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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G01B
管理番号 1383777
総通号数
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2022-05-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-03-25 
確定日 2022-04-13 
事件の表示 特願2016−184066号「光学式測定プローブ較正」拒絶査定不服審判事件〔平成29年6月1日出願公開、特開2017−96920号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成28年9月21日の外国語書面出願であって(パリ条約による優先権主張 2015年9月22日欧州特許庁)、その手続の経緯の概略は、次のとおりである。
平成28年11月22日 :翻訳文の提出
令和 2年 7月 2日付け:拒絶理由通知書
同年 9月24日 :意見書の提出
同年11月10日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。)
(同月30日 :原査定の謄本の送達)
令和 3年 3月25日 :審判請求書、手続補正書の提出

第2 本願発明について
本願の請求項1〜12に係る発明は、令和3年3月25日に提出された手続補正書により補正された請求項1〜12に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、請求項1の記載は次のとおりである。
なお、請求項1の記載は、上記補正により変更されていない。
以下、請求項1に係る発明を「本願発明」という。
「【請求項1】
タッチ面(4)を備えかつ変位し得るタッチエレメント(3)を有する触覚式測定プローブ(2)の、信号をトリガするタッチ変位ITrを測定する較正装置(1)であって、
有利にはカメラ又はレーザ測定装置でありかつ前記タッチエレメント(3)の前記タッチ面(4)を検出する視野(9)を備えた検出器(5)と、基準面(8)を備えた基準エレメント(7)と、計算ユニット(6)とを含む較正装置(1)において、
前記タッチエレメント(3)の前記タッチ面(4)と、前記基準面(8)とが接触して信号がトリガされる際に、前記タッチ面(4)又は当該タッチ面(4)の複数の部分が、前記検出器(5)の前記視野(9)に入るように、前記基準エレメント(7)の前記基準面(8)が、前記検出器(5)の前記視野(9)に対して配置されており、
前記検出器(5)及び前記計算ユニット(6)は、前記タッチ面(4)の検出した部分から、前記タッチエレメント(3)の正確な位置を計算することができる、ことを特徴とする較正装置(1)。」

第3 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由のうち、本願発明についての理由の概要は、次のとおりである。

本願発明は、下記の引用文献に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。



引用文献1:特表2010−539475号公報


第4 当審の判断
当審は、以下に詳述するとおり、本願発明は当業者が容易に発明をすることができたものであると判断した。
1 引用文献等
(1)引用文献1の記載事項
原査定の拒絶の理由において引用した引用文献1(特表2010−539475号公報)には、以下の記載がある(下線は当審が付与した。以下同様。)。
「【請求項39】
前記光学式検出器(24)が高速度カメラを含む、請求項1に記載の装置。」
「【請求項66】
機械に取り付けられるか又は前記機械の一部を成す、回転パーツ、例えばマシニング・ツールの位置への、タッチ・プローブの形態の品質管理ツールの位置の関連付けを可能にする品質管理タッチ・プロービング方法であって、前記機械が、前記少なくとも1つの回転パーツの位置関係及び幾何形状変化を回転モードのときに見出して、前記回転パーツ上の汚染物質を呈する位置を判定し、続いて、前記回転パーツ上に存在するこうした汚染物質の影響を取り除くか又は補償するように構成された装置に含まれ、前記パーツの前記変化が、生産及び使用の状態によって引き起こされ、
方法が、
起動状態を与えるように特定の状態の接触が得られるまで、予め定義された力で空気ロッドに支持されたガラス・キューブのいくつかの表面位置のうち少なくとも1つに接触するように、ロードしていない位置からロードした位置まで非回転タッチ・プローブを移動させるステップと、
前記装置の光学式検出器によって、照明されている前記ガラス・キューブの位置を光学的に検知し、それにより前記起動が起きるときに前記タッチ・プローブの先端部の位置を検知するステップと、
前記プローブの位置を前記光学式検出器の位置に参照させるように、前記タッチ・プローブの前記接触位置を記録するステップと
を含む、方法。
【請求項67】
前記接触が、読み取られる位置エンコーダを起動させる、請求項66に記載のタッチ・プロービング方法。
【請求項68】
前記起動位置を見出すステップが、前記ガラス・キューブに取り付けられた透明のすりガラス・プレート、及び前記ガラス・キューブ自体を艶消しにすることの一方を用いるステップを含む、請求項66に記載のタッチ・プロービング方法。
【請求項69】
完全なタッチ・プローブ較正が、ロードしていないタッチ・プローブ先端部の画像を記録し、前記光学式検出器に対する位置を画像処理計算することによって完了する、請求項66に記載のタッチ・プロービング方法。
【請求項70】
前記完了ステップが、ガラス・キューブ及びその上の前記基準パターンが前記光学式検出器の光学的視野から外に出るように前記空気ロッドを引き戻すステップを含む、請求項66に記載のタッチ・プロービング方法。」
「【0107】
「実例7」
実例1〜6は、基本的に1つの照明器42及び1つの光学式検出器24が使用される、本発明による構成を説明する。完全な3D制御を獲得するためには、画像のy−z位置のみを記録する必要があるだけではない。これを図5に示し、図5では2つの照明器42−光学式検出器24の組合せ構成が、照明器42A−光学式検出器24A及び照明器42B−光学式検出器24Bとして示される。照明器−検出器の組合せは、図示のように1つの光学アセンブリ26中に配置する必要はない。空間要件に応じて、それらを別々に置くことができる。図5bに、添付の座標軸によって示すように、図5aの光学的構成を図の異なる方向から示す。54A及び54Bは、検出器24A及び24Bそれぞれとパーツ位置測定器44との間のリンクを指す。58A及び58Bは、パーツ位置測定器44と検出器24A及び24Bそれぞれとの間のリンクを指す。
【0108】
回転しているツールの位置に対する品質管理ツールの位置
品質管理を行うために、タッチ・プローブが機械の内側で適切に使用される。特許文献1の発明を本発明と組み合わせることによって、品質管理ツールの位置を回転している機械加工ツールの位置に関連付けることができる。位置制御中に、タッチ・プローブ22は、ツール・チャック12によって静止した姿勢で保持される。図6に、図1の切削ツール22をタッチ・プローブ22と交換した実例を示す。タッチ・プローブ22は、内部プロセスが特定の接触状態の獲得を起動し、次いで機械の移動が止まるまで、ワーク・ピース30の表面を特定の力で触ることによって、ワーク・ピース30上の位置を見出す。タッチ・プローブの先端部は、球体の硬質材料、例えばルビーである。起動時に、位置エンコーダ14B及び14Cの位置が読み取られる。それらの位置は、タッチ・プローブ先端部34の位置を表す。タッチ・プローブ34先端部のロードしていない位置は、起動時の位置とは異なる。図7は、前記特許文献1に記載されておりタッチ・プローブのロードしていない位置を見出すために使用可能であるような構成の修正形態を示す。
【0109】
図7に、タッチ・プローブの起動位置の見出し方を示す。タッチ・プローブ22の起動位置を試験するために、空気ロッド102が、基準パターン34Aが取り付けられているガラス・キューブ100を光学式検出器24の視野に運ぶ。タッチ・プローブは、起動し次いで止まるまでガラス・キューブに接して移動する。次いで、例えば前記特許文献1に記載されているようにして、ガラス・キューブ100の位置を見出すことができる。
【0110】
タッチ・プローブ22のロードしていない位置と起動位置との間の距離が、時間が経っても変化しないと仮定する場合は、タッチ・プローブを使用する度に図7の起動タッチ・プローブの較正を繰り返す必要はない。今や起動している間にタッチ・プローブ22の位置を較正することができ、その位置に光学式検出器24の位置を確実に参照させることができるので、後でタッチ・プローブ22の位置の較正を単純にすることができる。タッチ・プローブ較正を全て完了するためには、タッチ・プローブ先端部の画像58を記録し、画像処理によって光学式検出器24に対する位置を計算する必要があるだけである。そのようにするためには、ガラス・キューブ100及び基準パターン34Aが光学式検出器24の視野の外になるように空気ロッド102を引き戻す。機械の使用によって、図6によって示されるように、ロードしていないタッチ・プローブ22を視野に運ぶ。後で、タッチ・プローブ22を他のものと交換しないか、又は較正がずれない場合は、ロードしていないタッチ・プローブ22の位置を読み取り、起動時の偏心を加え、タッチ・プローブ位置較正に関するそれらのデータを使用することができる。タッチ・プロービング方法では、起動位置を見出すことは、ガラス・キューブに取り付けられた透明な艶消しガラス・プレート、及びガラス・キューブ自体を艶消しにすることの一方を用いることを含むことに留意されたい。」
「【図6a−6c】


「【図7a−7b】



(2)引用発明の認定
上記(1)において摘記した記載事項及び図示内容を総合すると、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
[引用発明]
「1つの照明器42及び1つの光学式検出器24が使用される光学アセンブリ26であって、(【0107】)
位置制御中に、タッチ・プローブ22は、ツール・チャック12によって静止した姿勢で保持され、
タッチ・プローブ22は、内部プロセスが特定の接触状態の獲得を起動し、次いで機械の移動が止まるまで、ワーク・ピース30の表面を特定の力で触ることによって、ワーク・ピース30上の位置を見出すものであり、
(【0108】)
起動状態を与えるように特定の状態の接触が得られるまで、予め定義された力で空気ロッド102に支持されたガラス・キューブ100のいくつかの表面位置のうち少なくとも1つに接触するように、ロードしていない位置からロードした位置までタッチ・プローブ22を移動させ、
光学式検出器24によって、照明されている前記ガラス・キューブ100の位置を光学的に検知し、それにより前記起動が起きるときに前記タッチ・プローブ22の先端部の位置を検知し、(【請求項66】)
前記光学式検出器24は高速度カメラを含み、(【請求項39】)
前記接触が、読み取られる位置エンコーダを起動させ、(【請求項67】)
起動時に、位置エンコーダ14B及び14Cの位置が読み取られ、
それらの位置は、タッチ・プローブ22の先端部の位置を表すものであり、
タッチ・プローブ22の先端部のロードしていない位置は、起動時の位置とは異なり、(【0108】)
タッチ・プローブ22の起動位置を見出すために、空気ロッド102が、基準パターン34Aが取り付けられているガラス・キューブ100を光学式検出器24の視野に運び、
タッチ・プローブ22は、起動し次いで止まるまでガラス・キューブ100に接して移動し、(【0109】)
タッチ・プローブ22のロードしていない位置と起動位置との間の距離が、時間が経っても変化しないと仮定する場合は、タッチ・プローブ22を使用する度に起動タッチ・プローブ22の較正を繰り返す必要はなく、
(【0110】)
完全なタッチ・プローブ較正が、ロードしていないタッチ・プローブ22の先端部の画像を記録し、前記光学式検出器24に対する位置を画像処理計算することによって完了するものであり、
(【請求項69】、【0110】)
前記完了ステップが、ガラス・キューブ100及びその上の前記基準パターンが前記光学式検出器24の光学的視野から外に出るように前記空気ロッド102を引き戻すものである、(【請求項70】)
光学アセンブリ26。(【0107】)」

(3)引用文献3の記載事項
当審が新たに引用する特開2012−61570号公報(以下「引用文献3」という。)には、以下の記載がある。
「【0016】
〈主な実施形態〉
本発明に係る加工方法の主な実施形態を図1〜6に基づいて説明する。
【0017】
本実施形態に係る工作機械100は、図1に示すように、ベッド111上のY軸方向一方側(図1中、右側)にコラム112が立設されている。コラム112の前面には、サドル113がX軸方向(図1中、紙面垂直方向)に移動可能に支持されている。サドル113の前面には、主軸ヘッド114がZ軸方向(図1中、上下方向)に移動可能に支持されている。主軸ヘッド114には、C軸回り(図1中、上下方向の鉛直軸回り)で回転可能な主軸115が設けられている。
【0018】
前記主軸115の軸端には、工具やタッチプローブ等のアタッチメント101が着脱可能に取り付けられるようになっている。前記コラム112の側部には、自動工具交換装置117が設けられており、当該自動工具交換装置117は、マガジン内に格納している多数のアタッチメント101の中から目的とするアタッチメント101を取り出して、主軸115の軸端に取り付けられているアタッチメント101を取り外して上記アタッチメント101を当該主軸115の当該軸端に新たに取り付け、取り外した上記アタッチメント101をマガジン内に格納することを自動的に行うことができるようになっている。
【0019】
前記ベッド111上のY軸方向他方側(図1中、左側)には、ワーク1を固定支持するテーブル116がY軸方向(図1中、左右方向)に移動可能に設けられている。テーブル116上には、前記主軸115の軸端に取り付けられている前記アタッチメント101の先端部の高さ方向(Z軸方向)の位置を光学的に計測するアタッチメント計測手段であるアタッチメント計測装置120が上記ワーク1の加工に際して障害とならない位置に載置されている。
【0020】
前記アタッチメント計測装置120は、図2に示すように、前記テーブル116上に設けられて窪部121aを有するように凹形をなす支持台121と、この支持台121の一方の上端部に支持された光源122と、この光源122に対向するように支持台121の他方の上端部に支持される撮像手段であるCCDカメラ123とを備えている。なお、124は、前記支持台121の窪部121aに設置可能な押さえ台124である。
【0021】
また、図3に示すように、前記アタッチメント計測装置120の前記CCDカメラ123は、制御手段である制御装置130の入力部に電気的に接続されている。この制御装置130の入力部には、当該制御装置130に各種データを入力する入力手段である入力装置131がさらに電気的に接続されている。制御装置130の出力部には、前記自動工具交換装置117と、前記主軸115をX軸方向,Y軸方向,Z軸方向へ移動させるように前記サドル113,前記主軸ヘッド114,前記テーブル116をそれぞれ移動させる各種の駆動モータ118と、前記主軸115を回転させる駆動モータ119と、前記光源122とがそれぞれ電気的に接続されており、当該制御装置130は、前記入力装置131から入力された情報や前記CCDカメラ123で撮像された情報等に基づいて、前記自動工具交換装置117や前記駆動モータ118,119や前記光源122等の作動をそれぞれ制御することができるようになっている(詳細は後述する)。
【0022】
このような本実施形態に係る工作機械100を使用する加工方法を次に説明する。
【0023】
始めに、本工作機械100の稼働運転を実施する前に、以下に説明する事前設定工程を行う。
【0024】
まず、前記主軸105の軸端に前記タッチプローブ102を装着すると共に、前記アタッチメント計測装置120の前記支持台121の前記窪部121aに前記押さえ台124を設置した後、前記制御装置130を作動させると、当該制御装置130は、図4Aに示すように、前記タッチプローブ102の先端部102aを前記アタッチメント計測装置120の前記押さえ台124の上面に接触させて当該タッチプローブ102をオン状態とするように、前記モータ118を作動させて前記サドル113や前記主軸ヘッド114や前記テーブル116等を移動させる。
【0025】
続いて、前記制御装置130は、前記タッチプローブ102からの情報に基づいて、当該タッチプローブ102がオン状態となったことを検出すると、前記主軸115の軸端のZ軸方向(上下方向)の位置Ps1を記録すると同時に、前記光源122から光を照射するように当該光源122を作動させると共に、前記CCDカメラ123で前記タッチプローブ102の先端部102aのZ軸方向(上下方向)の位置Pp1を撮像して記録する。
【0026】
このようにして前記タッチプローブ102の先端部102aのZ軸方向(上下方向)の位置Pp1を前記CCDカメラ123で撮像して記録した後、前記アタッチメント計測装置120の前記支持台121上から前記押さえ台124を取り外すと、図4Bに示すように、前記タッチプローブ102の先端部102aが自然長にまで伸びてオフ状態となるので、前記制御装置130は、当該タッチプローブ102からの情報に基づき、当該タッチプローブ102がオフ状態になったことを検出して、前記光源122から光を照射するように当該光源122を作動させると共に、前記CCDカメラ123で前記タッチプローブ102の先端部102aのZ軸方向(上下方向)の位置Pp2を撮像して記録する。
【0027】
次に、前記制御装置130は、前記タッチプローブ102のオン状態の先端部102aのZ軸方向(上下方向)の位置Pp1とオフ状態の先端部102aのZ軸方向(上下方向)の位置Pp2との差分から、当該タッチプローブ102の不感帯域長Lp2(=Pp2−Pp1)を算出し、これを記憶する。
【0028】
そして、前記主軸105の軸端から前記タッチプローブ102を取り外すことにより、事前設定工程を終了する(以上、タッチプローブ不感帯域長算出工程)。」
「【0043】
〈他の実施形態〉
なお、前述した実施形態においては、光源122及びCCDカメラ123によって前記タッチプローブ102の先端部102aや工具103の先端部103aの位置を撮像して光学的に計測するアタッチメント計測装置120を使用した場合について説明したが、他の実施形態として、例えば、レーザ光発光器からレーザ光をスキャニングしながらタッチプローブ102の先端部102aや工具103の先端部103aへ向けて発射してレーザ光受光器で受光することにより、タッチプローブ102の先端部102aや工具103の先端部103aの位置を光学的に計測するアタッチメント計測手段とすることも可能である。」
「【図1】


「【図2】


「【図3】


「【図4】



(4)周知技術の認定
ア 周知技術1
引用文献3の段落【0019】、【0024】〜【0025】、【図2】の記載から、次の技術事項は当業者にとって周知な技術であったと認められる(以下「周知技術1」という。)。
[周知技術1]
「ワークを固定支持するテーブル上に載置された、主軸の軸端に取り付けられているタッチプローブの先端部の高さ方向の位置を光学的に計測するアタッチメント計測装置において、
前記主軸の軸端に前記タッチプローブを装着すると共に、前記アタッチメント計測装置の支持台に押さえ台を設置した後、前記タッチプローブの先端部を前記押さえ台の上面に接触させて当該タッチプローブをオン状態とし、
当該タッチプローブがオン状態となったことを検出すると、前記主軸の軸端の上下方向の位置を記録すると同時に、光源から光を照射してCCDカメラで前記タッチプローブの先端部の上下方向の位置を撮像すること。」

イ 周知技術2
引用文献3の段落【0025】〜【0027】、【図4】の記載から、次の技術事項は当業者にとって周知な技術であったと認められる(以下「周知技術2」という。)。
[周知技術2]
「制御装置が、CCDカメラで撮像したタッチプローブのオン状態の先端部の上下方向の位置Pp1と、CCDカメラで撮像したオフ状態の先端部の上下方向の位置Pp2との差分から、当該タッチプローブの不感帯域長Lp2(=Pp2−Pp1)を算出すること。」

2 対比・判断について
(1)対比
本願発明と引用発明を対比する。
ア 引用発明の「タッチ・プローブ22」は、「ワーク・ピース30の表面を特定の力で触ることによって、ワーク・ピース30上の位置を見出すもの」であるから、本願発明の「触覚式測定プローブ(2)」に相当する。

イ 引用発明では、「ロードしていない位置からロードした位置までタッチ・プローブ22を移動させ」るから、引用発明の「タッチ・プローブ22の先端部」は、本願発明の「変位し得るタッチエレメント(3)」に相当する。
また、引用発明において、「ワーク・ピース30の表面を特定の力で触る」のは、「タッチ・プローブ22の先端部」であることは明らかであるから、この「先端部」の「ワーク・ピース30の表面」に接触する面は、本願発明の「タッチ面(4)」に相当する。

ウ 上記ア及びイの検討内容を踏まえると、引用発明の「タッチ・プローブ22」は、本願発明の「タッチ面(4)を備えかつ変位し得るタッチエレメント(3)を有する触覚式測定プローブ(2)」に相当する。

エ 引用発明の「ガラス・キューブ100」は、本願発明の「基準エレメント(7)」に相当し、引用発明の「ガラス・キューブ100」の「タッチ・プローブ22」が接する面は、本願発明の「基準エレメント(7)」の「基準面(8)」に相当する。

オ 引用発明では、「前記接触が、読み取られる位置エンコーダを起動させ、起動時に、位置エンコーダ14B及び14Cの位置が読み取られ、それらの位置は、タッチ・プローブ22の先端部の位置を表すもの」であるから、引用発明において、「ガラス・キューブ100のいくつかの表面位置のうち少なくとも1つに接触」するときに「位置エンコーダ14B及び14C」が「起動」して「タッチ・プローブ22の先端部の位置を表す」信号を出力することは、本願発明の「前記タッチエレメント(3)の前記タッチ面(4)と、前記基準面(8)とが接触して信号がトリガされる」ことに相当する。

カ 引用発明では、「タッチ・プローブ22の先端部のロードしていない位置は、起動時の位置とは異なり」、「タッチ・プローブ22のロードしていない位置と起動位置との間の距離が、時間が経っても変化しないと仮定する場合は、タッチ・プローブ22を使用する度に起動タッチ・プローブ22の較正を繰り返す必要はなく」としているから、引用発明の「タッチ・プローブ22のロードしていない位置と起動位置との間の距離」は、「タッチ・プローブ22の較正」に係る量であり、本願発明の「信号をトリガするタッチ変位ITr」に相当する。

キ 引用発明の「光学式検出器24」は、「高速度カメラ」を含むから、本願発明の「有利にはカメラ」である「検出器(5)」に相当する。
また、引用発明では、「完全なタッチ・プローブ較正が、ロードしていないタッチ・プローブ22の先端部の画像を記録し、前記光学式検出器24に対する位置を画像処理計算することによって完了するもの」であり、引用発明の「光学アセンブリ26」は、タッチ・プローブ22の位置の較正を行うための装置であるといえるから、本願発明の「較正装置」に相当する。
そうすると、本願発明と引用発明は、「タッチ面を備えかつ変位し得るタッチエレメントを有する触覚式測定プローブの、信号をトリガするタッチ変位を測定する較正装置であって、有利にはカメラである検出器を含む較正装置」である点で一致する。

ク 引用発明の「タッチ・プローブ22の先端部」の「位置を画像処理計算すること」は、本願発明の「前記タッチエレメント(3)の正確な位置を計算すること」に相当する。

ケ 引用発明では、「タッチ・プローブ22の起動位置を見出すために、空気ロッド102が、基準パターン34Aが取り付けられているガラス・キューブ100を光学式検出器24の視野に運び」、「起動状態を与えるように特定の状態の接触が得られるまで、予め定義された力で空気ロッド102に支持されたガラス・キューブ100のいくつかの表面位置のうち少なくとも1つに接触するように、ロードしていない位置からロードした位置までタッチ・プローブ22を移動させ」ている。
ここで、光学検出器24の視野に運ばれたガラス・キューブ100の1つの表面には、移動したタッチ・プローブ22が接触するから、その接触面は光学検出器24の視野に入っていることは明らかであり、このことは、本願発明の「前記タッチ面(4)」が、「前記検出器(5)の前記視野(9)に入るように」されていることに相当する。

コ 上記ア〜ケの対比内容をまとめると、本願発明と引用発明は、以下の一致点で一致し、以下の相違点1〜3で相違する。
[一致点]
「タッチ面を備えかつ変位し得るタッチエレメントを有する触覚式測定プローブの、信号をトリガするタッチ変位を測定する較正装置であって、
有利にはカメラである検出器を含む較正装置において、
前記タッチエレメントの前記タッチ面と、基準エレメントの基準面とが接触して信号がトリガされる際に、前記タッチ面が、前記検出器の前記視野に入るようにされており、
前記タッチエレメントの正確な位置を計算する、較正装置。」
[相違点1]
本願発明では、「有利にはカメラである検出器」が「前記タッチエレメント(3)の前記タッチ面(4)を検出する視野(9)を備えた」ものであり、「タッチエレメント」側を見ているのに対して、引用発明では、「光学式検出器24によって、照明されている前記ガラス・キューブ100の位置を光学的に検知」しており、「光学式検出器24」はガラス・キューブ側を見ている点。
[相違点2]
本願発明では、「基準面(8)を備えた基準エレメント(7)」が「較正装置(1)」に含まれており、「前記基準エレメント(7)の前記基準面(8)が、前記検出器(5)の前記視野(9)に対して配置されて」いるのに対して、引用発明の「ガラス・キューブ100」は、「光学式検出器24の視野に運」ばれるものの「光学アセンブリ26」とは別部材として構成されている点。
[相違点3]
本願発明では、「計算ユニット(6)」が「較正装置(1)」に含まれており、「前記検出器(5)及び前記計算ユニット(6)は、前記タッチ面(4)の検出した部分から、前記タッチエレメント(3)の正確な位置を計算することができる」のに対して、引用発明では、そのような計算ユニットが「光学アセンブリ26」に含まれているとはいえない点。

(2)判断
上記相違点1〜3について以下検討する。
ア 相違点1について
タッチプローブの先端部の接触面に光源から光を照射して、CCDカメラで前記タッチプローブの先端部の上下方向の位置を撮像することは、周知の技術である(前記1(4)アの[周知技術1]を参照。)。
そして、タッチプローブの先端部の接触位置を検出する際、タッチプローブ自身を撮像するか、タッチプローブに接触する部材を撮像するかは、当業者が適宜選択し得た設計事項にすぎない。
よって、引用発明の「光学式検出器24」に上記周知技術1を採用してタッチプローブの先端部の接触面を検出する視野を備えたものすることにより、上記相違点1に係る本願発明の構成とすることは当業者にとって容易に想到し得たことである。

イ 相違点2について
タッチプローブの先端部の高さ方向の位置を光学的に計測する際、前記タッチプローブの先端部を計測装置の押さえ台の上面に接触させて、前記タッチプローブの先端部の上下方向の位置を撮像することは、周知の技術である(前記1(4)アの[周知技術1]を参照。)。
そして、較正用基準部材を計測装置に含まれるものとして構成することや、カメラの視野内に置くことは、当業者が適宜なし得た設計事項にすぎない。
したがって、引用発明に上記周知技術1を採用することにより、上記相違点2に係る本願発明の構成とすることは、当業者ならば容易に想到し得たことである。

ウ 相違点3について
制御装置が、CCDカメラで撮像したタッチプローブのオン状態の先端部の上下方向の位置Pp1と、CCDカメラで撮像したオフ状態の先端部の上下方向の位置Pp2との差分から、当該タッチプローブの不感帯域長Lp2(=Pp2−Pp1)を算出することは、周知の技術である(前記1(4)イの[周知技術2]を参照。)。
ここで、上記制御装置は、本願発明の「計算ユニット(6)」に対応し、CCDカメラは、本願発明の「検出器(5)」に対応するものであり、タッチプローブのオン状態/オフ状態の先端部の位置をCCDカメラで撮像して、当該タッチプローブの不感帯域長を算出することは、本願発明の「前記タッチ面(4)の検出した部分から、前記タッチエレメント(3)の正確な位置を計算すること」に対応する。
また、このような制御装置を計測装置に含まれるものとして構成することは、当業者が適宜なし得た設計事項にすぎない。
したがって、引用発明において上記周知技術2を適用することにより、上記相違点3に係る本願発明の構成とすることは、当業者ならば容易に想到し得たことである。

エ 小括
そして、これらの相違点を総合的に勘案しても、本願発明の奏する効果は、引用発明及び周知技術1、2から当業者が予測可能な範囲内のものにすぎず、格別顕著なものであるということはできない。
したがって、本願発明は、引用発明及び周知技術1、2に基づいて当業者が容易になし得たものである。

3 請求人の主張について
(1)主張の概要
請求人は審判請求書において次の主張をしている(下線は当審が付与したものである。)。
「本願発明と引用発明1との重要な相違点を、再度以下に説明します。
本願発明は、基準面(8)との接触により信号がトリガされる際のタッチエレメント(3)の正確な位置を求め、延いてはタッチ変位ITrを求めるために、「基準面(8)」(引用発明1ではガラス・キューブ100)の位置を測定するのではなく、タッチエレメント(3)のタッチ面(4)を検出し、その情報を用いてタッチエレメント(3)の正確な位置を計算しております。
引用文献1には、「図7に、タッチ・プローブの起動位置の見出し方を示す。タッチ・プローブ22の起動位置を試験するために、空気ロッド102が、基準パターン34Aが取り付けられているガラス・キューブ100を光学式検出器24の視野に運ぶ。タッチ・プローブは、起動し次いで止まるまでガラス・キューブに接して移動する。次いで、例えば前記特許文献1に記載されているようにして、ガラス・キューブ100の位置を見出すことができる。」(段落0109)と明記されています。それゆえ、引用発明1では、タッチ・プローブの起動位置を見出すために、タッチ・プローブの検出された部分を用いるのではなく、ガラス・キューブ100の位置を検出、若しくは測定して、これを用いております。
本願発明では、基準面(8)を備えた基準エレメント(7)を高精度に位置決めする必要はありません(明細書段落0009)。本願発明では、タッチエレメント(3)のタッチ面(4)が、検出器(5)の視野(9)に入ることが必要であり、タッチエレメント(3)の位置は、タッチ面(4)の検出された部分から算出することができます。このような構成、作用効果は、上述の引用発明1からは全く予測することができないものであります。」

(2)検討
上記(1)の主張について検討する。
前記2(2)において説示したとおり、タッチプローブの先端部の高さ方向の位置を光学的に計測する際に、前記タッチプローブの先端部を計測装置の押さえ台の上面に接触させて、光源から光を照射してCCDカメラで前記タッチプローブの先端部の上下方向の位置を撮像することは、周知の技術である(周知技術1参照)。
すなわち、タッチエレメントのタッチ面が検出器の視野に入り、タッチエレメントの位置がタッチ面の検出された部分から算出されることは、周知の技術であり、このような周知の技術においては、押さえ台の位置を測定するものではないから、押さえ台を高精度に位置決めする必要がないことは明らかである。
したがって、請求人の上記主張は、結局のところ周知な構成についてしたものにすぎず、格別なものではないから、前記2(2)に示した判断を左右しない。

第5 むすび
以上検討のとおりであるから、本願発明は、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

 
別掲 (行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。

審判長 居島 一仁
出訴期間として在外者に対し90日を附加する。
 
審理終結日 2021-10-28 
結審通知日 2021-11-08 
審決日 2021-11-24 
出願番号 P2016-184066
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G01B)
最終処分 02   不成立
特許庁審判長 居島 一仁
特許庁審判官 濱野 隆
清水 靖記
発明の名称 光学式測定プローブ較正  
代理人 アインゼル・フェリックス=ラインハルト  
代理人 二宮 浩康  
代理人 前川 純一  
代理人 森田 拓  
代理人 上島 類  
代理人 永島 秀郎  
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