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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06F
管理番号 1383726
総通号数
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2022-05-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-02-05 
確定日 2022-05-16 
事件の表示 特願2019−511729「センサ及び触覚を用いた指装着デバイス」拒絶査定不服審判事件〔平成31年 1月 3日国際公開、WO2019/005586、令和 1年 9月19日国内公表、特表2019−526864、請求項の数(20)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯

本願は、2018年(平成30年)6月21日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2017年6月29日、米国;2018年6月21日、米国)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
平成31年 2月27日 :手続補正書の提出
令和 元年10月 3日 :手続補正書の提出
令和 2年 4月23日付け :拒絶理由通知
令和 2年 7月22日 :意見書、手続補正書の提出
令和 2年 9月29日付け :拒絶査定(原査定)
令和 3年 2月 5日 :審判請求書、手続補正書の提出
令和 3年12月21日付け :拒絶理由(当審拒絶理由)通知
令和 4年 3月23日 :意見書、手続補正書の提出

第2 原査定の概要

原査定(令和2年9月29日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

理由(進歩性
この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。



・請求項 1、4〜5、8〜12
・引用文献等 A〜D、J

・請求項 2、14〜16
・引用文献等 A〜E、J

・請求項 3
・引用文献等 A〜D、F、J

・請求項 6〜7、17〜18
・引用文献等 A〜F、J

・請求項 13
・引用文献等 A〜D、G、J

・請求項 19〜20
・引用文献等 A〜E、H〜J

<引用文献等一覧>
A.特開2001−104256号公報
B.特開2008−171409号公報
C.国際公開第2012/176610号
D.特開2015−219887号公報
E.米国特許出願公開第2011/0213664号明細書
F.特開2016−033815号公報
G.特表2015−521303号公報
H.特開2014−142751号公報
I.特開2016−118929号公報
J.特開2013−003782号公報

第3 当審拒絶理由の概要

当審拒絶理由の概要は次のとおりである。

理由1(進歩性
この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。



・請求項 1〜2、4〜5、7〜12、14〜16
・引用文献等 11、10

・請求項 3
・引用文献等 11、10、6

・請求項 13
・引用文献等 11、10、7

・請求項 19〜20
・引用文献等 11、10、8、9

<引用文献等一覧>
11.米国特許出願公開第2009/0096746号明細書
(当審において新たに引用した文献)
10.特開2013−003782号公報(拒絶査定時の引用文献J)
6.特開2016−033815号公報(拒絶査定時の引用文献F)
7.特表2015−521303号公報(拒絶査定時の引用文献G)
8.特開2014−142751号公報(拒絶査定時の引用文献H)
9.特開2016−118929号公報(拒絶査定時の引用文献I)

第4 本願発明

本願の請求項1〜20に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」〜「本願発明20」という。)は、令和4年3月23日になされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1〜20に記載された事項により特定される発明であり、このうち、本願発明1、14及び15は、以下のとおりの発明である。

「 【請求項1】
ユーザの指に装着されるように構成され、前記指は、一面に指の爪を、反対の面に指の腹を有する指先を有する指装着デバイスであって、
前記指先に結合するように構成される本体であって、前記本体は、前記指先の前記指の爪を覆う第1の部分と、前記指先の第1の側部を下に伸びる第2の部分と、前記指先の第2の側部を下に伸びる第3の部分とを有し、前記本体は、前記指先の前記指の腹を露出されたままにし、前記第2の部分と前記第3の部分は前記指先に取り付けるために互いに対して移動するように構成される、本体と、
前記本体の前記第2の部分におけるセンサであって、前記センサは、前記指先の前記第1の側部に沿う異なる大きさの圧縮に基づいて各々が別個のそれぞれの力センサ測定値を生成する複数の構成要素を含む力センサを含む、センサと、
前記本体と結合された触覚出力デバイスと、
制御回路であって、
前記複数の構成要素を含む前記力センサを用いて指入力を収集し、
触覚出力を前記ユーザの指に、前記触覚出力デバイスを用いて提供し、
前記指入力に基づいて制御信号を外部電子デバイスに送信する、ように構成された制御回路とを、備える、指装着デバイス。」

「 【請求項14】
ユーザの指先に着用されるように構成される指装着デバイスであって、前記指装着デバイスは、
力センサと、
触覚出力デバイスと、
加速度計と、
前記指先の指の爪に重なる上部分と、前記指先の指の腹を露出されたままにして前記指先の互いに反対側にある第1の側と第2の側を下に伸びる2つの側部と、を有する支持構造体を有する指先ユニットであって、前記2つの側部が、前記指先に取り付けるために互いに対して移動するように構成され、前記支持構造体の前記2つの側部のうちの1つが、前記力センサであって、前記指先の前記第1の側又は前記第2の側に沿う異なる大きさの圧縮に基づいて各々が別個のそれぞれの力センサ測定値を生成する複数の構成要素を含む前記力センサと結合され、前記支持構造体が、前記触覚出力デバイスと、前記加速度計とに結合される、指先ユニットと、
前記複数の構成要素を含む前記力センサ及び前記加速度計から指入力を収集するように構成されると共に、駆動信号を前記触覚出力デバイスへ供給するように構成された制御回路とを備え、前記制御回路は、無線回路を備え、前記無線回路を用いて前記制御回路が、前記指入力に基づいて制御信号を外部電子デバイスに無線送信する、指装着デバイス。」

「 【請求項15】
第1の部分及び第2の部分を伴うU字型断面外形を有し、前記第1の部分及び第2の部分は、ユーザの指先の指の腹を露出されたままにして前記指先の側部を下に伸びる側壁を形成し、前記側壁は第3の部分によって結合され、前記第1の部分と前記第2の部分は前記指先に取り付けるために互いに対して移動するように構成される、指装着支持構造体と、
前記第1の部分上に配置された力センサであって、前記指先の側部に沿う異なる大きさの圧縮に基づいて各々が別個のそれぞれの力センサ測定値を生成する複数の構成要素を含む力センサと、
前記第3の部分上に配置された加速度計と、
前記指装着支持構造体に結合された触覚出力デバイスと、
前記複数の構成要素を含む前記力センサ及び前記加速度計から指入力を収集し、前記指入力に基づいて制御信号を外部電子デバイスに送信する制御回路とを備える、装置。」

また、本願発明2〜13は、本願発明1を減縮した発明であり、本願発明16〜20は、本願発明15を減縮した発明である。

第5 引用文献、引用発明等

1.令和3年12月21日付けの拒絶理由(当審拒絶理由)に引用された引用文献

(1)引用文献11、引用発明について
当審拒絶理由に引用された引用文献11には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は強調のため当審にて付与。以下同様。)。

「[0018] A method and apparatus using a wearable remote interface device capable of detecting inputs from movements of the wearable remote device are disclosed. The wearable remote interface device, which could be attached to a finger or a hand or any parts of a body, includes a sensor, a filter, an input identifier, and a transmitter. The sensor, in one embodiment, is capable of sensing the movement of the finger or any part of body in which the wearable remote interface device is attached with. Upon detecting the various movements associated with the finger, for example, the filter subsequently removes any extraneous gestures from the detected movements. The input identifier, which could be a part of the filter, identifies one or more user inputs from the filtered movements. The transmitter transmits the input(s) to a processing device via a wireless communications network.」
(当審対訳:
[0018]装着可能リモートデバイスの動きから入力を検出することができる装着可能リモートインターフェースデバイスを使用する方法及び装置が開示されている。装着可能リモートインターフェースデバイスは、指、手、又は身体の任意の部分に取付けることができるものであって、センサ、フィルタ、入力識別子及び送信機を含む。センサは、一実施形態では、指の移動、又は装着可能リモートインターフェースデバイスが取り付けられた状態の体の任意の部分を感知することができる。指に関連したさまざまな動きを検出すると、例えば、フィルタは、その後、検出された動きからあらゆる無関係なジェスチャを除去する。入力識別子は、フィルタの一部であってもよいものであるが、フィルタリングされた動きから1つ又は複数のユーザ入力を識別する。送信機は、無線通信ネットワークを介して処理装置に入力を送信する。)

「[0019] FIG. 1A illustrates a remote input mechanism 100 using a haptic ring interface device 102 in accordance with one embodiment of the present invention. Mechanism 100 includes a wearable haptic ring 102, an index finger 106, and a surface 104, wherein wearable haptic ring 102 is capable of sensing inputs from movements of index finger 106. It should be noted that the underlying concept of the exemplary embodiment of the present invention would not change if additional blocks (circuits or mechanical devices) were added to mechanism 100.」
(当審対訳:
[0019]図1Aは、本発明の一実施形態に関連する触覚リングインターフェースデバイス102を使用したリモート入力機構100を示している。機構100は、装着可能触覚リング102と人差指106と表面104を含み、装着可能触覚リング102は人差指106の動きから入力を感知することができる。追加のブロック(回路又は機械的デバイス)が機構100に追加されても、本発明の例示的な実施形態の基礎となる原理は変わらないことに留意すべきである。)

「[0021] Surface 104, in one embodiment, is a substantially flat surface such as a tabletop, a wall, or any similar surface that feels flat. When finger 106 touches or collides with surface 104, wearable haptic ring 102 senses the motion or movement using an accelerometer or similar sensor(s). Upon detecting motion(s) and/or movement(s), wearable haptic ring 102 generates one or more user inputs such as a mouse click in response to the detected information. It should be noted that the detected information includes contacts, motions, positions, and the like. ・・・(略)・・・」
(当審対訳:
[0021]表面104は、一実施形態では、テーブルトップ、壁、又は平坦に感じられるあらゆる似たような面のような、実質的に平坦な表面である。指106が表面104に接触したり衝突したりする場合に、装着可能触覚リング102は、加速度計又は同様のセンサを用いて動きや動作を検知する。動き及び/又は動作を検出すると、装着可能触覚リング102は、検出された情報に応答して、マウスのクリック操作のような1つ以上のユーザ入力を生成する。検出された情報は、接触、動き、位置等を含んでいることに留意すべきである。・・・(略)・・・)

「[0022] Wearable haptic ring 102 includes a sensor for sensing the movements and an actuator for providing vibrotactile or haptic feedback. In one embodiment, wearable haptic ring 102 includes a combined sensor and actuator device, which is capable of sensing the inputs such as a key stroke and providing the vibrotactile or haptic feedback to confirm the key stroke. Piezoelectric material, in one embodiment, may be used to construct the sensor/actuator device. Some materials such as piezoelectric material, have the physical property of sensing as well as providing vibrotactile effect. For example, piezoelectric material discharges a current indicating it detected a pressure when its physical shape deforms due to a pressure. ・・・(略)・・・ Piezoelectric material, however, releases a current when it is being pressed. As a result, piezoelectric material can detect an input when it is being pressed.」
(当審対訳:
[0022]装着可能触覚リング102は、動きを検知するためのセンサ、及び振動触覚フィードバック又は触覚フィードバックを提供するアクチュエータを含む。一実施形態では、装着可能触覚リング102は、組み合わされたセンサ及びアクチュエータデバイスを含み、これらはキーストロークのような入力を検出し、キーストロークを確認する振動触覚フィードバック又は触覚フィードバックを提供することができる。一実施形態では、圧電材料は、センサ/アクチュエータデバイスを構成するために使用されうる。圧電材料等のいくつかの材料は、振動触覚効果の検知及び提供を行う物理特性を有する。例えば、圧電材料は、圧力に起因してその物理形状が変形することで、圧力を検出したことを示す電流を放出する。・・・(略)・・・圧電材料は、押圧されている時に電流を放出する。その結果、圧電材料は、押圧されているとき、入力を検出することができる。)

「[0024] During the operation, wearable haptic ring 102 worn on a finger uses various sensors including an accelerometer to sense impacts between the fingertip(s) and a surface. Detected impacts and movements are used to identify input commands such as mouse button clicks, key strokes, and other selections. Haptic feedback, for example, is generated to confirm the input command(s) or selections such as a dash rotary button selection. The exemplary embodiment(s) of wearable haptic ring 102, also referred to as smart fingertips or mouse replacement, provides a remote input/output (“I/O”) device to interact with any computers and/or smart objects. The remote I/O device, for example, can be used in place of a computer mouse, a remote control, a keyboard, a phone pad, a touch pad, a touch screen, a touch-screen table computer, etc.」
(当審対訳:
[0024]動作中、指に装着される装着可能触覚リング102は、指先と表面との間の衝撃を検出するための加速度計を含む種々のセンサを使用する。検出された衝撃と動きは、マウス・ボタンのクリック、キーストローク、及び他の選択のような入力コマンドを識別するために使用される。触覚フィードバックは、例えば、入力されたコマンド又はダッシュ回転ボタン選択などの選択を確認するために生成される。装着可能触覚リング102の例示的な実施形態は、スマート指先や、マウスに取って代わるものとも呼ばれるが、任意のコンピュータ及び/又はスマートオブジェクトと相互作用するリモート入出力(「I/O」)デバイスを提供する。このリモート入出力デバイスは、例えば、コンピュータマウス、リモコン、キーボード、電話パッド、タッチパッド、タッチスクリーン、タッチスクリーンテーブルコンピュータなどの代わりに使用することができる。)

「[0041]・・・(略)・・・ It should be further noted that the underlying concept of the exemplary embodiment of the present invention would not change if wearable haptic rings 268 is replaced with haptic finger caps 112, haptic fingernails 122, haptic fingernail tips 132, or a combination of rings, caps, fingernails and tips.」
(当審対訳:
[0041]・・・(略)・・・装着可能触覚リング268は、触覚指キャップ112、触覚指の爪122、触覚爪先132、或いはリング、キャップ、指の爪、爪の先の組み合わせ構造に取って代わっても、本発明の例示的な実施形態の基礎となる原理は変わらないことに留意すべきである。)

「[0044] The exemplary embodiment(s) of the present invention places a sensor and/or actuator at or near a user's fingertips to detect contacts and collisions with a surface and to translate the detected motions into control signals for a computer or a similar device. The user touches a surface with specific command gestures, which may or may not mimic natural motions as pointing, dragging, and button clicking, wearable haptic ring(s) or remote finger ring(s) identify the gestures or movements associated with an input command, and filter out other extraneous motions of a hand. The input command is subsequently used to control server 254 and/or PC 256. Server 254 or PC 256, in one embodiment, sends haptic data to wearable haptic rings 260 - 268 for generating a specific type of vibrotactile feedback to confirm the receipt of input command. Haptic data, for example, may also include information relating to virtual textures, input request, an alert, or the like.」
(当審対訳:
[0044]本発明の例示的な実施形態は、ユーザの指先又はその付近に、表面との接触や衝突を検出し、検出した動きをコンピュータ又は類似のデバイスのための制御信号に変換するためのセンサ及び/又はアクチュエータを設置する。ユーザは、特定のコマンドジェスチャとして表面にタッチし、それは、ポインティング、ドラッギング、ボタンクリックのような自然の動きをまねるような、或いはまねないようなジェスチャであり、装着可能触覚リング又はリモート指環は、入力コマンドに関連したジェスチャ又は動きを識別し、手の他の無関係な動作をフィルタリングして除去する。入力コマンドは、その後、サーバ254及び/又はパーソナルコンピュータ256を制御するために使用される。サーバ254又はパーソナルコンピュータ256は、一実施形態では、入力コマンドの受信を確認するための特定のタイプの振動触覚フィードバックを生成するために、触覚データを装着可能触覚リング260-268に送信する。例えば、触覚データは、仮想触感、入力要求、警告等に関する情報も含むことができる。)

「FIG 1A、FIG 1B



「FIG 1C、FIG 1D



「FIG.2



したがって、上記引用文献11には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「装着可能リモートインターフェースデバイスは、指に取付けることができるものであって、センサ、フィルタ、入力識別子及び送信機を含み、センサは、指の移動を感知することができ、指に関連したさまざまな動きを検出し、フィルタは、その後、検出された動きからあらゆる無関係なジェスチャを除去し、入力識別子は、フィルタリングされた動きから1つ又は複数のユーザ入力を識別し、送信機は、無線通信ネットワークを介して処理装置に入力を送信し、
触覚リングインターフェースデバイス102を使用したリモート入力機構100は、装着可能触覚リング102と人差指106と表面104を含み、装着可能触覚リング102は人差指106の動きから入力を感知することができ、
指106が表面104に接触したり衝突したりする場合に、装着可能触覚リング102は、加速度計又は同様のセンサを用いて動きを検知し、検出された情報に応答して、マウスのクリック操作のような1つ以上のユーザ入力を生成し、検出された情報は、接触、動き、位置等を含んでおり、
装着可能触覚リング102は、動きを検知するためのセンサ、及び振動触覚フィードバックを提供するアクチュエータを含み、これらはキーストロークのような入力を検出し、キーストロークを確認する振動触覚フィードバックを提供し、指に装着される装着可能触覚リング102は、指先と表面との間の衝撃を検出するための加速度計を含む種々のセンサを使用し、検出された衝撃と動きは、マウス・ボタンのクリック、キーストローク、及び他の選択のような入力コマンドを識別するために使用され、任意のコンピュータ及び/又はスマートオブジェクトと相互作用するリモート入出力デバイスを提供し、このリモート入出力デバイスは、例えば、コンピュータマウス、キーボード、タッチパッド、タッチスクリーンなどの代わりに使用することができ、
装着可能触覚リング268は、触覚指キャップ112、触覚指の爪122、触覚爪先132、或いはリング、キャップ、指の爪、爪の先の組み合わせ構造に取って代わっても、基礎となる原理は変わらず、
ユーザは、特定のコマンドジェスチャとして表面にタッチし、それは、ポインティング、ドラッギング、ボタンクリックのような自然の動きをまねるような、或いはまねないようなジェスチャであり、装着可能触覚リングは、入力コマンドに関連したジェスチャ又は動きを識別し、手の他の無関係な動作をフィルタリングして除去し、入力コマンドは、その後、サーバ254及び/又はパーソナルコンピュータ256を制御するために使用され、サーバ254又はパーソナルコンピュータ256は、入力コマンドの受信を確認するための特定のタイプの振動触覚フィードバックを生成するために、触覚データを装着可能触覚リングに送信する、装着可能リモートインターフェースデバイス。」

(2)引用文献10について
当審拒絶理由に引用された引用文献10(拒絶査定時の引用文献J)には、図面とともに次の事項が記載されている。

「【技術分野】
【0001】
本発明は動作検出センサに係り、特に指に装着してその動作を検出する動作検出センサに関する。」
「【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本発明の実施の形態について図面と共に説明する。
【0013】
図1乃至図3は、本発明の一実施形態である動作検出センサを示している。図1は動作検出センサ10の正面図(被覆部材17のみ断面で示す)であり、図2は動作検出センサ10の側面図(被覆部材17の図示は省略している)であり、図3は動作検出センサ10を指Aに装着した状態を示す斜視図である。
【0014】
本実施形態に係る動作検出センサ10は、図3に示すように人(被験者)の指Aを被検査体とし、この被検査体である指Aの動作を検出する機能を奏するものである。この動作検出センサ10は、大略するとベース部11、アーム部12,13、歪ゲージ14、加速度センサ15、及び被覆部材17等を有した構成とされている。
【0015】
基部となるベース部11及びアーム部12,13は、いずれも金属よりなる板状の部材で構成されている。ベース部11とアーム12,13は、異なる金属材料とされている。具体的には、ベース部11はアルミニウム板により構成されており、またアーム部12,13はベース部11よりも弾性変形し易いバネ性を有する材料(例えば、ステンレス鋼)により構成されている。よって、アーム12,13は、ベース部11に対して図1に矢印B1,B2方向に弾性変形可能な構成とされている。
【0016】
なお本実施形態では、アーム部12,13は、溶接によりベース部11に接合された構成とされている。しかしながら、ネジ等の固定部材を用いて接合した構成とすることも可能である。また、ベース部11とアーム部12,13の厚さを変えることにより、ベース部11に対してアーム部12,13を弾性変形し易くすること等により、ベース部11とアーム部12,13を一体的に形成することも可能である。
【0017】
アーム部12,13は、ベース部11の図中矢印X1,X2方向の両側縁部から下方(図中矢印Z1方向)に延出した構成とされている。即ち、アーム部12,13は、一端がベース部11に固定されると共に他端部が自由端とされた片持ち梁状とされている。
【0018】
よって、動作検出センサ10を指Aに装着した際、図1及び図3に示すように、ベース部11は指Aの上部(爪の上部)に当接し、また一対のアーム部12,13は指Aの両側部に当接する。この装着状態において、一対のアーム部12,13はB1方向に若干弾性変形する。このため、この弾性力により指Aは一対のアーム部12,13に挟持された状態となる。この挟持力により、動作検出センサ10は指Aに装着される。
【0019】
加速度センサ15は、ベース部11の上部に配設されている。この加速度センサ15は、指Aが動作した際、この指Aの加速度を検出する。本実施形態では、加速度センサ15として、3軸加速度センサを用いている。よって指Aが動作する際、動作検出センサ10は互いに直行するX1,X2方向、Y1,Y2方向(図3参照)、及びZ1,Z2方向に対する各加速度を検出しうる構成となっている。
【0020】
なお、本実施形態に係る動作検出センサ10に用いる加速度センサ15としては、検出可能な速度レンジが25mm/s以上、計測可能な速度レンジが50mm/s以上、計測可能な加速度レンジが2,4,8Gのものを用いることができる。
【0021】
歪ゲージ14はアーム部12,13に配設されており、指Aが動作した際にアーム部12,13に発生する歪を測定するものである。この歪ゲージ14は、図4に示すようにフィルム状のベース材14bに所定のパターン(例えば、ミアンダ状パターン)で抵抗体14aが形成された構成とされている。また、抵抗体14aの両端部には配線14cが接続されている。
【0022】
抵抗体14aは、変形することにより電気抵抗を変化する特性を有している。即ち、図5に示すように抵抗体14aは変形量が増大することにより、その抵抗値が増大する特性を有している。よって、配線14cから出力される抵抗体14aの抵抗変化を電圧変化として測定することにより歪を測定することが可能となる。」

「【図1】



「【図2】



「【図3】



「【図4】



上記引用文献10の【図1】及び【図3】を参照すると、動作検出センサ10を指Aに装着した際、指先の指の腹を露出されたままにして、装着している様子が見て取れる。また、動作検出センサ10の断面図である【図1】を参照すると、ベース部11及びアーム部12,13の断面形状は、U字型断面形状であることが見て取れる。

したがって、当該引用文献10には、次の技術的事項が記載されていると認められる。

「指に装着してその動作を検出する動作検出センサであって、
動作検出センサ10は、人の指Aを被検査体とし、この被検査体である指Aの動作を検出する機能を奏し、ベース部11、アーム部12,13、歪ゲージ14、加速度センサ15、及び被覆部材17等を有した構成とされ、
基部となるベース部11及びアーム部12,13は、いずれも金属よりなる板状の部材で構成され、ベース部11はアルミニウム板により構成されており、またアーム部12,13はベース部11よりも弾性変形し易いバネ性を有する材料により構成され、よって、アーム12,13は、ベース部11に対して矢印B1,B2方向に弾性変形可能な構成とされ、
アーム部12,13は、ベース部11の両側縁部から下方に延出した構成とされ、即ち、アーム部12,13は、一端がベース部11に固定されると共に他端部が自由端とされた片持ち梁状とされ、当該ベース部11及びアーム部12,13の断面形状は、U字型断面形状であり、
動作検出センサ10を指Aに装着した際、指先の指の腹を露出されたままにして、ベース部11は指Aの上部(爪の上部)に当接し、また一対のアーム部12,13は指Aの両側部に当接し、この装着状態において、一対のアーム部12,13はB1方向に若干弾性変形し、このため、この弾性力により指Aは一対のアーム部12,13に挟持された状態となり、この挟持力により、動作検出センサ10は指Aに装着され、
加速度センサ15は、ベース部11の上部に配設され、この加速度センサ15は、指Aが動作した際、この指Aの加速度を検出し、加速度センサ15として、3軸加速度センサを用いており、指Aが動作する際、動作検出センサ10は互いに直行するX1,X2方向、Y1,Y2方向、及びZ1,Z2方向に対する各加速度を検出しうる構成となっており、
歪ゲージ14はアーム部12,13に配設されており、指Aが動作した際にアーム部12,13に発生する歪を測定するものであり、この歪ゲージ14は、フィルム状のベース材14bに所定のパターンで抵抗体14aが形成された構成とされ、また、抵抗体14aの両端部には配線14cが接続され、抵抗体14aは、変形することにより電気抵抗を変化する特性を有し、配線14cから出力される抵抗体14aの抵抗変化を電圧変化として測定することにより歪を測定することが可能となる、
動作検出センサ10。」

(3)引用文献6について
当審拒絶理由に引用された引用文献6(拒絶査定時の引用文献F)には、図面とともに次の技術的事項が記載されている。

「【0026】
感知部140は、移動端末機100内の情報、移動端末機100を囲む周辺環境に関する情報及びユーザ情報の少なくとも1つを感知するための少なくとも1つのセンサを含む。感知部140は、例えば近接センサ141、照度センサ142、タッチセンサ、加速度センサ、磁気センサ、重力センサ、ジャイロセンサ、モーションセンサ、RGBセンサ、赤外線センサ(IRセンサ)、指紋センサ、超音波センサ、光センサ、カメラ(符号121参照)、マイク(符号122参照)、バッテリゲージ、環境センサ(例えば、気圧計、湿度計、温度計、放射能センサ、熱センサ、ガスセンサなど)、化学センサ(例えば、電子鼻、ヘルスケアセンサ、生体センサなど)の少なくとも1つを含む。また、本発明による移動端末機は、これらセンサの少なくとも2つのセンサにより感知された情報を組み合わせて活用することができる。」

「【0119】
図4Bの(a)に示す指輪型移動端末機100は、外周面に形成される光出力部154を含む。例えば、光出力部154はLEDモジュールからなる。制御部180は、第2指紋検知部420により前記指の指紋が認識されているか否かを光の出力で表示するように光出力部154を制御することができる。」

(4)引用文献7について
当審拒絶理由に引用された引用文献7(拒絶査定時の引用文献G)には、図面とともに次の技術的事項が記載されている。

「【0077】
[077]一態様において、本明細書で提示されている電子デバイスはどれも、機能性電子デバイスのアレイを備える。一実施形態では、機能性電子デバイスは、センサー、アクチュエータ、又はセンサーとアクチュエータの両方である。例えば、センサーは、センサーの運動、速度、加速度などの電子デバイスに関係する物理的パラメータに関する情報、又は電子デバイスが物理的に接触する表面に関連付けられている物理的パラメータ、例えば、圧力、力、温度、電位、伝導率、水和、水分、電磁放射線、又はセンサーが測定することができるパラメータに関する情報を提供することができる。アクチュエータは、対照的に、信号又は刺激を表面に付与する機能を有する。適宜、複数のアクチュエータは、内面に付けられているアクチュエータ及び外面若しくは別の基材の外面のいずれかに付けられているセンサーなどの、複数のセンサーによって制御され得る。このようにして、遠隔制御機器又は中に設けられているデバイスのどれかで被覆されている表面を有するロボットデバイスなどによって、別の表面がどのような「感触」かを表面に実際にタッチすることなく使用者が感じ取るなどの、仮想現実システムが実現される。或いは、手袋などの、多機能性デバイスは、その後使用者の皮膚と形状適合接触している内面に付けられている刺激装置に伝送されるパラメータを感知するために外面にセンサーを有することができる。このようにして、手袋の外部の状態に関する情報は、内面に付けられている刺激装置を介して使用者によって検出される。」

(5)引用文献8について
当審拒絶理由に引用された引用文献8(拒絶査定時の引用文献H)には、図面とともに次の技術的事項が記載されている。

「【0040】
センサー17は、頭部装着型表示装置HMの装着時における使用者の眉間に対応する位置に配置されている撮像装置である。センサー17は、頭部装着型表示装置HMを装着した状態における使用者の視界方向(使用者の前方)の外景を撮像し、使用者が操作する複数の指示体(本実施形態では2つの指示体とする)を含んだ画像を取得し、取得した画像の画像信号を出力する。すなわち、頭部装着型表示装置HMにおける使用者側とは反対側(頭部装着型表示装置HMの外側前方)で操作される指示体を撮像する。本実施例のセンサー17による撮像範囲は、頭部装着型表示装置HMを装着したときの使用者の視界21(図2参照)よりも広い範囲となっている。
【0041】
なお、指示体としては、例えば、使用者の指先や手、使用者が装着する指輪型入力装置、使用者が持つペンのペン先、リモコンの発光体等を用いることができる。指示体として使用者の指先やペン先等を用いる場合は、例えば、指先やペン先等を特徴点(特定点)として認識し、位置を検出すればよい。また、指示体として使用者の手を用いる場合は、手のひらの曲線を特徴点として認識し、位置を検出すれば良い。また、指輪型入力装置を用いる場合、例えば、指輪型入力装置に赤外線発光体(LED等)を取り付け、その赤外線光により位置を検出しても良いし、あるいは、指輪型入力装置を装着している使用者の指先を特徴点として認識し、位置を検出しても良い。さらには、使用者によって仮想的に保持されている任意の物を指示体とすることも可能である。「仮想的に保持する任意の物」とは、例えば、使用者の手の形がペンを握る形になった場合、その手に沿うように仮想的に想定されるペン等を意味する。このような場合であっても、上記と同様に、仮想的に保持されている物の任意の場所(例えば、仮想的に想定されるペンのペン先)を指示体として認識し、ペン先の軌跡等を特徴点として認識し、位置を検出することができる。」

(6)引用文献9について
当審拒絶理由に引用された引用文献9(拒絶査定時の引用文献I)には、図面とともに次の技術的事項が記載されている。

「【0006】
第1の案では、入力支援方法は、コンピュータが、ウェアブルデバイスを装着した指の動作を検出する。入力支援方法は、コンピュータが、検出した指の動作に基づいて、当該指の姿勢を示す軸を検出する。入力支援方法は、コンピュータが、検出した軸に連動する仮想的なレーザポインタと当該軸の軌跡とをヘッドマウントディスプレイに表示する。」

2.原査定の拒絶の理由に引用された引用文献

(1)引用文献Aについて
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献Aには、図面とともに次の技術的事項が記載されている。

「【0004】
【課題を解決するための手段】いま、その構成を説明すると、
(イ)凹型形状の起歪体(1)で、指の両側面を挟み込む。
(ロ)凹型形状の両端部が内側に曲がり、指を包み込む形状(2)である。
(ハ)凹型形状の広がり力を、ひずみゲージ(3)により検出する。
以上のような構成である。」

「【図1】



「【図2】



(2)引用文献Bについて
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献Bには、図面とともに次の技術的事項が記載されている。

「【0029】
本発明の触覚に作用する方法は、触覚を変化させ、かつ触覚情報を取得できる方法であって、対象物との直接の接触を妨げず、該触覚デバイスにより触覚を可変にする触覚可変工程と、該触覚デバイスを介して触覚情報を検出する触覚検出工程と、からなることを特徴とする。また、該触覚デバイスは、対象物との直接の接触を妨げず、触覚を可変にする触覚可変部と、触覚情報を検出する触覚検出部と、から構成されることを特徴とする。ここで、図1は、本発明の触覚に作用する方法および触覚デバイスの実施例を示したものである。図1では爪に触覚デバイスを装着しており、図1の触覚可変部により、指の触覚を可変にすることができ、かつ図1の触覚検出部により、触覚情報を取得することができる。」

「【図1】



(3)引用文献Cについて
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献Cには、図面とともに次の技術的事項が記載されている。

「[0039] かかる指刺激呈示装置30を用いれば、指40の側面41に機械的刺激を与えることができる。そして、指刺激呈示装置30を用いて、指40の側面41に沿って先端部Aを摺動させる(擦る)ことにより、ユーザに指40の下面(腹側)が、両矢印Pにして示す方向と平行な方向に擦られているかのような触覚を感じさせることができる。指40の側面41を摺動する力は、指の先端や下面を押す力に比べて弱くても、知覚可能な触覚を起こさせることができる。指刺激呈示装置30は、指40の下面(腹側)を露出させたままで使用できるので、これを装着した状態で、指先で物に触れたり、何か物を持ったりすることができ、指の作業性が実質的に損なわれることはない。」

(4)引用文献Dについて
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献Dには、図面とともに次の技術的事項が記載されている。

「【0033】
次に、本実施の形態5に係る電気触覚提示装置の作用について説明する。
まず、表示装置400のディスプレイ410に映像を表示する。
このディスプレイ410に表示された形状画像に指で触れると、その位置情報(B)がタッチパネル420によって検知され、同時に、タッチしたときに指に加わる圧力(D)が圧力検出部300で感知される。この圧力検出部300は、強い力で触れたのか、ソフトタッチで触れたのか、指の先端部分で触れたのか、指の腹部で触れたのか等を検知し、この検知情報を触覚感度情報(D)とし、上記タッチパネル420への指の位置情報(B)と共に制御部520に送られる。
【0034】
制御部520では、この指の位置情報(B)から、指が接触している形状部(M)及びその表面性状(A)を判定し、さらに、表面性状(A)と触覚感度情報(C)を加味した演算処理をして適切な電気刺激信号(D)を生成し、電極板210にフィードバックする。このように制御することにより、あたかも表示画像そのものに触れているかのような仮想接触感覚を得ることができる。
また、皮膚感覚である痛覚、温度覚についても表面性状情報として、予めデータベース510に格納しておき、選択的に刺激を訴えることで、より現実に近い感覚を作り出すことも可能となる。たとえば、炎の画像に触れると熱く感じたり、鋭利な刃物の画像に触れると痛みを感じたり等の刺激情報と合わせることができる。
さらに、遠隔操作にも、応用可能である。たとえば遠隔手術&治療、ロボットと組み合わせ、遠隔廃炉作業や遠隔宇宙ステーションのメンテ作業等に適用可能である。」

(5)引用文献Eについて
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献Eには、図面とともに次の技術的事項が記載されている。

「[0275] Applications of the present disclosure may be controlled through movements and direct actions of the wearer, such as movement of his or her hand, finger, feet, head, eyes, and the like, enabled through facilities of the eyepiece (e.g. accelerometers, gyros, cameras, optical sensors, GPS sensors, and the like) and/or through facilities worn or mounted on the wearer (e.g. body mounted sensor control facilities). In this way, the wearer may directly control the eyepiece through movements and/or actions of their body without the use of a traditional hand-held remote controller.」
(当審対訳:
[0275]本発明に関する用途は、彼または彼女の手の動きは、指、足、頭、目、等のような、着用者の運動および直接的な行動接眼レンズ(例えば、加速度計、ジャイロ、カメラ、光学センサ、GPSセンサ、等)の設備を介して使用可能及び/又は着用者(例えば、身体装着式センサ制御設備)に装着または搭載された設備を通して制御されてもよい。このようにして、装用者は、伝統的な手持ち型遠隔制御装置を使用することなく、自分の体の動き及び/又は行為によりアイピースを直接制御することができる。)

第6 対比・判断

1.本願発明1について

(1)対比
本願発明1と上記引用発明とを対比すると、次のことがいえる。


(ア)引用発明の「ユーザ」及び「指」は、それぞれ本願発明1の「ユーザ」及び「指」に相当する。そして、引用発明の「指」は、「ユーザ」が「特定のコマンドジェスチャとして表面にタッチ」することから、「ユーザ」の「指」と言い得るものであり、本願発明1の「ユーザの指」に相当する。
また、一般に、人間の「指」は、その「指先」において、「一面に指の爪」を有し、「反対の面に指の腹」を有することは常識であるから、引用発明の「指」と本願発明1の「指」は、「一面に指の爪を、反対の面に指の腹を有する指先を有する」点で共通している。

(イ)引用発明の「装着可能リモートインターフェースデバイス」は、「指に取付けることができる」ものであるから、後述する相違点を除き、本願発明1の「指装着デバイス」に相当する。そして、上記(ア)を踏まえると、引用発明の「装着可能リモートインターフェースデバイス」は、本願発明1の「ユーザの指に装着されるように構成され、前記指は、一面に指の爪を、反対の面に指の腹を有する指先を有する指装着デバイス」に相当する。


(ア)引用発明の「装着可能リモートインターフェースデバイス」は、引用発明において、「触覚リングインターフェースデバイス102」或いは「装着可能触覚リング102」(いずれも引用文献11のFIG 1A参照)、又は「装着可能触覚リング268」(引用文献11のFIG.2参照)と特定されているように、一例として「リング」構造のデバイスが示されるとともに、引用発明において「装着可能触覚リング268は、触覚指キャップ112、触覚指の爪122、触覚爪先132、或いはリング、キャップ、指の爪、爪の先の組み合わせ構造に取って代わっても、基礎となる原理は変わらず、」と特定されているように、「リング」以外の構造に取って代わっても、基礎となる原理は変わらない他の例として、「触覚指の爪122」(引用文献11のFIG 1C参照)又は「触覚爪先132」(引用文献11のFIG 1D参照)のように、指先の爪の部分に装着される構造のデバイスであることも示されていることから、「リング」構造、又は指先の爪の部分に装着される構造を有する「本体」を備えるものといえる。
このうち、引用発明の「装着可能リモートインターフェースデバイス」として、指先の爪の部分に装着される構造の「本体」は、本願発明1の「前記指先に結合するように構成される本体」に相当する。

(イ)上記(ア)を踏まえると、引用発明の「装着可能リモートインターフェースデバイス」として、指先の爪の部分に装着される構造の「本体」は、引用文献11の「FIG 1C」又は「FIG 1D」のように、「指先の指の腹を露出されたまま」にして、指先に装着されるといえることから、本願発明1の「前記本体は、前記指先の前記指の爪を覆う第1の部分と、前記指先の第1の側部を下に伸びる第2の部分と、前記指先の第2の側部を下に伸びる第3の部分とを有し、前記本体は、前記指先の前記指の腹を露出されたままにし、前記第2の部分と前記第3の部分は前記指先に取り付けるために互いに対して移動するように構成される、本体」とは、「前記本体は、前記指先の前記指の腹を露出されたままにするように構成される、本体」である点で共通する。

ウ 引用発明の「センサ」は、本願発明1の「センサ」に相当する。そして、引用発明の当該「センサ」は、「装着可能触覚リング」に含まれ、「指の移動を感知することができ、指に関連したさまざまな動きを検出」するものである一方で、上記イ(ア)を踏まえると、当該「装着可能触覚リング」の「リング」以外の構造に取って変わっても、基礎となる原理は変わらない、前記指先の爪の部分に装着される構造の「本体」に含まれるといえることから、引用発明の「センサ」と、本願発明1の「前記本体の前記第2の部分におけるセンサ」とは、「前記本体のセンサ」である点で共通する。

エ 引用発明の「振動触覚フィードバックを提供するアクチュエータ」は、本願発明1の「触覚出力デバイス」に相当する。そして、引用発明の当該「振動触覚フィードバックを提供するアクチュエータ」は、「装着可能触覚リング」に含まれ、上記「キーストロークを確認する振動触覚フィードバックを提供」するものである一方で、上記イ(ア)を踏まえると、「装着可能触覚リング」の「リング」以外の構造に取って変わっても、基礎となる原理は変わらない、前記指先の爪の部分に装着される構造の「本体」に含まれるといえることから、引用発明の「振動触覚フィードバックを提供するアクチュエータ」は、本願発明1の「前記本体と結合された触覚出力デバイス」に相当する。


(ア)前記ウを踏まえると、引用発明の前記指先の爪の部分に装着される構造の「本体」に含まれるといえる、「指の移動を感知することができ、指に関連したさまざまな動きを検出」する「センサ」について、「指先と表面との間の衝撃を検出するための加速度計を含む種々のセンサを使用し、検出された衝撃と動きは、マウス・ボタンのクリック、キーストローク、及び他の選択のような入力コマンドを識別するために使用され」る構成は、本願発明1の「前記複数の構成要素を含む前記力センサを用いて指入力を収集」とは、「前記センサを用いて指入力を収集」する構成である点で共通する。

(イ)前記エを踏まえると、引用発明の前記指先の爪の部分に装着される構造の「本体」に含まれるといえる「振動触覚フィードバックを提供するアクチュエータ」について、上記「キーストロークを確認する振動触覚フィードバックを提供」する構成は、本願発明1の「触覚出力を前記ユーザの指に、前記触覚出力デバイスを用いて提供」する構成に相当する。

(ウ)引用発明の「装着可能リモートインターフェースデバイス」は、「指に取付けることができるものであって、センサ、フィルタ、入力識別子及び送信機を含み」、上述したように「センサは、指の移動を感知することができ、指に関連したさまざまな動きを検出し」、そして、「フィルタは、その後、検出された動きからあらゆる無関係なジェスチャを除去し、入力識別子は、フィルタリングされた動きから1つ又は複数のユーザ入力を識別し、送信機は、無線通信ネットワークを介して処理装置に入力を送信」することから、引用発明の「送信機」が「送信」する「入力(ユーザ入力)」は、本願発明1の「制御信号」に相当し、また、引用発明の「送信機」が「送信」する宛先の「処理装置」は、本願発明1の「外部電子デバイス」に相当する。よって、引用発明の「送信機」が、「センサ」による「指に関連したさまざまな動き」から識別される「入力(ユーザ入力)」を「無線通信ネットワークを介して処理装置」に「送信する」構成は、本願発明1の「前記指入力に基づいて制御信号を外部電子デバイスに送信する」構成に相当する。

(エ)上記(ア)〜(ウ)を踏まえると、引用発明の「装着可能リモートインターフェースデバイス」は、「センサ」、「振動触覚フィードバックを提供するアクチュエータ」及び「送信機」を制御するための回路を備えるものと言える。よって、当該回路は、本願発明1における「制御回路であって、前記複数の構成要素を含む前記力センサを用いて指入力を収集し、触覚出力を前記ユーザの指に、前記触覚出力デバイスを用いて提供し、前記指入力に基づいて制御信号を外部電子デバイスに送信する、ように構成された制御回路」とは、「制御回路であって、前記センサを用いて指入力を収集し、触覚出力を前記ユーザの指に、前記触覚出力デバイスを用いて提供し、前記指入力に基づいて制御信号を外部電子デバイスに送信する、ように構成された制御回路」である点で共通する。

(2)一致点・相違点
以上のことから、本願発明1と引用発明とは、以下の点において一致、及び相違する。

<一致点>
「ユーザの指に装着されるように構成され、前記指は、一面に指の爪を、反対の面に指の腹を有する指先を有する指装着デバイスであって、
前記指先に結合するように構成される本体であって、前記本体は、前記指先の前記指の腹を露出されたままにするように構成される、本体と、
前記本体のセンサと、
前記本体と結合された触覚出力デバイスと、
制御回路であって、
前記センサを用いて指入力を収集し、
触覚出力を前記ユーザの指に、前記触覚出力デバイスを用いて提供し、
前記指入力に基づいて制御信号を外部電子デバイスに送信する、ように構成された制御回路とを、備える、指装着デバイス。」

<相違点>
(相違点1)
指装着デバイスについて、指先に結合するように構成される本体は、本願発明1では、「前記指先の前記指の爪を覆う第1の部分と、前記指先の第1の側部を下に伸びる第2の部分と、前記指先の第2の側部を下に伸びる第3の部分とを有し、」「前記第2の部分と前記第3の部分は前記指先に取り付けるために互いに対して移動するように」構成されるのに対し、引用発明には、そのような構成は特定されていない点。

(相違点2)
本体のセンサは、本願発明1では、「前記第2の部分に」あり、「前記指先の前記第1の側部に沿う異なる大きさの圧縮に基づいて各々が別個のそれぞれの力センサ測定値を生成する複数の構成要素を含む力センサを含む」構成であるのに対し、引用発明では、そのような特定がされていない点。

(2)相違点についての検討
事案に鑑みて、上記相違点2について先に検討する。
上記「第5 1.(2)」で示した引用文献10(拒絶査定時の引用文献J)の「動作検出センサ10」は、「指に装着してその動作を検出する」ものであるから、本願発明1の「指装着デバイス」に相当し、引用文献10の「動作検出センサ10」の「ベース部11及びアーム部12,13」からなる「基部」は、本願発明1の「本体」に相当する。
また、引用文献10の「アーム部12」及び「アーム部13」は、「ベース部11の両側縁部から下方に延出した構成」であり、「動作検出センサ10を指Aに装着した際、」「指Aの両側部に当接」することから、当該「指Aの両側部」のうちの一方の側は、本願発明1の「前記指先の前記第1の側部」に相当し、また、引用文献10の当該「指Aの両側部」のうちの一方の側に「当接」する「アーム部12」は、本願発明1の「前記指先の前記第1の側部を下に伸びる第2の部分」に相当する。
また、上述したように、引用文献10の「アーム部12」は、本願発明1の「前記指先の第1の側部を下に伸びる第2の部分」に相当することを踏まえると、引用文献10の「歪みゲージ14」は「アーム部12,13に配設されており、指Aが動作した際にアーム部12,13に発生する歪を測定するものであ」ることから、本願発明1の「前記本体の前記第2の部分におけるセンサ」である「前記指先の前記第1の側部に沿う」「力センサ」に相当する。また、引用文献10の「歪みゲージ14」が「測定」する「歪」は、本願発明1の「力センサ測定値」に相当する。
以上のことから、引用文献10の「歪みゲージ14」は、本願発明1の「前記本体の前記第2の部分におけるセンサであって、前記センサは、前記指先の前記第1の側部に沿う異なる大きさの圧縮に基づいて各々が別個のそれぞれの力センサ測定値を生成する複数の構成要素を含む力センサを含む、センサ」とは、「前記本体の前記第2の部分におけるセンサであって、前記センサは、前記指先の前記第1の側部に沿う力センサ測定値を生成する力センサを含む、センサ」である点で共通している。

しかしながら、引用文献10の「歪みゲージ14」は、【図4】とともに特定されるように、「フィルム状のベース材14bに所定のパターンで抵抗体14aが形成された構成とされ、また、抵抗体14aの両端部には配線14cが接続され、抵抗体14aは、変形することにより電気抵抗を変化する特性を有し、配線14cから出力される抵抗体14aの抵抗変化を電圧変化として測定することにより歪を測定する」構成であることから、その「抵抗体14a」は、「両端部」に1対の「配線14cが接続され」る1つの構成要素であって、本願発明1のような「異なる大きさの圧縮に基づいて各々が別個のそれぞれの力センサ測定値を生成する複数の構成要素を含む力センサ」という構成は開示されていない。

また、上記相違点2に係る本願発明1の構成は、引用文献11及び引用文献6〜9(拒絶査定時の引用文献F〜I)のいずれにも記載も示唆もされておらず、本願優先日前に周知技術であるともいえない。

したがって、相違点1について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても引用発明及び引用文献6〜10に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

2.本願発明2〜13について

本願発明2〜13は、上記相違点2に係る本願発明1の上記構成と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献6〜10に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

3.本願発明14について

(1)対比
本願発明14と上記引用発明とを対比すると、次のことがいえる。


(ア)引用発明の「ユーザ」及び「指先」は、それぞれ本願発明14の「ユーザ」及び「指先」に相当する。

(イ)引用発明の「装着可能リモートインターフェースデバイス」は、「指に取付けることができる」ものであるから、後述する相違点を除き、本願発明14の「指装着デバイス」に相当する。そして、引用発明の「装着可能リモートインターフェースデバイス」は、引用発明において、「触覚リングインターフェースデバイス102」或いは「装着可能触覚リング102」(いずれも引用文献11のFIG 1A参照)、又は「装着可能触覚リング268」(引用文献11のFIG.2参照)と特定されているように、一例として「リング」構造のデバイスが示されるとともに、引用発明において「装着可能触覚リング268は、触覚指キャップ112、触覚指の爪122、触覚爪先132、或いはリング、キャップ、指の爪、爪の先の組み合わせ構造に取って代わっても、基礎となる原理は変わらず、」と特定されているように、「リング」以外の構造に取って代わっても、基礎となる原理は変わらない他の例として、「触覚指の爪122」(引用文献11のFIG 1C参照)又は「触覚爪先132」(引用文献11のFIG 1D参照)のように、指先の爪の部分に装着される構造のデバイスであることも示されていることから、指先の爪の部分に装着される構造を有するものといえる。
したがって、引用発明の指先の爪の部分に装着される構造を有する「装着可能リモートインターフェースデバイス」は、本願発明14の「ユーザの指先に着用されるように構成される指装着デバイス」に相当する。


(ア)引用発明の「振動触覚フィードバックを提供するアクチュエータ」は、本願発明14の「触覚出力デバイス」に相当する。

(イ)引用発明の「センサ」として「指先と表面との間の衝撃を検出するための加速度計」は、本願発明14の「加速度計」に相当する。

(ウ)上記ア(イ)を踏まえると、引用発明の「装着可能リモートインターフェースデバイス」として、指先の爪の部分に装着される構造は、本願発明14の「支持構造体」とは、「構造体」である点で共通する。また、引用発明の「装着可能リモートインターフェースデバイス」は、「振動触覚フィードバックを提供するアクチュエータ」を含み、また、「指の移動を感知することができ、指に関連したさまざまな動きを検出」する「センサ」として「指先と表面との間の衝撃を検出するための加速度計」を含むことから、電気的な回路等を含む「ユニット」を含むものと言い得るものである。よって、引用発明の指先の爪の部分に装着される構造を有し、上記の電気的な回路を含む「装着可能リモートインターフェースデバイス」の「ユニット」は、本願発明14の「前記指先の指の爪に重なる上部分と、前記指先の指の腹を露出されたままにして前記指先の互いに反対側にある第1の側と第2の側を下に伸びる2つの側部と、を有する支持構造体を有する指先ユニットであって、前記2つの側部が、前記指先に取り付けるために互いに対して移動するように構成され、前記支持構造体の前記2つの側部のうちの1つが、前記力センサであって、前記指先の前記第1の側又は前記第2の側に沿う異なる大きさの圧縮に基づいて各々が別個のそれぞれの力センサ測定値を生成する複数の構成要素を含む前記力センサと結合され、前記支持構造体が、前記触覚出力デバイスと、前記加速度計とに結合される、指先ユニット」とは、「前記指先の指の腹を露出されたままにする構造体を有する指先ユニットであって、前記構造体が、前記触覚出力デバイスと、前記加速度計とに結合される、指先ユニット」である点で共通する。


(ア)引用発明の「指の移動を感知することができ、指に関連したさまざまな動きを検出」する「センサ」について、「指先と表面との間の衝撃を検出するための加速度計を含む種々のセンサを使用し、検出された衝撃と動きは、マウス・ボタンのクリック、キーストローク、及び他の選択のような入力コマンドを識別するために使用され」る構成は、本願発明14の「前記複数の構成要素を含む前記力センサ及び前記加速度計から指入力を収集する」構成とは、「前記加速度計から指入力を収集する」構成である点で共通する。

(イ)引用発明の「触覚データ」は、「振動触覚フィードバックを生成するために、」「装着可能触覚リング」(すなわち、上記ア(イ)を参照すると、「装着可能リモートインターフェースデバイス」)に「送信」されるデータであるから、本願発明14の「駆動信号」に相当する。したがって、引用発明において、「振動触覚フィードバックを生成するために、」「装着可能リモートインターフェースデバイス」に、「触覚データ」を「送信」する構成は、本願発明14の「駆動信号を前記触覚出力デバイスへ供給する」構成に相当するといえる。

(ウ)上記イ(ウ)を踏まえると、引用発明の「装着可能リモートインターフェースデバイス」は、「センサ」としての「加速度計」及び「振動触覚フィードバックを提供するアクチュエータ」を制御するための回路を備えるものと言える。したがって、上記(ア)及び(イ)を参照すると、当該回路は、本願発明14における「前記複数の構成要素を含む前記力センサ及び前記加速度計から指入力を収集するように構成されると共に、駆動信号を前記触覚出力デバイスへ供給するように構成された制御回路」とは、「前記加速度計から指入力を収集するように構成されると共に、駆動信号を前記触覚出力デバイスへ供給するように構成された制御回路」である点で共通する。

(エ)引用発明の「送信機」は、「無線通信ネットワークを介して処理装置に入力を送信」することから、本願発明14の「無線回路」に相当する。そして、引用発明の「装着可能リモートインターフェースデバイス」は、当該「送信機」を含むことから、上記(ウ)を参照すると、引用発明の「装着可能リモートインターフェースデバイス」において、「センサ」としての「加速度計」及び「振動触覚フィードバックを提供するアクチュエータ」を制御するための回路が「送信機」を含む構成は、本願発明14の「前記制御回路は、無線回路を備え」る構成に相当する。

(オ)引用発明の「装着可能リモートインターフェースデバイス」は、「指に取付けることができるものであって、センサ、フィルタ、入力識別子及び送信機を含み」、上述したように「センサは、指の移動を感知することができ、指に関連したさまざまな動きを検出し」、そして、「フィルタは、その後、検出された動きからあらゆる無関係なジェスチャを除去し、入力識別子は、フィルタリングされた動きから1つ又は複数のユーザ入力を識別し、送信機は、無線通信ネットワークを介して処理装置に入力を送信」することから、引用発明の「送信機」が「送信」する「入力(ユーザ入力)」は、本願発明14の「制御信号」に相当し、また、引用発明の「送信機」が「送信」する宛先の「処理装置」は、本願発明14の「外部電子デバイス」に相当する。よって、上記(エ)を踏まえると、引用発明の「送信機」が、「センサ」としての「加速度計」による「指に関連したさまざまな動き」から識別される「入力(ユーザ入力)」を「無線通信ネットワークを介して処理装置」に「送信する」構成は、本願発明14の「前記無線回路を用いて前記制御回路が、前記指入力に基づいて制御信号を外部電子デバイスに無線送信する」構成に相当する。

(2)一致点・相違点
以上のことから、本願発明14と引用発明とは、以下の点において一致、及び相違する。

<一致点>
「ユーザの指先に着用されるように構成される指装着デバイスであって、前記指装着デバイスは、
触覚出力デバイスと、
加速度計と、
前記指先の指の腹を露出されたままにする構造体を有する指先ユニットであって、前記構造体が、前記触覚出力デバイスと、前記加速度計とに結合される、指先ユニットと、
前記加速度計から指入力を収集するように構成されると共に、駆動信号を前記触覚出力デバイスへ供給するように構成された制御回路とを備え、前記制御回路は、無線回路を備え、前記無線回路を用いて前記制御回路が、前記指入力に基づいて制御信号を外部電子デバイスに無線送信する、指装着デバイス。」

<相違点>
(相違点3)
指装着デバイスについて、本願発明14は「力センサ」を有するのに対し、引用発明は有しない点。

(相違点4)
指先ユニットの構造体について、本願発明14では、「前記指先の指の爪に重なる上部分と、」「前記指先の互いに反対側にある第1の側と第2の側を下に伸びる2つの側部と、を有する支持」構造体であって、「前記2つの側部が、前記指先に取り付けるために互いに対して移動するように構成され」るのに対し、引用発明には、そのような構成は特定されていない点。

(相違点5)
指先ユニットの構造体について、本願発明14では、「前記支持構造体の前記2つの側部のうちの1つが、前記力センサであって、前記指先の前記第1の側又は前記第2の側に沿う異なる大きさの圧縮に基づいて各々が別個のそれぞれの力センサ測定値を生成する複数の構成要素を含む前記力センサと結合され」るのに対し、引用発明では、そのような特定がされていない点。

(相違点6)
加速度計から指入力を収集する構成について、本願発明14は、「前記複数の構成要素を含む前記力センサ」からも指入力を収集するのに対し、引用発明は「力センサ」を有しないため、そのような特定がされていない点。

(2)相違点についての検討
事案に鑑みて、上記相違点5について先に検討する。
上記「第5 1.(2)」で示した引用文献10(拒絶査定時の引用文献J)の「動作検出センサ10」は、「指に装着してその動作を検出する」ものであるから、本願発明14の「指装着デバイス」に相当し、引用文献10において、「指Aは一対のアーム部12,13に挟持された状態となり、この挟持力により、動作検出センサ10は指Aに装着され」ることから、引用文献10の「動作検出センサ10」の「ベース部11及びアーム部12,13」からなる「基部」は、本願発明14の「支持構造体」に相当する。
また、引用文献10の「アーム部12」及び「アーム部13」は、「ベース部11の両側縁部から下方に延出した構成」であり、「動作検出センサ10を指Aに装着した際、」「指Aの両側部に当接」することから、当該「アーム部12」及び「アーム部13」のうちの1つは、本願発明14の「前記2つの側部のうちの1つ」に相当し、また、引用文献10の「指Aの両側部」は、本願発明14の「前記指先の前記第1の側」と「前記第2の側」に相当する。
また、上述したように、引用文献10の「アーム部12」は、本願発明14の「前記2つの側部のうちの1つ」に相当することを踏まえると、引用文献10の「歪みゲージ14」は「アーム部12,13に配設されており、指Aが動作した際にアーム部12,13に発生する歪を測定するものであ」ることから、本願発明14の「前記支持構造体の前記2つの側部のうちの1つ」にあって、「前記指先の前記第1の側又は前記第2の側に沿う」「力センサ」に相当する。また、引用文献10の「歪みゲージ14」が「測定」する「歪」は、本願発明14の「力センサ測定値」に相当する。
以上のことから、引用文献10の「歪みゲージ14」は、本願発明14の「前記支持構造体の前記2つの側部のうちの1つが、前記力センサであって、前記指先の前記第1の側又は前記第2の側に沿う異なる大きさの圧縮に基づいて各々が別個のそれぞれの力センサ測定値を生成する複数の構成要素を含む前記力センサ」とは、「前記支持構造体の前記2つの側部のうちの1つが、前記力センサであって、前記指先の前記第1の側又は前記第2の側に沿う力センサ測定値を生成する前記力センサ」である点で共通している。

しかしながら、引用文献10の「歪みゲージ14」は、【図4】とともに特定されるように、「フィルム状のベース材14bに所定のパターンで抵抗体14aが形成された構成とされ、また、抵抗体14aの両端部には配線14cが接続され、抵抗体14aは、変形することにより電気抵抗を変化する特性を有し、配線14cから出力される抵抗体14aの抵抗変化を電圧変化として測定することにより歪を測定する」構成であることから、その「抵抗体14a」は、「両端部」に1対の「配線14cが接続され」る1つの構成要素であって、本願発明14のような「異なる大きさの圧縮に基づいて各々が別個のそれぞれの力センサ測定値を生成する複数の構成要素を含む力センサ」という構成は開示されていない。

また、上記相違点5に係る本願発明14の構成は、引用文献11及び引用文献6〜9(拒絶査定時の引用文献F〜I)のいずれにも記載も示唆もされておらず、本願優先日前に周知技術であるともいえない。

したがって、相違点3、4及び6について判断するまでもなく、本願発明14は、当業者であっても引用発明及び引用文献6〜10に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

4.本願発明15について

(1)対比
本願発明15と上記引用発明とを対比すると、次のことがいえる。


(ア)引用発明の「ユーザ」及び「指先」は、それぞれ本願発明15の「ユーザ」及び「指先」に相当する。

(イ)引用発明の「装着可能リモートインターフェースデバイス」は、引用発明において、「触覚リングインターフェースデバイス102」或いは「装着可能触覚リング102」(いずれも引用文献11のFIG 1A参照)、又は「装着可能触覚リング268」(引用文献11のFIG.2参照)と特定されているように、一例として「リング」構造のデバイスが示されるとともに、引用発明において「装着可能触覚リング268は、触覚指キャップ112、触覚指の爪122、触覚爪先132、或いはリング、キャップ、指の爪、爪の先の組み合わせ構造に取って代わっても、基礎となる原理は変わらず、」と特定されているように、「リング」以外の構造に取って代わっても、基礎となる原理は変わらない他の例として、「触覚指の爪122」(引用文献11のFIG 1C参照)又は「触覚爪先132」(引用文献11のFIG 1D参照)のように、指先の爪の部分に装着される構造のデバイスであることも示されていることから、「リング」構造、又は指先の爪の部分に装着される構造を有するものといえる。
そして、引用発明の「装着可能リモートインターフェースデバイス」として、上記した指先の爪の部分に装着される構造は、引用文献11の「FIG 1C」又は「FIG 1D」のように、「指先の指の腹を露出されたまま」にして、指先に装着されると言い得ることから、引用発明の「装着可能リモートインターフェースデバイス」として、当該指先の爪の部分に装着される構造は、本願発明15の「第1の部分及び第2の部分を伴うU字型断面外形を有し、前記第1の部分及び第2の部分は、ユーザの指先の指の腹を露出されたままにして前記指先の側部を下に伸びる側壁を形成し、前記側壁は第3の部分によって結合され、前記第1の部分と前記第2の部分は前記指先に取り付けるために互いに対して移動するように構成される、指装着支持構造体」とは、「ユーザの指先の指の腹を露出されたままにして構成される、指装着構造体」である点で共通する。

イ 引用発明の「センサ」として「指先と表面との間の衝撃を検出するための加速度計」は、本願発明15の「前記第3の部分上に配置された加速度計」とは、「加速度計」である点で共通する。

ウ 引用発明の「振動触覚フィードバックを提供するアクチュエータ」は、本願発明15の「触覚出力デバイス」に相当する。そして、引用発明の当該「振動触覚フィードバックを提供するアクチュエータ」は、「装着可能触覚リング」に含まれ、上記「キーストロークを確認する振動触覚フィードバックを提供」するものである一方で、上記ア(イ)を踏まえると、「装着可能触覚リング」の「リング」以外の構造に取って変わっても、基礎となる原理は変わらない、前記指先の爪の部分に装着される構造に含まれるといえることから、引用発明の「振動触覚フィードバックを提供するアクチュエータ」は、本願発明15の「前記指装着支持構造体に結合された触覚出力デバイス」とは、「前記指装着構造体に結合された触覚出力デバイス」である点で共通する。


(ア)引用発明の「指の移動を感知することができ、指に関連したさまざまな動きを検出」する「センサ」について、「指先と表面との間の衝撃を検出するための加速度計を含む種々のセンサを使用し、検出された衝撃と動きは、マウス・ボタンのクリック、キーストローク、及び他の選択のような入力コマンドを識別するために使用され」る構成は、本願発明15の「前記複数の構成要素を含む前記力センサ及び前記加速度計から指入力を収集」する構成とは、「前記加速度計から指入力を収集」する点で共通する。

(イ)引用発明の「装着可能リモートインターフェースデバイス」は、「指に取付けることができるものであって、センサ、フィルタ、入力識別子及び送信機を含み」、上述したように「センサは、指の移動を感知することができ、指に関連したさまざまな動きを検出し」、そして、「フィルタは、その後、検出された動きからあらゆる無関係なジェスチャを除去し、入力識別子は、フィルタリングされた動きから1つ又は複数のユーザ入力を識別し、送信機は、無線通信ネットワークを介して処理装置に入力を送信」することから、上記イを踏まえると、引用発明の「装着可能リモートインターフェースデバイス」は、「センサ」としての「加速度計」及び「振動触覚フィードバックを提供するアクチュエータ」を制御するための回路を備えるものと言える。
また、引用発明の「送信機」が「送信」する「入力(ユーザ入力)」は、本願発明15の「制御信号」に相当し、また、引用発明の「送信機」が「送信」する宛先の「処理装置」は、本願発明15の「外部電子デバイス」に相当する。
よって、引用発明の「送信機」が、「センサ」による「指に関連したさまざまな動き」から識別される「入力(ユーザ入力)」を「無線通信ネットワークを介して処理装置」に「送信する」構成を備える上記回路は、本願発明15の「前記指入力に基づいて制御信号を外部電子デバイスに送信する制御回路」に相当する。

オ 引用発明の「装着可能リモートインターフェースデバイス」は、後述する相違点を除き、本願発明15の「装置」に相当する。

(2)一致点・相違点
以上のことから、本願発明15と引用発明とは、以下の点において一致、及び相違する。

<一致点>
「ユーザの指先の指の腹を露出されたままにするように構成される、指装着構造体と、
加速度計と、
前記指装着構造体に結合された触覚出力デバイスと、
前記加速度計から指入力を収集し、前記指入力に基づいて制御信号を外部電子デバイスに送信する制御回路とを備える、装置。」

<相違点>
(相違点7)
指装着構造体について、本願発明15では、「第1の部分及び第2の部分を伴うU字型断面外形を有し、前記第1の部分及び第2の部分は、」「前記指先の側部を下に伸びる側壁を形成し、前記側壁は第3の部分によって結合され、前記第1の部分と前記第2の部分は前記指先に取り付けるために互いに対して移動するように」構成される、指装着「支持」構造体であるのに対し、引用発明には、そのような構成は特定されていない点。

(相違点8)
装置について、本願発明15では、「前記第1の部分上に配置された力センサであって、前記指先の側部に沿う異なる大きさの圧縮に基づいて各々が別個のそれぞれの力センサ測定値を生成する複数の構成要素を含む力センサ」を備えるのに対し、引用発明は備えない点。

(相違点9)
加速度計は、本願発明15では、「前記第3の部分上に配置された」ものであるのに対し、引用発明では、「第3の部分」を有しないため、そのような特定がされていない点。

(相違点10)
加速度計から指入力を収集する構成について、本願発明15は、「前記複数の構成要素を含む前記力センサ」からも指入力を収集するのに対し、引用発明は「力センサ」を有しないため、そのような特定がされていない点。

(2)相違点についての検討
事案に鑑みて、上記相違点8について先に検討する。
上記「第5 1.(2)」で示した引用文献10(拒絶査定時の引用文献J)の「動作検出センサ10」は、「指に装着してその動作を検出する」ものであるから、本願発明15の「装置」に相当し、引用文献10において、「指Aは一対のアーム部12,13に挟持された状態となり、この挟持力により、動作検出センサ10は指Aに装着され」ることから、引用文献10の「動作検出センサ10」の「ベース部11及びアーム部12,13」からなる「基部」は、本願発明15の「指装着支持構造体」に相当する。
また、引用文献10の「アーム部12」及び「アーム部13」は、「ベース部11の両側縁部から下方に延出した構成」であり、「動作検出センサ10を指Aに装着した際、」「指Aの両側部に当接」することから、当該「アーム部12」は、本願発明15の「前記第1の部分」に相当し、また、引用文献10の「指Aの両側部」は、本願発明15の「前記指先の側部」を含むといえる。
また、上述したように、引用文献10の「アーム部12」は、本願発明15の「前記第1の部分」に相当することを踏まえると、引用文献10の「歪みゲージ14」は「アーム部12,13に配設されており、指Aが動作した際にアーム部12,13に発生する歪を測定するものであ」ることから、本願発明15の「前記第1の部分上に配置された力センサ」であって、「前記指先の側部に沿う」「力センサ」に相当する。また、引用文献10の「歪みゲージ14」が「測定」する「歪」は、本願発明15の「力センサ測定値」に相当する。
以上のことから、引用文献10の「歪みゲージ14」は、本願発明15の「前記第1の部分上に配置された力センサであって、前記指先の側部に沿う異なる大きさの圧縮に基づいて各々が別個のそれぞれの力センサ測定値を生成する複数の構成要素を含む力センサ」とは、「前記第1の部分上に配置された力センサであって、前記指先の側部に沿う力センサ測定値を生成する力センサ」である点で共通している。

しかしながら、引用文献10の「歪みゲージ14」は、【図4】とともに特定されるように、「フィルム状のベース材14bに所定のパターンで抵抗体14aが形成された構成とされ、また、抵抗体14aの両端部には配線14cが接続され、抵抗体14aは、変形することにより電気抵抗を変化する特性を有し、配線14cから出力される抵抗体14aの抵抗変化を電圧変化として測定することにより歪を測定する」構成であることから、その「抵抗体14a」は、「両端部」に1対の「配線14cが接続され」る1つの構成要素であって、本願発明15のような「異なる大きさの圧縮に基づいて各々が別個のそれぞれの力センサ測定値を生成する複数の構成要素を含む力センサ」という構成は開示されていない。

また、上記相違点8に係る本願発明15の構成は、引用文献11及び引用文献6〜9(拒絶査定時の引用文献F〜I)のいずれにも記載も示唆もされておらず、本願優先日前に周知技術であるともいえない。

したがって、相違点7、9及び10について判断するまでもなく、本願発明15は、当業者であっても引用発明及び引用文献6〜10に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

5.本願発明16〜20について

本願発明16〜20は、上記相違点8に係る本願発明15の構成と同一の構成を備えるものであるから、本願発明15と同様の理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献6〜10に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

第7 原査定についての判断

1.理由(進歩性)について
令和4年3月23日になされた補正により、補正後の請求項1〜13は、上記相違点2に係る構成を有するものとなり、補正後の請求項14は、上記相違点5に係る構成を有するものとなり、補正後の請求項15〜20は、上記相違点8に係る構成を有するものとなった。これらの当該構成は、原査定における引用文献A〜E及び引用文献F〜J(当審拒絶理由における引用文献6〜10)には記載されておらず、本願優先日前における周知技術でもないので、本願発明1〜20は、当業者であっても、原査定における引用文献A〜Jに基づいて容易に発明をすることができたものではない。
したがって、原査定の拒絶の理由(進歩性)を維持することはできない。

第8 むすび

以上のとおり、原査定の理由によって、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。

 
審決日 2022-04-27 
出願番号 P2019-511729
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G06F)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 稲葉 和生
特許庁審判官 角田 慎治
富澤 哲生
発明の名称 センサ及び触覚を用いた指装着デバイス  
代理人 特許業務法人大塚国際特許事務所  

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