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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H05K
管理番号 1384849
総通号数
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2022-06-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-04-28 
確定日 2022-05-19 
事件の表示 特願2016−225772「半導体装置の製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成30年 5月31日出願公開、特開2018− 85358〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成28年11月21日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和 2年 8月26日付け:拒絶理由通知
令和 2年 9月18日 :意見書の提出
令和 3年 1月22日付け:拒絶査定
令和 3年 4月28日 :審判請求書、手続補正書の提出
令和 3年11月25日付け:当審における拒絶理由通知
令和 4年 1月28日 :意見書、手続補正書の提出

第2 本願発明
本願の請求項1ないし4に係る発明は、令和4年1月28日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし4に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は次のとおりである。
「【請求項1】
支持体上に絶縁材料層を形成する工程(I)と、
絶縁材料層の表面に凹部を形成する工程(II)と、
前記絶縁材料層の凹部を含む表面を改質する工程(III)と、
前記改質した絶縁材料層の凹部を含む表面に、パラジウム吸着層を形成する工程(IV)と、
前記パラジウム吸着層を形成した絶縁材料層の凹部を含む表面に、無電解ニッケルめっきによりニッケル層を形成する工程(V)と、
前記ニッケル層上に電解銅めっきにより銅層を形成する工程(VI)と、
前記絶縁材料層の凹部を除く表面から、前記銅層、ニッケル層及びパラジウム吸着層を除去することによって、絶縁材料層の凹部に形成された銅層を備える配線層を形成する工程(VII)と、
を備え、
支持体上に絶縁材料層を形成する工程(I)では、前記絶縁材料層が感光性樹脂材料で形成され、
絶縁材料層の表面に凹部を形成する工程(II)では、前記感光性樹脂材料を部分的に露光及び現像して凹部を形成し、
前記支持体が、シリコン板、ガラス板、ガラスクロス入り基板、又は半導体素子入り封止樹脂であり、
前記工程(III)が、湿式法での前処理又は乾式法での前処理により前記表面を改質する工程であり、
前記湿式法での前処理が、シランカップリング剤を含む前処理液による前処理であり、
前記乾式法での前処理が、プラズマ処理、コロナ処理又は紫外線処理による前処理である、半導体装置の製造方法。」

第3 当審の拒絶理由の概要
当審において令和3年11月25日付けで通知した拒絶理由は、次のとおりのものである。
この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前日本国内又は外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

記 (引用文献等については引用文献等一覧参照)
・請求項1ないし4
・引用文献1ないし4

<引用文献等一覧>
1.特開2001−267724号公報
2.国際公開2016/84868号
3.特開平8−186119号公報
4.特開2014−49170号公報

第4 引用文献の記載及び引用発明
1 引用文献1の記載及び引用発明
(1)引用文献1には、図面とともに、次の事項が記載されている(下線は、当審で付したものである。以下同じ。)。
「【0016】(実施例1)図1は、本発明によるプリント基板の第1実施例における製造工程を示す断面工程図である。まず、図1の(a)に示すように、絶縁基板1の表面に、所定の厚さの感光性樹脂層2を形成する。ここで、絶縁基板1としては、絶縁性を有するものあれば、特に限定されるものではなく、例えばガラス基板、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート等のポリエチレン類、ポリイミド等の高分子樹脂などがあるが、中でも樹脂基板が好ましい。また、感光性樹脂としては、特に限定されるものではなく、ポジ型またはネガ型のいずれもが使用できる。」

「【0018】次に、図1の(b)に示すように、感光性樹脂層2をフォトリソグラフイにて、所望の形状にする。すなわち、所定パターンを有するマスクを介して露光後、現像、ベーキングを行う。次に、図1の(c)に示すように、後に行う無電解銅メッキにより形成される銅メッキ層の密着性を高める目的で、絶縁基板1と感光性樹脂層2の表面の粗化を行い、樹脂粗化面5を得る。
【0019】粗化の方法としては、まず、例えば苛性ソーダを主とする水溶液により、絶縁基板と1と感光性樹脂2の表面を潤滑化し、次に例えば、過マンガン酸カリ、苛性ソーダを主とする水溶液からなる酸化剤により、粗面化を行い、その後、硫酸などを含む水溶液により酸洗する。ここで、樹脂粗化面5の粗さは、平均中心線粗さで、1〜5μm程度が好ましく、さらに好ましくは3〜4μmである。なお、粗面化は、安定に行うことができるので、粗面化により減少する感光性樹脂層2の幅分をみこんで感光性樹脂層2の形状を決めておけば良い。
【0020】次に、図1の(d)に示すように、キャタリスト法により、例えば、塩化パラジウム(0.1〜0.3g/1)、塩化第1スズ(10〜20g/1)、塩酸(35vol%を200〜250ml/1)の溶液中に浸漬して、微細な厚さのメッキ触媒層4を、絶縁基板1及び感光性樹脂層2上に形成する。次に、図1の(e)に示すように、例えばロッセル塩浴(硫酸銅5〜15g/1、ロッセル塩20〜25g/1、ホルマリン(37vol%)8〜12ml)水酸化ナトリウム5〜12g/1)を用いて、無電解銅メッキを行い、例えば0.5〜1μm厚さの無電解銅メッキ層6を絶縁基板1及び感光性樹脂層2上に形成する。
【0021】次に、図1の(f)に示すように、例えば硫酸銅メッキ浴(硫酸銅160〜250g/1、硫酸40〜80g/1、塩素イオン20〜80ml/1、他光沢剤)を用いて所定の電流密度及び温度条件にて、無電解銅メッキ層6の上に電気銅メッキを行い、感光性樹脂層2の厚さより厚い電解銅メッキ層3を形成する。この際、電解銅メッキ層3の表面凹凸を軽減するために、メッキ厚みを感光性樹脂層2の厚みより充分厚く、例えば2倍以上にする必要がある。
【0022】次に、図1の(g)に示すように、不要な電解銅メッキ層3を機械研磨、或いはエッチング、或いはその両方を併用して取り除き、感光性樹脂層2と同じ厚さの電解銅メッキ層3(無電解銅メッキ層6も含まれる)からなる所望の回路パターンを有するプリント基板を得る。ここで、機械研磨としては、例えば研磨後の平坦度が良好なセラミックによるバフ研磨を用いるのが好ましく、エッチングとしては、例えばソフトエッチング(エッチング液:過硫酸ソーダ20%、硫酸5%、液温度30℃)を用いるのが好ましい。」

(2)上記(1)によれば、引用文献1には以下の事項が記載されている。
ア 【0016】によれば、引用文献1には「プリント基板の」「製造工程」が記載されている。
まず、「絶縁基板1の表面に、所定の厚さの感光性樹脂層2を形成」するものである。ここで、「絶縁基板1」としては「ガラス基板」が使用できる。
よって、「ガラス基板からなる絶縁基板1の表面に、所定の厚さの感光性樹脂層2を形成」することが記載されている。
イ 【0018】によれば、「感光性樹脂層2をフォトリソグラフイにて、所望の形状にする」ことが記載されている。また、「フォトリソグラフイにて、所望の形状にする」工程は、「露光後、現像、ベーキングを行」うことである。
よって、「感光性樹脂層2をフォトリソグラフイにて、露光後、現像、ベーキングを行い所望の形状」にすることが記載されている。
ウ 【0018】によれば、「絶縁基板1と感光性樹脂層2の表面の粗化を行い、樹脂粗化面5を得る」ことが記載されている。また、【0019】によれば、「粗面化」は「過マンガン酸カリ、苛性ソーダを主とする水溶液からなる酸化剤により」行うことである。
よって、「過マンガン酸カリ、苛性ソーダを主とする水溶液からなる酸化剤により、絶縁基板1と感光性樹脂層2の表面の粗化を行い、樹脂粗化面5を得る」ことが記載されている。
エ 【0020】によれば、「キャタリスト法により、」「塩化パラジウム、塩化第1スズ、塩酸の溶液中に浸漬して、微細な厚さのメッキ触媒層4を、絶縁基板1及び感光性樹脂層2上に形成する」こと、及び「無電解銅メッキを行い、」「無電解銅メッキ層6を絶縁基板1及び感光性樹脂層2上に形成する」ことが記載されている。
オ 【0021】によれば、「無電解銅メッキ層6の上に電気銅メッキを行い、感光性樹脂層2の厚さより厚い電解銅メッキ層3を形成する」ことが記載されている。
カ 【0022】によれば、「不要な電解銅メッキ層3を機械研磨」「して取り除き、感光性樹脂層2と同じ厚さの電解銅メッキ層3(無電解銅メッキ層6も含まれる)からなる所望の回路パターンを有するプリント基板を得る」ことが記載されている。

(3)以上によれば、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。
「ガラス基板からなる絶縁基板1の表面に、所定の厚さの感光性樹脂層2を形成し、
感光性樹脂層2をフォトリソグラフイにて、露光後、現像、ベーキングを行い所望の形状にし、
過マンガン酸カリ、苛性ソーダを主とする水溶液からなる酸化剤により、絶縁基板1と感光性樹脂層2の表面の粗化を行い、樹脂粗化面5を得て、
キャタリスト法により、塩化パラジウム、塩化第1スズ、塩酸の溶液中に浸漬して、微細な厚さのメッキ触媒層4を、絶縁基板1及び感光性樹脂層2上に形成し、
無電解銅メッキを行い、無電解銅メッキ層6を絶縁基板1及び感光性樹脂層2上に形成し、
無電解銅メッキ層6の上に電気銅メッキを行い、感光性樹脂層2の厚さより厚い電解銅メッキ層3を形成し、
不要な電解銅メッキ層3を機械研磨して取り除き、感光性樹脂層2と同じ厚さの電解銅メッキ層3(無電解銅メッキ層6も含まれる)からなる所望の回路パターンを有するプリント基板を得る、
プリント基板の製造工程。」

2 引用文献2の記載
引用文献2には、図面とともに、次の事項が記載されている。
「[0151]
無電解めっきによりシード金属層5を形成する場合、シード金属層5を構成する金属は、例えば、金、白金、銀、銅、アルミニウム、コバルト、クロム、ニッケル、チタン、タングステン、鉄、スズ、インジウム等の金属単体であってよく、ニッケル・クロムアロイ等の2種以上の金属の固溶体(アロイ)であってよい。シード金属層5を構成する金属は、これらの中でも、金属膜形成の汎用性、コスト、エッチングによる除去の容易性等の観点から、クロム、ニッケル、チタン、ニッケル・クロムアロイ、アルミニウム、亜鉛、銅・ニッケルアロイ、銅・チタンアロイ、金、銀又は銅であることが好ましく、クロム、ニッケル、チタン、ニッケル・クロムアロイ、アルミニウム、亜鉛、金、銀又は銅であることがより好ましく、チタン又は銅であることが更に好ましい。また、シード金属層5は単層であってもよく、異なる金属が2層以上積層した複層構造であってもよい。」

3 引用文献3の記載
引用文献3には、図面とともに、次の事項が記載されている。
「【0016】工程(iv)において、得られた絶縁基板全面にメッキにより導電膜を形成する。この際、絶縁性基板表面は、紫外線硬化型樹脂パターンにより凹部を有しているので、導電膜は凹部にまで埋設されることとなり、これにより、所望の形状を有する配線パターンを形成することができる。導電膜の形成方法としては、蒸着、スパッタリング、無電解メッキ等を挙げることができるが、無電解メッキが好ましい。具体的には、無電解銅メッキ、無電解ニッケルメッキ、無電解金メッキ、無電解銀メッキ等が挙げられる。例えば、無電解銅メッキにおいては、予め過マンガン酸溶液を用いて化学的エッチングを行い、Pd、Sn混合コロイド触媒を用いて触媒化を行った後、無電解銅メッキを行う方法が挙げられる。その際用いるメッキ浴としては、銅塩として酒石酸カリウム・ナトリウム銅錯体とEDTA銅錯塩等、還元剤としてはホルムアルデヒド等を用いることができる。導電膜としては、特に限定されるものではないが、銅、ニッケル、金、銀等が好ましく、中でも銅がより好ましい。導電膜の膜厚は、形成された紫外線硬化型樹脂パターンの膜厚等により適宜調節することができる。」

4 引用文献4の記載
引用文献4には、図面とともに、次の事項が記載されている。
「【0054】
5.下地金属層
図5(b)に示すように、本実施形態における下地金属層21は、絶縁層2上と、前記絶縁層2の開口部から露出した金属支持基板1上とに連続して形成されている。これにより、導電体である金属支持基板1上に形成されるビア8と、絶縁体である絶縁層2上に形成される配線層3とを一括して電解めっきで形成することを可能としている。すなわち、ビア8と配線層3とが連続するように、一体に形成されることを可能としている。
下地金属層21の材料としては、コバルト、ニッケル、銅などを用いることができるが、めっき膜の安定性や経済性の面から、ニッケルを用いることが好ましい。
絶縁層2上と、前記絶縁層2の開口部から露出した金属支持基板1上とに連続した下地金属層を有することにより、ビア8と配線層3とが連続した一体のものとして形成され両者間に界面を有しないため、ビア8を介した配線層3と金属支持基板1との電気的接続信頼性が向上する効果を奏する。
【0055】
6.白金族元素
本実施形態においては、下地金属層21と金属支持基板1との界面、および下地金属層21と絶縁層2との界面に、白金族元素22が介在する。白金族元素22の触媒作用により、導電体である金属支持基板1上と、絶縁体である絶縁層2上とに一括して無電解めっきを行うことで、下地金属層21を形成することを可能としている。すなわち、絶縁層2上と、前記絶縁層2の開口部から露出した金属支持基板1上とに連続するような下地金属層21を形成可能としている。白金族元素としては、パラジウム、イリジウム、白金などを用いることができるが、その中でも入手性や経済性の面でパラジウムを用いることが好ましい。」

第5 対比
本願発明と引用発明を対比する。
1 感光性樹脂は絶縁材料であり、引用発明の「絶縁基板1」はその上に形成された「感光性樹脂層2」を支持していることは明らかであるから、引用発明の「絶縁基板1の表面に、所定の厚さの感光性樹脂層2を形成」することは、本願発明の「支持体上に絶縁材料層を形成する工程」に相当する。

2 引用発明の「感光性樹脂層2をフォトリソグラフイにて、露光後、現像、ベーキングを行い所望の形状に」することは、感光性樹脂層2を露光後に現像して感光性樹脂層2の一部を削除しているから、「感光性樹脂層2」の表面に凹部が形成されているといえる。
そうすると、引用発明の「感光性樹脂層2をフォトリソグラフイにて、」「所望の形状に」することは、本願発明の「絶縁材料層の表面に凹部を形成する工程」に相当する。

3 本願明細書の段落【0029】には「改質とは、(III)パラジウム吸着層を形成する工程の前に、絶縁材料層2の表面を、パラジウム−スズコロイド粒子がより吸着しやすい状態とする前処理のことをいう。」と記載されており、同【0030】には、改質の方法として粗化処理が挙げられている。
また、「感光性樹脂層2」の表面に凹部が形成されていることは、上記「2」のとおりである。
そうすると、引用発明の「絶縁基板1と感光性樹脂層2の表面の粗化を行い、樹脂粗化面5を得」ることは、本願発明の「前記絶縁材料層の凹部を含む表面を改質する工程」に相当する。
但し、表面を改質する工程において、本願発明は「湿式法での前処理又は乾式法での前処理により前記表面を改質する工程であり、前記湿式法での前処理が、シランカップリング剤を含む前処理液による前処理であり、前記乾式法での前処理が、プラズマ処理、コロナ処理又は紫外線処理による前処理である」のに対して、引用発明は「過マンガン酸カリ、苛性ソーダを主とする水溶液からなる酸化剤により」「粗化を行」う点で相違する。

4 引用発明の「キャタリスト法により、塩化パラジウム、塩化第1スズ、塩酸の溶液中に浸漬して」「絶縁基板1及び感光性樹脂層2上に形成し」た「微細な厚さのメッキ触媒層4」は、パラジウムが絶縁基板1及び感光性樹脂層2に吸着された層であるから、引用発明の「樹脂粗化面5を得て、」「メッキ触媒層4を、絶縁基板1及び感光性樹脂層2上に形成」することは、本願発明の「前記改質した絶縁材料層の凹部を含む表面に、パラジウム吸着層を形成する工程」に相当する。

5 上記「4」のとおり、引用発明の「メッキ触媒層4」は、パラジウムが絶縁基板1及び感光性樹脂層2に吸着された層である。
そうすると、引用発明は「メッキ触媒層4を、絶縁基板1及び感光性樹脂層2上に形成し」た後に、「無電解銅メッキを行い、無電解銅メッキ層6を絶縁基板1及び感光性樹脂層2上に形成」するから、本願発明と引用発明とは「前記パラジウム吸着層を形成した絶縁材料層の凹部を含む表面に、無電解めっきによりめっき層を形成する工程」を備えた点で共通する。
但し、本願発明は「無電解ニッケルめっきによりニッケル層を形成する」のに対して、引用発明は「無電解銅メッキを行い、無電解銅メッキ層」を形成する点で相違する。

6 引用発明は「無電解銅メッキ層6の上に電気銅メッキを行い、」「電解銅メッキ層3を形成」するから、本願発明と引用発明とは「無電解めっき層上に電解銅めっきにより銅層を形成する工程」を備えた点で共通する。
但し、電解銅めっきによる銅層を、本願発明は「前記ニッケル層上」に形成するのに対して、引用発明は「無電解銅メッキ層の上」に形成する点で相違する。

7 引用発明は「不要な電解銅メッキ層3を機械研磨して取り除き、感光性樹脂層2と同じ厚さの電解銅メッキ層3(無電解銅メッキ層6も含まれる)からなる所望の回路パターン」を形成しているので、「回路パターン」は「感光性樹脂層2と同じ厚さ」であって、「感光性樹脂層2」の表面に存在しないものとなる。そうすると、「感光性樹脂層2」の表面から、「メッキ触媒層4」、「無電解銅メッキ層6」及び「電解銅メッキ層3」を除去していることは明らかである。
したがって、本願発明と引用発明とは「前記絶縁材料層の凹部を除く表面から、前記銅層、無電界めっき層及びパラジウム吸着層を除去することによって、絶縁材料層の凹部に形成された銅層を備える配線層を形成する工程」を備えた点で共通する。
但し、絶縁材料層の凹部を除く表面から除去する無電界めっき層が、本願発明は「ニッケル層」であるのに対して、引用発明は「無電解銅メッキ層」である点で相違する。

8 引用発明の「絶縁基板1の表面に、」「感光性樹脂層2を形成」していることは、本願発明の「支持体上に絶縁材料層を形成する工程では、前記絶縁材料層が感光性樹脂材料で形成され」ていることに相当する。

9 引用発明の「感光性樹脂層2をフォトリソグラフイにて、露光後、現像、ベーキングを行い所望の形状にし」ていることは、上記「2」のとおり、感光性樹脂層2の表面に凹部を形成しているといえるから、本願発明の「絶縁材料層の表面に凹部を形成する工程では、前記感光性樹脂材料を部分的に露光及び現像して凹部を形成し」ていることに相当する。

10 引用発明の「絶縁基板1」は「ガラス基板」であることは、本願発明の「前記支持体が、シリコン板、ガラス板、ガラスクロス入り基板、又は半導体素子入り封止樹脂である」ことに含まれる。

11 本願発明と引用発明とは「製造方法」である点で共通するが、本願発明は「半導体装置の製造方法」であるのに対して、引用発明は「プリント基板の製造工程」である点で相違する。

上記1ないし11によれば、本願発明と引用発明とは以下の点で一致ないし相違する。

(一致点)
「支持体上に絶縁材料層を形成する工程と、
絶縁材料層の表面に凹部を形成する工程と、
前記絶縁材料層の凹部を含む表面を改質する工程と、
前記改質した絶縁材料層の凹部を含む表面に、パラジウム吸着層を形成する工程と、
前記パラジウム吸着層を形成した絶縁材料層の凹部を含む表面に、無電解めっきによりめっき層を形成する工程と、
前記無電解めっき層上に電解銅めっきにより銅層を形成する工程と、
前記絶縁材料層の凹部を除く表面から、前記銅層、無電解めっき層及びパラジウム吸着層を除去することによって、絶縁材料層の凹部に形成された銅層を備える配線層を形成する工程と、
を備え、
支持体上に絶縁材料層を形成する工程では、前記絶縁材料層が感光性樹脂材料で形成され、
絶縁材料層の表面に凹部を形成する工程では、前記感光性樹脂材料を部分的に露光及び現像して凹部を形成し、
前記支持体が、シリコン板、ガラス板、ガラスクロス入り基板、又は半導体素子入り封止樹脂である、製造方法。」

(相違点1)
表面を改質する工程について、本願発明は「湿式法での前処理又は乾式法での前処理により前記表面を改質する工程であり、前記湿式法での前処理が、シランカップリング剤を含む前処理液による前処理であり、前記乾式法での前処理が、プラズマ処理、コロナ処理又は紫外線処理による前処理である」のに対して、引用発明は「過マンガン酸カリ、苛性ソーダを主とする水溶液からなる酸化剤により」「粗化を行」う点。
(相違点2)
本願発明は「無電解ニッケルめっきによりニッケル層を形成する」のに対して、引用発明は「無電解銅メッキを行い、無電解銅メッキ層」を形成する点。
(相違点3)
電解銅めっきによる銅層を、本願発明は「前記ニッケル層上」に形成するに対して、引用発明は「無電解銅メッキ層の上」に形成する点。
(相違点4)
絶縁材料層の凹部を除く表面から除去する無電界めっき層が、本願発明は「ニッケル層」であるのに対して、引用発明は「無電解銅メッキ層」である点。
(相違点5)
本願発明は「半導体装置の製造方法」であるのに対して、引用発明は「プリント基板の製造工程」である点。

第6 判断
上記相違点について検討する。
1 上記相違点1について
パラジウム吸着層を形成する前に、シランカップリング剤を含む処理液、プラズマ処理、紫外線処理等により、絶縁材料層の表面を改質する技術は周知である(例えば、特開平10−310873号公報(【0014】−【0017】)、国際公開2012/157135号([0019]、[0020])、特開2011−40530号公報(【0057】、【0058】))。
引用発明において、過マンガン酸カリ、苛性ソーダを主とする水溶液からなる酸化剤により、絶縁基板1と感光性樹脂層2の表面を粗化することに換えて、上記周知技術を適用し上記相違点1に係る構成を得ることは、キャタリスト法によるパラジウム吸着層の付着のしやすさ、無電界めっき層の密着力等を考慮して、当業者が適宜行う改良の範囲にすぎない。
したがって、引用発明及び上記周知技術に基づいて、上記相違点1に係る構成を得ることは、当業者が容易になし得たことである。

2 上記相違点2ないし4について
電解銅めっきのシード層としては、無電解めっきにより形成した銅層や、ニッケル層を用いることは周知である(引用文献2([0151])、引用文献3(【0016】)、引用文献4(【0054】【0055】)等参照)。また、引用文献4(【0054】)には、めっき膜の安定性や経済性の面からニッケルを用いることが好ましいことも記載されている。
そうすると、引用発明において、「無電解銅メッキ層6」に換えて周知のニッケル層を用いて上記相違点2ないし4に係る構成を得ることは、当業者が容易になし得たことである。

3 上記相違点5について
本願発明の「半導体装置の製造方法」は、「チップ同士の伝送に優れた高密度で導通させるための微細配線層を有する半導体装置」(本願明細書の段落【0008】)を製造するためのものである。
ここで、チップ同士の接続にプリント基板を用いることは常套手段であるから、引用発明の「プリント基板の製造工程」を、チップ同士を導通させるための微細配線層を有する半導体装置の製造に用いて、上記相違点5に係る構成を得ることは、当業者が容易になし得たことである。

4 そして、これらの相違点を総合的に勘案しても、本願発明の奏する作用効果は、引用発明及び周知技術の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。

よって、本願発明は、引用文献1に記載された発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

第7 むすび
以上のとおり、請求項1に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、その余の請求項に論及するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

 
別掲 (行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。
 
審理終結日 2022-03-10 
結審通知日 2022-03-15 
審決日 2022-03-29 
出願番号 P2016-225772
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (H05K)
最終処分 02   不成立
特許庁審判長 酒井 朋広
特許庁審判官 須原 宏光
木下 直哉
発明の名称 半導体装置の製造方法  
代理人 阿部 寛  
代理人 清水 義憲  
代理人 長谷川 芳樹  
代理人 吉住 和之  
代理人 平野 裕之  
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