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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06Q
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G06Q
管理番号 1382831
総通号数
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2022-04-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-12-21 
確定日 2021-12-06 
事件の表示 特願2019− 73847「不動産物件内見システム」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年 2月13日出願公開、特開2020− 24666〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成31年4月8日(優先権主張 平成30年8月3日)の出願であって、令和2年7月2日付けの拒絶理由の通知に対し、同年7月20日に意見書が提出されるとともに手続補正がなされたが、同年10月6日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年12月21日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされたものである。

第2 令和2年12月21日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和2年12月21日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 本件補正について
(1)本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された(下線部は、補正箇所である。)。
「ユーザ端末と、不動産物件に設置された玄関錠と、前記不動産物件の複数の部屋にそれぞれ設置された複数の撮像装置と、前記玄関錠及び各前記撮像装置との間で通信可能な管理者端末とを備える不動産物件内見システムであって、
前記ユーザ端末、前記玄関錠、各前記撮像装置、及び前記管理端末は、双方向通信網に接続されており、
前記ユーザ端末は、前記不動産物件に関する情報提供サイトにアクセスすることができると共に、前記不動産物件に対する内見を予約するための情報を、直接又は前記情報提供サイトを介して前記管理者端末に送信することが可能な通信装置であり、
前記ユーザ端末は、内見を予約する際に、顔写真付きの身分証明情報を、前記管理者端末に直接若しくは前記情報提供サイトを介して、送信するための身分証明情報送信手段を含み、
前記管理者端末は、前記ユーザ端末からの内見予約を受け付け、かつ前記身分証明情報を用いた物件管理者による審査にユーザが合格した場合、前記ユーザ端末に対して、前記玄関錠の解錠に必要な解錠情報を送信すると共に、前記玄関錠に対しても前記解錠情報を送信し、
前記解錠情報には、解錠可能な日時及び時間帯が含まれており、決まった日時及び時間帯にしかユーザは入室できず、
前記玄関錠は、
前記管理者端末との間で双方向通信するための双方向通信手段と、
前記双方向通信手段を介して、前記管理者端末からの遠隔操作に応じて、解錠及び施錠を行う手段と、
前記双方向通信手段を介して、前記管理者端末から送信されてくる前記解錠情報を受信し、前記解錠可能な日時及び時間帯における前記ユーザによる操作に基づいて、解錠する電子的解錠手段と、
前記電子的解錠手段によって解錠された場合に、前記管理者端末に解錠された旨の情報を送信する解錠完了通知手段とを含み、
前記複数の撮像装置のいずれかは、前記ユーザが内見している様子、玄関の様子、及び窓の様子を撮像するように配置されており、内見中のリアルタイム画像を前記管理者端末に送信する画像送信手段を含み、
前記管理者端末は、前記ユーザが前記身分証明情報の顔写真と同一人物であるか、前記ユーザがどの部屋にいるか、前記部屋の窓が閉まっているか、前記部屋の照明が消されているか、及び前記ユーザが退出したかを、物件管理者が認識できるように、各前記撮像装置の画像送信手段から送信されてくる各部屋の画像を表示し、
前記管理者端末は、前記画像で前記ユーザの退出を前記物件管理者が確認できた場合に、前記物件管理者の指示に応じて、前記玄関錠を遠隔操作して、前記玄関錠を施錠する、ことを特徴とする、不動産物件内見システム。」

(2)本件補正前の特許請求の範囲
本件補正前の、令和2年7月20日にされた手続補正による特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。
「ユーザ端末と、不動産物件に設置された玄関錠と、前記不動産物件の複数の部屋にそれぞれ設置された複数の撮像装置と、前記玄関錠及び各前記撮像装置との間で通信可能な管理者端末とを備える不動産物件内見システムであって、
前記ユーザ端末、前記玄関錠、各前記撮像装置、及び前記管理端末は、双方向通信網に接続されており、
前記ユーザ端末は、前記不動産物件に関する情報提供サイトにアクセスすることができると共に、前記不動産物件に対する内見を予約するための情報を、直接又は前記情報提供サイトを介して前記管理者端末に送信することが可能な通信装置であり、
前記ユーザ端末は、内見を予約する際に、顔写真付きの身分証明情報を、前記管理者端末に直接若しくは前記情報提供サイトを介して、送信するための身分証明情報送信手段を含み、
前記管理者端末は、前記ユーザ端末からの内見予約を受け付けた場合、前記ユーザ端末に対して、前記玄関錠の解錠に必要な解錠情報を送信すると共に、前記玄関錠に対しても前記解錠情報を送信し、
前記解錠情報には、解錠可能な日時及び時間帯が含まれており、
前記玄関錠は、
前記管理者端末との間で双方向通信するための双方向通信手段と、
前記双方向通信手段を介して、前記管理者端末からの遠隔操作に応じて、解錠及び施錠を行う手段と、
前記双方向通信手段を介して、前記管理者端末から送信されてくる前記解錠情報を受信し、前記解錠可能な日時及び時間帯における前記ユーザによる操作に基づいて、解錠する電子的解錠手段と、
前記電子的解錠手段によって解錠された場合に、前記管理者端末に解錠された旨の情報を送信する解錠完了通知手段とを含み、
前記複数の撮像装置のいずれかは、前記ユーザが内見している様子、玄関の様子、及び窓の様子を撮像するように配置されており、内見中のリアルタイム画像を前記管理者端末に送信する画像送信手段を含み、
前記管理者端末は、前記ユーザが前記身分証明情報の顔写真と同一人物であるか、前記ユーザがどの部屋にいるか、前記部屋の窓が閉まっているか、前記部屋の照明が消されているか、及び前記ユーザが退出したかを、物件管理者が認識できるように、各前記撮像装置の画像送信手段から送信されてくる各部屋の画像を表示し、
前記管理者端末は、前記画像で前記ユーザの退出を前記物件管理者が確認できた場合に、前記物件管理者の指示に応じて、前記玄関錠を遠隔操作して、前記玄関錠を施錠する、ことを特徴とする、不動産物件内見システム。」

2 補正の適否
本件補正は、補正前の請求項1において、管理者端末が「前記ユーザ端末に対して、前記玄関錠の解錠に必要な解錠情報を送信する」ために、「前記ユーザ端末からの内見予約を受け付け、」という条件に加えて、さらに「前記身分証明情報を用いた物件管理者による審査にユーザが合格した場合」という条件を直列的に追加するという限定を付加するとともに、「解錠情報」に「解錠可能な日時及び時間帯が含まれて」いることにより、「決まった日時及び時間帯にしかユーザは入室できず」という「ユーザ」に関する限定を付加するものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法17条の2第5項2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項1に係る発明が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。

(1)本件補正発明
本件補正後の請求項1に係る発明は、
「ユーザ端末と、不動産物件に設置された玄関錠と、前記不動産物件の複数の部屋にそれぞれ設置された複数の撮像装置と、前記玄関錠及び各前記撮像装置との間で通信可能な管理者端末とを備える不動産物件内見システムであって、
前記ユーザ端末、前記玄関錠、各前記撮像装置、及び前記管理者端末は、双方向通信網に接続されており、
前記ユーザ端末は、前記不動産物件に関する情報提供サイトにアクセスすることができると共に、前記不動産物件に対する内見を予約するための情報を、直接又は前記情報提供サイトを介して前記管理者端末に送信することが可能な通信装置であり、
前記ユーザ端末は、内見を予約する際に、顔写真付きの身分証明情報を、前記管理者端末に直接若しくは前記情報提供サイトを介して、送信するための身分証明情報送信手段を含み、
前記管理者端末は、前記ユーザ端末からの内見予約を受け付け、かつ前記身分証明情報を用いた物件管理者による審査にユーザが合格した場合、前記ユーザ端末に対して、前記玄関錠の解錠に必要な解錠情報を送信すると共に、前記玄関錠に対しても前記解錠情報を送信し、
前記解錠情報には、解錠可能な日時及び時間帯が含まれており、決まった日時及び時間帯にしかユーザは入室できず、
前記玄関錠は、
前記管理者端末との間で双方向通信するための双方向通信手段と、
前記双方向通信手段を介して、前記管理者端末からの遠隔操作に応じて、解錠及び施錠を行う手段と、
前記双方向通信手段を介して、前記管理者端末から送信されてくる前記解錠情報を受信し、前記解錠可能な日時及び時間帯における前記ユーザによる操作に基づいて、解錠する電子的解錠手段と、
前記電子的解錠手段によって解錠された場合に、前記管理者端末に解錠された旨の情報を送信する解錠完了通知手段とを含み、
前記複数の撮像装置のいずれかは、前記ユーザが内見している様子、玄関の様子、及び窓の様子を撮像するように配置されており、内見中のリアルタイム画像を前記管理者端末に送信する画像送信手段を含み、
前記管理者端末は、前記ユーザが前記身分証明情報の顔写真と同一人物であるか、前記ユーザがどの部屋にいるか、前記部屋の窓が閉まっているか、前記部屋の照明が消されているか、及び前記ユーザが退出したかを、物件管理者が認識できるように、各前記撮像装置の画像送信手段から送信されてくる各部屋の画像を表示し、
前記管理者端末は、前記画像で前記ユーザの退出を前記物件管理者が確認できた場合に、前記物件管理者の指示に応じて、前記玄関錠を遠隔操作して、前記玄関錠を施錠する、ことを特徴とする、不動産物件内見システム。」
であると認める。
なお、請求項1において、「前記ユーザ端末、前記玄関錠、各前記撮像装置、及び前記管理端末は、双方向通信網に接続されており、」における「前記管理端末」は、当該記載より前に記載された「管理者端末」を指しているものであることは明らかであるから、「前記管理端末」は「前記管理者端末」の誤記と認め、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本件補正発明」という。)を上記のように認定した。

(2)引用文献の記載事項
ア 引用文献1について
(ア)引用文献1に記載されている事項
原査定の拒絶の理由で引用された本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である、特開2017−207998号公報(平成29年11月24日出願公開。以下、「引用文献1」という。)には、図面とともに、次の記載がある。(なお、下線は当審で付した。)

「【0024】
[物件内覧システムの概要]
図1は、実施形態に係る物件内覧システム100の概略構成を示す図である。物件内覧システム100は、賃貸や販売の対象となる不動産物件の内覧希望者による内覧を安全かつ便利に実行可能なシステムであって、内覧対象となる物件1の出入り口に設けられた通信型電子錠2と、物件1の内覧希望者が使用する利用者端末3と、物件1を取り扱う業者が管理するサーバ装置4とを備える。
【0025】
通信型電子錠(スマートロック)2は、Bluetooth(登録商標)やNFC(Near Field Communication)などの近距離無線通信が可能であって、近距離無線通信により鍵コードを受信した場合に、当該鍵コードを用いた認証を行い、物件1の出入り口の解錠及び施錠を切り替える。鍵コードは、サーバ装置4によって管理され、ある定められた期間内に限り有効な臨時的な鍵であり、本発明における「鍵情報」の一例である。例えば、通信型電子錠2は、サーバ装置4と通信可能であり、サーバ装置4が鍵コードを発行した場合に、当該鍵コード及び当該鍵コードの有効期間の情報等が通知される。なお、通信型電子錠2は、サーバ装置4と他の通信用端末を介して通信を行うものであってもよい。また、鍵コードには、当該鍵コードの有効期間を指定する情報が含まれていてもよい。
【0026】
利用者端末3は、内覧希望者が使用する端末であって、サーバ装置4から受信するウェブ情報に基づき表示した内覧申込画面において受け付けたユーザ入力に基づき、内覧の申込みに必要な情報(「内覧申込情報」とも呼ぶ。)を生成し、サーバ装置4へ送信する。内覧申込情報には、内覧を希望する物件(ここでは物件1)の識別情報及び内覧希望日時に加え、ユーザIDや端末IDなどのユーザ情報が含まれている。そして、利用者端末3は、内覧申込情報の応答として、物件1に設けられた通信型電子錠2に有効な鍵コードを受信し、記憶する。その後、利用者端末3のユーザである内覧希望者は、申請した内覧日時に通信型電子錠2に利用者端末3をかざすことで、近距離無線通信により鍵コードを通信型電子錠2に送信し、通信型電子錠2を解錠させて物件1の内覧を行う。このように、本実施形態では、内覧希望者は、販売員や説明員などを伴わずに物件1の内覧を行うことが可能である。また、利用者端末3は、後述するように、内覧時において、物件1内のリフォームを受け付ける画面(「リフォーム受付画面」とも呼ぶ。)を表示し、リフォームの指定を受け付ける。利用者端末3は、本発明における「端末装置」の一例である。
【0027】
サーバ装置4は、利用者端末3から受信した内覧申込情報に基づき、通信型電子錠2の鍵コードを発行する。また、サーバ装置4は、ウェブサーバとして機能し、内覧申込画面及びリフォーム受付画面等のウェブ情報を利用者端末3に配信する。」

「【0030】
また、物件1の室内には、物件1の室内での人の有無を検知するためのセンサ6が設けられている。センサ6は、人感センサや監視カメラなどであって、生成した検知信号をサーバ装置4へ送信する。センサ6は、物件1内の任意の場所にいる人を検出できるように、必要に応じて複数個所に設置されている。例えば人感センサの場合、内覧者の想定される歩行ルートを網羅するように設置され、カメラの場合、リフォーム可能箇所などの内覧者の視線が向く場所に設置される。なお、リフォーム可能箇所は、物件1の外装であってもよい。この場合、電子タグ5は、リフォーム可能な物件1の外装部分に付される。また、センサ6についても、物件1の室内に限らず、庭、ベランダ、バルコニーなどの室外も検出対象範囲として含んでもよい。」

「【0035】
[サーバ装置の構成]
図3(B)は、サーバ装置4のブロック図である。サーバ装置4は、主に、ディスプレイやスピーカなどの出力部41と、記憶部43と、通信部44と、制御部45と、を備える。これらの各要素は、バスラインを介して相互に接続されている。
(中略)
【0041】
本実施形態では、制御部45は、物件1の入退室管理に関する処理を実行する。具体的には、制御部45は、通信部44が利用者端末3から内覧申込情報を受信した場合に、スケジュール情報46を参照し、内覧申込情報で指定された内覧希望日時に内覧が可能であるか否か判定する。そして、制御部45は、内覧希望日時が同一物件の予約済みの内覧日時と重複しない場合に、受信した内覧申込情報に基づきスケジュール情報46を更新すると共に、鍵コードを発行し、当該鍵コードを対象の通信型電子錠2及び利用者端末3へ送信する。また、制御部45は、通信部44を介し、通信型電子錠2から施錠又は解錠の状態に関する情報(「錠状態情報」とも呼ぶ。)と、センサ6が生成する検知信号とをそれぞれ受信し、物件1の異常判定を行い、必要な警告処理等を行う。これらの処理の詳細については、[物件の入退室管理]のセクションで詳しく説明する。」

「【0044】
[物件の入退室管理]
次に、物件1の入退室管理に関する処理について説明する。
【0045】
(1)通信型電子錠の解錠及び施錠
図4は、通信型電子錠2の解錠及び施錠の流れを示すフローチャートである。
【0046】
まず、利用者端末3は、内覧を希望する物件を指定する入力及び内覧予定日時を指定する入力を受け付ける(ステップS101)。例えば、利用者端末3は、サーバ装置4の所定のURLのウェブ情報を受信することで内覧申込画面を表示し、利用者端末3のユーザは、当該内覧申込画面において、内覧を希望する物件及び内覧予定日時などを指定する入力を行う。なお、このとき、サーバ装置4は、内覧申込画面において、内覧を希望する物件及び内覧予定日時をそれぞれ選択するプルダウンメニューなどの選択欄を設けてもよい。例えば、この場合、サーバ装置4は、内覧を希望する物件を最初に指定させた後、スケジュール情報46を参照し、予約がされていない内覧予定日時のみを選択可能なプルダウンメニュー等を表示させ、同一物件において内覧予定日時が予約済の内覧日時と重複しないようにしてもよい。
【0047】
そして、利用者端末3は、入力された情報に基づき内覧申込情報を生成し、内覧申込情報をサーバ装置4へ送信する(ステップS102)。内覧申込情報には、内覧を希望する物件及び内覧予定日時を指定する情報の他、利用者端末3のユーザに関するユーザ情報が含まれる。
【0048】
サーバ装置4は、内覧申込情報を受信した場合、内覧申込情報において指定された物件1に設けられた通信型電子錠2に有効な鍵コードを発行する(ステップS103)。そして、サーバ装置4は、生成した鍵コードを利用者端末3へ送信する(ステップS104)。また、サーバ装置4は、生成した鍵コード及び当該鍵コードの有効期間の情報を、通信型電子錠2へ送信する。上述の有効期間は、内覧申込情報において指定された内覧予定日時を含む所定期間に設定される。
【0049】
その後、内覧申込みを行った利用者端末3のユーザは、ステップS101で指定した内覧予定日時に物件1を訪問し、ステップS104で鍵コードを受信した利用者端末3を物件1に設けられた通信型電子錠2にかざす。この場合、利用者端末3は、ステップS104で受信した鍵コードを含む解錠要求を通信型電子錠2へ近距離無線通信により送信する(ステップS105)。この場合、通信型電子錠2は、解錠要求に含まれる鍵コードによる認証を行い、鍵コードが有効と判断した場合に、物件1の解錠を行う(ステップS106)。この場合、例えば、通信型電子錠2は、サーバ装置4から通知された鍵コード及び有効期間の情報を参照し、利用者端末3から受信した鍵コードが現在日時において有効であると判断した場合に、解錠を行う。そして、通信型電子錠2は、解錠を行った旨の通知を、物件1又は通信型電子錠2の識別情報等と共にサーバ装置4へ送信する(ステップS107)。
【0050】
物件1の解錠後、利用者端末3のユーザは、物件1の内覧を行い、後述するリフォームの申し込みなどを、利用者端末3を介して適宜行う。そして、利用者端末3のユーザは、物件1を退室する際、再び利用者端末3を通信型電子錠2にかざす。この場合、利用者端末3は、鍵コード等を含む施錠要求を通信型電子錠2に送信する(ステップS108)。そして、通信型電子錠2は、利用者端末3から施錠要求を受信した場合、鍵コードによる認証等を適宜実行し、物件1の施錠を行う(ステップS109)。そして、通信型電子錠2は、物件1の施錠を行った旨の通知を、物件1又は通信型電子錠2の識別情報等と共にサーバ装置4へ送信する(ステップS110)。」

「【0051】
(2)センサを用いた入退室管理
サーバ装置4は、センサ6から受信する検知信号と、通信型電子錠2から通知された解錠又は施錠に関する錠状態情報とに基づき、内覧者の施錠忘れやシステム異常などを検知して所定の処理を実行する。
【0052】
図5は、通信型電子錠2の状態を表す「錠状態」と、センサ6による人の検知の有無を示す「センサによる人検知の有無」と、サーバ装置4が実行すべき対応を示す「対応」との関係を示すテーブルである。サーバ装置4は、「錠状態」を、通信型電子錠2から通知された錠状態情報に基づき判定すると共に、「センサによる人検知の有無」を、各物件1に設置されたセンサ6から受信した検知信号に基づき判定する。
(中略)
【0056】
次に、「錠状態」が「解錠」であって、「センサによる人検知の有無」が「なし」の場合、サーバ装置4は、内覧者が内覧終了後に施錠するのを忘れた可能性があると判断し、内覧者の在室確認を促す警告を出力する。この場合、サーバ装置4の管理者は、直近の内覧予定日時に予約をした内覧予定者に電話又はメール等により内覧が終了したか否かの確認を行う。そして、内覧者が内覧終了後に施錠するのを忘れたことを管理者が確認した場合、サーバ装置4は、管理者の操作に基づき、施錠の指示及び対象の内覧者へ発行した鍵コードを無効化する指示信号を、対象の通信型電子錠2へ送信する。これにより、サーバ装置4は、不審者が物件1に進入するのを好適に防ぐことができる。」

「【0072】
[本実施形態の作用・効果]
本実施形態の物件内覧システム100によれば、内覧申込画面で物件1及び内覧希望日時を指定した内覧希望者が携帯する利用者端末3に対し、物件1に設けられた通信型電子錠2に有効な鍵コードをサーバ装置4が発行及び送信する。これにより、物件1の内覧に同伴させる説明員を原則不要として人件費を好適に削減することができると共に、内覧希望者の利便性を向上させることができる。また、物件1の室内には、リフォーム可能箇所ごとに電子タグ5が設けられており、内覧希望者がリフォーム希望箇所の電子タグ5のアプリ用IDを利用者端末3により読取らせた場合に、利用者端末3にリフォーム受付画面が表示され、リフォーム内容を指定する入力を受け付ける。これにより、物件内覧システム100は、内覧時にリフォームの申し込みを受け付けてリフォームの需要を確実に取り込むことができる。」

「【0084】
(変形例4)
図4のステップS206において、通信型電子錠2は、臨時に発行された鍵コードに基づく認証を行う代わりに、内覧予定者が有する利用者端末3を識別可能な情報(例えば利用者端末3の端末ID)に基づき認証を行ってもよい。
(中略)
【0086】
さらに別の例では、通信型電子錠2を解錠すべきか否かの認証処理をサーバ装置4が行ってもよい。この場合、通信型電子錠2は、利用者端末3から解錠要求があった場合に、当該解錠要求をサーバ装置4へ転送する。サーバ装置4は、通信型電子錠2から転送された解錠要求に含まれる鍵コード等を参照し、認証処理を行う。そして、サーバ装置4は、認証処理が正常に行われた場合、解錠すべき旨の指示信号を通信型端末2へ送信する。この例によっても、実施形態と同様に、物件内覧システム100は、好適に物件1のセキュリティを確保しつつ、内覧希望者による物件1の内覧を実行させることができる。」

「【0087】
(変形例5)
サーバ装置4は、内覧対象となる物件1と内覧希望者との傾向、内覧時の環境と契約率との関係等を解析するためのマーケティング情報を蓄積してもよい。例えば、サーバ装置4は、内覧希望者の属性情報と、内覧時のリフォーム受付画面でのリフォーム内容の選択の履歴情報と、内覧対象となる物件1の物件情報と、センサ6等から取得した物件1の内覧時の環境情報と、内覧対象となった物件1の成約情報とを紐づけて記憶部43に記憶する。
(中略)
【0089】
また、上述の内覧時の環境情報は、例えば、温度、湿度、天候、日照、騒音、振動、内覧者の動線(即ち移動軌跡)などを含む。この場合、例えば、センサ6は、温度・湿度計、照度センサ、振動計、カメラ等であり、サーバ装置4は、センサ6の出力に基づき、上述の環境情報を取得する。なお、サーバ装置4は、天候等を管理するサーバから天候等の情報を取得してもよい。また、上述の物件情報は、例えば、住所(最寄駅)、広さ、間取り、価格、最寄駅からの所要時間、築年数等を含む。成約情報は、内覧を行ってから対象の物件1の契約に至ったか否か等を示す情報である。」

「図1



「図4



「図5



(イ)引用文献1に記載された発明
上記(ア)の摘記事項から、引用文献1には、次の技術的事項が記載されている。
a 引用文献1に記載された技術は、賃貸や販売の対象となる不動産物件の内覧希望者による内覧を安全かつ便利に実行可能な物件内覧システムに関するものであり(【0024】)、物件の内覧希望者が使用する利用者端末と、内覧対象となる物件の出入り口に設けられた通信型電子錠と、物件を取り扱う業者が管理するサーバ装置とを備え(【0024】)、物件の室内には、物件の室内での人の有無を検知するための人感センサや監視カメラなどのセンサが、物件内の任意の場所にいる人を検出できるように、必要に応じて複数個所に設置されており、センサは生成した検知信号をサーバ装置へ送信する(【0030】)。

b 引用文献1に記載の利用者端末は、サーバ装置の所定のURLのウェブ情報を受信することで内覧申込画面を表示し、当該内覧申込画面において受け付けた、内覧を希望する物件及び内覧予定日時などを指定するユーザ入力に基づき、内覧申込情報を生成し、内覧申込情報をサーバ装置4へ送信し(【0026】、【0046】〜【0047】、図4)、内覧申込情報には、内覧を希望する物件及び内覧予定日時を指定する情報の他、利用者端末のユーザに関するユーザ情報が含まれる(【0047】)。

c 引用文献1に記載のサーバ装置は、内覧申込情報を受信した場合、内覧申込情報において指定された物件に設けられた通信型電子錠に有効な鍵コードを発行し、生成した鍵コードを利用者端末へ送信し(【0048】)、生成した鍵コード及び当該鍵コードの有効期間の情報を、通信型電子錠へ送信し、上述の有効期間は、内覧申込情報において指定された内覧予定日時を含む所定期間に設定される(【0048】)。ここで、鍵コードには、当該鍵コードの有効期間を指定する情報が含まれていてもよい(【0025】)。

d 引用文献1に記載の通信型電子錠は、利用者端末から近距離無線通信により鍵コードを含む解錠要求を受信した場合に、鍵コードを用いた認証を行い、鍵コードが有効と判断した場合に、物件の出入り口の解錠及び施錠を切り替え(【0025】、【0049】)、サーバ装置と通信可能であり、サーバ装置が鍵コードを発行した場合に、サーバ装置から通知された鍵コード及び当該鍵コードの有効期間の情報を参照し、利用者端末から受信した鍵コードが現在日時において有効であると判断した場合に、解錠を行い(【0025】、【0049】)、解錠を行った旨の通知を、物件又は通信型電子錠の識別情報等と共にサーバ装置へ送信する(【0049】、図4)。

e 引用文献1には、通信型電子錠を解錠すべきか否かの認証処理をサーバ装置が行ってもよいことが記載されており、その場合、通信型電子錠は利用者端末からの解錠要求をサーバ装置へ転送し、サーバ装置において、解錠要求に含まれる鍵コードを参照した認証処理が正常に行われた場合、解錠すべき旨の指示信号を「通信型端末2」へ送信する(【0086】)。
ここで、引用文献1の段落【0086】には、サーバ装置において認証処理が正常に行われた場合の「解錠すべき旨の指示信号」の送信先が「通信型端末2」であることが記載されているが、引用文献1には、当該箇所以外に「通信型端末」という用語は存在せず、添え字が「2」である構成要素は、当該箇所を除くと「通信型電子錠2」のみであることから、引用文献1の段落【0086】に記載された、「解錠すべき旨の指示信号」の送信先としての「通信型端末2」は、「通信型電子錠2」と同一のものを指すことは明らかである。

f 引用文献1に記載のサーバ装置は、内覧希望者の属性情報と、内覧対象となる物件の物件情報と、センサ等から取得した物件の内覧時の環境情報と、内覧対象となった物件の成約情報とを紐づけて記憶部に記憶することができ(【0087】)、サーバ装置は、カメラ等のセンサの出力に基づき、内覧者の動線(即ち移動軌跡)などを含む内覧時の環境情報を取得する(【0089】)。

g 引用文献1に記載のサーバ装置は、センサから受信する検知信号と、通信型電子錠から通知された解錠又は施錠に関する錠状態情報とに基づき、内覧者の施錠忘れやシステム異常などを検知して所定の処理を実行するものであり(【0051】)、通信型電子錠の状態を表す「錠状態」が「解錠」であって、センサによる人の検知の有無を示す「センサによる人検知の有無」が「なし」の場合、内覧者が内覧終了後に施錠するのを忘れた可能性があると判断し、内覧者の在室確認を促す警告を出力し(【0052】、【0056】、図5)、サーバ装置の管理者は、直近の内覧予定日時に予約をした内覧予定者に電話又はメール等により内覧が終了したか否かの確認を行い、内覧者が内覧終了後に施錠するのを忘れたことを確認した場合、サーバ装置は、管理者の操作に基づき、施錠の指示及び対象の内覧者へ発行した鍵コードを無効化する指示信号を、対象の通信型電子錠へ送信する(【0056】)。

h 引用文献1の物件内覧システムによれば、内覧申込画面で物件及び内覧希望日時を指定した内覧希望者が携帯する利用者端末に対し、物件に設けられた通信型電子錠に有効な鍵コードをサーバ装置が発行及び送信することにより、物件の内覧に同伴させる説明員を原則不要として人件費を好適に削減することができると共に、内覧希望者の利便性を向上させることができる(【0072】)。

上記a〜hを総合すると、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。
「賃貸や販売の対象となる不動産物件の内覧希望者による内覧を安全かつ便利に実行可能な物件内覧システムであって、
物件の内覧希望者が使用する利用者端末と、内覧対象となる物件の出入り口に設けられた通信型電子錠と、物件を取り扱う業者が管理するサーバ装置とを備え、物件の室内には、物件の室内での人の有無を検知するための人感センサや監視カメラなどのセンサが、物件内の任意の場所にいる人を検出できるように、必要に応じて複数個所に設置されており、センサは生成した検知信号をサーバ装置へ送信し、
利用者端末は、サーバ装置の所定のURLのウェブ情報を受信することで内覧申込画面を表示し、当該内覧申込画面において受け付けた、内覧を希望する物件及び内覧予定日時などを指定するユーザ入力に基づき、内覧申込情報を生成し、内覧申込情報をサーバ装置へ送信し、
内覧申込情報には、内覧を希望する物件及び内覧予定日時を指定する情報の他、利用者端末のユーザに関するユーザ情報が含まれ、
サーバ装置は、内覧申込情報を受信した場合、内覧申込情報において指定された物件に設けられた通信型電子錠に有効な鍵コードを発行し、生成した鍵コードを利用者端末へ送信するとともに、生成した鍵コード及び当該鍵コードの有効期間の情報を、通信型電子錠へ送信し、上述の有効期間は、内覧申込情報において指定された内覧予定日時を含む所定期間に設定されるものであり、鍵コードには、当該鍵コードの有効期間を指定する情報が含まれていてもよく、
通信型電子錠は、利用者端末から近距離無線通信により鍵コードを含む解錠要求を受信した場合に、当該鍵コードを用いた認証を行い、鍵コードが有効と判断した場合に、物件の出入り口の解錠及び施錠を切り替えるものであって、サーバ装置と通信可能であり、サーバ装置が鍵コードを発行した場合に、サーバ装置から通知された鍵コード及び当該鍵コードの有効期間の情報を参照し、利用者端末から受信した鍵コードが現在日時において有効であると判断した場合に、解錠を行うとともに、解錠を行った旨の通知を、物件又は通信型電子錠の識別情報等と共にサーバ装置へ送信するものであり、
サーバ装置が通信型電子錠を解錠すべきか否かの認証処理を行う場合は、通信型電子錠は、利用者端末からの鍵コードを含む解錠要求をサーバ装置へ転送し、サーバ装置は、解錠要求に含まれる鍵コードを参照した認証処理が正常に行われた場合、解錠すべき旨の指示信号を通信型電子錠へ送信することができ、
サーバ装置は、カメラ等のセンサの出力に基づき、内覧者の動線(即ち移動軌跡)などを含む物件の内覧時の環境情報を取得して、当該内覧時の環境情報を、内覧希望者の属性情報と、内覧対象となる物件の物件情報と、内覧対象となった物件の成約情報とを紐づけて記憶部に記憶することができ、センサから受信する検知信号と、通信型電子錠から通知された解錠又は施錠に関する錠状態情報とに基づき、内覧者の施錠忘れやシステム異常などを検知して所定の処理を実行するものであり、通信型電子錠の状態を表す「錠状態」が「解錠」であって、センサによる人の検知の有無を示す「センサによる人検知の有無」が「なし」の場合、内覧者が内覧終了後に施錠するのを忘れた可能性があると判断し、内覧者の在室確認を促す警告を出力するものであって、サーバ装置の管理者は、直近の内覧予定日時に予約をした内覧予定者に電話又はメール等により内覧が終了したか否かの確認を行い、内覧者が内覧終了後に施錠するのを忘れたことを確認した場合、サーバ装置は、管理者の操作に基づき、施錠の指示及び対象の内覧者へ発行した鍵コードを無効化する指示信号を、対象の通信型電子錠へ送信し、
内覧申込画面で物件及び内覧希望日時を指定した内覧希望者が携帯する利用者端末に対し、物件に設けられた通信型電子錠に有効な鍵コードをサーバ装置が発行及び送信することにより、物件の内覧に同伴させる説明員を原則不要として人件費を好適に削減することができると共に、内覧希望者の利便性を向上させることができる物件内覧システム。」

イ 引用文献2について
(ア)引用文献2に記載されている事項
原査定の拒絶の理由で引用された本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である、特開2018−28206号公報(平成30年2月22日出願公開。以下、「引用文献2」という。)には、図面とともに、次の記載がある。(なお、下線は当審で付した。)

「【0001】
本発明は、遠隔操作により扉の施錠及び開錠を行う電子錠を用いた電子錠システムに関する。」

「【0031】
(実施形態)
図1は、本実施形態に係る電子錠システムの構成図である。本実施形態に係る電子錠システムは、例えば、会議室、社宅、民泊、内覧(内見)、メンテナンス(例えば、掃除、設備の補修等)等、マンションやアパート、ビル等の建築物内の部屋の一時利用を管理するためのシステムである。
【0032】
図1に示すように、本実施形態に係る電子錠システムは、建築物の部屋内(室内)に設置される室内端末100と、部屋の扉D(の室内側)に設けられた電子錠200と、管理装置(サーバ)300と、ユーザ端末400とを備えている。室内端末100、電子錠200、管理装置(サーバ)300及びユーザ端末400は、WifiやBluetooth(登録商標)等の無線LANや有線LAN及び公衆回線等のネットワーク500により互いに接続され、データ通信が可能となっている。」

「【0033】
(室内端末100)
図2は、本実施形態に係る室内端末100の構成図である。室内端末100は、例えば、タブレット端末であり、設置された部屋の扉に取り付けられている電子錠200と無線通信し、電子錠200に施錠信号及び開錠信号を送信する。また、室内端末100は、電子錠200の施錠状態やバッテリの残量等を確認する。
【0034】
図2に示すように、室内端末100は、無線通信部101、通信接続確認部102、バッテリ残量確認部103、撮像部104、施錠状態確認部105、操作受付部106、マイク107、スピーカ108、表示装置109、制御部110、バッテリ111及び識別子格納部112を有する。
(中略)
【0036】
通信接続確認部102は、所定時間毎に電子錠200との通信接続を確認する。バッテリ残量確認部103は、所定の時間毎に電子錠200のバッテリの残量を確認する。具体的には、電子錠200のバッテリ205の電圧からバッテリ205の残量を算出する。撮像部104は、CMOSイメージセンサやCCDイメージセンサ等の固体撮像素子を有し、撮像を指示する撮像指示を受信すると固体撮像素子による撮像を行う。
(中略)
【0038】
操作受付部106は、例えば、タッチパッド等を有し、ユーザによる操作入力を受け付ける。マイク107は、マイクロフォンであり、音を電気信号に変換する。スピーカ108は、電気信号を音楽や音声などの音に変換する。表示装置109は、例えば、液晶装置や有機ELであり、電子錠システムの操作・管理に必要な画面を表示する。制御部110は、室内端末100を制御する。バッテリ111は、1次電池又は2次電池であり、室内端末100へ電力を供給する。識別子格納部112は、例えば、不揮発性メモリであり、室内端末100の固有の識別子(TID)を格納する。なお、室内端末100のマイク107、スピーカ108、表示装置109を利用して、部屋の一時利用者と、部屋の管理者やシステム開発者とがTV通話を行うことができるように構成してもよい。」

「【0044】
電子錠200は、無線通信用のアンテナを有し、室内端末100から送信される管理装置300からの開錠信号又は施錠信号を無線信号により受信し、この無線受信した開錠信号又は施錠信号に基づいて扉DのサムターンSを回転させ扉Dを開錠又は施錠する。なお、扉Dの開錠後にドアノブDNを回すとラッチボルトLBが扉D側に収容されて扉Dを開くことができる。」

「【0045】
(管理装置(サーバ)300)
図5は、本実施形態に係る管理装置(サーバ)の構成図である。図5に示すように、管理装置300は、送受信部301と、データベース302(第1,第2のデータベース)と、認証部303と、操作許可部304と、予約受付部305と、データベース更新部306(第1,第2のデータベース更新部)と、制御部307とを有する。以下、簡単に各構成について説明するが、各構成の詳細動作については図7〜図9を参照して後述する。
【0046】
送受信部301は、ネットワーク500を介して、室内端末100及びユーザ端末400とデータを送受信する。具体的には、送受信部301は、ユーザ端末400から送信される開錠指示信号、施錠指示信号、バッテリ残量確認指示信号、施錠状態確認指示信号及び認証情報等を受信する。また、送受信部301は、室内端末100に対し電子錠200の開錠信号、施錠信号、バッテリ残量確認信号及び施錠状態確認信号等を送信する。
【0047】
データベース302には、電子錠200を操作可能なユーザUの認証情報と、ユーザUが電子錠200を操作可能な時間帯(利用時間帯)とが関連づけて登録されている。また、データベース302には、物件データ及びアカウントデータが記憶されている。
【0048】
具体的には、以下の表1に示すように、データベース302には、建築物のID(BID)に、テキストデータ(例えば、建築物名(例:○○レジデンス)、建築物の住所、最寄り駅、最寄り駅からの距離等の案内文)、画像データ(建築物の外観、内装等の写真、地図等)等が関連付けて登録されている。
(中略)
【0050】
また、以下の表2に示すように、各建築物のID(BID)には、該建築物の部屋のID(RID)、部屋の扉に取り付けられている電子錠200のID(NID)、室内に設置されている室内端末100のID(TID)、テキストデータ(例えば、部屋名(例:201号室)、部屋の広さ、階数、収容人数、利用料金、ディスクレーム等の案内文)、画像データ(部屋の内装等の写真)等が関連付けて登録されている。
(中略)
【0052】
また、以下の表3に示すように、各部屋のID(RID)には、該部屋の予約状況(ユーザID(UID)、利用時間帯(利用日、開始時間、終了時間)、設備使用の有無、利用料金)等が関連付けて登録されている。
(中略)
【0055】
また、表4に示すように、ユーザID(UID)には、アカウントデータ、例えば、アカウントID(AID)、パスワード(PW)、携帯電話番号、住所、氏名、会社名、メールアドレス、証明書(例えば、免許証、保険証など)の画像データ等のユーザ情報が関連づけて登録されている。なお、個人で登録している場合には、会社名は入力しなくともよい仕様としてもよい。ここで、ユーザ情報は、認証情報として利用される。本実施形態では、アカウントIDとパスワード又は携帯電話番号が認証情報として利用されるが、その他のユーザ情報を認証情報として利用してもよい。」

「【0063】
(ユーザ端末400)
図6は、本実施形態に係るユーザ端末400の構成図である。ユーザ端末400は、例えば、ユーザUが携帯するスマートフォンや携帯電話(いわゆるガラケー)、PC(Personal Computer)である。ユーザUは、ユーザ端末400を用いて、図1を参照して説明した建築物内の部屋の一時利用を予約する。また、ユーザは、ユーザ端末400を用いて、予約した建築物内の部屋の扉に設けられている電子錠200を操作して部屋の一時利用(例えば、会議室、社宅、民泊、内覧(内見)、掃除、設備の補修等)を行う。
(中略)
【0065】
図6に示すように、ユーザ端末400は、送受信部401と、記憶部402と、表示装置403と、入力装置404と、制御部405と、バッテリ406とを有している。以下、簡単に各構成について説明するが、各構成の詳細動作については図7〜図14を参照して後述する。
(中略)
【0068】
入力装置404は、例えば、タッチパネルや入力キーであり、ユーザUがアカウントの作成や一時利用の予約をする際に利用されるほか、予約した建築物内の部屋の扉Dに設けられている電子錠200を操作する際に利用される。」

「【0074】
(撮像動作)
図9は、電子錠システムにおける撮像動作のフローチャートである。初めに、室内端末100の撮像部104は、例えば、管理者用のユーザ端末400から送信される撮像を指示する撮像指示を受信すると固体撮像素子による撮像を行う(S301)。室内端末100の撮像部104は、撮像した撮像データを、無線通信部101を介して管理装置300へ送信する(S302)。管理装置300に送信された撮像データは、撮像した室内端末100のIDに関連付けて記憶(格納)される。また、室内端末100での撮像データは、管理人用やシステム開発者用のユーザ端末400にも送信されるため、該ユーザ端末400で確認することもできる。」

「【0080】
(アカウント作成)
次に、図12を参照してアカウント作成の手順について説明する。ユーザUは、ユーザ端末400の入力装置404を操作して、電子錠システムのアカウント作成のWEBサイトへアクセスする(S601)。ユーザ端末400の表示装置403にアカウント作成のページが表示される(S602)。次に、ユーザUは、ユーザ端末400の入力装置404を操作してアカウント作成に必要なユーザ情報(例えば、住所、氏名、連絡先、携帯電話番号、メールアドレス)を登録する(S603)。なお、ここで登録するユーザ情報は、認証情報として利用される。
【0081】
また、ユーザUは、ユーザ端末400の入力装置404を操作して自身を証明する証明書(例えば、免許証、保険証)の画像をアップロードして登録する(S604)。全ての事項の登録が完了すると、電子錠システムの運用者により証明書の確認(本人確認)が行われ、確認が取れるとアカウントIDとPW(Password)が発行される(S605)。発行されたアカウントIDとPWは、S103で登録した連絡先に送信される。なお、このアカウント作成は、ユーザ端末400以外(例えば、PC(Personal Computer)やタブレット端末)からも行うことができる。なお、アカウントIDとPWをユーザが設定できるようにしてもよい。」

「【0100】
また、本実施形態に係る電子錠システムの室内端末100は、撮像素子と、撮像を指示する撮像指示を受信すると撮像素子による撮像を行う撮像部104とを有している。つまり、本実施形態では、管理者等が任意のタイミングで室内を撮像して、室内の様子を把握することができ、実際の予約者と使用者が異なる等、申告内容と実際の使用状況が異なる場合や、緊急事態等を検知することができ、契約トラブルや事件・事故を未然に防いだり、スムーズに解決することができる。」

「図1



(イ)引用文献2に記載された技術的事項
上記(ア)の摘記事項から、引用文献2には、次の技術的事項が記載されている。
「内覧(内見)等、マンションやアパート、ビル等の建築物内の部屋の一時利用を管理するための、遠隔操作により扉の施錠及び開錠を行う電子錠を用いた電子錠システムであって、
建築物の部屋内(室内)に設置される室内端末と、部屋の扉に設けられた電子錠と、管理装置と、ユーザ端末とを備え、室内端末、電子錠、管理装置及びユーザ端末は、無線LANや有線LAN及び公衆回線等のネットワークにより互いに接続され、データ通信が可能であり、
室内端末は、タブレット端末であり、設置された部屋の扉に取り付けられている電子錠と無線通信し、電子錠に施錠信号及び開錠信号を送信し、室内端末の撮像部は、管理者用のユーザ端末から送信される撮像指示を受信すると撮像を行い、撮像した撮像データは、管理装置や管理人用のユーザ端末に送信され、該ユーザ端末で確認することができ、室内端末のマイク、スピーカ、表示装置を利用して、部屋の一時利用者と、部屋の管理者とがTV通話を行うことができ、
電子錠は、無線通信用のアンテナを有し、室内端末から送信される管理装置からの開錠信号又は施錠信号を無線信号により受信し、この無線受信した開錠信号又は施錠信号に基づいて扉を開錠又は施錠するものであり、
管理装置は、電子錠を操作可能なユーザの認証情報と、ユーザが電子錠を操作可能な時間帯(利用時間帯)とが関連づけて登録され、物件データ及びアカウントデータが記憶されるデータベースを有し、データベースに登録されるユーザID(UID)には、アカウントデータとして、アカウントID(AID)、パスワード(PW)、携帯電話番号、住所、氏名、会社名、メールアドレス、証明書(例えば、免許証、保険証など)の画像データ等のユーザ情報が関連づけて登録されるものであり、
ユーザは、ユーザが携帯するスマートフォンや携帯電話、PCといったユーザ端末を用いて、建築物内の部屋の一時利用を予約し、ユーザ端末の入力装置は、ユーザがアカウントの作成や一時利用の予約をする際に利用され、予約した建築物内の部屋の扉に設けられている電子錠を操作する際に利用され、
ユーザは、アカウント作成の際に、ユーザ端末の入力装置を操作して自身を証明する証明書(例えば、免許証、保険証)の画像をアップロードして登録し、電子錠システムの運用者により証明書の確認(本人確認)が行われ、確認が取れるとアカウントIDとPWが発行され、
管理者等が任意のタイミングで室内を撮像して、室内の様子を把握することができ、実際の予約者と使用者が異なる等、申告内容と実際の使用状況が異なる場合や、緊急事態等を検知することができ、契約トラブルや事件・事故を未然に防いだり、スムーズに解決したりすることができる、電子錠システム。」

(3)引用発明との対比
ア 対比
本件補正発明と引用発明とを、以下で対比する。

(ア)引用発明は、物件及び内覧希望日時を指定した内覧希望者が携帯する利用者端末に対し、物件に設けられた通信型電子錠に有効な鍵コードをサーバ装置が発行及び送信することにより、物件の内覧に同伴させる説明員を原則不要とする物件内覧システムに係る技術であり、本件補正発明と技術分野及び課題が共通する。

(イ)引用発明の「利用者端末」は、本件補正発明の「ユーザ端末」に相当し、引用発明の「通信型電子錠」は、内覧対象となる物件の出入り口に設けられたものであるから、本件補正発明の「玄関錠」に相当する。
また、引用発明の「センサ」である「監視カメラ」は、物件内の任意の場所にいる人を検出できるように、必要に応じて複数個所に設置されるものであり、内覧対象の物件内に複数設置される点で、本件補正発明の「複数の撮像装置」と共通する。
さらに、引用発明の「サーバ装置」は、「通信型電子錠」に鍵コード及び当該鍵コードの有効期間の情報を送信し、「通信型電子錠」から解錠を行った旨の通知を、物件又は通信型電子錠の識別情報等と共に受信するものであること、また、「監視カメラ」から取得した物件の内覧時の環境情報を受信するものであるから、玄関錠及び撮像装置との間で通信可能であるといえ、本件補正発明の「管理者端末」に相当する。

(ウ)引用発明の「物件内覧システム」において、「利用者端末」が、近距離無線通信により鍵コードを「通信型電子錠」に送信し、「サーバ装置」からウェブ情報や鍵コードを受信し、「サーバ装置」へ内覧申込情報を送信し、「センサ」である「監視カメラ」は生成した検知信号をサーバ装置へ送信するから、上記(イ)における対比を考慮すると、「ユーザ端末」、「玄関錠」、「複数の撮像装置」、「管理者端末」は、双方向通信網に接続されている。

(エ)引用発明の「利用者端末」は、「サーバ装置」の所定のURLのウェブ情報を受信することで内覧申込画面を表示し、当該内覧申込画面において内覧を希望する物件及び内覧予定日時などを指定した「内覧申込情報」を生成してサーバ装置へ送信するものであるところ、内覧を希望する物件は、賃貸や販売の対象となる不動産物件であるから、引用発明の「ウェブ情報を受信すること」は、本件補正発明の「前記不動産物件に関する情報提供サイトにアクセスすること」に相当する。
また、引用発明の「利用者端末」において、内覧申込画面へのユーザ入力に基づき生成された「内覧申込情報」を「サーバ装置」へ送信することは、本件補正発明の「前記不動産物件に対する内見を予約するための情報」を、情報提供サイトを介して「管理者端末」に送信することに相当する。
さらに、引用発明の「内覧申込情報」には、利用者端末のユーザに関する「ユーザ情報」が含まれており、本件補正発明のように「顔写真付きの身分証明情報」である旨の明記はないものの、ユーザに関するユーザ情報を管理者端末に送信する点において、本件補正発明と共通する。

(オ)引用発明の「サーバ装置」は、内覧申込情報を受信した場合に、物件管理者によって審査が行われるか定かではないものの、内覧申込情報において指定された物件に設けられた「通信型電子錠」に有効な「鍵コード」を「利用者端末」へ送信するとともに、「鍵コード」及び「当該鍵コードの有効期間の情報」を、「通信型電子錠」へ送信する。
ここで、引用発明の「有効期間」は、「内覧申込情報において指定された内覧予定日時を含む所定期間に設定される」ものであり、引用発明の「通信型電子錠」は、「利用者端末」から受信した「鍵コード」が現在日時において有効であると判断した場合に解錠を行うから、「当該鍵コードの有効期間」は、「鍵コード」により「解錠可能な日時及び時間帯」を意味するものである。
そして、引用発明の「鍵コード」には、「鍵コードの有効期間を指定する情報」が含まれていてもよいとされているから、引用発明の「鍵コードの有効期間を指定する情報」が含まれている「鍵コード」は、本件補正発明の「解錠可能な日時及び時間帯」が含まれている「解錠情報」に相当する。
さらに、「鍵コードの有効期間」以外の期間は、「鍵コード」が無効な期間であることは明らかであり、「鍵コード」によって「通信型電子錠」が解錠できない期間であるから、当然ユーザは入室できず、「決まった日時及び時間帯にしかユーザは入室でき」ないといえる。

(カ)引用発明の「通信型電子錠」は、「サーバ装置」から鍵コード及び当該鍵コードの有効期間の情報の通知を受けたり、解錠を行った旨の通知を「サーバ装置」へ送信したりするものであるから、「前記管理者端末との間で双方向通信するための双方向通信手段」を有する。
また、引用発明の「サーバ装置」は、「通信型電子錠」から転送された「利用者端末」からの鍵コードを参照して認証処理を行うことができるものであり、認証処理が正常に行われた場合には、「解錠すべき旨の指示信号」を「通信型電子錠」へ送信することから、引用発明の「通信型電子錠」は、「前記双方向通信手段を介して、前記管理者端末からの遠隔操作に応じて」「解錠」を行う点で、本件補正発明と共通し、「サーバ装置」の管理者は、内覧者が内覧終了後に施錠するのを忘れたことを確認した場合、「サーバ装置」から施錠の指示を、対象の「通信型電子錠」へ送信するよう操作することから、引用発明の「通信型電子錠」は、「前記双方向通信手段を介して、前記管理者端末からの遠隔操作に応じて」「施錠」を行う点でも、本件補正発明と共通する。
さらに、引用発明の「通信型電子錠」は、「サーバ装置」から通知された鍵コード及び当該鍵コードの有効期間の情報を参照し、「利用者端末」から受信した解錠要求に含まれる鍵コードが現在日時において有効であると判断した場合に、解錠を行うとともに、解錠を行った旨の通知を「サーバ装置」へ送信するから、「前記双方向通信手段を介して、前記管理者端末から送信されてくる前記解錠情報を受信し」、「前記解錠可能な日時及び時間帯」に解錠する点で、本件補正発明の「電子的解錠手段」と共通し、本件補正発明の「前記電子的解錠手段によって解錠された場合に、前記管理者端末に解錠された旨の情報を送信する解錠完了通知手段」を含むものである。

(キ)引用発明の「サーバ装置」は、「センサ」である「カメラ」の出力に基づき、「内覧者の動線(即ち移動軌跡)」などを含む物件の内覧時の環境情報を取得することから、引用発明の「カメラ」は、「内覧者の動線(即ち移動軌跡)」を出力するものであるところ、「カメラ」の出力する情報が、主として撮像により得られる「画像」であることを鑑みれば、「内覧者の動線(即ち移動軌跡)」を示す出力は、「ユーザが内見している様子」を撮像して得られた「内見中の」「画像」であるから、引用発明の「カメラ」は、「ユーザが内見している様子」を撮像するように配置されている点で、本件補正発明の「撮像装置」と共通する。
また、上記(イ)によれば、引用発明の「カメラ」は、内覧対象の物件内に複数設置されるものである。
そして、引用発明の「カメラ」は、「カメラ」の出力である「内見中の」「画像」を「サーバ装置」に送信するものであるから、「内見中の」「画像を前記管理者端末に送信する画像送信手段を含」む点で、本件補正発明の「撮像装置」と共通する。

(ク)上記(キ)によれば、引用発明の「サーバ装置」は、複数の「撮像装置」の「画像送信手段」からの画像を送信されるものである。
また、引用発明の「サーバ装置」は、通信型電子錠の状態が「解錠」であって、センサによる人の検知の有無が「なし」の場合に、内覧者の在室確認を促す警告を出力するものであるところ、「サーバ装置」の管理者は、この警告を受けて内覧者に内覧が終了したか否かの確認を電話又はメール等により行い、内覧者が内覧終了後に施錠するのを忘れたことを確認した場合、「サーバ装置」は、管理者の操作に基づき、施錠の指示を対象の「通信型電子錠」へ送信するから、「前記ユーザの退出を前記物件管理者が確認できた場合に、前記物件管理者の指示に応じて、前記玄関錠を遠隔操作して、前記玄関錠を施錠する」点で、本件補正発明の「管理者端末」と共通する。

イ 一致点及び相違点
上記ア(ア)〜(ク)によれば、本件補正発明と引用発明との一致点、相違点は、次のとおりである。
[一致点]
「ユーザ端末と、不動産物件に設置された玄関錠と、前記不動産物件に設置された複数の撮像装置と、前記玄関錠及び各前記撮像装置との間で通信可能な管理者端末とを備える不動産物件内見システムであって、
前記ユーザ端末、前記玄関錠、各前記撮像装置、及び前記管理者端末は、双方向通信網に接続されており、
前記ユーザ端末は、前記不動産物件に関する情報提供サイトにアクセスすることができると共に、前記不動産物件に対する内見を予約するための情報を、直接又は前記情報提供サイトを介して前記管理者端末に送信することが可能な通信装置であり、
前記ユーザ端末は、内見を予約する際に、ユーザ情報を、前記管理者端末に直接若しくは前記情報提供サイトを介して、送信するためのユーザ情報送信手段を含み、
前記管理者端末は、前記ユーザ端末からの内見予約を受け付けた場合、前記ユーザ端末に対して、前記玄関錠の解錠に必要な解錠情報を送信すると共に、前記玄関錠に対しても前記解錠情報を送信し、
前記解錠情報には、解錠可能な日時及び時間帯が含まれており、決まった日時及び時間帯にしかユーザは入室できず、
前記玄関錠は、
前記管理者端末との間で双方向通信するための双方向通信手段と、
前記双方向通信手段を介して、前記管理者端末からの遠隔操作に応じて、解錠及び施錠を行う手段と、
前記双方向通信手段を介して、前記管理者端末から送信されてくる前記解錠情報を受信し、前記解錠可能な日時及び時間帯において、解錠する電子的解錠手段と、
前記電子的解錠手段によって解錠された場合に、前記管理者端末に解錠された旨の情報を送信する解錠完了通知手段とを含み、
前記複数の撮像装置は、前記ユーザが内見している様子を撮像するように配置されており、内見中の画像を前記管理者端末に送信する画像送信手段を含み、
前記管理者端末は、前記ユーザの退出を前記物件管理者が確認できた場合に、前記物件管理者の指示に応じて、前記玄関錠を遠隔操作して、前記玄関錠を施錠する、ことを特徴とする、不動産物件内見システム。」
[相違点]
(相違点1)
本件補正発明の「不動産物件内見システム」は、「不動産物件の複数の部屋にそれぞれ設置された複数の撮像装置」を備えるのに対し、引用発明は、「不動産物件」に「複数の撮像装置」が設置されているものの、「複数の部屋にそれぞれ設置され」ているか定かではない点。

(相違点2)
内見を予約する際に、「ユーザ端末」から「管理者端末」へ送信する「ユーザ情報」として、本件補正発明は、「顔写真付きの身分証明情報」を送信するのに対し、引用発明は、ユーザ情報を送信しているものの、それが「顔写真付きの身分証明情報」を含まない点。

(相違点3)
ユーザ端末からの内見予約を受け付けた「管理者端末」が、ユーザ端末と玄関錠に対して解錠情報を送信する際に、本件補正発明は、「身分証明情報を用いた物件管理者による審査にユーザが合格」することを条件としているのに対し、引用発明は、「身分証明情報を用いた物件管理者による審査にユーザが合格」することを条件としていない点。

(相違点4)
本件補正発明の「玄関錠」に含まれる「電子的解錠手段」は、解錠可能な日時及び時間帯における「ユーザによる操作に基づいて」解錠するものであるのに対し、引用発明は、ユーザ端末から受信した「解錠情報」の「解錠可能な日時及び時間帯」が現在日時において有効な場合に解錠するものの、「ユーザによる操作に基づいて」解錠するか明らかではない点。

(相違点5)
本件補正発明は、「複数の撮像装置のいずれか」は、「ユーザが内見している様子」、「玄関の様子」、及び「窓の様子」を撮像するように配置されているのに対し、引用発明の「複数の撮像装置」は、「ユーザが内見している様子」の「画像」を管理者端末に送信するものではあるものの、「玄関の様子」、及び「窓の様子」を撮像するか明らかではない点。

(相違点6)
本件補正発明の「撮像装置」は、内見中の「リアルタイム画像」を管理者端末に送信するのに対し、引用発明は、管理者端末に送信される画像が「リアルタイム画像」であるか明らかではない点。

(相違点7)
本件補正発明の「管理者端末」は、「ユーザが前記身分証明情報の顔写真と同一人物であるか」、「ユーザがどの部屋にいるか」、「部屋の窓が閉まっているか」、「部屋の照明が消されているか」、及び「ユーザが退出したか」を物件管理者が認識できるように、「各部屋の画像を表示」するのに対し、引用発明では、そのような特定がない点。

(相違点8)
本件補正発明の「管理者端末」は、「前記画像で前記ユーザの退出を前記物件管理者が確認できた場合に、前記物件管理者の指示に応じて、前記玄関錠を遠隔操作して、前記玄関錠を施錠する」のに対し、引用発明は、「前記ユーザの退出を前記物件管理者が確認できた場合に、前記物件管理者の指示に応じて、前記玄関錠を遠隔操作して、前記玄関錠を施錠する」ものの、物件管理者によるユーザの退出の確認は電話又はメールによって行われ、画像で確認を行うものではない点。

(4)相違点についての判断
以下、相違点について検討する。
ア 相違点1について
引用発明の「監視カメラ」は、物件内の任意の場所にいる人を検出できるように、必要に応じて複数個所に設置されるものであるところ、物件内の任意の場所にいるユーザを複数箇所に設置されたカメラで検出するために、当該カメラの複数箇所の設置場所として不動産物件の複数の部屋とすることは、当業者が適宜なし得たことである。

イ 相違点2について
引用発明の「物件内覧システム」は、内覧申込画面で物件及び内覧希望日時を指定した内覧希望者が携帯する利用者端末に対し、内覧予定日時を含む所定期間において物件に設けられた通信型電子錠に有効な鍵コードをサーバ装置が発行及び送信することにより、物件の内覧に同伴させる説明員を原則不要とするものである。
一方、引用文献2には、上記(2)イのとおり、内覧(内見)等による、マンションやアパート、ビル等の建築物内の部屋の一時利用を管理するための電子錠システムの技術が記載されており、内覧の予約を行ったユーザが、自身のユーザ端末を利用して予約した部屋の扉に設けられた電子錠を操作することや、部屋内に設置される室内端末を利用して部屋の管理者とTV通話を行うことができ、部屋の管理者は、室内端末の撮像部によって撮像されて管理装置に送信された撮像データを確認することによって、室内の様子を把握することができるものであるから、引用文献2の電子錠システムも、ユーザが内覧を行う際に部屋の管理者の同伴なく、ユーザが単独で内覧を行うことができるシステムであるといえる。
また、引用文献2には、ユーザがユーザ端末を用いて建築物内の部屋の一時利用の予約やアカウントの作成を行うことや、アカウント作成の際に、ユーザ端末の入力装置を操作して、自身を証明する証明書として免許証や保険証の画像をアップロードして登録すること、電子錠システムの運用者により証明書の確認(本人確認)が行われ、確認が取れるとアカウントIDとPWが発行されること、管理装置において、アカウントデータとして証明書の画像データを登録することが記載されている。ここで、引用文献2に記載の電子錠システムにおいては、ユーザがアカウントを作成する際に、免許証や保険証の画像をアップロードして登録するものであるが、引用文献2の証明書は、本人確認のために使われるものであり、最新の証明書での本人確認を行うことは普通に行われることであるから、一時利用の予約を行う都度、証明書の画像データを送信させることも、当業者が適宜選択し得ることである。
引用発明及び引用文献2に記載された技術は、いずれも物件の内覧のために当該物件の部屋の一時利用を希望するユーザが、事前に物件の一時利用の予約を行い、予約された物件の一時利用が可能な時間帯であるか否かに応じて、遠隔操作による電子錠の解錠又は施錠を行うことにより、当該物件の管理者や説明員の同伴を不要とするシステムである点で共通するから、引用発明において、内覧を予約する際に、利用者端末からサーバ装置へ送信するユーザ情報として、引用文献2に記載された本人確認のための免許証の画像などの「顔写真付きの身分証明情報」を送信することは、当業者が容易に想到し得たことである。

ウ 相違点3について
引用発明のサーバ装置は、利用者端末からユーザ情報が含まれた内覧申込情報を受信した場合、内覧申込情報において指定された物件に設けられた通信型電子錠に有効な鍵コードを、利用者端末へ送信するとともに、通信型電子錠に対しても送信するものである。
一方、上記イのとおり、引用発明において、内覧を予約する際に、利用者端末からサーバ装置へ送信するユーザ情報として、引用文献2に記載された免許証の画像などの「顔写真付きの身分証明情報」を送信することは、当業者が容易に想到し得たことである。
そして、本件補正発明は、「ユーザ端末と、不動産物件に設置された玄関錠と、前記不動産物件の複数の部屋にそれぞれ設置された複数の撮像装置と、前記玄関錠及び各前記撮像装置との間で通信可能な管理者端末とを備える不動産物件内見システム」に関するものであるところ、相違点3に係る「審査」は、管理者端末を使用する「物件管理者」が行うことであって、「管理者端末」が、「顔写真付きの身分証明情報」を受信すること及び「ユーザ端末からの内見予約を受け付け」た場合に、「前記ユーザ端末に対して、前記玄関錠の解錠に必要な解錠情報を送信すると共に、前記玄関錠に対しても前記解錠情報を送信」することに加えて「管理者端末」の構成、機能等を何ら特定するものではなく、物件管理者による審査の有無は、本件補正発明の「不動産物件内見システム」として、構成、機能等の差異を生じさせるものではないから、実質的な相違点ではない。
仮に、物件管理者による審査の有無が、実質的な相違点であったとしても、引用文献2には、電子錠システムの運用者により証明書の確認(本人確認)が行われ、確認が取れるとアカウントIDとPWが発行されることが記載され、電子錠システムの運用者による証明書の本人確認を条件としてユーザのアカウントIDの発行を行っているから、引用発明において、ユーザ情報として免許証の画像を送信する場合に、身分証明情報を用いた物件管理者による審査にユーザが合格したことを解錠情報の送信の条件とすることも、適宜なし得たことである。

エ 相違点4について
引用発明の「利用者端末」は、近距離無線通信によって「通信型電子錠」に解錠要求を送信するものであるから、「利用者端末」のユーザが内覧対象となる物件の内覧を行うために、「利用者端末」から「通信型電子錠」へ解錠要求を送信する際に、解錠要求を送信するための何らかのユーザ操作を利用者端末上で行うようにすることは、当業者が適宜なし得たことである。

オ 相違点5について
引用文献2に記載の「電子錠システム」は、管理者が撮像データを確認して室内の様子を把握することにより、「実際の予約者と使用者が異なる等、申告内容と実際の使用状況が異なる場合や、緊急事態等を検知することができ、契約トラブルや事件・事故を未然に防いだり、スムーズに解決することができる」という効果を奏するものである。ここで、未然に防ぐべき「事件・事故」として想定されるものとして、玄関や窓の施錠といった戸締まりのし忘れによる不法侵入や盗難等があることは周知の事項であり、玄関や窓の施錠のし忘れを管理者が撮像データを確認することによって検知するために、玄関の様子や窓の様子を撮像することは、当業者が普通になし得る事項である。
引用発明及び引用文献2に記載された技術は、物件内に室内の様子を撮像するための撮像装置を有する点で共通するから、引用発明における複数の撮像装置を、玄関や窓の施錠のし忘れによる不法侵入や盗難等の事件・事故を未然に防ぐために利用することは、当業者が容易に想到し得たことであり、そのために、複数の撮像装置のいずれかによって、玄関の様子や窓の様子を撮像するように、撮像装置を配置することも、当業者が普通になし得たことである。

カ 相違点6について
引用文献2に記載の「撮像部」を有する「室内端末」は、当該室内端末のマイク、スピーカ、表示装置を利用して、部屋の一時利用者と、部屋の管理者とがTV通話を行うために利用することも想定されているところ、TV通話を行う場合、室内端末の撮像部による撮像画像を送信するものと解するのが自然であり、TV通話のために送信される撮像画像は「リアルタイム画像」が望ましいことは一般的な事項である。
そして、上記オでした判断のとおり、引用発明及び引用文献2に記載された技術は、物件内に室内の様子を撮像するための撮像装置を有する点で共通するから、引用発明の複数の監視カメラにおいて、管理者端末に画像を送信する際に、引用文献2に記載された「撮像部」を有する「室内端末」のように、管理者端末に「リアルタイム画像」を送信することは、当業者が適宜なし得たことである。

キ 相違点7について
本件補正発明の相違点7に係る事項は、「ユーザが前記身分証明情報の顔写真と同一人物であるか」、「ユーザがどの部屋にいるか」、「部屋の窓が閉まっているか」、「部屋の照明が消されているか」、及び「ユーザが退出したか」を「物件管理者」が認識できるように、「管理者端末」に「各部屋の画像」を表示するものであるところ、本件補正発明に係る「不動産物件内見システム」としては、これらを認識できるように用いる画像として、「管理者端末」が「各部屋の画像」を表示すること以外には、本件補正発明の構成、機能等を何ら特定するものではない。
そして、上記イのとおり、引用文献2には、室内端末の撮像部によって撮像されて管理装置に送信された撮像データを確認することによって、室内の様子を把握することができる技術的事項が記載されており、管理者が撮像データを確認するために、管理装置において、室内端末から送信された撮像データを表示することは明らかである。
上記オ及びカのとおり、引用発明及び引用文献2に記載された技術は、物件内に室内の様子を撮像するための撮像装置を有する点で共通するから、引用発明の「サーバ装置」において、複数の監視カメラから受信した画像に関し、引用文献2のように、管理者が室内の様子を把握できるようにするために、当該画像を表示するようにすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

ここで、本件補正発明において、「ユーザが前記身分証明情報の顔写真と同一人物であるか」、「ユーザがどの部屋にいるか」、「部屋の窓が閉まっているか」、「部屋の照明が消されているか」、及び「ユーザが退出したか」を「管理者端末」に表示された「各部屋の画像」に基づいて「物件管理者」が認識に用いることは、物件管理者が行う事項であり、「不動産物件内見システム」の構成、機能を特定するものではないから、実質的な相違点ではないが、画像の表示によって「物件管理者が認識」する事項として列挙された各事項について、一応検討する。

(ア)「ユーザが前記身分証明情報の顔写真と同一人物であるか」について
まず、上記イ及びウの判断のとおり、引用発明において、内覧を予約する際に、利用者端末からサーバ装置へ送信するユーザ情報として、引用文献2に記載された免許証の画像を「顔写真付きの身分証明情報」として送信し、本人確認に用いることは、当業者が容易に想到し得たことである。
そして、引用文献2に記載の「電子錠システム」では、管理者が撮像データを確認して室内の様子を把握することにより検知する事象として、「実際の予約者と使用者が異なる等、申告内容と実際の使用状況が異なる場合」が挙げられているから、引用発明の「サーバ装置」において、「実際の予約者と使用者が異なる」か否かを管理者が認識するために、各部屋の表示画像をユーザが前記身分証明情報の顔写真と同一人物であるかを認識するために用いることは当業者が普通になし得たことである。

(イ)「ユーザがどの部屋にいるか」について
上記アでした判断のとおり、引用発明の「監視カメラ」は、物件内の任意の場所にいる人を検出できるように、必要に応じて複数個所に設置されるものであるから、各部屋の表示画像を「ユーザがどの部屋にいるか」を認識するために用いることも、当業者が普通になし得たことである。

(ウ)「部屋の窓が閉まっているか」、「部屋の照明が消されているか」、「ユーザが退出したか」について
上記オでした判断のとおり、引用文献2に記載の「電子錠システム」では、管理者が撮像データを確認して室内の様子を把握することにより、事件・事故を未然に防ぐことを意図しており、そのために、玄関や窓の施錠といった戸締まりのし忘れを管理者が撮像データによって確認することは、当業者が普通になし得た事項である。
そして、玄関や窓の施錠といった戸締まりのし忘れを確認するために、各部屋の表示画像を「部屋の窓が閉まっているか」や「部屋の照明が消されているか」、「ユーザが退出したか」を認識するために用いることも、当業者が普通になし得たことである。
また、「ユーザが退出したか」については、以下の「ク 相違点8について」でさらに検討する。

ク 相違点8について
本件補正発明の相違点8に係る「ユーザの退出」を「確認」する事項は、「物件管理者」が行うことであり、本件補正発明に係る「不動産物件内見システム」としては、「管理者端末」が撮像装置から送信されてくる画像を表示する機能を有すること以外には、「物件管理者」が如何にして「ユーザの退出」を「確認」するかは、本件補正発明の構成、機能等を何ら特定するものではない。
そして、引用発明の「サーバ装置」は、「センサ」である「監視カメラ」から画像を受信するものであるから、相違点8に係る事項に関しては、本件補正発明に係る「不動産物件内見システム」と引用発明との間で、構成、機能等の差異はなく、相違点8は、実質的な相違点ではない。
相違点8が実質的な相違点であったとしても、引用発明の「サーバ装置」は、「センサ」である「監視カメラ」から受信する検知信号と、通信型電子錠から通知された解錠又は施錠に関する錠状態情報とに基づき、内覧者の施錠忘れやシステム異常などを検知するものであるところ、通信型電子錠の状態が「解錠」であって、「監視カメラ」によって物件の室内で人が検出されない状態は、内覧者が施錠するのを忘れたままユーザが退出した可能性があると判断して、サーバの管理者に内覧者の在室確認を促すための警告を出力するものであるから、管理者による内覧者の在室確認の方法として、上記キで検討したように、複数の監視カメラから受信した画像を表示して確認することは、当業者が適宜なし得たことであるし、管理者が画像を確認した結果、内覧者の在室が確認できなかったことをもって、ユーザの退出を確認することも、当業者が適宜なし得たことである。

ケ 作用効果について
そして、これらの相違点を総合的に勘案しても、本件補正発明の奏する作用効果は、引用発明及び引用文献2に記載された技術の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。

コ むすび
したがって、本件補正発明は、引用発明及び引用文献2に記載された技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

3 補正の却下の決定についてのむすび
よって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本願発明について
1 本願発明
令和2年12月21日にされた手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1から5に係る発明は、令和2年7月20日の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1から5に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、前記第2[理由]1(2)に記載のとおりのものである。

2 原査定の拒絶の理由
原査定(令和2年10月6日付け拒絶査定)の拒絶の理由は、この出願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の引用文献1に記載された発明及び引用文献2に記載された事項に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。

引用文献1:特開2017−207998号公報
引用文献2:特開2018−28206号公報

3 引用文献
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1ないし2及びその記載事項は、前記第2の[理由]2(2)に記載したとおりである。

4 対比・判断
本願発明は、前記第2の[理由]2で検討した本件補正発明から、管理者端末がユーザ端末に対して玄関錠の解錠に必要な解錠情報を送信するために直列的に設けられた条件のうち、「かつ前記身分証明情報を用いた物件管理者による審査にユーザが合格した場合」という条件の削除、及び、「解錠可能な日時及び時間帯が含まれて」いることにより、「決まった日時及び時間帯にしかユーザは入室できず」という「ユーザ」に関する限定事項を削除したものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本件補正発明が、前記第2の[理由]2(3)、(4)に記載したとおり、引用発明及び引用文献2に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、引用発明及び引用文献2に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。

 
別掲 (行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。
 
審理終結日 2021-09-27 
結審通知日 2021-09-29 
審決日 2021-10-15 
出願番号 P2019-073847
審決分類 P 1 8・ 575- Z (G06Q)
P 1 8・ 121- Z (G06Q)
最終処分 02   不成立
特許庁審判長 畑中 高行
特許庁審判官 古川 哲也
吉田 誠
発明の名称 不動産物件内見システム  
代理人 ▲高▼山 嘉成  

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