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審決分類 |
審判 訂正 ただし書き1号特許請求の範囲の減縮 訂正する A63F 審判 訂正 ただし書き3号明りょうでない記載の釈明 訂正する A63F |
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管理番号 | 1384001 |
総通号数 | 5 |
発行国 | JP |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2022-05-27 |
種別 | 訂正の審決 |
審判請求日 | 2021-11-08 |
確定日 | 2022-01-20 |
訂正明細書 | true |
事件の表示 | 特許第6935618号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 特許第6935618号の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。 |
理由 |
第1 手続の経緯 特許第6935618号(以下「本件特許」という。)は、平成29年10月30日の出願(特願2017−208964号)であって、令和3年8月30日にその特許権の設定登録がなされ、同年11月8日に本件訂正審判の請求がなされたものである。 第2 請求の趣旨 本件審判の請求の趣旨は、「特許第6935618号の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1について訂正することを求める。」というものである(以下、訂正前の「特許請求の範囲」を、「本件特許請求の範囲」という。)。 第3 訂正の内容 請求人が求める訂正の内容は、以下のとおりである。 1 訂正事項1 本件特許請求の範囲の請求項1における 「前記所定期間において、前記第1演出が実行されないように制限し、遊技者に所定の操作を促す演出を実行する手段を備える」を、 「前記所定期間において、特定条件が成立したと判断された場合に前記第1演出が実行されないようにする手段と、前記所定期間において、遊技者に所定の操作を促す演出を実行する手段と、を備える」に訂正する(なお、下線は当審が付したものであり、訂正箇所を表す。)。 第4 当審の判断 1 訂正事項1の訂正の目的について 以下、本件訂正前の請求項1を「訂正前請求項1」という。また、訂正前請求項1に係る発明を「訂正前発明」という。訂正後についても、「訂正前」を「訂正後」に変えて同様に、「訂正後請求項1」、「訂正後発明」という。 訂正事項1は、訂正前請求項1の「前記所定期間において、前記第1演出が実行されないように制限し、遊技者に所定の操作を促す演出を実行する手段」を、「前記所定期間において、特定条件が成立したと判断された場合に前記第1演出が実行されないようにする手段と、前記所定期間において、遊技者に所定の操作を促す演出を実行する手段」に訂正するものである。 そこで、訂正前請求項1の「前記所定期間において、前記第1演出が実行されないように制限し、遊技者に所定の操作を促す演出を実行する手段」(以下、「手段A」という。)、訂正後請求項1の「前記所定期間において、特定条件が成立したと判断された場合に前記第1演出が実行されないようにする手段」(以下、「手段B」という。)及び「前記所定期間において、遊技者に所定の操作を促す演出を実行する手段」(以下、「手段C」という。)が特定する事項について、以下検討する。 訂正前請求項1の「手段A」は、「前記所定期間において、」「前記第1演出が実行されないように」することを特定しているが、「前記第1演出が実行されないように」する条件については特定していない。 一方、訂正後請求項1の「手段B」は、「前記所定期間において、特定条件が成立したと判断された場合に前記第1演出が実行されないようにする手段」と特定しているように、「前記所定期間において、」「前記第1演出が実行されないようにする」条件が、「特定条件が成立したと判断された場合」であることを限定している。 してみると、訂正事項1のうち、「手段B」により、「前記所定期間において、」「前記第1演出が実行されないようにする」条件が、「特定条件が成立したと判断された場合」であることを限定することは、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 また、訂正前請求項1の「手段A」は、「前記所定期間において、前記第1演出が実行されないように制限し、遊技者に所定の操作を促す演出を実行する手段」を特定しているものの、「遊技者に所定の操作を促す演出」を「前記所定期間において、」「実行する」のか否かが明瞭ではなかったということができる。 一方、訂正後請求項1の「手段C」は、「前記所定期間において、遊技者に所定の操作を促す演出を実行する手段」と特定しており、「手段C」によって、訂正前請求項1の「遊技者に所定の操作を促す演出」を「前記所定期間において、」「実行する」ことが明らかとなった。 してみると、訂正事項1のうち、「手段C」により、「遊技者に所定の操作を促す演出」を「前記所定期間において、」「実行する」ことを明らかとすることは、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 以上のとおり、訂正事項1は、特許法第126条第1項ただし書第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするものである。 2 新規事項の有無について 訂正後請求項1の「前記所定期間において、特定条件が成立したと判断された場合に前記第1演出が実行されないようにする手段と、前記所定期間において、遊技者に所定の操作を促す演出を実行する手段」に関して、本件特許の願書に添付した特許請求の範囲、明細書又は図面(以下「本件特許明細書等」という。)には、以下の記載がある(下線は、関連する記載について当審が付したものである。)。 (1)「【0245】 また、可動役物部材作動演出を実行するに当たり、図柄表示部341を利用して大当たり期待度を示唆するチャンス演出を実行することも考えられる。例えば、図26(C)に示すように、可動役物部材39を待機位置から作動位置に移動させる前に、可動役物部材39における開口31Aから露出した部分に配置された4つランプ391に対応させて図柄表示部341に大当たり期待度や今後の演出展開を示唆する画像が図柄表示部341に表示される演出が実行されることが考えられる。図26(C)では、図柄表示部341に左側から順位に、「?」、「チャンス」(大当たり期待度示唆)、「リーチ」(演出展開示唆)及び「激熱」(大当たり期待度示唆)の文字画像が表示される。そして、可動役物部39では、前記4つのランプ391が点滅された後に1つのランプ391が点灯されるルーレット演出が実行される。なお、図26(C)では「チャンス」に対応するランプ391が点灯して状態が示されている。 【0246】 また、図26(C)に示すルーレット演出が実行された場合、可動役物部材39が作動位置に移動されることで、可動役物部材39の複数のランプ391を利用して、大当たり期待度を示唆する演出や大当たりであることを明示する確定演出を実行することも考えられる。・・・」 (2)「【0281】 ここで、図32はタッチ操作演出の一例を示す図である。具体的には、図32(A)は、タッチ操作受付期間中であることを明示するタッチ操作受付演出が実行されないタッチ操作演出Aの一例を示す図であり、図32(B)は、タッチ操作受付演出が実行されるタッチ操作演出Bの一例を示す図である。 ・・・ 【0283】 一方、図32(B1)に示すように、タッチ操作演出Bは、タッチ操作受付期間中であることを明示するタッチ操作受付演出が実行される。本実施形態では、タッチ操作受付演出として、図柄表示部341にタッチ操作受付期間であることを明示するタッチ操作受付画像(「画面をタッチして」の文字)が表示される。・・・ ・・・ 【0287】 第1タッチ操作受付期間R1及び第2タッチ操作受付期間R2は、タッチ操作演出A(32(A)参照)に対するタッチ操作を受け付ける期間であり、第3及び第4タッチ操作受付期間R3,R4よりも長く、比較的長時間に設定されている。・・・ 【0288】 第3タッチ操作受付期間R3及び第4タッチ操作受付期間R4は、タッチ操作演出B(32(B)参照)に対するタッチ操作を受け付ける期間である。・・・」 (3)「【0615】 これに対して、MPU51は、第1〜第4タッチ操作受付期間R1〜R4である場合(ステップS2702:Yes)、当該可動役物部材作動処理を終了する。即ち、本実施形態では、可動役物部材39の作動開始タイミングであっても、第1〜第4タッチ操作受付期間R1〜R4である場合には、可動役物部材39の作動を開始することなく当該可動役物部材作動処理を終了する。これにより、第1〜第4タッチ操作受付期間R1〜R4での可動役物部材39の作動(可動役物部材作動演出の実行)が制限される。」 (4)「【図26】 【図68】 」 上記(1)の【0245】の記載からみて、「図柄表示部341を利用して大当たり期待度を示唆するチャンス演出」である「ルーレット演出」は、「可動役物部材作動演出を実行するに当たり」実行されるものである。 また、上記(3)の【0615】には、「可動役物部材作動演出の実行が制限される」場合があることが記載されている。 以上のことから、可動役物部材作動演出が実行されなければ、可動役物部材作動演出を実行するに当たり実行されるルーレット演出も実行されないと認められる。 さらに、訂正後請求項1の「所定期間」に関する「所定期間に前記所定領域での前記所定の物体の存在が前記検知手段によって検知された場合に第2演出を実行させる第2演出実行手段」との記載、「前記所定期間において、遊技者に所定の操作を促す演出を実行する手段」との記載からみて、本件特許明細書等の「タッチ操作受付演出」が、訂正後請求項1の「遊技者に所定の操作を促す演出」に対応すると認められる。 そうすると、本件特許明細書等の「タッチ操作受付演出」が実行される「第3タッチ操作受付期間R3及び第4タッチ操作受付期間R4」を含む期間、例えば、「第1〜第4タッチ操作受付期間R1〜R4」や「第1〜第4タッチ操作受付期間R1〜R4」を含む遊技期間が、訂正後請求項1の「前記所定期間」に対応すると認められる。 さらに、上記(1)、(3)及び(4)の記載、訂正後請求項1の「第1演出」に関する「前記変位手段によって前記可動部材が前記第1位置から前記第2位置へ変位される所定変位の場合に、前記可動部材が変位するよりも前に、対応した第1演出を実行させる第1演出実行手段」との記載を総合すると、本件特許明細書等の「可動役物部材39の作動開始タイミングであっても、第1〜第4タッチ操作受付期間R1〜R4である場合」、「ルーレット演出」は、訂正後請求項1の「特定条件が成立したと判断された場合」、「第1演出」に対応すると認められる。 したがって、訂正後請求項1の「前記所定期間において、特定条件が成立したと判断された場合に前記第1演出が実行されないようにする手段」及び「前記所定期間において、遊技者に所定の操作を促す演出を実行する手段」を備えることは、本件特許明細書等に記載されていたと認められる。 ゆえに、訂正事項1は、本件特許明細書等の記載に基づくものであって、本件特許明細書等のすべてを総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内のものである。 よって、訂正事項1は、特許法第126条第5項の規定に適合する。 3 特許請求の範囲の拡張又は変更の有無について 訂正事項1は、上記1で説示したとおり「前記所定期間において、」「前記第1演出が実行されないようにする」条件が、「特定条件が成立したと判断された場合」であることを限定するとともに、「遊技者に所定の操作を促す演出」を「前記所定期間において、」「実行する」ことを明らかとするものであるから、本件特許請求の範囲を実質上拡張し、又は変更するものでない。 よって、訂正事項1は、特許法第126条第6項の規定に適合する。 4 独立特許要件について 上記1で説示したとおり、訂正事項1は、特許法第126条第1項ただし書第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであるところ、請求項1全体に着目すれば、同法同条同項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるといえる。 そこで、訂正後発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるか(独立特許要件の充足性)について検討すると、訂正前発明と同様、訂正後発明が特許出願の際独立して特許を受けることができないとする理由を発見しない。 よって、訂正事項1は、特許法第126条第7項の規定に適合する。 第5 むすび 以上のとおりであるから、本件審判の請求は、特許法第126条第1項ただし書第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ同条第5項ないし第7項の規定に適合する。 よって、結論のとおり審決する。 |
発明の名称 |
(57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 遊技の進行を制御する主制御手段と、 飾り図柄が変動表示される変動表示画像が表示される画像表示手段が設けられる遊技盤の所定の遊技領域と、 前記所定の遊技領域の正面側である所定領域において所定の物体が存在する場合に所定の検知状態となる検知手段と、 第1位置と第2位置との間で変位される可動部材と、 前記可動部材を変位させる変位手段と、 遊技の進行において遊技演出を前記両像表示手段に実行させる演出実行手段と、 を備え、 前記可動部材が前記第1位置から前記第2位置に変位される場合に前記検知手段が前記所定の検知状態となり得るものであり、 前記演出実行手段は、 前記変位手段によって前記可動部材が前記第1位置から前記第2位置へ変位される所定変位の場合に、前記可動部材が変位するよりも前に、対応した第1演出を実行させる第1演出実行手段と、 所定期間に前記所定領域での前記所定の物体の存在が前記検知手段によって検知された場合に第2演出を実行させる第2演出実行手段と、 を備え、 前記所定期間において、特定条件が成立したと判断された場合に前記第1演出が実行されないようにする手段と、 前記所定期間において、遊技者に所定の操作を促す演出を実行する手段と、 を備えることを特徴とする遊技機。 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
審理終結日 | 2021-12-22 |
結審通知日 | 2021-12-27 |
審決日 | 2022-01-12 |
出願番号 | P2017-208964 |
審決分類 |
P
1
41・
853-
Y
(A63F)
P 1 41・ 851- Y (A63F) |
最終処分 | 01 成立 |
特許庁審判長 |
古屋野 浩志 |
特許庁審判官 |
澤田 真治 ▲高▼木 尚哉 |
登録日 | 2021-08-30 |
登録番号 | 6935618 |
発明の名称 | 遊技機 |
代理人 | 種村 一幸 |
代理人 | 種村 一幸 |