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審決分類 |
審判 訂正 (特120条の4,3項)(平成8年1月1日以降) 訂正しない A63F 審判 訂正 4項(134条6項)独立特許用件 訂正しない A63F 審判 訂正 特許請求の範囲の実質的変更 訂正しない A63F |
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管理番号 | 1383987 |
総通号数 | 5 |
発行国 | JP |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2022-05-27 |
種別 | 訂正の審決 |
審判請求日 | 2021-08-26 |
確定日 | 2022-04-04 |
事件の表示 | 特許第6913272号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 特許第6913272号(以下、「本件特許」という。)は、平成29年10月30日に特許出願(特願2017−208963号)され、令和3年7月14日に特許権の設定登録がなされ、その後、同年8月26日に本件審判の請求がなされたものである。 本件審判の請求に対して、同年11月24日付け(発送日:同年同月29日)で訂正拒絶理由を通知し、期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、請求人からは何らの応答もない。 第2 訂正拒絶理由の概要 当審が令和3年11月24日付けで通知した訂正拒絶理由の概要は、以下のとおりである。 訂正事項1は、特許法第126条第5項、第6項及び第7項の規定に適合しない。 よって、訂正事項1は訂正が認められないから、本件訂正は認められない。 第3 請求の趣旨 本件審判の請求の趣旨は、本件特許の特許請求の範囲を本件審判の審判請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを認める、との審決を求めるものである。 第4 訂正の内容 本件審判の訂正の内容は、以下のとおりである。 1 訂正事項1 本件特許の特許請求の範囲の請求項1に 「前記所定期間において、前記第1演出が実行されないように制限する手段を備える」 とあるのを、 「前記所定期間において、特定条件が成立したと判断された場合に前記第1演出が実行されないように制限する手段を備える」 に訂正する。 第5 当審の判断 1 訂正事項1について (1)訂正の目的について 訂正事項1は、「前記所定期間において、前記第1演出が実行されないように制限する手段」について、「前記所定期間において、特定条件が成立したと判断された場合に前記第1演出が実行されないように制限する」ことを限定するものである。 よって、訂正事項1は、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 (2)新規事項の有無について 本件特許における明細書の「タッチ操作受付期間」が、本件特許発明の「所定期間」に相当すると認められる。また、本件特許における明細書の「可動役物部材作動演出を実行するに当たり、図柄表示部341を利用して大当たり期待度を示唆するチャンス演出を実行すること」の例である「ルーレット演出」が、本件特許発明の「前記変位手段によって前記可動部材が前記第1位置から前記第2位置へ変位される所定変位の場合に、前記可動部材が変位するよりも前に、」「実行」される「第1演出」に相当すると認められる。 ここで、本件特許における明細書には、【0336】に「可動役物部材作動中フラグがオンに設定されている場合は、複数の検知センサ38a〜38dによって図柄表示部341の正面側の所定領域での物体の存在が検知されたとしても、それが遊技者によるタッチ操作であるか、可動役物部材39の作動に基づくものかを問わず、複数の検知センサ38a〜38dでの検知結果が無視されることで、たとえ第1〜第4タッチ操作受付期間R1〜R4であったとしてもタッチ操作演出が実行されることはない。」と記載され、【0346】ないし【0348】に「従来の遊技機としては、本実施形態に係る遊技機10と同様に、変動遊技演出として、可動役物部材を作動させる可動役物部材作動演出や、タッチ操作受付期間内に図柄表示部の正面側に対するタッチ操作が遊技者によって行われることでタッチ操作演出が実行されるものがある。……本実施形態の遊技機10では、可動役物部材作動中フラグがオンに設定されている間、即ち可動役物部材39を作動させることが決定された段階(可動役物部材39の作動が開始される直前で可動役物部材が待機位置にある段階)から、可動役物部材39の復帰が確認されて可動役物部材39が待機位置にある段階までの間は、複数の検知センサ38a〜38dでの検知結果が無視されることで、タッチ操作演出の実行が制限される。」と記載されている。 したがって、本件特許における明細書には、タッチ操作受付期間(所定期間)において、可動役物部材作動中フラグがオンに設定されているという特定条件が成立したと判断された場合に、タッチ操作演出(第2演出)が実行されないように制限することが記載されていると認められる。しかしながら、本件特許における明細書には、タッチ操作受付期間において、何らかの条件が成立したと判断された場合に、ルーレット演出(第1演出)が実行されないように制限することが記載されているとは認められない。 ゆえに、訂正事項1は、本件特許明細書等の記載に基づくものであって、本件特許明細書等のすべてを総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものであって、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内のものではない。 よって、訂正事項1は、特許法第126条第5項の規定に適合しない。 (3)特許請求の範囲の拡張又は変更の有無について 訂正事項1は新規事項を追加するものであるから、訂正事項1は実質上特許請求の範囲を変更するものと認められる。 よって、訂正事項1は、特許法第126条第6項の規定に適合しない。 2 独立特許要件について 訂正事項1は特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、本件訂正後の特許請求の範囲の請求項1に記載されている事項により特定される発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかについて検討する。 上記1(2)で述べたように、本件特許における明細書には、タッチ操作受付期間(所定期間)において、何らかの条件が成立したと判断された場合に、ルーレット演出(第1演出)が実行されないように制限することが記載されているとは認められない。したがって、訂正事項1によって訂正される請求項1の「前記所定期間において、特定条件が成立したと判断された場合に前記第1演出が実行されないように制限する手段を備える」という技術的事項は、本件特許における明細書にサポートされていない。 したがって、訂正事項1を含んで訂正される請求項1に係る発明は、少なくとも、発明の詳細な説明に記載したものではないことから特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない点で、特許出願の際独立して特許を受けることができるものではない。 よって、訂正事項1は、特許法第126条第7項の規定に適合しない。 第7 むすび 以上のとおり、訂正事項1は、特許法第126条第5項、第6項及び第7項の規定に適合しないから、本件訂正は認められない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
(行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。 |
審理終結日 | 2022-02-02 |
結審通知日 | 2022-02-07 |
審決日 | 2022-02-22 |
出願番号 | P2017-208963 |
審決分類 |
P
1
41・
841-
Z
(A63F)
P 1 41・ 855- Z (A63F) P 1 41・ 856- Z (A63F) |
最終処分 | 02 不成立 |
特許庁審判長 |
瀬津 太朗 |
特許庁審判官 |
太田 恒明 蔵野 いづみ |
登録日 | 2021-07-14 |
登録番号 | 6913272 |
発明の名称 | 遊技機 |
代理人 | 種村 一幸 |