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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G09C
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G09C
管理番号 1382722
総通号数
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2022-04-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-09-11 
確定日 2022-03-09 
事件の表示 特願2015−135714「サイバー保護が為された空隙の遠隔モニタリングおよび診断インフラストラクチャ」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 3月 3日出願公開,特開2016− 29467〕について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯
本願は,平成27年7月7日(パリ条約による優先権主張2014年7月14日 アメリカ合衆国)の外国語書面出願であって,
平成27年8月25日付けで特許法36条の2第2項の規定による外国語書面,及び,外国語要約書面の日本語による翻訳文が提出され,平成30年6月27日付けで審査請求がなされ,平成31年3月26日付けで審査官により拒絶理由が通知され,これに対して令和1年6月21日付けで意見書が提出されると共に手続補正がなされ,令和1年11月21日付けで審査官により最後の拒絶理由が通知され,これに対して令和2年1月14日付けで意見書が提出されると共に手続補正がなされたが,令和2年6月26日付けで審査官により令和2年1月14日付けの手続補正が却下されると共に拒絶査定がなされ(謄本送達;令和2年7月3日),これに対して令和2年9月11日付けで審判請求がなされると共に手続補正がなされ,令和2年11月17日付けで審査官により特許法164条3項の規定に基づく報告がなされたものである。

第2.令和2年9月11日付けの手続補正の却下の決定

[補正却下の決定の結論]

令和2年9月11日付け手続補正を却下する。

[理由]

1.補正の内容
令和2年9月11日付けの手続補正(以下,「本件手続補正」という)により,令和1年6月21日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲,
「 【請求項1】
デバイス(106)を遠隔モニタリングおよび診断する方法であって,
第1のネットワークにおいて前記デバイス(106)からデータを得るステップ(202)と,
前記第1のネットワークにおいて,前記データを暗号化して暗号化コード(160)を生成するステップ(204)と,
非ネットワーク媒体を介して,前記暗号化コード(160)のコピー(162)を得るステップ(206)と,
前記第1のネットワークから分離された第2のネットワークのセキュア・トンネルを介して前記暗号化コード(160)の前記コピー(162)を遠隔位置(104)に送信するステップと,
前記遠隔位置(104)において前記暗号化コード(160)の前記コピー(162)を復号して前記データのコピーを得るステップ(208)と,
前記データの前記コピーを使用して前記遠隔位置(104)において前記デバイス(106)をモニタリングおよび診断するステップ(210)と
を含む,方法。
【請求項2】
前記暗号化コード(160)を視覚信号として前記第1のネットワークの視覚インターフェース(120)に表示するステップと,光学スキャナを介して前記視覚インターフェース(120)から前記視覚信号を読み取るステップとをさらに含む,請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記デバイス(106)は,電力を提供するためのタービンであり,
前記データは,前記デバイス(106)上に配置されているセンサ(108)が収集したパラメータの値であり,
前記視覚信号はQRコード(登録商標)である,請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記第1のネットワークの音響送信機において前記暗号化コード(160)に関係する音響信号を生成するステップと,音響受信機において前記音響信号を受信するステップとをさらに含む,請求項1乃至3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記第1のネットワークは私的ネットワークである,請求項1乃至4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
選択されたリフレッシュレートにおいて動的に前記暗号化コード(160)を生成するステップをさらに含む,請求項1乃至5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
(i)前記第2のネットワークに対する連続的なネットワーク接続を有するデバイス,(ii)前記第2のネットワークに対する非連続的なネットワーク接続を有するデバイス,(iii)タブレット,(iv)スマートフォン,(v)光学スキャナ,(vi)音響受信機,および(vii)手持ち式デバイスのうちの少なくとも1つを使用して,前記データの前記コピーを得るステップをさらに含む,請求項1乃至6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
デバイス(106)を遠隔モニタリングおよび診断するシステム(100)であって,
前記デバイス(106)に結合されており,前記デバイス(106)のパラメータの測定値を得,前記得られた測定値から暗号化コード(160)を生成するように構成されている第1のネットワークと,
前記第1のネットワークから離れており,前記第1のネットワークから前記暗号化コード(160)のコピー(162)を得るように構成されている非ネットワーク媒体と前記第1のネットワークから離れており,セキュア・トンネルを介して前記暗号化コード(160)のコピー(162)を遠隔位置(104)に送信するように構成されている,第2のネットワークと,
前記暗号化コード(160)の前記コピー(162)を復号して,前記デバイス(106)をモニタリングおよび診断するように構成されている,遠隔位置(104)と,
を備える,システム(100)。
【請求項9】
前記第1のネットワークは,前記暗号化コード(160)を視覚的に表示するインターフェース(120)をさらに備え,前記暗号化コード(160)の画像コピー(162)を得るように構成されている検出器(122)を備える,請求項8記載のシステム(100)。
【請求項10】
前記暗号化コード(160)はQRコードをさらに含む,請求項9記載のシステム(100)。
【請求項11】
前記第1のネットワークは,前記暗号化コード(160)に対応する音響信号を生成するように構成されている音響生成器をさらに備え,前記音響生成器によって生成される前記音響信号を受信するように構成されている音響受信機を備える,請求項8乃至10のいずれかに記載のシステム(100)。
【請求項12】
前記第1のネットワークは私的ネットワークである,請求項8乃至11のいずれかに記載のシステム(100)。
【請求項13】
前記暗号化コード(160)は選択されたリフレッシュレートにおいて動的に生成される,請求項8乃至12のいずれかに記載のシステム(100)。
【請求項14】
前記検出器(122)は,(i)前記第2のネットワークに対する連続的なネットワーク接続を有する検出器,(ii)前記第2のネットワークに対する非連続的なネットワーク接続を有する検出器,(iii)タブレット,(iv)スマートフォン,(v)光学スキャナ,(vi)音響受信機,および(vii)手持ち式デバイスのうちの少なくとも1つをさらに含む,請求項8乃至13のいずれかに記載のシステム(100)。
【請求項15】
前記デバイス(106)は,電力を提供するためのタービンである,請求項8乃至14のいずれかに記載のシステム(100)。
【請求項16】
前記デバイス(106)上に配置され,前記デバイス(106)からパラメータの値を含むデータを収集するセンサ(108)を備える請求項16に記載のシステム(100)。
【請求項17】
前記検出器(122)に結合し,前記遠隔位置(104)から遠隔に管理することができるオンサイトサーバ(130)を備える,請求項9または10に記載のシステム(100)。
【請求項18】
前記オンサイトサーバ(130)に接続する第1のネットワーク接続デバイス(132)と,
前記第1のネットワーク接続デバイス(132)に接続する,前記遠隔位置(104)に配置された第2のネットワーク接続デバイス(132)と,
を備える,請求項17に記載のシステム(100)。」(以下,上記引用の請求項各項を,「補正前の請求項」という)は,
「 【請求項1】
デバイス(106)を遠隔モニタリングおよび診断する方法であって,
第1のネットワークにおいて前記デバイス(106)からデータを得るステップ(202)と,
前記第1のネットワークにおいて,前記データを暗号化して暗号化コード(160)を生成するステップ(204)と,
前記暗号化コード(160)を視覚信号として前記第1のネットワークの視覚インターフェース(120)に所与の時間間隔で表示するステップと,
光学スキャナ(122)を介して前記視覚インターフェース(120)から前記視覚信号を読み取ることにより,非ネットワーク媒体を介して,前記暗号化コード(160)のコピー(162)を前記所与の時間間隔で前記光学スキャナ(122)が得るステップ(206)と,
前記第1のネットワークから分離された第2のネットワークのセキュア・トンネルを介して送信された前記暗号化コード(160)の前記コピー(162)を遠隔位置(104)のプロセッサ(142)が受信するステップと,
前記遠隔位置(104)において前記プロセッサ(142)が前記暗号化コード(160)の前記コピー(162)を復号して前記データのコピーを得るステップ(208)と,
前記データの前記コピーを使用して前記遠隔位置(104)において前記デバイス(106)をモニタリングおよび診断するステップ(210)と
を含む,方法。
【請求項2】
前記デバイス(106)は,電力を提供するためのタービンであり,
前記データは,前記デバイス(106)上に配置されているセンサ(108)が収集したパラメータの値であり,
前記視覚信号はQRコードである,請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1のネットワークの音響送信機において前記暗号化コード(160)に関係する音響信号を生成するステップと,音響受信機において前記音響信号を受信するステップとをさらに含む,請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1のネットワークは私的ネットワークである,請求項1乃至3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
(i)前記第2のネットワークに対する連続的なネットワーク接続を有するデバイス,(ii)前記第2のネットワークに対する非連続的なネットワーク接続を有するデバイス,(iii)タブレット,(iv)スマートフォン,(v)光学スキャナ,(vi)音響受信機,および(vii)手持ち式デバイスのうちの少なくとも1つを使用して,前記データの前記コピーを得るステップをさらに含む,請求項1乃至4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
デバイス(106)を遠隔モニタリングおよび診断するシステム(100)であって,
前記デバイス(106)に結合されており,前記デバイス(106)のパラメータの測定値を得,前記得られた測定値から暗号化コード(160)を生成し,前記暗号化コード(160)を視覚的に表示するインターフェース(120)をさらに備えるように構成されている第1のネットワークと,
前記視覚インターフェース(120)から前記視覚信号を前記所与の時間間隔で読み取る検出器(122)であって,前記第1のネットワークから離れており,前記第1のネットワークから前記暗号化コード(160)の画像コピー(162)を得るように構成されている検出器(122)と
前記第1のネットワークから離れており,セキュア・トンネルを介して前記暗号化コード(160)のコピー(162)を遠隔位置(104)に送信するように構成されている,第2のネットワークと,
前記暗号化コード(160)の前記コピー(162)を復号して,前記デバイス(106)をモニタリングおよび診断するように構成されている,遠隔位置(104)と,を備える,システム(100)。
【請求項7】
前記暗号化コード(160)はQRコードをさらに含む,請求項6に記載のシステム(100)。
【請求項8】
前記第1のネットワークは,前記暗号化コード(160)に対応する音響信号を生成するように構成されている音響生成器をさらに備え,前記音響生成器によって生成される前記音響信号を受信するように構成されている音響受信機を備える,請求項6または7に記載のシステム(100)。
【請求項9】
前記第1のネットワークは私的ネットワークである,請求項6乃至8のいずれかに記載のシステム(100)。
【請求項10】
前記検出器(122)は,(i)前記第2のネットワークに対する連続的なネットワーク接続を有する検出器,(ii)前記第2のネットワークに対する非連続的なネットワーク接続を有する検出器,(iii)タブレット,(iv)スマートフォン,(v)光学スキャナ,(vi)音響受信機,および(vii)手持ち式デバイスのうちの少なくとも1つをさらに含む,請求項6乃至9のいずれかに記載のシステム(100)。
【請求項11】
前記デバイス(106)は,電力を提供するためのタービンである,請求項6乃至10のいずれかに記載のシステム(100)。
【請求項12】
前記デバイス(106)上に配置され,前記デバイス(106)からパラメータの値を含むデータを収集するセンサ(108)を備える請求項11に記載のシステム(100)。
【請求項13】
前記検出器(122)に結合し,前記遠隔位置(104)から遠隔に管理することができP.3
るオンサイトサーバ(130)を備える,請求項6または7に記載のシステム(100)。
【請求項14】
前記オンサイトサーバ(130)に接続する第1のネットワーク接続デバイス(132)と,
前記第1のネットワーク接続デバイス(132)に接続する,前記遠隔位置(104)に配置された第2のネットワーク接続デバイス(132)と,
を備える,請求項13に記載のシステム(100)。」(以下,上記引用の請求項各項を,「補正後の請求項」という)に補正された。

2.補正の適否
(1)補正事項
本件手続補正は,補正前の請求項1に記載の「暗号化コード160」を,補正前の請求項2に記載の内容で限定すると共に,補正前の請求項2を削除し,補正前の請求項8に記載の「暗号化コード160」を,補正前の請求項9に記載の内容で限定すると共に,補正前の請求項9を削除し,補正前の請求項1に記載の「コピー(162)を得るステップ(206)」に対して,「光学スキャナ(122)を介して前記視覚インターフェース(120)から前記視覚信号を読み取ることにより」,「前記所与の時間間隔で前記光学スキャナ(122)が得る」という限定と,「コピー(162)を受信する」ものが,「プロセッサ(142)」であること,及び,「データのコピーを得る」ものが,「プロセッサ142」であるという限定を加え,上記指摘の補正前の請求項8についての補正事項において,補正前の請求項9に記載の「検出器(122)」について,「視覚インターフェース(120)から前記視覚信号を前記所与の時間間隔で読み取る」という限定を加え,更に,補正前の請求項6と,補正前の請求項13を削除し,それに伴い,請求項の番号を整理して,補正前の請求項3〜補正前の請求項5,補正前の請求項7〜補正前の請求項12,補正前の請求項14〜補正前の請求項18を,それぞれ,補正後の請求項2〜補正後請求項4,補正後の請求項5〜補正後の請求項9,補正後の請求項10〜補正後の請求項14としたものであって,本件手続補正は,平成27年8月25日付けで提出された翻訳文(以下,これを「当初明細書等」という)の範囲内でなされたものであり,本件手続補正は,請求項の削除,及び,特許請求の範囲の減縮(特許法36条5項の規定により請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであって,その補正前の当該請求項に記載された発明とその補正後の当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるものに限る)を目的とするものであって,本件手続補正前に受けた拒絶理由通知において特許をすることができないものか否かについての判断が示された全ての発明と,本件手続補正により補正された請求項に係る発明とが,発明の単一性の要件を満たす一群の発明に該当するものであるから,特許法17条の2第3項〜第5項の規定を満たすものである。
そこで,本件手続補正が,特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定を満たすものであるか否か,即ち,補正後の請求項に記載されている事項により特定される発明が特許出願の際,独立して特許を受けることができるものであるか否か,以下に検討する。

(2)補正後の請求項6に係る発明。
補正後の請求項6に係る発明(以下,これを「本件補正発明」という)は,上記「1.補正の内容」において引用した,次のとおりのものである。

「デバイス(106)を遠隔モニタリングおよび診断するシステム(100)であって,
前記デバイス(106)に結合されており,前記デバイス(106)のパラメータの測定値を得,前記得られた測定値から暗号化コード(160)を生成し,前記暗号化コード(160)を視覚的に表示するインターフェース(120)をさらに備えるように構成されている第1のネットワークと,
前記視覚インターフェース(120)から前記視覚信号を前記所与の時間間隔で読み取る検出器(122)であって,前記第1のネットワークから離れており,前記第1のネットワークから前記暗号化コード(160)の画像コピー(162)を得るように構成されている検出器(122)と
前記第1のネットワークから離れており,セキュア・トンネルを介して前記暗号化コード(160)のコピー(162)を遠隔位置(104)に送信するように構成されている,第2のネットワークと,
前記暗号化コード(160)の前記コピー(162)を復号して,前記デバイス(106)をモニタリングおよび診断するように構成されている,遠隔位置(104)と,を備える,システム(100)。」

(3)引用文献に記載の事項
ア.原審における令和1年11月21日付けの拒絶理由(以下,これを「原審拒絶理由」という)に引用された,本願の第1国出願前に既に公知である,特開2006−178601号公報(2006年7月6日公開,以下,これを「引用文献1」という)には,関連する図面と共に,次の事項が記載されている。

A.「【発明の効果】
【0007】
本発明によれば,遠隔地のコンピュータの情報を画像情報化して所定の連絡先への出力表示し,その画像をデジタルカメラで撮影して,更新された画像情報を写真データとして携帯電話ネットワーク等の通信手段を利用して宛先入力無しに伝送し,ヘルプデスク担当者側のセンタ側コンピュータで画像解析して,元の遠隔地のコンピュータが持つ情報を得て,システムの伝送系に重大故障が生じても,または通常伝送手段が無いコンピュータのデータでも,元の情報が正確に得られるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
実施の形態1.
データをQRコードで代表される二次元バーコード情報に変換する技術,及びその二次元バーコード情報を復号する技術は知られているが,これらの組み合わせ順序に工夫を凝らし,更に付加技術を加えて,伝送路を形成して元のデータを所望のセンタ側コンピュータに伝送するユニークなシステムを説明する。即ち本技術は,その構成技術の組み合わせ順序が大切である。
図1は,本実施の形態におけるデータ伝送システムの基本構成を示す機能ブロック図である。図の構成において,遠隔地のコンピュータ1の内部構成として,遠隔コンピュータ内部の機器情報を記録したメモリ11,同じく遠隔コンピュータで実施された操作や処理のログや操作履歴等のログ情報を記録したメモリ12と,従来の固定情報ではなく,これらの記録情報のうち,所定の更新処理を行って最新の機器状態を表す最新情報をQRコードのような二次元バーコード等の画像化情報にエンコードする最新情報画像化機能(エンコード)部13と,障害原因またはログ情報により検知した障害のID(分類コード)を解析して,画像化情報を送信すべき送付先の会社と担当部門を特定するメール送信先検出部16と,このエンコードした二次元バーコード画像を表示する表示装置21から構成される。
カメラ付携帯電話30は,撮影機能とメール等の通信機能を持つ装置であり,その内部構成として,カメラ等の撮像機構である撮影機能部31と,この撮影した二次元バーコード画像データをデコードして,必要な送信先を特定するデコード機能部32と,画像データをデコード検出した送信先へメール送信等方法で通知する通信機能部33とで構成される。またカメラ付携帯電話30と送信先とを接続するネットワーク51がある。
【0009】
更にこの画像データを受ける受信側のセンタコンピュータでは,ネットワーク51から画像データをメールとして受信する,ヘルプデスク等を運用しているセンタ側のメールサーバ120と,メールサーバ120からの画像データを受けて画像内容を解析するセンタコンピュータ100とで構成される。センタコンピュータ100は,内部構成として,遠隔地コンピュータから送られたQRコードなどの画像化情報をデコードする画像情報復号機能部101と,画像情報復号機能部101でデコードした出力情報を表示する表示装置111とで構成される。
なおこれらの各部機能は,図示しないプロセッサと,このプロセッサで読み取り実行されるプログラムを記載したメモリと,プログラムをメモリに書き込む入力装置とで構成されるハードウェアで実行される機能である。
【0010】
次に図1に示すシステム構成の動作について説明する。
図2は,本発明における処理の流れを示したシーケンス図である。また図3は,二次元バーコードの画像データに含める,メールの送信先( 情報送付先) の具体例を示す図である。
リモート(遠隔地)コンピュータ1で障害等の問題が発生した場合(ステップ211,以後ステップの記述を省略),上記構成では記述しなかった障害を認識したプログラム等により,ログ情報等を二次元バーコード等の画像に変換する最新情報画像化機能部13が起動される(212)。このときの最新情報は,上記更新したログ情報,障害判断理由,対応する更新前後の機器内部の情報,等が画像化情報として選択される。またメール送信先検出部16は,この際に発生した障害に対応して図3の情報送付先を選択して,その送信先情報を含めてエンコードを行う(251)。例えばメモリが直接の不具合のトリガである場合には,サーバ保守部門が選択され,送信先のメールアドレスとして情報送付先アドレスserversupport@abc.co.jpが読込まれる。この画像化処理が完了すると,表示装置21に,変換した画像とメールアドレス等の画像の送信方法に関する情報を表示する(213)。
【0011】
リモート側の利用者40は,カメラ付携帯電話30等を利用して画像を撮影する(214)。カメラ付携帯電話30のデコード機能部32は,撮影機能部31が撮影した画像データから図3の情報送付先をデコードし(252),メールの送信先として上記の情報送付先アドレスを通信機能部33に伝える。通信機能部33は撮影した画像データをこのアドレスに指定してセンタに送信する(253)。
センタ側のメールサーバ120はメールを受信し(216),センタコンピュータ100内の画像情報復号機能部101は,画像情報をデコードし(217),デコード結果であるログ情報等を表示装置111に表示する(218)。センタ側のヘルプデスク担当者等はその表示を参照し(219)情報を得る。
このように,本発明の方式の適用により,リモートコンピュータとセンタの間に情報を転送するための手段が常設されていなくても,または通常のネットワークに障害が生じて伝送が出来ない状態でも,画像化情報の必要な保守情報等を転送により正確かつ迅速に伝達することが可能になる。
このように,上記実施の形態の方式により,リモート側の利用者の入力の手間をなくしたり,入力ミスを回避したりすることができる。また,宛先アドレスを利用者から参照しにくくすることにより,悪意によるメール攻撃の標的になりにくくなる効果も期待できる。」

B.「【図1】


イ.原審拒絶理由に引用された,本願の第1国出願前に既に公知である,国際公開第2007/094059号(国際公開日;2007年8月23日,以下,これを「周知文献1」という)には,関連する図面と共に,次の事項が記載されている。

C.「



ウ.原審拒絶理由に引用された,本願の第1国出願前に既に公知である,特開2013−096965号公報(2013年5月20日公開,以下,これを「周知文献2」という)には,関連する図面と共に,次の事項が記載されている。

D.「(57)【要約】
【課題】運転者が管理者側へ,アルコール検査結果を安価かつ確実に送信することが可能なアルコール検知器及びアルコール検知システムを提供する。
【解決手段】アルコール検知システムは,図1に示すように,アルコール検知器1と,携帯電話端末2とサーバ装置3とを用いて行われる。アルコール検知器1で検出された被検者のアルコール検査結果のデータは,暗号化された後,二次元コードCとして表示部15に表示される。二次元コードCは携帯電話端末2で読み取られ,読み取った暗号データは,携帯電話端末2からサーバ装置3へ送信される。暗号データは,サーバ装置3で復号され,管理者は,アルコール検査結果のデータを確認・管理することができる。」

エ.本願の第1国出願前に既に公知である,特許第5374653号(登録日;2013年9月27日,以下,これを「周知文献3」という)には,関連する図面と共に,次の事項が記載されている。

E.「【0018】
図1に示される例では,識別符号2100は,オブジェクト2000に付されている。識別符号2100としては,例えば,バーコード,QRコード(登録商標)などの2次元バーコード,文字列などを採用できる。
【0019】
図1に示される例では,照明装置1は,天井3000に取付けられ,識別符号2100が付されたオブジェクト2000を使用する環境に光を供給している。なお,照明装置1は,天井3000に限らず,壁面,棚,懐中電灯などの携帯型照明器具など,識別符号2100が付されたオブジェクト2000を使用する環境に光を供給し得るものに取付けられていてもよい。図1に示される例では,照明装置1は,直管形蛍光灯に外観を合わせた直管形LED照明であるが。照明装置1としてはこれに限らず,例えば,略円環状のLEDシーリングライト,電球型LED照明,EL素子を用いたEL照明など,種々の構成を採用できる。
【0020】
光学的読み取り装置1000は,所与のサンプリング周波数で識別符号2100を光学的に読み取る。光学的読み取り装置1000は,例えば,所定の範囲に対してレーザー光を走査すること所与のサンプリング周波数で繰り返して識別符号2100を光学的に読み取ってもよい。光学的読み取り装置1000の一例としては,バーコードリーダーが挙げられる。」

(4)引用文献1に記載の発明
ア.上記Aに引用した段落【0008】の「同じく遠隔コンピュータで実施された操作や処理のログや操作履歴等のログ情報を記録したメモリ12」という記載,同じく,上記Aに引用した段落【0008】の「これらの記録情報のうち,所定の更新処理を行って最新の機器状態を表す最新情報をQRコードのような二次元バーコード等の画像化情報にエンコードする最新情報画像化機能(エンコード)部13」という記載,同じく,上記Aに引用した段落【0008】の「このエンコードした二次元バーコード画像を表示する表示装置21」という記載,上記Aに引用した段落【0010】の「リモート(遠隔地)コンピュータ1で障害等の問題が発生した場合(ステップ211,以後ステップの記述を省略),上記構成では記述しなかった障害を認識したプログラム等により,ログ情報等を二次元バーコード等の画像に変換する」という記載,及び,同じく,上記Aに引用した段落【0010】の「この画像化処理が完了すると,表示装置21に,変換した画像とメールアドレス等の画像の送信方法に関する情報を表示する」という記載と,上記Bに引用した【図1】に開示の事項から,引用文献1においては,“リモートコンピュータ本体の最新の機器状態を表す最新情報を取得し,QRコードのような二次元バーコード等の画像化情報にエンコードし,前記画像化情報を表示する表示装置を有するリモートコンピュータ”を有するものであることが読み取れる。

イ.上記Aに引用した段落【0008】の「カメラ付携帯電話30は,撮影機能とメール等の通信機能を持つ装置であり,その内部構成として,カメラ等の撮像機構である撮影機能部31」という記載,及び,上記Aに引用した段落【0011】の「リモート側の利用者40は,カメラ付携帯電話30等を利用して画像を撮影する(214)」という記載と,上記Bに引用した【図1】に開示の事項,及び,上記ア.において検討した事項から,引用文献1には,
“表示装置に表示されたQRコードのような二次元バーコード等の画像化情報を撮影するカメラ付携帯電話”が記載されていることが読み取れる。

ウ.上記Aに引用した段落【0008】の「カメラ付携帯電話30と送信先とを接続するネットワーク51がある」という記載,上記Aに引用した段落【0009】の「この画像データを受ける受信側のセンタコンピュータでは,ネットワーク51から画像データをメールとして受信する」という記載,及び,上記Aに引用した段落【0011】の「通信機能部33は撮影した画像データをこのアドレスに指定してセンタに送信する(253)」という記載と,上記Bに引用した【図1】に開示の事項,及び,上記ア.,及び,イ.において検討した事項から,引用文献1には,
“撮影されたQRコードのような二次元バーコード等の画像化情報を受信側のセンタに送信するためのネットワーク”が記載されていることが読み取れる。

エ.上記Aに引用した段落【0007】の「ヘルプデスク担当者側のセンタ側コンピュータで画像解析」という記載,上記ウ.において引用した,段落【0009】の記載,同じく,上記Aに引用した段落【0009】の「ヘルプデスク等を運用しているセンタ側のメールサーバ120と,メールサーバ120からの画像データを受けて画像内容を解析するセンタコンピュータ100とで構成される。センタコンピュータ100は,内部構成として,遠隔地コンピュータから送られたQRコードなどの画像化情報をデコードする画像情報復号機能部101」という記載,及び,上記Aに引用した段落【0011】の「センタ側のメールサーバ120はメールを受信し(216),センタコンピュータ100内の画像情報復号機能部101は,画像情報をデコードし(217),デコード結果であるログ情報等を表示装置111に表示する(218)。センタ側のヘルプデスク担当者等はその表示を参照し(219)情報を得る」という記載と,上記Bに引用した【図1】に開示の事項から,引用文献1には,
“受信したQRコードなどの画像化情報をデコードして,表示装置に表示し,担当者側で解析を行うセンタ”が記載されていることが読み取れる。

オ.上記ア.〜上記エ.において検討した事項から,引用文献1には,
“リモートコンピュータの最新の機器状態を表す最新情報をセンタに表示し解析するシステム”が開示されていることが読み取れ,このことと,上記ア.〜上記エ.において検討した事項から引用文献1には,次の発明(以下,これを「引用発明」という)が記載されていると認める。

“リモートコンピュータの最新の機器状態を表す最新情報をセンタに表示し解析するシステムであって,”
前記リモートコンピュータ本体の前記最新の機器状態を表す最新情報を取得し,QRコードのような二次元バーコード等の画像化情報にエンコードし,前記画像化情報を表示する表示装置を有する前記リモートコンピュータと,
前記表示装置に表示された前記QRコードのような二次元バーコード等の画像化情報を撮影するカメラ付携帯電話と,
撮影された前記QRコードのような二次元バーコード等の画像化情報を受信側のセンタに送信するためのネットワークと,
受信した前記QRコードなどの画像化情報をデコードして,表示装置に表示し,担当者側で解析を行うセンタと,
を備える,システム。”

(5)本件補正発明と引用発明との対比
ア.引用発明において,「リモートコンピュータ」は,上記「(4)引用文献1に記載の発明」のア.において引用した,上記Aの段落【0010】の「リモート(遠隔地)コンピュータ1で障害等の問題が発生した場合(ステップ211,以後ステップの記述を省略),上記構成では記述しなかった障害を認識したプログラム等により,ログ情報等を二次元バーコード等の画像に変換する」等の記載から明らかなように,「障害等の問題発生」を「センタ」で「解析」される対象であるから,本件補正発明における「デバイス(106)」に相当し,
引用発明において,「リモートコンピュータ」の「最新の機器状態」を,「センタ」において表示することは,「センタ」において,「リモートコンピュータ」の「機器状態」を「モニタ」することに他ならず,引用発明においても,「センタ」側で,「リモートコンピュータ」の「機器状態」を「解析」することは,当該「リモートコンピュータ」の「状態」を「診断」することに通ずるものであるから,
引用発明における「リモートコンピュータの最新の機器状態を表す最新情報をセンタに表示し解析するシステム」が,
本件補正発明における「デバイス(106)を遠隔モニタリングおよび診断するシステム(100)」に相当する。

イ.引用発明において,「リモートコンピュータ本体」の「最新の機器状態を表す最新情報」とは,「リモートコンピュータ本体」から「測定」される各種「パラメータ」を含むものであることは明らかであるから,
引用発明における「リモートコンピュータ本体の前記最新の機器状態を表す最新情報」が,
本件補正発明における「デバイス(106)のパラメータの測定値」に相当するので,
引用発明における「リモートコンピュータ本体の前記最新の機器状態を表す最新情報を取得し,QRコードのような二次元バーコード等の画像化情報にエンコード」することと,
本件補正発明における「デバイス(106)のパラメータの測定値を得,前記得られた測定値から暗号化コード(160)を生成」することとは,
“デバイス(106)のパラメータ測定値を得,前記得られた測定値から符号化コードを生成する”ものである点で共通する。

ウ.引用発明においては,「QRコードのような二次元バーコード等の画像化情報」を「表示装置」に「表示」しているので,
引用発明における「表示装置」が,
本件補正発明における「視覚的に表示するインタフェース(120)」に相当するので,
引用発明における「画像情報を表示する表示装置」と,
本件補正発明における「暗号化コード(160)を視覚的に表示するインターフェース(120)」とは,
“符号化コードを視覚的に表示するインターフェース”である点で共通し,
引用発明において,「リモートコンピュータ」は,監視対象である「リモートコンピュータ本体」と当該本体から「最新情報」を取得する“部位”とが一体となっており,当該“部位”が,「表示装置」にも接続されていると言い得るものであるから,
引用発明における当該“部位”と,
本件補正発明における「第1のネットワーク」とは,
“表示するインターフェース(120)を備えるよう構成されている符号化コード取得・表示部”である点で共通する。

エ.引用発明において,「カメラ付携帯電話」は,「リモートコンピュータ」とは,離れた位置に存在しているので,上記ウ.において検討した“部位”からも離れた位置に存在することは明らかであり,「表示装置に表示された」「QRコードのような二次元バーコード等の画像化情報を撮影する」ことで,当該「QRコードのような二次元バーコード等の画像化情報」の「コピー」を得るものであるから,
上記ウ.において検討した事項を踏まえると,
引用発明における「表示装置に表示された前記QRコードのような二次元バーコード等の画像化情報を撮影するカメラ付携帯電話」と,
本件補正発明における「視覚インターフェース(120)から前記視覚信号を前記所与の時間間隔で読み取る検出器(122)であって,前記第1のネットワークから離れており,前記第1のネットワークから前記暗号化コード(160)の画像コピー(162)を得るように構成されている検出器(122)」とは,
“視覚インターフェース(120)から前記視覚信号を読み取る検出器であって,符号化コード取得・表示部から離れており,前記符号化コード取得・表示部から符号化コードの画像コピーを得るよう構成されている検出部”である点で共通する。

オ.引用発明における「センタ」が,
本件補正発明における「遠隔位置(104)」に相当するので,
引用発明における「撮影された前記QRコードのような二次元バーコード等の画像化情報を受信側のセンタに送信するためのネットワーク」と,
本件補正発明における「第1のネットワークから離れており,セキュア・トンネルを介して前記暗号化コード(160)のコピー(162)を遠隔位置(104)に送信するように構成されている,第2のネットワーク」とは,
“符号化コード取得・表示部から離れており,符号化コードのコピーを遠隔位置(104)に送信するように構成されている,ネットワーク”である点で共通する。

カ.引用発明において,「担当者側で解析を行う」ことは,「担当者」が,「リモートコンピュータ」に対して「診断」を行う態様を含むことは明らかであるから,
引用発明における「受信した前記QRコードなどの画像化情報をデコードして,表示装置に表示し,担当者側で解析を行うセンタ」と,
本件補正発明における「暗号化コード(160)の前記コピー(162)を復号して,前記デバイス(106)をモニタリングおよび診断するように構成されている,遠隔位置(104)」とは,
“符号化コードのコピーをデコードして,デバイス(106)をモニタリングおよび診断するよう構成されている,遠隔位置(104)”である点で共通する。

キ,以上,上記ア.〜上記カ.において検討した事項から,本件補正発明と引用発明との,一致点,及び,相違点は,次のとおりである。

[一致点]
デバイス(106)を遠隔モニタリングおよび診断するシステム(100)であって,
前記デバイス(106)のパラメータ測定値を得,前記得られた測定値から符号化コードを生成し,前記符号化コードを視覚的に表示するインターフェース(120)を備えるよう構成されている符号化コード取得・表示部と,
前記視覚インターフェース(120)から前記視覚信号を読み取る検出器であって,符号化コード取得・表示部から離れており,前記符号化コード取得・表示部から符号化コードの画像コピーを得るよう構成されている検出部と,
前記符号化コード取得・表示部から離れており,前記符号化コードのコピーを遠隔位置(104)に送信するように構成されている,ネットワークと,
前記符号化コードのコピーをデコードして,前記デバイス(106)をモニタリングおよび診断するよう構成されている,遠隔位置(104)と,を備える,システム。

[相違点1]
“符号化コード”に関して,
本件補正発明において「暗号化コード」であるのに対して,
引用発明においては,「QRコードのような二次元バーコード等の画像化情報」である点。

[相違点2]
“符号化コード取得・表示部”に関して,
本件補正発明においては,「デバイス(106)に結合」された「インタフェース(120)」を備える「第1のネットワーク」であるのに対して,
引用発明においては,「第1のネットワーク」に相当する構成について,特に言及されていない点。

[相違点3]
“検出器”に関して,
本件補正発明においては,「視覚インターフェース(120)から前記視覚信号を前記所与の時間間隔で読み取る検出器(122)」であるのに対して,
引用発明においては,「画像化情報」を,「所与の時間間隔で読み取る」ことについては,特に言及されていない点。

[相違点4]
“ネットワーク”に関して,
本件補正発明においては,「セキュア・トンネルを介して前記暗号化コード(160)のコピー(162)を遠隔位置(104)に送信するように構成されている」ものであるのに対して,
引用発明においては,「セキュア・トンネルを介」することについて,特に言及されていない点。

[相違点5]
本件補正発明においては,「暗号化コード(160)の前記コピー(162)を復号」するものであるのに対して,
引用発明においては,「受信した前記QRコードなどの画像化情報をデコード」するものである点。

(6)相違点についての当審の判断
ア.[相違点1],及び,[相違点5]について
補正後の請求項7に,「暗号化コード(160)はQRコードをさらに含む」と記載され,本願明細書の段落【0012】に,「様々な実施形態において,暗号化コード160は当該技術分野において公知であるQRコード(登録商標)のような二次元視覚コードとして表示される」と記載されてもいるように,本件補正発明における「暗号化コード(160)」と,引用発明における「QRコード」とは,ほぼ同等のものであると解される。
仮に,本件補正発明が,「測定値」を直接「QRコード」に「エンコード」するのではなく,「想定値」に対して,何らかの暗号化を行った後,“暗号化済測定値”を「QRコード」に「エンコード」する構成であったとしても,上記Dに引用した,周知文献2に記載されてもいるように,“暗号化の後に,二次元コードとして表示する”よう構成することは,本願の第1国出願前に,当業者には周知の技術事項であり,引用発明において,「最新情報」を暗号化した後,「QRコード」へ「エンコード」する構成を採用すること,及び,当該「QRコード」を「デコード」すること,或いは,「QRコード」を「デコード」し,取り出した“暗号化データ”を「復号」するよう構成することは,上記指摘の周知技術を踏まえれば,当業者が適宜なし得る事項である。
よって,[相違点1],及び,[相違点5]は,格別なものではない。

イ.[相違点2]について
引用発明においては,「最新情報」を「エンコード」する構成が,「リモートコンピュータ本体」に含まれるものであるが,当該構成を「リモートコンピュータ本体」と別体とすることは,引用文献を提示するまでもなく,当業者が必要に応じて適宜採用し得る程度の事項である。
よって,[相違点2]は,格別のものではない。

ウ.[相違点3]について
上記Eに引用した,周知文献3には,「識別符号」を「所定のサンプリング周波数」で読み取ることが開示されていて,「識別符号」は,「QRコード」を含むものであり,「所定のサンプリング周波数」で読み取ることは,「所定の時間間隔で読み取る」ことに他ならない。
したがって,引用発明においても,「QRコード」のような「画像化情報」を,「所定の時間間隔」,即ち,「所与の時間間隔」で,「読み取る」よう構成することは,上記指摘の周知技術事項に基づいて,当業者が適宜なし得る事項である。
よって,[相違点3]は,格別のものではない。

エ.[相違点4]について
安全な通信路を介して接続する点については,上記Cに引用した,周知文献1の記載にもあるとおり,本願の第1国出願前に,当業者には周知の技術事項であり,引用発明においても,「リモートコンピュータ」と,「センタコンピュータ」との間を,安全な通信路で接続する構成を採用することは,上記指摘の周知技術事項に基づいて,当業者が適宜なし得るものである。
よって,[相違点4]は,格別のものではない。

オ.以上,上記ア.〜上記エ.において検討したとおり,[相違点1]〜[相違点5]は,何れも格別なものではなく,そして,本件補正発明の構成によってもたらされる効果も,当業者であれば当然に予測可能なものに過ぎず格別なものとは認められない。
よって,本件補正発明は,引用発明及び周知文献1〜周知文献3に開示の技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるので,特許法29条2項の規定により,特許出願の際,独立して特許を受けることができない。

3.補正却下むすび
したがって,本件手続補正は,特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するので,同法159条1項の規定において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。

よって,補正却下の決定の結論のとおり決定する。

第3.本願発明について
令和2年9月11日付けの手続補正は,上記のとおり却下されたので,本願の請求項8に係る発明(以下,これを「本願発明」という)は,令和1年6月21日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項8に記載された,上記「第2.令和2年9月11日付けの手続補正の却下の決定」の「1.補正の内容」において,補正前の請求項8として引用した,次のとおりのものである。

「デバイス(106)を遠隔モニタリングおよび診断するシステム(100)であって,
前記デバイス(106)に結合されており,前記デバイス(106)のパラメータの測定値を得,前記得られた測定値から暗号化コード(160)を生成するように構成されている第1のネットワークと,
前記第1のネットワークから離れており,前記第1のネットワークから前記暗号化コード(160)のコピー(162)を得るように構成されている非ネットワーク媒体と前記第1のネットワークから離れており,セキュア・トンネルを介して前記暗号化コード(160)のコピー(162)を遠隔位置(104)に送信するように構成されている,第2のネットワークと,
前記暗号化コード(160)の前記コピー(162)を復号して,前記デバイス(106)をモニタリングおよび診断するように構成されている,遠隔位置(104)と,
を備える,システム(100)。」

第4.引用文献1に記載の発明
原審拒絶理由に引用され,上記「第2.令和2年9月11日付けの手続補正の却下の決定」において,引用文献1とした,特開2006−178601号には,上記「第2.令和2年9月11日付けの手続補正の却下の決定」の「2.補正の適否」における「(4)引用文献1に記載の発明」において認定した,次の引用発明が記載されている。

“リモートコンピュータの最新の機器状態を表す最新情報をセンタに表示し解析するシステムであって,”
前記リモートコンピュータ本体の前記最新の機器状態を表す最新情報を取得し,QRコードのような二次元バーコード等の画像化情報にエンコードし,前記画像化情報を表示する表示装置を有する前記リモートコンピュータと,
前記表示装置に表示された前記QRコードのような二次元バーコード等の画像化情報を撮影するカメラ付携帯電話と,
撮影された前記QRコードのような二次元バーコード等の画像化情報を受信側のセンタに送信するためのネットワークと,
受信した前記QRコードなどの画像化情報をデコードして,表示装置に表示し,担当者側で解析を行うセンタと,
を備える,システム。”

第5.本願発明と引用発明との対比
本願発明は,上記「第2.令和2年9月11日付けの手続補正の却下の決定」において検討した,本件補正発明から,上記「第2.令和2年9月11日付けの手続補正の却下の決定」の「2.補正の適否」における「(1)補正事項」において指摘した限定事項を取り除いたものであるから,本願発明と,引用発明との一致点,及び,相違点は,次のとおりである。

[一致点]
デバイス(106)を遠隔モニタリングおよび診断するシステム(100)であって,
前記デバイス(106)のパラメータ測定値を得,前記得られた測定値から符号化コードを生成し,前記符号化コードを視覚的に表示するインターフェース(120)をそなえるよう構成されている符号化コード取得・表示部と,
前記視覚インターフェース(120)から前記視覚信号を読み取る検出器であって,符号化コード取得・表示部から離れており,前記符号化コード取得・表示部から符号化コードの画像コピーを得るよう構成されている検出部と,
前記符号化コード取得・表示部から離れており,前記符号化コードのコピーを遠隔位置(104)に送信するように構成されている,ネットワークと,
前記符号化コードのコピーをデコードして,前記デバイス(106)をモニタリングおよび診断するよう構成されている,遠隔位置(104)と,を備える,システム。

[相違点a]
“符号化コード”に関して,
本願発明において「暗号化コード」であるのに対して,
引用発明においては,「QRコードのような二次元バーコード等の画像化情報」である点。

[相違点b]
“符号化コード取得・表示部”に関して,
本願発明においては,「デバイス(106)に結合」された「」インタフェース(120)」を備える「第1のネットワーク」であるのに対して,
引用発明においては,「第1のネットワーク」に相当する構成について,特に言及されていない点。

[相違点c]
“ネットワーク”に関して,
本願発明においては,「セキュア・トンネルを介して前記暗号化コード(160)のコピー(162)を遠隔位置(104)に送信するように構成されている」ものであるのに対して,
引用発明においては,「セキュア・トンネルを介」することについて,特に言及されていない点。

[相違点d]
本願発明においては,「暗号化コード(160)の前記コピー(162)を復号」するものであるのに対して,
引用発明においては,「受信した前記QRコードなどの画像化情報をデコード」するものである点。

第6.相違点についての当審の判断
本願発明と,引用発明との[相違点a]〜[相違点d]は,本件補正発明と,引用発明との[相違点1],[相違点2],[相違点4],及び,[相違点5]と同じものであるから,上記「第2.令和2年9月11日付けの手続補正の却下の決定」の「2.補正の適否」における「(6)相違点についての当審の判断」において検討したとおり格別のものでなく,本願発明の構成によってもたらされる効果も,当業者であれば当然に予測可能なものに過ぎず格別なものとは認められない。

第7.むすび
したがって,本願発明は,引用発明及び周知文献1〜周知文献3に開示の技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。

よって,結論のとおり審決する。

 
別掲 (行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは,この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は,その日数を附加します。)以内に,特許庁長官を被告として,提起することができます。

審判長 田中 秀人
出訴期間として在外者に対し90日を附加する。
 
審理終結日 2021-09-16 
結審通知日 2021-09-21 
審決日 2021-10-25 
出願番号 P2015-135714
審決分類 P 1 8・ 575- Z (G09C)
P 1 8・ 121- Z (G09C)
最終処分 02   不成立
特許庁審判長 田中 秀人
特許庁審判官 石井 茂和
金子 秀彦
発明の名称 サイバー保護が為された空隙の遠隔モニタリングおよび診断インフラストラクチャ  
代理人 黒川 俊久  
代理人 小倉 博  

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