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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  C11D
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  C11D
管理番号 1384075
総通号数
発行国 JP 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2022-05-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2021-02-19 
確定日 2022-01-05 
異議申立件数
訂正明細書 true 
事件の表示 特許第6742914号発明「望ましくない分子除去用の組成物」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6742914号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1−15〕及び16について訂正することを認める。 特許第6742914号の請求項1ないし7、9ないし14及び16に係る特許を維持する。 特許第6742914号の請求項8及び15に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6742914号の請求項1〜16に係る特許についての出願は、2015年(平成27年)4月28日(優先権主張外国庁受理 2014年(平成26年)4月28日、韓国、2014年(平成26年)7月11日、韓国)を国際出願日とするものであって、令和2年7月31日にその特許権の設定登録がされ、同年8月19日に特許掲載公報が発行された。その後、その特許に対し、令和3年2月19日に特許異議申立人猪狩充は特許異議の申立てを行い、当審は、同年4月13日付けで取消理由を通知した。この取消理由通知に対して、特許権者は、同年6月18日に意見書の提出及び訂正の請求を行った。なお、当該訂正は請求項15の削除のみであり、特許法第120条の5第5項に定める「特許異議申立人に意見書を提出する機会を与える必要がないと認められる特別な事項があるとき」に該当するから、特許異議申立人に対し、当該訂正についての意見を求めなかった。そして、当審は、同年8月11日付けで取消理由(決定の予告)を通知した。この取消理由通知(決定の予告)に対して、特許権者は、同年10月5日に意見書の提出及び訂正(以下、「本件訂正」という。)の請求を行い、この訂正請求に対し、特許異議申立人は同年12月1日に意見書を提出した。なお、令和3年6月18日付けの訂正請求書は、特許法第120条の5第7項の規定により取り下げられたものとみなす。

第2 本件訂正の適否についての判断
1 本件訂正の内容
本件訂正の内容は、次の訂正事項1〜4のとおりである。なお、訂正前の請求項2〜15は、訂正前の請求項1の記載を引用し、請求項16は独立請求項であるから、本件訂正は、一群の請求項1〜15及び請求項16について請求されている。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に「異臭源除去用の組成物。」と記載されているのを、「異臭源除去用の組成物であって、前記組成物は、界面活性剤をさらに含む、異臭源除去用の組成物。」に訂正する(請求項1を直接的に又は間接的に引用する請求項2〜7及び9〜14についても同様に訂正する。)。
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項8を削除する。
(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項15を削除する。
(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項16に「香料、及び溶剤、及び選択的に、界面活性剤、水溶性ポリマー、」と記載されているのを、「香料、界面活性剤、及び溶剤、及び選択的に、水溶性ポリマー、」に訂正する。

2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び、特許請求の範囲の拡張・変更の存否について
(1)訂正事項1について
訂正前の請求項8には、請求項1に係る組成物は、界面活性剤をさらに含むことが記載されているところ、訂正事項1は、訂正前の請求項8に基づいて、組成物に界面活性剤をさらに含むことを特定するものであり、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、訂正事項1は、新規事項を追加するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項に適合するものである。
請求項1を直接的又は間接的に引用する請求項2〜7及び9〜14についても、同様である。
(2)訂正事項2及び3について
訂正事項2は請求項8を削除し、訂正事項3は請求項15を削除するものであり、いずれも特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、訂正事項2及び3は、特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項に適合するものである。
(3)訂正事項4について
訂正前の請求項8には、請求項1に係る組成物は、界面活性剤をさらに含むことが記載されているところ、訂正事項4は、訂正前の請求項8に基づいて、組成物が界面活性剤を含むことを特定するものであり、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、訂正事項4は、新規事項を追加するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項に適合するものである。
(4)小括
以上のとおり、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の〔1〜15〕及び16について訂正することを認める。

第3 本件特許発明
上記第2で述べたとおり、本件訂正後の〔1〜15〕及び16について訂正することを認めるので、本件特許の請求項1〜7、9〜14及び16に係る発明は、令和3年6月18日付けの訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1〜7、9〜14及び16に記載された事項により特定される次のとおりのもの(以下、請求項に係る発明を、項番号に応じて「本件発明1」などといい、まとめて「本件発明」ともいう。)である。
「【請求項1】
高度分岐サイクリックデキストリン(HBCD)またはこの誘導体、前記高度分岐サイクリックデキストリンの少なくとも一つ以上の内部空間内に包接した香料及び溶剤を含み、
前記香料は、全体香料組成に基づいて、60重量%以上のClogPが3以上であって、分子量が205以上の疎水性香料を含むことを特徴とする、異臭源除去用の組成物であって、
前記組成物は、界面活性剤をさらに含む、異臭源除去用の組成物。
【請求項2】
前記高度分岐サイクリックデキストリンは、α−1,6−グルコシド結合によって16〜100以内のD−グルコースが連結された形態であることを特徴とする請求項1に記載の異臭源除去用の組成物。
【請求項3】
前記高度分岐サイクリックデキストリンは、デキストロース当量値が5以下であることを特徴とする請求項1に記載の異臭源除去用の組成物。
【請求項4】
前記高度分岐サイクリックデキストリンは、α−D−グルコースをモノマーとするオリゴ糖であり、化学式(C6H10O5)xH2O(xは200〜5,000の整数である。)で表される化合物であることを特徴とする請求項1に記載の異臭源除去用の組成物。
【請求項5】
前記高度分岐サイクリックデキストリンは、平均分子量が30,000〜1,000,000g/molであることを特徴とする請求項1に記載異臭源除去用の組成物。
【請求項6】
前記高度分岐サイクリックデキストリンは、組成物の総重量に対し0.01〜20重量%が含まれることを特徴とする請求項1に記載の異臭源除去用の組成物。
【請求項7】
前記溶剤は、水を含むことを特徴とする請求項1に記載の異臭源除去用の組成物。
【請求項8】(削除)
【請求項9】
前記組成物は、水溶性ポリマーをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の異臭源除去用の組成物。
【請求項10】
前記組成物は、植物抽出物をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の異臭源除去用の組成物。
【請求項11】
前記植物抽出物は、緑茶、柿の葉、陳皮及び八角茴香からなる群より選択されたいずれか一つ以上を含む植物の抽出物であることを特徴とする請求項10に記載の異臭源除去用の組成物。
【請求項12】
前記植物抽出物は、組成物の総重量に対し0.01〜10重量%が含まれたことを特徴とする請求項10に記載の異臭源除去用の組成物。
【請求項13】
前記植物抽出物は、ポリフェノール系植物精油の含まれた植物溶媒抽出物と鉱物との反応物であることを特徴とする請求項10に記載の異臭源除去用の組成物。
【請求項14】
高度分岐サイクリックデキストリン(HBCD)またはこの誘導体を組成物の総重量に対し0.01〜10重量%を含み、かつ、緑茶、柿の葉、陳皮及び八角茴香を含む植物抽出物を0.01〜10重量%含むことを特徴とする請求項10に記載の異臭源除去用の組成物。
【請求項15】(削除)
【請求項16】
高度分岐サイクリックデキストリン(HBCD)またはこの誘導体、前記高度分岐サイクリックデキストリンの少なくとも一つ以上の内部空間内に包接した、ClogPが3以上であって、分子量が205以上の疎水性香料を全体香料組成に基づいて60重量%以上の量で含む香料、界面活性剤、及び溶剤、及び選択的に、水溶性ポリマー、植物抽出物またはこれらの混合物を含む異臭源除去用の組成物を処理する段階を含むことを特徴とする異臭源の除去方法。」

第4 取消理由通知に記載した取消理由の概要
本件訂正前の令和3年6月18日付けの訂正請求書によって訂正された請求項1〜14及び16に係る特許に対して、当審が令和3年8月11日付けで特許権者に通知した取消理由(サポート要件)の要旨は、次のとおりである。
「異臭除去用の組成物において、界面活性剤を含有することが特定されない本件発明1〜14及び16は、本件発明の課題を解決しないものも含むといわざるを得ない。
よって、本件請求項1〜14及び16の記載は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。」

第5 取消理由通知に記載した取消理由についての当審の判断
本件訂正により、本件発明1及び本件発明16において、異臭除去用の組成物において、界面活性剤を含有することが特定されたため、上記取消理由は解消した。

第6 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
1 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由は、次の理由(1)〜(3)である。
(1)理由1(甲第1号証を主引用例とする特許法第29条第2項
本件特許の請求項1に係る発明は、甲第1号証(以下、甲各は、「甲1」などという。)に記載の発明に基づき、甲2〜甲6、必要であれば甲13〜甲17に記載の事項を考慮して当業者が容易に想到し得たものである。
また、本件特許の請求項2〜13、15及び16に係る発明は、甲1に記載の発明に基づき、甲2〜甲12、必要であれば甲13〜甲17に記載の事項を考慮して当業者が容易に想到し得たものである。
(2)理由2(甲第4号証を主引用例とする特許法第29条第2項
本件特許の請求項1に係る発明は、甲4に記載の発明に基づき、甲1〜甲3、甲5及び甲6、必要であれば甲13〜甲17に記載の事項を考慮して当業者が容易に想到し得たものである。
また、本件特許の請求項2〜13、15及び16に係る発明は、甲4に記載の発明に基づき、甲1〜甲3、甲5〜甲8、甲10〜甲12、必要であれば甲13〜甲17、に記載の事項を考慮して当業者が容易に想到し得たものである。
(3)理由3(特許法第36条第4項第1号
本件特許の明細書における発明の詳細な説明は、本件特許の請求項1〜16に係る発明を、当業者が実施できる程度に明確かつ十分に記載していない。
(4)理由4(特許法第36条第6項第2号
本件特許の請求項4に係る発明における「高度分岐サイクリックデキストリン」の意味が明確でなく、また、「オリゴ糖」との特定事項と矛盾がある。

2 特許異議申立人が提出した証拠は、次の甲1〜甲18である。
甲1:特表平11−504994号公報
甲2:特開2003−238375号公報
甲3:特開2003−238376号公報
甲4:特開2014−1490号公報
甲5:特開2007−332130号公報
甲6:高田宏樹、「高度分岐環状デキストリン(クラスターデキストリンR)」、食品と容器、缶詰技術研究会、平成23年6月1日、第52巻、第6号、表紙、328〜333頁、388頁
甲7:特開平8−134104号公報
甲8:製品名「クラスターデキストリン」の安全データシート(SDS)
甲9:米国特許第4145184号明細書
甲9−2:特開昭52−86411号公報
甲10:特開2013−123387号公報
甲11:特表2013−526876号公報
甲12:特開2006−174748号公報
甲13:特開2013−155119号公報
甲14:特開2009−184947号公報
甲15:特開2006−124884号公報
甲16:ファントリドの化学物質情報、J−GLOBAL科学技術総合リンクセンター
甲17:α−ヘキシルシンナムアルデヒドの化学物質情報、J−GLOBAL科学技術総合リンクセンター
甲18:名倉泰三、「お砂糖豆知識[2004年10月]」、独立行政法人農畜産業振興機構のウエブサイト(https://sugar.alic.go.jp/tisiki/ti_0410.htm)

第7 特許異議申立理由についての当審の判断
1 理由1(甲第1号証を主引用例とする特許法第29条第2項)について
(1)甲1の記載
甲1には、次の記載がある。
ア 「1. 下記、IおよびIIからなる群から選択された、濯ぎの際に加える布地軟化組成物。
I.下記(A)〜(D)を含んでなる固体粒子状組成物、
(A)約50%〜約95%の生物分解性で陽イオン系の第4級アンモニウム布地軟化化合物、
(B)約0.01%〜約15%の持続性香料、
(C)所望により、約0%〜約30%の分散性調節剤、および
(D)所望により、約0%〜約15%のpH調節剤、
および
II.下記(A)〜(D)を含んでなる液体組成物、
(A)約0.5%〜約80%の生物分解性で陽イオン系の布地軟化化合物、
(B)約0.01%〜約10%、好ましくは約0.05%〜約8%、より好ましくは約0.1%〜約6%、さらに好ましくは約0.15%〜約4%、の持続性香料、
(C)所望により、約0%〜約30%の分散性調節剤、および
(D)水、C1−4 価アルコール、C2−6多価アルコール、炭酸プロピレン、液体ポリエチレングリコール、およびそれらの混合物からなる群から選択された液体キャリヤーを含んでなる残部、
前記持続性香料は、少なくとも約70%、好ましくは少なくとも約75%、より好ましくは少なくとも約80%、さらに好ましくは少なくとも約85%の、少なくとも約250℃の沸点および少なくとも約3のClogPを有する成分、シス−ジャスモン、酢酸ジメチルベンジルカルビニル、エチルバニリン、酢酸ゲラニル、アルファ−イオノン、ベータ−イオノン、ガンマ−イオノン、コアボン(koavone)、ラウリンアルデヒド、メチルジヒドロジャスモネート、メチルノニルアセトアルデヒド、ガンマ−ノナラクトン、イソ−酪酸フェノキシエチル、フェニルエチルジメチルカルビノール、フェニルエチルジメチルカルビニルアセテート、アルファ−メチル−4−(2−メチルプロピル)−ベンゼンプロパナール、6−アセチル−1,1,3,4,4,6−ヘキサメチルテトラヒドロナフタレン、ウンデシレンアルデヒド、バニリン、2,5,5−トリメチル−2−ペンチルシクロペンタノン、2−tert−ブチルシクロヘキサノール、ベルドックス(verdox)、パラ−tert−ブチルシクロヘキシルアセテート、およびそれらの混合物からなる群から選択された持続性香料成分を有し、
ここで少なくとも約250℃の沸点および少なくとも約3のClogPを有する成分だけを含む香料組成物が持続性香料にならない様に、これらの成分の量が約70%未満、好ましくは約65%未満であり、好ましくは、分散性調節剤が粘度、分散性またはそれらの両方に影響し、生物分解性で陽イオン系の布地軟化化合物が、好ましくは下記式を有し、
(R)4−m−+N−[(CH2)n−Y−R2]m X−
式中、各Yは−O−(O)C−、または−C(O)−O−であり、mは2または3であり、nは1〜4であり、各RはC1〜C6アルキル基、ヒドロキシアルキル基、ベンジル基、またはそれらの混合物であり、各R2はC12〜C22ヒドロカルビル、または置換されたヒドロカルビル置換基であり、X−は、軟化剤と相容性があるすべての陰イオンであり、第4級アンモニウム化合物が好ましくは、約5を超え、約100未満のヨウ素価を有するC12〜C22脂肪アシル基に由来し、ヨウ素価が約25未満である場合、シス/トランス異性体の重量比が約30/70を超え、脂肪アシル基の不飽和度が約65重量%未満であることを特徴とする組成物。」(2〜3頁、請求項1)
イ 「発明の分野
本発明は、持続性のある香料組成物と組み合わせた、液体のおよび濯ぎの際に加える(rinse-added)顆粒状の生物分解性布地軟化剤組成物に関する。これらの組成物は、布地に直接付着する、天然産の、および/または合成された香料を含有する。これらの組成物は処理した布地上に香料を堆積し易くし、洗濯工程中に失われる香料を最少に抑え、したがって濯ぎおよび乾燥サイクル中に大幅に失われることがなく、環境に対する影響が少ない。また、これらの香料は軟化剤組成物の物理的な安定性を改良する。
発明の背景
布地軟化組成物からの香料の放出および布地上での香料の寿命は、嗅覚的に審美的効果を与え、その布地が清浄である印として役立つ上で、これらの布地軟化組成物の特に重要な機能である。改良のための努力は常に成されている。一般的に、これらの改良は、担体材料を適切に選択することにより、布地上への香料の堆積を改良すること、香料の放出速度を制御すること、および香料組成物を適切に選択することが中心になっている。例えば、マイクロカプセルやシクロデキストリンの様な担体は、例えばここに参考として含める米国特許第5,112,688号明細書、1992年5月12日にD.W.Michaelに公布、および米国特許第5,234,611号明細書、1993年8月10日にTrinh 、Bacon およびBenvegnuに公布、に記載されている。これらの改良は効果的ではあるが、布地軟化組成物からの香料の放出および寿命に関連するすべての問題を解決してはいない。」(6頁3〜23行)
ウ 「本発明は、生物分解性の軟化剤および効果的な香料を濯ぎの際に加える布地軟化組成物中に組み合わせて使用することにより、環境に対する衝撃を少なくすると共に、驚くべきことに、持続性のある香料組成物を使用することにより、洗濯した布地の上の香料の寿命を改善する、改良された組成物を提供する。さらに、驚くべきことに、これらの効果的な香料は、より伝統的な香料を含む類似の組成物と比較して、軟化組成物の粘度安定性をも改善する。」(7頁9〜12行)
エ 「(B)香料
この分野における布地軟化剤組成物は、布地に良い香りを与えるために、一般的に香料を含む。これらの従来の香料組成物は、布地の付着性をある程度は考えているが、主としてそれらの臭気品質で選択されているのが一般的である。代表的な香料化合物および組成物は、すべてここに参考として含める、米国特許第4,145,184号明細書、BrainおよびCummins、1979年3月20日公布、第4,209,417号明細書、Whyte、1980年6月24日公布、第4,515,705号明細書、Moeddel、1985年5月7日公布、および第4,152,272号明細書、Young、1979年5月1日公布、に記載されている。」(18頁22行〜19頁2行)
オ 「



」(23〜25頁)
カ 「下記の例で本発明を説明するが、これらの例は本発明を限定するものではない。比較のための香料B、CおよびDは本発明の範囲外にある非持続性香料組成物である。



」(57頁14行〜58頁)
キ 「例IおよびII

」(71頁11〜24行)

(2)甲1に記載された発明(甲1発明)
甲1の請求項1(上記(1)ア)から、「例I」(同キ)の液体組成物は、生物分解性布地軟化剤組成物であると解され、甲1には、「例I」として、「エステル第4級化合物 10.1重量パーセント、香料A(Tonalid 20重量%、ブラシル酸エチレン 20重量%、Phantolide 20重量%、ヘキシルシンナムアルデヒド 20重量%、テトラヒドロリノナール 20重量%) 0.45重量%、 HCl(25%) 0.06重量%、 CaCl2(25%) 0.06重量%、及び、脱イオン水 残り、からなる生物分解性布地軟化剤組成物」(以下、「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。
また、「該生物分解性布地軟化剤組成物を処理する段階を含む布地軟化方法」(以下、「甲1発明’」という。)についても記載されていると認められる。

(3)対比・判断
ア 本件発明1について
本件発明1と甲1発明とを対比する。
本件発明1の「香料」と甲1発明の「香料A」とは、香料である点で共通する。
また、甲1発明の「脱イオン水」は、本件発明1の「溶剤」に相当する。
そして、本件発明1と甲1発明とは、組成物である点で共通する。
そうすると、本件発明1と甲1発明とは、「香料及び溶剤を含む組成物」である点で一致し、次の点で相違が認められる。
(相違点1−1)
「香料」について、本件発明1は、「高度分岐サイクリックデキストリン(HBCD)またはこの誘導体、前記高度分岐サイクリックデキストリンの少なくとも一つ以上の内部空間内に包接した香料」である点が特定されているのに対し、甲1発明には、「高度分岐サイクリックデキストリン(HBCD)またはこの誘導体、前記高度分岐サイクリックデキストリンの少なくとも一つ以上」は含まれず、甲1発明の「香料A」はそのようなものではない点。
(相違点1−2)
「香料」について、本件発明1は、「全体香料組成に基づいて、60重量%以上のClogPが3以上であって、分子量が205以上の疎水性香料を含む」点が特定されているのに対し、甲1発明の「香料A」がそのようなものかどうかは不明な点。
(相違点1−3)
本件発明1は、「界面活性剤」を含む点が特定されているのに対し、甲1発明は「界面活性剤」を含むことは規定されていない点。
(相違点1−4)
本件発明1は、「異臭源除去用の組成物」であるのに対し、甲1発明は、「生物分解性布地軟化剤組成物」である点。

ここで、相違点について検討する。
事案に鑑み、まず、相違点1−4について検討する。
甲1発明は、「布地軟化剤」に関するものであって、「持続性のある香料組成物と組み合わせ」、「洗濯した布地の上の香料の寿命を改善する」ものである(上記(1)イ)。
そうすると、甲1発明は、布地に香料を付与する作用効果を有するものに過ぎず、布地の異臭源を吸着するといった、異臭源除去用として用いることは想定されているとはいえない。また、本件の優先日以前に、甲1発明のような生物分解性布地軟化剤組成物を異臭源除去のためにも用いることが当業者にとって知られていたとは認めることができない。
したがって、上記相違点1−4に係る発明特定事項を当業者が容易に想到し得るものであるということはできない。

これに対し、本件発明1は、本件明細書の【0021】に記載された「高度分岐サイクリックデキストリン内の香料物質が異臭源に置換され、マスキング能力に優れ、選好度の高い香りを出すとともに、異臭源のような望ましくない分子などの異物の除去が可能となる。」という格別顕著な作用効果を奏するものであり、このような作用効果は、甲1発明から予測し得るものではない。また、本件発明1の上記作用効果は、本件明細書の実施例において確認されているといえる。
したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、甲1発明に基づいて、当業者が容易に発明し得るものであるということはできない。

(特許異議申立人の主張)
特許異議申立人は、上記相違点1−4に関連して、次のように主張している。
「甲第4号証〜甲第6号証の記載から、高度分岐環状デキストリン(クラスターデキストリン)を配合することにより、様々な臭気に対して消臭効果をもたらすことができること、高度分岐環状デキストリン(クラスターデキストリン)は、その構造内に臭い物質等を取り込んで消臭効果を奏することが、当業者に知られていたと言える。
よって、甲1発明の組成物において高度分岐環状デキストリン(クラスターデキストリン)を配合したものは、香料の持続性の向上という利点が得られるのみならず、異臭源除去用の組成物として用いることができることを、当業者は容易に想到することができたのであって、相違点3の構成は、甲1発明の組成物において当業者が容易に想到し得た事項である。」

しかしながら、甲4〜甲6から、高度分岐環状デキストリン(クラスターデキストリン)に消臭効果があることが知られていたといえたとしても、甲1発明は、香料を布地に付与するものであって、臭い物質を取り込んで消臭効果をもたらすものではなく、甲1発明に、高度分岐環状デキストリン(クラスターデキストリン)を含有させる動機付けがあるとはいえず、特許異議申立人の上記主張は採用できない。

イ 本件発明2〜7、9〜14について
本件発明2〜7、9〜14は、本件発明1を引用し、さらに限定するものであるから、本件発明1と同様な理由から、甲1発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとすることはできない。

ウ 本件発明16について
本件発明16と甲1発明’とを対比する、上記本件発明1と甲1発明との対比から明らかなように、本件発明16と甲1発明’とは、「香料、及び溶剤、及び選択的に、水溶性ポリマー、植物抽出物またはこれらの混合物を含む組成物を処理する段階を含む方法。」である点で一致し、次の点で相違が認められる。
(相違点1’−1)
「香料」について、本件発明16は、「高度分岐サイクリックデキストリン(HBCD)またはこの誘導体、前記高度分岐サイクリックデキストリンの少なくとも一つ以上の内部空間内に包接した香料」である点が特定されているのに対し、甲1発明には、「高度分岐サイクリックデキストリン(HBCD)またはこの誘導体、前記高度分岐サイクリックデキストリンの少なくとも一つ以上」は含まれず、甲1発明’の「香料A」はそのようなものではない点。
(相違点1’−2)
「香料」について、本件発明16は、「全体香料組成に基づいて、60重量%以上のClogPが3以上であって、分子量が205以上の疎水性香料を含む」点が特定されているのに対し、甲1発明’の「香料A」がそのようなものかどうかは不明な点。
(相違点1’−3) 本件発明16は、「界面活性剤」を含む点が特定されているのに対し、甲1発明’は「界面活性剤」を含むことは規定されていない点。
(相違点1’−4)
本件発明16は、「異臭源の除去方法」であるのに対し、甲1発明’は、「布地軟化方法」である点。

ここで、事案に鑑み相違点1’−4について検討する。
上記アの相違点1−4の判断において述べたように、甲1発明’の組成物は、布地に香料を付与する作用効果を有するものに過ぎず、布地の異臭源を吸着するといった、異臭源除去用として用いることは想定されているとはいえず、甲1発明’を異臭源の除去方法として用いることは、当業者が容易に想到し得るものではない。
したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明16は、甲1発明’に基づいて、当業者が容易に発明し得るものであるということはできない。

2 理由2(甲第4号証を主引用例とする特許法第29条第2項)について
(1)甲4の記載
甲4には、次の記載がある。
ア 「【請求項1】
(A)内分岐環状構造部分と外分岐構造部分とを有する、重合度が50から10000の範囲にあるグルカンであって、ここで、内分岐環状構造部分とは、α−1,4−グルコシド結合とα−1,6−グルコシド結合とで形成される環状構造部分であり、外分岐構造部分とは、該内分岐環状構造部分に結合した非環状構造部分である、グルカン、
(B)エステル基又はアミド基で分断されていてもよい炭素数10〜26の炭化水素基を分子内に1〜3個有するアミン化合物、その塩及びその4級化物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物、及び
(C)下記(C−1)〜(C−3)から選ばれる1種、又は2種以上の化合物、
(C−1)RaCOOHで表される脂肪酸であって、Raは、炭素数8〜35のアルキル又はアルケニル基を表す、脂肪酸、
(C−2)シリコーン化合物、
(C−3)RbOHで表される脂肪族アルコールであって、Rbは、炭素数8〜35のアルキル又はアルケニル基を表す、脂肪族アルコール、
を含む、柔軟剤組成物。」
イ 「【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維製品用処理剤組成物、特に、衣類等の繊維製品に使用するのに好適な柔軟剤組成物に関する。より詳細には、消臭・防臭効果に優れた柔軟剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
繊維製品を消臭・防臭する方法として、従来より、感覚的消臭、物理的消臭、化学的消臭、生物的消臭等によって、悪臭を減らす試みがなされており、今なお技術の向上が図られているものの、いまだ満足するものが得られていないのが現状である。このように、依然として繊維製品の悪臭を減らしたいというニーズが高い。
各々の消臭・防臭方法では、それぞれ消臭・防臭機構が異なっている。例えば、感覚的消臭は、香料等によって、悪臭を感じさせなくする方法であるが、臭気によっては感じやすくなってしまう場合がある。物理的消臭は、分子中もしくは基剤中に存在する孔の中に悪臭分子を取り込むことによって、臭いを発生させないようにする方法であるが、従来より用いられているシリカ、シクロデキストンは、悪臭成分によっては孔の中に取り込むことができない場合がある。化学的消臭は、悪臭成分と化学反応することにより、臭いを弱くしたり、無臭の成分にする方法であるが、悪臭成分はあらゆる成分で成り立っており、化学反応をしないものもある。生物的消臭は、皮膚上の細菌数を減らし、増殖を抑制することで、汗等の分解による臭いの発生を抑制する方法であるが、菌等が関与しない場合には、効果がない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従って、本発明は、様々な臭気に対して、優れた消臭・防臭効果をもたらすことのできる柔軟剤組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者らは、柔軟剤組成物中に、物理学的消臭基材に分類される高度環状分岐デキストリンという特定のグルカンを配合し、これを繊維に適用することで、様々な臭気に対して優れた消臭・防臭効果が得られることを見出した。
また、通常、洗濯中に繊維製品に機能性物質を適用するために、繊維製品用処理剤組成物中にカチオン性基材等を配合することが行われているが、更に脂肪酸等の疎水性化合物を添加することで、高度環状分岐デキストリンの消臭・防臭効果が更に向上することを見出した。
本発明は、このような新規な知見に基づいて完成されたものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明の柔軟剤組成物において、(A)成分である高度環状分岐デキストリンを配合することにより優れた消臭・防臭効果が得られる。また、(A)成分と、界面活性剤である(B)成分と、疎水性化合物である(C)成分との組合せにより、更に消臭・防臭効果が向上する。」
ウ 「【発明を実施するための形態】
【0007】
[(A)成分]
本発明の柔軟剤組成物に含まれる(A)成分は、内分岐環状構造部分と外分岐構造部分とを有する、重合度が50から10000の範囲にあるグルカンであって、ここで、内分岐環状構造部分とは、α−1,4−グルコシド結合とα−1,6−グルコシド結合とで形成される環状構造部分であり、外分岐構造部分とは、該内分岐環状構造部分に結合した非環状構造部分である、グルカンである。このようなグルカンは、高度分岐環状デキストリン又はクラスターデキストリンとも呼ばれ、本明細書においても、(A)成分を「高度分岐環状デキストリン」と言う。
本発明の柔軟剤組成物に含まれる高度分岐環状デキストリンは、分子量が3万から100万程度であり、分子内に環状構造を1つ有し、さらにその環状部分に多数のグルカン鎖が結合した重量平均重合度2500程度のデキストリンを主に含む。
本発明の柔軟剤組成物に含まれる高度分岐環状デキストリンの内分岐環状構造部分は10〜100個程度のグルコースで構成されており、この内分岐環状構造部分に、非環状の多数の分岐グルカン鎖からなる外分岐構造部分が結合している。」
エ 「【0044】
<水>
本発明の柔軟剤組成物は、好ましくは水性組成物であり、水を含むことが好ましい。
水としては、水道水、イオン交換水、純水、蒸留水など、いずれも用いることができる。中でもイオン交換水が好適である。
水は、本発明の柔軟剤組成物中に、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上配合される。水の含有割合が前記下限値以上であれば、ハンドリング性が良好となる。」
オ 「【0051】
<香料>
本発明の柔軟剤組成物には、芳香を付与するために香料を添加することができる。特に限定されるものではないが、使用される香料原料のリストは、様々な文献、例えば「Perfume and Flavor Chemicals 」,Vol.Iand II,Steffen Arctander,Allured Pub.Co.(1994)および「合成香料 化学と商品知識」、印藤元一著、化学工業日報社(1996)および「Perfume and Flavor Materials of Natural Origin 」,Steffen Arctander,Allured Pub.Co.(1994)および「香りの百科」、日本香料協会編、朝倉書店(1989)および「Perfumery Material Performance V.3.3」,Boelens Aroma Chemical Information Service(1996)および「Flower oils and Floral Compounds In Perfumery」,Danute Lajaujis Anonis,Allured Pub.Co.(1993)等に記載されている。」
カ 「【実施例】
【0057】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。尚、実施例において成分配合量はすべて質量%(指定のある場合を除き、純分換算)を示す。
【0058】
[(A)成分]
・A−1:クラスターデキストリン(登録商標、グリコ栄養食品株式会社製)
クラスターデキストリン(登録商標)の主成分は、分子量が3万から100万程度であり、分子内に環状構造を1つ有し、さらにその環状部分に多数のグルカン鎖が結合した重量平均重合度2500程度のデキストリンである。環状構造部分は16〜100個程度のグルコースで構成されており、この環状構造に非環状の分岐グルカン鎖が多数結合しているものである。
・A−2(比較例):α−シクロデキストリン
【0059】
[(B)成分]
・B−1:カチオン界面活性剤(特開2003−12471の実施例4に記載の化合物)
B−1中には、製造過程から持ち込まれていると考えられる脂肪酸が含まれている。
・B−2:カチオン界面活性剤(ライオンアクゾ製、アーカード2HT)
主成分はジステアリルジメチルアンモニウムクロライドであり、B−2中には、脂肪酸は含まれていない。
【0060】
[(C)成分]
・C−1−1:オレイン酸(東京化成工業株式会社製)
・C−1−2:ステアリン酸(東京化成工業株式会社製)
・C−2−1:ポリエーテル変性シリコーン(特開2010−255170の実施例に記載の化合物B−1)
・C−2−2:アミノ変性シリコーン(東レ・ダウコーニング製、SM8904)
・C−2−3:ジメチルシリコーン(東レ・ダウコーニング製、BY22−007)
・C−3−1:ベヘニルアルコール(東京化成工業株式会社製)
【0061】
[任意成分]
・(成分1)ノニオン界面活性剤:1級イソトリデシルアルコールのエチレンオキシド60モル付加物(BASF社製ルテンゾールTO3にエチレンオキサイドを付加させたもの)
柔軟剤組成物中、配合量が2%となる量で使用した。下記表2〜4中、ノニオンと記載される。
・(成分2)塩化カルシウム(商品名:粒状塩化カルシウム、(株)トクヤマ製)
柔軟剤組成物中、配合量が0.8%となる量で使用した。
・(成分3)香料成分
下記の表1に組成が示される香料組成物Aを、柔軟剤組成物中0.8%の量になるように配合した。【表1】表中の数値は質量%を表す。
【0062】



(2)甲4に記載された発明(甲4発明)
甲4の請求項1は、「(A)内分岐環状構造部分と外分岐構造部分とを有する、重合度が50から10000の範囲にあるグルカンであって、ここで、内分岐環状構造部分とは、α−1,4−グルコシド結合とα−1,6−グルコシド結合とで形成される環状構造部分であり、外分岐構造部分とは、該内分岐環状構造部分に結合した非環状構造部分である、グルカン、
(B)エステル基又はアミド基で分断されていてもよい炭素数10〜26の炭化水素基を分子内に1〜3個有するアミン化合物、その塩及びその4級化物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物、及び
(C)下記(C−1)〜(C−3)から選ばれる1種、又は2種以上の化合物、
(C−1)RaCOOHで表される脂肪酸であって、Raは、炭素数8〜35のアルキル又はアルケニル基を表す、脂肪酸、
(C−2)シリコーン化合物、
(C−3)RbOHで表される脂肪族アルコールであって、Rbは、炭素数8〜35のアルキル又はアルケニル基を表す、脂肪族アルコール、
を含む、柔軟剤組成物。」(以下、「甲4発明」という。)が記載されていると認められる。
また、「該柔軟剤組成物を処理する段階を含む柔軟方法」(以下、「甲4発明’」という。)についても記載されていると認められる。

(3)対比・判断
ア 本件発明1について
本件発明1と甲4発明とを対比する。
甲4の【0007】(上記(1)ウ)には、甲4発明の「グルカン」について、「内分岐環状構造部分とは、α−1,4−グルコシド結合とα−1,6−グルコシド結合とで形成される環状構造部分であり、外分岐構造部分とは、該内分岐環状構造部分に結合した非環状構造部分である、グルカンである。このようなグルカンは、高度分岐環状デキストリン又はクラスターデキストリンとも呼ばれ」と記載されていることから、甲4発明の「(A)内分岐環状構造部分と外分岐構造部分とを有する、重合度が50から10000の範囲にあるグルカンであって、ここで、内分岐環状構造部分とは、α−1,4−グルコシド結合とα−1,6−グルコシド結合とで形成される環状構造部分であり、外分岐構造部分とは、該内分岐環状構造部分に結合した非環状構造部分である、グルカン」は、本件発明1の「高度分岐サイクリックデキストリン(HBCD)またはこの誘導体」に相当する。
そして、甲4発明の「水」は、本件発明1の「溶剤」に相当する。
また、本件発明1の「異臭源除去用の組成物」と甲4発明の「柔軟剤組成物」とは「組成物」である点で共通する。

そうすると、本件発明1と甲4発明とは、
「高度分岐サイクリックデキストリン(HBCD)またはこの誘導体及び溶剤を含む、組成物」である点で一致し、次の点で相違が認められる。
(相違点4−1)
本件発明1は、「高度分岐サイクリックデキストリンの少なくとも一つ以上の内部空間内に包接した香料」を含む、が特定されているのに対し、甲4発明は「香料」を含むことは規定されていない点。
(相違点4−2)
本件発明1の香料について、「香料は、全体香料組成に基づいて、60重量%以上のClogPが3以上であって、分子量が205以上の疎水性香料を含むこと」が特定されているのに対し、甲4発明は「香料」を含むことは規定されていない点。
(相違点4−3)
本件発明1は、界面活性剤を含む点が特定されているのに対し、甲4発明は「界面活性剤」を含むことは規定されていない点。
(相違点4−4)
本件発明1は、「異臭源除去用の組成物」であるのに対し、甲4発明は、「柔軟剤組成物」である点。

ここで、相違点について検討する。
事案に鑑み、相違点4−1について、まず検討する。
甲4には、【0002】(上記(1)イ)に、「物理的消臭は、分子中もしくは基剤中に存在する孔の中に悪臭分子を取り込むことによって、臭いを発生させないようにする方法である」ことが記載され、【0004】(同)に、「本発明者らは、柔軟剤組成物中に、物理学的消臭基材に分類される高度環状分岐デキストリンという特定のグルカンを配合し、これを繊維に適用することで、様々な臭気に対して優れた消臭・防臭効果が得られることを見出した。」と記載されていることから、甲4発明は物理的消臭を行うものであって、消臭は、「グルカン」の分子中に悪臭分子を取り込むことによって、臭いを発生させないようにすることで行われるものと解される。
そうすると、甲4の【0051】(同オ)には、甲4発明に、芳香を付与するために香料を添加することができることは記載されているものの、その香料は、「悪臭分子」といえるものではないから、甲4発明において、「グルカン」の分子中に香料を取り込むことは想定されていない。しかも、甲4発明において、仮に、添加された香料が「グルカン」の分子中に取り込まれた場合には、「グルカン」は悪臭分子を取り込むことができなくなることから、甲4発明の作用効果が奏されなくなることになる。
したがって、甲4発明においては、上記「グルカン」の分子中に芳香を付与するための香料が取り込まれるようにすることは想定されていない。
よって、上記相違点4−1に係る本件発明1の発明特定事項である「高度分岐サイクリックデキストリンの少なくとも一つ以上の内部空間内に包接した香料」を含むことは、当業者が容易に想到し得るものではない。

これに対し、上記「1(3)」で述べたように、本件発明1は、本件明細書の【0021】に記載された「高度分岐サイクリックデキストリン内の香料物質が異臭源に置換され、マスキング能力に優れ、選好度の高い香りを出すとともに、異臭源のような望ましくない分子などの異物の除去が可能となる。」という格別顕著な作用効果を奏するものであり、このような作用効果は、甲4発明から予測し得るものではない。
したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、甲4発明に基づいて、当業者が容易に発明し得るものであるということはできない。

(特許異議申立人の主張について)
特許異議申立人は、上記相違点4−1に関連して、次のように主張している。
「甲第2号証、甲第3号証、甲第6号証、甲第13号証及び甲第14号証の記載に鑑みれば、甲4発明の組成物において、疎水性の香料を配合した場合には、高度分岐サイクリックデキストリンの少なくとも一つ以上の内部空間内に包接するものと理解される。
実際に、甲第4号証に記載の実施例においては、段落【0061】に記載の表1に示されるとおりの香料組成物Aが用いられており、香料組成物A中には、イソイースーパー、カシュメラン、ガラクソライド、トナライド、及びヘキシルシンナミックアルデヒドが含まれている。イソイースーパー、カシュメラン、ガラクソライド、及びトナライドは、本件特許の明細書においてC、1ogPが3以上であって分子量が205以上の疎水性香料成分であると記載されている香料成分である(段落【0055】、表1)。ヘキシルシンナミックアルデヒドは、前記「ウ取消理由1について、(ア)(a)」において述べたとおり、C1ogPが3以上であって分子量が205以上の疎水性香料成分である。これらの疎水性香料成分は、高度分岐環状デキストリンの少なくとも一つ以上の内部空間内に包接するものであるから、甲第4号証には、発明特定事項Bが実質的に記載されている。
従って、相違点1は実質的な相違点でないか、相違点であるとしても、その構成は、甲4発明の組成物において当業者が容易に想到し得た事項である。」

しかしながら、仮に、「甲4発明の組成物において、疎水性の香料を配合した場合には、高度分岐サイクリックデキストリンの少なくとも一つ以上の内部空間内に包接するもの」であれば、「甲4発明の組成物」は、もはや「様々な臭気に対して優れた消臭・防臭効果が得られる」ものではなくなることから、甲4発明において、香料が「高度分岐サイクリックデキストリンの少なくとも一つ以上の内部空間内に包接する」ことは想定されていないというべきである。
したがって、上記特許異議申立人の主張は採用することができない。

イ 本件発明2〜7、9〜14について
本件発明2〜7、9〜14は、本件発明1を引用し、さらに限定するものであるから、本件発明1と同様な理由から、甲4発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとすることはできない。

ウ 本件発明16について
本件発明16と甲4発明’とを対比する、上記本件発明1と甲4発明との対比から明らかなように、本件発明16と甲4発明’とは、「高度分岐サイクリックデキストリン(HBCD)またはこの誘導体及び溶剤を含む組成物を処理する段階を含む方法。」である点で一致し、次の点で相違が認められる。
(相違点4’−1)
本件発明1は、「高度分岐サイクリックデキストリンの少なくとも一つ以上の内部空間内に包接した香料」を含む、が特定されているのに対し、甲4発明は「香料」を含むことは規定されていない点。
(相違点4’−2)
本件発明1の香料について、「香料は、全体香料組成に基づいて、60重量%以上のClogPが3以上であって、分子量が205以上の疎水性香料を含むこと」が特定されているのに対し、甲4発明は「香料」を含むことは規定されていない点。
(相違点4’−3)
本件発明1は、界面活性剤を含む点が特定されているのに対し、甲4発明は「界面活性剤」を含むことは規定されていない点。
(相違点4’−4)
本件発明16は、「異臭源の除去方法」であるのに対し、甲1発明’は、「柔軟方法」である点。

ここで、事案に鑑み相違点4’−1について検討する。
上記アの相違点4’−1の判断において述べたように、甲4発明’の組成物において、「高度分岐サイクリックデキストリンの少なくとも一つ以上の内部空間内に包接した香料」を含むことは、当業者が容易に想到し得るものではない。

したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明16は、甲4発明’に基づいて、当業者が容易に発明し得るものであるということはできない。

3 理由3(特許法第36条第4項第1号)について
(1)本件発明の課題
本件発明は、上記「第3」で述べたとおりのものであるところ、本件発明の課題は、本件明細書の【0008】及び【0009】の記載によれば、「より広くて多様なサイズの内部空間を有するサイクリックデキストリンを適用することで、従来のシクロデキストリンにおいて包接できなかったより多様な望ましくない分子、より具体的には多様な異臭源の除去が容易であるだけでなく、シクロデキストリンにおいて包接できなかったより多様な、疎水性でありかつ分子量が大きい香料物質を包接できるようにすること」、及び、「より広くて多様なサイズの内部空間を有するサイクリックデキストリンを適用し、サイクリックデキストリンの内部空間に包接した香料物質を放出して異臭源を包接させることで、異臭除去及び香りを伝達する組成物及び発現させる方法を提供すること」であると認められる。

(2)本件明細書には次の記載がある。
ア 「【0064】
4)界面活性剤
本発明の界面活性剤は、物体表面の異物を適切に減少、除去させるか、香料成分が長い間に発香できるようにするために、本発明の組成物にさらに含むことができる。異臭の適切な除去のために、界面活性剤は、本発明による高度分岐サイクリックデキストリンと容易に結合できる安定した界面活性剤を含み、
かつ、本発明による高度分岐サイクリックデキストリンに包接しにくい異臭性物質との重合体を成し、低い表面張力を発生させて織物のような疎水性表面により容易かつ均一に広がる特性が重要となる。」
イ 「【実施例】
【0093】
<実施例>
本発明による組成物は、高度分岐サイクリックデキストリン、香料及び溶剤などの物質からなるため、本組成物の生産過程において高度分岐サイクリックデキストリンの機能を組成内に存在させることが重要となる。機能を有する高度分岐サイクリックデキストリンを組成内に保持するために、最初の高度分岐サイクリックデキストリンと界面活性剤とを混合しなくてはならない。その結果、ミセルや小胞のような分子重合体が形成された後、高度分岐サイクリックデキストリン−界面活性剤分子重合体内に香料などのような物質を含浸することで、高度分岐サイクリックデキストリンの内部空間から効果的に分離し、組成内で機能的に作用する組成物を保持することができる。」
「【0098】
【表3】



(3)当審の判断
上記「1(3)」(理由1)で述べたように、甲1には、サイクリックデキストリンの内部空間に香料を包接したものが開示され、上記「2(3)」(理由2)で述べたように、甲4には、グルカン(サイクリックデキストリン)の分子中に香料を取り込むことが開示されていることから、本件発明の課題を解決するためには、サイクリックデキストリンの内部空間に、香料物質を包接できるようにした上で、サイクリックデキストリンの内部空間に包接した香料物質を放出して異臭源を包接させるようにすることが必要であるといえる。

そして、本件明細書には、本件発明の課題を解決することが確認されたものとして、実施例1〜7が示されており、いずれも界面活性剤を含有している。
ここで、界面活性剤について、本件明細書の【0093】の「高度分岐サイクリックデキストリンを組成内に保持するために、最初の高度分岐サイクリックデキストリンと界面活性剤とを混合しなくてはならない。その結果、(中略)ミセルや小胞のような分子重合体が形成された後、高度分岐サイクリックデキストリン−界面活性剤分子重合体内に香料などのような物質を含浸することで、高度分岐サイクリックデキストリンの内部空間から効果的に分離し、組成内で機能的に作用する組成物を保持することができる。」という記載と実施例1〜7がいずれも界面活性剤を含有していることからみて、本件発明の課題を解決するためには、高度分岐サイクリックデキストリンともに、界面活性剤を用いることが必要であることが理解できる。

そして、界面活性剤は、一般に、イオン性界面活性剤(アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤)及び非イオン性界面活性剤に分類されるところ、「高度分岐サイクリックデキストリン−界面活性剤分子重合体」を形成し、さらに、そこに、疎水性の香料が包接され、香料が分離するためには、用いられる界面活性剤は、疎水基と親水基を有するもの、すなわち、界面活性剤であればよく、その種類は問われないことは明らかである。
また、界面活性剤の含有量については、高度分岐サイクリックデキストリン等の内部空間内に包接した香料が分離され、異臭源除去用の組成物となる範囲で自ずから定められるものであり、請求項において特定する必要があるとは認められない。

一方、本件発明においては、高度分岐サイクリックデキストリン(HBCD)またはこの誘導体、前記高度分岐サイクリックデキストリンの少なくとも一つ以上の内部空間内に包接した香料であることが特定され、香料が疎水性香料であることが特定され、さらに、界面活性剤を含むことが特定されているのであるから、本件明細書の記載から、本件発明は、本件発明の課題を解決するものであると当業者は認識するというべきである。

以上のことから、本件請求項の記載は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしているといえる。

(特許異議申立人の主張について)
特許異議申立人は令和3年12月1日付けの意見書において、次のように主張している。
「実施例において本件発明の課題を解決できるものとして実際に確認されているのは、いずれも界面活性剤としてPOE−40(HCO)を含有するものである。POE−40(HCO)は、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油であると考えられるが、本件特許の明細書において、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油と、他の界面活性剤が、本件発明の課題解決において同等に作用することは示されていない。
一方、本件特許の明細書段落【0108】において、「Velvetex BK−35の適用を異ならせた実施例2と実施例4とを比較すれば、Velvetex BK−35を適用した実施例4の結果がより優れていることが分かった」と記載されており、用いる界面活性剤の種類のみの違いに基づき本件特許発明により奏される効果が有意に変化することが示されていることは、令和3年2月19日付け特許異議申立書において既に指摘したとおりである(即ち、効果が実証されていない界面活性剤を用いる態様については、実際に、高度分岐サイクリックデキストリンの内部空間に包接した香料物質を放出しつつ異臭源を包接させることを含む本件発明の課題が解決できることを、当業者は認識し得ないということである)。・・・(中略)・・・
しかも、具体的に実施例において実証されたものに関しても、界面活性剤の配合量は0.4〜0.6wt%という極めて狭い範囲内においてのみ、実際に効果が確認されているに過ぎない。界面活性剤の配合量が、界面活性剤と高度分岐サイクリックデキストリンとの結合又は界面張力の変化(本件特許の明細書段落【0067】によれば、界面活性剤と高度分岐サイクリックデキストリンとの結合は、「界面張力の変化」によって確認される。)に影響を及ぼすことは当然に想定されることであり、当業者は、界面活性剤の配合量が0.4〜0.6wt%の範囲よりも少ない場合であっても、多い場合であっても、いずれにしても本件発明の課題を解決することができることを認識し得ない。」

しかしながら、「用いる界面活性剤の種類のみの違いに基づき本件特許発明により奏される効果が有意に変化する」としても、本件明細書の実施例において、「Velvetex BK−35」を含有しない実施例2及び3、及び、「Velvetex BK−35」を含有する実施例4の、両者について、本件発明の課題を解決することは確認されていることから、界面活性剤として、「Velvetex BK−35」が必須のものであるとはいえない。
また、本件発明において、界面活性剤の種類によって、本件発明の課題を解決できなくなる、といった具体的根拠を見いだすことはできない。
そして、界面活性剤の必要とされる配合量は、界面活性剤の種類によっても異なり、その配合量が0.4〜0.6wt%の範囲の以外のものについて、本件発明の課題を解決できなくなる、といった具体的根拠を見いだすことはできない。
したがって、特許異議申立人の上記主張は採用することができない。

4 理由4(特許法第36条第6項第2号)について
特許異議申立人は、甲18に「オリゴ糖とは、単糖類が2〜10個つながったものを指します。」と記載されていることから、本件発明4における化学式と矛盾しており不明確と主張している。
しかしながら、本件発明4の化学式「化学式(C6H10O5)xH2O(xは200〜5,000の整数である。)」は明確であるし、一方、「オリゴ糖」に属する単糖の数は厳密に定義されているわけではないから、これらを考え合わせると本件発明4の記載が不明確であるとはいえない。
したがって、本件発明4の記載は特許法第36条第6項第2号の規定を満たすものであり、特許異議申立人の主張は採用できない。

第8 むすび
以上のとおり、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件請求項1〜7、請求項9〜14及び請求項16に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1〜7、請求項9〜14及び請求項16に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
訂正前の請求項8及び請求項15は本件訂正により削除されたため、請求項8及び請求項15についての特許異議の申立ては、特許法第120条の8で準用する同法第135条の規定により却下すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。


 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高度分岐サイクリックデキストリン(HBCD)またはこの誘導体、前記高度分岐サイクリックデキストリンの少なくとも一つ以上の内部空間内に包接した香料及び溶剤を含み、
前記香料は、全体香料組成に基づいて、60重量%以上のClogPが3以上であって、分子量が205以上の疎水性香料を含むことを特徴とする、異臭源除去用の組成物であって、
前記組成物は、界面活性剤をさらに含む、異臭源除去用の組成物。
【請求項2】
前記高度分岐サイクリックデキストリンは、α−1,6−グルコシド結合によって16〜100以内のD−グルコースか連結された形態であることを特徴とする請求項1に記載の異臭源除去用の組成物。
【請求項3】
前記高度分岐サイクリックデキストリンは、テキストロース当量値が5以下であることを特徴とする請求項1に記載の異臭源除去用の組成物。
【請求項4】
前記高度分岐サイクリックデキストリンは、α−D−グルコースをモノマーとするオリゴ糖であり、化学式(C6H10O5)xH2O(xは200〜5,000の整数である。)で表される化合物であることを特徴とする請求項1に記載の異臭源除去用の組成物。
【請求項5】
前記高度分岐サイクリックデキストリンは、平均分子量が30,000〜1,000,000g/molであることを特徴とする請求項1に記載異臭源除去用の組成物。
【請求項6】
前記高度分岐サイクリックデキストリンは、組成物の総重量に対し0.01〜20重量%が含まれることを特徴とする請求項1に記載の異臭源除去用の組成物。
【請求項7】
前記溶剤は、水を含むことを特徴とする請求項1に記載の異臭源除去用の組成物。
【請求項8】
(削除)
【請求項9】
前記組成物は、水溶性ポリマーをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の異臭源除去用の組成物。
【請求項10】
前記組成物は、植物抽出物をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の異臭源除去用の組成物。
【請求項11】
前記植物抽出物は、緑茶、柿の葉、陳皮及び八角茴香からなる群より選択されたいずれか一つ以上を含む植物の抽出物であることを特徴とする請求項10に記載の異臭源除去用の組成物。
【請求項12】
前記植物抽出物は、組成物の総重量に対し0.01〜10重量%が含まれたことを特徴とする請求項10に記載の異臭源除去用の組成物。
【請求項13】
前記植物抽出物は、ポリフェノール系植物精油の含まれた植物溶媒抽出物と鉱物との反応物であることを特徴とする請求項10に記載の異臭源除去用の組成物。
【請求項14】
高度分岐サイクリックデキストリン(HBCD)またはこの誘導体を組成物の総重量に対し0.01〜10重量%を含み、かつ、緑茶、柿の葉、陳皮及び八角茴香を含む植物抽出物を0.01〜10重量%含むことを特徴とする請求項10に記載の異臭源除去用の組成物。
【請求項15】
(削除)
【請求項16】
高度分岐サイクリックデキストリン(HBCD)またはこの誘導体、前記高度分岐サイクリックデキストリンの少なくとも一つ以上の内部空間内に包接した、ClogPが3以上であって、分子量が205以上の疎水性香料を全体香料組成に基づいて60重量%以上の量で含む香料、界面活性剤、及び溶剤、及び選択的に、水溶性ポリマー、植物抽出物またはこれらの混合物を含む異臭源除去用の組成物を処理する段階を含むことを特徴とする異臭源の除去方法。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2021-12-22 
出願番号 P2016-565291
審決分類 P 1 651・ 121- YAA (C11D)
P 1 651・ 537- YAA (C11D)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 門前 浩一
特許庁審判官 川端 修
亀ヶ谷 明久
登録日 2020-07-31 
登録番号 6742914
権利者 エルジー ハウスホールド アンド ヘルスケア リミテッド
発明の名称 望ましくない分子除去用の組成物  
代理人 阿部 達彦  
代理人 渡部 崇  
代理人 渡部 崇  
代理人 阿部 達彦  

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