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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 A63F
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 取り消して特許、登録 A63F
管理番号 1382920
総通号数
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2022-04-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-02-16 
確定日 2022-04-12 
事件の表示 特願2016−178435号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成30年3月22日出願公開、特開2018−42658号、請求項の数(1)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成28年9月13日の出願であって、令和2年5月18日付けで拒絶の理由が通知され、同年7月10日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、同年12月7日付け(送達日:同年同月15日)で拒絶査定(以下「原査定」という。)がなされ、それに対して、令和3年2月16日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされ、これに対し、当審において、同年10月20日付けで拒絶の理由(以下「当審拒絶理由」という。)が通知され、同年12月3日に意見書及び手続補正書(以下、当該手続補正書による補正を「本件補正」という。)が提出されたものである。

第2 原査定の概要
原査定(令和2年12月7日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

1.(新規性)本願請求項1に係る発明は、以下の引用文献1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
2.(進歩性)本願請求項1〜2に係る発明は、以下の引用文献1に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
1.特開2016−131897号公報

第3 当審拒絶理由の概要
当審拒絶理由の概要は次のとおりである。

進歩性)本願請求項1に係る発明は、以下の引用文献1に基いて、または、以下の引用文献1、2に基いて、当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
1.特開2016−131897号公報(拒絶査定時の引用文献1)
2.特開2015−58116号公報(当審において新たに引用した文献)

第4 本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される発明であり、本願発明は以下のとおりの発明である(なお、AないしMについては、分説するため合議体が付した。以下A等を付した事項を「特定事項A」等という。)。
「A 第1条件が成立した場合に、第1遊技情報を取得し、第2条件が成立した場合に、第2遊技情報を取得する遊技情報取得手段と、
B 前記遊技情報取得手段により取得された前記第2遊技情報を、所定数を限度として記憶することが可能な遊技情報記憶手段と、
C 前記遊技情報取得手段により取得された前記第1遊技情報又は前記第2遊技情報に基づいて、当落判定を実行する当落判定手段と、
D 前記第1遊技情報に基づく前記当落判定が実行された場合に、当該当落判定の結果に基づいて実行される報知態様判定により判定された報知態様に応じて、当該当落判定の結果を報知する第1報知表示を実行する第1報知表示手段と、
E 前記第2遊技情報に基づく前記当落判定が実行された場合に、当該当落判定の結果に基づいて実行される前記報知態様判定により判定された報知態様に応じて、当該当落判定の結果を報知する第2報知表示を実行する第2報知表示手段と、
F 前記当落判定により特定結果が判定された場合に、特別遊技状態を生起させる特別遊技状態制御手段と、
G 所定開始条件が成立した場合に、前記第2条件の成立が容易となる有利状態を生起させ、所定終了条件が成立した場合に、当該有利状態を終了する有利状態制御手段と、
H 前記第1報知表示又は前記第2報知表示に対応する報知演出を実行する演出制御手段と、を備え、
I 前記当落判定手段は、前記第2遊技情報について、前記第1遊技情報に対して優先して、前記当落判定を実行し、
J 前記所定終了条件は、前記有利状態の生起中に実行された前記第2報知表示の回数が所定回数に達した場合に成立し、
K 前記報知演出の態様は、前記報知態様判定により判定された報知態様に応じて選択され、
L 前記演出制御手段は、前記有利状態の生起中に実行される前記当落判定の結果を報知する前記第2報知表示に対応する前記報知演出、及び、前記所定終了条件が成立した際に前記遊技情報記憶手段に記憶されている前記第2遊技情報に基づく前記当落判定の結果を報知する前記第2報知表示に対応する前記報知演出として、前記有利状態の非生起中に実行される前記当落判定の結果を報知する前記第1報知表示に対応する前記報知演出とは異なる特定態様により前記当落判定の結果が示唆される前記報知演出を実行可能である
M ことを特徴とする遊技機。」

第5 引用文献の記載、引用発明
1 引用文献1
原査定の拒絶の理由において、また、当審拒絶理由において引用文献1として引用され、本願出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2016−131897号公報(平成28年7月25日出願公開、以下「引用文献1」という。)には、遊技機(発明の名称)に関し、次の事項が図とともに記載されている(下線は引用発明等の認定に関連する箇所を明示するために合議体が付した。以下同様。)。

ア 「【0013】
1.遊技機の構造
本発明の一実施形態であるパチンコ遊技機について、図面に基づいて説明する。図1に示すように、実施形態のパチンコ遊技機1は、遊技機枠50と、遊技機枠50内に取り付けられた遊技盤2とを備えている。遊技機枠50のうちの前面枠51には、回転角度に応じた発射強度で遊技球を発射させるためのハンドル60、遊技球を貯留する打球供給皿(上皿)61、及び打球供給皿61に収容しきれない遊技球を貯留する余剰球受皿(下皿)62が設けられている。また前面枠51には、遊技の進行に伴って実行される演出時などに遊技者が操作し得る演出ボタン63が設けられている。また前面枠51には、装飾用の枠ランプ66およびスピーカ67が設けられている。」

イ 「【0015】
また遊技領域3の中央付近には、液晶表示装置である画像表示装置(演出手段)7が設けられている。画像表示装置7の表示画面7aには、後述の第1特別図柄および第2特別図柄の変動表示(可変表示)に同期した演出図柄(装飾図柄)8L,8C,8Rの変動表示を行う演出図柄表示領域がある。演出図柄表示領域は、例えば「左」「中」「右」の3つの図柄表示エリアからなる。左の図柄表示エリアには左演出図柄8Lが表示され、中の図柄表示エリアには中演出図柄8Cが表示され、右の図柄表示エリアには右演出図柄8Rが表示される。演出図柄はそれぞれ、例えば「1」〜「9」までの数字をあらわした複数の図柄からなる。画像表示装置7は、左、中、右の演出図柄の組み合わせによって、後述の第1特別図柄表示器41aおよび第2特別図柄表示器41b(図3(A)参照)にて表示される第1特別図柄および第2特別図柄の変動表示の結果(つまりは大当たり抽選の結果)を、わかりやすく表示する。
・・・
【0017】
画像表示装置7は、上記のような演出図柄を用いた演出図柄変動演出(「演出図柄可変表示演出」や単に「変動演出」ともいう)のほか、大当たり遊技(第2特別遊技)に並行して行われる大当たり演出や、客待ち用のデモ演出などを表示画面7aに表示する。なお演出図柄可変表示演出では、数字等の演出図柄のほか、背景画像やキャラクタ画像などの演出図柄以外の演出画像も表示される。」

ウ 「【0061】
サブ制御基板90には、画像制御基板100、音声制御基板106、ランプ制御基板107が接続されている。サブ制御基板90の演出制御用マイコン91は、主制御基板80から受信したコマンドに基づいて、画像制御基板100のCPU102に画像表示装置7の表示制御を行わせる。画像制御基板100のRAM104は、画像データを展開するためのメモリである。画像制御基板100のROM103には、画像表示装置7に表示される静止画データや動画データ、具体的にはキャラクタ、アイテム、図形、文字、数字および記号等(演出図柄を含む)や背景画像等の画像データが格納されている。画像制御基板100のCPU102は、演出制御用マイコン91からの指令に基づいてROM103から画像データを読み出す。そして、読み出した画像データに基づいて表示制御を実行する。」

エ 「【0090】
高ベース状態では、右打ちにより右遊技領域3B(図1参照)へ遊技球を進入させた方が有利に遊技を進行できる。電サポ制御により低ベース状態と比べて電チュー22が開放されやすくなっており、第1始動口20への入賞よりも第2始動口21への入賞の方が容易となっているからである。そのため、普通図柄抽選の契機となるゲート28へ遊技球を通過させつつ、第2始動口21へ遊技球を入賞させるべく右打ちを行う。なお本パチンコ遊技機1では、大当たり遊技中も右打ちにて遊技を行う。」

オ 「【0092】
5.遊技制御用マイコン81の動作
[主制御メイン処理]次に図11〜図28に基づいて遊技制御用マイコン81の動作について説明する。なお、遊技制御用マイコン81の動作説明にて登場するカウンタ、タイマ、フラグ、ステータス、バッファ等は、RAM84に設けられている。主制御基板80に備えられた遊技制御用マイコン81は、パチンコ遊技機1の電源がオンされると、ROM83から図11に示した主制御メイン処理のプログラムを読み出して実行する。同図に示すように、主制御メイン処理では、まず初期設定を行う(ステップS001)。初期設定では例えば、スタックの設定、定数設定、割り込み時間の設定、CPU82の設定、SIO、PIO、CTC(割り込み時間の管理のための回路)の設定や、各種のフラグ、ステータス及びカウンタ等のリセット等を行う。フラグの初期値は「0」つまり「OFF」であり、ステータスの初期値は「1」であり、カウンタの初期値は「0」である。なお初期設定(S001)は、電源投入後に一度だけ実行され、それ以降は実行されない。」

カ 「【0100】
ステップS205では、第1始動口20に遊技球が入賞したか否か、即ち、第1始動口センサ20aによって遊技球が検出されたか否か判定する(S205)。第1始動口20に遊技球が入賞していない場合(S205でNO)にはステップS211に進むが、第1始動口20に遊技球が入賞した場合には(S205でYES)、特図1保留球数(第1特図保留の数、具体的にはRAM84に設けた第1特図保留の数をカウントするカウンタの値)が「4」(上限記憶数)に達しているか否か判定する(S206)。そして、特図1保留球数が「4」に達している場合(S206でYES)には、ステップS211に進むが、特図1保留球数が「4」未満である場合には(S206でNO)、特図1保留球数に「1」を加算する(S207)。
【0101】
続いて特図1関係乱数取得処理(S208)を行う。特図1関係乱数取得処理(S208)では、大当たり乱数カウンタの値(ラベル−TRND−Aの値)、当たり種別乱数カウンタの値(ラベル−TRND−ASの値)、リーチ乱数カウンタの値(ラベル−TRND−RCの値)及び変動パターン乱数カウンタの値(ラベル−TRND−T1の値)を取得し(つまり図7(A)に示す乱数値群を取得し)、それら取得乱数値を第1特図保留記憶部85aのうち現在の特図1保留球数に応じた記憶領域に格納する。そして、特図1保留球数が増加したことを示す特図1保留増加コマンドを所定の出力バッファにセットする(S209)。
【0102】
続いてセンサ検出処理(S104)では、第2始動口21に遊技球が入賞したか否か、即ち、第2始動口センサ21aによって遊技球が検出されたか否かを判定する(S211)。第2始動口21に遊技球が入賞していない場合(S211でNO)には本処理を終えるが、第2始動口21に遊技球が入賞した場合には(S211でYES)、特図2保留球数(第2特図保留の数、具体的にはRAM84に設けた第2特図保留の数をカウントするカウンタの値)が「1」(上限記憶数)に達しているか否か判定する(S212)。そして、特図2保留球数が「1」に達している場合(S212でYES)には本処理を終えるが、特図2保留球数が「1」未満である場合(つまりない場合)には(S212でNO)、特図2保留球数に「1」を加算する(S213)。
【0103】
続いて特図2関係乱数取得処理(S214)を行う。特図2関係乱数取得処理(S214)では、特図1関係乱数取得処理(S208)と同様に、大当たり乱数カウンタの値(ラベル−TRND−Aの値)、当たり種別乱数カウンタの値(ラベル−TRND−ASの値)、リーチ乱数カウンタの値(ラベル−TRND−RCの値)及び変動パターン乱数カウンタの値(ラベル−TRND−T1の値)を取得し(つまり図7(A)に示す乱数値群を取得し)、それら取得乱数値を第2特図保留記憶部85bのうち現在の特図2保留球数に応じた記憶領域に格納する。そして、特図2保留球数が増加したことを示す特図2保留増加コマンドを所定の出力バッファにセットする(S215)。」

キ 「【0111】
[特別動作処理]遊技制御用マイコン81は、普通動作処理(S105)に次いで、図15に示す特別動作処理(S106)を行う。特別動作処理(S106)では、特別図柄表示器41および大入賞口装置(第1大入賞装置31および第2大入賞装置36)に関する処理を5つの段階に分け、それらの各段階に「特別動作ステータス1,2,3,4,5」を割り当てている。そして、「特別動作ステータス」が「1」である場合には(S901でYES)、特別図柄待機処理(S902)を行い、「特別動作ステータス」が「2」である場合には(S901でNO、S903でYES)、特別図柄変動中処理(S904)を行い、「特別動作ステータス」が「3」である場合には(S901,S903で共にNO、S905でYES)、特別図柄確定処理(S906)を行い、「特別動作ステータス」が「4」である場合には(S901,S903,S905で共にNO、S907でYES)、大当たり遊技としての特別電動役物処理1(S908)を行い、「特別動作ステータス」が「5」である場合には(S901,S903,S905,S907の全てがNO)、小当たり遊技としての特別電動役物処理2(S909)を行う。なお特別動作ステータスは、初期設定では「1」である。」

ク 「【0113】
ステップS1001において特図2保留球数が「0」でない場合(S1001でNO)、即ち、第2始動口21への入賞に起因して取得した乱数カウンタ値群の記憶(特図2の保留情報)が1つ以上ある場合には、後述の特図2大当たり判定処理(S1002)及び特図2変動パターン選択処理(S1003)を行う。その後、遊技制御用マイコン81は、特図2保留球数を1ディクリメントする(S1004)。そして、第2特図保留記憶部85bにおける特図2の保留情報をクリアする(S1005)。続いて遊技制御用マイコン81は、特図2変動開始処理(S1006)を実行する。特図2変動開始処理(S1006)では、特別動作ステータスを「2」にセットするとともに変動開始コマンドをRAM84の出力バッファにセットして、第2特別図柄の変動表示を開始する。なお、特図2変動開始処理(S1006)でセットされる変動開始コマンド(特図2変動開始コマンドともいう)には、特図2大当たり判定処理(S1002)でセットされた特図停止図柄データの情報や特図2変動パターン選択処理(S1003)でセットされた変動パターンの情報(変動時間の情報を含む情報)が含まれている。
【0114】
また、特図2保留球数が「0」であるが特図1保留球数が「0」でない場合(S1001でYES且つS1007でNO)、即ち、特図2の保留情報はないが、第1始動口20への入賞に起因して取得した乱数カウンタ値群の記憶(特図1の保留情報)が1つ以上ある場合には、後述の特図1大当たり判定処理(S1008)及び特図1変動パターン選択処理(S1009)を行う。その後、遊技制御用マイコン81は、特図1保留球数を1ディクリメントする(S1010)。そして、第1特図保留記憶部85aにおける各種カウンタ値の格納場所(記憶領域)を、現在の位置から読み出される側に一つシフトするとともに、第1特図保留記憶部85aにおける保留4個目に対応する記憶領域(読み出される側から最も遠い記憶領域)をクリアする(S1011)。このようにして、第1特図保留が保留された順に消化されるようにしている。続いて遊技制御用マイコン81は、特図1変動開始処理(S1012)を実行する。特図1変動開始処理(S1012)では、特別動作ステータスを「2」にセットするとともに変動開始コマンドをRAM84の出力バッファにセットして、第1特別図柄の変動表示を開始する。なお、特図1変動開始処理(S1012)でセットされる変動開始コマンド(特図1変動開始コマンドともいう)には、特図1大当たり判定処理(S1008)でセットされた特図停止図柄データの情報や特図1変動パターン選択処理(S1009)でセットされた変動パターンの情報(変動時間の情報を含む情報)が含まれている。
【0115】
上記のように本形態では、第1特図保留に基づく特別図柄の変動表示は、第2特図保留が「0」の場合(S1001でYESの場合)に限って行われる。すなわち第2特図保留の消化は、第1特図保留の消化に優先して実行される。そして本形態では、第2特図保留に基づく抽選にはハズレがなく、大当たり当選となる場合を除けば必ず小当たり当選となる上、小当たり遊技では必ず特定領域39を通過することができるようになっている。つまり、第2特図保留に基づく抽選がなされれば必ず大当たり遊技が実行される(大当たりに当選する)ようになっている。この点については後に詳述する。」

ケ 「【0116】
[特図2大当たり判定処理(特図1大当たり判定処理)]特図2大当たり判定処理(S1002)と特図1大当たり判定処理(S1008)とは、処理の流れが同じであるため図17に基づいてまとめて説明する。図17に示すように、特図2大当たり判定処理(S1002)又は特図1大当たり判定処理(S1008)ではまず、判定値として、大当たり乱数カウンタ値(ラベル−TRND−Aの値)を読み出す(S1101)。詳細には、特図2大当たり判定処理(S1002)では、RAM84の第2特図保留記憶部85bに記憶されている大当たり乱数カウンタ値を読み出す。また特図1大当たり判定処理(S1008)では、RAM84の第1特図保留記憶部85a(詳しくは第1特図保留の1個目に対応する記憶領域)に記憶されている大当たり乱数カウンタ値を読み出す。
【0117】
次に、大当たり判定テーブル(図8(A))をセットする(S1102)。次いで、セットした大当たり判定テーブルに基づいて大当たりか否かを判定する(S1103)。すなわち、大当たり乱数カウンタ値(ラベル−TRND−A)が、大当たり判定値である「65300」〜「65535」の何れかと一致するか否か判定する(図8(A)参照)。大当たり判定(S1103)の結果が「大当たり」であれば、大当たりフラグをONするとともに(S1104)、当たり種別乱数カウンタ値(ラベル−TRND−ASの値)を読み出して、図8(B)に示す当たり種別判定テーブルに基づいて大当たり種別を判定する(S1105)。大当たり種別を判定(S1105)した後は、大当たり種別(大当たり図柄の種類)に応じた特図停止図柄データ(図6参照)をRAM84に設けた当たり種別バッファにセットして(S1106)処理を終える。
【0118】
一方、大当たり判定(S1103)の結果が「大当たり」でなければ、小当たりか否かを判定する(S1107)。詳細には、特図2大当たり判定処理(S1002)では、大当たり乱数カウンタ値が、小当たり判定値である「0」〜「65299」の何れかと一致するか否か判定する(図8(A)の特図2の欄参照)。また特図1大当たり判定処理(S1008)では、大当たり乱数カウンタ値が、小当たり判定値である「0」〜「3500」の何れかと一致するか否か判定する(図8(A)の特図1の欄参照)。なお小当たり当選確率は、特図1の抽選よりも特図2の抽選の方が高くなっている。
【0119】
小当たり判定(S1107)の結果が「小当たり」であれば、小当たりフラグをONするとともに(S1108)、当たり種別乱数カウンタ値(ラベル−TRND−ASの値)を読み出して、図8(B)に示す当たり種別判定テーブルに基づいて小当たり種別を判定する(S1109)。小当たり種別を判定(S1109)した後は、小当たり種別(小当たり図柄の種類)に応じた特図停止図柄データ(図6参照)をRAM84に設けた当たり種別バッファにセットして(S1110)処理を終える。なお、小当たりか否かを決める乱数を、大当たり乱数とは別に設けてもよい。
【0120】
また、大当たりでなく(S1103でNO)、小当たりでもなければ(S1107でNO)、「ハズレ」であるので、ハズレ図柄に応じた特図停止図柄データ(01H)をセットして(S1111)、本処理を終える。本形態では、特図1の抽選ではその結果が「ハズレ」となることがある一方、特図2の抽選ではその結果が「ハズレ」となることがないように、各抽選における小当たり当選確率が設定されている(図8(A)参照)。」

コ 「【0121】
[特図2変動パターン選択処理(特図1変動パターン選択処理)]特図2変動パターン選択処理(S1003)と特図1変動パターン選択処理(S1009)とは、処理の流れが同じであるため図18及び図19に基づいてまとめて説明する。図18に示すように、特図2変動パターン選択処理(S1003)又は特図1変動パターン選択処理(S1009)ではまず、遊技状態が時短状態か否か(時短フラグがONか否か)を判定する(S1301)。
【0122】
時短状態でなければ(S1301でNO)、すなわち非時短状態であれば、続いて大当たりフラグがONか否かを判定する(S1302)。ONであれば(S1302でYES)、非時短状態中大当たりテーブル(図9に示す変動パターン判定テーブルのうち非時短状態且つ大当たりに該当する部分)を参照して、変動パターン乱数カウンタ値(ラベル−TRND−T1の値)に基づいて変動パターンを選択する(S1303)。なお、変動パターンが決まれば変動時間も決まる。
【0123】
またステップS1302において、大当たりフラグがONでなければ(S1302でNO)、小当たりフラグがONか否かを判定する(S1304)。ONであれば(S1304でYES)、非時短状態中小当たりテーブル(図9に示す変動パターン判定テーブルのうち非時短状態且つ小当たりに該当する部分)を参照して、変動パターン乱数カウンタ値に基づいて変動パターンを選択する(S1305)。
【0124】
またステップS1304において、小当たりフラグがONでなければ(S1304でNO)、リーチ乱数カウンタ値(ラベル−TRND−RCの値)がリーチ成立乱数値か否かを判定する(S1306)。図8(C)に示すように、リーチ成立乱数値は時短状態であれば「0」〜「5」であり、非時短状態であれば「0」〜「13」である。すなわち、時短状態の方が非時短状態よりもハズレ時のリーチがかかりにくくなっている。これは、時短状態において変動時間の短いリーチ無しハズレがより多く選択されるようにすることで、特図保留の消化スピードを早めるためである。リーチ乱数カウンタ値がリーチ成立乱数値である場合(S1306でYES)、即ち、リーチ有りハズレの場合には、非時短状態中リーチ有りハズレテーブル(図9に示す変動パターン判定テーブルのうち非時短状態且つリーチ有りハズレに該当する部分)を参照して、変動パターン乱数カウンタ値に基づいて変動パターンを選択する(S1307)。
【0125】
一方、リーチ乱数カウンタ値がリーチ成立乱数値でない場合(S1306でNO)、即ち、リーチ無しハズレの場合には、非時短状態中リーチ無しハズレテーブル(図9に示す変動パターン判定テーブルのうち非時短状態且つリーチ無しハズレに該当する部分)を参照して、変動パターン乱数カウンタ値に基づいて変動パターンを選択する(S1308)。このリーチ無しハズレ時には、保留球数に応じた短縮変動の機能が働くようになっている。すなわち、特別図柄の保留球数が「3」又は「4」であるときは、特別図柄の保留球数が「0」〜「2」であるときに比して変動時間の短い変動パターンが選択されるようになっている。
【0126】
またステップS1301において、遊技状態が時短状態であると判定した場合(S1301でYES)には、図19に示すように、参照する変動パターン判定テーブルを時短状態中のテーブル(図9に示す変動パターン判定テーブルのうち時短状態に該当する部分)にする事以外は上記ステップS1302〜S1308と同様の流れで処理(S1309〜S1315)を行う。すなわち、大当たりフラグがONであれば(S1309でYES)、時短状態中大当たりテーブル(図9に示す変動パターン判定テーブルのうち時短状態且つ大当たりに該当する部分)を参照して、変動パターン乱数カウンタ値に基づいて変動パターンを選択する(S1310)。
【0127】
また小当たりフラグがONであれば(S1311でYES)、時短状態中小当たりテーブル(図9に示す変動パターン判定テーブルのうち時短状態且つ小当たりに該当する部分)を参照して、変動パターン乱数カウンタ値に基づいて変動パターンを選択する(S1312)。またリーチ乱数カウンタ値がリーチ成立乱数値であれば(S1313でYES)、時短状態中リーチ有りハズレテーブル(図9に示す変動パターン判定テーブルのうち時短状態且つリーチ有りハズレに該当する部分)を参照して、変動パターン乱数カウンタ値に基づいて変動パターンを選択する(S1314)。またリーチ乱数カウンタ値がリーチ成立乱数値でなければ(S1313でNO)、時短状態中リーチ無しハズレテーブル(図9に示す変動パターン判定テーブルのうち時短状態且つリーチ無しハズレに該当する部分)を参照して、変動パターン乱数カウンタ値に基づいて変動パターンを選択する(S1315)。
・・・
【0129】
上記のようにして変動パターンの選択を行った後は、図18に示すように、選択した変動パターンをセットして(S1316)、本処理を終える。ステップS1316でセットした変動パターンの情報は、特別図柄待機処理(S902)におけるステップS1006又はS1012でセットされる変動開始コマンドに含められる。」

サ 「【0130】
[特別図柄変動中処理]図20に示すように、特別図柄変動中処理(S904)ではまず、特別図柄の変動時間(ステップS1003又はS1009で選択された変動パターンに応じて決まる変動時間、図9参照)が経過したか否かを判定する(S1501)。経過していなければ(S1501でNO)、直ちにこの処理を終える。これにより特別図柄の変動表示が継続される。
【0131】
一方、変動時間が経過していれば(S1501でYES)、変動停止コマンドをセットするとともに(S1502)、特別動作ステータスを「3」にセットする(S1503)。そして、特別図柄の変動表示を、セットされている特図停止図柄データに応じた図柄(大当たり図柄、小当たり図柄又はハズレ図柄)で停止させる等のその他の処理を行ってから(S1504)、この処理を終える。」

シ 「【0133】
次に、大当たりフラグがONであるか否かを判定する(S1603)。大当たりフラグがONであれば(S1603でYES)、特別動作ステータスを「4」にセットする(S1604)。そして、遊技制御用マイコン81は、時短フラグがONか否かを判定し(S1605)、ONでなければステップS1607に進むが、ONであれば時短フラグをOFFして(S1606)ステップS1607に進む。これにより、大当たり遊技の実行中は非時短状態に制御される。本形態では非時短状態時は常に低ベース状態であるので、大当たり遊技の実行中は低ベース状態に制御されることにもなる。」

ス 「【0151】
[遊技状態設定処理]図24に示すように、遊技状態設定処理(S2018)ではまず、今回実行した大当たり遊技が時短当たり(すなわち「4R時短大当たり」、「16R時短小当たりA」、「16R時短小当たりB」、「15R時短大当たり」、又は「16R時短小当たりC」)への当選を契機として実行された大当たり遊技であるか否か判定する(S2101)。ステップS2101の判定結果がYESであれば、時短フラグをONするとともに(S2102)、時短カウンタに「99」をセットして(S2103)、本処理を終える。これにより、今回の大当たり遊技後の遊技状態が時短状態且つ高ベース状態(特典遊技状態)になる。この特典遊技状態は、特別図柄の変動表示が99回行われること、又は次の大当たりに当選することのいずれかの条件の成立により終了する。」

セ 「【0209】
[変動演出開始処理]図34に示すように、変動演出開始処理(S4409)では、演出制御用マイコン91は、後述する背景処理(S4801)および変動演出パターン選択処理(S4802)を行う。
【0210】
[背景処理]図35に示すように、背景処理(S4801)ではまず、演出制御用マイコン91は、背景データを参照する(S4901)。背景データとは、表示画面7aに表示する背景画像を示すデータである。本形態では、背景画像として、図44に示す4つの背景画像(「通常背景」、「特別背景」、「ラストチャンス背景」、及び「チャンス終了直後背景」)を表示することが可能となっている。
【0211】
「通常背景」は、図45(a)に示す昼の背景である。また、「特別背景」は、図45(b)に示す夜の背景(月の演出画像あり、ラストチャンスの文字画像なし)である。また、「ラストチャンス背景」は、図45(c)に示す夜の背景(月の演出画像なし、ラストチャンスの文字画像あり)である。また、「チャンス終了直後背景」は、図45(d)に示す夜明けの背景である。図45(b)に示す夜の背景を第1夜背景とも称し、図45(c)に示す夜の背景を第2夜背景とも称する。」

ソ 「【0216】
[変動演出パターン選択処理]図36に示すように、変動演出パターン選択処理(S4802)ではまず、演出制御用マイコン91は、変動開始コマンドを解析する(S5001)。変動開始コマンドには、特図2変動パターン選択処理(S1003)又は特図1変動パターン選択処理(S1009)でセットされた変動パターンの情報が含まれている。次に演出制御用マイコン91は、背景データを参照する(S5002)。
【0217】
続いて演出制御用マイコン91は、背景データ及び変動パターンに応じて設けられている複数の変動演出パターンテーブルの中から、ステップS5002で参照した背景データ及びステップS5001で解析した変動開始コマンドが示す変動パターンに対応する変動演出パターンテーブルを選択してセットする(S5003)。そして、このテーブルに基づいて変動演出パターンを選択する(S5004)。
【0218】
このとき演出決定用乱数の取得および判定も行う。これにより、いわゆるステップアップ予告演出やチャンスアップ予告演出などの予告演出の内容や、停止表示する演出図柄8L,8C,8Rの組み合わせなどを含めて、変動演出としてどのような演出を行うかが決定される。そして、選択した変動演出パターンにて変動演出を開始するための変動演出開始コマンドをRAM94の出力バッファにセットする(S5005)。
【0219】
ステップS5005でセットされた変動演出開始コマンドがコマンド送信処理(S4006)により画像制御基板100に送信されると、画像制御基板100のCPU102は、所定の演出画像をROM103から読み出して、画像表示装置7の表示画面7aにて変動演出を行う。
【0220】
本形態では、背景データに応じた背景画像で変動演出が実行される。具体的には、背景データが「01H」であれば、図45(a)に示すように、背景画像として昼背景の画像を表示画面7aに表示した上で変動演出を実行する。また、背景データが「02H」であれば、図45(b)に示すように、背景画像として第1夜背景の画像を表示画面7aに表示した上で変動演出を実行する。また、背景データが「03H」であれば、図45(c)に示すように、背景画像として第2夜背景の画像を表示画面7aに表示した上で変動演出を実行する。また、背景データが「04H」であれば、図45(d)に示すように、背景画像として夜明け背景の画像を表示画面7aに表示した上で変動演出を実行する。
【0221】
第1夜背景や第2夜背景の画像は、大当たりを獲得し易い状態であることを遊技者に対して報知する画像である。詳しく述べれば、第1夜背景の画像は、現在の遊技状態が時短状態且つ高ベース状態(特典遊技状態)であるときに表示される。また、第2夜背景の画像は、通常遊技状態(非時短状態且つ低ベース状態)であるがその通常遊技状態への移行時点で第2特図保留があったときに表示される。これらの場合は、第2特図保留に基づく小当たり当選から、V通過(V入賞)を経て大当たり遊技を実行させることが可能である。つまり、大当たりを獲得し易い状態といえる。
【0222】
これに対して昼背景や夜明け背景の画像は、大当たりを獲得し易い状態ではないことを遊技者に対して報知する画像である。詳しく述べれば、これらの画像は、現在の遊技状態が通常遊技状態(非時短状態且つ低ベース状態)であり第2特図保留もないときに表示される。大当たり遊技の終了時点で第2特図保留がなく通常遊技状態に制御された場合や、通常遊技状態において第2特図保留がなくなった場合には、特図1の抽選にて大当たりを獲得しなければならない。そのため、特図2の抽選のように容易に大当たりを獲得することはできない。つまり、第2特図保留のない通常遊技状態は、大当たりを獲得し易い状態ではない。
【0223】
図36に戻り、ステップS5005に続いて演出制御用マイコン91は、受信した変動開始コマンドに基づいて、特図2の小当たり変動(小当たり当選の判定結果に基づく変動)の開始時か否かを判定する(S5006)。ステップS5006の判定結果がNOであれば本処理を終える。一方、ステップS5006の判定結果がYESであればV打込指示演出を行うための演出コマンドを、RAM94の出力バッファにセットする(S5007)。
【0224】
ステップS5007でセットした演出コマンドがコマンド送信処理(S4006)により画像制御基板100に送信されると、画像制御基板100のCPU102は、V入賞(特定領域39への通過)を促す演出画像をROM103から読み出して、画像表示装置7の表示画面7aに表示する。具体的には本形態では、V打込指示演出として、まず図46(a)に示す「Vチャンススタート」の文字画像MIを表示する。これにより、まもなく小当たり遊技が実行されることが遊技者に示唆される。この文字画像MIの表示は第2示唆演出に相当する。なお第1示唆演出に相当する演出は、図49に示すカウントダウン演出CEである。この演出については後述する。
【0225】
V打込指示演出では、次いで図46(b)に示すV打込指示画像NIを表示する。これにより、遊技者に対して第2大入賞装置36(Vアタッカー)を狙って遊技球を打ち込むべき旨を報知する。このV打込指示画像NIの表示は打込報知演出に相当する。なお、これらの画像(文字画像MIやV打込指示画像NI)は、背景画像に重ねて表示する。このようなV打込指示演出を特図2の変動表示中の演出として行うことで、小当たり遊技の開始後に遊技者が慌てることなく確実にV入賞させることができるようにしている。このV打込指示演出は、通常遊技状態であっても特典遊技状態であっても実行される。」

タ 上記ア〜ソからみて、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。なお、a〜mについては本願発明のA〜Mに概ね対応させて付与し、引用箇所の段落番号等を併記した。

「a、b 第1始動口20に遊技球が入賞した場合には、大当たり乱数カウンタの値及び変動パターン乱数カウンタの値を取得し、それら取得乱数値を第1特図保留記憶部85aのうち現在の特図1保留球数に応じた記憶領域に格納し(【0100】、【0101】)、
第2始動口21に遊技球が入賞した場合には、特図2保留球数が「1」(上限記憶数)に達しているか否か判定し、
特図2保留球数が「1」未満である場合には、特図2保留球数に「1」を加算し、大当たり乱数カウンタの値及び変動パターン乱数カウンタの値を取得し、それら取得乱数値を第2特図保留 記憶部85bのうち現在の特図2保留球数に応じた記憶領域に格納し(【0102】、【0103】)、
c RAM84の第1特図保留記憶部85a又は第2特図保留記憶部85bに記憶されている大当たり乱数カウンタ値を読み出し(【0116】)、
大当たり判定テーブルに基づいて大当たりか否かを判定し、大当たり判定の結果が「大当たり」であれば、大当たりフラグをONするとともに、大当たり図柄の種類に応じた特図停止図柄データをRAM84にセットし(【0117】)、
大当たり判定の結果が「大当たり」でなければ、小当たりか否かを判定し(【0118】)、
小当たり判定の結果が「小当たり」であれば、小当たりフラグをONするとともに、小当たり図柄の種類に応じた特図停止図柄データをRAM84にセットし(【0119】)、
大当たりでなく、小当たりでもなければ、「ハズレ」であるので、ハズレ図柄に応じた特図停止図柄データをセットする(【0120】)特図1大当たり判定処理又は特図2大当たり判定処理を行い(【0116】)、
i 第2特図保留の消化は、第1特図保留の消化に優先して実行され(【0115】)、
d 特図1変動パターン選択処理ではまず、遊技状態が時短状態か否かを判定し(【0121】)、続いて大当たりフラグがONか否かを判定し、小当たりフラグがONか否かを判定し、変動パターン判定テーブルのうち該当する部分を参照して、変動パターン乱数カウンタ値に基づいて変動パターンを選択し(【0122】〜【0127】)、
選択した変動パターンの情報は、変動開始コマンドに含められ(【0129】)、
続いて特図1変動開始処理を実行し、特図1変動開始処理では、変動開始コマンドをRAM84の出力バッファにセットして、第1特別図柄の変動表示を開始し(【0114】)、
特別図柄変動中処理では、特別図柄の変動表示を、セットされている特図停止図柄データに応じた図柄で停止させる処理を行い(【0130】、【0131】)、
e 特図2変動パターン選択処理ではまず、遊技状態が時短状態か否かを判定し(【0121】)、続いて大当たりフラグがONか否かを判定し、小当たりフラグがONか否かを判定し、変動パターン判定テーブルのうち該当する部分を参照して、変動パターン乱数カウンタ値に基づいて変動パターンを選択し(【0122】〜【0127】)、
選択した変動パターンの情報は、変動開始コマンドに含められ(【0129】)、
続いて特図2変動開始処理を実行し、特図2変動開始処理では、変動開始コマンドをRAM84の出力バッファにセットして、第2特別図柄の変動表示を開始し(【0113】)
特別図柄変動中処理では、特別図柄の変動表示を、セットされている特図停止図柄データに応じた図柄で停止させる処理を行い(【0130】、【0131】)、
f 大当たりフラグがONであれば、特別動作ステータスを「4」にセットし、大当たり遊技を行い(【0111】、【0133】)、
g、j 今回実行した大当たり遊技が時短当たりへの当選を契機として実行された大当たり遊技である場合、今回の大当たり遊技後の遊技状態が時短状態且つ高ベース状態(特典遊技状態)となる遊技状態設定処理を行い(【0151】)、
高ベース状態では、右打ちにより右遊技領域3Bへ遊技球を進入させた方が有利に遊技を進行できるため、普通図柄抽選の契機となるゲート28へ遊技球を通過させつつ、第2始動口21へ遊技球を入賞させるべく右打ちを行い(【0090】)、
この特典遊技状態は、特別図柄の変動表示が99回行われること、又は次の大当たりに当選することのいずれかの条件の成立により終了する(【0151】)、
遊技制御用マイコン81(【0092】)と、
h 第1特別図柄および第2特別図柄の可変表示に同期した演出図柄(装飾図柄)8L,8C,8Rの変動表示や、背景画像などの演出画像を表示する画像表示装置7の表示制御を行う演出制御用マイコン91(【0015】、【0017】、【0061】)と、を備え、
k 演出制御用マイコン91は、特図2変動パターン選択処理又は特図1変動パターン選択処理でセットされた変動パターンの情報が含まれている変動開始コマンドを解析し、
次に、背景データを参照し(【0216】)、
続いて、背景データ及び変動パターンに応じて設けられている複数の変動演出パターンテーブルの中から、参照した背景データ及び解析した変動開始コマンドが示す変動パターンに対応する変動演出パターンテーブルを選択し、このテーブルに基づいて変動演出パターンを選択し(【0217】)、
変動演出としてどのような演出を行うか決定し、選択した変動演出パターンにて変動演出を開始し(【0218】)、
l 演出制御用マイコン91は(【0209】)、
表示画面7aに表示する背景画像を示すデータである背景データを参照し、背景画像として、4つの背景画像(昼の背景である「通常背景」、第1夜背景と称する「特別背景」、第2夜背景と称する「ラストチャンス背景」、及び夜明けの背景である「チャンス終了直後背景」)を表示することが可能であり(【0210】、【0211】)、
第1夜背景の画像は、現在の遊技状態が時短状態且つ高ベース状態(特典遊技状態)であるときに表示され、第2夜背景の画像は、通常遊技状態(非時短状態 且つ低ベース状態)であるがその通常遊技状態への移行時点で第2特図保留があったときに表示され(【0221】)、
昼背景や夜明け背景の画像は、現在の遊技状態が通常遊技状態(非時短状態且つ低ベース状態)であり第2特図保留もないときに表示され(【0222】)、
画像表示装置7の表示画面7aでは、背景データに応じた背景画像で変動演出が実行され、背景データが「01H」であれば、背景画像として昼背景の画像を表示画面7aに表示した上で変動演出を実行し、背景データが「02H」であれば、背景画像として第1夜背景の画像を表示画面7aに表示した上で変動演出を実行し、背景データが「03H」であれば、背景画像として第2夜背景の画像を表示画面7aに表示した上で変動演出を実行し、背景データが「04H」であれば、背景画像として夜明け背景の画像を表示画面7aに表示した上で変動演出を実行し(【0219】、【0220】)、
特図2の小当たり変動(小当たり当選の判定結果に基づく変動)では、特図2の変動表示中の演出として行うV打込指示演出として、「Vチャンススタート」の文字画像MIを画像表示装置7の表示画面7aに背景画像に重ねて表示し、このV打込指示演出は、通常遊技状態であっても特典遊技状態であっても実行される(【0223】〜【0225】)
m パチンコ遊技機1(【0013】)。」

2 引用文献2
当審拒絶理由において引用文献2として引用され、本願出願前に頒布された刊行物である特開2015−58116号公報(平成27年3月30日出願公開、以下「引用文献2」という。)には、遊技機(発明の名称)に関し、次の事項が図とともに記載されている。

ア 「【0015】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳述する。図1〜図6は本発明をいわゆる1種2種複合機と呼ばれるパチンコ機に採用した第1の実施形態を例示している。図1において、遊技機本体1は、正面視矩形状の外枠2と、この外枠2の前側に左右一側、例えば左側のヒンジ3により開閉自在に枢着された前枠4とを備えている。前枠4の前側には、ガラス扉5と前面板6とが上下に隣接するように配置され、夫々ヒンジ3と同じ側のヒンジ7により前枠4に開閉自在に枢支されている。」

イ 「【0058】
特別遊技状態発生手段77は、大当たり状態の終了後に遊技者に有利な特別遊技状態を発生させるためのもので、特別遊技状態の一例としての開放延長状態を発生させる開放延長状態発生手段77aを備えている。開放延長状態発生手段77aは、大当たり状態が終了したときに所定の確率で開放延長状態を開始させると共に、一又は複数の特別遊技状態終了条件の何れかが満たされた場合に開放延長状態を終了させるようになっている。
【0059】
開放延長状態中は、普通利益状態における第2特別図柄始動手段21の開放時間が通常開放時間(例えば0.2秒×1回)から延長開放時間(例えば2.7秒×2回)へ切り換えられる他、第1,第2特別図柄及び普通図柄の変動時間が通常よりも短縮され、また普通図柄に関する当たり確率が通常確率(例えば1/10)から高確率(例えば1/1.3)へと切り換えられる。
【0060】
また本実施形態では、特別遊技状態終了条件として、次の大当たり状態が発生した時点で開放延長状態を終了させるための基本的終了条件の他、第1,第2終了条件が設けられている。第1終了条件は、第1,第2特別図柄表示手段37,38による図柄変動回数の合計についてその上限値を規定するもので、例えばこの第1終了条件が「100」に設定されている場合には、第1,第2特別図柄の変動回数の合計が100回に達した時点で開放延長状態は終了する。なお、遊技機規則上、開放延長状態に関してはこの第1終了条件を100以下に設定する必要がある。」

ウ 「【0083】
本実施形態の特別遊技状態終了条件は、第1の実施形態と同様、基本的終了条件、第1終了条件及び第2終了条件で構成されている。そして、基本的終了条件及び第1終了条件の内容については第1の実施形態と同様であるが、第2終了条件については、小当たり状態の発生回数ではなく、第2特別図柄表示手段38による図柄変動回数の上限値が規定されている。例えば第2終了条件が「3」に設定されている場合には、第2特別図柄表示手段38の変動回数が3回に達した時点で開放延長状態は終了する。」

エ 上記ア〜ウからみて、引用文献2には、以下の事項(以下「引用文献2記載の事項」という。)が記載されている。

「大当たり状態の終了後に遊技者に有利な特別遊技状態の一例としての開放延長状態を発生させる開放延長状態発生手段77aを備え(【0058】)、
開放延長状態中は、第2特別図柄始動手段21の開放時間が通常開放時間(0.2秒×1回)から延長開放時間(2.7秒×2回)へ切り換えられ(【0059】)、
特別遊技状態終了条件として、次の大当たり状態が発生した時点で開放延長状態を終了させるための基本的終了条件の他、第1,第2特別図柄表示手段37,38による図柄変動回数の合計が100回に達した時点で開放延長状態が終了する第1終了条件、第2特別図柄表示手段38の変動回数が3回に達した時点で開放延長状態が終了する第2終了条件が設けられている(【0060】、【0083】)
パチンコ機(【0015】)。」 」

第6 対比・判断
1 対比
ア 本願発明と引用発明とを対比する。
(ア)特定事項Aについて
引用発明の「第1始動口20に遊技球が入賞した場合には、大当たり乱数カウンタの値及び変動パターン乱数カウンタの値を取得」すること、「第2始動口21に遊技球が入賞した場合には、」「大当たり乱数カウンタの値及び変動パターン乱数カウンタの値を取得」することは、それぞれ本願発明の「第1条件が成立した場合に、第1遊技情報を取得」すること、「第2条件が成立した場合に、第2遊技情報を取得する」ことに相当する。
よって、引用発明は、本願発明の特定事項Aの「遊技情報取得手段」に相当する構成を備える。

(イ)特定事項Bについて
上記(ア)より、引用発明の「第2始動口21に遊技球が入賞した場合に」「取得」された「大当たり乱数カウンタの値及び変動パターン乱数カウンタの値」は、本願発明の「第2遊技情報」に相当する。
そうすると、引用発明の「特図2保留球数が「1」未満である場合には、」「大当たり乱数カウンタの値及び変動パターン乱数カウンタの値を取得し、それら取得乱数値を第2特図保留記憶部85bの」「記憶領域に格納」することは、本願発明の「第2遊技情報を、所定数を限度として記憶すること」に相当する。
よって、引用発明は、本願発明の特定事項Bの「遊技情報記憶手段」に相当する構成を備える。

(ウ)特定事項Cについて
引用発明の「第1特図保留記憶部85a又は第2特図保留記憶部85bに記憶されている大当たり乱数カウンタ値を読み出し」、「大当たりか」「小当たりか」「「ハズレ」である」のか「判定」する「特図1大当たり判定処理又は特図2大当たり判定処理を行」うことは、本願発明の「前記第1遊技情報又は前記第2遊技情報に基づいて、当落判定を実行する」ことに相当する。
よって、引用発明は、本願発明の特定事項Cの「当落判定手段」に相当する構成を備える。

(エ)特定事項Dについて
引用発明は、「大当たり判定の結果が「大当たり」であれば、大当たりフラグをON」にし、「小当たり判定の結果が「小当たり」であれば、小当たりフラグをON」にすることから、「大当たりフラグがONか否かを判定し、小当たりフラグがONか否かを判定」する「特図1変動パターン選択処理」は、「大当たり判定」が実行された場合に実行される処理であるといえる。
そうすると、引用発明の「大当たりフラグがONか否かを判定し、小当たりフラグがONか否かを判定し、変動パターン判定テーブルのうち該当する部分を参照して、変動パターン乱数カウンタ値に基づいて変動パターンを選択」する「特図1変動パターン選択処理」は、本願発明の「当該当落判定の結果に基づいて実行される報知態様判定」に相当し、引用発明の「選択した変動パターン」は、本願発明の「判定された報知態様」に相当する。
そして、引用発明の「選択した変動パターンの情報」を「含」む「変動開始コマンドを」「セットして」「開始」される「第1特別図柄の変動表示を開始し」、「セットされている特図停止図柄データに応じた図柄で停止させる処理を行」うことは、本願発明の「判定された報知態様に応じて、当該当落判定の結果を報知する第1報知表示を実行する」ことに相当する。
よって、引用発明は、本願発明の特定事項Dの「第1報知表示手段」に相当する構成を備える。

(オ)特定事項Eについて
上記(エ)の説示を踏まえると、引用発明の「特図2変動パターン選択処理」は、本願発明の「当該当落判定の結果に基づいて実行される前記報知態様判定」に相当し、引用発明の「選択した変動パターン」は、本願発明の「判定された報知態様」に相当する。
そして、引用発明の「選択した変動パターンの情報」を「含」む「変動開始コマンドを」「セットして」「開始」される「第2特別図柄の変動表示を開始し」、「セットされている特図停止図柄データに応じた図柄で停止させる処理を行」うことは、本願発明の「判定された報知態様に応じて、当該当落判定の結果を報知する第2報知表示を実行する」ことに相当する。
よって、引用発明は、本願発明の特定事項Eの「第2報知表示手段」に相当する構成を備える。

(カ)特定事項Fについて
引用発明の「大当たりフラグがONであ」ること、「大当たり遊技を行」うことは、それぞれ本願発明の「前記当落判定により特定結果が判定された場合」、「特別遊技状態」が「生起」されることに相当する。
よって、引用発明は、本願発明の特定事項Fの「特別遊技状態制御手段」に相当する構成を備える。

(キ)特定事項Gについて
引用発明の「高ベース状態(特典遊技状態)」は、「第2始動口21へ遊技球を入賞させるべく右打ちを行」う(引用発明のj)ことから、本願発明の「第2条件の成立が容易となる有利状態」に相当する。
そうすると、引用発明の「今回実行した大当たり遊技が時短当たりへの当選を契機として実行された大当たり遊技である場合」は、本願発明の「所定開始条件が成立した場合」に相当する。
また、引用発明の「特典遊技状態は、特別図柄の変動表示が99回行われること、又は次の大当たりに当選することのいずれかの条件の成立により終了する」ことは、本願発明の「所定終了条件が成立した場合に、当該有利状態を終了する」ことに相当する。
よって、引用発明は、本願発明の特定事項Gの「有利状態制御手段」に相当する構成を備える。

(ク)特定事項Hについて
引用発明の「第1特別図柄」「の可変表示」、「第2特別図柄の可変表示」は、それぞれ本願発明の「前記第1報知表示」、「前記第2報知表示」に相当する。
そうすると、引用発明の「第1特別図柄および第2特別図柄の可変表示に同期した演出図柄(装飾図柄)8L,8C,8Rの変動表示」は、本願発明の「前記第1報知表示又は前記第2報知表示に対応する報知演出」に相当する。
よって、引用発明の「演出制御用マイコン91」は、本願発明の特定事項Hの「演出制御手段」に相当する構成を備える。

(ケ)特定事項Iについて
引用発明の「特図1大当たり判定処理又は特図2大当たり判定処理」において「RAM84の第1特図保留記憶部85a又は第2特図保留記憶部85bに記憶されている大当たり乱数カウンタ値を読み出」すにあたり、「第2特図保留の消化」を、「第1特図保留の消化に優先して実行」することは、本願発明の「前記当落判定手段は、前記第2遊技情報について、前記第1遊技情報に対して優先して、前記当落判定を実行」することに相当する。
よって、引用発明は、本願発明の特定事項Iを備える。

(コ)特定事項Jについて
引用発明の「特典遊技状態」、「特別図柄の変動表示が99回行われること」は、それぞれ、本願発明の「有利状態」、「前記第1報知表示又は前記第2報知表示」「の回数が所定回数に達した」ことに相当し、引用発明の「成立により」「この特典遊技状態」が「終了する」「いずれかの条件」は、本願発明の「成立した場合に、当該有利状態を終了する」「所定終了条件」に相当する。
よって、引用発明は、本願発明の特定事項Jと「前記所定終了条件は、前記有利状態の生起中に実行された」「報知表示の回数が所定回数に達した場合に成立」する点で共通する。

(サ)特定事項Kについて
上記(エ)、(オ)より、引用発明の「特図2変動パターン選択処理又は特図1変動パターン選択処理でセットされた変動パターン」は、本願発明の「前記報知態様判定により判定された報知態様」に相当する。
そうすると、引用発明の「変動パターンに対応する変動演出パターンテーブル」「に基づいて」「選択した変動演出パターン」は、本願発明の「前記報知態様判定により判定された報知態様に応じて選択され」た「報知演出の態様」に相当する。
よって、引用発明は、本願発明の特定事項Kを備える。

(シ)特定事項Lについて
a 上記(コ)より、引用発明の「特典遊技状態」は、本願発明の「有利状態」に相当する。
また、引用発明の「特図1」、「第1特図」または「第1特別図柄」の「可変表示(変動表示)」は、いずれも本願発明の「前記当落判定の結果を報知する第1報知表示」に相当し、引用発明の「特図2」、「第2特図」または「第2特別図柄」の「可変表示(変動表示)」は、いずれも本願発明の「前記当落判定の結果を報知する第2報知表示」に相当する。
b 引用発明は、「特典遊技状態(本願発明の「有利状態」に相当。)」において、「第1夜背景の画像」が「表示され」、「小当たり当選の判定結果に基づく変動」である「特図2の小当たり変動(本願発明の「第2報知表示」に含まれる。)」「では、特図2の変動表示中の演出として行うV打込指示演出として、「Vチャンススタート」の文字画像MIを画像表示装置7の表示画面7aに背景画像に重ねて表示」するものである。
ここで、引用発明の「特図2の小当たり変動」は、「小当たり当選の判定結果に基づく変動」であるから、「特図2の小当たり変動」において「実行される」「「Vチャンススタート」の文字画像MIを画像表示装置7の表示画面7aに」「第1夜背景の画像」「に重ねて表示」することは、本願発明の「前記当落判定の結果が示唆される」「演出」に相当する。
そうすると、引用発明の「特典遊技状態」において、「第1夜背景の画像」が「表示され」、「小当たり当選の判定結果に基づく変動」である「特図2の小当たり変動」「では、特図2の変動表示中の演出として行うV打込指示演出として、「Vチャンススタート」の文字画像MIを画像表示装置7の表示画面7aに背景画像に重ねて表示」することは、本願発明の「前記有利状態の生起中に実行される前記当落判定の結果を報知する前記第2報知表示に対応する」「演出」「として」、「前記当落判定の結果が示唆される」「演出を実行可能である」ことに相当する。
c また、引用発明は、「通常遊技状態(非時短状態且つ低ベース状態)であるがその通常遊技状態への移行時点で第2特図保留があったときに」「第2夜背景の画像」が「表示され」、「小当たり当選の判定結果に基づく変動」である「特図2の小当たり変動(本願発明の「第2報知表示」に含まれる。)」「では、特図2の変動表示中の演出として行うV打込指示演出として、「Vチャンススタート」の文字画像MIを画像表示装置7の表示画面7aに背景画像に重ねて表示」するものである。
ここで、引用発明の「通常遊技状態への移行時点」は、「特典遊技状態」が終了した時点であるから、上記(コ)における説示を踏まえると、引用発明の「通常遊技状態(非時短状態且つ低ベース状態)であるがその通常遊技状態への移行時点で第2特図保留があったとき」は、本願発明の「前記所定終了条件が成立した際に前記遊技情報記憶手段に」「前記第2遊技情報」が「記憶されている」ときに相当する。
そして、引用発明の「特図2の小当たり変動」は、「小当たり当選の判定結果に基づく変動」であるから、「特図2の小当たり変動」において「実行される」「「Vチャンススタート」の文字画像MIを画像表示装置7の表示画面7aに」「第2夜背景の画像」「に重ねて表示」することは、本願発明の「前記当落判定の結果が示唆される」「演出」に相当する。
そうすると、引用発明の「通常遊技状態(非時短状態且つ低ベース状態)であるがその通常遊技状態への移行時点で第2特図保留があったときに」「第2夜背景の画像」が「表示され」、「小当たり当選の判定結果に基づく変動」である「特図2の小当たり変動」「では、特図2の変動表示中の演出として行うV打込指示演出として、「Vチャンススタート」の文字画像MIを画像表示装置7の表示画面7aに背景画像に重ねて表示」することは、本願発明の「前記所定終了条件が成立した際に前記遊技情報記憶手段に記憶されている前記第2遊技情報に基づく前記当落判定の結果を報知する前記第2報知表示に対応する」「演出として」、「前記当落判定の結果が示唆される「演出を実行可能である」ことに相当する。
d また、引用発明は、「現在の遊技状態が通常遊技状態(非時短状態且つ低ベース状態)であり第2特図保留もないときに」「昼背景や夜明け背景の画像」を「表示」するものである。
ここで、引用発明は、「第2特図保留の消化は、第1特図保留の消化に優先して実行され」ることから、「第2特図保留」が「ないときに」は、「第1特図保留の消化」、すなわち、「第1特図」の「可変表示(変動表示)」が行われることは明らかである。
そうすると、引用発明の「現在の遊技状態が通常遊技状態(非時短状態且つ低ベース状態)(本願発明の「前記有利状態の非生起中」に相当する。)であり」「第1特図」の「可変表示(変動表示)」が行われるとき(本願発明の「前記第1報知表示」に相当する。)「昼背景や夜明け背景の画像」を「表示」することは、本願発明の「前記有利状態の非生起中に実行される前記当落判定の結果を報知する前記第1報知表示に対応する」「演出」に相当する。
e そして、引用発明の「第1夜背景の画像」または「第2夜背景の画像」が「表示され」「Vチャンススタート」の文字画像MIを画像表示装置7の表示画面7aに背景画像に重ねて表示」することは、「第1特図」の「可変表示(変動表示)」が行われるとき「昼背景や夜明け背景の画像」を「表示」することと「異なる」「態様」であることは明らかである。
f 以上のことから、引用発明は、本願発明の構成Lと、「前記有利状態の生起中に実行される前記当落判定の結果を報知する前記第2報知表示に対応する」「演出、及び、前記所定終了条件が成立した際に前記遊技情報記憶手段に記憶されている前記第2遊技情報に基づく前記当落判定の結果を報知する前記第2報知表示に対応する」「演出として、前記有利状態の非生起中に実行される前記当落判定の結果を報知する前記第1報知表示に対応する」「演出とは異なる特定態様により前記当落判定の結果が示唆される」「演出を実行可能である」点で共通する。

(ス)特定事項Mについて
引用発明の「パチンコ遊技機1」は、本願発明の「遊技機」に相当する。
よって、引用発明は、本願発明の特定事項Mを備える。

イ 上記アからみて、本願発明と引用発明とは、
「A 第1条件が成立した場合に、第1遊技情報を取得し、第2条件が成立した場合に、第2遊技情報を取得する遊技情報取得手段と、
B 前記遊技情報取得手段により取得された前記第2遊技情報を、所定数を限度として記憶することが可能な遊技情報記憶手段と、
C 前記遊技情報取得手段により取得された前記第1遊技情報又は前記第2遊技情報に基づいて、当落判定を実行する当落判定手段と、
D 前記第1遊技情報に基づく前記当落判定が実行された場合に、当該当落判定の結果に基づいて実行される報知態様判定により判定された報知態様に応じて、当該当落判定の結果を報知する第1報知表示を実行する第1報知表示手段と、
E 前記第2遊技情報に基づく前記当落判定が実行された場合に、当該当落判定の結果に基づいて実行される前記報知態様判定により判定された報知態様に応じて、当該当落判定の結果を報知する第2報知表示を実行する第2報知表示手段と、
F 前記当落判定により特定結果が判定された場合に、特別遊技状態を生起させる特別遊技状態制御手段と、
G 所定開始条件が成立した場合に、前記第2条件の成立が容易となる有利状態を生起させ、所定終了条件が成立した場合に、当該有利状態を終了する有利状態制御手段と、
H 前記第1報知表示又は前記第2報知表示に対応する報知演出を実行する演出制御手段と、
を備え、
I 前記当落判定手段は、前記第2遊技情報について、前記第1遊技情報に対して優先して、前記当落判定を実行し、
J’前記所定終了条件は、前記有利状態の生起中に実行された報知表示の回数が所定回数に達した場合に成立し、
K 前記報知演出の態様は、前記報知態様判定により判定された報知態様に応じて選択され、
L’前記演出制御手段は、前記有利状態の生起中に実行される前記当落判定の結果を報知する前記第2報知表示に対応する演出、及び、前記所定終了条件が成立した際に前記遊技情報記憶手段に記憶されている前記第2遊技情報に基づく前記当落判定の結果を報知する前記第2報知表示に対応する演出として、前記有利状態の非生起中に実行される前記当落判定の結果を報知する前記第1報知表示に対応する演出とは異なる特定態様により前記当落判定の結果が示唆される演出を実行可能である
M 遊技機。」である点で一致し、以下の点で相違する。

[相違点1](特定事項J)
「前記有利状態の生起中に実行された」「報知表示の回数が所定回数に達した場合に成立」する「所定終了条件」に関して、
本願発明は、「前記第2報知表示の回数」であるのに対し、
引用発明は、「特別図柄の変動表示」(第1報知表示又は第2報知表示)の回数である点。

[相違点2](特定事項L)
「前記演出制御手段は、前記有利状態の生起中に実行される前記当落判定の結果を報知する前記第2報知表示に対応する」「演出、及び、前記所定終了条件が成立した際に前記遊技情報記憶手段に記憶されている前記第2遊技情報に基づく前記当落判定の結果を報知する前記第2報知表示に対応する」「演出として、前記有利状態の非生起中に実行される前記当落判定の結果を報知する前記第1報知表示に対応する」「演出とは異なる特定態様により前記当落判定の結果が示唆される」「演出を実行可能である」点の各「演出」に関して、
本願発明は、「報知演出」であるのに対し、
引用発明の「演出」は、「報知演出」であるのか否か不明である点。

2 判断
事案に鑑み、上記相違点2について検討する。
本願発明の特定事項Lにおける「報知演出」は、特定事項Kのとおり、「前記報知態様判定により判定された報知態様に応じて」その「報知演出」の「態様」が「選択」されるものである。
一方、引用発明の「特典遊技状態(本願発明の「有利状態」に相当。)」において、「第1夜背景の画像」が「表示され」、「小当たり当選の判定結果に基づく変動」である「特図2の小当たり変動(本願発明の「第2報知表示」に含まれる。)」「では、特図2の変動表示中の演出として行うV打込指示演出として、「Vチャンススタート」の文字画像MIを画像表示装置7の表示画面7aに背景画像に重ねて表示」する「演出」のうち、「第1夜背景の画像」を「表示」する「演出」は、「背景データを参照」することにより決定される「演出」であり、「変動パターンに対応する変動演出パターンテーブル」「に基づいて」「選択され」た「演出」(本願発明の特定事項Kに対応)ではないので、本願発明の特定事項Lにおける「報知演出」に相当するものではない。
また、引用発明の「小当たり当選の判定結果に基づく変動」である「特図2の小当たり変動」で「特図2の変動表示中の演出として行うV打込指示演出として、「Vチャンススタート」の文字画像MIを」「表示」する「演出」は、当落判定の結果を報知する演出ではあるが、「変動パターンに対応する変動演出パターンテーブル」「に基づいて」「選択され」た「演出」ではないので、本願発明の特定事項Lにおける「報知演出」に相当するものではない。
よって、引用発明の「特典遊技状態」において、「第1夜背景の画像」が「表示され」、「小当たり当選の判定結果に基づく変動」である「特図2の小当たり変動」「では、特図2の変動表示中の演出として行うV打込指示演出として、「Vチャンススタート」の文字画像MIを画像表示装置7の表示画面7aに背景画像に重ねて表示」する「演出」は、本願発明の特定事項Lにおける「報知演出」に相当しない。
同様に、引用発明の「通常遊技状態(非時短状態且つ低ベース状態)であるがその通常遊技状態への移行時点で第2特図保留があったときに」「第2夜背景の画像」が「表示され」、「小当たり当選の判定結果に基づく変動」である「特図2の小当たり変動」「では、特図2の変動表示中の演出として行うV打込指示演出として、「Vチャンススタート」の文字画像MIを画像表示装置7の表示画面7aに背景画像に重ねて表示」する「演出」も、本願発明の特定事項Lにおける「報知演出」に相当しない。
そして、上記相違点2に係る本願発明の特定事項については、引用文献2記載の事項を認定した引用文献2には記載されておらず、また周知技術ともいえない。
そうすると、引用発明において、上記相違点2に係る本願発明の特定事項のようになすことは当業者が容易に想到し得たものではない。
してみると、上記相違点1について検討するまでもなく、本願発明は、引用文献1に記載された発明、引用文献2に記載された事項全て及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明できたものではない。

第7 原査定についての判断
本件補正により、補正後の請求項1は、特定事項Kとして「前記報知演出の態様は、前記報知態様判定により判定された報知態様に応じて選択され、」を有するものとなり、それによって、特定事項Lの「報知演出」についても限定が付されることとなった。当該特定事項Kの限定を付した特定事項Lについては、上記第6の2のとおり、原査定における引用文献1(当審拒絶理由における引用文献1)には記載されておらず、周知技術でもないので、本願発明は、原査定における引用文献1に記載された発明とはいえず、また、当該引用文献1に基づいて、当業者が容易に発明できたものではない。
したがって、原査定を維持することはできない。

第8 むすび
以上のとおり、原査定の理由によって、本願を拒絶することはできない。
他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2022-03-16 
出願番号 P2016-178435
審決分類 P 1 8・ 121- WY (A63F)
P 1 8・ 113- WY (A63F)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 鉄 豊郎
特許庁審判官 蔵野 いづみ
鷲崎 亮
発明の名称 遊技機  
代理人 吉村 徳人  
代理人 吉村 公一  

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