒子のみを含有する場合は、粒子種に依らず、フィルムの粗度と滑り特性(ハンドリング性)を同時に満足することはできず、不適当である。」との記載。
(イ)前記(1)エ(エ)に摘記した甲5(甲4参照。)の段落【0028】の「上記で定義した特別な表面のフィルムを得るには、好ましくは、2以上の異なる種類の潤滑剤を用いる。好ましくは、各々の潤滑剤は、異なる数平均粒子径を有する。より好ましくは、より大きい潤滑剤粒子は、より小さい潤滑剤粒子よりも3〜15倍大きい。」との記載。
(ウ)前記(1)カ(エ)に摘記した甲7の段落【0019】の「また、2成分以上を同時に用いてもよい。2成分以上用いる場合は、それらの全体の平均粒径および含有量が上記した範囲内にあることが必要である。」との記載。
エ 相違点6−2について
相違点6−2については、下記(ア)、(イ)の各記載からみて、ポリエステルフィルム基材を用いる技術分野において本件出願前周知の技術と認められ、相違点6−2に係る本件発明の構成を採用することは、当業者が容易に想到しうることと当審は判断する。
(ア)前記(1)イ(ウ)に摘記した甲2の段落【0016】の「樹脂フィルムの動摩擦係数は生産性の点から0.2〜0.35がであることが好ましく、さらに好ましくは0.2〜0.3である。」との記載及び同(キ)に摘記した甲2の段落【0098】の「JISK7125に準じ、フィルム面とフィルム面の摩擦係数を測定した。」との記載。
(イ)前記(1)ウ(ク)に摘記した甲3の段落【0061】の【表1】において、実施例1〜4の「フィルム間動摩擦係数μd」の項目が、0.35〜0.60となっている記載。
オ 相違点6−3について
粘着剤層をどの程度の厚さにするかは、必要な粘着力に応じて調整可能なものである。また、前記(1)カ(ア)に摘記したように、甲6には、粘着剤層の厚さを1〜5μmとすることが記載されており、そのうち1〜2μmを選択し、総厚さを6μm以下とすることは当業者が容易になし得ることである。
カ 効果について
本件発明3が、相違点6−1、相違点6−2及び相違点6−3に係る構成を有することにより甲6発明に対して予測できない効果を奏すると認めることはできない。
キ 特許権者の主張に対して
特許権者は、相違点6−2について、甲2、3は、巻き取り工程におけるシワの入りやすさを考慮して、動摩擦係数μdを定めたものでないため、甲6発明に、甲2、3に記載された事項を採用することの動機付けがないと主張する。
しかしながら、前記(2)カ(イ)において示したように、特許権者の主張は理由がない。
ク 小括
本件発明3は、甲6発明並びに出願前周知の技術及び甲1に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができた発明であるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない発明であって、特許法第113条第2号の規定により取り消されるべきものである。
(3)本件発明3の進歩性についてのまとめ
本件発明3は、甲1発明及び出願日前周知の技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができた発明であり、また、甲6発明並びに出願前周知の技術及び甲1に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができた発明であるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない発明であって、特許法第113条第2号の規定により取り消されるべきものである。

第5 本件発明3について本件通知で採用しなかった特許異議申立の理由について
1 申立人は、本件発明3に対して、前記第4で検討した理由以外に、(1)甲3に記載された発明に基づく新規性進歩性欠如、(2)甲2に記載された発明に基づく進歩性欠如、(3)甲7に記載された発明に基づく進歩性欠如、を特許異議申立の理由としている。
2 検討
(1)甲3に記載された発明を主引用例とする新規性進歩性欠如について
ア 甲3発明
前記第4、4(1)ウ(キ)に摘記した甲3の実施例1から次の発明(以下「甲3発明」という。)が認定できる。
「厚さ4.5μmのフィルム表面の算術平均粗さ(Ra)が0.035μmであり、平均粒径0.3μmの架橋高分子粒子と、平均粒径2.2μmのシリカ粒子とを含有するポリエステル層を有し、フィルム間動摩擦係数が0.40であるポリエステルフィルム」
イ 対比
本件発明3と甲3発明とを対比すると、両者は少なくとも次の点で相違する。
(ア)相違点3−1
ポリエステルフィルムについて、本件発明3においては「厚さが0.8〜3.0μm」であり、粘着テープ基材用であるのに対し、甲3発明においては「厚さが4.5μm」であり、用途が特定されていない点。
(イ)相違点3−2
本件発明3においては「ポリエステルフィルムの少なくとも一方のフィルム面に粘着剤層を有し、前記粘着剤層の厚さが0.5〜2.0μmの範囲であり、かつ、前記粘着テープの総厚さが6.0μm以下であることを特徴とする粘着テープ」であるのに対し、甲3発明においては、粘着剤が設けた粘着テープであることが特定されていない点。
ウ 当審の判断
甲3発明を粘着テープに転用し、かつ、ポリエステルフィルムの厚さを変更した上で、特定厚さの粘着層を設け、特定厚さの総厚さとすることは、当業者にとって容易に想到しうることということはできない。
(2)甲2に記載された発明を主引用例とする進歩性欠如について
ア 甲2発明
前記第4(1)イ(キ)に摘記した甲2の黒インキコートフィルムA(実施例1の基材)に注目すると、次の発明(以下「甲2発明」という。)が認定できる。
「厚さが2.0μmであり、動摩擦係数が0.36であり、含まれる滑剤の平均粒径が4.5μmであるポリエステルフィルムの表面に1.5μmの黒インキ層が設けられ、黒インキ層の表面粗さRaが0.15μmである黒インキコートフィルム」
イ 対比
本件発明3と甲2発明とを対比すると、両者は少なくとも次の点で相違する。
(ア)相違点2−1
ポリエステルフィルムについて、本件発明3においては「平均表面粗さ(Ra)が0.03〜0.07μmであり、平均粒径の異なる2種類以上の微粒子を含有する」のに対して、甲2発明においては、フィルムの表面粗さは明らかでなく、滑剤が2種類以上用いられているかが明らかでない点。
(イ)相違点2−2
本件発明3においては「ポリエステルフィルムの少なくとも一方のフィルム面に粘着剤層を有し、前記粘着剤層の厚さが0.5〜2.0μmの範囲であり、かつ、前記粘着テープの総厚さが6.0μm以下であることを特徴とする粘着テープ」であるのに対し、甲2発明においては、ポリエステルフィルムに黒インキ層を設けた黒インキコートフィルムである点。
ウ 当審の判断
甲2発明おけるポリエステルフィルムにおいて、含まれる滑剤を2種類以上とし、また、平均粗さRaを特定した上で、そのポリエステルフィルムを粘着テープに転用し、かつ、特定厚さの粘着層を設け、特定厚さの総厚さとすることは、当業者にとって容易に想到しうることということはできない。
(3)甲7に記載された発明を主引用例とする進歩性欠如について
ア 甲7発明
前記第4、4(1)カ(カ)(キ)に摘記した甲7の実施例1に注目すると、次の発明(以下「甲7発明」という。)が認定できる。
「厚さ2.0μmのポリエステル基材フィルムであって、前記ポリエステルには平均粒径1.1μmの球状有機架橋粒子が含まれ、前記基材フィルムの両面にそれぞれ3.5μmの粘着剤層を設け、総厚さが9μmである両面粘着テープ」
イ 対比
本件発明3と甲7発明とを対比得すると、少なくとも次の点で相違する。
(ア)相違点7−1
ポリエステルフィルムについて、本件発明3においては、「平均表面粗さ(Ra)が0.03〜0.07μmであり、平均粒径の異なる2種類以上の微粒子を含有する」と特定されているのに対して、甲7発明においては、平均表面粗さ(Ra)が明らかでなく、平均粒径1.1μmである1種類の微粒子を含有する点。
(イ)相違点7−2
本件発明3においては「前記粘着剤層の厚さが0.5〜2.0μmの範囲であり、かつ、前記粘着テープの総厚さが6.0μm以下であることを特徴とする粘着テープ」であるのに対して、甲7発明においては「前記基材フィルムの両面にそれぞれ3.5μmの粘着剤層を設け、総厚さが9μmである両面粘着テープ」である点。
ウ 当審の判断
(ア)相違点7−1及び相違点7−2に係る本件発明3の構成は、甲7発明から当業者が容易に想到しうることといえない。
(イ)本件発明3と甲7発明との相違点7−2は、要するに、甲7発明を更に薄膜化することであって、その薄膜化と同時に、相違点7−2に係る構成、すなわちどのような微粒子を含有させることによって、平均表面粗さ(Ra)をどのような値に設定するかという検討は、容易になし得ない程度の試行錯誤を必要とすることは明らかである。したがって、本件発明3は甲7発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものといえない。

第6 本件発明1、2について本件通知で採用しなかった特許異議申立の理由について
1 甲1発明を主引用例とした検討
(1)甲1発明
甲1発明は、前記第4、4(2)アにおいて認定したとおりである。
(2)相違点
本件発明1、2は共通して、甲1発明との次の相違点を有していると認められる。
ア 相違点1−1’
本件発明1、2においては、動摩擦係数がフィルムとフィルムの間と特定されており、平均表面粗さ(Ra)が0.03〜0.07μm、最大高さ(Rt)が1.4μm以下と特定されているのに対し、甲1発明においては、動摩擦係数がフィルムとフィルムの間と特定されておらず、平均表面粗さ(Ra)及び最大高さ(Rt)が特定されていない点。
イ 相違点1−2
本件発明1、2においては、平均粒径の異なる2種類以上の微粒子を含有するのに対して、甲1発明の支持体においては明らかでない点。
(3)相違点についての検討
まず、相違点1−1’について検討する。
ア 粘着テープ基材であるポリエステルフィルムにおいて、平均表面粗さ(Ra)が0.03〜0.07μmかつ最大高さ(Rt)が1.4μm以下という条件を満たすものが本件出願前知られていたと認めるに足りる証拠はない。
イ 前記第4、4(2)ウにおける検討は、相違点1−1についての検討であって、平均表面粗さ(Ra)が0.03〜0.07μmとなるように構成することは容易想到としているが、平均表面粗さ(Ra)と最大高さ(Rt)は相互に影響を与える測定値であるから、平均表面粗さ(Ra)が0.03〜0.07μmを保ちつつ最大高さ(Rt)を1.4μm以下とすることは当業者にとって容易とはいえない。
ウ したがって、相違点1−2について検討するまでもなく、本件発明1、2は甲1発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものということはできない。
(4)判断
以上から、本件発明1、2は、甲1発明に基づいて本願出願前に当業者が容易に発明をすることができた発明ということはできない。
2 甲6発明を主引用例とした検討
(1)甲6発明
甲6発明は、前記第4、4(3)アに認定したとおりである。
(2)対比
本件発明1、2は共通して甲6発明と次の相違点を有するといえる。
ア 相違点6−1’
本件発明1、2においては、含有する微粒子について「平均粒径の異なる2種類以上の微粒子」であり、ポリエステルフィルムについて「最大高さ(Rt)が1.4μm以下」と特定しているのに対して、甲6発明の基材フィルムにおいては、いずれも特定がない点。
イ 相違点6−2
本件発明3においては、フィルムとフィルムの動摩擦係数(μd)が0.6以下であるのに対し、甲6発明の基材フィルムにおいては明らかでない点。
(3)相違点についての検討
相違点6−1’について検討する。
ア 粘着テープ基材であるポリエステルフィルムにおいて、「平均粒径の異なる2種類以上の微粒子」を用い、かつ最大高さ(Rt)が1.4μm以下という条件を満たすものが本件出願前知られていたと認めるに足りる証拠はない。
イ したがって、相違点6−2について検討するまでもなく、本件発明1、2は甲1発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものということはできない。
(4)判断
以上から、本件発明1、2は、甲6発明に基づいて本願出願前に当業者が容易に発明をすることができた発明ということはできない。
3 甲3、甲2及び甲7に記載された発明を主引用例とした検討
前記第5で検討したのと同様に、本件発明1、2は、甲3、甲2及び甲7に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものといえない。
4 申立人の主張に対して
(1)令和3年1月18日提出の意見書において申立人が提示した参考資料
参考資料1:特開2008−45011号公報
参考資料2:特開2005−206717号公報
参考資料3:国際公開第2008/139994号
参考資料4:特開2010−278297号公報
参考資料5:実願昭55−109090号(実開昭57−34548号)のマイクロフィルム
参考資料6:佐藤靖、ブラスト表面の粗さと塗膜性能、表面実装技術、Vol.31、No.7、20〜25頁(1984)
参考資料7:特開2011−227508号公報
参考資料8:国際公開第2013/129568号
参考資料9:国際公開第2014/157686号
(2)最大高さ(Rt)についての主張に対して
ア 申立人は、参考資料1〜5を提示して、最大高さ(Rt)は粘着層の厚みとの関係で定められるものであるから、当業者が適宜定めうるものであると主張する。
イ 申立人は、前記第4、4(1)ア(ケ)に摘記した甲1の段落0060に記載の実施例1においては、粘着面の厚さが1.5μmであるから、最大高さを1.4μm以下とすることは当業者が容易になし得ると主張する。
ウ しかしながら、最大高さ(Rt)を変更すると、平均表面粗さ(Ra)も変動することになることから、最大高さ(Rt)が1.4μm以下とすることが容易であると主張しても、その際に平均表面粗さ(Ra)が変動することから、本件発明1、2が容易想到と主張するためには、「平均表面粗さ(Ra)が0.03〜0.07μmであり、最大高さ(Rt)が1.4μm以下」ことが容易想到であると主張することが必要となる。申立人の主張は、後者の主張となっていないため、採用することができない。
(3)参考資料6〜9を用いた主張に対して
ア 申立人は、参考資料6〜9を提示して、広範な技術分野において平均表面粗さ(Ra)及び最大高さ(Rt)の両者を適切な水準に調製することは、技術常識であると主張する。
イ しかしながら、甲6〜9のいずれにも、本件発明1、2における「平均表面粗さ(Ra)が0.03〜0.07μmであり、最大高さ(Rt)が1.4μm以下」という特定事項について記載されていない。したがって、申立人の主張は本件発明1、2の進歩性には関連がなく採用することができない。

第7 むすび
以上のとおり、
1 本件訂正を認める。
2 本件発明3に係る特許を取り消す。
3 本件発明1、2に係る特許については、取消理由通知に示した理由及び特許異議の申立ての理由により取り消すことはできず、他に取り消すべき理由を発見しない。
よって結論のとおり決定する。

 
別掲 (行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この決定に対する訴えは、この決定の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚さが0.8〜3.0μmであり、平均表面粗さ(Ra)が0.03〜0.07μmであり、最大高さ(Rt)が1.4μm以下であり、平均粒径の異なる2種類以上の微粒子を含有するポリエステルフィルムであって、
フィルムとフィルムの動摩擦係数(μd)が0.6以下であることを特徴とする粘着テープ基材用ポリエステルフィルム。
【請求項2】
厚さが0.8〜3.0μmであり、平均表面粗さ(Ra)が0.03〜0.07μmであり、最大高さ(Rt)が1.4μm以下であり、平均粒径の異なる2種類以上の微粒子を含有するポリエステルフィルムであって、
フィルムとフィルムの動摩擦係数(μd)が0.6以下であることを特徴とする粘着テープ基材用ポリエステルフィルムの少なくとも一方のフィルム面に粘着剤層を有することを特徴とする粘着テープ。
【請求項3】
厚さが0.8〜3.0μmであり、平均表面粗さ(Ra)が0.03〜0.07μmであり、平均粒径の異なる2種類以上の微粒子を含有するポリエステルフィルムであって、
フィルムとフィルムの動摩擦係数(μd)が0.6以下であることを特徴とする粘着テープ基材用ポリエステルフィルムの少なくとも一方のフィルム面に粘着剤層を有し、
前記粘着剤層の厚さが0.5〜2.0μmの範囲であり、かつ、前記粘着テープの総厚さが6.0μm以下であることを特徴とする粘着テープ。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2021-09-29 
出願番号 P2015-093892
審決分類 P 1 651・ 113- ZDA (C09J)
P 1 651・ 121- ZDA (C09J)
最終処分 08   一部取消
特許庁審判長 亀ヶ谷 明久
特許庁審判官 門前 浩一
瀬下 浩一
登録日 2019-11-08 
登録番号 6609983
権利者 三菱ケミカル株式会社
発明の名称 粘着テープ基材用ポリエステルフィルムおよび粘着テープ  
代理人 田口 昌浩  
代理人 虎山 滋郎  
代理人 虎山 滋郎  
代理人 田口 昌浩  
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