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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 A63F
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 A63F
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 取り消して特許、登録 A63F
管理番号 1383159
総通号数
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2022-04-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-07-30 
確定日 2022-04-12 
事件の表示 特願2016−232696号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成30年 6月14日出願公開、特開2018− 88968号、請求項の数(1)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成28年11月30日の出願であって、令和2年7月6日付けで拒絶の理由が通知され、同年8月31日に意見書及び手続補正書が提出され、令和3年1月4日付けで最後の拒絶の理由が通知され、同年3月19日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、同年7月7日付け(謄本送達日:同年同月20日)で、同年3月19日付け手続補正が却下されるとともに拒絶査定(以下、「原査定」という。)がなされ、それに対して、同年7月30日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がされ、同年10月4日に前置報告がされたものである。

第2 原査定の概要
原査定の概要は次のとおりである。

理由1(新規性)この出願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の引用文献1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。

理由2(進歩性)この出願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の引用文献1に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献1.特開2014−210161号公報

理由3(明確性)この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

・本願請求項1には、「少なくとも、前記小当たり遊技を相対的に高い割合で実行可能な優位遊技状態に移行させ得る遊技状態移行手段」との記載がある。
当該記載において、「相対的に高い割合」について、比較する対象が明示されていないため、その指し示すことを明確に把握することができない。
よって、請求項1に係る発明は明確でない。

第3 審判請求時の補正について
審判請求時の補正は、特許法第17条の2第3項から第6項までの要件に違反しているものとはいえない(下線部は当審にて付した。以下、同様。)。

当該補正によって、請求項1に、「通常の遊技状態と、前記通常の遊技状態に比べて」という事項(以下「補正事項1」という。)、および、「前記優位遊技状態は、単位時間あたりに発射される発射球数に対して、払い出される賞球数の方が多くなるように設定された遊技状態であり、」という事項(以下、「補正事項2」という。)を追加し、「前記優位遊技状態に設定されてから所定の変更条件が成立するまでの間は、第1の変動情報決定処理により前記変動情報を決定し、前記優位遊技状態において前記変更条件が成立した後は、」という事項を、「一の前記優位遊技状態が設定されてから所定の変動回数となるまでの間は、第1の変動情報決定処理により前記変動情報を決定し、当該一の前記優位遊技状態において前記所定の変動回数となった後は、」という事項(以下、「補正事項3」という。)に変更する補正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるか、また、当該補正事項1ないし補正事項3は新規事項を追加するものではないかについて検討する。

補正事項1は、「複数の遊技状態」に含まれる遊技状態に「通常の遊技状態」を加え限定した上で、「優位遊技状態」において「小当たり遊技を相対的に高い割合で付与可能」であることについて、「通常の遊技状態に比べて」という限定を加える補正であって、補正前の発明と補正後の発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一である特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

補正事項2は、「優位遊技状態」が、「単位時間あたりに発射される発射球数に対して、払い出される賞球数の方が多くなるように設定された遊技状態であ」ることを限定する補正であって、補正前の発明と補正後の発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一である特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

補正事項3は、「優位遊技状態」に「一の」との限定を加えるとともに、「変更条件が成立する」および「変更条件が成立した」をそれぞれ「変動回数となる」、「変動回数となった」に変更することを含む補正であって、補正前の発明と補正後の発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一である特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

また、審判請求時の補正により追加または変更された上記補正事項1ないし3は、当初明細書等の【0065】−【0066】、【0077】、【0084】−【0089】、【0129】、【0135】−【0140】、【0170】−【0177】、図5、図8、図14、図16に記載された事項であり、新規事項を追加するものではない。

そして、「第4 本願発明」から「第6 対比・判断」までに示すように、当該補正後の請求項1に係る発明は、独立特許要件を満たすものである。

第4 本願発明
本願請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、令和3年7月30日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される発明であり、以下のとおりの発明である。なお、符号A等は分説するために当審にて付した。

「【請求項1】
A 有利度合いが異なる複数の遊技状態のいずれかに設定され、設定中の遊技状態に応じて遊技の進行制御がなされる遊技機であって、
B 始動条件の成立により、小当たり図柄および大当たり図柄を含む複数種類の図柄のうちのいずれかを決定する図柄決定手段と、
C 前記図柄が決定されると、変動時間および演出表示部にて実行される変動演出の内容が対応付けられた変動情報を決定するための変動情報決定処理を行う変動情報決定手段と、
D 前記変動情報決定手段によって決定された前記変動情報に対応する変動時間が経過すると、前記図柄決定手段によって決定された図柄を図柄表示部に表示する図柄表示手段と、
E 前記図柄表示部に前記小当たり図柄が表示されたことを条件として、遊技領域に設けられた大入賞口が開放される小当たり遊技を付与し、前記図柄表示部に前記大当たり図柄が表示されたことを条件として、前記大入賞口が複数回開放される大当たり遊技を付与する遊技利益付与手段と、
を備え、
F 前記複数の遊技状態には、通常の遊技状態と、前記通常の遊技状態に比べて前記小当たり遊技を相対的に高い割合で付与可能な優位遊技状態とが含まれ、
G 前記優位遊技状態は、単位時間あたりに発射される発射球数に対して、払い出される賞球数の方が多くなるように設定された遊技状態であり、
H 前記変動情報決定手段は、
H1 一の前記優位遊技状態が設定されてから所定の変動回数となるまでの間は、第1の変動情報決定処理により前記変動情報を決定し、当該一の前記優位遊技状態において前記所定の変動回数となった後は、前記変動演出の内容は共通であるものの、決定される変動時間の平均が前記第1の変動情報決定処理よりも短くなる第2の変動情報決定処理により前記変動情報を決定する
I 遊技機。」

第5 引用文献、引用発明等
1 引用文献1について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。なお、下線は合議体が付した(以下同様。)。

(1)「【0029】
本パチンコ機10では、球が第1始動口64aまたは第2始動口64bへ入球した場合に第1特別図柄または第2特別図柄(第1図柄)の抽選が行われ、球が普通始動口67を通過した場合に普通図柄(第2図柄)の抽選が行われる。第1始動口64aまたは第2始動口64bへの入球に対して行われる特別図柄の抽選では、特別図柄の大当たりか否かの当否判定が行われると共に、特別図柄の大当たりと判定された場合にはその大当たり種別の判定も行われる。特別図柄の大当たりになると、パチンコ機10が特別遊技状態へ移行すると共に、通常時には閉鎖されている特定入賞口65aが所定時間(例えば、30秒経過するまで、或いは、球が10個入賞するまで)開放され、その開放が16回(16ラウンド)繰り返される。その結果、その特定入賞口65aに多量の球が入賞するので、通常時より多量の賞球の払い出しが行われる。特別図柄の大当たり種別としては、「大当たりA」が設けられており、特別遊技状態の終了後には大当たり終了後の付加価値として、大当たりに応じた遊技上の価値(遊技価値)が遊技者に付与される。」

(2)「【0030】
また、第1特別図柄または第2特別図柄(第1図柄)の抽選が行われると、第1図柄表示装置37において特別図柄の変動表示が開始されて、所定時間(例えば、11秒〜60秒など)が経過した後に、抽選結果を示す特別図柄が停止表示される。第1図柄表示装置37において変動表示が行われている間に球が第1始動口64aまたは第2始動口64bへ入球すると、その入球回数は最大4回までそれぞれ保留され、その保留球数が第1図柄表示装置37により示されると共に、第3図柄表示装置81においても示される。第1図柄表示装置37において変動表示が終了した場合に、第1始動口64aまたは第2始動口64bについての保留球数が残っていれば、次の特別図柄の抽選が行われると共に、その抽選に応じた変動表示が開始される。尚、パチンコ機10が特別遊技状態へ移行すると開閉される特別入賞口65aは、第1始動口64aの直ぐ下に設けられている。よって、特別遊技状態中は、遊技者が特別入賞口65aに入賞させようとして球を打つので、第1始動口64aにも球が多く入球する。従って、殆どの場合、パチンコ機10が特別遊技状態に移行している間に、第1始動口64aについての保留球数は最大(4回)になる。」

(3)「【0038】
本パチンコ機10では、電源などの投入等により初期設定が行われると、必ず「特別図柄の低確率状態」に設定される。その後、特別図柄の大当たりになると、「特別図柄の高確率状態」へ移行すると共に、「普通図柄の時短状態」へ移行する。「特別図柄の高確率状態」へ移行すると、その状態は、その特別図柄の大当たり終了後から特別図柄の抽選が100回終了するまで継続され、その大当たり終了後から特別図柄の抽選が100回終了するまでに、新たに特別図柄の大当たりにならないと「特別図柄の低確率状態」に戻る。」

(4)「【0060】
主制御装置110では、第1始動口64aまたは第2始動口64bへ球が入球(始動入賞)すると、それをトリガとして、特別図柄の抽選が行われ、その後、第1図柄表示装置37において特別図柄(第1図柄)の変動表示が実行される。更に、主制御装置110から音声ランプ制御装置113へ変動パターンコマンドおよび停止種別コマンドが送信され、その結果、第3図柄表示装置81では、第1図柄表示装置37の変動表示に応じて第3図柄の変動表示が行われる。
・・・
【0063】
大当たり遊技が終了した後には、第1特別図柄または第2特別図柄が合わせて100回変動表示されるまで、大当たりの抽選確率が通常時よりも高くなる高確率遊技状態(確変期間)となる。図5(a)に示したように、確変期間では、第3図柄表示装置81の左上には、残り確変期間の変動回数(第1図柄と第2図柄とを合わせた回数)がSTと言う文字の後に数字で表示される。なお、STは、遊技状態が高確率遊技状態であることを示す識別図柄である。
・・・
【0065】
図5(a)に示したように、残りの確変期間が100回の場合には、最も、変動時間の短い変動パターンが選択され易く構成されている(図10(a)参照)。その場合には、図5(a)に示すように「くす玉が開いたらチャンス!!」の文字が表示される。そして、その文字の下に、蓋が閉じた状態のくす玉が表示される。その場合には、表示領域の右下に、第3図柄が縮小して表示される。そして、表示領域の右上には、「くす玉モード」という文字が表示されて、遊技者にくす玉を開ける演出期間であることを報知するように構成されている。なお、このくす玉モードは、特図1変動パターン選択テーブル(図10(a)参照)または特図2変動パターン選択テーブルB(図10(c)参照)が選択される期間である、確変期間の残り回数が100回〜61回である場合に設定されるように構成されている。なお、確変期間中は、普通図柄の時短状態となるので、第2始動口64bに遊技球が入賞し易くなり、第2特別図柄で主に抽選が実行される。
・・・
【0068】
次に、確変期間が減っていき、確変期間の残りが60回〜1回までとなると、図6(a)に示すように、「扉が開いたらチャンス!!」という文字が表示され、その文字の下に扉の絵が表示される。この場合に、表示領域の右下には、第3図柄が縮小されて表示される。そして、扉が開くと、図6(b)に示すように、開いた扉の中から第3図柄がリーチ状態で表示される。このように、確変期間の残りが60回以下となると、残り期間が100回〜61回までよりも比較的長い変動パターンが選択され易くなるので、扉が開いた後にも、リーチ表示態様が実行されて、当たりとなるか否かの演出が実行される。これにより、遊技者は、より第3図柄の変動表示態様を楽しむことができる。」

(5)「【0074】
次に、図12(b)〜(c)を参照して、確変期間に小当りまたは大当たりに当選した場合の第3図柄表示装置81に表示される表示態様について説明する。図12(b)は、確変期間の残り回数が60回〜1回までの期間で小当りに当選した場合に、第3図柄表示装置81に表示される小当り遊技中の変動態様である。確変期間の残り回数が60回〜1回であると、扉モード(図6(a)参照)または、図6(c)に示すチャージモードが実行される。この場合に、小当りに当選すると、小当りの変動パターンで設定された変動時間の間、特別図柄が変動表示された後に、小当りを示す「341」の図柄の組み合わせで停止表示されて(図12(b)参照)、「ボーナスタイム」という小当り遊技の開始を報知する文字が表示される。そして、小当り遊技中には、図12(b)の右側図に示したように、特定入賞口65aに入賞して、遊技者に払い出された遊技球の数が表示される。なお、小当りは、2ラウンドで構成された当たりであり、1ラウンドの間に、約5秒の間、特定入賞口65aが開放された後に、閉じる構成となっている。」
・・・
【0079】
<第1実施形態における確変期間のタイミングチャートについて>
図12(d)を参照して、本実施形態の確変期間における、特別図柄の変動態様と小当りとの関係を示したタイミングチャートについて説明する。小当りは、全期間において、第2始動口(第2特別図柄)に基づく抽選に対して、1/10の確率に設定されている。確変期間の残回数が100回〜61回までの間は、モードBとして、短時間の変動パターンが選択され易い期間となっている。その期間において、小当りに当選すると、第3図柄表示装置81では、特に演出はなく、第3図柄が小当りを示す「341」の組み合わせで停止表示される。その後、図12(b)の右側図に示す、払出数の表示が小当り遊技中に表示される。その小当り後に専用の短縮変動パターンが選択される移行回数は他の確変期間(モードC、D)よりも少なくなるように設定されている(詳細については後述する)。
【0080】
その後、確変期間の残回数が、60回〜31回では、モードCとして、モードAよりも比較的長い第2特別図柄の変動時間で構成された変動パターンが選択され易い期間に設定されている。そして、この期間において、小当りに当選すると、図12(b)に示すような表示態様が表示される。その後、小当り後専用の変動時間の短い変動パターンが選択され易い移行回数としては、モードAの期間よりも多くなる。これにより、変動時間が長くなることにより、小当たりとその次の小当たりとの期間が長くなり易くなるが、その期間を移行回数で設定される変動時間が短くなる分だけ短縮することができる。よって、遊技者の持ち球がモードCの期間で極端に減ってしまう不具合を抑制することができる。
【0081】
次に、確変期間の残回数が30回〜1回となると、モードDとなり、モードCよりもさらに長い第2特別図柄の変動時間が選択され易くなる。一方、小当たり後の移行回数はモードCよりも多い回数が選択され易く構成されており、小当たりと小当たりとの期間をより短縮できるように構成されている。よって、長い変動時間の変動パターンが選択されても、小当たり後には、変動時間が短縮される回数が多くなるので、小当たりまでの期間を短縮することができる。」

(6)「【0089】
第2始動口64bの直下には、可変入賞装置65が配設されており、その略中央部分に横長矩形状の特定入賞口(大開放口)65aが設けられている。パチンコ機10においては、主制御装置110で行われる特別図柄の抽選が大当たりとなると、所定時間(変動時間)が経過した後に、大当たりの停止図柄となるよう第1図柄表示装置37のLED37aを点灯させると共に、その大当たりに対応した第3図柄の停止図柄を第3図柄表示装置81に表示させて、大当たりの発生が示される。その後、通常時より多量の賞球の払い出しが行われる特別遊技状態(16ラウンドの大当たり)に遊技状態が遷移する。この特別遊技状態として、通常時には閉鎖されている特定入賞口65aが、所定時間(例えば、30秒経過するまで、或いは、球が10個入賞するまで)開放される。」

(7)「【0107】
なお、本実施形態では説明のため、変動パターンの種類を少なくして説明したが、実際には、もっと多くの変動パターンの種別が設定されており、多様な変動が可能となっている。また、主制御装置110のMPU201では、特別図柄の変動パターンとして、当否判定結果と変動時間等の大まかな変動パターンが選択されて、音声ランプ制御装置113のMPU221により詳細な変動パターンの内容を選択する構成となっている。」

(8)「【0111】
主制御装置110では、特別図柄の抽選、普通図柄の抽選、第1図柄表示装置37における表示の設定、第2図柄表示装置83における表示の設定、および、第3図柄表示装置81における表示の設定といったパチンコ機10の主要な処理を実行する。そして、RAM203には、これらの処理を制御するための各種カウンタが設けられている。ここで、図8を参照して、主制御装置110のRAM203内に設けられるカウンタ等について説明する。これらのカウンタ等は、特別図柄の抽選、普通図柄の抽選、第1図柄表示装置37における表示の設定、第2図柄表示装置83における表示の設定、および、第3図柄表示装置81における表示の設定などを行うために、主制御装置110のMPU201で使用される。
・・・
【0116】
特別当たり乱数カウンタC1の値は、例えば定期的に(本実施形態ではタイマ割込処理毎に1回)更新され、球が第1始動口64aまたは第2始動口64bに入賞したタイミングでRAM203の特別図柄1保留球格納エリア203aまたは特別図柄2保留球格納エリア203bに格納される。そして、特別図柄の大当たりとなる乱数の値は、主制御装置110のROM202に格納される特別図柄大当たり乱数テーブル(図示せず)によって設定されており、特別当たり乱数カウンタC1の値が、特別図柄大当たり乱数テーブルによって設定された大当たりとなる乱数の値と一致する場合に、特別図柄の大当たりと判定する。また、この特別図柄大当たり乱数テーブル202aは、特別図柄の低確率時(特別図柄の低確率状態である期間)用と、その低確率時より特別図柄の大当たりとなる確率の高い高確率時(特別図柄の高確率状態である期間)用との2種類に分けられ、それぞれに含まれる大当たりとなる乱数の個数が異なって設定されている。このように、大当たりとなる乱数の個数を異ならせることにより、特別図柄の低確率時と特別図柄の高確率時とで、大当たりとなる確率が変更される。尚、特別図柄の高確率時用の特別図柄大当たり乱数テーブル(図9(a)参照)と、特別図柄の低確率時用の特別図柄大当たり乱数テーブル(図9(a)参照)とは、主制御装置110のROM202内に設けられている。
【0117】
ここで、図9(a)を参照して、特別図柄大当たり乱数テーブル202aについて説明する。図9(a)は、この特別図柄大当たり乱数テーブル202aの内容を模式的に示した例である。遊技状態が高確率遊技状態である場合には、第1特別図柄の抽選であれば、取得した特別当たり乱数カウンタC1の値が「0〜9」のいずれであるか判別されて、「0〜9」のいずれかであれば、大当たりであると判別される。一方、「10〜299」のいずれかの値であると判別された場合には、外れであると判別される。また、第2特別図柄では、大当たりと判定される場合には、第1特別図柄と同一である。また、外れであると判別されたもののうち、特別当たり乱数カウンタC1の値が「100〜129」のうちいずれかである場合には、小当たりであると判別される。なお、この小当たりは、外れの一種に設定されており、大当たり確率とは別に設定される。」

(9)「【0206】
一方、S216の処理において、今回の抽選結果が外れであれば(S216:No)、今回の抽選結果が小当たりであるか判別される(S219)。抽選結果が小当たりであると判別された場合には(S219:Yes)、小当たりの開始(2ラウンド等の小当たりの設定)を設定する(S220)。
・・・
【0208】
次に、図15を参照して、主制御装置110内のMPU201により実行される特別図柄変動開始処理(S213)について説明する。図15は、特別図柄変動開始処理(S213)を示したフローチャートである。この特別図柄変動開始処理(S213)は、タイマ割込処理(図13参照)の特別図柄変動処理(図14参照)の中で実行される処理であり、特別図柄1保留球格納エリア203aと特別図柄2保留球格納エリア203bとの共通の実行エリアに格納された各種カウンタの値に基づいて、「特別図柄の大当たり」又は「特別図柄の外れ」の抽選(当否判定)を行うと共に、第1図柄表示装置37および第3図柄表示装置81で行われる変動演出の演出パターン(変動演出パターン)を決定するための処理である。」

(10)「【0223】
ここで、本実施形態では、第2始動口64bに入賞したことに対する賞球(遊技者に払い出される遊技球の数)は、1個となっている。よって、第2始動口64bに発射した遊技球がすべて入賞することで、発射した遊技球と、払い出された遊技球が同じとなるが、実際には、3球に1球程度が入賞する構成となっているので、遊技者の持ち球が確変期間中にも少なくなる。ここで、上記したように、第2始動口64bへの入賞に基づく第2特別図柄の抽選では、小当たりに当選するように設定することで、小当たりに当選すると特定入賞口65aが5秒間開放されるラウンド遊技が2回行われる。このとき、特定入賞口65aに遊技球が入球すると1球に対して、10球の遊技球が払い出される構成となっているので、確変期間中に遊技者の持ち球が減少するのを補填することができる。
・・・
【0225】
実際には、第1始動口64aに入賞したり、他の入賞口に入賞することによる払い戻しや、釘の調整等により変化するが、遊技者にとって、小当たりに当選することで、遊技球の消費を極力抑制でき、持ち球を減らさないようにして、次の大当たりを当選させることができる。さらに、本実施形態では、確変期間が短くなるように、確変期間の残り回数が多いときには、短い変動パターンが選択され易く構成したので、確変期間を短くして、持ち球の消費量を抑制するようにできる。
・・・
【0228】
移行回数選択カウンタ203jの値を取得して、小当たり短縮回数選択テーブル202c(図12(a)参照)より現在の確変期間の残り回数に対応するモードと取得した移行回数選択カウンタ203jの値とに基づいて、モード移行回数を決定し、小当たり短縮カウンタ203iに設定する(S312)。ここで、モードとは、確変期間の残り回数を示したものであり、モードAは、残り回数が0回(通常遊技状態)、同様に、モードBは、100回〜61回、モードCは、60回〜31回、モードDは、30回〜1回に設定されている。」

(11)上記(1)ないし(10)からみて、上記引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。なお、符号a等については、本願発明に付した符号A等と概ね対応させて付与するとともに、引用箇所の段落番号を併記した。

「a 「特別図柄の低確率状態」への設定と、特別図柄の大当たりになると特定入賞口65aの所定時間の開放が16ラウンド繰り返される特別遊技状態への移行と、特別図柄の大当たりになったときの「特別図柄の高確率状態」および「普通図柄の時短状態」への移行と、大当たり遊技が終了した後には、第1特別図柄または第2特別図柄が合わせて100回変動表示されるまで、大当たりの抽選確率が通常時よりも高くなる高確率遊技状態(確変期間)への移行が行われるパチンコ機10であって(【0029】、【0038】、【0063】)、
b 球が第1始動口64aまたは第2始動口64bに入賞したタイミングでRAM203に特別当たり乱数カウンタC1の値が格納され、特別当たり乱数カウンタC1の値が、特別図柄大当たり乱数テーブルによって設定された大当たりとなる乱数の値と一致する場合に、特別図柄の大当たりと判定し(【0116】)、第2特別図柄では、外れであると判別されたもののうち、特別当たり乱数カウンタC1の値が「100〜129」のうちいずれかである場合には、小当たりであると判別する(【0117】)、「特別図柄の大当たり」又は「特別図柄の外れ」の抽選(当否判定)を行う主制御装置110のMPU201を有し(【0208】)、
c、h 特別図柄の抽選が行われ(【0060】)、MPU201は、特別図柄の変動パターンとして、当否判定結果と変動時間等の大まかな変動パターンを選択し(【0107】)、
d 第1特別図柄または第2特別図柄(第1図柄)の抽選が行われると、特別図柄の変動表示が開始されて、所定時間(例えば、11秒〜60秒など)が経過した後に、抽選結果を示す特別図柄が停止表示される第1図柄表示装置37を有し(【0030】)、
e MPU201(【0111】)は、抽選結果が小当たりであると判別された場合には、小当たりの開始(2ラウンド等の小当たりの設定)を設定し(【0206】)、第1図柄表示装置37において抽選結果を示す特別図柄が停止表示され(【0030】)、小当りは、2ラウンドで構成された当たりであり、1ラウンドの間に、約5秒の間、特定入賞口65aが開放された後に閉じ(【0074】)、特別図柄の抽選が大当たりとなると、所定時間(変動時間)が経過した後に、大当たりの停止図柄となるよう第1図柄表示装置37のLED37aを点灯し、その後、通常時より多量の賞球の払い出しが行われる特別遊技状態(16ラウンドの大当たり)に遊技状態を遷移させ(【0089】)、
f 通常遊技状態と(【0228】)、第1特別図柄または第2特別図柄が合わせて100回変動表示されるまで、大当たりの抽選確率が通常時よりも高くなる高確率遊技状態(確変期間)とを有し(【0063】)、小当りは、全期間において、第2始動口(第2特別図柄)に基づく抽選に対して、1/10の確率に設定されており、確変期間の残回数が100回〜61回までの間は、モードBとして、短時間の変動パターンが選択され易い期間となり(【0079】)、確変期間の残回数が、60回〜31回では、モードCとして、残り回数が0回(通常遊技状態)であるモードAよりも比較的長い第2特別図柄の変動時間で構成された変動パターンが選択され易い期間に設定され、小当りに当選すると、小当り後専用の変動時間の短い変動パターンが選択され易い移行回数が、モードAの期間よりも多くなり、移行回数で設定される変動時間が短くなる分だけ短縮することができ(【0080】、【0228】)、確変期間の残回数が30回〜1回となると、モードDとなり、モードCよりもさらに長い第2特別図柄の変動時間が選択され易くなり、小当たり後の移行回数はモードCよりも多い回数が選択され易く構成されており、小当たりと小当たりとの期間をより短縮できるように構成されており(【0081】)、
g 小当たりに当選すると特定入賞口65aが5秒間開放されるラウンド遊技が2回行われ、確変期間中に遊技者の持ち球が減少するのを補填することができ(【0223】)、確変期間の残り回数が多いときには、短い変動パターンが選択され易く構成したので、確変期間を短くして、持ち球の消費量を抑制するようにでき(【0225】)、
h1 確変期間の残り回数が100回〜61回である場合において、モードBとして、短時間の変動パターンが選択され易い期間となり、小当り後に専用の短縮変動パターンが選択される移行回数は他の確変期間(モードC、D)よりも少なくなるように設定され(【0079】)、遊技者にくす玉を開ける演出期間であることを報知し(【0065】)、確変期間の残りが60回以下となると、残り期間が100回〜61回までよりも比較的長い変動パターンが選択され易くなり(【0068】)、小当り後専用の変動時間の短い変動パターンが選択され易い移行回数としては、モードAの期間よりも多くなり(【0080】、【0081】)、「扉が開いたらチャンス!!」という文字が表示され、その文字の下に扉の絵が表示される(【0068】)
i パチンコ機10(【0029】)。」

2 その他の文献について
(1)引用文献A
令和3年7月7日付け補正の却下の決定および同年10月4日付け前置報告書において引用された引用文献1(特開2014−30631号公報、以下、「引用文献A」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。

ア 「【0047】
主基板11に搭載された遊技制御用マイクロコンピュータ100は、例えば1チップのマイクロコンピュータであり、遊技制御用のプログラムや固定データ等を記憶するROM(Read Only Memory)101と、遊技制御用のワークエリアを提供するRAM(Random Access Memory)102と、遊技制御用のプログラムを実行して制御動作を行うCPU(Central Processing Unit)103と、CPU103とは独立して乱数値を示す数値データの更新を行う乱数回路104と、I/O(Input/Output port)105とを備えて構成される。」

イ 「【0061】
パチンコ遊技機1においては、遊技価値(ここでは、遊技媒体の一例である遊技球)を使用して、この遊技球を発射して行われる所定の遊技が行われ、その遊技結果に基づいて所定の遊技価値(ここでは、賞球としての遊技媒体)が付与(ここでは、払い出し)可能となる。遊技球を用いた遊技の一例として、パチンコ遊技機1における筐体前面の右下方に設置された打球操作ハンドルが遊技者によって所定操作(例えば回転操作)されたことに基づいて、所定の打球発射装置が備える発射モータなどにより、遊技媒体としての遊技球が遊技領域に向けて発射される。発射された遊技球は遊技領域を流下し、遊技領域を流下した遊技球が、普通入賞球装置6Aに形成された第1始動入賞口(第1始動領域)に進入すると、第1始動条件が成立する(特に後述の第1特別図柄プロセス処理中に、図2に示す第1始動口スイッチ22Aによって遊技球が検出されることによって、この成立が検出される)。その後、例えば前回の第1特図ゲームや大当り遊技状態が終了したことなどにより第1開始条件が成立したことに基づいて、第1特図ゲームが開始される。
【0062】
また、遊技球が普通入賞球装置6Bに形成された第2始動入賞口(第2始動領域)に進入すると、第2始動条件が成立する。この成立時に前回の第2特図ゲームや大当り遊技状態が終了していることなどにより第2開始条件が成立していれば、第2特図ゲームが開始される。この実施の形態では、第2開始条件が成立しているときに、図2に示す第2始動口スイッチ22Bによって遊技球が検出されること(特に後述の第2特別図柄プロセス処理中の検出)によって第2始動条件の成立が検出されて、第2特図ゲームが開始するが、図2に示す第2始動口スイッチ22Bによって遊技球が検出されて第2始動条件の成立を先に検出し、この検出時に第2開始条件が成立していれば、第2特図ゲームが開始するようにしてもよい。
【0063】
第1特図ゲームが開始されるときや、第2特図ゲームが開始されるときには、特別図柄の可変表示結果(第1特図ゲームや第2特図ゲームにおける可変表示結果)を、予め定められた特定表示結果としての「大当り」にするか否かや、特定表示結果とは異なる所定表示結果としての「小当り」にするか否かが、その可変表示結果を導出表示する以前に決定(事前決定)される。そして、可変表示結果の決定に基づく所定割合で、変動パターン(図6及び7参照)の決定などが行われ、可変表示結果や変動パターンを指定する演出制御コマンドが、図2に示す主基板11の遊技制御用マイクロコンピュータ100から演出制御基板12に向けて伝送される。
【0064】
こうした可変表示結果や変動パターンの決定に基づいて第1特図ゲームや第2特図ゲームが開始された後、例えば変動パターンに対応して予め定められた可変表示時間が経過したときには、可変表示結果となる確定特別図柄(第1確定特別図柄又は第2確定特別図柄)が第1特別図柄表示装置4Aや第2特別図柄表示装置4Bに導出表示される。また、第1特図ゲームに対応して、画像表示装置5の画面上(例えば、領域Aや領域C、図38や図39参照)に配置された「左」、「中」、「右」の飾り図柄表示エリア5L、5C、5Rでは、特別図柄とは異なる飾り図柄(演出図柄)の可変表示が行われる。第1特図ゲームにおいて、第1特別図柄の可変表示結果となる第1確定特別図柄が導出表示されるときには、この導出表示に同期して(この導出表示と略同じタイミングで)、画像表示装置5の表示領域における領域5Aなどにおいて飾り図柄の可変表示結果となる確定飾り図柄が導出表示される。また、例えば、画像表示装置5の表示領域における領域5Bでは、図41のように、第2特図ゲームに対応して、第2特図ゲームが実行中であることを示す画像(「第2特図変動中」の画像)が表示される。第2特図ゲームにおいて、第2特別図柄の可変表示結果となる第2確定特別図柄が導出表示されるときには、この導出表示に同期して(この導出表示と略同じタイミングで)、画像表示装置5の領域5Bにおいて第2特図ゲームにおける可変表示結果を報知する画像(「大当り」、「小当り」、「ハズレ」)が表示(導出表示)される。」

ウ 「【0065】
第1特図ゲーム又は第2特図ゲームにおいて、可変表示結果として予め定められた大当り図柄が導出表示されたときには、可変表示結果(特図表示結果)が「大当り」(特定表示結果)となり、遊技者にとって有利な特定遊技状態としての大当り遊技状態に制御される。すなわち、大当り遊技状態に制御されるか否かは、第1特図ゲーム又は第2特図ゲームにおける可変表示結果が「大当り」となるか否かに対応しており、その可変表示結果を導出表示する以前に決定(事前決定)される。特別図柄の可変表示結果として、大当り図柄とは異なる小当り図柄が導出表示されたときには、可変表示結果(特図表示結果)が「小当り」(所定表示結果)となり、特定遊技状態とは異なる所定遊技状態としての小当り遊技状態に制御される。すなわち、小当り遊技状態に制御されるか否かは、第1特図ゲーム又は第2特図ゲームにおける可変表示結果が「小当り」となるか否かに対応しており、その可変表示結果を導出表示する以前に決定(事前決定)される。特別図柄の可変表示結果として、大当り図柄と小当り図柄のいずれも導出表示されず、ハズレ図柄が導出表示されたときには、可変表示結果(特図表示結果)が「ハズレ」となる。
・・・
【0067】
大当り遊技状態では、大入賞口が開放状態となって特別可変入賞球装置7が遊技者にとって有利な第1状態となる。そして、第1の所定期間(ここでは、29秒間)あるいは第1の所定個数(ここでは、9個)の遊技球が大入賞口に進入して入賞が発生するまでの期間にて、大入賞口を継続して開放状態とするラウンド遊技(単に「ラウンド」ともいう)が実行される(通常開放ラウンド)。こうしたラウンド遊技の実行期間以外の期間では、大入賞口が閉鎖状態などとなり、入賞が発生困難または発生不可能となる。大入賞口に遊技球が進入したときには、カウントスイッチ23により入賞が検出され、その検出ごと(入賞ごと)に所定個数(例えば14個)の遊技球が賞球として払い出される。大当り遊技状態におけるラウンド遊技は、所定の上限回数(ここでは、「15」)に達するまで繰返し実行される(図8(A)参照)。
・・・
【0069】
特別図柄の可変表示結果として予め定められた小当り図柄が導出表示されたときには、可変表示結果(特図表示結果)が「小当り」となり、所定遊技状態としての小当り遊技状態に制御される。この小当り遊技状態では、大当り遊技状態と同様に、大入賞口が開放状態となって特別可変入賞球装置7が遊技者にとって有利な第1状態となる。そして、第2の所定期間(ここでは、4秒間)あるいは第2の所定個数(ここでは、9個)の遊技球が大入賞口に進入して入賞が発生するまでの期間にて、大入賞口を継続して開放状態とする短期開放制御が1回行われる(図8(B)参照)。小当り遊技状態では、この短期開放制御の実行期間以外の期間では、大入賞口が閉鎖状態などとなり、入賞が発生困難または発生不可能となる。大入賞口に遊技球が進入したときには、大当り遊技状態と同様に、カウントスイッチ23により入賞が検出され、その検出ごと(入賞ごと)に所定個数(例えば14個)の遊技球が賞球として払い出される。なお、第2の所定個数は、第1の所定個数と異なるようにしてもよい。また、短期開放制御は、複数回行われるようにしてもよい。」

エ 「【0070】
小当り遊技状態は、大当り遊技状態よりも遊技者にとっての有利度が低いもの(例えば、遊技者に付与され得る遊技価値の大きさ(ここでは、賞球の数)が大当り遊技状態となっているときよりも小さくなりやすいもの)であればよい。例えば、小当り遊技状態で大入賞口を開放する期間の最大合計時間(ここでは、4秒間)が大当り遊技状態で大入賞口を開放する期間の最大合計時間(ここでは、29秒×15回=435秒間)よりも短くすることで、小当り遊技状態で得られる賞球が、大当り遊技状態で得られる賞球よりも少なくなりやすくする、及び/又は、各短期開放制御における前記第2の所定個数の合計値(短期開放制御が1回であれば1回の第2の所定個数であり、ここでは、9個×1回=9個)を各ラウンド遊技における前記第1の所定個数の合計値(ここでは、9個×15回=135個)よりも少なくするなどすればよい。なお、小当り遊技状態は、遊技者にとっての有利度が大当り遊技状態以下であってもよい。
【0071】
この実施の形態では、大当り遊技状態が終了した後に、可変表示結果が「大当り」となる確率(大当り確率)が通常状態よりも高くなる確変状態に制御される。ここで、通常状態とは、遊技状態が、確変状態、後述のKT状態、後述の潜伏状態のいずれにもなっていない状態のことをいう。確変状態は、所定回数(ここでは、30回)の可変表示(第1特図ゲーム及び第2特図ゲーム)が実行されたことと、次回の大当り遊技状態が開始されたことのうち、いずれか一方の確変終了条件が先に成立するまで、継続するように制御される(所謂回数切り)。なお、例えば、確変状態になっていない遊技状態を非確変状態ということがある。
・・・
【0073】
まず、KT状態を説明する。非潜伏・非KT状態(遊技状態が、通常状態であるか、確変状態になっているが潜伏状態にもKT状態にもなっていないとき)における、第2特図ゲームの可変表示時間(第2特図ゲームが開始されてから可変表示結果が導出表示されるまでの期間、以下、第2特図変動時間ともいう。)は非常に長く設定される(ここでは、30分〜31分)が、KT状態における第2特図変動時間は短く設定される(ここでは、1秒)。このため、KT状態では、第2入賞口への入賞が続く場合、第2特図ゲームの実行頻度が非潜伏・非KT状態のときよりも格段に上がることになる(図9参照)。また、第2特図ゲームでは、可変表示結果として、「小当り」が導出表示されやすくなっている。特に第1特図ゲームと比べると、第2特図ゲームでは、可変表示結果が非常に「小当り」になりやすい。KT状態では、上記のように、第2特図ゲームの実行頻度が向上しているので、結果的に第2特図ゲームでの「小当り」が発生しやすくなり、パチンコ遊技機1は、小当り遊技状態に制御されやすくなる(小当り遊技状態に制御される頻度が向上する)。このように、KT状態は、遊技者が遊技球を第2領域2Bに打ち込むこと(右打ちすること)で小当り遊技状態に移行する頻度が非潜伏・非KT状態に比べて向上し、遊技者にとって有利な状態となる。
【0074】
次に、潜伏状態を説明する。この潜伏状態は、大当り遊技状態の終了直後からKT状態に制御されるまでの繋ぎの期間における状態である。この実施の形態では、潜伏期間において、その後に(潜伏期間終了後に)、KT状態が開始されることへの遊技者の期待感が煽られる(図39参照)。この期間では、KT状態への移行タイミングが早く到来するように、第2特図変動時間は、KT状態のときよりも長いが、非潜伏・非KT状態のときよりも短く設定される(ここでは、5秒)。このため、潜伏状態でも、KT状態ほどではないが、第2入賞口への入賞が続く場合において第2特図ゲームの実行頻度が非潜伏・非KT状態のときよりも上がり(図9参照)、遊技者が遊技球を第2領域2Bに打ち込むこと(右打ちすること)で小当り遊技状態に移行する頻度が非潜伏・非KT状態に比べて向上し、遊技者にとって有利な状態となる。」

オ 「【0076】
この実施の形態では、大当り種別が「大当りA」の「大当り」が導出表示されたことによって制御される大当り遊技状態の終了後は、第1特図の可変表示回数と第2特図の可変表示回数との合計が10回になるまでは潜伏状態となり、前記合計が11回目以降にはKT状態となる(図5参照)。」

カ 「【0139】
第1変動パターンは、第1特図の可変表示に対応する飾り図柄の可変表示の内容(可変表示態様)などを指定するものであるので、この決定によって、飾り図柄の可変表示の内容などが決定される。第1特別図柄や飾り図柄の可変表示時間は、第1変動パターンに対応して予め設定されている。したがって、第1変動パターン設定処理にて第1変動パターンを決定することにより、第1特図ゲームにおいて第1特別図柄の可変表示を開始してから可変表示結果となる第1確定特別図柄を導出するまでの可変表示時間(第1特図変動時間)が決定される。」

キ 「【0158】
図16に示すステップS1203、S1206、S1208の処理のいずれかを実行した後には、第1特図変動時間を設定する(ステップS1209)。第1特図変動時間は、第1特図ゲームにおいて第1特別図柄の変動を開始してから可変表示結果(第1特図表示結果)となる第1確定特別図柄が導出表示されるまでの所要時間である。第1特図変動時間は、図6に示すように、予め用意された複数の第1変動パターンに対応して、予め定められている。CPU103は、ステップS1203、S1206、S1208の処理で選択した第1変動パターンに対応した第1特図変動時間を設定することにより、第1特別図柄や飾り図柄の可変表示結果が導出されるタイミングを設定できる。第1特図変動時間の設定は、例えば、第1特図変動時間に応じたタイマ値を、RAM102の所定領域(例えば遊技制御タイマ設定部)に設けられた第1遊技制御プロセスタイマに設定することなどによって行われる。なお、他の時間設定も、タイマ値を設定するなどすることによって適宜行われればよい。
・・・
【0163】
図12のステップS112の第1特別図柄変動処理は、第1特図プロセスフラグの値が「2」のときに実行される。この第1特別図柄変動処理には、第1特別図柄表示装置4Aにおいて第1特別図柄を変動させるための処理(第1特別図柄表示装置4Aにおける第1特図の表示を更新させる駆動信号の送信設定などを行い、所定タイミングごとに第1特別図柄を変動させるための処理など)や、その第1特別図柄が変動を開始してからの現在の経過時間を特定する処理(例えば、第1遊技制御プロセスタイマのタイマ値を1減算する処理、他の経過時間についても適宜同様。)などが含まれている。そして、第1特別図柄の変動を開始してからの経過時間が第1特図変動時間に達したとき(例えば、第1遊技制御プロセスタイマのタイマ値が0になったとき、他の経過時間についても適宜同様。)には、第1特別図柄表示装置4Aにて特別図柄の変動を停止させ、第1特図ゲームの可変表示結果となる第1確定特別図柄(ステップS110で決定された確定特別図柄)を停止表示(導出表示)させ、また、停止表示させるときに、特別図柄が停止表示されたこと(導出表示されたこと)を通知する演出制御コマンドである第1図柄確定コマンドの送信設定も行い、特図プロセスフラグの値を「3」に更新する。送信設定された第1図柄確定コマンドは、例えば第1特別図柄プロセス処理が終了した後、上述のコマンド制御処理が実行されることなどにより、主基板11から演出制御基板12に対して伝送される。ステップS112が繰り返し実行されることによって、第1特図ゲームの実行(第1特別図柄の可変表示や第1確定特別図柄の導出表示)などが実現される。
・・・
【0217】
第2変動パターンは、第2特図の可変表示の内容(特に第2特図変動時間)を指定するものであるので、第2変動パターン設定処理にて第2変動パターンを決定することにより、第2特別図柄の可変表示(第2特図ゲーム)を開始してから可変表示結果となる第2確定特別図柄を導出するまでの可変表示時間(第2特図変動時間)が決定される。」

ク 「【0222】
図26及び図7から分かるように、非潜伏・非KT状態中には、第2特図変動時間の非常に長い(30分〜32分)変動パターンPB1−1〜1−3のいずれかが変動パターンとして決定されるので、非潜伏・非KT状態中における第2特図の変動は非常に長いものとなる。また、KT状態中には、第2特図変動時間の非常に短い(1秒)変動パターンPB3−1が変動パターンとして決定されるので、KT状態中における第2特図の変動は非常に短いものとなる。つまり、KT状態中には、第2入賞口への入賞が続くと、第2特図ゲームの実行頻度が向上する。一方で、KT状態中に、第2特図ゲームにおける可変表示結果が「小当り」となる確率は、非KT状態の期間中とは変わらないので、結果的にKT状態中では、第2特図ゲームにおける可変表示結果が「小当り」となり、小当り遊技状態に制御される機会が非常に多くなっている。また、潜伏状態中には、第2特図変動時間のKT状態ほどではないが短い(5秒)変動パターンPB2−1が変動パターンとして決定されるので、潜伏状態中における第2特図の変動は比較的短いものとなる。つまり、潜伏状態中でも、第2入賞口への入賞が続くと、第2特図ゲームの実行頻度が非潜伏・非KT状態に比べて向上する。一方で、潜伏状態中に、第2特図ゲームにおける可変表示結果が「小当り」となる確率は、非潜伏状態の期間中とは変わらないので、結果的に潜伏状態中では、第2特図ゲームにおける可変表示結果が「小当り」となり、小当り遊技状態に制御される機会がKT状態ほどではないにしろ多くなっている。KT状態や潜伏状態では、第2特図ゲームにおける可変表示結果が「小当り」となる頻度が、非潜伏・非KT状態よりも向上するようになっているとよい(これを実現するための形態はこの実施の形態に限られない。)。」
【0223】
図25に示すステップS2203の処理を実行した後には、第2特図変動時間を設定する(ステップS2209)。第2特図変動時間は、第2特図ゲームにおいて第2特別図柄の変動を開始してから可変表示結果(第2特図表示結果)となる第2確定特別図柄が導出表示されるまでの所要時間である。第2特図変動時間は、図7に示すように、予め用意された複数の第2変動パターンに対応して、予め定められている。CPU103は、ステップS2203の処理で選択した第2変動パターンに対応した第2特図変動時間を設定することにより、第2特別図柄や飾り図柄の可変表示結果が導出されるタイミングを設定できる。第2特図変動時間の設定は、例えば、第2特図変動時間に応じたタイマ値を、RAM102の所定領域(例えば遊技制御タイマ設定部)に設けられた第2遊技制御プロセスタイマに設定することなどによって行われる。
・・・
【0228】
図22のステップS212の第2特別図柄変動処理は、特図プロセスフラグの値が「2」のときに実行される。この第2特別図柄変動処理には、第2特別図柄表示装置4Aにおいて第2特別図柄を変動させるための処理(第2特別図柄表示装置4Aにおける第2特図の表示を更新させる駆動信号の送信設定などを行い、所定タイミングごとに第2特別図柄を変動させるための処理など)や、その第2特別図柄が変動を開始してからの現在の経過時間を特定する処理(例えば、第2遊技制御プロセスタイマのタイマ値を1減算する処理、他の経過時間についても適宜同様。)などが含まれている。そして、第2特別図柄の変動を開始してからの経過時間が第2特図変動時間に達したとき(例えば、第2遊技制御プロセスタイマのタイマ値が0になったとき、他の経過時間についても適宜同様。)には、第2特別図柄表示装置4Aにて特別図柄の変動を停止させ、第2特図ゲームにおける可変表示結果となる第2確定特別図柄(ステップS210で決定された確定特別図柄)を停止表示(導出表示)させ、また、停止表示されるときに特別図柄が停止表示されたこと(導出表示されたこと)を通知する演出制御コマンドである第2図柄確定コマンドの送信設定も行い、特図プロセスフラグの値を「3」に更新する。送信設定された第2図柄確定コマンドは、例えば第2特別図柄プロセス処理が終了した後、上述のコマンド制御処理が実行されることなどにより、主基板11から演出制御基板12に対して伝送される。ステップS212が繰り返し実行されることによって、第1特図ゲームの実行(第1特別図柄の可変表示や第1確定特別図柄の導出表示)などが実現される。」

ケ 「【0320】
次に、上記一連の処理によって、画像表示装置5に表示される表示画面を説明する。第1特図ゲームに対応した飾り図柄の可変表示(リーチ演出なども含む)などは、非潜伏・KT状態では、領域5Aに表示される(図38参照)。一方、潜伏状態のときには、図39のように、領域5Aには、現在が潜伏状態であること(つまり、KT状態に移行する可能性があること)を報知する画像(「KT期間突入の可能性大!!」の画像)が表示される。さらに、図40のように、KT状態のときには、領域5Aには、現在がKT状態であることを報知する画像(「右を狙えKT期間中!!」の画像)が表示される。このため、潜伏状態やKT状態のときには、図39や図40のように、飾り図柄の可変表示(リーチ演出なども含む)は、領域5Cに表示される(このときの表示内容は、領域5Aに表示したものを単に縮小したものでもよいし、異なる表示内容にしてもよい)。
・・・
【0348】
このような構成によって、所定事象が発生してから所定の開始条件が成立するまでの間において第2識別情報の可変表示の期間を所定事象が発生していないときよりも短くできるので、遊技が間延びすることが防止される。特に、上記実施の形態では、潜伏期間を設定することで、KT状態への移行への期待感を煽ることができ、遊技の興趣が向上する。」

コ 「【0410】
前記の決定期間(KT期間など)が始まった直後、すぐに第2始動入賞口への入賞が発生するわけではないので、どうしても、アウト玉が生じてしまい、KT期間の開始から遊技価値の大きさ(獲得玉数)を計数すると、領域5Dに表示される計数結果が−(マイナス)の値になってしまう可能性が高い。計数結果がマイナスの値になってしまうと、遊技者はKT期間にも係わらず遊技価値を損していると認識するので、遊技の興趣が低下してしまう。そこで、上記構成にすることによって、遊技者に付与される遊技価値の大きさが計数開始時にマイナスになってしまうことを防止又は少なくすることができる。」

上記アないしコからみて、上記引用文献Aには次の発明(以下、「引用発明A」という。)が記載されていると認められる。なお、符号a等については、本願発明に付した符号A等と概ね対応させて付与するとともに、引用箇所の段落番号を併記した。

「a 通常状態、大当り遊技状態、大当り遊技状態よりも遊技者にとっての有利度が低い小当り遊技状態、小当り遊技状態に移行する頻度が通常状態に比べて向上するKT状態および潜伏状態に制御されるパチンコ遊技機1であって(【0070】、【0071】、【0073】、【0074】)、
b 遊技球が、第1始動領域または第2始動領域に進入すると、第1または第2始動条件が成立し、第1または第2開始条件が成立したことに基づいて、第1または第2特図ゲームが開始され、特別図柄の可変表示結果(第1特図ゲームや第2特図ゲームにおける可変表示結果)を、予め定められた特定表示結果としての「大当り」にするか否かや、特定表示結果とは異なる所定表示結果としての「小当り」にするか否かを、その可変表示結果を導出表示する以前に決定(事前決定)する遊技制御用マイクロコンピュータ100を有し(【0047】、【0061】〜【0063】)、
c 可変表示結果の決定に基づいて、変動パターンに対応して予め定められた可変表示時間および第1特図または第2特図の可変表示に対応する飾り図柄の可変表示の内容(可変表示態様)を指定する変動パターンの決定が行われ(【0063】、【0064】、【0139】、【0217】)、
d 特別図柄の変動を開始してからの経過時間が、第1または第2変動パターンに対応して予め定められている第1または第2特図変動時間に達したとき、第1または第2特図ゲームの可変表示結果となる第1または第2確定特別図柄を第1または第2特別図柄表示装置にて停止表示(導出表示)させ(【0158】、【0163】、【0223】、【0228】)、
e 特別図柄の可変表示結果として予め定められた小当り図柄が導出表示されたときには、所定遊技状態としての小当り遊技状態に制御され、大入賞口を継続して開放状態とする短期開放制御が1回行われ(【0069】)、可変表示結果として予め定められた大当り図柄が導出表示されたときには、遊技者にとって有利な特定遊技状態としての大当り遊技状態に制御され(【0065】)、大入賞口を継続して開放状態とするラウンド遊技が所定の上限回数(ここでは、「15」)に達するまで繰返し実行され(【0067】)、
f 遊技状態として、非潜伏・非KT状態である通常状態と、可変表示結果が非常に「小当り」になりやすい第2特図ゲームの実行頻度が非潜伏・非KT状態のときよりも上がるKT状態および潜伏状態を有し(【0073】、【0074】)、
g KT期間においては、始まった直後、すぐに第2始動入賞口への入賞が発生するわけではないので、どうしても、アウト玉が生じ、開始から遊技価値の大きさ(獲得玉数)を計数すると、計数結果が−(マイナス)の値になってしまう可能性が高く(【0410】)、
h、h1 大当り種別が「大当りA」の「大当り」が導出表示されたことによって制御される大当り遊技状態の終了後は、第1特図の可変表示回数と第2特図の可変表示回数との合計が10回になるまでは潜伏状態となり(【0076】)、第2特図変動時間のKT状態ほどではないが短い(5秒)変動パターンPB2−1が変動パターンとして決定され(【0222】)、現在が潜伏状態であること(つまり、KT状態に移行する可能性があること)を報知する画像(「KT期間突入の可能性大!!」の画像)が表示され(【0320】)、第1特図の可変表示回数と第2特図の可変表示回数との合計が11回目以降にはKT状態となり(【0076】)、第2特図変動時間の非常に短い(1秒)変動パターンPB3−1が変動パターンとして決定され(【0222】)、現在がKT状態であることを報知する画像(「右を狙えKT期間中!!」の画像)が表示され(【0320】)、潜伏期間を設定することで、KT状態への移行への期待感を煽るものである(【0348】)、
i パチンコ遊技機1(【0073】)。」

(2)引用文献B
令和3年7月7日付け補正の却下の決定および同年10月4日付け前置報告書において引用された引用文献2(特開2016−174970号公報、以下「引用文献B」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。

「【0833】
本実施形態にかかるパチンコ機1では、第1特別図柄側の遊技と第2特別図柄側の遊技とが同時に進行可能とされる制御構造となっている。このような制御構造では、第1特別図柄側の遊技と第2特別図柄側の遊技との間で当り大当り遊技(小当り遊技)が重複して発生してしまう懸念があることから、これを回避すべく、一方側の遊技で大当り(小当り)が得られたときには、他方側の遊技の進行を処理フラグに関係なく制御する旨を示す連動フラグをオン状態に操作するようにしている。したがって、第1特別図柄の連動フラグは後述の第2特別図柄制御処理(図134)において第2特別図柄抽選の結果が大当り(小当り)となる場合にオン状態に設定される。
・・・
【1055】
このように、本実施形態では、高確率非時短遊技状態(ラッシュモード)は大当りが導出されなくとも一連の第2特別図柄の小当り遊技において賞球を獲得可能であり、その合計賞球数は同モードで生じる大当り遊技で獲得可能な賞球数よりも多い。したがって、遊技者にとって最も有利な遊技状態は、高確率時短遊技状態(ラッシュ準備モード、第一有利遊技状態)ではなく高確率非時短遊技状態(ラッシュモード、第二有利遊技状態)である。
・・・
【1079】
本実施形態のラッシュモードでは、第2特別図柄抽選において大当り当選しないときは小当り当選するので、第2小当り遊技が頻発する。ラッシュモード中に獲得可能な賞球数は、1回の第2小当り遊技の賞球数を30球とするとST回数(70回)小当り当選したときには2100球となる。これは本実施形態の大当り遊技で獲得可能な最大賞球数(2000球)よりも多い。したがって、ラッシュモードにおける一連の第2小当り遊技は、大当り遊技に匹敵する特典遊技となり得る。また、ラッシュモード中にも1/45の確率で大当り遊技となる可能性もあるので、遊技者にとってラッシュモードが最も有利な(目指すべき)遊技モードとなる。」

上記記載からみて、上記引用文献Bには次の技術事項(以下、「引用発明Bに記載の技術事項」という。)が記載されていると認められる。

「高確率非時短遊技状態(ラッシュモード)では、第2特別図柄抽選において大当り当選しないときは小当り当選するので、第2小当り遊技が頻発し、大当りが導出されなくとも一連の第2特別図柄の小当り遊技において賞球を獲得可能であり、その合計賞球数は同モードで生じる大当り遊技で獲得可能な賞球数よりも多い(【1055】、【1079】)パチンコ機1(【0833】)。」

(3)引用文献C
令和3年10月4日付け前置報告書において引用された引用文献3(特開2016−120231号公報、以下「引用文献C」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。

【0193】
<遊技進行フロー2>
上記の<遊技進行フロー1>にて実行された特別遊技が終了すると、図中に示される「ラッシュチャレンジゾーン」(第2主遊技始動口電動役物B11dが開放状態となり易い遊技状態であり、いわゆる電サポ状態=時短状態)へ移行するので、遊技者は、第2主遊技始動口電動役物B11dを狙って遊技球を発射して(いわゆる右打ちを行って)遊技を進行させることで、第2主遊技始動口B10へ効率良く入球させることができる(第2主遊技始動口B10への入球を契機として、第2主遊技側での当否抽選及び第2主遊技図柄の図柄変動が行われる)。ここで、「ラッシュチャレンジゾーン」は、<遊技進行フロー1>にて実行された特別遊技の終了後から起算して、第1主遊技図柄又は第2主遊技図柄の図柄変動が行われた回数が、所定回数に到達するまでは少なくとも継続するのであるが、当該所定回数としてセットされる回数は、<遊技進行フロー1>にて実行された特別遊技の終了後において、第1の所定回数(本例では、7回)及び第2の所定回数(本例では、100回)の何れかがセットされる{本例では、第1の所定回数がセットされる割合:第2の所定回数がセットされる割合=99:1となっており、典型的には、<遊技進行フロー1>にて停止表示された第1主遊技図柄の大当り図柄に係る種類に応じて定められた回数がセットされることで、このような割合差(占有率)が生じるよう構成される}。
・・・
【0195】
<遊技進行フロー4>
上記の<遊技進行フロー3>にて実行された特別遊技が終了すると、図中に示される「ラッシュゾーン」(第2主遊技始動口電動役物B11dが開放状態となり易い遊技状態であり、いわゆる電サポ状態=時短状態)へ移行するので、遊技者は、第2主遊技始動口電動役物B11dを狙って遊技球を発射して(いわゆる右打ちを行って)遊技を進行させることで、第2主遊技始動口B10へ効率良く入球させることができる(第2主遊技始動口B10への入球を契機として、第2主遊技側での当否抽選及び第2主遊技図柄の図柄変動が行われる)。ここで、「ラッシュゾーン」は、<遊技進行フロー3>にて実行された特別遊技の終了後から起算して、第1主遊技図柄又は第2主遊技図柄の図柄変動が行われた回数が、特定回数に到達するまでは少なくとも継続するのであるが、当該特定回数としてセットされる回数は、<遊技進行フロー3>にて実行された特別遊技の終了後において、第1の特定回数(本例では、10回)、第2の特定回数(本例では、20回)、第3の特定回数(本例では、30回)、第4の特定回数(本例では、50回)及び第5の特定回数(本例では、100回)の何れかがセットされる{本例では、第1の回数がセットされる割合:第2の回数がセットされる割合:第3の回数がセットされる割合:第4の回数がセットされる割合:第5の回数がセットされる割合=43:20:17:13:7となっており、典型的には、<遊技進行フロー3>にて停止表示された第2主遊技図柄の小当り図柄に係る種類に応じて定められた回数がセットされることで、このような割合差(占有率)が生じるよう構成される}。そして、「ラッシュゾーン」が継続している状況下にて、<遊技進行フロー3>が発生(図中に示されるように、平均して78%の確率で、「ラッシュゾーン」滞在中に小当りに当選することができる)した場合には<遊技進行フロー4>となり、再度「ラッシュゾーン」へ移行するため、このループ性によって遊技者が大量の出玉を獲得できることとなる。
・・・
【0202】
尚、このような遊技性であるため、電サポ状態が維持され得る期間(換言すれば、特別遊技の終了後にてセットされた時短回数)を遊技者に報知しないように構成することが望ましく、そのように構成することで、遊技者は電サポ状態が維持されている期間がいつまで(特別遊技の終了後から何変動目まで)継続するかに期待感を持つことができ遊技の興趣性が高まることとなる。また、当該時短回数に係る演出としては、遊技者に対して時短回数が増加したように見せる演出を実行してもよく、例えば、特別遊技の終了後にてセットされた時短回数が50回の場合、特別遊技終了時には、残り時短回数として「10回」と表示しておき、10回目の図柄変動(残り0回となる図柄変動)にて(又は10回目の変動以前のタイミングにて)、「+40回」と表示することで、恰も時短回数が増加したように見せる演出を例示することができる。また、当該構成は、「ラッシュチャレンジゾーン」と「ラッシュゾーン」とのいずれにも適用可能であり、例えば、「ラッシュチャレンジゾーン」にて時短回数が100回であった場合に、当該「ラッシュチャレンジゾーン」開始時には、残り時短回数として「7回」と表示しておき、7回目の図柄変動(残り0回となる図柄変動)にて(又は7回目の変動以前のタイミングにて)、「+93回」と表示(もしくは、「まだまだー」と表示した後に残り時短回数を表示)するよう構成してもよい。尚、「ラッシュチャレンジゾーン」にて時短回数が100回であった場合には、当該「ラッシュチャレンジゾーン」開始時から、残り時短回数を「100回」と表示するよう構成してもよいし、当該「ラッシュチャレンジゾーン」開始時から、「ラッシュゾーン」と表示し、「ラッシュゾーン」滞在中と同様の演出態様としてもよい。

上記記載からみて、上記引用文献Cには次の技術事項(以下、「引用文献Cに記載の技術事項」という。)が記載されていると認められる。

「電サポ状態=時短状態であり第2主遊技始動口電動役物B11dを狙って遊技球を発射して遊技を進行させることで、第2主遊技始動口B10へ効率良く入球させることができる「ラッシュチャレンジゾーン」および「ラッシュゾーン」(【0193】、【0195】)において、「ラッシュチャレンジゾーン」開始時から、「ラッシュゾーン」と表示し、「ラッシュゾーン」滞在中と同様の演出態様とする(【0202】)こと。」

第6 対比
本願発明と引用発明とを対比する。

1 構成Aについて
引用発明の構成aにおける、「特別図柄の低確率状態」、「特別遊技状態」および「高確率遊技状態(確変期間)」は、本願発明の構成Aの「有利度合いが異なる複数の遊技状態」に相当し、それらの遊技状態に応じた遊技の進行制御が行われることは明らかである。
よって、引用発明の構成aは、本願発明の構成Aに相当する構成を有している。

2 構成Bについて
引用発明の構成bにおける、「球が第1始動口64aまたは第2始動口64bに入賞」は、本願発明の構成Bの「始動条件の成立」に相当する。
また、引用発明の構成bでは、上記「入賞」が発生すると、「特別図柄の大当たり」又は「特別図柄の外れ」の抽選(当否判定)を行う主制御装置110のMPU201によって、「特別当たり乱数カウンタC1の値が格納」され「特別図柄大当たり乱数テーブルによって設定された大当たりとなる乱数の値と一致する場合に、特別図柄の大当たりと判定」され、かつ、「第2特別図柄」では、「外れであると判別されたもののうち、特別当たり乱数カウンタC1の値が「100〜129」のうちいずれかであるものについて、小当たりであるとの判別」も行っているから、本願発明の構成Bの「小当たり図柄および大当たり図柄を含む複数種類の図柄のうちのいずれかを決定する図柄決定手段」に対応する構成を備えているといえる。
よって、引用発明の構成bは、本願発明の構成Bに相当する構成を有している。

3 構成Cについて
引用発明の構成c、hの「特別図柄の抽選が行われ」、「変動時間等の大まかな変動パターンを選択」すること、「MPU201」は、それぞれ本願発明の構成Cの「図柄が決定されると」、「変動時間および演出表示部にて実行される変動演出の内容が対応付けられた変動情報を決定するための変動情報決定処理を行う」こと、「変動情報決定手段」に相当する。
よって、引用発明の構成c、hは、本願発明の構成Cに相当する構成を有している。

4 構成Dについて
引用発明の構成dにおける「第1特別図柄または第2特別図柄(第1図柄)の抽選が行われると、特別図柄の変動表示が開始されて、所定時間(例えば、11秒〜60秒など)が経過」すること、「抽選結果を示す特別図柄」、「第1図柄表示装置37」、「停止表示」することは、それぞれ本願発明の構成Dにおける「前記変動情報決定手段によって決定された前記変動情報に対応する変動時間が経過する」こと、「図柄決定手段によって決定された図柄」、「図柄表示部」、「表示する」ことに相当し、「第1図柄表示装置37」が上記「図柄」を表示する手段を備えることは明らかである。
よって、引用発明の構成dは、本願発明の構成Dに相当する構成を有している。

5 構成Eについて
引用発明の構成eにおける「抽選結果が小当たりであると判別された場合に」は、その際に「第1図柄表示装置37において抽選結果を示す特別図柄が停止表示され」るから、本願発明の構成Eにおける「図柄表示部に前記小当たり図柄が表示されたことを条件と」することに相当する構成を備えているといえる。
また、引用発明の構成eの「小当たりの開始(2ラウンド等の小当たりの設定)を設定」すること、「特定入賞口65aが開放され」ることは、本願発明の構成Eの「小当たり遊技を付与」すること、「遊技領域に設けられた大入賞口が開放される」ことに相当する。
一方、引用発明の構成eにおける、「特別図柄の抽選が大当たりとなると、所定時間(変動時間)が経過した後に、大当たりの停止図柄となるよう第1図柄表示装置37のLED37aを点灯」すること、「通常時より多量の賞球の払い出しが行われる特別遊技状態(16ラウンドの大当たり)に遊技状態を遷移させる」ことは、それぞれ本願発明の構成Eにおける「前記図柄表示部に前記大当たり図柄が表示されたことを条件と」すること、「前記大入賞口が複数回開放される大当たり遊技を付与する」ことに相当する。
そして、引用発明の構成eの「MPU201」は、小当たりおよび大当たりに係る制御を行うものであるから、本願発明の構成Eの「遊技利益付与手段」に相当する。
よって、引用発明の構成eは、本願発明の構成Eに相当する構成を有している。

6 構成Fについて
引用発明の構成fにおける「通常遊技状態」、「大当たりの抽選確率が通常時よりも高くなる高確率遊技状態(確変期間)」は、併せて本願発明の構成Fの「複数の遊技状態」に相当するとともに、それぞれ「通常の遊技状態」、「優位遊技状態」に相当する。
また、引用発明の構成fの「大当たりの抽選確率が通常時よりも高くなる高確率遊技状態(確変期間)」においては、「小当りは、全期間において、第2始動口(第2特別図柄)に基づく抽選に対して、1/10の確率に設定され」る一方で、「確変期間の残回数が100回〜61回までの間は、モードBとして、短時間の変動パターンが選択され易」くなるため、「通常遊技状態」に比べて単位時間における小当り遊技が付与される割合が高くなると解される。
さらに、「確変期間の残回数が、60回〜31回では、モードCとして、残り回数が0回(通常遊技状態)であるモードAよりも比較的長い第2特別図柄の変動時間で構成された変動パターンが選択され易い期間」に設定されるものの、「小当りに当選すると、小当り後専用の変動時間の短い変動パターンが選択され易い移行回数が、モードAの期間よりも多くなり、移行回数で設定される変動時間が短くなる分だけ短縮」されることからみて、「通常遊技状態」である「モードA」に比べて小当り遊技が付与される割合が高くなると解される。
そして、「確変期間の残回数が30回〜1回となると、モードDとなり、モードCよりもさらに長い第2特別図柄の変動時間が選択され易くなり、小当たり後の移行回数はモードCよりも多い回数が選択され易く構成されており、小当たりと小当たりとの期間をより短縮できるように構成され」ているから、上記モードDにおいては、上記モードCと同様に「特別図柄の低確率状態」に比べて小当り遊技が付与される割合が高くなると解される。
よって、引用発明の構成fは、本願発明の構成Fに相当する構成を有している。

7 構成Iについて
引用発明の構成iの「パチンコ機10」は、本願発明の構成Iの「遊技機」に相当する。

以上のとおりであるから、本願発明と引用発明とは、
「A 有利度合いが異なる複数の遊技状態のいずれかに設定され、設定中の遊技状態に応じて遊技の進行制御がなされる遊技機であって、
B 始動条件の成立により、小当たり図柄および大当たり図柄を含む複数種類の図柄のうちのいずれかを決定する図柄決定手段と、
C 前記図柄が決定されると、変動時間および演出表示部にて実行される変動演出の内容が対応付けられた変動情報を決定するための変動情報決定処理を行う変動情報決定手段と、
D 前記変動情報決定手段によって決定された前記変動情報に対応する変動時間が経過すると、前記図柄決定手段によって決定された図柄を図柄表示部に表示する図柄表示手段と、
E 前記図柄表示部に前記小当たり図柄が表示されたことを条件として、遊技領域に設けられた大入賞口が開放される小当たり遊技を付与し、前記図柄表示部に前記大当たり図柄が表示されたことを条件として、前記大入賞口が複数回開放される大当たり遊技を付与する遊技利益付与手段と、
を備え、
F 前記複数の遊技状態には、通常の遊技状態と、前記通常の遊技状態に比べて前記小当たり遊技を相対的に高い割合で付与可能な優位遊技状態とが含まれる、
J 遊技機。」
である点で一致し、以下の点で相違する。

(相違点1)(構成G)
「優位遊技状態」に関し、本願発明では、「前記優位遊技状態は、単位時間あたりに発射される発射球数に対して、払い出される賞球数の方が多くなるように設定された遊技状態であ」るのに対して、引用発明では、「確変期間」における「遊技者の持ち球が減少するのを補填することができ」、「持ち球の消費量を抑制するようにでき」るものの、本願発明のように「単位時間あたりに発射される発射球数に対して、払い出される賞球数の方が多くなる」という構成を備えていない点。

(相違点2)(構成H、構成H1)
「変動情報決定手段」に関し、本願発明では、「一の前記優位遊技状態が設定されてから所定の変動回数となるまでの間は、第1の変動情報決定処理により前記変動情報を決定し、当該一の前記優位遊技状態において前記所定の変動回数となった後は、前記変動演出の内容は共通であるものの、決定される変動時間の平均が前記第1の変動情報決定処理よりも短くなる第2の変動情報決定処理により前記変動情報を決定する」のに対して、引用発明では「確変期間の残り回数が100回〜61回である場合」において、「モードBとして、短時間の変動パターンが選択され易い期間とな」る一方、「確変期間の残りが60回以下」において、「残り期間が100回〜61回までよりも比較的長い変動パターンが選択され易くな」るもの、すなわち確変期間となってから所定変動回数となった後には、変動時間が長くなるものであり、かつ、「確変期間の残り回数が100回〜61回である場合」には「遊技者にくす玉を開ける演出期間であることを報知」する一方、「確変期間の残りが60回以下となると」、「「扉が開いたらチャンス!!」という文字が表示され、その文字の下に扉の絵が表示」されるもの、すなわち確変期間となってから所定変動回数となる前後で、変動演出の内容が共通であるとはいえない点。

第7 判断
事案に鑑み、上記相違点2について検討する。
「第5 対比」の(6)において示したとおり、引用発明の構成fの「大当たりの抽選確率が通常時よりも高くなる高確率遊技状態(確変期間)」が、本願発明の構成Fの「優位遊技状態」に相当するところ、引用発明の構成h1の「確変期間」の残り回数が61回までの間は「モードBとして、短時間の変動パターンが選択され易」くなるようにすること、「確変期間の残りが60回以下」において、「残り期間が100回〜61回までよりも比較的長い変動パターンが選択され易くな」ることは、それぞれ本願発明の構成H1の「一の前記優位遊技状態が設定されてから所定の変動回数となるまでの間は、第1の変動情報決定処理により前記変動情報を決定」すること、「一の前記優位遊技状態において前記所定の変動回数となった後」に「第2の変動情報決定処理により前記変動情報を決定する」ことにそれぞれ相当する。
一方、変動パターンの長さについてみた場合、「確変期間」の残り回数が61回までの間とそれ以後とでは、後者の期間の変動パターンが前者の期間の変動パターンに比べて長くなるから、引用発明は本願発明の構成H1の「決定される変動時間の平均が前記第1の変動情報決定処理よりも短くなる第2の変動情報決定処理により前記変動情報を決定する」という構成を備えていない。
また、後者の期間において「小当り後専用の変動時間の短い変動パターンが選択され易い移行回数」は前者の期間よりも多くなるものの、引用発明の構成fにおける「小当りは、全期間において、第2始動口(第2特別図柄)に基づく抽選に対して、1/10の確率に設定されて」いるという構成からみても、平均の変動時間の長短の関係が変わることになるということもできない。
さらに、確変期間の残り回数が100回〜61回である場合における演出は、「遊技者にくす玉を開ける演出期間であることを報知」する一方、確変期間の残りが60回以下となったときの演出において、「「扉が開いたらチャンス!!」という文字が表示され、その文字の下に扉の絵が表示される」から、「変動演出の内容は共通である」ものでもない。

そして、本願発明は構成H1を備えることにより、「小当たり遊技が通常遊技状態よりも頻繁に実行され遊技球が徐々に増加していく遊技状態(優位遊技状態)に突入してから所定の変動回数(例えば、変動回数が30回となるまで)は変動時間を長くし、所定の変動回数経過後に変動時間を短くすることができるため、射幸性が極端に高くなり過ぎることを防ぐ」、および、「所定の変動回数の前後において変動演出の内容を同じにし、変動時間のみ変化するように構成しているため、遊技者に気付かれることなく純増率を変化させる」という効果を奏するものである。
したがって、本願発明は、引用発明と同一ではなく、また、上記相違点1について検討するまでもなく、当業者であっても引用発明に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。
また、引用発明A、引用文献Bに記載の技術事項、引用文献Cに記載の技術事項を参酌したとしても、当業者であっても引用発明に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

第8 原査定について
1 理由1(特許法第29条第1項第3号)および理由2(特許法第29条第2項
審判請求時の手続補正により、「優位遊技状態に設定されてから所定の変更条件が成立するまでの間」から「一の前記優位遊技状態が設定されてから所定の変動回数となるまでの間」と、「優位遊技状態において前記変更条件が成立した後」から「一の前記優位遊技状態において前記所定の変動回数となった後」と補正され、決定される変動時間の平均を変更する基準として「所定の変動回数」という事項を備えるものとなったことにより、本願発明は、引用発明と同一ではなく、また、当業者であっても引用発明に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。したがって、原査定の理由1および理由2を維持することはできない。

2 理由3(特許法第36条第6項第2号)について
審判請求時の手続補正により、「前記小当たり遊技を相対的に高い割合で付与可能な優位遊技状態が含まれ」という記載は「通常の遊技状態と、前記通常の遊技状態に比べて前記小当たり遊技を相対的に高い割合で付与可能な優位遊技状態とが含まれ」に補正されており、原査定の理由3を維持することはできない。

第9 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2022-03-22 
出願番号 P2016-232696
審決分類 P 1 8・ 121- WY (A63F)
P 1 8・ 537- WY (A63F)
P 1 8・ 113- WY (A63F)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 鉄 豊郎
特許庁審判官 古屋野 浩志
北川 創
発明の名称 遊技機  
代理人 特許業務法人青海特許事務所  

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