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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 B65D
管理番号 1384737
総通号数
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2022-06-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-01-28 
確定日 2022-06-03 
事件の表示 特願2016−155109「食品包装袋」拒絶査定不服審判事件〔平成30年2月8日出願公開、特開2018−20834、請求項の数(3)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本件審判に係る出願(以下、「本願」という。)は、平成28年8月5日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和2年 6月11日付け:拒絶理由通知書
令和2年 8月 8日 :意見書、手続補正書の提出
令和2年10月20日付け:拒絶査定(以下、「原査定」という。)
令和3年 1月28日 :審判請求書、手続補正書の提出

第2 原査定の概要
原査定の概要は次のとおりである。
本願請求項1に係る発明は、以下の引用文献1及び2に基いて、同じく請求項2に係る発明は、引用文献1−4に基いて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
1.登録実用新案第3093586号公報
2.特開平08−011947号公報
3.特開2007−331781号公報
4.特開2009−248970号公報(周知技術を示す文献)

第3 審判請求時の手続補正について
審判請求時の手続補正(以下、「本件補正」という。)によって、請求項3に「と、第1辺または第2辺のいずれかには第1シートまたは第2シートのいずれかが辺部の外に突き出た単層部」なる発明特定事項(以下、「本件補正事項」という。)が追加された。
ここで、本件補正により請求項3に追加された本件補正事項は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「当初明細書等」という。)の段落【0016】及び図2に記載されているから、本件補正は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであり、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たすものである。
また、本件補正は、補正前の請求項3における発明特定事項である、「第1シートまたは第2シート」に限定を付加するものであり、かつ、補正前の請求項3に記載された発明と、補正後の請求項3に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるので、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、以下「第4 本願発明」から「第6 対比・判断」までに示すように、補正後の請求項1−3に係る発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができる(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合する)ものである。

第4 本願発明
本願請求項1−3に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」−「本願発明3」という。)は、令和3年1月28日の手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1−3に記載された事項により特定される発明であり、以下のとおりの発明である。

「【請求項1】
略正方形状の2枚のプラスチックシートである第1シートおよび第2シートを重ね合わせており、
第1辺およびこれに隣接する第2辺において辺に沿って第1シートおよび第2シートが易剥離性の接着により接続されている辺部接続部と、第1辺と第2辺が交わる第1角部において頂部よりも内側で第1シートと第2シートが易剥離性の接着により接続されている角部接続部と、第1角部の頂部において第1シートと第2シートが接続されていない非接続部と、第3辺およびこれに隣接する第4辺において第1シートと第2シートが接続されていない開口部とが設けられている食品包装袋。
【請求項2】
角部接続部は辺部接続部の端部につながりシートの外に向いて凸な凸部と、凸部の端部から頂部へ向かって形成されたシートの内に向いて凸な凹部とを有し、
第1辺または第2辺のいずれかには第1シートまたは第2シートのいずれかが辺部の外に突き出た単層部を有する請求項1に記載の食品包装袋。
【請求項3】
略正方形状の2枚のプラスチックシートである第1シートおよび第2シートを重ね合わせており、
第1辺およびこれに隣接する第2辺において辺に沿って第1シートおよび第2シートが易剥離性の接着により接続されている辺部接続部と、第1辺と第2辺が交わる第1角部において頂部よりも内側で第1シートと第2シートが易剥離性の接着により接続されている角部接続部と、第1角部の頂部において第1シートと第2シートが接続されていない非接続部と、第3辺およびこれに隣接する第4辺において第1シートと第2シートが接続されていない開口部とが設けられていて、第3辺または第4辺の外側に第1シートおよび第2シートに設けられた延長部と、延長部において第3辺または第4辺に沿って設けられた切断補助線と、第1辺または第2辺のいずれかには第1シートまたは第2シートのいずれかが辺部の外に突き出た単層部を有する複数の食品包装袋を有し、
延長部の上辺を接続した食品包装袋の集合体。」

第5 引用文献、引用発明等
(1)引用文献1について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、図面とともに以下の事項が記載されている。(下線は強調のために当審にて付加した。以下、同様。)
ア.「【0001】
【考案の属する技術分野】
この考案は、お握り、パン、揚げ物等の食品を包装する袋に関する。
【0002】
【従来の技術】
三角形のお握りと海苔を分けて包装し、食べるときに包装フィルムを破って海苔をお握りに巻付けるようにした技術が各種提案されている(例えば、実公昭59−14356号公報参照)。この技術によれば、食するときに海苔を乾燥状態でお握りに巻き、海苔のパリパリした張りのある歯応えを味わうことができる。
【0003】
一方、お握りの他、パン、揚げ物等を包装する物としては、例えば図10及び図11に示すような袋がある。図10の袋50は、四角形状の2枚の包装材51,52の対向2辺が接合されたもので、残りの対向2辺を開閉して食品を袋50の中に入れ、開閉する対向2辺は折り返してテープ等で止めることが多い。
【0004】
図11の袋60は、円錐形状の包装材61の開口辺に蓋辺62が付設されたもので、包装材61の中に食品を入れ、蓋辺62を単に閉じたり、閉じてテープ等で止めたりする。
【0005】
【考案が解決しようとする課題】
しかしながら、図10や図11に示す袋50,60等では、入れた食品の形を保つのが難しく、中に食品を入れ難い。特に柔らかいお握りでは尚更である。すなわち、図11の袋60の場合、海苔を巻いたお握りを手作業で入れるのに、食するのに適した食味を保つためには適度に柔らかく握ったお握りを入れる必要があるが、柔らかいお握りであると入れ難く、無理に入れようとすると形崩れを起こす。反対に、固く握ったお握りであると入れ易いが、食味が落ちることになる。また、図10や図11の袋50,60は見栄えが良くない。
【0006】
この考案は、そのような問題点に着目してなされたもので、食品の形を保ち、食品を入れ易く、見栄えも良い食品包装用袋を提供することを目的とする。」

イ.「【0017】
その第1実施形態に係る食品包装用袋の展開図を図1に示す。図1の食品包装用袋1は矩形状のもので、四角形の2枚の包装材10,20が連なっている。包装材10には蓋片11が、包装材20には蓋片21がそれぞれ付設されている。包装材10,20の1辺(袋1の底を形成する部分)にはそれぞれ糊代12,22が設けられ、この糊代12,22は展開状態では連続している。
【0018】
このような展開状態の袋1は、図2に示すように、包装材10,20の境界で折り曲げ、糊代12,22を互いに貼り合わせると、図3に示すような四角形状の袋となる。つまり、包装材10,20の対向4辺のうち、折り曲げ辺と貼り合わせ辺は接合され、残りの対向2辺は非接合で開閉可能であり、開閉可能な対向1辺については包装材10に蓋片11が付設され、残りの開閉可能な対向1辺については包装材20に蓋片21が付設された袋1となる。
・・・・
【0020】
この袋1であれば、中に入れた食品の形を保ち易く、特に柔らかいお握りでは形崩れが起き難い。また、接合していない対向2辺が大きく開くので、食品を入れ易い。更には、蓋片11,21がそれぞれ対向の包装材20,10側に位置するので、見栄えも良い。」

ウ.「【0022】
また、第3実施形態に係る袋3の展開図を図6に示す。上記袋1,2では2枚の包装材10,20が連なっていたが、図6の袋3では、包装材10,20が分離しており、各包装材10,20の連続する2辺に設けられたL字状の糊代12′,22′を貼り合わせることで、図3と同形状の袋となる。」

エ.【図3】



オ.【図6】


カ.図6から、四角形の2枚の包装材10,20が略正方形状であることが看取できる。
また、図6の略正方形状の袋は、段落【0022】の記載からみて、包装材10、20の4辺のうち、糊代12′、22′で貼り合わされた連続する2辺で接続されたものであって、その他の2辺は接続されておらず開閉可能であることは明らかである。

上記記載事項、図示内容を総合すると、引用文献1には次の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されている。

(引用発明1)
略正方形状の2枚の包装材10,20の連続する2辺にL字状の糊代12′、22′を設け、L字状の糊代12′、22′で貼り合わされた連続する2辺で包装材10、20が接続され、その他の2辺は接続されておらず開閉可能である、食品包装用袋3。

(2)引用文献2について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2には、図面とともに以下の事項が記載されている。

キ.「【0016】
【実施例】以下、典型的な本発明実施例を示す図1を参照しながら本発明を説明する。図1において、食品1を収容した袋2は、電子レンジ加熱に耐える耐熱性を有すると共に易開封性の袋を与えるヒートシール性プラスチックフィルム、たとえば、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエステル、エチレン−ビニルアルコール共重合体等からなる2軸延伸フィルム、塩化ビニリデン−アクリル酸エステル系共重合体フィルム、酸化アルミ蒸着2軸延伸ポリエステルフィルム、ポリメタキシリレンアジパミド系ポリアミド延伸フィルム(6−ナイロンとの共押出し積層フィルムを含む)等の基材フィルムにシーラント層として適当なポリオレフィン系樹脂等を複合したものからなり、長方形のフィルム3a,3bが周辺部でヒートシールされてなるものである。なお、袋2の胴部シール部4には、縁側から内側に向かって形成された半円形非シール部5が2カ所にあって、その部分だけシール幅が狭くなっている。
【0017】シール部4の剥離強度は、約150〜1200g/15mm、好ましくは約500〜800g/15mmである。剥離強度がこの程度のものであることは、袋2の一角に設けられた非シール部分6のフィルムをつかんでフィルム3a,3bを引きはがす方法により食品1を取り出すことを可能にするだけでなく、内圧の上昇に応じて非シール部5に後記水蒸気吹出し口を自動的に形成させるために必要である。」

ク.【図1】


第6 対比・判断
1.本願発明1について
(1)本願発明1と引用発明1とを対比すると、引用発明1の「包装材10,20」が本願発明1の「第1シートおよび第2シート」に相当し、引用発明1の食品包装用袋3は、包装材10,20の連続する2辺を貼り合わせたものであるから、本願発明1の「重ね合わせ」ることに相当する。
引用発明1の「包装材10、20が接続され」た「L字状の糊代12′、22′で貼り合わされた連続する2辺」と、本願発明1の「第1辺およびこれに隣接する第2辺において辺に沿って第1シートおよび第2シートが易剥離性の接着により接続されている辺部接続部と、第1辺と第2辺が交わる第1角部において頂部よりも内側で第1シートと第2シートが易剥離性の接着により接続されている角部接続部と、第1角部の頂部において第1シートと第2シートが接続されていない非接続部」とは、「第1辺およびこれに隣接する第2辺において辺に沿って第1シートおよび第2シートが接着により接続されている部分」という限りで一致する。
引用発明1の「接続されておらず開閉可能」な「その他の2辺」は、本願発明1の「第3辺およびこれに隣接する第4辺において第1シートと第2シートが接続されていない開口部」に相当し、引用発明1の「食品包装用袋3」は、本願発明1の「食品包装袋」に相当する。

したがって、本願発明1と引用発明1との間には、次の一致点、相違点があるといえる。

<一致点>
「略正方形状の2枚の第1シートおよび第2シートを重ね合わせており、
第1辺およびこれに隣接する第2辺において辺に沿って第1シートおよび第2シートが接着により接続されている部分と、第3辺およびこれに隣接する第4辺において第1シートと第2シートが接続されていない開口部とが設けられている食品包装袋。」

<相違点1>
本願発明1においては、第1シートおよび第2シートが「プラスチックシートである」のに対して、引用発明1においては、包装材10,20の素材が明らかでない点。
<相違点2>
「第1辺およびこれに隣接する第2辺において辺に沿って第1シートおよび第2シートが接着により接続されている部分」に関して、本願発明1においては、「第1辺およびこれに隣接する第2辺において辺に沿って第1シートおよび第2シートが易剥離性の接着により接続されている辺部接続部と、第1辺と第2辺が交わる第1角部において頂部よりも内側で第1シートと第2シートが易剥離性の接着により接続されている角部接続部と、第1角部の頂部において第1シートと第2シートが接続されていない非接続部」であるのに対し、引用発明1においては、「包装材10、20が接続され」た「L字状の糊代12′、22′で貼り合わされた連続する2辺」である点。

(2)事案に鑑み、上記相違点2から検討する。
ア.本願発明1の食品包装袋は、「第3辺7および第4辺8は第1シート2と第2シート3が接続されていない開口部になっているので、ここを開いて包装対象の食品xを中に入れる。」(本願明細書の段落【0021】)、「そして、開口部を閉じるようにしながら左右及び下側の余ったシート部分を折り畳んでいき、折り畳み端を粘着テープやシールで固定する」(同【0022】)、「さらに、包装食品の開封について説明する。頂部の非接続部11は第1シート2と第2シート3が接続されていないので、それぞれのシートの角を指でつまむことができる。そして、第1シート2と第2シート3を相互に引き剥がすことにより、食品包装袋1の上部を開封する。頂部から始まる剥離は、角部接続部10の凹部10bにより左右に分かれて進行し、それぞれの剥離は凹部10aおよび辺部接続部に沿って進行して、大きな開口を形成する。易剥離性の接着であるため、簡単に開封することができ、シートの途中が破れるような不規則な開封もおこらない。」(同【0023】)とあるように、開封の際に、易剥離性の接着部分を引き剥がすことにより、食品を取り出すように構成されたものである。
一方、引用発明1の食品包装用袋3は、食品を取り出す際には、接続されていない開閉可能な2辺から取り出すものであり、L字状の糊代により貼り合わされた2辺は、引き剥がすことを想定していない部分であるから、この部分を、敢えて易剥離性の接着部分とし、引き剥がせるようにする動機付けがない。むしろ、易剥離性の接着部分とすると、意図しない剥離が生じ、内容物の脱落が生じるから、そうすることの阻害事由が存在するというべきである。

イ.原査定では、引用文献1とともに引用文献2が引用されている。
この引用文献2には、「袋2の角に設けられた非シール部分6のフィルムをつかんでフィルム3a,3bを引きはがす」(段落【0017】)とし、易開封性の袋とする旨記載されているが、引用発明1の引き剥がすことを想定していないL字状の糊代により貼り合わされた2辺について、易剥離性の接着部分とする動機付けは記載されていない。引用文献2の食品包装体は、電子レンジによる蒸熱処理を可能とする袋であり、その食品包装体が備える構成のうち、易開封性の袋とすることのみを選んで、引用発明1に適用する理由はない。

ウ.引用文献3、4にも、引用発明1の引き剥がすことを想定していないL字状の糊代により貼り合わされた2辺について、易剥離性の接着部分とする動機付けは記載されていない。

エ.よって、引用発明1において、上記相違点2に係る本願発明1の構成を備えたものとすることは、当業者が容易に想到し得たものとはいえない。

(3)したがって、相違点1について検討するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても、引用発明1及び引用文献2に記載された技術的事項に基いて容易に発明できたものとはいえない。

2.本願発明2、3について
本願発明2、3も、上記相違点1及び2に係る発明特定事項を有するものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明1、引用文献2〜4に係る技術的事項に基いて容易に発明できたものとはいえない。

第7 原査定について
審判請求時の補正により、本願発明3が「第1辺または第2辺のいずれかには第1シートまたは第2シートのいずれかが辺部の外に突き出た単層部」という事項を有するものとなった他、本願発明1、2は補正されていない。この補正されていない本願発明1、2は、上記相違点1及び2に係る発明特定事項を有するものであり、当業者であっても、原査定において引用された引用文献1〜4に記載された発明に基いて容易に発明できたものとはいえない。
したがって、原査定の理由を維持することはできない。

第8 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2022-05-24 
出願番号 P2016-155109
審決分類 P 1 8・ 121- WY (B65D)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 井上 茂夫
特許庁審判官 久保 克彦
當間 庸裕
発明の名称 食品包装袋  
代理人 松島 理  
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