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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  G07G
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  G07G
管理番号 1382393
総通号数
発行国 JP 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2022-03-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2021-06-30 
確定日 2022-02-21 
異議申立件数
事件の表示 特許第6809800号発明「売上データ処理装置およびプログラム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6809800号の請求項1〜7に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6809800号(以下「本件特許」という。)の請求項1〜7に係る特許についての出願は、平成28年3月3日に出願され、令和2年12月14日に特許権の設定登録がされ、令和3年1月6日に特許掲載公報が発行された。その後、その請求項1〜7に係る特許に対し、令和3年6月30日に、特許異議申立人中島健(以下「申立人」という。)より特許異議の申立てがされたものである。

第2 本件発明
特許第6809800号の請求項1〜7に係る発明(以下それぞれ「本件発明1」〜「本件発明7」という。)は、その特許請求の範囲の請求項1〜7に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「 【請求項1】
売上登録する商品の指定を受け付ける毎に一取引における税込小計金額を、商品毎に所定の税率を適用して更新表示させる表示制御手段と、
商品の取引を所定の取引形態として指定するための操作キーと、
を備え、
前記表示制御手段は、売上登録する商品の指定を受け付けた際に当該商品に対応付けて前記操作キーが操作された場合には当該商品に対しては第1の税率を適用し、且つ、売上登録する商品の指定を受け付けた際に当該商品に対応付けた前記操作キーの操作が省かれた商品に対しては前記第1の税率とは異なる第2の税率を適用することにより、前記操作キーに対する操作の有無に応じて前記税込小計金額の値が異なるように、前記税込小計金額を更新表示させることを特徴とする売上データ処理装置。
【請求項2】
前記第1の税率は、前記第2の税率よりも低い税率に設定されていることを特徴とする請求項1に記載の売上データ処理装置。
【請求項3】
前記表示制御手段は、前記税込小計金額の更新表示に伴わせて消費税合計額を更新表示させることを特徴とする請求項1または2に記載の売上データ処理装置。
【請求項4】
売上登録する商品の指定を受け付ける毎に一取引における消費税合計額を、商品毎に所定の税率を適用して更新表示させる表示制御手段と、
商品の取引を所定の取引形態として指定するための操作キーと、
を備え、
前記表示制御手段は、売上登録する商品の指定を受け付けた際に当該商品に対応付けて前記操作キーが操作された場合には当該商品に対しては第1の税率を適用し、且つ、売上登録する商品の指定を受け付けた際に当該商品に対応付けた前記操作キーの操作が省かれた商品に対しては前記第1の税率とは異なる第2の税率を適用することにより、前記操作キーに対する操作の有無に応じて前記消費税合計額の値が異なるように、前記消費税合計額を更新表示させることを特徴とする売上データ処理装置。
【請求項5】
前記表示制御手段は、前記消費税合計額の更新表示に伴わせて税込小計金額を更新表示させることを特徴とする請求項4に記載の売上データ処理装置。
【請求項6】
売上データ処理装置のコンピュータを、
売上登録する商品の指定を受け付ける毎に一取引における税込小計金額を、商品毎に所定の税率を適用して更新表示させる表示制御手段として機能させ、
前記表示制御手段は、売上登録する商品の指定を受け付けた際に当該商品に対応付けて商品の取引を所定の取引形態として指定するための操作キーが操作された場合には当該商品に対しては第1の税率を適用し、且つ、売上登録する商品の指定を受け付けた際に当該商品に対応付けた前記操作キーの操作が省かれた商品に対しては前記第1の税率とは異なる第2の税率を適用することにより、前記操作キーに対する操作の有無に応じて前記税込小計金額の値が異なるように、前記税込小計金額を更新表示させることを特徴とするプログラム。
【請求項7】
売上データ処理装置のコンピュータを、
売上登録する商品の指定を受け付ける毎に一取引における消費税合計額を、商品毎に所定の税率を適用して更新表示させる表示制御手段として機能させ、
前記表示制御手段は、売上登録する商品の指定を受け付けた際に当該商品に対応付けて商品の取引を所定の取引形態として指定するための操作キーが操作された場合には当該商品に対しては第1の税率を適用し、且つ、売上登録する商品の指定を受け付けた際に当該商品に対応付けた前記操作キーの操作が省かれた商品に対しては前記第1の税率とは異なる第2の税率を適用することにより、前記操作キーに対する操作の有無に応じて前記消費税合計額の値が異なるように、前記消費税合計額を更新表示させることを特徴とするプログラム。」

第3 申立理由の概要
申立人は、証拠として、以下の甲第1〜7号証(以下「甲1」〜「甲7」ということがある。)を提出するとともに、以下の申立理由1及び2により請求項1〜7に係る特許を取り消すべきものである旨主張している。

1 申立理由1(特許法第29条第1項第3号
本件発明1〜7は、甲1に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
したがって、本件発明1〜7に係る特許は、特許法第29条の規定に違反してされたものであるから、取り消されるべきものである。

2 申立理由2(特許法第29条第2項
本件発明1〜7は、甲1に記載された発明及び甲2〜甲7に記載された慣用技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本件発明1〜7に係る特許は、特許法第29条の規定に違反してされたものであるから、取り消されるべきものである。

3 証拠方法
甲第1号証:特開2015−49809号公報
甲第2号証:特開平11−203365号公報
甲第3号証:特開2001−256571号公報
甲第4号証:特開2004−234575号公報
甲第5号証:特開2005−44014号公報
甲第6号証:特開2015−38673号公報
甲第7号証:「Genius Pos User Manual」
http://www.indusnaga.com/brochure/geniuspos/
GeniusPosUserManualComplete.pdf
甲第8号証:インターネット検索サイトGoogleで「2016年3月3日より前」 の期間を指定して、「GeniusPosUserManualComplete pdf」 を検索した結果画面のWebページ

第4 申立理由についての判断
1 各甲号証の記載事項等
(1)甲1の記載事項等
ア 甲1の記載事項
本件特許の出願前に公知となった甲1には、図面と共に以下の事項が記載されている。
(1a)
「【0001】
本発明の実施形態は、情報処理装置およびプログラムに関する。
・・・
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、消費者が将来的な消費税率の変更による支払金額の変化額を簡単に把握することができる情報処理装置およびプログラムを提供することである。」
(1b)
「【0017】
次に、税率設定データベースDBについて説明する。税率設定データベースDBは、上述のように階層的に分類分けされている商品の分類に対して税率を記憶している。また、税率設定データベースDBは、商品に対して税率を記憶している。図2に示すように、税率設定データベースDBは、商品別税率設定マスタD1と、区分別税率設定マスタD2と、デフォルト税率設定マスタD3と、を含んでいる。
【0018】
図5は、商品別税率設定マスタD1のデータ構成を示す図である。図5に示すように、商品別税率設定マスタD1は、最下位の商品分類に対する税率として、各商品コードの商品に対する税率を記憶している。なお、商品別税率設定マスタD1においては、全ての商品に対して税率が記憶されていなくてもよい。このような商品別税率設定マスタD1は、軽減税率が適用される単品または部門に対応している。例えば、バターについて軽減税率を適用するような場合である。
【0019】
なお、図5に示すように、商品別税率設定マスタD1においては、同一の単品であっても、店内で食べるか(EAT IN)、持ち帰るか(TAKE OUT)によって、標準税率を適用するか、軽減税率を適用するかを区別して設定する。図5に示す例では、ハンバーガーを店内で食べる(EAT IN)場合には、標準税率を適用し、ハンバーガーを持ち帰る(TAKE OUT)場合には、軽減税率を適用する。店内で食べるか(EAT IN)、持ち帰るか(TAKE OUT)については、後述するPOS端末2に設けられた「EAT IN」キーまたは「TAKE OUT」キーのキー操作によって区別する。
【0020】
図6は、区分別税率設定マスタD2のデータ構成を示す図である。図6に示すように、区分別税率設定マスタD2は、各税区分コードの区分に対する税率を記憶している。このような区分別税率設定マスタD2は、軽減税率が適用される区分に対応している。例えば、食料品等の生活必需品について軽減税率を適用するような場合である。
【0021】
図7は、デフォルト税率設定マスタD3のデータ構成を示す図である。図7に示すように、デフォルト税率設定マスタD3には、税率のデフォルト値として単一の税率を記憶している。例えば、図7では、税率のデフォルト値として1.05が記憶されている。即ち、デフォルト税率設定マスタD3は、最上位の商品分類に対する税率として、全商品に対して一律に定められている単一の標準税率を記憶している。」
(1c)
「【0024】
次に、情報処理装置として適用されるPOS端末2について説明する。図8は、POS端末2の構成を概略的に示した外観斜視図である。POS端末2は、現金等を収容するためのドロワ12の上に載置されており、このドロワ12の引出し12aの開閉を制御する。POS端末2の正面側には、登録、点検、精算、設定などの各種業務モードを選択するためのモードキー14が設けられている。また、POS端末2の正面に設けられたキーボード13には、オペレータ(店員)が、例えば預かり金額などを置数するための置数キーや、1商取引として販売登録が行われた商品の合計出力を指示する現計キーなど、各種操作入力を行うための操作キーが配置されている。
【0025】
また、POS端末2の正面に設けられたキーボード13には、「EAT IN」キーや「TAKE OUT」キーが配置されている。「EAT IN」キーは、例えばハンバーガーを店内で食べる(EAT IN)場合に操作するキーである。「TAKE OUT」キーは、例えばハンバーガーを持ち帰る(TAKE OUT)場合に操作するキーである。
【0026】
また、POS端末2の正面に設けられたキーボード13には、税額確認キーが配置されている。税額確認キーは、詳細は後述するが、税率引上げが想定される場合に所望の想定税率に応じて消費税額を算出した支払額目安レポートや、店内で食べるか(EAT IN)、持ち帰るか(TAKE OUT)によって税率が区別されている商品についてそれぞれの税率に応じて消費税額を算出した支払額目安レポートを出力する場合に使用される。
【0027】
POS端末2の正面側には、店員用ディスプレイ15が取り付けられている。また、POS端末2の背面側には、客用ディスプレイ16が取り付けられている。店員用ディスプレイ15、客用ディスプレイ16は、例えば液晶ディスプレイ等を用いて構成される。店員用ディスプレイ15、客用ディスプレイ16は、販売登録された商品の品名、価格や、1商取引の合計金額、釣銭額などを表示する。POS端末2は、レシートおよびジャーナルを印字するプリンタ17を内蔵している。プリンタ17によって印字されたレシートは、POS端末2の正面側に形成されたレシート発行口18から発行される。また、POS端末2には、商品に付与されたバーコードを読取るためのスキャナ19が接続されている。
【0028】
図9は、POS端末2のハードウェア構成を示すブロック図である。POS端末2は、CPUと、ROMと、RAM等(いずれも不図示)で構成されるコンピュータ構成の制御部21を備えている。ROMは、CPUが実行する各種プログラムや各種データを記憶する。RAMは、CPUが各種プログラムを実行する際に一時的にデータやプログラムを記憶する。また、RAMは、商品の販売記録を示す販売データや、店員用ディスプレイ15や客用ディスプレイ16に表示する各種の画面表示データを記憶する。
【0029】
制御部21は、I/O機器制御部24およびバス22を介して、キーボード13、店員用ディスプレイ15、客用ディスプレイ16、プリンタ17、スキャナ19、HDD(Hard Disk Drive)20等のI/O機器を制御する。また、制御部21は、通信I/F23およびネットワーク3(図1参照)を介してストアサーバ4と相互に通信を行う。
【0030】
HDD20は、POS端末2における販売登録処理で生成された取引データを記憶する取引データファイルF2を格納している。
【0031】
なお、本実施形態のPOS端末2で実行されるプログラムは、ROM等に予め組み込まれて提供される。本実施形態のPOS端末2で実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0032】
さらに、本実施形態のPOS端末2で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、本実施形態のPOS端末2で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
【0033】
制御部21は、CPUがROMに格納されているプログラムをRAMに展開して実行することにより、図9に示すように、商品コード受付部25と、税率読込部26と、販売登録部27と、表示制御部28と、印刷制御部29と、商品特定手段として機能する商品特定部30と、税率指定手段として機能する税率指定部31と、税額報知手段として機能する税額報知部32として機能する。
【0034】
商品コード受付部25は、各商品に付されたバーコードがスキャナ19によってスキャンされた場合に、バーコードのデータから商品コードを読み取って受付ける。なお、商品コード受付部25は、キーボード13から入力されたキーにより商品コードの入力を受付けるとしても良い。また、商品コード受付部25は、二次元コードのようなその他のコードシンボルから商品コードを読み取ってその入力を受付けるとしてもよい。
【0035】
税率読込部26は、商品コード受付部25が受付けた商品コードの商品が属する商品分類または商品に対する税率を、税率設定データベースDB(商品別税率設定マスタD1、区分別税率設定マスタD2、デフォルト税率設定マスタD3)から読み込む。
【0036】
また、税率読込部26は、上述のように階層的に分類分けされている商品に対して、より下位の分類に対して記憶されている税率を優先的に読み込む。即ち、税率設定データベースDBにおいて、商品コード受付部25が受付けた商品コードの商品が属する下位の分類と、当該商品が属する上位の分類との双方に対して税率が記憶されている場合には、当該商品が属する下位の分類に対する税率を読み込む。そして、税率読込部26は、下位の分類に対する税率が税率設定データベースDBに記憶されていない場合には、当該下位の分類を含む上位の分類に対する税率を読み込む。」
(1d)
「【0037】
より具体的には、税率読込部26は、商品別税率設定マスタD1から各商品に対して記憶されている税率を最初に読み込む。そして、商品別税率設定マスタD1がその商品コードに対する税率を記憶していない場合には、税率読込部26は、区分別税率設定マスタD2から、その商品が属する税区分コードの区分に対する税率を読み込む。
【0038】
さらに、税率読込部26は、最上位の分類よりも下位の分類に対する税率が記憶されていない場合、即ち上述の例では、区分別税率設定マスタD2にその商品が属する税区分コードの税率が記憶されていない場合には、デフォルト税率設定マスタD3から税率のデフォルト値を読み込む。」
(1e)
「【0052】
次に、POS端末2が実行する商品の販売登録処理の手順について説明する。図10は、POS端末2が実行する商品の販売登録処理の流れを概略的に示すフローチャートである。
【0053】
まず、POS端末2において、商品に付されたバーコードがスキャナ19によりスキャンされる。商品コード受付部25は、バーコードのデータから商品コードを読み取って受付ける(ステップS1:Yes)。商品コード受付部25が商品コードの入力を受付けない間(ステップS1:No)は、入力待ちを行う。
【0054】
なお、商品コードの読み取りに先立って、「EAT IN」キーまたは「TAKE OUT」キーが押下された場合(ステップS1:No、ステップS11:Yes)には、商品コード受付部25は、ステップS1で読み取った商品コードに対して、持ち帰る(TAKE OUT)場合には付加情報を付加し、店内で食べる(EAT IN)場合には付加情報を付加しないようにする。このようにするのは、本実施形態においては、所定の商品(例えばハンバーガー)を店内で食べる(EAT IN)場合には、標準税率を適用し、所定の商品(例えばハンバーガー)を持ち帰る(TAKE OUT)場合には、軽減税率(他の税率)を適用するためである。
【0055】
次に、税率読込部26は、商品コード受付部25が受付けた商品コードに対する税率を、税率設定データベースDBから読み込む。
【0056】
まず、税率読込部26は、商品コード受付部25が受付けた商品コードに対する税率が、商品別税率設定マスタD1に記憶されているか否かを判定する(ステップS2)。商品コードに対する税率が商品別税率設定マスタD1に記憶されている場合(ステップS2:Yes)には、税率読込部26は商品別税率設定マスタD1から商品コードに対する税率を読み込み(ステップS3)、ステップS7に移行する。
【0057】
一方、商品コードに対する税率が商品別税率設定マスタD1に記憶されていない場合(ステップS2:No)には、税率読込部26は、その商品コードが属する区分の税区分コードを商品マスタM1から読み込む。そして税率読込部26は、読み込んだ税区分コードに対する税率が、区分別税率設定マスタD2に記憶されているか否かを判定する(ステップS4)。その税区分コードに対する税率が区分別税率設定マスタD2に記憶されている場合(ステップS4:Yes)には、税率読込部26は区分別税率設定マスタD2からその税区分コードに対する税率を読み込み(ステップS5)、ステップS7に移行する。
【0058】
読み込んだ税区分コードに対する税率が区分別税率設定マスタD2に記憶されていない場合(ステップS4:No)には、税率読込部26は、デフォルト税率設定マスタD3から税率のデフォルト値を読み込み(ステップS6)、ステップS7に移行する。
【0059】
そして、販売登録部27はステップS1で受付けた商品コードに対する商品名や価格を商品マスタM1から読み込んで、その商品の販売登録を行う(ステップS7)。また、販売登録部27は、ステップS3またはステップS5またはステップS6において読み込んだ税率を商品の価格に適用して税込み価格を計算し、商品の販売価格として登録する(ステップS7)。また、表示制御部28は、店員用ディスプレイ15、客用ディスプレイ16に、販売登録部27が登録した各商品の商品名、価格、税込み価格、税率等を表示する(ステップS8)。」
【0060】
次に、POS端末2は、キーボード13において現計キーが押下されたか否かを判定する(ステップS9)。現計キーが押下されていない間(ステップS9:No)は、ステップS1に戻ってステップS1〜S9の処理を全商品の販売登録が終わるまで続ける。現計キーが押下された場合(ステップS9:Yes)には、印刷制御部29は、店名や各商品の品名、価格、税込み価格、各商品に対する税率、1取引の合計金額、釣銭額等をレシートに印刷し、レシート発行口18からレシートを発行する(ステップS10)。そして、店員は会計処理を行って一会計の販売登録処理を終了する。このようにして販売登録処理で生成された取引データは、取引データファイルF2に記憶された後、所定のタイミングでストアサーバ4に送られて取引データファイルF1に記憶される。」
(1f)
図3〜7及び図10は、以下のとおりである。

【図10】

イ 甲1に記載された発明
(ア)
「商品コード受付部25は、バーコードのデータから商品コードを読み取って受付ける(ステップS1:Yes)」ことについて、図10(摘記(1f))を参照すると、「EAT IN」キー及び「TAKE OUT」キーがいずれも押下されない場合(ステップS1:No、ステップS11:No)にも、商品コード受付部25は、商品コードを読み取って受け付け(ステップS1:Yes)ることが明らかである。
(イ)
上記(ア)及び摘記(1c)及び(1e)から、甲1には、次の発明(以下「甲1発明A」という。)が記載されていると認められる。
[甲1発明A]
「プログラムを実行することにより、商品コード受付部25と、販売登録部27と、表示制御部28と、印刷制御部29として機能するコンピュータ構成の制御部21を備え、「EAT IN」キーや「TAKE OUT」キーが配置されているキーボード13が設けられ、レシート発行口18が正面側に形成され、店員用ディスプレイ15が取り付けられている、情報処理装置として適用されるPOS端末2において、
所定の商品を店内で食べる(EAT IN)場合には、標準税率を適用し、所定の商品を持ち帰る(TAKE OUT)場合には、軽減税率(他の税率)を適用するため、商品コードの読み取りに先立って、「EAT IN」キーまたは「TAKE OUT」キーが押下された場合(ステップS1:No、ステップS11:Yes)には、商品コード受付部25は、商品コードを読み取って受け付け(ステップS1:Yes)、読み取った商品コードに対して、持ち帰る(TAKE OUT)場合には付加情報を付加し、店内で食べる(EAT IN)場合には付加情報を付加しないようにし、
「EAT IN」キー及び「TAKE OUT」キーがいずれも押下されない場合(ステップS1:No、ステップS11:No)には、商品コード受付部25は、商品コードを読み取って受け付け(ステップS1:Yes)、
販売登録部27は、ステップS1で受付けた商品コードに対する商品名や価格を商品マスタM1から読み込んで、税率設定データベースDBから読み込んだ税率を商品の価格に適用して税込み価格を計算し、商品の販売価格として登録し(ステップS7)、
表示制御部28は、店員用ディスプレイ15、客用ディスプレイ16に、販売登録部27が登録した各商品の商品名、価格、税込み価格、税率等を表示し(ステップS8)、
現計キーが押下された場合(ステップS9:Yes)には、印刷制御部29は、店名や各商品の品名、価格、税込み価格、各商品に対する税率、1取引の合計金額、釣銭額等をレシートに印刷し、レシート発行口18からレシートを発行し(ステップS10)、
現計キーが押下されていない間(ステップS9:No)は、ステップS1に戻ってステップS1〜S9の処理を全商品の販売登録が終わるまで続ける、
上記の情報処理装置として適用されるPOS端末2。」
(ウ)
また、上記(ア)及び摘記(1a)、(1c)及び(1e)から、甲1には、次の発明(以下「甲1発明B」という。)も記載されていると認められる。
[甲1発明B]
「「EAT IN」キーや「TAKE OUT」キーが配置されているキーボード13が設けられ、レシート発行口18が正面側に形成され、店員用ディスプレイ15が取り付けられている、情報処理装置として適用されるPOS端末2が備える、コンピュータ構成の制御部21を、プログラムを実行することにより、商品コード受付部25と、販売登録部27と、表示制御部28と、印刷制御部29として機能させ、
所定の商品を店内で食べる(EAT IN)場合には、標準税率を適用し、所定の商品を持ち帰る(TAKE OUT)場合には、軽減税率(他の税率)を適用するため、商品コードの読み取りに先立って、「EAT IN」キーまたは「TAKE OUT」キーが押下された場合(ステップS1:No、ステップS11:Yes)には、商品コード受付部25は、商品コードを読み取って受け付け(ステップS1:Yes)、読み取った商品コードに対して、持ち帰る(TAKE OUT)場合には付加情報を付加し、店内で食べる(EAT IN)場合には付加情報を付加しないようにし、
「EAT IN」キー及び「TAKE OUT」キーがいずれも押下されない場合(ステップS1:No、ステップS11:No)には、商品コード受付部25は、商品コードを読み取って受け付け(ステップS1:Yes)、
販売登録部27は、ステップS1で受付けた商品コードに対する商品名や価格を商品マスタM1から読み込んで、税率設定データベースDBから読み込んだ税率を商品の価格に適用して税込み価格を計算し、商品の販売価格として登録し(ステップS7)、
表示制御部28は、店員用ディスプレイ15、客用ディスプレイ16に、販売登録部27が登録した各商品の商品名、価格、税込み価格、税率等を表示し(ステップS8)、
現計キーが押下された場合(ステップS9:Yes)には、印刷制御部29は、店名や各商品の品名、価格、税込み価格、各商品に対する税率、1取引の合計金額、釣銭額等をレシートに印刷し、レシート発行口18からレシートを発行し(ステップS10)、
現計キーが押下されていない間(ステップS9:No)は、ステップS1に戻ってステップS1〜S9の処理を全商品の販売登録が終わるまで続ける、
プログラム。」

(2)甲2の記載事項等
本件特許の出願前に公知となった甲2には、図面と共に以下の事項が記載されている。
(2a)
「【0083】以上の一連の処理の後、図6のステップ615の明細フォームの更新処理を終了し、図6のステップ609の入力判定処理に戻る。上述の明細フォームの更新処理により、例えば、図19に示されるように、ユーザが、第1フレームのカテゴリーリストにおいて商品カテゴリー“靴”を選択し、第2フレームのPLUリストにおいて商品名“白い靴”を選択した後、第2フレームの数量入力フィールドに数量1を入力すると、第3フレームの明細フォームの内容が自動的に、図19に示されるように変化する。このとき、明細フォームの変数 current_row の値は、0から1に変化する。
【0084】この状態から更に、ユーザが、第1フレームに表示されているカテゴリーリストにおいて商品カテゴリー“家電”を選択すると、第1フレームをターゲットとしてWeb−POSクライアント装置上で実行されているカテゴリーリスト表示制御クライアントプログラム(図4のステップ405、406)により、図20に示されるように、第2フレームに表示されるPLUリストの表示開始位置が、商品カテゴリー“家電”に属する商品名“MD”に変化し、更にユーザが、このPLUリストにおいて商品名“MD”を選択すると、第2フレームをターゲットとしてWeb−POSクライアント装置上で実行されているPLUリスト表示制御クライアントプログラム(図6のステップ611、612)により、カーソルが数量入力フィールドに移動する。
【0085】そして、第2フレームの数量入力フィールドに数量1を入力すると、第2フレームをターゲットとしてWeb−POSクライアント装置上で実行されているPLUリスト表示制御クライアントプログラム(図6のステップ614、615、図7、図8)によって、第3フレームの明細フォームの内容が自動的に、図21に示されるように変化する。このとき、明細フォームの変数 current_row の値は、1から2に変化する。」
(2b)
図19〜21は、以下のとおりである。


(3)甲3の記載事項等
本件特許の出願前に公知となった甲3には、図面と共に以下の事項が記載されている。
(3a)
「【0049】ここで、商品情報の入力があったと判定された場合(ステップS2のY)、RAM20の売上バッファにおけるレジスト領域に入力された商品情報、つまり、商品コードを一時的にレジストする処理が実行され、ディスプレイ8の画面表示が更新される。表示画面の更新の一例としては、図9に例示するように、商品の売上登録履歴を表示する登録履歴表示エリア8bに入力された商品情報が履歴表示される。また、カレント・取引金額表示エリア8cには、直近に登録された商品に関するカレント表示がカレントエリア8c−1に表示され、取引に関係する小計、外税、請求金額等の取引金額情報が取引金額情報エリア8c−2に表示され、請求金額が請求金額エリア8c−3に表示される。」
(3b)
図9は、以下のとおりである。

(4)甲4の記載事項等
本件特許の出願前に公知となった甲4には、図面と共に以下の事項が記載されている。
(4a)
「【0056】
図10に示すように、オペレータ用表示器107における全画面表示は、日付時刻や責任者等のような書誌情報を示す書誌情報欄107a、8種類のPLUグループをPLUグループタグAとして表示するPLUグループ欄107b、商品情報を表示する商品情報欄107c、購入合計金額と消費税と預かり金額と釣り銭金額とを表示する取引情報欄107d、及び割引入力欄107eを含む。
【0057】
マイコン151は、購入される商品の購入履歴を商品情報欄107cに表示し、その購入履歴によって決定される購入合計金額、消費税、預かり金額及び釣り銭金額を取引情報欄107dに表示する。また、マイコン151は、PLUグループタグAがタッチパネル109でタッチ選択された場合には、そのPLUグループが含む商品の商品情報をポップアップ表示する。ポップアップ表示された商品の商品情報がタッチパネル109でタッチ選択されると、その商品の商品コードが入力され、取引情報欄107dの表示が更新される。商品情報欄107cに表示される情報は、その商品情報欄107cに含まれているスクロールキーBによってスクロール可能である。」
(4b)
図10は、以下のとおりである。
【図10】

(5)甲5の記載事項等
本件特許の出願前に公知となった甲5には、図面と共に以下の事項が記載されている。
(5a)
「【0059】
図10は、オペレータ用表示器107における全画面表示の一例であり、図11は、単独モードでの顧客用表示器120における画面表示例を示す模式図である。
【0060】
図10に示すように、オペレータ用表示器107における全画面表示は、日付時刻や責任者等のような書誌情報を示す書誌情報欄107a、8種類のPLUグループをPLUグループタグAとして表示するPLUグループ欄107b、商品情報を表示する商品情報欄107c、購入合計金額と消費税と預かり金額と釣り銭金額とを表示する取引情報欄107d、及び割引入力欄107eを含む。
【0061】
マイコン151は、購入される商品の購入履歴を商品情報欄107cに表示し、その購入履歴によって決定される購入合計金額、消費税、預かり金額及び釣り銭金額を取引情報欄107dに表示する。また、マイコン151は、PLUグループタグAがタッチパネル109でタッチ選択された場合には、そのPLUグループが含む商品の商品情報をポップアップ表示する。ポップアップ表示された商品の商品情報がタッチパネル109でタッチ選択されると、その商品の商品コードが入力され、取引情報欄107dの表示が更新される。商品情報欄107cに表示される情報は、その商品情報欄107cに含まれているスクロールキーBによってスクロール可能である。」
(5b)
図10は、以下のとおりである。
【図10】

(6)甲6の記載事項等
本件特許の出願前に公知となった甲6には、図面と共に以下の事項が記載されている。
「【0042】
図3Aは、購入商品の登録状況をLCD表示器103に画面表示する商品登録画面の一例を示す画面図である。図3Aに示す商品登録画面は、タブを登録タブ21に切り替えると画面表示されるが、図3Aには、入店直後ではなく、買い物中であって、既に購入商品が登録されている状況を示している。画面左側には登録商品が一覧表示される商品登録211が、画面右側には、今登録しようとしている商品の詳細情報を示す商品情報212が表示される。商品登録211には、例えば、第1番目に既に商品登録された商品108として「1.AAAAAAAA XX個 Y,YYY円(税ZZZ円)」のように、商品名「AAAAAAAA」を数量「XX個」購入し、購入代金が消費税「ZZZ円」を含んで「Y,YYY円」であることが表示される。また、画面右側の商品情報212には、今登録しようとしている商品108の詳細情報として、品名「CCCCCCCC」の価格が「YYYY円」であり、さらに、内容量、販売元、原産地、消費期限、原材料、保存方法等の情報がスクロールバー付きで表示される。
・・・
【0045】
かくのごときステップS4ないしS7の登録商品の増減動作をICタグリーダ106にて常に監視し、登録した商品の増減があれば、その都度、LCD表示器103の商品登録画面の表示内容を更新する動作を繰り返す。お客様が、購入したい商品108の登録を全て終了して、購入商品の決済を行おうとする場合、LCD表示器103に画面表示した商品登録画面上のソフトウェアボタンである決済タブ24にタッチ操作を行うと(ステップS8のyes)、タッチパネル104により、決済タブ24のタッチ操作を検知して、決済機能を実施するために、まず、ETCカードがショッピングカート101のETC決済端末105に挿入されたままの状態が継続しているか否かを確認する(ステップS9)。」
(6b)
図3Aは、以下のとおりである。
【図3A】

(7)甲7の記載事項等
甲7は、甲8に示すように、インターネット検索サイトGoogleにおいて2014年8月23日に公表されたものと推認できるから、本件特許の出願日(2016年3月3日)前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となったものと認められる。
甲7には、以下の事項が記載されている。
(7a)
「Making a Sale(Back to Content)

・・・
Adding orders to receipt
Orders punched in will appear in receipt on the left immediately.
Orders will be sent to kitchen after "Hold Bill/Send Order", "Pay" or "Checkout" is clicked.」
(和訳)
「販売(目次に戻る)
・・・
レシートに注文を追加する
入力された注文は直ちに左側のレシートに表示されます。
注文は、「勘定書保留/注文送信」、「支払い」、または「チェックアウト」をクリックするとキッチンに送信されます。」
(7b)
「Transfer Takeaway bill to Dine In
If a bill has been hold without assigning a table, you could transfer the takeaway bill to dine in table.
If orders in the bill has price difference in dine in and takeaway, order's pricing will change.」
(和訳)
イートイン用勘定書をテイクアウトに転送
イートイン用勘定書をテイクアウト用勘定書に転送します。
イートインとテイクアウトで勘定書の注文に価格差がある場合、注文の価格が変更されます。」

2 申立理由1及び申立理由2について
2−1 本件発明1について
(1)対比
本件発明1と甲1発明Aとを対比する。

甲1発明Aの「コンピュータ構成の制御部21」は、「プログラムを実行することにより」、「商品コード受付部25と、販売登録部27と、表示制御部28」「として機能する」ものである。
そして、「商品コード受付部25」は、「商品コードを読み取って受け付け(ステップS1:Yes)」るものであり、「販売登録部27」は、「受付けた商品コードに対する」商品の「価格」に「税率設定データベースDBから読み込んだ税率を」「適用して税込み価格を計算し、商品の販売価格として登録」する「(ステップS7)」ものであり、「表示制御部28」は、「店員用ディスプレイ15、客用ディスプレイ16に、」「登録した各商品の」「税込み価格」「を表示」する「(ステップS8)」ものである。
ここで、甲1発明Aの「登録」は、その機能と役割からみて、本件発明1の「売上登録」に相当し、以下同様に、「商品コードを読み取って受け付け」ることは、「商品の指定を受け付ける」ことに、「税率設定データベースDBから読み込んだ税率」は、「所定の税率」に、それぞれ相当する。
また、甲1発明Aは、「現計キーが押下されていない間(ステップS9:No)は、ステップS1に戻ってステップS1〜S9の処理を全商品の販売登録が終わるまで続ける」ことから、上記の「ステップS1:Yes」、「ステップS7」及び「ステップS8」の処理を全商品の登録が終わるまで続けるものであり、「商品コードを読み取って受け付け」る(商品の指定を受け付ける)毎に、「各商品の」「税込み価格」の「表示」は、商品毎に更新表示されていくものであるといえる。
甲1発明Aの「税込み価格」と、本件発明1の「税込小計金額」とは、「税込金額」において共通している。
そうすると、甲1発明Aの「商品コードを読み取って受け付け(ステップS1:Yes)」る(商品の指定を受け付ける)「商品コード受付部25」と、「ステップS1で受付けた商品コードに対する商品名や価格を商品マスタM1から読み込んで、税率設定データベースDBから読み込んだ税率(所定の税率)を商品の価格に適用して税込み価格を計算し、商品の販売価格として登録し読み込んだ税率(所定の税率)を商品の価格に適用して税込み価格を計算し、商品の販売価格として登録(売上登録)」する「(ステップS7)」「販売登録部27」と、「店員用ディスプレイ15、客用ディスプレイ16に、販売登録部27が登録(売上登録)した各商品の商品名、価格、税込み価格(税込金額)、税率(所定の税率)等を表示(商品毎に更新表示)」する「(ステップS8)」「表示制御部28」「として機能するコンピュータ構成の制御部21」と、本件発明1の「売上登録する商品の指定を受け付ける毎に一取引における税込小計金額を、商品毎に所定の税率を適用して更新表示させる表示制御手段」とは、「売上登録する商品の指定を受け付ける毎に税込金額を、商品毎に所定の税率を適用して表示させる表示制御手段」において共通している。

甲1発明Aの「「EAT IN」キー」は、「所定の商品を店内で食べる(EAT IN)場合」に「押下され」るものであり、「「TAKE OUT」キー」は、「所定の商品を持ち帰る場合(TAKE OUT)場合」に「押下され」るものであり、これら2つのキーが押下されることで付加情報が付加し又は付加しないよう制御されるものであることから、これら2つのキーは、「EAT IN」又は「TAKE OUT」という商品の取引の形態を指定するためのキーであるということができるので、甲1発明Aの「「EAT IN」キー」及び「「TAKE OUT」キー」(これら2つのキー)は、本件発明1の「商品の取引を所定の取引形態として指定するための操作キー」に相当する。

(ア)
上記イを踏まえると、甲1発明Aの「「EAT IN」キーまたは「TAKE OUT」キーが押下された場合(ステップS1:No、ステップS11:Yes)」は、本件発明1の「商品に対応付けて前記操作キーが操作された場合」に相当する。
そして、甲1発明Aの「「EAT IN」キーまたは「TAKE OUT」キーが押下された場合(ステップS1:No、ステップS11:Yes)」に「適用」する「標準税率」又は「軽減税率(他の税率)」と、本件発明1の「前記操作キーが操作された場合」に「適用」する「第1の税率」とは、「操作キーに応じた税率」において共通している。
そうすると、甲1発明Aの「所定の商品を店内で食べる(EAT IN)場合には、標準税率を適用し、所定の商品を持ち帰る(TAKE OUT)場合には、軽減税率(他の税率)を適用するため、商品コードの読み取りに先立って、「EAT IN」キーまたは「TAKE OUT」キーが押下された場合(ステップS1:No、ステップS11:Yes)には、商品コード受付部25は、商品コードを読み取って受け付け(ステップS1:Yes)、読み取った商品コードに対して、持ち帰る(TAKE OUT)場合には付加情報を付加し、店内で食べる(EAT IN)場合には付加情報を付加しないように」することと、本件発明1の「売上登録する商品の指定を受け付けた際に当該商品に対応付けて前記操作キーが操作された場合には当該商品に対しては第1の税率を適用」することとは、「商品に対応付けて前記操作キーが操作された場合には当該商品に対しては前記操作キーに応じた税率を適用」することにおいて共通している。
(イ)
上記アを踏まえると、甲1発明Aの「商品コード受付部25は、商品コードを読み取って受け付け(ステップS1:Yes)」ることは、「売上登録する商品の指定を受け付けた際」に相当する。
甲1発明Aの「「EAT IN」キー及び「TAKE OUT」キーがいずれも押下されない場合(ステップS1:No、ステップS11:No)」の「ステップS1」及び「ステップS7」〜「ステップS10」の処理がされる「商品」は、本件発明1の「前記操作キーの操作が省かれた商品」に相当する。
甲1発明Aの「税率設定データベースDBから読み込んだ税率」(本件発明1の「所定の税率」に相当。上記アを参照。)と、本件発明1の「第2の税率」とは、「所定の税率」において共通している。
これらのことと、上記(ア)を踏まえると、甲1発明Aの「「EAT IN」キー及び「TAKE OUT」キーがいずれも押下されない場合(ステップS1:No、ステップS11:No)には、商品コード受付部25は、商品コードを読み取って受け付け(ステップS1:Yes)、販売登録部27は、ステップS1で受付けた商品コードに対する商品名や価格を商品マスタM1から読み込んで、税率設定データベースDBから読み込んだ税率を商品の価格に適用して税込み価格を計算し、商品の販売価格として登録し(ステップS7)」ていることと、本件発明1の「売上登録する商品の指定を受け付けた際に当該商品に対応付けた前記操作キーの操作が省かれた商品に対しては前記第1の税率とは異なる第2の税率を適用すること」とは、「売上登録する商品の指定を受け付けた際に当該商品に対応付けた前記操作キーの操作が省かれた商品に対しては所定の税率を適用すること」において共通している。
(ウ)
上記アを踏まえると、甲1発明Aの「(ステップS8)」で、「表示制御部28」が「店員用ディスプレイ15、客用ディスプレイ16に、販売登録部27が登録(売上登録)した各商品の商品名、価格、税込み価格(税込金額)、税率(所定の税率)等を表示(商品毎に更新表示)」することと、本件発明1の「前記操作キーに対する操作の有無に応じて前記税込小計金額の値が異なるように、前記税込小計金額を更新表示させること」とは、「前記税込金額を更新表示させること」において共通している。
(エ)
上記アにおける、甲1発明Aの「コンピュータ構成の制御部21」の「機能」に鑑みると、甲1発明Aの上記(ア)〜(ウ)における処理は、甲1発明Aの「コンピュータ構成の制御部21」(本件発明1の「表示制御手段」に相当。)が「プログラム」により実行していることが明らかであり、甲1発明Aの「コンピュータ構成の制御部21」が上記(ア)〜(ウ)の処理を実行することと、本件発明1の「前記表示制御手段は、売上登録する商品の指定を受け付けた際に当該商品に対応付けて前記操作キーが操作された場合には当該商品に対しては第1の税率を適用し、且つ、売上登録する商品の指定を受け付けた際に当該商品に対応付けた前記操作キーの操作が省かれた商品に対しては前記第1の税率とは異なる第2の税率を適用することにより、前記操作キーに対する操作の有無に応じて前記税込小計金額の値が異なるように、前記税込小計金額を更新表示させる」こととは、「前記表示制御手段は、商品に対応付けて前記操作キーが操作された場合には当該商品に対しては前記操作キーに応じた税率を適用し、且つ、売上登録する商品の指定を受け付けた際に当該商品に対応付けた前記操作キーの操作が省かれた商品に対しては所定の税率を適用することにより、前記税込金額を更新表示させる」ことにおいて共通している。

甲1発明Aの「プログラムを実行することにより、商品コード受付部25と、販売登録部27と、表示制御部28と、印刷制御部29として機能するコンピュータ構成の制御部21を備え、「EAT IN」キーや「TAKE OUT」キーが配置されているキーボード13が設けられ、レシート発行口18が正面側に形成され、店員用ディスプレイ15が取り付けられている、情報処理装置として適用されるPOS端末2」及び「上記の情報処理装置として適用されるPOS端末2」は、いずれも、本件発明1の「売上データ処理装置」に相当する。

以上を踏まえると、本件発明1と甲1発明Aとの一致点及び相違点は、以下のとおりである。
<一致点1>
「売上登録する商品の指定を受け付ける毎に税込金額を、商品毎に所定の税率を適用して更新表示させる表示制御手段と、
商品の取引を所定の取引形態として指定するための操作キーと、
を備え、
前記表示制御手段は、商品に対応付けて前記操作キーが操作された場合には当該商品に対しては前記操作キーに応じた税率を適用し、且つ、売上登録する商品の指定を受け付けた際に当該商品に対応付けた前記操作キーの操作が省かれた商品に対しては所定の税率を適用することにより、前記税込金額を更新表示させる売上データ処理装置。」
<相違点1−1>
表示制御手段で更新表示させる「税込金額」について、本件発明1では、「一取引における」税込「小計」金額であるのに対して、甲1発明Aでは、「各商品の」「税込み価格」である点。
<相違点2−1>
「商品に対応付けて前記操作キーが操作された場合」(つまり、操作キーが操作されるタイミング)について、本件発明1では、「売上登録する商品の指定を受け付けた際(つまり、後)に当該」商品に対応付けて操作キーが操作された場合であるのに対して、甲1発明Aでは、「商品コードの読み取りに先立って、「EAT IN」キーまたは「TAKE OUT」キーが押下された場合」である点。
<相違点3−1>
「操作キーに応じた税率」について、本件発明1では、「第1の税率」であるのに対して、甲1発明Aでは、「「EAT IN」キーまたは「TAKE OUT」キーが押下された場合」に、「所定の商品を店内で食べる(EAT IN)場合には、標準税率を適用し、所定の商品を持ち帰る(TAKE OUT)場合には、軽減税率(他の税率)を適用する」、要するに、標準税率又は軽減税率のいずれか一方である点。
<相違点4−1>
操作キーの操作が省かれた商品に対して適用する「所定の税率」及び「税込金額を更新表示させる」ことについて、本件発明1では、「第1の税率とは異なる第2の税率」であり、「前記操作キーに対する操作の有無に応じて前記税込小計金額の値が異なるように、」前記税込「小計」金額を更新表示させるのに対して、甲1発明Aでは、「税率設定データベースDBから読み込んだ税率」であり、「「EAT IN」キーまたは「TAKE OUT」キー」の「押下」の有無に応じて、税込小計金額の値が異なるようになるのか否か明らかでない点。

(2)判断
各相違点について、以下検討する。

上記相違点1−1〜4−1は、明らかに実質的な相違点であるから、本件発明1は甲1発明Aであるとはいえない。

次に、事案に鑑み、まず、相違点3−1と相違点4−1をまとめて検討する。
(ア)
甲1発明Aにおいて、本件発明の操作キーに相当する「EAT IN」キー及び「TAKE OUT」キーは、2種類のキーであり、「EAT IN」が押下された場合、標準税率を適用し、「TAKE OUT」が押下された場合、軽減税率を適用するものであり、ただ1つの共通する税率を適用するものとはなっておらず、「EAT IN」キー及び「TAKE OUT」キーそれぞれの機能からみれば、ただ1つの共通する税率(第1の税率)を適用するよう構成すること、要するに、甲1発明Aにおいて、標準税率又は軽減税率のいずれか一方を適用しているものを、軽減税率(第1の税率)だけを適用するようにすることには、動機付けはないし、むしろ阻害要因があるといえる。
(イ)
また、甲1発明Aにおいて、甲1の段落【0017】〜【0021】(摘記(1b))及び段落【0037】〜【0038】(摘記(1d))の記載によれば、「税率設定データベースDB」に記憶されている税率は、標準税率や軽減税率などを含むものとなっており、操作キーである「EAT IN」キーまたは「TAKE OUT」キー」が押下された場合に適用される標準税率や軽減税率と同じものを含むから、「「EAT IN」キーまたは「TAKE OUT」キーが押下された場合」に適用される税率(操作キーに応じた税率)と「税率設定データベースDBから読み込んだ税率」(所定の税率)が異なるものであるとはいえない。
さらに、甲1発明Aの「税率設定データベースDBから読み込んだ税率」(所定の税率)は、「EAT IN」キーや「TAKE OUT」キーを押下しない場合にも適用されるものであり、商品に応じて、通常は標準税率を適用し、食料品(例えば、バター)等の生活必需品について軽減税率を適用するものであるから、この所定の税率(標準税率ないし軽減税率)を、標準税率や軽減税率だけに設定したり、標準税率や軽減税率とは異なる税率ににあえて設定したりすること、要するに、甲1発明Aにおいて、標準税率や軽減税率を含む「税率設定データベースDBから読み込んだ税率」(所定の税率)を標準税率(第2の税率)とすることに、動機付けはないし、むしろ阻害要因があるといえる。
(ウ)
そして、甲2〜7をみても、上記相違点3−1及び相違点4−1に係る本件発明1の構成について何ら記載されておらず、そのような示唆があるということもできない。
さらに、仮に示唆があったとしても、上記(ア)、(イ)のとおりであるから、甲1発明Aに甲2〜7に記載された技術事項を適用して、上記相違点3−1及び相違点4−1に係る本件発明1の構成を想到することは、当業者が容易になし得たとはいえない。

以上のとおりであるから、本件発明1は、甲1発明Aであるとはいえないし、相違点1−1及び相違点2−1について検討するまでもなく、本件発明1は、甲1発明A及び甲2ないし甲7に記載に記載された技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

2−2 本件発明2及び3について
本件発明2及び3は、本件発明1の発明特定事項を全て含み、さらに請求項2及び3の発明特定事項をそれぞれ付加して限定したものであるから、上記2−1(2)と同じ理由により、甲1発明Aであるとはいえないし、甲1発明A及び甲2ないし甲7に記載された技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

2−3 本件発明4について
(1)対比
本件発明4と甲1発明Aとを対比する。

甲1発明Aの「コンピュータ構成の制御部21」は、「プログラムを実行することにより」、「商品コード受付部25と、販売登録部27と、表示制御部28」「として機能する」ものである。
そして、「商品コード受付部25」は、「商品コードを読み取って受け付け(ステップS1:Yes)」るものであり、「販売登録部27」は、「受付けた商品コードに対する」商品の「価格」に「税率設定データベースDBから読み込んだ税率を」「適用して税込み価格を計算し、商品の販売価格として登録」する「(ステップS7)」ものであり、「表示制御部28」は、「店員用ディスプレイ15、客用ディスプレイ16に、」「登録した各商品の」「税込み価格」「を表示」する「(ステップS8)」ものである。
ここで、甲1発明Aの「登録」は、その機能と役割からみて、本件発明4の「売上登録」に相当し、以下同様に、「商品コードを読み取って受け付け」ることは、「商品の指定を受け付ける」ことに、「税率設定データベースDBから読み込んだ税率」は、「所定の税率」に、それぞれ相当する。
また、甲1発明Aは、「現計キーが押下されていない間(ステップS9:No)は、ステップS1に戻ってステップS1〜S9の処理を全商品の販売登録が終わるまで続ける」ことから、上記の「ステップS1:Yes」、「ステップS7」及び「ステップS8」の処理を全商品の登録が終わるまで続けるものであり、「商品コードを読み取って受け付け」る(商品の指定を受け付ける)毎に、「各商品の」「税込み価格」の「表示」は、商品毎に更新表示されていくものであるといえる。
甲1発明Aの「税込み価格」と、本件発明4の「消費税合計額」とは、「消費税に関する額」において共通している。
そうすると、甲1発明Aの「商品コードを読み取って受け付け(ステップS1:Yes)」る(商品の指定を受け付ける)「商品コード受付部25」と、「ステップS1で受付けた商品コードに対する商品名や価格を商品マスタM1から読み込んで、税率設定データベースDBから読み込んだ税率(所定の税率)を商品の価格に適用して税込み価格を計算し、商品の販売価格として登録し読み込んだ税率(所定の税率)を商品の価格に適用して税込み価格を計算し、商品の販売価格として登録(売上登録)」する「(ステップS7)」「販売登録部27」と、「店員用ディスプレイ15、客用ディスプレイ16に、販売登録部27が登録(売上登録)した各商品の商品名、価格、税込み価格(消費税に関する額)、税率(所定の税率)等を表示(商品毎に更新表示)」する「(ステップS8)」「表示制御部28」「として機能するコンピュータ構成の制御部21」と、本件発明4の「売上登録する商品の指定を受け付ける毎に一取引における消費税合計額を、商品毎に所定の税率を適用して更新表示させる表示制御手段」とは、「売上登録する商品の指定を受け付ける毎に消費税に関する額を、商品毎に所定の税率を適用して表示させる表示制御手段」において共通している。

甲1発明Aの「「EAT IN」キー」は、「所定の商品を店内で食べる(EAT IN)場合」に「押下され」るものであり、「「TAKE OUT」キー」は、「所定の商品を持ち帰る場合(TAKE OUT)場合」に「押下され」るものであり、これら2つのキーが押下されることで付加情報が付加し又は付加しないよう制御されるものであることから、これら2つのキーは、「EAT IN」又は「TAKE OUT」という商品の取引の形態を指定するためのキーであるということができるので、甲1発明Aの「「EAT IN」キー」及び「「TAKE OUT」キー」(これら2つのキー)は、本件発明4の「商品の取引を所定の取引形態として指定するための操作キー」に相当する。

(ア)
上記イを踏まえると、甲1発明Aの「「EAT IN」キーまたは「TAKE OUT」キーが押下された場合(ステップS1:No、ステップS11:Yes)」は、本件発明4の「商品に対応付けて前記操作キーが操作された場合」に相当する。
そして、甲1発明Aの「「EAT IN」キーまたは「TAKE OUT」キーが押下された場合(ステップS1:No、ステップS11:Yes)」に「適用」する「標準税率」又は「軽減税率(他の税率)」と、本件発明4の「前記操作キーが操作された場合」に「適用」する「第1の税率」とは、「操作キーに応じた税率」において共通している。
そうすると、甲1発明Aの「所定の商品を店内で食べる(EAT IN)場合には、標準税率を適用し、所定の商品を持ち帰る(TAKE OUT)場合には、軽減税率(他の税率)を適用するため、商品コードの読み取りに先立って、「EAT IN」キーまたは「TAKE OUT」キーが押下された場合(ステップS1:No、ステップS11:Yes)には、商品コード受付部25は、商品コードを読み取って受け付け(ステップS1:Yes)、読み取った商品コードに対して、持ち帰る(TAKE OUT)場合には付加情報を付加し、店内で食べる(EAT IN)場合には付加情報を付加しないように」することと、本件発明4の「売上登録する商品の指定を受け付けた際に当該商品に対応付けて前記操作キーが操作された場合には当該商品に対しては第1の税率を適用」することとは、「商品に対応付けて前記操作キーが操作された場合には当該商品に対しては前記操作キーに応じた税率を適用」することにおいて共通している。
(イ)
上記アを踏まえると、甲1発明Aの「商品コード受付部25は、商品コードを読み取って受け付け(ステップS1:Yes)」ることは、「売上登録する商品の指定を受け付けた際」に相当する。
甲1発明Aの「「EAT IN」キー及び「TAKE OUT」キーがいずれも押下されない場合(ステップS1:No、ステップS11:No)」の「ステップS1」及び「ステップS7」〜「ステップS10」の処理がされる「商品」は、本件発明4の「前記操作キーの操作が省かれた商品」に相当する。
甲1発明Aの「税率設定データベースDBから読み込んだ税率」(本件発明4の「所定の税率」に相当。上記アを参照。)と、本件発明4の「第2の税率」とは、「所定の税率」において共通している。
これらのことと、上記(ア)を踏まえると、甲1発明Aの「「EAT IN」キー及び「TAKE OUT」キーがいずれも押下されない場合(ステップS1:No、ステップS11:No)には、商品コード受付部25は、商品コードを読み取って受け付け(ステップS1:Yes)、販売登録部27は、ステップS1で受付けた商品コードに対する商品名や価格を商品マスタM1から読み込んで、税率設定データベースDBから読み込んだ税率を商品の価格に適用して税込み価格を計算し、商品の販売価格として登録し(ステップS7)」ていることと、本件発明4の「売上登録する商品の指定を受け付けた際に当該商品に対応付けた前記操作キーの操作が省かれた商品に対しては前記第1の税率とは異なる第2の税率を適用すること」とは、「売上登録する商品の指定を受け付けた際に当該商品に対応付けた前記操作キーの操作が省かれた商品に対しては所定の税率を適用すること」において共通している。
(ウ)
上記アを踏まえると、甲1発明Aの「(ステップS8)」で、「表示制御部28」が「店員用ディスプレイ15、客用ディスプレイ16に、販売登録部27が登録(売上登録)した各商品の商品名、価格、税込み価格(消費税に関する額)、税率(所定の税率)等を表示(商品毎に更新表示)」することと、本件発明4の「前記操作キーに対する操作の有無に応じて前記消費税合計額の値が異なるように、前記消費税合計額を更新表示させること」とは、「前記消費税に関する額を更新表示させること」において共通している。
(エ)
上記アにおける、甲1発明Aの「コンピュータ構成の制御部21」の「機能」に鑑みると、甲1発明Aの上記(ア)〜(ウ)における処理は、甲1発明Aの「コンピュータ構成の制御部21」(本件発明4の「表示制御手段」に相当。)が「プログラム」により実行していることが明らかであり、甲1発明Aの「コンピュータ構成の制御部21」が上記(ア)〜(ウ)の処理を実行することと、本件発明4の「前記表示制御手段は、売上登録する商品の指定を受け付けた際に当該商品に対応付けて前記操作キーが操作された場合には当該商品に対しては第1の税率を適用し、且つ、売上登録する商品の指定を受け付けた際に当該商品に対応付けた前記操作キーの操作が省かれた商品に対しては前記第1の税率とは異なる第2の税率を適用することにより、前記操作キーに対する操作の有無に応じて前記消費税合計額の値が異なるように、前記消費税合計額を更新表示させる」こととは、「前記表示制御手段は、商品に対応付けて前記操作キーが操作された場合には当該商品に対しては前記操作キーに応じた税率を適用し、且つ、売上登録する商品の指定を受け付けた際に当該商品に対応付けた前記操作キーの操作が省かれた商品に対しては所定の税率を適用することにより、前記消費税に関する額を更新表示させる」ことにおいて共通している。

甲1発明Aの「プログラムを実行することにより、商品コード受付部25と、販売登録部27と、表示制御部28と、印刷制御部29として機能するコンピュータ構成の制御部21を備え、「EAT IN」キーや「TAKE OUT」キーが配置されているキーボード13が設けられ、レシート発行口18が正面側に形成され、店員用ディスプレイ15が取り付けられている、情報処理装置として適用されるPOS端末2」及び「上記の情報処理装置として適用されるPOS端末2」は、いずれも、本件発明4の「売上データ処理装置」に相当する。

以上を踏まえると、本件発明4と甲1発明Aとの一致点及び相違点は、以下のとおりである。
<一致点4>
「売上登録する商品の指定を受け付ける毎に消費税に関する額を、商品毎に所定の税率を適用して更新表示させる表示制御手段と、
商品の取引を所定の取引形態として指定するための操作キーと、
を備え、
前記表示制御手段は、商品に対応付けて前記操作キーが操作された場合には当該商品に対しては前記操作キーに応じた税率を適用し、且つ、売上登録する商品の指定を受け付けた際に当該商品に対応付けた前記操作キーの操作が省かれた商品に対しては所定の税率を適用することにより、前記消費税に関する額を更新表示させる売上データ処理装置。」
<相違点1−4>
表示制御手段で更新表示させる「消費税に関する額」について、本件発明4では、「一取引における消費税合計額」であるのに対して、甲1発明Aでは、「各商品の」「税込み価格」である点。
<相違点2−4>
「商品に対応付けて前記操作キーが操作された場合」(つまり、操作キーが操作されるタイミング)について、本件発明4では、「売上登録する商品の指定を受け付けた際(つまり、後)に当該」商品に対応付けて操作キーが操作された場合であるのに対して、甲1発明Aでは、「商品コードの読み取りに先立って、「EAT IN」キーまたは「TAKE OUT」キーが押下された場合」である点。
<相違点3−4>
「操作キーに応じた税率」について、本件発明4では、「第1の税率」であるのに対して、甲1発明Aでは、「「EAT IN」キーまたは「TAKE OUT」キーが押下された場合」に、「所定の商品を店内で食べる(EAT IN)場合には、標準税率を適用し、所定の商品を持ち帰る(TAKE OUT)場合には、軽減税率(他の税率)を適用する」、要するに、標準税率又は軽減税率のいずれか一方である点。
<相違点4−4>
操作キーの操作が省かれた商品に対して適用する「所定の税率」及び「消費税に関する額を更新表示させる」ことについて、本件発明4では、「第1の税率とは異なる第2の税率」であり、「前記操作キーに対する操作の有無に応じて前記消費税合計額の値が異なるように、前記消費税合計額」を更新表示させるのに対して、甲1発明Aでは、「税率設定データベースDBから読み込んだ税率」であり、「「EAT IN」キーまたは「TAKE OUT」キー」の「押下」の有無に応じて、消費税合計額の値が異なるようになるのか否か明らかでない点。

(2)判断
各相違点について、以下検討する。

上記相違点1−4〜4−4は、明らかに実質的な相違点であるから、本件発明4は甲1発明Aであるとはいえない。

次に、事案に鑑み、まず、相違点3−4と相違点4−4をまとめて検討する。
(ア)
甲1発明Aにおいて、本件発明の操作キーに相当する「EAT IN」キー及び「TAKE OUT」キーは、2種類のキーであり、「EAT IN」が押下された場合、標準税率を適用し、「TAKE OUT」が押下された場合、軽減税率を適用するものであり、ただ1つの共通する税率を適用するものとはなっておらず、「EAT IN」キー及び「TAKE OUT」キーそれぞれの機能からみれば、ただ1つの共通する税率(第1の税率)を適用するよう構成すること、要するに、甲1発明Aにおいて、標準税率又は軽減税率のいずれか一方を適用しているものを、軽減税率(第1の税率)だけを適用するようにすることには、動機付けはないし、むしろ阻害要因があるといえる。
(イ)
また、甲1発明Aにおいて、甲1の段落【0017】〜【0021】(摘記(1b))及び段落【0037】〜【0038】(摘記(1d))の記載によれば、「税率設定データベースDB」に記憶されている税率は、標準税率や軽減税率などを含むものとなっており、操作キーである「EAT IN」キーまたは「TAKE OUT」キー」が押下された場合に適用される標準税率や軽減税率と同じものを含むから、「「EAT IN」キーまたは「TAKE OUT」キーが押下された場合」に適用される税率(操作キーに応じた税率)と「税率設定データベースDBから読み込んだ税率」(所定の税率)が異なるものであるとはいえない。
さらに、甲1発明Aの「税率設定データベースDBから読み込んだ税率」(所定の税率)は、「EAT IN」キーや「TAKE OUT」キーを押下しない場合にも適用されるものであり、商品に応じて、通常は標準税率を適用し、食料品(例えば、バター)等の生活必需品について軽減税率を適用するものであるから、この所定の税率(標準税率ないし軽減税率)を、標準税率や軽減税率だけに設定したり、標準税率や軽減税率とは異なる税率ににあえて設定したりすること、要するに、甲1発明Aにおいて、標準税率や軽減税率を含む「税率設定データベースDBから読み込んだ税率」(所定の税率)を標準税率(第2の税率)とすることに、動機付けはないし、むしろ阻害要因があるといえる。
(ウ)
そして、甲2〜7をみても、上記相違点3−4及び相違点4−4に係る本件発明4の構成について何ら記載されておらず、そのような示唆があるということもできない。
さらに、仮に示唆があったとしても、上記(ア)、(イ)のとおりであるから、甲1発明Aに甲2〜7に記載された技術事項を適用して、上記相違点3−4及び相違点4−4に係る本件発明4の構成を想到することは、当業者が容易になし得たとはいえない。

以上のとおりであるから、本件発明4は、甲1発明Aであるとはいえないし、相違点1−4及び相違点2−4について検討するまでもなく、本件発明4は、甲1発明A及び甲2ないし甲7に記載に記載された技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

2−4 本件発明5について
本件発明5は、本件発明4の発明特定事項を全て含み、さらに請求項5の発明特定事項を付加して限定したものであるから、上記2−3(2)と同じ理由により、甲1発明Aであるとはいえないし、甲1発明A及び甲2ないし甲7に記載に記載された技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

2−5 本件発明6について
(1)対比
本件発明6と甲1発明Bとを対比する。

(ア)
甲1発明Bの「コンピュータ構成の制御部21」は、「プログラムを実行することにより、商品コード受付部25と、販売登録部27と、表示制御部28」「として機能」するものである。
そして、「商品コード受付部25」は、「商品コードを読み取って受け付け(ステップS1:Yes)」るものであり、「販売登録部27」は、「受付けた商品コードに対する」商品の「価格」に「税率設定データベースDBから読み込んだ税率を」「適用して税込み価格を計算し、商品の販売価格として登録」する「(ステップS7)」ものであり、「表示制御部28」は、「店員用ディスプレイ15、客用ディスプレイ16に、」「登録した各商品の」「税込み価格」「を表示」する「(ステップS8)」ものである。
ここで、甲1発明Bの「登録」は、その機能と役割からみて、本件発明6の「売上登録」に相当し、以下同様に、「商品コードを読み取って受け付け」ることは、「商品の指定を受け付ける」ことに、「税率設定データベースDBから読み込んだ税率」は、「所定の税率」に、それぞれ相当する。
また、甲1発明Bは、「現計キーが押下されていない間(ステップS9:No)は、ステップS1に戻ってステップS1〜S9の処理を全商品の販売登録が終わるまで続ける」ことから、上記の「ステップS1:Yes」、「ステップS7」及び「ステップS8」の処理を全商品の登録が終わるまで続けるものであり、「商品コードを読み取って受け付け」る(商品の指定を受け付ける)毎に、「各商品の」「税込み価格」の「表示」は、商品毎に更新表示されていくものであるといえる。
甲1発明Bの「税込み価格」と、本件発明6の「税込小計金額」とは、「税込金額」において共通している。
そうすると、甲1発明Bの「商品コードを読み取って受け付け(ステップS1:Yes)」る(商品の指定を受け付ける)「商品コード受付部25」と、「ステップS1で受付けた商品コードに対する商品名や価格を商品マスタM1から読み込んで、税率設定データベースDBから読み込んだ税率(所定の税率)を商品の価格に適用して税込み価格を計算し、商品の販売価格として登録し読み込んだ税率(所定の税率)を商品の価格に適用して税込み価格を計算し、商品の販売価格として登録(売上登録)」する「(ステップS7)」「販売登録部27」と、「店員用ディスプレイ15、客用ディスプレイ16に、販売登録部27が登録(売上登録)した各商品の商品名、価格、税込み価格(税込金額)、税率(所定の税率)等を表示(商品毎に更新表示)」する「(ステップS8)」「表示制御部28」「として機能するコンピュータ構成の制御部21」と、本件発明6の「売上登録する商品の指定を受け付ける毎に一取引における税込小計金額を、商品毎に所定の税率を適用して更新表示させる表示制御手段」とは、「売上登録する商品の指定を受け付ける毎に税込金額を、商品毎に所定の税率を適用して表示させる表示制御手段」において共通している。
(イ)
甲1発明Bの「「EAT IN」キーや「TAKE OUT」キーが配置されているキーボード13が設けられ、レシート発行口18が正面側に形成され、店員用ディスプレイ15が取り付けられている、情報処理装置として適用されるPOS端末2」は、本件発明6の「売上データ処理装置」に相当する。
甲1発明Bの「コンピュータ構成の制御部21」は、本件発明6の「コンピュータ」に相当する。
そうすると、甲1発明Bの「「EAT IN」キーや「TAKE OUT」キーが配置されているキーボード13が設けられ、レシート発行口18が正面側に形成され、店員用ディスプレイ15が取り付けられている、情報処理装置として適用されるPOS端末2が備える、コンピュータ構成の制御部21」は、本件発明6の「売上データ処理装置のコンピュータ」に相当する。
これらのことと、上記(ア)を踏まえると、甲1発明Bの「「EAT IN」キーや「TAKE OUT」キーが配置されているキーボード13が設けられ、レシート発行口18が正面側に形成され、店員用ディスプレイ15が取り付けられている、情報処理装置として適用されるPOS端末2が備える、コンピュータ構成の制御部21を、プログラムを実行することにより、商品コード受付部25と、販売登録部27と、表示制御部28と、印刷制御部29と、税率指定部31として機能させ」ることと、本件発明6の「売上データ処理装置のコンピュータを、売上登録する商品の指定を受け付ける毎に一取引における税込小計金額を、商品毎に所定の税率を適用して更新表示させる表示制御手段として機能させ」ることとは、「売上データ処理装置のコンピュータを、売上登録する商品の指定を受け付ける毎に税込金額を、商品毎に所定の税率を適用して更新表示させる表示制御手段として機能させ」ることにおいて共通している。

甲1発明Bの「「EAT IN」キー」は、「所定の商品を店内で食べる(EAT IN)場合」に「押下され」るものであり、「「TAKE OUT」キー」は、「所定の商品を持ち帰る場合(TAKE OUT)場合」に「押下され」るものであり、これら2つのキーが押下されることで付加情報が付加し又は付加しないよう制御されるものであることから、これら2つのキーは、「EAT IN」又は「TAKE OUT」という商品の取引の形態を指定するためのキーであるということができるので、甲1発明Bの「「EAT IN」キー」及び「「TAKE OUT」キー」(これら2つのキー)は、本件発明6の「商品の取引を所定の取引形態として指定するための操作キー」に相当する。

(ア)
上記イを踏まえると、甲1発明Bの「「EAT IN」キーまたは「TAKE OUT」キーが押下された場合(ステップS1:No、ステップS11:Yes)」は、本件発明6の「商品に対応付けて商品の取引を所定の取引形態として指定するための操作キーが操作された場合」に相当する。
そして、甲1発明Bの「「EAT IN」キーまたは「TAKE OUT」キーが押下された場合(ステップS1:No、ステップS11:Yes)」に「適用」する「標準税率」又は「軽減税率(他の税率)」と、本件発明6の「前記操作キーが操作された場合」に「適用」する「第1の税率」とは、「操作キーに応じた税率」において共通している。
そうすると、甲1発明Bの「所定の商品を店内で食べる(EAT IN)場合には、標準税率を適用し、所定の商品を持ち帰る(TAKE OUT)場合には、軽減税率(他の税率)を適用するため、商品コードの読み取りに先立って、「EAT IN」キーまたは「TAKE OUT」キーが押下された場合(ステップS1:No、ステップS11:Yes)には、商品コード受付部25は、商品コードを読み取って受け付け(ステップS1:Yes)、読み取った商品コードに対して、持ち帰る(TAKE OUT)場合には付加情報を付加し、店内で食べる(EAT IN)場合には付加情報を付加しないように」することと、本件発明6の「売上登録する商品の指定を受け付けた際に当該商品に対応付けて商品の取引を所定の取引形態として指定するための操作キーが操作された場合には当該商品に対しては第1の税率を適用」することとは、「商品に対応付けて商品の取引を所定の取引形態として指定するための操作キーが操作された場合には当該商品に対しては前記操作キーに応じた税率を適用」することにおいて共通している。
(イ)
上記アを踏まえると、甲1発明Bの「商品コード受付部25は、商品コードを読み取って受け付け(ステップS1:Yes)」ることは、「売上登録する商品の指定を受け付けた際」に相当する。
甲1発明Bの「「EAT IN」キー及び「TAKE OUT」キーがいずれも押下されない場合(ステップS1:No、ステップS11:No)」の「ステップS1」及び「ステップS7」〜「ステップS10」の処理がされる「商品」は、本件発明6の「前記操作キーの操作が省かれた商品」に相当する。
甲1発明Bの「税率設定データベースDBから読み込んだ税率」(本件発明6の「所定の税率」に相当。上記アを参照。)と、本件発明6の「第2の税率」とは、「所定の税率」において共通している。
これらのことと、上記(ア)を踏まえると、甲1発明Bの「「EAT IN」キー及び「TAKE OUT」キーがいずれも押下されない場合(ステップS1:No、ステップS11:No)には、商品コード受付部25は、商品コードを読み取って受け付け(ステップS1:Yes)、販売登録部27は、ステップS1で受付けた商品コードに対する商品名や価格を商品マスタM1から読み込んで、税率設定データベースDBから読み込んだ税率を商品の価格に適用して税込み価格を計算し、商品の販売価格として登録し(ステップS7)」ていることと、本件発明6の「売上登録する商品の指定を受け付けた際に当該商品に対応付けた前記操作キーの操作が省かれた商品に対しては前記第1の税率とは異なる第2の税率を適用すること」とは、「売上登録する商品の指定を受け付けた際に当該商品に対応付けた前記操作キーの操作が省かれた商品に対しては所定の税率を適用すること」において共通している。
(ウ)
上記アを踏まえると、甲1発明Bの「(ステップS8)」で、「表示制御部28」が「店員用ディスプレイ15、客用ディスプレイ16に、販売登録部27が登録(売上登録)した各商品の商品名、価格、税込み価格(税込金額)、税率(所定の税率)等を表示(商品毎に更新表示)」することと、本件発明6の「前記操作キーに対する操作の有無に応じて前記税込小計金額の値が異なるように、前記税込小計金額を更新表示させること」とは、「前記税込金額を更新表示させること」において共通している。
(エ)
上記アにおける、甲1発明Bの「コンピュータ構成の制御部21」の「機能」に鑑みると、甲1発明Bの上記(ア)〜(ウ)における処理は、甲1発明Bの「コンピュータ構成の制御部21」(本件発明6の「表示制御手段」に相当。)が「プログラム」により実行していることが明らかであり、甲1発明Bの「コンピュータ構成の制御部21」が上記(ア)〜(ウ)の処理を実行することと、本件発明6の「前記表示制御手段は、売上登録する商品の指定を受け付けた際に当該商品に対応付けて前記操作キーが操作された場合には当該商品に対しては第1の税率を適用し、且つ、売上登録する商品の指定を受け付けた際に当該商品に対応付けた前記操作キーの操作が省かれた商品に対しては前記第1の税率とは異なる第2の税率を適用することにより、前記操作キーに対する操作の有無に応じて前記税込小計金額の値が異なるように、前記税込小計金額を更新表示させる」こととは、「前記表示制御手段は、商品に対応付けて前記操作キーが操作された場合には当該商品に対しては前記操作キーに応じた税率を適用し、且つ、売上登録する商品の指定を受け付けた際に当該商品に対応付けた前記操作キーの操作が省かれた商品に対しては所定の税率を適用することにより、前記税込金額を更新表示させる」ことにおいて共通している。

甲1発明Bの「プログラム」は、本件発明6の「プログラム」に相当する。

以上を踏まえると、本件発明6と甲1発明Bとの一致点及び相違点は、以下のとおりである。
<一致点6>
「売上データ処理装置のコンピュータを、
売上登録する商品の指定を受け付ける毎に税込金額を、商品毎に所定の税率を適用して更新表示させる表示制御手段として機能させ、
前記表示制御手段は、商品に対応付けて商品の取引を所定の取引形態として指定するための操作キーが操作された場合には当該商品に対しては操作キーに応じた税率を適用し、且つ、売上登録する商品の指定を受け付けた際に当該商品に対応付けた前記操作キーの操作が省かれた商品に対しては所定の税率を適用することにより、前記税込金額を更新表示させるプログラム。」
<相違点1−6>
表示制御手段で更新表示させる「税込金額」について、本件発明6では、「一取引における」税込「小計」金額であるのに対して、甲1発明Bでは、「各商品の」「税込み価格」である点。
<相違点2−6>
「商品に対応付けて商品の取引を所定の取引形態として指定するための操作キーが操作された場合」(つまり、操作キーが操作されるタイミング)について、本件発明6では、「売上登録する商品の指定を受け付けた際(つまり、後)に当該」商品に対応付けて商品の取引を所定の取引形態として指定するための操作キーが操作された場合であるのに対して、甲1発明Bでは、「商品コードの読み取りに先立って、「EAT IN」キーまたは「TAKE OUT」キーが押下された場合」である点。
<相違点3−6>
「操作キーに応じた税率」について、本件発明6では、「第1の税率」であるのに対して、甲1発明Bでは、「「EAT IN」キーまたは「TAKE OUT」キーが押下された場合」に、「所定の商品を店内で食べる(EAT IN)場合には、標準税率を適用し、所定の商品を持ち帰る(TAKE OUT)場合には、軽減税率(他の税率)を適用する」、要するに、標準税率又は軽減税率のいずれか一方である点。
<相違点4−6>
操作キーの操作が省かれた商品に対して適用する「所定の税率」及び「税込金額を更新表示させる」ことについて、本件発明6では、「第1の税率とは異なる第2の税率」であり、「前記操作キーに対する操作の有無に応じて前記税込小計金額の値が異なるように、」前記税込「小計」金額を更新表示させるのに対して、甲1発明Bでは、「税率設定データベースDBから読み込んだ税率」であり、「「EAT IN」キーまたは「TAKE OUT」キー」の「押下」の有無に応じて、税込小計金額の値が異なるようになるのか否か明らかでない点。

(2)判断
各相違点について、以下検討する。

上記相違点1−6〜4−6は、明らかに実質的な相違点であるから、本件発明6は甲1発明Bであるとはいえない。

次に、事案に鑑み、まず、相違点3−6と相違点4−6をまとめて検討する。
相違点3−6に係る本件発明6の構成及び相違点4−6に係る本件発明6の構成は、上記2−1(2)イで検討した相違点3−1に係る本件発明1の構成及び相違点4−1に係る本件発明1の構成と同じであり、甲1発明Bは、実質的に甲1発明Aの構成を全て備えているプログラムである。
したがって、上記2−1(2)イで述べたことについて、「甲1発明A」、「相違点3−1」及び「相違点4−1」を、それぞれ、「甲1発明B」、「相違点3−6」及び「相違点4−6」に置き換えたとおりのことがいえるから、甲1発明Bに甲2〜7に記載された技術事項を適用して、上記相違点3−6及び相違点4−6に係る本件発明6の構成を想到することは、当業者が容易になし得たとはいえない。

以上のとおりであるから、本件発明6は、甲1発明Bであるとはいえないし、相違点1−6及び相違点2−6について検討するまでもなく、本件発明6は、甲1発明B及び甲2ないし甲7に記載に記載された技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

2−6 本件発明7について
(1)対比
本件発明7と甲1発明Bとを対比する。

(ア)
甲1発明Bの「コンピュータ構成の制御部21」は、「プログラムを実行することにより、商品コード受付部25と、販売登録部27と、表示制御部28」「として機能」するものである。
そして、「商品コード受付部25」は、「商品コードを読み取って受け付け(ステップS1:Yes)」るものであり、「販売登録部27」は、「受付けた商品コードに対する」商品の「価格」に「税率設定データベースDBから読み込んだ税率を」「適用して税込み価格を計算し、商品の販売価格として登録」する「(ステップS7)」ものであり、「表示制御部28」は、「店員用ディスプレイ15、客用ディスプレイ16に、」「登録した各商品の」「税込み価格」「を表示」する「(ステップS8)」ものである。
ここで、甲1発明Bの「登録」は、その機能と役割からみて、本件発明7の「売上登録」に相当し、以下同様に、「商品コードを読み取って受け付け」ることは、「商品の指定を受け付ける」ことに、「税率設定データベースDBから読み込んだ税率」は、「所定の税率」に、それぞれ相当する。
また、甲1発明Bは、「現計キーが押下されていない間(ステップS9:No)は、ステップS1に戻ってステップS1〜S9の処理を全商品の販売登録が終わるまで続ける」ことから、上記の「ステップS1:Yes」、「ステップS7」及び「ステップS8」の処理を全商品の登録が終わるまで続けるものであり、「商品コードを読み取って受け付け」る(商品の指定を受け付ける)毎に、「各商品の」「税込み価格」の「表示」は、商品毎に更新表示されていくものであるといえる。
甲1発明Bの「税込み価格」と、本件発明7の「消費税合計額」とは、「消費税に関する額」において共通している。
そうすると、甲1発明Bの「商品コードを読み取って受け付け(ステップS1:Yes)」る(商品の指定を受け付ける)「商品コード受付部25」と、「ステップS1で受付けた商品コードに対する商品名や価格を商品マスタM1から読み込んで、税率設定データベースDBから読み込んだ税率(所定の税率)を商品の価格に適用して税込み価格を計算し、商品の販売価格として登録し読み込んだ税率(所定の税率)を商品の価格に適用して税込み価格を計算し、商品の販売価格として登録(売上登録)」する「(ステップS7)」「販売登録部27」と、「店員用ディスプレイ15、客用ディスプレイ16に、販売登録部27が登録(売上登録)した各商品の商品名、価格、税込み価格(消費税に関する額)、税率(所定の税率)等を表示(商品毎に更新表示)」する「(ステップS8)」「表示制御部28」「として機能するコンピュータ構成の制御部21」と、本件発明7の「売上登録する商品の指定を受け付ける毎に一取引における消費税合計額を、商品毎に所定の税率を適用して更新表示させる表示制御手段」とは、「売上登録する商品の指定を受け付ける毎に消費税に関する額を、商品毎に所定の税率を適用して表示させる表示制御手段」において共通している。
(イ)
甲1発明Bの「「EAT IN」キーや「TAKE OUT」キーが配置されているキーボード13が設けられ、レシート発行口18が正面側に形成され、店員用ディスプレイ15が取り付けられている、情報処理装置として適用されるPOS端末2」は、本件発明7の「売上データ処理装置」に「相当する。
甲1発明Bの「コンピュータ構成の制御部21」は、本件発明7の「コンピュータ」に相当する。
そうすると、甲1発明Bの「「EAT IN」キーや「TAKE OUT」キーが配置されているキーボード13が設けられ、レシート発行口18が正面側に形成され、店員用ディスプレイ15が取り付けられている、情報処理装置として適用されるPOS端末2が備える、コンピュータ構成の制御部21」は、本件発明7の「売上データ処理装置のコンピュータ」に相当する。
これらのことと、上記(ア)を踏まえると、甲1発明Bの「「EAT IN」キーや「TAKE OUT」キーが配置されているキーボード13が設けられ、レシート発行口18が正面側に形成され、店員用ディスプレイ15が取り付けられている、情報処理装置として適用されるPOS端末2が備える、コンピュータ構成の制御部21を、プログラムを実行することにより、商品コード受付部25と、販売登録部27と、表示制御部28と、印刷制御部29と、税率指定部31として機能させ」ることと、本件発明7の「売上データ処理装置のコンピュータを、売上登録する商品の指定を受け付ける毎に一取引における消費税合計額を、商品毎に所定の税率を適用して更新表示させる表示制御手段として機能させ」ることとは、「売上データ処理装置のコンピュータを、売上登録する商品の指定を受け付ける毎に消費税に関する額を、商品毎に所定の税率を適用して更新表示させる表示制御手段として機能させ」ることにおいて共通している。

甲1発明Bの「「EAT IN」キー」は、「所定の商品を店内で食べる(EAT IN)場合」に「押下され」るものであり、「「TAKE OUT」キー」は、「所定の商品を持ち帰る場合(TAKE OUT)場合」に「押下され」るものであり、これら2つのキーが押下されることで付加情報が付加し又は付加しないよう制御されるものであることから、これら2つのキーは、「EAT IN」又は「TAKE OUT」という商品の取引の形態を指定するためのキーであるということができるので、甲1発明Bの「「EAT IN」キー」及び「「TAKE OUT」キー」(これら2つのキー)は、本件発明7の「商品の取引を所定の取引形態として指定するための操作キー」に相当する。

(ア)
上記イを踏まえると、甲1発明Bの「「EAT IN」キーまたは「TAKE OUT」キーが押下された場合(ステップS1:No、ステップS11:Yes)」は、本件発明7の「商品に対応付けて商品の取引を所定の取引形態として指定するための操作キーが操作された場合」に相当する。
そして、甲1発明Bの「「EAT IN」キーまたは「TAKE OUT」キーが押下された場合(ステップS1:No、ステップS11:Yes)」に「適用」する「標準税率」又は「軽減税率(他の税率)」と、本件発明7の「前記操作キーが操作された場合」に「適用」する「第1の税率」とは、「操作キーに応じた税率」において共通している。
そうすると、甲1発明Bの「所定の商品を店内で食べる(EAT IN)場合には、標準税率を適用し、所定の商品を持ち帰る(TAKE OUT)場合には、軽減税率(他の税率)を適用するため、商品コードの読み取りに先立って、「EAT IN」キーまたは「TAKE OUT」キーが押下された場合(ステップS1:No、ステップS11:Yes)には、商品コード受付部25は、商品コードを読み取って受け付け(ステップS1:Yes)、読み取った商品コードに対して、持ち帰る(TAKE OUT)場合には付加情報を付加し、店内で食べる(EAT IN)場合には付加情報を付加しないように」することと、本件発明7の「売上登録する商品の指定を受け付けた際に当該商品に対応付けて商品の取引を所定の取引形態として指定するための操作キーが操作された場合には当該商品に対しては第1の税率を適用」することとは、「商品に対応付けて商品の取引を所定の取引形態として指定するための操作キーが操作された場合には当該商品に対しては前記操作キーに応じた税率を適用」することにおいて共通している。
(イ)
上記アを踏まえると、甲1発明Bの「商品コード受付部25は、商品コードを読み取って受け付け(ステップS1:Yes)」ることは、「売上登録する商品の指定を受け付けた際」に相当する。
甲1発明Bの「「EAT IN」キー及び「TAKE OUT」キーがいずれも押下されない場合(ステップS1:No、ステップS11:No)」の「ステップS1」及び「ステップS7」〜「ステップS10」の処理がされる「商品」は、本件発明7の「前記操作キーの操作が省かれた商品」に相当する。
甲1発明Bの「税率設定データベースDBから読み込んだ税率」(本件発明7の「所定の税率」に相当。上記アを参照。)と、本件発明7の「第2の税率」とは、「所定の税率」において共通している。
これらのことと、上記(ア)を踏まえると、甲1発明Bの「「EAT IN」キー及び「TAKE OUT」キーがいずれも押下されない場合(ステップS1:No、ステップS11:No)には、商品コード受付部25は、商品コードを読み取って受け付け(ステップS1:Yes)、販売登録部27は、ステップS1で受付けた商品コードに対する商品名や価格を商品マスタM1から読み込んで、税率設定データベースDBから読み込んだ税率を商品の価格に適用して税込み価格を計算し、商品の販売価格として登録し(ステップS7)」ていることと、本件発明7の「売上登録する商品の指定を受け付けた際に当該商品に対応付けた前記操作キーの操作が省かれた商品に対しては前記第1の税率とは異なる第2の税率を適用すること」とは、「売上登録する商品の指定を受け付けた際に当該商品に対応付けた前記操作キーの操作が省かれた商品に対しては所定の税率を適用すること」において共通している。
(ウ)
上記アを踏まえると、甲1発明Bの「(ステップS8)」で、「表示制御部28」が「店員用ディスプレイ15、客用ディスプレイ16に、販売登録部27が登録(売上登録)した各商品の商品名、価格、税込み価格(消費税に関する額)、税率(所定の税率)等を表示(商品毎に更新表示)」することと、本件発明7の「前記操作キーに対する操作の有無に応じて前記消費税合計額の値が異なるように、前記消費税合計額を更新表示させること」とは、「前記消費税に関する額を更新表示させること」において共通している。
(エ)
上記アにおける、甲1発明Bの「コンピュータ構成の制御部21」の「機能」に鑑みると、甲1発明Bの上記(ア)〜(ウ)における処理は、甲1発明Bの「コンピュータ構成の制御部21」(本件発明7の「表示制御手段」に相当。)が「プログラム」により実行していることが明らかであり、甲1発明Bの「コンピュータ構成の制御部21」が上記(ア)〜(ウ)の処理を実行することと、本件発明7の「前記表示制御手段は、売上登録する商品の指定を受け付けた際に当該商品に対応付けて前記操作キーが操作された場合には当該商品に対しては第1の税率を適用し、且つ、売上登録する商品の指定を受け付けた際に当該商品に対応付けた前記操作キーの操作が省かれた商品に対しては前記第1の税率とは異なる第2の税率を適用することにより、前記操作キーに対する操作の有無に応じて前記消費税合計額の値が異なるように、前記消費税合計額を更新表示させる」こととは、「前記表示制御手段は、商品に対応付けて前記操作キーが操作された場合には当該商品に対しては前記操作キーに応じた税率を適用し、且つ、売上登録する商品の指定を受け付けた際に当該商品に対応付けた前記操作キーの操作が省かれた商品に対しては所定の税率を適用することにより、前記消費税に関する額を更新表示させる」ことにおいて共通している。

甲1発明Bの「プログラム」は、本件発明7の「プログラム」に相当する。

以上を踏まえると、本件発明7と甲1発明Bとの一致点及び相違点は、以下のとおりである。
<一致点7>
「売上データ処理装置のコンピュータを、
売上登録する商品の指定を受け付ける毎に消費税に関する額を、商品毎に所定の税率を適用して更新表示させる表示制御手段として機能させ、
前記表示制御手段は、商品に対応付けて商品の取引を所定の取引形態として指定するための操作キーが操作された場合には当該商品に対しては操作キーに応じた税率を適用し、且つ、売上登録する商品の指定を受け付けた際に当該商品に対応付けた前記操作キーの操作が省かれた商品に対しては所定の税率を適用することにより、前記消費税に関する額を更新表示させるプログラム。」
<相違点1−7>
表示制御手段で更新表示させる「消費税に関する額」について、本件発明7では、「一取引における消費税合計額」であるのに対して、甲1発明Bでは、「各商品の」「税込み価格」である点。
<相違点2−7>
「商品に対応付けて商品の取引を所定の取引形態として指定するための操作キーが操作された場合」(つまり、操作キーが操作されるタイミング)について、本件発明7では、「売上登録する商品の指定を受け付けた際(つまり、後)に当該」商品に対応付けて商品の取引を所定の取引形態として指定するための操作キーが操作された場合であるのに対して、甲1発明Bでは、「商品コードの読み取りに先立って、「EAT IN」キーまたは「TAKE OUT」キーが押下された場合」である点。
<相違点3−7>
「操作キーに応じた税率」について、本件発明7では、「第1の税率」であるのに対して、甲1発明Bでは、「「EAT IN」キーまたは「TAKE OUT」キーが押下された場合」に、「所定の商品を店内で食べる(EAT IN)場合には、標準税率を適用し、所定の商品を持ち帰る(TAKE OUT)場合には、軽減税率(他の税率)を適用する」、要するに、標準税率又は軽減税率のいずれか一方である点。
<相違点4−7>
操作キーの操作が省かれた商品に対して適用する「所定の税率」及び「消費税に関する額を更新表示させる」ことについて、本件発明7では、「第1の税率とは異なる第2の税率」であり、「前記操作キーに対する操作の有無に応じて前記消費税合計額の値が異なるように、前記消費税合計額」を更新表示させるのに対して、甲1発明Bでは、「税率設定データベースDBから読み込んだ税率」であり、「「EAT IN」キーまたは「TAKE OUT」キー」の「押下」の有無に応じて、消費税合計額の値が異なるようになるのか否か明らかでない点。

(2)判断
各相違点について、以下検討する。

上記相違点1−7〜4−7は、明らかに実質的な相違点であるから、本件発明7は甲1発明Bであるとはいえない。

次に、事案に鑑み、まず、相違点3−7と相違点4−7をまとめて検討する。
相違点3−7に係る本件発明7の構成及び相違点4−7に係る本件発明7の構成は、上記2−3(2)イで検討した相違点3−4に係る本件発明4の構成及び相違点4−4に係る本件発明4の構成と同じであり、甲1発明Bは、実質的に甲1発明Aの構成を全て備えているプログラムである。
したがって、上記2−3(2)イで述べたことについて、「甲1発明A」、「相違点3−4」及び「相違点4−4」を、それぞれ、「甲1発明B」、「相違点3−7」及び「相違点4−7」に置き換えたとおりのことがいえるから、甲1発明Bに甲2〜7に記載された技術事項を適用して、上記相違点3−7及び相違点4−7に係る本件発明7の構成を想到することは、当業者が容易になし得たとはいえない。

以上のとおりであるから、本件発明7は、甲1発明Bであるとはいえないし、相違点1−7及び相違点2−7について検討するまでもなく、本件発明7は、甲1発明B及び甲2ないし甲7に記載に記載された技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

2−7 申立人の主張について
申立人の主張は、要するに、甲1において、操作キーとして「TAKE OUT」キーだけを採用し、所定の税率として標準税率を採用すれば本件発明1を構成できるというものであるが、これは、取引形態に応じて税率を設定するために「EAT IN」キー及び「TAKE OUT」キーの両方を備えることを前提とした甲1に記載された技術とは関係なく、本件発明1の内容に沿うように甲1の各構成から都合のよいところだけを寄せ集めることができるというものであり、いわゆる「後知恵」によるものといわざるをえないものである。
上記のとおりであるが、仮に、甲1発明A、Bの操作キーとして「TAKE OUT」キーだけを採用し得たとしても、上記2−1(2)イ(イ)等で述べたとおりであるから、「TAKE OUT」キー(操作キー)の操作が省かれた商品であっても、日用品(例えば、バター)などのように軽減税率が適用されることがあり、必ず軽減税率(第1の税率)とは異なる標準税率(第2の税率)が適用されることにはならない。
よって、申立人の主張を採用することはできない。

3 まとめ
以上のとおり、本件発明1〜7は、甲1に記載された発明であるとはいえず、特許法第29条第1項第3号に該当しないから、本件発明1〜7に係る特許は、同法第29条第1項の規定に違反してされたものであるとはいえない。
また、本件発明1〜7は、甲1に記載された発明及び甲2〜甲7に記載された技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえないから、本件発明1〜7に係る特許は、同法第29条第2項の規定に違反してされたものであるとはいえない。
したがって、本件発明1〜7に係る特許は、同法第113条第2号に該当するものではなく、取り消されるべきものであるとはいえない。
よって、申立理由1及び申立理由2は、理由がない。

第5 むすび
以上のとおり、特許異議申立ての理由及び証拠によっては、請求項1〜7に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1〜7係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2022-02-08 
出願番号 P2016-041220
審決分類 P 1 651・ 121- Y (G07G)
P 1 651・ 113- Y (G07G)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 一ノ瀬 覚
特許庁審判官 芦原 康裕
出口 昌哉
登録日 2020-12-14 
登録番号 6809800
権利者 カシオ計算機株式会社
発明の名称 売上データ処理装置およびプログラム  
代理人 特許業務法人磯野国際特許商標事務所  

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