• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 一部申し立て 2項進歩性  H01G
審判 一部申し立て 1項2号公然実施  H01G
管理番号 1384311
総通号数
発行国 JP 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2022-05-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2022-02-09 
確定日 2022-04-25 
異議申立件数
事件の表示 特許第6929362号発明「全自動釘打巻取複合機」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6929362号の請求項1ないし8、11ないし17に係る特許を維持する。 
理由 1 手続の経緯
特許第6929362号の請求項1ないし19に係る特許についての出願は、平成31年3月29日に国際出願され、令和3年8月12日にその特許権の設定登録がされ、令和3年9月1日に特許掲載公報が発行された。その後、その特許に対し、令和4年2月9日に特許異議申立人ジェーシーシーエンジニアリング株式会社が特許異議の申立てを行った。

2 本件発明
特許第6929362号の請求項1ないし19の特許に係る発明(以下、それぞれ「本件特許発明1」ないし「本件特許発明19」という。)は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1ないし19に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】
箔ストリップを予備打抜きステーションに搬送するための箔ストリップ搬送機構と、
ガイドピンを前記予備打抜きステーションに対向して設置される針打ちステーションに搬送するためのガイドピン搬送機構と、
台座、金型アセンブリ及び第1の駆動アセンブリを含み、前記金型アセンブリが前記台座上に設置され、前記第1の駆動アセンブリが前記台座の第1の方向に沿う移動を駆動し前記台座を第1の位置、第2の位置及び第3の位置に移動させ、前記金型アセンブリが予備打抜き金型、針打ち金型及び花弁加圧金型を有する釘打機構と、を含み、
前記台座が前記第1の位置に位置する場合に、前記予備打抜き金型が前記予備打抜きステーションに対応し、前記第1の駆動アセンブリがさらに前記予備打抜き金型の第2の方向に沿う移動を駆動し、前記予備打抜きステーション上に位置している箔ストリップ上に第1の釘打孔を形成し、
前記台座が前記第2の位置に位置する場合に、前記針打ち金型が前記針打ちステーションに対応し、前記第1の駆動アセンブリがさらに前記針打ち金型の前記第2の方向に沿う移動を駆動し、前記針打ちステーション上に位置しているガイドピン上に第2の釘打孔を形成し、前記第2の釘打孔が前記第1の釘打孔に連通され、
前記台座が前記第3の位置に位置する場合に、前記花弁加圧金型が前記予備打抜きステーションに対応して設置され、前記第1の駆動アセンブリがさらに前記花弁加圧金型の前記第2の方向に沿う移動を駆動し、前記ガイドピンと前記箔ストリップを前記第1の釘打孔及び前記第2の釘打孔に締め付け、
前記第1の方向が前記第2の方向に対して垂直であり、
電解紙、絶縁紙及び釘打たれた箔ストリップを巻き取ってコンデンサ素子を形成するための巻取機構と、
巻き取って形成されたコンデンサ素子を次のステーションに搬送するための排出機構と、を含み、
正極箔ストリップ及び負極箔ストリップを搬送するための前記箔ストリップ搬送機構が2つ設けられ、前記ガイドピン搬送機構も2つ設けられ、2つの前記ガイドピン搬送機構と2つの前記箔ストリップ搬送機構とが一対一に対応し、
正極箔ストリップ及び負極箔ストリップを釘打つための前記釘打機構が2つ設けられ、2つの前記箔ストリップ搬送機構と2つの前記釘打機構とが一対一に対応することを特徴とする全自動釘打巻取複合機。
【請求項2】
前記金型アセンブリはさらにベース金型を含み、前記箔ストリップが前記予備抜打ちステーションに位置する場合に前記ベース金型と接触し、前記ベース金型によって前記箔ストリップを支持し、前記台座によって前記ベース金型を前記箔ストリップに沿って移動させることを特徴とする請求項1に記載の全自動釘打巻取複合機。
【請求項3】
前記第1の駆動アセンブリは第1の駆動源、第1の回転軸及び円柱カムを含み、前記第1の駆動源によって前記第1の回転軸を回転可能に駆動し、前記円柱カムが前記第1の回転軸上に嵌設され、前記円柱カム上に曲線溝が形成され、前記台座上に筒体が形成され、前記筒体が前記曲線溝内に収容され、前記台座が前記円柱カムの回転に従い前記第1の方向に沿って移動することを特徴とする請求項1に記載の全自動釘打巻取複合機。
【請求項4】
前記第1の駆動アセンブリはさらに第1の伝動アセンブリ、第2の回転軸、カム及び揺動アームを含み、前記第1の駆動源が前記第1の伝動アセンブリを介して前記第2の回転軸を回転可能に駆動し、前記カムが前記第2の回転軸上に嵌設され、前記揺動アームが前記カムに接続され、前記揺動アームが前記カムの回転に従い揺動でき、前記揺動アームの揺動によって前記予備打抜き金型、前記針打ち金型及び前記花弁加圧金型をそれぞれ前記第2の方向に沿って移動させることを特徴とする請求項3に記載の全自動釘打巻取複合機。
【請求項5】
前記カムは第1のカム及び第2のカムを含み、前記揺動アームは第1の揺動アーム及び第2の揺動アームを含み、前記第1のカム及び前記第2のカムがともに前記第2の回転軸上に嵌設され、前記第1の揺動アームが前記第1のカムに接続され、前記第2の揺動アームが前記第2のカムに接続され、前記第1の揺動アームによって前記予備打抜き金型を前記第2の方向に沿って移動させ、前記第2の揺動アームによって前記針打ち金型及び前記花弁加圧金型を前記第2の方向に沿って移動させることを特徴とする請求項4に記載の全自動釘打巻取複合機。
【請求項6】
前記第1のカムの外周面は円弧段及び凹面段を含み、前記凹面段が前記第1のカムの軸線に近い方向に窪み、前記凹面段は前記台座が前記第1の位置に位置する場合に前記第1の揺動アームと接触することを特徴とする請求項5に記載の全自動釘打巻取複合機。
【請求項7】
前記第2のカムの外周面は順次に配置される第1の曲面段、第2の曲面段、第3の曲面段及び第4の曲面段を含み、前記第1の曲面段は前記台座が前記第2の位置に位置する場合に前記第2の揺動アームと接触し、前記第3の曲面段は前記台座が前記第3の位置に位置する場合に前記第2の揺動アームと接触し、前記第2の曲面段は前記台座が前記第2の位置から前記第3の位置まで移動した場合に前記第2の揺動アームと接触し、前記第4の曲面段は前記台座が前記第3の位置から前記第1の位置まで移動した場合に前記第2の揺動アームと接触することを特徴とする請求項5に記載の全自動釘打巻取複合機。
【請求項8】
前記釘打機構はさらにガイドピン位置決めアセンブリを含み、前記ガイドピン位置決めアセンブリは第3の回転軸、第1のクランプアーム、第2のクランプアーム、第1の楔形ブロック、第2の楔形ブロック及び付勢ブロックを含み、前記第3の回転軸が前記台座に接続され、前記付勢ブロックが前記針打ち金型に接続され、前記第1のクランプアーム及び前記第2のクランプアームが対向して配置され且つ回転可能に前記第3の回転軸上に接続され、前記第1の楔形ブロックが前記第1のクランプアームに接続され、前記第2の楔形ブロックが前記第2のクランプアームに接続され、
前記付勢ブロックが前記第1の楔形ブロックと前記第2の楔形ブロックとの間に移動可能であり、前記第1のクランプアーム及び前記第2のクランプアームによって前記ガイドピンを締付けることを特徴とする請求項1に記載の全自動釘打巻取複合機。
【請求項9】
前記巻取機構は巻取装置を含み、前記巻取装置は方向反転座、第2の駆動源、第1の伝動部品、第2の伝動部品及び針巻取アセンブリを含み、前記第1の伝動部品が環状であり前記方向反転座上に嵌設され、前記第1の伝動部品の内壁上に第1の接続部が形成され、前記第1の伝動部品の外壁上に第2の接続部が形成され、
前記第2の駆動源が前記第2の接続部に接続され前記第1の伝動部品を回転可能に駆動し、
前記第2の伝動部品が前記方向反転座内に位置し、前記方向反転座上にスルーホールが形成され、前記第2の伝動部品が前記スルーホールを介して前記第1の接続部に接続され、
前記針巻取アセンブリが前記第2の伝動部品に接続され、前記第2の伝動部品の回転によって前記針巻取アセンブリを針巻取ステーション、テープ貼り付けステーション及び材料取出ステーションの間に回転させることを特徴とする請求項1に記載の全自動釘打巻取複合機。
【請求項10】
前記針巻取アセンブリ及び前記スルーホールが複数設けられ、前記第1の伝動部品及び前記第2の伝動部品がともに複数設けられ、複数の前記第1の伝動部品が前記方向反転座の軸方向に沿って前記方向反転座外に均一に嵌設され、複数の前記第2の伝動部品が前記方向反転座の軸方向に沿って前記方向反転座内に均一に配置され、複数の前記第1の伝動部品及び複数の前記針巻取アセンブリがともに複数の前記第2の伝動部品と一対一に対応し、複数の前記スルーホールが前記方向反転座の周方向に均一に配置され且つ複数の前記第2の伝動部品と一対一に対応することを特徴とする請求項9に記載の全自動釘打巻取複合機。
【請求項11】
前記針巻取アセンブリは巻取り針及びシャフトレバーを含み、前記巻取り針が前記シャフトレバーに接続され、前記巻取装置はさらに前記針巻取ステーションに設置される針送りアセンブリを含み、前記針送りアセンブリは第3の駆動源、第3のカム及び第2の伝動アセンブリを含み、前記第3のカムが前記第3の駆動源の出力軸に接続され、前記第2の伝動アセンブリの一端が前記第3のカムに接続され、前記針巻取ステーション上に位置するシャフトレバーが巻取り針の一端から離れ前記第2の伝動アセンブリの他端に接続され、前記第3のカムの回転によって前記第2の伝動アセンブリを介して前記巻取り針を押し出すことを特徴とする請求項9に記載の全自動釘打巻取複合機。
【請求項12】
前記巻取装置はさらに前記材料取出位置上に位置する針引戻しアセンブリを含み、前記針引戻しアセンブリは第4のカム及び第3の伝動アセンブリを含み、前記第4のカムが前記第3の駆動源の出力軸に接続され、前記第3の伝動アセンブリが前記第4のカムに接続され、前記針巻取アセンブリはさらに当て付け部材を含み、前記当て付け部材が前記シャフトレバーの前記巻取り針と反対する一端に設置され、前記第2の伝動アセンブリの一端
が前記第4のカムに接続され、前記材料取出ステーション上に位置する前記当て付け部材の前記巻取り針に近い一端が前記第2の伝動アセンブリの他端に接続され、前記第4のカムの回転によって前記第3の伝動アセンブリを介して前記巻取り針を引き戻すことを特徴とする請求項11に記載の全自動釘打巻取複合機。
【請求項13】
前記巻取機構はさらに予備巻取装置を含み、前記予備巻取装置は第1の供給機構、第2の供給機構、第3の供給機構、第4の供給機構、第1の材料加圧部材、第2の材料加圧部材及び第2の駆動アセンブリを含み、
前記第1の供給機構によって電解紙を針巻取アセンブリ中へ送入し、
前記第1の材料加圧部材及び前記第2の材料加圧部材が対向して配置され、ともに前記第1の供給機構と前記巻取装置との間に設置され、
前記第2の供給機構によって正極箔ストリップを前記第1の材料加圧部材と前記第2の材料加圧部材との間に送入し且つ前記正極箔ストリップを前記電解紙の一側に位置させ、
前記第3の供給機構によって負極箔ストリップを前記第1の材料加圧部材と前記第2の材料加圧部材との間に送入し且つ前記負極箔ストリップを前記電解紙の他方側に位置し、
前記第4の供給機構によって絶縁紙を前記第1の材料加圧部材と前記第2の材料加圧部材との間に送入し且つ前記絶縁紙を前記正極箔ストリップの前記電解紙と反対する側または前記負極箔ストリップの前記電解紙と反対する側に位置させ、
前記第2の駆動アセンブリによって前記第1の材料加圧部材と前記第2の材料加圧部材との対向移動または離間移動を駆動することを特徴とする請求項9に記載の全自動釘打巻取複合機。
【請求項14】
前記巻取装置はさらにテープ貼り付け装置を含み、前記テープ貼り付け装置はテープ貼り付け機構、材料加圧機構及び第3の駆動アセンブリを含み、前記第3の駆動アセンブリによって前記テープ貼り付け機構を駆動しテープ貼り付け位置に移動させ且つ前記材料加圧機構を駆動し材料加圧位置に移動させ、前記テープ貼り付け位置と前記テープ貼り付けステーションとが対応して設置され、前記材料加圧位置と前記テープ貼り付けステーションとが対応して設置され、前記材料加圧機構によってコンデンサ素子を締め付け、
前記テープ貼り付け機構はテープラミネートアセンブリ、テープ板、テープ押しブロック、カッター及びカッターシリンダを含み、テープが前記テープラミネートアセンブリを介して前記テープ板上に到達し、巻き取って形成されるコンデンサ素子が前記テープ貼り付け位置で前記テープ板と接触し、前記針巻取アセンブリの回転によって前記テープ板上のテープ部分を前記コンデンサ素子の表面に被覆させ、
前記テープ板上に排気孔及び隙間が形成され、前記排気孔が真空ガス源に接続され、前記カッターシリンダによって前記カッターを駆動し前記テープを切断することを特徴とする請求項9に記載の全自動釘打巻取複合機。
【請求項15】
前記全自動釘打巻取複合機はさらに合紙と紙製シートとを締め付けるための合紙構造を含み、前記合紙は対向して配置される第1の面及び第2の面を有し、前記第1の面が粘性を有し、前記第1の面は第1のパート面及び第2のパート面を含み、
前記合紙構造は紙送りアセンブリ、紙押しアセンブリ、締め付けアセンブリ及び第4の駆動アセンブリを含み、前記紙送りアセンブリによって前記合紙を前記紙押しアセンブリに搬送し、前記紙押しアセンブリは第1の紙押し手段及び第2の紙押し手段を含み、前記第4の駆動アセンブリによって前記第1の紙押し手段と前記第2の紙押し手段との対向移動または離間移動を駆動し、前記第1の紙押し手段が前記第1のパート面に接着され、前記第1の紙押し手段によって前記合紙を移動させ、前記第2のパート面と前記紙製シートを接着させ、前記締め付けアセンブリによって前記第1のパート面及び第2のパート面を前記紙製シート表面に締め付け、
前記紙製シートは電解紙または絶縁紙であることを特徴とする請求項1に記載の全自動釘打巻取複合機。
【請求項16】
前記ガイドピン搬送機構はガイドピン調節アセンブリ、ガイドピン検出アセンブリ、ガイドピン配送アセンブリ及び第5の駆動アセンブリを含み、前記ガイドピン調節アセンブリはガイドピンクランプを含み、前記ガイドピンクランプ内に磁気孔が形成され、前記ガイドピンが前記磁気孔内に収容され、
前記ガイドピン検出アセンブリは機械クランプを含み、前記機械クランプは対向して配置される第1のクランプ、第2のクランプ及び検出器を含み、前記検出器が前記第1のクランプまたは前記第2のクランプ上に設置され、
前記第5の駆動アセンブリによって前記ガイドピンクランプを回転可能に駆動し前記ガイドピンを前記機械クランプに対応して設置するように移動させ且つ前記第1のクランプと前記第2のクランプとの対向移動または離間移動を駆動し、
前記ガイドピン配送アセンブリは材料取出クランプを含み、前記第5の駆動アセンブリはさらに前記材料取出クランプを駆動し前記機械クランプ間のガイドピンを前記針打ちステーションに搬送することを特徴とする請求項1に記載の全自動釘打巻取複合機。
【請求項17】
前記ガイドピン搬送機構はさらに振動針送り機構を含み、前記振動針送り機構が前記ガイドピン搬送アセンブリの上方に設置され、前記振動針送り機構は保管盤、振動盤及び軌道を含み、前記保管盤及び前記振動盤がともに振動可能であり、前記保管盤が前記保管盤内に位置するガイドピンを前記振動盤内へ搬送するように振動し、前記振動盤が前記振動盤内に位置するガイドピンを前記軌道内へ搬送するように振動し、前記軌道と前記ガイドピン調節アセンブリとが対応して設置され、前記軌道内のガイドピンを前記ガイドピン調節アセンブリ内へ落入させることを特徴とする請求項16に記載の全自動釘打巻取複合機。
【請求項18】
前記排出機構は搬送ベルト、第6の駆動アセンブリ、ストッパケース、締付機構及び第7の駆動アセンブリを含み、前記第6の駆動アセンブリによって前記搬送ベルトの移動を駆動し、前記ストッパケースが前記搬送ベルト上に固定的に接続され、前記ストッパケース内に1個の前記コンデンサ素子を収容するためのチャンバが形成され、前記ストッパケースが複数設けられ、複数の前記ストッパケースが前記搬送ベルトの搬送方向に沿って順次に配置され、
前記締付機構によって前記コンデンサ素子を締付け、
前記第7の駆動アセンブリによって前記締付機構を駆動し巻取済みのコンデンサ素子を排出位置まで搬送し、前記コンデンサ素子が前記排出位置で前記ストッパケースと対応し、前記コンデンサ素子を前記チャンバ内へ落入させることを特徴とする請求項1に記載の全自動釘打巻取複合機。
【請求項19】
前記締付機構は第1の締付部材及び第2の締付部材を含み、前記第1の締付部材及び前記第2の締付部材がともに前記コンデンサ素子を締付可能であり、
前記第7の駆動機構は第1の駆動部材及び第2の駆動部材を含み、前記第1の駆動部材によって前記第1の締付部材を駆動し検出位置に移動させ、前記第2の駆動アセンブリによって前記第2の締付部材を駆動し前記検出位置と排出位置との間に移動させ、
前記検出位置で、前記第2の締付部材によって前記コンデンサ素子を締付け且つ前記コンデンサ素子が帯電かどうかを検出することを特徴とする請求項18に記載の全自動釘打巻取複合機。」

3 申立理由の概要
特許異議申立人ジェーシーシーエンジニアリング株式会社は下記の証拠を提出し、次のとおり主張している。
(1)取消理由1
請求項1ないし8、13ないし17に係る発明は、本件特許出願前に公然実施された発明(甲第3号証に示す発明)であるから、請求項1ないし8、13ないし17に係る特許は、特許法第29条第1項第2号の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである(なお、異議申立書第1頁「4」「(1)申立ての理由の要約」には「特許法第29条第1項第3号」と記載されているが、「(3)申立の根拠」、「(4)具体的理由」及び「(5)むすび」の各欄における特許異議申立人の主張は「公然実施された発明」についてのものであるから、前記「特許法第29条第1項第3号」とある記載は「特許法第29条第1項第2号」の誤記と認める。)。

(2)取消理由2
ア 請求項1ないし8、13ないし17に係る発明は、本件特許出願前に公然実施された発明(甲第3号証に示す発明)及び本件特許出願前に公然実施された発明(甲第1号証に示す発明)に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1ないし8、13ないし17に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。

イ また、請求項11、12に係る発明は、本件特許出願前に公然実施された発明(甲第3号証に示す発明)、本件特許出願前に公然実施された発明(甲第1号証に示す発明)及び本件特許出願前に公然実施された発明(甲第5号証に示す発明)に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項11、12に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、取り消すべきものである。

なお、異議申立書第33頁第19ないし21行の「よって、本件特許発明11は、引用発明3(HSW−250/258J)と同一である。」との記載は、異議申立書第33頁第2ないし19行の記載内容より、「引用発明3(HSW−250/258J)の針巻取アセンブリ(425)は、本件特許発明11の構成及び動作と同一である」の意味と解釈した。
また、異議申立書第11頁右欄第10ないし11行の「よって、本件特許発明は、引用発明3と同一である。」との記載及び異議申立書第34頁第16ないし17行の「よって、本件特許発明12は、引用発明3(HSW−250/258J)と同一である。」との記載は、異議申立書第34頁第5ないし16行の記載内容より、「引用発明3(HSW−250/258J)の針巻取アセンブリ(425)及び針引き戻しアセンブリ(427)は、本件特許発明12の構成及び動作と同一である」の意味と解釈した。


(1)甲第1号証:
本件特許出願前に、日本国内において公然実施された引用発明1の設計図
(2)甲第2号証:
甲第1号証に示す引用発明1を特許異議申立人が顧客に納品した際の納品書
(3)甲第3号証:
本件特許出願前に、日本国内において公然実施された引用発明2の設計図
(4)甲第4号証:
甲第3号証に示す引用発明2を特許異議申立人が顧客に納品した際の納品書
(5)甲第5号証の1ないし甲第5号証の3(以下、まとめて「甲第5号証」という。):
本件特許出願前に、日本国内において公然実施された引用発明3の設計図
(6)甲第6号証:
甲第5号証に示す引用発明3を特許異議申立人が顧客に納品した際の納品書
(7)甲第7号証:引用発明1、2、3の説明図

4 各甲号証の記載
(1)甲第1号証は図面であって、図枠右下の表題欄には「尺度:1/8、図面名:概観図、機械名:JTM−416LT、製図:菅野、日付:2017.07.05、図面番号:000」と記載され、図枠外右下には「JCC ENGNEERING CO. LTD」と記載されている。
また、図枠内には機械の正面図、平面図、側面図の3面が配置され、正面図には、部品名が記入されている。
また、図枠内右上に「機械名:JTM−416LT、箔幅:1.5〜7.0mm、紙幅:1.8〜8.0mm、素子外形:φ5〜φ10(箔長240mm)、機械能力:φ5→1.4秒/個、φ6.3 →1.5秒/個、φ8→1.6秒/個、φ10→1.7秒/個」と記載されている。

(2)甲第2号証は納品書(入庫伝票)(以下、「甲第2号証の納品書」という。)であって、宛先欄に「納入2017年10月3日 ニチコン岩手株式会社 御中」と記載され、「注文No.」欄に「Vol2−05〜06」と記載され、「品名・規格・寸法」欄に「自動加締巻取り機JTM416LT型」と記載され、「納入数量、単位」欄に「2台」と記載されている。
また、「納入先名」欄に「〒197−0815 東京都あきる野市二宮東3-3-3 ジェーシーシーエンジニアリング株式会社 TEL 042−559−2501 FAX 042−558−5701」と記載され「ジェーシーシーエンジニアリング株式会社」の押印がある

(3)甲第3号証は図面であって、図枠右下の表題欄には「尺度:1/10、図面名:概観図、機械名:JTY−700、製図:(空欄)、日付:2017.02.10、図面番号:(空欄)」と記載され、図枠外右下には「JCC ENGNEERING CO.,LTD.」と記載されている。
また、図枠内には機械の正面図、側面図の2面が配置され、正面図及び側面図には概略寸法が記入され、正面図には部品名が記入されている。
また、図枠内右上に「機械名:JTY−700、箔幅:8〜30mm、セパレータ幅:9mm〜34mm、リチウム幅:7mm〜28m、PPシート幅40mm〜45mm、巻取箔長:80mm〜970mm、機械能力:7秒/個〜(500個/時)」と記載されている。さらに、図枠内のやや右上の「追加仕様 および 特別仕様」の囲み枠内に「・レーザーマーカーによる活物質剥離(端子側両極)、・絶縁シール貼付および画像検査 最大4箇所(負極両面、正極片面。)、・カシメ画像検査(正極および負極)、・素子をパレット収納できる様に考慮する。(別途打合せ)」と記載されている。

(4)甲第4号証は「納品書兼検査票」「受領証」及び「納品受付票」の一綴り(以下、「甲第4号証の納品書の綴り」という。)であって、「納品書兼検査票」には、「発注者」欄に「太陽誘電エナジーデバイス株式会社 御中」と記載され、「納品キー番号」及び「注文書番号」に「47001807」と記載され、「受渡場所名」に「太陽誘電エナジーデバイス 資材」と記載され、「購買担当」欄に「青柳 潤 様」と記載され、「品名コード」欄に「9999999」と記載され、「品名」欄に「円筒型LIC巻取機 JTY−700型2号機」と記載され、「出荷日」及び欄に「納入(予定)日」欄に「2017/11/28」と記載され、「納期」欄に「2017/05/19」と記載され、「注文数量」及び「納入数量」欄に「1」と記載され、「単位」欄に「ST」と記載され、「受注者用備考」欄に「MC/No.177002」と記載され、「発注者使用覧」に「検収時分」、「69141105 CLW 巻回」及び「稟議番号:76JE10004−101」と記載され、「受注者」欄に「170067 ジェーシーシーエンジニアリング株式会社」と記載されている。
また、「受領書」には上記「納品書兼検査票」と同じ内容が記載されている。
さらに、「納品受付票」には「発注者」欄に「太陽誘電エナジーデバイス(株) 御中」と記載され、「受渡場所名」に「太陽誘電エナジーデバイス 資材」と記載され、「納品キー番号」に「47001807」と記載され、「品名コード」欄に「9999999」と記載され、「品名」欄に「円筒型LIC巻取機 JTY−700型2号機」と記載され、「入数/納入数」欄に「1」と記載され、「単位」欄に「ST」と記載され、「受注者」欄に「170067 ジェーシーシーエンジニアリング株式会社覧」及び「受注者用備考」として「69141105 CLW 巻回」と記載されている。

(5)甲第5号証の1は図面であって、図枠右下の表題欄には「個数:1」、「尺度:1/1」、「製図:前田」、「日付:2007.03.26」、「機械名:HSW−250/258J」と記載され、「ユニット名:巻取ターレット」、「部品名:組立図」、「部品番号:K0703」、「ユニット番号:07A」と記載され、図枠外右下には「JCC ENGNEERING CO.,LTD.」と記載されている。
また、図枠内にはユニットの正面図、側面図及び一部断面図が配置され、正面図、側面図及び一部断面図には概略寸法が記入され、正面図、側面図には部品照合番号が記入されている。

(6)甲第5号証の2は図面であって、図枠右下の表題欄には「個数:1」、「尺度:1/1」、「設計:中島」、「製図:前田」、「日付:2007.03.14」、「機械名:HSW−250/258J」と記載され、「ユニット名:巻軸駆動」、「部品名:組立図」、「部品番号:K0703」、「ユニット番号:08A」と記載され、図枠外右下には「JCC ENGNEERING CO.,LTD.」と記載されている。
また、図枠内にはユニットの正面図、側面図及び一部断面図が配置され、正面図、側面図には概略寸法が記入され、正面図、側面図及び一部断面図には部品照合番号が記入されている。

(7)甲第5号証の3は図面であって、図枠右下の表題欄には「個数:1」、「尺度:1/1」、「設計:中島」、「製図:前田」、「日付:2007.03.15」、「機械名:HSW−250/258J」と記載され、「ユニット名:芯抜・芯出」、「部品名:組立図」、「部品番号:K0703」、「ユニット番号:07B」と記載され、図枠外右下には「JCC ENGNEERING CO.,LTD.」と記載されている。
また、図枠内にはユニットの正面図、側面図及び一部断面図が配置され、各図に概略寸法、部品照合番号が記入されている。

(8)甲第6号証は納品書(以下、「甲第6号証の納品書」という。)であって、宛先欄に「お客様コードNo.006010(006010)、お得意先 川竹エレクトロニクス株式会社 殿、納品先 川竹エレクトロニクス株式会社 殿」と記載され、明細として「コード・商品名」「数量、単位」欄に「2018 HSW−258JW 巻き取り機」「1台」、「4018 サイズ変更部品 φ16×31」「1式」、「001 機械No.1474 サイズ 18×20L」と記載され、
また、下部に「摘要 EPCOS殿向け HSW−258JWS」と記載されている。
さらに、右上に「伝票番号No.1090 14年2月24日 JCCE ジェーシーシーエンジニアリング株式会社 本社・工場 〒197−0815 東京都あきる野市二宮東333 TEL 042−559−2501 FAX 042−558−5771 担当者: 佐々木」と記載され「ジェーシーシーエンジニアリング株式会社」の押印がある。

(9)甲第7号証は説明図であって、「JTY−700」の3次元図面が記載され(甲第7号証第2頁)、さらに、本件特許第6929362号に係る図面各図(図1ないし図17)と「JTM−488、JTM−416LT」、「HSW−258」、「JTY−700」の3次元図面とが左右に並べて記載されている(甲第7号証第1頁、第3ないし17頁)。

5 甲第1号証、甲第3号証、甲第5号証の1ないし甲第5号証の3に記載された機械、ユニットについて
(1)甲第1号証に記載された機械は、甲第2号証の納品書の「品名・規格・寸法」欄に「自動加締巻取り機JTM416LT型」と記載されていることから、自動加締巻取り機であると認められる。

(2)甲第3号証に記載された機械は、甲第4号証の納品書の綴りの「品名」欄に「円筒型LIC巻取機 JTY−700型2号機」と記載されていることから、「円筒型LIC巻取機」であると認められる。

(3)甲第5号証の1ないし甲第5号証の3に記載されたユニットは、甲第6号証の納品書の「コード・商品名」に「HSW−258JW 巻き取り機」と記載されていることから、「巻き取り機」を構成する「巻取ターレット」ユニット(甲第5号証の1)、「巻軸駆動」ユニット(甲第5号証の2)及び「芯抜・芯出」ユニット(甲第5号証の3)であると認められる。

6 当審の判断
(1)取消理由1について
ア 甲第3号証に記載された機械が公然と実施されたものであるといえるか否か
(ア)甲第4号証の納品書の綴りは、甲第3号証に記載された機械を特許異議申立人が「太陽誘電エナジーデバイス株式会社」に納品する際の納品書の綴りである。

(イ)そこで、甲第4号証の納品書の綴りから、甲第3号証に記載された機械が発注者に受領されたことを確認できるか、判断する。

(ウ)一般に、受注者が物品を発注者(顧客)に納品する場合、下記参考画像のとおり、受注者は納品内容を記載した納品書を発注者に持参、あるには送付し、発注者は物品を受領した後に納品者に受領書を発行し、発注者は検収(納品物が発注した内容に適合するか、検査をする行為)を行なって納品書に検収印を押印し(その後、経理部門に提出される)、発注者は受注者に検収書を発行する手続きが行われる。

(上記画像は、https://blog.hubspot.jp/acceptance-certificate より引用した。)
以上のことから、納品書とは、受注者自らが作成する書類に過ぎず、物品が発注者に受領されたという事実を確認するためには、納品書に発注者の検収印が押印してあること、あるいは発注者から受注者に受領書または検収書が発行されていること等、受領の事実を示す具体的な徴憑が必要である。

(エ)しかしながら、甲第4号証の納品書の綴りの「納品書兼検査票」及び「受領証」には、発注者である「太陽誘電エナジーデバイス株式会社」の担当者による「検査印」(検収印)も「受領印」も押印されていないから、これらの書類は特許異議申立人が作成した一綴りの書類の各片であって、発注者の検収印が押印してある納品書とはいえず、また発注者から受注者に発行された「受領証」であるともいえない。また、他に受領の事実を示す徴憑も認められない。

(オ)従って、甲第4号証の納品書の綴りからは、甲第3号証に記載された機械(円筒型LIC巻取機 JTY−700型2号機)が「太陽誘電エナジーデバイ府株式会社」に受領された事実を確認することはできない。

(カ)また、甲第3号証に記載された機械(円筒型LIC巻取機 JTY−700型2号機)は、産業用の製造機械であって、一般公衆に展示・販売される性質のものではなく、工場内に据え付けられ製造に供される性質の機械である。
よって、仮に甲第3号証に記載された機械(円筒型LIC巻取機 JTY−700型2号機)が「太陽誘電エナジーデバイス株式会社」に「受領」されていたとしても、通常、工場等への立入に関しては入構管理が行われており、また、会社の従業員は就業規則等によって秘密保持義務が課せられているのが普通であるから、甲第3号証に記載された機械(円筒型LIC巻取機 JTY−700型2号機)が「太陽誘電エナジーデバイ府株式会社」に納品されたからといって、該機械が不特定の者が知り得る状況で実施(使用)されていた事実を甲第4号証から確認することはできない。
よって、甲第4号証の納品書の綴りからは、甲第3号証に記載された機械(円筒型LIC巻取機 JTY−700型2号機)が本件特許に係る特許出願前に公然と実施されていたと認定することはできない。

(キ)甲第7号証について
また、甲第7号証は、本件特許に係る特許出願の願書に添付された図面と、甲第3号証に記載された機械(円筒型LIC巻取機 JTY−700型2号機)、甲第1号証に記載された機械(自動加締巻取り機JTM416LT型)及び甲第5号証に記載された機械(HSW−258JW 巻き取り機)との対比説明図であって、甲第3号証に記載された機械が本件特許に係る特許出願前に公然と実施されていた事実を示すものではない。

イ まとめ
従って、本件特許発明1ないし8、13ないし17が、本件特許の特許出願前に公然と実施されていた発明(甲第3号証に記載された機械(円筒型LIC巻取機 JTY−700型2号機))であるとすることはできない。
よって、取消理由1は理由がない。

(2)取消理由2について
ア 甲第1号証に記載された機械が公然と実施されたものであるといえるか否か
甲第2号証の納品書は、甲第1号証に記載された機械(自動加締巻取り機JTM416LT型)を特許異議申立人が「ニチコン岩手株式会社」に納品する際の納品書である。
そして、上記アで述べたとおり、発注に係る機械等が発注者に受領されたという事実を確認するためには、納品書に検収印が押印してあること、あるいは発注者から受注者に受領書または検収書が発行されていること等、受領の事実を示す具体的な徴憑が必要である。
しかしながら、甲第2号証の納品書の写しには、「ニチコン岩手株式会社」の担当者による検収印も、受領印も押印されておらず、他に受領の事実を示す徴憑も認められない。
よって、甲第2号証の納品書からは、甲第1号証に記載された機械(自動加締巻取り機JTM416LT型)が「ニチコン岩手株式会社」に受領された事実を確認することができない。
また、仮に受領されていたとしても、上記アで述べたのと同様の理由により、甲第1号証に記載された機械(自動加締巻取り機JTM416LT型)が本件特許に係る特許出願前に不特定の者が知り得る状況で実施(使用)されていた事実を確認することはできない。
よって、甲第1号証の納品書からは、甲第2号証に記載された機械(自動加締巻取り機JTM416LT型)が本件特許に係る特許出願前に公然と実施されていたと認定することはできない。

イ 甲第5号証の1ないし甲第5号証の3に記載されたユニットで構成される機械(HSW−258JW 巻き取り機)が公然と実施されたものであるといえるか否か
甲第6号証の納品書は、甲第5号証の1ないし甲第5号証の3に記載されたユニットで構成される機械(以下、「甲第5号証に記載された機械(HSW−258JW 巻き取り機)」という。)を特許異議申立人が「川竹エレクトロニクス株式会社」に納品する際の納品書である。
そして、上記アで述べたとおり、発注に係る機械等が発注者に受領されたという事実を確認するためには、納品書に検収印が押印してあること、あるいは発注者から受注者に受領書または検収書が発行されていること等、受領の事実を示す具体的徴憑が必要である。
しかしながら、甲第6号証の納品書には、「川竹エレクトロニクス株式会社」の担当者による検収印や受領印は押印されておらず、他に受領の事実を示す徴憑も認められない。
よって、甲第6号証の納品書からは、甲第5号証に記載された機械(HSW−258JW 巻き取り機)が「川竹エレクトロニクス株式会社」に受領された事実を確認することができない。
また、仮に受領されていたとしても、上記アで述べたのと同様の理由により、甲第5号証に記載された機械(HSW−258JW 巻き取り機)が本件特許に係る特許出願前に不特定の者が知り得る状況で実施(使用)されていた事実を確認することはできない。
よって、甲第6号証の納品書からは、甲第5号証に記載された機械(HSW−258JW 巻き取り機)が本件特許に係る特許出願前に公然と実施されていたと認定することはできない。

ウ 甲第7号証について
また、甲第7号証は、本件特許に係る特許出願の願書に添付された図面と、甲第3号証に記載された機械(円筒型LIC巻取機 JTY−700型2号機)、甲第1号証に記載された機械(自動加締巻取り機JTM416LT型)及び甲第5号証に記載された機械(HSW−258JW 巻き取り機)との対比説明図であって、甲第1号証及び甲第5号証に記載された機械が本件特許に係る特許出願前に公然と実施されていた事実を示すものではない。

エ 取消事由2についての判断
(ア)本件特許発明1ないし8、13ないし17について
甲第3号証に記載された機械(円筒型LIC巻取機 JTY−700型2号機)が本件特許の特許出願前に公然と実施されていたといえないことは、上記(1)で述べたとおりである。
また、甲第1号証に記載された機械(自動加締巻取り機JTM416LT型)が本件特許に係る特許出願前に公然と実施されていたものとすることができないことも、上記ア、ウないしエで述べたとおりである。
よって、甲第1号証ないし甲第4号証、甲第7号証をみても、本件特許発明1ないし8、13ないし17が、本件特許の特許出願前に公然と実施されていた発明(甲第3号証に記載された機械(円筒型LIC巻取機 JTY−700型2号機))及び本件特許の特許出願前に公然と実施されていた発明(甲第1号証に記載された機械(自動加締巻取り機JTM416LT型))に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。

(イ)本件特許発明11、12について
甲第3号証に記載された機械(円筒型LIC巻取機 JTY−700型2号機)が本件特許の特許出願前に公然と実施されていたといえないことは、上記(1)で述べたとおりである。
また、甲第1号証に記載された機械(自動加締巻取り機JTM416LT型)が本件特許に係る特許出願前に公然と実施されていたものとすることもできないことは、上記ア、ウで述べたとおりである。
さらに、甲第5号証に記載された機械(HSW−258JW 巻き取り機)が本件特許に係る特許出願前に公然と実施されていたものとすることもできないことも、上記イ、エで述べたとおりである。
よって、甲第1号証ないし甲第7号証をみても、本件特許発明11、12が、本件特許の特許出願前に公然と実施されていた発明(甲第3号証に記載された機械(円筒型LIC巻取機 JTY−700型2号機))、本件特許の特許出願前に公然と実施されていた発明(甲第1号証に記載された機械(自動加締巻取り機JTM416LT型))及び本件特許の特許出願前に公然と実施されていた発明(甲第5号証に記載された機械(HSW−258JW 巻き取り機))に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。

オ まとめ
従って、取消事由2は理由がない。

7 特許異議申立人の主張について
特許異議申立人は、
(1)甲第2号証に示すとおり、甲第1号証に示す引用発明1(JTM−416LT)は、本件特許出願前に製造販売されている。
(2)甲第4号証に示すとおり、甲第3号証に示す引用発明2(JTY−700)は、本件特許出願前に製造販売されている。
(3)甲第6号証に示すとおり、甲第5号証に示す引用発明3(HSW−250/258J)は、本件特許出願前に製造販売されている。
と主張するが、「販売」といっても、甲第1号証、甲第3号証、甲第5号証に示される機械は、産業用の製造機械であって、一般公衆に展示・販売される性質のものではなく、工場内に据え付けられ製造に供される性質の機械である。
また、甲第2号証、甲第4号証、甲第6号証、甲第7号証から、甲第1号証、甲第3号証、甲第5号証に示される機械が販売先に受領された事実を確認できないことも、上記6(1)ア及び(2)アないしウで述べたとおりである。
よって、特許異議申立人の主張は採用できない。

8 むすび
したがって、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、請求項1ないし8、11ないし17に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1ないし8、11ないし17に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2022-04-14 
出願番号 P2019-528694
審決分類 P 1 652・ 112- Y (H01G)
P 1 652・ 121- Y (H01G)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 井上 信一
特許庁審判官 須原 宏光
清水 稔
登録日 2021-08-12 
登録番号 6929362
権利者 深▲せん▼市誠捷智能装備股▲ふん▼有限公司
発明の名称 全自動釘打巻取複合機  
代理人 木村 満  
代理人 河合 徹  
代理人 長谷川 陽子  
代理人 武山 敦史  
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ