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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 A63F |
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管理番号 | 1383174 |
総通号数 | 4 |
発行国 | JP |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2022-04-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2021-08-23 |
確定日 | 2022-03-15 |
事件の表示 | 特願2017−34550号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成30年 9月13日出願公開、特開2018−139696号、請求項の数(1)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯の概要 本願は、平成29年2月27日の特許出願であって、令和2年10月29日付けで拒絶の理由が通知され、同年12月25日に意見書および手続補正書が提出されたところ、令和3年5月26日付け(送達日:同年6月1日)で拒絶査定(以下「原査定」という。)がなされ、それに対して、同年8月23日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされ、同年11月4日付けで前置報告がなされたものである。 第2 原査定の理由の概要 原査定の概要は次のとおりである。 (進歩性)この出願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 記 引用文献1:特開2013−236755号公報 引用文献2:特開2012−213565号公報 第3 審判請求時の補正について 1 新規事項について 審判請求時にされた手続補正(以下「本件補正」という。)は、補正前の請求項1について、 「演出モード選択手段」に関して「遊技者が操作可能な操作手段の操作に基づいて、いずれかの演出モードを決定する」とあったものを「前記演出表示中に、遊技者が操作可能な操作手段の操作に基づいて、いずれかの演出モードに決定する事が可能な」(以下「補正事項イ」という。)と限定されるとともに、 「前記第1表示態様にて表示中に、前記変動表示に対応する演出表示が、前記特定遊技状態となる可能性を示唆する所定の演出を開始すると、選択内容を破棄して前記演出モード選択画面の表示を消去する」(以下「補正事項ロ」という。)という事項が追加されたものである。 そして、補正後の請求項1に係る発明は、補正前の請求項1に係る発明と、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、補正事項イ、ロを含む請求項1についてする補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とする補正に該当する。 また、補正事項イは、当初明細書の【0098】〜【0105】、【図14】、【図15】、および、【図18】の記載に基づくものであり、補正事項ロは、当初明細書の【0126】、【0129】、【図20】の記載に基づくものであり、新規事項を追加するものではないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たす。 2 独立特許要件について 「第4 本願発明」から「第6 対比・判断」までに示すように、補正後の請求項1に係る発明は、独立特許要件を満たすものである。 3 小括 上記1、2より、本件補正は、特許法第17条の2第3項から第6項までの要件に違反しているものとはいえない。 第4 本願発明 本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、令和3年8月23日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された、次のとおりのものである(A〜Gは、本願発明を分説するために当審で付した。)。 「【請求項1】 A 始動条件の成立後、開始条件の成立に基づいて識別情報の変動表示を行い、該変動表示にて特定表示結果が表示されると遊技者にとって有利な特定遊技状態へ移行可能な遊技機であって、 B 前記変動表示に対応する演出表示を備え、 C 該演出表示は複数の演出モードのいずれかに属し、 D 前記演出表示中に、遊技者が操作可能な操作手段の操作に基づいて、いずれかの演出モードに決定する事が可能な演出モード選択手段を備え、 E 該演出モード選択手段は、前記操作手段の所定操作により演出モード選択画面が表示されて前記演出モードの選択が有効になるとともに計時の開始を行い、該計時により所定時間が経過したことを計測すると、選択されている前記演出モードに決定し、 F 前記演出モード選択画面は、 F1 前記操作手段の所定の操作によりモード名が表示されたモード名表示が切り替わる構成で、前記演出モードの選択が有効であるときは前記モード名表示を第1表示態様で表示し、前記計時により所定時間が経過すると前記モード名表示を第2表示態様で表示を行い、 F2 前記第1表示態様にて表示中に、前記変動表示に対応する演出表示が、前記特定遊技状態となる可能性を示唆する所定の演出を開始すると、選択内容を破棄して前記演出モード選択画面の表示を消去する G ことを特徴とする遊技機。」 第5 引用文献、引用発明等 1 引用文献1について (1)引用文献1の記載事項 原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献1であって、本願の出願前に頒布された刊行物である特開2013−236755号公報には、遊技機に関し、図面とともに次の事項が記載されている(下線は当審判合議体にて付した。以下同じ。)。 ア 「【発明を実施するための形態】 【0014】 以下、本発明の実施例について図面を用いて説明する。なお、以下では、特別図柄の変動表示の終了に伴い大当り図柄が停止表示され、これを契機に大当り遊技が開始されるタイプ(いわゆるセブン機タイプ)のパチンコ遊技機(以下、単に遊技機という)に本発明を適用した実施例について説明する。」 イ 「【0041】 第1始動口28aに遊技球が入球することにより、第1特別図柄表示部61で第1特別図柄が変動表示が開始され、所定時間経過後に第1特別図柄が大当り図柄あるいは外れ図柄のいずれかで停止表示される第1特別図柄の図柄変動遊技(第1特別図柄変動遊技)が行われる。また、第2始動口28bに遊技球が入球することにより、第2特別図柄表示部62で第2特別図柄が変動表示を開始し、所定時間経過後に第2特別図柄が大当り図柄あるいは外れ図柄のいずれかで停止表示される第2特別図柄の図柄変動遊技(第2特別図柄変動遊技)が行われる。」 ウ 「【0054】 次に、大当り遊技について説明する。第1特別図柄表示部61または第2特別図柄表示部62で停止表示された特別図柄が前述した大当り図柄であった場合(特別図柄当否判定の結果が大当りだった場合)に、主制御部200は遊技者に相対的に有利な大当り遊技(特別遊技)を開始する。大当り遊技は、大当り遊技フラグをONに設定することで開始するもので、大入賞装置33を作動させる、換言すると大入賞口33aを複数回開閉させることで、大入賞口33aへの遊技球の入球に関して遊技者に利益(賞球)を付与するものである。大当り遊技は、後述の主制御部200による大当り遊技処理が繰り返し実行されることによって実現される。」 エ 「【0060】 本実施例の遊技機1では、第1特別図柄表示部61または第2特別図柄表示部62を用いて行われる特別図柄変動遊技(第1特別図柄変動遊技、第2特別図柄変動遊技)に付随して、演出表示装置25にて図柄変動演出が行われる。図柄変動演出としては、例えば第1特別図柄表示部61での第1特別図柄または第2特別図柄表示部62での第2特別図柄の変動表示に連動して、数字図柄からなる演出図柄を変動表示させる変動表示演出や、演出図柄の変動表示中に行われるリーチ演出などが挙げられる。なお、これらの演出内容は複数種類存在し、演出画像データは演出表示制御部280のROMに記憶されている。 ・・・ 【0066】 本実施例では、確変状態中に特別図柄変動遊技を進行させる際に実行される図柄変動演出の演出モードが複数種類設けられており、これらの中から設定された特定の演出モードにしたがって図柄変動演出が実行される。本実施例では、確変状態中の図柄変動演出の演出モードとして、4種類の演出モードA〜Dが設けられている。これらの演出モードA〜Dは、図柄変動演出の内容(例えば演出図柄の装飾、背景画像、リーチ演出、音声等)がそれぞれ異なっている。本実施例では、演出モードAは「春」を連想させる図柄変動演出が行われる「春モード」として構成され、演出モードBは「夏」を連想させる図柄変動演出が行われる「夏モード」として構成され、演出モードCは「秋」を連想させる図柄変動演出が行われる「秋モード」として構成され、演出モードDは「冬」を連想させる図柄変動演出が行われる「冬モード」として構成されている。 【0067】 本実施例では、確変状態の演出モードの初期値として演出モードA(春モード)が設定されており、確変状態の開始後に他の演出モードB〜Dに遊技者が任意で変更することが可能となっている。なお、確変状態における演出モードA〜Dの変更は、サブ制御部260の制御処理によって行われる。 【0068】 演出モードA〜Dの変更は、確変状態中に遊技者が第2演出ボタン9、左ボタン10、右ボタン11を操作することによって行うことができる。本実施例の遊技機1では、演出モードA〜Dの変更を決定した場合に、実行中の特別図柄変動遊技では演出モードが変更されず、新たに開始される特別図柄変動遊技にて演出モードが変更される。このため、確変状態における最終回(本実施例では100回目)の特別図柄変動遊技の開始後は演出モードA〜D変更することができず、演出モードA〜Dの変更を決定することが可能な演出モード変更可能期間は、確変状態における最終回(本実施例では100回目)の特別図柄変動遊技が開始されるまで(すなわち確変状態における99回目の特別図柄遊技が終了するまで)となっている。本実施例の演出モード変更可能期間には、確変状態の1回目から99回目までの特別図柄変動遊技中および特別図柄変動遊技が実行されていない待機状態中が含まれており、デモ演出中においても演出モードの変更の決定が可能となっている。そして、演出モード変更可能期間は、第2演出ボタン9、左ボタン10、右ボタン11の操作が有効となるボタン操作有効期間となっている。 ・・・ 【0070】 まず、図柄変動画面表示中に演出モードA〜Dを変更する手順を図3(a)〜図3(c)に基づいて説明する。図3(a)は、設定されている演出モードにしたがって図柄変動演出が行われている場合の通常表示である。図3(a)の通常表示では、遊技者に第2演出ボタン9の操作を促すために、モード選択決定部25dに第2演出ボタン9と左ボタン10と右ボタン11の意匠を模した図柄が 表示されている。図3(a)の通常表示中に第2演出ボタン9に対する押下操作(第1の操作)が行われることで、図3(b)のモード選択表示に移行し、演出モードを変更するための候補となる演出モード(以下、「変更候補演出モード」という)を選択することが可能な選択可能状態が発生する。図3(a)の通常表示から図3(b)のモード選択表示に移行した際には、現在設定されている演出モードが変更候補演出モードの初期値として設定される。 ・・・ 【0072】 図3(b)に示すモード選択表示では、モード選択決定部25dに変更候補演出モードを示すモード選択用図柄が表示される。本実施例のモード選択用図柄は、変更候補演出モードに対応する文字画像となっており、演出モードA(春モード)に対応するモード選択用図柄は「春」の文字、演出モードB(夏モード)に対応するモード選択用図柄は「夏」の文字、演出モードC(秋モード)に対応するモード選択用図柄は「秋」の文字、演出モードD(冬モード)に対応するモード選択用図柄は「冬」の文字となっている。 【0073】 図3(b)に示すモード選択表示のモード選択決定部25dでは、モード選択用図柄の左側と右側に矢印図柄が表示されている。そして、モード選択表示中に左ボタン10または右ボタン11に対する押下操作が行われることで、選択候補演出モードが変更され、モード選択決定部25dのモード選択用図柄が切り替わる。図3(b)に示す例では、変更候補演出モードが演出モードAとなっており、この状態で左ボタン10が操作された場合には、変更候補演出モードが「演出モードA(春モード)」→「演出モードB(夏モード)」→「演出モードC(秋モード)」→「演出モードD(冬モード)」の順に切り替わるとともに、モード選択決定部25dのモード選択用図柄が「春」→「夏」→「秋」→「冬」の順に切り替わる。また、図3(b)の状態で右ボタン11が操作された場合には、変更候補演出モードが「演出モードA」→「演出モードD」→「演出モードC」→「演出モードB」の順に切り替わるとともに、モード選択決定部25dのモード選択用図柄が「春」→「冬」→「秋」→「夏」の順に切り替わる。 【0074】 図3(b)のモード選択表示中(選択可能状態中)に第2演出ボタン9に対する押下操作(第2の操作)が行われることで、モード選択決定部25dに示されている変更候補演出モードが変更すべき演出モード(以下、「変更決定演出モード」という)として決定される。そして、変更決定演出モードがサブ制御部260のRAMの所定領域に記憶され、選択可能状態が終了し、図3(c)に示すモード決定表示に移行する。これにより、選択可能状態中に左ボタン10または右ボタン11による選択操作で希望する変更候補演出モードを選択し、第2演出ボタン9による決定操作で変更決定演出モードを決定することができる。」 オ 「【0078】 図3(c)のモード決定表示では、モード選択決定部25dに変更決定演出モードを示すモード決定用図柄が表示される。モード決定用図柄は、図3(b)のモード選択画面で表示されるモード選択用図柄(文字画像)とは異なる種類の図柄となっている。本実施例のモード決定用図柄は、変更決定演出モードに対応する図形画像となっており、演出モードA(春モード)に対応するモード決定用図柄は「桜の図形」、演出モードB(夏モード)に対応するモード決定用図柄は「スイカの図形」、演出モードC(秋モード)に対応するモード決定用図柄は「紅葉の図形」、演出モードD(冬モード)に対応するモード決定用図柄は「雪だるまの図形」となっている。図3(c)に示す例では、モード選択決定部25dのモード決定用図柄として「スイカの図形」が表示されており、演出モードB(夏モード)が変更決定演出モードとして決定されていることを示している。」 カ 「【0157】 また、本実施例では、演出モード変更可能期間に第2演出ボタン9の1回目の操作を行うことで、選択可能状態を発生させ、その後に第2演出ボタン9の2回目の操作を行うことで、遊技者が希望する演出モードへの変更を決定することができる。これにより、演出モード変更可能期間に第2演出ボタン9を1回操作しただけでは演出モードの変更は行われず、不用意に演出モードが変更されてしまうことを防止できる。」 (2)引用発明 上記(1)の記載事項を総合すると、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている(分説a〜gは、本願発明の分説A〜Gに概ね対応させて付与した。)。 「a 第1始動口28aに遊技球が入球することにより、第1特別図柄表示部61を用いた特別図柄変動遊技が行われ、 第2始動口28bに遊技球が入球することにより、第2特別図柄表示部62を用いた特別図柄変動遊技が行われ、 第1特別図柄表示部61または第2特別図柄表示部62で停止表示された特別図柄が大当り図柄であった場合に、遊技者に相対的に有利な大当り遊技を開始する パチンコ遊技機であって(【0014】、【0041】、【0054】、【0060】)、 b 第1特別図柄表示部61または第2特別図柄表示部62を用いて行われる特別図柄変動遊技に付随して、演出表示装置25にて図柄変動演出が行われ(【0060】)、 c 確変状態中の図柄変動演出の演出モードとして、4種類の演出モードA〜Dが設けられており(【0066】)、 d、e 演出モード変更可能期間には、確変状態の1回目から99回目までの特別図柄変動遊技中および待機状態中が含まれており、 演出モードA〜Dの変更を決定することが可能な演出モード変更可能期間を備え(【0068】)、 演出モード変更可能期間は、第2演出ボタン9、左ボタン10、右ボタン11の操作が有効となるボタン操作有効期間となっており(【0068】)、 サブ制御部260は、 演出モード変更可能期間に第2演出ボタン9の1回目の操作を行うことで、モード選択表示に移行させ、演出モードを変更するための候補となる演出モード(以下、「変更候補演出モード」という)を選択することが可能な選択可能状態を発生させ、 モード選択表示中に左ボタン10または右ボタン11に対する押下操作が行われることで、選択候補演出モードが変更されて、モード選択決定部25dのモード選択用図柄が切り替わり、 演出モード変更可能期間に、第2演出ボタン9の2回目の操作を行うことで、モード選択決定部25dに示されている変更候補演出モードを変更すべき演出モードとして決定し(【0067】、【0070】、【0073】、【0074】、【0157】)、 f、f1 サブ制御部260は、 モード選択表示で、モード選択決定部25dに変更候補演出モードを示す、文字画像となっているモード選択用図柄を表示するとともに、 第2演出ボタン9に対する押下操作(第2の操作)が行われることで、モード選択決定部25dに示されている変更候補演出モードが変更すべき演出モードとして決定されることに伴い、モード選択決定部25dにモード選択画面で表示されるモード選択用図柄(文字画像)とは異なる種類の図柄となっているモード決定用図柄を表示する(【0067】、【0072】、【0074】、【0078】)、 g パチンコ遊技機(【0014】)。」 2 引用文献2の記載事項、引用文献2に記載された技術事項 (1)引用文献2の記載事項 同じく、原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献2であって、本願の出願前に頒布された刊行物である特開2012−213565号公報には、遊技機に関し、図面とともに次の事項が記載されている(下線は当審判合議体にて付した。以下同じ。)。 ア 「【0012】 以下、本発明をその一種であるパチンコ遊技機に具体化した一実施形態を図1〜図9に従って説明する。・・・」 イ 「【0101】 具体的に説明すると、モード選択デモ演出の開始時には、図6(c)に示すように、2種類の演出モードに対応する選択画像が重なり合い、かつ待機状態が生起される直前に設定されていた演出モードに対応する選択画像が遊技者に視認できる状態となっている画像が表示される。例えば、待機状態が生起される直前に設定されていた演出モードがコミカルモードM1Aである場合、図6(c)に示すように、クールモードM1Bに対応する選択画像X2がコミカルモードM1Aに対応する選択画像X1によって隠された画像が表示される。同時に、演出表示装置11には、遊技者にボタン操作を促す「好きなモードを選んでね」のメッセージ及び操作ボタンBTを模した操作画像が表示される。」 ウ 「【0126】 次に、統括制御用CPU31aは、第1操作有効期間内に操作信号を入力したか否かを判定する。第1操作有効期間内に操作信号を入力していた場合、統括制御用CPU31aは、モード選択デモ演出の実行タイミング(1回目の客待ちデモ演出では、待機デモ演出を開始してから20秒後)に到達していなくても、モード選択デモ演出を開始させることを決定する。これにより、統括制御用CPU31aは、第1操作有効期間を終了させた後、モード選択デモ演出の実行を指示するモード選択デモ指定コマンドを送信バッファにセットする(図7(b)参照)。また、統括制御用CPU31aは、第1操作有効期間の終了に伴って操作ボタンBTに内蔵された発光体を消灯させる。操作ボタンBTが消灯することで、第1操作有効期間が終了したことが遊技者に報知される。その後、統括制御用CPU31aは、モード選択デモ設定処理を実行することになる。 ・・・ 【0128】 したがって、図7(a)に示すように、1回目の客待ちデモ演出では、遊技者によるボタン操作を必要とせずに、自動的に待機デモ演出からモード選択デモ演出に切り替わる。一方、モード選択演出の実行タイミングに到達する前にボタン操作が行われた場合、モード選択デモ演出の実行タイミングに到達していなくても、モード選択デモ演出が前倒しで開始される(図7(b))。すなわち、既にモード選択機能が搭載されていることを知っている遊技者にとっては、モード選択デモ演出が実行されなくても問題がないため、そのような遊技者に対しては、いち早く演出モードを選択させることができるように、モード選択デモ演出を前倒しで開始可能としている。 【0129】 次に、モード選択デモ演出を実行させるためのモード選択デモ設定処理について図7に従って説明する。 まず、統括制御用CPU31aは、操作ボタンBTの操作を有効として判定するための第2操作有効期間(本実施形態では、6.3秒)を設定する。第2操作有効期間は、モード選択デモ演出において、選択画像X1と選択画像X2を変更するためのボタン操作を有効として判定するための期間である。この第2操作有効期間は、第2操作有効期間を設定してからモード選択デモ設定処理を実行する度に一制御周期に相当する時間分だけ更新することで計時される。また、統括制御用CPU31aは、第2操作有効期間の開始に伴って操作ボタンBTに内蔵された発光体を点灯させる。操作ボタンBTが点灯することで、第2操作有効期間が設定されていることが遊技者に報知される。 ・・・ 【0131】 一方、操作信号を入力した場合、統括制御用CPU31aは、第2操作有効期間が残っているか否かを判定する。第2操作有効期間が残っている場合、統括制御用CPU31aは、選択画像Xの変更を指示する変更指示コマンドを送信バッファにセットする。例えば、待機状態が生起される直前に設定されていた演出モードがコミカルモードM1Aであった場合、第2操作有効期間内に操作ボタンBTが1回操作されたときには、視認できる選択画像として選択画像X1から選択画像X2への変更を指示する変更指示コマンドが送信バッファにセットされる(図6(e)参照)。以降、第2操作有効期間内に操作ボタンBTが操作されなかったのであれば、クールモードM1Bが設定されることになる。その一方で、第2操作有効期間内に、再度、操作ボタンBTが1回操作されたときには、視認できる選択画像として選択画像X2から選択画像X1への変更を指示する変更指示コマンドが送信バッファにセットされる(図6(d)参照)。その後、統括制御用CPU31aは、モード選択デモ設定処理を終了する。」 (2)引用文献2に記載された技術事項 上記(1)の引用文献2の記載事項を総合すると、引用文献2には、次の技術事項(以下「引用文献2に記載された技術事項」という。)が記載されている。 「モード選択デモ演出の開始時には、2種類の演出モードに対応する選択画像X1、X2が重なり合い、かつ待機状態が生起される直前に設定されていた演出モードに対応する選択画像が遊技者に視認できる状態となっている画像が表示され、 選択画像X1は、コミカルモードM1Aに対応し、選択画像X2は、クールモードM1Bに対応し(【0101】)、 統括制御用CPU31aは、 モード選択演出の実行タイミングに到達する前にボタン操作が行われた場合、モード選択デモ演出の実行タイミングに到達していなくても、選択画像を視認できるモード選択デモ演出を前倒しで開始し(【0126】、【0128】、【0131】)、 モード選択デモ演出を実行させるためのモード選択デモ設定処理において、統括制御用CPU31aは、操作ボタンBTの操作を有効として判定するための第2操作有効期間を設定し、この第2操作有効期間は、一制御周期に相当する時間分だけ更新することで計時され(【0129】)、 待機状態が生起される直前に設定されていた演出モードがコミカルモードM1Aであった場合、第2操作有効期間内に操作ボタンBTが1回操作されたときには、視認できる選択画像として選択画像X1から選択画像X2への変更を指示する変更指示コマンドを送信バッファにセットし、 以降、第2操作有効期間内に操作ボタンBTが操作されなかったのであれば、クールモードM1Bを設定する(【0131】) パチンコ遊技機(【0012】)。」 3 その他の文献について また、前置報告書において技術事項を示す文献として引用された引用文献3(特開2017−80045号公報)には、 「【0011】 (遊技機の構成) まず、図1乃至図5を参照して遊技機1の構成について具体的に説明する。図1は、本発明の実施形態における遊技機1の正面図である。図2は、本発明の実施形態におけるガラス枠を開放させた状態の遊技機1の斜視図である。図3は、本発明の実施形態における遊技盤の裏面側に設けられる入賞球流路の一例を示す図である。図4は、本発明の実施形態における第1画像表示装置70(メイン液晶)及び第2画像表示装置71(サブ液晶)の表示領域に表示される画像の一例を示す図である。図5は、本発明の実施形態における遊技機1の裏面側の斜視図である。」こと、及び、 「【2278】 この状態で演出制御部130mが特別図柄の変動開始コマンド(演出図柄指定コマンド、変動パターン指定コマンド等)を受信すると、変動演出が開始すると共に音声出力装置9からBGMが出力され、図170(b)に示すように、メニューの表示案内画像MAGと、調整の案内画像OKGが消去され、演出図柄70aの変動表示(上下方向のスクロール)が開始される。 【2279】 この状態で十字キー19の右ボタンが操作されると、音声出力装置9から操作音が出力されずに音量調整が可能な状態となり、図170(c)に示すように、変動中の演出図柄70aと重畳するように音量調整用の設定値の報知画像SHG(現在の音量値「7」や輝度値「2」及び音量調整が可能であることを示す調整画面)が表示される。 【2280】 この状態で所定時間(1.5秒未満)が経過すると、図170(d)に示すように、左右の演出図柄70aが同一の図柄で仮停止してノーマルリーチ演出が開始され、音声出力装置9からリーチ状態の発生に対するSE(サウンドエフェクト)が出力され、音量調整用の設定値の報知画像SHGの表示が継続される。 【2281】 この状態でノーマルリーチ演出が終了してSPリーチ演出及び特定操作演出の実行期間が開始されると、音量調整及び輝度調整が不能な状態となり、図170(e)に示すように、音量調整用の設定値の報知画像が消去されると共に、SPリーチ演出の種類を示すタイトル画像(「キャラ選択リーチ」)が表示され、演出図柄70aが縮小サイズとなって画面左上部に移動する。」ことが記載されている。 第6 対比・判断 1 対比 本願発明と引用発明とを分説に従い対比する。 (a、g) 引用発明の「第1始動口28aに遊技球が入球すること」及び「第2始動口28bに遊技球が入球すること」は、本願発明の「始動条件の成立」することに相当する。 そして、引用発明の「特別図柄変動遊技」は、本願発明の「識別情報の変動表示」に相当することから、引用発明の「第1始動口28aに遊技球が入球することにより、第1特別図柄表示部61を用いた特別図柄変動遊技が行われ」ること、及び、「第2始動口28bに遊技球が入球することにより、第2特別図柄表示部62を用いた特別図柄変動遊技が行われ」ることは、本願発明の「開始条件の成立に基づいて識別情報の変動表示を行」うことに相当する。 また、引用発明の「第1特別図柄表示部61または第2特別図柄表示部62で停止表示された特別図柄が大当り図柄であった場合に、遊技者に相対的に有利な大当り遊技を開始する」ことは、本願発明の「変動表示にて特定表示結果が表示されると遊技者にとって有利な特定遊技状態へ移行可能な」ことに相当する。 さらに、引用発明の「パチンコ遊技機」は、本願発明の「遊技機」に相当する。 したがって、引用発明の構成a、gは、本願発明の構成A、Gに相当する。 (b) 上記(a)より、引用発明の「特別図柄変動遊技に付随」することは、本願発明の「変動表示に対応する」ことに相当する。 引用発明の「演出表示装置25にて」「行われ」る「図柄変動演出」は、本願発明の「演出表示」に相当する。 したがって、引用発明の構成bは、本願発明の構成Bに相当する。 (c) 引用発明の「4種類の演出モードA〜D」は、本願発明の「複数の演出モード」に相当する。 したがって、引用発明の構成cの「図柄変動演出の演出モードとして、4種類の演出モードA〜Dが設けられて」いることは、本願発明の構成Cの「演出表示は複数の演出モードのいずれかに属」することに相当する。 (d) 引用発明の「特別図柄変動遊技中」は、構成bより、「特別図柄変動遊技に付随して、演出表示装置25にて図柄変動演出が行われ」ることから、「図柄変動演出」中であるといえ、本願発明の「演出表示中」に相当する。 そして、引用発明の「第2演出ボタン9の1回目の操作を行うこと」、「左ボタン10または右ボタン11に対する押下操作が行われること」、及び、「第2演出ボタン9の2回目の操作を行うこと」は、本願発明の「遊技者」の「操作可能な操作手段の操作に基づ」くことに相当する。 また、引用発明の「モード選択決定部25dに示されている変更候補演出モードを変更すべき演出モードとして決定」することは、本願発明の「いずれかの演出モードに決定する事が可能な」ことに相当する。 さらに、引用発明の「サブ制御部260」は、「演出モードを変更するための候補となる演出モードを選択する」ことが可能であるから、本願発明の「演出モード選択手段」としての機能を有する。 したがって、引用発明の構成d、eは、本願発明の構成Dに相当する。 (e) 引用発明の「第2演出ボタン9の1回目の操作を行うこと」は、本願発明の「操作手段の所定操作によ」ることに相当する。 そして、引用発明の「モード選択表示に移行させ」ることは、本願発明の「演出モード選択画面が表示され」ることに相当する。 また、引用発明の「演出モードを変更するための候補となる演出モードを選択することが可能な選択可能状態を発生させ」ることは、本願発明の「演出モードの選択が有効になる」ことに相当する。 そして、引用発明の「第2演出ボタン9の2回目の操作を行うことで、モード選択決定部25dに示されている変更候補演出モードを変更すべき演出モードとして決定」することと、本願発明の「計時の開始を行い、該計時により所定時間が経過したことを計測すると、選択されている演出モードに決定」することとは、条件の成立に伴い「選択されている演出モードに決定」することで共通する。 したがって、引用発明の構成d、eと本願発明の構成Eとは、「演出モード選択手段は、操作手段の所定操作により演出モード選択画面が表示されて演出モードの選択が有効になるとともに」、条件の成立に伴い「選択されている演出モードに決定」することで共通する。 (f、f1) 引用発明の「モード選択用図柄」は、本願発明の「モード名」に相当することから、引用発明の「モード選択用図柄」の「表示」は、本願発明の「モード名が表示されたモード名表示」に相当する。 また、引用発明の「モード選択用図柄」は、「文字画像」の「図柄」から「文字画像とは異なる種類の図柄」である「モード選択用図柄」へと変更されることから、本願発明の「切り替わる構成」を備えるものである。 そして、引用発明の「モード選択表示」は、構成d、eより、「演出モードを変更するための候補となる演出モードを選択することが可能な選択可能状態を発生させ」ることから、本願発明の「演出モードの選択が有効であるとき」に相当する。 さらに、引用発明の「モード選択決定部25dに変更候補演出モードを示す、文字画像となっているモード選択用図柄を表示する」ことは、本願発明の「モード名表示を第1表示態様で表示」を行うことに相当する。 ここで、引用発明の「モード選択決定部25dにモード選択画面で表示されるモード選択用図柄(文字画像)とは異なる種類の図柄となっているモード決定用図柄を表示する」ことは、本願発明の「モード名表示を第2表示態様で表示を行」うことに相当する。 そうすると、引用発明の「第2演出ボタン9に対する押下操作(第2の操作)が行われることで、モード選択決定部25dに示されている変更候補演出モードが変更すべき演出モードとして決定されることに伴い、モード選択決定部25dにモード選択画面で表示されるモード選択用図柄(文字画像)とは異なる種類の図柄となっているモード決定用図柄を表示する」ことと、本願発明の「計時により所定時間が経過すると前記モード名表示を第2表示態様で表示を行」うこととは、条件の成立に伴い「モード名表示を第2表示態様で表示を行う」ことで共通する。 したがって、引用発明の構成f、f1と本願発明の構成F、F1とは、「演出モード選択画面は、操作手段の所定の操作によりモード名が表示されたモード名表示が切り替わる構成で、演出モードの選択が有効であるときはモード名表示を第1表示態様で表示し」、条件の成立に伴い「モード名表示を第2表示態様で表示を行」うことで共通する。 上記(a)から(g)を踏まえると、本願発明と引用発明とは、 「A 始動条件の成立後、開始条件の成立に基づいて識別情報の変動表示を行い、該変動表示にて特定表示結果が表示されると遊技者にとって有利な特定遊技状態へ移行可能な遊技機であって、 B 前記変動表示に対応する演出表示を備え、 C 該演出表示は複数の演出モードのいずれかに属し、 D 前記演出表示中に、遊技者が操作可能な操作手段の操作に基づいて、いずれかの演出モードに決定する事が可能な演出モード選択手段を備え、 E´該演出モード選択手段は、前記操作手段の所定操作により演出モード選択画面が表示されて前記演出モードの選択が有効になるとともに条件の成立に伴い選択されている前記演出モードに決定し、 F 前記演出モード選択画面は、 F1´前記操作手段の所定の操作によりモード名が表示されたモード名表示が切り替わる構成で、前記演出モードの選択が有効であるときは前記モード名表示を第1表示態様で表示し、条件の成立に伴い前記モード名表示を第2表示態様で表示を行う G 遊技機。」 の点で一致し、次の点で相違する。 [相違点1](構成E) 「操作手段の所定操作により演出モード選択画面が表示されて演出モードの選択が有効になる」「演出モード選択手段」による「演出モード」の決定に関して、 本願発明は、「演出モードの選択が有効になるとともに計時の開始を行い、該計時により所定時間が経過したことを計測すると、選択されている前記演出モードに決定」するのに対して、 引用発明は、「演出モード変更可能期間に第2演出ボタン9の1回目の操作を行うことで、モード選択表示に移行させ」るが、「演出モード」を「演出モード変更可能期間に、第2演出ボタン9の2回目の操作を行うこと」で「決定」する点。 [相違点2](構成F、F1) 「モード名表示」の「切り替」え条件に関して、 本願発明は、「計時により所定時間が経過する」ことであるのに対して、 引用発明は、「第2演出ボタン9に対する押下操作(第2の操作)が行われること」である点。 [相違点3](構成F、F2) 「演出モード選択画面」に関して、 本願発明は、「第1表示態様にて表示中に、変動表示に対応する演出表示が、特定遊技状態となる可能性を示唆する所定の演出を開始すると、選択内容を破棄して演出モード選択画面の表示を消去する」のに対して、 引用発明は、そのような構成を備えない点。 2 判断 (1)相違点1について(構成E) 引用文献2に記載された技術事項と本願発明の構成Eとを対比する。 引用文献2に記載された技術事項の「モード選択演出の実行タイミングに到達する前にボタン操作が行われ」ることは、本願発明の「操作手段の所定操作によ」ることに相当する。 そして、引用文献2に記載された技術事項の「選択画像を視認できるモード選択デモ演出を前倒しで開始」することは、本願発明の「演出モード選択画面が表示され」ることに相当する。 また、引用文献2に記載された技術事項の「操作ボタンBTの操作を有効として判定するための第2操作有効期間を設定し、この第2操作有効期間は、一制御周期に相当する時間分だけ更新することで計時され」ることは、本願発明の「演出モードの選択が有効になるとともに計時の開始を行」うことに相当する。 また、引用文献2に記載された技術事項の「第2操作有効期間内に操作ボタンBTが操作されなかった」場合は、本願発明の「計時の開始を行い、該計時により所定時間が経過したことを計測する」場合に相当する。 さらに、引用文献2に記載された技術事項の「待機状態が生起される直前に設定されていた演出モードがコミカルモードM1Aであった場合、第2操作有効期間内に操作ボタンBTが1回操作されたときには、視認できる選択画像として選択画像X1から選択画像X2への変更を指示する変更指示コマンドを送信バッファにセットし」、「クールモードM1Bを設定する」ことは、「選択画像X1は、コミカルモードM1Aに対応し、選択画像X2は、クールモードM1Bに対応」することからみて、本願発明の「選択されている演出モードに決定」することに相当する。 したがって、引用文献2に記載された発明は、上記相違点1に係る本願発明の構成Eを備えている。 一方、引用発明は、「演出モードを変更するための候補となる演出モードを選択することが可能な選択可能状態」が「発生」すると、「モード選択表示中に左ボタン10または右ボタン11に対する押下操作が行われることで、選択候補演出モードが変更されて、モード選択決定部25dのモード選択用図柄が切り替わ」るものである。 そして、引用発明と引用文献2に記載された技術事項とは、パチンコ遊技機において、演出モードを変更するという共通の機能を有するものである。 よって、引用発明の「モード選択」に引用文献2に記載された技術事項の「モード選択」を適用して、演出モード決定の条件を「第2演出ボタン9の2回目の操作を行うこと」に替えて、「演出モードの選択が有効になるとともに計時の開始を行い、該計時により所定時間が経過したことを計測する」こととし、「計時の開始を行い、該計時により所定時間が経過したことを計測する」と、選択されている「演出モード」が(A〜Dのいずれか)分かる状態で、「モード選択用図柄」の表示から「モード決定用図柄」の表示へと切り替え、上記相違点1に係る本願発明の構成とすることは当業者が容易になし得たものである。 (2)相違点2について(構成F、F1) 本願発明において、「計時により所定時間が経過すると」(構成F1)、構成Eにより特定されているように「選択されている演出モードに決定」されるものであるから、本願発明は、「計時により所定時間が経過すると」、「選択されている演出モードに決定」され、かつ、「モード名表示を第2表示態様で表示を行」うものである。 そうすると、上記(1)における検討内容と同様に、引用発明に引用文献2に記載された技術事項を適用し、演出モード決定の条件を「第2演出ボタン9の2回目の操作を行うこと」に替えて、「演出モードの選択が有効になるとともに計時の開始を行い、該計時により所定時間が経過したことを計測する」ことで、「モード決定用図柄」の「表示」を行い、上記相違点2にかかる本願発明の構成とすることは当業者が容易になし得たものである。 (3)相違点3について(構成F、F2) 引用発明及び引用文献2に記載された技術事項は、本願発明の構成F、F2の「演出モード選択画面は、」「第1表示態様にて表示中に、変動表示に対応する演出表示が、特定遊技状態となる可能性を示唆する所定の演出を開始すると、選択内容を破棄して演出モード選択画面の表示を消去する」という構成を備えるものではない。 そして、前置報告書において引用された引用文献3(特開2017−80045号公報)には、「音量調整」、「輝度調整」の「調整画面」に関する技術事項は記載されているが、モード変更に関する技術事項について記載されていない。 また、引用文献3には、「音量調整が可能な状態」で「ノーマルリーチ演出が終了してSPリーチ演出及び特定操作演出の実行期間が開始されると、音量調整及び輝度調整が不能な状態となり、」「音量調整用の設定値の報知画像が消去される」ことは記載されているが、「音量調整及び輝度調整が不能な状態とな」った場合、それまでの調整内容を破棄することについて記載も示唆もされていない。 そして、本願発明は、構成F、F2のうち「演出モード選択画面は、」「第1表示態様にて表示中に、変動表示に対応する演出表示が、特定遊技状態となる可能性を示唆する所定の演出を開始すると、」「演出モード選択画面の表示を消去する」という構成を備えることで、本願明細書の【0129】に記載された「所定の演出の邪魔にならないようにすることができ、遊技者に大当りとなる可能性が高いことを示唆する所定の演出を楽しませることができる。」という効果を奏するとともに、「特定遊技状態となる可能性を示唆する所定の演出を開始すると、選択内容を破棄」するという構成を備えることで、審判請求書において主張する「本願発明が、当該変動表示の終了に続いて特定遊技状態に移行する可能性を有するので、その場合には、選択内容が破棄されることから、選択内容を長期に亘って保持するための記憶手段を無駄に備える必要がなくなり、制御処理の負担を軽減することができます。」(「(三)本願発明が特許されるべき理由、(D)独立特許要件について、(3)本願発明の構成および特段の効果」を参照。)という効果を奏するものである。 したがって、引用発明、引用文献2に記載された技術事項、及び、引用文献3に記載された技術事項に基づいて、本願発明の構成F、F2に到達することは、当業者が容易になし得たものとはいえない。 (4)小括 上記(1)〜(3)より、本願発明は、当業者であっても引用発明、引用文献2に記載された技術事項、及び、引用文献3の記載事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。 第7 原査定について 1 (進歩性)について 審判請求時の補正により、本願発明は、構成F2を有するものとなっており、当業者であっても、拒絶査定において引用された引用文献1、2に基づいて、容易に発明できたものとはいえない。 したがって、原査定の理由を維持することはできない。 第8 むすび 以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2022-02-22 |
出願番号 | P2017-034550 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WY
(A63F)
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最終処分 | 01 成立 |
特許庁審判長 |
瀬津 太朗 |
特許庁審判官 |
▲高▼木 尚哉 長崎 洋一 |
発明の名称 | 遊技機 |