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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06F
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 G06F
管理番号 1384660
総通号数
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2022-06-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-10-23 
確定日 2022-06-14 
事件の表示 特願2019− 16653「カーソル制御システム及びその制御方法」拒絶査定不服審判事件〔令和 1年10月 3日出願公開、特開2019−169133、請求項の数(8)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成31年2月1日(パリ条約による優先権主張2018年3月22日、米国)の出願であって、令和2年3月25日付けで拒絶理由が通知され、令和2年6月24日に手続補正がされるとともに意見書が提出され、令和2年7月1日付けで拒絶査定がされ、これに対し、令和2年10月23日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正がされ、その後、令和3年8月31日付けで当審より拒絶理由が通知され(以下、「当審拒絶理由(1)」という。)、令和3年12月6日に手続補正がされるとともに意見書が提出され、令和4年1月6日付けで当審より拒絶理由(以下、「当審拒絶理由(2)」という。)が通知され、令和4年4月8日に手続補正がされるとともに意見書が提出されたものである。

第2 原査定の概要
原査定(令和2年7月1日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

本願請求項1−2、4−7に係る発明は、以下の引用文献A−Bに基づいて、本願請求項3に係る発明は、以下の引用文献A−Cに基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
A.米国特許出願公開第2017/0351396号明細書
B.特開2002−41438号公報
C.特開2012−78951号公報

第3 当審拒絶理由の概要
1 当審拒絶理由(1)の概要
理由1(明確性) この出願は、特許請求の範囲の請求項4、7の記載が、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

理由2(進歩性) 本願請求項1−8に係る発明は、引用文献1−2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
1.米国特許出願公開第2017/0351396号明細書(拒絶査定時の引用文献A)
2.特開2002−41438号公報(拒絶査定時の引用文献B)

2 当審拒絶理由(2)の概要
理由1(明確性) この出願は、特許請求の範囲の請求項1−8の記載が、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

理由2(進歩性) 本願請求項1−8に係る発明は、引用文献1−2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
1.米国特許出願公開第2017/0351396号明細書
2.特開2002−41438号公報

第4 本願発明
本願請求項1−8に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」−「本願発明8」という。)は、令和4年4月8日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1−8に記載された事項により特定される発明であって、本願発明1は以下のとおりの発明である。

「【請求項1】
第1の電子装置と、
第2の電子装置と、
第3の電子装置と、
カーソルを制御するための信号を前記第1の電子装置、前記第2の電子装置、または前記第3の電子装置に出力して前記カーソルを表示させるマウスと、
前記第1の電子装置、前記第2の電子装置、または前記第3の電子装置に、前記第1の電子装置の表示画面における前記カーソルの移動状況、前記第2の電子装置または前記第3の電子装置の表示画面における前記カーソルの移動状況を検出するための検出プログラムがそれぞれ対応して設けられている変位検出ユニットと、
を備え、
前記マウスが前記カーソルを制御するための信号を前記第1の電子装置に出力する場合、前記第1の電子装置の前記検出プログラムによって前記カーソルが前記第1の電子装置の前記表示画面の第1のデフォルトの境界に移動されたことが検出されると、前記第1の電子装置の前記検出プログラムは、前記マウスから出力される前記カーソルを制御するための信号が前記第1の電子装置から前記第2の電子装置に切り替えられて出力されるように指示し、前記第1の電子装置の前記検出プログラムによって前記カーソルが前記第1の電子装置の前記表示画面の第2のデフォルトの境界に移動されたことが検出されると、前記第1の電子装置の前記検出プログラムは、前記マウスから出力される前記カーソルを制御するための信号が前記第1の電子装置から前記第3の電子装置に切り替えられて出力されるように指示し、
前記第1の電子装置の前記検出プログラムによって前記カーソルが前記第1の電子装置の前記表示画面の第1のデフォルトの境界に移動されたと同時に前記カーソルが前記第1の電子装置の前記表示画面におけるデータボックスをドラッグしていることが検出される場合、前記第1の電子装置の前記検出プログラムは、前記第1の電子装置の前記データボックスにおけるデータを無線ネットワークのクラウドサーバに出力し、前記クラウドサーバは前記データを前記第2の電子装置に出力し、前記第1の電子装置の前記検出プログラムによって前記カーソルが前記第1の電子装置の前記表示画面の第2のデフォルトの境界に移動されたと同時に前記カーソルが前記第1の電子装置の前記表示画面におけるデータボックスをドラッグしていることが検出される場合、前記第1の電子装置の前記検出プログラムは、前記第1の電子装置の前記データボックスにおけるデータを無線ネットワークのクラウドサーバに出力し、前記クラウドサーバは前記データを前記第3の電子装置に出力し、
前記第1の電子装置と前記第2の電子装置と前記第3の電子装置との間の前記データボックスのデータを送信するためのチャネルは、前記第1の電子装置と前記第2の電子装置と前記第3の電子装置との間で前記カーソルを制御するための信号を送信するために使用されるチャネルとは周波数帯域が異なっている、
ことを特徴とする、カーソル制御システム。」

なお、本願発明2−8の概要は以下のとおりである。
本願発明2−5は、本願発明1を減縮した発明である。
本願発明6は、本願発明1に対応するカーソル制御方法の発明であり、本願発明1とカテゴリ表現が異なるだけの発明である。
本願発明7-8は、本願発明6を減縮した発明である。

第5 引用文献、引用発明等
1 引用文献1及び引用発明
(1) 引用文献1
当審拒絶理由(2)の理由2において引用した引用文献1には、図面とともに、以下の記載がある(下線は、特に着目した箇所を示す。訳は当審訳。以下同様。)。

ア 図1




イ 段落[0045]
「[0045] In certain embodiments, a user can cause an input device to automatically switch pairing from a first host computer to a second host computer by moving a cursor on a display of the first host computer to and/or beyond an edge of the display. This “edge trigger” event can cause the first host computer to send a first control signal to the input device to switch its pairing from the first host computer to the second host computer, and a second control signal to the second host computer indicating where the cursor should be located on its display to simulate what appears to a user to be a continuous and seamless movement of the cursor from the display of the first host computer to the display of the second host computer. In some embodiments, contents from a virtual clipboard (e.g., on the first host computer) can be transferred to a virtual clipboard of the second host computer in response to the edge trigger event, which may include text, media, executable files, and the like. In some cases, three or more host computers may share an input device and include edge trigger capabilities for continuous and seamless cursor movements between each of their corresponding displays. Devices or entities that are “communicatively coupled” can have bidirectional electronic communication with one another. Devices that are “paired” to a device typically send control signals (e.g., movement detection, button presses, scroll wheel movement, etc.) to a single host computer at a time, but may be simultaneously and communicatively coupled with multiple host computers.
(訳:
[0045] 特定の実施形態では、ユーザが、第1のホストコンピュータのディスプレイ上のカーソルを、ディスプレイのエッジまで、及び/または、エッジを越えて、動かすことにより、入力デバイスのペアリングを、第1のホストコンピュータから第2のホストコンピュータへと自動的に切替えるようにできる。この「エッジ・トリガ」イベントによって、第1のホストコンピュータは、第1の制御信号を入力デバイスに対して送信することによって、第1ホストコンピュータから第2ホストコンピュータへとペアリングの切替をさせ、また、第2の制御信号を第2のホストコンピュータに対して送信することによって、カーソルをディスプレイ上のどこに配置すべきかを指示して、あたかも、第1のホストコンピュータのディスプレイから第2のホストコンピュータのディスプレイへと、カーソルが連続的かつシームレスに移動したようにユーザには見えるようにシミュレートさせる。いくつかの実施形態では、エッジ・トリガ・イベントに応答して、(例えば、第1のホストコンピュータ上の)仮想クリップボードのコンテンツを、第2のホストコンピュータの仮想クリップボードに転送でき、これには、テキスト、メディア、実行可能ファイルなどが含まれる。いくつかの場合において、3台またはそれ以上のホストコンピュータが、入力デバイスを共有して、それぞれに対応したディスプレイ間での連続的かつシームレスなカーソル移動のためのエッジトリガ機能を含むことができる。「通信可能に接続された」デバイスまたはエンティティは、それぞれの間に双方向の電子的な通信を備えられる。また、あるデバイスに「ペアリング」されたデバイスは、典型的には、一度に1台のホストコンピュータに、(例えば、動きの検出、ボタンの押下、スクロールホイールの動きなどの)制御信号を送信するが、複数台のホストコンピュータと同時に接続して通信することもできる。)

ウ 図2




エ 段落[0051]
「[0051] FIG. 2 shows a system 200 for enabling automatic multi-host switching for an input device, according to certain embodiments. System 200 includes web service provider 210, firewall 220, Ethernet connection 230, router 240, and local-area network (LAN) 250. LAN 250 includes first host computer (host) 260, second host computer (host) 270, third host computer (Host) 280, and fourth host computer (host) 290. Ethernet connection 230 is coupled to web service provider 210 through firewall 220. Router 240 is communicatively coupled to Ethernet hub 230. A fifth host computer (host) 295 is coupled to Ethernet connection 230. Each host 260-290 can be communicatively coupled to router 240 to form LAN 250. Input device 262 (e.g., a computer mouse) can be multi-host switching enabled (i.e., can be paired to multiple computing devices) and may be communicatively coupled to host 260 and host 270. Input devices 282 (e.g., computer mouse) and 284 (e.g., keyboard) can be multi-host switching enabled and may be communicatively coupled to hosts 280 and 290. Input device 297 can be communicatively coupled to host 295. The input devices can be communicatively coupled to their respective host computers via any suitable wireless communication protocol including, but not limited to, Bluetooth, Bluetooth Low-Energy (BTLE), infra-red (IR), RF, ZigBee, Logitech Unifying, or other suitable communication standard. Each host computer can include “flow” software (201-204) to enable and support automatic switching between host computing devices as further discussed below. System 200 and any other embodiments discussed or contemplated in this document (e.g., FIGS. 1-19) that utilize display-based (e.g., pixel-based) triggers to automatically switch an input device for a first host computer to a second host computer can be generically referred to as a “flow-enabled system.”」
(訳:
[0051] 図2は、特定の実施形態による、入力デバイスの自動的な複数ホスト間切替を実現するためのシステム200を示す図である。システム200は、Webサービス・プロバイダ210、ファイアウォール220、イーサネット接続230、ルータ240、ローカルエリアネットワーク(LAN)250を備える。LAN250は、第1のホストコンピュータ(ホスト)260と、第2のホストコンピュータ(ホスト)270と、第3ホストコンピュータ(ホスト)280と、第4のホストコンピュータ(ホスト装置)290とを備えている。イーサネット接続230は、ファイアウォール220経由でWebサービス・プロバイダ210に接続される。ルータ240は、イーサネットハブ230と通信可能に接続される。第5のホストコンピュータ(ホスト)295は、イーサネット接続230に接続される。各ホスト260−290はルータ240に通信可能に接続できて、ローカルエリアネットワーク(LAN)250を形成する。(例えば、コンピュータ用マウスである)入力デバイス262は、複数ホスト間の切替が可能(すなわち、複数のコンピューティングデバイスとペアリング可能)とすることができ、ホスト260、ホスト270に通信可能に接続できる。(例えば、コンピュータ用マウスである)入力デバイス282と(例えば、キーボードである)284は、マルチホスト間の切替が可能であって、ホスト280及び290に通信可能に接続できる。入力デバイス297は、ホスト295に通信可能に接続できる。入力デバイスは、限定はされないが、ブルートゥース、ブルートゥース低エネルギ(BTLE)、赤外線(IR)、RF、ZigBee、ロジテック社統一方式、その他の適切な通信標準を含む、任意の適切な無線通信プロトコルを介して、それぞれのホストコンピュータに通信可能に接続できる。以下にさらに説明するように、各ホストコンピュータは、ホストコンピュータ間での自動切替を可能にしてサポートするための「フロー」ソフトウェア(201−204)を含むことができる。システム200及びこの文書で議論され考察される任意の他の実施形態(例えば、図1−19)であって、表示に基づく(例えば、ピクセルに基づく)トリガを利用して、第1のホストコンピュータから第2のホストコンピュータへと、入力デバイスを自動的に切替えるものは、総称的に「フロー可能化システム」と呼ばれる。)

オ 図4




カ 段落[0065]−[0068]
「[0065] At step 420, method 400 may include detecting, by first host computer 110, when cursor 140 moves to edge 118 on display 115 of first host computer 110. At step 430, in response to first host computer 110 detecting that cursor 140 has moved to edge 118 of display 115 of first host computer 110, method 400 can include sending, by first host computer 110 to input device 130, a first control signal to switch the communicative pairing of input device 130 from first host computer 110 to second host computer 120.
[0066] At step 440, method 400 can further include sending, by first host computer 110 to second host computer 120, a second control signal causing second host computer 120 to move second cursor 150 on display 125 of second host computer 120 to a location to simulate a continuous movement or “flow” of cursor 140 from edge 118 of display 115 on first host computer 110 to a corresponding edge 128 of display 125 on second host computer 120, as shown, e.g., at times t2-t3 in FIG. 1.
[0067] Edge detection can include detecting cursor 140 on a single edge or on one of several flow-enabled edges that can trigger edge detection. For instance, edge detection on a first edge 118 may cause input device 130 to switch from host 110 to host 120. However, edge detection on a different edge of display 115 may cause input device 130 to switch from host 110 to a third host device (not shown). Any number of edges or portions thereof can trigger edge detection. In some embodiments, detecting cursor 140 in certain defined regions or areas of display 115 may cause input device 130 to switch between host computers. An edge may defined by a single row or column of pixels. In some cases, an edge may be defined by a number of rows or columns of pixels (e.g., right edge of display 115 at 5 pixel columns wide). Some embodiments may further include detecting a speed or trajectory (i.e., vector-speed and direction) of cursor 140 prior to and/or at the time of contacting an edge and may trigger edge detection based on both cursor location and speed (e.g., movement greater than 100 pixels/second).
[0068] It should be appreciated that the specific steps illustrated in FIG. 4 provide a particular method 400 for automatically causing an input device to switch between host computers in response to detecting an edge trigger event, according to certain embodiments. Other sequences of steps may also be performed according to alternative embodiments. For example, alternative embodiments may perform the steps outlined above in a different order. Moreover, the individual steps illustrated in FIG. 4 may include multiple sub-steps that may be performed in various sequences as appropriate to the individual step. Furthermore, additional steps may be added or removed depending on the particular applications. For example, in some embodiments, first host computer 110 may send a first control signal to the input device to initiate a switch between host computers, but may not be in communication with second host computer 120, thus eliminating the “flow” portion described in step 440. Alternatively or additionally, some embodiments of method 400 can further include (e.g., at step 420) detecting when the input signal corresponds to a continued movement of the cursor beyond the edge of the display of the first host computer. In such cases, triggering a flow event and sending the first and second control signals would require that the cursor not only move to an edge of the display, but continue to receive input device signals indicating continued movement in that particular direction (e.g., a user moves the cursor to the edge, which stops the cursor, but the user continues to the move the input device in the same direction, which may show that the user wants to “flow” from one host computer to the next, rather than intentionally hovering the cursor at or near the display edge.). One of ordinary skill in the art would recognize and appreciate many variations, modifications, and alternatives of method 400.」
(訳:
[0065] 方法400は、ステップ420において、第1のホストコンピュータ110のディスプレイ115のエッジ118まで、カーソル140が移動したときに、第1のホストコンピュータ110が検出することを含む。方法400は、ステップ430において、第1のホストコンピュータ110のディスプレイ115のエッジ118まで、カーソル140が移動したことを、第1のホストコンピュータ110が検出したことに応答して、第1のホストコンピュータ110が、第1の制御信号を入力デバイス130に送信することによって、第1ホストコンピュータから第2ホストコンピュータへと入力デバイス130の通信のペアリングの切替をさせる。
[0066] 方法400は、さらに、ステップ440において、第1のホストコンピュータ110が、第2の制御信号を第2のホストコンピュータ120に送信することによって、第2のホストコンピュータ120のディスプレイ150に第2のカーソルを配置することで、例えば、図1の時刻t2〜t3に示されるように、第1のホストコンピュータ110のディスプレイ115のエッジ118から、第2のホストコンピュータのディスプレイ125の対応するエッジ128へと、カーソル140を連続的に移動すること、または、「フロー」をシミュレートさせることを含むことができる。
[0067] エッジ検出には、カーソル140を、単一のエッジにおいて、または、エッジ検出をトリガでき「フロー」に利用可能な複数のエッジのいずれか1つにおいて検出することを含むことができる。例えば、第1のエッジ118におけるエッジ検出によって、ホスト110からホスト120へと、入力デバイス130を切替えることができる。しかしながら、ディスプレイ115の他のエッジにおけるエッジ検出によって、ホスト110から(非図示の)第3のホスト装置へと、入力デバイス130を切替えることができる。任意の数のエッジやその部分によって、エッジ検出をトリガできる。いくつかの実施形態では、ディスプレイ115の既定の領域や区域で、カーソル140を検出することによって、入力デバイス130をホストコンピュータ間で切替えるようにしてもよい。エッジは、ピクセルの単一の行または列で定義できる。いくつかの場合には、エッジは、ピクセルの複数の行または列によって(例えば、ディスプレイ115の右側エッジにおける5ピクセルの列幅によって)定められる。いくつかの実施形態では、さらに、エッジに接触する前の時点、及び/または、接触した時点におけるカーソル140の速度または軌跡(すなわち、ベクトルの速度と方向)の検出を含んでもよく、カーソルの位置及び(例えば、1秒当たり100ピクセルより大きい動きである)速度との両方に基づいて、エッジ検出をトリガしてもよい。
[0068] なお、図4に示す具体的なステップは、特定の実施形態に依拠する、エッジ・トリガ・イベントの検出に応じて、入力デバイスをホストコンピュータ間で自動的に切り替えさせるための特定の方法400を示している点を理解されたい。代替的な実施形態では、他のステップの系列を実行してもよい。例えば、代替的な実施形態では、上述のステップを異なる順番で実行してもよい。その上、図4に示す個々のステップは、個々のステップに適切な様々な順序で実施され得る複数のサブステップを含んでもよい。さらに、特定の用途に応じて、付加的なステップを追加しても除去してもよい。例えば、いくつかの実施形態では、第1のホストコンピュータ110は、入力デバイスへの第1の制御信号を送信して、ホストコンピュータとの間の切り替えを開始するが、第2のホストコンピュータ120とは通信状態になく、したがってステップ440に記載される「フロー」部分を除去してもよい。代替的または追加的に、検出方法400のいくつかの実施形態において、さらに、(例えば、ステップ420に)第1のホストコンピュータのディスプレイのエッジを越えるカーソルの連続する移動に対応する入力信号の検出を含み得る。このような場合には、フローイベントをトリガして、第1及び第2の制御信号を送信することにより、カーソルがディスプレイのエッジまで移動するだけではなく、その特定の方向への連続した移動を示す信号を、入力デバイスから引き続き受信することが必要とされる(例えば、ユーザはカーソルをエッジまで移動させ、これによってカーソルは停止するが、ユーザは引き続き入力デバイスを同じ方向に移動させており、これによってユーザは、カーソルをエッジ又はその周辺で意図的にホバリングさせているのではなく、1台のホストコンピュータから次への「フロー」を望んでいることを示す。)。当業者であれば、方法400についての多くの変形、修正、及び代替案を認識して理解するであろう。)

キ 段落[0101]−[0112]
「[0101] In addition to switching cursor control on a first host computer to a second host computer, automatic multi-host switching can provide additional functionality including the transfer of user data. In some embodiments, a user may move virtual clipboard (VC) data on a virtual clipboard of a first host computer and make it available (e.g., for pasting) on a second host device. Any type of VC data can be transferred including alphanumeric text, symbols, documents, media (e.g., audio, video), files (e.g., .doc, .xls, .exe, .rar, .gif, etc.), and the like. An edge-triggered transfer of data between two host computers can appear to be seamless and immediate from a user perspective, thus providing even greater flexibility and additional functionality beyond switching input devices between host computers.

・・・(中略)・・・

[0103] In response to cursor 540 moving to edge 518 of display 515, software 501 of host 510 can initiate an edge trigger event. In addition to causing automatic host switching on a paired input device (e.g., input device 530-see FIG. 5), software 501 of host 510 can send a message to software 502 of host 520 indicating that virtual clipboard 1360 includes data available to copy. The message can be of any suitable type or format (e.g., a flag) that can provide a hint or indication to the input device receiving host computer (following an edge trigger event) that virtual clipboard 1360 has stored data. Typically, a virtual clipboard may define a format of a type of content on the clipboard. For instance, in flow software (e.g., SW 102), copying and pasting of virtual clipboard data is supported. Some supported virtual clipboard formats include, but are not limited to, text files (e.g., plain text, rtf, etc.), image files (e.g., x-win-dibv5, png, tiff, bmp, jpeg, gif, etc.), video files (e.g., mpeg, mov, etc.), audio files (e.g., .wav, mp3, etc.), executable files, document files (.doc, .xls, .ppt, etc.), and the like.

・・・(中略)・・・

[0112] At step 1450, method 1400 may include receiving a request for the VC data by the second host computer. At step 1460, method 1400 may include sending the VC data by the first host computer to the second host computer via the shared network connection (e.g., TCP/IP network). In some embodiments, the first host computer may store and send the VC data. Alternatively or additionally, the VC data may be stored on the input device or other external location (e.g., a third host computer that is first host computer-accessible) and the first host computer may first retrieve the VC data and then send it to the second host computer. In some cases, the first host computer may coordinate a transfer of the VC data to the second host computer without first receiving it. One of ordinary skill in the art would understand the many variations, modifications, and alternative embodiments thereof.」
(訳:
[0101] 第1のホストコンピュータから第2のホストコンピュータへと、カーソルの制御を切替えることに加えて、複数ホスト間の自動的な切替によって、ユーザ・データの転送を含む付加的機能を提供できる。いくつかの実施形態では、ユーザは、第1ホストコンピュータ上の仮想クリップボードの仮想クリップボード(VC)データを移動して、第2のホスト装置上で(例えば、ペーストをするために)利用可能にすることができる。任意の形式の仮想クリップボードのデータを転送でき、英数字テキスト、記号、文書、メディア(例えば、オーディオ、ビデオ)、ファイル(例えば、.doc、.xls、.exe、.rar、.gif等)等を含む。2つのホストコンピュータ間でのエッジ・トリガによる転送は、ユーザの視点からは、シームレスかつ即時であるように見え、これによって、ホストコンピュータ間の入力デバイスの切替えを超えて、より高度な柔軟性と、付加的な機能性を提供できる。

・・・(中略)・・・

[0103] ディスプレイ515のエッジ518までカーソル540が移動することに応じて、ホスト510のソフトウェア501は、エッジ・トリガ・イベントを開始できる。ペアリングされる入力デバイス(例えば、図5の入力デバイス530参照。)をホスト間で自動的に切替えることに加えて、ホスト510のソフトウェア501は、ホスト520のソフトウェア502に対して、仮想クリップボード1360にコピー可能なデータが含まれることを伝えるメッセージを送信できる。そのようなメッセージは、(エッジ・トリガ・イベントの後で)入力デバイスを受信する側のホストコンピュータに、仮想クリップボード1360にデータが格納されていることを示唆、または、通知することができるような、任意の適切な形式またはフォーマット(例えば、フラグ)であり得る。通常、仮想クリップボードは、クリップボード上のコンテンツの形式のフォーマットを定義できる。例えば、フロー・ソフトウェア(例えば、102)は、仮想クリップボードのデータのコピー・アンド・ペーストをサポートしている。サポートされた仮想クリップボードのフォーマットとしては、テキストファイル(たとえば、プレーンテキスト、rtf等)、画像ファイル(例えば、x−win−dibv5、png、tiff、bmp、jpeg、gif等)、動画ファイル(例えば、mpeg、mov等)、音声ファイル(例えば、wav、mp3等)、実行可能ファイル、文書ファイル(.doc、.xls、.ppt等)等が含まれるが、これらに限定されない。

・・・(中略)・・・

[0112] 方法1400は、ステップ1450において、第2のホストコンピュータから仮想クリップボードのデータのリクエストを受信することを含み得る。方法1400は、ステップ1460において、共有されたネットワーク接続(例えば、TCP/IPネットワーク)を介して、第1のホストコンピュータから第2のホストコンピュータへと、仮想クリップボードのデータを送信することを含み得る。いくつかの実施形態では、第1のホストコンピュータが、仮想クリップボードのデータを記憶して送信する。あるいは、または、それに加えて、入力デバイスまたは他の外部の場所(例えば、第1のホストコンピュータからアクセス可能な第3のホストコンピュータ)に、仮想クリップボードのデータを格納して、第1のホストコンピュータは、まず仮想クリップボードのデータを取り出して、それから、第2のホストコンピュータに送信できる。いくつかのケースでは、第1のホストコンピュータは、最初に受信することなく、第2ホストコンピュータへの仮想クリップボードのデータの転送をコーディネートできる。当業者であれば、多くの変形、修正、及び、代替的実施例を理解するであろう。)

ク 段落[0133]
「[0133] FIG. 23 is a sequence diagram 2300 showing a computer host switch and copy/paste process via a cloud-based network, according to certain embodiments. Diagram 2300 illustrates how host computers are registered with a presence server, how host computers query the presence server to determine what other host computers are currently online and available for an edge-triggered event, and how host computers implement the flow-enabled event (e.g., input device switching, copy/paste action with VC data, flow-enabled computer application launch, multi-input device switching, etc., as discussed above). One of ordinary skill in the art would understand the many variations, modifications, and alternative embodiments thereof.」
(訳:
[0133] 図23は、クラウドベースのネットワークを介した、ホストコンピュータ間の切替、及び、コピー/ペーストを示すシーケンス・ダイアグラム2300である。ダイアグラム2300は、どのようにしてホストコンピュータがプレゼンス・サーバに登録されるか、どのようにしてホストコンピュータがプレゼンス・サーバにクエリーを行うことで、他のいずれのホストコンピュータが現在オンラインで、エッジ・トリガ・イベントに利用できるかを決定するか、及び、どのようにしてホストコンピュータがフロー可能化されたイベント(例えば、上記で説明した、入力デバイスの切替、仮想クリップボードのデータのコピー/ペースト動作、フローが可能とされたコンピュータ・アプリケーションの起動、複数の入力デバイスの切替等)を実現するかを示している。当業者であれば、多くの変形、修正、及び、代替的実施例を理解するであろう。)

(2) 引用発明
よって、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が開示されているものと認められる。

「ユーザが、第1のホストコンピュータのディスプレイ上のカーソルを、ディスプレイのエッジまで、及び/または、エッジを越えて、動かすことにより、入力デバイスのペアリングを、第1のホストコンピュータから第2のホストコンピュータへと自動的に切替えるようにでき、この「エッジ・トリガ」イベントによって、あたかも、第1のホストコンピュータのディスプレイから第2のホストコンピュータのディスプレイへと、カーソルが連続的かつシームレスに移動したようにユーザには見えるようにシミュレートさせ、
エッジ・トリガ・イベントに応答して、第1のホストコンピュータ上の仮想クリップボードのコンテンツを、第2のホストコンピュータの仮想クリップボードに転送でき、これには、テキスト、メディア、実行可能ファイルなどが含まれ、
いくつかの場合において、3台またはそれ以上のホストコンピュータが、入力デバイスを共有して、それぞれに対応したディスプレイ間での連続的かつシームレスなカーソル移動のためのエッジトリガ機能を含むことができ、
入力デバイスは、ブルートゥース、ブルートゥース低エネルギ(BTLE)、赤外線(IR)、RF、ZigBee、ロジテック社統一方式、その他の適切な通信標準を含む、任意の適切な無線通信プロトコルを介して、それぞれのホストコンピュータに通信可能に接続でき、
各ホストコンピュータは、ホストコンピュータ間での自動切替を可能にしてサポートするための「フロー」ソフトウェア(201−204)を含み、
ステップ420において、第1のホストコンピュータ110のディスプレイ115のエッジ118まで、カーソル140が移動したときに、第1のホストコンピュータ110が検出し、
ステップ430において、第1のホストコンピュータ110のディスプレイ115のエッジ118まで、カーソル140が移動したことを、第1のホストコンピュータ110が検出したことに応答して、第1のホストコンピュータ110が、第1の制御信号を入力デバイス130に送信することによって、第1ホストコンピュータから第2ホストコンピュータへと入力デバイス130の通信のペアリングの切替をさせ、
ステップ440において、第1のホストコンピュータ110が、第2の制御信号を第2のホストコンピュータ120に送信することによって、第2のホストコンピュータ120のディスプレイ150に第2のカーソルを配置することで、第1のホストコンピュータ110のディスプレイ115のエッジ118から、第2のホストコンピュータのディスプレイ125の対応するエッジ128へと、カーソル140を連続的に移動すること、または、「フロー」をシミュレートさせ、
カーソル140を、単一のエッジにおいて、または、エッジ検出をトリガでき「フロー」に利用可能な複数のエッジのいずれか1つにおいて検出し、
例えば、第1のエッジ118におけるエッジ検出によって、ホスト110からホスト120へと、入力デバイス130を切替えることができ、ディスプレイ115の他のエッジにおけるエッジ検出によって、ホスト110から(非図示の)第3のホスト装置へと、入力デバイス130を切替えることができ、
特定の用途に応じて、付加的なステップを追加しても除去してもよく、例えば、いくつかの実施形態では、第1のホストコンピュータ110は、入力デバイスへの第1の制御信号を送信して、ホストコンピュータとの間の切り替えを開始するが、第2のホストコンピュータ120とは通信状態になく、したがってステップ440に記載される「フロー」部分を除去してもよく、
第1のホストコンピュータから第2のホストコンピュータへと、カーソルの制御を切替えることに加えて、複数ホスト間の自動的な切替によって、ユーザ・データの転送を含む付加的機能を提供でき、ユーザは、第1ホストコンピュータ上の仮想クリップボードの仮想クリップボード(VC)データを移動して、第2のホスト装置上で(例えば、ペーストをするために)利用可能にすることができ、
ステップ1450において、第2のホストコンピュータから仮想クリップボードのデータのリクエストを受信し、
ステップ1460において、共有されたネットワーク接続(例えば、TCP/IPネットワーク)を介して、第1のホストコンピュータから第2のホストコンピュータへと、仮想クリップボードのデータを送信し、
入力デバイスまたは他の外部の場所(例えば、第1のホストコンピュータからアクセス可能な第3のホストコンピュータ)に、仮想クリップボードのデータを格納して、第2ホストコンピュータへの仮想クリップボードのデータの転送をコーディネートでき、
クラウドベースのネットワークを介した、ホストコンピュータ間の入力デバイスの切替、及び、仮想クリップボードのデータのコピー/ペースト等を行う、
入力デバイスの自動的な複数ホスト間切替を実現するためのシステム。」

2 引用文献2、周知技術
(1) 引用文献2
当審拒絶理由(2)の理由2において引用した引用文献2には、図面とともに、以下の記載がある。

ア 【図3】




イ 【図4】




ウ 段落【0029】−【0040】
「【0029】このような構成において、この発明では、入力デバイス11による制御信号、特に、マウス3による(X,Y)移動量に基づき、入力デバイス11による制御対象をコンピュータ装置5および9間で切り替える。このとき、コンピュータ装置5のモニタ装置7およびコンピュータ装置9の表示部10において、恰も2つのコンピュータ装置5および9の間で操作が連続的に行われているように、表示がなされる。
【0030】例えば、図3に一例が示されるように、当初、入力デバイス11による制御がコンピュータ装置5側にあり、カーソル表示30がモニタ装置7に表示されているものとする。ここで、カーソル表示30が右に移動するようにマウス3を移動させると、カーソル表示30がモニタ装置7の表示エリアの右端に到達し、さらに右側に移動させると、入力デバイス11(マウス3)による制御がコンピュータ装置5からコンピュータ装置9へと切り替えられる。それに伴い、コンピュータ装置9の表示部10に、カーソル表示30’が表示される。このとき、カーソル表示30および30’の表示を、モニタ装置7から表示部10へ連続的に切り替わるように行うと、動作がより直感的なものとなり、好ましい。
【0031】また、コンピュータ装置5および9の間でのファイルの移動やコピーなどのファイル操作を、入力デバイス11により同様にして行うことができる。例えば、図4に一例が示されるように、コンピュータ装置5側において、マウス3を用いて、コンピュータ装置9に移動やコピーさせたいファイルを示すアイコン31を選択し、選択状態のまま、このアイコン31が右に移動するようにマウスを移動させると、アイコン31がモニタ装置7の表示エリアからはみ出た瞬間に、入力デバイス11(マウス3)による制御がコンピュータ装置5からコンピュータ装置9へと切り替えられる。それに伴い、コンピュータ装置9の表示部10に、アイコン31’が表示される。さらにこのとき、選択されたファイルがコンピュータ装置5からコンピュータ装置9に対して送信され、ファイルの移動あるいはコピーが実行される。
【0032】図5および図6のフローチャートを用いて、これら図3および図4の処理について、さらに詳細に説明する。図5は、上述の図3で説明した、マウス3の移動に伴う制御の切り替え処理のフローチャートである。図5および図6のフローチャートにおいては、コンピュータ装置5および9を、それぞれPC−AおよびPC−Bと表記している。なお、図5および図6の何れの処理の場合でも、コンピュータ装置5および9には、これらの処理を実現するための所定のドライバソフトウェアが予め組み込まれているものとする。
【0033】図5のフローチャートの実行に先んじて、コンピュータ装置5および9から入力切替装置1に対して、それぞれの画面サイズの情報と画面の解像度の情報とが供給される。コンピュータ装置5から出力された情報は、通信ケーブル4を介して通信部23に入力され、制御部20に供給される。同様に、コンピュータ装置9から出力された情報は、通信ケーブル8を介して通信部24に入力され、制御部20に供給される。これらの情報は、制御部20において例えばメモリに記憶される。また、当初、入力デバイス11による制御は、コンピュータ装置5側にあるものとし、図3Aの如く、カーソル表示30がモニタ装置7上に表示されているものとする。
【0034】次に、ユーザによりマウス3が移動され(ステップS10)、このマウス3の移動に伴い、マウス3から(X,Y)移動量が出力され、入力部22に入力される。この(X,Y)移動量は、制御部20によりバス21の経路を制御され、入力部22から通信部23に供給される。(X,Y)移動量は、通信部23から通信ケーブル4を介してコンピュータ装置5に供給される。コンピュータ装置5では、供給された(X,Y)移動量に基づき、モニタ装置7に表示されているカーソル表示30を移動させる。これにより、モニタ装置7に表示されるカーソル表示30は、ユーザの所望通り移動可能となる。
【0035】次にステップS11では、カーソル表示30がコンピュータ装置5の出力画像の右端にいるかどうか、すなわち、モニタ装置7上の、コンピュータ装置5による画像表示エリアの右端にカーソル表示30が到達したかどうかが判断され、到達していると判断されれば、処理は次のステップS12に移行する。若し、到達していないと判断されれば、処理はステップS10に戻される。
【0036】ステップS11での判断は、例えば次のようにしてなされる。コンピュータ装置5から、カーソル表示30の座標情報(Cx,Cy)が出力される。出力された座標情報は、通信ケーブル4を介して通信部23に供給される。座標情報(Cx,Cy)は、通信部23からバス21を介して制御部20に供給される。制御部20では、供給された座標情報(Cx,Cy)のうち、X軸方向の座標データである座標Cxと、予め取得されている画面サイズ情報の、X軸方向のサイズ情報Sxとが比較される。モニタ装置7の表示エリアにおいて、右端の座標値がSx−1であるとすると、Cx=Sx−1であれば、カーソル表示30が右端に存在し、Cx<Sx−1であれば、カーソル表示30が表示エリア内の右端以外の位置に存在すると判断できる。
【0037】ステップS12では、カーソル表示30をさらに右側へ移動させるように、ユーザによりマウス3が操作されたかどうかが判断される。マウス3から供給された(X,Y)移動量に基づき、制御部20により判断される。若し、さらに右側に移動させようとしている場合には、処理は次のステップS13に移行する。一方、右側に移動させようとしてない場合には、処理はステップS10に戻される。
【0038】若し、ステップS12で、さらに右側に移動していると判断されたら、ステップS13で、カーソル表示30がモニタ装置7の表示エリアの右端に到達したときのカーソル表示30の座標(Cx,Cy)と、その直後のマウス3の移動量(dX,dY)が制御部20において記憶される。
【0039】次のステップS14では、入力デバイス11から出力される制御信号による制御が、コンピュータ装置5からコンピュータ装置9へと切り替えられる。制御部20によりバス21が制御され、入力デバイス11から入力部22を介して入力される制御信号の供給先が、通信部23から通信部24へと切り替えられる。入力デバイス11からの制御信号が通信ケーブル8を介してコンピュータ装置9に供給されると共に、入力デバイス11からの制御信号をコンピュータ装置5に供給しないようにする。これにより、ユーザの操作は、コンピュータ装置5からコンピュータ装置9へと移行することになる。
【0040】さらに、ステップS15において、コンピュータ装置5によりモニタ装置7上に表示されているカーソル表示30が消去されるように、制御部20から通信ケーブル4を介してコンピュータ装置5に対して要求される。この要求に基づき、コンピュータ装置5によって、モニタ装置7におけるカーソル表示30が消去される。」


(2) 周知技術1
上記(1)引用文献2の記載から、画面上で、直感的にデータの移動やコピーを指示する方法として、「ドラッグ」操作、すなわち、マウスのボタンでデータを選択したままの状態でマウスを移動して、すなわち、データの選択操作とカーソルの移動操作とを「同時に」行うことで、データの「移動」や「コピー」を指示する操作は、例えば、引用文献2の段落【0031】に記載されるように、周知技術であると認められる。

第6 対比・判断
1 本願発明1について

(1) 本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。

ア 引用発明の「第1のホストコンピュータ110」と、「第2のホストコンピュータ120」は、本願発明1の「第1の電子装置と、第2の電子装置」に相当する。
また、引用発明の「(非図示の)第3のホスト装置」は、本願発明1の「第3の電子装置」に相当する。

イ 引用発明の「入力デバイス130」は、「カーソル140」を移動させるから、本願発明1の「カーソルを制御するための信号を前記第1の電子装置、前記第2の電子装置、または前記第3の電子装置に出力して前記カーソルを表示させるマウス」に相当する。

ウ 引用発明の各ホストコンピュータが備える「ホストコンピュータ間での自動切替を可能にしてサポートするための「フロー」ソフトウェア(201−204)」は、「第1のホストコンピュータ110のディスプレイ115のエッジ118まで、カーソル140が移動したこと」等を検出するから、本願発明1の「前記第1の電子装置、前記第2の電子装置、または前記第3の電子装置に、前記第1の電子装置の表示画面における前記カーソルの移動状況、前記第2の電子装置または前記第3の電子装置の表示画面における前記カーソルの移動状況を検出するための検出プログラムがそれぞれ対応して設けられている変位検出ユニット」に相当する。

エ 引用発明の「いくつかの場合において、3台またはそれ以上のホストコンピュータが、入力デバイスを共有して、それぞれに対応したディスプレイ間での連続的かつシームレスなカーソル移動のためのエッジトリガ機能を含むことができ」るものであって、
「ステップ430において、第1のホストコンピュータ110のディスプレイ115のエッジ118まで、カーソル140が移動したことを、第1のホストコンピュータ110が検出したことに応答して、第1のホストコンピュータ110が、第1の制御信号を入力デバイス130に送信することによって、第1ホストコンピュータから第2ホストコンピュータへと入力デバイス130の通信のペアリングの切替をさせ」ており、
「カーソル140を、単一のエッジにおいて、または、エッジ検出をトリガでき「フロー」に利用可能な複数のエッジのいずれか1つにおいて検出し、例えば、第1のエッジ118におけるエッジ検出によって、ホスト110からホスト120へと、入力デバイス130を切替えることができ、ディスプレイ115の他のエッジにおけるエッジ検出によって、ホスト110から(非図示の)第3のホスト装置へと、入力デバイス130を切替えることができ」ることは、本願発明1の「前記マウスが前記カーソルを制御するための信号を前記第1の電子装置に出力する場合、前記第1の電子装置の前記検出プログラムによって前記カーソルが前記第1の電子装置の前記表示画面の第1のデフォルトの境界に移動されたことが検出されると、前記第1の電子装置の前記検出プログラムは、前記マウスから出力される前記カーソルを制御するための信号が前記第1の電子装置から前記第2の電子装置に切り替えられて出力されるように指示し、前記第1の電子装置の前記検出プログラムによって前記カーソルが前記第1の電子装置の前記表示画面の第2のデフォルトの境界に移動されたことが検出されると、前記第1の電子装置の前記検出プログラムは、前記マウスから出力される前記カーソルを制御するための信号が前記第1の電子装置から前記第3の電子装置に切り替えられて出力されるように指示し」ていることに相当する。

オ 引用発明の「仮想クリップボード」は、本願発明1の「データボックス」に相当する。
よって、引用発明の「第1のホストコンピュータから第2のホストコンピュータへと、カーソルの制御を切替えることに加えて、複数ホスト間の自動的な切替によって、ユーザ・データの転送を含む付加的機能を提供でき、ユーザは、第1ホストコンピュータ上の仮想クリップボードの仮想クリップボード(VC)データを移動して、第2のホスト装置上で(例えば、ペーストをするために)利用可能にすることができ、ステップ1450において、第2のホストコンピュータから仮想クリップボードのデータのリクエストを受信し、ステップ1460において、共有されたネットワーク接続(例えば、TCP/IPネットワーク)を介して、第1のホストコンピュータから第2のホストコンピュータへと、仮想クリップボードのデータを送信し、入力デバイスまたは他の外部の場所(例えば、第1のホストコンピュータからアクセス可能な第3のホストコンピュータ)に、仮想クリップボードのデータを格納して、第2ホストコンピュータへの仮想クリップボードのデータの転送をコーディネートでき」ることは、本願発明1の「前記第1の電子装置の前記検出プログラムによって前記カーソルが前記第1の電子装置の前記表示画面の第1のデフォルトの境界に移動されたと同時に前記カーソルが前記第1の電子装置の前記表示画面におけるデータボックスをドラッグしていることが検出される場合、前記第1の電子装置の前記検出プログラムは、前記第1の電子装置の前記データボックスにおけるデータを無線ネットワークのクラウドサーバに出力し、前記クラウドサーバは前記データを前記第2の電子装置に出力し、前記第1の電子装置の前記検出プログラムによって前記カーソルが前記第1の電子装置の前記表示画面の第2のデフォルトの境界に移動されたと同時に前記カーソルが前記第1の電子装置の前記表示画面におけるデータボックスをドラッグしていることが検出される場合、前記第1の電子装置の前記検出プログラムは、前記第1の電子装置の前記データボックスにおけるデータを無線ネットワークのクラウドサーバに出力し、前記クラウドサーバは前記データを前記第3の電子装置に出力し」ていることと、
「前記第1の電子装置の前記検出プログラムによって前記カーソルが前記第1の電子装置の前記表示画面の第1のデフォルトの境界に移動されたことが検出される場合、前記第1の電子装置の前記検出プログラムは、前記第1の電子装置の前記データボックスにおけるデータを、前記第2の電子装置に出力し」ている点で共通するといえる。

カ 引用発明の「入力デバイスは、ブルートゥース、ブルートゥース低エネルギ(BTLE)、赤外線(IR)、RF、ZigBee、ロジテック社統一方式、その他の適切な通信標準を含む、任意の適切な無線通信プロトコルを介して、それぞれのホストコンピュータに通信可能に接続でき」る一方、「ステップ1460において、共有されたネットワーク接続(例えば、TCP/IPネットワーク)を介して、第1のホストコンピュータから第2のホストコンピュータへと、仮想クリップボードのデータを送信し」ていることは、ここで、例えば「ブルートゥース」などの「無線通信プロトコル」と、(周知のイーサネット等の有線接続や、WiFi等の無線接続が用いられる)「ネットワーク接続(例えば、TCP/IPネットワーク)」とがともに無線接続を用いる場合を想定する場合に、「データ」用と「カーソル」用の2つの「チャネル」間の異同が特定されていないことに伴って、2つの「チャネル」が使用する「周波数帯域」の異同も特定されていないから、本願発明1の「前記第1の電子装置と前記第2の電子装置と前記第3の電子装置との間の前記データボックスのデータを送信するためのチャネルは、前記第1の電子装置と前記第2の電子装置と前記第3の電子装置との間で前記カーソルを制御するための信号を送信するために使用されるチャネルとは周波数帯域が異なっている」ことと、
「前記第1の電子装置と前記第2の電子装置との間の前記データボックスのデータを送信するためのチャネルは、前記第1の電子装置と前記第2の電子装置との間で前記カーソルを制御するための信号を送信するために使用されるチャネルとは、周波数帯域が同じ又は異なっている」点で共通するといえる。

キ 引用発明の「入力デバイスの自動的な複数ホスト間切替を実現するためのシステム」は、本願発明1の「カーソル制御システム」に相当する。

ク よって、本願発明1と引用発明との一致点・相違点は次のとおりであるといえる。

[一致点]
「第1の電子装置と、
第2の電子装置と、
第3の電子装置と、
カーソルを制御するための信号を前記第1の電子装置、前記第2の電子装置、または前記第3の電子装置に出力して前記カーソルを表示させるマウスと、
前記第1の電子装置、前記第2の電子装置、または前記第3の電子装置に、前記第1の電子装置の表示画面における前記カーソルの移動状況、前記第2の電子装置または前記第3の電子装置の表示画面における前記カーソルの移動状況を検出するための検出プログラムがそれぞれ対応して設けられている変位検出ユニットと、
を備え、
前記マウスが前記カーソルを制御するための信号を前記第1の電子装置に出力する場合、前記第1の電子装置の前記検出プログラムによって前記カーソルが前記第1の電子装置の前記表示画面の第1のデフォルトの境界に移動されたことが検出されると、前記第1の電子装置の前記検出プログラムは、前記マウスから出力される前記カーソルを制御するための信号が前記第1の電子装置から前記第2の電子装置に切り替えられて出力されるように指示し、前記第1の電子装置の前記検出プログラムによって前記カーソルが前記第1の電子装置の前記表示画面の第2のデフォルトの境界に移動されたことが検出されると、前記第1の電子装置の前記検出プログラムは、前記マウスから出力される前記カーソルを制御するための信号が前記第1の電子装置から前記第3の電子装置に切り替えられて出力されるように指示し、
前記第1の電子装置の前記検出プログラムによって前記カーソルが前記第1の電子装置の前記表示画面の第1のデフォルトの境界に移動されたことが検出される場合、前記第1の電子装置の前記検出プログラムは、前記第1の電子装置の前記データボックスにおけるデータを、前記第2の電子装置に出力し、
前記第1の電子装置と前記第2の電子装置との間の前記データボックスのデータを送信するためのチャネルは、前記第1の電子装置と前記第2の電子装置との間で前記カーソルを制御するための信号を送信するために使用されるチャネルとは周波数帯域が同じ又は異なっている、
ことを特徴とする、カーソル制御システム。」

[相違点1]
本願発明1では、「前記第1の電子装置の前記検出プログラムによって前記カーソルが前記第1の電子装置の前記表示画面の第1のデフォルトの境界に移動されたと同時に前記カーソルが前記第1の電子装置の前記表示画面におけるデータボックスをドラッグしていることが検出される場合、前記第1の電子装置の前記検出プログラムは、前記第1の電子装置の前記データボックスにおけるデータを無線ネットワークのクラウドサーバに出力し、前記クラウドサーバは前記データを前記第2の電子装置に出力し、前記第1の電子装置の前記検出プログラムによって前記カーソルが前記第1の電子装置の前記表示画面の第2のデフォルトの境界に移動されたと同時に前記カーソルが前記第1の電子装置の前記表示画面におけるデータボックスをドラッグしていることが検出される場合、前記第1の電子装置の前記検出プログラムは、前記第1の電子装置の前記データボックスにおけるデータを無線ネットワークのクラウドサーバに出力し、前記クラウドサーバは前記データを前記第3の電子装置に出力し」ているのに対して、引用発明では、第1の電子装置から第2の電子装置へのデータ移動は開示されているものの、「ドラッグ」操作によってデータ移動を指示することは特定されておらず、また、「クラウドサーバ」を経由してデータを移動することは特定されておらず、さらに、引用発明では、第1の電子装置から「第3の電子装置」に、(「カーソル」を移動することは特定されているものの)「データ」を移動することは特定されていない点。

[相違点2]
本願発明1では、「前記第1の電子装置と前記第2の電子装置と前記第3の電子装置との間の前記データボックスのデータを送信するためのチャネルは、前記第1の電子装置と前記第2の電子装置と前記第3の電子装置との間で前記カーソルを制御するための信号を送信するために使用されるチャネルとは周波数帯域が異なっている」のに対して、引用発明では、(上記[相違点1]で述べたように、第1の電子装置から「第3の電子装置」に、「データ」を移動することが特定されていないことに伴って)第1の電子装置から「第3の電子装置」に「データを送信するためのチャネル」を備えておらず、また、(上記(1)カで述べたように、「データ」用と「カーソル」用の2つの「チャネル」間の異同が特定されていないことに伴って)第1の電子装置と第2の電子装置と第3の電子装置との間で、「データを送信するためのチャネル」が、「カーソルを制御するための信号を送信するために使用されるチャネルとは周波数帯域が異なっている」ことが特定されていない点。

(2) 当審の判断
事案に鑑みて、上記[相違点2]について先に検討すると、本願発明1の上記[相違点2]に係る、「前記第1の電子装置と前記第2の電子装置と前記第3の電子装置との間の前記データボックスのデータを送信するためのチャネルは、前記第1の電子装置と前記第2の電子装置と前記第3の電子装置との間で前記カーソルを制御するための信号を送信するために使用されるチャネルとは周波数帯域が異なっている」ことについては、上記引用文献1−2には記載されておらず、周知技術であるともいえない。

ここで、上記2(2)に記載のとおり、引用文献2には、段落【0031】に、画面上で、直感的にデータの移動やコピーを指示する方法として、「ドラッグ」操作、すなわち、マウスのボタンでデータを選択したままの状態でマウスを移動して、すなわち、データの選択操作とカーソルの移動操作とを「同時に」行うことで、データの「移動」や「コピー」を指示する周知技術は開示されているものの、「前記第1の電子装置と前記第2の電子装置と前記第3の電子装置との間の前記データボックスのデータを送信するためのチャネルは、前記第1の電子装置と前記第2の電子装置と前記第3の電子装置との間で前記カーソルを制御するための信号を送信するために使用されるチャネルとは周波数帯域が異なっている」ことは、開示されていない。

よって、当業者といえども、引用発明及び引用文献2に記載された技術的事項から、本願発明1の上記[相違点2]に係る構成を容易に想到することはできない。
したがって、他の相違点について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても引用発明及び引用文献2に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

2 請求項2−8について
本願発明2−8も、本願発明1の上記[相違点2]に係る、「前記第1の電子装置と前記第2の電子装置と前記第3の電子装置との間の前記データボックスのデータを送信するためのチャネルは、前記第1の電子装置と前記第2の電子装置と前記第3の電子装置との間で前記カーソルを制御するための信号を送信するために使用されるチャネルとは周波数帯域が異なっている」ことと、同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用発明、引用文献2に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。

第7 当審拒絶理由(2)の理由1−2について
1 理由1について
当審では、請求項1−8において、「第1(第2)のデフォルトの境界に移動されたことと同時に」、何が実行されるかが不明確である旨の拒絶の理由を通知しているが、平成4年4月8日付けの補正により、本件補正後の請求項1−8に係る発明は、「前記第1の電子装置の前記検出プログラムによって前記カーソルが前記第1の電子装置の前記表示画面の第1のデフォルトの境界に移動されたと同時に前記カーソルが前記第1の電子装置の前記表示画面におけるデータボックスをドラッグしていることが検出される場合、前記第1の電子装置の前記検出プログラムは、前記第1の電子装置の前記データボックスにおけるデータを無線ネットワークのクラウドサーバに出力し、前記クラウドサーバは前記データを前記第2の電子装置に出力し、前記第1の電子装置の前記検出プログラムによって前記カーソルが前記第1の電子装置の前記表示画面の第2のデフォルトの境界に移動されたと同時に前記カーソルが前記第1の電子装置の前記表示画面におけるデータボックスをドラッグしていることが検出される場合、前記第1の電子装置の前記検出プログラムは、前記第1の電子装置の前記データボックスにおけるデータを無線ネットワークのクラウドサーバに出力し、前記クラウドサーバは前記データを前記第3の電子装置に出力し」と補正された結果、この拒絶の理由は解消した。

2 理由2(進歩性)について
上記第6の1(2)、2のとおり、本願発明1−8は、当業者であっても、当審拒絶理由(2)における引用文献1−2に基づいて容易に発明をすることができたものではない。したがって、この拒絶の理由は解消した。

第8 当審拒絶理由(1)の理由1−2について
1 理由1について
当審では、請求項4、7の「前記第1の電子装置と前記第2の電子装置と前記第3の電子装置との間の前記データボックスのデータを送信するためのチャネルは、前記第1の電子装置と前記第2の電子装置と前記第3の電子装置との間で前記カーソルを制御するための信号を送信するために使用されるチャネルとは異なっている」との記載が不明確である旨の拒絶の理由を通知しているが、平成4年4月8日付けの補正により、本件補正後の請求項1−8に係る発明は、「前記第1の電子装置と前記第2の電子装置と前記第3の電子装置との間の前記データボックスのデータを送信するためのチャネルは、前記第1の電子装置と前記第2の電子装置と前記第3の電子装置との間で前記カーソルを制御するための信号を送信するために使用されるチャネルとは周波数帯域が異なっている」と補正された結果、この拒絶の理由は解消した。

2 理由2(進歩性)について
上記第6の1(2)、2のとおり、本願発明1−8は、当業者であっても、当審拒絶理由(1)における引用文献1−2に基づいて容易に発明をすることができたものではない。したがって、この拒絶の理由は解消した。

第9 原査定についての判断
令和4年4月8日付けの補正により、補正後の請求項1−8は、本願発明1の上記[相違点2]に係る、「前記第1の電子装置と前記第2の電子装置と前記第3の電子装置との間の前記データボックスのデータを送信するためのチャネルは、前記第1の電子装置と前記第2の電子装置と前記第3の電子装置との間で前記カーソルを制御するための信号を送信するために使用されるチャネルとは周波数帯域が異なっている」という技術的事項を有するものとなった。当該技術的事項は、原査定における引用文献A−Cには記載されておらず、周知技術でもないので、本願発明1−8は、当業者であっても、原査定における引用文献A−Cに基づいて容易に発明をすることができたものではない。したがって、原査定を維持することはできない。

第10 むすび
以上のとおり、原査定の理由によって、本願を拒絶することはできない。
他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。

 
審決日 2022-05-31 
出願番号 P2019-016653
審決分類 P 1 8・ 537- WY (G06F)
P 1 8・ 121- WY (G06F)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 ▲吉▼田 耕一
特許庁審判官 稲葉 和生
小田 浩
発明の名称 カーソル制御システム及びその制御方法  
代理人 特許業務法人磯野国際特許商標事務所  
代理人 特許業務法人磯野国際特許商標事務所  

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