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審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 H04W
審判 査定不服 発明同一 取り消して特許、登録 H04W
管理番号 1383703
総通号数
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2022-05-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-01-25 
確定日 2022-05-10 
事件の表示 特願2019− 92192「LTEにおけるPDCCHペイロードサイズのあいまいさを解決する方法」拒絶査定不服審判事件〔令和 1年10月10日出願公開、特開2019−176485、請求項の数(9)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2011年(平成23年)3月16日(パリ条約による優先権主張 外国庁受理 2010年3月18日 アメリカ合衆国(US)、2010年9月20日 アメリカ合衆国(US)、2011年2月8日 アメリカ合衆国(US))を国際出願日とする特願2013−500195号の一部を平成27年10月16日に新たな特許出願とした特願2015−204889号の一部を平成29年11月13日に新たな特許出願とした特願2017−218302号の一部を令和元年5月15日に新たな特許出願としたものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。

令和元年 6月14日 上申書及び手続補正書の提出
令和元年10月29日 上申書及び手続補正書の提出
令和2年 3月18日付け 拒絶理由通知書
令和2年 8月24日 意見書及び手続補正書の提出
令和2年 9月17日付け 拒絶査定
令和3年 1月25日 審判請求書及び手続補正書の提出
令和3年 5月27日 上申書の提出
令和3年 9月16日付け 拒絶理由通知書(当審)
令和3年12月21日 意見書及び手続補正書の提出
令和4年 2月16日 応対記録(作成)
令和4年 2月16日付け 拒絶理由通知書(当審、最後)
令和4年 3月 2日 意見書及び手続補正書の提出

第2 原査定の概要
原査定(令和2年9月17日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

(拡大先願)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願の日前の外国語特許出願(特許法第184条の4第3項の規定により取り下げられたものとみなされたものを除く。)であって、その出願後に国際公開がされた下記の外国語特許出願の国際出願日における国際出願の明細書、請求の範囲又は図面に記載された発明と同一であり、しかも、この出願の発明者がその出願前の外国語特許出願に係る上記の発明をした者と同一ではなく、またこの出願の時において、その出願人が上記外国語特許出願の出願人と同一でもないので、特許法第29条の2の規定により、特許を受けることができない(同法第184条の13参照)。


・請求項1ないし18に対して、引用文献等1

<引用文献等一覧>
1.PCT/CN2011/070937(国際公開第2011/098044号)(以下、「先願1」という。)

第3 本願発明
本願の請求項1ないし9に係る発明(以下、「本願発明1」ないし「本願発明9」という。)は、令和4年3月2日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし9に記載された事項により特定される発明であり、以下のとおりの発明である。

「 【請求項1】
ユーザ機器(UE)を動作させる方法であって、
一次コンポーネントキャリアおよび少なくとも1つの二次コンポーネントキャリアを含む複数のコンポーネントキャリアのうちのあるコンポーネントキャリア上でグラントを受信することと、
前記グラントに基づいてeNodeBと通信することと
を備え、前記グラントは、前記UEがグラントにキャリアインジケータフィールド(CIF)が含まれているかどうかを判別できないと前記UEが決定するときに前記複数のコンポーネントキャリアのうちの前記一次コンポーネントキャリアのみをスケジューリングし、
前記CIFは、前記グラントが適用される、前記複数のコンポーネントキャリアのうちの1つのコンポーネントキャリアを示し、前記判別できないことは、前記グラントが共通の探索空間とUE固有の探索空間の重なり合う探索空間内に配置され、前記グラントを受信する前記UEが、前記CIFが前記グラントのペイロードサイズに基づいて前記グラント内に含まれるかどうか判別できないときに決定され、前記共通の探索空間は、共通の探索空間の制御チャネル要素(CCE)インデックスと前記UE固有の探索空間のCCEインデックスが等しいときに前記UE固有の探索空間と重なり合う、
方法。
【請求項2】
前記グラントは、物理ダウンリンク制御チャネル(PDCCH)内で受信される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記グラントは、前記グラントに付加されたCRCがセル無線ネットワーク一時識別子(C−RNTI)によってスクランブルされているときに前記一次コンポーネントキャリアのみをスケジューリングする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記グラントは、物理アップリンク共有チャネル(PUSCH)内でトラフィックデータを送信するように前記UEをスケジューリングするアップリンク(UL)グラントまたは物理ダウンリンク共有チャネル(PDSCH)内でトラフィックデータを受信するように前記UEをスケジューリングするダウンリンク(DL)グラントの1つである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
ワイヤレス通信のための装置であって、
一次コンポーネントキャリアおよび少なくとも1つの二次コンポーネントキャリアを含む複数のコンポーネントキャリアのうちのあるコンポーネントキャリア上でグラントを受信するための手段と、
前記グラントに基づいてeNodeBと通信するための手段と
を備え、前記グラントは、前記装置がグラントにキャリアインジケータフィールド(CIF)が含まれているかどうかを判別できないと前記装置が決定するときに前記複数のコンポーネントキャリアのうちの前記一次コンポーネントキャリアのみをスケジューリングし、
前記CIFは、前記グラントが適用される、前記複数のコンポーネントキャリアのうちの1つのコンポーネントキャリアを示し、前記判別できないことは、前記グラントが共通の探索空間と装置固有の探索空間の重なり合う探索空間内に配置され、前記グラントを受信する前記装置が、前記CIFが前記グラントのペイロードサイズに基づいて前記グラント内に含まれるかどうか判別できないときに決定され、前記共通の探索空間は、共通の探索空間の制御チャネル要素(CCE)インデックスと前記装置固有の探索空間のCCEインデックスが等しいときに前記装置固有の探索空間と重なり合う、
装置。
【請求項6】
前記グラントは、物理ダウンリンク制御チャネル(PDCCH)内で受信される、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記グラントは、前記グラントに付加されたCRCがセル無線ネットワーク一時識別子(C−RNTI)によってスクランブルされているときに前記一次コンポーネントキャリアのみをスケジューリングする、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記グラントは、物理アップリンク共有チャネル(PUSCH)内でトラフィックデータを送信するように前記装置をスケジューリングするアップリンク(UL)グラントまたは物理ダウンリンク共有チャネル(PDSCH)内でトラフィックデータを受信するように前記装置をスケジューリングするダウンリンク(DL)グラントの1つである、請求項5に記載の装置。
【請求項9】
記録されたプログラムを有するコンピュータ可読記憶媒体であって、前記プログラムは、コンピュータに、請求項1乃至4のうちの1つに記載の方法を実行させる、コンピュータ可読記憶媒体。」

第4 先願発明
原査定の拒絶の理由で引用された外国語特許出願である先願1(PCT/CN2011/070937(国際公開第2011/098044号)の国際出願日における国際出願の明細書、請求の範囲又は図面(以下、「先願明細書等」という。)には、次の事項が記載されている。(下線は、当審で付した。)

(1)「




」(第1ページ第11行ないし第2ページ第3行)
(当審仮訳:背景技術
ロングタームエボリューションアドバンスト(Long Term Evolution−Advanced、略してLTE−A)システムにはキャリアアグリゲーション(Carrier Aggregation、略してCA)技術が導入されている。すなわち、より高いピークレート、及びサービス要求を満たすために、1つのユーザ機器(User Equipment、略してUE)に対して複数のコンポーネントキャリア(Component Carrier、略してCC)がスケジュールされる。
CA技術に基づかないシステムでは、1個の物理下りリンク制御チャネル(Physical Downlink Control Channel、略してPDCCH)シグナリングによって、1つのキャリアのみのリソースがスケジュールされることが可能である。CA技術に基づくシステムでは、データを伝送する複数のキャリアをUEが集約(アグリゲート)する場合、UEは、複数個の対応するPDCCHシグナリングを必要とする。
LTE−Aシステムでは、リソースは、2つのモードでスケジュールされることが可能である。1つのモードは、同一CCスケジューリング(Same−CC Scheduling、略してSCS)であり、これは、あるキャリア上のPDCCHシグナリングが、当該キャリアのリソース、及び当該キャリアに対応する上りリンクキャリアのリソースのみをスケジュールするために使用されることが可能であることを意味する。もう1つのモードは、クロスCCスケジューリング(Cross−CC Scheduling、略してCCS)であり、これは、あるキャリア上のPDCCHシグナリングが、当該キャリア又はその他のキャリアのリソースをスケジュールするために使用されることが可能であることを意味する。CCSモードでは、どのキャリアのリソースがPDCCHシグナリングによって現在スケジュールされているかを示すために、UE固有のPDCCHシグナリングに、キャリア識別フィールド(Carrier Indicator Field、略してCIF)が追加される必要がある。ただし、複数のUEによって共有されるPDCCHシグナリングでは、LTE−AシステムにおけるUEと、LTEシステムにおけるUEとが共存できるように、CIFは追加されない。)

(2)「



」(第7ページ第12行ないし第8ページ第10行)
(当審仮訳:ロングタームエボリューション(Long Term Evolution、略してLTE)などの通信システムでは、eNBなどの基地局が、1つのキャリア上のリソースをUEに対してスケジュールする。基地局がリソースをスケジュールする最小時間単位は、長さ1ミリ秒のサブフレームである。スケジュールされたUEが、PDCCHシグナリングの長さ、及びサーチ空間の制御チャネル要素(Control Channel Element、略してCCE)レベルに従って、PDCCHのサーチ空間内のPDCCHシグナリングを復調及び復号した後、スケジュールされたUEは、スケジュールされたUEの無線ネットワーク一時識別子(Radio Network Temporary Identifier、略してRNTI)を使用して、スクランブル解析及び巡回冗長検査(Cyclic Redundancy Check、略してCRC)を実行して、現在検出されたPDCCHシグナリングが、スケジュールされたUEのPDCCHシグナリングであるかどうかを、検査及び判定する。スケジュールされたUEが、現在検出されたPDCCHシグナリングがそのUEのPDCCHシグナリングであると判定した場合、UEは更にフォローアップ動作を実行する。PDCCHシグナリングは、物理データチャネル(上りリンク物理データチャネル又は下りリンク物理データチャネル)を示す、時間−周波数リソース割り当て情報を運ぶ。
サーチ空間は、論理的に連続したCCEのセットである。CCEは、PDCCHシグナリングを構成する最小単位である。UEのPDCCHシグナリングは、4つのCCEレベル(1、2、4、及び8)をそれぞれ使用して伝送されてもよい。異なるCCEレベルは、異なる符号化レートを有する。それぞれの異なるCCEレベルにおけるPDCCHシグナリングは、異なるサーチ空間を有するが、物理的には、PDCCHシグナリングに関する異なるサーチ空間は相互にオーバーラップしてもよい。すなわち、異なるサーチ空間は、インデックスの一部又は全てのインデックスが同じであるCCEを含んでもよい。
サーチ空間は、共通サーチ空間(Common Search Space、CSS)、及びUE固有のサーチ空間(UE specific Search Space、UESS)に分類される。CSS及びUESSは異なるサーチ空間であるが、物理的にオーバーラップしてもよい。すなわち、異なるサーチ空間は、インデックスの一部又は全てのインデックスが同じであるCCEを含んでもよい。CSSは全てのUEが検出する必要がある空間である。CSSは16個のCCEを含み、CSS内では、CCEレベルが4又は8のPDCCHシグナリングのみが伝送されることが可能である。CCEレベル4に対応する、CSS内でのサーチの数は、4であり、CCEレベル8に対応する、CSS内でのサーチの数は、2である(4*4=8*2=16)。各UEは固有のUESSを有する。各UESSは、固有のRNTIと、サブフレーム番号とによって決定される。UESS内のCCEレベルは、1、2、4、又は8であり、CCEレベル1、2、4、及び8に対応する、UESS内でのサーチの数は、それぞれ、6、6、2、及び2である。)

(3)「



」(第10ページ第5行ないし第11ページ第3行)
(当審仮訳:想定シナリオA:基地局が、現在のリソーススケジューリングモードをUEに通知するために使用される準静的RRCシグナリングを送信してから、UEによって返されたRRC接続再設定完了シグナリングを受信するまでの期間中、及び、基地局が、UEによって返されたRRC接続再設定完了シグナリングを受信した後、現在のキャリアのCSS内の、CIFを有さないDCIフォーマット0、又はCIFを有さないDCIフォーマット1Aの、PDCCHシグナリングの長さが、現在のキャリアのUESS内の、別のフォーマットの、CIFを有するPDCCHシグナリングの長さと等しい可能性があり、後者のPDCCHシグナリングは、現在のキャリアの帯域幅より小さい帯域幅の、別のキャリアをスケジュールするために使用される。CSSとUESSとの間に物理的にオーバーラップする領域が存在する場合、UEはシグナリングを不適正に解析し、物理的にオーバーラップする領域内で検出されたPDCCHシグナリングが、現在のキャリア上のリソースをスケジュールするために使用される、又は、現在のキャリアの帯域幅より小さい帯域幅の別のキャリア上のリソースをスケジュールするために使用されると、誤って判断する。
例えば、1個のシグナリングは、現在のキャリアCC1のCSS内の、CIFを有さないDCIフォーマット0、又はCIFを有さないDCIフォーマット1Aの、PDCCHシグナリングであり、もう1個のシグナリングは、CC1のUESS内の、別のフォーマットで、かつ、CC1の帯域幅より小さい帯域幅のキャリアCC2をスケジュールするために使用される、CIFを有するPDCCHシグナリングである。スケジュールされるキャリアCC2の帯域幅は、キャリアCC1の帯域幅より小さいため、PDCCHシグナリング内で必要とされるリソース割り当てビットの数はより少なく、従って、現在のキャリアCC1のCSS内の、CIFを有さないDCIフォーマット0、又はCIFを有さないDCIフォーマット1Aの、PDCCHシグナリングの長さは、CC1のUESS内の、別のフォーマットで、かつ、CC1の帯域幅より小さい帯域幅のキャリアCC2をスケジュールするために使用される、CIFを有するPDCCHシグナリングの長さと等しい可能性がある。CSSとUESSとの間に物理的にオーバーラップする領域が存在する場合、UEはシグナリングを不適正に解析し、物理的にオーバーラップする領域内で検出されたPDCCHシグナリングが、CC1内のリソースをスケジュールするために使用される、又は、CC2内のリソースをスケジュールするために使用されると、誤って判断する可能性がある。
下りリンクデータを例に取ると、UEがPDCCHシグナリングを不適正に解析すると、UEは間違ったキャリア上の下りリンクデータを受信する。続いて、UEは、否定応答(NACK)メッセージを基地局にフィードバックする可能性があり、基地局はデータを再送する可能性がある。しかし、UEは依然としてPDCCHシグナリングを適正に解析する方法がわからず、依然としてデータを適正に受信することができない。基地局が上限数の再送を完了するまで、UEのバッファは不適正なデータを記憶し続け、これは、UEの、ハイブリッド自動再送要求(Hybrid Automatic Repeat−reQuest、略してHARQ)バッファ汚染をもたらす。)

(4)「


」(第11ページ第12行ないし第25行)
(当審仮訳:図1は、本発明の一実施形態による、PDCCHシグナリングを送信する方法のフローチャートである。この方法は、以下のステップを含む。
ステップ101:基地局は、第1のサーチ空間の位置及び第2のサーチ空間の位置を決定する。第1のサーチ空間内で伝送されるPDCCHシグナリングはCIFを含まなくてもよく、かつ、第1のサーチ空間はCSS及び/又はUESSであってもよく、第2のサーチ空間内で伝送されるPDCCHシグナリングはCIFを含んでもよく、かつ、第2のサーチ空間はUESSであってもよい。
第1のサーチ空間は、CSS及びUESSのうちの少なくとも1つであってもよい。
ステップ102:第1のサーチ空間と第2のサーチ空間との間に物理的にオーバーラップする領域が存在し、かつ、第1のサーチ空間内のCIFを有さないPDCCHシグナリングの長さが、第2のサーチ空間内のCIFを有するPDCCHシグナリングの長さと等しい場合、基地局は、物理的にオーバーラップする領域内では、CIFを有さないPDCCHシグナリングをUEに送信する。
基地局は、異なるPDCCHシグナリングのサーチ空間がオーバーラップしている可能性があるということを(すなわち、同じインデックスを有するCCEの一部又は全てが、物理的にオーバーラップする領域である)、異なるサーチ空間が、インデックスの一部又は全てが同じであるCCEを含むと判定することによって、決定することができる。)

(5)「



」(第13ページ第7行ないし第14ページ第14行)
(当審仮訳:図5は、本発明の一実施形態による、PDCCHシグナリングを受信する方法のフローチャートである。この方法は、以下のステップを含む。
ステップ501:第1のサーチ空間と第2のサーチ空間との間に物理的にオーバーラップする領域が存在し、かつ、第1のサーチ空間内のCIFを有さないPDCCHシグナリングの長さが、第2のサーチ空間内のCIFを有するPDCCHシグナリングの長さと等しい場合、UEは、物理的にオーバーラップする領域内では、基地局によって送信されたCIFを有さないPDCCHシグナリングを受信する。
ステップ502:UEは、設定された規則に従って、PDCCHシグナリングを解析する。設定された規則は、基地局及びUEが、PDCCHシグナリングの各フィールドの所定の意味に従って、PDCCHシグナリングを解析することを指定してもよい。
基地局によって送信されたPDCCHシグナリングがCIFを含まない場合、UEがPDCCHシグナリングを受信した後、UEはCIFを有さないPDCCHシグナリングを解析する規則に従って、PDCCHシグナリングを解析することができる。解析の特定の規則は、UEと基地局とによって予め折衝(ニゴシエート)される。
前述の実施形態において、第1のサーチ空間と第2のサーチ空間との間に物理的にオーバーラップする領域が存在し、かつ、第1のサーチ空間内のCIFを有さないPDCCHシグナリングの長さが、第2のサーチ空間内のCIFを有するPDCCHシグナリングの長さと等しい場合、基地局は、CIFを有さないPDCCHシグナリングをUEに送信する必要がある。このようにして、CIFを有さないPDCCHシグナリングのみがUEに送信され、UEでは、物理的にオーバーラップする領域内で受信されたPDCCHシグナリングがCIFを含まず、PDCCHシグナリング内で割り当てられるリソースが、確かにそのPDCCHシグナリングを運ぶために使用されたキャリアに由来するリソースであることがわかるので、UEがシグナリングを不適正に解析することが防止される。
例えば、基地局が現在のリソーススケジューリングモードをUEに通知するために使用される準静的RRCシグナリングを送信してから、UEによって返されたRRC接続再設定完了シグナリングを受信するまでの期間中、及び、基地局がUEによって返されたRRC接続再設定完了シグナリングを受信した後に、PDCCHシグナリングを運ぶために使用される、UEにおける現在のキャリアのCSS内の、DCIフォーマット0、又はDCIフォーマット1Aの、CIFを有さないPDCCHシグナリングの長さが、現在のキャリア上の、UEのUESS内の、別のフォーマットの、CIFを有するPDCCHシグナリングの長さと等しい場合(ここで、CIFを有するPDCCHシグナリングは、現在のキャリア上の帯域幅より小さい帯域幅の、別のキャリアをスケジュールするために使用される)、かつ、CSSとUESSとの間に物理的にオーバーラップする領域が存在する場合、基地局は、物理的にオーバーラップする領域内ではCIFを有さないPDCCHシグナリングを送信し、そのPDCCHシグナリングは、UEに固有のリソース割り当て情報を運ぶ。一実施形態では、UEと基地局とは、物理的にオーバーラップする領域内で送信される全てのPDCCHシグナリングが、CIFを含まないことを、予め折衝しておくことができる。従って、PDCCHシグナリングを受信した後、UEでは、PDCCHシグナリングがCIFを含まず、PDCCHシグナリング内で割り当てられるリソースが、確かにそのPDCCHシグナリングを運ぶために使用されたキャリアに由来するリソースであることがわかるので、UEがシグナリングを不適正に解析することが防止される。
図1、及び図5に示す実施形態において、第1のサーチ空間はCSSであってもよく、第2のサーチ空間はUESSであり、第1のサーチ空間及び第2のサーチ空間のCCEレベルは4又は8であってもよい。あるいは、第1のサーチ空間及び第2のサーチ空間は、UEの異なるCCをスケジュールするために使用される2つのUESSを含む。)

先願明細書等の上記記載、及び通信分野における技術常識を考慮すると、次のことがいえる。

ア 上記「(5)」の「ステップ501:第1のサーチ空間と第2のサーチ空間との間に物理的にオーバーラップする領域が存在し、かつ、第1のサーチ空間内のCIFを有さないPDCCHシグナリングの長さが、第2のサーチ空間内のCIFを有するPDCCHシグナリングの長さと等しい場合、UEは、物理的にオーバーラップする領域内では、基地局によって送信されたCIFを有さないPDCCHシグナリングを受信する。
ステップ502:UEは、設定された規則に従って、PDCCHシグナリングを解析する。設定された規則は、基地局及びUEが、PDCCHシグナリングの各フィールドの所定の意味に従って、PDCCHシグナリングを解析することを指定してもよい。」との記載によれば、先願明細書等には、UEを動作させる方法が記載されているといえる。

イ 上記「(1)」の「1つのユーザ機器(User Equipment、略してUE)に対して複数のコンポーネントキャリア(Component Carrier、略してCC)がスケジュールされる。
・・・(中略)・・・
LTE−Aシステムでは、リソースは、2つのモードでスケジュールされることが可能である。1つのモードは、同一CCスケジューリング(Same−CC Scheduling、略してSCS)であり、これは、あるキャリア上のPDCCHシグナリングが、当該キャリアのリソース、及び当該キャリアに対応する上りリンクキャリアのリソースのみをスケジュールするために使用されることが可能であることを意味する。もう1つのモードは、クロスCCスケジューリング(Cross−CC Scheduling、略してCCS)であり、これは、あるキャリア上のPDCCHシグナリングが、当該キャリア又はその他のキャリアのリソースをスケジュールするために使用されることが可能であることを意味する。」との記載がある。ここで、上記記載におけるキャリアがコンポーネントキャリアを意味することは明らかであることを考慮すれば、上記記載から、複数のコンポーネントキャリアがスケジュールされ、同一CCスケジューリングでは、あるコンポーネントキャリア上のPDCCHシグナリングが当該コンポーネントキャリアのリソース、及び当該コンポーネントキャリアに対応する上りリンクキャリアのリソースのみをスケジュールするために使用され、クロスCCスケジューリングでは、あるコンポーネントキャリア上のPDCCHシグナリングが当該キャリア又はその他のコンポーネントキャリアのリソースをスケジュールするために使用されるといえる。
また、上記「(4)」の「ステップ102:第1のサーチ空間と第2のサーチ空間との間に物理的にオーバーラップする領域が存在し、かつ、第1のサーチ空間内のCIFを有さないPDCCHシグナリングの長さが、第2のサーチ空間内のCIFを有するPDCCHシグナリングの長さと等しい場合、基地局は、物理的にオーバーラップする領域内では、CIFを有さないPDCCHシグナリングをUEに送信する。」及び上記「(5)」の「ステップ501:第1のサーチ空間と第2のサーチ空間との間に物理的にオーバーラップする領域が存在し、かつ、第1のサーチ空間内のCIFを有さないPDCCHシグナリングの長さが、第2のサーチ空間内のCIFを有するPDCCHシグナリングの長さと等しい場合、UEは、物理的にオーバーラップする領域内では、基地局によって送信されたCIFを有さないPDCCHシグナリングを受信する。」との記載から、UEが、PDCCHシグナリングを受信するといえる。
更に、上記「(2)」の「ロングタームエボリューション(Long Term Evolution、略してLTE)などの通信システムでは、eNBなどの基地局が、1つのキャリア上のリソースをUEに対してスケジュールする。」との記載、上記「(1)」の「1つのモードは、同一CCスケジューリング(Same−CC Scheduling、略してSCS)であり、これは、あるキャリア上のPDCCHシグナリングが、当該キャリアのリソース、及び当該キャリアに対応する上りリンクキャリアのリソースのみをスケジュールするために使用されることが可能であることを意味する。もう1つのモードは、クロスCCスケジューリング(Cross−CC Scheduling、略してCCS)であり、これは、あるキャリア上のPDCCHシグナリングが、当該キャリア又はその他のキャリアのリソースをスケジュールするために使用されることが可能であることを意味する。」との記載、及び、上記記載の「上りリンクキャリア」は上り、すなわちUEがeNBと通信するキャリアであることが技術常識であることを踏まえると、UEは、リソースをスケジュールするPDCCHシグナリングに基づいてeNBと通信するといえる。
したがって、先願明細書等には、複数のコンポーネントキャリアがスケジュールされ、同一CCスケジューリングでは、あるコンポーネントキャリア上のPDCCHシグナリングが当該コンポーネントキャリアのリソース、及び当該コンポーネントキャリアに対応する上りリンクキャリアのリソースのみをスケジュールするために使用され、クロスCCスケジューリングでは、あるコンポーネントキャリア上のPDCCHシグナリングが当該コンポーネントキャリア又はその他のコンポーネントキャリアのリソースをスケジュールするために使用され、UEが、PDCCHシグナリングを受信し、リソースをスケジュールするPDCCHシグナリングに基づいてeNBと通信することが記載されているといえる。

ウ 上記「(1)」の「CCSモードでは、どのキャリアのリソースがPDCCHシグナリングによって現在スケジュールされているかを示すために、UE固有のPDCCHシグナリングに、キャリア識別フィールド(Carrier Indicator Field、略してCIF)が追加される必要がある。」との記載から、CIFがキャリアインジケータフィールドを意味することは明らかである。
また、上記「(4)」の「ステップ102:第1のサーチ空間と第2のサーチ空間との間に物理的にオーバーラップする領域が存在し、かつ、第1のサーチ空間内のCIFを有さないPDCCHシグナリングの長さが、第2のサーチ空間内のCIFを有するPDCCHシグナリングの長さと等しい場合、基地局は、物理的にオーバーラップする領域内では、CIFを有さないPDCCHシグナリングをUEに送信する。」及び「基地局は、異なるPDCCHシグナリングのサーチ空間がオーバーラップしている可能性があるということを(すなわち、同じインデックスを有するCCEの一部又は全てが、物理的にオーバーラップする領域である)、異なるサーチ空間が、インデックスの一部又は全てが同じであるCCEを含むと判定することによって、決定することができる。」との記載によれば、「第1のサーチ空間と第2のサーチ空間との間に物理的にオーバーラップする領域が存在し、かつ、第1のサーチ空間内のCIFを有さないPDCCHシグナリングの長さが、第2のサーチ空間内のCIFを有するPDCCHシグナリングの長さと等しい場合」であることを、基地局が決定することは明らかである。
そして、上記「(4)」に「ステップ102:第1のサーチ空間と第2のサーチ空間との間に物理的にオーバーラップする領域が存在し、かつ、第1のサーチ空間内のCIFを有さないPDCCHシグナリングの長さが、第2のサーチ空間内のCIFを有するPDCCHシグナリングの長さと等しい場合、基地局は、物理的にオーバーラップする領域内では、CIFを有さないPDCCHシグナリングをUEに送信する。」と記載されていることについて、「第1のサーチ空間と第2のサーチ空間との間に物理的にオーバーラップする領域が存在し、かつ、第1のサーチ空間内のCIFを有さないPDCCHシグナリングの長さが、第2のサーチ空間内のCIFを有するPDCCHシグナリングの長さと等しい場合」であって「物理的にオーバーラップする領域内で」PDCCHシグナリングを送信する場合について、以下のとおり検討する。
上記「(3)」の「現在のキャリアCC1のCSS内の、CIFを有さないDCIフォーマット0、又はCIFを有さないDCIフォーマット1Aの、PDCCHシグナリングの長さは、CC1のUESS内の、別のフォーマットで、かつ、CC1の帯域幅より小さい帯域幅のキャリアCC2をスケジュールするために使用される、CIFを有するPDCCHシグナリングの長さと等しい可能性がある。CSSとUESSとの間に物理的にオーバーラップする領域が存在する場合、UEはシグナリングを不適正に解析し、物理的にオーバーラップする領域内で検出されたPDCCHシグナリングが、CC1内のリソースをスケジュールするために使用される、又は、CC2内のリソースをスケジュールするために使用されると、誤って判断する可能性がある。」との記載を踏まえると、上記「(4)」の「第1のサーチ空間と第2のサーチ空間との間に物理的にオーバーラップする領域が存在し、かつ、第1のサーチ空間内のCIFを有さないPDCCHシグナリングの長さが、第2のサーチ空間内のCIFを有するPDCCHシグナリングの長さと等しい場合」であって「物理的にオーバーラップする領域内で」PDCCHシグナリングを送信する場合には、物理的にオーバーラップする領域内で検出されたPDCCHシグナリングが、現在のコンポーネントキャリアCC1内のリソースをスケジュールするために使用される、又は、コンポーネントキャリアCC2内のリソースをスケジュールするために使用されると、誤って判断する可能性がある場合が含まれるといえる。
よって、先願明細書等には、第1のサーチ空間と第2のサーチ空間との間に物理的にオーバーラップする領域が存在し、かつ、第1のサーチ空間内のキャリアインジケータフィールド(CIF)を有さないPDCCHシグナリングの長さが、第2のサーチ空間内のCIFを有するPDCCHシグナリングの長さと等しい場合であることをeNBが決定するときに、eNBは、物理的にオーバーラップする領域内では、CIFを有さないPDCCHシグナリングをUEに送信し、前記第1のサーチ空間と第2のサーチ空間との間に物理的にオーバーラップする領域が存在する場合、物理的にオーバーラップする領域内で検出されたPDCCHシグナリングが、現在のコンポーネントキャリアCC1内のリソースをスケジュールするために使用される、又は、コンポーネントキャリアCC2内のリソースをスケジュールするために使用されると、誤って判断する可能性があることが記載されているといえる。

エ 上記「(1)」の「CCSモードでは、どのキャリアのリソースがPDCCHシグナリングによって現在スケジュールされているかを示すために、UE固有のPDCCHシグナリングに、キャリア識別フィールド(Carrier Indicator Field、略してCIF)が追加される必要がある。」との記載から、キャリアがコンポーネントキャリアを意味することは明らかであるから、CIFは、リソースがPDCCHシグナリングによって現在スケジュールされているコンポーネントキャリアを示すものであるといえる。

オ 上記(2)の「スケジュールされたUEが、PDCCHシグナリングの長さ、及びサーチ空間の制御チャネル要素(Control Channel Element、略してCCE)レベルに従って、PDCCHのサーチ空間内のPDCCHシグナリングを復調及び復号し」との記載、及び「サーチ空間は、共通サーチ空間(Common Search Space、CSS)、及びUE固有のサーチ空間(UE−specific Search Space、UESS)に分類される。CSS及びUESSは異なるサーチ空間であるが、物理的にオーバーラップしてもよい。すなわち、異なるサーチ空間は、インデックスの一部又は全てのインデックスが同じであるCCEを含んでもよい。」との記載によれば、共通サーチ空間(CSS)及びUE固有のサーチ空間(UESS)が、インデックスの一部又は全てのインデックスが同じである制御チャネル要素(CCE)を含んでもよいといえる。
そして、上記「(4)」の「基地局は、異なるPDCCHシグナリングのサーチ空間がオーバーラップしている可能性があるということを(すなわち、同じインデックスを有するCCEの一部又は全てが、物理的にオーバーラップする領域である)、異なるサーチ空間が、インデックスの一部又は全てが同じであるCCEを含むと判定することによって、決定することができる。」との記載、及び上記「(5)」の「図1、及び図5に示す実施形態において、第1のサーチ空間はCSSであってもよく、第2のサーチ空間はUESSであり、第1のサーチ空間及び第2のサーチ空間のCCEレベルは4又は8であってもよい。」との記載によれば、基地局(eNB)は、異なるPDCCHシグナリングのサーチ空間がオーバーラップしている可能性があるということを、第1のサーチ空間であるCSSと第2のサーチ空間であるUESSが、インデックスの一部又は全てが同じであるCCEを含むと判定することによって決定するといえる。
してみれば、先願明細書等には、共通サーチ空間(CSS)及びUE固有のサーチ空間(UESS)が、インデックスの一部又は全てのインデックスが同じである制御チャネル要素(CCE)を含んでもよく、eNBは、異なるPDCCHシグナリングのサーチ空間がオーバーラップしている可能性があるということを、第1のサーチ空間であるCSSと第2のサーチ空間であるUESSが、インデックスの一部又は全てが同じであるCCEを含むと判定することによって決定することが記載されているといえる。

したがって、上記「ア」ないし「オ」を総合すると、先願明細書等には、次の発明(以下、「先願発明」という。)が記載されていると認められる。

「UEを動作させる方法であって、
複数のコンポーネントキャリアがスケジュールされ、同一CCスケジューリングでは、あるコンポーネントキャリア上のPDCCHシグナリングが当該コンポーネントキャリアのリソース、及び当該コンポーネントキャリアに対応する上りリンクキャリアのリソースのみをスケジュールするために使用され、クロスCCスケジューリングでは、あるコンポーネントキャリア上のPDCCHシグナリングが当該コンポーネントキャリア又はその他のコンポーネントキャリアのリソースをスケジュールするために使用され、PDCCHシグナリングを受信し、
リソースをスケジュールするPDCCHシグナリングに基づいてeNBと通信するものであり、
第1のサーチ空間と第2のサーチ空間との間に物理的にオーバーラップする領域が存在し、かつ、第1のサーチ空間内のキャリアインジケータフィールド(CIF)を有さないPDCCHシグナリングの長さが、第2のサーチ空間内のCIFを有するPDCCHシグナリングの長さと等しい場合であることをeNBが決定するときに、eNBは、物理的にオーバーラップする領域内では、CIFを有さないPDCCHシグナリングをUEに送信し、前記第1のサーチ空間と第2のサーチ空間との間に物理的にオーバーラップする領域が存在する場合、物理的にオーバーラップする領域内で検出されたPDCCHシグナリングが、現在のコンポーネントキャリアCC1内のリソースをスケジュールするために使用される、又は、コンポーネントキャリアCC2内のリソースをスケジュールするために使用されると、誤って判断する可能性があり、
CIFは、リソースがPDCCHシグナリングによって現在スケジュールされているコンポーネントキャリアを示すものであり、
共通サーチ空間(CSS)及びUE固有のサーチ空間(UESS)が、インデックスの一部又は全てのインデックスが同じである制御チャネル要素(CCE)を含んでもよく、eNBは、異なるPDCCHシグナリングのサーチ空間がオーバーラップしている可能性があるということを、第1のサーチ空間であるCSSと第2のサーチ空間であるUESSが、インデックスの一部又は全てが同じであるCCEを含むと判定することによって決定する、
方法。」

第5 対比及び判断
1 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と先願発明とを対比すると、次のことがいえる。

ア 先願発明の「UE」は本願発明1の「ユーザ機器(UE)」に相当する。そして、本願発明の「ユーザ機器(UE)を動作させる方法」と、先願発明の「UEを動作させる方法」は、ユーザ機器(UE)を動作させる方法である点で共通する。

イ 先願発明の「PDCCHシグナリング」は、コンポーネントキャリアに対応する上りリンクキャリアのリソースをスケジュールするためのものであり、上りリンクキャリアのリソースをスケジュールするためのシグナリングをグラントと呼称し得ることは技術常識である。
そうすると、本願発明1の「一次コンポーネントキャリアおよび少なくとも1つの二次コンポーネントキャリアを含む複数のコンポーネントキャリアのうちのあるコンポーネントキャリア上でグラントを受信すること」と、先願発明の「複数のコンポーネントキャリアがスケジュールされ、同一CCスケジューリングでは、あるコンポーネントキャリア上のPDCCHシグナリングが当該コンポーネントキャリアのリソース、及び当該コンポーネントキャリアに対応する上りリンクキャリアのリソースのみをスケジュールするために使用され、クロスCCスケジューリングでは、あるコンポーネントキャリア上のPDCCHシグナリングが当該コンポーネントキャリア又はその他のコンポーネントキャリアのリソースをスケジュールするために使用され、UEが、PDCCHシグナリングを受信」することとは、複数のコンポーネントキャリアのうちのあるコンポーネントキャリア上でグラントを受信する点で共通する。

ウ 先願発明の「eNB」がeNodeBの省略形であることは技術常識である。そして、上記「イ」で検討したことを考慮すれば、本願発明1の「前記グラントに基づいてeNodeBと通信すること」と、先願発明の「UEが、リソースをスケジュールするPDCCHシグナリングに基づいてeNBと通信する」こととは、グラントに基づいてeNodeBと通信することである点で共通する。

エ 先願発明の「第1のサーチ空間と第2のサーチ空間との間に物理的にオーバーラップする領域が存在し、かつ、第1のサーチ空間内のキャリアインジケータフィールド(CIF)を有さないPDCCHシグナリングの長さが、第2のサーチ空間内のCIFを有するPDCCHシグナリングの長さと等しい場合」に送信され、「物理的にオーバーラップする領域内で検出されたPDCCHシグナリングが、現在のコンポーネントキャリアCC1内のリソースをスケジュールするために使用される、又は、コンポーネントキャリアCC2内のリソースをスケジュールするために使用されると、誤って判断する可能性」があることについて、現在のコンポーネントキャリアCC1内のリソースをスケジュールするために使用されるPDCCHシグナリングはCIFを有さず、コンポーネントキャリアCC2内のリソースをスケジュールするために使用されるPDCCHシグナリングはCIFを有することを踏まえると、「物理的にオーバーラップする領域内で検出されたPDCCHシグナリングが、現在のコンポーネントキャリアCC1内のリソースをスケジュールするために使用される、又は、コンポーネントキャリアCC2内のリソースをスケジュールするために使用されると、UEが誤って判断する可能性」があることは、物理的にオーバーラップする領域内で検出されたPDCCHシグナリングがCIFを有さないのか有するのかをUEが誤って判断する可能性があることと言い換えることができる。そして、判別できれば、誤って判断する可能性はないといえるから、誤って判断する可能性があるということは、判別できないことに含まれるといえる。
したがって、先願発明の「前記第1のサーチ空間と第2のサーチ空間との間に物理的にオーバーラップする領域が存在する場合、物理的にオーバーラップする領域内で検出されたPDCCHシグナリングが、現在のコンポーネントキャリアCC1内のリソースをスケジュールするために使用される、又は、コンポーネントキャリアCC2内のリソースをスケジュールするために使用されると、誤って判断する可能性」があることは、本願発明1の「前記UEがグラントにキャリアインジケータフィールド(CIF)が含まれているかどうかを判別できない」ことに含まれるといえる。
また、先願発明の「eNBは、物理的にオーバーラップする領域内では、CIFを有さないPDCCHシグナリングをUEに送信」することについて、eNBが、物理的にオーバーラップする領域内でPDCCHシグナリングを送信することを決定することは明らかである。
更に、先願発明の「CIFを有さないPDCCHシグナリング」は現在のコンポーネントキャリアCC1をスケジュールするためのものであるから、先願発明において「複数のコンポーネントキャリアがスケジュールされ」、「CIFを有さないPDCCHシグナリングをUEに送信」することは、CIFを有さないPDCCHシグナリングを送信することによって、複数のコンポーネントキャリアのうちの現在のコンポーネントキャリアCC1をスケジュールすることであるといえる。
よって、本願発明1の「前記グラントは、前記UEがグラントにキャリアインジケータフィールド(CIF)が含まれているかどうかを判別できないと前記UEが決定するときに前記複数のコンポーネントキャリアのうちの前記一次コンポーネントキャリアのみをスケジューリング」することと、先願発明の「複数のコンポーネントキャリアがスケジュールされ」、「第1のサーチ空間と第2のサーチ空間との間に物理的にオーバーラップする領域が存在し、かつ、第1のサーチ空間内のキャリアインジケータフィールド(CIF)を有さないPDCCHシグナリングの長さが、第2のサーチ空間内のCIFを有するPDCCHシグナリングの長さと等しい場合であることをeNBが決定するときに、eNBは、物理的にオーバーラップする領域内では、CIFを有さないPDCCHシグナリングをUEに送信し、前記第1のサーチ空間と第2のサーチ空間との間に物理的にオーバーラップする領域が存在する場合、物理的にオーバーラップする領域内で検出されたPDCCHシグナリングが、現在のコンポーネントキャリアCC1内のリソースをスケジュールするために使用される、又は、コンポーネントキャリアCC2内のリソースをスケジュールするために使用されると、誤って判断する可能性」があることとは、グラントは、UEがグラントにキャリアインジケータフィールド(CIF)が含まれているかどうかを判別できないと決定するときに複数のコンポーネントキャリアのうちのコンポーネントキャリアをスケジューリングする点で共通する。

オ 本願発明1の「前記CIFは、前記グラントが適用される、前記複数のコンポーネントキャリアのうちの1つのコンポーネントキャリアを示」すことと、先願発明の「複数のコンポーネントキャリアがスケジュールされ」、「CIFは、リソースがPDCCHシグナリングによって現在スケジュールされているコンポーネントキャリアを示すもの」であることとは、CIFは、グラントが適用される、複数のコンポーネントキャリアのうちの1つのコンポーネントキャリアを示すことである点で共通する。

カ 先願発明の「共通サーチ空間(CSS)」及び「UE固有のサーチ空間(UESS)」は、それぞれ、本願発明1の「共通の探索空間」及び「UE固有の探索空間」に相当する。
そして、PDCCHシグナリングの長さは、そのペイロードサイズに応じて変化することが技術常識であることと、上記「エ」の検討事項とを踏まえると、先願発明の「第1のサーチ空間と第2のサーチ空間との間に物理的にオーバーラップする領域が存在し、かつ、第1のサーチ空間内のキャリアインジケータフィールド(CIF)を有さないPDCCHシグナリングの長さが、第2のサーチ空間内のCIFを有するPDCCHシグナリングの長さと等しい場合」であって「物理的にオーバーラップする領域内でPDCCHシグナリングを送信する」ときは、本願発明1の「前記グラントが共通の探索空間とUE固有の探索空間の重なり合う探索空間内に配置され、前記グラントを受信する前記UEが、前記CIFが前記グラントのペイロードサイズに基づいて前記グラント内に含まれるかどうか判別できないとき」に含まれるといえる。
更に、先願発明の「共通サーチ空間(CSS)及びUE固有のサーチ空間(UESS)が、インデックスの一部又は全てのインデックスが同じである制御チャネル要素(CCE)を含」み「第1のサーチ空間であるCSSと第2のサーチ空間であるUESSが、インデックスの一部又は全てが同じであるCCEを含む」ことは、本願発明1の「前記共通の探索空間は、共通の探索空間の制御チャネル要素(CCE)インデックスと前記UE固有の探索空間のCCEインデックスが等しいときに前記UE固有の探索空間と重なり合う」ことに相当する。
してみれば、本願発明1の「前記判別できないことは、前記グラントが共通の探索空間とUE固有の探索空間の重なり合う探索空間内に配置され、前記グラントを受信する前記UEが、前記CIFが前記グラントのペイロードサイズに基づいて前記グラント内に含まれるかどうか判別できないときに決定され、前記共通の探索空間は、共通の探索空間の制御チャネル要素(CCE)インデックスと前記UE固有の探索空間のCCEインデックスが等しいときに前記UE固有の探索空間と重なり合う」ことと、先願発明の「eNBは、物理的にオーバーラップする領域内では、CIFを有さないPDCCHシグナリングをUEに送信」するものであって「共通サーチ空間(CSS)及びUE固有のサーチ空間(UESS)が、インデックスの一部又は全てのインデックスが同じである制御チャネル要素(CCE)を含んでもよく、eNBは、異なるPDCCHシグナリングのサーチ空間がオーバーラップしている可能性があるということを、第1のサーチ空間であるCSSと第2のサーチ空間であるUESSが、インデックスの一部又は全てが同じであるCCEを含むと判定することによって決定するものである」こととは、判別できないことは、グラントが共通の探索空間とUE固有の探索空間の重なり合う探索空間内に配置され、前記グラントを受信するUEが、CIFが前記グラントのペイロードサイズに基づいて前記グラント内に含まれるかどうか判別できないときに決定され、前記共通の探索空間は、共通の探索空間の制御チャネル要素(CCE)インデックスと前記UE固有の探索空間のCCEインデックスが等しいときに前記UE固有の探索空間と重なり合うことである点で共通する。

したがって、上記「ア」ないし「カ」を総合すれば、本願発明1と先願発明は、以下の点で一致し、また相違する。

<一致点>
「ユーザ機器(UE)を動作させる方法であって、
複数のコンポーネントキャリアのうちのあるコンポーネントキャリア上でグラントを受信することと、
前記グラントに基づいてeNodeBと通信すること
を備え、前記グラントは、前記UEがグラントにキャリアインジケータフィールド(CIF)が含まれているかどうかを判別できないと決定するときに前記複数のコンポーネントキャリアのうちのコンポーネントキャリアをスケジューリングし、
前記CIFは、前記グラントが適用される、前記複数のコンポーネントキャリアのうちの1つのコンポーネントキャリアを示し、前記判別できないことは、前記グラントが共通の探索空間とUE固有の探索空間の重なり合う探索空間内に配置され、前記グラントを受信する前記UEが、前記CIFが前記グラントのペイロードサイズに基づいて前記グラント内に含まれるかどうか判別できないときに決定され、前記共通の探索空間は、共通の探索空間の制御チャネル要素(CCE)インデックスと前記UE固有の探索空間のCCEインデックスが等しいときに前記UE固有の探索空間と重なり合う、
方法。」

<相違点>
本願発明1においては、複数のコンポーネントキャリアが「一次コンポーネントキャリアおよび少なくとも1つの二次コンポーネントキャリアを含」み、グラントは、UEがグラントにキャリアインジケータフィールド(CIF)が含まれているかどうかを判別できないと「前記UE」が決定するときに「前記一次コンポーネントキャリアのみ」をスケジューリングするのに対して、先願発明においては、複数のコンポーネントキャリアが「現在のコンポーネントキャリアCC1」及び「コンポーネントキャリアCC2」を含み、現在のコンポーネントキャリアCC1をスケジュールするCIFを有さないPDCCHシグナリングとコンポーネントキャリアCC2をスケジュールするCIFを有するPDCCHシグナリングとをUEが判別できないことを「eNB」が決定するときに「CIFを有さないPDCCHシグナリングをUEに送信する」ものであって、本願発明1の上記発明特定事項について特定されていない点。

(2)相違点についての判断
上記相違点について検討するにあたり、事案に鑑みて、上記相違点に係る本願発明1の上記発明特定事項の一部である、UEがグラントにキャリアインジケータフィールド(CIF)が含まれているかどうかを判別できないと「前記UE」が決定する点について先に検討する。
UEがグラントにキャリアインジケータフィールド(CIF)が含まれているかどうかを判別できないと「前記UE」が決定することは、先願明細書等の記載を参酌しても、その課題解決のための具体化手段における微差(周知技術、慣用技術の付加、削除、転換等であって、新たな効果を奏するものでないもの)であるといえない。
よって、本願発明1の上記相違点の他の発明特定事項について判断するまでもなく、本願発明1は、先願発明と同一であるとはいえない。

2 本願発明2ないし9について
本願発明2ないし4及び9は、本願発明1の発明特定事項を全て備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、先願発明と同一であるとはいえない。
また、本願発明5は、「ユーザ機器(UE)を動作させる方法」である本願発明1に対応する「ワイヤレス通信のための装置」の発明であって、上記相違点に係る上記発明特定事項の一部に対応する、装置がグラントにキャリアインジケータフィールド(CIF)が含まれているかどうかを判別できないと「前記装置」が決定するという発明特定事項を少なくとも備えるものであるから、本願発明1と同様の理由により、先願発明と同一であるとはいえない。
更に、本願発明6ないし8は、本願発明5の発明特定事項を全て備えるものであるから、本願発明5と同じ理由により、先願発明と同一であるとはいえない。

第6 原査定についての判断
令和4年3月2日にされた手続補正により、本願発明1ないし9は、いずれも、UEがグラントにキャリアインジケータフィールド(CIF)が含まれているかどうかを判別できないと「前記UE」が決定するという発明特定事項、又は、装置がグラントにキャリアインジケータフィールド(CIF)が含まれているかどうかを判別できないと「前記装置」が決定するという発明特定事項を、少なくとも備えるものとなっている。してみれば、上記「第5」の「1」及び「2」で説示したとおり、本願発明1ないし9は、先願発明と同一であるとはいえない。
したがって、原査定の理由を維持することはできない。

第7 当審拒絶理由について
当審における令和4年2月16日付け拒絶理由通知書で通知した拒絶の理由(以下、「当審拒絶理由」という。)の概要は、令和3年12月21日に提出された手続補正書に記載された請求項3及び7の「前記PDCCH内で受信される情報は、セル無線ネットワーク一時識別し(C−RNTI)によってスクランブルされたCRCを含むときにのみ一次セル用の情報であると仮定される」との記載が明確でないというものである。これに対し、令和4年3月2日にされた手続補正により、当該請求項3及び7の「前記PDCCH内で受信される情報は、セル無線ネットワーク一時識別子(C−RNTI)によってスクランブルされたCRCを含むときにのみ一次セル用の情報であると仮定される」との記載が「前記グラントは、前記グラントに付加されたCRCがセル無線ネットワーク一時識別子(C−RNTI)によってスクランブルされているときに前記一次コンポーネントキャリアのみをスケジューリングする」と補正されたことにより、これらの拒絶の理由は解消した。

第8 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。

 
審決日 2022-04-19 
出願番号 P2019-092192
審決分類 P 1 8・ 537- WY (H04W)
P 1 8・ 161- WY (H04W)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 廣川 浩
特許庁審判官 國分 直樹
森田 充功
発明の名称 LTEにおけるPDCCHペイロードサイズのあいまいさを解決する方法  
代理人 井関 守三  
代理人 蔵田 昌俊  
代理人 岡田 貴志  
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