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審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 H04M
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H04M
管理番号 1382890
総通号数
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2022-04-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-01-29 
確定日 2022-03-29 
事件の表示 特願2019− 83021「端末、通信機能起動方法、通信システム及びプログラム」拒絶査定不服審判事件〔令和 1年 9月12日出願公開、特開2019−154054、請求項の数(13)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯

本願は、平成25年4月10日(優先権主張 平成24年5月1日)に出願した特願2013−81931号の一部を平成29年12月14日に新たな特許出願とした特願2017−239314号の一部を、さらに平成31年4月24日に新たな特許出願としたものであって、その手続の経緯の概要は、以下のとおりである。

令和 1年10月30日 手続補正書、上申書の提出
令和 2年 1月31日付け 拒絶理由通知
令和 2年 4月 2日 意見書、手続補正書の提出
令和 2年 7月17日付け 拒絶理由(最後の拒絶理由)通知
令和 2年 9月 7日 意見書、手続補正書の提出
令和 2年10月26日付け 補正の却下の決定、拒絶査定
令和 3年 1月29日 審判請求書、手続補正書の提出
令和 3年10月28日付け 拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」という。)通知
令和 3年12月13日 意見書、手続補正書の提出


第2 原査定の概要

原査定(令和2年10月26日付け拒絶査定)の概要は、次のとおりである。

1.(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

・請求項:1−14
・引用文献等:1

・請求項:1−14
・引用文献等:2

<引用文献等一覧>
1.特開2008−147944号公報
2.特開2008−259153号公報


第3 当審拒絶理由の概要

当審拒絶理由(令和3年10月28日付け拒絶理由)の概要は、次のとおりである。

1.(サポート要件)この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。

2.(明確性)この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

●理由1(サポート要件)について

請求項1−5、7−13に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものでない。

●理由2(明確性)について

請求項13に係る発明は、明確でない。


第4 本願発明

本願請求項1−13に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」−「本願発明13」という。)は、令和3年12月13日の手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1−13に記載された事項により特定される、以下のとおりの発明である。

「 【請求項1】
第1の通信方式によって映像データを他の端末と通信する第1の通信機能、及び前記第1の通信機能と呼制御方式が同じで前記第1の通信方式と少なくとも前記映像データの符号化方式が異なる第2の通信方式によって映像データを他の端末と通信する第2の通信機能を起動可能な端末であって、
オンラインを含む状態の他の端末の情報を管理する管理システムにログインした後に、前記他の端末の情報を前記管理システムから受信する受信手段と、
前記他の端末の情報を表示手段に表示させる表示制御手段と、
前記他の端末と映像データによる通信を開始する前に、前記表示制御手段によって前記表示手段に表示された前記第1の通信機能を起動させるための第1のアイコン及び前記第2の通信機能を起動させるための第2のアイコンを含む機能選択画面において、前記第1のアイコン及び前記第2のアイコンのうちいずれか一方の選択を受け付ける受付手段と、
前記第1のアイコンの選択が受け付けられた場合には前記第1の通信機能を起動させ、前記第2のアイコンの選択が受け付けられた場合には前記第2の通信機能を起動させる起動手段と、
を有し、
前記起動手段によって前記起動された前記第1の通信機能及び前記第2の通信機能の何れによって通信を開始する場合であっても、前記機能選択画面において選択された前記第1の通信機能又は前記第2の通信機能を前記起動手段によって起動させた状態で前記管理システムと確立した通信セッションを用いて通信開始要求を送信することによって前記他の端末と映像データによる通信を開始する
ことを特徴とする端末。
【請求項2】
前記表示制御手段は、前記表示手段に表示された前記映像データの通信先である宛先候補を選択する選択画面において、前記機能選択画面を表示させることを受け付けることが可能なアイコンを表示させ、
前記受付手段によって前記アイコンの選択が受け付けられた場合には、前記表示制御手段は、前記表示手段に前記機能選択画面を表示させることを特徴とする請求項1に記載の端末。
【請求項3】
前記他の端末と音データを送受信することを特徴とする請求項1又は2に記載の端末。
【請求項4】
前記第1の通信方式は、H.264/SVCで規定される第1の映像の符号化方式を含み、前記第2の通信方式は、H.264/AVCで規定される第2の映像の符号化方式を含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の端末。
【請求項5】
前記第2の通信機能が起動中である旨を示す稼働状態を送信する送信手段をさらに有し、
前記送信手段は、前記起動手段によって前記第1の通信機能が起動された場合には、前記第1の映像の符号化方式を用いて符号化された映像データを中継装置を介して前記他の端末に送信し、前記起動手段によって前記第2の通信機能が起動された場合には、前記第2の映像の符号化方式を用いて符号化された映像データを前記他の端末に直接送信することを特徴とする請求項4に記載の端末。
【請求項6】
前記第1の通信機能と前記第2の通信機能はいずれも同じ前記呼制御方式を用いて前記映像データを送受信するためのセッションを確立することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の端末。
【請求項7】
前記第1の通信機能は前記端末が有する第1の通信アプリケーションによって実現され、前記第2の通信機能は前記端末が有する前記第1の通信アプリケーションとは異なる第2の通信アプリケーションによって実現されることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の端末。
【請求項8】
前記端末は、テレビ会議端末であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の端末。
【請求項9】
前記通信機能は、通話機能を含むことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の端末。
【請求項10】
前記他の端末の情報は、前記他の端末に関連付けられた宛先名であることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載の端末。
【請求項11】
第1の通信方式によって映像データを他の端末と通信する第1の通信機能、及び前記第1の通信機能と呼制御方式が同じで前記第1の通信方式と少なくとも前記映像データの符号化方式が異なる第2の通信方式によって映像データを他の端末と通信する第2の通信機能を起動可能な端末が実行する通信機能起動方法であって、
オンラインを含む状態の他の端末の情報を管理する管理システムにログインした後に、前記他の端末の情報を前記管理システムから受信する受信ステップと、
前記他の端末の情報を表示手段に表示させる表示制御ステップと、
前記他の端末と映像データによる通信を開始する前に、前記表示制御ステップによって前記表示手段に表示された前記第1の通信機能を起動させるための第1のアイコン及び前記第2の通信機能を起動させるための第2のアイコンを含む機能選択画面において、前記第1のアイコン及び前記第2のアイコンのうちいずれか一方の選択を受け付ける受付ステップと、
前記第1のアイコンの選択が受け付けられた場合には前記第1の通信機能を起動させ、前記第2のアイコンの選択が受け付けられた場合には前記第2の通信機能を起動させる起動ステップと、
前記起動ステップによって前記起動された前記第1の通信機能及び前記第2の通信機能の何れによって通信を開始する場合であっても、前記機能選択画面において選択された前記第1の通信機能又は前記第2の通信機能を前記起動ステップによって起動させた状態で前記管理システムと確立した通信セッションを用いて通信開始要求を送信することによって前記他の端末と映像データによる通信を開始する通信開始ステップと、を含む処理
を実行することを特徴とする通信機能起動方法。
【請求項12】
第1の通信方式によって映像データを他の端末と通信する第1の通信機能、及び前記第1の通信機能と呼制御方式が同じで前記第1の通信方式と少なくとも前記映像データの符号化方式が異なる第2の通信方式によって映像データを他の端末と通信する第2の通信機能を起動可能な少なくとも一つ以上の端末と、
オンラインを含む状態の他の端末の情報を管理する管理システムと、
がネットワークを介して接続される通信システムであって、
前記端末は、
オンラインを含む状態の他の端末の情報を管理する前記管理システムにログインした後に、前記他の端末の情報を前記管理システムから受信する受信手段と、
前記他の端末の情報を表示手段に表示させる表示制御手段と、
前記他の端末と映像データによる通信を開始する前に、前記表示制御手段によって前記表示手段に表示された前記第1の通信機能を起動させるための第1のアイコン及び前記第2の通信機能を起動させるための第2のアイコンを含む機能選択画面において、前記第1のアイコン及び前記第2のアイコンのうちいずれか一方の選択を受け付ける受付手段と、
前記第1のアイコンの選択が受け付けられた場合には前記第1の通信機能を起動させ、前記第2のアイコンの選択が受け付けられた場合には前記第2の通信機能を起動させる起動手段と、
を有し、
前記起動手段によって前記起動させた前記第1の通信機能及び前記第2の通信機能の何れによって通信を開始する場合であっても、前記機能選択画面において選択された前記第1の通信機能又は前記第2の通信機能を前記起動手段によって起動させた状態で前記管理システムと確立した通信セッションを用いて通信開始要求を送信することによって前記他の端末と映像データによる通信を開始する
ことを特徴とする通信システム。
【請求項13】
コンピュータに、
オンラインを含む状態の他の端末の情報を管理する管理システムにログインした後に、前記他の端末の情報を前記管理システムから受信する処理と、
前記他の端末の情報を表示手段に表示させる処理と、
前記他の端末と映像データによる通信を開始する前に、前記表示させる処理によって前記表示手段に表示された第1の通信方式によって映像データを他の端末と通信する第1の通信機能を起動させるための第1のアイコン、及び前記第1の通信機能と呼制御方式が同じで前記第1の通信方式と少なくとも前記映像データの符号化方式が異なる第2の通信方式によって映像データを他の端末と通信する第2の通信機能を起動させるための第2のアイコンを含む機能選択画面において、前記第1のアイコン及び前記第2のアイコンのうちいずれか一方の選択を受け付ける処理と、
前記第1のアイコンの選択が受け付けられた場合には前記第1の通信機能を起動させ、前記第2のアイコンの選択が受け付けられた場合には前記第2の通信機能を起動させる処理と、
前記起動させる処理によって前記起動された前記第1の通信機能及び前記第2の通信機能の何れによって通信を開始する場合であっても、前記機能選択画面において選択された前記第1の通信機能又は前記第2の通信機能が起動された状態で前記管理システムと確立した通信セッションを用いて通信開始要求を送信することによって前記他の端末と映像データによる通信を開始する処理と、
を実行させることを特徴とするプログラム。」


第5 原査定についての判断

1.引用発明

(1)引用文献1について

原査定の拒絶の理由に引用された特開2008−147944号公報(以下、「引用文献1」という。下線は、当審において付与した。)には、次の事項が記載されている。

(ア)「【0001】
本発明は、現在の状態を示すプレゼンス情報を相互に通知し合う携帯端末に関する。」

(イ)「【0009】
本発明に係る携帯端末等の情報処理装置1の実施形態について、添付図面を参照しながら説明する。なお、本発明に係る情報処理装置1として、携帯端末型の複数の情報処理装置1A、1B、1C、…を例にとって説明する。
【0010】
図1に、本発明に係る情報処理装置1が適用されるネットワークシステム2の構成図を示す。
【0011】
このネットワークシステム2には、通信サービスの提供エリアを所望の大きさに分割したセル内にそれぞれ固定無線局である基地局3A、3B、…が設置されている。この基地局3A、3B、…は、移動無線局である情報処理装置1A、1B、1C、…が例えばW−CDMA(Wideband-Code Division Multiple Access)方式と呼ばれる符号分割多元接続方式によって無線接続されており、例えば2GHz周波数帯の5MHz帯域を利用して、静止時には2Mbps、移動時は384kbpsのデータ転送速度で大容量の高速データ通信を行うことができる。
【0012】
情報処理装置1は、W−CDMA方式によって大容量データの高速データ通信を行うことにより、音声通話だけでなく電子メールの送受信、簡易ホームページの閲覧、画像の送受信等の多種に及ぶデータ通信が可能である。
【0013】
また、基地局3A、3B、…は、有線回線を介して公衆回線網4に接続されており、公衆回線網4には、インターネットサービスプロバイダのアクセスサーバ5が接続されている。アクセスサーバ5には、ネットワーク6(例えば、インターネット、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、その他の各種のネットワークを含む)を介して、サーバとして使用されている一般的なPC等の情報管理装置7が接続されている。」

(ウ)「【0016】
図2及び図3に、情報処理装置1の一例として説明に用いている折り畳み型の携帯電話機の外観図を示す。図2[A]は、情報処理装置1の約180度に見開いた状態の正面図であり、図2[B]は、情報処理装置1の見開いた状態の側面図である。また、図3[A]は、情報処理装置1の折り畳んだ状態の正面図であり、図3[B]は、情報処理装置1の折り畳んだ状態の側面図である。
【0017】
図2及び図3に示すように、情報処理装置1は、中央のヒンジ部21を挟むように第1の筐体22と第2の筐体23とがヒンジ結合されており、ヒンジ部21を介して図2のX方向に折り畳み可能に形成される。情報処理装置1の内部の所定の位置には、送受信用のアンテナ(後述する図4のアンテナ57)が設けられており、内蔵されたアンテナ57を介して基地局(図示せず)との間で電波を送受信する。
【0018】
第1の筐体22の中央部には、メインディスプレイ25が設けられている。このメインディスプレイ25の上部には、例えば、現在のアンテナ57の感度のレベルを示すアンテナピクト、情報処理装置1の現在の電池残量を示す電池ピクト、現在の時刻等が表示される。メインディスプレイ25の中央部には、例えば、友人のプレゼンス状態やコメント等が表示されている。メインディスプレイ25の下部には、例えば、後述する操作キー24に対して任意の処理が割り当てられていることを示す「選択」、「メニュー」等の処理内容が表示されている。」

(エ)「【0031】
図4は、情報処理装置1の機能構成図である。
【0032】
情報処理装置1は、図4に示すように、主制御部41、記憶部42、電源回路部43、操作入力制御44、LCD制御部45、カメラインターフェース46、画像エンコーダ47、音声コーディック48、変復調回路部49、多重化分離部50、画像デコーダ51、無線LANモジュール52、放送波受信部53、記録再生部54、がバス55によって相互に接続されて構成される。
【0033】
主制御部41は、様々なデータ処理や演算を行うCPU(Central Processing Unit)からなる。記憶部42は、主制御部41が行う処理プログラム等を格納するROM(Read Only Memory)やハードディスク等の磁気的な記憶装置、主制御部41が処理を行う際に使用するデータを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)等の電気的な記憶装置とからなる。記憶部42には、所持者である当人のプロフィール情報や、友人のプロフィール情報、ディジタル写真情報等を含んだ電話帳情報が記憶されている。また、主制御部41には、現在の日付と時刻を計測するタイマが内蔵されている。
【0034】
電源回路部43は、ユーザの操作キー24による入力により電源のオン/オフ状態を切り替え、電源がオン状態の場合には電源(バッテリパック等)から各部に対して電力を供給して、情報処理装置1を動作可能にする。
【0035】
操作入力制御部44は、操作キー24によって入力されたデータを主制御部41に伝送する。
【0036】
LCD制御部45は、主制御部41の制御に基づいて、画像データをメインディスプレイ25またはサブディスプレイ31に表示する処理を行う。」

(オ)「【0051】
なお、主制御部41が実行する種々のアプリケーションプログラムは、記憶部42に予めインストールしておくことができる。また、主制御部41が実行する種々のアプリケーションプログラムは、通信回線を介してダウンロードすることにより、記憶部42にインストールすることができる。さらに、主制御部41が実行する種々のアプリケーションプログラムは、メモリカード58に記録しておき、記録再生部54によって読み出して、記憶部42にインストールすることも可能である。
【0052】
情報処理装置1は、現在の状態を表すプレゼンス情報を仲間同士で相互に通知し合うプレゼンス情報通知機能を有しており、情報処理装置1の主制御部41は、ユーザからの要求に応じて友人のプレゼンス情報をメインディスプレイ25に表示する。
【0053】
情報処理装置1は、プレゼンス情報として、情報処理装置1のユーザにとって望ましい通信手段を通知することにより、相互のコミュニケーションを円滑に行えるように促す。
【0054】
特に、情報処理装置1において音声パス(レシーバ、マイク)を利用するアプリケーションプログラムを使用する際には、プレゼンス情報をリアルタイムに変更できることが望ましい。なぜなら、音声パスを利用するアプリケーションプログラムとして、主に音声通話、テレビ電話、PTTの3種類のアプリケーションプログラムが用いられているが、これらのいずれかの機能を利用している最中においては、音声パスの制限により、新たに別の音声パスを利用するアプリケーションプログラムが開始できなくなってしまう、すなわち音声パスが占有されてしまうためである。
【0055】
そこで、情報処理装置1は、アプリケーションプログラムの起動等のユーザの動作に応じて、プレゼンス情報を更新するプレゼンス情報更新処理を行う。
【0056】
情報処理装置1の記憶部42には、図5に示すようなプレゼンス情報更新処理の処理内容を予めプレゼンス情報更新処理情報60として記憶している。プレゼンス情報更新処理情報60は、処理内容を指定するためのユーザの動作を示すユーザ動作情報60a、音声通話時の処理内容を示す音声通話時処理情報60b、メール時の処理内容を示すメール時処理情報60c、PTT通話時の処理内容を示すPTT通話時処理情報60d、ユーザ動作情報60aで示された処理を行っている時に表示されるコメントを示すコメント情報60e、IMSサービスの処理内容を示すIMSサービス情報60fの情報を含んでいる。
【0057】
例えば、情報処理装置1の主制御部41は、ユーザにより音声通話処理のアプリケーションプログラムが開始された際には、図5の最上段に示すように、IMSサービスをOfflineにし、音声通話を使用不可に、PTT通話を使用不可に設定するとともに、メインディスプレイ25に表示されるコメントを、プレゼンス情報更新処理情報60のコメント情報60eとして予め記憶されている「通話中」に変更する。なお、この場合には、メールに関しては変更する必要がない。
【0058】
また、情報処理装置1の記憶部42には、図6に示すような友人プレゼンス情報61が記憶されている。情報処理装置1は、情報管理端末7から友人のプレゼンス情報を受信した際に、この友人のプレゼンス情報を記憶部42の友人プレゼンス情報61に随時記憶し直す。友人プレゼンス情報61は、友人毎に、電話番号を示す電話番号情報61a、名前を示す名前情報61b、通話可能な状態か否かを示す通話状態情報61c、メール可能な状態か否かを示すメール状態情報61d、PTT通話可能な状態か否かを示すPTT状態情報61e、絵文字や顔文字や簡易テキスト等によりユーザの気分状態を示す気分状態情報61f、ユーザにより入力されたコメントを示すコメント情報61gとを含んでいる。
【0059】
情報処理装置1の主制御部41は、この記憶部42に記憶された友人プレゼンス情報61に基づいて、図7に示すようなプレゼンス状態表示画面70を、LCD制御部45を介してメインディスプレイ25に表示する。
【0060】
プレゼンス状態表示画面70において、図7に示すように、情報処理装置1の所持者である当人及び記憶部42に友人プレゼンス情報として登録されている友人について、名前情報61b、気分状態情報61f、コメント情報61g、音声通話状態情報61c、メール状態情報61d、PTT通話状態情報61e等のプレゼンス状態が表示される第1の領域71(図7において、当人の領域71a、友人の領域72bで示す。)と、友人の情報処理装置1にメールを送るためのメールボタン72、第1の領域71から友人を選択するための選択ボタン73、メニューを表示するためのメニューボタン74が表示される第2の領域75を有する。
【0061】
情報処理装置1のユーザにより、第1の領域71(友人の領域71b)から友人の情報処理装置1が選択されて第2の領域からメールボタン72が選択されると、主制御部41は、選択された友人の情報処理装置1に対するメールの文章を入力されるための画面(図示せず)を表示する。
【0062】
また、第1の領域71(友人の領域71b)から友人が選択されて第2の領域75から選択ボタン73が選択されると、主制御部41は、図8に示すような、選択された友人のユーザプロフィール画面80をメインディスプレイ25に表示する。ユーザプロフィール画面80は、選択された友人に関して予め記憶部42に記憶された電話帳情報を読み出して名前情報61bやディジタル写真等を表示する第1の領域81、記憶部42に記憶された友人プレゼンス情報61を読み出してオンライン/オフラインの状態やプレゼンス情報等を表示する第2の領域82と、友人にメールを送るためのメールボタン83、第2の領域82から友人を選択するための選択ボタン84、メニューを表示するためのメニューボタン85が表示される第2の領域86を有する。
【0063】
一方、情報管理装置7は、複数の情報処理装置1A、1B、1C、…から受信したプレゼンス情報からなるユーザプレゼンス情報62を記憶している。ユーザプレゼンス情報62は、図9に示すように、情報処理装置1に記憶されている友人プレゼンス情報61と同様に、電話番号情報62a、名前情報62b、音声通話状態情報62c、メール状態情報62d、PTT通話状態情報62e、気分状態情報62f、コメント情報62gを含んでおり、さらにこれらの情報が更新された最新の日時を示す更新日時情報62hを含んでいる。」

(カ)「【0066】
以下、情報処理装置1Aのユーザを当人とし、情報処理装置1B、1C、…のユーザを友人として、説明する。
【0067】
情報処理装置1Aが音声通話処理等のアプリケーションプログラムの起動に応じてプレゼンス情報を更新するプレゼンス情報更新処理の手順を、図11に示すフローチャートに基づいて説明する。
【0068】
始めに、情報処理装置1Aの主制御部41は、ユーザの操作キー24による指示や記憶部42に予め記憶されている起動予約情報、あるいは他の情報処理装置1B、1C等からの依頼等に基づいた指示により、音声通話処理等のアプリケーションプログラムを起動する(S101)。この起動操作のトリガは、例えば、発呼操作における通話ボタン押下であってもよいし、電話帳呼出操作であってもよいし、PTT接続時の発呼操作であってもよいし、メール作成画面の呼び出し操作であってもよいし、メール送信操作であってもよい。」

(キ)「
【図2】


【図3】


【図4】


【図6】


【図7】


【図8】



上記(ア)〜(キ)の記載によれば、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されている。

<引用発明1>
「ネットワークシステム2には、通信サービスの提供エリアを所望の大きさに分割したセル内にそれぞれ固定無線局である基地局3A、3B、…が設置されており、基地局3A、3B、…は、移動無線局である情報処理装置1A、1B、1C、…が例えばW−CDMA(Wideband-Code Division Multiple Access)方式と呼ばれる符号分割多元接続方式によって無線接続されており、例えば2GHz周波数帯の5MHz帯域を利用して、静止時には2Mbps、移動時は384kbpsのデータ転送速度で大容量の高速データ通信を行うことができ(【0011】)、
情報処理装置1は、W−CDMA方式によって大容量データの高速データ通信を行うことにより、音声通話だけでなく電子メールの送受信、簡易ホームページの閲覧、画像の送受信等の多種に及ぶデータ通信が可能であり(【0012】)、
基地局3A、3B、…は、有線回線を介して公衆回線網4に接続されており、公衆回線網4には、インターネットサービスプロバイダのアクセスサーバ5が接続されており、アクセスサーバ5には、ネットワーク6(例えば、インターネット、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、その他の各種のネットワークを含む)を介して、サーバとして使用されている一般的なPC等の情報管理装置7が接続され(【0013】)、
情報処理装置1は、中央のヒンジ部21を挟むように第1の筐体22と第2の筐体23とがヒンジ結合されており、ヒンジ部21を介して図2のX方向に折り畳み可能に形成されており、情報処理装置1の内部の所定の位置には、送受信用のアンテナ(後述する図4のアンテナ57)が設けられており、内蔵されたアンテナ57を介して基地局(図示せず)との間で電波を送受信し(【0017】)、
第1の筐体22の中央部には、メインディスプレイ25が設けられており、このメインディスプレイ25の上部には、例えば、現在のアンテナ57の感度のレベルを示すアンテナピクト、情報処理装置1の現在の電池残量を示す電池ピクト、現在の時刻等が表示され、メインディスプレイ25の中央部には、例えば、友人のプレゼンス状態やコメント等が表示され、メインディスプレイ25の下部には、例えば、後述する操作キー24に対して任意の処理が割り当てられていることを示す「選択」、「メニュー」等の処理内容が表示され(【0018】)、
情報処理装置1は、図4に示すように、主制御部41、記憶部42、電源回路部43、操作入力制御44、LCD制御部45、カメラインターフェース46、画像エンコーダ47、音声コーディック48、変復調回路部49、多重化分離部50、画像デコーダ51、無線LANモジュール52、放送波受信部53、記録再生部54、がバス55によって相互に接続されて構成され(【0032】)、
主制御部41は、様々なデータ処理や演算を行うCPU(Central Processing Unit)からなり、記憶部42は、主制御部41が行う処理プログラム等を格納するROM(Read Only Memory)やハードディスク等の磁気的な記憶装置、主制御部41が処理を行う際に使用するデータを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)等の電気的な記憶装置とからなり、記憶部42には、所持者である当人のプロフィール情報や、友人のプロフィール情報、ディジタル写真情報等を含んだ電話帳情報が記憶され(【0033】)、
LCD制御部45は、主制御部41の制御に基づいて、画像データをメインディスプレイ25またはサブディスプレイ31に表示する処理を行い(【0036】)、
主制御部41が実行する種々のアプリケーションプログラムは、記憶部42に予めインストールしておくことができ、また、主制御部41が実行する種々のアプリケーションプログラムは、通信回線を介してダウンロードすることにより、記憶部42にインストールすることができ、さらに、主制御部41が実行する種々のアプリケーションプログラムは、メモリカード58に記録しておき、記録再生部54によって読み出して、記憶部42にインストールすることも可能であり(【0051】)、
情報処理装置1は、現在の状態を表すプレゼンス情報を仲間同士で相互に通知し合うプレゼンス情報通知機能を有しており、情報処理装置1の主制御部41は、ユーザからの要求に応じて友人のプレゼンス情報をメインディスプレイ25に表示し(【0052】)、
情報処理装置1において音声パス(レシーバ、マイク)を利用するアプリケーションプログラムを使用する際には、プレゼンス情報をリアルタイムに変更できることが望ましく、なぜなら、音声パスを利用するアプリケーションプログラムとして、主に音声通話、テレビ電話、PTTの3種類のアプリケーションプログラムが用いられているが、これらのいずれかの機能を利用している最中においては、音声パスの制限により、新たに別の音声パスを利用するアプリケーションプログラムが開始できなくなってしまう、すなわち音声パスが占有されてしまうためであり(【0054】)、
情報処理装置1の記憶部42には、図6に示すような友人プレゼンス情報61が記憶されており、情報処理装置1は、情報管理端末7から友人のプレゼンス情報を受信した際に、この友人のプレゼンス情報を記憶部42の友人プレゼンス情報61に随時記憶し直し、友人プレゼンス情報61は、友人毎に、電話番号を示す電話番号情報61a、名前を示す名前情報61b、通話可能な状態か否かを示す通話状態情報61c、メール可能な状態か否かを示すメール状態情報61d、PTT通話可能な状態か否かを示すPTT状態情報61e、絵文字や顔文字や簡易テキスト等によりユーザの気分状態を示す気分状態情報61f、ユーザにより入力されたコメントを示すコメント情報61gとを含んでおり(【0058】)、
情報処理装置1の主制御部41は、この記憶部42に記憶された友人プレゼンス情報61に基づいて、図7に示すようなプレゼンス状態表示画面70を、LCD制御部45を介してメインディスプレイ25に表示し(【0059】)、
プレゼンス状態表示画面70において、図7に示すように、情報処理装置1の所持者である当人及び記憶部42に友人プレゼンス情報として登録されている友人について、名前情報61b、気分状態情報61f、コメント情報61g、音声通話状態情報61c、メール状態情報61d、PTT通話状態情報61e等のプレゼンス状態が表示される第1の領域71(図7において、当人の領域71a、友人の領域72bで示す。)と、友人の情報処理装置1にメールを送るためのメールボタン72、第1の領域71から友人を選択するための選択ボタン73、メニューを表示するためのメニューボタン74が表示される第2の領域75を有し(【0060】)、
第1の領域71(友人の領域71b)から友人が選択されて第2の領域75から選択ボタン73が選択されると、主制御部41は、図8に示すような、選択された友人のユーザプロフィール画面80をメインディスプレイ25に表示し、ユーザプロフィール画面80は、選択された友人に関して予め記憶部42に記憶された電話帳情報を読み出して名前情報61bやディジタル写真等を表示する第1の領域81、記憶部42に記憶された友人プレゼンス情報61を読み出してオンライン/オフラインの状態やプレゼンス情報等を表示する第2の領域82と、友人にメールを送るためのメールボタン83、第2の領域82から友人を選択するための選択ボタン84、メニューを表示するためのメニューボタン85が表示される第2の領域86を有し(【0062】)、
情報管理装置7は、複数の情報処理装置1A、1B、1C、…から受信したプレゼンス情報からなるユーザプレゼンス情報62を記憶しており、ユーザプレゼンス情報62は、図9に示すように、情報処理装置1に記憶されている友人プレゼンス情報61と同様に、電話番号情報62a、名前情報62b、音声通話状態情報62c、メール状態情報62d、PTT通話状態情報62e、気分状態情報62f、コメント情報62gを含んでおり、さらにこれらの情報が更新された最新の日時を示す更新日時情報62hを含んでおり(【0063】)、
情報処理装置1Aの主制御部41は、ユーザの操作キー24による指示や記憶部42に予め記憶されている起動予約情報、あるいは他の情報処理装置1B、1C等からの依頼等に基づいた指示により、音声通話処理等のアプリケーションプログラムを起動し(S101)、この起動操作のトリガは、例えば、発呼操作における通話ボタン押下であってもよいし、電話帳呼出操作であってもよいし、PTT接続時の発呼操作であってもよいし、メール作成画面の呼び出し操作であってもよいし、メール送信操作であってもよい(【0068】)、
携帯端末等の情報処理装置1(【0009】)。」


(2)引用文献2について
原査定の拒絶の理由に引用された特開2008−259153号公報(以下、「引用文献2」という。下線は、当審において付与した。)には、次の事項が記載されている。

(ク)「【0004】
このような状況は、パーソナル・コンピュータなどの汎用情報端末を使った通信ではさらに著しい。パーソナル・コンピュータの利用者は、インターネットを利用した電子メール、IP電話を利用した音声通話やテレビ会議、文字によるチャット、FTP(File Transfer Protocol)やHTTP(HyPer text Transfer Protocol)などによる任意のファイル転送などといった、複数の通信方法を必要に応じて選択しながら、任意の相手と通信している。さらに近年は、利用者の認証手段を有するウェブサイトを通じてサーバの記憶装置上に電子メールのデータを記憶させた上、パーソナル・コンピュータなどの情報端末のウェブブラウザからインターネットを通じてこのデータにアクセスする、いわゆるウェブメール型の電子メールが急速に普及している。情報端末の利用者は、このようなウェブメール型の電子メールサービスを複数利用している場合が多く、従来から使われてきたSMTP(Simple Mail Transfer Protocol)やPOP(Post Office Protocol)などのプロトコルに依存する電子メールの電子メールサービスに加えて、ウェブメールサービス毎に異なる複数の電子メールサービスを、必要に応じて選択しながら、任意の相手と通信している。」

(ケ)「【0029】
(定義)
コンタクト情報とは、ある特定の通信サービス内で、通信相手を一意に特定し、かつその通信相手との通信開始に必要な情報を指す。たとえば携帯電話事業者から利用者に与えられるコンタクト情報は携帯電話番号であり、電子メールサービス事業者から利用者に与えられるコンタクト情報は電子メールアドレスであり、SNSサービス事業者から利用者に与えられるコンタクト情報はSNS名である。
【0030】
コンタクトリストとは、通信端末の記憶装置に記憶した、または通信サービス事業者のサーバに記憶され必要に応じて通信端末の記憶装置に呼び出すことのできる、通信相手のコンタクト情報の集合であって、かつその中でコンタクト情報を利用者が情報端末に直接入力することなく、各々のコンタクト情報に関連づけられた名前などの通信相手の情報を選択することで、相手との通信が開始できる形で利用者に提供されるものと定義する。たとえば、パーソナル・コンピュータ上の電話帳プログラムによって表示装置に表示された電話番号を、利用者自ら携帯電話機のボタンを押して入力しなければならない場合、この電話帳プログラムによって管理されているコンタクト情報である電話番号の集合は、コンタクトリストではない。しかし、携帯電話機の電話帳にあらかじめ登録され、通信相手の名前を選択するだけで、電話番号を入力することなく相手との通信を開始できる場合、この電話帳に登録された電話番号の集合はコンタクトリストである。また他の一例では、ソーシャル・ネットワーク・サイトを閲覧する際、情報端末のウェブブラウザ上に表示される友人のリストは、コンタクト情報である利用者のこのサービスのユーザ名を直接入力せずとも、友人のサイトを閲覧できるものであれば、その友人の認識票の集合はコンタクトリストである。
【0031】
本願発明は、ネットワークに接続された様々な通信端末に利用できる。ここで使われる通信端末は、パーソナル・コンピュータ、携帯型情報端末、有線電話機、携帯電話機、ゲーム機、テレビ、ビデオレコーダ、カメラ、ビデオカメラ、携帯型音楽プレーヤー、など何でもよい。またここでは、主とした目的が通信ではない端末、たとえばパーソナル・コンピュータ、ゲーム機、コンピュータ、カメラなどであっても、ネットワークに接続が可能であり、他者と何らかの通信が可能な情報端末はすべて通信端末と呼ぶ。また通信する2つ以上の通信端末が同じ種類の情報端末である必要はない。たとえば、本願発明による方法で、パーソナル・コンピュータから、携帯電話機のコンタクト情報および、ゲーム機のコンタクト情報を選択し、この3つの端末で三者通話を行うような場合にも、本願発明は適用される。また、本願発明は、前記通信端末上で動くさまざまな通信サービスについて利用される。ここで使われる通信サービスは、音声通話、動画通話、ウェブサイトでの様々な情報の閲覧、ウェブサイトへの情報のアップロード、チャット、電子メール、ファイル転送、など、どのような通信サービスであってもよい。」
【0032】
図1に示す一例では、利用者Aは情報端末11を使って、電子メールサービスV、IP電話サービスW、IP電話サービスX、および文字チャットサービスZの4つの通信サービスを利用している。同様に利用者Bの通信端末12では、V、X、YおよびZの通信サービスを、利用者Cの通信端末ではV、W、およびXの通信サービスを、そして利用者Dの端末ではV、W、およびYの通信サービスをそれぞれ利用している。各利用者は、その必要または通信相手に応じて通信サービスを使い分けている。この状態で図2を参照すると、本願発明の一実施形態では、上記V、W、X、Y、およびZの通信サービスに加えて、これらの通信サービスにおけるコンタクト情報を交換するために、これらとは独立したもう一つの共通サービスPを有する。この共通サービスPの構成要素としては、認識票発行サーバ21、および情報中継サーバ22を有する。いま、利用者A、B、C、およびDはすべてこの共通サービスPの利用者である。なお、以下の説明をフローチャートとして図3に示す。
【0033】
(実施形態1)
本実施形態1の第一のステップでは、共通サービスPの認識票発行サーバ21が、共通サービスPの利用者の各々を一意に特定するための認識票を、各々の利用者の通信端末に送る。(ステップS301)図2に示す一例では、A、B、C、およびDの各通信端末に、ID(A)、ID(B)、ID(C)およびID(D)の4つの認識票を各々送っている。次に、これらの認識票を受け取った各々の端末では、その端末が利用する通信サービスで利用する自分のコンタクト情報とともに、受け取った認識票を自分の情報用記憶装置または記憶領域23に記憶する。またこのとき、これら認識票およびコンタクト情報とともに、利用者Bが通信相手の通信端末で認識されやすいように名乗る任意の名前を決め、これを自分の情報用記憶装置または記憶領域23に記憶してもよい。(ステップS302)たとえば、利用者Bの端末では、認識票発行サーバ21から受け取ったID(B)に加えて、利用者Bの使っている各種通信サービスの利用者B自身のコンタクト情報であるCntV(B)、CntX(B)、CntY(B)およびCntZ(B)、さらに自分が通信相手に名乗る名前Name(B)を、利用者Bの端末の、自分の情報用の記憶装置または記憶領域23に記憶している。ここで自分の名乗る名前は、利用しているすべての通信サービスに共通の名前でも、通信サービスごとに異なる名前でもよい。通信サービスごとに異なる名前を名乗る場合は、通信サービスごとのコンタクト情報と名乗る名前を関連づけて記憶する。利用者A、C、およびDの通信端末でも同様に、各自のコンタクト情報、認識票、および通信相手に名乗る名前を、自分の情報の記憶装置または記憶領域23に記憶する。
【0034】
次に、第二のステップでは、利用者が各々の情報端末に前記第一のステップで記憶した、通信サービス名、自分のコンタクト情報、および通信相手に名乗る自分の名前を、共通サービスPの認識票およびと関連づけた状態で、各々の通信相手の通信端末に送る。(ステップS303)この認識票と関連づけられた通信サービス名、自分のコンタクト情報および通信相手に名乗る自分の名前の送受信は、共通サービスPの情報中継サーバを用いてもよいし、これらの情報の送信者とその通信相手が共通して利用している通信サービスを用いてもよい。また、サーバを経由してもよいし、ピア・ツー・ピア接続によるネットワークを経由してもよい。たとえば、図2に示す一例では、利用者B、C、およびDが、それぞれの通信端末で利用している通信サービス名、その通信サービスにおける自分のコンタクト情報、および通信相手に名乗る名前を、共通サービスPの認識票と関連づけた状態で、利用者Aの通信端末に、共通サービスPの情報中継サーバを経由して送っている。たとえば、利用者Bの通信端末は、通信サービス名V、その通信サービスでの利用者Bのコンタクト情報CntV(B)、および利用者Bが通信相手であるAに対して名乗る名前Name(B)の3つを、Bの共通サービスPにおける認識票ID(B)に関連づけた状態で、利用者Aの通信端末に送っている。」

(コ)「【0040】
図4には、図2に示す利用者Aの通信端末11の構成要素をブロック図で示す。図4を参照して、第三のステップでは、前記第二のステップで、利用者B、C、およびDから送信された、共通サービスPの認識票と関連づけられた通信サービス名、その通信サービスにおける送信者のコンタクト情報、および送信者が名乗る名前の各情報を、通信装置401で受信した後、オペレーティングシステム403上で作動する共通サービスPのアプリケーションソフトウェア404に記述された指示に従って、マイクロプロセッサ407がバス408を通じて、外部記憶装置405に記憶する。(ステップS304)共通サービスPのプログラム404は、利用者Aの通信端末11の主記憶412上にあっても、ネットワークを通じた他の通信端末の記憶装置にあってもよい。その後、利用者Aがキーボード409やマウス410などを操作して、前記利用者B、C、およびDから受信した、各自の共通サービスPの認識票と関連づけられた状態の、通信サービス名、その通信サービスにおける各自のコンタクト情報、および各自が名乗る名前を含む通信相手のデータベース411を、主記憶装置412にロードする。(ステップS306)同様に、各々の通信サービスに関連づけられた画像や文字列などのデータベース413(以下アイコンデータベースと呼ぶ)を主記憶装置412にロードする。このアイコンデータベースは、あらかじめ利用者Aが作成し、外部記憶装置405に記憶しておいてもよいし、必要に応じてネットワークから通信装置401を通じて取得し(ステップS320)、外部記憶装置に記憶した上で(ステップS321)、主記憶にロードしてもよい(ステップS306)。または、前記第二のステップにおいて、利用者Aの通信相手が、通信サービス名、コンタクト情報および名前とともに、さらに通信サービスに関連づけられたアイコンを認識票に関連づけて送信し、これを利用者Aの通信端末で受信した後、本第三のステップでロードした、アイコン情報を含む通信相手のデータベースから作成してもよい。また、このアイコンは画像データであっても、何らかの文字情報であってもよい。
【0041】
次に、第四のステップでは、利用者Aがキーボート409やマウス410を操作して、共通サービスPのアプリケーションソフトウェア404に対し、通信開始画面の表示を指示すると、マイクロプロセッサ407は、このソフトウェア404の指示に従い、表示制御装置414を通じて表示装置415に表示されるグラフィカル・ユーザ・インタフェイス416(以下GUIと称する)の中に、前記第三のステップにおいて利用者Aの端末の主記憶装置にロードした、通信相手のデータベース411およびアイコンデータベース413をもとにして、通信開始画面417の表示を行う。通信開始画面417には、通信相手ごとのコンタクト情報および認識票は表示されず、通信相手の認識票に関連づけられた相手が名乗る名前、および通信サービスの種類が表示される。(ステップS307)図4に示した通話開始画面の一例では、「John」を名乗る利用者Bの行418には、アイコンデータベースおいて電子メールサービスVに関連づけられたアイコン421、IP電話サービスXに関連づけられたアイコン423、SNSサービスYに関連づけられたアイコン424、および文字チャットZに関連づけられたアイコン425、の4つのアイコンが表示されている。同様に、「Laura」を名乗る利用者Cの行には、V、W、およびXに各々関連づけられたアイコンが、また「Steve」を名乗る利用者Dの行にはV、W、およびYに各々関連づけられたアイコンが並んでいる。この通信開始画面417では行と列は入れ替わっていてもよい。また、通信開始画面に表示するのは、アイコンに限らず、コンタクト情報以外の、通信相手の認識票に関連づけられた情報なら何もよい。
【0042】
次に、第五のステップでは、利用者Aがキーボード309やマウス310を操作して、通信開始画面417上に表示された、通信したい相手の、利用したい通信サービスに関連づけられたアイコンを選択する(ステップS308)。もし、この通信サービスを実行するためのアプリケーションソフトウェアが、主記憶412上に存在し、このサービスが利用可能である場合には、選択されたアイコンに関連づけられた通信サービス名と、通信相手の名前に関連づけられたその認識票を検索キーとして、共通サービスPのアプリケーションソフトウェア404は、主記憶装置412上の通信相手のデータベース411内にある、コンタクト情報を検索する(ステップS310)。検索されたコンタクト情報は、選択された通信サービスのアプリケーションソフトウェアに、この検索結果であるコンタクト情報を渡す(ステップS311)。この通信サービスのアプリケーションソフトウェアは、渡されたコンタクト情報をもとに、通信装置401を通じて、選択された相手との通信を開始する(ステップS312)。図4に示す一例では、たとえば、利用者Aが通信開始画面417上に表示された、「Steve」を名乗る利用者Dに電子メールを送る場合、利用者Aはマウス410を操作して、通信開始画面417上にある、「Steve」を名乗る利用者Dの電子メールサービスVを表すアイコン426を選択すると、アプリケーションソフトウェアPは、その管理する通信相手のデータベース411の中から、利用者Dの認識票ID(D)と電子メールサービスVの二つを検索キーとして、この二つに関連づけられたコンタクト情報を検索する。検索の結果得られた利用者Dの電子メールサービスVのコンタクト情報CntV(D)は、電子メールサービスVのアプリケーションソフトウェア431に送られ、このアプリケーションソフトウェアは、このCntV(D)を利用して、通信装置401を通じて、電子メールVのサーバ28を経由して利用者Dの通信端末と通信を開始する。また、たとえば、利用者Aがアイコン427を選択すると、利用者Bの文字チャットサービスZにおけるコンタクト情報CntZ(B)が、Webブラウザ432に送られ、チャットサービスZのサーバ29を経由して利用者Aは「John」を名乗る利用者Bの文字チャットサービスZ上のページを閲覧することができる。」

(サ)「
【図1】


【図2】


【図4】



上記(ク)〜(サ)の記載によれば、引用文献2には、次の発明(以下、「引用発明2」という。)が記載されている。

<引用発明2>
「コンタクト情報とは、ある特定の通信サービス内で、通信相手を一意に特定し、かつその通信相手との通信開始に必要な情報を指し、たとえば携帯電話事業者から利用者に与えられるコンタクト情報は携帯電話番号であり、電子メールサービス事業者から利用者に与えられるコンタクト情報は電子メールアドレスであり、SNSサービス事業者から利用者に与えられるコンタクト情報はSNS名であり(【0029】)、
利用者Aは情報端末11を使って、電子メールサービスV、IP電話サービスW、IP電話サービスX、および文字チャットサービスZの4つの通信サービスを利用しており、同様に利用者Bの通信端末12では、V、X、YおよびZの通信サービスを、利用者Cの通信端末ではV、W、およびXの通信サービスを、そして利用者Dの端末ではV、W、およびYの通信サービスをそれぞれ利用しており、各利用者は、その必要または通信相手に応じて通信サービスを使い分けており、上記V、W、X、Y、およびZの通信サービスに加えて、これらの通信サービスにおけるコンタクト情報を交換するために、これらとは独立したもう一つの共通サービスPを有し、この共通サービスPの構成要素としては、認識票発行サーバ21、および情報中継サーバ22を有し、いま、利用者A、B、C、およびDはすべてこの共通サービスPの利用者であり(【0032】)、
第一のステップでは、共通サービスPの認識票発行サーバ21が、共通サービスPの利用者の各々を一意に特定するための認識票を、各々の利用者の通信端末に送り、(ステップS301)図2に示す一例では、A、B、C、およびDの各通信端末に、ID(A)、ID(B)、ID(C)およびID(D)の4つの認識票を各々送っており、次に、これらの認識票を受け取った各々の端末では、その端末が利用する通信サービスで利用する自分のコンタクト情報とともに、受け取った認識票を自分の情報用記憶装置または記憶領域23に記憶し、またこのとき、これら認識票およびコンタクト情報とともに、利用者Bが通信相手の通信端末で認識されやすいように名乗る任意の名前を決め、これを自分の情報用記憶装置または記憶領域23に記憶してもよく、(ステップS302)たとえば、利用者Bの端末では、認識票発行サーバ21から受け取ったID(B)に加えて、利用者Bの使っている各種通信サービスの利用者B自身のコンタクト情報であるCntV(B)、CntX(B)、CntY(B)およびCntZ(B)、さらに自分が通信相手に名乗る名前Name(B)を、利用者Bの端末の、自分の情報用の記憶装置または記憶領域23に記憶しており(【0033】)、
第二のステップでは、利用者が各々の情報端末に前記第一のステップで記憶した、通信サービス名、自分のコンタクト情報、および通信相手に名乗る自分の名前を、共通サービスPの認識票およびと関連づけた状態で、各々の通信相手の通信端末に送り、(ステップS303)この認識票と関連づけられた通信サービス名、自分のコンタクト情報および通信相手に名乗る自分の名前の送受信は、共通サービスPの情報中継サーバを用いてもよいし、これらの情報の送信者とその通信相手が共通して利用している通信サービスを用いてもよく、また、サーバを経由してもよいし、ピア・ツー・ピア接続によるネットワークを経由してもよく、たとえば、図2に示す一例では、利用者B、C、およびDが、それぞれの通信端末で利用している通信サービス名、その通信サービスにおける自分のコンタクト情報、および通信相手に名乗る名前を、共通サービスPの認識票と関連づけた状態で、利用者Aの通信端末に、共通サービスPの情報中継サーバを経由して送っており(【0034】)、
図4には、図2に示す利用者Aの通信端末11の構成要素をブロック図で示しており、図4を参照して、第三のステップでは、前記第二のステップで、利用者B、C、およびDから送信された、共通サービスPの認識票と関連づけられた通信サービス名、その通信サービスにおける送信者のコンタクト情報、および送信者が名乗る名前の各情報を、通信装置401で受信した後、オペレーティングシステム403上で作動する共通サービスPのアプリケーションソフトウェア404に記述された指示に従って、マイクロプロセッサ407がバス408を通じて、外部記憶装置405に記憶し、(ステップS304)共通サービスPのプログラム404は、利用者Aの通信端末11の主記憶412上にあっても、ネットワークを通じた他の通信端末の記憶装置にあってもよく、その後、利用者Aがキーボード409やマウス410などを操作して、前記利用者B、C、およびDから受信した、各自の共通サービスPの認識票と関連づけられた状態の、通信サービス名、その通信サービスにおける各自のコンタクト情報、および各自が名乗る名前を含む通信相手のデータベース411を、主記憶装置412にロードし、(ステップS306)同様に、各々の通信サービスに関連づけられた画像や文字列などのデータベース413(以下アイコンデータベースと呼ぶ)を主記憶装置412にロードし、このアイコンデータベースは、あらかじめ利用者Aが作成し、外部記憶装置405に記憶しておいてもよいし、必要に応じてネットワークから通信装置401を通じて取得し(ステップS320)、外部記憶装置に記憶した上で(ステップS321)、主記憶にロードしてもよく(ステップS306)(【0040】)、
次に、第四のステップでは、利用者Aがキーボート409やマウス410を操作して、共通サービスPのアプリケーションソフトウェア404に対し、通信開始画面の表示を指示すると、マイクロプロセッサ407は、このソフトウェア404の指示に従い、表示制御装置414を通じて表示装置415に表示されるグラフィカル・ユーザ・インタフェイス416(以下GUIと称する)の中に、前記第三のステップにおいて利用者Aの端末の主記憶装置にロードした、通信相手のデータベース411およびアイコンデータベース413をもとにして、通信開始画面417の表示を行い、通信開始画面417には、通信相手ごとのコンタクト情報および認識票は表示されず、通信相手の認識票に関連づけられた相手が名乗る名前、および通信サービスの種類が表示され、(ステップS307)図4に示した通話開始画面の一例では、「John」を名乗る利用者Bの行418には、アイコンデータベースおいて電子メールサービスVに関連づけられたアイコン421、IP電話サービスXに関連づけられたアイコン423、SNSサービスYに関連づけられたアイコン424、および文字チャットZに関連づけられたアイコン425、の4つのアイコンが表示されており、同様に、「Laura」を名乗る利用者Cの行には、V、W、およびXに各々関連づけられたアイコンが、また「Steve」を名乗る利用者Dの行にはV、W、およびYに各々関連づけられたアイコンが並んでおり(【0041】)、
第五のステップでは、利用者Aがキーボード309やマウス310を操作して、通信開始画面417上に表示された、通信したい相手の、利用したい通信サービスに関連づけられたアイコンを選択し(ステップS308)、もし、この通信サービスを実行するためのアプリケーションソフトウェアが、主記憶412上に存在し、このサービスが利用可能である場合には、選択されたアイコンに関連づけられた通信サービス名と、通信相手の名前に関連づけられたその認識票を検索キーとして、共通サービスPのアプリケーションソフトウェア404は、主記憶装置412上の通信相手のデータベース411内にある、コンタクト情報を検索し(ステップS310)、検索されたコンタクト情報は、選択された通信サービスのアプリケーションソフトウェアに、この検索結果であるコンタクト情報を渡し(ステップS311)、この通信サービスのアプリケーションソフトウェアは、渡されたコンタクト情報をもとに、通信装置401を通じて、選択された相手との通信を開始し(ステップS312)、図4に示す一例では、たとえば、利用者Aが通信開始画面417上に表示された、「Steve」を名乗る利用者Dに電子メールを送る場合、利用者Aはマウス410を操作して、通信開始画面417上にある、「Steve」を名乗る利用者Dの電子メールサービスVを表すアイコン426を選択すると、アプリケーションソフトウェアPは、その管理する通信相手のデータベース411の中から、利用者Dの認識票ID(D)と電子メールサービスVの二つを検索キーとして、この二つに関連づけられたコンタクト情報を検索し、検索の結果得られた利用者Dの電子メールサービスVのコンタクト情報CntV(D)は、電子メールサービスVのアプリケーションソフトウェア431に送られ、このアプリケーションソフトウェアは、このCntV(D)を利用して、通信装置401を通じて、電子メールVのサーバ28を経由して利用者Dの通信端末と通信を開始し、また、たとえば、利用者Aがアイコン427を選択すると、利用者Bの文字チャットサービスZにおけるコンタクト情報CntZ(B)が、Webブラウザ432に送られ、チャットサービスZのサーバ29を経由して利用者Aは「John」を名乗る利用者Bの文字チャットサービスZ上のページを閲覧することができる(【0042】)、
通信端末11。」


2.本願発明1について

(1)本願発明1と引用発明1との対比

本願発明1と引用発明1とを対比する。

(1−1)本願発明1の『第1の通信方式によって映像データを他の端末と通信する第1の通信機能、及び前記第1の通信機能と呼制御方式が同じで前記第1の通信方式と少なくとも前記映像データの符号化方式が異なる第2の通信方式によって映像データを他の端末と通信する第2の通信機能を起動可能な端末であって、』について

(1−1−1)引用発明1の「W−CDMA方式」は、通信方式の一種であり、第1の通信方式と称することは任意であるから、『第1の通信方式』であるといえる。

(1−1−2)引用発明1において、「音声通話処理等のアプリケーションプログラム」は、「音声通話、テレビ電話、PTTの3種類のアプリケーションプログラム」であるといえる。ここで、一般に、テレビ電話とは、映像データを他の端末と通信する通信機能を有するものであるから、引用発明1の「テレビ電話」の「アプリケーションプログラム」は、『映像データを他の端末と通信する通信機能』を有するものであるといえる。
そして、「テレビ電話」の「アプリケーションプログラム」を第1の通信機能と称することは任意であるから、引用発明1の「テレビ電話」の「アプリケーションプログラム」は、『映像データを他の端末と通信する第1の通信機能』であるといえる。

(1−1−3)引用発明1では、情報処理装置1がW−CDMA方式によって通信するものであるから、引用発明1の「テレビ電話」の「アプリケーションプログラム」は、W−CDMA方式によって通信しているといえる。
そして、上記(1−1−1)〜(1−1−2)で言及した事項を踏まえると、引用発明1の「テレビ電話」の「アプリケーションプログラム」は、『第1の通信方式によって映像データを他の端末と通信する第1の通信機能』であるといえる。

(1−1−4)引用発明1の「情報処理装置1」は、「音声通話処理等のアプリケーションプログラムを起動」していることから、「テレビ電話」の「アプリケーションプログラム」を『起動可能』であるといえる。

(1−1−5)引用発明1の「情報処理装置1」は、携帯端末であるから、『端末』であるといえる。

(1−1−6)上記(1−1−3)〜(1−1−5)で言及した事項を踏まえると、本願発明1と引用発明1とは、『第1の通信方式によって映像データを他の端末と通信する第1の通信機能を起動可能な端末』である点で共通する。

(1−1−7)なお、引用発明1の「情報処理装置1」が、本願発明1でいう『前記第1の通信機能と呼制御方式が同じで前記第1の通信方式と少なくとも前記映像データの符号化方式が異なる第2の通信方式によって映像データを他の端末と通信する第2の通信機能を起動可能』である旨は、引用文献1には開示されていない。


(1−2)本願発明1の『オンラインを含む状態の他の端末の情報を管理する管理システムにログインした後に、前記他の端末の情報を前記管理システムから受信する受信手段と、』について

(1−2−1)引用発明1では、記憶部42に記憶された友人プレゼンス情報61を読み出してオンライン/オフラインの状態やプレゼンス情報等を表示しているから、「友人のプレゼンス情報」には、「オンライン」に関する情報が含まれていると解される。
よって、引用発明1の「友人のプレゼンス情報」は、『オンラインを含む状態の』『情報』であるといえる。

(1−2−2)引用発明1の「情報管理装置7」は、「ユーザプレゼンス情報62を記憶し」、情報を『管理』する装置であり、また、ユーザプレゼンス情報62は、情報処理装置1に記憶されている友人プレゼンス情報61と同様のものであるから、上記(1−2−1)で言及した事項を踏まえると、『オンラインを含む状態の』『情報を管理する管理システム』であるといえる。

(1−2−3)引用発明1の「情報処理装置1」は、情報管理端末7から友人のプレゼンス情報を受信しているから、何らかの『受信手段』を有しているといえる。

(1−2−4)上記(1−2−1)〜(1−2−3)で言及した事項を踏まえると、本願発明1と引用発明1とは、『オンラインを含む状態の情報を、前記情報を管理する管理システムから受信する受信手段』を有している点で共通する。

(1−2−5)なお、引用発明1の「情報処理装置1」が、本願発明1でいう『オンラインを含む状態の他の端末の情報を管理する管理システムにログインした後に、前記他の端末の情報を前記管理システムから受信する』旨は、引用文献1には開示されていない。


(1−3)本願発明1の『前記他の端末の情報を表示手段に表示させる表示制御手段と、』について

(1−3−1)引用発明1の「メインディスプレイ25」は、友人のプレゼンス情報を表示しているから、『表示手段』であるといえる。

(1−3−2)引用発明1の「主制御部41」は、友人のプレゼンス情報をメインディスプレイ25に表示させているから、『表示制御手段』であるといえる。

(1−3−3)上記(1−3−1)〜(1−3−2)で言及した事項を踏まえると、本願発明1と引用発明1とは、『情報を表示手段に表示させる表示制御手段』を有している点で共通する。

(1−3−4)なお、引用発明1の「主制御部41」が、本願発明1でいう『前記他の端末の情報を表示手段に表示させる』旨は、引用文献1には開示されていない。


(1−4)本願発明1の『前記他の端末と映像データによる通信を開始する前に、前記表示制御手段によって前記表示手段に表示された前記第1の通信機能を起動させるための第1のアイコン及び前記第2の通信機能を起動させるための第2のアイコンを含む機能選択画面において、前記第1のアイコン及び前記第2のアイコンのうちいずれか一方の選択を受け付ける受付手段と、』について

(1−4−1)引用発明1の「情報処理装置1」が、本願発明1でいう『前記他の端末と映像データによる通信を開始する前に、前記表示制御手段によって前記表示手段に表示された前記第1の通信機能を起動させるための第1のアイコン及び前記第2の通信機能を起動させるための第2のアイコンを含む機能選択画面において、前記第1のアイコン及び前記第2のアイコンのうちいずれか一方の選択を受け付ける受付手段』を有している旨は、引用文献1には開示されていない。


(1−5)本願発明1の『前記第1のアイコンの選択が受け付けられた場合には前記第1の通信機能を起動させ、前記第2のアイコンの選択が受け付けられた場合には前記第2の通信機能を起動させる起動手段と、』について

(1−5−1)引用発明1の「主制御部41」は、音声通話処理等のアプリケーションプログラムを起動させているから、『起動手段』であるといえる。

(1−5−2)上記(1−1)及び(1−5−1)で言及した事項を踏まえると、本願発明1と引用発明1とは、『前記第1の通信機能を起動させる起動手段』を有している点で共通する。

(1−5−3)なお、引用発明1の「情報処理装置1」が、本願発明1でいう『前記第1のアイコンの選択が受け付けられた場合には』前記第1の通信機能を起動させる点、及び、『前記第2のアイコンの選択が受け付けられた場合には前記第2の通信機能を起動させる』点は、引用文献1には開示されていない。


(1−6)本願発明1の『前記起動手段によって前記起動された前記第1の通信機能及び前記第2の通信機能の何れによって通信を開始する場合であっても、前記機能選択画面において選択された前記第1の通信機能又は前記第2の通信機能を前記起動手段によって起動させた状態で前記管理システムと確立した通信セッションを用いて通信開始要求を送信することによって前記他の端末と映像データによる通信を開始する』について

(1−6−1)引用発明1の「情報処理装置1」が、本願発明1でいう『前記起動手段によって前記起動された前記第1の通信機能及び前記第2の通信機能の何れによって通信を開始する場合であっても、前記機能選択画面において選択された前記第1の通信機能又は前記第2の通信機能を前記起動手段によって起動させた状態で前記管理システムと確立した通信セッションを用いて通信開始要求を送信することによって前記他の端末と映像データによる通信を開始する』旨は、引用文献1には開示されていない。


上記(1−1)〜(1−6)で言及した事項を踏まえると、本願発明1と引用発明1とは、次の点で一致する。

<一致点>
「第1の通信方式によって映像データを他の端末と通信する第1の通信機能を起動可能な端末であって、
オンラインを含む状態の情報を、前記情報を管理する管理システムから受信する受信手段と、
前記情報を表示手段に表示させる表示制御手段と、
前記第1の通信機能を起動させる起動手段と、
を有する、端末。」

そして、本願発明1と引用発明1とは、次の点で相違する。

<相違点1−1>
本願発明1では、『前記第1の通信機能と呼制御方式が同じで前記第1の通信方式と少なくとも前記映像データの符号化方式が異なる第2の通信方式によって映像データを他の端末と通信する第2の通信機能を起動可能』であるのに対し、引用発明1では、情報処理装置1が、『第1の通信機能』に加え、そのような『第2の通信機能』を起動可能か明らかでない点。

<相違点1−2>
本願発明1では、『オンラインを含む状態の他の端末の情報を管理する管理システムにログインした後に、前記他の端末の情報を前記管理システムから受信する』のに対し、引用発明1では、友人のプレゼンス情報が『他の端末の情報』であるのか、及び、情報処理装置1が、情報管理装置7から友人のプレゼンス情報を受信する前に、情報管理装置7にログインしているか、が明らかでない点。

<相違点1−3>
本願発明1では、『前記他の端末の情報を表示手段に表示させる』のに対し、引用発明1では、友人のプレゼンス情報が『他の端末の情報』であるのか明らかでないのに伴い、「主制御部41」が『他の端末の情報』をメインディスプレイ25に表示させているのか明らかでない点。

<相違点1−4>
本願発明1では、『前記他の端末と映像データによる通信を開始する前に、前記表示制御手段によって前記表示手段に表示された前記第1の通信機能を起動させるための第1のアイコン及び前記第2の通信機能を起動させるための第2のアイコンを含む機能選択画面において、前記第1のアイコン及び前記第2のアイコンのうちいずれか一方の選択を受け付ける受付手段』を有しているのに対し、引用発明1では、情報処理装置1が、そのような『受付手段』を有していない点。

<相違点1−5>
本願発明1では、『前記第1のアイコンの選択が受け付けられた場合には前記第1の通信機能を起動させ、前記第2のアイコンの選択が受け付けられた場合には前記第2の通信機能を起動させる』のに対し、引用発明1では、『第1のアイコンの選択が受け付けられた場合』に、音声通話処理等のアプリケーションプログラムを起動させているのか明らかでなく、また、『前記第2のアイコンの選択が受け付けられた場合には前記第2の通信機能』を起動させていない点。

<相違点1−6>
本願発明1では、『前記起動手段によって前記起動された前記第1の通信機能及び前記第2の通信機能の何れによって通信を開始する場合であっても、前記機能選択画面において選択された前記第1の通信機能又は前記第2の通信機能を前記起動手段によって起動させた状態で前記管理システムと確立した通信セッションを用いて通信開始要求を送信することによって前記他の端末と映像データによる通信を開始する』のに対し、引用発明1では、音声通話処理等のアプリケーションプログラムによって通信を開始する場合に、どのような処理が行われているのか明らかでない点。


(2)相違点1―1〜1−6についての判断

事案に鑑み、まず相違点1―1、1−4、1−5、1−6について検討する。

引用発明1の、テレビ電話のアプリケーションプログラムについて、映像データの符号化方式が異なることに関する記載や示唆がなく、引用発明1において、テレビ電話のアプリケーションプログラムが、符号化方式が異なるものに対応する動機がない。
ましてや、引用発明1において、音声通話処理等のアプリケーションプログラムが、『第1の通信方式によって映像データを他の端末と通信する第1の通信機能、及び前記第1の通信機能と呼制御方式が同じで前記第1の通信方式と少なくとも前記映像データの符号化方式が異なる第2の通信方式によって映像データを他の端末と通信する第2の通信機能』を備えたものにする動機も当然ない。
してみれば、引用発明1の情報処理装置1が、本願発明1でいう『前記第1の通信機能と呼制御方式が同じで前記第1の通信方式と少なくとも前映像データの符号化方式が異なる第2の通信方式によって映像データを他の端末と通信する第2の通信機能』を起動可能にすることは、当業者が容易に想到し得たものとはいえない。
したがって、『第1の通信機能』と『第2の通信機能』が存在することを前提とした、『前記他の端末と映像データによる通信を開始する前に、』各通信機能に対応したアイコンを表示して選択させ(相違点1−4)て、各通信機能を起動させ(相違点1−5)ること、いずれの通信機能で通信を開始する場合であっても、『起動させた状態で前記管理システムと確立した通信セッションを用いて通信開始要求を送信することによって前記他の端末と映像データによる通信を開始する』点(相違点1−6)についても、当然当業者が容易に想到し得たものとはいえない。

したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても、引用発明1に基いて容易に発明できたものとはいえない。


(3)小括

上記によれば、本願発明1は、引用発明1に基いて容易に発明できたものとはいえない。


(4)本願発明1と引用発明2との対比

本願発明1と引用発明2とを対比する。

(4−1)本願発明1の『第1の通信方式によって映像データを他の端末と通信する第1の通信機能、及び前記第1の通信機能と呼制御方式が同じで前記第1の通信方式と少なくとも前記映像データの符号化方式が異なる第2の通信方式によって映像データを他の端末と通信する第2の通信機能を起動可能な端末であって、』について

(4−1−1)引用発明2の「IP電話サービスW」、「IP電話サービスX」のそれぞれは、他の通信端末と通信する通信機能であり、第1の通信機能、第2の通信機能と称することは任意であるから、『他の端末と通信する第1の通信機能』、『他の端末と通信する第2の通信機能』であるといえる。

(4−1−2)引用発明2の「通信端末11」は、「IP電話サービスW」、「IP電話サービスX」のそれぞれに関連づけられたアイコンが選択され、もし、この通信サービスを実行するためのアプリケーションソフトウェアが、主記憶412上に存在し、このサービスが利用可能である場合には、通信装置401を通じて、選択された相手との通信を開始することから、「IP電話サービスW」、「IP電話サービスX」を『起動可能』であるといえる。

(4−1−3)引用発明2の「通信端末11」は、端末の一種であるから、『端末』であるといえる。

(4−1−4)上記(4−1−1)〜(4−1−3)で言及した事項を踏まえると、本願発明1と引用発明2とは、『他の端末と通信する第1の通信機能、及び他の端末と通信する第2の通信機能を起動可能な端末』である点で共通する。

(4−1−5)なお、引用文献2には、「IP電話サービスW」と「IP電話サービスX」が、各々の通信方式によって映像データを通信するサービスである、とは記載されていないから、引用発明2の「通信端末11」が、本願発明1でいう『第1の通信方式によって映像データを他の端末と通信する第1の通信機能、及び前記第1の通信機能と呼制御方式が同じで前記第1の通信方式と少なくとも前記映像データの符号化方式が異なる第2の通信方式によって映像データを他の端末と通信する第2の通信機能を起動可能』である旨は、引用文献2には開示されていない。


(4−2)本願発明1の『オンラインを含む状態の他の端末の情報を管理する管理システムにログインした後に、前記他の端末の情報を前記管理システムから受信する受信手段と、』について

(4−2−1)引用発明2の「通信装置401」は、利用者B、C、およびDから送信された、共通サービスPの認識票と関連づけられた通信サービス名、その通信サービスにおける送信者のコンタクト情報、および送信者が名乗る名前の各情報を受信するから、『受信手段』であるといえる。

(4−2−3)上記(4−2−1)で言及した事項を踏まえると、本願発明1と引用発明2とは、『情報を受信する受信手段』を有している点で共通する。

(4−2−4)なお、引用文献2には、『管理システム』についての記載がないから、引用発明2の「通信装置401」が、本願発明1でいう『オンラインを含む状態の他の端末の情報を管理する管理システムにログインした後に、前記他の端末の情報を前記管理システムから受信する』旨は、引用文献2には開示されていない。


(4−3)本願発明1の『前記他の端末の情報を表示手段に表示させる表示制御手段と、』について

(4−3−1)引用発明2の「表示装置415」は、通信相手の認識票に関連づけられた相手が名乗る名前、および通信サービスの種類を表示しているから、『表示手段』であるといえる。

(4−3−2)引用発明2の「マイクロプロセッサ407」は、通信相手の認識票に関連づけられた相手が名乗る名前、および通信サービスの種類を表示装置415に表示させているから、『表示制御手段』であるといえる。

(4−3−3)上記(4−3−1)〜(4−3−2)で言及した事項を踏まえると、本願発明1と引用発明2とは、『情報を表示手段に表示させる表示制御手段』を有している点で共通する。

(4−3−4)なお、引用発明2で表示する情報は、「通信相手の認識票に関連づけられた相手が名乗る名前、および通信サービスの種類」であって、該情報は、いずれも「他の端末の情報」ではないから、引用発明2の「マイクロプロセッサ407」が、本願発明1でいう『前記他の端末の情報を表示手段に表示させる』旨は、引用文献2には開示されていない。


(4−4)本願発明1の『前記他の端末と映像データによる通信を開始する前に、前記表示制御手段によって前記表示手段に表示された前記第1の通信機能を起動させるための第1のアイコン及び前記第2の通信機能を起動させるための第2のアイコンを含む機能選択画面において、前記第1のアイコン及び前記第2のアイコンのうちいずれか一方の選択を受け付ける受付手段と、』について

(4−4−1)引用発明2は、選択された相手との通信を開始する前に、マイクロプロセッサ407によって表示装置415に表示されたIP電話サービスWに関連づけられたアイコン422、及び、IP電話サービスXに関連づけられたアイコン423を含む通信開始画面417において、アイコン422及びアイコン423の選択を受け付けているから、何らかの『受付手段』を有しているといえる。

(4−4−2)引用発明2の「選択された相手」は、通信端末11とは異なる通信端末であるから、『他の端末』であるといえる。

(4−4−3)引用発明2の「IP電話サービスWに関連づけられたアイコン422」、「IP電話サービスXに関連づけられたアイコン423」のそれぞれは、第1のアイコン、第2のアイコンと称することは任意であるから、『第1のアイコン』、『第2のアイコン』であるといえる。

(4−4−4)引用発明2の「通信開始画面417」は、IP電話サービスWに関連づけられたアイコン422、IP電話サービスXに関連づけられたアイコン423を含む機能を選択するための画面であるから、『機能選択画面』であるといえる。

(4−4−5)上記(4−1)、(4−3)、(4−4−1)〜(4−4−4)で言及した事項を踏まえると、本願発明1と引用発明2とは、『前記他の端末と通信を開始する前に、前記表示制御手段によって前記表示手段に表示された前記第1の通信機能を起動させるための第1のアイコン及び前記第2の通信機能を起動させるための第2のアイコンを含む機能選択画面において、前記第1のアイコン及び前記第2のアイコンの選択を受け付ける受付手段』を有している点で共通する。

(4−4−6)なお、引用発明2の通信が「映像データ」であるとの記載はないから、引用発明2の「通信端末11」が、本願発明1でいう『前記他の端末と映像データによる通信を開始する前に、前記表示制御手段によって前記表示手段に表示された前記第1の通信機能を起動させるための第1のアイコン及び前記第2の通信機能を起動させるための第2のアイコンを含む機能選択画面において、前記第1のアイコン及び前記第2のアイコンのうちいずれか一方の選択を受け付ける』旨は、引用文献2には開示されていない。


(4−5)本願発明1の『前記第1のアイコンの選択が受け付けられた場合には前記第1の通信機能を起動させ、前記第2のアイコンの選択が受け付けられた場合には前記第2の通信機能を起動させる起動手段と、』について

(4−5−1)引用発明2の「通信端末11」は、上記(4−1)、(4−4)で言及した事項を踏まえると、IP電話サービスWに関連づけられたアイコン422の選択が受け付けられた場合にはIP電話サービスWを起動させ、IP電話サービスXに関連づけられたアイコン423の選択が受け付けられた場合にはIP電話サービスXを起動させると解されるから、何らかの『起動手段』を有しているといえる。

(4−5−2)上記(4−1)、(4−5−1)で言及した事項を踏まえると、引用発明2の「通信端末11」は、『前記第1のアイコンの選択が受け付けられた場合には前記第1の通信機能を起動させ、前記第2のアイコンの選択が受け付けられた場合には前記第2の通信機能を起動させる起動手段』を有しているといえる。


(4−6)本願発明1の『前記起動手段によって前記起動された前記第1の通信機能及び前記第2の通信機能の何れによって通信を開始する場合であっても、前記機能選択画面において選択された前記第1の通信機能又は前記第2の通信機能を前記起動手段によって起動させた状態で前記管理システムと確立した通信セッションを用いて通信開始要求を送信することによって前記他の端末と映像データによる通信を開始する』について

(4−6−1)引用発明2は「映像データ」による通信について記載がなく、通信の開始する際に行われている詳細な処理は記載されていないから、引用発明2の「通信端末11」が、本願発明1でいう『前記起動手段によって前記起動された前記第1の通信機能及び前記第2の通信機能の何れによって通信を開始する場合であっても、前記機能選択画面において選択された前記第1の通信機能又は前記第2の通信機能を前記起動手段によって起動させた状態で前記管理システムと確立した通信セッションを用いて通信開始要求を送信することによって前記他の端末と映像データによる通信を開始する』旨は、引用文献2には開示されていない。


上記(4−1)〜(4−6)で言及した事項を踏まえると、本願発明1と引用発明2とは、次の点で一致する。

<一致点>
「他の端末と通信する第1の通信機能、及び、他の端末と通信する第2の通信機能を起動可能な端末であって、
情報を受信する受信手段と、
前記情報を表示手段に表示させる表示制御手段と、
前記他の端末と通信を開始する前に、前記表示制御手段によって前記表示手段に表示された前記第1の通信機能を起動させるための第1のアイコン及び前記第2の通信機能を起動させるための第2のアイコンを含む機能選択画面において、前記第1のアイコン及び前記第2のアイコンの選択を受け付ける受付手段と、
前記第1のアイコンの選択が受け付けられた場合には前記第1の通信機能を起動させ、前記第2のアイコンの選択が受け付けられた場合には前記第2の通信機能を起動させる起動手段と、を有する端末。」

そして、本願発明1と引用発明2とは、次の点で相違する。

<相違点2−1>
本願発明1では、『第1の通信方式によって映像データを他の端末と通信する第1の通信機能、及び前記第1の通信機能と呼制御方式が同じで前記第1の通信方式と少なくとも前記映像データの符号化方式が異なる第2の通信方式によって映像データを他の端末と通信する第2の通信機能を起動可能』であるのに対し、引用発明2では、「IP電話サービスW」、「IP電話サービスX」のそれぞれが、どのような『通信方式』を用いているのか、及び、『映像データ』を他の端末と通信しているのか、が明らかでない点。

<相違点2−2>
本願発明1では、『オンラインを含む状態の他の端末の情報を管理する管理システムにログインした後に、前記他の端末の情報を前記管理システムから受信する』のに対し、引用発明2では、『オンラインを含む状態の他の端末の情報を管理する管理システム』が備えられておらず、『オンラインを含む状態の他の端末の情報を管理する管理システムにログインした後に、前記他の端末の情報を前記管理システムから受信』していない点、及び、「利用者B、C、およびDから送信された、共通サービスPの認識票と関連づけられた通信サービス名、その通信サービスにおける送信者のコンタクト情報、および送信者が名乗る名前の各情報」が『オンラインを含む状態の他の端末の情報』であるのか明らかでなく、『オンラインを含む状態の他の端末の情報を受信』しているのか明らかでない点。

<相違点2−3>
本願発明1では、『オンラインを含む状態の他の端末の情報を表示手段に表示させる』のに対し、引用発明2では、「利用者B、C、およびDから送信された、共通サービスPの認識票と関連づけられた通信サービス名、その通信サービスにおける送信者のコンタクト情報、および送信者が名乗る名前の各情報」が『オンラインを含む状態の他の端末の情報』であるのか明らかでないのに伴い、「マイクロプロセッサ407」が『オンラインを含む状態の他の端末の情報』を表示装置415に表示させているのか明らかでない点。

<相違点2−4>
本願発明1では、『前記他の端末と映像データによる通信を開始する前に、前記表示制御手段によって前記表示手段に表示された前記第1の通信機能を起動させるための第1のアイコン及び前記第2の通信機能を起動させるための第2のアイコンを含む機能選択画面において、前記第1のアイコン及び前記第2のアイコンのうちいずれか一方の選択を受け付ける』のに対し、引用発明2では、「IP電話サービスW」、「IP電話サービスX」のそれぞれが、『映像データ』を他の端末と通信しているのか明らかでなく、また、「IP電話サービスWに関連づけられたアイコン422」及び「IP電話サービスXに関連づけられたアイコン423」の『うちいずれか一方の選択を受け付ける』とはされていない点。

<相違点2−5>
本願発明1では、『前記起動手段によって前記起動された前記第1の通信機能及び前記第2の通信機能の何れによって通信を開始する場合であっても、前記機能選択画面において選択された前記第1の通信機能又は前記第2の通信機能を前記起動手段によって起動させた状態で前記管理システムと確立した通信セッションを用いて通信開始要求を送信することによって前記他の端末と映像データによる通信を開始する』のに対し、引用発明2では、「IP電話サービスW」又は「IP電話サービスW」によって通信を開始する場合に、どのような処理が行われているのか明らかでない点。


(5)相違点2−1〜2−5についての判断

事案に鑑み、まず相違点2―5について検討する。

引用文献2には、「IP電話サービスW」又は「IP電話サービスW」によって通信を開始する場合に、どのような処理が行われているのかが記載されていないのみならず、そもそも『管理システム』が記載されていないので、引用発明2において、本願発明1でいう『前記起動手段によって前記起動された前記第1の通信機能及び前記第2の通信機能の何れによって通信を開始する場合であっても、前記機能選択画面において選択された前記第1の通信機能又は前記第2の通信機能を前記起動手段によって起動させた状態で前記管理システムと確立した通信セッションを用いて通信開始要求を送信することによって前記他の端末と映像データによる通信を開始する』ことは、当業者が容易に想到し得たものとはいえない。

したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても、引用発明2に基いて容易に発明できたものとはいえない。


(6)小括

上記によれば、本願発明1は、引用発明2に基いて容易に発明できたものとはいえない。


3.本願発明2−10について

本願発明2−10は、本願発明1の発明特定事項を全て含むものであるから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用発明1、又は、引用発明2に基いて容易に発明できたものとはいえない。


4.本願発明11について

本願発明11は、本願発明1に対応する方法の発明であり、本願発明11と引用発明1とは、上記相違点1―1乃至1−6が存在し、また、本願発明11と引用発明2とは、上記相違点2−1乃至2−5が存在する。
したがって、本願発明1と同様の理由により、本願発明11は、当業者であっても、引用発明1、又は、引用発明2に基いて容易に発明できたものとはいえない。


5.本願発明12について

本願発明12は、本願発明1に対応するシステムの発明であり、本願発明12と引用発明1とは、上記相違点1―1乃至1−6が存在し、また、本願発明12と引用発明2とは、上記相違点2−1乃至2−5が存在する。
したがって、本願発明1と同様の理由により、本願発明12は、当業者であっても、引用発明1、又は、引用発明2に基いて容易に発明できたものとはいえない。


6.本願発明13について

本願発明13は、本願発明1に対応するプログラムの発明であり、本願発明13と引用発明1とは、上記相違点1―1乃至1−6が存在し、また、本願発明13と引用発明2とは、上記相違点2−1乃至2−5が存在する。
したがって、本願発明1と同様の理由により、本願発明13は、当業者であっても、引用発明1、又は、引用発明2に基いて容易に発明できたものとはいえない。


第6 当審拒絶理由についての判断

令和3年12月13日付けの補正により、本願発明1−5、7−13は、第1の通信機能と第2の通信機能とで呼制御方式が同じである旨が特定され、発明の詳細な説明に記載したものとなった。
また、同補正により、本願発明13は、『前記起動手段』が削除され、明確となった。


第7 むすび

以上のとおり、原査定の理由によって、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。

 
審決日 2022-03-08 
出願番号 P2019-083021
審決分類 P 1 8・ 537- WY (H04M)
P 1 8・ 121- WY (H04M)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 伊藤 隆夫
特許庁審判官 吉田 隆之
福田 正悟
発明の名称 端末、通信機能起動方法、通信システム及びプログラム  

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