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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G01B
管理番号 1383590
総通号数
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2022-05-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-10-07 
確定日 2022-04-07 
事件の表示 特願2015−160211「多数カメラによる高速度計測方法および装置」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 2月16日出願公開、特開2017− 37053〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成27年8月14日の特許出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
平成31年 2月21日付け:拒絶理由通知書
平成31年 4月26日 :意見書、手続補正書の提出
令和 元年 9月 6日付け:拒絶理由通知書(最後)
令和 元年11月18日 :意見書、手続補正書の提出
令和 2年 2月19日付け:拒絶理由通知書
令和 2年 5月 7日 :意見書、手続補正書の提出
令和 2年 6月17日付け:拒絶査定
(同年7月7日送達、以下「原査定」という。)
令和 2年10月 7日 :審判請求書の提出
令和 3年 8月19日付け:拒絶理由通知書
令和 3年10月25日 :意見書、手続補正書の提出


第2 本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、令和3年10月25日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された次の事項により特定されるとおりのものと認める。

「 【請求項1】
高速度計測装置であって、
2以上の異なる位置にそれぞれ1台配置され、ピッチが既知の2次元格子パターンが表面に設置された測定対象物を異なる方向からそれぞれ撮影可能な、2台以上のカメラと、制御部と、解析部と、結果出力部とを備え、
前記2台以上のカメラは、前記測定対象物の表面に設置された前記2次元格子パターンを撮影し、
前記制御部は、前記各カメラに対し、所定の時間だけずらしたトリガ信号を順に送り、
前記各カメラは前記トリガ信号が送られた時間に応じて、前記測定対象物の表面に設置された前記2次元格子パターンを撮影し、
前記解析部は、前記撮影された前記2次元格子パターンの位相解析を行い、前記2台以上のカメラに共通の前記測定対象物の表面に固定された同一の座標系として、前記計測対象物の表面に設置された前記2次元格子パターンによって得られる位置、変位、ひずみ、角度の物理量の少なくとも1つを算出し、
前記結果出力部は、前記解析部が算出した、前記測定対象物の位置、変位、ひずみ、角度の物理量の少なくとも1つを、前記同一の座標系の座標値として、前記所定の時間ごとに出力する、
高速度計測装置。」


第3 当審拒絶理由の概要
令和3年8月19日付けで当審において通知した拒絶理由(以下「当審拒絶理由」という。)のうち、請求項1に対する理由2の概要は、次のとおりである。

理由2(進歩性) 本願の令和2年5月7日付け手続補正により補正された請求項1に係る発明は、下記の引用文献に記載された発明に基づいて、本願の出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。



・引用文献2:特開2014−130084号公報
・引用文献3:特開2008−89357号公報


第4 当審の判断
1 引用文献に記載された発明の認定等
(1) 引用文献2に記載された事項と引用発明の認定
ア 引用文献2に記載された事項
当審拒絶理由に引用され、本願の出願前に発行された特開2014−130084号公報(以下「引用文献2」という。)には、以下の事項が記載されている。下線は当審が付したもので、以下同様である。

「【0010】
[タイヤ解析システム]
図1は、この発明の実施の形態にかかるタイヤ解析システムを示す構成図である。図2は、図1に記載したタイヤ解析システムのタイヤ解析装置の機能を示すブロック図である。これらの図において、図1は、タイヤ解析システムの全体構成を模式的に示し、図2は、タイヤ解析装置の主たる機能を示している。
【0011】
このタイヤ解析システム1は、所定条件を入力したときのタイヤ中心軸にかかる変位、タイヤ形状の変化、タイヤ表面歪みの変化等を測定することにより、タイヤの挙動解析(例えば、振動計測)を行うシステムに適用される。タイヤ解析システム1は、タイヤ試験機2と、撮像装置3と、タイヤ解析装置4とを備える(図1参照)。
タイヤ試験機2は、試験タイヤに試験条件を付与する装置であり、例えば、ドラム式タイヤ試験機、ベルト式タイヤ試験機などにより構成される。図1の構成では、タイヤ試験機2が、ドラム式タイヤ試験機であり、支持装置21と、駆動装置22とを有する。支持装置21は、試験タイヤ10を回転可能に支持する装置であり、試験タイヤ10を装着するリム211を有する。駆動装置22は、試験タイヤ10に駆動力を付与する装置であり、回転ドラム221と、回転ドラム221を駆動するモータ222と、モータ222を駆動制御するモータ制御装置223とから構成される。
【0013】
このタイヤ試験機2では、支持装置21が、試験タイヤ10をリム211に装着して支持し、試験タイヤ10を駆動装置22の回転ドラム221に押圧して試験タイヤ10に荷重を付与する。また、支持装置21が、リム211を変位させて試験タイヤ10と回転ドラム221との位置関係を調整することにより、試験タイヤ10にスリップ角やアングル角を付与する。また、駆動装置22が、モータ制御装置223によりモータ222を駆動して回転ドラム221を回転させることにより、試験タイヤ10に回転速度を付与する。これにより、車両走行時におけるタイヤの転動状態が、回転ドラム221の周面を路面として再現される。また、支持装置21および駆動装置22が、上記の荷重、回転速度、スリップ角、アングル角などを調整することにより、試験条件を変更できる。
【0014】
撮像装置3は、一対のカメラ31、31と、一対の照明用ランプ32、32とを有する。カメラ31は、試験タイヤ10を撮像する手段であり、例えば、CCD(Charge Coupled Device)カメラにより構成される。カメラ31は、例えば、高速度カメラである。また、一対のカメラ31、31が、試験タイヤ10を相互に異なる方向から撮像できる位置に配置される。これらのカメラ31、31は、試験タイヤ10を左右方向から同時に撮像して、タイヤ画像(試験タイヤ10のデジタル画像データ)を生成する。照明用ランプ32は、カメラ31の撮像範囲を照らすランプであり、例えば、ハロゲンランプにより構成される。これらの照明用ランプ32は、常時点灯タイプであっても良いし、フラッシュ点灯タイプであっても良い。
【0015】
タイヤ解析装置4は、例えば、所定の解析プログラムをインストールしたPC(personal computer)であり、撮像装置3からのタイヤ画像を画像処理してタイヤ解析処理を行う(図2参照)。このタイヤ解析装置4は、空間座標算出部41と、バラツキ検出部42と、解析部43と、補正部44とを備える。空間座標算出部41は、タイヤ画像を用いて形状解析を行うことにより、試験タイヤ10に円状に付される解析用格子面(格子パターン)Sの空間座標を算出する。バラツキ検出部42は、算出された空間座標に基づいて、解析用格子面Sの配置のバラツキを検出する。解析部43は、所定のタイヤ解析処理を行う。補正部44とは、解析部43による解析の精度を向上させるために、バラツキ検出部42によって検出されたバラツキに基づいて、解析用格子面Sの配置を補正する。
【0016】
[タイヤ解析方法]
従来より、タイヤ転動時におけるタイヤ形状を解析するための手法として、サンプリングモアレ法が知られている。
【0017】
サンプリングモアレ法は、デジタル画像からモアレ縞を生成して撮像対象の三次元形状を算出する数学的手法である。このサンプリングモアレ法は、高精度な形状解析を行い得るメリットを有する。
【0018】
タイヤ解析システム1は、サンプリングモアレ法を用いた形状解析を利用して、試験タイヤ10の振動(タイヤ中心軸に対する変位)を解析する。具体的には、図1に示すように試験タイヤ10のタイヤ周上に複数の解析用格子面S(S#1〜S#n)が円状に付される。このような試験タイヤ10を回転させながら撮影された画像に、サンプリングモアレ法を用いた形状解析を適用することにより、タイヤ転動時における解析用格子面Sの空間座標が算出される。こうして算出された空間座標を比較することにより、試験タイヤ10の振動を解析することができる。
【0019】
ただし、人間の貼り位置精度には限度があるため、試験タイヤ10に付される解析用格子面Sの配置にバラツキが生じることがある。図3は、解析用格子面Sの配置のバラツキの例を示す図である。図3は、解析用格子面S#1が所定位置にあるときのタイヤ画像における解析用格子面S#1の像と、解析用格子面S#2が所定位置にあるときのタイヤ画像における解析用格子面S#2の像とを並べて図示している。
【0020】
解析用格子面Sは、ほぼ同一形状のマークが周期性をもって配置されるシートである。解析用格子面Sには、縦方向および横方向に、それぞれ、少なくとも2個のマークが配置される。例えば、解析用格子面Sは、2.5[mm]間隔でマトリクス状に配列された複数の円形のマークを有する。マークの形状、サイズ、および間隔は、図3の例に限定されない。解析用格子面Sは、それぞれの解析用格子面Sの中心と試験タイヤ10とを結ぶ直線とマークの配置方向の一方とが平行になるように、ほぼ等間隔に、試験タイヤ10に付される。
【0021】
図3に示す例では、解析用格子面S#1の格子の中心C1と、解析用格子面S#2の格子の中心C2とには、Y方向ズレ(半径方向のズレ)が生じている。配置のバラツキは、Y方向だけでなく、X方向(周方向)やZ軸方向(幅方向)に生じることもある。配置のバラツキは、傾きの成分を含むこともある。このような配置のバラツキは、算出された空間座標の比較に影響を与え、比較に基づく解析の精度を低下させる。
【0022】
解析用格子面Sを試験タイヤ10のタイヤ周上に付すために、解析用格子面Sが、リム211、またはリム211の端部に取り付けられた環状盤212という変形が比較的小さい部分に固定されることがある。この場合、解析用格子面Sを試験タイヤ10のゴム部分に固定した場合と比較して、試験タイヤ10を回転させた場合におけるタイヤ中心軸に対する解析用格子面Sの変位は比較的小さい。このような小さな変位に基づいて精度の高い解析を行うには、解析用格子面Sの配置のバラツキの影響をできるだけ排除することが非常に重要である。
【0023】
そこで、タイヤ解析システム1は、解析用格子面Sの配置のバラツキを検出し、検出したバラツキに基づいて、算出される空間座標を補正する。
【0024】
図4は、タイヤ解析システム1による解析方法を示すフローチャートである。図5は、タイヤ解析システム1による解析方法によって得られる値の例を示す図である。
【0025】
ステップST1では、タイヤ試験機2が、タイヤ周上に複数の解析用格子面Sが付された試験タイヤ10を、荷重を負荷しない状態で回転させる。荷重を負荷せずに試験タイヤ10を回転させれば、試験タイヤ10に振動は生じない。
【0026】
この状態で、ステップST2では、撮像装置3が、一対のカメラ31、31を用いて、試験タイヤ10に付された解析用格子面Sを左右方向から同時に撮像する。具体的には、撮像装置3は、旋回している解析用格子面Sのそれぞれが所定の位置(例えば、試験タイヤ10と路面または路面を模した面とが接触する位置)に到達する度に撮影を行い、1対のタイヤ画像を取得する。
【0027】
このように複数のカメラで異なる角度から解析用格子面Sを撮影することにより、タイヤ幅方向(奥行き方向)の座標も計測することができる。さらに、複数のカメラを用いることにより、カメラのレンズの歪曲収差による測定誤差を補正することができる。
【0028】
ステップST3では、空間座標算出部41が、1対のタイヤ画像毎にサンプリングモアレ法を用いた形状解析を行い、画像中の解析用格子面Sの空間座標を算出する。そして、ステップST4では、バラツキ検出部42が、空間座標算出部41によって算出された空間座標に基づいて、それぞれの解析用格子面Sの配置のバラツキを検出する。」

「【0037】
上記の実施の形態では、解析用格子面Sの空間座標を算出するためにサンプリングモアレ法を用いる例について説明した。しかしながら、解析用格子面Sの空間座標を算出する手法は、これに限定されない。タイヤ解析システム1は、サンプリングモアレ法以外の形状解析の手法を用いて、解析用格子面Sの空間座標を算出してもよい。サンプリングモアレ法以外の形状解析の手法には、例えば、フーリエ変換法、ディジタル画像相関法等が含まれる。
【0038】
上記の実施の形態では、タイヤ解析システム1による解析方法をタイヤの振動の解析に用いる例について説明した。しかしながら、タイヤ解析システム1による解析方法の適用可能な解析は、これに限定されない。タイヤ解析システム1による解析方法は、タイヤの変位または変形に関する任意の解析に適用することができる。
【0039】
上記の実施の形態では、撮像装置3が2つのカメラ31を有する例について説明したが、撮像装置3が有するカメラ31の数はこれに限定されない。例えば、撮像装置3が有するカメラ31の数は1つであってもよい。すなわち、タイヤ解析システム1は、1台の高速度カメラだけで撮像し、形状解析手法(サンプリングモアレ法、フーリエ変換法など)を用いて解析用格子面Sの空間座標を算出しても良い。」

「【図1】



「【図2】



「【図3】



「【図4】



引用発明の認定
上記アの記載事項を総合すると、引用文献2には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。

「 タイヤ中心軸にかかる変位、タイヤ形状の変化、タイヤ表面歪みの変化等を測定することにより、タイヤの挙動解析を行うタイヤ解析システム1であって(【0011】)、
タイヤ解析システム1は、タイヤ試験機2と、撮像装置3と、タイヤ解析装置4とを備え(【0011】)、
撮像装置3は、一対のカメラ31、31を有し、カメラ31は高速度カメラであり(【0014】)、一対のカメラ31、31を用いて、試験タイヤ10に付された解析用格子面Sを左右方向から同時に撮像するものであり(【0026】)、
解析用格子面Sは、2.5[mm]間隔でマトリクス状に配列された複数の円形のマークを有するものであり(【0020】)、
タイヤ解析装置4は、撮像装置3からのタイヤ画像を画像処理してタイヤ解析処理を行うものであり、空間座標算出部41と解析部43を備え、空間座標算出部41は、タイヤ画像を用いて形状解析を行うことにより、試験タイヤ10に円状に付される解析用格子面(格子パターン)Sの空間座標を算出し、解析部43は、所定のタイヤ解析処理を行うものであり(【0015】)、
撮像装置3は、旋回している解析用格子面Sのそれぞれが所定の位置に到達する度に撮影を行い、1対のタイヤ画像を取得し(【0026】)、
空間座標算出部41が、1対のタイヤ画像毎にサンプリングモアレ法を用いた形状解析を行い、画像中の解析用格子面Sの空間座標を算出し(【0028】)、
サンプリングモアレ法を用いた形状解析を利用して、試験タイヤ10の振動(タイヤ中心軸に対する変位)を解析するものであって、試験タイヤ10を回転させながら撮影された画像に、サンプリングモアレ法を用いた形状解析を適用することにより、タイヤ転動時における解析用格子面Sの空間座標を算出し、算出された空間座標を比較することにより、試験タイヤ10の振動を解析する(【0018】)、
タイヤ解析システム1」

(2) 引用文献3に記載された事項の認定
ア 引用文献3に記載された事項
本願の出願前に発行された特開2008−89357号公報(以下「引用文献3」という。)には、以下の事項が記載されている。

「【0001】
本発明は、転動するタイヤの外形形状を測定するのに最適なタイヤの3次元形状測定システム、及び、タイヤの3次元形状測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
回転するタイヤの各部位の変形を計測する試験が行われてきている。従来、この試験では、タイヤ表面に格子面を設け、タイヤを回転させて転動タイヤの状態にして、このマーカーの位置をビデオカメラ等の撮影装置によって三次元座標で撮影することが知られている(例えば特許文献1参照)。
しかし、従来では、ビデオカメラ等の撮影装置の設置位置、設置角度、及び焦点距離を、予め3次元座標が計測された4点以上のマーカーの撮影画像に基づいて同定させる必要があり、作業が煩雑で時間がかかるという問題があった。」

「【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、実施形態を挙げ、本発明の実施の形態について説明する。なお、第2実施形態以下では、既に説明した構成要素と同様のものには同じ符号を付して、その説明を省略する。
【0018】
[第1実施形態]
まず、第1実施形態について説明する。図1に示すように、本実施形態に係るタイヤの三次元形状測定システム11は、空気入りタイヤ10及びホイール9にそれぞれ取付けられた複数のマーカー12を撮影する2台のビデオカメラ16、18と、ビデオカメラ16、18で撮影された画像データを演算処理する演算処理装置20と、演算処理装置20で算出された演算値に基づいて空気入りタイヤ10の形状を画面に表示するディスプレイ22と、が設けられている。
【0019】
図2、図3に示すように、本実施形態に係るタイヤの三次元形状測定システム11を用いる際には、予め、空気入りタイヤ10にホイール9を組み込んだタイヤリム組立体13を形成し、空気入りタイヤ10及びホイール9に各々複数のマーカー12を配置しておく。そして、このタイヤリム組立体13を、回転装置(試験装置)にまで運搬し、ホイール9を回転装置の回転軸に取付ける。なお、本実施形態に係るタイヤの三次元形状測定システム11はこの回転装置の近くに配置されている。
【0020】
本実施形態では、ビデオカメラ16で撮影された画像データ(図2参照)、及び、ビデオカメラ18で撮影された画像データ(図3参照)は何れも演算処理装置20に送信され、演算処理される。そして、演算処理装置20は、演算処理によって得られたデータに基づき、転動する空気入りタイヤ10の形状を画面に表示する。」

「【0054】
[第4実施形態]
次に、第4実施形態について説明する。本実施形態では、図12に示すように、同期させた2台のビデオカメラを1組として2組のビデオカメラを用い、組み毎に異なるタイミングでマーカー12を撮影する。すなわち、本実施形態では、ビデオカメラ16、18を1組目のカメラ群30とし、ビデオカメラ26、28を2組目のカメラ群32として用いている。
【0055】
図13に示すように、1組目のカメラ群30と2組目のカメラ群32とでは、計測するタイミングをT1秒だけずらしている。
【0056】
これにより、ビデオカメラが1組である場合、すなわち2台のビデオカメラ16、18のみを使用する場合に比べ、撮影間隔を実質的に短くすることができる。
【0057】
<第4実施形態の実験例>
本実験例では、1組目のカメラ群30、2組目のカメラ群32ともT1=1/2000秒毎に撮影するように設定した。また、1組目のカメラ群30と2組目のカメラ群32では、撮影タイミングがT2=1/4000秒ずれるように設定した。
【0058】
現在のフォトロン社製のビデオカメラ(商品名:FastcamMax)では、撮影画素数が1024×1024画素であり、撮影間隔が1/2000秒の場合に6144コマの撮影が可能である。従って、従来では、撮影間隔を倍速の1/4000秒に半減させると、1回あたりの撮影で使用する撮影画素数が1024×512画素に半減する。
【0059】
本実験例では、1組目のカメラ群30、2組目のカメラ群32とも撮影間隔がT1=1/2000秒なので、1回あたりの撮影で使用する撮影画素数を1024×1024画素に維持した上で(すなわち撮影範囲を削減させることなく)、T2=1/4000秒毎に1組目のカメラ群30と2組目のカメラ群32とで交互に撮影して2倍速の計測結果を得ることができた。
【0060】
なお、本実験例では、2台のビデオカメラを1組として2組のビデオカメラを用いて撮影間隔を実質的に半減させたが、同様の作用により3組のビデオカメラを用いて撮影間隔を1/3に低減させることが可能であり、4組以上のビデオカメラを用いて撮影間隔を更に低減させることも可能である。」

「【図1】


「【図2】


「【図3】


「【図12】


「【図13】


段落【0018】、【0054】及び【図12】から、次の事項が読み取れる。
「マーカー12を撮影する1組目のカメラ群30と2組目のカメラ群32は、異なる方向からマーカーを撮影できる位置に配置されている。」

イ 引用文献3に記載された技術事項について
前記アの記載事項を総合すると、引用文献3には、次の技術事項(以下「引用文献3技術事項」という。)が記載されているものと認められる。

<引用文献3技術事項>
「空気入りタイヤ10及びホイール9にそれぞれ取付けられた複数のマーカー12を撮影する2台のビデオカメラ16、18と、ビデオカメラ16、18で撮影された画像データを演算処理する演算処理装置20と、演算処理装置20で算出された演算値に基づいて空気入りタイヤ10の形状を画面に表示するディスプレイ22と、が設けられ(【0018】)、
演算処理装置20は、演算処理によって得られたデータに基づき、転動する空気入りタイヤ10の形状を画面に表示する(【0020】)、
タイヤの三次元形状システム11において、
同期させた2台のビデオカメラを1組として2組のビデオカメラを用い、組み毎に異なるタイミングでマーカー12を撮影し(【0054】)、
前記マーカー12を撮影する1組目のカメラ群30と2組目のカメラ群32は、異なる方向からマーカーを撮影できる位置に配置し(【0018】、【0054】、【図12】)、
1組目のカメラ群30と2組目のカメラ群32とでは、計測するタイミングをT1秒だけずらし(【0055】)、
ビデオカメラが1組である場合、すなわち2台のビデオカメラのみを使用する場合に比べ、撮影間隔を実質的に短くする技術(【0056】)」


2 対比
(1) 本願発明と引用発明の対比
本願発明と引用発明を対比する。

ア 引用発明の「タイヤ解析システム1」は、「高速度カメラ」を用いて「タイヤ中心軸にかかる変位、タイヤ形状の変化、タイヤ表面歪みの変化等を測定する」から、本願発明の「高速度計測装置」に相当する。

イ 引用発明の「解析用格子面S」は、「2.5[mm]間隔でマトリクス状に配列された複数の円形のマークを有するもの」であるから、本願発明の「ピッチが既知の2次元格子パターン」に相当し、引用発明の「試験タイヤ10」は、本願発明の「測定対象物」に相当する。

ウ 引用発明の「一対のカメラ」は、「試験タイヤ10に付された解析用格子面Sを左右方向から同時に撮像する」から、本願発明と引用発明は、「ピッチが既知の2次元格子パターンが表面に設置された測定対象物を撮影可能なカメラ」であって、「前記カメラは、前記測定対象物の表面に設置された前記2次元格子パターンを撮影」するものを有する点で共通する。

エ 引用発明の「サンプリングモアレ法を用いた形状解析」は、本願発明の「位相解析」に相当する。
そして、引用発明の「空間座標算出部41」は、「一対のカメラ31、31を用いて、試験タイヤ10に付された解析用格子面Sを左右方向から同時に撮像」することより得られる「1対のタイヤ画像毎」に「サンプリングモアレ法を用いた形状解析を行い、画像中の解析用格子面Sの空間座標を算出する」ものであり、
引用発明の「解析部43」は、「所定のタイヤ解析処理を行うもの」として、「サンプリングモアレ法を用いた形状解析を利用して、試験タイヤ10の振動(タイヤ中心軸に対する変位)を解析するものであって、試験タイヤ10を回転させながら撮影された画像に、サンプリングモアレ法を用いた形状解析を適用することにより、タイヤ転動時における解析用格子面Sの空間座標を算出し、算出された空間座標を比較することにより、試験タイヤ10の振動を解析する」ものである。
よって、引用発明の「空間座標算出部41」及び「解析部43」を含む「タイヤ解析装置4」は、本願発明の「解析部」に相当し、引用発明の「試験タイヤ10の振動」は、タイヤ中心軸に対する変位であるから、本願発明の「変位」の「物理量」に相当する。
そうすると、本願発明と引用発明は、「前記撮影された前記2次元格子パターンの位相解析を行い、前記計測対象物の表面に設置された前記2次元格子パターンによって得られる位置、変位、ひずみ、角度の物理量の少なくとも1つを算出」する「解析部」を有する点で共通する。

(2) 一致点及び相違点
上記(1)の検討結果を総合すると、本願発明と引用発明の両者は、以下の一致点で一致し、以下の相違点において相違する。

[一致点]
高速度計測装置であって、
ピッチが既知の2次元格子パターンが表面に設置された測定対象物を撮影可能な、カメラと、解析部を備え、
前記カメラは、前記測定対象物の表面に設置された前記2次元格子パターンを撮影し、
前記解析部は、前記撮影された前記2次元格子パターンの位相解析を行い、前記計測対象物の表面に設置された前記2次元格子パターンによって得られる位置、変位、ひずみ、角度の物理量の少なくとも1つを算出する、
高速度計測装置。

[相違点]
本願発明が、「前記各カメラに対し、所定の時間だけずらしたトリガ信号を順に送」る「制御部」を有し、
「カメラ」が「2以上の異なる位置にそれぞれ1台配置され」、「測定対象物を異なる方向からそれぞれ撮影可能な2台以上のカメラ」であって、「各カメラは前記トリガ信号が送られた時間に応じて」撮影し、
「解析部」が「前記計測対象物の表面に設置された前記2次元格子パターンによって得られる位置、変位、ひずみ、角度の物理量の少なくとも1つを算出」する際に、「前記2台以上のカメラに共通である、前記測定対象物の表面に固定された同一の座標系として」算出し、
「前記解析部が算出した、前記測定対象物の位置、変位、ひずみ、角度の物理量の少なくとも1つを、前記同一の座標系の座標値として、前記所定の時間ごとに出力する」「結果出力部」を有するのに対し、
引用発明の「撮像装置」は「一対のカメラ31、31を有し」、「試験タイヤ10に付された解析用格子面Sを左右方向から同時に撮像するもの」であって、「所定の時間だけずらしたトリガ信号」に応じて撮影する「2台以上の」ものでなく、
「空間座標算出部41」及び「解析部43」を含む「タイヤ解析装置4」が、「所定の時間だけずらしたトリガ信号」に応じて撮影する「2台以上のカメラに共通である、前記測定対象物の表面に固定された同一の座標系」を用いて算出するものでなく、
「結果出力部」を有するとは明示されていない点。


3 判断
(1) 上記相違点についての判断
ア カメラの配置と撮影タイミングの制御について
まず、上記相違点に係るカメラの配置と撮影タイミングの制御について検討する。
(ア) 引用文献3技術事項は、「前記マーカー12を撮影する1組目のカメラ群30と2組目のカメラ群32は、異なる方向からマーカーを撮影できる位置に配置し、1組目のカメラ群30と2組目のカメラ群32とでは、計測するタイミングをT1秒だけずらす」ことにより、「撮影間隔を実質的に短くする技術」である(前記1(2)イを参照)。

(イ) ここで、引用文献3技術事項の「異なる方向からマーカーを撮影できる位置に配置」された「1組目のカメラ群30と2組目のカメラ群32」は、本願発明の「2以上の異なる位置にそれぞれ1台配置され」、「測定対象物を異なる方向からそれぞれ撮影可能な、2台以上のカメラ」に対応し、引用文献3技術事項の「1組目のカメラ群30と2組目のカメラ群32とでは、計測するタイミングをT1秒だけずらす」ことは、本願発明の「各カメラは前記トリガ信号が送られた時間に応じて」撮影することに対応している。

(ウ) そして、引用文献3技術事項の「タイヤの三次元形状システム」は、「空気入りタイヤ10及びホイール9にそれぞれ取付けられた複数のマーカー12を撮影する2台のビデオカメラ16、18と、ビデオカメラ16、18で撮影された画像データを演算処理する演算処理装置20が設けられ」る点において、引用発明の「タイヤ解析システム」と同様の技術分野に属する技術であり、また撮影間隔を実質的に短くするという課題が引用発明と共通することも自明であるから、引用発明の「撮像装置3」の構成として、引用文献3技術事項に開示されたカメラの配置と撮影タイミングの制御を採用することは、当業者ならば格別の困難性はない。

イ 「解析部」について
引用文献3技術事項の「タイヤの三次元形状システム」は、マーカーを含むタイヤの三次元形状を測定するものであって、2組のカメラ群を用いて「組み毎に異なるタイミングでマーカー12を撮影する」から、2組のカメラ群で撮影した画像からタイヤの三次元形状を演算処理して「マーカー12」等の位置を算出する際に、タイヤの特定の位置を基準とした2組のカメラ群に共通の座標系(ワールド座標系)を設定することは当然のことである。
そうすると、引用発明に引用文献3技術事項を適用するにあたって、上記ワールド座標系を設定してタイヤ解析処理を行うようにすることは、当業者ならば当然なすべき設計事項にすぎないというべきである。

ウ 「結果出力部」について
引用発明は、「タイヤ中心軸にかかる変位、タイヤ形状の変化、タイヤ表面歪みの変化等を測定することにより、タイヤの挙動解析を行うタイヤ解析システム」であるから、「解析」した「タイヤ中心軸に対する変位」である「試験タイヤ10の振動」に関して、表示等のために出力を行う手段を有することは自明のことである。
そして、引用発明に引用文献3技術事項を適用するにあたって、上記ワールド座標系を設定して行ったタイヤ解析処理の結果を、当該ワールド座標系の座標値として、撮影タイミングごとに出力するようにすることは、当業者ならば適宜なし得た設計事項にすぎない。

エ 小括
上記ア〜ウで検討したとおり、上記相違点に係る本願発明の構成は、引用発明及び引用文献3に記載された事項に基づいて当業者が容易に想到し得たものである。

(2) 「2台以上のカメラ」について別の解釈をした場合の検討
なお、前記2及び3(1)において説示した対比・判断は、本願発明の「2以上の異なる位置にそれぞれ1台配置され、ピッチが既知の2次元格子パターンが表面に設置された測定対象物を異なる方向からそれぞれ撮影可能な、2台以上のカメラ」の「2台以上のカメラ」について、本願の明細書の段落【0024】〜【0032】、【0038】〜【0046】等の記載からみて、いわゆるステレオ撮像を行うための「一対のカメラ」を、時間をずらして撮影するために複数対有するものが含まれるとした解釈を前提としている。
一方、本願の明細書の段落【0033】〜【0037】、図9〜11の記載からみて、本願発明の「2以上の異なる位置にそれぞれ1台配置され」た「2台以上のカメラ」が、ステレオ撮像を行う一対のカメラではなく、時間をずらして撮影するために複数台配置されたものであると解釈することもできるため、この場合について念のため検討すると、次のとおりである。

引用文献2の段落【0039】に「上記の実施の形態では、撮像装置3が2つのカメラ31を有する例について説明したが、撮像装置3が有するカメラ31の数はこれに限定されない。例えば、撮像装置3が有するカメラ31の数は1つであってもよい。すなわち、タイヤ解析システム1は、1台の高速度カメラだけで撮像し、形状解析手法(サンプリングモアレ法、フーリエ変換法など)を用いて解析用格子面Sの空間座標を算出しても良い。」と記載され、即ち、1台のカメラで撮像した画像をサンプリングモアレ法等を用いて形状解析することが記載されている。
そうすると、引用発明の「撮像装置3」は、「一対のカメラ31、31」に代えて「1台の高速度カメラ」であってもよいから、本願発明と引用発明は、前記2(2)の[一致点]で一致し、前記2(2)の[相違点]において、「引用発明の「撮像装置」は「一対のカメラ31、31を有し」、「試験タイヤ10に付された解析用格子面Sを左右方向から同時に撮像するもの」であって」とあるのを「引用発明の「撮像装置」は「1台のカメラを有し、カメラは高速度カメラであり、カメラを用いて、試験タイヤ10に付された解析用格子面Sを撮像するもの」であって」と読み替えた相違点で相違する。
引用発明3技術事項には、異なる方向から測定対象物を撮影し、各撮影のタイミングを所定時間ずらすことが開示されているから(前記1(2)イを参照)、この開示内容に従って、引用発明において、異なる方向から測定対象物を撮影できるように高速度カメラを2台以上設けて、各カメラが計測するタイミングをずらすように構成することは、当業者であれば容易に想到し得たことである。
そうすると、前記(1)アで検討した内容と同様に、引用発明2の「撮像装置3」の構成として、引用文献3技術事項に開示されたカメラの配置と撮影タイミングの制御を採用することは、当業者ならば格別の困難性はない。
そして、前記(1)イ及びウにおいて検討した内容は同様に当てはまるから、本願発明の「2以上の異なる位置にそれぞれ1台配置され」た「2台以上のカメラ」が、ステレオ撮像を行う一対のカメラではなく、時間をずらして撮影するために複数台配置されたものであると解釈しても、本願発明は、引用発明及び引用文献3に記載された事項に基づいて当業者が容易に想到し得たものであることに変わりはない。

(3) 請求人の主張について
ア 請求人の主張
請求人は、令和3年10月25日付け意見書の「(4)本願発明と引用文献に記載された発明との対比」において、次の主張をしている。

(ア) 主張A
「具体的には、本発明は、本願に添付した図10に示すように、計測対象物表面に固定されたX座標とY座標で構成される座標系にて計測結果が得られます。本発明は、複数の位置にカメラを1台設置し、それぞれのカメラによって所定の時間だけずらして測定対象物を撮影することによって、複数の方向から測定対象物を計測しても同一の座標系で測定結果が得られる特徴を有しています。
本願の請求項1に係る発明は、基準となる状態における測定対象物を各カメラで撮影し、撮影された2次元格子パターンの位相解析を行います。トリガ信号が送られた時間に応じて、測定対象物の表面に設置された前記2次元格子パターンを撮影し、解析部は、撮影された前記2次元格子パターンの位相解析を行い、基準となる状態における位相解析によって得られた位相値と演算処理を行うことで、測定対象物の表面に固定された同一の座標系として、前記計測対象物の表面に設置された2次元格子パターンによって得られる位置、変位、ひずみ、角度の物理量の少なくとも一つを算出することができます。」

(イ) 主張B
「これに対して、引用文献2,3には、上記の発明特定事項が記載も示唆もされていません。引用文献2には、2台のカメラを用いることが開示されています。しかし、引用文献2の段落「0014」に、カメラ31,31は試験タイヤ10を左右方向から同時に撮像して、タイヤ画像を生成する、と記載されています。したがって、引用文献2は、本願請求項1のように複数のカメラを、所定の時間だけずらしたトリガ信号を順に送り、前記各カメラは前記トリガ信号が送られた時間に応じて、前記測定対象物の表面に設置された前記2次元格子パターンを撮影するものではありません。また、段落「0039」には、1台の高速度カメラだけでもよいと記載されています。」

(ウ) 主張C
「引用文献3には、段落「0022」に記載されているように、X軸はタイヤ側面に沿った水平方向、Y軸はタイヤ軸方向、Z軸はタイヤ側面に沿った上下方向としていることが開示されています。測定対象物はこの座標系に対して求められています。このため、引用文献3は、本願請求項1に記載の発明のように、前記撮影された前記2次元格子パターンの位相解析を行い、前記測定対象物の表面に固定された同一の座標系として、前記計測対象物の表面に設置された前記2次元格子パターンによって得られる位置、変位、ひずみ、角度の物理量の少なくとも1つを算出しておりません。」

イ 主張の検討
(ア) 主張Aについて
主張Aの「トリガ信号が送られた時間に応じて、測定対象物の表面に設置された前記2次元格子パターンを撮影し、解析部は、撮影された前記2次元格子パターンの位相解析を行い、基準となる状態における位相解析によって得られた位相値と演算処理を行うことで、測定対象物の表面に固定された同一の座標系として、前記計測対象物の表面に設置された2次元格子パターンによって得られる位置、変位、ひずみ、角度の物理量の少なくとも一つを算出することができます。」と主張しているが、本願発明1は、「基準となる状態における位相解析によって得られた位相値と演算処理を行う」ことに関する構成を有しておらず、自明ともいえないため、本願発明1の構成に基づく主張とはいえない。

(イ)主張Bについて
前記(1)で示したように、引用文献3技術事項は、本願発明の「各カメラは前記トリガ信号が送られた時間に応じて」撮影することに対応する構成を含むものである。
そして、引用文献2の段落【0039】の「上記の実施の形態では、撮像装置3が2つのカメラ31を有する例について説明したが、撮像装置3が有するカメラ31の数はこれに限定されない。例えば、撮像装置3が有するカメラ31の数は1つであってもよい。すなわち、タイヤ解析システム1は、1台の高速度カメラだけで撮像し、形状解析手法(サンプリングモアレ法、フーリエ変換法など)を用いて解析用格子面Sの空間座標を算出しても良い。」の記載から、1台のカメラだけでも形状解析手法が適用できることが開示されており、前記(4)において検討したとおり、引用発明に引用文献3技術事項の複数のカメラでタイミングをずらして撮影する技術を組み合わせることにより、本願発明のごとく構成することに当業者ならば格別の困難性はない。

(ウ) 主張Cについて
引用文献3の段落【0022】に「図4で、X軸方向はタイヤ側面に沿った水平方向、Y軸方向はタイヤ軸方向、Z軸方向はタイヤ側面に沿った上下方向である。また、cameraa(xa,ya,za)はビデオカメラ16の設置位置の座標であり、camerab(xb,yb,zb)はビデオカメラ18の設置位置の座標である。そして、target(x,y,z)は1つのマーカー12の位置である。」と記載され、図4は次のものである。
「【図4】


これらの記載は、一対のビデオカメラ(ビデオカメラ16及びビデオカメラ18)を用いてマーカー12の位置を算出する際の各々位置関係を示し、図4に示した座標系を共通の座標系としてマーカー12等の三次元座標を求めることを表すものである。このようにマーカー12等の特定の位置を求めるためにカメラ間で共通の座標系を設定することは技術常識といえ、引用発明に対して、引用文献3技術事項のような複数のカメラでタイミングをずらして撮影する技術を組み合わせる際にも、カメラ間で共通の座標系を設定することは当然のことである。

そうすると、請求人の主張を検討しても、前記(1)〜(4)で検討したとおり、引用発明に引用文献3記載技術を適用して、前記相違点に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
したがって、請求人の主張は採用できない。

(4) まとめ
上記(1)〜(3)で検討したとおり、上記相違点に係る本願発明の構成は、引用発明及び引用文献3に記載された事項に基づいて当業者が容易に想到し得たものである。
そして、本願発明によって奏される効果は、引用発明及び引用文献3に記載された事項から当業者が予測し得る程度のものにすぎない。
したがって、本願発明は、引用発明及び引用文献3に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

第5 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び引用文献3に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について審理するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
別掲 (行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。
 
審理終結日 2022-01-28 
結審通知日 2022-02-01 
審決日 2022-02-17 
出願番号 P2015-160211
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (G01B)
最終処分 02   不成立
特許庁審判長 中塚 直樹
特許庁審判官 居島 一仁
濱野 隆
発明の名称 多数カメラによる高速度計測方法および装置  
代理人 あいわ特許業務法人  
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