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審決分類 審判 全部無効 特36条4項詳細な説明の記載不備  F24F
審判 全部無効 2項進歩性  F24F
審判 全部無効 1項2号公然実施  F24F
審判 全部無効 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  F24F
審判 全部無効 1項3号刊行物記載  F24F
管理番号 1382591
総通号数
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2022-04-28 
種別 無効の審決 
審判請求日 2019-09-18 
確定日 2021-11-12 
訂正明細書 true 
事件の表示 上記当事者間の特許第6454813号発明「空気調和機」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第6454813号の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1について訂正することを認める。 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 
理由 第1 手続の経緯
本件特許第6454813号(以下「本件特許」という。)は、平成29年8月31日に出願された特願2018−108229号の一部を平成30年8月31日に新たな出願としたものであって、その請求項1に係る発明について、平成30年12月21日に特許権の設定登録がなされた。
これに対して、ハイセンスジャパン株式会社(以下「請求人」という。)から令和元年9月18日に、本件特許の請求項1に係る発明の特許について、無効審判が請求されたものであり、その後の手続は以下のとおりである。

令和 元年 9月18日 審判請求書
令和 元年12月23日 審判事件答弁書
令和 2年 1月 9日 手続補正書(方式)
令和 2年 2月19日 審理事項通知書
令和 2年 4月10日 口頭審理陳述要領書(請求人)
令和 2年 4月24日 口頭審理陳述要領書(被請求人)
令和 2年 5月 1日 営業秘密に関する申出書(請求人)
令和 2年 5月 1日 手続補正書(請求人)
令和 2年 5月28日 上申書(被請求人)
令和 2年 6月 4日 書面審理通知
令和 2年 7月27日 上申書(請求人)
令和 2年 8月 3日 上申書(請求人)及び営業秘密に関する申出書
令和 2年 8月31日 上申書(被請求人)
令和 2年 9月25日 上申書(請求人)
令和 2年10月 8日 上申書(被請求人)
令和 2年11月18日 審決の予告
令和 3年 1月21日 訂正請求書
令和 3年 2月24日 訂正請求副本送付通知(弁駁指令)
令和 3年 3月15日 上申書(請求人)
令和 3年 3月24日 手続中止通知書
令和 3年 5月 7日 手続中止解除通知書
令和 3年 5月17日 弁駁書
令和 3年 9月 3日 請求の理由の変更についての補正許否の決定
令和 3年 9月 3日 審理終結通知書

第2 本件訂正について
令和3年1月21日にされた訂正の請求(以下「本件訂正請求」といい、訂正の内容を「本件訂正」という。)について検討する。
1 訂正事項
本件訂正は、以下の訂正事項からなるものである(下線は当審が付した。)。
(1) 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に「前記制御部は、前記室内熱交換器を前記蒸発器として機能させ、前記室内熱交換器を凍結させ、」と記載されているのを、「前記制御部は、前記室内熱交換器を前記蒸発器として機能させ、前記室内熱交換器を凍結させ、その後、前記膨張弁の開度を大きくして前記室外熱交換器の前記冷媒を前記室内熱交換器に流入させることによって前記室内熱交換器の氷を溶かすことで、前記室内熱交換器を洗浄する処理を行うものであって、」に訂正する。
(2) 訂正事項2
願書に添付した明細書の【0006】に「前記制御部は、前記室内熱交換器を前記蒸発器として機能させ、前記室内熱交換器を凍結させ、」と記載されているのを、「前記制御部は、前記室内熱交換器を前記蒸発器として機能させ、前記室内熱交換器を凍結させ、その後、前記膨張弁の開度を大きくして前記室外熱交換器の前記冷媒を前記室内熱交換器に流入させることによって前記室内熱交換器の氷を溶かすことで、前記室内熱交換器を洗浄する処理を行うものであって、」に訂正する。
2 訂正の適否について
(1) 訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否について
ア 訂正事項1
(ア) 訂正の目的について
訂正前の請求項1では、「制御部」について、「前記制御部は、前記室内熱交換器を前記蒸発器として機能させ、前記室内熱交換器を凍結させ、」と記載されていたものを、「前記制御部は、前記室内熱交換器を前記蒸発器として機能させ、前記室内熱交換器を凍結させ」ることに加えて、「その後、前記膨張弁の開度を大きくして前記室外熱交換器の前記冷媒を前記室内熱交換器に流入させることによって前記室内熱交換器の氷を溶かすことで、前記室内熱交換器を洗浄する処理を行うものであ」るという特定事項を直列的に付加して、更に限定するものである。
したがって、訂正事項1は、特許法第134条の2第1項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものといえる。
(イ) 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であることについて
本件特許の願書に添付された明細書、特許請求の範囲及び図面(以下「本件特許明細書等」という。)には、次の事項が記載されている(下線は、理解の一助のために当審が付与した。また、「・・・」は、省略を意味する。以下、同様である。)。
「【0031】
・・・室内機30に取り込まれた空気に含まれる水分を室内熱交換器12で凍結させ、その後、室内熱交換器12の氷を溶かすことで、室内熱交換器12を洗浄するようにしている。このような一連の処理を、室内熱交換器12の「洗浄処理」という。」
「【0036】
・・・制御部Kは、室外膨張弁34の開度を大きくして室外熱交換器32にある冷媒を室内熱交換器12に流入させることによって、室内熱交換器12の表面の氷を溶かして解凍する。」
上記記載より、訂正事項1における「その後、前記膨張弁の開度を大きくして前記室外熱交換器の前記冷媒を前記室内熱交換器に流入させることによって前記室内熱交換器の氷を溶かすことで、前記室内熱交換器を洗浄する処理を行うものであ」る点は、本件特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではなく、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の事項であり、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するものといえる。
(ウ) 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないことについて
訂正事項1は、前記(ア)のとおり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではない。
よって、訂正事項1は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものといえる。
イ 訂正事項2
(ア) 訂正の目的について
訂正事項2は、上記訂正事項1に係る訂正に伴い特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合を図るための訂正である。
したがって、訂正事項2は、特許法第134条の2第1項ただし書第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものといえる。
(イ) 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であることについて
上記ア(イ)で検討したのと同様に、訂正事項2は、本件特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではなく、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の事項であり、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するものといえる。
(ウ) 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないことについて
訂正事項2は、前記(ア)のとおり、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではない。
よって、訂正事項2は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものといえる。
ウ 請求人の本件訂正に関する主張について
ウ−1 請求人は、令和3年5月17日の弁駁書において、本件訂正が訂正要件を満たしていない旨の概略、以下主張を行っている。
(ア) 訂正事項1の「前記膨張弁の開度を大きく」とは、何と比較して「開度を大きく」したものであり、どのような技術的意義を有するかが不明確であり、「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものではない(弁駁書4ページ)。
(イ) 訂正事項1の「熱交換器の氷を溶かす処理」において、「圧縮機及び室内ファンが停止状態」ではないことを特定しない場合には、訂正後の請求項1の「熱交換器の氷を溶かす処理」において「圧縮機及び室内ファンが停止状態を維持する」態様を包含するが、原特許(特許第6353998号)明細書の段落【0064】の「なお、図11に示す一連の処理に代えて、図10のタイムチャート(時刻t3〜t4)に示すように、圧縮機31や室内ファン14を停止状態で維持するようにしてもよい。室内熱交換器12を凝縮器として機能させずとも、室内熱交換器12の氷が室温で自然に溶けるからである。」及び図10において、「前記膨張弁の開度を大きくして前記室外熱交換器の前記冷媒を前記室内熱交換器に流入させる」ことの記載はないので、訂正事項1は、願書に最初に添付した明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものではない(弁駁書5〜8ページ)。
(ウ) 被請求人は、訂正事項1は、本件特許明細書の段落【0031】、及び段落【0036】の記載に基づいて導き出される構成とするが、段落【0036】の「例えば、制御部Kは、室外膨張弁34の開度を大きくして室外熱交換器32にある冷媒を室内熱交器12に流入させることによって、室内熱交換器12の表面の氷を溶かして解凍する。」との記載は、直前の「ステップS103において制御部Kは、室内熱交換器12を解凍する」との記載を受けた例示であり、ステップS103の存在を前提とする。この点、本件特許明細書の段落【0057】に「図11は、室内熱交換器12を解凍するための処理(図5のS103)を示すフローチャートである」とあるように、ステップS103は、段落【0064】が明示的に排除する図11記載の処理であって、段落【0036】の上記記載は、「前記処理の終了後、前記圧縮機及び前記室内ファンの停止状態を維持し」に関するものではないから、上記記載は、訂正事項1の根拠とはならない(弁駁書8ページ)。
(エ) 平成30年5月8日付の被請求人の意見書(甲6(当審注:本件における甲6は、後記のとおり、「ハイセンス家電グループ作成の2019年8月15日付け「HISENSE空気調和機製品の実験報告書」」である。))において、被請求人は、「前記処理の終了後、前記圧縮機及び前記室内ファンの停止状態を維持し、」との補正につき、本願発明によれば、室内熱交換器の解凍が進む速度(単位時間あたりの排水量)をあえてゆっくりにすることで新規な課題が解決されと述べているのに対し、本件特許明細書の段落【0036】には、「室外膨張弁の開度を大きくして室外熱交換器32にある冷媒を室内熱交換器12に流入させること ・・・ によって・・・室内熱交換器12の解凍を短時間で行うことができる」と記載されており、「前記膨張弁の開度を大きくして前記室外熱交換器にある前記冷媒が前記室内熱交換器に流入させ」との発明特定要素は、本件特許発明とは真逆の作用効果を有し、被請求人の主張する技術的課題を解決しない。このことは、本件特許明細書の段落【0064】における図11記載の一連の処理の排除とも符合し、審査経過に照らしても、訂正事項1は、本件特許明細書の段落【0036】に記載した事項の範囲内においてしたものではない(弁駁書8、9ページ)。
ウ−2 以下に、それぞれ検討する。
(ア) 訂正事項1の「前記膨張弁の開度を大きく」について、訂正後の請求項1は、「前記制御部は、前記室内熱交換器を前記蒸発器として機能させ、前記室内熱交換器を凍結させ、その後、前記膨張弁の開度を大きくして前記室外熱交換器の前記冷媒を前記室内熱交換器に流入させることによって前記室内熱交換器の氷を溶かすことで、前記室内熱交換器を洗浄する処理を行うものであって」と特定されており、まず、「前記制御部は、前記室内熱交換器を前記蒸発器として機能させ、前記室内熱交換器を凍結させ」た後に、「前記膨張弁の開度を大きくして前記室外熱交換器の前記冷媒を前記室内熱交換器に流入させる」と特定されているから、「前記膨張弁の開度」は、文章の前後のつながりからみて、「前記制御部は、前記室内熱交換器を前記蒸発器として機能させ、前記室内熱交換器を凍結させ」たときと比較して、大きくすることが明らかである。
よって、この点についての、請求人の主張は採用できない。
(イ) 訂正事項1の「前記制御部は、前記室内熱交換器を前記蒸発器として機能させ、前記室内熱交換器を凍結させ、その後、前記膨張弁の開度を大きくして前記室外熱交換器の前記冷媒を前記室内熱交換器に流入させることによって前記室内熱交換器の氷を溶かすことで、前記室内熱交換器を洗浄する処理を行うものであ」ることについて、本件特許明細書の図5に示される空気調和機の制御部が実行する洗浄処理のフローチャートにおける一般的な手順に関して、本件特許明細書には、以下に事項が記載されている。
「【0031】
・・・室内機30に取り込まれた空気に含まれる水分を室内熱交換器12で凍結させ、その後、室内熱交換器12の氷を溶かすことで、室内熱交換器12を洗浄するようにしている。このような一連の処理を、室内熱交換器12の「洗浄処理」という。」
「【0036】
・・・制御部Kは、室外膨張弁34の開度を大きくして室外熱交換器32にある冷媒を室内熱交換器12に流入させることによって、室内熱交換器12の表面の氷を溶かして解凍する。」
そして、【0031】、【0036】の記載に基づけば、「熱交換器の氷を溶かす処理」において、圧縮機及び室内ファンの運転状態について限定するものではなく、さらに、一例である図10の圧縮機及び室内ファンのON/OFFの切替えに関する説明図では、解凍時に圧縮機及び室内ファンがOFFになっていることを踏まえれば、「熱交換器の氷を溶かす処理」において「圧縮機及び室内ファンが停止状態を維持する」態様を包含するとしても、新たな技術的事項を導入するものとはいえない。
よって、訂正事項1は、本件特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものでない。
なお、訂正事項1は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、そうすると、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第5項では、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしなければならないと規定されるのであって、請求人の主張する「願書に最初に添付した明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものでない」こととは、関係がない。
よって、請求人の主張は採用できない。
(ウ) 本件特許明細書の【0064】には、「なお、図11に示す一連の処理に代えて、図10のタイムチャート(時刻t3〜t4)に示すように、圧縮機31や室内ファン14を停止状態で維持するようにしてもよい。室内熱交換器12を凝縮器として機能させずとも、室内熱交換器12の氷が室温で自然に溶けるからである。これによって、室内熱交換器12の解凍に要する消費電力を低減できる。また、上下風向板19(図2参照)の内側に水滴が付くことを抑制できる。」と記載され、ステップS103の解凍するための処理を、圧縮機及び室内ファンをOFFにして(停止して)行い、その際に室内熱交換器12を凝縮器として機能させないものが記載されている。
加えて、図5の各ステップについて述べる【0036】の「ステップS103において制御部Kは、室内熱交換器12を解凍する。例えば、制御部Kは、室外膨張弁34の開度を大きくして室外熱交換器32にある冷媒を室内熱交換器12に流入させることによって、室内熱交換器12の表面の氷を溶かして解凍する。この際、室外膨張弁34の開度を全開にすることが望ましい。これによって、室外熱交換器32に存在していた温かい冷媒が室内熱交換器12に導かれるため、室内熱交換器12の解凍を短時間で行うことができる。」こと、これに続く、「なお、室内熱交換器12を凝縮器として機能させることによって、室内熱交換器12の表面の氷を溶かして解凍するようにしてもよい。」との記載からみて、前者の制御部Kが、室外膨張弁34の開度を大きくして室外熱交換器32にある冷媒を室内熱交換器12に流入させることは、室内熱交換器12を凝縮器として機能させないで行う解凍するための処理についていうものである。
そうすると、室内熱交換器12を凝縮器として機能させないで行う解凍処理である【0036】の「室外膨張弁34の開度を大きくして室外熱交換器32にある冷媒を室内熱交換器12に流入させることによって、室内熱交換器12の表面の氷を溶かして解凍する」ことは、ステップ103を図10の圧縮機31や室内ファン14を停止状態で維持するものに代えたものも含むものと理解できる。
よって、請求人の上記主張は採用できない。
(エ) 上記(イ)で検討したとおり、訂正事項1は、本件特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものでない。請求人の上記「ウ ウ−1(エ)」の主張について、甲6は、後記のとおり、「ハイセンス家電グループ作成の2019年8月15日付け「HISENSE空気調和機製品の実験報告書」」であり、本件無効事件2019−800071号の他の証拠にも、被請求人の意見書に記載された内容のものはなく、甲6を考慮しても、「ウ ウ−1(エ)」の意見書についての主張は採用できない。
そして、訂正前の請求項1に係る発明は、「圧縮機、凝縮器、膨張弁、及び蒸発器を順次に介して冷媒が循環する冷媒回路と、
少なくとも前記圧縮機及び前記膨張弁を制御する制御部と、
室内の温度を検出する室内温度センサと、を備え、
前記凝縮器及び前記蒸発器の一方は室外熱交換器であり、他方は室内熱交換器であり、
前記制御部は、
前記室内熱交換器を前記蒸発器として機能させ、前記室内熱交換器を凍結させ、
前記室内熱交換器の凍結では室内ファンを停止させるか、又は、前記室内ファンの駆動と停止を交互に行い、
通常の空調運転時、前記室内温度センサの検出値を各機器の制御に用い、
前記室内熱交換器の凍結時、前記室内温度センサの検出値を前記各機器の制御に用いない
ことを特徴とする空気調和機。」と特定されていて、熱交換器の氷を溶かすことについて特定していないものについて、「その後、前記膨張弁の開度を大きくして前記室外熱交換器の前記冷媒を前記室内熱交換器に流入させることによって前記室内熱交換器の氷を溶かすことで、前記室内熱交換器を洗浄する処理を行うものであって、」と特定することは、上記「ウ−2(イ)」のとおり、本件特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものでないから、請求人の主張は採用できない。
(2) 独立特許要件
本件において、訂正前の請求項1について無効審判の請求の対象とされているので、訂正前の請求項1に係る訂正事項1に関して、特許法第134条の2第9項の規定により読み替えて準用される同法第126条第7項に規定される独立特許要件は課されない。
訂正事項2は、特許法第126条第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正、同第2号に規定する誤記又は誤訳の訂正を目的とする訂正のいずれでもない。
したがって、特許法第134条の2第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項に規定される独立特許要件は課されない。
3 本件訂正についての小括
以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第134条の2ただし書第1号又は第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第3項並びに第9項において準用する同法第126条第4項、第5項及び第6項の規定に適合するものである。
よって、本件特許の明細書、及び特許請求の範囲を、訂正請求書に添付した訂正明細書、特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1について訂正することを認める。

第3 本件発明
本件訂正後の請求項1に係る発明は、以下のとおりの発明である(なお、請求項1に係る発明を、以下、「本件特許発明1」という。)。
「【請求項1】
圧縮機、凝縮器、膨張弁、及び蒸発器を順次に介して冷媒が循環する冷媒回路と、
少なくとも前記圧縮機及び前記膨張弁を制御する制御部と、
室内の温度を検出する室内温度センサと、を備え、
前記凝縮器及び前記蒸発器の一方は室外熱交換器であり、他方は室内熱交換器であり、
前記制御部は、
前記室内熱交換器を前記蒸発器として機能させ、前記室内熱交換器を凍結させ、その後、前記膨張弁の開度を大きくして前記室外熱交換器の前記冷媒を前記室内熱交換器に流入させることによって前記室内熱交換器の氷を溶かすことで、前記室内熱交換器を洗浄する処理を行うものであって、
前記室内熱交換器の凍結では室内ファンを停止させるか、又は、前記室内ファンの駆動と停止を交互に行い、
通常の空調運転時、前記室内温度センサの検出値を各機器の制御に用い、
前記室内熱交換器の凍結時、前記室内温度センサの検出値を前記各機器の制御に用いない
ことを特徴とする空気調和機。」

第4 審判請求人の主張
1 無効理由
請求人は、「特許第6454813号発明の特許請求の範囲の請求項1に記載された発明についての特許を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする、」との審決を求め、以下の無効理由を主張している(以下、「甲第1号証」等を「甲1」等と呼ぶ。)。
なお、令和3年5月17日付け審判事件弁駁書において、審判請求の理由は変更されたが、当審は、令和3年9月3日に補正許否の決定をし、当該変更を認めた。
1−1 審判請求書における無効理由の概要
(1) 無効理由1(甲1を主引例とする、特許法第29条第1項第3号、第2項。)
ア 本件特許発明1は、本件特許に係る特許出願の出願前に頒布された刊行物である甲1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項3号に該当し、特許を受けることができないものであり、その特許は同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。
イ 本件特許発明1は、本件特許に係る特許出願の出願前に頒布された刊行物である甲1に記載された発明及び周知慣用技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。
(2) 無効理由2(甲2を主引例とする、特許法第29条第1項第3号、第2項。)
ア 本件特許発明1は、本件特許に係る特許出願の出願前に頒布された刊行物である甲2に記載された発明であるから、特許法第29条第1項3号に該当し、特許を受けることができないものであり、その特許は同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。
イ 本件特許発明1は、本件特許に係る特許出願の出願前に頒布された刊行物である甲2に記載された発明及び周知慣用技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。
(3) 無効理由3(甲3を主引例とする、特許法第29条第1項第3号、第2項。)
ア 本件特許発明1は、本件特許に係る特許出願の出願前に頒布された刊行物である甲3に記載された発明であるから、特許法第29条第1項3号に該当し、特許を受けることができないものであり、その特許は同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。
イ 本件特許発明1は、本件特許に係る特許出願の出願前に頒布された刊行物である甲3に記載された発明及び周知慣用技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。
(4) 無効理由4(甲4を主引例とする、特許法第29条第1項第3号、第2項。)
ア 本件特許発明1は、本件特許に係る特許出願の出願前に頒布された刊行物である甲4に記載された発明であるから、特許法第29条第1項3号に該当し、特許を受けることができないものであり、その特許は同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。
イ 本件特許発明1は、本件特許に係る特許出願の出願前に頒布された刊行物である甲4に記載された発明及び周知慣用技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。
(5) 無効理由5(甲6を主引例として、特許法第29条第1項第2号、第2項)
ア 本件特許発明1は、その出願前に公然実施された空気調和機KFR−35GW/A8Q200H−A1(1P41)(室内機KFR−35G/A8Q200H−A1(1P41)及び室外機KFR−35W/1P41−H1A1)に係る発明と同じものであり、特許法第29条第1項第2号の規定により特許を受けることができないから、その特許は同法第123条第1項第2号の規定により、無効とすべきである。
イ 本件特許発明1は、その出願前に公然実施された空気調和機KFR−35GW/A8Q200H−A1(1P41)(室内機KFR−35G/A8Q200H−A1(1P41)及び室外機KFR−35W/1P41−H1A1)に係る発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。
(6) 無効理由6(特許法第36条第4項第1号
本件特許発明1の「室内温度センサ」は、「人検出部」の機能を果たすから、人が存在する室内に向けて、室内機の外側に設けられるものであり、室内熱交換器の熱輻射の影響を受けるものではないのに、「室内熱交換器12が凍結(又は結露)しているとき、その熱輻射の影響で、室内温度センサ24aの検出誤差が大きくなる可能性がある。つまり、室内空気の実際の温度よりも、室内温度センサ24aの検出値のほうが低くなる可能性がある。」(【0115】)と矛盾した記載があり、技術的な意味が不明で当業者により実施不能である。
よって、請求項1に係る特許は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、その特許は同法第123条第1項第4号に該当し、無効とすべきものである。
(7) 無効理由7(特許法第36条第6項第2号
ア 本件特許発明1の「各機器」は、本件特許の明細書(以下「本件特許明細書」という。)の記載を参酌しても特定されておらず、意味内容が不明確であるから、請求項1に係る特許は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、その特許は同法第123条第1項第4号に該当し、無効とすべきものである。
イ 本件特許発明1の「室内熱交換器の凍結」は、本件特許明細書の記載を参酌しても、「室内熱交換器を凍結する運転」か、それとも運転の結果としての「室内熱交換器の凍結状態」か、意味内容が不明確であるから、請求項1に係る特許は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、その特許は同法第123条第1項第4号に該当し、無効とすべきものである。
ウ 本件特許発明1の「室内温度センサ」は、室内機の外側に設けられるものか、室内熱交換器の近傍に設けられるものかが不明確であるから、請求項1に係る特許は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、その特許は同法第123条第1項第4号に該当し、無効とすべきものである。
(8) 無効理由8(特許法第36条第6項第1号
本件特許明細書には、通常運転時に室内温度センサの検出値を何らかの機器の制御に用いる旨の記載は一切なく、本件特許発明1の発明特定事項「通常の空調運転時、前記室内温度センサの検出値を各機器の制御に用い、」は、本件特許明細書の記載に基づくものといえないから、請求項1に係る特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、その特許は同法第123条第1項第4号に該当し、無効とすべきものである。

なお、上記(3)、(4)の特許法第29条第1項第3号についての無効理由は、令和2年4月10日 口頭審理陳述要領書(請求人)において、追加して主張されたものであるが、審判請求書において、上記(3)について、甲3に基づく特許法第29条第2項の無効理由が、上記(4)について、甲4に基づく特許法第29条第2項の無効理由が、それぞれ主張されていて、根拠となる事実関係の記載の追加はなく、また、甲3及び甲4に基づく特許法第29条第2項の判断において、一致点及び相違点を抽出する際に、特許法第29条第1項第3号について、実質的に判断していることになるから、審判請求書の要旨を変更するものではないので、これを認めた。

1−2 令和3年5月17日付け弁駁書における無効理由の概要(令和3年9月3日の請求の理由の変更についての補正許否の決定により許可されたもの。)
(1) 無効理由2’(甲2を主引用とする、特許法第29条第2項
本件特許発明1は、本件特許に係る特許出願の出願前に頒布された刊行物である甲2に記載された発明、甲13に記載された事項及び周知慣用技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。
(2) 無効理由3’(甲3を主引例とする、特許法第29条第2項。)
本件特許発明1は、甲3に記載された発明、甲2に記載された事項及び周知慣用技術、又は、甲3に記載された発明、甲13に記載された事項及び周知慣用技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。
(3) 無効理由4’(甲4を主引例とする、特許法第29条第2項。)
本件特許発明1は、本件特許に係る特許出願の出願前に頒布された刊行物である甲4に記載された発明、甲2に記載された事項及び周知慣用技術、又は、甲4に記載された発明、甲13に記載された事項及び周知慣用技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。
(4) 無効理由6’(特許法第36条第4項第1号
本件特許発明1は、上記「第2 2(1)ウ ウ−1」の点で、不明確であり、明細書に記載されていない態様を包含するものである。
よって、請求項1に係る特許は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、その特許は同法第123条第1項第4号に該当し、無効とすべきものである。
(5)無効理由8’(特許法第36条第6項第1号
上記「第2 2(1)ウ ウ−1」の点で本件特許発明1は、不明確であり、明細書に記載されていない態様を包含するものであるから、請求項1に係る特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、その特許は同法第123条第1項第4号に該当し、無効とすべきものである。

(証拠方法)
甲1:中国特許出願公開第106556107号明細書
甲2:中国特許出願公開第105605742号明細書
甲3:中国特許出願公開第106556106号明細書
甲4:特開2010−14288号公報
甲5:2017年4月1日付け山東省国家税務局共通印刷領収書
甲6:ハイセンス家電グループ作成の2019年8月15日付け「HISENS
E空気調和機製品の実験報告書」
甲7:使用安装説明書 スプリット型壁掛け式ルームエアコンKFR-26GW/A
8Q200H-A1(IN23)・KFR-35GW/A8Q200H-A1(IP41)、Hisense(山東)空調有 限公司
甲8:東京税関長に宛てた令和元年11月8日付けの専門委員が作成した
「意見書」
甲9:家電Watchホームページ「現代家電の基礎用語第7回インバー
ターエアコンとは」のプリントアウト
甲10:スマートジャパンホームページ「買い替え周期に合わせて開発、
交換で消費電力が80%減ることも」のプリントアウト
甲11:「エアコン技術発展の系統化調査」、国立科学博物館技術の系統
化調査報告、Vol.24、2017年3月
甲12:エネチェンジホームページ「でんきと暮らしの知恵袋 エアコン
の選び方は?2016年冬の最新おすすめエアコン比較まとめ」のプリン トアウト
甲13:中国特許出願公開第106594976号明細書
甲14:中国特許第100582642号明細書
甲15:中国特許出願公開第105486164号明細書
甲16:甲5の翻訳文
甲17:2019年12月28日付け日照凌雲工貿有限公司作成の「声明
」と題する文書
甲18:中国製造網ホームページ「日照凌雲工貿有限公司」のプリントア
ウト
甲19:魅力日照ホームページ「サービスは下げません 凌雲家電城6月
30日に年内半額」のプリントアウト
甲20:2020年1月10日付けで個人が作成した「声明」と題する文

甲21:2020年1月10日付けで個人が作成した「公証材料」と題す
る文書
甲22:凌雲家電城服務手冊
甲23の1:2020年1月20日付けで中華人民共和国山東省日照市陽
光公証処公証人作成の「公証書」
甲23の2:公証書の添付ディスク
甲24:京橋公証役場公証人作成の公正証書
甲25:2020年1月20日付けの海信家電集団従業員作成の「ハイセ
ンス空気調和機製品の実験報告書」
甲26:2020年1月5日付けの海信家電集団従業員作成の「ハイセン
ス空気調和機製品の実験報告書2」
甲27:東京税関長にあてた令和元年9月19日付けの「陳述要領書」
甲28:東京地方裁判所民事第40部1B係にあてた「本訴被告(反訴原
告)第1準備書面」
甲29:請求人代理人が作成した乙4の抄訳
甲30:請求人代理人が作成した乙5の抄訳
甲31:請求人代理人が作成した乙6の抄訳
甲32:小学館「中日辞典第2版」708、709、1684、1685
ページ
甲33:東京税関長にあてた令和元年11月6日付けの「意見書」
甲34:KFR−26GW/A8Q200H−A1(IN23)及びKF
R−35GW/A8Q200H−A1(IP41)の使用・据付説明書
甲35:小杉直史、「中国の税務行政」(税大ジャーナル5)、2007
年6月、163ページ〜179ページ
甲36:2017年4月1日付け山東省国家税務局共通印刷インボイス
甲37:映像を記録したディスク
甲38:令和2年5月25日付けで請求人代理人が作成した「映像報告書

甲39:2020年7月2日付けで中華人民共和国山東省日照市陽光公証
処公証人作成の「公証書」
甲40:中国国家税務総局山東省税務局のホームページの「発票流向査詢
」のプリントアウト
甲41:中国国家税務総局山東省税務局のホームページの「新版普通発票
真偽査詢」のプリントアウト
甲42:上海成和ビジネスコンサルティング有限公司、「知っているよう
で本当は知らないEtc.〜『公章(公印)』と『法人章(法人代表印) 』、成和−上海快報、Vol.2012−07、2012年7月31日
甲43:ツーチャイナのホームページ「中国で会社印(公章)作成、公安
局指定業者にて!」のプリントアウト
甲44:蘇寧易購ホームページ「海信空調KER−35GW/A8Q20
0H−A1(1P41)結露・浸透・包摂技術 膨張剥離技術 快速融解 技術」のプリントアウト
甲45:蘇寧易購ホームページ「海信空調KER−35GW/A8Q20
0H−A1(1P41)包装ユニット 発売時期」のプリントアウト
甲46:東京地方裁判所民事第40部1B係にあてた「本訴被告(反訴原
告)第4準備書面(差替版)」
甲47:東京地方裁判所民事第40部1B係にあてた「本訴被告(反訴原
告)第2準備書面」
甲48:平成30年10月29日付けの上申書
甲49:中国国家税務総局山東省税務局のウエブサイトの「発票流向査詢
」のプリントアウト
甲50:瀬戸和晃の情報ブログ「成功のための中国ビジネスチャンネル」
の「中国 発票押印の際に間違いやすい「9大ミス」に注意(1)」のプ リントアウト
甲51:平成30年3月2日判決言渡東京地裁平成27年(ワ)第317
74号、平成28年(ワ)第15181号
甲52:Googleマップ「青島市から順徳区」検索結果のプリントア
ウト
甲53:dotabata peaのブログ「ドタバタ主婦の中国杭州(
ハンジョウ)便り」の「当たりくじつき領収書」のプリントアウト

第5 被請求人の主張
被請求人は答弁書において、「本件審判の請求は成り立たない、審判費用
は請求人の負担とする」との審決を求め、請求人の主張する上記無効理由は
いずれも理由がない旨主張している(以下、「乙第1号証」等を「乙1」等
と呼ぶ。)。
1 証拠方法
被請求人が提出した証拠方法は以下のとおりである。
乙1:中国特許出願公開第106556107号明細書の翻訳文
乙2:中国特許出願公開第105605742号明細書の翻訳文
乙3:中国特許出願公開第106556106号明細書の翻訳文
乙4:中国特許出願公開第104848481号明細書
乙5:中国特許出願公開第104833052号明細書
乙6:中国特許出願公開第104833067号明細書
乙7:日本貿易振興機構、「模倣品対策マニュアル 中国編」、2012
年3月、表紙、はじめに、203、204ページ、奥付
乙8:日本貿易振興機構、「模倣品対策マニュアル 中国編」、2013
年3月、表紙、はじめに、28、29ページ、奥付
乙9:令和2年3月10日付けのファクシミリ送信票
乙10:中国特許出願公開第104764171号明細書
乙11:堀内明、「ソフトウェアの品質改善」、札幌大谷大学社会学部論
集、2016年、第4号、p.101−128

第6 無効理由についての判断
1 無効理由7(特許法第36条第6項第2号) について
事案に鑑み、まず、無効理由7について、検討する。
(1) 請求人の主張
ア 本件特許発明1の「各機器」は、本件特許明細書の記載を参酌しても特定されておらず、意味内容が不明確である。
イ 本件特許発明1の「室内熱交換器の凍結」は、本件特許明細書の記載を参酌しても、「室内熱交換器を凍結する運転」か、それとも運転の結果としての「室内熱交換器の凍結状態」か、意味内容が不明確である。
ウ 本件特許発明1の「室内温度センサ」は、本件特許明細書の段落【0109】に記載されるような室内機の外側に設けられるものなのか、段落【0115】の示唆するような室内熱交換器の近傍に設けられるものか不明確である。
(2) 被請求人の主張
ア 本件特許発明1における「通常の空調運転時、前記室内温度センサの検出値を各機器の制御に用い」及び「前記室内熱交換器の凍結時、前記室内温度センサの検出値を前記各機器の制御に用いない」との文言によれば、「各機器」とは、あらゆる機器という意味ではなく、「冷房運転や暖房運転などの通常の空調運転時に室内温度センサの検出値を制御に用いる機器」を意味する。
「前記各機器の制御に用いない」とは、あらゆる機器の制御に用いないという意味ではなく、「通常の空調運転時に室内温度センサの検出値を制御に用いる機器の制御に用いない」という意味である。
従って、本件特許発明1は、「各機器」の意味が明確であるから、明確性要件に違反しない。
イ 本件特許発明1の「前記室内熱交換器の凍結では室内ファンを停止させるか、又は、前記室内ファンの駆動と停止を交互に行い」における「凍結」とは、本件特許明細書の【0048】に「図6では省略しているが、室内熱交換器12を凍結させているとき(つまり、所定の凍結時間が経過するまでの間)、制御部Kは、室内ファン14を停止状態にしてもよいし、また、室内ファン14を所定の回転速度で駆動してもよい。」と記載されているとおり、文脈から「室内熱交換器12を凍結させるための処理」の意味であることが明確である。
また、本件特許明細書の【0111】には「室内熱交換器12を凍結(又は結露)させているとき、制御部Kが、室内ファン14の駆動/停止を交互に繰り返すようにしてもよい。これによって、室内ファン14を駆動させ続ける場合に比べて、室内に冷風が吹き出される頻度を低減できる。」と記載されているが、この「凍結」は、「室内熱交換器12を凍結させるための処理」の意味であることが、文脈から明確である。
次に、「前記室内熱交換器の凍結時、前記室内温度センサの検出値を前記各機器の制御に用いない」における「凍結」とは、本件特許明細書の【0118】に「また、室内熱交換器12の凍結を行っているときには、制御部Kが、室内温度センサ24aの検出値を各機器の制御に用いない(つまり、室内温度センサ24aの検出値を無視する)ようにしてもよい。」と記載されているとおり、「室内熱交換器12を凍結させるための処理」の意味であることが、文脈から明確である。
以上より、本件特許発明1の「室内熱交換器の凍結」(2箇所)の意味は明確であるから、本件特許発明1は明確性要件に違反しない。
ウ 本件特許明細書の【0109】は、「また、室内熱交換器12を凍結させているとき、制御部Kが、サーモパイルや焦電型赤外線センサ等の室内温度センサ24a(人検出部:図4参照)によって室内の熱画像を取得するようにしてもよい。この場合において制御部Kは、室内の高温領域(人がいる可能性のある領域)に冷風が送り込まれないように、上下風向板19及び左右風向板18の角度を調整する。」と記載されているとおり、「室内温度センサ」が、例えば、サーモパイルや焦電型赤外線センサ等の「人検出部」である場合について記載したものである。すなわち、「室内温度センサ」を室内機の外側に設けられるものに限定していない。
他方、本件特許明細書の【0115】は、「また、室内熱交換器12が凍結(又は結露)しているとき、その熱輻射の影響で、室内温度センサ24aの検出誤差が大きくなる可能性がある。つまり、室内空気の実際の温度よりも、室内温度センサ24aの検出値のほうが低くなる可能性がある。したがって、室内熱交換器12を凍結(又は結露)させている場合において、以下のいずれかに該当するときには、制御部Kが、室内温度センサ24aの検出値を補正するようにしてもよい。」と記載されているとおり、「室内温度センサ」が、例えば、室内熱交換器が凍結しているときにその熱輻射の影響を受ける位置に設置される場合について記載したものである。すなわち、「室内温度センサ」を室内熱交換器の近傍に設けられるものに限定していない。
このように、本件特許発明1の「室内温度センサ」は、設けられる位置を限定されておらず、本件特許明細書の上記両段落は、室内温度センサが設けられる位置の例となる場合をそれぞれ記載したものであるから、両段落の記載は矛盾していない。
(3) 当審の判断
ア 本件特許発明1は、制御部が制御することに関して、以下のとおり特定している。
「少なくとも前記圧縮機及び前記膨張弁を制御する制御部」
「前記制御部は、
・・・
通常の空調運転時、前記室内温度センサの検出値を各機器の制御に用い、
前記室内熱交換器の凍結時、前記室内温度センサの検出値を前記各機器の
制御に用いない」
これらの記載から、本件特許発明1は、特許請求の範囲の記載において、制御部が制御対象としている機器について、「少なくとも前記圧縮機及び前記膨張弁」が特定されており、当該特定より後の記載において、「通常の空調運転時」に「前記室内温度センサの検出値を各機器の制御に用い」と特定され、「前記室内熱交換器の凍結時」に「前記室内温度センサの検出値を前記各機器の制御に用いない」と特定されている。
そうすると、制御部により各機器の制御に用いられる、あるいは各機器の制御に用いられない対象とされる「各機器」が、文脈上、「少なくとも前記圧縮機及び前記膨張弁」に相当すると理解できるし、また、そう理解することが特許請求の範囲の記載からも、自然である。
さらに、制御部と各機器との関係について、図4に以下の事項が記載されている。



これによると、上記のとおり理解しても、室内温度センサ(24a)から
室内制御回路に信号が入力され、室内制御回路と相互に信号のやりとりがさ
れる室外制御回路から少なくとも圧縮機(モータ)及び室外膨張弁に信号の
入力がされていることと矛盾することではない。
さらに、発明の詳細な説明には、通常の空調運転時に関連して、以下の事
項が記載されている。
「【0044】
ちなみに、通常の空調運転(冷房運転や暖房運転)では、圧縮機31から
吐出される冷媒の温度等に基づいて、圧縮機31の回転速度が制御されることが多い。一方、室内熱交換器12を凍結させているときには、圧縮機31から吐出される冷媒の温度が通常の空調運転時よりも低くなりやすいため、別のパラメータとして、室外温度を用いるようにしている。」
「【0085】
通常の空調運転(冷房運転、暖房運転等)を行う際には、室内膨張弁Vが
全開になるように制御され、また、室外膨張弁34の開度が適宜に調整される。一方、いわゆる再熱除湿運転を行う際には、室外膨張弁34が全開にな
るように制御され、室内膨張弁Vの開度が適宜に調整される。」
これらの記載からも、「各機器」を、「少なくとも前記圧縮機及び前記膨
張弁」と理解することが不合理といえるものでもない。
なお、請求人は、「第6 別件訴訟における構成要件2G及び2Hに関す
る被請求人の主張」について述べて、本件特許発明1の「各機器」の記載が
不明確と主張している(令和2年7月27日上申書(請求人)32ページ〜
36ページ)。
しかしながら、別件訴訟における主張は、本件特許発明1の技術的範囲
ついて述べるものであり、本件無効事件において、本件特許発明1の記載の
明確性を検討することに、直接関係することではないから、請求人の主張は
採用できない。
したがって、本件特許発明1の「各機器」が意味するところは、明確であ
る。
イ 本件特許発明1は、「凍結」について、「前記制御部は、前記室内熱交
換器を前記蒸発器として機能させ、前記室内熱交換器を凍結させ、」と特定
していて、文言上、「制御部」が「室内熱交換器」について、「蒸発器とし
て機能させ」、「凍結させ」る処理を行うことを特定していて、上記「凍結
させ」ることが、「室内熱交換器の凍結状態」をいうのではなく、凍結させ
る処理を意味していると理解できるので、「凍結」が不明確であるとすると
ころはない。
さらに、本件特許発明1は、上記の特定に続けて「前記室内熱交換器の凍
結では室内ファンを停止させるか、又は、前記室内ファンの駆動と停止を交
互に行い、」と特定していて、ここでの「凍結」も、凍結させる処理を意味
するものであり、凍結処理を行っているときに室内ファンを停止させるか、
又は、前記室内ファンの駆動と停止を交互に行うことを特定していることは
明らかである。
また、本件特許明細書の【0048】、【0111】の記載とも整合する

したがって、本件特許発明1の「室内熱交換器の凍結」は、室内熱交換器
の凍結処理を特定していて、不明確とするところはない。
ウ 本件特許発明1は、「室内温度センサ」について、「室内の温度を検出
する室内温度センサと、を備え、」、「通常の空調運転時、前記室内温度セ
ンサの検出値を各機器の制御に用い、前記室内熱交換器の凍結時、前記室内
温度センサの検出値を前記各機器の制御に用いない」と特定するものであり
、「室内温度センサ」の設ける位置について特定はなされていない。
そして、「室内温度センサ」は、室内の温度を検出することができればよ
いから、その設置箇所は、室内の温度を検出できる位置に適宜に設ければよ
く、「室内温度センサ」の設ける位置を本件特許発明1が特定していないか
らといって、本件特許発明1の記載が不明確とするところはない。
このことは、本件特許明細書の【0109】に、「また、室内熱交換器1
2を凍結させているとき、制御部Kが、サーモパイルや焦電型赤外線センサ
等の室内温度センサ24a(人検出部:図4参照)によって室内の熱画像を
取得するようにしてもよい。」と例示され、本件特許明細書の【0115】
に、「また、室内熱交換器12が凍結(又は結露)しているとき、その熱輻
射の影響で、室内温度センサ24aの検出誤差が大きくなる可能性がある。
つまり、室内空気の実際の温度よりも、室内温度センサ24aの検出値のほうが低くなる可能性がある。したがって、室内熱交換器12を凍結(又は結露)させている場合において、以下のいずれかに該当するときには、制御部Kが、室内温度センサ24aの検出値を補正するようにしてもよい。」と例示していることと、矛盾することではない。
エ 以上のことより、請求項1に係る特許は、特許法第36条第6項第2号
に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものではなく、同
第123条第1項第4号に該当せず、無効とすることはできない。

2 無効理由6、6’(特許法第36条第4項第1号)について
(1) 請求人の主張
(無効理由6)
本件特許発明1の「室内温度センサ」は、本件特許明細書の【0109】によれば、「人検出部」の機能を果たすから、人が存在する室内に向けて、室内機の外側に設けられるものであり、室内熱交換器の熱輻射の影響を受けるものではないのに、「室内熱交換器12が凍結(又は結露)しているとき、その熱輻射の影響で、室内温度センサ24aの検出誤差が大きくなる可能性がある。つまり、室内空気の実際の温度よりも、室内温度センサ24aの検出値のほうが低くなる可能性がある。」(本件特許明細書【0115】)と矛盾した記載があり、技術的な意味が不明で当業者により実施不能である。
(無効理由6’)
本件特許発明1は、上記「第2 2(1)ウ ウ−1」の点で、不明確であり、明細書に記載されていない態様を包含するものであるので、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。
(2) 被請求人の主張
本件特許明細書の【0109】は、「室内熱交換器12を凍結させている
とき、制御部Kが、サーモパイルや焦電型赤外線センサ等の室内温度センサ
24a(人検出部:図4参照)によって室内の熱画像を取得するようにして
もよい。この場合において制御部Kは、室内の高温領域(人がいる可能性の
ある領域)に冷風が送り込まれないように、上下風向板19及び左右風向板
18の角度を調整する。」と記載されているから、「室内温度センサ」を例
えばサーモパイルや焦電型赤外線センサ等の「人検出部」とした場合につい
て記載したものであるので、本件特許発明1の「室内温度センサ」は、【0
109】に記載された上記「人検出部」に限定されるものではない。
他方、本件特許発明1の「室内温度センサ」は、【0115】に記載され
たとおり、室内熱交換器が凍結しているときにその熱輻射の影響を受ける位置に設置される場合もあるから、両段落の記載は矛盾していない。
以上より、本件特許発明1は、実施可能要件に違反しない。
(3) 当審の判断
実施可能要件の判断基準
特許法第36条第4項第1号は、発明の詳細な説明には、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易にその実施をすることができる程度に、その発明の目的、構成及び効果を記載しなければならない旨規定するところ、実施可能要件を充足するためには、明細書の発明の詳細な説明に、当業者が、明細書の発明の詳細な説明の記載及び出願当時の技術常識に基づいて、過度の試行錯誤を要することなく、その発明を実施することができる程度に発明の構成等の記載があることを要する。
イ 本件特許発明1について
(ア) 本件特許発明1の「前記制御部は、
前記室内熱交換器を前記蒸発器として機能させ、前記室内熱交換器を凍結させ、その後、前記膨張弁の開度を大きくして前記室外熱交換器の前記冷媒を前記室内熱交換器に流入させることによって前記室内熱交換器の氷を溶かすことで、前記室内熱交換器を洗浄する処理を行うものであって、
前記室内熱交換器の凍結では室内ファンを停止させるか、又は、前記室内ファンの駆動と停止を交互に行い、
通常の空調運転時、前記室内温度センサの検出値を各機器の制御に用い、
前記室内熱交換器の凍結時、前記室内温度センサの検出値を前記各機器の制御に用いない」との記載は、文言上、「制御部」が、「前記室内熱交換器を前記蒸発器として機能させ」て、「前記室内熱交換器を凍結させ」、「その後、前記膨張弁の開度を大きくして前記室外熱交換器の前記冷媒を前記室内熱交換器に流入させることによって前記室内熱交換器の氷を溶かすことで、前記室内熱交換器を洗浄する処理を行」い、「前記室内熱交換器の凍結では室内ファンを停止させるか、又は、前記室内ファンの駆動と停止を交互に行い」、「通常の空調運転時」には、「前記室内温度センサの検出値を各機器の制御に用い」、また、「前記室内熱交換器の凍結時」には、前記室内温度センサの検出値を前記各機器の制御に用いない」ことと理解することができる。
そして、当業者は、本件特許明細書の記載を参考にして、特定される処理手順に従い空気調和機を制御させることで、過度の試行錯誤を要することなく、「前記制御部」が、「前記室内熱交換器を前記蒸発器として機能させ、前記室内熱交換器を凍結させ、その後、前記膨張弁の開度を大きくして前記室外熱交換器の前記冷媒を前記室内熱交換器に流入させることによって前記室内熱交換器の氷を溶かすことで、前記室内熱交換器を洗浄する処理を行うものであって、
前記室内熱交換器の凍結では室内ファンを停止させるか、又は、前記室内ファンの駆動と停止を交互に行い、
通常の空調運転時、前記室内温度センサの検出値を各機器の制御に用い、
前記室内熱交換器の凍結時、前記室内温度センサの検出値を前記各機器の制御に用いない」との構成を備えた本件特許発明1を実施することができるというべきである。
したがって、本件特許明細書には、当業者が、過度の試行錯誤を要することなく、その発明を実施することができる程度に発明の構成等の記載があるといえる。
よって、本件特許明細書の発明の詳細な説明は、当業者が本件特許発明1を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されているということができる。
(イ) なお、請求人は、本件特許発明1の「室内温度センサ」に関して、
上記のとおり、技術的な意味が不明であるので、本件特許発明1が実施不能である旨主張しているので、以下に検討する。
本件特許明細書の【0109】には、「また、室内熱交換器12を凍結さ
せているとき、制御部Kが、サーモパイルや焦電型赤外線センサ等の室内温
度センサ24a(人検出部:図4参照)によって室内の熱画像を取得するよ
うにしてもよい。この場合において制御部Kは、室内の高温領域(人がいる
可能性のある領域)に冷風が送り込まれないように、上下風向板19及び左
右風向板18の角度を調整する。」と記載されている。
当該記載から、室内の熱画像を取得する場合には、室内温度センサ24a
として、サーモパイルや焦電型赤外線センサ等を用いてよいことが例示とし
て記載されているものの、室内温度センサ24aが必ずしもこれらのみに限
られることを特定するものではない。そして、室内温度センサは、室内機の
外側に必ず設けられるというものではなく、室内温度を検知するセンサとい
う機能からみて、室内温度センサは、室内機の室内熱交換器12に至る過程
の位置に設置すれば、室内から吸い込んだ空気の温度を室内温度センサで検
知できるものである。
その場合に、室内温度センサが、室内熱交換器12に比較的近い箇所に設
けられることも想定でき、当該箇所では、室内熱交換器12の熱輻射の影響
を考慮する必要があるものと認められる。
そうすると、室内温度センサ24aについて、本件特許明細書の【010
9】に、「また、室内熱交換器12を凍結させているとき、制御部Kが、サ
ーモパイルや焦電型赤外線センサ等の室内温度センサ24a(人検出部:図
4参照)によって室内の熱画像を取得するようにしてもよい。」との記載が
なされていることと、本件特許明細書の【0115】の「また、室内熱交換
器12が凍結(又は結露)しているとき、その熱輻射の影響で、室内温度セ
ンサ24aの検出誤差が大きくなる可能性がある。つまり、室内空気の実際
の温度よりも、室内温度センサ24aの検出値のほうが低くなる可能性があ
る。したがって、室内熱交換器12を凍結(又は結露)させている場合にお
いて、以下のいずれかに該当するときには、制御部K が、室内温度センサ
24aの検出値を補正するようにしてもよい。」との熱輻射についての記載
がなされていることとは、矛盾するものではない。また、本件特許発明1の
室内温度センサ24aが熱輻射について考慮する場合には、その技術的に意
味するところも明確である。
さらに、上記「第2 2(1)ウ ウ−1」の点で本件特許発明1は、不明確であり、本件特許明細書に記載されていない態様を包含するものであり、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていないことについて、「第2 2(1)ウ ウ−2」で検討したとおり、不明確とするところはないし、また、請求人が主張する不明確であることが、本件特許明細書に、当業者が、過度の試行錯誤を要することなく、その発明を実施することができる程度に発明の構成等の記載がないことをいうものでもないので、請求人の主張は採用できない。

3 無効理由8、8’(特許法第36条第6項第1号)について
(1) 請求人の主張
(無効理由8)
本件特許明細書には、通常運転時に室内温度センサの検出値を何らかの機器の制御に用いる旨の記載は一切なく、本件特許発明1の発明特定事項「通常の空調運転時、前記室内温度センサの検出値を各機器の制御に用い、」は、本件特許明細書の記載に基づくものといえない。
(無効理由8’)
上記「第2 2(1)ウ ウ−1」の点で本件特許発明1は、不明確であり、明細書に記載されていない態様を包含するものであるから、本件特許発明1は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、同法第123条第1項第4号に該当し、無効とすべきものである。
(2) 被請求人の主張
本件特許発明1における「通常の空調運転時、前記室内温度センサの検出値を各機器の制御に用い」及び「前記室内熱交換器の凍結時、前記室内温度センサの検出値を前記各機器の制御に用いない」との文言によれば、「各機器」とは、あらゆる機器という意味ではなく、「冷房運転や暖房運転などの通常の空調運転時に室内温度センサの検出値を制御に用いる機器」を意味する。
また、「前記各機器の制御に用いない」とは、あらゆる機器の制御に用いないという意味ではなく、「通常の空調運転時に室内温度センサの検出値を制御に用いる機器の制御に用いない」という意味である。
また、本件特許明細書の【0118】に、「室内熱交換器12の凍結を行っているときには、制御部Kが、室内温度センサ24aの検出値を各機器の制御に用いない(つまり、室内温度センサ24aの検出値を無視する)ようにしてもよい。」と記載され、本件特許の図4によれば、室内温度センサ24aの検出値を用いて室内制御回路又は室外制御回路が制御を行う各機器として室内ファンモータ、圧縮機モータなどがあることが、当業者であれば理解できるように記載されているので、サポート要件を充足している。
(3) 当審の判断
ア 特許請求の範囲の記載がサポート要件に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か、また、発明の詳細な説明に記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきものである。そこで、以下に検討する。
イ 本件特許発明1の課題について
(ア) 本件特許明細書の記載
本件特許明細書には、以下の事項が記載されている。
「【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の技術において、暖房運転後に通常の冷房運転を行ったとしても、室内熱交換器を洗浄するには、室内熱交換器に付着する水の量が足りない可能性がある。
【0005】
そこで、本発明は、室内熱交換器を適切に洗浄可能な空気調和機を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明は、圧縮機、凝縮器、膨張弁、及び蒸発器を順次に介して冷媒が循環する冷媒回路と、少なくとも前記圧縮機及び前記膨張弁を制御する制御部と、室内の温度を検出する室内温度センサと、を備え、前記凝縮器及び前記蒸発器の一方は室外熱交換器であり、他方は室内熱交換器であり、前記制御部は、前記室内熱交換器を前記蒸発器として機能させ、前記室内熱交換器を凍結させ、その後、前記膨張弁の開度を大きくして前記室外熱交換器の前記冷媒を前記室内熱交換器に流入させることによって前記室内熱交換器の氷を溶かすことで、前記室内熱交換器を洗浄する処理を行うものであって、前記室内熱交換器の凍結では室内ファンを停止させるか、又は、前記室内ファンの駆動と停止を交互に行い、通常の空調運転時、前記室内温度センサの検出値を各機器の制御に用い、前記室内熱交換器の凍結時、前記室内温度センサの検出値を前記各機器の制御に用いないことを特徴とする。」
さらに、「発明の効果」には、「本件発明によれば、室内熱交換器を適切に洗浄可能な空気調和機を提供できる」(【0007】)ことの記載がある。
(イ) 以上によれば、当業者は、本件発明の課題は、室内熱交換器を適切に洗浄可能な空気調和機を提供することであると認識することができる。
ウ 請求項1の記載
本件特許発明1は、課題解決の手段として、
「圧縮機、凝縮器、膨張弁、及び蒸発器を順次に介して冷媒が循環する冷媒回路と、
少なくとも前記圧縮機及び前記膨張弁を制御する制御部と、
室内の温度を検出する室内温度センサと、を備え、
前記凝縮器及び前記蒸発器の一方は室外熱交換器であり、他方は室内熱交換器であ」る「空気調和機」において、「前記制御部は、前記室内熱交換器を前記蒸発器として機能させ、前記室内熱交換器を凍結させ、その後、前記膨張弁の開度を大きくして前記室外熱交換器の前記冷媒を前記室内熱交換器に流入させることによって前記室内熱交換器の氷を溶かすことで、前記室内熱交換器を洗浄する処理を行うものであって、
前記室内熱交換器の凍結では室内ファンを停止させるか、又は、前記室内ファンの駆動と停止を交互に行い、
通常の空調運転時、前記室内温度センサの検出値を各機器の制御に用い、
前記室内熱交換器の凍結時、前記室内温度センサの検出値を前記各機器の制御に用いない」との構成を備えるものである。
エ 本件特許明細書には、以下の事項が記載されている。
「【0036】
ステップS103において制御部Kは、室内熱交換器12を解凍する。例えば、制御部Kは、室外膨張弁34の開度を大きくして室外熱交換器32にある冷媒を室内熱交換器12に流入させることによって、室内熱交換器12の表面の氷を溶かして解凍する。この際、室外膨張弁34の開度を全開にすることが望ましい。これによって、室外熱交換器32に存在していた温かい冷媒が室内熱交換器12に導かれるため、室内熱交換器12の解凍を短時間で行うことができる。なお、室内熱交換器12を凝縮器として機能させることによって、室内熱交換器12の表面の氷を溶かして解凍するようにしてもよい。これによって、室内熱交換器12に付着していた塵や埃が洗い流される。」
「【0056】
図10に示す例では、室内熱交換器12の凍結中、室内ファン14が停止されている。これによって、室内に冷風が吹き出されないため、ユーザの快適性を損なうことなく、室内熱交換器12を凍結させることができる。なお、時刻t3以後の処理については後記する。」
「【0111】
また、室内熱交換器12を凍結(又は結露)させているとき、制御部Kが、室内ファン14の駆動/停止を交互に繰り返すようにしてもよい。これによって、室内ファン14を駆動させ続ける場合に比べて、室内に冷風が吹き出される頻度を低減できる。」
「【0115】
また、室内熱交換器12が凍結(又は結露)しているとき、その熱輻射の影響で、室内温度センサ24aの検出誤差が大きくなる可能性がある。つまり、室内空気の実際の温度よりも、室内温度センサ24aの検出値のほうが低くなる可能性がある。したがって、室内熱交換器12を凍結(又は結露)させている場合において、以下のいずれかに該当するときには、制御部Kが、室内温度センサ24aの検出値を補正するようにしてもよい。」
「【0118】
また、室内熱交換器12の凍結を行っているときには、制御部Kが、室内温度センサ24aの検出値を各機器の制御に用いない(つまり、室内温度センサ24aの検出値を無視する)ようにしてもよい。
また、室内熱交換器12の凍結を行っているときには、制御部Kが、室内ファン14の駆動/停止を所定周期で繰り返す(つまり、室内機10に新たに空気を取り込む)ことで、室内温度センサ24aの検出誤差を低減するようにしてもよい。」
オ 以上によれば、当業者は、本件特許発明1の「前記室内熱交換器を前記蒸発器として機能させ、前記室内熱交換器を凍結させ、前記室内熱交換器の凍結では室内ファンを停止させるか、又は、前記室内ファンの駆動と停止を交互に行」うことで、室内に冷風が吹き出されないため、ユーザの快適性を損なうことなく、室内熱交換器を凍結させることができ、室内ファンを駆動させ続ける場合に比べて、室内に冷風が吹き出される頻度を低減できることがわかる(【0056】、【0111】)。
さらに、本件特許発明1の「通常の空調運転時、前記室内温度センサの検出値を各機器の制御に用い、前記室内熱交換器の凍結時、前記室内温度センサの検出値を前記各機器の制御に用いない」ことで、「熱輻射の影響で、室内温度センサ24aの検出誤差が大きくなる可能性がある。つまり、室内空気の実際の温度よりも、室内温度センサ24aの検出値のほうが低くなる可能性がある」ことに、対処できることがわかる(【0115】)。
加えて、「前記制御部は、前記室内熱交換器を前記蒸発器として機能させ、前記室内熱交換器を凍結させ、その後、前記膨張弁の開度を大きくして前記室外熱交換器の前記冷媒を前記室内熱交換器に流入させることによって前記室内熱交換器の氷を溶かすことで、前記室内熱交換器を洗浄する処理を行うものであ」ることについて、本件特許明細書等の図5に示される空気調和機の制御部が実行する洗浄処理のフローチャートに示される第1実施形態で示される一般的な手順に関して、本件特許明細書には、
「【0031】
・・・室内機30に取り込まれた空気に含まれる水分を室内熱交換器12で凍結させ、その後、室内熱交換器12の氷を溶かすことで、室内熱交換器12を洗浄するようにしている。このような一連の処理を、室内熱交換器12の「洗浄処理」という。」、
「【0036】
・・・制御部Kは、室外膨張弁34の開度を大きくして室外熱交換器32にある冷媒を室内熱交換器12に流入させることによって、室内熱交換器12の表面の氷を溶かして解凍する。」、
「【0056】
図10に示す例では、室内熱交換器12の凍結中、室内ファン14が停止されている。これによって、室内に冷風が吹き出されないため、ユーザの快適性を損なうことなく、室内熱交換器12を凍結させることができる。・・・」と記載されている。
そして、【0031】、【0036】の記載に基づけば、熱交換器の氷を溶かす処理において、圧縮機及び室内ファンの運転状態について限定するものではなく、さらに、一例である図10の圧縮機及び室内ファンのON/OFFの切替えに関する説明図では、解凍時に圧縮機及び室内ファンがOFFになっていることを踏まえれば、膨張弁の開度にかかわらず、「熱交換器の氷を溶かす処理」において「圧縮機及び室内ファンが停止状態を維持する」態様にまで拡張ないし一般化できるといえる。
したがって、当業者は、発明の詳細な説明の記載に基づき、請求項1に記載のとおり、「前記制御部は、
前記室内熱交換器を前記蒸発器として機能させ、前記室内熱交換器を凍結させ、その後、前記膨張弁の開度を大きくして前記室外熱交換器の前記冷媒を前記室内熱交換器に流入させることによって前記室内熱交換器の氷を溶かすことで、前記室内熱交換器を洗浄する処理を行うものであって、
前記室内熱交換器の凍結では室内ファンを停止させるか、又は、前記室内ファンの駆動と停止を交互に行い、
通常の空調運転時、前記室内温度センサの検出値を各機器の制御に用い、
前記室内熱交換器の凍結時、前記室内温度センサの検出値を前記各機器の制御に用いない」ことによって、室内熱交換器を適切に洗浄可能な空気調和機を提供でき、本件特許発明1の課題を解決できると認識することができる。
よって、本件特許発明1は、発明の詳細な説明の記載により当業者が本件特許発明1の課題を解決できると認識できる範囲のものであるといえる。
カ 上記(1)の請求人の主張について
カ−1 上記「1(3)ア」で述べたように、各機器の示す内容は、「少なくとも前記圧縮機及び前記膨張弁」と理解でき、本件特許明細書の上記図4の記載事項において、室内温度センサから室内制御回路へ信号が入力が行われるとともに、室内制御回路と相互に信号のやりとりを行う室外制御回路から、少なくとも圧縮機モータと室外膨張弁に信号が出力される態様が示されている。また、室内温度センサの検出値に基づき圧縮機等を制御することは、記載や示唆がなくとも当業者の技術常識である。
そして、圧縮機モータや室外膨張弁を制御するのは、通常の空調運転であ
るから、本件特許明細書には、通常の空調の運転時に、室内温度センサの検
出値を用いて、少なくとも圧縮機及び膨張弁の制御に用いられていることが
記載されているといえ、「通常の空調運転時、前記室内温度センサの検出値
を各機器の制御に」用いることは、発明の詳細な説明に記載された事項であ
る。
カ−2 上記「第2 2(1)ウ ウ−1」の点で本件特許発明1は、不明確であり、明細書に記載されていない態様を包含するものであるから、請求項1に係る特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであると主張する点は、上記「第2 2(1)ウ ウ−2」で検討したとおり、不明確であるとするところはなく、請求人の主張は採用できないので、これを理由とする特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであることをいう主張は採用できない。
(4) 以上のことより、請求項1に係る特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものではなく、同法第123条第1項第4号に該当せず、無効とすることはできない。

4 無効理由1〜5、2’、3’、4’について(無効理由1:甲1を主引例とする、特許法第29条第1項第3号、第2項。無効理由2:甲2を主引例とする、特許法第29条第1項第3号、第2項。無効理由3:甲3を主引例とする、特許法第29条第1項第3号、第2項。無効理由4:甲4を主引例とする、特許法第29条第1項第3号、第2項。無効理由5:甲6を主引例とする、特許法第29条第1項第2号、第2項。無効理由2’:甲2を主引例とする、特許法第29条第2項。無効理由3’:甲3を主引例とする、特許法第29条第2項。無効理由4’:甲4を主引例とする、特許法第29条第2項。)
(1) 甲各号証の記載事項及び記載された発明
ア 甲1
(ア) 甲1記載事項



(当審注:括弧内は、請求人提出の翻訳文及び乙1を参考にし、当審で作成したものである。以下、甲1については、同様である。:
1.空気調和機用熱交換器の自動洗浄方法であって、
空気調和機が自動洗浄モードに入るように制御することと、
洗浄対象熱交換器に着霜するように制御することと、
洗浄対象熱交換器にt2時間着霜しても、Te<T0+Cを満たされない場合、洗浄対象熱交換器に対応するファンをt3時間停止させ、Te<T0になってそのままt4時間保持した後、洗浄対象熱交換器に対応するファンを再起動して除霜モードに入ることにおいて、Teは洗浄対象熱交換器の蒸発温度、T0は目標蒸発温度、Cは値が0〜10の定数であることと、
洗浄対象熱交換器の表面に霜層又は氷層を覆った後、洗浄対象熱交換器の除霜モードに入るように空気調和機を制御することを含むことを特徴とする空気調和機用熱交換器の自動洗浄方法。)



([0005] 本発明の構成一部として、次の内容が含まれる空気調和機用熱交
換器の自動洗浄方法を開示する。
[0006] 空気調和機が自動洗浄モードに入るように制御することと、
[0007] 洗浄対象熱交換器に着霜するように制御することと、
[0008] 洗浄対象熱交換器にt2時間着霜しても、Te<T0+Cを満たされない場合、洗浄対象熱交換器に対応するファンをt3時間停止させ、Te<T0になって且つt4時間継続後、洗浄対象熱交換器に対応するファンを再起動して除霜モードに入ることにおいて、Teは洗浄対象熱交換器の蒸発温度、T0は目標蒸発温度、Cは0〜10の定数であることと、
[0009] 洗浄対象熱交換器の表面に霜層又は氷層を覆った後、洗浄対象熱交
換器の除霜モードに入るように空気調和機を制御することを含む。
[0010] 最適方案として、洗浄対象熱交換器に着霜するように制御する過程
中、空気調和機の給気過熱度を0〜5℃に保持するように制御する。
[0011] 最適方案として、洗浄対象熱交換器に着霜するように制御する前記
ことは、
[0012] Te<T0+Cになると検出した場合、洗浄対象熱交換器熱交換器にt1時間着霜するように制御し、次に洗浄対象熱交換器から除霜するように制御することを含む。)



([0029] 本発明の空気調和機用熱交換器の自動洗浄方法は、空気調和機が
自動洗浄モードに入るように制御することと、洗浄対象熱交換器に着霜する
ように制御することと、洗浄対象熱交換器にt2時間着霜しても、Te<T0+C
を満たされない場合、洗浄対象熱交換器に対応するファンをt3時間停止させ
るように制御し、Te<T0になって且つt4時間継続後、洗浄対象熱交換器に対
応するファンを再起動して除霜モードに入ることにおいて、Teは洗浄対象熱
交換器の蒸発温度、T0は目標蒸発温度、Cは値が0〜10の定数であることと、
洗浄対象熱交換器の表面に霜層又は氷層を覆った後、洗浄対象熱交換器の除
霜モードに入るように空気調和機を制御することとを含む。空気調和機が熱交換器の自動洗浄モードに入った後、空気調和機の運転周波数、ファンの回
転数又は冷媒流量を調節しても、熱交換器の表面が着霜温度に達することが
できない場合、洗浄対象熱交換器に対応するファンを完全に閉じ、該ファン
を停止させ、次に圧縮機の運転周波数を最大に調節し、該状態を一定時間保
持する。ファンが停止したため、洗浄対象熱交換器の表面の蒸発温度を下げ
ることができず、熱が蓄積され、洗浄対象熱交換器の表面の蒸発温度が速や
かに低下し、着霜温度以下に達し、それにより洗浄対象熱交換器の表面への
着霜又は着氷を順調に完了し、洗浄対象熱交換器の自動洗浄を完了する。)





([0032] 図1は本発明の実施形態に係る空気調和機用熱交換器の自動洗浄
方法のフローチャートである。
具体的実施形態
[0033] 当業者が実施できるように、以下の説明及び図面は本発明の具体的な実施形態を十分に示している。他の実施形態は、構造、論理、電気、プロセス及びその他の変更を含んでもよい。実施形態は可能な変更のみを表している。明確な要求がない限り、個別の部材及び機能は選択可能であり、且つ操作順序も変更できる。いくつかの実施手段の部分と特徴はその他の実施手段の部分と特徴に含まれてもよいか又はそれを代替してもよい。本発明の実施手段の範囲は、特許請求項の全範囲、及び特許請求項により得られる全ての均等物を含む。本明細書において、各実施手段は、単独で又は総括的に「発明」という用語で表されてもよく、これは、便利にするためにすぎない。
また、事実上、1つ以上の発明が開示されても、この応用の範囲を任意の単一の発明又は発明構想に自動的に限定するものではない。本明細書において、第1及び第2などの関係用語は1つのエンティティ又は操作と他のエンティティ又は操作を区別するためにのみ用いられ、これらのエンティティ又は操作の間に実際な関係又は順序が存在することを要件としたり、示唆したりするものではない。また、「含む」、「含有」という用語又はその他の任意の類似用語は非排他的な包含をカバーすることを意図しており、それにより一連の要素を含むプロセス、方法又は装置はそれらの要素を含むだけでなく、明確に例示していないその他の要素、又はこのようなプロセス、方法又は装置の特有の要素をさらに含む。特に制限がない場合、語句「1つ……を含む」によって限定される要素は、前記要素を含むプロセス、方法又は装置に他の同じ要素がさらに存在することを排除しない。本明細書の各実施形態は、漸進的に説明されており、各実施形態は他の実施形態との違いに焦点を合わせており、各実施形態の同一又は類似部分が相互に参照されてもよい。実施形態で開示されている方法、製品などについては、実施形態で開示されている方法部分に対応するため、簡単に説明するが、関連部分については方法部分の説明を参照すればよい。)



([0034] 本発明の自動洗浄方法に適用する空気調和機は、圧縮機、室内熱
交換器、室外熱交換器、絞り装置、第1ファン及び第2ファンを備え、第1フ
ァンは室内熱交換器に対応するファン、第2ファンは室外熱交換器に対応す
るファンであり、適用する空気調和機は四方弁を含んでもよいが、必須では
ない。該空気調和機は、さらに、室内熱交換器温度、室内環境温度、室外熱
交換器温度及び室外環境温度を検出するための複数の温度センサを含んでも
よい。
[0035] 図1に示すように、本発明の実施形態によれば、空気調和機用熱交換器の自動洗浄方法は、空気調和機が自動洗浄モードに入るように制御することと、洗浄対象熱交換器の所在環境温度を検出し、検出した環境温度に応じて洗浄対象熱交換器の目標蒸発温度を決定することと、洗浄対象熱交換器の目標蒸発温度及び実際の蒸発温度に応じて洗浄対象熱交換器の蒸発温度を調整し、洗浄対象熱交換器に着霜するように制御することと、洗浄対象熱交換器のを霜層又は氷層で被覆した後、洗浄対象熱交換器の除霜モードに入るように空気調和機を制御することとを含む。)



([0036] 洗浄対象熱交換器の目標蒸発温度及び実際の蒸発温度に応じて洗
浄対象熱交換器の蒸発温度を調整し、洗浄対象熱交換器に着霜するように制
御するとき、調整可能な空気調和機の運転仕様値は、圧縮機の運転周波数、
洗浄対象熱交換器に対応するファンの回転数及び洗浄対象熱交換器の冷媒流
量を含む。これらの仕様値は、それぞれ独立して調整してもよく、2つずつ
を組み合わせて調整してもよく、又は3つを組み合わせて調整してもよい。
具体的な調整方式は、検出した蒸発温度及び設定した目標蒸発温度に応じて
選択することができる。
[0037] 上記自動洗浄方法により、洗浄対象熱交換器の目標蒸発温度と実際
の蒸発温度との差値に応じて洗浄対象熱交換器の蒸発温度を調整できて、洗
浄対象熱交換器が表面へ着霜又は着氷できることで、洗浄対象熱交換器の表
面の塵埃、不純物等を霜層又は氷層で洗浄対象熱交換器の表面から剥離させ
、除霜後に洗浄対象熱交換器から除去する。洗浄効果が高く、洗浄効率が高
く、また、洗浄対象熱交換器の形状と構造に制限されず、洗浄効果がより徹
底的且つ効果的であり、細菌の繁殖を回避できるほか、洗浄対象熱交換器の
熱交換効率を向上させることもできる。)



([0038] 目標蒸発温度は下式で決定される。
[0039] T0=k*T−A又はT0=T1、両者のうちの小さいほうを用いる。
[0040] 式中、kは値が0.7〜1の計算係数であり、Aは値が4〜25℃の温度補償値であり、Tは洗浄対象熱交換器の所在環境温度であり、−10℃≦T1<0℃。最適方案として、kを0.9に、Aを18℃に、T1を−5℃にする。)



([0041] 例えば、所在環境温度が36℃であり、kの値が0.7で、T1の値が−5℃で、Aの値が25℃である場合、式T0=k*T−Aで得られたT0の値が0.2℃と
なるが、T0の値がT1である場合、T0が−5℃となる。従って、この場合、T0
は−5℃となる。
[0042] その所在環境温度が25℃であり、kの値が0.7で、T1の値が−5℃で、Aの値が25℃である場合、式T0=k*T−Aで得られたT0値が−7.5℃となるが、T0の値がT1であると、T0が−5℃となる。従って、この場合、T0は−7.5℃となる。
[0043] 上記式により、所在環境温度が合理的な範囲内にある場合は、所在
環境温度に関連する温度値を採取するが、所在環境温度が高すぎる場合は、
洗浄対象熱交換器を着霜させる為に必要な温度値を採取する。それにより、
洗浄対象熱交換器に対する自動洗浄を順調に動作させる。また、空気調和機
は所在環境温度が合理的な範囲にある場合は、所在環境温度に合わせて合理
的な蒸発温度を採取することができ、空気調和機の運転効率向上には役に立
つ。
[0044] 勿論、洗浄対象熱交換器の自動洗浄を順調に完了することを確保す
るように、その他の方式で目標蒸発温度を合理的に決定してもよい。
[0045] 圧縮機の運転周波数を空気調和機の自動洗浄時の調整仕様値として
選択すると、洗浄対象熱交換器の目標蒸発温度と実際の蒸発温度に応じて洗
浄対象熱交換器の蒸発温度を調整し、洗浄対象熱交換器に着霜するように制
御することは、目標蒸発温度と実際の蒸発温度との関係を比較することと、
比較結果に基づいて圧縮機の運転周波数を調整することとを含む。
[0046] 比較結果に基づいて圧縮機の運転周波数を調整することは、具体的
には、Te>T0+B2の場合、圧縮機の運転周波数を上昇させることと、Te<T0
−Bの場合、圧縮機の運転周波数を下降させることと、T0−B1≦Te≦T0+B2
の場合、現状の運転状態を保持することとを含み、ここで、B1の値は1〜20
℃、B2の値は1〜10℃である。)



([0047] 熱交換器の洗浄モードで圧縮機の運転周波数を調整することによ
り、熱交換器の蒸発温度を適切な着霜温度範囲内に制御可能で、それにより
、熱交換器の表面に均一且つ速やかに着霜することができ、着霜硬化の作用
力により汚れを熱交換器の表面から剥離させ、次に除霜方式により熱交換器
の表面を洗浄して、熱交換器の表面の洗浄効果を効果的に向上させることが
できる。
[0048] 空気調和機システムの確実な運転を確保するために、一般的には、T0−B1≧−30℃、T0+B2≦−5℃であることを確保してこそ、洗浄対象熱交換器の蒸発温度を合理範囲内に常に保持することができ、それにより洗浄対象熱交換器の表面に十分に着霜又は着氷することを確保することができ、空気調和機の過剰なエネルギー消費を回避し、空気調和機効率を向上させることもできる。
[0049] Te>T0+B2の場合、圧縮機の運転周波数を上昇させることは、T0+B2<Te≦T0+B3の場合、aHz/sのレートにより圧縮機の運転周波数を上昇さ
せることと、Te>T0+B3の場合、bHz/sのレートで圧縮機の運転周波数を上
昇させることとを含み、ここで、B3>B2、a<bである。
[0050] Te>T0+B2の場合、現在の洗浄対象熱交換器の蒸発温度が高すぎ、
洗浄対象熱交換器の表面への着霜に不利であり、洗浄対象熱交換器の蒸発温
度を下げる必要があり、したがって、圧縮機の運転周波数を上昇させ、洗浄
対象熱交換器の熱交換能力を向上させ、洗浄対象熱交換器の蒸発温度を下げ
る必要がある。
[0051] 実際に調整するとき、T0+B2<Te≦T0+B3の場合、洗浄対象熱交換
器の蒸発温度が目標蒸発温度よりわずか高く、したがって、圧縮機の運転周
波数をより低いレートで向上させることができる。一方では、洗浄対象熱交
換器の蒸発温度が目標蒸発温度に近づくことを確保でき、他方では、圧縮機
の運転周波数の調整レートが速すぎて、空気調和機の運転が不安定になるこ
とを回避し、空気調和機効率を向上させることもできる。
[0052] Te>T0+B3の場合、洗浄対象熱交換器の蒸発温度が目標蒸発温度よ
り大幅に高く、圧縮機の運転周波数をより高いレートで向上させる必要があ
り、それにより洗浄対象熱交換器の蒸発温度が目標蒸発温度に速やかに達し
、洗浄対象熱交換器表面への着霜又は着氷効率を向上させ、空気調和機の自
動洗浄効率を向上させる。)





([0053] 上記方式により、空気調和機の動作状況に応じて適切な圧縮機の
運転周波数調整方式を選択し、洗浄対象熱交換器の蒸発温度に対する速やか
な調整を確保するとともに、空気調和機の運転上の過度な変動を回避する。
[0054] Te>T0+B2の場合、圧縮機の運転周波数を上昇させることは、さら
に以下のように実行してもよく、T0+B2<Te≦T0+B3の場合、(a−ct)Hz
/sのレートで圧縮機の運転周波数を上昇させ、Te>T0+B3の場合、(b−dt
)Hz/sのレートで圧縮機の運転周波数を上昇させる。
[0055] 圧縮機の運転周波数の調整中、圧縮機の運転周波数の調整幅は圧縮
機の運転周波数が低下するにつれてに徐々に減少するため、圧縮機の運転周
波数の調整幅が変わらないと、圧縮機の運転周波数の調整精度が徐々に低下
し、圧縮機のエネルギー消費が最適な状態に達していない。そのため、上記
方式に従って圧縮機の運転周波数に対して可変レートで調整を行い、それに
より圧縮機の運転周波数が調整される圧縮機の運転周波数と一致するように
確保可能で、圧縮機がより高いエネルギー効率で運転でき、圧縮機の電力消
費を削減させ、圧縮機の運転周波数の調整精度を向上させる。
[0056] Te<T0−B1の場合、圧縮機の運転周波数を下降させることは、T0−B4≦Te<T0−B1の場合、aHz/sのレートで圧縮機の運転周波数を下降させる
ことと、Te<T0−B4の場合、bHz/sのレートで圧縮機の運転周波数を下降さ
せることとを含み、ここで、B4>B1、a<bである。
[0057] Te<T0−B1の場合、現在の洗浄対象熱交換器の蒸発温度が低すぎ、
洗浄対象熱交換器の表面着霜の不均一化をもたらすとともに、空気調和機効
率の大幅低減も引き起こしてしまい、洗浄対象熱交換器の蒸発温度を上げる
必要がある。したがって、圧縮機の運転周波数を下降させ、洗浄対象熱交換器の熱交換能力を低減させ、洗浄対象熱交換器の蒸発温度を上げる必要があ
る。)



([0058] 実際に調整するとき、T0−B4≦Te<T0−B1の場合、洗浄対象熱交
換器の蒸発温度と目標蒸発温度との差がより小さく、したがって、圧縮機の
運転周波数をより低いレートで低減させることができる。一方では、洗浄対
象熱交換器の蒸発温度が目標蒸発温度に近づくように確保でき、他方では、
圧縮機の運転周波数の調整が速すぎて、空気調和機の運転が不安定になるこ
とを回避し、空気調和機効率を向上させることもできる。
[0059] Te<T0−B4の場合、洗浄対象熱交換器の蒸発温度の目標蒸発温度と
の差が大きく、圧縮機の運転周波数をより高いレートで低減させる必要があ
り、それにより洗浄対象熱交換器の蒸発温度が目標蒸発温度に速やかに達し
、洗浄対象熱交換器表面への着霜又は着氷効率を向上させ、空気調和機の自
動洗浄効率を向上させる。
[0060] 上記方式により、空気調和機の動作状況に応じて適切な圧縮機の運
転周波数調整方式を選択することができる。洗浄対象熱交換器の蒸発温度を
速やかに調整するとともに、空気調和機の運転上の過度な変動も回避する。
[0061] Te<T0−B1の場合、圧縮機の運転周波数を下降させることはさらに
以下のように行われてもよく、T0−B4≦Te<T0−B1の場合、(a−ct)Hz/s
のレートで圧縮機の運転周波数を下降させ、Te<T0−B4の場合、(b−dt)H
z/sのレートで圧縮機の運転周波数を下降させる。)




([0062] 圧縮機の運転周波数の調整中、圧縮機の運転周波数の調整幅は圧
縮機の運転周波数が低下するにつれて徐々に減少するため、圧縮機の運転周
波数の調整幅が変わらないと、圧縮機の運転周波数の調整精度が徐々に低下
し、且つ圧縮機のエネルギー消費が最適な状態に達していない。そのため、
上記方式に従って圧縮機の運転周波数に対して可変レートで調整を行い、そ
れにより圧縮機の運転周波数が調整される圧縮機の運転周波数と一致するよ
うに確保し、圧縮機がより高いエネルギー効率で運転でき、圧縮機の電力消
費を低減させ、圧縮機の運転周波数の調整精度を向上させる。
[0063] 空気調和機用熱交換器が自動洗浄モードに入った後、自動洗浄側の
ファンが起動し、熱交換器に湿った空気を連続的に提供し、熱交換器の表面
を水膜で速やかに被覆し、このときに、該側のファンが運転を停止し、蒸発
温度(すなわち熱交換器のコイル状伝熱管の温度)が速やかに低下し、熱交
換器の表面の水膜が氷になり、空気中の水分を凝結させて着霜させることで
、熱交換器における汚れを剥離させる。着霜効果を最も速く実現するために
、圧縮機が信頼性を確保可能な範囲内に最高周波数で運転する必要があり、
また、着霜中に、温度差が大きいほど、着霜速度が速くなるため、圧縮機の
周波数が高いほどよい。しかし、このとき、ファンが停止し、熱交換器の熱
交換量が極めて小さく、蒸発温度が速やかに低下し、圧縮機の信頼性に影響
を与える。したがって、熱交換器の着霜速度と圧縮機の運転信頼性を両立さ
せるために、蒸発温度を所定の範囲内に制御する必要がある。試験によれば
、−20℃≦Te≦−15℃の温度範囲に、着霜効果及び空気調和機全体の運転信
頼性を確保することができる。よって、圧縮機の周波数調整には、熱交換器
の蒸発温度を該蒸発温度範囲内に制御すべきである。)




([0104] 冷媒流量を空気調和機の自動洗浄中の調整仕様値として選択する
と、洗浄対象熱交換器の目標蒸発温度と実際の蒸発温度に応じて洗浄対象熱
交換器の蒸発温度を調整し、洗浄対象熱交換器に着霜するように制御するこ
とは、目標蒸発温度と実際蒸発温度との関係を比較することと、比較結果に
基づいて洗浄対象熱交換器に対応する冷媒流量を調整することとを含む。
[0105] 比較結果に基づいて洗浄熱交換器に対応する冷媒流量を調整するこ
とは、具体的には、Te>T0+B2の場合、冷媒流量を増加させることと、Te<
T0−B1の場合、冷媒流量を減少させることと、T0−B1≦Te≦T0+B2の場合、
現状の運転状態を保持することと、を含み、B1の値は1〜20℃、B2の値は1〜
10℃である。冷媒流量の調整方式は、絞り装置例えば膨張弁の開度を調整す
ることにより実現される。)






(イ) 甲1に記載された発明
甲1には、甲1の各記載事項及び図1の記載によれば、次の発明(以下「
甲1発明」という。)が記載されている。
「圧縮機、室内熱交換器、室外熱交換器、絞り装置、第1ファン及び第2
ファンを備え、第1ファンは室内熱交換器に対応するファン、第2ファンは
室外熱交換器に対応するファンであり、
少なくとも前記圧縮機の運転周波数を制御し、及び前記絞り装置を調整し

室内環境温度を検出する温度センサを備え、
洗浄対象熱交換器が常に蒸発器であり、
空気調和機が自動洗浄モードに入るように制御し、
洗浄対象熱交換器が所在する環境温度を検出するとともに、検出された環
境温度に基づき洗浄対象熱交換器の目標蒸発温度T0を以下(a)式により確定し、洗浄対象熱交換器の目標蒸発温度T0と実際の蒸発温度とに基づき洗浄対象熱交換器の蒸発温度を調節して、洗浄対象熱交換器に着霜するように制御し、
洗浄対象熱交換器にt2時間着霜運転した後、Te<T0+Cを満たされ
ない場合(Teは洗浄対象熱交換器の蒸発温度、Cは定数であり、0〜10の間の数値を採用)、洗浄対象熱交換器に対応するファンをt3時間運転を停止させ、Te<T0になって且つt4時間継続後、洗浄対象熱交換器に対応するファンを再起動して霜取りモードに入るように制御する、
空気調和機。
(a)T0=k*T−AまたはT0=T1、両者のうちの小さい方を採用。
式中、kは計算係数であり、0.7〜1を採用し、Aは温度補償値であり、
4〜25℃を採用し、Tは洗浄対象熱交換器が所在する環境温度であり、−
10℃≦T1<0℃である。」
イ 甲2
(ア) 甲2記載事項



(当審注:括弧内は、請求人提出の翻訳文及び乙2を参考にし、当審で作成したものである。以下、甲2については、同様である。:
技術分野
[0001] 本発明は、空気調和機の技術分野に関し、具体的には空気調和機の
熱交換器の洗浄方法に関する。
背景技術
[0002] 従来の技術では、空調機は、使用中に塵埃が熱交換器に付着しやす
く、熱交換器抵抗が増大し、熱交換効率が低下するだけでなく、熱交換器内
で細菌が繁殖することをもたらす恐れがあり、空気の品質に大きな影響を与
える。
発明の内容
[0003] 本発明の目的は、少なくとも従来の技術に存在する技術的課題の1
つを解決することである。そのため、本発明の一目的は、熱交換器を洗浄し
、熱交換効率を向上させ得る空気調和機の熱交換器の洗浄方法を提供するこ
とである。)




([0015] 本発明のいくつかの実施形態によれば、前記設定温度Tは、目標
温度値であり、前記熱交換器の表面温度を前記目標温度値に制御し、かつ前
記設定時間t維持する。本発明のいくつかの実施形態によれば、前記空気調
和機がインバーター空気調和機である場合、前記空気調和機の室内ファンを
オフにする方法、前記室内ファンを弱風運転させる方法、前記空気調和機の
圧縮機の周波数、前記空気調和機の室外ファンの回転数及び電子膨張弁の開
度を調整する方法のうちの少なくとも1つの方法で、前記熱交換器の表面温
度を制御して前記設定温度Tに維持させる。
[0016] 本発明の別の実施形態によれば、前記空気調和機が非インバーター
空気調和機である場合、前記空気調和機の室内ファンをオフにする方法、前
記室内ファンの回転数を調整する方法及び前記空気調和機の室外機を暖房運
転させる方法のうちの少なくとも1つの方法で、前記熱交換器の表面温度を
制御して前記事前設定温度Tに維持させる。
[0017] 具体的には、前記氷霜が融けると、前記空気調和機の室内ファンを
オフにすることで、前記空気調和機の室外機を停止させ又は冷房運転させる

[0018] 本発明のいくつかの実施形態によれば、前記熱交換器は、室内熱交
換器又は室外熱交換器である。
[0019] 本発明の追加の態様及び利点は以下の説明で部分的に示され、一部
は以下の説明において明らかになり、又は本発明の実施により理解される。





([0053] 実施例1
[0054] 以下、熱交換器表面の設定温度Tを段階的に下げることを例に、イ
ンバーター空気調和機の室内熱交換器の洗浄方法を説明する。
[0055] ステップ1:第1層の氷霜を凝縮させる。
[0056] まず、インバーター空気調和機の室内機ルーバーを最低吹出状態に
調整し、室内ファンを最小回転数で運転させ、インバーター空気調和機の室
外圧縮機の運転周波数Fを調節し(例えば、Fが40HZであってもよい)
、室外ファンを固定回転数rで運転させ、ここでrは、200r/min≦
r≦1200r/minを満たし、また、インバーター空気調和機の四方弁
を室内機冷房状態に切り替える。インバーター空気調和機が一定の時間t
0(例えば、t0が1min(分)であってもよい)運転してから室内熱
交換器の表面温度T0を検査する。
[0057] −2℃<T0<0℃である場合、現在の運転状態を維持して第1
設定時間t1(例えば、t1が5min(分)であってもよい)運転し、
[0058] T0≧0℃の場合、室外圧縮機の運転周波数Fを2増加させ(す
なわち、F=F+2であり、例えば室外圧縮機の運転周波数を40HZから
42HZに増加させることができる)、かつ、F≦50HZとする。
[0059] ステップ2:第2層の氷霜を凝縮させる。
[0060] 室外圧縮機の運転周波数が現在の周波数であり、室内ファンをオフ
にし、導風板を閉状態にする。室外ファンの回転数とインバーター空気調和
機の四方弁の状態を変えずに維持し、一定時間t0(例えば、t0が1minであってもよい)運転した後、室内熱交換器の表面温度T0を検出する。
[0061] −5℃<T0≦−2℃の場合、現在の運転状態を維持して第1サブ設定時間t21(例えば、t21が5minであってもよい)運転し、
[0062] T0>−2℃の場合、室外圧縮機の運転周波数Fを2増加させ、かつ、F≦60HZとする。
[0063] ステップ3:第3層の氷霜を凝縮させる。
[0064] 室外圧縮機の運転周波数が現在の周波数であり、室内ファンをオフ
にし、導風板が閉状態にあり、室外ファンの回転数とインバーター空気調和
機の四方弁の状態が変えずに維持し、一定時間t0(例えば、t0を1minであってもよい)運転してから室内熱交換器の表面温度T0を検出する。
[0065] T0≦−5℃の場合、現在の運転状態を維持して第2サブ設定時間t22(例えば、t22を10minにできる)にわたり運転する。
[0066] T0>−5℃の場合、室外圧縮機の運転周波数を2増加させ、かつF≦80HZとする。
[0067] ステップ4:除霜処理を行う。
[0068] 部屋内に冷気や湿気が吹き込まれることを回避するために、室内フ
ァン及び導風板を閉鎖状態にある。室外圧縮機と室外ファンが停止し、イン
バーター空気調和機の四方弁の状態が変わらない。
[0069] 室外圧縮機の運転を停止するため、室外熱交換器の高温高圧冷媒が室内熱交換器に戻り、室内熱交換器表面の霜が融けて液体の水になる。融解
前に室内熱交換器の表面に十分な氷霜が凝縮したため、室内熱交換器の表面
の塵埃が氷霜で覆われており、氷霜が融けて液体の水になると、塵埃が水中
に溶け込み、水滴とともにドレンパンに流入し、室外に排出される。
[0070] 室内熱交換器における氷霜が完全に融けることを確保するために、
室外圧縮機が一定時間t3(例えば、t3が1minであってもよい)停止して、熱交換器の表面温度T0を検出する。
[0071] T0≧7℃の場合、洗浄モードを終了し、
[0072] T0<7℃の場合、室外圧縮機を起動し、かつ室外圧縮機の運転周波数Fを30HZに調整し、室外ファンの回転数を調整することで、室外ファンを最小回転数で運転させ、インバーター空気調和機の四方弁を室内機暖房運転状態に切り替え、室内ファンと導風板はまだ閉状態にあり、T0=7℃になってから室外ファンの運転を停止させ、洗浄モードを終了させる。)




([0073] 実施例2
[0074] この実施例での空気調和機は非インバーター空気調和機であり、以
下、図2を参照しながら非インバーター空気調和機の室内熱交換器の洗浄方
法を説明する。
[0075] ステップ1:凝縮水の凝縮
[0076] 非インバーター空気調和機の室内ルーバーを最低吹出状態に調整し
、室内ファンを最小回転数で運転させ、室外圧縮機を起動し、室外ファンを
一定の回転数rで運転させ、ここでrが200r/min≦r≦1200r
/minを満たし、非インバーター空気調和機の四方弁を室内機冷房状態に
切り替え、一定の時間t4(例えば、t4を10minであってもよい)
運転した後、室内熱交換器の表面に一定量の凝縮水を凝縮させ、その後に熱
交換器の表面温度T0と室内周囲温度を検出する。
[0077] T0>(T1−6)℃の場合、時間t5(例えば、t5が5mi
nであってもよい)運転し続け、
[0078] T0≦(T1−6)℃の場合、ステップ2に移行する。
[0079] ステップ2:氷霜を凝縮させる。
[0080] 室内ファンをオフにし、導風板が閉状態にあり、室外ファンの回転
数と非インバータータエアコンの四方弁の状態を変えずに維持し、T0=
−20℃になるか、時間t6が30minに達するまで運転した後、手順
3に入る。
[0081] ステップ3:除霜
[0082] 部屋内に冷気や湿気が吹き込まれることを回避するために、室内フ
ァンと導風板を閉鎖状態にある。室外圧縮機と室外ファンが停止し、非イン
バーター空気調和機の四方弁の状態が変わらない。
[0083] 室外圧縮機が運転を停止するため、室外熱交換器の高温高圧冷媒が
室内熱交換器に戻り、室内熱交換器表面の霜が融けて液体の水になる。融け
る前に室内熱交換器の表面に十分な氷霜が凝結したため、室内熱交換器の表
面の塵埃が氷霜で覆われており、氷霜が融けて液体の水になると、塵埃が水
にとけこみ、水滴とともにドレンパンに流入し、室外に排出される。
[0084] 室内熱交換器上の氷霜が完全に融けることを確保するために、室外
圧縮機が一定の時間t7(例えば、t7が1minであってもよい)停止
して、熱交換器の表面温度T0を検出する。
[0085] T0≧7℃の場合、洗浄モードを終了し、
[0086] T0<7℃の場合、圧縮機を起動し、室外ファンの回転数を調整
することで、室外ファンを最小回転数で運転させ、非インバーター空気調和
機の四方弁を室内機暖房運転状態に切り替え、室内ファンと導風板が依然と
して閉状態にあり、T0=7℃になって室外ファンの運転を停止させ、洗
浄モードを終了する。
[0087] 本明細書の説明において、「一実施例」、「いくつかの実施例」、
「例示的な実施例」、「例」、「具体例」または「一部の例」などの用語を
参照した説明とは、該実施例、又は、その実施例や例に合わせて説明された
具体的な特徴、構造、材料又は特性が本発明の少なくとも1つの実施例や例
の中に含まれることを意味する。本明細書では、前記用語の例示的な説明は
、必ずしも同一の実施例や例を示すことではない。また、説明された具体的
な特徴、構造、材料又は特徴は、いずれか1つ又は複数の実施例や例におい
て、適切な形態で組み合わせることができる。
[0088] 本発明の実施例を示して説明したが、当業者にとっては、本発明の
原理及び要旨から逸脱せずにこれらの実施例に対する様々な変更、補正、置
換及び変更を行うことができ、本発明の範囲は、特許請求の範囲及びその均
等物によって定義されるものであることを理解できる。)












(イ) 上記(ア)の記載事項からわかること
・インバータ空気調和機は、圧縮機、室外熱交換器、電子膨張弁、室内熱交
換器、四方弁、室内ファンを有していること([0015]、[0018]、[0056])。
・少なくとも圧縮機及び電子膨張弁を制御可能であること([0015])。
・図1を参照しながら、実施形態1[0053]〜[0072]をみると、ステップ1〜
ステップ3では、室内熱交換器の表面温度T0を検出した後のフローは、
以下の処理をしていること。
「ステップ1では、A:室内熱交換器の表面温度T0を検出し、
−2℃<T0<0℃である場合、現在の運転状態を維持して第1設定時間
t1運転し、次のステップ2へ、
T0≧0℃の場合、室外圧縮機の運転周波数Fを2増加させ、かつ、F≦
50HZとして、上記Aへ。
ステップ2では、
B:室内熱交換器の表面温度T0を検出し、
−5℃<T0≦−2℃の場合、現在の運転状態を維持して第1サブ設定時
間t21運転し、次のステップ3へ、
T0>−2℃の場合、室外圧縮機の運転周波数Fを2増加させ、かつ、F
≦60HZとして、上記Bへ。
ステップ3では、
C:室内熱交換器の表面温度T0を検出し、
T0≦−5℃の場合、現在の運転状態を維持して第2サブ設定時間t22
にわたり運転し、次のステップ4へ、
T0>−5℃の場合、室外圧縮機の運転周波数を2増加させ、かつF≦8
0HZとして、上記Cへ。」
(ウ) 甲2に記載された発明
甲2には、甲2の上記(ア)及び(イ)の事項を総合し、各ステップの実
施形態1([0053]〜[0072]、図1)に着目すると、装置として、次の発明(
以下「甲2発明」という。)が記載されていると認められる。
「圧縮機、室外熱交換器、電子膨張弁、室内熱交換器、四方弁を有し、
少なくとも前記圧縮機及び前記電子膨張弁を制御可能であり、
室内熱交換器の表面温度T0を検出し、
室内ファンを有し、
洗浄モードを開始し、以下の各ステップを行う、
インバーター空気調和機。
ステップ1:第1層の氷霜を凝縮させる。
インバーター空気調和機の室内機ルーバーを最低吹出状態に調整し、室
内ファンを最小回転数で運転させ、インバーター空気調和機の室外圧縮
機の運転周波数Fを調節し、室外ファンを固定回転数rで運転させ、こ
こでrは、200r/min≦r≦1200r/minを満たし、また、イ
ンバーター空気調和機の四方弁を室内機冷房状態に切り替え、インバー
ター空気調和機が一定の時間t0運転してから、
A:室内熱交換器の表面温度T0を検出し、
−2℃<T0<0℃である場合、現在の運転状態を維持して第1
設定時間t1運転し、次のステップ2へ、
T0≧0℃の場合、室外圧縮機の運転周波数Fを2増加させ、か
つ、F≦50HZとして、上記Aへ。
ステップ2:第2層の氷霜を凝縮させる。
室外圧縮機の運転周波数が現在の周波数であり、室内ファンをオフにし
、導風板を閉状態にし、室外ファンの回転数とインバーター空気調和機
の四方弁の状態を変えずに維持し、一定時間t0運転してから、
B:室内熱交換器の表面温度T0を検出し、
−5℃<T0≦−2℃の場合、現在の運転状態を維持して第1サ
ブ設定時間t21運転し、次のステップ3へ、
T0>−2℃の場合、室外圧縮機の運転周波数Fを2増加させ、
かつ、F≦60HZとして、上記Bへ。
ステップ3:第3層の氷霜を凝縮させる。
室外圧縮機の運転周波数が現在の周波数であり、室内ファンをオフにし
、導風板が閉状態にあり、室外ファンの回転数とインバーター空気調和
機の四方弁の状態が変えずに維持し、一定時間t0運転してから、
C:室内熱交換器の表面温度T0を検出し、
T0≦−5℃の場合、現在の運転状態を維持して第2サブ設定時
間t22にわたり運転し、次のステップ4へ、
T0>−5℃の場合、室外圧縮機の運転周波数を2増加させ、か
つF≦80HZとして、上記Cへ。
ステップ4:除霜処理を行う。
部屋内に冷気や湿気が吹き込まれることを回避するために、室内ファ
ン及び導風板を閉鎖状態にし、室外圧縮機と室外ファンが停止し、イン
バーター空気調和機の四方弁の状態が変わらず、
室外圧縮機の運転を停止するため、室外熱交換器の高温高圧冷媒が室内
熱交換器に戻り、室内熱交換器表面の霜が融けて液体の水になり、氷霜
が融けて液体の水になると、塵埃が水中に溶け込み、水滴とともにドレ
ンパンに流入し、室外に排出され、
室内熱交換器における氷霜が完全に融けることを確保するために、室外
圧縮機が一定時間t3停止して、熱交換器の表面温度T0を検出し、
T0≧7℃の場合、洗浄モードを終了し、
T0<7℃の場合、室外圧縮機を起動し、かつ室外圧縮機の運転周
波数Fを30HZに調整し、室外ファンの回転数を調整することで、
室外ファンを最小回転数で運転させ、インバーター空気調和機の四方
弁を室内機暖房運転状態に切り替え、室内ファンと導風板はまだ閉状
態にあり、T0=7℃になってから室外ファンの運転を停止させ、
洗浄モードを終了させる。」
ウ 甲3
(ア) 甲3記載事項



(当審注:括弧内は、請求人提出の翻訳文及び乙3を参考にし、当審で作成したものである。以下、甲3については、同様である。:
[0016]
現有技術における着霜−霜取りクリーニング方法に比べ、本発明の制御方法の利点は以下の通りである。
[0017]
1.着霜段階:通常の方法におけるファン全開または全閉方式とは異なり、本発明では、エアコンのコイルが着霜臨界温度に達した後にファンがオンするように制御されるため、着霜臨界温度に達する前の冷却量の散逸を低減することができるばかりではなく、着霜臨界温度に達した後はファンの運転により室内機内部空気の流動を速めて、温度及び水蒸気の分布を均一とし、着霜の厚みを均一化させることもできる。
[0018]
2.霜取り段階:霜取り時には、エアコンの運転モードが切り換えられ、熱交換器の昇温に緩衝時間が必要であるため、室内機内の冷たい空気を速やかに排出して、暖房モード下における冷媒の熱量ロスを低減することができるように、ファンの運転を予め制御し、暖房モードで一定時間運転した後、再度ファンの運転をオンすると、室内機内部における空気の流動を加速させ、温度分布を均一化させ、霜取り効率を高める作用を発揮することができる。
[0019]
ここで理解すべきは、以上における一般的な記述及びこの後の文章における詳細な記述は例示的かつ解釈的なものに過ぎず、本発明を制限するものではない点である。)



([0025] 図1に示すように、本発明は空気調和機室内機の自動洗浄の制御方法を提供しており、該制御方法の主要なステップは以下を含む。
[0026] S101、空気調和機を冷房モードで運転させる。空気調和機を冷房モ
ードで運転させて、室内機の熱交換器を流れる冷媒の流量を増加して、室内
機内部の空気温度を低減することによって、室内機の内部は結露着霜の温度
条件に達する。この過程で、室内機のファンの運転を停止させて、室内機内
部の低温空気の室内環境への散逸を低減することによって、冷却容量を室内
機の内部に集中させ、着霜速度を上げる。
[0027] S102、室内機のコイルの温度を検出する。室内機の塵埃などの不純
物が主に熱交換器やコイルなどに集中し、本発明の制御方法もこれらの部品
について相応した着霜除塵を行うので、コイルの温度により着霜の温度要求
に到達したか否かを判断する必要がある。また、室内機のファンが運転停止
状態にあった時、冷媒の冷却容量が主に熱交換器やコイルなどの部品に集中
するので、室内機内部の他の部品と構造の除塵洗浄効果を保証するために、
コイルの温度が着霜限界温度より低い時に、ファンを第一回転速度及び第一
時間の長さで運転させることによって、室内機内部の空気が流れて、室内機
の部品及び構造のほとんどが着霜温度に達することができるようにさせると
同時に、霜になる湿気の各部品への付着を均一にすることによって、湿気を
して室内機の内部に均一または類似の厚さで霜にならしめ、さらに塵埃など
の不純物を覆った氷層にならしめることができる。)



([0028] S103、空気調和機を暖房モードで運転させる。空気調和機が高温
冷媒を室内機の熱交換器に輸送することによって、空気調和機内部の温度が
速やかに上がって、霜層と氷層が速やかに融けて、塵埃などの不純物がドレ
ンパンに押し流されて、室内機に対して除霜洗浄を行うという目的を達成す
る。
[0029] 上述したステップS101を実行する前に、空気調和機はユーザの入力
した自動洗浄指令を受信する。空気調和機室内機のマイクロコントローラー
やチップなどの電気制御素子の中に自動洗浄プログラムが内蔵されており、
室内機に対した洗浄除塵操作が必要となった時に、ユーザはリモコンや室内
機ディスプレイパネルでマイクロコントローラーやチップなどの電気制御素
子へ自動洗浄指令を送信し、自動洗浄指令を受信した後に、空気調和機が着
霜除霜の自動洗浄操作フローを実行する。
[0030] 上述したステップS101において、室内環境にあるユーザへの影響を
低減するために、空気調和機の風向板が閉じたり小さな角度で開いたりする
ことで、冷風が直接ユーザに向かって吹くことを回避して、洗浄過程中の運
転モードの変化によるユーザの不快感を低減する。
[0031] なお、空気調和機が冷房モードで運転した時に、室内機内部の温度
の低下を速めるために、膨張弁の開度調節、室外機熱交換器の熱交換量調節
、圧縮機のパワー調節などの方式を採用してもよく、本発明はこれを制限し
ない。)




([0042] 該制御方法に係る制御過程をより明確にするために、以下図2を参照して説明を行う。図2は空気調和機部品の各段階における運転の模式図であり、自動洗浄の過程で、運転している主な空気調和機部品は室内機ファン、室外機ファン、圧縮機、膨張弁及び四方弁を含む。その中、室内機ファンに係る運転過程は着霜段階(A段階)と除霜段階(B段階)に分けられており、具体的には、着霜のA段階はコイルの温度が着霜限界温度に達するまでの第一着霜段階(A1段階)及びコイルの温度が着霜限界温度に達し室内機ファンが第一回転速度で運転する第二着霜段階(A2段階)を含み、第二着霜段階の時間の長さは第一時間の長さである。除霜のB段階は室内機ファンが第二回転速度で運転する除霜準備段階(B1段階)を含み、第二除霜準備段階の時間の長さは第二時間の長さである。B段階はさらに空気調和機が暖房モードで運転し且つ室内機ファンが運転していない第一除霜段階(B2段階)を含み、第一除霜段階の時間の長さは第三時間の長さである。B段階はさらに空気調和機が暖房モードで運転し且つ室内機ファンが第三回転速度で運転する第二除霜段階(B3段階)を含む。)





図1 )






(イ) 甲3に記載された発明
甲3には、甲3の上記(ア)の事項を総合すると、次の発明(以下「甲3
発明」という。)が記載されていると認められる。
「圧縮機、室内機熱交換器、室外機熱交換器、膨張弁と、
少なくとも前記圧縮機及び前記膨張弁を制御する電気制御子と、を備え、
自動洗浄では、空気調和機を冷房モードで運転させ室内機のファンを停止
させ(S101)、室内機のコイルの温度を検出し、コイルの温度が着霜限界温度
より低い時に、ファンを第1回転速度及び第1時間の長さで運転させ(S102)
、空気調和機を暖房モードで運転させて、室内機に対して除霜洗浄を行う(S
103)、
空気調和機。」
エ 甲4
(ア) 甲4記載事項
「【請求項1】
室内の空気を吸い込む吸込口と吸い込まれた前記空気を室内に吹き出す吹
出口が本体ケースに形成され、前記吸込口と前記吹出口を連通する送風路内
に室内熱交換器と室内送風機とが配置された室内機と、室外送風機と圧縮機
と室外熱交換器と電動膨張弁が配置された室外機と、を有する空気調和機で
あって、
前記室内熱交換器は、親水性プレコートフィンで構成し、前記フィンの少
なくも一部を着霜させる着霜運転を行い、その後除霜運転により除霜水を発
生させて前記室内熱交換器の前記フィン表面に付着した汚れを除去する手段
を備えたことを特徴とする空気調和機。」
「【0013】
前側熱交換器部17Aの下部には、前ドレンパン18aが配置され、後側
熱交換器部17Bの下部には、後ドレンパン18bが配置されている。後板
13には、後ドレンパン18bの下部側に送風路20が形成され、室内機本
体11の下部には吹出口21が開口されている。送風路20 と吹出口21
はつながっており、吹出口21には、上下風向を設定するためのルーバー(
水平ルーバーとも言う)22,23が配置されている。これらのルーバー2
2,23はR方向に向きを変えることにより、運転モードに応じて吹出口2
1から室内に吹き出される風の向きを変えることができる。」
「【0015】
室内機1側には、室内制御部50、リモートコントローラ70との送受信
部51、室内吸込み空気と室内熱交換器の各温度センサTS、吹出口のルー
バー22,23及び左右風向を設定するためのルーバー(図示せず)を夫々
駆動するためのモータ52,53,54、室内送風機19のファンモータ5
5、前側熱交換器部17Aと後側熱交換器部17B、除湿用絞り弁5を備え
ている。除湿用絞り弁5は、前側熱交換器部17Aと後側熱交換器部17Bの間に配置されている。室内制御部50は、各温度センサTSの検出する温
度信号を受ける。室内制御部50は、各ルーバー駆動用のモータ52、53
、54とファンモータ55の動作を制御し、除湿用絞り弁5の絞り制御を行
う。
【0016】
室外機30側には、室外制御部60、圧縮機31、四方切換弁32、室外
熱交換器33、冷媒膨張手段である電動膨張弁34、室外送風機35、イン
バータ回路61を備えており、インバータ回路61は商用交流電源62に電
気的に接続されている。室外制御部60は、電動膨張弁34、室外送風機3
5、インバータ回路61、四方切換弁32等の動作を制御する。室外熱交換
器33は、前側熱交換器部17Aに対して電動膨張弁34と冷媒配管6によ
り接続されている。後側熱交換器部17Bは、圧縮機31と四方切換弁32
と冷媒配管6を介して室外熱交換器33に接続されている。」
「【0020】
室外機30内には、圧縮機31、四方切換弁32、室外熱交換器33、冷
媒膨張手段である電動膨張弁34、室外送風機35等の冷凍サイクル回路の
構成部品が配置されている。室内熱交換器17、圧縮機31、四方切換弁3
2,室外熱交換器33、電動膨張弁34は、冷媒配管6を介して接続されて
おり、ヒートポンプ式の冷凍サイクルを構成している。」
「【0030】
図3に示す室内熱交換器17の温度センサTSは、室内熱交換器17の温
度TCを測定する。この室内熱交換器17の温度センサTSは除湿用絞り弁
5の冷媒出口5C側の冷媒配管6Fに配置されている。除湿用絞り弁5によ
り冷媒の流れを絞った際の除湿運転サイクル時に室内熱交換器17の凍結を
防止するために、この室内熱交換器17の温度センサTSは除湿用絞り弁5
の冷媒出口部5C側の冷媒配管6Fに配置され、室内熱交換器17の温度が
0℃以上になるように制御している。」
「【0050】
ところで、図7に示すように、室内熱交換器17の各親水性プレコートフ
ィンFを着霜する際の着霜量のコントロールは、室内熱交換器17の温度(
TC)の値とその温度の設定時間(着霜運転時間)の大小により行う。
【0051】
図7では、縦軸が室内熱交換器17の温度(TC)を示し、横軸が時間を
示している。
図7に示すように、通常の冷房運転サイクル時には、室内熱交換器17の
凍結を防止するために、室内熱交換器17の温度(TC)が0℃以上になる
ように制御している。しかし、本発明の実施形態では、室内熱交換器17の
温度(TC)が温度Tcice(ただし、Tcice<0 ℃ )をT時間以
上設けることにより、室内熱交換器17の親水性プレコートフィンFに対して着霜させる。この室内熱交換器17の温度(TC)の値と時間Tの長さを
調整することにより、親水性プレコートフィンFに対する着霜量を調整する
ことができる。」
「【0055】
図8において、除湿運転をする際に、室内熱交換器17の親水性プレコー
トフィンFに対して着霜させる場合に、外気温が高い時には室内熱交換器1
7の温度TCは比較的高いために、室内熱交換器17の温度TCを低下させ
るには、外気温に応じて、図3に示す室外機の室外送風機35の回転数およ
び電動膨張弁(PMW)34の開度を、図8に示すように制御する。すなわ
ち、外気温度が高くなるにつれて、図3に示す室外機30の室外送風機35
のファン回転数を上げ、電動膨張弁34の開度を小さくする。これにより、
室内熱交換器17の温度TCは低下させて、室内熱交換器17を凍結させて
親水性プレコートフィンFに対して着霜させることができる。
【0056】
このように、室内熱交換器17の温度TCは低下させて室内熱交換器17
を凍結させて親水性プレコートフィンFに対して着霜させる時には、着霜を
促進するために、そして吹き出し空気温度の低下によりユーザに対する快適
性を損なわないようにするために、図1に示す室内機1の室内送風機19の
ファン回転数を、通常の運転時のファン回転数よりも低くするか、または停
止させてもよい。これにより、室内熱交換器17の前側熱交換器部17Aと
後側熱交換器部17Bに対して効率良く着霜させることができ、親水性プレ
コートフィンFの汚れを効率的に除去できる。
【0057】
また、上述したように、凍結させた室内熱交換器17の親水性プレコート
フィンFを除霜するには、送風運転もしくは暖房運転で行うことで、親水性
プレコートフィンFを加熱して霜を効率良く溶かすことができる。」
「【0059】
図9では、縦軸が室内熱交換器17の温度(TC)を示し、横軸が時間を
示している。
図9に示すように、通常の冷房運転サイクル時には、室内熱交換器17の
凍結を防止するために、室内熱交換器17の温度(TC)が0 ℃ 以上にな
るように制御している。しかし、本発明の実施形態では、室内熱交換器17
の温度(TC)が温度Tcice(ただし、Tcice< 0℃)をT時間
以上設けることにより、室内熱交換器17の親水性プレコートフィンFに対
して着霜させる。この室内熱交換器17の温度(TC)の値と時間(着霜運
転時間)Tの長さを調整することにより、親水性プレコートフィンFに対す
る着霜量を調整することができる。
【0060】
その後、室内熱交換器17の除霜をする場合には、室内熱交換器17の温
度を利用して、室内熱交換器17の温度Tcdef(ただし、Tcdef>
0℃)が時間Tdefの間設定されることにより、室内熱交換器17の除霜
を行うことができる。なお、除霜終了の判定は、室内熱交換器17の温度T
Cの値により行われるが、例えば図8に示す例では、室内熱交換器17の温
度TCが最大温度になった時に除霜作業が終了したと判定する。」












(イ) 甲4に記載された発明
甲4には、甲4の上記(ア)の事項を総合すると、次の発明(以下「甲4
発明」という。)が記載されていると認められる。
「室内熱交換器17、圧縮機31、四方切換弁32、室外熱交換器33、電
動膨張弁34は、冷媒配管6を介して接続されており、ヒートポンプ式の冷
凍サイクルを構成し、
室内制御部50は、各温度センサTSの検出する温度信号を受け、
室内熱交換器17の温度センサTSは、室内熱交換器17の温度TCを測
定し、
室内制御部50は、各ルーバー駆動用のモータ52、53、54とファン
モータ55の動作を制御し、除湿用絞り弁5の絞り制御を行い、
室外制御部60は、電動膨張弁34、室外送風機35、インバータ回路6
1、四方切換弁32等の動作を制御し、
室内送風機19を有し、
通常の冷房運転サイクル時には、室内熱交換器17の凍結を防止するため
に、室内熱交換器17の温度(TC)が0℃以上になるように制御し、
着霜運転では、室内熱交換器17の温度(TC)が温度Tcice(ただ
し、Tcice<0 ℃ )をT時間以上設けることにより、室内熱交換器1
7の親水性プレコートフィンFに対して着霜させ、
室内熱交換器17の温度(TC)は低下させて室内熱交換器17を凍結さ
せて親水性プレコートフィンFに対して着霜させる時には、着霜を促進する
ために、そして吹き出し空気温度の低下によりユーザに対する快適性を損な
わないようにするために、室内機1の室内送風機19のファン回転数を、通常の運転時のファン回転数よりも低くするか、または停止させ、
凍結させた室内熱交換器17の親水性プレコートフィンFを除霜するには
、送風運転もしくは暖房運転で行うことで、親水性プレコートフィンFを加
熱して霜を効率良く溶かす、
空気調和機。」
オ 甲5
甲5には、以下の事項が記載されている。



(海信空調35GW/A8Q200H−A1(1P41) 1 3900.00
・・・
日期:2017.04.01 19:10:47)
カ 甲6
(ア) 甲6記載事項


」(1ページ)


」(1ページ)


」(1ページ)


」(2ページ)




」(3〜4ページ)






」(4ページ〜6ページ)




」(7ページ〜8ページ)


」(8ページ)


」(13ページ)


」(14ページ)




」(15〜16ページ)
















」(17〜24ページ)
(イ) 甲6記載事項からわかること
・甲6は、上記の銘板シールが付された室内機及び室外機からなる空気調和
機について、2019年(令和元年)8月13日〜15日に、ハイセンス家電研究開発センターで行われた実験報告書である。
・甲6の空気調和機は、圧縮機、室外熱交換器、電子膨張弁、室内熱交換器
、室内環境温度センサ、室内ファン、室内電子制御装置、室外電子制御装置
を備える。
・甲6の空気調和機は、圧縮機、室外熱交換機、電子膨張弁、室内熱交換器を順次に介して冷媒が循環する冷媒回路をなしている。
・甲6の空気調和機は、圧縮機及び電子膨張弁を制御する室内電子制御装置
及び室外電子制御装置を有している。
・甲6の空気調和機は、室内環境温度センサが室内の温度を検出するもので
ある。
・甲6の空気調和機は、冷房を行う際には、室外熱交換機が凝縮器として、
室内熱交換器が蒸発器として、機能するものである。
・甲6の空気調和機は、室内温度20℃、室内湿度50%、室外温度20℃
、室外湿度50%にし、環境温度を一定に維持し、甲6の空気調和機の「室
内清掃」操作を実行したところ、甲6の実験○2(当審注:「○2」は、数
字の2を○で囲んだものを意味する。以下同様である。)のグラフ1で、室
内熱交換器の温度が低下してから再び零度以上に戻るまでの期間に対応する
、実験○2のグラフ2の室内モータの回転数はゼロである。また、室内熱交
換器の温度が再び零度以上に戻るまでの期間は、室内熱交換器が零度未満で
あることから、室内熱交換器の表面に着目すると、空気中の水蒸気を凍結さ
せている状態となっていることは明らかで、凍結させるための処理を行って
いるといえる。
そうすると、甲6の空気調和機は、「室内洗浄」運転において、室内熱交
換器を蒸発器として作用し、室内熱交換器の温度が0℃以下となっている期
間は、室内熱交換器を凍結させるための処理を行っていて、その際に、室内
モータは停止していて、その結果、室内ファンも停止している。
・甲6の空気調和機は、実験○5及び○6で、室内温度20℃、室内湿度5
0%;室外温度20℃、室外湿度50%という実験○2と同1条件下にされ
たものである。そして、実験○5は「室内清掃」運転開始後200秒経過時
に、実験○6は空気調和機の温度を18℃に設定し、冷房運転開始後870
秒経過時に、それぞれ氷水で甲6の空気調和機の室内環境温度センサを冷却
した。
その結果、実験○5では、氷水で冷却する前後において、室内モータの回
転数及び室外モータの回転数に変動は生じていないものの、電力を示すグラ
フは、その前後においてゆるやかに低下していることが看取できる。また、
1条件である、実験○2のグラフ1と実験○5のグラフ1との対比におい
て、重ねて見たときに、グラフ各線の相互の位置関係は、異なる態様を示す
箇所があり、このことは、実験○2のグラフ2と実験○5のグラフ2との対
比においても同様である。
実験○6では、氷水で冷却する前後において、直ちに電力に変動はなく、
しばらくしてから、低下した。
(ウ) 以上の(ア)及び(イ)を総合すると、甲6の空気調和機は以下の
構成を有するもの(以下「甲6製品」という。)と認められる。
甲6製品:「圧縮機、室外熱交換器、電子膨張弁、室内熱交換器を順次に介し冷媒が循環する冷媒回路をなし、
圧縮機及び電子膨張弁を制御する室内電子制御装置及び室外電子制御装置
を有し、
室内環境温度センサが室内の温度を検出するものであり、
冷房を行う際には、室外熱交換器が凝縮器として、室内熱交換器が蒸発器
として、機能するものであり、
室内温度20℃、室内湿度50%、室外温度20℃、室外湿度50%の環
境温度を一定に維持し、「室内清掃」操作を実行したところ、室内熱交換器
の温度が低下してから再び零度以上に戻るまでの期間、室内モータの回転数
はゼロであり、室内ファンも停止していて、
室内温度20℃、室内湿度50%;室外温度20℃、室外湿度50%条件
下で、「室内清掃」運転開始後200秒経過時に、氷水で室内環境温度セン
サを零度に冷却し、その前後において、室内モータの回転数及び室外モータ
の回転数に変動は生じていないものの、電力を示すグラフは、その前後にお
いてゆるやかに低下しており、また、室内温度20℃、室内湿度50%;室
外温度20℃、室外湿度50%条件下で、空気調和機の温度を18℃に設定
して、冷房運転開始後870秒経過時に、氷水で室内環境温度センサを零度
に冷却し、その前後において、空気調和機の電力は直ちには変動はなく、し
ばらくしてから低下し、
その後、氷や霜を解凍する解凍処理を行う、
空気調和機。」
キ 甲9
甲9には、以下の事項が記載されている。



ク 甲10
甲10には、以下の事項が記載されている。



ケ 甲11
甲11には、以下の事項が記載されている。



コ 甲13
甲13には、以下の事項が記載されている。



(当審注:括弧内は、請求人提出の翻訳文を参考にし、当審で作成したものである。以下、甲13については、同様である。:[0055]・・・被洗浄熱交換器の自動洗浄周期になると、空気調和機の高低圧力差が四方弁の切り替えに許容される圧力差に達したか否かを検出する。空気調和機の高低圧力差が四方弁の切り替えに許容される圧力差に達すると、四方弁が切り替えるように制御し、室内外熱交換器の除霜を切り替え、空気調和機の高低圧力差が四方弁の切り替えに許容される圧力差に達していないと、空気調和機の運転パラメータを調節することで、空気調和機の高低圧力差を四方弁の切り替えに許容される圧力差に達させ、四方弁が切り替えるように制御し、室内外熱交換器の除霜を切り替える。)



([0062] 空気調和機の高低圧力差が上記予め設定された条件を満たしていないと、空気調和機の運転パラメータを調節して、空気調和機の高低圧力差を上記予め設定された条件に達させるステップは、
[0063]室内外ファンの回転数を増加させ、室内外の風量を増やすステップと、
[0064]コンプレッサ周 波数をHlまで低減させ、t2時間保持するステップと、
[0065]絞り装置の開度を最大に調整するステップとのうちの少なくとも 1 つのステップを含む。
[0066]Hlは空気調和機の高低圧力差を上記予め設定された条件に達させるためのコンプレッサの最小運転周波数であり、t2はコンプレッサが該運転周波数を保持しつつ被洗浄熱交換器着における霜が融ける時間であり、t2は、たとえば5minである。)



([0091]本発明の空気調和機の室内外機の洗浄方法においては、被洗浄熱交換器をt1時間連続的に着霜させた後 、空気調和機の高低圧力差が予め設定された条件に達したか否かを検出する前に、空気調和機の室内外機の洗浄方法は、
[0092] コンプレッサの運転を停止させるステップと、
[0093] 被洗浄熱交換器に対応するファンが停止するように制御し、t4時間保持した後、被浄熱交換器に対応するファンの運転を起動し、除霜処理に入るステップと、をさらに含んでもよい。ここでは、t4はたとえば 5minである。
[0094]コンプレッサの運転を停止させ、被洗浄熱交換器に対応するファンが停止するように制御してからそのまま一定時間保持することにより、熱交換器の表面における着霜は徹底的に融けることができる。)

(2) 無効理由1(甲1を主引例とする、特許法第29条第1項第3号、第2項)
ア 特許法第29条第1項第3号
(ア) 本件特許発明1と甲1発明との対比
本件特許発明1と甲1発明とを、その機能、構造又は技術的意義を考慮して対比する。
後者における「室内熱交換器」及び「室外熱交換器」は、冷房を行うときには、それぞれ蒸発器及び凝縮器として機能することは明らかであり、前者の「蒸発器」及び「凝縮器」に相当する。
後者の「空気調和機」における「絞り装置」は、その機能からみて、前者の「膨張弁」に相当する。
後者の「圧縮機」、「室外熱交換器」、「絞り装置」及び「室内熱交換器」が空気調和機において、順次に介して冷媒が循環する冷媒回路をなすことは明らかであるから、後者は、前者の「圧縮機、凝縮器、膨張弁、及び蒸発器を順次に介して冷媒が循環する冷媒回路」を備えるものである。
また、後者の「少なくとも前記圧縮機の運転周波数を制御し、及び前記絞り装置を調整」することは、空気調和機が有する制御部がなすことは明らかなので、前者の「少なくとも前記圧縮機及び前記膨張弁を制御する制御部」を備えるものに相当する。
後者の「室内環境温度を検出する温度センサ」は、室内環境温度は室内温度のことであることから、前者の「室内の温度を検出する室内温度センサ」に相当する。
後者は、「洗浄対象熱交換器が常に蒸発器であ」るとするもので、空気調和機を冷房として使用するときには、室内熱交換器が蒸発器となり、室外熱交換器が凝縮器となることは明らかであるから、後者は、前者の「前記凝縮器及び前記蒸発器の一方は室外熱交換器であり、他方は室内熱交換器であ」る態様を備えるものである。
後者は、「空気調和機が自動洗浄モードに入るように制御し、洗浄対象熱交換器が所在する環境温度を検出するとともに、検出された環境温度に基づき洗浄対象熱交換器の目標蒸発温度T0を以下(a)式により確定し、洗浄対象熱交換器の目標蒸発温度T0と実際の蒸発温度とに基づき洗浄対象熱交換器の蒸発温度を調節して、洗浄対象熱交換器に着霜するように制御し、
洗浄対象熱交換器にt2時間着霜運転した後、Te<T0+Cを満たされ
ない場合(Teは洗浄対象熱交換器の蒸発温度、Cは定数であり、0〜10
の間の数値を採用)、洗浄対象熱交換器に対応するファンをt3時間運転を
停止させ、Te<T0になって且つt4時間継続後、洗浄対象熱交換器に対
応するファンを再起動して霜取りモードに入るように制御する」ことは、空気調和機の制御部がなしていることは明らかであり、洗浄対象熱交換器に対応するファン、つまり室内ファンは、着霜されているときに、運転した状態から、停止した状態になることから、前者の「前記制御部は、
前記室内熱交換器を前記蒸発器として機能させ、前記室内熱交換器を凍結させ、その後、前記膨張弁の開度を大きくして前記室外熱交換器の前記冷媒を前記室内熱交換器に流入させることによって前記室内熱交換器の氷を溶かすことで、前記室内熱交換器を洗浄する処理を行うものであって、
前記室内熱交換器の凍結では室内ファンを停止させるか、又は、前記室内
ファンの駆動と停止を交互に行」うことと、「前記制御部は、
前記室内熱交換器を前記蒸発器として機能させ、前記室内熱交換器を凍結させ、その後、前記室内熱交換器の氷を溶かすことで、前記室内熱交換器を洗浄する処理を行うものであって、
前記室内熱交換器の凍結では室内ファンを停止させるか、又は、前記室内
ファンの駆動と停止を交互に行」う限りで一致する。
そうすると、本件特許発明1と甲1発明とは、以下の一致点で一致し、相違点で相違する。
[一致点]
「圧縮機、凝縮器、膨張弁、及び蒸発器を順次に介して冷媒が循環する冷媒回路と、
少なくとも前記圧縮機及び前記膨張弁を制御する制御部と、
室内の温度を検出する室内温度センサと、を備え、
前記凝縮器及び前記蒸発器の一方は室外熱交換器であり、他方は室内熱交
換器であり、
前記制御部は、
前記室内熱交換器を前記蒸発器として機能させ、前記室内熱交換器を凍結させ、その後、前記室内熱交換器の氷を溶かすことで、前記室内熱交換器を洗浄する処理を行うものであって、
前記室内熱交換器の凍結では室内ファンを停止させるか、又は、前記室内
ファンの駆動と停止を交互に行う、
空気調和機。」
[相違点1−1]
室内温度センサに関して、本件特許発明1は、「通常の空調運転時、前記
室内温度センサの検出値を各機器の制御に用い、前記室内熱交換器の凍結時
、前記室内温度センサの検出値を前記各機器の制御に用いない」としている
のに対して、甲1発明は、「空気調和機が自動洗浄モードに入るように制御」されて、「洗浄対象熱交換器が所在する環境温度を検出するとともに、検
出された環境温度に基づき洗浄対象熱交換器の目標蒸発温度T0を以下(a
)式により確定し、洗浄対象熱交換器の目標蒸発温度T0と実際の蒸発温度
とに基づき洗浄対象熱交換器の蒸発温度を調節して、洗浄対象熱交換器に着
霜するように制御」されている点。
(a)T0=k*T−AまたはT0=T1、両者のうちの小さい方を採用。
式中、kは計算係数であり、0.7〜1を採用し、Aは温度補償値であり、
4〜25℃を採用し、Tは洗浄対象熱交換器が所在する環境温度であり、−
10℃≦T1<0℃である。
[相違点1−2]
室内熱交換器を蒸発器として機能させ、前記室内熱交換器を凍結させ、その後、前記室内熱交換器の氷を溶かすことで、前記室内熱交換器を洗浄する処理を行うことに関して、本件特許発明1は、「(前記室内熱交換器を凍結させ)その後、前記膨張弁の開度を大きくして前記室外熱交換器の前記冷媒を前記室内熱交換器に流入させることによって前記室内熱交換器の氷を溶かすことで、前記室内熱交換器を洗浄する処理を行うものであ」るのに対して、甲1発明は、「洗浄対象熱交換器に対応するファンを再起動して霜取りモードに入るように制御する」としている点。
(イ) 判断
a 相違点1−1について
甲1発明は、「少なくとも前記圧縮機の運転周波数を制御し、及び前記絞り装置を調整」するものであり、運転周波数を制御するものであるから、インバータ空気調和機といえるものである。
そして、インバータ空気調和機が、圧縮機の運転周波数を制御し、その結果、圧縮機の回転数を制御するのは、「室内環境温度を検出する温度センサ」を備えた甲1発明が、制御対象となる室内空間の温度を検知し、制御対象となる空調負荷(温度)に基づき圧縮機からの冷媒量を適宜に調整するためであることは技術的に明らかである(上記甲9、甲10、甲11の記載事項参照。)。
また、絞り装置についても、その開度を調整し、冷媒量を調整するものであるから、インバータ空気調和機において、冷媒量を調整する際に、圧縮機の回転数を制御することと同じく、温度センサによる温度、すなわち空調負荷に基づいて、絞り装置の開度の制御を行い、冷媒の流量の調整を行うことも、また明らかである。
そうすると、甲1発明は、「通常の空調運転時、前記室内温度センサの検出値を各機器の制御に用い」る構成を実質的に備えるものといえる。
一方、甲1発明は、「空気調和機が自動洗浄モードに入るように制御し」、その際に、「洗浄対象熱交換器が所在する環境温度を検出するとともに、検出された環境温度に基づき洗浄対象熱交換器の目標蒸発温度T0を以下(a)式により確定し、洗浄対象熱交換器の目標蒸発温度T0と実際の蒸発温度とに基づき洗浄対象熱交換器の蒸発温度を調節して、洗浄対象熱交換器に着霜するように制御し」、「(a)T0=k*T−AまたはT0=T1、両者のうちの小さい方を採用。
式中、kは計算係数であり、0.7〜1を採用し、Aは温度補償値であり
、4〜25℃を採用し、Tは洗浄対象熱交換器が所在する環境温度であり、
−10℃≦T1<0℃である。」とするものである。
そうすると、甲1発明は、自動洗浄モードに入って、着霜を行う処理の際
、すなわち凍結処理を行う際に、(a)式において、洗浄対象熱交換器(室
内熱交換器)が存在する環境温度Tを用いて、目標蒸発温度T0を求めて、「目標蒸発温度T0と実際の蒸発温度とに基づき洗浄対象熱交換器の蒸発温
度を調節して、洗浄対象熱交換器に着霜するように制御」するものであるか
ら、室内熱交換器の着霜を行う際、すなわち凍結処理を行う際(凍結時)に
、温度センサの検出値を、着霜の制御に直接影響を及ぼす前記各機器(圧縮
機、膨張弁)の制御に用いているといえ、結局、相違点1−1は実質的な相違点となる。
b 相違点1−2について
甲1には、相違点1−2に係る本件特許発明1の事項について記載はなく、請求人も主張していない。
そうすると、相違点1−2に係る本件特許発明1の事項は、実質的な相違点である。
c したがって、相違点1−1及び相違点1−2は、実質的な相違点であるから、本件特許発明1は、甲1発明であるとはいえない。
d 請求人の主張について
(a) 請求人は、甲1について、以下の主張をしている。
「甲第1号証には、室内温度センサの検出値を用いて目標蒸発温度を決定は
するものの、室内熱交換器の凍結の最中には、室内温度センサの検出値を用
いることなく、圧縮機及び膨張弁だけでなく、室内ファンをも調整する技術
が記載されているといえる。」(令和2年4月10日口頭審理陳述要領書4
ページ)
(b) しかしながら、甲1発明は、「空気調和機が自動洗浄モードに入るように制御」するに際し、「洗浄対象熱交換器が所在する環境温度を検出するとともに、検出された環境温度に基づき洗浄対象熱交換器の目標蒸発温度T0を以下(a)式により確定し、洗浄対象熱交換器の目標蒸発温度T0と実際の蒸発温度とに基づき洗浄対象熱交換器の蒸発温度を調節して、洗浄対象熱交換器に着霜するように制御」するもので、(a)式として「(a)T0=k*T−AまたはT0=T1、両者のうちの小さい方を採用。式中、kは計算係数であり、0.7〜1を採用し、Aは温度補償値であり、4〜25℃を採用し、Tは洗浄対象熱交換器が所在する環境温度であり、−10℃≦T1<0℃である」とするものである。
そうすると、甲1発明は、室内温度に相当する環境温度Tを用いているから、室内温度センサの検出値を用いた制御を行っているといえる。
また、甲1発明の「空気調和機が自動洗浄モードに入るように制御し」て
から、「洗浄対象熱交換器が所在する環境温度を検出するとともに、検出さ
れた環境温度に基づき洗浄対象熱交換器の目標蒸発温度T0を以下(a)式
により確定し、洗浄対象熱交換器の目標蒸発温度T0と実際の蒸発温度とに
基づき洗浄対象熱交換器の蒸発温度を調節して、洗浄対象熱交換器に着霜す
るように制御し、
洗浄対象熱交換器にt2時間着霜運転した後、Te<T0+Cを満たされ
ない場合(Teは洗浄対象熱交換器の蒸発温度、Cは定数であり、0〜10
の間の数値を採用)、洗浄対象熱交換器に対応するファンをt3時間運転を
停止させ、Te<T0になって且つt4時間継続」する過程は、凍結のため
の処理を行う過程であり、本件特許発明1の「凍結時」が、上記「1 無効
理由7(特許法第36条第6項第2号)について」において検討したとおり
、凍結処理を行うことを意味していて、甲1発明の自動洗浄モードにはいっ
てから着霜を行う過程が、本件特許発明1の「室内熱交換器の凍結時」に相
当する。
そうすると、甲1発明は、「前記室内熱交換器の凍結時、前記室内温度セ
ンサの検出値を前記各機器の制御に」用いているといえるから、上記請求人
の主張は採用できない。
(ウ) 以上のとおりであるから、請求項1に係る特許は、特許法第29条
第1項第3号の規定に違反してされたものではない。
イ 特許法第29条第2項
(ア) 本件特許発明1と甲1発明との一致点・相違点については、上記「ア 特許法第29条第1項第3号」で述べたと同様である。
(イ) 上記相違点1−1について、以下に検討する。
甲1発明が、「空気調和機が自動洗浄モードに入るように制御し、
洗浄対象熱交換器が所在する環境温度を検出するとともに、検出された環
境温度に基づき洗浄対象熱交換器の目標蒸発温度T0を以下(a)式により
確定し、洗浄対象熱交換器の目標蒸発温度T0と実際の蒸発温度とに基づき
洗浄対象熱交換器の蒸発温度を調節して、洗浄対象熱交換器に着霜するよう
に制御し、
洗浄対象熱交換器にt2時間着霜運転した後、Te<T0+Cを満たされ
ない場合(Teは洗浄対象熱交換器の蒸発温度、Cは定数であり、0〜10
の間の数値を採用)、洗浄対象熱交換器に対応するファンをt3時間運転を
停止させ、Te<T0になって且つt4時間継続」しているのは、洗浄対象
熱交換器(蒸発器)の蒸発温度Teが、目標蒸発温度T0+Cより低い温度
になるようにして、洗浄対象熱交換器に着霜を行うためである。
そうすると、甲1発明において、「洗浄対象熱交換器の目標蒸発温度T0
と実際の蒸発温度とに基づき洗浄対象熱交換器の蒸発温度を調節して、洗浄
対象熱交換器に着霜するように制御」するものにおいて、着霜を行うための
具体的な制御を行うための必須の要件である「検出された環境温度に基づき
洗浄対象熱交換器の目標蒸発温度T0」を、用いないようにすることを、動
機付けるものはないというべきである。
よって、甲1発明において、「前記室内熱交換器の凍結時、前記室内温度
センサの検出値を前記各機器の制御に用いない」とすることは、当業者が容
易になし得たことではない。
したがって、甲1発明において、上記相違点1−1に係る本件特許発明1の構成を採用することは、当業者が容易に想到し得たことではない。
(ウ) 次に、相違点1−2について、検討する。
甲1には、霜取りモードにおいて、「室内熱交換器を凍結させ、その後、前記膨張弁の開度を大きくして前記室外熱交換器の前記冷媒を前記室内熱交換器に流入させることによって前記室内熱交換器の氷を溶かすことで、前記室内熱交換器を洗浄する処理を行う」ことについての記載はなされていない。
また、他の証拠をみても、室内熱交換器を凍結させ、その後、膨張弁の開度を大きくして室外熱交換器の冷媒を前記室内熱交換器に流入させることによって、室内熱交換器の氷を溶かすことについて、記載されていない。
さらに、本件特許発明1は、凍結の後、四方弁を切り替えて、暖房運転を行うことにより室内熱交換器の氷を溶かすと特定しているのではなく、「室内熱交換器を凍結させ、その後、膨張弁の開度を大きくして室外熱交換器の冷媒を前記室内熱交換器に流入させることによって」、「室内熱交換器の氷を溶かす」とするものであり、氷を溶かす際に、四方弁を切り替えて暖房運転により行ったとしても、「前記膨張弁の開度を大きくして前記室外熱交換器の前記冷媒を前記室内熱交換器に流入させることによって前記室内熱交換器の氷を溶かす」こととはならない。
したがって、甲1発明において、上記相違点1−2に係る本件特許発明1の構成を採用することは、当業者が容易に想到し得たことではない。
(エ) 以上のとおりであるから、請求項1に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではない。
(3) 無効理由2(甲2を主引例とする、特許法第29条第1項第3号、第2項)、2’(甲2を主引例とする、特許法第29条第2項
(3−1) 無効理由2
ア 特許法第29条第1項第3号
(ア) 本件特許発明1と甲2発明との対比
本件特許発明1と甲2発明とを、その機能、構造又は技術的意義を考慮し
て対比する。
後者における「室内熱交換器」及び「室外熱交換器」は、冷房を行うとき
には、それぞれ蒸発器及び凝縮器として機能することは明らかであり、前者
の「蒸発器」及び「凝縮器」に相当する。
後者の「電子膨張弁」は、前者の「膨張弁」に相当する。
後者の「圧縮機」、「室外熱交換器」、「電子膨張弁」及び「室内熱交換
器」が空気調和機において、順次に介して冷媒が循環する冷媒回路をなすこ
とは明らかであるから、後者は、前者の「圧縮機、凝縮器、膨張弁、及び蒸
発器を順次に介して冷媒が循環する冷媒回路」を備えるものである。
また、後者の「少なくとも前記圧縮機及び前記電子膨張弁を制御可能であ
」ることは、後者の「空気調和機」が制御部を有して、制御可能としている
ことは明らかであり、前者の「少なくとも前記圧縮機及び前記膨張弁を制御
する制御部」を備えるものに相当する。
後者の「室外熱交換器」、「室内熱交換器」は、「インバーター空気調和
機」が「室内機冷房状態」とされたときは、室内熱交換器が蒸発器として機能し、室外熱交換器が凝縮器として機能することは明らかであり、前者の「前記凝縮器及び前記蒸発器の一方は室外熱交換器であり、他方は室内熱交換器であ」ることに相当する。
後者が、「洗浄モードを開始し、以下の各ステップを行う、
インバーター空気調和機。
ステップ1:第1層の氷霜を凝縮させる。
インバーター空気調和機の室内機ルーバーを最低吹出状態に調整し、室内
ファンを最小回転数で運転させ、インバーター空気調和機の室外圧縮機の
運転周波数Fを調節し、室外ファンを固定回転数rで運転させ、ここでrは
、200r/min≦r≦1200r/minを満たし、また、インバータ
ー空気調和機の四方弁を室内機冷房状態に切り替え、インバーター空気調
和機が一定の時間t0運転してから、
A:室内熱交換器の表面温度T0を検出し、
−2℃<T0<0℃である場合、現在の運転状態を維持して第1設
定時間t1運転し、次のステップ2へ、
T0≧0℃の場合、室外圧縮機の運転周波数Fを2増加させ、かつ
、F≦50HZとして、上記Aへ。
ステップ2:第2層の氷霜を凝縮させる。
室外圧縮機の運転周波数が現在の周波数であり、室内ファンをオフにし、
導風板を閉状態にし、室外ファンの回転数とインバーター空気調和機の四
方弁の状態を変えずに維持し、一定時間t0運転してから、
B:室内熱交換器の表面温度T0を検出し、
−5℃<T0≦−2℃の場合、現在の運転状態を維持して第1サブ
設定時間t21運転し、次のステップ3へ、
T0>−2℃の場合、室外圧縮機の運転周波数Fを2増加させ、か
つ、F≦60HZとして、上記Bへ。
ステップ3:第3層の氷霜を凝縮させる。
室外圧縮機の運転周波数が現在の周波数であり、室内ファンをオフにし、
導風板が閉状態にあり、室外ファンの回転数とインバーター空気調和機の
四方弁の状態が変えずに維持し、一定時間t0運転してから、
C:室内熱交換器の表面温度T0を検出し、
T0≦−5℃の場合、現在の運転状態を維持して第2サブ設定時間
t22にわたり運転し、次のステップ4へ、
T0>−5℃の場合、室圧縮機の運転周波数を2増加させ、かつF
≦80HZとして、上記Cへ。」は、洗浄モードを開始し、室内熱
交換器を蒸発器として機能させ、室内熱交換器の凍結処理を行い、当該凍結処理のステップ1で第1層の氷霜を凝縮させる際に、室内ファンを最小回転数で回転した後その後ステップ2で第2層の氷霜を凝縮し、その際室内ファンをオフにして運転するので、室内熱交換器に氷霜を設けるべく、凍結処理しているときに、室内ファンを停止させるといえ、前者の「前記室内熱交換器を前記蒸発器として機能させ、前記室内熱交換器を凍結させ」、「前記室内熱交換器の凍結では室内ファンを停止させるか、又は、前記室内ファンの駆動と停止を交互に行」う態様を備えるものに相当する。
甲2発明の「ステップ4:除霜処理を行う。
部屋内に冷気や湿気が吹き込まれることを回避するために、室内ファン及
び導風板を閉鎖状態にし、室外圧縮機と室外ファンが停止し、インバータ
ー空気調和機の四方弁の状態が変わらず、
室外圧縮機の運転を停止するため、室外熱交換器の高温高圧冷媒が室内熱
交換器に戻り、室内熱交換器表面の霜が融けて液体の水になり、氷霜が融
けて液体の水になると、塵埃が水中に溶け込み、水滴とともにドレンパン
に流入し、室外に排出され、
室内熱交換器における氷霜が完全に融けることを確保するために、室外圧
縮機が一定時間t3停止して、熱交換器の表面温度T0を検出し、
T0≧7℃の場合、洗浄モードを終了し、
T0<7℃の場合、室外圧縮機を起動し、かつ室外圧縮機の運転周波
数Fを30HZに調整し、室外ファンの回転数を調整することで、室外
ファンを最小回転数で運転させ、インバーター空気調和機の四方弁を室
内機暖房運転状態に切り替え、室内ファンと導風板はまだ閉状態にあり
、T0=7℃になってから室外ファンの運転を停止させ、洗浄モード
を終了させる。」ことと、本件特許発明1の「(前記室内熱交換器を凍結させ、)その後、前記膨張弁の開度を大きくして前記室外熱交換器の前記冷媒を前記室内熱交換器に流入させることによって前記室内熱交換器の氷を溶かすことで、前記室内熱交換器を洗浄する処理を行うもの」ととは、「前記室外熱交換器の前記冷媒を前記室内熱交換器に流入させることによって前記室内熱交換器の氷を溶かすことで、前記室内熱交換器を洗浄する処理を行うもの」である限りで一致する。
そうすると、本件特許発明1と甲2発明とは、以下の一致点で一致し、相違点で相違する。
[一致点]
「圧縮機、凝縮器、膨張弁、及び蒸発器を順次に介して冷媒が循環する冷媒
回路と、
少なくとも前記圧縮機及び前記膨張弁を制御する制御部と、
を備え、
前記凝縮器及び前記蒸発器の一方は室外熱交換器であり、他方は室内熱交
換器であり、
前記制御部は、
前記室内熱交換器を前記蒸発器として機能させ、前記室内熱交換器を凍結させ、その後、前記室外熱交換器の前記冷媒を前記室内熱交換器に流入させることによって前記室内熱交換器の氷を溶かすことで、前記室内熱交換器を洗浄する処理を行い、
前記室内熱交換器の凍結では室内ファンを停止させるか、又は、前記室内ファンの駆動と停止を交互に行う、
空気調和機。」
[相違点2−1]
本件特許発明1は、「室内の温度を検出する室内温度センサ」を備え、「
通常の空調運転時、前記室内温度センサの検出値を各機器の制御に用い、前
記室内熱交換器の凍結時、前記室内温度センサの検出値を前記各機器の制御
に用いない」としているのに対して、甲2発明は、室内温度センサを備えて
いるか特定されておらず、また、通常の空調運転時、室内温度センサの検出
値を各機器の制御に用い、室内熱交換器の凍結時、室内温度センサの検出値
を前記各機器の制御に用いないとすることも、特定されていない点。
[相違点2−2]
室内熱交換器を凍結させ、室外熱交換器の冷媒を前記室内熱交換器に流入させることによって前記室内熱交換器の氷を溶かすことで、前記室内熱交換器を洗浄する処理を行うことに関して、本件特許発明1は、「前記室内熱交換器を凍結させ、その後、前記膨張弁の開度を大きくして前記室外熱交換器の前記冷媒を前記室内熱交換器に流入させることによって前記室内熱交換器の氷を溶かす」としているのに対して、甲2発明は、「ステップ4:除霜処理を行う。
部屋内に冷気や湿気が吹き込まれることを回避するために、室内ファン及
び導風板を閉鎖状態にし、室外圧縮機と室外ファンが停止し、インバータ
ー空気調和機の四方弁の状態が変わらず、
室外圧縮機の運転を停止するため、室外熱交換器の高温高圧冷媒が室内熱
交換器に戻り、室内熱交換器表面の霜が融けて液体の水になり、氷霜が融
けて液体の水になると、塵埃が水中に溶け込み、水滴とともにドレンパン
に流入し、室外に排出され、
室内熱交換器における氷霜が完全に融けることを確保するために、室外圧
縮機が一定時間t3停止して、熱交換器の表面温度T0を検出し、
T0≧7℃の場合、洗浄モードを終了し、
T0<7℃の場合、室外圧縮機を起動し、かつ室外圧縮機の運転周波
数Fを30HZに調整し、室外ファンの回転数を調整することで、室外
ファンを最小回転数で運転させ、インバーター空気調和機の四方弁を室
内機暖房運転状態に切り替え、室内ファンと導風板はまだ閉状態にあり
、T0=7℃になってから室外ファンの運転を停止させ、洗浄モード
を終了させる。」ものである点。
(イ) 判断
a 相違点2−1について
甲2発明は、「インバーター空気調和機」であり、「インバーター空気調
和機」が圧縮機の運転周波数を制御して圧縮機の回転数を制御し、冷媒吐出
量を調整するのは、空調対象の室内温度を検知し、制御対象となる空調負荷
(室内温度)に基づき、圧縮機からの冷媒量を適宜に調整するためであるこ
とは技術的に明らかである(上記甲9、甲10、甲11の記載事項参照。)
。同様に電子膨張弁も、その開度を制御して、冷媒量を調整するものである
から、インバータ空気調和機における、通常の空調運転時において、冷媒量
を調整する際に、圧縮機の回転数を制御することと同じく、温度センサによ
る温度、すなわち空調負荷に基づいて、電子膨張弁の開度の制御を行い、冷
媒の流量の調整を行っていることも、また明らかである。
そうすると、甲2発明は、「室内の温度を検出する室内温度センサ」を備
え、「通常の空調運転時、前記室内温度センサの検出値を各機器の制御に用
い」る構成を、実質的に備えるものといえる。
また、甲2発明の凍結時の処理は、「洗浄モードを開始し」後の各ステッ
プのうち、以下のステップに該当する制御フロー(以下「甲2制御フロー」という。)と認められる。
「ステップ1:第1層の氷霜を凝縮させる。
インバーター空気調和機の室内機ルーバーを最低吹出状態に調整し、室内
ファンを最小回転数で運転させ、インバーター空気調和機の室外圧縮機の
運転周波数Fを調節し、室外ファンを固定回転数rで運転させ、ここでrは
、200r/min≦r≦1200r/minを満たし、また、インバータ
ー空気調和機の四方弁を室内機冷房状態に切り替え、インバーター空気調
和機が一定の時間t0運転してから、
A:室内熱交換器の表面温度T0を検出し、
−2℃<T0<0℃である場合、現在の運転状態を維持して第1設
定時間t1運転し、次のステップ2へ、
T0≧0℃の場合、室外圧縮機の運転周波数Fを2増加させ、かつ
、F≦50HZとして、上記Aへ。
ステップ2:第2層の氷霜を凝縮させる。
室外圧縮機の運転周波数が現在の周波数であり、室内ファンをオフにし、
導風板を閉状態にし、室外ファンの回転数とインバーター空気調和機の四
方弁の状態を変えずに維持し、一定時間t0運転してから、
B:室内熱交換器の表面温度T0を検出し、
−5℃<T0≦−2℃の場合、現在の運転状態を維持して第1サブ
設定時間t21運転し、次のステップ3へ、
T0>−2℃の場合、室外圧縮機の運転周波数Fを2増加させ、か
つ、F≦60HZとして、上記Bへ。
ステップ3:第3層の氷霜を凝縮させる。
室外圧縮機の運転周波数が現在の周波数であり、室内ファンをオフにし、
導風板が閉状態にあり、室外ファンの回転数とインバーター空気調和機の
四方弁の状態が変えずに維持し、一定時間t0運転してから、
C:室内熱交換器の表面温度T0を検出し、
T0≦−5℃の場合、現在の運転状態を維持して第2サブ設定時間
t22にわたり運転し、次のステップ4へ、
T0>−5℃の場合、室外圧縮機の運転周波数を2増加させ、かつ
F≦80HZとして、上記Cへ。」
そして、甲2制御フローにおいて、室内熱交換器の表面温度T0を検出
して、制御に用いることが特定されている一方、室内温度センサの検知した
温度を用いて制御することは特定されていない。
また、室内熱交換器を凍結するための冷却運転においては、室内熱交換器
の温度を零下とすることが目的であるから、室内温度は室内熱交換器を凍結
するための冷却運転の制御に必要ではなく、また、甲2制御フローのように
、具体的かつ詳細な制御フローが示されるものにおいて、特定された室内熱
交換器の表面温度T0以外のものを制御に用いると解釈する余地はなく、
甲2制御フローでは、室内温度センサの検出した室内温度が用いられていな
いと理解するのが通常の理解である。
そうすると、少なくとも、甲2発明の甲2制御フローにおいて、室内温度
センサの検出値を各機器(圧縮機及び膨張弁)の制御に用いていないから、
甲2発明は、「前記室内熱交換器の凍結時、前記室内温度センサの検出値を前記各機器の制御に用いない」との事項を備えたものである。
そうすると、相違点2−1は実質的な相違点ではない。
b 相違点2−2について
甲2発明は、除霜処理において、「室外圧縮機と室外ファンが停止し、インバーター空気調和機の四方弁の状態が変わらず、室外圧縮機の運転を停止するため、室外熱交換器の高温高圧冷媒が室内熱交換器に戻り、室内熱交換器表面の霜が融けて液体の水になり、氷霜が融けて液体の水になると、塵埃が水中に溶け込み、水滴とともにドレンパンに流入し、室外に排出され」るもので、室内熱交換器の除霜に際して、膨張弁の開度を大きくして室外熱交換器の冷媒を前記室内熱交換器に流入させることを行うものではない。むしろ、甲2発明は、室外圧縮機の運転を停止して、室外熱交換器の高温高圧冷媒が室内熱交換器に戻るものとしているものであるから、凍結の後に、膨張弁の開度を大きくすると、冷媒は圧縮機で送っていた方向へ流れることになるから、戻る流れとならないので、凍結の後に、膨張弁の開度を大きくするものではない。
したがって、相違点2−2は、実質的な相違点であるから、本件特許発明1は、甲2発明であるとはいえない。
(ウ) 以上のとおりであるから、請求項1に係る特許は、特許法第29条第1項第3号の規定に違反してされたものではない。
イ 特許法第29条第2項
イ−1
本件特許発明1と甲2発明との一致点・相違点については、上記「ア 特許法第29条第1項第3号」で述べたと同様である。そこで、各相違点について、以下に検討する。
(ア) 相違点2−1について
上記ア(イ)で述べたとおり、上記相違点2−1は実質的な相違点でないが、仮に、実質的な相違点であるとした場合について、以下に検討する。
甲2発明のインバーター空気調和機が、「通常の空調運転時、前記室内温
度センサの検出値を各機器の制御に用い、前記室内熱交換器の凍結時、前記
室内温度センサの検出値を前記各機器の制御に用いない」とすることについ
て、本件特許発明1と何らかの相違点を有しているとしても、インバーター
空気調和機が室内の温度を検出する室内温度センサを備えるようにすること
は、インバーター空気調和機が対象となる室内空間の温度を制御するものである以上当然であり、また、インバーター空気調和機の制御対象となる空調
負荷(温度)に基づき、圧縮機からの冷媒量を適宜に調整するため、当該室
内温度センサの検出値を通常の空調運転時に用いて、温度の制御に関連する
、冷媒回路を流れる冷媒の流量を調整する、圧縮機の周波数制御(回転数制
御)や、電子膨張弁の開度制御に用いることは、当業者が適宜なし得たこと
である。
さらに、甲2制御フローは、熱交換器を凍結する処理であり、当該甲2制
御フローにおいて、室内熱交換器の表面温度T0を用いて制御することが
特定されているものの、室内温度センサを用いることの特定はなされていな
い。そして、室内熱交換器の凍結処理においては、室内熱交換器の温度を零
下とすることが目的であるから、室内温度を用いる必要がないことは、先に
述べたとおりであり、室内温度センサの検出値がなければ室内熱交換器の温
度を零度以下に冷却できないというものでもない。
そうすると、甲2発明の甲2制御フローについて、室内熱交換器の凍結時
、室内温度センサの検出値を各機器(圧縮機、電子膨張弁)の制御に用いないことが、当業者にとって困難なことであるとは認められない。
(イ) 相違点2−2について
甲2発明は、除霜処理において、「室外圧縮機と室外ファンが停止し、インバーター空気調和機の四方弁の状態が変わらず、室外圧縮機の運転を停止するため、室外熱交換器の高温高圧冷媒が室内熱交換器に戻り、室内熱交換器表面の霜が融けて液体の水になり、氷霜が融けて液体の水になると、塵埃が水中に溶け込み、水滴とともにドレンパンに流入し、室外に排出され」るもので、室内熱交換器の除霜に際して、膨張弁の開度を大きくして室外熱交換器の冷媒を前記室内熱交換器に流入させることを行うものではない。むしろ、甲2発明は、室外圧縮機の運転を停止して、室外熱交換器の高温高圧冷媒が室内熱交換器に戻るものとしているので、膨張弁の開度を大きくすることは、冷媒は圧縮機で送っていた方向へ流れることになるから、冷媒が戻る流れとならないので、冷媒が戻ることを妨げることになる。また、室内熱交換器に氷霜を凝縮させ、その後、弁解度を大きくして室外熱交換器の冷媒を室内熱交換器に流入させて室内熱交換器の氷霜を溶かすことは、他の証拠においても記載されておらず、また、技術常識といえる証拠もない。
したがって、甲2発明において、上記相違点2−2に係る本件特許発明1の構成を採用することは、当業者が容易に想到し得たことではない。
(ウ) 令和3年5月17日の弁駁書の主張について
a 請求人は、概略、以下の主張をしている。
甲2の「[0015] 本発明のいくつかの実施形態によれば・・・前記空気調和機がインバーター空気調和機である場合・・・前記空気調和器の室外ファンの回転数および電子膨張弁の開度を調整する方法のうちの少なくとも1つの方法で、前記熱交換器の表面温度を制御して前記設定温度Tに維持させる。」、「[0069]室外圧縮機の運転を停止するため、室外熱交換器の高温高圧冷媒が室内熱交換器に戻り室内熱交換器表面の霜が融けて液体の水になる。」より、室内熱交換器の除霜処理において「室外圧縮機の運転を停止するため、室外熱交換器の高温高圧冷媒が室内熱交換器に戻り、室内熱交換器表面の霜が融けて液体の水になる」ことが記載されている。
甲2には、「室外熱交換器の高温高圧冷媒を室内熱交換器に戻す」際に「絞り弁の開度を大きくする」ことについて具体的な記載はないものの、一般的に「電子膨張弁の開度を調整」することにより室内「熱交換器の表面温度を制御する」方法が開示されており、「絞り弁の開度を大きくする」方が、 「絞り弁の開度を小さくしたまま」よりも、「室外熱交換器の高温高圧冷媒を室内熱交換器に戻す」ために好適であることが、当業者において明らかであるから、「室外熱交換器の高温高圧冷媒を室内熱交換器に戻す」際に「絞り弁の開度を大きくする」ことは、甲2に実質的に記載されているか、少なくとも当業者が容易になし得ることにすぎない。
b そこで、検討するに、甲2の「[0069]室外圧縮機の運転を停止するため、室外熱交換器の高温高圧冷媒が室内熱交換器に戻り室内熱交換器表面の霜が融けて液体の水になる。」と記載され、室外圧縮機の運転を停止するため、室外熱交換器の高温高圧冷媒が室内熱交換器に戻るとされており、室内熱交換器の除霜に際して、膨張弁の開度を大きくして室外熱交換器の冷媒を前記室内熱交換器に流入させることを行うものではない。むしろ、甲2には、室外圧縮機の運転を停止して、室外熱交換器の高温高圧冷媒が室内熱交換器に戻るものとしているので、膨張弁の開度を大きくすることは、冷媒は圧縮機で送っていた方向へ流れることになるから、室内熱交換器に戻ることにならない。また、室内熱交換器に氷霜を凝縮させ、その後、弁解度を大きくして室外熱交換器の冷媒を室内熱交換器に流入させて室内熱交換器の氷霜を溶かすことが技術常識といえる証拠もない。
(エ) 以上のとおりであるから、本件特許発明1は、甲2発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではないので、請求項1に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではない。
(3−2) 無効理由2’
本件特許発明1と甲2発明との一致点・相違点については、上記「(3−1)ア 特許法第29条第1項第3号」で述べたと同様である。
そして、上記相違点2−2について、さらに、検討する。
甲13には、「[0055]・・・被洗浄熱交換器の自動洗浄周期になると、空気調和機の高低圧力差が四方弁の切り替えに許容される圧力差に達したか否かを検出する。空気調和機の高低圧力差が四方弁の切り替えに許容される圧力差に達すると、四方弁が切り替えるように制御し、室内外熱交換器の除霜を切り替え、空気調和機の高低圧力差が四方弁の切り替えに許容される圧力差に達していないと、空気調和機の運転パラメータを調節することで、空気調和機の高低圧力差を四方弁の切り替えに許容される圧力差に達させ、四方弁が切り替えるように制御し、室内外熱交換器の除霜を切り替える。」と、四方弁の切り替える際の制御について記載されている。
また、「[0062] 空気調和機の高低圧力差が上記予め設定された条件を満たしていないと、空気調和機の運転パラメータを調節して、空気調和機の高低圧力差を上記予め設定された条件に達させるステップ」として、「[0063]室内外ファンの回転数を増加させ、室内外の風量を増やすステップと、
[0064]コンプレッサ周 波数をH1まで低減させ、t2時間保持するステップと、
[0065]絞り装置の開度を最大に調整するステップとのうちの少なくとも1つのステップを含む。」と記載されている。
これらの記載によると、甲13には、「四方弁を切り替える際に、空気調和機の高低圧力差が予め設定された条件を満たしていないと、空気調和機の運転パラメータを調節して、空気調和機の高低圧力差を予め設定された条件に達させるステップとして、室内外ファンの回転数を増加させ、室内外の風量を増やすステップと、コンプレッサ周波数をH1まで低減させ、t2時間保持するステップと、絞り装置の開度を最大に調整するステップとのうちの少なくとも1つのステップを含む。」(以下「甲13記載事項」という。)とされている。
しかしながら、甲13記載事項が、本件特許発明1の「前記室内熱交換器を凍結させ、その後、前記膨張弁の開度を大きくして前記室外熱交換器の前記冷媒を前記室内熱交換器に流入させることによって前記室内熱交換器の氷を溶かす」というものではなく、甲13は、「空気調和機の高低圧力差が四方弁の切り替えに許容される圧力差に達したか否かを検出する。空気調和機の高低圧力差が四方弁の切り替えに許容される圧力差に達すると、四方弁が切り替えるように制御し、室内外熱交換器の除霜を切り替え」ると記載され、四方弁の切り替えにより除霜を行うものである。そして、四方弁を切り替える際に、空気調和機の高低圧力差が四方弁の切り替えに許容される圧力差に達していないと、空気調和機の運転パラメータを調節することで、空気調和機の高低圧力差を四方弁の切り替えに許容される圧力差に達させるようにし、そのステップとして、内外ファンの回転数を増加させ、室内外の風量を増やすステップと、コンプレッサ周 波数をHlまで低減させ、t2時間保持するステップと、絞り装置の開度を最大に調整するステップとのうちの少なくとも1つのステップを含むとされるものである。
そうすると、除霜処理において、四方弁の状態を変えることなく、室外圧縮機の運転を停止して、室外熱交換器の高温高圧冷媒を室内熱交換器に戻すとしている甲2発明において、四方弁を切り替える甲13を適用する動機付けはないし、仮に適用したとしても、「前記室内熱交換器を凍結させ、その後、前記膨張弁の開度を大きくして前記室外熱交換器の前記冷媒を前記室内熱交換器に流入させることによって前記室内熱交換器の氷を溶かす」ものでもない。
したがって、甲13を考慮しても、甲2発明において、上記(3−1)の相違点2−2の判断に影響を与えるものではなく、甲2発明において、本件特許発明1の相違点2−2の構成を採用することは、当業者が容易に想到し得たことではない。
以上のとおりであるから、本件特許発明1は、甲2発明、甲13に記載された事項及び周知慣用技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではないので、請求項1に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではない。
(4) 無効理由3(甲3を主引例とする、特許法第29条第1項第3号、第2項)、3’(甲3を主引例とする、特許法第29条第2項
(4−1) 無効理由3
ア 特許法第29条第1項第3号
(ア) 本件特許発明1と甲3発明との対比
本件特許発明1と甲3発明とを、その機能、構造又は技術的意義を考慮して対比する。
後者の「室内機熱交換器」、「室外機熱交換器」、「膨張弁」、及び「電子制御子」は、それぞれ前者の「室内熱交換器」、「室外熱交換器」、「膨張弁」及び「制御部」に相当する。
後者における「室内機熱交換器」及び「室外機熱交換器」は、冷房モードでは、それぞれ蒸発器及び凝縮器として機能することは明らかであり、前者の「蒸発器」及び「凝縮器」に相当する。そして、後者は、前者の「前記凝縮器及び前記蒸発器の一方は室外熱交換器であり、他方は室内熱交換器であ」る態様を備えるものである。
後者の「圧縮機」、「室外機熱交換器」、「膨張弁」及び「室内熱交換器」が空気調和機において、順次に介して冷媒が循環する冷媒回路をなすことは明らかであるから、後者は、前者の「圧縮機、凝縮器、膨張弁、及び蒸発器を順次に介して冷媒が循環する冷媒回路」を備えるものである。
後者の「少なくとも前記圧縮機及び前記膨張弁を制御する電気制御子」を備える態様は、前者の「少なくとも前記圧縮機及び前記膨張弁を制御する制御部」を備えるものに相当する。
後者の「自動洗浄では、空気調和機を冷房モードで運転させ室内機のファンを停止させ(S101)、室内機のコイルの温度を検出し、コイルの温度が着霜限界温度より低い時に、ファンを第1回転速度及び第1時間の長さで運転させ(S102)、空気調和機を暖房モードで運転させて、室内機に対して除霜洗浄を行う(S103)」態様は、凍結させる処理を行う自動洗浄では、空気調和機を冷房モードで運転させ、室内機のファンを停止させる期間を有しているので、
前者の「前記制御部は、
前記室内熱交換器を前記蒸発器として機能させ、前記室内熱交換器を凍結させ、その後、前記膨張弁の開度を大きくして前記室外熱交換器の前記冷媒を前記室内熱交換器に流入させることによって前記室内熱交換器の氷を溶かすことで、前記室内熱交換器を洗浄する処理を行うものであって、
前記室内熱交換器の凍結では室内ファンを停止させるか、又は、前記室内
ファンの駆動と停止を交互に行」う態様と、「前記制御部は、
前記室内熱交換器を前記蒸発器として機能させ、前記室内熱交換器を凍結させ、その後、前記室内熱交換器の氷を溶かすことで、前記室内熱交換器を洗浄する処理を行うものであって、
前記室内熱交換器の凍結では室内ファンを停止させるか、又は、前記室内ファンの駆動と停止を交互に行」う態様の限りで一致する。
そうすると、本件特許発明1と甲3発明とは、以下の一致点で一致し、相
違点で相違する。
[一致点]
「圧縮機、凝縮器、膨張弁、及び蒸発器を順次に介して冷媒が循環する冷
媒回路と、
少なくとも前記圧縮機及び前記膨張弁を制御する制御部と、
を備え、
前記凝縮器及び前記蒸発器の一方は室外熱交換器であり、他方は室内熱交
換器であり、
前記制御部は、
前記室内熱交換器を前記蒸発器として機能させ、前記室内熱交換器を凍結
させ、
その後、前記室内熱交換器の氷を溶かすことで、前記室内熱交換器を洗浄する処理を行うものであって、
前記室内熱交換器の凍結では室内ファンを停止させるか、又は、前記室内ファンの駆動と停止を交互に行う、
空気調和機。」
[相違点3−1]
本件特許発明1は、「室内の温度を検出する室内温度センサ」を備え、「
通常の空調運転時、前記室内温度センサの検出値を各機器の制御に用い、前
記室内熱交換器の凍結時、前記室内温度センサの検出値を前記各機器の制御
に用いない」としているのに対して、甲3発明は、室内温度センサを備えて
いるか特定されておらず、また、通常の空調運転時、室内温度センサの検出
値を各機器の制御に用い、室内熱交換器の凍結時、室内温度センサの検出値
を前記各機器の制御に用いないとすることも、特定されていない点。
[相違点3−2]
室内熱交換器を凍結させ、その後、前記室内熱交換器の氷を溶かすことで、前記室内熱交換器を洗浄する処理を行うことに関して、本件特許発明1は、「前記室内熱交換器を凍結させ、その後、前記膨張弁の開度を大きくして前記室外熱交換器の前記冷媒を前記室内熱交換器に流入させることによって前記室内熱交換器の氷を溶かすことで、前記室内熱交換器を洗浄する処理を行う」としているのに対して、甲3発明は、「空気調和機を冷房モードで運転させ室内機のファンを停止させ(S101)、室内機のコイルの温度を検出し、コイルの温度が着霜限界温度より低い時に、ファンを第1回転速度及び第1時間の長さで運転させ(S102)、空気調和機を暖房モードで運転させて、室内機に対して除霜洗浄を行う(S103)」としている点。
(イ) 判断
a 相違点3−1について
甲3発明は、室内温度センサを備えているか否か特定されておらず、仮に
備えているとしても、甲3の記載事項を参酌しても、通常の空調運転時、室
内温度センサの検出値を各機器の制御に用い、室内熱交換器の凍結時、前記
室内温度センサの検出値を前記各機器の制御に用いないことを示唆するところはない。そして、甲3発明は、「自動洗浄では、空気調和機を冷房モード
で運転させ室内機のファンを停止させ(S101)、室内機のコイルの温度を検出
し、コイルの温度が着霜限界温度より低い時に、ファンを第1回転速度及び
第1時間の長さで運転させ(S102)、空気調和機を暖房モードで運転させて、
室内機に対して除霜洗浄を行う(S103)」と記載され、制御の概略が示される
ものの、具体的かつ詳細な制御フローが示されるものでもない。
そうすると、甲3発明が、「通常の空調運転時、前記室内温度センサの検
出値を各機器の制御に用い、前記室内熱交換器の凍結時、前記室内温度セン
サの検出値を前記各機器の制御に用いない」とまでいうことはできず、結局
、上記相違点3−1は実質的な相違点である。
b 相違点3−2について
甲3には、相違点3−2に係る本件特許発明1の事項について記載はなく、請求人も主張していない。
そうすると、相違点3−2に係る本件特許発明1の事項は、実質的な相違点である。
c したがって、相違点3−1及び相違点3−2は、実質的な相違点であるから、本件特許発明1は、甲3発明であるとはいえない。
d 以上のとおりであるから、請求項1に係る特許は、特許法第29条第1項第3号の規定に違反してされたものではない。
イ 特許法第29条第2項
(ア) 本件特許発明1について
本件特許発明1と甲3発明との一致点・相違点については、上記「ア 特許法第29条第1項第3号」で述べたと同様である。
(イ) そして、上記ア(イ)で述べたとおり、上記相違点3−1は実質的な相違点であり、まず、相違点3−1について、以下に検討する。
甲3発明の空気調和機は、対象空間の空調を行うものであるから、対象空間の温度を検出する室内温度センサを備えることは、当業者が容易に想到し得たことである。
また、甲3発明は、インバータ制御であるか否かは特定されていないが、
少なくとも圧縮機及び膨張弁を制御する電気制御子を備えるものであり、ま
た、空気調和機として、インバーター制御である空気調和機は本願優先日前
に周知の事項である(上記甲9、甲10、甲11の記載事項参照。)ことを
踏まえると、甲3発明において、インバータ制御を採用したものとすること
に困難性はない。
また、効率や省エネルギーを考慮して、空気調和機にインバータ制御を用
いたものとすることは、インバータ制御が空気調和機の制御対象となる空調
負荷(室内温度)に基づき、圧縮機の回転数の制御を行い、圧縮機からの冷
媒量を適宜に調整できることから、当業者が当然考慮したことである。
そうすると、甲3発明において、インバータ制御を採用し、通常の運転時
に、室内温度センサの検出値に基づいて、冷媒量を調整すべく圧縮機を制御
し、また、同じく、冷媒量を調整する膨張弁を制御することは、当業者が容
易に想到し得たことである。
さらに、甲3発明は、凍結処理について、「自動洗浄では、空気調和機を
冷房モードで運転させ室内機のファンを停止させ(S101)、室内機のコイルの温度を検出し、コイルの温度が着霜限界温度より低い時に、ファンを第1回
転速度及び第1時間の長さで運転させ(S102)」ると特定し、制御の概略が示
されるものの、具体的かつ詳細な制御フローが示されるものでもない。
また、室内熱交換器の凍結には、室内熱交換器の温度を零度以下に十分低
く冷却すれば、ある程度の凍結が起こることは、技術的に明らかであり、そ
の際に室内温度センサの検出値がなければ室内熱交換器の温度を零度以下に
冷却できないというものでもないので、制御の概略を示すに過ぎない甲3発
明の凍結時(凍結処理)において、室内温度センサの検出値を各機器(圧縮
機、膨張弁)の制御に用いないようにすることは、当業者が容易に想到し得
たことである。
したがって、甲3発明において、上記相違点3−1に係る本件特許発明1の構成を採用することは、当業者が容易に想到し得たことである。
(ウ) 相違点3−2について
甲3発明は、除霜洗浄において、「室内機のコイルの温度を検出し、コイルの温度が着霜限界温度より低い時に、ファンを第1回転速度及び第1時間の長さで運転させ(S102)、空気調和機を暖房モードで運転させて、室内機に対して除霜洗浄を行う(S103)」もので、室内熱交換器の除霜に際して、室内熱交換器を凍結させ、その後、膨張弁の開度を大きくして室外熱交換器の冷媒を前記室内熱交換器に流入させるものではない。そして、甲3発明は、暖房モードで運転することで、除霜を行うというものであるから、室内熱交換器を冷房モードで凍結させた後に、暖房モードとするために、四方弁などを切り替えて、比較的温度が高い冷媒を室内熱交換器に流入させるものといえ、室内熱交換器を凍結させ、その後、膨張弁の開度を大きくして室外熱交換器の冷媒を前記室内熱交換器に流入させるというものではない。また、凍結した氷を溶かすことについて、暖房運転により、凍結時と比較して、膨張弁の開度を大きくして高温冷媒を室内熱交換器に送り込むことで室内熱交換器の氷霜を溶かすことが技術常識であるとできる証拠もない。
したがって、甲3発明において、上記相違点3−2に係る本件特許発明1の構成を採用することは、当業者が容易に想到し得たことではない。
(エ) 以上のとおりであるから、請求項1に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではない。
(4−2) 無効理由3’
本件特許発明1と甲3発明との一致点・相違点については、上記「(4−1)ア 特許法第29条第1項第3号」で述べたと同様である。
そして、上記相違点3−2について、さらに、検討する。
甲2には、「[0015]・・・前記熱交換器の表面温度を前記目標温度値に制御し、かつ前記設定時間t維持する。本発明のいくつかの実施形態によれば、前記空気調和機がインバーター空気調和機である場合、前記空気調和機の室内ファンをオフにする方法、前記室内ファンを弱風運転させる方法、前記空気調和機の圧縮機の周波数、前記空気調和機の室外ファンの回転数及び電子膨張弁の開度を調整する方法のうちの少なくとも1つの方法で、前記熱交換器の表面温度を制御して前記設定温度Tに維持させる。」と記載されている。しかしながら、当該記載は、室内熱交換器の氷層を溶かすことに関して、電子膨張弁の開度を大きくして室外熱交換器の冷媒を前記室内熱交換器に流入させることによって前記室内熱交換器の氷を溶かすことをいうものではない。
したがって、甲2を考慮しても、甲3発明において、上記(4−1)の相違点3−2の判断に影響を与えるものではなく、甲3発明において、本件特許発明1の相違点3−2の構成を採用することは、当業者が容易に想到し得たことではない。
さらに、前記甲13記載事項は、本件特許発明1の「前記室内熱交換器を凍結させ、その後、前記膨張弁の開度を大きくして前記室外熱交換器の前記冷媒を前記室内熱交換器に流入させることによって前記室内熱交換器の氷を溶かす」というものではなく、甲13には、「空気調和機の高低圧力差が四方弁の切り替えに許容される圧力差に達したか否かを検出する。空気調和機の高低圧力差が四方弁の切り替えに許容される圧力差に達すると、四方弁が切り替えるように制御し、室内外熱交換器の除霜を切り替え」ると記載され、四方弁の切り替えにより除霜を行うものである。そして、四方弁を切り替える際に、空気調和機の高低圧力差が四方弁の切り替えに許容される圧力差に達していないと、空気調和機の運転パラメータを調節することで、空気調和機の高低圧力差を四方弁の切り替えに許容される圧力差に達させるようにし、そのステップとして、内外ファンの回転数を増加させ、室内外の風量を増やすステップと、コンプレッサ周波数をH1まで低減させ、t2時間保持するステップと、絞り装置の開度を最大に調整するステップとのうちの少なくとも1つのステップを含むとされるものである。
そうすると、甲3発明は、空気調和機を暖房モードで運転させて、室内機に対して除霜洗浄を行うものであり、甲3発明において、冷房モードのあと、暖房モードに切り替える際には、四方弁を切り替えることが通常であることからすると、その際に、四方弁を切り替える技術で共通する甲13記載事項を適用したとしても、本件特許発明1が、制御部Kが、室外膨張弁34の開度を大きくして室外熱交換器32にある冷媒を室内熱交換器12に流入させることは、室内熱交換器12を凝縮器として機能させないで行う解凍するための処理についていうものであることからすると(本件特許明細書【0064】、【0036】についての、上記「第2 2 (1) ウ ウ−2(ウ)」参照。)、室内熱交換器を凍結させ、その後、膨張弁の開度を大きくして室外熱交換器の冷媒を室内熱交換器に流入させることによって室内熱交換器の氷を溶かすということを行うものではなく、四方弁を切り替えて暖房モードによって除霜を行うことをいうものでしかない。
したがって、甲13を考慮しても、甲3発明において、上記(4−1)の相違点3−2の判断に影響を与えるものではなく、甲3発明において、本件特許発明1の相違点3−2の構成を採用することは、当業者が容易に想到し得たことではない。
以上のとおりであるから、請求項1に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではない。
(5) 無効理由4(甲4を主引例とする、特許法第29条第1項第3号、第2項)、4’ (甲4を主引例とする、特許法第29条第2項
(5−1) 無効理由4
ア 特許法第29条第1項第3号
(ア) 本件特許発明1と甲4発明との対比
本件特許発明1と甲4発明とを、その機能、構造又は技術的意義を考慮して対比する。
後者の「室内熱交換器17」、「圧縮機31」、「室外熱交換器33」、
「電動膨張弁34」、並びに「室内制御部50」及び「室外制御部60」は
、それぞれ前者の「室内熱交換器」、「圧縮機」、「室外熱交換器」、「膨
張弁」及び「制御部」に相当する。
後者における「室内熱交換器17」及び「室外熱交換器33」は、冷房
モードでは、それぞれ蒸発器及び凝縮器として機能することは明らかであり
、前者の「蒸発器」及び「凝縮器」に相当する。そして、後者は、前者の「
前記凝縮器及び前記蒸発器の一方は室外熱交換器であり、他方は室内熱交換
器であ」る態様を備えるものである。
後者の「室内熱交換器17、圧縮機31、四方切換弁32、室外熱交換器
33、電動膨張弁34は、冷媒配管6を介して接続されており、ヒートポン
プ式の冷凍サイクルを構成し」ていることは、前者の「圧縮機、凝縮器、膨
張弁、及び蒸発器を順次に介して冷媒が循環する冷媒回路」を構成している
ことに相当する。
後者の「電動膨張弁34、室外送風機35、インバータ回路61、四方切
換弁32等の動作を制御」する「室外制御部60」は、「インバータ回路6
1」が「圧縮機31」の運転周波数を調整し、圧縮機の回転数を制御するも
のであることが技術的に明らかなので、前者の「少なくとも前記圧縮機及び
前記膨張弁を制御する制御部」に相当する。
後者の「着霜運転では、室内熱交換器17の温度(TC)が温度Tcic
e(ただし、Tcice<0 ℃ )をT時間以上設けることにより、室内熱
交換器17の親水性プレコートフィンFに対して着霜させ、
室内熱交換器17の温度TCは低下させて室内熱交換器17を凍結させて
親水性プレコートフィンFに対して着霜させる時には、着霜を促進するため
に、そして吹き出し空気温度の低下によりユーザに対する快適性を損なわな
いようにするために、室内機1の室内送風機19のファン回転数を、通常の
運転時のファン回転数よりも低くするか、または停止させ」ることは、室内
熱交換器が蒸発器として機能していることは明らかであり、前者の「前記制
御部は、前記室内熱交換器を前記蒸発器として機能させ、前記室内熱交換器を凍結させ」、「前記室内熱交換器の凍結では室内ファンを停止させるか、又は、前記室内ファンの駆動と停止を交互に行」うことに相当する。
後者の「凍結させた室内熱交換器17の親水性プレコートフィンFを除霜するには、送風運転もしくは暖房運転で行うことで、親水性プレコートフィンFを加熱して霜を効率良く溶かす」ことは、暖房運転において加熱された冷媒が室内熱交換器に入り、室内熱交換器の除霜を行うものであるので、前者の「前記室内熱交換器を凍結させ、その後、前記膨張弁の開度を大きくして前記室外熱交換器の前記冷媒を前記室内熱交換器に流入させることによって前記室内熱交換器の氷を溶かすことで、前記室内熱交換器を洗浄する処理を行う」こととは、「前記室内熱交換器を凍結させ、その後、前記室内熱交換器の氷を溶かすことで、前記室内熱交換器を洗浄する処理を行う」ことの限りで一致する。
そうすると、本件特許発明1と甲4発明とは、以下の一致点で一致し、相違点で相違する。

[一致点]
「圧縮機、凝縮器、膨張弁、及び蒸発器を順次に介して冷媒が循環する冷媒回路と、
少なくとも前記圧縮機及び前記膨張弁を制御する制御部と、
を備え、
前記凝縮器及び前記蒸発器の一方は室外熱交換器であり、他方は室内熱交換器であり、
前記制御部は、
前記室内熱交換器を前記蒸発器として機能させ、前記室内熱交換器を凍結させ、その後、前記室内熱交換器の氷を溶かすことで、前記室内熱交換器を洗浄する処理を行うものであって、
前記室内熱交換器の凍結では室内ファンを停止させるか、又は、前記室内ファンの駆動と停止を交互に行う、
空気調和機。」
[相違点4−1]
本件特許発明1は、「室内の温度を検出する室内温度センサ」を備え、「
通常の空調運転時、前記室内温度センサの検出値を各機器の制御に用い、前
記室内熱交換器の凍結時、前記室内温度センサの検出値を前記各機器の制御
に用いない」としているのに対して、甲4発明は、室内温度センサを備えて
いるか特定されておらず、また、通常の空調運転時、室内温度センサの検出
値を各機器の制御に用い、室内熱交換器の凍結時、室内温度センサの検出値
を前記各機器の制御に用いないとすることも、特定されていない点。
[相違点4−2]
室内熱交換器を凍結させ、その後、前記室内熱交換器の氷を溶かすことに関して、本件特許発明1は、「前記室内熱交換器を凍結させ、その後、前記膨張弁の開度を大きくして前記室外熱交換器の前記冷媒を前記室内熱交換器に流入させることによって前記室内熱交換器の氷を溶かす」としているのに対して、甲4発明は、「凍結させた室内熱交換器17の親水性プレコートフィンFを除霜するには、送風運転もしくは暖房運転で行うことで、親水性プレコートフィンFを加熱して霜を効率良く溶かす」としている点。
(イ) 判断
a 相違点4−1について
甲4発明は、「室外制御部60は、電動膨張弁34、室外送風機35、イ
ンバータ回路61、四方切換弁32等の動作を制御」する「空気調和機」であって、インバータ回路を有するものであるから、インバーター空気調和機といえるものである。
そして、インバーター空気調和機が圧縮機の運転周波数を制御して圧縮機
の回転数を制御し、冷媒吐出量を調整するのは、空調対象の室内温度を検知
し、制御対象となる空調負荷(室内温度)に基づき、圧縮機からの冷媒量を
適宜に調整するためであることは技術的に明らかである(上記甲9、甲10
、甲11の記載事項参照。)。同様に電動膨張弁も、その開度を制御して、
冷媒量を調整するものであるから、インバータ空気調和機における、通常の
空調運転時において、冷媒量を調整する際に、圧縮機の回転数を制御するこ
とと同じく、温度センサによる温度、すなわち空調負荷に基づいて、電子膨
張弁の開度の制御を行い、冷媒の流量の調整を行っていることも、また明ら
かである。
そうすると、甲4発明は、「室内の温度を検出する室内温度センサ」を備
え、「通常の空調運転時、前記室内温度センサの検出値を各機器の制御に用
い」る構成を、実質的に備えるものといえる。
しかしながら、甲4発明は、甲4の記載事項を参酌しても、室内熱交換器の凍結時、前記室内温度センサの検出値を前記各機器の制御に用いないこと
を示唆するところはない。
また、甲4発明は、「室内制御部50は、各ルーバー駆動用のモータ52
、53、54とファンモータ55の動作を制御し、除湿用絞り弁5の絞り制
御を行い、
室外制御部60は、電動膨張弁34、室外送風機35、インバータ回路6
1、四方切換弁32等の動作を制御」するもので、「通常の冷房運転サイク
ル時には、室内熱交換器17の凍結を防止するために、室内熱交換器17の
温度(TC)が0℃以上になるように制御し、
着霜運転では、室内熱交換器17の温度(TC)が温度Tcice(ただ
し、Tcice<0 ℃ )をT時間以上設けることにより、室内熱交換器1
7の親水性プレコートフィンFに対して着霜させ」ると特定するものの、「
着霜運転では、室内熱交換器17の温度(TC)が温度Tcice(ただし、Tcice<0 ℃ )をT時間以上設けることにより、室内熱交換器17の親水性プレコートフィンFに対して着霜させ」る制御の概略が示されるものの、室内温度センサ、圧縮機の回転数、電動膨張弁についての具体的かつ詳細な制御フローが示されるものではない。
そうすると、甲4発明が、「通常の空調運転時、前記室内温度センサの検
出値を各機器の制御に用い、前記室内熱交換器の凍結時、前記室内温度セン
サの検出値を前記各機器の制御に用いない」とまでいうことはできない。
そうすると、相違点4−1に係る本件特許発明1の事項は、実質的な相違点である。
b 相違点4−2について
甲4には、相違点4−2に係る本件特許発明1の事項について記載はなく、請求人も主張していない。
そうすると、相違点4−2に係る本件特許発明1の事項は、実質的な相違点である。
c したがって、相違点4−1及び相違点4−2は、実質的な相違点であるから、本件特許発明1は、甲4発明であるとはいえない。
(ウ) 以上のとおり、本件特許発明1は、甲4発明であるとはいえないから、請求項1に係る特許は、特許法第29条第1項第3号の規定に違反してされたものではない。
イ 特許法第29条第2項
(ア) 本件特許発明1と甲4発明との一致点・相違点については、上記「ア 特許法第29条第1項第3号」で述べたと同様である。
(イ) そして、上記ア(イ)で述べたとおり、上記相違点4−1及び相違点4−2は実質的な相違点であり、以下に検討する。
(ウ) 判断
a 相違点4−1について
上記「ア(イ) 判断」の「相違点4−1について」で検討したとおり、甲4発明は、「室内の温度を検出す室内温度センサ」を、実質的に備えるものといえる。
また、甲4発明の「インバータ空気調和機」が、甲4発明の通常の空調運
転において、冷媒量を調整する際に、圧縮機の回転数を制御することと同様
に、温度センサによる温度、すなわち空調負荷に基づいて、電動膨張弁の開
度の制御を行い、冷媒の流量の調整を行うことも当業者が当然考慮すること
である。
そうすると、甲4発明において、通常の運転時に、室内温度センサの検出値に基づいて、圧縮機をインバータ制御し、また、冷媒量を調整すべく膨張
弁を制御することは、当業者が容易に想到し得たことである。
また、室内熱交換器の凍結時の制御について、甲4発明は、上記「ア(イ
) 判断」の「相違点4−1について」で検討したとおり、制御の概略を特定するものの、具体的かつ詳細な制御フローを示すものではないから、甲4発明が、「通常の空調運転時、前記室内温度センサの検出値を各機器の制御に用い、前記室内熱交換器の凍結時、前記室内温度センサの検出値を前記各機器の制御に用いない」とまでいえるものではないし、また、甲4発明が凍結処理の制御において、室内温度センサを用いることを特定しているとまでいえるものでもない。
しかし、室内熱交換器の凍結には、室内熱交換器の温度を零度以下に十
分低く冷却すれば、ある程度の凍結が起こることは、技術的に明らかであり
、その際に室内温度センサの検出値がなければ室内熱交換器の温度を零度以
下に冷却できないというものでもない。
そうすると、室内温度センサを用いた具体的かつ詳細な制御を特定するも
のではない、甲4発明において、甲4発明の凍結時(凍結処理)において、
室内温度センサの検出値を各機器(圧縮機、膨張弁)の制御に用いないとす
ることは、当業者が容易に想到し得たことである。
したがって、甲4発明において、上記相違点4−1に係る本件特許発明1の構成を採用することは、当業者が容易に想到し得たことである。
b 相違点4−2について
甲4発明は、除霜において、「凍結させた室内熱交換器17の親水性プレコートフィンFを除霜するには、送風運転もしくは暖房運転で行うことで、親水性プレコートフィンFを加熱して霜を効率良く溶かす」ものである。
そして、甲4発明は、暖房モードで運転することで、除霜を行うことを含むものであるが、室内熱交換器を冷房モードで凍結させた後に、暖房モードとするためには、四方弁などを切り替えて、比較的温度が高い冷媒を室内熱交換器に流入させるものであるといえ、本件特許発明1のように、室内熱交換器を凍結させ、その後、膨張弁の開度を大きくして室外熱交換器の冷媒を室内熱交換器に流入させることによって室内熱交換器の氷を溶かすものではない。また、凍結した氷を溶かすことについて、暖房運転による除霜を行う際に、凍結時と比較して、電動膨張弁の開度を大きくして高温冷媒を室内熱交換器に送り込むことで室内熱交換器の氷霜を溶かすことが技術常識であるとできる証拠もない。
そうすると、甲4発明の暖房運転による除霜にかえて、冷房運転で膨張弁の開度を大きくすることによる除霜を採用する動機付けはないし、暖房運転による除霜が電子膨張弁の開度を大きくして室内熱交換器の霜を溶かすことを意味するものでもない。
したがって、甲4発明において、上記相違点4−2に係る本件特許発明1の構成を採用することは、当業者が容易に想到し得たことではない。
以上のとおりであるから、請求項1に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではない。
(5−2) 無効理由4’
本件特許発明1と甲4発明との一致点・相違点については、上記「ア 特許法第29条第1項第3号」で述べたと同様である。
そして、上記相違点4−2について、さらに、検討する。
甲2には、「[0015]・・・前記熱交換器の表面温度を前記目標温度値に制御し、かつ前記設定時間t維持する。本発明のいくつかの実施形態によれば、前記空気調和機がインバーター空気調和機である場合、前記空気調和機の室内ファンをオフにする方法、前記室内ファンを弱風運転させる方法、前記空気調和機の圧縮機の周波数、前記空気調和機の室外ファンの回転数及び電子膨張弁の開 度を調整する方法のうちの少なくとも1つの方法で、前記熱交換器の表面温度を制御して前記設定温度Tに維持させる。」と記載されている。しかしながら、当該記載は、室内熱交換器の氷層を溶かすことに関して、電子膨張弁の開度を大きくして室外熱交換器の冷媒を前記室内熱交換器に流入させることによって前記室内熱交換器の氷を溶かすことをいうものではない。
したがって、甲2を考慮しても、甲4発明において、上記(5−1)の相違点4−2の判断に影響を与えるものではなく、甲4発明において、本件特許発明1の相違点4−2の構成を採用することは、当業者が容易に想到し得たことではない。
さらに、前記甲13記載事項は、本件特許発明1の「前記室内熱交換器を凍結させ、その後、前記膨張弁の開度を大きくして前記室外熱交換器の前記冷媒を前記室内熱交換器に流入させることによって前記室内熱交換器の氷を溶かす」というものではなく、甲13には、「空気調和機の高低圧力差が四方弁の切り替えに許容される圧力差に達したか否かを検出する。空気調和機の高低圧力差が四方弁の切り替えに許容される圧力差に達すると、四方弁が切り替えるように制御し、室内外熱交換器の除霜を切り替え」ると記載され、四方弁の切り替えにより除霜に行うものである。そして、四方弁を切り替える際に、空気調和機の高低圧力差が四方弁の切り替えに許容される圧力差に達していないと、空気調和機の運転パラメータを調節することで、空気調和機の高低圧力差を四方弁の切り替えに許容される圧力差に達させるようにし、そのステップとして、内外ファンの回転数を増加させ、室内外の風量を増やすステップと、コンプレッサ周波数をH1まで低減させ、t2時間保持するステップと、絞り装置の開度を最大に調整するステップとのうちの少なくとも1つのステップを含むとされるものである。
そうすると、甲4発明は、「凍結させた室内熱交換器17の親水性プレコートフィンFを除霜するには、送風運転もしくは暖房運転で行うことで、親水性プレコートフィンFを加熱して霜を効率良く溶かす」ものであって、送風運転、すなわち、室内送風機19の送風による運転で霜を溶かすか、又は、暖房モードで運転すること、すなわち四方弁などを切り換えることによって霜を溶かすものである。
そして、甲4発明の、室内熱交換器を冷房モードで凍結させた後に、送風運転で霜を溶かすものに、四方弁を切り替える技術である甲13記載事項を適用する動機付けはないし、また、暖房モードとするための四方弁などを切り替えるに際して、四方弁を切り替える技術である甲13記載事項を適用したとしても、本件特許発明1のように、室内熱交換器を凍結させ、その後、膨張弁の開度を大きくして室外熱交換器の冷媒を室内熱交換器に流入させることによって室内熱交換器の氷を溶かすことをいうものでない。また、凍結した氷を溶かすことについて、暖房運転による除霜を行う際に、凍結時と比較して、電動膨張弁の開度を大きくして高温冷媒を室内熱交換器に送り込むことで室内熱交換器の氷霜を溶かすことが技術常識であるとできる証拠もない。
したがって、甲4発明において、上記相違点4−2に係る本件特許発明1の構成を採用することは、当業者が容易に想到し得たことではない。
よって、甲13を考慮しても、甲4発明において、上記(5−1)の相違点4−2の判断に影響を与えるものではなく、甲4発明において、本件特許発明1の相違点4−2の構成を採用することは、当業者が容易に想到し得たことではない。
以上のとおりであるから、請求項1に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではない。
(6) 無効理由5(甲6を主引例とする、特許法第29条第1項第2号、第2項)
ア 特許法第29条第1項第2号
請求人と被請求人との間には、甲6製品が公然実施されたものであるかに
ついて、争いはあるが、少なくとも甲6に基づいて、上記甲6製品を認める
ことができるので、まず、本件特許発明1と甲6製品と対比し、両者の一致
点及び相違点について、以下に検討する。
(ア) 本件特許発明1と甲6製品との対比
本件特許発明1と甲6製品とを、その機能、構造又は技術的意義を考慮し
て対比する。
後者における「冷房を行う際には、室外熱交換機が凝縮器として、室内熱
交換器が蒸発器として、機能するものであ」ることから、後者の「室外熱交換器」及び「室内熱交換器」は、それぞれ、前者の「凝縮器」及び「蒸発器
」に相当する。そうすると、後者は、前者の「前記凝縮器及び前記蒸発器の
一方は室外熱交換器であり、他方は室内熱交換器であ」る態様を備えるものである。
後者の「電子膨張弁」は、前者の「膨張弁」に相当する。
後者の「圧縮機」、「室外熱交換器」、「電子膨張弁」及び「室内熱交換
器」が空気調和機において、順次に介して冷媒が循環する冷媒回路をなすこ
とは明らかであるから、後者は、前者の「圧縮機、凝縮器、膨張弁、及び蒸
発器を順次に介して冷媒が循環する冷媒回路」を備えるものである。
後者の「圧縮機及び電子膨張弁を制御する室内電子制御装置及び室外電子
制御装置を有」することは、室内電子制御装置及び室外電子制御装置が制御部をなすことは明らかであるから、前者の「少なくとも前記圧縮機及び前記膨張弁を制御する制御部」を備えることに相当する。
後者の「室内の温度を検出するものであ」る「室内環境温度センサ」は、
前者の「室内の温度を検出する室内温度センサ」に相当する。
ここで、後者の「室内温度20℃、室内湿度50%、室外温度20℃、室
外湿度50%の環境温度を一定に維持し、「室内清掃」操作を実行したとこ
ろ、室内熱交換器の温度が低下してから再び零度以上に戻るまでの期間、室
内モータの回転数はゼロであり、室内ファンも停止してい」ることについて
検討する。
後者の「室内清掃」を実行している間、室内熱交換器の温度が零度以下に
なる期間を有していて、「室内清掃」操作を実行してから、室内熱交換器の温度を零度以下に下げる処理を行っている期間は、凍結処理している期間といえる。そして、後者は、「室内熱交換器の温度が低下してから再び零度以上に戻るまでの期間、室内モータの回転数はゼロであり、室内ファンも停止してい」る。そうすると、前者の「前記室内熱交換器の凍結では室内ファンを停止させるか、又は、前記室内ファンの駆動と停止を交互に行」う態様を備えるものである。そして、後者の「その後、氷や霜を解凍する解凍処理を行う」ことと、前者の「前記室内熱交換器を前記蒸発器として機能させ、前記室内熱交換器を凍結させ、その後、前記膨張弁の開度を大きくして前記室外熱交換器の前記冷媒を前記室内熱交換器に流入させることによって前記室内熱交換器の氷を溶かすことで、前記室内熱交換器を洗浄する処理を行う」こととは、「前記室内熱交換器を前記蒸発器として機能させ、前記室内熱交換器を凍結させ、その後、前記室内熱交換器の氷を溶かすことで、前記室内熱交換器を洗浄する処理を行う」ことの限りで一致する。
そうすると、本件特許発明1と甲6製品とは、以下の一致点で一致し、相
違点で相違する。
[一致点]
「圧縮機、凝縮器、膨張弁、及び蒸発器を順次に介して冷媒が循環する冷
媒回路と、
少なくとも前記圧縮機及び前記膨張弁を制御する制御部と、
室内の温度を検出する室内温度センサと、を備え、
前記凝縮器及び前記蒸発器の一方は室外熱交換器であり、他方は室内熱交
換器であり、
前記制御部は、
前記室内熱交換器を前記蒸発器として機能させ、前記室内熱交換器を凍結させ、その後、前記室内熱交換器の氷を溶かすことで、前記室内熱交換器を洗浄する処理を行うものであって、
前記室内熱交換器の凍結では室内ファンを停止させるか、又は、前記室内
ファンの駆動と停止を交互に行う、
空気調和機。」
[相違点5−1]
室内温度センサに関して、本件特許発明1は、「通常の空調運転時、前記
室内温度センサの検出値を各機器の制御に用い、前記室内熱交換器の凍結時
、前記室内温度センサの検出値を前記各機器の制御に用いない」としている
のに対して、甲6製品は、「室内環境温度センサ」が「検出する」「室内の
温度」を、空気調和機のどのように制御に用いているかについて、特定され
ていない点。
[相違点5−2]
室内熱交換器を凍結させ、その後、前記室内熱交換器の氷を溶かすことで、前記室内熱交換器を洗浄する処理を行うことに関して、本件特許発明1は、「前記室内熱交換器を凍結させ、その後、前記膨張弁の開度を大きくして前記室外熱交換器の前記冷媒を前記室内熱交換器に流入させることによって前記室内熱交換器の氷を溶かすことで、前記室内熱交換器を洗浄する処理を行う」としているのに対して、甲6製品は、「氷や霜を解凍する解凍処理を行う」ものの、その具体的な態様は不明な点。
(イ) 判断
a 相違点5−1について
甲6製品は、通常の空調運転時及び室内清掃の処理(凍結処理)を行う際
の具体的な制御フローについては、何ら特定するものではなく、室内環境温
度センサが検出した温度に着目してみても、凝縮器及び電子膨張弁との関係
において、当該温度を制御にどのように用いているかは、特定されていない

そして、空調機の凍結処理において、温度センサを用いた制御を行っていても、温度センサの検出値の変化に対して圧縮機を駆動するモータの回転数の変化として現れない場合もある。
例えば、上記「(2)無効理由1ア(イ)」で検討したように、甲1発明は、室内熱交換器の着霜を行う際、すなわち凍結処理を行う際(凍結時)に、温度センサの検出値を目標蒸発温度の決定に用いることで、着霜の制御に直接影響を及ぼす前記各機器(圧縮機、膨張弁)の制御に用いるものが開示されているが、目標蒸発温度の決定された後は、温度センサの検出値が仮に変化しても、その後、着霜の制御に直接影響を及ぼす前記各機器(圧縮機、膨張弁)の制御に影響するものではない。
よって、甲6製品が「室内熱交換器の温度が低下してから再び零度以上に
戻るまでの期間」を有し、「室内清掃」運転開始後200秒経過時に、氷水
で室内環境温度センサを零度に冷却し、その前後において、室内モータの回
転数及び室外モータの回転数に変動は生じていないことが、直ちに「通常の
空調運転時、前記室内温度センサの検出値を各機器の制御に用い、前記室内
熱交換器の凍結時、前記室内温度センサの検出値を前記各機器の制御に用い
ない」ことを特定するものではなく、上記相違点5−1に係る本件特許発明1の構成を、甲6製品が有しているとすることはできない。
また、甲6製品は、実験○5では、氷水で冷却する前後において、室内モ
ータの回転数及び室外モータの回転数に変動は生じていないものの、電力を
示すグラフは、その前後においてゆるやかに低下している。また、同1条件である、実験○2のグラフ1と実験○5のグラフ1との対比において、重ね
て見たときに、グラフ各線の相互の位置関係は、異なる態様を示す箇所があ
り、このことは、実験○2のグラフ2と実験○5のグラフ2との対比におい
ても同様である。そうすると、甲6製品は、氷水よって、室内温度センサを
冷却したことによる影響がないということもできないので、この点でも、「
通常の空調運転時、前記室内温度センサの検出値を各機器の制御に用い、前
記室内熱交換器の凍結時、前記室内温度センサの検出値を前記各機器の制御
に用いない」ということはできず、上記相違点5−1に係る本件特許発明1の構成を、甲6製品が有しているとすることはできない。
よって、相違点5−1は、実質的な相違点である。
b 相違点5−2について
甲6製品は、相違点5−2に係る本件特許発明1の事項について特定するところはなく、請求人も主張していない。
そうすると、相違点5−2に係る本件特許発明1の事項は、実質的な相違点である。
c したがって、相違点5−1及び相違点5−2は、実質的な相違点であるから、本件特許発明1は、甲6製品であるとはいえない。
(ウ) 以上のとおり、本件特許発明1は、甲6製品であるとはいえないから、甲6製品の公然実施について検討するまでもなく、請求項1に係る特許は、特許法第29条第1項第2号の規定に違反してされたものではない。
イ 特許法第29条第2項
(ア) 本件特許発明1と甲6製品との一致点・相違点については、上記「ア 特許法第29条第1項第2号」で述べたと同様である。
(イ) そして、上記アで述べたとおり、上記相違点5−1及び相違点5−2は実質的な相違点であり、以下に検討する。
a 相違点5−1について
一製品である甲6製品において、室内環境温度センサと圧縮機及び電子膨
張弁との関係に着目して、その制御について、上記相違点5−1に係る構成を採用することを動機付けるものはなく、また、甲6製品において、上記相違点5に係る構成を採用することが当業者が容易に想起し得るとすることもできない。
したがって、甲6に基づく甲6製品を前提としたとしても、甲6製品にお
いて、上記相違点5−1に係る本件特許発明1の構成を採用することは、当業者が容易に想到し得たことではない。
b 相違点5−2について
一製品である甲6製品において、「氷や霜を解凍する解凍処理を行う」ものの、その具体的な態様は不明であり、甲6製品が、本件特許発明1の「室内熱交換器を凍結させ、その後、膨張弁の開度を大きくして室外熱交換器の冷媒を室内熱交換器に流入させることによって室内熱交換器の氷を溶かす」という、室内熱交換器12を凝縮器として機能させないで行う解凍するための処理であるということもできず(本件特許明細書【0064】、【0036】についての、上記「第2 2 (1) ウ ウー2(ウ)」参照。)、また、室内熱交換器を凝縮器としない「室内熱交換器を凍結させ、その後、膨張弁の開度を大きくして室外熱交換器の冷媒を室内熱交換器に流入させることによって室内熱交換器の氷を溶かす」ことが技術常識とできる証拠もない。
したがって、甲6に基づく甲6製品を前提としたとしても、甲6製品にお
いて、上記相違点5−2に係る本件特許発明1の構成を採用することは、当業者が容易に想到し得たことではない。
c よって、甲6製品の公然実施について検討するまでもなく、本件特許発明1は、甲6製品に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとすることはできない。
(ウ) 以上のとおりであるから、請求項1に係る特許は、特許法第29条
第2項の規定に違反してされたものではない。

第7 むすび
以上のとおりであるから、
1 本件訂正は適法であるから、本件訂正を認める。
2 請求人の主張及び立証によっては、無効理由があるということができ
ないから、本件特許発明1に係る本件審判の請求は成り立たない。
3 特許法第169条第2項の規定により準用する民事訴訟法第61条
規定により、審判請求費用は請求人の負担とする。
よって結論のとおり審決する。
 
別掲 (行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、この審決に係る相手方当事者を被告として、提起することができます。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】空気調和機
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
空気調和機の室内熱交換器を清潔な状態にする技術として、例えば、特許文献1には、「暖房運転後に、前記フィン表面に水を付着させる水分付与手段を備える」空気調和機について記載されている。なお、前記した水付与手段は、暖房運転後に冷房運転を行うことによって、室内熱交換器のフィン表面に水を付着させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4931566号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の技術において、暖房運転後に通常の冷房運転を行ったとしても、室内熱交換器を洗浄するには、室内熱交換器に付着する水の量が足りない可能性がある。
【0005】
そこで、本発明は、室内熱交換器を適切に洗浄可能な空気調和機を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明は、圧縮機、凝縮器、膨張弁、及び蒸発器を順次に介して冷媒が循環する冷媒回路と、少なくとも前記圧縮機及び前記膨張弁を制御する制御部と、室内の温度を検出する室内温度センサと、を備え、前記凝縮器及び前記蒸発器の一方は室外熱交換器であり、他方は室内熱交換器であり、前記制御部は、前記室内熱交換器を前記蒸発器として機能させ、前記室内熱交換器を凍結させ、その後、前記膨張弁の開度を大きくして前記室外熱交換器の前記冷媒を前記室内熱交換器に流入させることによって前記室内熱交換器の氷を溶かすことで、前記室内熱交換器を洗浄する処理を行うものであって、前記室内熱交換器の凍結では室内ファンを停止させるか、又は、前記室内ファンの駆動と停止を交互に行い、通常の空調運転時、前記室内温度センサの検出値を各機器の制御に用い、前記室内熱交換器の凍結時、前記室内温度センサの検出値を前記各機器の制御に用いないことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、室内熱交換器を適切に洗浄可能な空気調和機を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の第1実施形態に係る空気調和機が備える室内機、室外機、及びリモコンの正面図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る空気調和機が備える室内機の縦断面図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る空気調和機の冷媒回路を示す説明図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係る空気調和機の機能ブロック図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係る空気調和機の制御部が実行する洗浄処理のフローチャートである。
【図6】室内熱交換器を凍結させるための処理を示すフローチャートである。
【図7】室内空気の相対湿度と、凍結時間と、の関係を示すマップである。
【図8】室外温度と、圧縮機の回転速度と、の関係を示すマップである。
【図9】室内熱交換器の温度の時間的な変化の一例を示す説明図である。
【図10】圧縮機及び室内ファンのON/OFFの切替えに関する説明図である。
【図11】室内熱交換器を解凍するための処理を示すフローチャートである。
【図12】室内熱交換器を乾燥させるための処理を示すフローチャートである。
【図13】本発明の第2実施形態に係る空気調和機において、室内熱交換器を凍結させるための処理を示すフローチャートである。
【図14】本発明の第3実施形態に係る空気調和機の冷媒回路を示す説明図である。
【図15】第2室内熱交換器を凍結させるための処理を示すフローチャートである。
【図16】本発明の第4実施形態に係る空気調和機において、室内熱交換器を凍結させるための処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
≪第1実施形態≫
<空気調和機の構成>
図1は、第1実施形態に係る空気調和機100が備える室内機10、室外機30、及びリモコン40の正面図である。
空気調和機100は、冷凍サイクル(ヒートポンプサイクル)で冷媒を循環させることによって、空調を行う機器である。図1に示すように、空気調和機100は、室内(被空調空間)に設置される室内機10と、屋外に設置される室外機30と、ユーザによって操作されるリモコン40と、を備えている。
【0010】
室内機10は、リモコン送受信部11を備えている。リモコン送受信部11は、赤外線通信等によって、リモコン40との間で所定の信号を送受信する。例えば、リモコン送受信部11は、運転/停止指令、設定温度の変更、運転モードの変更、タイマの設定等の信号をリモコン40から受信する。また、リモコン送受信部11は、室内温度の検出値等をリモコン40に送信する。
【0011】
なお、図1では省略しているが、室内機10と室外機30とは冷媒配管を介して接続されるとともに、通信線を介して接続されている。
【0012】
図2は、室内機10の縦断面図である。
室内機10は、前記したリモコン送受信部11(図1参照)の他に、室内熱交換器12と、ドレンパン13と、室内ファン14と、筐体ベース15と、フィルタ16,16と、前面パネル17と、左右風向板18と、上下風向板19と、を備えている。
【0013】
室内熱交換器12は、伝熱管12gを通流する冷媒と、室内空気と、の熱交換が行われる熱交換器である。
ドレンパン13は、室内熱交換器12から滴り落ちる水を受けるものであり、室内熱交換器12の下側に配置されている。なお、ドレンパン13に落下した水は、ドレンホース(図示せず)を介して外部に排出される。
【0014】
室内ファン14は、例えば、円筒状のクロスフローファンであり、室内ファンモータ14a(図4参照)によって駆動する。
筐体ベース15は、室内熱交換器12や室内ファン14等の機器が設置される筐体である。
【0015】
フィルタ16,16は、空気吸込口h1等を介して取り込まれる空気から塵埃を除去するものであり、室内熱交換器12の上側・前側に設置されている。
前面パネル17は、前側のフィルタ16を覆うように設置されるパネルであり、下端を軸として前側に回動可能になっている。なお、前面パネル17が回動しない構成であってもよい。
【0016】
左右風向板18は、室内に向けて吹き出される空気の通流方向を、左右方向において調整する板状部材である。左右風向板18は、室内ファン14の下流側に配置され、左右風向板用モータ21(図4参照)によって左右方向に回動するようになっている。
上下風向板19は、室内に向けて吹き出される空気の通流方向を、上下方向において調整する板状部材である。上下風向板19は、室内ファン14の下流側に配置され、上下風向板用モータ22(図4参照)によって上下方向に回動するようになっている。
【0017】
そして、空気吸込口h1を介して吸い込まれた空気が、伝熱管12gを通流する冷媒と熱交換し、熱交換した空気が吹出風路h2に導かれるようになっている。この吹出風路h2を通流する空気は、左右風向板18及び上下風向板19によって所定方向に導かれ、さらに、空気吹出口h3を介して室内に吹き出される。
【0018】
図3は、空気調和機100の冷媒回路Qを示す説明図である。
なお、図3の実線矢印は、暖房運転時における冷媒の流れを示している。
また、図3の破線矢印は、冷房運転時における冷媒の流れを示している。
図3に示すように、室外機30は、圧縮機31と、室外熱交換器32と、室外ファン33と、室外膨張弁34(第1膨張弁)と、四方弁35と、を備えている。
【0019】
圧縮機31は、圧縮機モータ31aの駆動によって、低温低圧のガス冷媒を圧縮し、高温高圧のガス冷媒として吐出する機器である。
室外熱交換器32は、その伝熱管(図示せず)を通流する冷媒と、室外ファン33から送り込まれる外気と、の間で熱交換が行われる熱交換器である。
【0020】
室外ファン33は、室外ファンモータ33a(図4参照)の駆動によって、室外熱交換器32に外気を送り込むファンであり、室外熱交換器32の付近に設置されている。
室外膨張弁34は、「凝縮器」(室外熱交換器32及び室内熱交換器12の一方)で凝縮した冷媒を減圧する機能を有している。なお、室外膨張弁34において減圧された冷媒は、「蒸発器」(室外熱交換器32及び室内熱交換器12の他方)に導かれる。
【0021】
四方弁35は、空気調和機100の運転モードに応じて、冷媒の流路を切り替える弁である。すなわち、冷房運転時(破線矢印を参照)には、圧縮機31、室外熱交換器32(凝縮器)、室外膨張弁34、及び室内熱交換器12(蒸発器)が、四方弁35を介して環状に順次接続されてなる冷媒回路Qにおいて、冷凍サイクルで冷媒が循環する。
【0022】
また、暖房運転時(実線矢印を参照)には、圧縮機31、室内熱交換器12(凝縮器)、室外膨張弁34、及び室外熱交換器32(蒸発器)が、四方弁35を介して環状に順次接続されてなる冷媒回路Qにおいて、冷凍サイクルで冷媒が循環する。
【0023】
すなわち、圧縮機31、「凝縮器」、室外膨張弁34、及び「蒸発器」を順次に介して、冷凍サイクルで冷媒が循環する冷媒回路Qにおいて、前記した「凝縮器」及び「蒸発器」の一方は室外熱交換器32であり、他方は室内熱交換器12である。
【0024】
図4は、空気調和機100の機能ブロック図である。
図4に示す室内機10は、前記した構成の他に、撮像部23と、環境検出部24と、室内制御回路25と、を備えている。
撮像部23は、室内(被空調空間)を撮像するものであり、CCDセンサ(Charge Coupled Device)やCMOSセンサ(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の撮像素子を備えている。この撮像部23の撮像結果に基づき、室内制御回路25によって、室内にいる人(在室者)が検出される。なお、被空調空間に存在する人を検出する「人検出部」は、撮像部23と、室内制御回路25と、を含んで構成される。
【0025】
環境検出部24は、室内の状態や室内機10の機器の状態を検出する機能を有し、室内温度センサ24aと、湿度センサ24bと、室内熱交換器温度センサ24cと、を備えている。
室内温度センサ24aは、室内(被空調空間)の温度を検出するセンサである。この室内温度センサ24aは、フィルタ16,16(図2参照)よりも空気の吸込側に設置されている。これによって、後記するように室内熱交換器12を凍結させているとき、その熱輻射の影響に伴う検出誤差を抑制できる。
【0026】
湿度センサ24bは、室内(被空調空間)の空気の湿度を検出するセンサであり、室内機10の所定位置に設置されている。
室内熱交換器温度センサ24cは、室内熱交換器12(図2参照)の温度を検出するセンサであり、室内熱交換器12に設置されている。
室内温度センサ24a、湿度センサ24b、及び室内熱交換器温度センサ24cの検出値は、室内制御回路25に出力される。
【0027】
室内制御回路25は、図示はしないが、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、各種インタフェース等の電子回路を含んで構成されている。そして、ROMに記憶されたプログラムを読み出してRAMに展開し、CPUが各種処理を実行するようになっている。
【0028】
図4に示すように、室内制御回路25は、記憶部25aと、室内制御部25bと、を備えている。
記憶部25aには、所定のプログラムの他、撮像部23の撮像結果、環境検出部24の検出結果、リモコン送受信部11を介して受信したデータ等が記憶される。
室内制御部25bは、記憶部25aに記憶されているデータに基づいて、所定の制御を実行する。なお、室内制御部25bが実行する処理については後記する。
【0029】
室外機30は、前記した構成の他に、室外温度センサ36と、室外制御回路37と、を備えている。
室外温度センサ36は、室外の温度(外気温)を検出するセンサであり、室外機30の所定箇所に設置されている。なお、図4では省略しているが、室外機30は、圧縮機31(図3参照)の吸入温度、吐出温度、吐出圧力等を検出する各センサも備えている。室外温度センサ36を含む各センサの検出値は、室外制御回路37に出力される。
【0030】
室外制御回路37は、図示はしないが、CPU、ROM、RAM、各種インタフェース等の電子回路を含んで構成され、室内制御回路25と通信線を介して接続されている。図4に示すように、室外制御回路37は、記憶部37aと、室外制御部37bと、を備えている。
記憶部37aには、所定のプログラムの他、室外温度センサ36を含む各センサの検出値等が記憶される。
室外制御部37bは、記意部37aに記憶されているデータに基づいて、圧縮機モータ31a(つまり、圧縮機31)、室外ファンモータ33a、室外膨張弁34等を制御する。以下では、室内制御回路25及び室外制御回路37を「制御部K」という。
【0031】
次に、室内熱交換器12(図2参照)を洗浄するための処理について説明する。
前記したように、室内熱交換器12の上側・前側(空気の吸込側)には、塵や埃を捕集するためのフィルタ16(図2参照)が設置されている。しかしながら、細かい塵や埃がフィルタ16を通り抜けて、室内熱交換器12に付着することがあるため、室内熱交換器12を定期的に洗浄することが望まれる。そこで、本実施形態では、室内機30に取り込まれた空気に含まれる水分を室内熱交換器12で凍結させ、その後、室内熱交換器12の氷を溶かすことで、室内熱交換器12を洗浄するようにしている。このような一連の処理を、室内熱交換器12の「洗浄処理」という。
【0032】
図5は、空気調和機100の制御部Kが実行する洗浄処理のフローチャートである(適宜、図3、図4を参照)。なお、図5の「START」時までは、所定の空調運転(冷房運転、暖房運転等)が行われていたものとする。
また、室内熱交換器12の洗浄処理の開始条件が「START」時に成立したものとする。この「洗浄処理の開始条件」とは、例えば、前回の洗浄処理の終了時から空調運転の実行時間を積算した値が所定値に達したという条件である。なお、ユーザによるリモコン40の操作によって、洗浄処理を行う時間帯を設定できるようにしてもよい。
【0033】
ステップS101において制御部Kは、空調運転を所定時間(例えば、数分間)停止させる。前記した所定時間は、冷凍サイクルを安定させるための時間であり、予め設定されている。
例えば、「START」時まで行われていた暖房運転を中断して、室内熱交換器12を凍結させる際(S102)、制御部Kは、暖房運転時とは逆向きに冷媒が流れるように四方弁35を制御する。ここで、仮に、冷媒の流れる向きを急に変えると、圧縮機31に過負荷がかかり、また、冷凍サイクルの不安定化を招く可能性がある。そこで、本実施形態では、室内熱交換器12の凍結(S102)に先立って所定時間、空調運転を停止させるようにしている(S101)。この場合において制御部Kが、空調運転の停止時から所定時間が経過した後、室内熱交換器12の凍結を行うようにしてもよい。
【0034】
なお、冷房運転を中断して室内熱交換器12を凍結させる場合には、ステップS101の処理を省略してもよい。冷房運転中(START時)に冷媒が流れる向きと、室内熱交換器12の凍結中(S102)に冷媒が流れる向きと、は同じだからである。
【0035】
次に、ステップS102において制御部Kは、室内熱交換器12を凍結させる。すなわち、制御部Kは、室内熱交換器12を蒸発器として機能させ、室内機10に取り込まれた空気に含まれる水分を室内熱交換器12の表面に着霜させて凍結させる。
【0036】
ステップS103において制御部Kは、室内熱交換器12を解凍する。例えば、制御部Kは、室外膨張弁34の開度を大きくして室外熱交換器32にある冷媒を室内熱交換器12に流入させることによって、室内熱交換器12の表面の氷を溶かして解凍する。この際、室外膨張弁34の開度を全開にすることが望ましい。これによって、室外熱交換器32に存在していた温かい冷媒が室内熱交換器12に導かれるため、室内熱交換器12の解凍を短時間で行うことができる。なお、室内熱交換器12を凝縮器として機能させることによって、室内熱交換器12の表面の氷を溶かして解凍するようにしてもよい。これによって、室内熱交換器12に付着していた塵や埃が洗い流される。
【0037】
ステップS104において制御部Kは、室内熱交換器12を乾燥させる。例えば、制御部Kは、室内ファン14の駆動によって、室内熱交換器12の表面の水を乾燥させる。これによって、室内熱交換器12を清潔な状態にすることができる。ステップS104の処理を行った後、制御部Kは、一連の処理を終了する(END)。
【0038】
図6は、室内熱交換器12を凍結させるための処理(図5のS102)を示すフローチャートである(適宜、図3、図4を参照)。
ステップS102aにおいて制御部Kは、四方弁35を制御する。すなわち、制御部Kは、室外熱交換器32を凝縮器として機能させ、室内熱交換器12を蒸発器として機能させるように四方弁35を制御する。なお、「洗浄処理」(図5に示す一連の処理)を行う直前に冷房運転を行っていた場合、制御装置は、ステップS102aにおいて四方弁35の状態を維持する。
【0039】
ステップS102bにおいて制御部Kは、凍結時間を設定する。具体的に説明すると、制御部Kは、室内空気(被空調空間)の空気の相対湿度に基づいて、凍結時間を設定する。なお、「凍結時間」とは、室内熱交換器12を凍結させるための所定の制御(S102 c〜S102e)が繼売される時間である。
【0040】
図7は、室内空気の相対湿度と、凍結時間と、の関係を示すマップである。
図7の横軸は、室内空気の相対湿度であり、湿度センサ24b(図4参照)によって検出される。図7の縦軸は、室内空気の相対湿度に対応して設定される凍結時間である。
図7に示すように、制御部Kは、室内空気の相対湿度が高いほど、室内熱交換器12の凍結を行う凍結時間を短くする。室内空気の相対湿度が高いほど、所定体積の室内空気に含まれる水分の量が多く、室内熱交換器12に水分が付着しやすいからである。このように凍結時間を設定することで、室内熱交換器12の洗浄に要する適量の水分を、室内熱交換器12に付着させ、さらに凍結させることができる。
【0041】
なお、図7に示すマップ(データテーブル)に代えて、所定の数式を用いるようにしてもよい。また、制御部Kが、室内空気の相対湿度に代えて、室内空気の絶対湿度に基づき、凍結時間を設定するようにしてもよい。すなわち、制御部Kは、室内空気の絶対湿度が高いほど、凍結時間を短くするようにしてもよい。
【0042】
次に、図6のステップS102cにおいて制御部Kは、圧縮機31の回転速度を設定する。すなわち、制御部Kは、室外温度センサ36の検出値である室外温度に基づいて、圧縮機モータ31aの回転速度を設定し、圧縮機31を駆動する。
【0043】
図8は、室外温度と、圧縮機31の回転速度と、の関係を示すマップである。
室内熱交換器12を凍結させる際、制御部Kは、図8に示すように、室外温度が高いほど、圧縮機モータ31aの回転速度を大きくする。室内熱交換器12において室内空気から熱を奪うには、それに対応して、室外熱交換器32での放熱が充分に行われることを要するからである。例えば、室外温度が比較的高い場合、制御部Kは、圧縮機モータ31aの回転速度を大きくすることで、圧縮機31から吐出される冷媒の温度・圧力を高くする。これによって、室外熱交換器32での熱交換が適切に行われ、ひいては、室内熱交換器12の凍結も適切に行われる。なお、図8に示すマップ(データテーブル)に代えて、所定の数式を用いるようにしてもよい。
【0044】
ちなみに、通常の空調運転(冷房運転や暖房運転)では、圧縮機31から吐出される冷媒の温度等に基づいて、圧縮機31の回転速度が制御されることが多い。一方、室内熱交換器12を凍結させているときには、圧縮機31から吐出される冷媒の温度が通常の空調運転時よりも低くなりやすいため、別のパラメータとして、室外温度を用いるようにしている。
【0045】
次に、図6のステップS102dにおいて制御部Kは、室外膨張弁34の開度を調整する。
なお、ステップS102dでは、通常の冷房運転時よりも室外膨張弁34の開度を小さくすることが望ましい。これによって、通常の冷房運転時よりも低温低圧の冷媒が、室外膨張弁34を介して室内熱交換器12に流入する。したがって、室内熱交換器12に付着した水が凍結しやすくなり、また、室内熱交換器12の凍結に要する消費電力量を低減できる。
【0046】
ステップS102eにおいて制御部Kは、室内熱交換器12の温度が所定範囲内であるか否かを判定する。前記した「所定範囲」とは、室内機10に取り込まれた空気に含まれる水分が室内熱交換器12で凍結し得る範囲であり、予め設定されている。
【0047】
ステップS102eにおいて室内熱交換器12の温度が所定範囲外である場合(S102e:No)、制御部Kの処理はステップS102dに戻る。例えば、室内熱交換器12の温度が所定範囲よりも高い場合、制御部Kは、室外膨張弁34の開度をさらに小さくする(S102e)。このように、制御部Kは、室内熱交換器12を凍結させているとき、室内熱交換器12の温度が所定範囲内に収まるように、室外膨張弁34の開度を調整する。
【0048】
なお、図6では省略しているが、室内熱交換器12を凍結させているとき(つまり、所定の凍結時間が経過するまでの間)、制御部Kは、室内ファン14を停止状態にしてもよいし、また、室内ファン14を所定の回転速度で駆動してもよい。いずれの場合でも、室内熱交換器12の凍結が進むからである。
【0049】
図9は、室内熱交換器12の温度の時間的な変化の一例を示す説明図である。
図9の横軸は、図6の「START」時からの経過時間である。
図9の縦軸は、室内熱交換器12の温度(室内熱交換器温度センサ24cの検出値:図4参照)である。なお、温度が0℃未満の所定範囲Fは、ステップS102e(図6参照)の判定基準となる温度範囲であり、前記したように、予め設定されている。
【0050】
図9に示すように、室内熱交換器12を凍結させるための所定の制御が開始されてからの「経過時間」が長くなるにつれて、室内熱交換器12の温度が徐々に低くなっている。そして、経過時間tAを過ぎると、室内熱交換器12の温度が所定範囲F内に収まっている。これによって、室内機10の信頼性を確保しつつ(室内熱交換器12の温度が過度に低くなることを抑制しつつ)、室内熱交換器12を凍結させることができる。
【0051】
なお、経過時間tAを過ぎると、室内熱交換器12の凍結が進むため、時間の経過とともに、室内熱交換器12の氷の厚さが厚くなっていく。これによって、室内熱交換器12の洗浄に要する充分な量の水を、室内熱交換器12で凍らせることができる。
【0052】
図6のステップS102eにおいて室内熱交換器12の温度が所定範囲内である場合(S102e:Yes)、制御部Kの処理はステップS102fに進む。
ステップS102fにおいて制御部Kは、ステップS102bで設定した凍結時間が経過したか否かを判定する。「START」時から所定の凍結時間が経過していない場合(S102f:No)、制御部Kの処理はステップS102cに戻る。一方、「START」時から所定の凍結時間か経過した場合(S102f:Yes)、制御部Kは、室内熱交換器12を凍結させるための一連の処理を終了する(END)。
【0053】
なお、図6の「START」時からの経過時間ではなく、室内熱交換器12の温度が所定範囲F内に収まってからの経過時間(図9に示す時刻tAからの経過時間)に基づいて、ステップS102fの判定処理を行うようにしてもよい。
【0054】
また、図6では省略したが、室外温度が氷点下である場合、制御部Kは、室内熱交換器12の凍結を行わないことが好ましい。その後の室内熱交換器12の解凍によって流れ落ちた多量の水がドレンホース(図示せず)内で凍りつくことを防止し、ひいては、ドレンホースを介した排水が阻害されることを防止するためである。
【0055】
図10は、圧縮機31及び室内ファン14のON/OFFの切替えに関する説明図である。
なお、図10の横軸は時刻である。また、図10の縦軸は、圧縮機31のON/OFF、及び室内ファン14のON/OFFを示している。
図10に示す例では、所定の空調運転が時刻t1まで行われており、圧縮機31及び室内ファン14が駆動している(つまり、ON状態である)。その後、時刻t1〜t2において圧縮機31及び室内ファン14が停止している(図5のステップS101)。そして、時刻t2〜t3において、室内熱交換器12の凍結が行われている(図5のステップS102)。この時刻t2〜t3の時間が、ステップS102b(図6参照)で設定された凍結時間である。
【0056】
図10に示す例では、室内熱交換器12の凍結中、室内ファン14が停止されている。これによって、室内に冷風が吹き出されないため、ユーザの快適性を損なうことなく、室内熱交換器12を凍結させることができる。なお、時刻t3以後の処理については後記する。
【0057】
図11は、室内熱交換器12を解凍するための処理(図5のS103)を示すフローチャートである(適宜、図3、図4を参照)。
制御部Kは、前記したステップS102a〜S102f(図6参照)の処理によって室内熱交換器12を凍結させた後、図11に示す一連の処理を実行する。
【0058】
ステップS103aにおいて制御部Kは、室内温度(被空調空間の温度)が所定値以上であるか否かを判定する。この所定値は、室内熱交換器12を凝縮器として機能させるか否かの判定基準となる閾値であり、予め設定されている。
【0059】
ステップS103aにおいて室内温度が所定値以上である場合(S103a:Yes)、制御部Kは、室内熱交換器12を解凍するための処理を終了する(END)。次に説明するように、室内熱交換器12を解凍させる際には暖房運転時と同様に四方弁35が制御されるが、室内温度が所定値以上の場合には冷凍サイクルの凝縮側の熱負荷が大きくなり過ぎて、蒸発側との均衡がとれなくなるからである。また、室内温度が比較的高い場合には、室内熱交換器12の氷が時間の経過とともに自然に溶けるからである。
【0060】
ステップS103bにおいて制御部Kは、四方弁35を制御する。すなわち、制御部Kは、室内熱交換器12を凝縮器として機能させ、室外熱交換器32を蒸発器として機能させるように四方弁35を制御する。つまり、制御部Kは、暖房運転時と同様に四方弁35を制御する。
【0061】
ステップS103cにおいて制御部Kは、上下風向板19(図2参照)を閉じる。これによって、次に室内ファン14を駆動させても(S103d)、水の滴が空気とともに室内に飛び出すことを防止できる。
ステップS103dにおいて制御部Kは、室内ファン14を駆動する。これによって、空気吸込口h1(図2参照)を介して空気が取り込まれ、さらに、取り込まれた空気が上下風向板19と前面パネル17との隙間等を介して室内に漏れ出る。したがって、室内熱交換器12(凝縮器)の温度が高くなり過ぎることを抑制できる。
【0062】
ステップS103eにおいて制御部Kは、圧縮機31の回転速度を所定の値に設定し、圧縮機31を駆動する。
ステップS103fにおいて制御部Kは、室外膨張弁34の開度を調整する。このように圧縮機31及び室外膨張弁34が適宜に制御されることで、凝縮器である室内熱交換器12を介して高温の冷媒が通流する。その結果、室内熱交換器12の氷が一気に溶けるため、室内熱交換器12に付着していた塵や埃が洗い流される。そして、塵や埃を含む水はドレンパン13(図2参照)に落下し、ドレンホース(図示せず)を介して外部に排出される。
【0063】
ステップS103gにおいて制御部Kは、図11の「START」時から所定時間が経過したか否かを判定する。この所定時間は、室内熱交換器12の解凍に要する時間であり、予め設定されている。
ステップS103gにおいて「START」時から所定時間が経過していない場合(S103g:No)、制御部Kの処理はステップS103fに戻る。一方、「START」時から所定時間が経過した場合(S103g:Yes)、制御部Kは、室内熱交換器12を解凍するための一連の処理を終了する(END)。
【0064】
なお、図11に示す一連の処理に代えて、図10のタイムチャート(時刻t3〜t4)に示すように、圧縮機31や室内ファン14を停止状態で維持するようにしてもよい。室内熱交換器12を凝縮器として機能させずとも、室内熱交換器12の氷が室温で自然に溶けるからである。これによって、室内熱交換器12の解凍に要する消費電力を低減できる。また、上下風向板19(図2参照)の内側に水滴が付くことを抑制できる。
【0065】
図12は、室内熱交換器12を乾燥させるための処理(図5のS104)を示すフローチャートである。
制御部Kは、前記したステップS103a〜S103gの処理(図11参照)によって室内熱交換器12を解凍した後、図12に示す一連の処理を実行する。
【0066】
ステップS104aにおいて制御部Kは、四方弁35、圧縮機31、室内ファン14等の駆動状態を維持する。すなわち、制御部Kは、室内熱交換器12の解凍時と同様に四方弁35を制御し、また、圧縮機31や室内ファン14等を駆動させ続ける。このように暖房運転時と同様の制御を行うことで、室内熱交換器12に高温の冷媒が流れ、また、室内機10に空気が取り込まれる。その結果、室内熱交換器12に付着した水が蒸発する。
【0067】
次に、ステップS104bにおいて制御部Kは、ステップS104aの処理を開始してから所定時間か経過したか否かを判定する。所定時間が経過していない場合(S104b:No)、制御部Kの処理はステップS104aに戻る。一方、所定時間が経過した場合(S104b:Yes)、制御部Kの処理はステップS104cに進む。
【0068】
ステップS104cにおいて制御部Kは、送風運転を実行する。すなわち、制御部Kは、圧縮機31を停止させ、室内ファン14を所定の回転速度で駆動する。これによって、室内機10の内部が乾燥するため、防菌・防黴の効果が奏される。
【0069】
なお、ステップS104aやステップS104cの処理中、上下風向板19(図2参照)を閉じていてもよいし、また、上下風向板19を開いていてもよい。
【0070】
次に、ステップS104dにおいて制御部Kは、ステップS104cの処理を開始してから所定時間が経過しているか否かを判定する。所定時間が経過していない場合(S104d:No)、制御部Kの処理はステップS104cに戻る。一方、所定時間が経過した場合(S104d:Yes)、制御部Kは、室内熱交換器12を乾燥させるための一連の処理を終了する(END)。
【0071】
なお、図10に示すタイムチャートでは、時刻t4〜t5において暖房(図12のS104a)が行われた後、時刻t5〜t6において送風(図12のS104c)が行われている。このように暖房及び送風を順次に行うことで、室内熱交換器12を効率的に乾燥させることができる。
【0072】
<効果>
第1実施形態によれば、制御部Kは、室内熱交換器12を凍結させた後(図5のS102)、室内熱交換器12の氷を解凍する(S103)。これによって、通常の冷房運転時よりも、室内熱交換器12に多くの水分(氷)を付着させることができる。そして、室内熱交換器12の解凍によって、その表面に多量の水が流れるため、室内熱交換器12に付着した塵や埃を洗い流すことができる。
【0073】
また、室内熱交換器12を凍結させる際、制御部Kは、例えば、室内空気の相対湿度に基づいて凍結時間を設定する(図6のS102b、図7参照)。これによって、室内熱交換器12の洗浄に要する適量の水を、室内熱交換器12において凍らせることができる。
【0074】
また、室内熱交換器12を凍結させているとき、制御部Kは、室外温度に基づいて圧縮機モータ31aの回転速度を設定する(図6のS102c、図8参照)。これによって、室内熱交換器12の凍結中、室外熱交換器32での放熱を適切に行うことができる。
【0075】
また、室内熱交換器12を凍結させているとき、制御部Kは、室内熱交換器12の温度に基づいて、室外膨張弁34の開度を調整する(図6のS102d、S102e)。これによって、室内熱交換器12に通流する冷媒の温度を十分に低くし、室内機10に取り込まれた空気に含まれる水分を室内熱交換器12において凍らせることができる。
【0076】
≪第2実施形態≫
第2実施形態は、室内熱交換器12(図2参照)を凍結させているときに室内ファン14を低速で駆動させる点が、第1実施形態とは異なっている。また、第2実施形態は、室内熱交換器12を凍結させているときに上下風向板19(図2参照)を上向きにし、さらに、左右風向板18(図2参照)を横向きにする点が、第1実施形態とは異なっている。なお、その他の点(図1〜図4に示す空気調和機100の構成、図5のフローチャート等)については、第1実施形態と同様である。したがって、第1実施形態とは異なる部分について説明し、重複する部分については説明を省略する。
【0077】
図13は、第2実施形態に係る空気調和機100において、室内熱交換器12を凍結させるための処理(図5のS102)を示すフローチャートである(適宜、図3、図4を参照)。なお、図6と同様の処理には、同一のステップ番号を付している。
ステップS102bにおいて凍結時間を設定した後、制御部Kの処理はステップS102pに進む。
【0078】
ステップS102pにおいて制御部Kは、室内ファン14を低速で駆動する。すなわち、制御部Kは、室内熱交換器12を凍結させているとき、室内熱交換器12に室内空気を送り込む室内ファン14の回転速度を定格回転速度よりも小さくする。これによって、室内熱交換器12の凍結中、室内機10から吹き出される冷風の風量を低減し、ユーザの快適性が損なわれることを抑制できる。
【0079】
ステップS102qにおいて制御部Kは、上下風向板19を水平よりも上向きにする。すなわち、制御部Kは、室内機10から斜め上向きに冷風が吹き出されるように上下風向板用モータ22(図4参照)を制御する。これによって、室内熱交換器12の凍結中、室内機10から吹き出される冷風がユーザに直接あたることを防止できる。
【0080】
ステップS102rにおいて制御部Kは、左右風向板18を横向きにする。すなわち、制御部Kは、室内機10から見て左右風向板18が右向き又は左向きの状態になるように左右風向板用モータ21(図4参照)を制御する。これによって、室内熱交換器12の凍結中、室内機10から吹き出される冷風がユーザに直接あたることを防止できる。
【0081】
ステップS102rの処理を行った後、制御部Kの処理はステップS102cに進む。なお、ステップS102c〜S102fの処理の他、室内熱交換器12の解凍や乾燥(図5のS103,S104)については第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0082】
<効果>
第2実施形態によれば、室内熱交換器12を凍結させているとき、制御部Kは、室内ファン14を低速で駆動させる(図13のS102p)これによって、室内機10から吹き出される冷風の風量を低減できる。また、室内熱交換器12を凍結させているとき、制御部Kは、上下風向板19を上向きにし(S102q)、また、左右風向板18を横向きにする(S102r)。これによって、室内機10から吹き出される冷風がユーザに直接あたることを防止し、ユーザにとっての快適性が損なわれることを抑制できる。
【0083】
≪第3実施形態≫
第3実施形態は、室内熱交換器12A(図14参照)が第1室内熱交換器12a及び第2室内熱交換器12bを有し、これらの第1室内熱交換器12a及び第2室内熱交換器12bが室内膨張弁V(図14参照)を介して接続されている点が、第1実施形態とは異なっている。
また、第3実施形態は、いわゆる再熱除湿運転を行うことによって室内熱交換器12Aの一部を凍結させる点が、第1実施形態とは異なっている。なお、その他の点(図1、図4に示す構成、図5のフローチャート等)については、第1実施形態と同様である。したがって、第1実施形態とは異なる部分について説明し、重複する部分については説明を省略する。
【0084】
図14は、第3実施形態に係る空気調和機100Aの冷媒回路QAを示す説明図である。
図14に示すように、室内機10Aは、室内熱交換器12A、室内膨張弁V(第2膨張弁)、室内ファン14等を備えている。また、室内熱交換器12Aは、第1室内熱交換器12aと、第2室内熱交換器12bと、を有している。そして、室内膨張弁Vを介して、第1室内熱交換器12a及び第2室内熱交換器12bが相互に接続されることで、室内熱交換器12Aが構成されている。また、図14に示す例では、第2室内熱交換器12bが、第1室内熱交換器12aの上側に位置している。
【0085】
通常の空調運転(冷房運転、暖房運転等)を行う際には、室内膨張弁Vが全開になるように制御され、また、室外膨張弁34の開度が適宜に調整される。一方、いわゆる再熱除湿運転を行う際には、室外膨張弁34が全開になるように制御され、室内膨張弁Vの開度が適宜に調整される。なお、再熱除湿運転については後記する。
【0086】
図15は、第2室内熱交換器12bを凍結させるための処理(図5のS102)を示すフローチャートである(適宜、図14を参照)。
ステップS102bにおいて凍結時間を設定した後、制御部Kの処理はステップS102tに進む。
ステップS102tにおいて制御部Kは、再熱除湿運転を実行する。すなわち、制御部Kは、室外熱交換器32及び第1室内熱交換器12aを凝縮器として機能させ、第2室内熱交換器12bを蒸発器として機能させるように四方弁35を制御する。言い換えると、制御部Kは、第1室内熱交換器12a及び第2室内熱交換器12bのうち、室内膨張弁Vの下流側に位置する一方(第2室内熱交換器12b)を蒸発器として機能させる。
さらに、制御部Kは、室外膨張弁34を全開とし、室内膨張弁Vを所定開度にする。これによって、蒸発器である第2室内熱交換器12bで熱交換した低温の空気が、凝縮器である他方の第1室内熱交換器12aで適度に温められ、また、除湿される。
【0087】
ステップS102tの処理を行った後、ステップS102cにおいて制御部Kは、圧縮機31の回転速度を設定し、その回転速度で圧縮機31を駆動する。
ステップS102uにおいて制御部Kは、室内膨張弁Vの開度を適宜に調整する。
【0088】
次に、ステップS102vにおいて制御部Kは、第2室内熱交換器12bの温度が所定範囲内であるか否かを判定する。第2室内熱交換器12bの温度が所定範囲外である場合(S102v:No)、制御部Kの処理はステップS102tに戻る。例えば、第2室内熱交換器12bの温度が所定範囲よりも高い場合、制御部Kは、室内膨張弁Vの開度をさらに小さくする(S102u)。これによって、第2室内熱交換器12bに流れる冷媒の温度を低下させ、第2室内熱交換器12bを凍結させることができる。
【0089】
一方、第2室内熱交換器12bの温度が所定範囲内である場合(S102v:Yes)、制御部Kの処理はステップS102fに進む。
ステップS102fにおいて制御部Kは、図15の「START」時から所定時間が経過したか否かを判定する。「START」時から所定時間が経過していない場合(S102f:No)、制御部Kの処理はステップS102tに戻る。一方、「START」時から所定時間が経過した場合(S102f:Yes)、制御部Kは、第2室内熱交換器12bを凍結させるための一連の処理を終了する。
【0090】
なお、第2室内熱交換器12bを解凍し、さらに、第1室内熱交換器12aや第2室内熱交換器12bを乾燥させる処理については、第1実施形態(図11、図12参照)と同様であるから、説明を省略する。ちなみに、解凍時には、室内膨張弁V及び室外膨張弁34の開度を開いて、室外熱交換器32にある冷媒を室内熱交換器12に流入させることによって、室内熱交換器12の表面の氷を溶かして解凍する。この際、室内膨張弁V及び室外膨張弁34の開度を全開にすることが望ましい。これによって、室外熱交換器32に存在していた温かい冷媒が室内熱交換器12に導かれるため、室内熱交換器12の解凍を短時間で行うことができる。なお、解凍を行う際、室内熱交換器12を凝縮器として機能させてもよい。解凍時・乾燥時には、制御部Kが、室内膨張弁Vを全開とし、室外膨張弁34の開度を適宜に調整する。
【0091】
前記したように、図14に示す第1室内熱交換器12a及び第2室内熱交換器12bのうち、一方(第2室内熱交換器12b)は、他方(第1室内熱交換器12a)の上側に位置している。このような構成によれば、凍結した第2室内熱交換器12bの氷が溶けると、その水が第1室内熱交換器12aに流れ落ちる。これによって、第1室内熱交換器12a及び第2室内熱交換器12bの両方を洗浄できる。
【0092】
<効果>
第3実施形態によれば、再熱除湿運転を行うことによって、第2室内熱交換器12bを凍結させることができる。また、第1室内熱交換器12aが第2室内熱交換器12bの上側に位置しているため、第2室内熱交換器12bを解凍させると、その水によって、第1室内熱交換器12a及び第2室内熱交換器12bの両方を洗浄できる。
【0093】
≪第4実施形態≫
第4実施形態は、室内熱交換器12(図2参照)を凍結させているとき、制御部Kが、室内ファン14及び室外ファン33(図4参照)を低速で駆動させる点が、第1実施形態とは異なっている。また、制御部Kが、室外膨張弁34の開度を所定値(固定値)に設定する点が、第1実施形態とは異なっている。なお、その他の点(図1〜図4に示す空気調和機100の構成、図5のフローチャート等)については第1実施形態と同様である。したがって、第1実施形態とは異なる部分について説明し、重複する部分については説明を省略する。
【0094】
図16は、第4実施形態に係る空気調和機100において、室内熱交換器12を凍結させるための処理を示すフローチャートである(適宜、図3、図4を参照)。なお、第1実施形態(図6参照)と同様の処理には、同一のステップ番号を付している。
ステップS102bにおいて凍結時間を設定した後、制御部Kの処理はステップS102xに進む。
【0095】
ステップS102xにおいて制御部Kは、室内ファン14を低速で駆動させる。すなわち、制御部Kは、室内熱交換器12を凍結させているとき、室内熱交換器12に室内空気を送り込む室内ファン14の回転速度を定格回転速度よりも小さくする。これによって、室内熱交換器12の凍結中、室内機10から吹き出される冷風の風量を低減し、ユーザの快適性が損なわれることを抑制できる。
【0096】
ステップS102yにおいて制御部Kは、室外ファン33を低速で駆動させる。すなわち、制御部Kは、室外熱交換器32に外気を送り込む室外ファン33の回転速度を定格回転速度よりも小さくする。これによって、室外熱交換器32における外気と冷媒との間の熱交換と、室内熱交換器12における室内空気と冷媒との間の熱交換と、の間のバランスをとることができる。なお、それぞれの定格回転速度を基準として、室内ファン14の回転速度が小さいほど、室外ファン33の回転速度も小さくすることが望ましい。
【0097】
ステップS102cにおいて制御部Kは、圧縮機31の回転速度を設定する。例えば、制御部Kは、第1実施形態と同様に、室外温度センサ36の検出値に基づいて、圧縮機31の回転速度を設定する。
次に、ステップS102zにおいて制御部Kは、室外膨張弁34の開度を所定値(固定値)に設定する。この所定値は、室内熱交換器12を凍結させるのに適した開度であり、予め設定されている。
【0098】
次に、ステップS102fにおいて制御部Kは、ステップS102bで設定した凍結時間が経過したか否かを判定する。所定の凍結時間が経過していない場合(S102f:No)、制御部Kは、ステップS102fの処理を繰り返す。一方、所定の凍結時間が経過した場合、制御部Kは、室内熱交換器12を凍結させるための一連の処理を終了する(END)。なお、室内熱交換器12の解凍や乾燥については、第1実施形態(図5のS103,S104)と同様であるため、説明を省略する。
【0099】
<効果>
第4実施形態によれば、室内熱交換器12を凍結させているとき、制御部Kは、室内ファン14を低速で駆動するとともに(図16のS102x)、室外ファン33を低速で駆動する(S102y)。これによって、室内熱交換器12の凍結中、室内機10から吹き出される冷風の風量を低減でき、また、冷媒の凝縮側・蒸発側における熱交換を均衡させることができる。
また、室内熱交換器12を凍結させているとき、制御部Kは、室外膨張弁34の開度を所定値(固定値)に設定する。これによって、制御部Kにおける処理の簡素化を図ることができる。
【0100】
≪変形例≫
以上、本発明に係る空気調和機100等について各実施形態で説明したが、本発明はこれらの記載に限定されるものではなく、種々の変更を行うことができる。
例えば、各実施形態では、室内熱交換器12の凍結・解凍・乾燥を順次に行う処理(図5のS102〜S104)について説明したが、これに限らない。また、室内熱交換器12の解凍・乾燥のうち一方又は両方を省略してもよい。この場合でも、室内熱交換器12が室温で自然に解凍され、その水によって室内熱交換器12が洗浄されるからである。また、各機器の停止状態の継続や、その後の空調運転等によって、室内熱交換器12が乾燥するからである。
【0101】
また、室内熱交換器12を凍結させる際、圧縮機モータ31a(図4参照)の制御によって、室内熱交換器12に流れる冷媒の流量を通常の空調運転時よりも小さくするようにしてもよい。これによって、室内熱交換器12の流路の途中で冷媒が蒸発しきるため、その上流側が凍結し、下流側が凍結しない状態になる。これによって、室内熱交換器12の一部(上流側)を凍結させつつ、室内に冷風が送り込まれることを抑制できる。また、圧縮機モータ31aの回転速度が比較的小さいため、空気調和機100の消費電力量を低減できる。
なお、前記した制御を行う場合において、室内熱交換器12の上流側が、室内熱交換器12の下流側よりも上側に位置していることが好ましい。これによって、室内熱交換器12の上流側を解凍させると、その水が室内熱交換器12の下流側に流れ落ちる。これによって、室内熱交換器12の上流側・下流側の両方を洗浄できる。
【0102】
また、各実施形態では、室内熱交換器12の凍結等によって、室内熱交換器12を洗浄する処理について説明したが、これに限らない。例えば、室内熱交換器12を結露させることによって、室内熱交換器12を洗浄するようにしてもよい。この場合において、制御部Kは、通常の冷房運転や除湿運転よりも、冷媒の蒸発温度が低くなるようにする。具体的に説明すると、制御部Kは、図4に示す室内温度センサ24aの検出値(室内空気の温度)と、湿度センサ24bの検出値(室内空気の相対湿度)と、に基づいて、室内空気の露点を算出する。そして、制御部Kは、室内熱交換器12の温度が、前記した露点以下であり、かつ、所定の凍結温度よりも高くなるように、室外膨張弁34の開度等を制御する。
前記した「凍結温度」とは、室内空気の温度を低下させたとき、室内空気に含まれる水分が、室内熱交換器12において凍結し始める温度である。このように室内熱交換器12を結露させることによって、その結露水で室内熱交換器12を洗浄できる。
【0103】
なお、室内熱交換器12を結露させる場合の制御内容は、室外膨張弁34の開度が異なる点を除いて、室内熱交換器12を凍結させる場合の制御内容と同様である。したがって、各実施形態で説明した事項は、室内熱交換器12を結露させる場合にも適用できる。
また、室内熱交換器12を結露させた後、室内熱交換器12を乾燥させてもよい。すなわち、室内熱交換器12を結露させた場合において制御部Kは、室内熱交換器12を凝縮器として機能させるか、送風運転を実行するか、又は、圧縮機31を含む機器の停止状態を継続させることで、室内熱交換器12を乾燥させる。
【0104】
また、制御部Kが、室内熱交換器12の凍結と、室内熱交換器12の結露と、を所定期間を空けて交互に行うようにしてもよい。例えば、所定の開始条件が成立するたびに室内熱交換器12の洗浄処理を実行する場合において、制御部Kが、室内熱交換器12の凍結と、室内熱交換器12の結露と、を交互に行うようにしてもよい。
なお、「所定の開始条件」とは、例えば、前回の洗浄処理の終了時から空調運転の実行時間を積算し、その積算時間が所定値に達したという条件である。これによって、凍結による室内熱交換器12の洗浄を繰り返す場合に比べて、室内に冷風が吹き出される頻度を低減し、ユーザにとっての快適性を高めることができる。
【0105】
また、制御部Kが、室内熱交換器12の凍結と、暖房運転後の冷房運転と、を所定期間を空けて交互に行うようにしてもよい。これによって、凍結による室内熱交換器12の洗浄を繰り返す場合と比べて、室内に冷風が吹き出される頻度を低減できる。
【0106】
また、室内熱交換器12の結露と、暖房運転後の冷房運転と、を所定期間を空けて交互に行うようにしてもよい。これによって、凍結による室内熱交換器12の洗浄を繰り返す場合と比べて、室内に冷風が吹き出される頻度を低減できる。
【0107】
また、第2実施形態では、室内熱交換器12を凍結させているとき、制御部Kが、上下風向板19を上向きにし(図13のS102q)、左右風向板18を横向きにする処理(S102r)について説明したが、これに限らない。例えば、室内熱交換器12を凍結させているとき、制御部Kが、上下風向板19を閉じた状態にしてもよい。これによって、室内に冷風が吹き出されることを抑制できる。
また、室内熱交換器12を凍結させているとき、制御部Kが、左右風向板18を左右両側に開いた状態(右側に位置する左右風向板18を右側に向け、左側に位置する左右風向板18を左側に向ける)ようにしてもよい。これによって、室内のユーザに冷風が直接あたることを抑制できる。
【0108】
また、制御部Kが、撮像部23(図4参照)による被空調空間の撮像結果に基づいて、上下風向板用モータ22(図4参照)及び左右風向板用モータ21(図4参照)を制御するようにしてもよい。すなわち、室内熱交換器12を凍結(又は結露)させているとき、制御部Kは、被空調空間の撮像結果に基づいて人を検出した場合には、その人のいない方向に冷風が吹き出されるように、上下風向板19及び左右風向板18の角度を調整する。これによって、室内の人に冷風が直接あたることを防止できる。
【0109】
また、室内熱交換器12を凍結させているとき、制御部Kが、サーモパイルや焦電型赤外線センサ等の室内温度センサ24a(人検出部:図4参照)によって室内の熱画像を取得するようにしてもよい。この場合において制御部Kは、室内の高温領域(人がいる可能性のある領域)に冷風が送り込まれないように、上下風向板19及び左右風向板18の角度を調整する。
【0110】
また、第2実施形態では、室内熱交換器12を凍結させているとき、制御部Kが、室内ファン14を低速で駆動させ続ける処理(図13のS102p)について説明したが、これに限らない。例えば、室内熱交換器12を凍結(又は結露)させているとき、室内熱交換器12の温度が所定値以下になった場合には、制御部Kが、室内ファン14を所定の回転速度で駆動させるようにしてもよい。これによって、室内熱交換器12の温度が所定値よりも高い間は、室内に冷風が吹き出されることを抑制できる。また、室内熱交換器12の温度が所定値以下になった後は、室内熱交換器12の氷の厚さを順調に厚くすることができる。
【0111】
また、室内熱交換器12を凍結(又は結露)させているとき、制御部Kが、室内ファン14の駆動/停止を交互に繰り返すようにしてもよい。これによって、室内ファン14を駆動させ続ける場合に比べて、室内に冷風が吹き出される頻度を低減できる。
【0112】
また、第4実施形態では、室内熱交換器12を凍結させているとき、制御部Kが、圧縮機モータ31aの回転速度、及び室外膨張弁34の開度を所定値に設定する処理(図16のS102c、S102z)について説明したが、これに限らない。例えば、室内熱交換器12を凍結(又は結露)させているとき、制御部Kが、室外膨張弁34を所定開度で維持し、室内熱交換器12の温度が所定の目標温度に近づくように圧縮機モータ31aの回転速度を調整するようにしてもよい。このように圧縮機モータ31aの回転速度を制御することで、室内熱交換器12を凍結させることができる。
【0113】
また、室内熱交換器12を凍結させているときには、圧縮機31の負荷が比較的大きくなる可能性がある。そこで、圧縮機31の吸入圧力、吐出圧力、吐出温度等が所定範囲内に収まるように、制御部Kが、凍結時間、圧縮機31の回転速度、及び室外膨張弁34の開度を調整することが望ましい。
また、信頼性を確保するために、室内熱交換器12、圧縮機31の吐出温度、圧縮機モータ31aの電流値や回転速度等に所定の上限値を設けるようにしてもよい。
【0114】
また、外気温度が氷点下である場合において、室内熱交換器12の解凍で生じた水がドレンホース(図示せず)の内部で凍結しないように、ドレンホースの所定箇所に小型のヒータ(図示せず)を設けるようにしてもよい。
【0115】
また、室内熱交換器12が凍結(又は結露)しているとき、その熱輻射の影響で、室内温度センサ24aの検出誤差が大きくなる可能性がある。つまり、室内空気の実際の温度よりも、室内温度センサ24aの検出値のほうが低くなる可能性がある。したがって、室内熱交換器12を凍結(又は結露)させている場合において、以下のいずれかに該当するときには、制御部Kが、室内温度センサ24aの検出値を補正するようにしてもよい。
【0116】
(a)室内ファン14が停止しているか、又は定格回転速度よりも低速で駆動している。
(b)上下風向板19が閉じている。
(c)室内ファン14の下流側の風路を開放又は塞ぐための専用のシャッター(図示せず)が閉じている。
(d)室内熱交換器12の温度が所定値以下である。
【0117】
なお、室内温度センサ24aの検出値の補正に関する例を挙げると、室内熱交換器12と室内温度センサ24aとの距離(固定値)、及び室内熱交換器12の温度に基づいて、制御部Kは、室内温度センサ24aの検出値を補正する。例えば、室内熱交換器12の温度が低いほど、制御部Kが、図4に示す室内温度センサ24aの検出値(被空調空間の空気の温度検出値)を補正して高くするようにしてもよい。これによって、リモコン40(図4参照)に表示される室内温度の誤差を低減できる。
また、室内熱交換器12の凍結を開始してからの経過時間が長くなるにつれて、制御部Kが、室内温度センサ24aの検出値を補正して高くするようにしてもよい。
【0118】
また、室内熱交換器12の凍結を行っているときには、制御部Kが、室内温度センサ24aの検出値を各機器の制御に用いない(つまり、室内温度センサ24aの検出値を無視する)ようにしてもよい。
また、室内熱交換器12の凍結を行っているときには、制御部Kが、室内ファン14の駆動/停止を所定周期で繰り返す(つまり、室内機10に新たに空気を取り込む)ことで、室内温度センサ24aの検出誤差を低減するようにしてもよい。
【0119】
また、第1実施形態では、室内熱交換器12を解凍する際、「室内温度」が所定値以上である場合には(図11のS103a:Yes)、室内熱交換器12を凝縮器として機能させない処理について説明したが、これに限らない。例えば、室内熱交換器12を解凍する際、「室外温度」が所定値以上である場合には、室内熱交換器12を凝縮器として機能させないようにしてもよい。仮に、室外温度が所定値以上の状態で暖房運転を行うと、蒸発器として機能する室外熱交換器32で冷媒が過剰に吸熱するため、冷媒の凝縮側・蒸発側における熱交換の均衡がとれなくなるからである。この場合において制御部Kは、送風運転を実行するか、又は、圧縮機31を含む機器の停止状態を継続させることで、室内熱交換器12を解凍する。
【0120】
第1実施形態では、室内熱交換器12を凝縮器として機能させることで、室内熱交換器12を解凍する場合について説明したが、これに限らない。すなわち、制御部Kが送風運転を実行するか、又は、圧縮機31を含む機器の停止状態を継続させることで、室内熱交換器12を解凍するようにしてもよい。
【0121】
また、第1実施形態では、暖房運転及び送風運転を順次に実行することで、室内熱交換器12を乾燥させる処理について説明したが(図10参照)、これに限らない。すなわち、室内熱交換器12の解凍後、室内熱交換器12を凝縮器として機能させるか、送風運転を実行するか、又は、圧縮機31を含む機器の停止状態を継続させることで、室内熱交換器12を乾燥させるようにしてもよい。
【0122】
また、室内熱交換器12の解凍によって多量の水がドレンパン13に滴り落ちる。したがって、ドレンパン13に抗菌剤を練り込むことで抗菌するようにしてもよい。
また、紫外線照射手段(図示せず)を室内機10に設け、ドレンパン13に紫外線を照射することで抗菌するようにしてもよい。
また、オゾン発生手段(図示せず)を室内機10に設け、このオゾン発生手段によって、ドレンパン13等の抗菌を行うようにしてもよい。
また、ドレンパン13を介して水が流れやすいように、また、ドレンパン13を抗菌するために、銅等の金属でドレンパン13をコーティングしてもよい。
【0123】
また、冷房運転中や除湿運転中、ドレンパン13に水を溜めておき、溜まった水をポンプ(図示せず)によって汲み上げて、室内熱交換器12を洗浄するようにしてもよい。
【0124】
また、各実施形態では、室内機10(図3参照)及び室外機30(図3参照)が一台ずつ設けられる構成について説明したが、これに限らない。すなわち、並列接続された複数台の室内機を設けてもよいし、また、並列接続された複数台の室外機を設けてもよい。
【0125】
また、各実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に記載したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されない。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
また、前記した機構や構成は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての機構や構成を示しているとは限らない。
【符号の説明】
【0126】
100,100A 空気調和機
10,10A 室内機
12,12A 室内熱交換器(蒸発器/凝縮器)
12a 第1室内熱交換器
12b 第2室内熱交換器
14 室内ファン
18 左右風向板
19 上下風向板
23 撮像部(人検出部)
30 室外機
31 圧縮機
31a 圧縮機モータ(圧縮機のモータ)
32 室外熱交換器(凝縮器/蒸発器)
33 室外ファン
34 室外膨張弁(第1膨張弁)
35 四方弁
40 リモコン
K 制御部
Q,QA 冷媒回路
V 室内膨張弁(第2膨張弁)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機、凝縮器、膨張弁、及び蒸発器を順次に介して冷媒が循環する冷媒回路と、
少なくとも前記圧縮機及び前記膨張弁を制御する制御部と、
室内の温度を検出する室内温度センサと、を備え、
前記凝縮器及び前記蒸発器の一方は室外熱交換器であり、他方は室内熱交換器であり、
前記制御部は、
前記室内熱交換器を前記蒸発器として機能させ、前記室内熱交換器を凍結させ、その後、前記膨張弁の開度を大きくして前記室外熱交換器の前記冷媒を前記室内熱交換器に流入させることによって前記室内熱交換器の氷を溶かすことで、前記室内熱交換器を洗浄する処理を行うものであって、
前記室内熱交換器の凍結では室内ファンを停止させるか、又は、前記室内ファンの駆動と停止を交互に行い、
通常の空調運転時、前記室内温度センサの検出値を各機器の制御に用い、
前記室内熱交換器の凍結時、前記室内温度センサの検出値を前記各機器の制御に用いない
ことを特徴とする空気調和機。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2021-09-03 
結審通知日 2021-09-13 
審決日 2021-09-30 
出願番号 P2018-162591
審決分類 P 1 113・ 537- YAA (F24F)
P 1 113・ 536- YAA (F24F)
P 1 113・ 112- YAA (F24F)
P 1 113・ 113- YAA (F24F)
P 1 113・ 121- YAA (F24F)
最終処分 02   不成立
特許庁審判長 平城 俊雅
特許庁審判官 山崎 勝司
後藤 健志
登録日 2018-12-21 
登録番号 6454813
発明の名称 空気調和機  
代理人 森本 晃生  
代理人 鷺 健志  
代理人 鷺 健志  
代理人 三縄 隆  
代理人 丹治 彰  
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