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審決分類 審判 訂正 ただし書き3号明りょうでない記載の釈明 訂正する H04Q
管理番号 1383980
総通号数
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2022-05-27 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2021-02-09 
確定日 2021-05-25 
訂正明細書 true 
事件の表示 特許第5158999号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第5158999号の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。 
理由 本件訂正審判の請求に係る特許第5158999号は、2009年(平成21年)12月9日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2008年12月30日 米国(US))を国際出願日とする出願である特願2011−542941号の請求項1ないし14について、平成24年12月21日に特許権の設定登録がなされたものであり、令和3年2月9日に本件訂正審判の請求がされた。

第2 請求の趣旨及び訂正の内容
本件訂正審判の請求の趣旨は、特許第5158999号の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを認める、との審決を求めるものであり、その訂正の内容は、次の本件訂正事項1ないし17のとおりである。(下線は、訂正箇所を示す。)

1.訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に、「前記受信された探索要求メッセージ」との記載が2カ所あるが、これらをいずれも「前記受信された無線探索要求メッセージ」に訂正する。請求項1の記載を引用する請求項2ないし4、7も同様に訂正する。

2.訂正事項2
特許請求の範囲の請求項1に、「前記受信されたメッセージ」との記載が3カ所あるが、これらをいずれも「前記受信された無線探索要求メッセージ」に訂正する。請求項1の記載を引用する請求項2ないし4、7も同様に訂正する。

3.訂正事項3
特許請求の範囲の請求項1に、「どのデバイスが該デバイス間のアドホックネットワーク通信を開始するかを決定できるようにする」との記載があるが、これを「どのデバイスが、前記無線デバイスと前記他方のデバイスとの間のアドホックネットワーク通信を開始するかを決定できるようにする」に訂正する。請求項1の記載を引用する請求項2ないし4、7も同様に訂正する。

4.訂正事項4
特許請求の範囲の請求項4に、「前記受信されたメッセージ」との記載があるが、これを「前記受信された無線探索要求メッセージ」に訂正する。請求項4の記載を引用する請求項7も同様に訂正する。

5.訂正事項5
特許請求の範囲の請求項4に、「前記デバイス間のアドホックネットワーク通信」との記載があるが、これを「前記無線デバイスと前記他方のデバイスとのデバイス間のアドホックネットワーク通信」に訂正する。請求項4の記載を引用する請求項7も同様に訂正する。

6.訂正事項6
特許請求の範囲の請求項5に、「該メッセージ」との記載があるが、これを「該無線探索要求メッセージ」に訂正する。請求項5の記載を引用する請求項6及び7も同様に訂正する。

7.訂正事項7
特許請求の範囲の請求項5に、「前記応答」との記載があるが、これを「前記無線探索応答」に訂正する。請求項5の記載を引用する請求項6及び7も同様に訂正する。

8.訂正事項8
特許請求の範囲の請求項6に、「前記応答」との記載が2カ所あるが、これを「前記無線探索応答」に訂正する。請求項6の記載を引用する請求項7も同様に訂正する。

9.訂正事項9
特許請求の範囲の請求項6に、「前記第1および応答デバイスの間の通信」との記載があるが、これを「前記第1デバイスと前記応答デバイスとの間の通信」に訂正する。請求項6の記載を引用する請求項7も同様に訂正する。

10.訂正事項10
特許請求の範囲の請求項8に、「前記受信された探索要求メッセージ」との記載が2カ所あるが、これらをいずれも「前記受信された無線探索要求メッセージ」に訂正する。請求項8の記載を引用する請求項9ないし11も同様に訂正する。

11.訂正事項11
特許請求の範囲の請求項8に、「前記無線メッセージ」との記載が3カ所あるが、これらをいずれも「前記無線探索要求メッセージ」に訂正する。請求項8の記載を引用する請求項9ないし11も同様に訂正する。

12.訂正事項12
特許請求の範囲の請求項8に、「前記無線デバイスと前記他方のデバイスに、どのデバイスが該デバイス間のアドホックネットワーク通信を開始するかを決定できるようにする」との記載があるが、これを「前記装置と前記他方のデバイスに、前記装置と前記他方のデバイスのどちらが、前記装置と前記他方のデバイスとの間のアドホックネットワーク通信を開始するかを決定できるようにする」に訂正する。請求項8の記載を引用する請求項9ないし11も同様に訂正する。

13.訂正事項13
特許請求の範囲の請求項9に、「前記応答」との記載があるが、これを「前記無線応答」に訂正する。請求項9の記載を引用する請求項10、11も同様に訂正する。

14.訂正事項14
特許請求の範囲の請求項11に、「前記受信された無線メッセージ」との記載があるが、これを「前記受信された無線探索要求メッセージ」に訂正する。

15.訂正事項15
特許請求の範囲の請求項12に、「該メッセージ」との記載があるが、これを「該無線探索要求メッセージ」に訂正する。請求項12の記載を引用する請求項13及び14も同様に訂正する。

16.訂正事項16
特許請求の範囲の請求項12に、「前記応答」との記載があるが、これを「前記無線探索応答」に訂正する。請求項12の記載を引用する請求項13及び14も同様に訂正する。

17.訂正事項17
特許請求の範囲の請求項13に、「前記応答」との記載が2カ所あるが、これらをいずれも「前記無線探索応答」に訂正する。請求項13の記載を引用する請求項14も同様に訂正する。

第3 当審の判断
1.訂正事項1について
(1)訂正の目的について
訂正前の請求項1に「前記受信された探索要求メッセージ」との記載が2カ所あるが、これらの前には、「探索要求メッセージ」という記載はないから「前記」が指し示すものが不明瞭である。
これに対して、訂正事項1のとおり、「前記受信された無線探索要求メッセージ」に訂正されることにより、「前記」が指し示すものが、これより前に記載された「無線探索要求メッセージ」であることが明確になる。
したがって、訂正事項1は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。

(2)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であることについて
訂正事項1は、請求項1における用語の不統一を正すものであって、新たな技術事項を追加するものではないから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、特許法第126条第5項の規定に適合する。

(3)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないことについて
訂正事項1は、請求項1における用語の不統一を正すものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第126条第6項の規定に適合する。

2.訂正事項2について
(1)訂正の目的について
訂正前の請求項1に「前記受信されたメッセージ」との記載が3カ所あるが、これらの前には、「メッセージ」という記載はないから「前記」が指し示すものが不明瞭である。
これに対して、訂正事項2のとおり、「前記受信された無線探索要求メッセージ」に訂正されることにより、「前記」が指し示すものが、これより前に記載された「無線探索要求メッセージ」であることが明確になる。
したがって、訂正事項2は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。

(2)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であることについて
訂正事項2は、請求項1における用語の不統一を正すものであって、新たな技術事項を追加するものではないから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、特許法第126条第5項の規定に適合する。

(3)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないことについて
訂正事項2は、請求項1における用語の不統一を正すものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第126条第6項の規定に適合する。

3.訂正事項3について
(1)訂正の目的について
訂正前の請求項1の「どのデバイスが該デバイス間のアドホックネットワーク通信を開始するかを決定できるようにする」という記載における「該デバイス間」という記載は、どのデバイスとどのデバイスとの間のことであるのかが不明瞭である。
これに対して、訂正事項3のとおり、「どのデバイスが、前記無線デバイスと前記他方のデバイスとの間のアドホックネットワーク通信を開始するかを決定できるようにする」に訂正されることにより、「該デバイス間」は、「無線デバイスと他方のデバイスとの間」であることが明確になる。
したがって、訂正事項3は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。

(2)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であることについて
段落【0045】、【0059】の記載によれば、願書に添付された明細書には、無線デバイス(応答デバイス)は、他方のデバイスからアドホックネットワークを能動的に設定しているかどうかの無線メッセージを受信するものであり、また無線探索要求メッセージを受信し、無線探索応答メッセージを他方のデバイスに伝送し、他方のデバイスまたは無線デバイス(応答デバイス)が、他方のデバイスと無線デバイス(応答デバイス)の間の通信のための新しいネットワークを起動するかどうかを決定することが記載されているといえる。
そうすると、「該デバイス間」を「前記無線デバイスと前記他方のデバイスとの間」に訂正することは、願書に添付された明細書に記載した事項の範囲内の訂正であることは明らかである。
したがって、訂正事項3は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第126条第5項の規定に適合する。

(3)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないことについて
訂正事項3は、請求項1の記載を明瞭にするものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第126条第6項の規定に適合する。

4.訂正事項4について
(1)訂正の目的について
訂正前の請求項4に「前記受信されたメッセージ」との記載があるが、これらの前には、「メッセージ」と記載はないから、「前記」が指し示すものが不明確である。
これに対し、訂正事項4のとおり、「前記受信された無線探索要求メッセージ」に訂正されることにより、「前記」が指し示すものが、これより前に記載された「無線探索要求メッセージ」であることが明確になる。
したがって、訂正事項4は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。

(2)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であることについて
訂正事項4は、請求項1ないし4における用語の不統一を正すものであって、新たな技術事項を追加するものではないから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、特許法第126条第5項の規定に適合する。

(3)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないことについて
訂正事項4は、請求項1ないし4における用語の不統一を正すものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第126条第6項の規定に適合する。

5.訂正事項5について
(1)訂正の目的について
訂正前の請求項4の「前記デバイス間のアドホックネットワーク通信を開始するために新しいネットワークを起動するかどうかを判定することと、」との記載において、「前記デバイス間」という記載は、どのデバイスとどのデバイスとの間のことであるのかが不明瞭である。
これに対して、訂正事項5のとおり、「前記無線デバイスと前記他方のデバイスとのデバイス間のアドホックネットワーク通信を開始するために新しいネットワークを起動するかどうかを判定することと、」に訂正されることにより、「前記デバイス間」は、「前記無線デバイスと前記他方のデバイスとのデバイス間」であることが明確になる。
したがって、訂正事項5は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。

(2)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であることについて
段落【0045】、【0059】の記載によれば、願書に添付された明細書には、無線デバイス(応答デバイス)は、他方のデバイスからアドホックネットワークを能動的に設定しているかどうかの無線メッセージを受信するものであり、また無線探索要求メッセージを受信し、無線探索応答メッセージを他方のデバイスに伝送し、他方のデバイスまたは無線デバイス(応答デバイス)が、他方のデバイスと無線デバイス(応答デバイス)の間の通信のための新しいネットワークを起動するかどうかを決定することが記載されているといえる。
そうすると、「該デバイス間」を「前記無線デバイスと前記他方のデバイスとのデバイス間」にと訂正することは、願書に添付された明細書に記載した事項の範囲内の訂正であることは明らかである。
したがって、訂正事項5は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第126条第5項の規定に適合する。

(3)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないことについて
訂正事項5は、請求項4の記載を明瞭にするものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第126条第6項の規定に適合する。

6.訂正事項6について
(1)訂正の目的について
訂正前の請求項5に「該メッセージ」との記載があるが、これらの前には、「メッセージ」という記載はないから、「該」が指し示すものが不明瞭である。
これに対して、訂正事項6のとおり、「該無線探索要求メッセージ」に訂正されることにより、「該」が指し示すものが、これより前に記載された「無線探索要求メッセージ」であることが明確になる。
したがって、訂正事項6は、特許法第126条第1項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。

(2)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であることについて
訂正事項6は、請求項5における用語の不統一を正すものであって、新たな技術事項を追加するものではないから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、特許法第126条第5項の規定に適合する。

(3)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないことについて
訂正事項6は、請求項5における用語の不統一を正すものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第126条第6項の規定に適合する。

7.訂正事項7について
(1)訂正の目的について
訂正前の請求項5に「前記応答」との記載があるが、これらの前には、「応答」という記載はないから、「前記」が指し示すものが不明瞭である。
これに対して、訂正事項7のとおり、「前記無線探索応答」に訂正されることにより、「前記」が指し示すものが、これより前に記載された「無線探索応答」であることが明確になる。
したがって、訂正事項6は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。

(2)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であることについて
訂正事項7は、請求項5における用語の不統一を正すものであって、新たな技術事項を追加するものではないから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、特許法第126条第5項の規定に適合する。

(3)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないことについて
訂正事項7は、請求項5における用語の不統一を正すものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第126条第6項の規定に適合する。

8.訂正事項8について
(1)訂正の目的について
訂正前の請求項6に「前記応答」と記載があるが、これらの前には、「応答」という記載はないから、「前記」が指し示すものが不明瞭である。
これに対して、訂正事項8のとおり、「前記無線探索応答」に訂正されることにより、「前記」が指し示すものが、これより前に記載された「無線探索応答」であることが明確になる。
したがって、訂正事項2は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。

(2)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であることについて
訂正事項8は、請求項5及び6における用語の不統一を正すものであって、新たな技術事項を追加するものではないから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、特許法第126条第5項の規定に適合する。

(3)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないことについて
訂正事項8は、請求項5及び6における用語の不統一を正すものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第126条第6項の規定に適合する。

9.訂正事項9について
(1)訂正の目的について
訂正前の請求項6に「前記第1および応答デバイスの間の通信」との記載があるが、これらの前には、「第1」という記載はないから、「前記」が指し示すものが不明瞭である。
また、「前記第1および応答デバイスの間の通信」との記載があるが、応答デバイスが、これらの前に記載されている応答デバイスであることを特定しているのか、それ以外を特定しているのか不明瞭である。
これに対して、訂正事項9のとおり、「前記第1デバイスと前記応答デバイスの間の通信」に訂正されることにより、「前記」が指し示すものが「前記第1」であること、「応答デバイス」は、これより前に記載された「応答デバイス」であることが明確になる。
したがって、訂正事項9は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。

(2)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であることについて
訂正事項9は、請求項5及び6における用語の不統一を正すものであって、新たな技術事項を追加するものではないから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、特許法第126条第5項の規定に適合する。

(3)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないことについて
訂正事項9は、請求項5及び6における用語の不統一を正すものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第126条第6項の規定に適合する。

10.訂正事項10について
(1)訂正の目的について
訂正前の請求項8に「前記受信された探索要求メッセージ」との記載が2カ所あるが、「探索要求メッセージ」という記載はないから、「前記」が指し示すものが不明瞭である。
これに対して、訂正事項10のとおり、「前記受信された無線探索要求メッセージ」に訂正されることにより、「前記」が指し示すものが、これより前に記載された「無線探索要求メッセージ」であることが明確になる。
したがって、訂正事項10は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。

(2)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であることについて
訂正事項10は、請求項8における用語の不統一を正すものであって、新たな技術事項を追加するものではないから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、特許法第126条第5項の規定に適合する。

(3)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないことについて
訂正事項10は、請求項8における用語の不統一を正すものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第126条第6項の規定に適合する。

11.訂正事項11について
(1)訂正の目的について
訂正前の請求項8に「前記無線メッセージ」との記載が3カ所あるが、これらの前には、「無線メッセージ」という記載はないから、「前記」が指し示すものが不明瞭である。
これに対して、訂正事項11のとおり、「前記無線探索要求メッセージ」に訂正されることにより、「前記」が指し示すものが、これより前に記載された「無線探索要求メッセージ」であることが明確になる。
したがって、訂正事項11は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。

(2)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であることについて
訂正事項11は、請求項8における用語の不統一を正すものであって、新たな技術事項を追加するものではないから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、特許法第126条第5項の規定に適合する。

(3)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないことについて
訂正事項11は、請求項8における用語の不統一を正すものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第126条第6項の規定に適合する。

12.訂正事項12について
(1)訂正の目的について
訂正前の請求項8の「前記無線デバイスと前記他方のデバイスに、どのデバイスが該デバイス間のアドホックネットワーク通信を開始するかを決定できるようにする」との記載があるが、これらの前には、「無線デバイス」という記載はないから、「前記」が指し示すものが不明瞭である。また、「どのデバイスが該デバイス間」という記載は、どのデバイスが何のデバイスを特定しているのか、「該デバイス間」という記載は、どのデバイスとどのデバイスとの間のことであるのかが不明瞭である。
これに対して、訂正事項12のとおり、「前記装置と前記他方のデバイスに、前記装置と前記他方のデバイスのどちらが、前記装置と前記他方のデバイスとの間のアドホックネットワーク通信を開始するかを決定できるようにする」に訂正されることにより、前記発明特定事項における「前記無線デバイス」、「どのデバイス」及び「該デバイス間」は、これより「前記装置」、「装置または他方のデバイスのどちら」及び「装置と他方のデバイスとの間」であることが明確になる。
したがって、訂正事項12は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。

(2)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であることについて
上記「10.」「(2)」に示したとおり、段落【0045】、【0059】、【0061】の記載によれば、無線デバイスである装置は、他方のデバイスである第1のデバイスから無線探索要求メッセージを受信するように構成される、アドホックネットワークを設定するための動作モードである、装置の中の送受信機と、他方のデバイスである第1のデバイスがアドホックネットワークを能動的に設定しているかどうかを、無線探索要求メッセージから判定するように構成される、装置の中のプロセッサであって、他方のデバイスである第1のデバイスがアドホックネットワークを能動的に設定していない場合、無線探索要求メッセージを無視するようにさらに構成される、プロセッサと、他方のデバイスである第1のデバイスがアドホックネットワークを能動的に設定している場合、無線探索要求メッセージに応答するようにさらに構成される、送受信機とを含む、装置であって、装置は、無線応答を第1のデバイスに伝送するようにさらに構成される、送受信機と、アドホックネットワークを設定するための動作モードである応答無線デバイスからであることを無線応答において標示するようにさらに構成される、プロセッサで構成され、また、無線探索要求メッセージの中の情報を分析し、他方のデバイスである第1のデバイスまたは装置が、他方のデバイスである第1のデバイスおよび無線デバイスである応答デバイスの間の通信のためにアドホックネットワーク通信を開始するかを判定し決定し、通信を開始するものが記載されているといえる。
そうすると、「前記無線デバイスと前記他方のデバイスに、どのデバイスが該デバイス間のアドホックネットワーク通信を開始するかを決定できるようにする」を「前記装置と前記他方のデバイスに、前記装置と前記他方のデバイスのどちらが、前記装置と前記他方のデバイスとの間のアドホックネットワーク通信を開始するかを決定できるようにする」にと訂正することは、願書に添付された明細書に記載した事項の範囲内の訂正であることは明らかである。
したがって、訂正事項12は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第126条第5項の規定に適合する。

(3)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないことについて
訂正事項12は、請求項8の記載を明瞭にするものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第126条第6項の規定に適合する。

13.訂正事項13について
(1)訂正の目的について
訂正前の請求項9では「前記応答」との記載があるが、これらの前には、「応答」という記載はないから、「前記」が指し示すものが不明瞭である。
これに対して、訂正事項13のとおり、「前記無線応答」に訂正されることにより、「前記」が指し示すものが、これより前に記載された「無線応答」であることが明確になる。
したがって、訂正事項13は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。

(2)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であることについて
訂正事項13は、請求項8及び9における用語の不統一を正すものであって、新たな技術事項を追加するものではないから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、特許法第126条第5項の規定に適合する。

(3)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないことについて
訂正事項13は、請求項8及び9における用語の不統一を正すものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第126条第6項の規定に適合する。

14.訂正事項14について
(1)訂正の目的について
訂正前の請求項11に「前記受信された無線メッセージ」との記載があるが、訂正事項11において、「無線メッセージ」は、「無線探索要求メッセージ」に訂正されるため、これらの前には、「無線メッセージ」との記載はないから、「前記」が指し示すものが不明瞭である。
これに対して、訂正事項14のとおり、「無線探索要求メッセージ」に訂正されることにより、「前記」が指し示すものが、これより前に記載された「無線探索要求メッセージ」であることが明確になる。
したがって、訂正事項14は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。

(2)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であることについて
訂正事項14は、請求項8ないし11における用語の不統一を正すものであって、新たな技術事項を追加するものではないから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、特許法第126条第5項の規定に適合する。

(3)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないことについて
訂正事項14は、請求項8ないし11における用語の不統一を正すものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第126条第6項の規定に適合する。

15.訂正事項15について
(1)訂正の目的について
訂正前の請求項12に「該メッセージ」との記載があるが、これらの前には、「メッセージ」という記載はないから、「該」が指し示すものが不明瞭である。
これに対して、訂正事項15のとおり、「無線探索要求メッセージ」に訂正されることにより、「該」が指し示すものが、これより前に記載された「無線探索要求メッセージ」であることが明確になる。
したがって、訂正事項15は、特許法第126条第1項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。

(2)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であることについて
訂正事項15は、請求項12における用語の不統一を正すものであって、新たな技術事項を追加するものではないから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、特許法第126条第5項の規定に適合する。

(3)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないことについて
訂正事項15は、請求項12における用語の不統一を正すものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第126条第6項の規定に適合する。

16.訂正事項16について
(1)訂正の目的について
訂正前の請求項12に「前記応答」との記載があるが、これらの前には、「応答」という記載はないから、「前記」が指し示すものが不明瞭である。
これに対して、訂正事項16のとおり、「前記無線探索応答」に訂正されることにより、「前記」が指し示すものが、これより前に記載された「無線探索応答」であることが明確になる。
したがって、訂正事項6は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。

(2)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であることについて
訂正事項16は、請求項12における用語の不統一を正すものであって、新たな技術事項を追加するものではないから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、特許法第126条第5項の規定に適合する。

(3)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないことについて
訂正事項16は、請求項12における用語の不統一を正すものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第126条第6項の規定に適合する。

17.訂正事項17について
(1)訂正の目的について
訂正前の請求項13に「前記応答」との記載があるが、これらの前には、「応答」という記載はないから、「前記」が指し示すものが不明瞭である。
これに対し手、訂正事項17のとおり、「前記無線探索応答」に訂正されることにより、「前記」が指し示すものが、これより前に記載された「無線探索応答」であることが明確になる。
したがって、訂正事項2は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。

(2)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であることについて
訂正事項13は、請求項12及び13における用語の不統一を正すものであって、新たな技術事項を追加するものではないから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、特許法第126条第5項の規定に適合する。

(3)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないことについて
訂正事項13は、請求項12及び13における用語の不統一を正すものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第126条第6項の規定に適合する。

第4 むすび
以上のとおりであるから、本件審判の請求に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書き第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第5項及び第6項の規定に適合するものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アドホックネットワークを設定するための動作モードである無線デバイスにおいて、他方のデバイスからの無線探索要求メッセージを受信することと、
前記受信された無線探索要求メッセージに含まれる標示に基づいて、前記他方のデバイスがアドホックネットワークを能動的に設定しているかどうかを、前記受信された無線探索要求メッセージから判定することと、
前記他方のデバイスがアドホックネットワークを能動的に設定していない場合、前記受信された無線探索要求メッセージを無視することと、
前記受信された無線探索要求メッセージに含まれる標示に基づいて前記他方のデバイスがアドホックネットワークを能動的に設定している場合、探索応答メッセージを伝送することによって前記受信された無線探索要求メッセージに応答し、前記無線デバイスと前記他方のデバイスに、どのデバイスが、前記無線デバイスと前記他方のデバイスとの間のアドホックネットワーク通信を開始するかを決定できるようにする、前記応答することと、
を含む、方法。
【請求項2】
アドホックネットワークを設定するための動作モードである応答無線デバイスからであることを、前記応答において標示することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記標示することは、所定の値をアドホックネットワーク識別子として追加することを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記無線デバイスにおいて、前記受信された無線探索要求メッセージの情報を分析し、それを前記無線デバイスに関する情報と比較することと、
前記他方のデバイスまたは前記無線デバイスが、前記無線デバイスと前記他方のデバイスとのデバイス間のアドホックネットワーク通信を開始するために新しいネットワークを起動するかどうかを判定することと、
をさらに含む、請求項1ないし3の何れか一項に記載の方法。
【請求項5】
第1の無線デバイスによって無線探索要求メッセージを伝送することであって、前記無線探索要求メッセージは、該無線探索要求メッセージに含まれる標示に基づいて、伝送デバイスがアドホックネットワークを能動的に設定していることを標示する、前記伝送することと、
応答デバイスから無線探索応答を受信することと、
前記応答デバイスがアドホックネットワークを設定するための動作モードである無線デバイスではないことを標示する場合、前記無線探索応答を無視することと、
を含む、方法。
【請求項6】
前記無線探索応答の中の情報を分析し、前記応答デバイスがアドホックネットワークを設定するための動作モードである無線デバイスであるという指示を前記無線探索応答が含む場合、それを前記第1の無線デバイスに関する情報と比較することと、
前記第1のデバイスまたは前記応答デバイスが、前記第1デバイスと前記応答デバイスとの間の通信のために新しいネットワークを起動するかどうかを判定することと、
を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
装置のプロセッサによって実行されると、前記装置に請求項1ないし6の何れか1項に記載の方法を実行させるプログラムコードを備える、コンピュータプログラム。
【請求項8】
装置であって、
他方のデバイスから無線探索要求メッセージを受信するように構成される、アドホックネットワークを設定するための動作モードである、送受信機と、
前記受信された無線探索要求メッセージに含まれる標示に基づいて、前記他方のデバイスがアドホックネットワークを能動的に設定しているかどうかを、前記無線探索要求メッセージから判定するように構成される、プロセッサであって、
前記他方のデバイスがアドホックネットワークを能動的に設定していない場合、前記無線探索要求メッセージを無視するようにさらに構成される、前記プロセッサと、
前記受信された無線探索要求メッセージに含まれる標示に基づいて前記他方のデバイスがアドホックネットワークを能動的に設定している場合、探索応答メッセージを伝送することによって前記無線探索要求メッセージに応答し、前記装置と前記他方のデバイスに、前記装置と前記他方のデバイスのどちらが、前記装置と前記他方のデバイスとの間のアドホックネットワーク通信を開始するかを決定できるようにする、前記応答するようにさらに構成される、前記送受信機と、
を備える、装置。
【請求項9】
前記送受信機は、無線応答を前記他方のデバイスに伝送するようにさらに構成され、
前記プロセッサは、アドホックネットワークを設定するための動作モードである応答無線デバイスからであることを、前記無線応答において標示するようにさらに構成される、
請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記標示することは、所定の値をアドホックネットワーク識別子として追加することを含む、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記プロセッサは、前記受信された無線探索要求メッセージの情報を分析し、それを前記装置に関する情報と比較するようにさらに構成され、
前記他方のデバイスまたは前記装置が、前記他方のデバイスと前記装置との間のアドホックネットワーク通信を開始するために新しいネットワークを起動するかどうかを判定するようにさらに構成される、
請求項8ないし10の何れか一項に記載の装置。
【請求項12】
装置であって、
無線探索要求メッセージを伝送するように構成される送受信機であって、前記無線探索要求メッセージは、該無線探索要求メッセージに含まれる標示に基づいて、前記装置がアドホックネットワークを能動的に設定していることを標示する、前記伝送するように構成され、
応答デバイスから無線探索応答を受信するようにさらに構成される、前記送受信機と、
前記応答デバイスがアドホックネットワークを設定するための動作モードである無線デバイスではないことを標示する場合、前記無線探索応答を無視するように構成される、プロセッサと、
を備える、装置。
【請求項13】
前記プロセッサは、前記無線探索応答の中の情報を分析し、前記応答デバイスがアドホックネットワークを設定するための動作モードである無線デバイスであるという指示を前記無線探索応答が含む場合、それを前記装置に関する情報と比較するようにさらに構成され、
前記装置または前記応答デバイスが、前記装置と前記応答デバイスとの間の通信のために新しいネットワークを起動するかどうかを判定するようにさらに構成される、
請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記指示は、所定の値をアドホックネットワーク識別子として追加することを含む、請求項12または13に記載の装置。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2021-04-22 
結審通知日 2021-04-27 
審決日 2021-05-12 
出願番号 P2011-542941
審決分類 P 1 41・ 853- Y (H04Q)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 中木 努
特許庁審判官 國分 直樹
本郷 彰
登録日 2012-12-21 
登録番号 5158999
発明の名称 アドホックネットワークの開始方法および装置  
代理人 川守田 光紀  
代理人 川守田 光紀  

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