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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  A61K
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  A61K
審判 全部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備  A61K
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  A61K
管理番号 1384278
総通号数
発行国 JP 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2022-05-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2021-12-16 
確定日 2022-03-14 
異議申立件数
事件の表示 特許第6887456号発明「白色化剤として界面活性剤又は界面活性剤と塩を含有する皮膜形成性組成物」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6887456号の請求項1〜15に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯

特許第6887456号の請求項1〜15に係る特許(以下「本件特許」という。)についての出願(特願2019−36083号)は、2019年2月28日(優先権主張 2018年7月4日(以下「本件優先日」という。))を出願日(以下「本件出願日」という。)とするものであり、2021年5月20日にその特許権の設定登録(請求項の数:15)がなされ、2021年6月16日に特許掲載公報が発行された。
その後、本件特許に対し、2021年12月16日に、特許異議申立人 楠 亜子(以下「申立人」という。)により、特許異議の申立てがなされた。

第2 本件発明

本件特許の特許請求の範囲の請求項1〜15に係る発明は、本件特許の特許請求の範囲の請求項1〜15に記載された事項により特定される、
次のとおりのものである。

「【請求項1】
皮膜形成性高分子成分と、界面活性剤または界面活性剤および水溶性の塩類からなる白色化剤を含む白色皮膜であって、
前記皮膜は白色顔料を含まず、
皮膜形成性高分子成分はセルロース誘導体、ゼラチン又はプルランから選択される1種を含み、
皮膜形成性高分子成分がセルロース誘導体である場合は、界面活性剤および水溶性の塩類からなる白色化剤を含み、ゼラチンまたはプルランである場合は、界面活性剤または界面活性剤および水溶性の塩類からなる白色化剤を含み、
前記界面活性剤が、多価アルコール脂肪酸エステル、ポリプロピレングリコール、ポリアルキレンオキサイド誘導体、およびアルキル硫酸エステル塩及びサポニンから選択されることを特徴とする、前記皮膜。
【請求項2】
多価アルコールの脂肪酸エステルが、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシソルビタン脂肪酸エステルであり、ポリアルキレンオキサイド誘導体がポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、サポニンがトリテルペノイドサポニン又はステロイドサポニンである請求項1に記載の皮膜。
【請求項3】
界面活性剤が、ポリオキシエチレン(105)ポリオキシプロピレン(5)グリコール、ポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(30)グリコール、ショ糖モノラウリン酸エステル、ショ糖パルミチン酸エステル、ソルビタンモノラウリン酸エステル、ポリソルベート80及びラウリル硫酸ナトリウム、キラヤサポニン、人参サポニン、大豆サポニン、エンジュサポニン、茶種子サポニン、ビートサポニン、ユッカサポニン、グリチルリチンからなる群から選択される請求項1又は2に記載の皮膜。
【請求項4】
乾燥重量として合計100重量部の皮膜形成性高分子成分に対し、界面活性剤の合計が0.5〜30重量部の範囲で、白色度が調節された請求項1〜3のいずれか1項に記載の皮膜。
【請求項5】
乾燥重量として合計100重量部の皮膜形成性高分子成分に対し、界面活性剤の合計が0.7〜30重量部の範囲で、白色度が調節された請求項1〜4のいずれか1項に記載の皮膜。
【請求項6】
乾燥重量として合計100重量部の皮膜形成性高分子成分に対し、界面活性剤の合計が1.0〜30重量部の範囲で、白色度が調節された請求項1〜4のいずれか1項に記載の皮膜。
【請求項7】
乾燥重量として合計100重量部の皮膜形成性高分子成分に対し、界面活性剤の合計が0.5〜15重量部の範囲で、白色度が調節された請求項1〜4のいずれか1項に記載の皮膜。
【請求項8】
添加する水溶性の塩類がナトリウム塩及び/又はカリウム塩及び/又はアンモニウム塩である請求項1〜7のいずれか1項に記載の皮膜。
【請求項9】
乾燥重量として合計100重量部の皮膜形成性高分子成分に対し、添加する水溶性の塩類がリンゴ酸ナトリウム、コハク酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、炭酸カリウム、リン酸二水素カリウム、ピロリン酸ナトリウムから選択される塩の1種又はそれ以上であり、その合計が0.5〜30重量部の範囲で白色度を変更し得る請求項1〜8のいずれか1項に記載の皮膜。
【請求項10】
染料或いは顔料を加えて白以外に着色した請求項1〜9のいずれか1項に記載の皮膜。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項に記載の皮膜からなる経口送達に適したカプセル。
【請求項12】
医薬または健康食品を充填するものである請求項11に記載のカプセル。
【請求項13】
請求項11又は12に記載のカプセルであって、
前記皮膜形成性高分子成分と界面活性剤の組み合わせが、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)とショ糖モノラウリン酸エステル、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)とポリオキシエチレン(105)ポリオキシプロピレン(5)グリコール、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)とポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(30)グリコール、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)とショ糖パルミチン酸エステル、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)とポリソルベート80、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)とサポニン(キラヤサポニン、人参サポニン、大豆サポニン、エンジュサポニン、茶種子サポニン、ビートサポニン、ユッカサポニン、グリチルリチン)、ゼラチンとショ糖モノラウリン酸エステル、ゼラチンとポリオキシエチレン(105)ポリオキシプロピレン(5)グリコール、ゼラチンとサポニン(キラヤサポニン、人参サポニン、大豆サポニン、エンジュサポニン、茶種子サポニン、ビートサポニン、ユッカサポニン、グリチルリチン)、又はプルランとポリオキシエチレン(105)ポリオキシプロピレン(5)グリコールである、カプセル。
【請求項14】
水に溶解した皮膜形成性高分子成分と、界面活性剤または界面活性剤および水溶性の塩類からなる白色化剤を含む、請求項1〜10のいずれか1項に記載の皮膜を形成する皮膜形成性組成物。
【請求項15】
皮膜形成性高分子成分を用いる白色皮膜又は経口送達に適した白色カプセルの製造において、白色顔料を使用せず、白色化剤として界面活性剤または界面活性剤および水溶性の塩類を使用する方法であって、
皮膜形成性高分子成分がセルロース誘導体、ゼラチン又はプルランから選択される1種を含み、
セルロース誘導体には、界面活性剤および水溶性の塩類からなる白色化剤を、
ゼラチン又はプルランには界面活性剤または界面活性剤および水溶性の塩類からなる白色化剤を使用し、
前記界面活性剤が、多価アルコール脂肪酸エステル、ポリプロピレングリコール、ポリアルキレンオキサイド誘導体、およびアルキル硫酸エステル塩およびサポニンから選択されることを特徴とする、前記方法。」

以下、本件特許の請求項1〜15に係る発明を、それぞれ請求項順に「本件発明1」等といい、これらをまとめて「本件発明」ともいう。

第3 申立ての理由の概要及び証拠

申立人は、特許異議申立書(以下「申立書」という。)において、本件請求項1〜15に係る特許を取り消すべき理由として、概ね、以下の1.に示す(1)〜(5)の申立ての理由を主張するとともに、証拠方法として、以下の2.に示す甲第1〜6号証(以下、それぞれ番号順に「甲1」等ともいう。)を提出した。

1.申立ての理由の概要

(1)申立ての理由1(特許法第36条第6項第2号明確性違反)

ア 請求項1及び15の「白色皮膜」及び「白色カプセル」について、本件特許の明細書(以下「本件明細書」ともいう。)からみて医薬品及び/又は食品に使用することを目的とするものと解されるものの、請求項1及び15ではその用途が特定されていない点、「白色」の皮膜がどの程度の「白色割合」でどの程度の「白色濃さ」の皮膜を示しているのか、明らかでない点、及び、「白」という色が、どのような色合いまで含むのか、明らかでない点から、明確でない。

イ 請求項4〜7の「白色度が調節された」及び請求項9の「白色度を変更し得る」について、「白色度」が「白色割合」を表すのか「白色濃さ」を表すのか、それとも別のパラメータであるのか明らかでない点、及び、本件明細書に、どのように白色度を「調節」又は「変更」するのか記載されていない点から、明確でない。

ウ 請求項11及び請求項15の「経口送達に適した」について、本件明細書にはどのようなカプセルが経口送達に適しているのか記載されていないから明確でない。

エ 請求項1及び15の「セルロース誘導体」、「水溶性の塩類」、「多価アルコール脂肪酸エステル」、「ポリアルキレンオキサイド誘導体」及び「アルキル硫酸エステル塩」について、いずれも当該誘導体等に含まれる物質の外延が明らかでないから、明確でない。

オ 請求項1及び15の「水溶性の塩類」についてはさらに、塩化ナトリウム及び塩化カリウムが除外されておらず、本件明細書【0021】の「塩化ナトリウムや塩化カリウムを使用しても皮膜の白色化が得られるが、これらの微結晶は皮膜表面に発生して擦ると容易に結晶が取れて白さを失う。微結晶が皮膜内部に現れ、擦っても色落ちせずに安定した白色を供する本発明とは一線を画す。」という記載と整合していない点からも、明確でない。

カ 請求項13の「サポニン(キラヤサポニン、人参サポニン、大豆サポニン、エンジュサポニン、茶種子サポニン、ビートサポニン、ユッカサポニン、グリチルリチン)」について、括弧書きが何を意図しているのか明らかでない点、及び、括弧内の各成分が「及び」でつながれているのか「又は」でつながれているのか把握することができない点から、明確でない。

キ 以上、ア〜カのとおりであるから、本件発明1〜15に係る特許は、本件請求項1、4〜7、9、11、13、15及びこれらのいずれかを引用する本件請求項2、3、8、10、12、14の記載が特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、同法第113条第4号の規定により取り消されるべきものである。

(2)申立ての理由2(特許法第36条第6項第1号:サポート要件違反)

ア 本件発明1及び15の「白色皮膜」について、本件明細書には、医療用又は食品に使用される「白色皮膜」以外の皮膜は記載されていない。したがって、本件発明1及び15は、本件特許の明細書の発明の詳細な説明に記載した範囲を超えるものである。

イ 本件明細書【0013】には、「二酸化チタンに代わりうる遮光方法を開発するため、・・・無色の界面活性剤、又は無色の界面活性剤に無色の塩類を組み合わせて添加することにより、皮膜形成時に皮膜が白色化し、二酸化チタンを分散したものに匹敵する見た目の美しさや遮光性能が実現できること・・・を見出した。」と記載されている。
しかし、本件明細書の試験例の記載からみて、本件発明1及び15の「白色皮膜」又は「白色カプセル」には、白色割合が100%未満であって、部分的に白色化していないもの、すなわち、白色が斑で遮光性能が不完全なものを含むから、本件発明1及び15は、本件発明が解決すべき課題が解決できていない範囲を含んでいる。

ウ 本件発明4〜7の「白色度が調節された」及び本件発明9の「白色度を変更し得る」について、本件明細書には「白色度」がどのようなパラメータであって、どのように白色度を「調節」又は「変更」するのか記載されていないから、本件発明4〜7及び9は、本件特許の明細書の発明の詳細な説明に記載された範囲を超えるものである。

エ 本件発明8の「水溶性の塩類がナトリウム塩及び/又はカリウム塩及び/又はアンモニウム塩である」について、「及び」と「又は」がどのような関係であるのか、どこまでかかっているのかが明確でない。

オ 本件発明1及び15の「セルロース誘導体」について、本件明細書の試験例及び実施例1に記載されているのは、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを使用した例のみであるし、また、「セルロース誘導体」で特定される化合物の範囲を当業者が把握できないから、本件出願日時点の技術常識に照らしても、本件発明1及び15の範囲まで、本件特許の明細書の発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化できるとはいえない。

カ 本件発明1及び15の「水溶性の塩類」について、当該「水溶性の塩類」なる用語で特定される化合物の範囲を当業者が把握できないところ(上記(1)エ、オ)、本件特許の明細書の発明の詳細な説明(試験例等)に記載されているのは、リンゴ酸ナトリウムや酢酸カリウムといったナトリウム塩又はカリウム塩であるが、「水溶性の塩類」は塩化ナトリウムや塩化カリウムを除外していない。
しかし、本件明細書【0021】の「塩化ナトリウムや塩化カリウムを使用しても皮膜の白色化が得られるが、これらの微結晶は皮膜表面に発生して擦ると容易に結晶が取れて白さを失う。微結晶が皮膜内部に現れ、擦っても色落ちせずに安定した白色を供する本発明とは一線を画す。」という記載は、塩化ナトリウムや塩化カリウムを使用すると、白色皮膜が形成できないことを意味するから、塩化ナトリウムや塩化カリウムを除外していない「水溶性の塩類」を用いる本件発明1及び15は、本件発明が解決しようとする課題を解決できない「水溶性の塩類」を含むものと解される。

キ 本件発明1及び15の「前記界面活性剤が、多価アルコール脂肪酸エステル、ポリプロピレングリコール、ポリアルキレンオキサイド誘導体、およびアルキル硫酸エステル塩及びサポニンから選択されることを特徴とする」について、「多価アルコール脂肪酸エステル」及び「ポリアルキレンオキサイド誘導体」なる用語は、発明を不明確にするものであるから、この用語で特定される化合物の範囲を当業者が把握できないところ(上記(1)エ)、本件明細書の試験例には、ショ糖モノラウリン酸エステル等の特定のものを、特定の重量部で用いたことしか記載されていない。
しかし、フィルムが白色化するか否かは、界面活性剤の種類や含有量に依存するという本件出願日時点の技術常識に照らすと、本件発明1及び15の上記界面活性剤の範囲まで、上記試験例のものを拡張ないし一般化できるとはいえない。
したがって、本件出願日時点の技術常識に照らしても、本件発明1及び15の範囲まで、本件特許の明細書の発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化できるとはいえない。

ク 本件発明1及び15の「界面活性剤および水溶性の塩類」を白色化剤として使用する構成について、本件明細書の試験例の実験データを踏まえると、少なくともHPMCを含むカプセルにおいて、界面活性剤は、カプセルの白色化に貢献していないと解されるから、本件発明1及び15において界面活性剤を用いても、本件発明が解決しようとする課題は解決できない。

ケ 本件発明11及び15の「経口送達に適した」について、どのようなカプセルが「経口送達に適し」ているのか、本件特許の明細書の発明の詳細な説明に記載されていない。

コ 本件発明においてセルロース誘導体と界面活性剤を組み合わせて用いる場合は、水溶性の塩類も組み合わせて使用されるものであるにも関わらず、本件発明13におけるセルロース誘導体と界面活性剤を特定の組合せとする構成には、水溶性の塩類に関する規定がない。
したがって、本件発明13は、本件発明が解決しようとする課題を解決するための必要事項を欠いている。

サ 後述する甲6に基づく主張で指摘するように(申立書98〜101頁)、甲6の【0074】、【0076】及び表2に記載された、本件発明1及び15に規定された界面活性剤に該当する界面活性剤を含むプルラン膜が、白色皮膜としての要件を満たしていないことを踏まえると、本件発明1及び15のうち、皮膜形成高分子組成物がプルランである発明における「白色被膜」及び「白色カプセル」には、白色化していないものが含まれる。

シ 以上、上記ア〜サのとおりであるから、本件発明1〜15に係る特許は、本件請求項1、4〜9、11、13、15及びこれらのいずれかを引用する本件請求項2、3、10、12、14の記載が特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、同法第113条第4号に該当し、取り消されるべきものである。

(3)申立ての理由3(特許法第36条第4項第1号実施可能要件違反)

本件特許の明細書の発明の詳細な説明には、上記(2)ウ、オ、カ、キ、ク、ケ、サで指摘した不備があるので、本件特許の明細書の発明の詳細な説明は、技術常識を参酌しても、本件請求項1、4〜7、9、11、15及びこれらのいずれかを引用する本件請求項2、3、8、10、12〜14に係る発明を当業者が実施できる程度に明確かつ十分に記載されたものではない。
よって、本件発明1、4〜7、9、11、15及びこれらのいずれかに従属する本件発明2、3、8、10、12〜14に係る特許は、本件特許の明細書の発明の詳細な説明の記載が特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、同法第113条第4号に該当し、取り消されるべきものである。

(4)申立ての理由4(特許法第29条第1項新規性欠如)
本件発明1〜15は、甲1、甲2、甲3又は甲5に記載された発明であるから、特許法第29条第1項の規定に違反して特許された発明であり、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。

(5)申立ての理由5(特許法第29条第2項進歩性欠如)
本件発明1〜15は、甲1、甲2、甲3、甲4、甲5又は甲6に記載された発明に基いて、本件優先日前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定に違反して特許された発明であり、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。

2.申立人が提出した証拠(証拠方法)

甲第1号証:国際公開第2008/156027号
甲第2号証:特開昭61−280422号公報
甲第3号証:特開昭63−280017号公報
甲第4号証:特表2013−515715号公報
甲第5号証:特表2005−538102号公報
甲第6号証:特表2003−505565号公報

第4 本件特許の明細書の記載事項

本件特許の明細書には、以下の事項が記載されている。なお、下線は当審合議体が付した。

「【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬品製剤等に使用される皮膜形成性組成物であって、界面活性剤又は界面活性剤と塩によって皮膜形成時に白色化する皮膜形成性組成物に関する。また、本発明は、この皮膜形成性組成物を使用して製造されるカプセル、口内分散性フィルム、皮膜形成性組成物で被覆された錠剤、顆粒剤などの製剤、フィルム製品、プリントインク等への応用に関する。」

「【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記のように二酸化チタンの代替技術は研究されているものの、二酸化チタンの粒子は非常に細かく、その隠ぺい力の高さは他に並ぶものが無く、少量で十分な遮蔽力を発揮するため、食品や医薬品を含む多くの産業分野では二酸化チタン粉末が遮光剤として広く使用されているのが現状であった。
【0011】
しかし、二酸化チタンの発がん性について、国際がん研究機関(・・・)は、従前はグループ3(ヒトに対する発がん性が分類できない)に分類していたが、2006年6月に、顔料グレード及びウルトラファインTiO2に関する吸入及び気管内注入による動物実験の結果は、動物におけるTiO2の発がん性を示す証拠として十分であると結論し、グループ2B(ヒトに対する発がん性が疑われる)に分類した(・・・)
【0012】
このため、特に健康食品業界では二酸化チタンを含むカプセルが避けられるようになり、二酸化チタンに代わる遮光剤の開発がより一層望まれることとなった。しかし、前述のように、遮光剤として秀逸な二酸化チタンの代替はなかなか見つからず、健康食品業界において特に望まれる二酸化チタン不使用の遮光カプセルは未だ供給されていないのが実情であった。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは、特に健康食品業界に待望されていた二酸化チタンに代わりうる遮光方法を開発するため、前述の技術的課題に取り組み、数年にわたるスクリーニングと実験の結果、皮膜形成ポリマーの種類に応じた無色の界面活性剤、又は無色の界面活性剤に無色の塩類を組み合わせて添加することにより、皮膜形成時に皮膜が白色化し、二酸化チタンを分散したものに匹敵する見た目の美しさや遮光性能が実現できること、しかも高温、高湿の環境に置いても色が変化しないことを見出した。天然抽出物のサポニンを界面活性剤として使用する場合、サポニンの中には薄茶色等の色を帯びたものもあるが、その場合はその色を帯びた状態での白色化が可能である。また、本白色化技術は、界面活性剤や塩の添加量に応じ白色化の程度、遮光の程度を調節することができるほか、他の色材と組み合わせることにより自在な着色も可能である。」

「【0017】
本発明により、二酸化チタンを使用することなく、美しい白色若しくは遮光性の着色フィルムやカプセルを提供できる。特に健康食品市場向けには、例えばクチナシ等に代表される天然系色素と組み合わせることによって、安心安全な美しい着色遮光カプセルを提供できる。
【0018】
本技術はカプセル皮膜の通常の原料であるヒプロメロース(ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、ゼラチン、プルランを含む組成物に利用できるが、カプセル皮膜以外の着色目的で、これらをカプセルのバンドシール、口内分散性フィルム製剤、錠剤や顆粒のコーティング、可食性フィルム製品、食品用インクなどにも応用可能である。また、前記以外の皮膜形成能をもつポリマー溶液に添加して乾燥して作る皮膜にも応用することができる。
【0019】
白色化の程度は使用する界面活性剤の種類、使用量、組み合わせる塩によって調節可能であるため、その程度を、優れた遮光性を与える白色から、ぼんやり濁って見える白色まで調整することができる。」

「【0022】
本発明で使用する、水溶液となり得る高分子の基剤成分は、カプセルの基剤として、医薬品や食品に使用可能なものや、医薬や食品製剤のコーティングに使用されるものであってよく、例えば、セルロース誘導体、ゼラチン又はプルランが挙げられる。
【0023】
セルロース誘導体としては、ヒプロメロース(ヒドロキシプロピルメチルセルロース、HPMC)が好適であり、メトキシ基約29%にヒドロキシプロポキシル基約10%を含有するHPMC2910、メトキシ基約29%にヒドロキシプロポキシル基約6%を含有するHPMC2906、メトキシ基約22%にヒドロキシプロポキシル基約8%を含有するHPMC2208等が挙げられる。
【0024】
これらの成分は、単独で使用してもよいが、混合して使用してもよい。
【0025】
本発明で使用する界面活性剤は、多価アルコールの脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリアルキレンオキサイド誘導体、又はアルキル硫酸エステル塩、サポニン等から選択される。
【0026】
上記の多価アルコールの脂肪酸エステルとしては、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシソルビタン脂肪酸エステル(例;ショ糖モノラウリン酸エステル、ショ糖パルミチン酸エステル、ソルビタンモノラウリン酸エステル、ポリソルベート80(モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン)、ポリエチレングリコールとしては、ポリエチレングリコール4000(マクロゴール4000)、ポリアルキレンオキサイド誘導体としては、ポリオキシエチレンポリオキシプロプレングリコール、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル(例;ポリオキシエチレン(105)ポリオキシプロピレン(5)グリコール、ポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(30)グリコール)、アルキル硫酸エステル塩としては、ラウリル硫酸ナトリウムなどが挙げられる。
【0027】
サポニンは、ステロイド又はトリテルペンの配糖体(トリテルペノイドサポニン又はステロイドサポニン)の総称である。 植物界に広く分布するが、トリテルペノイドサポニンは、植物のみならずナマコやヒトデなどの棘皮動物からも見出されている。本発明で使用する界面活性剤としてのサポニンは、サポニンであれば、原料は動植物の種類を問わない。好適なサポニンとしては、キラヤサポニン、人参サポニン、大豆サポニン、エンジュサポニン、茶種子サポニン、ビートサポニン、ユッカサポニン、グリチルリチンなどが挙げられる。
【0028】
これらの界面活性剤は、1種あるいは2種以上を組み合わせて使用することができ、添加量に応じて白色度を変化させることができる。
【0029】
通常、乾燥重量で合計100重量部の皮膜形成性高分子成分(例えばセルロース誘導体、ゼラチン又はプルランなどから選択された高分子成分)に対し、添加する界面活性剤はその合計が0.5〜30重量部の範囲で使用するが、0.7〜30重量部、1.0〜30重量部の範囲であってもよく、好ましくは、0.5〜15重量部、0.7〜15重量部、1.0〜15重量部の範囲である。これらの範囲内で白色度を変更することができる。30重量部より多いと皮膜が脆く割れやすくなり、0.5重量部より少ないと白色化が起きないか、或いは色が薄く、遮光も期待できなくなる。
【0030】
本発明で使用する塩としては、ナトリウム塩及び又はカリウム塩及び又はアンモニウム塩の塩類であり、具体的には、リンゴ酸ナトリウム、コハク酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム(重曹)、酢酸カリウム、炭酸カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、無水ピロリン酸ナトリウム、塩化アンモニウムなどが挙げられる。
これらの塩は、1種あるいは2種以上を組み合わせて使用することができ、添加量に応じて白色度を変化させることができる。
【0031】
通常、乾燥重量で合計100重量部の皮膜形成性高分子成分(例えばセルロース誘導体、ゼラチン又はプルランなどから選択された高分子成分)に対し、塩の合計が0.5〜30重量部の範囲で白色度を変更し得る。」

「【発明の効果】
【0045】
本発明によれば、従来から医薬分野や食品分野で使用されている界面活性剤あるいは界面活性剤と塩という、健康上害のない成分を用い、発がん性が懸念される二酸化チタンを使用することなく、皮膜の白色化を行うことができる。その白色化の程度は調節可能であり、ぼんやりとした白色化から、二酸化チタンと遜色のない遮光性を与える白色化まで調整可能であるため、通常の着色にも、光に不安定な医薬や食品の製剤化にも好適に使用することができる。」

「【0049】
[試験例]
各種の皮膜形成性の高分子及び界面活性剤又は界面活性剤と塩を含む被検試料を調製し、皮膜形成時の白色化について試験を行った。
【0050】
表中、塩及び界面活性剤は皮膜基材の100重量(乾燥重量)に対する重量部を示している。
【0051】
白色割合と白色濃さの目視判定の目安は下記のとおりとした。「白色割合」は「白色濃さ」に関係なく、白色化した部分の面積の割合を表し、「白色濃さ」は白色に見える部分の色の濃さを示している。
白色割合:◎100〜90%、〇90〜80%、△80〜70%、□70%以下 ●0%
白色濃さ:◎真白、〇白、△透け感あり、□ぼんやりと白い ●透明
【0052】
皮膜の安定性は、温度40℃、湿度75%の環境下に6週間保管した後の白色の程度を観察して評価したものである。
【0053】
皮膜の作製は、以下のA,B及びC法により行った。
A:常温ゲルを、105℃オーブンで加熱したガラス板上(105℃オーブンから出して直ぐ)に流す。直ちに60℃オーブンで15分乾燥。
B:常温ゲルを、105℃オーブンで加熱したガラス板上(放射温度計で約70℃になったとき)に流す。直ちに60℃オーブンで15分乾燥。
C:室内で自然乾燥
【0054】
【表1】

【0055】
表1は、HPMC2910を使用した皮膜基材に、界面活性剤としてポリオキシエチレン(105)ポリオキシプロピレン(5)グリコール(PEP101)を使用して試験を行った結果を示したものである。
【0056】
ポリオキシエチレン(105)ポリオキシプロピレン(5)グリコールは単独でも白色化作用は見られるが、塩が存在すると白色化が増進される傾向がある。また、フィルム作成をA法で行う方がC法で行うよりも白の濃さが大きくなる。
【0057】
【表2】

【0058】
表2は、HPMC2910を使用した皮膜基材に、界面活性剤としてショ糖モノラウリン酸エステルを使用して試験を行った結果を示したものである。
【0059】
ショ糖モノラウリン酸エステル単独では白色化が起こらず、塩が存在すると白色化が増進される。また、フィルム作成をA法で行う方がC法で行うよりも白の面積及び白の濃さが大きくなる。
【0060】
【表3】

【0061】
表3は、HPMC2910を使用した皮膜基材に、界面活性剤としてキラヤサポニンを使用して試験を行った結果を示したものである。
【0062】
キラヤサポニンは天然抽出物であり、その溶液は薄茶色等の色がついた透明液であるため、これを使用すると薄茶色を帯びた白色になる。キラヤサポニンを2.5重量部、コハク酸2Na2.5重量部を使用した場合には、白の割合、白の濃さが共に優れた皮膜が得られている。
【0063】
【表4】

【0064】
表4は、HPMC2208又はHPMC2910とHPMC2906を混合した皮膜基材に、界面活性剤としてショ糖モノラウリン酸エステル、ポリオキシエチレン(105)ポリオキシプロピレン(5)グリコール(PEP101)及び塩を使用して試験を行った結果を示したものである。
【0065】
いずれの基材も、フィルム作成をA法で行う方がC法で行うよりも白の面積及び白の濃さが大きくなることがわかる。
【0066】
【表5】

【0067】
表5は、HPMC2910を使用した皮膜基材に、界面活性剤としてショ糖パルミチン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(ポリソルベート80)、ポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(30)グリコール(プロノン188P)、ポリエチレングリコール4000(マクロゴール4000)を使用して試験を行った結果を示したものである。
【0068】
【表6】

【0069】
表6は、HPMC2910を使用した皮膜基材に、界面活性剤としてショ糖モノラウリン酸エステル又は、ポリオキシエチレン(105)ポリオキシプロピレン(5)グリコール(PEP101)を使用し、皮膜形成をB法で行った試験の結果を示したものである。表1、表2のA法と比較すると、B法よりA法の方がより白色化の程度が高い皮膜が得られる傾向がある。
【0070】
【表7】

【0071】
表7は、各種のHPMCを使用した皮膜基材に、界面活性剤としてアルキル硫酸エステル塩であるラウリル硫酸ナトリウム及びソルビタンモノラウリン酸エステルを使用し、皮膜形成をA法で行った試験の結果を示したものである。
【0072】
【表8】

【0073】
表8は、HPMC2208単独又はHPMC2910とHPMC2208を混合した皮膜基材に、界面活性剤としてショ糖モノラウリン酸エステルを使用し、皮膜形成をB法で行った試験の結果を示したものである。HPMC2910とHPMC2208を混合し、リンゴ酸Naを5重量部、ショ糖モノラウリン酸エステル1.25重量部を使用した場合には、白の割合、白の濃さが共に優れた皮膜が得られている。
【0074】
【表9】

【0075】
表9は、プルランを使用した皮膜基材に、界面活性剤としてポリオキシエチレン(105)ポリオキシプロピレン(5)グリコール(PEP101)又はショ糖モノラウリン酸エステルを使用して試験を行った結果を示したものである。この基剤の場合は、塩を使用せず、ポリオキシエチレン(105)ポリオキシプロピレン(5)グリコール(PEP101)のみでも白色化が起こり、むしろ塩によって白色化の程度が抑えられる傾向もみられた。ショ糖モノラウリン酸エステルは、単独であっても塩と組み合わせてもぼんやりとした白色化を与えることが分かった。
【0076】
【表10】

【0077】
表10は、ゼラチンを使用した皮膜基材に、界面活性剤としてポリオキシエチレン(105)ポリオキシプロピレン(5)グリコール(PEP101)、ショ糖モノラウリン酸エステル又はキラヤサポニンを使用して試験を行った結果を示したものである。この基剤の場合は、塩を使用せず、ポリオキシエチレン(105)ポリオキシプロピレン(5)グリコール(PEP101)或いはショ糖モノラウリン酸エステルのみでも白色化が起こることが観察された(処方92、93)。ショ糖モノラウリン酸エステル、ポリオキシエチレン(105)ポリオキシプロピレン(5)グリコール(PEP101)ともに、ポリリン酸ナトリウム、リン酸水素二ナトリウムや無水ピロリン酸ナトリウムと組み合わせると白色度が増強される傾向がある。また、カリウム塩でも白色化効果が得られることが示されている。キラヤサポニンを7.3重量部、ポリリン酸ナトリウム5重量部又は無水ピロリン酸ナトリウム5重量部を使用した場合は、白の割合、白の濃さ共に優れた皮膜が得られている。」

第5 甲号証の記載事項、及び甲号証に記載された発明

申立人が証拠方法として提出した甲号証(上記第3の2.)には、それぞれ以下の事項及び発明が記載されている。なお、下線は当審合議体が付した。

1.甲1の記載事項、及び甲1に記載された発明(甲1発明)

(1)甲1には以下の事項が記載されている。

(甲1a)「一価〜三価の金属を含有する水溶性金属化合物、ならびに水溶性セルロース誘導体を含有する非透明皮膜組成物。」(請求項1)

(甲1b)「水溶性セルロース誘導体が、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、およびヒドロキシプロピルメチルセルロースから選択される少なくとも1種である請求項1または2に記載する非透明皮膜組成物。」(請求項3)

(甲1c)「[0028] 本発明の非透明皮膜組成物は、基本的には上記水溶性セルロース誘導体と水溶性金属化合物を用いて調製されるが、必要に応じて種々の添加剤、例えば可塑剤、金属封鎖剤、香料、または着色料を加えることができる。
[0029] ここで可塑剤としては、特に制限されないが、例えば、アジピン酸ジオクチル,アジピン酸ポリエステル,エポキシ化ダイズ油,エポキシヘキサヒドロフタル酸ジエステル,カオリン,クエン酸トリエチル,グリセリン,グリセリン脂肪酸エステル,アセチルグリセリン脂肪酸エステル,ゴマ油,ジメチルポリシロキサン・二酸化ケイ素混合物,D-ソルビトール,中鎖脂肪酸トリグリセリド,トウモロコシデンプン由来糖アルコール液,トリアセチン,濃グリセリン,ヒマシ油,フィトステロール,フタル酸ジエチル,フタル酸ジオクチル,フタル酸ジブチル,ブチルフタリルブチルグリコレート,プロピレングリコール,ポリエチレングリコール,ポリオキシエチレン(105)ポリオキシプロピレン(5)グリコール,ポリソルベート80,平均分子量が1500、400、4000、600または6000のポリエチレングリコール(PEG1500,PEG400,PEG4000,PEG600,PEG6000),ミリスチン酸イソプロピル,綿実油・ダイズ油混合物,モノステアリン酸グリセリン,リノール酸イソプロピルなどを挙げることができる。なお、上記においてPEGの平均分子量は、日本国厚生労働省が定める「日本薬局方」および「医薬品添加物規格」で規定される下記の試験法に従って測定することができる。」(当審合議体注:インデントは省略)

(2)上記(1)、特に甲1a及び甲1bから、甲1には、次の発明が記載されていると認められる。

「一価〜三価の金属を含有する水溶性金属化合物、及びヒドロキシプロピルメチルセルロース等の水溶性セルロース誘導体を含有する非透明皮膜組成物。」(以下「甲1発明」という。)

2.甲2の記載事項、及び甲2に記載された発明(甲2発明)

(1)甲2には以下の事項が記載されている。

(甲2a)「重量比で、ゼラチン15〜30%、可食性界面活性剤0.1〜10%を含み残部が水であることを特徴とする硬質ゼラチンカプセルのバンドシール液。」(請求項1)

(甲2b)「 該可食性界面活性剤は、0.1重量%以上の添加で効果を奏し始め、効果は添加量の増加とともに増大する。界面活性剤の種類にもよるが、添加量が3重量%以上になると乾燥後のフィルムが半透明・乳白色となるので用途が限定される。しかし無色透明なフィルムでなくて良ければ、10重量%程度まで添加することが出来、またそれに応じた効果が期待出来る。」(第2頁右上欄第17行〜左下欄第4行)

(2)上記(1)、特に甲2aから、甲2には、次の発明が記載されていると認められる。

「重量比で、ゼラチン15〜30%、可食性界面活性剤0.1〜10%を含み残部が水であることを特徴とする硬質ゼラチンカプセルのバンドシール液。」(以下「甲2発明」という。)

3.甲3の記載事項、及び甲3に記載された発明(甲3発明)

(1)甲3には以下の事項が記載されている。

(甲3a)「ゼラチンと水と可塑剤と遮光剤とを含む軟カプセル用の皮膜組成物において、前記遮光剤として天然油と界面活性剤の群から選ばれる少なくとも1つの化合物を含有することを特徴とする前記軟カプセル用の皮膜組成物。」(請求項1)

(2)上記(1)から、甲3には、次の発明が記載されていると認められる。

「ゼラチンと水と可塑剤と遮光剤とを含む軟カプセル用の皮膜組成物において、前記遮光剤として天然油と界面活性剤の群から選ばれる少なくとも1つの化合物を含有することを特徴とする前記軟カプセル用の皮膜組成物。」(以下「甲3発明」という。)

4.甲4の記載事項、及び甲4に記載された発明(甲4発明)

(1)甲4には以下の事項が記載されている。

(甲4a)「【請求項1】
分子量が6,000〜26,000の低分子量ゼラチンの含有率がゼラチン総量の5〜10重量%であるカプセル皮膜成形用ゼラチン組成物。」

(甲4b)「【請求項2】
色素、界面活性剤、可塑剤およびポリエチレングリコールから群より選択される少なくとも1種の添加物を含む、請求項1記載のカプセル皮膜成形用ゼラチン組成物。」

(甲4c)「【0021】
[実施例1]
平均分子量が約20万のアルカリ処理ゼラチンに低分子量ゼラチン(分子量6,000〜26,000の範囲)を各々0、5、10、25重量%の割合で配合したゼラチン1.5kgに80℃の水を2.9kg加えて完全に溶解させて濃度34%の均一なゼラチン溶液を作成する。これを50℃に保ち、十分に脱泡したのち回転式粘度計を使い回転数4000rpmで各々の溶液粘度を測定した。
・・・
【0024】
[実施例2]
実施例1で調製した低分子量ゼラチンの含有率が0、5、10%のゼラチン水溶液に加水して、各々の溶液粘度が硬質カプセル試作機でカプセルを成型するのに都合の良い粘度にまで粘度調整を行った。・・・
【0025】
【表2】

・・・
【0028】
[実施例3]
実施例2で調製したカプセル調製液を平滑な塩ビ板上にフィルム形成用のアプリケーターを用いて乾燥時のフィルムの厚さが0.1mmのゼラチンフィルムを調製し、カプスゲル社製振り子式の衝撃試験器を使って皮膜の破れるエネルギーを測定した(n=10測定の平均値)。さらに、市場で多用される酸化チタンが配合された白色カプセルを再現するため、ゼラチン溶液に2%の酸化チタン色材を加えて同様の手順で参考品−2のフィルムを調製し試験に加えた。
試験に供すフィルムは予め10%RH〜50%RHの湿度に保たれた箱の中に1週間置いてフィルム中の水分含有量を低下させた。その結果を表4に示す
【0029】
【表4】



(2)上記(1)、特に甲4a及び甲4bから、甲4には、次の発明が記載されていると認められる。

「色素、界面活性剤、可塑剤およびポリエチレングリコールから群より選択される少なくとも1種の添加物を含む、分子量が6,000〜26,000の低分子量ゼラチンの含有率がゼラチン総量の5〜10重量%であるカプセル皮膜成形用ゼラチン組成物。」(以下「甲4発明」という。)

5.甲5の記載事項、及び甲5に記載された発明(甲5発明)

(1)甲5には以下の事項が記載されている。

(甲5a)「【請求項1】
ゼラチンおよび医薬的に許容される亜硫酸化合物からなり、医薬用のカプセルのシェルの製造に適当な組成物。」

(甲5b)「【請求項8】
さらにポリヒドロキシ−アルコール、ポリヒドロキシ−アルコールのエステル、ジアルキルフタレート;低級アルキルクエン酸エステル(低級アルキルは1〜6個の炭素原子を有する)、グリコール、ポリグリコール、リシノレイン酸およびリシノレイン酸エステルからなる群より選択される可塑剤を含む請求項1記載の組成物。
【請求項9】
さらにソルビトール、グリセロール、プロピレングリコールおよびポリエチレングリコールからなる群より選択される可塑剤を含む請求項1記載の組成物。」

(甲5c)「【0080】
実施例2
カプセルの壁部C1−C14の調製に適当な数種の組成物は、以下の操作に従い、表2および3に示すように製造する。ゼラチンおよび1または2種以上の亜硫酸化合物を互いに混合して乾燥混合物を形成させる。ついで、1または2種以上の可塑剤(グリセロールおよび/またはソルビトール)および水を混合物に加え、液体混合物を形成させる。液体混合物を80℃で4時間まで熔融させて熔融物を形成させる。熔融物を60℃に冷却して流動性のゼラチン混合物を形成させ、これを回転ダイ軟質ゼラチンカプセル製造機の2つのスプレッダーボックスに供給し、2つの空気乾燥回転ドラムへの上記混合物の流れを制御し、2つの白色透明なゼラチンリボンを押出し、さらに1時間あたり約15,000カプセルの速度で2つの白色透明ゼラチンカプセルに処理し、カプセルに実施例1の処方FO、1mLを充填する。カプセルをタンブラー乾燥機中、21℃、相対湿度20%の空気を吹きつけて乾燥し、ついで室温に戻す。
【0081】
【表2】

【0082】
【表3】



(甲5d)「【0091】
実施例4
本発明の組成物は容器中で(a)35%B等級、150 Bloom力の医薬用ゼラチン;(b)15%の氷冷グリセロール;(c)5%チオ硫酸ナトリウム)および(d)45%の氷冷脱イオン水を混合して調製する。混合物を80℃で4時間まで熔融させて熔融物を形成させる。熔融物を60℃に冷却して流動性のゼラチン混合物を形成させ、これを回転ダイ軟質ゼラチンカプセル製造機の2つのスプレッダーボックスに供給し、2つの空気乾燥回転ドラムへの上記混合物の流れを制御し、2つの白色透明なゼラチンリボンを押出し、さらに1時間あたり約15,000カプセルの速度で処理する。ついで、カプセルをタンブラー乾燥機中、21℃、相対湿度20%の空気を吹きつけて乾燥し、ついで室温に戻す。」

(2)上記(1)、特に甲5a及び甲5bから、甲5には、次の発明が記載されていると認められる。

「ポリヒドロキシ−アルコール、ポリヒドロキシ−アルコールのエステル、ジアルキルフタレート;低級アルキルクエン酸エステル(低級アルキルは1〜6個の炭素原子を有する)、グリコール、ポリグリコール、リシノレイン酸およびリシノレイン酸エステル、ソルビトール、グリセロール、プロピレングリコール及びポリエチレングリコールからなる群より選択される可塑剤を含む、ゼラチン及び医薬的に許容される亜硫酸化合物からなり、医薬用のカプセルのシェルの製造に適当な組成物。」(以下「甲5発明」という。)

6.甲6の記載事項、及び甲6に記載された発明(甲6発明)

(1)甲6には以下の事項が記載されている。

(甲6a)「【請求項1】 プルラン及び硬化系を含む膜形成組成物。」

(甲6b)「【請求項20】 1種以上の界面活性剤を含む、請求項1〜19のいずれか1項記載の膜形成組成物。」

(2)上記(1)から、甲6には、次の発明が記載されていると認められる。

「1種以上の界面活性剤を含む、プルラン及び硬化系を含む膜形成組成物。」(以下「甲6発明」という。)

第6 申立ての理由1(特許法第36条第6項第2号明確性違反)について、当審の判断

1.請求項1及び15の「白色皮膜」及び「白色カプセル」について(上記第3の1.(1)ア)

(1)本件明細書には、本件発明の「白色皮膜」及び「白色カプセル」に関して、上記第4で摘記したように、「界面活性剤又は界面活性剤と塩によって皮膜形成時に白色化する」「医薬品製剤等に使用される皮膜形成性組成物」であること(【0001】)及び「通常の着色にも、光に不安定な医薬や食品の製剤化にも好適に使用することができる。」(【0045】)と記載されているから、当業者であれば、前記「白色皮膜」及び「白色カプセル」は、医薬品や食品の製剤等に使用される白色化した皮膜及びカプセルであると明確に理解することができる。

(2)また、白(しろ)という色は、広辞苑(1988年発行、第三版、第六刷、第1228頁参照)にあるとおり「太陽の光線をあらゆる波長にわたって一様に反射することによって見える色。雪のような色。」というのが本件出願日時点の技術常識(以下「技術常識」という。)である。
そして、本件明細書には、本件発明の「白色皮膜」及び「白色カプセル」における「白色」に関して、上記第4で摘記したように、「白色化の程度・・・を、優れた遮光性を与える白色から、ぼんやり濁って見える白色まで調整することができる。」(【0019】)及び「その白色化の程度は調節可能であり、ぼんやりとした白色化から、二酸化チタンと遜色のない遮光性を与える白色化まで調整可能である」(【0045】)と記載されていることから、当業者であれば、当該記載及び上記技術常識から、本件発明の「白色皮膜」及び「白色カプセル」における「白」及び「白色」とは、太陽の光線をあらゆる波長にわたって一様に反射することによって見える雪のような色であって、二酸化チタンと遜色のない優れた遮光性を与えるものから、ぼんやり濁って見えるものまでの範囲の色であると明確に理解することができる。

(3)したがって、請求項1及び15の「白色皮膜」及び「白色カプセル」は明確である。

2.請求項4〜7の「白色度が調節された」及び請求項9の「白色度を変更し得る」について(上記第3の1.(1)イ)

(1)本件発明の「白色度」とは、本件発明の白色皮膜における白色の程度といえるから、上記1.で説示した「白」及び「白色」の範囲内における白色の程度を意味すると解される。
そして、本件明細書には、上記第4で摘記したように、本件発明の「白色度」の指標として「白色割合」及び「白色濃さ」が記載されている(【0051】)。
したがって、本件発明の「白色度」は、当業者であれば、上記1.で説示した「白」及び「白色」の範囲内における白色の程度であって、「白色割合」や「白色濃さ」等によって指標し得るものであると明確に理解することができる。

(2)また、本件明細書には、上記「白色度」の「調節」又は「変更」に関して、上記第4で摘記したように、界面活性剤や塩の添加量によって「白色度」を変化又は変更させること(【0028】〜【0031】)、並びに、具体的な皮膜の組成並びにその白色割合及び白色濃さ(表1〜表10)が記載されていることから、当業者であれば、上記「白色度」の「調節」又は「変更」とは、界面活性剤や塩の添加量によってなし得るものであると明確に理解することができる。

(3)したがって、請求項4〜7の「白色度が調節された」及び請求項9の「白色度を変更し得る」は明確である。

3.請求項11及び請求項15の「経口送達に適した」について(上記第3の1.(1)ウ)

「経口送達に適した」ものとは、当業者であれば、口から食道を通して体内に導入するのに適した機能、特性等を有するものとして、明確に理解することができる。
したがって、請求項11及び請求項15の「経口送達に適した」は明確である。

4.請求項1及び15の「セルロース誘導体」、「水溶性の塩類」、「多価アルコール脂肪酸エステル」、「ポリアルキレンオキサイド誘導体」及び「アルキル硫酸エステル塩」について(上記第3の1.(1)エ、オ)

(1)「セルロース誘導体」について、一般にセルロース誘導体とは、セルロースから誘導される化合物というのが技術常識である。
そして、本件明細書には、本件発明の「セルロース誘導体」に関して、上記第4で摘記したように、「カプセルの基剤として、医薬品や食品に使用可能なものや、医薬や食品製剤のコーティングに使用されるもの」(【0022】)、各種ヒプメロースの例示(【0023】)、及び、各種ヒプメロースを使用した試験例(表1〜8)が記載されていることから、当業者であれば、当該記載及び上記技術常識から、本件発明の「セルロース誘導体」とは、セルロースから誘導されるヒプメロース等であって、カプセルの基剤として、医薬品や食品に使用可能なものや、医薬や食品製剤のコーティングに使用されるものであると、明確に理解することができる。

(2)「水溶性の塩類」について、一般に水溶性の塩類とは、水に溶解性のある塩類であるというのが技術常識である。
そして、本件明細書には、本件発明の「水溶性の塩類」に関して、上記第4で摘記したように、「従来から医薬分野や食品分野で使用されている」「健康上害のない成分」(【0045】)、具体的な水溶性の塩類の例示(【0030】)、及び、具体的な水溶性の塩類を使用した試験例(表1〜10)が記載されていることから、当業者であれば、当該記載及び上記技術常識から、本件発明の「水溶性の塩類」とは、水に溶解性のある、前記【0030】や試験例に記載されたようなものであって、従来から医薬分野や食品分野で使用されている健康上害のないものであると、明確に理解することができる。
また、申立人は、「水溶性の塩類」に関して、本件明細書【0021】には、塩化ナトリウムや塩化カリウムを使用した場合に得られる白色化被膜は、擦ると白さを失う旨記載されているのに対し、本件発明1及び15の「水溶性塩類」から塩化ナトリウム及び塩化カリウムが除外されていないのであるから、前記「水溶性塩類」記載は明確でないという趣旨の主張をしている(上記第3の1.(1)オ)。
しかし、(i)本件発明において、水溶性の塩類を用いる場合は界面活性剤を併用するものであるところ、前記【0021】の記載は、塩化ナトリウムや塩化カリウムを界面活性剤と併用した場合について記載したものとはいえない点、及び、(ii)擦った場合に白さを失うとしても、塩化ナトリウムや塩化カリウムを用いた白色皮膜自体は得られている点を考慮すると、請求項1及び15の「水溶性の塩類」から塩化ナトリウムや塩化カリウムが除外されていないことを根拠として、前記「水溶性の塩類」という記載が不明確であるとはいえない。

(3)「多価アルコール脂肪酸エステル」について、一般に多価アルコール脂肪酸エステルとは、多価のアルコールと脂肪酸とのエステルであるというのが技術常識である。
そして、本件発明の「多価アルコール脂肪酸エステル」は「界面活性剤」であるところ、本件明細書には、本件発明の「多価アルコール脂肪酸エステル」及び「界面活性剤」に関して、上記第4で摘記したように、「従来から医薬分野や食品分野で使用されている」「健康上害のない成分」(【0045】)、具体的な多価アルコール脂肪酸エステルの例示(【0026】)、及び、具体的な多価アルコール脂肪酸エステル使用した試験例(表2、4〜10)が記載されていることから、当業者であれば、当該記載及び上記技術常識から、本件発明の「多価アルコール脂肪酸エステル」とは、多価のアルコールと脂肪酸とのエステルであって、前記【0026】や試験例に記載されたようなものであって、従来から医薬分野や食品分野で使用されている健康上害のないものであると、明確に理解することができる。

(4)「ポリアルキレンオキサイド誘導体」について、一般にポリアルキレンオキサイド誘導体とは、ポリアルキレンオキサイドから誘導される化合物であるというのが技術常識である。
そして、本件発明の「ポリアルキレンオキサイド誘導体」は「界面活性剤」であるところ、上記(3)における説示と同様に、本件明細書における、【0045】の記載、【0026】及び試験例(表1、5、6、9、10)における具体的なポリアルキレンオキサイド誘導体の記載、並びに、上記技術常識から、本件発明の「ポリアルキレンオキサイド誘導体」とは、ポリアルキレンオキサイドから誘導される化合物であり、具体的には前記【0026】や試験例に記載されたようなものであって、従来から医薬分野や食品分野で使用されている健康上害のないものであると、明確に理解することができる。

(5)「アルキル硫酸エステル塩」についても、一般にアルキル硫酸エステル塩とは、アルキルアルコールと硫酸とのエステルの塩であるというのが技術常識である。
そして、本件発明の「アルキル硫酸エステル塩」は「界面活性剤」であるところ、上記(3)における説示と同様に、本件明細書における、【0045】の記載、【0026】及び試験例(表7)における具体的なアルキル硫酸エステル塩の記載、並びに、上記技術常識から、本件発明の「アルキル硫酸エステル塩」とは、アルキルアルコールと硫酸とのエステルの塩であり、具体的には前記【0026】や試験例に記載されたようなものであって、従来から医薬分野や食品分野で使用されている健康上害のないものであると、明確に理解することができる。

5.請求項13の「サポニン(キラヤサポニン、人参サポニン、大豆サポニン、エンジュサポニン、茶種子サポニン、ビートサポニン、ユッカサポニン、グリチルリチン)」について(上記第3の1.(1)カ)

上記第4で摘記した、本件明細書の「好適なサポニンとしては、キラヤサポニン、人参サポニン、大豆サポニン、エンジュサポニン、茶種子サポニン、ビートサポニン、ユッカサポニン、グリチルリチンなどが挙げられる。」(【0027】)という記載から、請求項13の括弧内のキラヤサポニン等が、「又は」でつながれたサポニンの例示を意味することは明らかである。

6.小括

以上のとおり、請求項1、4〜7、9、11、13、15の記載は明確であり、これらのいずれかに従属する請求項2、3、8、10、12、14の記載についても同様に明確であるといえるから、本件特許の特許請求の範囲の記載は、特許法第36条第6項第2号の要件を満たすものである。

第7 申立ての理由2(特許法第36条第6項第1号:サポート要件違反)について、当審の判断

1.本件発明1及び15の「白色皮膜」及び「白色カプセル」について(上記第3の1.(2)ア、イ)

(1)本件特許の明細書の発明の詳細な説明(以下、単に「本件明細書」ともいう。)には、本件発明の「白色皮膜」及び「白色カプセル」は、上記第4で摘記したように、「食品や医薬品を含む多くの産業分野では二酸化チタン粉末が遮光剤として広く使用されているのが現状」であったところ(【0010】)、「二酸化チタンの発がん性」が「グループ2B(ヒトに対する発がん性が疑われる)に分類」されて「二酸化チタンに代わる遮光剤の開発がより一層望まれる」状況になり、「二酸化チタンに代わりうる遮光方法を開発」する課程において(【0011】〜【0012】)、発明されたものであることが記載されている。
そして、本件明細書には、本件発明の「白色皮膜」及び「白色カプセル」は、「皮膜形成ポリマーの種類に応じた無色の界面活性剤、又は無色の界面活性剤に無色の塩類を組み合わせて添加することにより、皮膜形成時に皮膜が白色化し」(【0013】)、「二酸化チタンを使用することなく、美しい白色若しくは遮光性の着色フィルムやカプセルを提供でき」(【0017】)、「白色化の程度は使用する界面活性剤の種類、使用量、組み合わせる塩によって調節可能であるため、その程度を、優れた遮光性を与える白色から、ぼんやり濁って見える白色まで調整することができ」(【0019】)、そして、「発がん性が懸念される二酸化チタンを使用することなく、皮膜の白色化を行うことができ」て「その白色化の程度」が「ぼんやりとした白色化から、二酸化チタンと遜色のない遮光性を与える白色化まで調整可能である」(【0045】)という効果を発揮するものであることが記載されている。
したがって、本件発明の課題は、発がん性が懸念される二酸化チタンを使用せずに、二酸化チタンと遜色のない優れた遮光性を与える白色から、ぼんやり濁って見える白色までの白色皮膜及び白色カプセルを提供することと認められる。

(2)また、本件明細書には、本件発明の「白色皮膜」及び「白色カプセル」を構成する、皮膜形成性高分子成分のセルロース誘導体、ゼラチン及びプルラン、界面活性剤である多価アルコール脂肪酸エステル等、並びに、水溶性の塩類に関して、上記第4で摘記したように、それぞれに該当する具体的な物質名及びその添加量、並びに、白色皮膜及び白色カプセルの白色度を前記添加量によって変化させることが記載されている(【0022】〜【0031】)。
さらに本件明細書には、上記第4で摘記したように、本件発明の「白色皮膜」及び「白色カプセル」に該当する具体的なものとして、二酸化チタンを使用せずに、皮膜形成性高分子成分と界面活性剤又は界面活性剤及び水溶性の塩類とを含有する、多様な組成のものも記載されており(表1〜10)、その白色割合及び白色濃さの結果からみて、上記課題を解決していると解される。

(3)したがって、本件特許の明細書の発明の詳細な説明には、本件発明1及び15の「白色皮膜」及び「白色カプセル」によって本件発明の上記課題を解決できることを、当業者が認識できるように記載されているといえる。
したがって、本件発明1及び15の「白色皮膜」及び「白色カプセル」については、本件特許の明細書の発明の詳細な説明に記載されたものである。

(4)申立人は、本件明細書には、医療用又は食品に使用される「白色皮膜」以外の皮膜は記載されていないので、本件発明1及び15は、本件特許の明細書の発明の詳細な説明に記載した範囲を超えるものであるという趣旨の主張をしている(上記第3の1.(2)ア)。
しかし、本件明細書に、医薬品や食品に使用される白色皮膜以外の白色皮膜についての記載がないことは、上記(1)〜(3)の判断には影響しない。

(5)申立人は、本件発明1及び15は、白色割合が100%未満であって、遮光性能が不完全なものを含むから、本件発明1及び15は本件発明が解決すべき課題が解決できていない範囲を含んでいるという趣旨の主張をしている(上記第3の1.(2)イ)。
しかし、白色割合が100%未満であって、遮光性能が不完全なものについても、上記(1)で説示した、「二酸化チタンと遜色のない優れた遮光性を与える白色から、ぼんやり濁って見える白色までの白色皮膜又は白色カプセル」に該当するのであるから、本件発明の課題を解決できるものであると解される。

2.本件発明4〜7の「白色度が調節された」及び本件発明9の「白色度を変更し得る」について(上記第3の1.(2)ウ)

(1)本件発明の「白色度」とは、本件発明の白色皮膜における白色の程度といえるところ、本件明細書には、上記第4で摘記したように、その指標として「白色割合」及び「白色濃さ」が記載されている(【0051】)。
したがって、当業者であれば、本件発明4〜7の「白色度が調節された」及び本件発明9の「白色度を変更し得る」の「白色度」とは、本件発明の白色皮膜における白色の程度であって、上記「白色割合」及び「白色濃さ」等で指標されるものと理解することができる。

(2)そして、本件発明4〜7の「白色度が調節された」の「調節」及び本件発明9の「白色度を変更し得る」の「変更」に関して、本件明細書には、上記第4で摘記したように、界面活性剤や塩の添加量によって「白色度」を変化又は変更させること(【0028】〜【0031】)、並びに、具体的な界面活性剤や塩を使用した白色皮膜並びにその各皮膜における白色割合及び白色濃さ(表1〜表10)が記載されていることから、本件明細書には、前記「白色度」を「調節」又は「変更」する方法や、当該調節又は変更によって上記1.(1)で説示した本件発明の課題が解決できることが記載されているといえる。

(3)したがって、本件発明4〜7の「白色度が調節された」及び本件発明9の「白色度を変更し得る」については、本件特許の明細書の発明の詳細な説明において、当該「白色度」の「調節」又は「変更」によって本件発明の上記課題を解決できることを当業者が認識できるように記載されているといえる。
したがって、本件発明4〜7の「白色度が調節された」及び本件発明9の「白色度を変更し得る」については、本件特許の明細書の発明の詳細な説明に記載されたものである。

3.本件発明8の「水溶性の塩類がナトリウム塩及び/又はカリウム塩及び/又はアンモニウム塩である」について(上記第3の1.(2)エ)

(1)上記2.(2)で説示したとおり、本件明細書には、界面活性剤や塩の添加量によって「白色度」を変化又は変更させること(【0028】〜【0031】)、並びに、具体的な塩を使用した白色皮膜並びにその各皮膜における白色割合及び白色濃さ(表1〜表10)が記載されているし、また、本件明細書には、上記第4で摘記したように、前記塩として、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩が、具体例と共に例示されてもいる(【0030】)。
してみると、本件発明8の「水溶性の塩類がナトリウム塩及び/又はカリウム塩及び/又はアンモニウム塩である」については、本件特許の明細書の発明の詳細な説明において、当該「ナトリウム塩」、「カリウム塩」又は「アンモニウム塩」によって本件発明の上記課題を解決できることを当業者が認識できるように記載されているといえる。
したがって、本件発明8の「水溶性の塩類がナトリウム塩及び/又はカリウム塩及び/又はアンモニウム塩である」については、本件特許の明細書の発明の詳細な説明に記載されたものである。

(2)申立人は、本件発明8の「水溶性の塩類がナトリウム塩及び/又はカリウム塩及び/又はアンモニウム塩である」について、「及び」と「又は」の関係や係り受けが不明であるから、明確でないという趣旨の主張をしている。
しかし、本件発明8の「水溶性の塩類がナトリウム塩及び/又はカリウム塩及び/又はアンモニウム塩である」は、「水溶性の塩類」が「ナトリウム塩」、「カリウム塩」又は「アンモニウム塩」のうちの1以上を指すことが日本語の文章から明らかであるから、明確である。

4.本件発明1及び15の「セルロース誘導体」について(上記第3の1.(2)オ)

(1)本件発明の課題は、上記第4で摘記したように、「皮膜形成ポリマーの種類に応じた無色の界面活性剤、又は無色の界面活性剤に無色の塩類を組み合わせて添加すること」による皮膜の白色化(【0013】)によって解決されるものである。
そして、本件明細書には、上記「皮膜形成ポリマー」を構成する「セルロース誘導体」として、「カプセルの基剤として、医薬品や食品に使用可能なものや、医薬や食品製剤のコーティングに使用される」「セルロース誘導体」及びその具体例(【0022】〜【0023】)が記載されており、さらに、前記具体例に該当する各種ヒプメロース(HPMC2910、HPMC2208、HPMC2906)等を使用した試験例(表1〜8)において本件発明の課題を解決できたことが記載されている。

(2)してみると、本件発明1及び15の「セルロース誘導体」として、医薬品や食品に使用可能なものや、医薬や食品製剤のコーティングに使用されるものを用いれば本件発明の課題を解決できることを、当業者は認識できるといえる。

(3)したがって、本件発明1及び15の「セルロース誘導体」については、本件特許の明細書の発明の詳細な説明において、当該「セルロース誘導体」によって本件発明の上記課題を解決できることを当業者が認識できるように記載されているといえる。

5.本件発明1及び15の「水溶性の塩類」について(上記第3の1.(2)カ)

(1)上記4.(1)で説示したとおり、本件発明の課題は、「皮膜形成ポリマーの種類に応じた無色の界面活性剤、又は無色の界面活性剤に無色の塩類を組み合わせて添加すること」による皮膜の白色化によって解決されるものである。
そして、本件発明は、上記「塩類」として「水溶性の塩類」を用いるものであるところ、本件明細書には、上記「塩類」の具体例が記載されている(【0030】)。
さらに、本件明細書には、各種の具体的な水溶性の塩類を使用した試験例(表1〜10)において、本件発明の課題を解決できたことが記載されている。

(2)してみると、当業者であれば、上記(1)で説示した試験例(表1〜10)で使用された水溶性の塩類だけでなく、それと同様に水溶性である他の塩類についても、皮膜形成ポリマーの種類に応じて適宜添加することによって、本件発明の課題が解決できると認識できる。

(3)したがって、本件発明1及び15の「水溶性の塩類」については、本件特許の明細書の発明の詳細な説明において、当該「水溶性の塩類」によって本件発明の上記課題を解決できることを当業者が認識できるように記載されているといえる。

(4)申立人は、「水溶性の塩類」に関して、本件明細書【0021】には、塩化ナトリウム及び塩化カリウムを使用した場合に得られる白色化被膜は、擦ると白さを失う旨記載されているので、塩化ナトリウムや塩化カリウムを除外していない「水溶性の塩類」を用いる本件発明1及び15は、本件発明の課題を解決するための構成を欠いているという趣旨の主張をしている。
しかし、(i)本件発明は界面活性剤を併用するものであるところ、前記【0021】の記載は、界面活性剤を併用した場合について記載したものとはいえない点、及び、(ii)擦った場合に白さを失うとしても、塩化ナトリウムや塩化カリウムを用いた白色皮膜自体は得られている点を考慮すると、本件発明1及び15の「水溶性の塩類」として塩化ナトリウム又は塩化カリウムを用いた場合であっても、本件発明の課題を解決できると解される。

6.本件発明1及び15の「前記界面活性剤が、多価アルコール脂肪酸エステル、ポリプロピレングリコール、ポリアルキレンオキサイド誘導体、およびアルキル硫酸エステル塩及びサポニンから選択されることを特徴とする」について(上記第3の1.(2)キ)

(1)上記4.(1)で説示したとおり、本件発明の課題は、「皮膜形成ポリマーの種類に応じた無色の界面活性剤、又は無色の界面活性剤に無色の塩類を組み合わせて添加すること」による皮膜の白色化によって解決されるものである。
そして、本件発明は、上記「界面活性剤」として、「多価アルコール脂肪酸エステル、ポリプロピレングリコール、ポリアルキレンオキサイド誘導体、およびアルキル硫酸エステル塩及びサポニンから選択される」ものを用いるものであって(【0025】)、本件明細書には、上記「界面活性剤」の具体例が記載されている(【0026】〜【0027】)。
さらに、本件明細書には、各種の具体的な界面活性剤を使用した試験例(表1〜10)が記載されており、当該試験例は、上記1.(2)で説示したように、本件発明の課題を解決できたものである。

(2)してみると、当業者であれば、上記(1)で説示した試験例(表1〜10)で使用された界面活性剤だけでなく、それと同様の界面活性作用を有する他の界面活性剤(【0025】に記載される「多価アルコール脂肪酸エステル、ポリプロピレングリコール、ポリアルキレンオキサイド誘導体、およびアルキル硫酸エステル塩及びサポニンから選択される」もの)についても、皮膜形成ポリマーの種類に応じて適宜添加することによって、本件発明の課題が解決できることを認識できるといえる。

(3)したがって、本件発明1及び15の「前記界面活性剤が、多価アルコール脂肪酸エステル、ポリプロピレングリコール、ポリアルキレンオキサイド誘導体、およびアルキル硫酸エステル塩及びサポニンから選択されることを特徴とする」については、本件特許の明細書の発明の詳細な説明において、当該「界面活性剤」によって本件発明の上記課題を解決できることを当業者が認識できるように記載されているといえる。

(4)申立人は、フィルムが白色化するか否かは、界面活性剤の種類や含有量に依存するという本件出願日時点の技術常識に照らすと、本件発明1及び15の界面活性剤の範囲まで、上記試験例(表1〜10)のものを一般化できるとはいえない、という趣旨の主張をしている。
しかし、上記(2)で説示したように、【0025】に記載される「多価アルコール脂肪酸エステル、ポリプロピレングリコール、ポリアルキレンオキサイド誘導体、およびアルキル硫酸エステル塩及びサポニンから選択される」ものである界面活性剤は、上記試験例(表1〜10)で用いられた各種の具体的な界面活性剤と同様の界面活性作用を有するものであるから、当業者は、本件発明1及び15の界面活性剤の範囲まで、上記試験例(表1〜10)のものを拡張ないし一般化できるといえる。

7.本件発明1及び15の「界面活性剤および水溶性の塩類」を白色化剤として使用する構成について(上記第3の1.(2)ク)

(1)上記5.及び6.で説示したとおり、本件発明の「界面活性剤」及び「水溶性の塩類」によって、本件発明の課題が解決できる。
そして、本件発明の課題は、上記4.(1)で説示したように、「皮膜形成ポリマーの種類に応じた無色の界面活性剤、又は無色の界面活性剤に無色の塩類を組み合わせて添加すること」による皮膜の白色化によって解決されるものであるし、上記第4で摘記したように、本件明細書の表1〜10には、本件発明の「界面活性剤」及び「水溶性の塩類」によって白色化した皮膜が記載されているのであるから、本件発明において、「界面活性剤および水溶性の塩類」は白色化剤として機能するものといえる。

(2)したがって、本件発明1及び15の「界面活性剤および水溶性の塩類」を白色化剤として使用する構成については、本件特許の明細書の発明の詳細な説明において、当該構成によって本件発明の上記課題を解決できることを当業者が認識できるように記載されているといえる。

(3)申立人は、本件明細書の試験例の結果を踏まえると、少なくともHPMCを含むカプセルにおいて、界面活性剤はカプセルの白色化に貢献していないと解されるから、本件発明1及び15の界面活性剤を用いても本件発明の課題を解決できない、という趣旨の主張をしている。
しかし、本件明細書の試験例のうち、ヒプメロース(HPMC)を用いた本件発明に該当する試験例では、ヒプロメロース及び界面活性剤にさらに水溶性の塩類を添加することにより白色化している。
そして、本件発明1及び15において、皮膜形成性高分子成分がセルロース誘導体である場合は、界面活性剤及び水溶性の塩の両方を組み合わせることが特定されていること、及び【0013】の「無色の界面活性剤に無色の塩類を組み合わせて添加することにより、皮膜形成時に皮膜が白色化し」という記載を参酌すると、HPMC等のセルロース誘導体を用いる場合には、界面活性剤及び水溶性の塩とを組み合わせた白色化剤を使用するのであるから、界面活性剤は水溶性の塩とともに白色化に貢献しているといえる。

8.本件発明11及び15の「経口送達に適した」について(上記第3の1.(2)ケ)

(1)本件明細書には、上記第4で摘記したように、本件発明の応用先として「口内分散性フィルム製剤、錠剤や顆粒のコーティング、可食性フィルム製品、食品用インク」が例示されており、これらは、口から食道を通して体内に導入する、経口送達のものである。

(2)したがって、本件発明11及び15の「経口送達に適した」について、「経口送達に適した」構成を有する本件発明については、本件特許の明細書の発明の詳細な説明において、当該構成を有する本件発明によって本件発明の上記課題を解決できることを当業者が認識できるように記載されているといえる。

9.本件発明13について(上記第3の1.(2)コ)

(1)上記4.〜6.で説示したとおり、本件発明の「セルロース誘導体」、「界面活性剤」及び「水溶性の塩類」によって、本件発明の課題が解決できるものであり、そのうちの「セルロース誘導体」と「界面活性剤」を本件発明13に規定された組合せのものとした場合においても、本件発明の課題が解決できるといえる。

(2)申立人は、本件発明においてセルロース誘導体と界面活性剤を組み合わせて用いる場合は、水溶性の塩類も組み合わせて使用されるものであるにも関わらず、本件発明13には水溶性の塩類に関する規定がないので、本件発明13は、本件発明の課題を解決するための必要事項を欠いている、という趣旨の主張をしている。
しかし、本件発明13は本件発明11又は12を引用するものであり、本件発明11又は12は、本件発明1〜10のいずれかを引用するものであって、本件発明2〜10は本件発明1を直接的又は間接的に引用するものであるところ、本件発明1には、皮膜形成性高分子成分がセルロース誘導体である場合は、界面活性剤と水溶性の塩を組み合わせた白色化剤を使用することが特定されている。
そうすると、本件発明13においても、セルロース誘導体と界面活性剤を組み合わせて用いる場合に、水溶性の塩類も組み合わせて使用することが特定されていることは自明である。

10.本件発明においてプルランを用いる構成について(上記第3の1.(2)サ)

上記第4で摘記した表9には、本件発明においてプルランを用いた場合の具体的な試験例が記載されており、当該試験例は、上記1.(2)で説示したように、本件発明の課題を解決できたものである。
したがって、本件発明においてプルランを用いる構成については、本件特許の明細書の発明の詳細な説明において、当該構成によって本件発明の上記課題を解決できることを当業者が認識できるように記載されているといえる。

申立人は、本件発明1及び15に規定された界面活性剤を含むプルラン膜が、白色皮膜としての要件を満たしていない、という趣旨の主張をしている。
しかし、上記4.(1)で説示したとおり、本件発明の課題は、「皮膜形成ポリマーの種類に応じた無色の界面活性剤、又は無色の界面活性剤に無色の塩類を組み合わせて添加すること」による皮膜の白色化によって解決されるものであること、及び本件発明1及び15において「ゼラチン又はプルランには界面活性剤または界面活性剤および水溶性の塩類からなる白色化剤を使用」することが特定されていることを参酌すると、本件発明1及び15において「皮膜形成ポリマー」としてプルランを用いる場合は、プルランに応じた界面活性剤や塩類を用いて本件発明の課題が解決できることを、当業者は認識できるといえる。

11.小括

以上のとおり、本件発明1、4〜9、11、13、15は、本件特許の明細書の発明の詳細な説明に記載されたものであり、これらのいずれかに従属する本件発明2、3、10、12、14についても同様に本件特許の明細書の発明の詳細な説明に記載されたものといえるから、本件特許の特許請求の範囲の記載は、特許法第36条第6項第1号の要件を満たすものである。

第8 申立ての理由3(特許法第36条第4項第1号実施可能要件違反)について、当審の判断

本件発明4〜7の「白色度が調節された」及び本件発明9の「白色度を変更し得る」について、「白色度」の意味は、上記第7の2.(1)で説示したとおりであり、それを「調節」又は「変更」する方法は、上記第7の2.(2)で説示したとおり、本件特許の明細書の発明の詳細な説明に記載されている。
また、上記第7の4.〜8.又は10.で説示したとおり、本件発明1及び15の「セルロース誘導体」、「水溶性の塩類」若しくは「界面活性剤」、同発明の「界面活性剤および水溶性の塩類」を白色化剤として使用する構成、本件発明11及び15の「経口送達に適した」構成、又は、本件発明においてプルランを用いる構成によって、皮膜の白色化が達成されることは、本件特許の明細書の発明の詳細な説明に記載されている。
したがって、本件特許の明細書の発明の詳細な説明は、本件発明1、4〜7、9、11、15について、当業者が実施することができる程度に明確且つ十分に記載したものであり、前記発明のいずれかに従属する本件発明2、3、8、10、12〜14についても同様であるから、本件特許の明細書の発明の詳細な説明の記載は、特許法第36条第4項第1号の要件を満たすものである。

第9 申立ての理由4(特許法第29条第1項新規性欠如)について、当審の判断
(当審合議体注:職権により、申立ての理由となっていない、本件発明と甲4発明又は甲6発明との対比判断も示す。また、第9における「技術常識」は、本件優先日時点の技術常識を意味する。)

1.本件発明1について

本件発明1は、上記第2で説示したとおりである。

(1)甲1発明との対比及び判断

ア 甲1発明は、上記第5の1.(2)で説示したとおりである。
そして、甲1発明の「ヒドロキシプロピルメチルセルロース等の水溶性セルロース誘導体」は、本件発明1の「皮膜形成性高分子成分」及び「セルロース誘導体」に相当し、甲1発明の「非透明皮膜組成物」は、本件発明1の「白色皮膜」と、組成物である点において共通する。
また、甲1発明は、白色顔料を含まないといえる。
したがって、両者の発明の一致点・相違点は以下のとおりである。
なお本(1)において、本件発明1とは、特に断りがない限り、本件発明1のうちの「皮膜形成性高分子成分」が「セルロース誘導体」であって、「界面活性剤および水溶性の塩類からなる白色化剤」を含む発明を意味することとする。

<一致点>
「皮膜形成性高分子成分を含む組成物であって、
前記組成物は白色顔料を含まず、
皮膜形成性高分子成分はセルロース誘導体を含む、
前記組成物。」

<相違点1−1>
組成物が、本件発明1では「白色皮膜」であるのに対して、甲1発明では「非透明皮膜組成物」である点。

<相違点1−2>
本件発明1では、「多価アルコール脂肪酸エステル、ポリプロピレングリコール、ポリアルキレンオキサイド誘導体、およびアルキル硫酸エステル塩及びサポニンから選択される」「界面活性剤および水溶性の塩類からなる白色化剤を含」むのに対して、甲1発明では「一価〜三価の金属を含有する水溶性金属化合物」を含む点。

イ 相違点1−2について、甲1には、上記第5の1.(1)で摘記した甲1cのとおり、「可塑剤」「を加えることができる」こと、及び、当該可塑剤として「ポリオキシエチレン(105)ポリオキシプロピレン(5)グリコール,ポリソルベート80,平均分子量が1500、400、4000、600または6000のポリエチレングリコール(PEG1500,PEG400,PEG4000,PEG600,PEG6000)」という、本件発明1の界面活性剤である「ポリアルキレンオキサイド誘導体」に該当する可塑剤が記載されている。
しかし、上記「ポリオキシエチレン(105)ポリオキシプロピレン(5)グリコール」等の特定の可塑剤を使用した具体的な発明は、甲1に記載されていないし、本件優先日時点の技術常識に照らして甲1に記載されているに等しいともいえないから、相違点1−2は実質的な相違点である。

ウ よって、相違点1−1について検討するまでもなく、本件発明1は甲1発明ではない。

エ また、本件発明1のうち、上記説示した、「皮膜形成性高分子成分」が「セルロース誘導体」であって、「界面活性剤および水溶性の塩類からなる白色化剤」を含む発明以外の発明についても、甲1発明と上記相違点1−2の点で相違することからみて、同様に甲1発明ではない。

(2)甲2発明との対比及び判断

ア 甲2発明は、上記第5の2.(2)で説示したとおりである。
そして、甲2発明の「ゼラチン」は、本件発明1の「皮膜形成性高分子成分」に相当し、甲2発明の「可食性界面活性剤」は、本件発明1の「界面活性剤」と「界面活性剤」である点において共通し、甲2発明の「硬質ゼラチンカプセルのバンドシール液」は、本件発明1の「白色皮膜」と、組成物である点において共通する。
また、甲2発明は、白色顔料を含まないといえる。
したがって、両者の発明の一致点・相違点は以下のとおりである。
なお本(2)において、本件発明1とは、特に断りがない限り、本件発明1のうちの「皮膜形成性高分子成分」が「ゼラチン」であって、「界面活性剤」「からなる白色化剤」を含む発明を意味することとする。

<一致点>
「皮膜形成性高分子成分と、界面活性剤を含む組成物であって、
前記組成物は白色顔料を含まず、
皮膜形成性高分子成分はゼラチンを含み、
界面活性剤を含む、
組成物。」

<相違点2−1>
組成物が、本件発明1では「白色皮膜」であるのに対して、甲2発明では「硬質ゼラチンカプセルのバンドシール液」である点。

<相違点2−2>
本件発明1では、「多価アルコール脂肪酸エステル、ポリプロピレングリコール、ポリアルキレンオキサイド誘導体、およびアルキル硫酸エステル塩及びサポニンから選択される」「界面活性剤」「からなる白色化剤を含」むのに対して、甲2発明では「可食性界面活性剤」を含む点。

イ 相違点2−1について、甲2には、上記第5の2.(1)で摘記した甲2bのとおり、「可食性界面活性剤」について、「界面活性剤の種類にもよるが、添加量が3重量%以上になると乾燥後のフィルムが半透明・乳白色となるので用途が限定される。」と記載されている。
しかし、甲2発明は「硬質ゼラチンカプセルのバンドシール液」であって「白色皮膜」ではないうえに、甲2には、上記「乾燥後のフィルムが半透明・乳白色となる」「界面活性剤の種類」や、実際「乾燥後のフィルムが半透明・乳白色となる」という特定の「界面活性剤」を配合した「硬質ゼラチンカプセルのバンドシール液」の発明が記載されていないし、当該発明が本件優先日時点の技術常識に照らして甲2に記載されているに等しいともいえないから、相違点2−1は実質的な相違点である。

ウ よって、相違点2−2について検討するまでもなく、本件発明1は甲2発明ではない。

エ また、本件発明1のうち、上記説示した、「皮膜形成性高分子成分」が「ゼラチン」であって、「界面活性剤」「からなる白色化剤」を含む発明以外の発明についても、甲2発明に対して上記相違点2−1の点で相違することからみて、同様に甲2発明ではない。

(3)甲3発明との対比及び判断

ア 甲3発明は、上記第5の3.(2)で説示したとおりである。
そして、甲3発明の「ゼラチン」は、本件発明1の「皮膜形成性高分子成分」に相当し、甲3発明の「皮膜組成物」は、本件発明1の「白色皮膜」と、組成物である点において共通する。
また、甲3発明は、白色顔料を含まないといえる。
したがって、両者の発明の一致点・相違点は以下のとおりである。
なお本(3)において、本件発明1とは、特に断りがない限り、本件発明1のうちの「皮膜形成性高分子成分」が「ゼラチン」であって、「界面活性剤」「からなる白色化剤」を含む発明を意味することとする。

<一致点>
「皮膜形成性高分子成分を含む組成物であって、
前記組成物は白色顔料を含まず、
皮膜形成性高分子成分はゼラチンを含む、
組成物。」

<相違点3−1>
組成物が、本件発明1では「白色皮膜」であるのに対して、甲3発明では「軟カプセル用の皮膜組成物」である点。

<相違点3−2>
本件発明1では、「多価アルコール脂肪酸エステル、ポリプロピレングリコール、ポリアルキレンオキサイド誘導体、およびアルキル硫酸エステル塩及びサポニンから選択される」「界面活性剤」「からなる白色化剤を含」むのに対して、甲3発明では「遮光剤として天然油と界面活性剤の群から選ばれる少なくとも1つの化合物を含有する」点。

イ 相違点3−1について、甲3には、「軟カプセル用の皮膜組成物」から白色の皮膜を作ることが記載されていないから、相違点3−1は実質的な相違点である。

ウ よって、相違点3−2について検討するまでもなく、本件発明1は甲3発明ではない。

エ また、本件発明1のうち、上記説示した、「皮膜形成性高分子成分」が「ゼラチン」であって、「界面活性剤」「からなる白色化剤」を含む発明以外の発明についても、甲3発明に対して上記相違点3−1の点で相違することからみて、同様に甲3発明ではない。

(4)甲4発明との対比及び判断

ア 甲4発明は、上記第5の4.(2)で説示したとおりである。
そして、甲4発明の「ゼラチン」は、本件発明1の「皮膜形成性高分子成分」に相当し、甲4発明の「カプセル皮膜成形用ゼラチン組成物」は、本件発明1の「白色皮膜」と、組成物である点において共通する。
また、甲4発明は、白色顔料を含まないといえる。
したがって、両者の発明の一致点・相違点は以下のとおりである。
なお本(4)において、本件発明1とは、特に断りがない限り、本件発明1のうちの「皮膜形成性高分子成分」が「ゼラチン」であって、「界面活性剤」「からなる白色化剤」を含む発明を意味することとする。

<一致点>
「皮膜形成性高分子成分を含む組成物であって、
前記組成物は白色顔料を含まず、
皮膜形成性高分子成分はゼラチンを含む、
組成物。」

<相違点4−1>
組成物が、本件発明1では「白色皮膜」であるのに対して、甲4発明では「カプセル皮膜成形用ゼラチン組成物」である点。

<相違点4−2>
本件発明1では、「多価アルコール脂肪酸エステル、ポリプロピレングリコール、ポリアルキレンオキサイド誘導体、およびアルキル硫酸エステル塩及びサポニンから選択される」「界面活性剤」「からなる白色化剤を含」むのに対して、甲4発明では「色素、界面活性剤、可塑剤およびポリエチレングリコールから群より選択される少なくとも1種の添加物を含む」点。

イ 相違点4−1について、甲4には、「カプセル皮膜成形用ゼラチン組成物」から白色の皮膜を作ることが記載されていないから、相違点4−1は実質的な相違点である。

ウ よって、相違点4−2について検討するまでもなく、本件発明1は甲4発明ではない。

エ また、本件発明1のうち、上記説示した、「皮膜形成性高分子成分」が「ゼラチン」であって、「界面活性剤」「からなる白色化剤」を含む発明以外の発明についても、甲4発明に対して上記相違点4−1の点で相違することからみて、同様に甲4発明ではない。

(5)甲5発明との対比及び判断

ア 甲5発明は、上記第5の5.(2)で説示したとおりである。
そして、甲5発明の「ゼラチン」は、本件発明1の「皮膜形成性高分子成分」に相当し、甲5発明の「医薬用のカプセルのシェルの製造に適当な組成物」は、本件発明1の「白色皮膜」と、組成物である点において共通する。
また、甲5発明は、白色顔料を含まないといえる。
したがって、両者の発明の一致点・相違点は以下のとおりである。
なお本(5)において、本件発明1とは、特に断りがない限り、本件発明1のうちの「皮膜形成性高分子成分」が「ゼラチン」であって、「界面活性剤」「からなる白色化剤」を含む発明を意味することとする。

<一致点>
「皮膜形成性高分子成分を含む組成物であって、
前記組成物は白色顔料を含まず、
皮膜形成性高分子成分はゼラチンを含む、
組成物。」

<相違点5−1>
組成物が、本件発明1では「白色皮膜」であるのに対して、甲5発明では「医薬用のカプセルのシェルの製造に適当な組成物」である点。

<相違点5−2>
本件発明1では、「多価アルコール脂肪酸エステル、ポリプロピレングリコール、ポリアルキレンオキサイド誘導体、およびアルキル硫酸エステル塩及びサポニンから選択される」「界面活性剤」「からなる白色化剤を含」むのに対して、甲5発明では「ポリヒドロキシ−アルコール、ポリヒドロキシ−アルコールのエステル、ジアルキルフタレート;低級アルキルクエン酸エステル(低級アルキルは1〜6個の炭素原子を有する)、グリコール、ポリグリコール、リシノレイン酸およびリシノレイン酸エステルからなる群より選択される可塑剤を含む」点。

イ 相違点5−1について、甲5には、「医薬用のカプセルのシェルの製造に適当な組成物」から白色の皮膜を作ることが記載されていないから、相違点5−1は実質的な相違点である。

ウ よって、相違点5−2について検討するまでもなく、本件発明1は甲5発明ではない。

エ また、本件発明1のうち、上記説示した、「皮膜形成性高分子成分」が「ゼラチン」であって、「界面活性剤」「からなる白色化剤」を含む発明以外の発明についても、甲5発明に対して上記相違点5−1の点で相違することからみて、同様に甲5発明ではない。

(6)甲6発明との対比及び判断

ア 甲6発明は、上記第5の6.(2)で説示したとおりである。
そして、甲6発明の「プルラン」は、本件発明1の「皮膜形成性高分子成分」に相当し、甲6発明の「膜形成組成物」は、本件発明1の「白色皮膜」と、組成物である点において共通する。
また、甲6発明は、白色顔料を含まないといえる。
したがって、両者の発明の一致点・相違点は以下のとおりである。
なお本(5)において、本件発明1とは、特に断りがない限り、本件発明1のうちの「皮膜形成性高分子成分」が「プルラン」であって、「界面活性剤」「からなる白色化剤」を含む発明を意味することとする。

<一致点>
「皮膜形成性高分子成分と、界面活性剤を含む組成物であって
前記組成物は白色顔料を含まず、
皮膜形成性高分子成分はプルランを含む、
組成物。」

<相違点6−1>
組成物が、本件発明1では「白色皮膜」であるのに対して、甲6発明では「膜形成組成物」である点。

<相違点6−2>
本件発明1では、「多価アルコール脂肪酸エステル、ポリプロピレングリコール、ポリアルキレンオキサイド誘導体、およびアルキル硫酸エステル塩及びサポニンから選択される」「界面活性剤」「からなる白色化剤を含」むのに対して、甲5発明では、界面活性剤を白色化剤とすることも、その種類も規定されていない点。

イ 相違点6−1について、甲6には、「膜形成組成物」から白色の皮膜を作ることが記載されていないから、相違点6−1は実質的な相違点である。

ウ よって、相違点6−2について検討するまでもなく、本件発明1は甲6発明ではない。

エ また、本件発明1のうち、上記説示した、「皮膜形成性高分子成分」が「プルラン」であって、「界面活性剤」「からなる白色化剤」を含む発明以外の発明についても、甲6発明に対して上記相違点6−1の点で相違することからみて、同様に甲6発明ではない。

2.本件発明2〜15について

本件発明2〜15は、上記第2で説示したとおりである。
まず、本件発明2〜14は、いずれも本件発明1を限定するものであるし、本件発明15のうち「白色皮膜」の製造にかかる発明は、本件発明1の白色皮膜を製造する工程を含むものである。
そして、本件発明1は、上記1.で説示したとおり、甲1発明〜甲6発明のいずれでもない。
したがって、本件発明2〜14及び本件発明15のうち「白色皮膜」の製造にかかる発明は、甲1発明〜甲6発明のいずれでもない。

また、本件発明15のうち「白色皮膜」の製造にかかる発明以外、すなわち、「白色カプセル」の製造に係る発明は、本件発明1における「白色皮膜」を「白色カプセル」に代えたものを製造する工程を含むものである。
そして、本件発明1の「白色皮膜」を「白色カプセル」に代えた発明については、上記1.の説示における「白色皮膜」を「白色カプセル」に読み替えたとおりであって、甲1発明〜甲6発明のいずれでもないといえる。
したがって、本件発明15のうち「白色皮膜」の製造にかかる発明以外の発明についても、甲1発明〜甲6発明のいずれでもない。

3.小括

以上のとおり、本件発明1〜15は、甲1〜甲6のいずれに記載された発明でもないから、特許法第29条第1項の規定に違反して特許された発明とはいえない。

第10 申立ての理由5(特許法第29条第2項進歩性欠如)について、当審の判断(当審合議体注:職権により、申立ての理由となっていない甲1ないし甲6発明の組合せについても判断を示す。)

1.本件発明1について

本件発明1は、上記第2で説示したとおりである。

(1)甲1発明との対比及び判断

ア 甲1発明は、上記第5の1.(2)で説示したとおりである。
そして、甲1発明の「ヒドロキシプロピルメチルセルロース等の水溶性セルロース誘導体」は、本件発明1の「皮膜形成性高分子成分」及び「セルロース誘導体」に相当し、甲1発明の「非透明皮膜組成物」は、本件発明1の「白色皮膜」と、組成物である点において共通する。
また、甲1発明は、白色顔料を含まないといえる。
したがって、両者の発明の一致点・相違点は以下のとおりである。
なお本(1)において、本件発明1とは、特に断りがない限り、本件発明1のうちの「皮膜形成性高分子成分」が「セルロース誘導体」であって、「界面活性剤および水溶性の塩類からなる白色化剤」を含む発明を意味することとする。

<一致点>
「皮膜形成性高分子成分を含む組成物であって、
前記組成物は白色顔料を含まず、
皮膜形成性高分子成分はセルロース誘導体を含む、
前記組成物。」

<相違点1−1>
組成物が、本件発明1では「白色皮膜」であるのに対して、甲1発明では「非透明皮膜組成物」である点。

<相違点1−2>
本件発明1では、「多価アルコール脂肪酸エステル、ポリプロピレングリコール、ポリアルキレンオキサイド誘導体、およびアルキル硫酸エステル塩及びサポニンから選択される」「界面活性剤および水溶性の塩類からなる白色化剤を含」むのに対して、甲1発明では「一価〜三価の金属を含有する水溶性金属化合物」を含む点。

イ 相違点1−2について
(ア)甲1には、甲1発明の組成物に酸化チタン以外の白色化剤を含有させることについて記載されていない。

(イ)また、本件発明1に関して、本件明細書には、上記第4で摘記したように、「ぼんやりとした白色化から、二酸化チタンと遜色のない遮光性を与える白色化まで調整可能であるため、通常の着色にも、光に不安定な医薬や食品の製剤化にも好適に使用することができる」(【0045】)という、所望の白色化した皮膜が得られるという効果を発揮すると記載されており、さらに、当該効果に関して、同摘記したように、「皮膜形成ポリマーの種類に応じた無色の界面活性剤、又は無色の界面活性剤に無色の塩類を組み合わせて添加することにより、皮膜形成時に皮膜が白色化」(【0013】)すると記載されている。
そして、本件明細書には、上記第4で摘記したように、皮膜形成ポリマーである各種ヒプメロース(本件発明1の「セルロース誘導体」に該当する)に、本件発明1の「界面活性剤」及び「水溶性の塩類」を組み合わせて添加することによって、「真白」から「ぼんやりと白い」という白色濃さに白色化した皮膜を形成した試験例(表1〜8)が記載されており、当該試験例は、上記【0045】記載された本件発明1に関する効果が、上記【0013】に記載された、界面活性剤と塩類を組み合わせて添加するという、上記相違点1−2によって発揮されたことを具体的に示すものといえる。
したがって、上記相違点1−2に係る本件発明1の構成は、それにより上記所望の白色化した皮膜が得られるという効果を発揮するものといえる。

(ウ)そして、甲1〜甲6のいずれにも、上記(ア)で説示した「所望の白色化した皮膜」を得るために、上記相違点1−2に係る「多価アルコール脂肪酸エステル、ポリプロピレングリコール、ポリアルキレンオキサイド誘導体、およびアルキル硫酸エステル塩及びサポニンから選択される」「界面活性剤および水溶性の塩類からなる白色化剤を含」むという構成を採用することについて、記載も示唆もされていない。また、「所望の白色化した皮膜」を得るために、上記の構成を採用することが、本件特許の優先日時点の技術常識から自明であるともいえない。
したがって、本件特許の優先日時点の技術常識を参酌しても、甲1発明、甲1〜甲6の記載事項から、甲1発明を相違点1−2に係る構成を有するものとすることを、当業者が容易に想到し得たとはいえない。

ウ よって、相違点1−1について検討するまでもなく、本件発明1は、甲1発明、甲1〜甲6の記載事項及び技術常識に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

エ また、本件発明1のうち、上記説示した、「皮膜形成性高分子成分」が「セルロース誘導体」であって、「界面活性剤および水溶性の塩類からなる白色化剤」を含む発明以外の発明についても、甲1発明と上記相違点1−2の点で相違することからみて、同様に甲1発明、甲1〜甲6の記載事項及び技術常識に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(2)甲2発明との対比及び判断

ア 甲2発明は、上記第5の2.(2)で説示したとおりである。
そして、甲2発明の「ゼラチン」は、本件発明1の「皮膜形成性高分子成分」に相当し、甲2発明の「可食性界面活性剤」は、本件発明1の「界面活性剤」と「界面活性剤」である点において共通し、甲2発明の「硬質ゼラチンカプセルのバンドシール液」は、本件発明1の「白色皮膜」と、組成物である点において共通する。
また、甲2発明は、白色顔料を含まないといえる。
したがって、両者の発明の一致点・相違点は以下のとおりである。
なお本(2)において、本件発明1とは、特に断りがない限り、本件発明1のうちの「皮膜形成性高分子成分」が「ゼラチン」であって、「界面活性剤」「からなる白色化剤」を含む発明を意味することとする。

<一致点>
「皮膜形成性高分子成分と、界面活性剤を含む組成物であって、
前記組成物は白色顔料を含まず、
皮膜形成性高分子成分はゼラチンを含み、
界面活性剤を含む、
組成物。」

<相違点2−1>
組成物が、本件発明1では「白色皮膜」であるのに対して、甲2発明では「硬質ゼラチンカプセルのバンドシール液」である点。

<相違点2−2>
本件発明1では、「多価アルコール脂肪酸エステル、ポリプロピレングリコール、ポリアルキレンオキサイド誘導体、およびアルキル硫酸エステル塩及びサポニンから選択される」「界面活性剤」「からなる白色化剤を含」むのに対して、甲2発明では「可食性界面活性剤」を含む点。

イ 相違点2−1について
甲2には、上記第5の2.(1)で摘記した甲2bのとおり、「界面活性剤の種類にもよるが、添加量が3重量%以上になると乾燥後のフィルムが半透明・乳白色となるので用途が限定される。しかし無色透明なフィルムでなくて良ければ、10重量%程度まで添加することが出来、またそれに応じた効果が期待出来る。」と記載されている。
しかし上記記載は、使用する界面活性剤の種類によっては、フィルム(皮膜)が乳白色となること、及び、乾燥時に無色透明のフィルムでなくても良ければ界面活性剤を増量することができること、を示唆するにとどまり、当該記載から、甲2発明の「硬質ゼラチンカプセルのバンドシール液」について、乾燥時のフィルムの色を「白色」とすることを目的として、バンドシール液における界面活性剤等の組成を調節するという技術思想が開示されているとはいえない。
また、甲1及び甲3〜6のいずれにも、バンドシール液の乾燥後の色を白色とするために、バンドシール液における界面活性剤等の組成を調節することは記載されていない。
したがって、甲2発明に相違点2−1に係る本件発明1の構成を有するものとすることは、甲2発明、甲1〜甲6の記載事項及び技術常識に基いて、当業者が容易に想到し得たものではない。

ウ よって、相違点2−2について検討するまでもなく、本件発明1は、甲2発明、甲1〜甲6の記載事項及び技術常識に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

エ また、本件発明1のうち、上記説示した、「皮膜形成性高分子成分」が「ゼラチン」であって、「界面活性剤」「からなる白色化剤」を含む発明以外の発明についても、甲2発明に対して上記相違点2−1の点で相違することからみて、同様に甲2発明、甲1〜甲6の記載事項及び技術常識に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(3)甲3発明との対比及び判断

ア 甲3発明は、上記第5の3.(2)で説示したとおりである。
そして、甲3発明の「ゼラチン」は、本件発明1の「皮膜形成性高分子成分」に相当し、甲3発明の「皮膜組成物」は、本件発明1の「白色皮膜」と、組成物である点において共通する。
また、甲3発明は、白色顔料を含まないといえる。
したがって、両者の発明の一致点・相違点は以下のとおりである。
なお本(3)において、本件発明1とは、特に断りがない限り、本件発明1のうちの「皮膜形成性高分子成分」が「ゼラチン」であって、「界面活性剤」「からなる白色化剤」を含む発明を意味することとする。

<一致点>
「皮膜形成性高分子成分を含む組成物であって、
前記組成物は白色顔料を含まず、
皮膜形成性高分子成分はゼラチンを含む、
組成物。」

<相違点3−1>
組成物が、本件発明1では「白色皮膜」であるのに対して、甲3発明では「軟カプセル用の皮膜組成物」である点。

<相違点3−2>
本件発明1では、「多価アルコール脂肪酸エステル、ポリプロピレングリコール、ポリアルキレンオキサイド誘導体、およびアルキル硫酸エステル塩及びサポニンから選択される」「界面活性剤」「からなる白色化剤を含」むのに対して、甲3発明では「遮光剤として天然油と界面活性剤の群から選ばれる少なくとも1つの化合物を含有する」点。

イ 相違点3−1について
甲3には、甲3発明の「軟カプセル用の皮膜組成物」について、当該組成物によって形成した皮膜の色を「白色」とすることが記載されていない。
また、そもそも甲3発明のような、ゼラチンと水と可塑剤と所定の遮光材を含む「軟カプセル用の皮膜組成物」というゼラチンの組成物から形成される皮膜の色を「白色」とする方法は、甲1〜甲6のいずれにも記載されていないし、本件優先日時点で自明であったともいえない。
したがって、甲3発明に相違点3−1に係る本件発明1の構成を有するものとすることは、甲2発明、甲1〜甲6の記載事項及び技術常識に基いて、当業者が容易に想到し得たものではない。

ウ よって、相違点3−2について検討するまでもなく、本件発明1は、甲3発明、甲1〜甲6の記載事項及び技術常識に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

エ また、本件発明1のうち、上記説示した、「皮膜形成性高分子成分」が「ゼラチン」であって、「界面活性剤」「からなる白色化剤」を含む発明以外の発明についても、甲3発明に対して上記相違点3−1の点で相違することからみて、同様に甲3発明、甲1〜甲6の記載事項及び技術常識に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(4)甲4発明との対比及び判断

ア 甲4発明は、上記第5の4.(2)で説示したとおりである。
そして、甲4発明の「ゼラチン」は、本件発明1の「皮膜形成性高分子成分」に相当し、甲4発明の「カプセル皮膜成形用ゼラチン組成物」は、本件発明1の「白色皮膜」と、組成物である点において共通する。
また、甲4発明は、白色顔料を含まないといえる。
したがって、両者の発明の一致点・相違点は以下のとおりである。
なお本(4)において、本件発明1とは、特に断りがない限り、本件発明1のうちの「皮膜形成性高分子成分」が「ゼラチン」であって、「界面活性剤」「からなる白色化剤」を含む発明を意味することとする。

<一致点>
「皮膜形成性高分子成分を含む組成物であって、
前記組成物は白色顔料を含まず、
皮膜形成性高分子成分はゼラチンを含む、
組成物。」

<相違点4−1>
組成物が、本件発明1では「白色皮膜」であるのに対して、甲4発明では「カプセル皮膜成形用ゼラチン組成物」である点。

<相違点4−2>
本件発明1では、「多価アルコール脂肪酸エステル、ポリプロピレングリコール、ポリアルキレンオキサイド誘導体、およびアルキル硫酸エステル塩及びサポニンから選択される」「界面活性剤」「からなる白色化剤を含」むのに対して、甲4発明では「色素、界面活性剤、可塑剤およびポリエチレングリコールから群より選択される少なくとも1種の添加物を含む」点。

イ 相違点4−1について
甲4には、第5の4.(1)で摘記した甲4cに記載されているように、酸化チタン色材(白色顔料)を加えたフィルムを調整したことが記載されているものの、甲4発明の「カプセル皮膜成形用ゼラチン組成物」について、本件発明1のように、白色顔料を配合せずに「白色」とすることが記載されていない。
また、そもそも甲4発明のような、「カプセル皮膜成形用ゼラチン組成物」というゼラチン組成物から形成される皮膜の色を「白色」とする方法は、甲1〜甲6のいずれにも記載されていないし、本件優先日時点で自明であったともいえない。
したがって、甲4発明に相違点4−1に係る本件発明1の構成を有するものとすることは、甲4発明、甲1〜甲6の記載事項及び技術常識に基いて、当業者が容易に想到し得たものではない。

ウ よって、相違点4−2について検討するまでもなく、本件発明1は、甲4発明、甲1〜甲6の記載事項及び技術常識に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

エ また、本件発明1のうち、上記説示した、「皮膜形成性高分子成分」が「ゼラチン」であって、「界面活性剤」「からなる白色化剤」を含む発明以外の発明についても、甲4発明に対して上記相違点4−1の点で相違することからみて、同様に甲4発明、甲1〜甲6の記載事項及び技術常識に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(5)甲5発明との対比及び判断

ア 甲5発明は、上記第5の5.(2)で説示したとおりである。
そして、甲5発明の「ゼラチン」は、本件発明1の「皮膜形成性高分子成分」に相当し、甲5発明の「医薬用のカプセルのシェルの製造に適当な組成物」は、本件発明1の「白色皮膜」と、組成物である点において共通する。
また、甲5発明は、白色顔料を含まないといえる。
したがって、両者の発明の一致点・相違点は以下のとおりである。
なお本(5)において、本件発明1とは、特に断りがない限り、本件発明1のうちの「皮膜形成性高分子成分」が「ゼラチン」であって、「界面活性剤」「からなる白色化剤」を含む発明を意味することとする。

<一致点>
「皮膜形成性高分子成分を含む組成物であって、
前記組成物は白色顔料を含まず、
皮膜形成性高分子成分はゼラチンを含む、
組成物。」

<相違点5−1>
組成物が、本件発明1では「白色皮膜」であるのに対して、甲5発明では「医薬用のカプセルのシェルの製造に適当な組成物」である点。

<相違点5−2>
本件発明1では、「多価アルコール脂肪酸エステル、ポリプロピレングリコール、ポリアルキレンオキサイド誘導体、およびアルキル硫酸エステル塩及びサポニンから選択される」「界面活性剤」「からなる白色化剤を含」むのに対して、甲5発明では「ポリヒドロキシ−アルコール、ポリヒドロキシ−アルコールのエステル、ジアルキルフタレート;低級アルキルクエン酸エステル(低級アルキルは1〜6個の炭素原子を有する)、グリコール、ポリグリコール、リシノレイン酸およびリシノレイン酸エステルからなる群より選択される可塑剤を含む」点。

イ 相違点5−1について
甲5には、第5の5.(1)で摘記した甲5c及び甲5dに記載されているように、「白色透明なゼラチンリボン」及び「白色透明ゼラチンカプセル」を作成したことが記載されている。
しかし、本件発明1の「白色皮膜」は、上記第4で摘記したように、「ぼんやりとした白色化から、二酸化チタンと遜色のない遮光性を与える白色化まで調整可能」(【0045】)なものであって、「白色濃さ:◎真白、〇白、△透け感あり、□ぼんやりと白い ●透明」(【0051】)のうちの「●透明」を示した試験例(表2の処方2−6、表5の処方5−8及び5−9、表8の処方8−1及び8−5、表9の処方9−13)はいずれも、本件発明1の構成を満たさないものであることから、本件発明1の「白色皮膜」の「白色」は、「白色透明」を含まないものと解される。
したがって、上記「白色透明なゼラチンリボン」及び「白色透明ゼラチンカプセル」の「白色透明」は、本件発明1の「白色」ではない。

また、甲5には、甲5発明の「医薬用のカプセルのシェルの製造に適当な組成物」を、本件発明1でいうところの「白色」とすることについて記載されていない。
加えて、そもそも甲5発明のような、所定の可塑剤を含む、ゼラチン及び医薬的に許容される亜硫酸化合物からなる「医薬用のカプセルのシェルの製造に適当な組成物」というゼラチンの組成物から形成される皮膜の色を「白色」とする方法は、甲1〜甲6のいずれにも記載されていないし、本件優先日時点で自明であったともいえない。
したがって、甲5発明に相違点5−1に係る本件発明1の構成を有するものとすることは、甲5発明、甲1〜甲6の記載事項及び技術常識に基いて、当業者が容易に想到し得たものではない。

ウ よって、相違点5−2について検討するまでもなく、本件発明1は、甲5発明、甲1〜甲6の記載事項及び技術常識に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

エ また、本件発明1のうち、上記説示した、「皮膜形成性高分子成分」が「ゼラチン」であって、「界面活性剤」「からなる白色化剤」を含む発明以外の発明についても、甲5発明に対して上記相違点5−1の点で相違することからみて、同様に甲5発明、甲1〜甲6の記載事項及び技術常識に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(6)甲6発明との対比及び判断

ア 甲6発明は、上記第5の6.(2)で説示したとおりである。
そして、甲6発明の「プルラン」は、本件発明1の「皮膜形成性高分子成分」に相当し、甲6発明の「膜形成組成物」は、本件発明1の「白色皮膜」と、組成物である点において共通する。
また、甲6発明は、白色顔料を含まないといえる。
したがって、両者の発明の一致点・相違点は以下のとおりである。
なお本(5)において、本件発明1とは、特に断りがない限り、本件発明1のうちの「皮膜形成性高分子成分」が「プルラン」であって、「界面活性剤」「からなる白色化剤」を含む発明を意味することとする。

<一致点>
「皮膜形成性高分子成分と、界面活性剤を含む組成物であって
前記組成物は白色顔料を含まず、
皮膜形成性高分子成分はプルランを含む、
組成物。」

<相違点6−1>
組成物が、本件発明1では「白色皮膜」であるのに対して、甲6発明では「膜形成組成物」である点。

<相違点6−2>
本件発明1では、「多価アルコール脂肪酸エステル、ポリプロピレングリコール、ポリアルキレンオキサイド誘導体、およびアルキル硫酸エステル塩及びサポニンから選択される」「界面活性剤」「からなる白色化剤を含」むのに対して、甲5発明では、界面活性剤を白色化剤とすることも、その種類も規定されていない点。

イ 相違点6−1について
甲6には、甲6発明の「膜形成組成物」について、当該組成物によって形成した皮膜の色を「白色」とすることが記載されていない。
また、そもそも甲6発明のような、界面活性剤を含む、プルラン及び硬化系を含む「膜形成組成物」というプルランの組成物から形成される皮膜の色を「白色」とする方法は、甲1〜甲6のいずれにも記載されていないし、本件優先日時点で自明であったともいえない。
したがって、甲6発明に相違点6−1に係る本件発明1の構成を有するものとすることは、甲6発明、甲1〜甲6の記載事項及び技術常識に基いて、当業者が容易に想到し得たものではない。

ウ よって、相違点6−2について検討するまでもなく、本件発明1は、甲6発明、甲1〜甲6の記載事項及び技術常識に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

エ また、本件発明1のうち、上記説示した、「皮膜形成性高分子成分」が「プルラン」であって、「界面活性剤」「からなる白色化剤」を含む発明以外の発明についても、甲6発明に対して上記相違点6−1の点で相違することからみて、同様に甲6発明、甲1〜甲6の記載事項及び技術常識に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

2.本件発明2〜15について

本件発明2〜15は、上記第2で説示したとおりである。
まず、本件発明2〜14は、いずれも本件発明1を限定するものであるし、本件発明15のうち「白色皮膜」の製造にかかる発明は、本件発明1の白色皮膜を製造する工程を含むものである。
そして、本件発明1は、上記1.で説示したとおり、甲1発明〜甲6発明、甲1〜甲6の記載事項及び技術常識に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
したがって、本件発明2〜15についても、甲1発明〜甲6発明、甲1〜甲6の記載事項及び技術常識に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

また、本件発明15のうち「白色皮膜」の製造にかかる発明以外、すなわち、「白色カプセル」の製造に係る発明は、本件発明1における「白色皮膜」を「白色カプセル」に代えたものを製造する工程を含むものである。
そして、本件発明1の「白色皮膜」を「白色カプセル」に代えた発明については、上記1.の説示における「白色皮膜」を「白色カプセル」に読み替えたとおりであって、甲1発明〜甲6発明、甲1〜甲6の記載事項及び技術常識に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではないといえる。
したがって、本件発明15のうち「白色皮膜」の製造にかかる発明以外の発明についても、甲1発明〜甲6発明、甲1〜甲6の記載事項及び技術常識に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

3.小括

以上のとおり、本件発明1〜15は、甲1発明〜甲6発明、甲1〜甲6の記載事項及び技術常識に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではないから、特許法第29条第2項の規定に違反して特許された発明とはいえない。

第11 むすび

以上のとおりであるから、申立人による特許異議申立ての理由及び証拠によっては、本件請求項1〜15に係る特許を取り消すことはできない。
また、その他に本件請求項1〜15に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、特許法第114条第4項の規定により、本件請求項1〜15に係る特許について、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2022-03-03 
出願番号 P2019-036083
審決分類 P 1 651・ 537- Y (A61K)
P 1 651・ 113- Y (A61K)
P 1 651・ 121- Y (A61K)
P 1 651・ 536- Y (A61K)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 前田 佳与子
特許庁審判官 田中 耕一郎
中西 聡
登録日 2021-05-20 
登録番号 6887456
権利者 キャプシュゲル・ベルジウム・エヌ・ヴィ
発明の名称 白色化剤として界面活性剤又は界面活性剤と塩を含有する皮膜形成性組成物  
代理人 竹林 則幸  
代理人 結田 純次  
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