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審決分類 審判 全部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備  A61K
審判 全部申し立て 2項進歩性  A61K
管理番号 1384183
総通号数
発行国 JP 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2022-05-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2021-08-25 
確定日 2022-03-12 
異議申立件数
事件の表示 特許第6872699号発明「カルシウム吸収促進用組成物」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6872699号の請求項1ないし3に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
本件特許第6872699号についての出願は、2016年4月26日に出願され、令和3年4月22日に特許権の設定登録がなされ、令和3年5月19日に特許掲載公報が発行された。その後、本件特許について、令和3年8月25日に特許異議申立人伊藤礼子(以下「申立人」という。)により特許異議の申立てがなされた。

第2 本件発明
本件特許の請求項1〜3に係る発明は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1〜3に記載された事項により特定される次のとおりのもの(以下「本件発明1」〜「本件発明3」という。)である。

「【請求項1】
以下の(A)〜(D)を含有することを特徴とする組成物(ただし、大豆を含有するものを除く)。
(A)大麦の茎及び/又は葉
(B)Enterococcus faecalis
(C)カルシウム
(D)キャベツ発酵エキス、葉酸、ビタミンC及びビタミンDからなる群より選択される少なくとも1種(ただし、葉酸、ビタミンC及びビタミンDは植物に含まれるものを除く)
【請求項2】
以下の(A)〜(D)を含有することを特徴とするカルシウム吸収促進用組成物(ただし、大豆を含有するものを除く)。
(A)大麦の茎及び/又は葉
(B)Enterococcus faecalis
(C)カルシウム
(D)キャベツ発酵エキス、葉酸、ビタミンC及びビタミンDからなる群より選択される少なくとも1種
【請求項3】
以下の(A)〜(D)を含有することを特徴とする皮膚バリア機能改善用組成物(ただし、大豆を含有するものを除く)。
(A)大麦の茎及び/又は葉
(B)Enterococcus faecalis
(C)カルシウム
(D)キャベツ発酵エキス、葉酸、ビタミンC及びビタミンDからなる群より選択される少なくとも1種」

第3 申立理由の概要
申立人は、特許異議申立書において、証拠として甲第1号証〜甲第20号証(以下「甲1」〜「甲20」という。)を提出し、次の申立理由を主張する。

(1)申立理由1(甲1に基づく進歩性欠如)
本件発明1は、甲1に記載された発明、及び、甲5に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
本件発明2は、甲1に記載された発明、及び、甲5〜9に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
本件発明3は、甲1に記載された発明、及び、甲6、13〜15、17、19に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
したがって、本件発明1〜3に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであり、同法第113条第2号に該当し取り消されるべきものである。

(2)申立理由2(甲4に基づく進歩性欠如)
本件発明1は、甲4に記載された発明、及び、甲5に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
本件発明2は、甲4に記載された発明、及び、甲5〜10に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
本件発明3は、甲4に記載された発明、及び、甲6、10、13、14、16〜19に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
したがって、本件発明1〜3に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであり、同法第113条第2号に該当し取り消されるべきものである。

(3)申立理由3(実施可能要件違反)
本件発明2及び3に係る特許は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たさない特許出願に対してなされたものであるから、同法第113条第4号に該当し取り消されるべきものである。

・甲1:「世界のウェブアーカイブ|国立国会図書館インターネット資料収集保存事業」,『天然550生搾り!野菜・果実どっさり生きてる酵素☆美ボディ活性ベジエット!』,アーカイブ日:2015年9月29日,検索日:2021年5月20日,インターネット
・甲2:特開2016−5452号公報
・甲3:特開2014−31299号公報
・甲4:『植物発酵エキス230種類+コラーゲン グリーンスムージー(マンゴー風味)』,Amazon.co.jpでの取り扱い開始日:2014年9月24日,検索日:2021年7月28日,インターネット
・甲5:Am. J. Clin. Nutr.,2005, Vol.81,p.916-922
・甲6:『保健機能食品制度の見直しに伴う栄養機能食品の取扱いの改正について』,食安新発第0201001号,平成17年2月1日
・甲7:株式会社東洋新薬 お知らせ 『大麦若葉末』摂取による小腸下部からのカルシウム吸収促進作用を確認,情報掲載日:2013年11月15日,検索日:2021年6月29日,インターネット
・甲8:日本調理科学会誌,2013,Vol.46, No.2, p.129-133
・甲9:新ラクトーンA 添付文書,アサヒフードアンドヘルスケア株式会社,2009年6月改訂
・甲10:特開2002−17297号公報
・甲11:平成20年度農林水産省補助事業(食料産業クラスター展開事業)食品機能性評価マニュアル集第III集,平成21年3月,食品機能性評価支援センター技術普及資料等検討委員会,p.89-94
・甲12:日本食品科学工学会誌,2014年7月,第61巻,第7号, p.286-292
・甲13:株式会社東洋新薬 お知らせ 『大麦若葉末』の美肌作用を臨床試験により確認 ―肌の潤い増加,くすみ改善―,情報掲載日:2013年11月20日,検索日:2021年7月8日,インターネット
・甲14:特表2008−503563号公報
・甲15:北海道大学水産学部研究彙報, 1968年5月,19(1), p.52-61
・甲16:『水酸化ドロマイトの酸性ガス除去性能』,第24回廃棄物資源循環学会研究発表会講演論文集,2013,p.427-428,C2-2
・甲17:特開2004−115451号公報
・甲18:山野研究紀要,2004(1〜12),Vol.12,p.73-80
・甲19:表面科学,2007,Vol.28, No.3, p.164-168
・甲20:日本補完代替医療学会誌,2013年3月,第10巻,第1号,p.1-7

第4 主な甲号証の記載
(1)甲1(「世界のウェブアーカイブ|国立国会図書館インターネット資料収集保存事業」,『天然550生搾り!野菜・果実どっさり生きてる酵素☆美ボディ活性ベジエット!』,アーカイブ日:2015年9月29日,検索日:2021年5月20日,インターネット
なお、下線は当審による。以下、同様。

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(2)甲4(『植物発酵エキス230種類+コラーゲン グリーンスムージー(マンゴー風味)』、Amazon.co.jpでの取り扱い開始日:2014年9月24日,検索日:2021年7月28日,インターネットhttps://www.amazon.co.jp/植物発酵エキス-植物発酵エキス230種類-コラーゲン-グリーンスムージー-マンゴー風味/dp/B00NUTXWJO)





登録情報

Amazon.co.jp での取り扱い開始日 2014/9/24

商品の説明
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第5 当審の判断
1 申立理由1(甲1に基づく進歩性欠如)について
(1)甲1に記載された発明
甲1には、「天然550生搾り! 野菜・果実どっさり生きてる酵素☆美ボディ活性ベジエット!」という商品名の、「健康的なダイエット生活をサポート」する「栄養機能食品」が記載されている。
その成分は、「野菜・穀物・海藻・果実・野草等260種もの天然発酵エキス」及び「天然ハーブ120種」を含むものであり、原材料には、「水素吸蔵サンゴ末、…黒五粉末(黒ゴマ、黒米、黒大豆、黒松の実、黒カリン)、野菜混合末(大麦若葉、ケール、ブロッコリー、カボチャ、チンゲン菜、パセリ、その他)、…乳酸菌生産物質(大豆、乳酸菌)、…乳酸菌末(FK-23)、…貝Ca、…V.C、…パントテン酸Ca、…葉酸、V.D」が含まれている。
そうすると、甲1には、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されている。

「野菜・穀物・海藻・果実・野草等260種の天然発酵エキス、及び、天然ハーブ120種を含む、健康的なダイエット生活をサポートする栄養機能食品であって、原材料として、水素吸蔵サンゴ末、黒五粉末(黒ゴマ、黒米、黒大豆、黒松の実、黒カリン)、野菜混合末(大麦若葉、ケール、ブロッコリー、カボチャ、チンゲン菜、パセリ、その他)、乳酸菌生産物質(大豆、乳酸菌)、乳酸菌末(FK-23)、貝Ca、V.C、パントテン酸Ca、葉酸、及び、V.Dを含む、栄養機能食品。」

(2)本件発明1について
ア 対比
甲2(【0035】)には、「Enterococcus faecalis FK-23」と記載されていることから、甲1発明の「乳酸菌末(FK-23)」は、本件発明1の「(B)Enterococcus faecalis」に相当する。
甲3(【請求項6】)の記載によれば、甲1発明の「水素吸蔵サンゴ末」はカルシウムを含むことから、甲1発明の「水素吸蔵サンゴ末」「貝Ca」「パントテン酸Ca」は、いずれも本件発明1の「(C)カルシウム」に相当する。
甲1発明の「大麦若葉」は、本件発明1の「(A)大麦の茎及び/又は葉」に相当する。
甲1発明の「葉酸」「V.C」「V.D」は、本件発明1の「(D)キャベツ発酵エキス、葉酸、ビタミンC及びビタミンDからなる群より選択される少なくとも1種(ただし、葉酸、ビタミンC及びビタミンDは植物に含まれるものを除く)」に相当する。
また、甲1発明の「栄養機能食品」は、黒五粉末として「黒大豆」、乳酸菌生産物質として「大豆」を含むことから、本件発明1から除かれている、「大豆」を含有する「組成物」に相当する。
そうすると、本件発明1と甲1発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。

<一致点>
「以下の(A)〜(D)を含有することを特徴とする組成物。
(A)大麦の茎及び/又は葉
(B)Enterococcus faecalis
(C)カルシウム
(D)キャベツ発酵エキス、葉酸、ビタミンC及びビタミンDからなる群より選択される少なくとも1種(ただし、葉酸、ビタミンC及びビタミンDは植物に含まれるものを除く)」
<相違点1>
本件発明1は、「大豆を含有するものを除く」ことを特定しているのに対し、甲1発明は、大豆を含有するものである点。

イ 判断
甲1発明は、260種の天然発酵エキス、及び、天然ハーブ120種を含ものであって、多数の成分を含むことを特徴としたものであるから、甲1発明から、含まれている成分を除いて成分数を減らすことには、阻害要因があるといえる。
また、甲1発明は、健康的なダイエット生活をサポートする栄養機能食品であって、カルシウム吸収を促進することを目的とするものではないから、甲5に、大豆プラス食と大豆マイナス食とで、カルシウム吸収の割合は影響を受けなかったことが記載されていることを考慮しても、甲1発明から、大麦若葉等の他の成分は残したままで、カルシウム吸収に影響しないという理由から、大豆成分を除く動機付けがあるとはいえない。
したがって、本件発明1は、甲1に記載された発明、及び、甲5に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(3)本件発明2について
ア 対比
上記(2)アの対比を踏まえると、本件発明2と甲1発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。

<一致点>
「以下の(A)〜(D)を含有することを特徴とする組成物。
(A)大麦の茎及び/又は葉
(B)Enterococcus faecalis
(C)カルシウム
(D)キャベツ発酵エキス、葉酸、ビタミンC及びビタミンDからなる群より選択される少なくとも1種」
<相違点2>
本件発明2は、「大豆を含有するものを除く」ことを特定しているのに対し、甲1発明は、大豆を含有するものである点。
<相違点3>
本件発明2は、「カルシウム吸収促進用組成物」であるのに対し、甲1発明は、「健康的なダイエット生活をサポートする栄養機能食品」である点。

イ 判断
相違点2は、相違点1と同じであるから、上記(2)イに説示したものと同様の理由により、甲5の記載を考慮しても、甲1発明において、大豆を含まないものとして、相違点2に係る本件発明2の構成を有するものとすることは、当業者が容易に想到することができたとはいえない。
甲6〜9に、ビタミンD、大麦若葉、乳酸菌、乳酸菌により産生される乳酸等が、カルシウム吸収を促進することが記載ないし示唆されていることを考慮しても、上記判断には影響しない。
したがって、相違点3について検討するまでもなく、本件発明2は、甲1に記載された発明、及び、甲5〜9に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(4)本件発明3について
ア 対比
上記(2)アの対比を踏まえると、本件発明3と甲1発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。

<一致点>
「以下の(A)〜(D)を含有することを特徴とする組成物。
(A)大麦の茎及び/又は葉
(B)Enterococcus faecalis
(C)カルシウム
(D)キャベツ発酵エキス、葉酸、ビタミンC及びビタミンDからなる群より選択される少なくとも1種」
<相違点4>
本件発明3は、「大豆を含有するものを除く」ことを特定しているのに対し、甲1発明は、大豆を含有するものである点。
<相違点5>
本件発明3は、「皮膚バリア機能改善用組成物」であるのに対し、甲1発明は、「健康的なダイエット生活をサポートする栄養機能食品」である点。

イ 判断
相違点4は、相違点1と同じであるから、上記(2)イに説示したものと同様の理由により、甲1発明において、大豆を含まないものとして、相違点4に係る本件発明3の構成を有するものとすることは、当業者が容易に想到することができたとはいえない。なお、甲5の記載を考慮したとしても、当業者が容易に想到することができたとはいえない。
甲6、13〜15、17、19に、ビタミンC、大麦若葉、Enterococcus faecalis及び炭酸カルシウム、ビタミンD等が、皮膚の健康維持や角層の水分量の増加、乾燥肌の防止をすること等が記載ないし示唆されていることを考慮しても、上記判断には影響しない。
したがって、相違点5について検討するまでもなく、本件発明3は、甲1に記載された発明、及び、甲6、13〜15、17、19に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(5)申立人の主張について
ア 申立人は、甲5の記載から、大豆食、コントロール食のいずれもカルシウム吸収に大差ないことが明らかであり、「カルシウム吸収の高められた組成物を提供すること」という本件発明1及び2の課題に対し、組成物中に大豆を含有するか否かが影響を及ぼすとは到底考えられないから、甲1に記載の組成物から大豆を除いたとしても、本件発明1及び2と同様の効果が得られると考えられ、本件発明1及び2は容易に想到できるものである旨を主張する。

しかしながら、甲1発明は、多数の成分を含むことを特徴とした、健康的なダイエット生活をサポートする栄養機能食品であり、「カルシウム吸収の高められた組成物を提供すること」という課題を有するものではない。
そうすると、当業者が、甲1発明を、「カルシウム吸収の高められた組成物を提供すること」という本件発明1及び2の課題と関連付けるとはいえないし、まして、その課題に関連付けた上で、大豆を除くことを容易に想到し得たとはいえない。
したがって、申立人の上記主張は採用できない。

イ 申立人は、甲1発明は、その成分からみて、その組成物中に大豆を含有するか否かにかかわらず「皮膚バリア機能改善」という本件発明3の課題を達成できることは自明であり、組成物中に大豆を含有するか否かが課題達成に影響を及ぼすものではない旨を主張する。

しかしながら、甲1発明は、健康的なダイエット生活をサポートする栄養機能食品であり、「皮膚バリア機能改善」という課題を有するものではないから、甲1発明において、「皮膚バリア機能改善」に必要な成分か否かで、大豆を除くことが動機付けられるとはいえない。
したがって、申立人の上記主張を検討しても、上記(2)〜(4)の判断には影響しない。

(6)小括
以上によれば、本件発明1〜3に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではないから、申立理由1には理由がない。

2 申立理由2(甲4に基づく進歩性欠如)について
(1)甲4に記載された発明
甲4には、植物発酵エキス230種類、EC-12(エンテロコッカスフェカリス菌)、コラーゲンを含み、100〜150cc程度の水や牛乳などで溶いてスムージーとする、バランスのとれた食事のサポートとお腹の満足感を与える組成物が記載され、1杯分約6g当たりの「主要な栄養成分表示」として、エネルギー22.68kcal、たんぱく質0.636g等が記載され、また、原材料・成分として、「大麦若葉末、…粉末状大豆たん白、…フィッシュコラーゲン、植物発酵エキス末(デキストリン、黒糖、大豆、キャベツ、大根、その他)、…ドロマイト(カルシウム、マグネシウム含有)、…乳酸菌末(殺菌)、ビタミンC、…パントテン酸Ca、…葉酸、ビタミンD」などを含むことが記載されている。
そうすると、甲4には、次の発明(以下「甲4発明」という。)が記載されていると認められる。

「植物発酵エキス230種類、EC-12(エンテロコッカスフェカリス菌)及びコラーゲンを含む、スムージー用組成物であって、原材料として、大麦若葉末、粉末状大豆たん白、フィッシュコラーゲン、植物発酵エキス末(デキストリン、黒糖、大豆、キャベツ、大根、その他)、ドロマイト(カルシウム、マグネシウム含有)、乳酸菌末(殺菌)、ビタミンC、パントテン酸Ca、葉酸、ビタミンDを含む、バランスのとれた食事のサポートとお腹の満足感を与える、スムージー用組成物。」

(2)本件発明1について
ア 対比
甲4発明の「大麦若葉末」及び「EC-12(エンテロコッカスフェカリス菌)」は、それぞれ本件発明1の「(A)大麦の茎及び/又は葉」及び「(B)Enterococcus faecalis」に相当する。
甲4発明の「ドロマイト(カルシウム、マグネシウム含有)」と「パントテン酸Ca」とは、カルシウムを含むことから、本件発明1の「(C)カルシウム」に相当する。
甲4発明の「植物発酵エキス末(デキストリン、黒糖、大豆、キャベツ、大根、その他)」は、本件発明1の「(D)キャベツ発酵エキス」に相当する。
甲4発明の「葉酸」、「ビタミンC」及び「ビタミンD」は、本件発明1の「(D)」「葉酸、ビタミンC及びビタミンD」に相当する。
また、甲4発明の「スムージー用組成物」は、「粉末状大豆たん白」、及び、植物発酵エキス末として「大豆」を発酵させたエキス末を含むことから、本件発明1から除かれている、「大豆」を含有するものである。
そうすると、本件発明1と甲4発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。

<一致点>
「以下の(A)〜(D)を含有することを特徴とする組成物。
(A)大麦の茎及び/又は葉
(B)Enterococcus faecalis
(C)カルシウム
(D)キャベツ発酵エキス、葉酸、ビタミンC及びビタミンDからなる群より選択される少なくとも1種(ただし、葉酸、ビタミンC及びビタミンDは植物に含まれるものを除く)」
<相違点1’>
本件発明1は、「大豆を含有するものを除く」ことを特定しているのに対し、甲4発明は、「粉末状大豆たん白」と「大豆」を植物発酵エキス末としたものとして、「大豆」を含有するものである点。

イ 判断
甲4発明は、バランスのとれた食事のサポートとお腹の満足感を与える組成物であって、当該組成物約6g当たりの「主要な栄養成分表示」として「たんぱく質0.636g」であると表示され、そのたんぱく質として、「粉末状大豆たん白」を含んでいる。
甲4発明は、バランスのとれた食事のサポートをする組成物であるから、「主要な栄養成分表示」に記載されたたんぱく質の量を大きく減少させることは想定されていないものといえるから、「粉末状大豆たん白」を除く動機付けがあるとはいえない。
また、甲4発明における「植物発酵エキス末」として、キャベツ等のほかの成分は除くことなく、「大豆」を植物発酵エキス末としたものを除く動機付けがあるとはいえない。
さらに、甲4発明は、バランスのとれた食事のサポートとお腹の満足感を与える、スムージー用組成物であって、カルシウム吸収を促進することを目的とするものではないから、甲5に、大豆プラス食と大豆マイナス食とで、カルシウム吸収の割合は影響を受けなかったことが記載されていることを考慮しても、甲4発明から、大麦若葉末等の他の成分は残したままで、カルシウム吸収に影響しないという理由から、「粉末状大豆たん白」と「大豆」を植物発酵エキス末としたものを除く動機付けがあるとはいえない。
したがって、本件発明1は、甲4に記載された発明、及び、甲5に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(3)本件発明2について
ア 対比
上記(2)アの対比を踏まえると、本件発明2と甲4発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。

<一致点>
「以下の(A)〜(D)を含有することを特徴とする組成物。
(A)大麦の茎及び/又は葉
(B)Enterococcus faecalis
(C)カルシウム
(D)キャベツ発酵エキス、葉酸、ビタミンC及びビタミンDからなる群より選択される少なくとも1種」
<相違点2’>
本件発明2は、「大豆を含有するものを除く」ことを特定しているのに対し、甲4発明は、「粉末状大豆たん白」と「大豆」を植物発酵エキス末としたものとして、「大豆」を含有するものである点。
<相違点3’>
本件発明2は、「カルシウム吸収促進用組成物」であるのに対し、甲4発明は、「バランスのとれた食事のサポートとお腹の満足感を与える、スムージー用組成物」である点。

イ 判断
相違点2’は、相違点1’と同じであるから、上記(2)イに説示したものと同様の理由により、甲5の記載を考慮しても、甲4発明において、大豆を含まないものとして、相違点2’に係る本件発明2の構成を有するものとすることは、当業者が容易に想到することができたとはいえない。
甲6〜9に、ビタミンD、大麦若葉、乳酸菌、乳酸菌により産生される乳酸等が、カルシウム吸収を促進することが記載ないし示唆されていること、及び、甲7、8、10の記載から、乳酸菌によって発酵されたキャベツ発酵エキスも、腸内でのpHを低下させてカルシウム吸収を促進することが示唆され得ることを考慮しても、上記判断には影響しない。
したがって、相違点3’について検討するまでもなく、本件発明2は、甲4に記載された発明、及び、甲5〜10に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(4)本件発明3について
ア 対比
上記(2)アの対比を踏まえると、本件発明3と甲4発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。

<一致点>
「以下の(A)〜(D)を含有することを特徴とする組成物。
(A)大麦の茎及び/又は葉
(B)Enterococcus faecalis
(C)カルシウム
(D)キャベツ発酵エキス、葉酸、ビタミンC及びビタミンDからなる群より選択される少なくとも1種」
<相違点4’>
本件発明3は、「大豆を含有するものを除く」ことを特定しているのに対し、甲4発明は、「粉末状大豆たん白」と「大豆」を植物発酵エキス末としたものとして、「大豆」を含有するものである点。
<相違点5’>
本件発明3は、「皮膚バリア機能改善用組成物」であるのに対し、甲4発明は、「バランスのとれた食事のサポートとお腹の満足感を与える、スムージー用組成物」である点。

イ 判断
相違点4’は、相違点1’と同じであるから、上記(2)イに説示したものと同様の理由により、甲4発明において、大豆を含まないものとして、相違点4’に係る本件発明3の構成を有するものとすることは、当業者が容易に想到することができたとはいえない。なお、甲5の記載を考慮したとしても、当業者が容易に想到することができたとはいえない。
甲6、13、14、16、17、19に、ビタミンC、大麦若葉、Enterococcus faecalis及び炭酸カルシウム、ビタミンD等が、皮膚の健康維持や角層の水分量の増加、乾燥肌の防止をすること等が記載ないし示唆されていること、及び、甲10、18の記載から、乾燥肌の場合化粧ののりが悪いところ、キャベツ発酵エキス末を摂取すると、比較的化粧ののりが改善されることが記載されていること等を考慮しても、上記判断には影響しない。
したがって、相違点5’について検討するまでもなく、本件発明3は、甲4に記載された発明、及び、甲6、10、13、14、16〜19に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(5)小括
以上によれば、本件発明1〜3に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではないから、申立理由2には理由がない。

3 申立理由3(実施可能要件違反)について
(1)本件発明2について
ア 本件発明2は、(A)〜(D)を含有するカルシウム吸収促進用組成物(ただし、大豆を含有するものを除く)であるから、本件発明2について、実施可能要件を満たすというためには、本件特許の出願時の技術常識に照らし、発明の詳細な説明の記載により、(A)〜(D)からなる組成物がカルシウム吸収促進作用を有することを、当業者が理解できることが必要である。

イ 発明の詳細な説明には、カルシウム吸収試験である試験例1として、ヒト大腸癌由来細胞(Caco-2)を、インサートウェル(粘膜側ウェル)に播種し10〜12日間培養してmonolayerを作製し、表1に示された実施例1〜5、比較例1〜6の被験物質(コントロールは通常培地)を、粘膜側ウェルに添加し72時間培養、Bufferで順化後、粘膜側ウェルにサンゴ由来カルシウムを添加し更に3時間培養した後、カルシウム吸収率を計算した結果、(A)、(B)、(D)のいずれかを含まない比較例1〜6よりも、(A)〜(D)の全てを含む実施例1〜5は、カルシウム吸収率が高かったことが記載されている。

ウ 一般に、Caco-2細胞層を用いた物質透過実験法においては、培養後の単層形成の状態をTER測定によってモニターしておくことが必要とされ(甲11、甲12)、試験例1にはTER測定を行ったことは記載されてはいないものの、試験例1におけるCaco-2細胞のmonolayer(単層)を作製した条件は一般的なものであるし、表1に示された実施例1〜5と比較例1〜6とでは、明確なカルシウム吸収率の差が確認されている。
そうすると、試験例1におけるCaco-2細胞層は、カルシウム吸収が促進されているか否かを確認するために必要な程度に、適切な状態のものであると理解するのが相当である。

エ したがって、発明の詳細な説明の記載により、(A)〜(D)からなる組成物がカルシウム吸収促進作用を有することを、当業者が理解できる。

(2)本件発明3について
ア 本件発明3は、(A)〜(D)を含有する皮膚バリア機能改善用組成物(ただし、大豆を含有するものを除く)であるから、本件発明3について、実施可能要件を満たすというためには、本件特許の出願時の技術常識に照らし、発明の詳細な説明の記載により、(A)〜(D)からなる組成物が皮膚バリア機能改善作用を有することを、当業者が理解できることが必要である。

イ 発明の詳細な説明には、皮膚バリア機能改善試験である試験例2として、正常ヒト角化細胞を角化細胞増殖培地にて培養し、表2に示された実施例6〜10、比較例7〜12の被験物質(コントロールは角化細胞増殖培地)を添加した後、更に24時間培養後の細胞中のIVLのmRNA発現率を測定したところ、(A)〜(D)のいずれかを含まない比較例7〜12の被験物質に比べ、(A)〜(D)の全てを含む実施例6〜10の被験物質は、IVLのmRNA発現率が高かったことが記載されている。

ウ 遺伝子によっては、遺伝子発現量がタンパク質レベルを正確に反映していない場合があるとしても(甲20)、角層バリア機能に重要な役割を担うIVL(インボルクリン)のmRNA発現量の増加と、IVLのタンパク質の増加が関連していることは,本件特許の出願時の技術常識であるから(例えば、特開2012−46442号公報:【0003】、実施例の図1,図2参照)、発明の詳細な説明の試験例2の結果に基づいて、(A)〜(D)からなる組成物は、IVLについて、mRNA発現を促進するだけでなくタンパク質産生も促進し、それにより皮膚バリア機能を改善することを当業者が理解できる、

エ したがって、本件特許の出願時の技術常識に照らし、発明の詳細な説明の記載により、(A)〜(D)からなる組成物が皮膚バリア機能改善作用を有することを、当業者が理解できる。

(3)申立人の主張について
ア 申立人は、本件明細書には、電気抵抗値に関する記述はなく、適切な状態に培養されたCaco-2細胞が使用されたのか、及び、適切な状態においてカルシウム吸収促進作用が評価されたのかが不明である旨を主張する。

しかしながら、上記(1)に説示したように、試験例1において電気抵抗値を測定(TER測定)したことが記載されていなくても、試験例1の実施条件及び比較例と実施例のカルシウム吸収率の測定結果からみて、適切な状態に培養されたCaco-2細胞を使用し、適切な状態においてカルシウム吸収促進作用を評価したものと理解できる。
したがって、申立人の上記主張は採用できない。

イ 申立人は、遺伝子発現量がタンパク質レベルを正確に反映しているとはいいがたいから(甲20)、実施例において、IVL遺伝子発現量が増加する結果が得られたとしても、IVLタンパク質量が増加したか不明であり、また、in vivoにおいて皮膚バリア機能が向上する作用を有するかについても不明である旨を主張する。

しかしながら、遺伝子発現量とタンパク質レベルとが正比例しているとまではいえないにしても、上記(2)に説示したように、実施例において、IVL遺伝子発現量が増加したことは、IVLタンパク質量が増加し、それにより皮膚バリア機能を改善することを示すものと理解できる。
したがって、申立人の上記主張は採用できない。

第6 むすび
以上のとおりであるから、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、請求項1〜3に係る特許を取り消すことはできない。
ほかに、請求項1〜3に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2022-02-28 
出願番号 P2016-088639
審決分類 P 1 651・ 536- Y (A61K)
P 1 651・ 121- Y (A61K)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 原田 隆興
特許庁審判官 藤原 浩子
鳥居 福代
登録日 2021-04-22 
登録番号 6872699
権利者 株式会社東洋新薬
発明の名称 カルシウム吸収促進用組成物  
代理人 ▲高▼津 一也  
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