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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H01R |
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管理番号 | 1383804 |
総通号数 | 5 |
発行国 | JP |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2022-05-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2021-04-15 |
確定日 | 2022-04-14 |
事件の表示 | 特願2017− 21590「防水コネクタ」拒絶査定不服審判事件〔平成30年 8月16日出願公開、特開2018−129197〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本件に係る出願は、平成29年2月8日の出願であって、その手続の経緯は、以下のとおりである。 令和2年10月23日付け:拒絶理由通知 (令和2年10月27日発送) 令和2年12月 3日 :意見書、手続補正書の提出 令和2年12月16日付け:拒絶査定(以下、「原査定」という。) (令和3年 1月26日発送) 令和3年 4月15日 :審判請求書、手続補正書の提出 令和3年 8月25日付け:当審による拒絶理由通知(以下、「当審拒絶 理由通知」という。) (令和3年 8月31日発送) 令和3年11月 1日 :意見書、手続補正書の提出 第2 本願発明について 本願の請求項1〜6に係る発明は、令和3年11月1日にした手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1〜6に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、次のとおりのものである。 「【請求項1】 金属(M)により構成され、かつ、表面の少なくとも一部に微細凹凸形状を含む金属端子と、 ゴム状弾性体(G)により構成され、かつ、前記金属端子の前記微細凹凸形状を含む面の凹部に前記ゴム状弾性体(G)の一部が侵入することで少なくとも接合したシール層と、 熱可塑性樹脂(R)により構成され、かつ、前記シール層の前記金属端子と接合した面とは反対側の表面を少なくとも被覆するハウジングと、 を備える防水コネクタであって、 前記微細凹凸形状の凸部と凹部の高低差の平均値が10nm以上100μm未満であり、 前記ゴム状弾性体(G)が、熱可塑性エラストマーを含む、防水コネクタ。」 第3 当審拒絶理由通知の概要 当審拒絶理由通知のうち、進歩性に係る拒絶の理由の概要は、以下のとおりである。 (進歩性)本件出願の請求項1〜6に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された以下の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献1:特開平4−324323号公報 引用文献2:特開昭55−3617号公報(周知技術を示す文献) 第4 引用文献に記載された事項及び引用発明 1.引用文献1に記載された事項及び引用発明 当審拒絶理由通知に引用された引用文献1である特開平4−324323号公報には、図面とともに、以下の事項が記載されている(下線は当審において付与した。以下同様。)。 (1)「【0007】 【作用および発明の効果】(1)金属端子の端子支持部に埋没される部分と樹脂との間に設けたシール膜が充分なシール性を確保し、燃料タンク内の燃料が金属端子と樹脂との間から滲み出すことを防止する。」 (2)「【0010】(第1実施例)図1は本考案の第1実施例の構成を示す一部断面斜視図である。図中1は主として黄銅よりなる板状の金属端子であり、一端側11が燃料タンク外のハーネス(図示しない)と接続され、他端側12がタンク内に配設されるセンサのリード線と接続される。この金属端子1の中央部表面には、この表面を完全に覆う如くゴム弾性を有するウレタン系の接着剤(シール剤)よりなるシール膜2が形成されている。 【0011】3は耐ガソリン性を有するポリアセタール等の樹脂よりなる樹脂製フランジであり、タンクへの固定部31,ハーネスとの接合部33および金属端子支持部34から構成されている。固定部31には複数の穴32が開けられており、これらの穴32を介してビス(図示しない)にて燃料タンクへ固定される。 【0012】上記構成のフューエルセンダのフランジ部構造は、金属端子1の中央部表面に接着剤2を塗布した後、インサート成形の樹脂温度よりも0〜20〔℃〕高い温度、例えばポリアセタールガラスを25〔%〕含む樹脂の場合は210〜230〔℃〕にて焼き付けた後、インサート成形して得られる。尚、接着剤2の塗布はへらによる方法、接着液に浸漬する方法、接着液を吹きつける方法等があり、いずれの方法でもよい。」 摘記事項(1)〜(2)から、特に第1実施例に注目すると、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているといえる。 【引用発明】 「金属端子1と、 金属端子1の中央部表面を完全に覆う如くゴム弾性を有する接着剤(シール剤)2よりなるシール膜2と、 ポリアセタール等の樹脂よりなり、金属端子1の中央部表面に接着剤2を塗布し、焼き付けた後、インサート成形して得られる樹脂製フランジ3と、 を備える車両用フューエルセンダのフランジ構造。」 2.引用文献2に記載された事項 当審拒絶理由通知に引用された引用文献2である特開昭55−3617号公報には、図面とともに、以下の事項が記載されている。 (1)「 また、前記金属ベース1のケース9と接合される部分すなわち溝2およびこの溝2よりも周縁側の表面は、第2図に示されるように、粗面化処理がなされて微小な凹凸が形成されている。この粗面化処理はアルミナ粉を吹き付けるサンドブラスト(シヨツトブラスト)法あるいは化学的エツチングなどによつて行なわれる。また、この場合の表面粗度は2μmないし数十μm程度とされ、最大100μm程度とされ、実際には20μm程度までが適当である。 このように、接着剤4により接着される金属ベース1の表面を粗面化することにより、接着強度が従来に比べて各段に増加し、耐熱性等も著しく増加する。また、溝2の垂直壁面に形成される凹凸内に入つた接着剤4によるアンカー効果で接着力はさらに強化される。 第4図はニツケルメツキした面の表面粗さと引張り接着力との関係を示す図で、横軸に表面粗さ(μm)をとり縦軸に引張り接着力(Kg/cm2)をとつてある。この図によれば、表面粗さ約0.5μmの時の引張り接着力は、約2Kg/cm2であるが、サンドブラスト法を行ないニツケルメツキ面を粗くして表面粗さを約4.5μmにすると、この時の引張り接着力は約10.5Kg/cm2であり、サンドブラスト法を行うことにより約5倍の接着力の向上があることがわかる。」(第2ページ左下欄第19行〜第3ページ左上欄第4行) (2)「また、第7図はニツケルメツキ後サンドブラスト処理を行つた表面状態を示し、その表面粗さは2〜15μmとなつている。このように表面の凹凸が大きいと、これらの凹凸内に接着剤が喰い込みいわゆるアンカー効果によつて接着力が増加するとともに、接着剤との接着面積も増加してこれによつても接着力の増加がなされる。」(第3ページ左上欄第19行〜右上欄第5行) 第5 当審の判断 1.対比 本願発明と引用発明とを対比する。 引用発明の「金属端子1」は、「金属(M)により構成され」た「金属端子」という限りにおいて、本願発明の「金属(M)により構成され、かつ、表面の少なくとも一部に微細凹凸形状を含む金属端子」と一致する。 引用発明の「ゴム弾性を有する接着剤(シール剤)2」は、「ゴム状弾性体(G)」という限りにおいて、本願発明の「熱可塑性エラストマーを含む」「ゴム状弾性体(G)」と一致し、引用発明の「ゴム弾性を有する接着剤(シール剤)2」が「金属端子1の中央部表面を完全に覆う」ことは、「ゴム状弾性体(G)」が「金属端子に接合した」という限りにおいて、本願発明の「ゴム状弾性体(G)により構成され、かつ、前記金属端子の前記微細凹凸形状を含む面の凹部に前記ゴム状弾性体(G)の一部が侵入することで少なくとも接合した」ことと一致する。したがって、引用発明の「金属端子1の中央部表面を完全に覆う如くゴム弾性を有する接着剤(シール剤)2よりなるシール膜2」は、「ゴム状弾性体(G)により構成され、かつ、前記金属端子に接合したシール層」という限りにおいて、本願発明の「ゴム状弾性体(G)により構成され、かつ、前記金属端子の前記微細凹凸形状を含む面の凹部に前記ゴム状弾性体(G)の一部が侵入することで少なくとも接合したシール層」と一致する。 引用発明の「ポリアセタール等の樹脂」は、本願発明の「熱可塑性樹脂(R)」に相当し、引用発明の「金属端子1の中央部表面に接着剤2を塗布し、焼き付けた後、インサート成形して得られる」ことは、本願発明の「前記シール層の前記金属端子と接合した面とは反対側の表面を少なくとも被覆する」ことに相当する。したがって、引用発明の「ポリアセタール等の樹脂よりなり、金属端子1の中央部表面に接着剤2を塗布し、焼き付けた後、インサート成形して得られる樹脂製フランジ3」は、本願発明の「熱可塑性樹脂(R)により構成され、かつ、前記シール層の前記金属端子と接合した面とは反対側の表面を少なくとも被覆するハウジング」に相当する。 引用発明の「車両用フューエルセンダのフランジ構造」は、「燃料タンク内の燃料が金属端子と樹脂との間から滲み出すことを防止する」(段落【0007】参照)ものであるから、本願発明の「防水コネクタ」に相当する。 以上のとおりであるから、本願発明と引用発明とは、以下の一致点の限りにおいて一致し、以下の相違点において相違する。 【一致点】 「金属(M)により構成された金属端子と、 ゴム状弾性体(G)により構成され、かつ、前記金属端子に接合したシール層と、 熱可塑性樹脂(R)により構成され、かつ、前記シール層の前記金属端子と接合した面とは反対側の表面を少なくとも被覆するハウジングと、 を備える防水コネクタ。」 【相違点1】 本願発明では、「金属端子」が、「表面の少なくとも一部に微細凹凸形状を含」み、「シール層」が、「前記金属端子の前記微細凹凸形状を含む面の凹部に前記ゴム状弾性体(G)の一部が侵入することで少なくとも接合し」ており、「前記微細凹凸形状の凸部と凹部の高低差の平均値が10nm以上100μm未満である」のに対し、引用発明では、かかる構成が特定されていない点。 【相違点2】 本願発明では、「ゴム状弾性体(G)」が、「熱可塑性エラストマーを含む」のに対し、引用発明では、かかる構成が特定されていない点。 2.判断 (1)相違点1について 上記相違点1について検討する。 上記「第4 2.」に摘記したとおり、引用文献2には、接着剤により接着される部材の表面は、粗面化処理がなされて、2μmないし数十μm程度、最大100μm程度の微小な凹凸が形成され、これらの凹凸内に接着剤が喰い込みいわゆるアンカー効果によって接着力が増加することが記載されており、当該事項は、接着剤による接着における周知技術と認められる。 引用発明において、「金属端子1」と「樹脂製フランジ3」を「接着剤2」により接着する際、その接着力を増加させようとすることは、通常考慮する課題であるから、引用発明に対し、上記周知技術を採用する動機付けがあったというべきである。 してみれば、引用発明に対し、引用文献2に例示される周知技術を採用し、上記相違点1に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。 (2)相違点2について 上記相違点2について検討する。 引用発明において、「ゴム弾性を有する接着剤(シール剤)よりなるシール膜2」の材料は、接着性やシール性等を考慮して当業者が適宜決定する設計的事項であり、熱可塑性エラストマーを含む材料とすることに、特段の困難性は認められない。 してみれば、引用発明において、上記相違点2に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。 3.請求人の主張について (1)相違点1に対する主張について 請求人は、令和3年11月1日に提出した意見書(以下、単に「意見書」という。)の(5−2−1)において、「引用文献1の段落[0001]には、「本発明は、金属端子と樹脂との間のシール性を向上するようにした車両用センダのフランジ部構造およびその製造方法に関する。」という記載があることから、引用文献1に記載の発明は「車両用フューエルセンダのフランジ部構造」に関する発明です。この効果として、引用文献1の段落[0007]および[0008]には、「燃料タンク内の燃料が金属端子と樹脂との間から滲み出すことを防止する」、「一体形成時に接着剤が溶融して流れ出すことがなく、確実に金属端子と樹脂との間にシール膜を介在させることができ、シール性に優れたセンダのフランジ部構造を得ることができる」と記載されております。 一方で、引用文献2に記載の発明は、引用文献2の発明の名称にもあるように「混成集積回路用金属ベース」に関する発明です。この効果としては、引用文献2の第2頁左上欄第19行目−右上欄7行目に「表面に凹凸を形成して、この凹凸に接着剤を喰込ませることによりアンカー効果によつて凝集破壊を起させるようにしたもの」と記載されております。つまり、引用文献2に記載の発明は、単に「ケースとの接着性」を良好にするための発明であると言えます。 ここで、引用文献2においては、引用文献1に記載の発明のように、「燃料タンク内の燃料」と接するような用途は記載も示唆もされておらず、用途としても引用文献1に記載の発明のような過酷な環境下における用途とは大きく異なるものです。このように、引用文献1および2に記載の発明では、適用される用途および効果が全く異なるため、引用文献1および2に接した当業者であっても、この二つの発明を積極的に組み合わせる動機付けはありません。」と主張しており、その趣旨から、上記相違点1に対する主張と認められる。 しかしながら、引用発明に対し、引用文献2に例示される周知技術を採用する動機付けがあったことは、上記「2.(1)」に示したとおりである。 また、引用文献2は、あくまでも周知技術を示すために例示したものにすぎず、周知技術自体は、上記「2.(1)」に示したとおり、「接着剤による接着における周知技術」と認められる。そして、当該周知技術が、「燃料タンク内の燃料」と接する環境で使用することができないという事情も認められないから、単に引用文献1と引用文献2に記載された技術分野及び効果が異なることのみをもって、引用発明に対し、引用文献2に例示される周知技術を採用することができないということはできない。 よって、請求人の上記主張は採用できない。 (2)相違点2に対する主張について 請求人は、意見書の(5−2−2)において、「(5−2−1)にて上述のように、引用文献1に記載の発明は「車両用フューエルセンダのフランジ部構造」に関する発明であり、引用文献2に記載の発明は「混成集積回路用金属ベース」に関する発明です。特に、引用文献1に記載の発明は、引用文献1の段落[0007]に「燃料タンク内の燃料が金属端子と樹脂との間から滲み出すことを防止する」という効果が記載されていることから、「耐油性」が必要になってくるものです。 一方、補正後の本願発明においては、ゴム状弾性体(G)は熱可塑性エラストマーを含むものですが、熱可塑性エラストマーについては、例えば文献「ポリマー材料フォーラム講演要旨集 新規耐油性熱可塑性エラストマーの特性」(発行日:2004年)において、「スチレン系熱可塑性エラストマー(TPS)、オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)に代表されるTPEは耐油性に劣るといった欠点を有する」ことが記載されております(参考のため、上記文献の抄録が掲載されているウェブサイトのスクリーンショットを本意見書末尾に添付しました)。 つまり、当業者の出願時の技術常識に基づけば、熱可塑性エラストマーは、耐油性に劣る素材です。このような素材を引用文献1に記載の発明のような耐油性が必要とされる「車両用フューエルセンダのフランジ部構造」に用いた場合、当業者は該用途における性能の劣化が発生するものと考えます。そのため、補正後の本願発明のように、耐油性が必要とされる「車両用フューエルセンダのフランジ部構造」に熱可塑性エラストマーを用いようとは当業者は考えません。」と主張しており、その趣旨から、上記相違点2に対する主張と認められる。 請求人は、熱可塑性エラストマーが耐油性に劣る素材である旨主張しているが、特開平3−207757号公報の第4ページ左上欄第6行〜右上欄第7行、第9ページ左上欄第2行〜第8行、特開2000−186197号公報の段落【0002】、【0004】、【0023】〜【0024】、【0033】、特開平8−157685号公報の段落【0002】、【0004】、【0026】、特開2008−222964号公報の段落【0006】、【0011】〜【0012】等に例示されるように、耐油性に優れた熱可塑性エラストマーが存在することが、本願出願時の技術常識である(なお、上記各文献に記載された耐油性に優れた熱可塑性エラストマーは、いずれも、接着剤として用いることができるものであることを付言する。)。 そして、引用文献1の段落【0013】に「インサート成形時の樹脂の温度により接着剤2が溶融し」と記載されており、引用発明の「接着剤(シール剤)2」が熱可塑性であることが示唆されているから、引用発明の「ゴム弾性を有する接着剤(シール剤)2」として、本願出願時によく知られた耐油性に優れた熱可塑性エラストマーを選択することは、当業者が容易に想到し得たことといわざるを得ない。 よって、請求人の上記主張は採用できない。 (3)本願発明の効果に関する主張について 請求人は意見書の(5−2−3)において、「本願発明の段落[0032]には、ゴム状弾性体(G)として熱可塑性エラストマーを含むことによる効果について、以下のように記載されております。 「金属端子3の表面とシール層4との間の密着性をさらに強化するとともにその耐久性をも格段に向上させることが可能となる。」 この「耐久性を格段に向上させる」という効果は、引用文献1および2のいずれにも記載も示唆もされておりません。さらに、上記(5−2−2)にて申し述べたように、「熱可塑性エラストマー」は「耐油性に劣るといった欠点を有する」ことが知られている中で、あえて「ゴム状弾性体(G)」として「熱可塑性エラストマーを含む」ようにすることは、引用文献1および2に接した当業者が容易に相当(審決注:「想到」の誤記と認める。)し得ないものです。 よって、本願発明は「ゴム状弾性体(G)」として「熱可塑性エラストマーを含む」ものを使用することによって、「耐久性をも格段に向上させる」という当業者が想到し得ない異質な効果を奏するものです。」と、本願発明の効果について主張している。 しかしながら、引用発明に対し、引用文献2に例示される周知技術を採用すれば、金属端子1と樹脂製フランジ3とを接着する接着剤2の接着力は増加するのであるから、金属端子1が樹脂製フランジ3からより抜けにくくなることは明らかである。そして、金属端子1が樹脂製フランジ3からより抜けにくくなることは、車両用フューエルセンダのフランジ構造の耐久性を向上させていることに他ならないから、請求人が主張する「耐久性をも格段に向上させる」という効果は、当業者であれば容易に予測し得る程度のものであって、異質な効果とはいえない。 よって、請求人の上記主張は採用できない。 4.小括 以上のとおりであるから、本願発明は、引用発明及び引用文献2に例示される周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。 第6 むすび 以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
(行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。 |
審理終結日 | 2022-02-14 |
結審通知日 | 2022-02-15 |
審決日 | 2022-02-28 |
出願番号 | P2017-021590 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WZ
(H01R)
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最終処分 | 02 不成立 |
特許庁審判長 |
田村 嘉章 |
特許庁審判官 |
中村 大輔 内田 博之 |
発明の名称 | 防水コネクタ |
代理人 | 速水 進治 |