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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H04W
管理番号 1383079
総通号数
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2022-04-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-05-26 
確定日 2022-04-05 
事件の表示 特願2018−522014「要求に応じてシステム情報を一斉同報するための方法およびデバイス」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 5月 4日国際公開、WO2017/070888、平成30年12月 6日国内公表、特表2018−536348、請求項の数(22)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2015年(平成27年)10月29日を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。

平成31年 3月 8日付け:拒絶理由通知書
令和 元年 6月12日 :意見書、手続補正書の提出
令和 元年10月23日付け:拒絶理由通知書
令和 2年 1月28日 :意見書、手続補正書の提出
令和 2年 5月25日付け:拒絶理由通知書(最後)
令和 2年 8月19日 :意見書、手続補正書の提出
令和 3年 1月20日付け:令和2年8月19日の手続補正についての補
正の却下の決定、拒絶査定
令和 3年 5月26日 :拒絶査定不服審判の請求、手続補正書の提出
令和 3年12月27日 :上申書の提出

第2 原査定の概要
原査定(令和3年1月20日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。
進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

・請求項1、2、5ないし8、10ないし15、18ないし21、23、24、27ないし30、32ないし37、40ないし43、45ないし48に対して、引用例1、2
・請求項3、16、25、38に対して、引用例1ないし3
・請求項4、17、26、39に対して、引用例1、2、4
・請求項9、22、31、44に対して、引用例1、2、5

引用文献等一覧
1.特表2010−506434号公報(以下、「引用例1」という。)
2.Nortel,System Information broadcast gating,3GPP TSG-RAN WG2#56 R2-063137,2006年11月10日(以下、「引用例2」という。)
3.5G - KEY COMPONENT OF THE NETWORKED SOCIETY, 3GPP workshop2015-09-17_18_RAN_5G RWS-150009,2015年 9月18日(以下、「引用例3」という。)
4.特開2009−260749号公報(以下、「引用例4」という。)
5.国際公開第2014/110772号(以下、「引用例5」という。)

第3 本願発明
本願請求項1ないし22に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」ないし「本願発明5」という。)は、令和3年5月26日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし22に記載された事項により特定される発明であり、以下のとおりの発明である。

「 【請求項1】
デバイス(110、1000、1200)によって実装される方法(300)であって、
必須システム情報(430、520、530、610、630)、および要求チャネルのリソース構成を一斉同報すること(210、310)であって、前記要求チャネルは、端末が任意システム情報の少なくとも一部を要求するリクエストを送信する、セル(112)内の端末(120−1、120−2、120−3)によって共有された共通チャネルであり、前記必須システム情報は、前記デバイスの前記セルにアクセスするために必要とされ、前記リクエストは、前記任意システム情報のどの部分が必要とされているかを示す、一斉同報すること(210、310)と、
前記要求チャネル上において、前記必須システム情報以外の任意システム情報の少なくとも一部のリクエストを監視すること(220、340)と、
端末から前記リクエストを受信したこと(250、350)に応じて、前記任意システム情報の前記一部を一斉同報すること(260、360)と、
を含み、
前記必須システム情報、および前記要求チャネルの前記リソース構成を一斉同報することが、アクセス情報テーブル(AIT)(410)内の、前記要求チャネルの前記リソース構成、および前記必須システム情報(430、520、610)の少なくとも一部を一斉同報すること(210、310)を含む、方法(300)。
【請求項2】
前記必須システム情報を一斉同報することが、
前記必須システム情報の準静的システム情報(520)を第1の期間で一斉同報すること(210、310)と、
前記必須システム情報の動的システム情報(530、630)を前記第1の期間よりも短い第2の期間で一斉同報すること(210、310)であって、前記動的システム情報は前記要求チャネルの前記リソース構成を含む、一斉同報すること(210、310)と、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
リソースゾーン(620、620−1、620−2、620−3)の構成を前記必須システム情報とともに一斉同報すること(210、310)をさらに含み、
前記任意システム情報の前記一部を一斉同報することが、前記リソースゾーン内で前記任意システム情報の前記一部を一斉同報すること(260、360)を含む、
請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記任意システム情報の前記一部を一斉同報することが、
既定のリソースゾーン(620、620−1、620−2、620−3)内で、前記任意システム情報の前記一部の存在を指示するためのインジケータを一斉同報すること(260、360)と、
前記既定のリソースゾーン内で前記任意システム情報の前記一部を一斉同報すること(260、360)と、
を含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
必須システム情報、および前記要求チャネルの前記リソース構成を一斉同報することが、
前記要求チャネルの前記リソース構成を前記必須システム情報(430、530、610、630)の一部として一斉同報すること(210、310)を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記要求チャネルの前記リソース構成が、前記要求チャネルの期間、参照信号(420)に対する時間オフセット、または前記参照信号に対する周波数オフセットのうちの少なくとも1つを含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記デバイスのビーム形成、または前記セル内の端末(120−1、120−2、120−3)のグループ化のうちの少なくとも1つに基づいて前記要求チャネルの前記リソース構成を決定すること(305)をさらに含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記リクエストを監視することが、前記リクエストとしてのシーケンスを監視すること(220、340)であって、前記シーケンスは前記セル内の複数の端末(120−1、120−2、120−3)に共通である、監視すること(220、340)を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
端末(120−1、120−2、120−3、1100、1200)によって実装される方法(700、800)であって、
デバイス(110、1000、1200)によって一斉同報された、必須システム情報(430、520、530、610、630)、および要求チャネルのリソース構成を受信すること(230、710)であって、前記要求チャネルは、前記端末が任意システム情報の少なくとも一部を要求するリクエストを送信する、セル(112)内の前記端末(120−1)およびさらなる端末(120−2、120−3)によって共有チャネルであり、前記必須システム情報は、前記デバイスの前記セルにアクセスするために必要とされ、前記リクエストは、前記任意システム情報のどの部分が必要とされているかを示す、受信すること(230、710)と、
前記必須システム情報以外の任意システム情報の少なくとも一部を受信すること(270、730、840)であって、前記任意システム情報の前記一部は、前記デバイスによって、前記リソース構成に従って前記要求チャネル上で送信されたリクエストに応じて一斉同報される、受信すること(270、730、840)と、
を含み、
前記必須システム情報、および前記要求チャネルの前記リソース構成を受信することが、アクセス情報テーブル(AIT)(410)内の、前記要求チャネルの前記リソース構成、および前記必須システム情報(430、520、610)の少なくとも一部を受信すること(230、710)を含む、方法(700、800)。
【請求項10】
前記リソース構成に従って前記要求チャネル上で前記任意システム情報の前記一部の前記リクエストを送信すること(720、830)をさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記リクエストを送信することが、
リソースゾーン(620、620−1、620−2、620−3)内において、さらなる端末(120−2、120−3)によってリクエストされた前記任意システム情報の前記一部をチェックすること(810)と、
前記リソースゾーン内に前記任意システム情報の前記一部が無いこと(820)に応じて、前記リクエストを前記デバイスへ送信すること(720、830)と、
を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記リクエストを送信することが、
前記リクエストとしてのシーケンスを送信すること(720、830)であって、前記シーケンスは前記セル内の前記端末(120−1)およびさらなる端末(120−2、120−3)に共通である、送信すること(720、830)を含む、請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
必須システム情報を受信することが、
前記デバイスによって第1の期間で一斉同報された前記必須システム情報の準静的システム情報(520)を受信すること(230、710)と、
前記デバイスによって前記第1の期間よりも短い第2の期間で一斉同報された前記必須システム情報の動的システム情報(530、630)を受信すること(230、710)であって、前記動的システム情報は前記要求チャネルの前記リソース構成を含む、受信すること(230、710)と、
を含む、請求項9から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記デバイスによって前記必須システム情報とともに一斉同報されたリソースゾーン(620、620−1、620−2、620−3)の構成を受信すること(230、710)をさらに含み、
任意システム情報の少なくとも一部を受信することが、前記リソースゾーン内で前記任意システム情報の前記一部を受信すること(270、730、840)を含む、
請求項9から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記任意システム情報の前記一部を受信することが、既定のリソースゾーン内でインジケータを受信したことに応じて、前記既定のリソースゾーン内で前記任意システム情報の前記一部を受信すること(270、730、840)であって、前記インジケータは、前記既定のリソースゾーン内における前記任意システム情報の前記一部の存在を指示する、受信すること(270、730、840)を含む、請求項9から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記要求チャネルの前記リソース構成を受信することが、
前記必須システム情報内に含まれる前記要求チャネルの前記リソース構成を受信すること(230、710)を含む、請求項9から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記要求チャネルの前記リソース構成が、前記要求チャネルの期間、参照信号(420)に対する時間オフセット、または前記参照信号に対する周波数オフセットのうちの少なくとも1つを含む、請求項9から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記要求チャネルの前記リソース構成が、前記デバイスのビーム形成、あるいは前記セル内の前記端末(120−1)およびさらなる端末(120−2、120−3)のグループ化のうちの少なくとも1つに基づいて決定される、請求項9から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
デバイス(110、1000)であって、
必須システム情報(430、520、530、610、630)、および要求チャネルのリソース構成を一斉同報する(210、310)ように構成された送受信器(1010)であって、前記要求チャネルは、端末が任意システム情報の少なくとも一部を要求するリクエストを送信する、セル(112)内の端末(120−1、120−2、120−3)によって共有された共通チャネルであり、前記必須システム情報は、前記デバイスの前記セルにアクセスするために必要とされ、前記リクエストは、前記任意システム情報のどの部分が必要とされているかを示す、送受信器(1010)と、
前記要求チャネル上において、前記必須システム情報以外の任意システム情報の少なくとも一部のリクエストを監視する(220、340)ように構成されたコントローラ(1020)と、
を備え、
前記送受信器が、端末から前記リクエストを受信したこと(250、350)に応じて前記任意システム情報の前記一部を一斉同報する(260、360)ようにさらに構成され、
前記送受信器が、アクセス情報テーブル(AIT)(410)内の、前記要求チャネルの前記リソース構成、および前記必須システム情報(430、520、610)の少なくとも一部を一斉同報する(210、310)ように構成されている、
デバイス(110、1000)。
【請求項20】
受信器(1100)を備える端末(120−1、120−2、120−3、1100)であって、前記受信器(1100)は、
デバイス(110、1000、1200)によって一斉同報された、必須システム情報(430、520、530、610、630)、および要求チャネルのリソース構成を受信すること(230、710)であって、前記要求チャネルは、端末が任意システム情報の少なくとも一部を要求するリクエストを送信する、セル(112)内の前記端末(120−1)およびさらなる端末(120−2、120−3)によって共有された共通チャネルであり、前記必須システム情報は、前記デバイスの前記セルにアクセスするために必要とされ、前記リクエストは、前記任意システム情報のどの部分が必要とされているかを示す、受信すること(230、710)と、
前記必須システム情報以外の任意システム情報の少なくとも一部を受信すること(270、730、840)であって、前記任意システム情報の前記一部は、前記デバイスによって、前記リソース構成に従って前記要求チャネル上で送信されたリクエストに応じて一斉同報される、受信すること(270、730、840)と、
を行うように構成され、
前記受信器が、前記デバイスによって一斉同報されたアクセス情報テーブル(AIT)(410)を受信する(230、710)ように構成されており、前記AITは、前記要求チャネルの前記リソース構成、および前記必須システム情報(430、520、610)の少なくとも一部を含む、端末(120−1、120−2、120−3、1100)。
【請求項21】
デバイス(1200)のプロセッサ(1210)上で実行されると、前記デバイスに、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法(300)を行わせる命令を含む、コンピュータプログラム(1230)。
【請求項22】
端末(1200)のプロセッサ(1210)上で実行されると、前記端末に、請求項9から18のいずれか一項に記載の方法(700、800)を行わせる命令を含む、コンピュータプログラム(1230)。」

第4 引用例の記載及び引用発明
1 原査定の拒絶の理由に引用された、特表2010−506434号公報(引用例1)には、図面と共に以下の事項が記載されている。(下線は当審が付与。)

(1) 「【0005】
第1の態様によれば、移動体通信システムの基地局におけるシステム情報を通信する方法が提供され、当該方法は、一次システム情報を維持すること、二次システム情報を維持すること、一次システム情報を周期的にブロードキャストすること、及び、トリガイベントに応答して二次システム情報をブロードキャストすることを含む。
(略)
【0007】
トリガイベントは、ユーザ機器(UE)からの二次システム情報の要求受信を含むことができ、その要求は、二次情報を必要としていることを示す。さらに、その要求は必要とするシステム情報、たとえば呼設定のためのシステム情報のグループ又はタイプを示すことができる。」

(2) 「【0028】
1.オンデマンドBCHのメカニズム
UMTSにおいて、BCHの主な欠点は、UEが情報を必要としているか否かに関わらずBCHが送信されることである。典型的には、基地局電力の5%がBCH送信に使用され、これは非常に大きな比率である。」

(3) 「【0037】
1.2 ケース2:UEはS−BCHを有せず、且つネットワークに接続するためにS−BCHを必要としている
UEが新たなセル内に到着し、且つ、たとえば電話をかけるためにネットワークに接続する必要があるとき、UEはS−BCH情報を取得するための2つの選択肢を有する。この場合の選択肢は、
a.次の周期的S−BCHを待つ
b.RACHプリアンブルを送信することによってオンデマンドS−BCHを要求することである。
【0038】
UEは、待つことによってUEが実行することを望むプロシージャの性能に影響を与えない場合、次の周期的S−BCHを待つことができる。
【0039】
UEが周期的S−BCHを待つことができないと判断し、且つオンデマンドS−BCHを要求することを望む場合、図4に示すシーケンスが提案される。
1.UEがセル内に到着すると、UEは、当該セルにキャンプオンするのに必要な情報をUEに与える所定の固定P−BCHを読み取る。P−BCHは可変S−BCHのスケジューリング情報も提供する。このスケジューリング情報内に、次の周期的S−BCHがいつ利用可能になるかに関する指示が存在する。UEは、この情報に基づいて、またUEが実行を望むプロシージャにも基づいて、周期的S−BCHを待つか又はオンデマンドS−BCHが送信されることを要求するかを判断することができる。
2.UEが電話をかける必要があり、且つ次の周期的S−BCHを待つさらなる遅延を許容することができない場合、UEはオンデマンドS−BCH送信を要求し通話を開始するために、RACHを送信する。これはRACHプリアンブル内の原因値によって指示することができる。
3.eNBは、UEがオンデマンドS−BCHを望み、且つ次に別のプロシージャに進むということを指示するRACHを受信すると、オンデマンドS−BCHのための資源をスケジューリングし、この情報をP−BCHでブロードキャストする。eNBは、「呼設定」UEが必要とするであろうシステム情報、たとえば近傍セルの情報のみをスケジューリングできるようにしてもよい。UEはP−BCHを読み取ってオンデマンドS−BCHのためのスケジューリング情報を得る。
4.UEはオンデマンドS−BCHを読み取る。
5.eNBは、UEに資源を配分するためにRACH応答を送信する。これは、eNBがRACH応答及びオンデマンドS−BCHを同時に送信することを妨げないことに留意されたい。」

(4)「【図4】



上記記載及び当業者の技術常識を考慮すると、次のことがいえる。

ア 上記「(2)」の段落28に「UMTS」と記載されていることから、引用例1はUMTSを前提としていることは明らかである。
また、上記「(1)」の段落7に「トリガイベントは、ユーザ機器(UE)からの二次システム情報の要求受信を含むことができ」と記載され、及び、段落5に「一次システム情報を周期的にブロードキャストすること、及び、トリガイベントに応答して二次システム情報をブロードキャストすることを含む。」と記載されていることから、一次システム情報を周期的にブロードキャストし、ユーザ機器(UE)からの二次システム情報の要求受信に応答して二次システム情報をブロードキャストするという動作を行うことが記載されているといえる。更に、段落5に「移動体通信システムの基地局におけるシステム情報を通信する方法が提供され、」と記載されていることから、引用例1には、移動体通信システムの基地局におけるシステム情報を通信する方法において、一次システム情報を周期的にブロードキャストし、ユーザ機器(UE)からの二次システム情報の要求受信に応答して二次システム情報をブロードキャストする方法が記載されているといえる。
そして、具体的には、図4が記載されており、上記「(4)」の図4にeNBと記載されていることから、図4はUMTSのeNBにおけるシステム情報を通信する方法といえる。

イ 上記「(4)」の図4の「1.PBCH」としてeNBからUEに矢印が向かっており、上記「(3)」の段落39に「1.UEがセル内に到着すると、UEは、当該セルにキャンプオンするのに必要な情報をUEに与える所定の固定P−BCHを読み取る。P−BCHは可変S−BCHのスケジューリング情報も提供する。」と記載されていることから、「1.」において、eNBは、セルにキャンプオンするのに必要な情報と可変S−BCHのスケジューリング情報をP−BCHで送信しているといえる。
更に、上記「(3)」の段落39の「3.」に「P−BCHでブロードキャストする。」と記載されていることから、「1.」においても、eNBがP−BCHで送信することは、eNBがP−BCHでブロードキャストするといえる。
よって、「1.」において、eNBは、セルにキャンプオンするのに必要な情報、及び、可変S−BCHのスケジューリング情報をP−BCHでブロードキャストするといえる。

ウ 上記「(3)」の段落39に「2.・・・UEはオンデマンドS−BCH送信を要求し通話を開始するために、RACHを送信する。」、及び、「3.eNBは、UEがオンデマンドS−BCHを望み・・・ということを指示するRACHを受信する」と記載されていることから、eNBは、UEがオンデマンドS−BCHを望むということを指示するRACHを受信するといえ、ここでRACHはUEがオンデマンドS−BCHを望むことを送信するといえる。

エ 上記「(3)」の段落39に「3.eNBは、UEがオンデマンドS−BCHを望み・・・ということを指示するRACHを受信すると、オンデマンドS−BCHのための資源をスケジューリングし、この情報をP−BCHでブロードキャストする。」、及び、「4.UEはオンデマンドS−BCHを読み取る。」と記載されていることから、eNBは、UEからRACHを受信したことに応じて、オンデマンドS−BCHを送信するといえる。
上記「(1)」の段落5に「トリガイベントに応答して二次システム情報をブロードキャストすることを含む。」と記載されており、具体例の図4ではこの二次システム情報がオンデマンドS−BCHであることは明らかであることから、eNBがオンデマンドS−BCHを送信することは、eNBが二次システム情報であるオンデマンドS−BCHをブロードキャストするといえる。
よって、eNBは、UEからRACHを受信したことに応じて、二次システム情報であるオンデマンドS−BCHをブロードキャストするといえる。

したがって、以上を総合すると、引用例1には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「 UMTSのeNBにおけるシステム情報を通信する方法であって、
セルにキャンプオンするのに必要な情報、及び、可変S−BCHのスケジューリング情報をP−BCHでブロードキャストすることと、
UEが前記オンデマンドS−BCHを望むということを指示するRACHを受信すること、ここで、RACHは、UEがオンデマンドS−BCHを望むことを送信する、と、
UEからRACHを受信したことに応じて、二次システム情報であるオンデマンドS−BCHをブロードキャストすることと、
を含む、
方法。」

2 原査定の拒絶の理由に引用された、Nortel,System Information broadcast gating(当審訳:システム情報のブロードキャストゲーティング),3GPP TSG-RAN WG2#56 R2-063137,2006年11月10日(引用例2)には、図面と共に以下の事項が記載されている。(下線は当審が付与。)

「4 System Information gating triggers
(略)
Ue initiated triggered
When a UE needs to read Sys Info belonging to a category that is currently switched off, it sends a RACH preamble with a reserved pre-defined signature. This RACH preamble would be reserved for SIB requesting and would not be available for other Random Access procedures. Receiving this preamble in the eNB means that a UE is requesting the transmission of a SIB or a group of SIB. The eNb does not answer anything specific to the UE.
In order to be able to differenciate which SIB or group of SIB is requested it is proposed to use time division and to split the RACH occasions and to allocate the activation of a SIB or group of SIB to a given pattern of TTIs.」(第3ページ第12行ないし第32行)
(当審訳:
4 システム情報ゲーティングトリガ
(略)
UEの開始トリガ
UEが現在スイッチオフになっているカテゴリに属するSYS情報を読み込む必要がある場合は、予約された事前定義シグネチャを持つRACHプリアンブルを送信する。このRACHプリアンブルはSIBの要求のために予約されており、他のランダムアクセス手順では利用されない。 eNB内のこのプリアンブルの受信は、UEがSIB又はSIBのグループの送信を要求していることを意味する。 eNBはUEに固有のものには答えない。
どのSIB又はSIBのグループが要求されているかを区別できるようにするために、時分割を使用し、RACH機会を分割し、SIB又はSIBの起動を特定のTTIのパターンに割り当てることが提案されている。)

したがって、引用例2には、以下の技術事項が記載されていると認められる。

「どのSIBが要求されているかを区別できるようにするために、時分割を使用し、RACH機会を分割する。」

3 原査定の拒絶の理由に引用された、5G - KEY COMPONENT OF THE NETWORKED SOCIETY(当審訳:5G−ネットワーク社会のキーコンポーネント), 3GPP workshop,2015-09-17_18_RAN_5G RWS-150009,2015年 9月18日(引用例3)には、図面と共に以下の事項が記載されている。(下線は当審が付与。)

「NX - System information
>Possibility to provide main part of system information on a per-need basis
-Reduced amount of always-broadcast system information
-Only basic ”access information” need to be broadcasted

>Two-step mechanism for broadcast system information
-Common access information Table (C-AIT) with long periodicity
>May be replaced by dedicated AIT (D-AIT) after initial system access
-System Signature Index (SSI) more freqeuntly
-SSI pointing to ATI index → Access information

>Flexible delivery of broadcast system information
-Not tied to a certain ”cell”




」(Page43)
(当審訳:
NX−システム情報
>システム情報の主要部分を事前に必要な基準に基づいて提供することの可能性
-常時ブロードキャストシステム情報の削減
-基本的な「アクセス情報」のみ放送される必要がある

>放送システム情報のための2段階メカニズム
-長い周期性の共通アクセス情報テーブル(C−AIT)
>初期システムアクセスの後に専用AIT(D−AIT)によって置き換えてもよい
-システムシグネチャインデックス(SSI)をより頻繁に
-ATIインデックスを指しているSSI→アクセス情報

>放送システム情報の柔軟な配信
-特定の「セル」に縛られていない

(図 略))

ここで、引用例3のタイトルが5Gなので、引用例3は5Gの技術である。よって、引用例3には、以下の技術事項が記載されていると認められる。

「5Gでは、共通アクセス情報テーブル(C−AIT)及び専用AIT(D−AIT)を設ける。」

4 原査定の拒絶の理由に引用された、特開2009−260749号公報(引用例4)には、図面と共に以下の事項が記載されている。(下線は当審が付与。)

「【0058】
例えば、図3の例では、第1システム情報SI-1の送信周期T1は「80ms」であり、第2システム情報SI-2の送信周期T2は「160ms」であり、第3システム情報SI-3の送信周期T3は「320ms」であり、第4システム情報SI-4の送信周期T4は「640ms」であり、第5システム情報SI-5の送信周期T5は「1280ms」である。」

したがって、引用例4には、以下の技術事項が記載されていると認められる。

「第1システム情報の送信周期は「80ms」であり、第2システム情報の送信周期は「160ms」である。」

5 原査定の拒絶の理由に引用された、国際公開第2014/110772号(引用例5)には、図面と共に以下の事項が記載されている。(下線は当審が付与。)



」(第6ページ第8行ないし第16行)
(当審訳:本実施例のもう1つの実施方式では、基地局は、先ず、その所属するセルのUE(全てのUEであっても良く、前の実施方式に言及された一部のUEであっても良い。)についてグループ化し、その後、各グループのUEのために1つ又は複数のPRACHリソースを割り当てる。そのうち、各グループのUEに割り当てられたPRACHリソースは同じであっても良く、異なっても良く、且つ、各グループのUEに割り当てられたPRACHリソースは共通集合を有しても良く、共通集合を有しなくても良い。前の実施方式と同様に、この構成もユーザ専用シグナリングにより下りに伝送されても良く、又は、基地局及びUEの双方で約束されても良い。該実施方式により、UEがランダムアクセスを発起する過程で、基地局がその所在するグループに1つのPRACHリソースを割り当てている場合、UEは、該PRACHリソース上でプリアンブルを送信し;基地局がその所在するクループに複数のPRACHリソースを割り当てている場合、前の実施方式と同様に、UEは、該複数のPRACHリソースのうちからランダムに選択し、その後、選択したPRACHリソースを用いてプリアンブルを送信する。)

したがって、引用例5には、以下の技術事項が記載されていると認められる。

「基地局は、先ず、その所属するセルのUEについてグループ化し、その後、各グループのUEのために1つ又は複数のPRACHリソースを割り当てる。」

第5 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比すると、以下のことがいえる。

ア 引用発明のeNBはデバイスの一種であるから、本願発明1の「デバイス」に含まれる。
そして、引用発明の「UMTSのeNBにおけるシステム情報を通信する方法」はeNBによって実装される方法といえることから、本願発明1の「デバイスによって実装される方法」に含まれる。

イ 引用発明の「UE」は、本願発明1の「端末」に相当する。
そして、引用発明は「eNBにおけるシステム情報を通信する方法」であるから、引用発明の「セルにキャンプオンするのに必要な情報」はセルにキャンプオンするのに必須のシステム情報であることは明らかである。よって、引用発明の「セルにキャンプオンするのに必要な情報」は、本願発明1と同様に、必須システム情報といえる。
また、引用発明の「可変S−BCHのスケジューリング情報」は、スケジューリングの情報であるから、スケジューリングした結果のリソース構成を表していることは明らかである。そして、引用発明の「ブロードキャスト」とは一斉同報のことであることは明らかである。
よって、本願発明1の「必須システム情報(430、520、530、610、630)、および要求チャネルのリソース構成を一斉同報すること」と、引用発明の「セルにキャンプオンするのに必要な情報、及び、可変S−BCHのスケジューリング情報をP−BCHでブロードキャストする」ことは、必須システム情報、およびリソース構成を一斉同報する点で共通する。

また、引用発明の「RACHは、UEがオンデマンドS−BCHを望むことを送信する」ものであるから、引用発明のRACHはオンデマンドS−BCHの要求といえる。そして、引用発明のRACHはRACHのチャネル上で通信されることは技術常識であるから、引用発明のRACHを通信するRACHのチャネルは要求チャネルといえる。そして、引用発明の「オンデマンドS−BCH」は二次システム情報であるから、引用発明の「RACHは、UEがオンデマンドS−BCHを望むことを送信する」ことは、RACHを送信することでUEがシステム情報を要求するリクエストを送信しているといえる。
よって、本願発明1の「前記要求チャネルは、端末が任意システム情報の少なくとも一部を要求するリクエストを送信する」ことと、引用発明の「RACHは、UEがオンデマンドS−BCHを望むことを送信する」こととは、要求チャネルは、端末がシステム情報を要求するリクエストを送信する点で共通する。

そして、引用発明のセルはeNBのセルであることは明らかであり、上記「ア」で説示したように、引用発明のeNBは、本願発明1の「デバイス」に含まれることから、本願発明1の「前記必須システム情報は、前記デバイスの前記セルにアクセスするために必要とされ」ることと、引用発明の「セルにキャンプオンするのに必要な情報」は、デバイスのセルにアクセスするために必要とされる点で共通する。

したがって、本願発明1の「必須システム情報(430、520、530、610、630)、および要求チャネルのリソース構成を一斉同報すること(210、310)であって、前記要求チャネルは、端末が任意システム情報の少なくとも一部を要求するリクエストを送信する、セル(112)内の端末(120−1、120−2、120−3)によって共有された共通チャネルであり、前記必須システム情報は、前記デバイスの前記セルにアクセスするために必要とされ、前記リクエストは、前記任意システム情報のどの部分が必要とされているかを示す、一斉同報すること(210、310)」と、引用発明の「セルにキャンプオンするのに必要な情報、及び、可変S−BCHのスケジューリング情報をP−BCHでブロードキャストする」及び「RACHは、UEがオンデマンドS−BCHを望むことを送信する」こととは、「必須システム情報、およびリソース構成を一斉同報することであって、要求チャネルは端末がシステム情報を要求するリクエストを送信するものであり、前記必須システム情報はデバイスのセルにアクセスするために必要とされるものである、一斉同報する」点で共通する。

ウ まず、上記「イ」で説示したように、引用発明のRACHのチャネルは要求チャネルといえ、引用発明の「セルにキャンプオンするのに必要な情報」は、本願発明1と同様に、必須システム情報といえる。そして、引用発明の「オンデマンドS−BCH」は二次システム情報であり、セルにキャンプオンするのに必要な情報以外のシステム情報であることは明らかである。
また、上記「イ」で説示したように、引用発明の「RACH」はオンデマンドS−BCHを要求するリクエストといえることから、引用発明のeNBはRACHを受信するために、引用発明のeNBがオンデマンドS−BCHを要求するリクエストを監視しているといえる。
よって、引用発明のeNBが「UEが前記オンデマンドS−BCHを望むということを指示するRACHを受信する」ことは、要求チャネル上において、セルにキャンプオンするのに必要な情報以外のシステム情報のリクエストを監視しているといえる。
したがって、本願発明1の「前記要求チャネル上において、前記必須システム情報以外の任意システム情報の少なくとも一部のリクエストを監視すること(220、340)」と、引用発明の「UEが前記オンデマンドS−BCHを望むということを指示するRACHを受信すること、ここで、RACHは、UEがオンデマンドS−BCHを望むことを送信する」こととは、「要求チャネル上において、必須システム情報以外のシステム情報のリクエストを監視する」点で共通する。

エ 上記「イ」で説示したように、引用発明の「RACH」はリクエストといえ、上記「ウ」で説示したように、引用発明の「オンデマンドS−BCH」はセルにキャンプオンするのに必要な情報以外のシステム情報である。
よって、本願発明1の「端末から前記リクエストを受信したこと(250、350)に応じて、前記任意システム情報の前記一部を一斉同報すること(260、360)」と、引用発明の「UEからRACHを受信したことに応じて、二次システム情報であるオンデマンドS−BCHをブロードキャストすること」とは、「端末からリクエストを受信したことに応じて、システム情報を一斉同報する」点で共通する。

以上を総合すると、本願発明1と引用発明とは、以下の点で一致し、また、相違している。

(一致点)
「 デバイスによって実装される方法であって、
必須システム情報、およびリソース構成を一斉同報することであって、要求チャネルは端末がシステム情報を要求するリクエストを送信するものであり、前記必須システム情報は前記デバイスのセルにアクセスするために必要とされるものである、一斉同報することと、
前記要求チャネル上において、前記必須システム情報以外のシステム情報のリクエストを監視することと、
端末からリクエストを受信したことに応じて、システム情報を一斉同報することと、
を含む、
方法。」

(相違点1)
一斉同報するリソース構成に関して、本願発明1では、「要求チャネルのリソース構成」であるのに対し、引用発明においては、当該発明特定事項が特定されていない点。

(相違点2)
本願発明1では、要求チャネルは、端末が「任意」システム情報「の少なくとも一部」を要求するリクエストを送信し、「セル(112)内の端末(120−1、120−2、120−3)によって共有された共通チャネルであ」ること、及び、「前記リクエストは、前記任意システム情報のどの部分が必要とされているかを示す」こと、並びに、端末から前記リクエストを受信したこと(250、350)に応じて、「前記任意」システム情報「の前記一部」を一斉同報すること(260、360)が特定されるのに対し、引用発明においては、当該発明特定事項が特定されていない点。

(相違点3)
本願発明1では、「前記必須システム情報、および前記要求チャネルの前記リソース構成を一斉同報することが、アクセス情報テーブル(AIT)(410)内の、前記要求チャネルの前記リソース構成、および前記必須システム情報(430、520、610)の少なくとも一部を一斉同報すること(210、310)を含む」のに対し、引用発明においては、当該発明特定事項が特定されていない点。

(2)判断
次に、上記相違点1ないし3について検討する上で、事案に鑑みて、まず上記相違点3について検討する。
相違点3に係る本願発明1の一部の発明特定事項として「アクセス情報テーブル(AIT)(410)内の、前記要求チャネルの前記リソース構成、および前記必須システム情報(430、520、610)の少なくとも一部を一斉同報すること(210、310)」が特定されている。
まず、引用発明は、3GのUMTSを前提としている。
そして、上記「第4」の「3」のように、引用例3には「5Gとして、共通アクセス情報テーブル(C−AIT)及び専用AIT(D−AIT)を設ける。」という技術事項が開示されているが、3GのUMTSの通信システムに、引用例3の5Gの技術を採用する動機付けが見いだせず、また、3GのUMTSの通信システムに、5Gの技術を採用することは周知技術でもない。
また、相違点3に係る本願発明1の一部の発明特定事項である「アクセス情報テーブル(AIT)(410)内の、前記要求チャネルの前記リソース構成、および前記必須システム情報(430、520、610)の少なくとも一部を一斉同報すること(210、310)」は、引用例1には記載も示唆もされていない。また、引用例2ないし5にも記載されておらず、当該技術分野において周知技術であるともいえない。
よって、引用発明において、上記相違点3に係る本願発明1の発明特定事項である「前記必須システム情報、および前記要求チャネルの前記リソース構成を一斉同報することが、アクセス情報テーブル(AIT)(410)内の、前記要求チャネルの前記リソース構成、および前記必須システム情報(430、520、610)の少なくとも一部を一斉同報すること(210、310)を含む」は、当業者といえども、容易に想到し得たとはいえない。
したがって、相違点1ないし2について検討するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても、引用発明及び引用例2ないし5に記載された技術事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

2 本願発明2ないし8、21について
本願発明2ないし8、21は、本願発明1の発明特定事項を全て含むから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用例2ないし5に記載された技術事項に基づいて容易に発明をすることができたとはいえない。

3 本願発明19について
本願発明19は、本願発明1に対応するデバイスの発明であり、本願発明1の上記相違点3に対応する「前記送受信器が、アクセス情報テーブル(AIT)(410)内の、前記要求チャネルの前記リソース構成、および前記必須システム情報(430、520、610)の少なくとも一部を一斉同報する(210、310)ように構成されている」を含むことから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用例2ないし5に記載された技術事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

4 本願発明9について
本願発明9は、本願発明1に対応する端末の方法の発明であり、本願発明1の上記相違点3に対応する「前記必須システム情報、および前記要求チャネルの前記リソース構成を受信することが、アクセス情報テーブル(AIT)(410)内の、前記要求チャネルの前記リソース構成、および前記必須システム情報(430、520、610)の少なくとも一部を受信すること(230、710)を含む」を含むことから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用発明及び引用例2ないし5に記載された技術事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

5 本願発明10ないし18、22について
本願発明10ないし18、22は、本願発明9の発明特定事項を全て含むから、本願発明9と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用例2ないし5に記載された技術事項に基づいて容易に発明をすることができたとはいえない。

6 本願発明20
本願発明20は、本願発明9に対応する端末の発明であり、本願発明1の上記相違点3に対応する「前記受信器が、前記デバイスによって一斉同報されたアクセス情報テーブル(AIT)(410)を受信する(230、710)ように構成されており、前記AITは、前記要求チャネルの前記リソース構成、および前記必須システム情報(430、520、610)の少なくとも一部を含む」を含むことから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用発明及び引用例2ないし5に記載された技術事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

第6 原査定についての判断
令和3年5月26日にされた手続補正により、本願発明1ないし本願発明8、本願発明21のいずれも、少なくとも「前記必須システム情報、および前記要求チャネルの前記リソース構成を一斉同報することが、アクセス情報テーブル(AIT)(410)内の、前記要求チャネルの前記リソース構成、および前記必須システム情報(430、520、610)の少なくとも一部を一斉同報すること(210、310)を含む」という発明特定事項を備えるものとなっている。また、本願発明19は少なくとも「前記送受信器が、アクセス情報テーブル(AIT)(410)内の、前記要求チャネルの前記リソース構成、および前記必須システム情報(430、520、610)の少なくとも一部を一斉同報する(210、310)ように構成されている」という発明特定事項を備えるものとなっている。そして、本願発明9ないし本願発明18、本願発明22は少なくとも「前記必須システム情報、および前記要求チャネルの前記リソース構成を受信することが、アクセス情報テーブル(AIT)(410)内の、前記要求チャネルの前記リソース構成、および前記必須システム情報(430、520、610)の少なくとも一部を受信すること(230、710)を含む」という発明特定事項を備えるものとなっている。更に、本願発明20は少なくとも「前記受信器が、前記デバイスによって一斉同報されたアクセス情報テーブル(AIT)(410)を受信する(230、710)ように構成されており、前記AITは、前記要求チャネルの前記リソース構成、および前記必須システム情報(430、520、610)の少なくとも一部を含む」という発明特定事項を備えるものとなっている。
してみれば、上記「第5」のとおり、本願発明1ないし22は、当業者であっても、原査定において引用された引用発明及び引用例2ないし5に記載された技術事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
したがって、原査定の理由を維持することはできない。

第7 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。



 
審決日 2022-03-16 
出願番号 P2018-522014
審決分類 P 1 8・ 121- WY (H04W)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 廣川 浩
特許庁審判官 中木 努
横田 有光
発明の名称 要求に応じてシステム情報を一斉同報するための方法およびデバイス  
代理人 園田 吉隆  
代理人 石岡 利康  
代理人 冨樫 義孝  
代理人 藤井 亮  
代理人 小梶 晴美  

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