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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  H01Q
管理番号 1384219
総通号数
発行国 JP 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2022-05-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2021-10-06 
確定日 2022-02-07 
異議申立件数
事件の表示 特許第6855258号発明「複合アンテナ装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6855258号の請求項1ないし13に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6855258号の請求項1〜13に係る特許についての出願は、平成29年1月24日に出願され、令和3年3月19日にその特許権の設定登録がされ、令和3年4月7日に特許掲載公報が発行された。その後、その特許に対し、令和3年10月6日に特許異議申立人 森 泰比古(以下、「異議申立人」という。)は、特許異議の申立てを行った。


第2 本件発明
特許第6855258号の請求項1〜13の特許に係る発明(以下、それぞれ、「本件発明1」〜「本件発明13」という。)は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1〜13に記載された事項により特定される次のとおりのものである。

「【請求項1】
車両用の複数の周波数帯の信号を受信可能な複合アンテナ装置であって、該複合アンテナ装置は、
車両に固定されるベースプレートと、
前記ベースプレート上に載置される第1周波数帯の信号を受信可能なパッチアンテナからなる第1アンテナと、
第1周波数帯よりも低い第2周波数帯の信号を受信可能な容量アンテナである第2アンテナであって、第1アンテナの上を覆うように配置され第1アンテナの導波器としても機能する導電性面状体を少なくとも1つ有するトップロード部を有する、第2アンテナと、
を具備することを特徴とする複合アンテナ装置。
【請求項2】
請求項1に記載の複合アンテナ装置において、前記第2アンテナは、トップロード部が略正方形状の導電性面状体を少なくとも1つ有することを特徴とする複合アンテナ装置。
【請求項3】
請求項2に記載の複合アンテナ装置において、前記第2アンテナは、トップロード部を電気的に複数の略正方形状の導電性面状体に分けるスタブを少なくとも1つ有することを特徴とする複合アンテナ装置。
【請求項4】
請求項3に記載の複合アンテナ装置において、前記スタブは、第1アンテナに応じて、
その配置される位置が調整可能であることを特徴とする複合アンテナ装置。
【請求項5】
請求項3又は請求項4に記載の複合アンテナ装置において、前記スタブは、電流の向きが互いに相殺される向きに流れるように互い違いにトップロード部に設けられる複数のスリットからなる折り返しパターンにより形成されることを特徴とする複合アンテナ装置。
【請求項6】
請求項5に記載の複合アンテナ装置において、前記スタブは、そのスリットの長さ及び/又はスリットの配置位置によって第1アンテナ及び第2アンテナのアンテナ特性が調整可能であることを特徴とする複合アンテナ装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6の何れかに記載の複合アンテナ装置において、前記導電性面状体は、第1アンテナのパッチアンテナの大きさに応じて設計されることを特徴とする複合アンテナ装置。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7の何れかに記載の複合アンテナ装置において、前記トップロード部は、平面形状からなることを特徴とする複合アンテナ装置。
【請求項9】
請求項8に記載の複合アンテナ装置において、前記トップロード部は、ベースプレートに対して平行に延在する面状平行部と、ベースプレートに対して斜めに延在する面状傾斜部とを有することを特徴とする複合アンテナ装置。
【請求項10】
請求項1乃至請求項7の何れかに記載の複合アンテナ装置において、前記トップロード部は、長手方向に延在する頂部と頂部から両側に延在する側面部とを有する流線形状からなることを特徴とする複合アンテナ装置。
【請求項11】
請求項1乃至請求項10の何れかに記載の複合アンテナ装置において、前記第2アンテナは、さらに、トップロード部に一端が接続されるコイルを有し、トップロード部がAMアンテナとして機能すると共に、トップロード部及びコイルがFMアンテナとして機能するように構成されることを特徴とする複合アンテナ装置。
【請求項12】
請求項11に記載の複合アンテナ装置であって、さらに、アンプ基板を具備し、
前記コイルのトップロード部に接続される一端の反対側の他端がアンプ基板に接続される、
ことを特徴とする複合アンテナ装置。
【請求項13】
請求項1乃至請求項12の何れかに記載の複合アンテナ装置において、前記第1アンテナは、積層型パッチアンテナからなることを特徴とする複合アンテナ装置。」


第3 申立理由の概要
異議申立人は、以下の甲第1号証〜甲第4号証(以下、それぞれ「甲1」〜「甲4」ともいう。)を証拠として提出し、

1.本件発明1は、甲1に記載された発明及び甲2に記載された発明、あるいは甲1に記載された発明及び甲3に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。

2.本件発明1は、甲2に記載された発明に基いて、あるいは、甲2に記載された発明及び甲1に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。

3.本件発明1は、甲3に記載された発明及び甲1に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。

4.本件発明2〜12は、甲1〜3に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。

5.本件発明13は、甲1〜3に記載された発明及び甲4に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。

と主張している。

証拠方法
甲第1号証 特開2011−216939号公報
甲第2号証 特開2010−021856号公報
甲第3号証 特開2012−034226号公報
甲第4号証 特開2003−258540号公報


第4 各甲号証の記載の事項及び発明
1.甲第1号証の記載事項及び甲1発明
(1)甲第1号証には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は、当審にて付与。)。

「【0001】
本発明は、パッチアンテナと、当該パッチアンテナを有するアンテナユニットと、当該アンテナユニットを有するアンテナ装置と、に関する。」

「【0004】
パッチアンテナは、アンテナ電極と、接地導体と、アンテナ電極及び接地導体の間に設けられたセラミック製のアンテナの基板部と、アンテナ電極に電気的に接続された給電ピンと、を備える。このアンテナ電極部の上に、矩形の穴部を有する天板を導波路として設けたパッチアンテナが知られている(例えば、特許文献1参照)。矩形の穴部を有する天板を設けることで、パッチアンテナの高仰角における指向性利得を大きくすることができる。」

「【0006】
しかし、従来の導波器を有するパッチアンテナにおいて、同一の仰角における全方位角の指向性利得をより均等にする要請があった。」

「【0014】
図1を参照して、本実施の形態のパッチアンテナ11を含むアンテナ装置1について説明する。図1に、アンテナ装置1の分解構成を示す。図1に示すアンテナ装置1は、衛星デジタルラジオ受信機用のアンテナ装置であって、自動車等の移動体の屋根に設置されて使用される。
【0015】
図示のアンテナ装置1は、アンテナユニット12と、このアンテナユニット12を覆うためのアンテナケースと、から構成される。このアンテナケースは、ドーム状のトップカバー(図示略)とボトムプレート14と、から構成される。アンテナユニット12は、トップカバー内に収納される。
【0016】
アンテナユニット12は、パッチアンテナ11と、回路基板22と、シールドケース24と、を有する。パッチアンテナ11は、衛星波を受信して受信信号を出力する。回路基板22には、パッチアンテナ11から出力された受信信号に対して信号増幅などの各種信号処理を施す回路(以下、信号処理回路という)が形成されている。パッチアンテナ11と回路基板22とは、図示しない両面テープなどによって接合される。
【0017】
回路基板22には、受信信号をアンテナケースの外部に取り出すためのケーブル(図示略)が接続される。また、回路基板22には、パッチアンテナ11が配置された側とは反対側の主面に、上記信号処理回路をシールドするためのシールドケース24が取り付けられている。
【0018】
シールドケース24は、回路基板22に接続されているケーブルを通すための開口24aを持つ。シールドケース24は、その両側側面から外側へ延びる一対の耳241を有する。これら耳241には、螺子26を貫通するための貫通穴24bが空けられている。
【0019】
アンテナ装置1は、アンテナユニット12とボトムプレート14との間に配置されたユニット固定部材30を備えている。このユニット固定部材30は、後述するように、当該アンテナ装置1を移動体(車体)の屋根に仮固定し、かつアンテナユニット12をボトムプレート14上に固定するためのものである。すなわち、アンテナユニット12の真下にユニット固定部材30が配置されている。
【0020】
一方、ボトムプレート14は、このユニット固定部材30を収容するための凹部141を持つ。ボトムプレート14は、3本の螺子26が螺合される螺子穴142aが切られた3つのボス142を有する。これら3つのボス142の内の2つは、シールドケース24の一対の耳241と対応する位置に設けられている。」

「【0023】
以下、図1を参照して、このような構成のアンテナ装置1を移動体(車体)に固定する方法について説明する。
【0024】
先ず、ユニット固定部材30の一対のツメ32をボトムプレート14の2つの穴141bに通す。このとき、ボトムプレート14の3つのボス142は、ユニット固定部材30のボス受け部31に挿入された状態で受けられる。
【0025】
次に、3本の螺子26を、シールドケース24の2つの貫通穴24bおよびユニット固定部材30の3つの連通穴31aを介して、ボス142の螺子穴142aに螺子止めする。これにより、アンテナユニット12は、ユニット固定部材30を介してボトムプレート14上に固定される。
【0026】
次に、ボトムプレート14の下面から下方へ延在する円筒状のボルト50を移動体(車体)の屋根(図示略)に空けられた開口(図示略)に通す。これにより、アンテナ装置1は、移動体(車体)の屋根上に仮固定される。
【0027】
そして、ナット(図示略)をボルト50に螺合することによって、アンテナ装置1は、移動体(車体)の屋根上に本固定される。」

「【0029】
パッチアンテナ11は、導波器60と、パッチアンテナ本体部40と、を備える。パッチアンテナ本体部40は、接地導体41と、基板部42と、アンテナ電極43と、給電ピン44と、を備える。接地導体41は、基板部42の底面に形成された金属導体部である。基板部42は、セラミック製の誘電体の基板である。基板部42は、磁性体又は磁性誘電体としてもよい。基板部42は、例えば、平面がR形の直方体の形状を有する。アンテナ電極43は、基板部42の天面に形成され、接地されている金属導体部である。接地導体41及びアンテナ電極43は、例えば、基板部42の底面及び天面へのスクリーン印刷により形成される。」

「【0031】
導波器60は、パッチアンテナ本体部40の天面に装着されている。導波器60は、離間部61と、天板62と、を有する。離間部61は、発泡性のクッション部材等により構成されている。離間部61は、例えば、ポリウレタン発砲体から構成されるが、できるだけ誘電率が低い材料で構成されるものが望ましい。離間部61は、アンテナ電極43の天面に貼り付けられており、アンテナ電極43と天板62とを所定の距離で離間する。
【0032】
天板62は、離間部61の天面に装着されている角形で矩形の平板である。天板62は、アルミや銅や鉄等の金属板である。天板62は、金属テープで構成してもよい。天板62は、L字の帯形状のスリットであるL字スリット621を有する。
【0033】
次に、図2を参照して、天板62の寸法及び配置の一例を説明する。図2に、天板62の寸法及び配置を示す。
【0034】
図2示すように、X軸及びY軸をとるものとする。天板62は、天面が正方形のパッチアンテナ本体部40の上に、離間部61を介して配置されている。天板62のL字スリット621は、天板62の平面において、給電ピン44と対角方向の位置に配置されることが好ましい。
【0035】
天板62のY軸方向の長さをL1とし、同じくX軸方向の長さをL2とする。L字スリット621の長手方向の帯部の長さをL3とし、同じく短手方向の帯部の長さをL4とする。また、L字スリット621の長手方向の帯部の幅をL5とし、同じく短手方向の帯部の幅をL6とする。また、天板62の左端からL字スリット621までのY軸方向の長さをL7とし、天板62の上端からL字スリット621までのX軸方向の長さをL8とする。また、パッチアンテナ本体部40(基板部42)の平面の一辺の長さをL0とする。
【0036】
長さL1、L2について、L1、L2>L0とする。天板62は、平面において、パッチアンテナ本体部40を隠す大きさ及び配置にされているものとする。また、長さL3、L4について、L3、L4<L0とする。L字スリット621は、平面において、パッチアンテナ本体部40の内側に配置されていることが好ましい。また、長さL3、L4について、L3>L4とするのが好ましいが、L3=L4としてもよい。
【0037】
天板62の天板の寸法及び配置の一例を示す。パッチアンテナ本体部40(基板部42)について、L0=23[mm]とする。また、天板62について、L1=L2=31[mm]とする。L3=20[mm]、L4=12[mm]とする。L5=L6=3[mm]とする。また、L7=L8=7[mm]とする。また、アンテナ電極43と天板62との間の距離(離間部61の厚さ)を、2[mm]とする。」


「【図1】




(2)甲1発明
上記記載より、甲第1号証には、次の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。

「自動車の屋根に設置されて使用される衛星デジタルラジオ受信機用のアンテナ装置であって(【0014】)、
アンテナ装置1は、アンテナユニット12と、アンテナケースと、から構成され、アンテナケースは、トップカバーとボトムプレート14と、から構成され(【0015】)、
アンテナユニット12は、パッチアンテナ11と、回路基板22と、シールドケース24と、を有し、パッチアンテナ11は、衛星波を受信して受信信号を出力するものであり(【0016】)、
アンテナ装置1は、アンテナユニット12とボトムプレート14との間に配置されたユニット固定部材30を備え、ユニット固定部材30は、アンテナユニット12をボトムプレート14上に固定するためのものであり(【0019】)、
ボトムプレート14の下面から下方へ延在する円筒状のボルト50を車体の屋根に空けられた開口に通し(【0026】)、ナットをボルト50に螺合することによって、アンテナ装置1は、車体の屋根上に本固定され(【0027】)、
パッチアンテナ11は、導波器60と、パッチアンテナ本体部40と、を備え、パッチアンテナ本体部40は、接地導体41と、基板部42と、アンテナ電極43と、給電ピン44と、を備え(【0029】)、
導波器60は、パッチアンテナ本体部40の天面に装着され、離間部61と、天板62と、を有する(【0031】)、
アンテナ装置。」


2.甲第2号証の記載事項及び甲2発明
(1)甲第2号証には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は、当審にて付与。)。

「【0009】
本発明の実施例にかかるアンテナ装置1は、樹脂製のアンテナケース10と、このアンテナケース10の下部が嵌着されている金属製のアンテナベース20と、アンテナベース20に垂直に取り付けられているアンテナ基板30および平行に取り付けられているアンプ基板34と、頂部と、該頂部の両側から斜面とされた側部形成されて断面形状が山形に形成され、アンテナ基板30を跨ぐように上に配置されているトップ部31と、アンテナベース20上に取り付けられているGPSアンテナ32とを備えている。アンテナケース10は電波透過性の合成樹脂製とされており、先端に行くほど細くなる流線型の外形形状とされている。アンテナケース10内には、立設されたアンテナ基板30およびアンテナ基板30の上部に配置されたトップ部31を収納できる空間と、アンプ基板34を横方向に収納する空間が形成されている。アンテナケース10の下面には金属製のアンテナベース20が嵌着されている。そして、アンテナベース20にアンテナ基板30が立設して固着され、アンテナ基板30の前方にアンプ基板34がアンテナベース20にほぼ平行に固着されている。アンテナ基板30の上部には後述するように、アンテナパターンが形成されている。また、アンテナケース10内の上部にトップ部31が内蔵されている。そして、アンテナケース10をアンテナベース20に嵌着することにより、アンテナケース10に内蔵されたトップ部31がアンテナ基板30の上部を跨ぐように配置され、アンテナ基板30の上部に取り付けられた接続金具36がトップ部31の内面に電気的に接触するようになる。接続金具36は、アンテナ基板30に形成されているアンテナパターンに電気的に接続されていることから、接続金具36を介してトップ部31とアンテナパターンとが接続されるようになる。これにより、アンテナパターンとトップ部31とによりアンテナエレメントが構成され、アンテナケース10内の空間にアンテナ基板30とトップ部31とアンプ基板34とが収納されるようになる。
【0010】
アンテナ基板30上には、アンテナパターンとトップ部31とにより構成されるアンテナエレメントをFM波帯付近で共振させるためのコイル35が設けられている。コイル35の一端はアンテナパターンに接続され、コイル35の他端はアンテナ基板30上に形成されているパターンの一端に接続され、このパターンの他端には接続線33の一端が接続される。接続線33の他端はアンプ基板34に設けられているAM/FMアンプの入力部に接続され、アンテナパターンとトップ部31とにより構成されるアンテナエレメントにより受信されたAM/FM受信信号がAM/FMアンプに入力されて増幅されるようになる。また、アンテナベース20の下面からは、アンテナ装置1を車両に取り付けるためのボルト部21が突出するよう形成されている。また、アンテナ装置1から受信信号を車両内に導くためのケーブル22がアンテナベース20の下面から導出されている。このケーブル22はアンプ基板34から導出されており、アンプ基板34に設けられているAM/FMアンプにより増幅されたAM受信信号およびFM受信信号を導くケーブルが含まれており、カラー45により束ねられている。この場合、ボルト部21およびケーブル22が挿通される穴が車両のルーフに形成され、これらの穴にボルト部21およびケーブル22が挿通されるようルーフ上にアンテナ装置1を載置する。そして、車両内に突出したボルト部21にナットを締着することによりアンテナ装置1を車両のルーフに固着することができる。また、アンテナケース10内に収納されているアンプ基板34への電源は、車両内からケーブル22によりアンプ基板34に供給される。」

「【0015】
図15ないし図18にトップ部31の構成を示す。ただし、図15はトップ部31の構成を示す平面図であり、図16はトップ部31の構成を示す正面図であり、図17はトップ部31の構成を示す下面図であり、図18はトップ部31の構成を示す右側面図である。
これらの図に示すトップ部31は、金属板を加工して形成されており、前方に向かって緩やかに降下する曲面とされた頂部を有し、頂部から両側に傾斜した第1側部31aと第2側部31bが形成されている。第1側部31aと第2側部31bの斜面は急傾斜の斜面とされている。第1側部31aと第2側部31bには3つずつスリット31fが形成されて、それぞれの側部31a、31bは4つの片からなっている。この片の内のほぼ中央よりの一対の片が接触片31cとされている。接触片31cは、中途からほぼ垂直なるよう折曲されて形成されている。また、トップ部31の頂部には平坦部31eが2カ所形成されて、平坦部31eにそれぞれネジ孔31dが形成されている。このネジ孔31dにそれぞれネジ40が挿通されて、アンテナケース10の頂部の内側に螺着されることにより、トップ部31がアンテナケース10に内蔵されるようになる。
【0016】
トップ部31の長さをL20、後端の幅をw20、前端の幅をw21、高さをh20とした際に、例えば長さL20は約106mm、後端の幅w20は約28mm、前端の幅w21は約19mm、高さh20は約28mmとされる。また、トップ部31の頂部の細い幅w22は約4mmとされる。トップ部31の第1側部31aと第2側部31bの斜面を急傾斜の斜面とするのは、アンテナケース10の内側の断面形状にあわせるためでもあるが、主に、トップ部31とアンテナベース20との対面する面積を低減させて、トップ部31とアンテナベース20間の浮遊容量を減少させるためである。この浮遊容量は、アンテナ容量の内の無効容量となってアンテナのゲインを低減させる要因となる。また、トップ部31の後部は斜めに切り取られてアンテナベース20との対向面積を極力低減させている。
【0017】
図19(a)(b)にコイル35の構成を示す。コイル35は、トップ部31とアンテナ基板30に形成されたアンテナパターンからなる小さなアンテナ容量のアンテナエレメントをFM波帯付近で共振させるためのものである。図19(a)はコイル35の構成を示す正面図、図19(b)はコイル35の構成を示す側面図である。これらの図に示すコイル35は、コイルが巻回された円筒状のコイル本体35aと、コイル本体35aから引き出された2本の引出線35bを有している。コイル35は、FM波帯付近で共振させるためにアンテナエレメントに直列に接続される。前述したように、アンテナ装置1のアンテナエレメントは、トップ部31とアンテナ基板30に形成されているアンテナパターンとにより構成されるが、このアンテナエレメントのアンテナ容量は約4.7pF程度であることから、0.5μH〜3μH程度のコイル35を直列に挿入することにより、アンテナエレメントをFM波帯付近で共振できるようにしている。これにより、トップ部31とアンテナパターンからなるアンテナエレメントは、コイル35の作用によりFM波帯において良好に動作するようになる。なお、このFM波帯で共振するアンテナエレメントをAM波帯では電圧受信素子として利用することにより、AM波帯を受信するようにしている。」

「【0036】
次に、本発明のアンテナ装置1においてトップ部31とアンテナベース20との高さHを変化させた際の平均利得およびS/N比の基礎実験データを得る基礎実験について説明する。トップ部31のアンテナベース20からの高さHを変化させる基礎実験におけるアンテナ装置1の態様を図51ないし図55に示し、その際に得られた基礎実験データを図56ないし図62に示す。
図51は基礎実験に用いたアンテナ装置1の構成を示す右側面図であり、図52は基礎実験に用いたアンテナ装置1の構成を示す正面図であり、図53は基礎実験に用いたアンテナ装置1の構成を示す平面図である。これらの図に示すように、アンテナ装置1におけるトップ部31−2の形状は実施例のトップ部31と若干異なっており、前述したトップ部を後方へ移動させる基礎実験に用いたトップ部31−1の両側部の寸法を大きくした形状とされている。下方へ向かって急傾斜の斜面とされているトップ部31−2の両側部は、水平方向に約50mmとされ斜面における下方への寸法が約60mmとされている。このトップ部高さの基礎実験では、図51ないし図53に示すようにトップ部31−2のアンテナベース20からの高さHをH1、H2、H3、H4と高くしており、ここでは、高さH1、H2、H3、H4をそれぞれ約5mm、約10mm、約20mm、約30mmとしている。なお、図54はトップ部31−2の高さHを約30mm(H4)とした際の構成を示す正面図であり、図55はトップ部31−2の高さHを約30mm(H4)とした際の構成を示す右側面図とされている。」

「【図4】


【図5】


【図6】


【図7】


【図51】


【図54】



図5、図6より、アンテナエレメントのトップ部31は、GPSアンテナの上を覆うように配置されていることが見て取れる。


(2)甲2発明
上記記載より、甲第2号証には、次の発明(以下「甲2発明」という。)が記載されていると認められる。

「アンテナ装置1は、アンテナベース20と、アンテナベース20に垂直に取り付けられているアンテナ基板30と、アンテナ基板30を跨ぐように上に配置されているトップ部31と、アンテナベース20上に取り付けられているGPSアンテナ32とを備え(【0009】)、
アンテナ基板30の上部にはアンテナパターンが形成され(【0009】)、
アンテナパターンとトップ部31とにより構成されるアンテナエレメントをFM波帯付近で共振させるためのコイル35が設けられ(【0010】)、
コイル35は、トップ部31とアンテナ基板30に形成されたアンテナパターンからなる小さなアンテナ容量のアンテナエレメントをFM波帯付近で共振させるためのものであり(【0017】)、
アンテナエレメントをAM波帯では電圧受信素子として利用することにより、AM波帯を受信し(【0017】)、
アンテナパターンとトップ部31とにより構成されるアンテナエレメントにより受信されたAM/FM受信信号がAM/FMアンプに入力されて増幅されるものであり(【0010】)、
トップ部31は、金属板を加工して形成されており、前方に向かって緩やかに降下する曲面とされた頂部を有し、頂部から両側に傾斜した第1側部31aと第2側部31bが形成され、GPSアンテナ32の上を覆うように配置され(【0015】、図5、6)、
ルーフ上にアンテナ装置1を載置し、車両内に突出したボルト部21にナットを締着することによりアンテナ装置1を車両のルーフに固着する(【0010】)、
アンテナ装置1。」


3.甲第3号証の記載事項及び甲3発明
(1)甲第3号証には、図面とともに、次の事項が記載されている(下線は、当審にて付与。)。
「【0002】
車両に搭載されるアンテナ装置にあっては、FM放送や衛星デジタル放送または/およびGPS信号を受信するためのアンテナがそれぞれに必要であるが、これらのアンテナを別々に配設したのでは美観が損なわれることから、1つのアンテナ装置の筐体内に複数のアンテナが組み込まれている。また、アンテナ装置としては、小型で低い姿勢のアンテナ装置が望ましい。そこで、FMアンテナとして、ロッドアンテナに代えて天頂容量型モノポールアンテナの利用が考えられる。この天頂容量型モノポールアンテナを利用した例が、特開2010−21856号公報(特許文献1)および特開2009−135741号公報(特許文献2)に示されるている。しかも、特許文献1に示されたアンテナ装置にあっては、FMアンテナとGPS信号を受信するための平面アンテナが組み込まれている。また、特許文献2に示されたアンテナ装置にあっては、FMアンテナと衛星デジタル放送を受信するための平面アンテナが組み込まれている。」

「【0013】
図1に示す本発明のアンテナ装置の第1実施例にあっては、アンテナベース板20に、コイルエレメント22が軸方向を垂直にして立設され、その先端に容量板24としてのミアンダ状エレメントの先端が電気的接続されて配設されている。このコイルエレメント22のインダクタンス成分と容量板24のキャパシタンス成分により天頂容量型モノポールアンテナが構成され、FMアンテナとして使用される。容量板24は、一平面状にあり、アンテナベース板20の上方に高さHだけ離れた位置にアンテナベース板20の平面にほぼ並行に沿うように配設され、幅W方向の縁で交互にコ字状に折り返してライン間隔Dで長さLの方向に伸びるミアンダ状に設定される。この容量板24の下方でアンテナベース板20の上に、平面アンテナとしてGPS信号を受信するためのGPSパッチアンテナ12が配設されている。GPSパッチアンテナ12は、基板12aの上面全体に設けられた地板12bを備えている。さらに、アンテナベース板20の上で容量板24に覆われない部分に、携帯電話受信用アンテナ28が配設されている。なお、FMアンテナを、AM放送受信用アンテナとしても使用している。もって、第1実施例のアンテナ装置には、FM放送、AM放送、携帯電話、GPS信号を受信するための複数のアンテナが組み込まれている。」

「【0016】
図2に示す測定モデルによる測定から、容量板24の幅Wが、下方に配設される平面アンテナの受信周波数の1/4波長以下であれば、幅方向の偏波成分に対して利得を低下させるような影響を与えることがない。また、容量板24が、幅方向の縁で折り返して長さ方向に伸びるミアンダ状に設定することで、平面アンテナの受信波における容量板24の長さ方向の偏波成分が、幅方向に略平行に配設されたラインに対して直交することとなり影響を受けづらい。しかも、幅方向の縁で折り返す部分のラインの長さは比較的短くて影響を受けづらい。もって、上方に配設された容量板24により平面アンテナの利得は影響を受けることがない。
【0017】
上述のごとく、容量板24をミアンダ状とすることで、その下方に配設される平面アンテナは利得が低下することがない。そこでさらに、容量板24をミアンダ状にしたことによってFMアンテナとしての特性への影響を測定した。図7に示すFMアンテナとしての利得を測定するための測定モデルは、コイルエレメント22の先端に容量板24が配設されてFMアンテナとしての天頂容量型モノポールアンテナが構成されている。この測定モデルにおいて、容量板24の幅Wは40mmであり、長さLは100mmであり、ミアンダ状のライン間隔Dを1、5、20、50mmと変化させて測定した。また、容量板を幅Wが40mmで長さLが100mmの1枚の板状としたものも同様に測定した。その結果、図8に示す表のごとく、ミアンダ状のライン間隔Dを変化させてもそれぞれの周波数において利得はほぼ同じであった。しかも、容量板を1枚の板状としたものと、容量板24をミアンダ状としたものと比較しても、それぞれの周波数において利得はほぼ同じであった。これらの測定結果から、容量板24はミアンダ状としてライン間隔Dを変更してもFM放送を受信する利得に大幅な変化はなく、1枚の板状のものと同じように作用している。もって、容量板24は、ミアンダ状を引き延ばした状態のポールアンテナとしては、全く作用してないものと思われる。」

「【0021】
なお、アンテナ装置にあっては、実用的に使用できるだけの利得が得られれば良く、必ずしも技術的に最善の構造が採用される必要はない。そこで、第2実施例の容量板24のごとく、幅Wが平面アンテナの受信周波数の1/4波長以上であっても、要望される実用感度が得られていれば何ら問題とならない。また、容量板24の幅Wの変化による平面アンテナの利得の変化は、幅Wが1/4波長を越えたところで急激に変化するものでなく緩やかな変化となる。そこで、特許請求の範囲には、1/4波長以下との語句を使用しているが、技術的には実用感度が得られる範囲である程度の幅を有することは容易に理解されるであろう。また、容量板24のミアンダの形状にあっても、幅方向の縁でコ字状に折り返すように折り曲げられた形状に限られず、U字状若しくはV字状に折り返す形状のものであっても良い。容量板24の長さLおよび高さHは、アンテナ装置の全体の外形寸法から自ずと制約されることは当然である。」

「【図1】



(2)甲3発明
上記記載より、甲第3号証には、次の発明(以下「甲3発明」という。)が記載されていると認められる。

「車両に搭載されるアンテナ装置であって(【0002】)、
アンテナベース板20に、コイルエレメント22が軸方向を垂直にして立設され、その先端に容量板24としてのミアンダ状エレメントの先端が電気的接続されて配設され、このコイルエレメント22のインダクタンス成分と容量板24のキャパシタンス成分により天頂容量型モノポールアンテナが構成され、FMアンテナとして使用され(【0013】)、
容量板24は、1枚の板状のものと同じように作用するものであり(【0017】)、
容量板24の下方でアンテナベース板20の上に、平面アンテナとしてGPS信号を受信するためのGPSパッチアンテナ12が配設され(【0013】)、
容量板24をミアンダ状とすることで、その下方に配設される平面アンテナは利得が低下することがない(【0017】)、
アンテナ装置。」


4.甲第4号証の記載事項
(1)甲第4号証には、次の事項が記載されている(下線は、当審にて付与。)。

「【0009】本出願人が保有する特許文献1は、周波数帯域分離を改良した積層パッチアンテナ組立体を開示する。特に、特許文献1は、2個のパッチアンテナが個別導体によりフィードされる、代表的な積層パッチアンテナ組立体を開示する。上側パッチアンテナ用の同軸フィードは、下側パッチアンテナの無効点(null point)点と同じ位置の下側パッチアンテナの開口を貫通する。内部導体は、最上端のパッチアンテナの放射パッチの無効点に電気的に結合する。上側パッチアンテナ用の同軸フィードケーブルの外部導体は、好適には接地平面及び下側パッチアンテナの双方に電気的に接続される。同軸フィードの外部導体は、接地平面での接地基準へのインダクタンスを上側アンテナの放射パッチに提供する。下側パッチアンテナは、その放射パッチの固有フィード点に結合された別の同軸導体によってフィードされる。」

「【0021】接地平面101は積層パッチアンテナ組立体の一体部品を形成することができる。しかし、接地平面101は一般的に、アンテナ組立体が実装される自動車又は他のデバイスの導電部で形成される。各アンテナは、誘電体パネル109b上に上側放射金属化部(上側放射パッチ)109aを有する。放射パッチは所望の任意形状であってもよいが、平坦で矩形又は円形の金属マイクロストリップすなわちパッチの形態であるのが代表的である。別の導電層すなわち接地パッチは誘電体パネルの底面に設けることができる。しかし、本発明の積層設計において、各パッチアンテナ103、105、107、109は別のパッチアンテナ(最下端パッチアンテナの場合は接地平面101)の上面に直接着座するので、底面の金属化を無くすことができる。というのは、各放射パッチ105a、107a、109aはパッチアンテナ103、105、107用の接地平面として作用できるので、各アンテナ底面の金属化の必要がないからである。」

「【0022】パッチアンテナが共振する周波数は、放射パッチ103a.105a、107a、109aの寸法に強く影響される。一般的には、金属化部が小さいほど、パッチが共振する周波数は高くなる。上記したように、各パッチアンテナはその上のパッチアンテナの接地平面として作用する。このため、パッチアンテナはその上のパッチアンテナより大きな放射パッチを有するように配置されるので、隣のより高いパッチアンテナ用の接地平面としてより効果的に作用することができる。従って、最高周波数帯域すなわち2400MHzの携帯電話帯域を有するパッチアンテナは頂上に位置すべきであり、1900MHzの携帯電話帯域アンテナはその下に位置すべきであり、底部の1575MHzのGPS帯域アンテナ及び1227MHzのGPS帯域アンテナがそれに続く。実際の接地平面101は最下端のパッチアンテナ103用の接地平面として作用する。」

(2)甲4記載事項
上記記載より、甲第4号証には、「自動車に実装される積層パッチアンテナ組立体」が記載されている。


第5 当審の判断
1.本件発明1について
(1)甲1発明に基づく本件発明の進歩性について

A 対比・判断
本件発明1と甲1発明とを対比する。
甲1発明は、「ボトムプレート14の下面から下方へ延在する円筒状のボルト50を車体の屋根に空けられた開口に通し、ナットをボルト50に螺合する」から、「ボトムプレート14」は車両に固定されるものであり、本件発明1の「ベースプレート」に対応する。

甲1発明において、「衛星デジタルラジオ」の「衛星波」は、「第1周波数帯の信号」といえ、甲1発明の「アンテナユニット12」は、ボトムプレート14上に固定されるものであり、「パッチアンテナ本体部40」は、アンテナユニット12が備えるものであるから、「パッチアンテナ本体部40」は、ボトムプレート14上に載置されているといえる。
そうすると、甲1発明のアンテナ電極43を備える「パッチアンテナ本体部40」は、本件発明1の「前記ベースプレート上に載置される第1周波数帯の信号を受信可能なパッチアンテナからなる第1アンテナ」に相当する。

甲1発明の、離間部61と、天板62と、を有する導波器60は、パッチアンテナ本体部40の天面に装着されるものであるから、本件発明1の「第1周波数帯よりも低い第2周波数帯の信号を受信可能な容量アンテナである第2アンテナであって、第1アンテナの上を覆うように配置され第1アンテナの導波器としても機能する導電性面状体を少なくとも1つ有するトップロード部を有する、第2アンテナ」の「トップロード部」が有する「導電性面状体」と甲1発明の「導波器60」とは、「第1アンテナの上を覆うように配置され第1アンテナの導波器として機能する部材」である点で共通する。


以上より、本件発明1と甲1発明とは、
「車両用の信号を受信可能なアンテナ装置であって、該アンテナ装置は、
車両に固定されるベースプレートと、
前記ベースプレート上に載置される第1周波数帯の信号を受信可能なパッチアンテナからなる第1アンテナと、
第1アンテナの上を覆うように配置され第1アンテナの導波器として機能する部材と、
を具備することを特徴とするアンテナ装置。」

で一致し、次の点で相違する。

相違点1−1:
本件発明1は、「複数の周波数帯の信号を受信可能な複合アンテナ装置」であるのに対して、甲1発明は、衛星デジタルラジオ受信機用のアンテナ装置であって、複数の周波数帯の信号を受信可能ではない点。
相違点1−2:
「第1アンテナの上を覆うように配置され第1アンテナの導波器として機能する部材」について、本件発明1は、「第1周波数帯よりも低い第2周波数帯の信号を受信可能な容量アンテナである第2アンテナであって、導電性面状体を少なくとも1つ有するトップロード部を有する、第2アンテナ」を具備し、第2アンテナのトップロード部が有する導電性面状体が、「第1アンテナの導波器としても機能する」のに対して、甲1発明は、パッチアンテナ本体部40の天面に装着される、導波器60である点。


事案に鑑み、相違点1−2について検討する。
甲2には、GPSアンテナと、AM/FM受信信号を受信するアンテナパターンとトップ部とコイルと、を具備するアンテナ装置が記載されている。
また、甲3には、GPSパッチアンテナと、容量板とコイルエレメントからなるFMアンテナと、を具備するアンテナ装置が記載されている。

しかしながら、甲2には、AM/FM受信信号を受信するアンテナパターンとトップ部とコイルについて、トップ部を、GPSアンテナの導波器としても機能する導電性面状体を有するものとするとの記載又は示唆はない。
また、甲3には、FMアンテナの容量板を、パッチアンテナの導波器としても機能する導電性面状体を有するものとするとの記載又は示唆はない。
そして、容量アンテナである第2アンテナのトップロード部を、パッチアンテナからなる第1アンテナの導波器としても機能する導電性面状体を有するものとすることが、周知であるとする他の証拠も見当たらない。

そうすると、甲1発明において、第1周波数帯よりも低い第2周波数帯の信号を受信可能な容量アンテナである第2アンテナであって、第1アンテナの上を覆うように配置され導電性面状体を少なくとも1つ有するトップロード部を有する、第2アンテナを具備するものとして、第2アンテナのトップロード部の有する導電性面状体を、第1アンテナの導波器としても機能するようにすることは、当業者が容易になし得たものとはいえない。

したがって、相違点1−1について検討するまでもなく、本件発明1は、甲1発明及び甲2に記載された事項、あるいは甲1発明及び甲3に記載された事項に基いて、当業者が容易になし得たものとはいえない。


B 異議申立人の主張について
異議申立人は、異議申立書(20頁〜21頁)で、甲2に記載のアンテナ装置1は、「複数の周波数帯の信号を受信可能な複合アンテナ装置」に相当し、甲2に記載のトップ部31は、「導電性面状体」を有するアンテナエレメント、すなわち「容量アンテナ」であって、「第1周波数帯よりも低い第2周波数帯の信号を受信可能な第2アンテナ」に相当する旨、主張する。
しかしながら、甲1発明及び甲2には、容量アンテナである第2アンテナのトップロード部の有する導電性面状体が、パッチアンテナの導波器としても機能することは記載も示唆もされていないから、当該主張は採用できない。

また、異議申立書(21頁〜22頁)で、甲3のアンテナ装置1は、「複数の周波数帯の信号を受信可能な複合アンテナ装置」に相当し、コイルエレメント22と容量板24とで構成されるAM/FM放送信号を受信可能な天頂容量型モノポールアンテナを有する甲3のアンテナ装置1は、「第1周波数帯よりも低い第2周波数帯の信号を受信可能な第2アンテナ」に相当する旨、主張する。
しかしながら、甲1発明及び甲3には、容量アンテナである第2アンテナのトップロード部の有する導電性面状体が、パッチアンテナの導波器としても機能することは記載も示唆もされていないから、当該主張は採用できない。

さらに、異議申立書(22頁〜23頁)において、「引用発明1の天板62」が、「容量板として機能することは自然現象」であり、「容量板にインダクタを接続することで当該容量板を例えば所望の周波数帯を受信するアンテナとする構成は、引用文献を例示するまでもなく周知の事項である」旨主張する。
しかしながら、容量板にインダクタを接続することでアンテナとする構成が周知であるとしても、甲1発明には、「導波器」がインダクタを備えることは記載されていないし、甲1発明は衛星デジタルラジオ受信機用のアンテナ装置であって別のアンテナを構成する必要もないから、甲1発明の導波器が有する天板を、パッチアンテナとは別のアンテナの構成とすることを示唆するものではない。

また、「本件明細書に添付の図1(a)に示された、GPSパッチアンテナ20を覆うトップロード部31は、本件明細書の段落【0028】の記載によれば「1辺の長さが例えば1/4波長の5cmとなれば良い。」であるところ、甲2の図52、図54に示された、GPSパッチアンテナ32を覆うトップ部31−2もまた上面視で略正方形状であり、甲2の段落【0036】によれば「両側部は水平方向に約50mm」なので、本件発明1のトップロード部31と配置の態様のみならず形状や大きさも同一である引用発明2のトップ部31−2もまた、その直下のGPSパッチアンテナ32に対する導波器として機能している」旨、主張する。
導波器としても機能する導電性面状体について、本件発明において、「トップロード部31の導電性面状体の大きさは、第1アンテナ20のパッチアンテナの大きさに応じて設計されれば良い。より具体的には、導電性面状体は、1辺の長さが第1周波数帯の例えば1/2波長程度や1/4波長程度となるように構成されれば良い。例えば第1アンテナ20がGPS用のパッチアンテナの場合、・・・導電性面状体は、1辺の長さが例えば1/4波長の5cmとなれば良い。」(【0028】)、「トップロード部31の導電性面状体は、ベースプレート10に対して平行に延在するように構成されており、例えば保持部50により第1アンテナ20から所定の高さを離して保持されている。この高さは、第1アンテナ20の共振周波数に対応した高さに配置されれば良い。これは、後述のように、導電性面状体を第1アンテナ20の導波器として機能させるためである。具体的には、トップロード部31の導電性面状体が導波器として機能するように、例えば第1アンテナ20から10mm〜50mm程度の範囲で調整されれば良い。」(【0029】)と記載されており、導電性面状体は、第1アンテナの周波数である第1周波数帯に対応した所定の大きさであるとともに、第1アンテナの共振周波数に対応した高さに配置されるべきものである。
これに対して、甲2には、GPSアンテナと、AM/FM受信信号を受信するアンテナパターンとトップ部とコイルにおけるトップ部との間隔について記載されていないから、甲2のトップ部31−2が、GPSアンテナの導波器としても機能しているということはできない。
また、トップ部の有する導電性面状体が、GPSアンテナの導波器としても機能しているとの記載又は示唆もない。

したがって、異議申立人のかかる主張には理由がない。


C 小括
以上のとおり、本件発明1は、甲1に記載された発明及び甲2に記載された発明、あるいは甲1に記載された発明及び甲3に記載された発明に基いて、当業者が容易になし得たものではない。


(2)甲2発明に基づく本件発明の進歩性について

A 対比・判断
本件発明1と甲2発明とを対比する。

甲2発明のアンテナ装置1は、アンテナベース20を備え、車両のルーフに固着されることから、アンテナベース20は車両に固定されるものであり、本件発明1の「車両に固定されるベースプレート」に相当する。

甲2発明の「GPSアンテナ32」は、「アンテナベース20上に取り付けられている」から、アンテナベース20上に載置されているといえる。
また、「GPSアンテナ32」が、GPSの信号を受信することは明らかであり、GPSの信号の周波数帯を「第1の周波数帯」と称することは任意であるから、本件発明2と甲2発明とは、「ベースプレート上に載置される第1周波数帯の信号を受信可能なアンテナからなる第1アンテナ」である点で、一致する。

甲2発明は、「コイル35は、トップ部31とアンテナ基板30に形成されたアンテナパターンからなる小さなアンテナ容量のアンテナエレメントをFM波帯付近で共振させるもの」であるから、アンテナエレメントのアンテナ容量を利用するものであり、コイル35と、アンテナパターンとトップ部31とにより構成されるアンテナエレメントは、FM波帯の信号を受信可能な「容量アンテナ」といえる。
また、FM波帯の信号が、GPSの信号より低い周波数帯であることは明らかであり、FM波帯の信号の周波数帯を第2の周波数帯と称することは任意である。
また、甲1発明の「トップ部31」は、金属板を加工したものであり、前方に向かって緩やかに降下する曲面とされた頂部を有し、頂部から両側に傾斜した第1側部31aと第2側部31bが形成されることから、「導電性面状体を少なくとも1つ有するトップロード部」に対応する。
そうすると、本件発明1と甲2発明とは、「第1周波数帯よりも低い第2周波数帯の信号を受信可能な容量アンテナである第2アンテナであって、第1アンテナの上を覆うように配置され導電性面状体を少なくとも1つ有するトップロード部を有する、第2アンテナ」を具備する点で一致する。

甲2発明のアンテナ装置1は、アンテナエレメントとコイル35とによりAM/FM受信信号を受信し、GPSアンテナを備えるから、「複数の周波数帯の信号を受信可能な複合アンテナ装置」である。

以上より、本件発明1と甲2発明とは、
「車両用の複数の周波数帯の信号を受信可能な複合アンテナ装置であって、該複合アンテナ装置は、
車両に固定されるベースプレートと、
前記ベースプレート上に載置される第1周波数帯の信号を受信可能な第1アンテナと、
第1周波数帯よりも低い第2周波数帯の信号を受信可能な容量アンテナである第2アンテナであって、第1アンテナの上を覆うように配置され導電性面状体を少なくとも1つ有するトップロード部を有する、第2アンテナと、
を具備することを特徴とする複合アンテナ装置。」

である点で一致し、次の点で相違する。

相違点2−1:
「第1アンテナ」について、本件発明1は、「パッチアンテナ」からなることが特定されているのに対して、甲2発明は、当該特定がない点。
相違点2−2:
本件発明1は、第2アンテナのトップロード部の有する導電性面状体が、「第1アンテナの導波器としても機能する」ことが特定されているのに対して、甲2発明は、当該特定がない点。

事案に鑑み、相違点2−2について検討する。
甲2には、トップ部31の有する導電性面状体がGPSアンテナ32の導波器としても機能することは、記載又は示唆されておらず、他に、当該事項が周知であるとの証拠も見当たらないから、相違点2−2は、甲2発明に基いて、当業者が容易になし得たものとはいえない。

また、甲1には、パッチアンテナ本体部の天面に導波器を装着するパッチアンテナが記載されているが、AM/FM受信信号を受信するアンテナパターンとトップ部31及びコイル35の、トップ部の有する導電性面状体が導波器としても機能することは記載されておらず、さらに、導波器が有する天板を、パッチアンテナとは別のアンテナの構成とすることが記載又は示唆されるものではない。
そうすると、甲2発明において甲1に記載された事項を適用しても、甲2発明の「GPSアンテナ32」を甲1に記載される「パッチアンテナ」とすることに止まり、相違点2−2の、第2アンテナのトップロード部の有する導電性面状体が、「第1アンテナの導波器としても機能する」ことは、当業者が容易になし得たものとはいえない。

したがって、相違点2−1を検討するまでもなく、本件発明1は、甲2発明に基いて、あるいは甲2発明及び甲1に記載された事項に基いて、当業者が容易になし得たものとはいえない。


B 異議申立人は、異議申立書(23頁〜25頁)において、「甲2の図52および図54に示された、GPSパッチアンテナ32を覆うトップ部31−2もまた上面視で略正方形状」であり、「本件発明1のトップロード部31と配置の態様のみならず形状や大きさも同一である引用発明2のトップ部31−2もまた、その直下のGPSパッチアンテナ32に帯する導波器として機能している」旨、主張する。
導波器としても機能する導電性面状体について、本件発明において、「トップロード部31の導電性面状体の大きさは、第1アンテナ20のパッチアンテナの大きさに応じて設計されれば良い。より具体的には、導電性面状体は、1辺の長さが第1周波数帯の例えば1/2波長程度や1/4波長程度となるように構成されれば良い。例えば第1アンテナ20がGPS用のパッチアンテナの場合、・・・導電性面状体は、1辺の長さが例えば1/4波長の5cmとなれば良い。」(【0028】)、「トップロード部31の導電性面状体は、ベースプレート10に対して平行に延在するように構成されており、例えば保持部50により第1アンテナ20から所定の高さを離して保持されている。この高さは、第1アンテナ20の共振周波数に対応した高さに配置されれば良い。これは、後述のように、導電性面状体を第1アンテナ20の導波器として機能させるためである。具体的には、トップロード部31の導電性面状体が導波器として機能するように、例えば第1アンテナ20から10mm〜50mm程度の範囲で調整されれば良い。」(【0029】)と記載されており、導電性面状体が導波器としても機能するためには、第1アンテナの周波数である第1周波数帯に対応して、所定の大きさであるとともに、第1アンテナから所定の高さを離して保持されるべきものである。
これに対して、甲2には、GPSアンテナと、AM/FM受信信号を受信するアンテナパターンとトップ部とコイルにおけるトップ部との間隔について記載されていないから、甲2発明のトップ部31−2が、GPSアンテナの導波器としても機能しているということはできない。
また、トップ部の有する導電性面状体が、GPSアンテナの導波器としても機能しているとの記載又は示唆もない。

また、「本件発明1におけるトップロード部が第1アンテナの導波器として機能する」ことに関して、「甲1の特許明細書および図1等に明記されている事項」であり、「甲1に記載の天板62は、本件発明1および引用発明2におけるトップロード部と同じ態様で配置されている」旨主張する。
甲2発明のトップ部31は、両側部が「下方へ向かって急傾斜の斜面」(【0036】)とされるものであり、甲2発明のトップ部は、甲1に記載の天板62と同じ態様で配置されているものとはいえないから、本願発明のように、導波器として機能しているとはいえない。

したがって、異議申立人のかかる主張には理由がない。

C 小括
以上のとおり、本件発明1は、甲2に記載された発明に基いて、あるいは、甲2に記載された発明及び甲1に記載された発明に基いて、当業者が容易になし得たものとはいえない。


(3)甲3発明に基づく本件発明の進歩性について

A 対比・判断
本件発明1と甲3発明とを対比する。

甲3発明のアンテナ装置は、「アンテナベース板20」の上にコイルエレメント22、容量板24、及びGPSパッチアンテナ12が配設され、「車両に搭載される」ものであるから、アンテナベース板20は車両に固定されているといえ、甲3発明の「アンテナベース板20」は、本件発明1の「ベースプレート」に相当する。

GPS信号を第1周波数帯の信号と称することは任意である。

甲3発明の天頂容量型モノポールアンテナは、コイルエレメント22のインダクタンス成分と容量板24のキャパシタンス成分により構成されるものであるから、容量アンテナである。そして、FMアンテナとして使用されるから、FM帯の信号を受信するものである。
また、甲3発明の天頂容量型モノポールアンテナを構成する容量板24は、1枚の板状のものと同じように作用するものであるから、容量アンテナの「トップロード部」に対応する。
FM帯の信号は、GPS信号より低い周波数帯の信号であることは、明らかであり、FM帯の信号を第2周波数帯の信号と称することは任意である。
そうすると、本件発明1の「第2アンテナ」と甲3発明の「天頂容量型モノポールアンテナ」とは、「第1周波数帯よりも低い第2周波数帯の信号を受信可能な容量アンテナである第2アンテナであって、第1アンテナの上を覆うように配置されるトップロード部を有する、第2アンテナ」である点で一致する。

甲3発明は、FMアンテナとして使用される天頂容量型モノポールアンテナと、GPSパッチアンテナを備えるアンテナ装置であるから、複数の周波数帯の信号を受信可能な複合アンテナ装置である。


以上より、本件発明1と甲3発明とは、
「車両用の複数の周波数帯の信号を受信可能な複合アンテナ装置であって、該複合アンテナ装置は、
車両に固定されるベースプレートと、
前記ベースプレート上に載置される第1周波数帯の信号を受信可能なパッチアンテナからなる第1アンテナと、
第1周波数帯よりも低い第2周波数帯の信号を受信可能な容量アンテナである第2アンテナであって、第1アンテナの上を覆うように配置されるトップロード部を有する、第2アンテナと、
を具備することを特徴とする複合アンテナ装置。」

である点で一致し、次の点で相違する。

相違点3−1:
トップロード部について、本件発明1は、「第1アンテナの導波器としても機能」するのに対して、甲3発明は、当該特定がない点。
相違点3−2:
トップロード部が、本件発明1は、「導電性面状体を少なくとも1つ有」するのに対して、甲3発明は、「ミアンダ状の容量板24」である点。

相違点3−1について、検討する。
甲3発明は、「容量板24をミアンダ状とすることで、その下方に配設される平面アンテナは利得が低下することがない」ものであるから、容量板24を配置することによって、平面アンテナの利得が向上するものではない。
一方、本件発明1は、トップロード部の有する導電性面状体が「第1アンテナの導波器としても機能する」ことにより、パッチアンテナの利得向上が可能な複合アンテナ装置を提供する(【0007】)ものであるから、甲3発明のミアンダ状の容量板24は、平面アンテナの導波器として機能しているとはいえない。

また、甲1には、パッチアンテナ本体部の天面に導波器を装着するパッチアンテナが記載されているが、FMアンテナの容量板の有する導電性面状体が導波器として機能することは記載されておらず、さらに、導波器が有する天板を、パッチアンテナとは別のアンテナの構成とすることが記載又は示唆されるものではない。
そうすると、甲3発明において甲1に記載された事項を適用しても、
甲3発明の「GPSパッチアンテナ12」を甲1に記載される「パッチアンテナ」とすることに止まり、相違点3−1の、トップロード部について、「第1アンテナの導波器としても機能」することは、当業者が容易になし得たものとはいえない。

したがって、相違点3−2について検討するまでもなく、本件発明1は、甲3発明及び甲1に記載された事項により、当業者が容易になし得たものとはいえない。


B 申立人の主張
異議申立人は、異議申立書(25頁〜27頁)において、本件発明1と甲3発明の相違点として、「本件発明1における第2アンテナが第1アンテナの導波器としても機能するのに対して、引用発明2における第2アンテナ(天頂容量型モノポールアンテナ)がそのようなものかどうか不明な点」(「引用発明2」は、「引用発明3」の誤記であると認める。)を相違点5として挙げ、「容量板24をミアンダ状エレメントとすることで、その直下のGPSパッチアンテナ32の利得を低下させないという甲3の段落【0017】の記載は、つまり、GPSパッチアンテナ32の利得を増加させ得ることを意味するから、容量板24もまた、GPSパッチアンテナ32の導波器として機能しているものであり、相違点5もまた形式的な相違点にすぎない」旨、主張する。
しかしながら、甲3の【0017】の記載は、容量板24をミアンダ状とすることで、容量板24を配置しても利得を低下させないことを意味するに止まり、容量板24を配置することによって、平面アンテナの利得を増加させ得ることまでを意味するとは認められないから、申立人の主張する相違点5は、形式的な相違点とはいえない。

また、「本件発明1におけるトップロード部が第1アンテナの導波器として機能する」ことに関して、「甲1の特許明細書および図1等に明記されている事項」であり、「甲1に記載の天板62は、本件発明1におけるトップロード部と同じ態様で配置されている」旨主張する。
しかしながら、甲1には、FMアンテナの容量板の有する導電性面状体がパッチアンテナの導波器としても機能することは記載されておらず、また、甲1には、導波器が有する天板をパッチアンテナとは別のアンテナの構成とすることについて記載又は示唆されるものではない。
そうすると、甲1に記載の天板62が同じ態様で配置されているとしても、甲3発明のトップロード部の有する導電性面状体を第1アンテナの導波器としても機能させることは、容易とはいえない。

したがって、異議申立人のかかる主張には理由がない。


C 小括
以上のとおり、本件発明1は、甲3に記載された発明及び甲1に記載された発明に基いて、当業者が容易になし得たものとはいえない.


2 本件発明2〜13について
本件発明2〜13は、いずれも、本件発明1を直接的又は間接的に引用するものであるから、本件発明1の特定事項を全て含むものである。
そして、本件発明1は、上記1のように、甲1〜甲3発明に基いて、当業者が容易になし得たものとはいえないから、本件発明2〜13も、同様に、当業者が容易になし得たものではない。


第6 むすび
したがって、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、請求項1〜13に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1〜13に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。

 
異議決定日 2022-01-24 
出願番号 P2017-010060
審決分類 P 1 651・ 121- Y (H01Q)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 吉田 隆之
特許庁審判官 衣鳩 文彦
福田 正悟
登録日 2021-03-19 
登録番号 6855258
権利者 原田工業株式会社
発明の名称 複合アンテナ装置  
代理人 生井 和平  

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