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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G09F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G09F
管理番号 1384855
総通号数
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2022-06-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-04-30 
確定日 2022-05-11 
事件の表示 特願2019−136322「ピクセル数の多い表示装置用の有色無機LEDディスプレイ」拒絶査定不服審判事件〔令和 1年12月26日出願公開、特開2019−219668〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2015年(平成27年)7月31日を国際出願日とする外国語特許出願である特願2017−505230号の一部を令和元年7月24日に新たな特許出願としたものであって(パリ条約による優先権主張外国庁受理2014年7月31日、英国)、その手続の経緯は以下のとおりである。

令和 元年 8月22日 :翻訳文の提出
令和 元年 8月22日 :手続補正書の提出
令和 2年 8月28日付け:拒絶理由通知書
令和 2年12月 1日 :意見書、手続補正書の提出
令和 2年12月22日付け:拒絶査定(令和3年1月5日送達、以下「原査定」という。)
令和 3年 4月30日 :審判請求書、手続補正書の提出


第2 令和3年4月30日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和3年4月30日にされた手続補正を却下する。

[補正の却下の決定の理由]
1 補正の内容
令和3年4月30日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲についてした補正であり、この補正により、以下に示すとおり、本件補正前の請求項1が、本件補正後の請求項1に補正された。

<本件補正前の請求項1>
「 【請求項1】
表示装置であって、
それぞれが前記表示装置の異なるピクセルのサブピクセルを提供する第1の無機発光ダイオード(ILED)エミッタを含む、第1のILEDアレイチップ、および
それぞれが前記表示装置の異なるピクセルのサブピクセルを提供する第2のILEDエミッタを含む、第2のILEDアレイチップを備え、前記第1および第2のILEDアレイチップは、前記表示装置のピクセルが前記第1のILEDアレイチップからの第1のILEDエミッタおよび前記第2のILEDアレイチップからの第2のILEDエミッタを含むように配置される、表示装置。」

<本件補正後の請求項1>
「 【請求項1】
表示装置であって、
それぞれが前記表示装置の異なるピクセルのサブピクセルを提供する第1の無機発光ダイオード(ILED)エミッタを含む、第1のILEDアレイチップ、および
それぞれが前記表示装置の異なるピクセルのサブピクセルを提供する第2のILEDエミッタを含む、第2のILEDアレイチップを備え、前記第1および第2のILEDアレイチップは、前記表示装置のピクセルが前記第1のILEDアレイチップからの第1のILEDエミッタおよび前記第2のILEDアレイチップからの第2のILEDエミッタを含むように配置され、
前記第1および第2の各ILEDアレイチップはモノリシック構造を有する、表示装置。」(下線は、補正箇所を示す。)

2 補正の目的
本件補正は、本件補正前の「第1のILEDアレイチップ」及び「第2のILEDアレイチップ」が、「モノリシック構造を有する」との限定を行うものであり、かつ本件補正前の請求項1に記載された発明と本件補正後の請求項1に記載される発明は、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であることから、本件補正は、特許法17条の2第5項2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とする補正である。

そこで、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本件補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかについて検討する。

3 独立特許要件の判断
(1) 本件補正発明
本件補正発明は、前記「1 補正の内容」の<本件補正後の請求項1>に記載された事項により特定されるとおりのものと認める。

(2) 引用文献に記載された発明の認定等
ア 引用文献1に記載された事項と引用発明の認定
(ア) 引用文献1に記載された事項
原査定の拒絶の理由に引用され、本願の優先日前に発行された特表2009−533810号公報(以下「引用文献1」という。)には、以下の事項が記載されている。下線は当審が付したもので、以下同様である。

「【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の側面によれば、複数のサブ画素から構成される複数の画素を含む光電子ディスプレイであって、前記光電子ディスプレイは2次元のアレイにおいて複数の区分された領域を提供するようにパターニングされた色形成層から構成され、前記区分された領域をアドレスするためにアドレスアレイが供給され、前記区分された色形成領域の少なくともいくつかは前記アドレスアレイによって独立してアドレスされる部分を有し、それぞれに部分が前記光電子ディスプレイのサブ画素を規定する光電子ディスプレイが供給される。
【0010】
2次元アレイとは、複数の点状の区分された色形成領域から構成されるアレイを意味する。点状の色形成領域は、円、長円、長方形、四角形及び六角形などの多様な形であることができる。
【0011】
「区分された色形成領域」とは、複数の色形成領域ではなく色形成材料の連続した領域を意味する。連続した領域とはディスプレイの平面において連続していることを意味する。区分された色形成領域は、複数の層、前記ディスプレイの平面に垂直な方向において、他の表面上にあるものを含む。しかしながら、このような層がディスプレイの表面において連続しているならば、それらは区分された色形成領域を構成する。
【0012】
本発明は、各サブ画素が対応する区分された色形成領域によって規定される必要のない従来の「チェックボード」に関した以前の問題点を解決する。前記区分された色形成領域の少なくともいくつかは前記アドレスアレイによって個別にアドレスされる複数のサブ画素を提供する。これは、前記ディスプレイの映像特性を大きく損なうことなく色形成層のパターニングプロセスを簡略化する。さらに、解像度の増加は前記色形成層のパターンに変化なしで達成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
好ましくは、それぞれ独立してアドレスされる部分は光電子ディスプレイにおける異なる画素のサブ画素を規定する。区分された色形成領域は独立してアドレス可能な部分を任意の数有することができる。しかしながら、好ましい配列においては、区分された色形成領域は、2,3,4又は6個の、独立してアドレス可能な領域を有する。
【0014】
本発明のいくつかの実施態様によれば、色形成層は発光性である。あるいは、色形成層はカラーフィルター、燐光体層、又は蛍光染料のような色変化媒体である。1つの例は、基板、前記基板上に配置される第1電極、前記第1電極上に配置される発光層、及び前記発光層上に配置される第2電極から構成される光電子ディスプレイである。前記発光層は2次元アレイにおける複数の区分された発光領域を提供するようにパターニングされた色形成層を構成する。電極層は、第1電極層を有する前記アドレスアレイ及び/又は複数の電極であって、それぞれ各区分された発光領域に駆動可能に連結された少なくとも2つの補助電極を有する電極から構成される第2電極層を構成する。
【0015】
各区分された発光領域に連結される少なくとも2つの補助電極の提供によって、前記区分された発光領域を異なって駆動することが可能になる。したがって、区分された発光領域は複数の異なるサブ画素に貢献する。」

「【0041】
図4は、本発明の実施態様による4つの補助アノード106a、106b、106c、106dから構成されるアノード106の平面図を示す。
【0042】
図5は、図4に示されたタイプの電極を利用する本発明の実施態様に補助電極の配列を示す。各画素50は、図2に示される従来技術の配列のように、対角線上の1対の角に赤色サブ画素54、他の対角線上の1対の角に緑色サブ画素56と共に、中央の青色サブ画素52から構成される。しかしながら、図2における配列と異なって、4つの隣接する画素の結合点のサブ画素は同じ色であり、単一の区分された色形成領域58によって形成される。区分された色形成領域58は独立してアドレス可能な4つの部分を有し、それぞれの部分は示される4つの画素の1つにおけるサブ画素として機能する。この部分は、4つのサブ画素を有する図4に示されるタイプの電極を利用することによって独立してアドレス可能である。
【0043】
このような配列は図2に示される従来技術の配列を単純化する。区分された色形成領域はより少なくてもすみ、区分された色形成領域はより大きくかつ複雑でない形状とすることができ、しかもすぐれた画像特性を有するディスプレイを提供する。」

「【0058】
有機発光ディスプレイを参照して本発明の好ましい実施態様を説明してきたが、LCD及びプラズマディスプレイだけでなく無機ELディスプレイのようなELディスプレイなど他のタイプのディスプレイにおいても本発明が利用できることは明らかである。」

「【図4】



「【図5】



(イ) 引用発明の認定
上記(ア)の記載事項を総合すると、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。

「複数のサブ画素から構成される複数の画素を含む無機ELディスプレイであって、前記無機ELディスプレイは2次元のアレイにおいて複数の区分された領域を提供するようにパターニングされた色形成層から構成され、前記区分された領域をアドレスするためにアドレスアレイが供給され、前記区分された色形成領域の少なくともいくつかは前記アドレスアレイによって独立してアドレスされる部分を有し、それぞれの部分が前記無機ELディスプレイのサブ画素を規定し(【0009】、【0058】)、
それぞれ独立してアドレスされる部分は無機ELディスプレイにおける異なる画素のサブ画素を規定し(【0013】、【0058】)、
各画素50は、対角線上の1対の角に赤色サブ画素54、他の対角線上の1対の角に緑色サブ画素56と共に、中央の青色サブ画素52から構成され、4つの隣接する画素の結合点のサブ画素は同じ色であり、単一の区分された色形成領域58によって形成され、区分された色形成領域58は独立してアドレス可能な4つの部分を有し、それぞれの部分は示される4つの画素の1つにおけるサブ画素として機能する(【0042】、【図5】)、
無機ELディスプレイ(【0009】、【0058】)。」

イ 引用文献2に記載された事項の認定
(ア) 引用文献2に記載された事項
本願の優先日前に発行された特開昭61−87381号公報(以下「引用文献2」という。)には、以下の事項が記載されている。

(2頁左下欄4〜13行)
「しかし、現存の発光ダイオードアレイは赤、緑、青色発光素子を各チップ単位で並べるハイブリッド構成であるため、集積度が上がらず小型化が難しいことや、歩留りが悪いといった問題点がある。
〔目 的〕
本発明は、このような発光ダイオードアレイの問題点を克服し、解像度が高くしかも小型化が容易な高集積化された自己発光型画像ディスプレイを供給するところにその目的がある。


(3頁右上欄5〜8行)
「これらの赤色、緑色および青色発光体をシリコン基板上にモノリシックに形成し、三色の発光体を適当な明るさに光らせることで、可視領域の任意の色をすべて網羅する発光体が得られる。」

(3頁右上欄9行〜右下欄5行)
「第1図に本発明の一実施例を示す。第1図中の(a)図および(b)図は(c)図中に示されたaa′断面およびbb′断面をそれぞれ表わしている。第1図において1はn形シリコン単結晶基板である。2および5はシリコン基板表面にMOCVD法によりエピタキシャル成長させたイオウドープのn形りん化ガリウム(n−GaP:S)層である。3および6は前記n−GaP:S層表面上にMOCVD法によりノンドープのりん化ガリウム単結晶を連続的に成長させた後、3に表す層には亜鉛と酸素を、そして6に示す層には亜鉛をそれぞれ適当な量イオン注入法により選択的にドーピングしたp形りん化ガリウム層である。これらのりん化ガリウム層の形成終了後に不必要なりん化ガリウム膜をエッチングによって除去し、ストライプ状の層を形成する。8はMOCVD法によりシリコン基板上に成長させたn形硫化亜鉛エピタキシャル層、9は前記n形硫化亜鉛上に連続成長させたp形硫化亜鉛エピタキシャル層である。4、7および10はそれぞれ3、6および9に示したp型りん化ガリウムおよびp形硫化亜鉛層からオーミックコンタクトがとれるように形成した透明導電膜である。オーミックコンタクトをとるためには、例えば、p形りん化ガリウム又はp形硫化亜鉛上に選択的に亜鉛、金、ニッケルをスパッタ法又は蒸着法で付着させ、高温にてシンタリングした後、ITO(インジウム・ティン・オキサイド)透明膜等を形成すればよい。
第1図のうち、2、3および4で示した層は、りん化ガリウムp−n接合発光ダイオードで赤色発光体である。5、6および7で示した層はりん化ガリウムp−n接合発光ダイオードで緑色発光体である。
さらに、8、9および10で示した層は硫化亜鉛p−n接合発光ダイオードで青色発光体である。11はシリコン基板のオーミックコンタクト層である。」

(5頁左下欄11〜15行)
「〔効 果〕
半導体発光素子を同一基板上にモノリシックに並べたことで、従来の発光ダイオードアレイより高密度化が可能となり小面積でありながら高解像度の画像表示体が得られた。」

「第1図



引用文献2の3頁右上欄9行〜右下欄5行の記載と、第1図からみて、赤色発光体2〜4、緑色発光体5〜7、青色発光体8〜10が、n形シリコン単結晶基板1の表面に形成されており、第1図の半導体装置が、複数の発光体をモノリシックに形成したアレイチップ構造であることが読み取れる。


(イ) 周知技術の認定
引用文献2の上記(ア)の摘記箇所の記載に例示されるように、次の事項は、周知技術であると認める(以下「周知技術」という。)。

<周知技術>
「自己発光型画像ディスプレイにおいて、複数の発光体をモノリシックに形成したアレイチップ構造を採用すること。」

(3) 対比
ア 本件補正発明と引用発明の対比
本件補正発明と引用発明を対比する。
(ア)引用発明の「無機ELディスプレイ」は、本件補正発明の「表示装置」に相当する。

(イ)引用発明の「色形成領域58によって形成され」る、「4つの隣接する画素の結合点」に配置された4つの「赤色サブ画素54」の集合は、「独立してアドレス可能な4つの部分を有し、それぞれの部分は示される4つの画素の1つにおけるサブ画素として機能する」ものであるから、本件補正発明の「それぞれが前記表示装置の異なるピクセルのサブピクセルを提供する第1の無機発光ダイオード(ILED)エミッタを含む、第1のILED」に相当する。

(ウ)上記(イ)と同様に、引用発明の「4つの隣接する画素の結合点」に配置された4つの「緑色サブ画素56」の集合は、本件補正発明の「それぞれが前記表示装置の異なるピクセルのサブピクセルを提供する第2のILEDエミッタを含む、第2のILED」に相当する。

(エ)引用発明において、「各画素50は、対角線上の1対の角に赤色サブ画素54、他の対角線上の1対の角に緑色サブ画素56と共に、中央の青色サブ画素52から構成され」ており、この「赤色サブ画素54」及び「緑色サブ画素56」は、それぞれ「単一の区分された色形成領域58」の「独立してアドレス可能な4つの部分」のうちの1つの部分に該当するものであることと、本件補正発明において「前記第1および第2のILEDアレイチップは、前記表示装置のピクセルが前記第1のILEDアレイチップからの第1のILEDエミッタおよび前記第2のILEDアレイチップからの第2のILEDエミッタを含むように配置され」ていることは、「前記第1および第2のILEDは、前記表示装置のピクセルが前記第1のILEDからの第1のILEDエミッタおよび前記第2のILEDからの第2のILEDエミッタを含むように配置され」ている点で共通する。

イ 一致点及び相違点
上記アの検討を総合すると、本件補正発明と引用発明の両者は、以下の一致点で一致し、以下の相違点において相違する。

<一致点>
表示装置であって、
それぞれが前記表示装置の異なるピクセルのサブピクセルを提供する第1の無機発光ダイオード(ILED)エミッタを含む、第1のILED、および
それぞれが前記表示装置の異なるピクセルのサブピクセルを提供する第2のILEDエミッタを含む、第2のILEDを備え、前記第1および第2のILEDは、前記表示装置のピクセルが前記第1のILEDからの第1のILEDエミッタおよび前記第2のILEDからの第2のILEDエミッタを含むように配置される表示装置、である点。

<相違点>
本件補正発明は、「第1のILED」及び「第2のILED」がそれぞれ「ILEDアレイチップ」を構成しており、また「第1および第2の各ILEDアレイチップはモノリシック構造を有」しているのに対して、引用発明は、赤色サブ画素54を形成する色形成領域58と、緑色サブ画素56を形成する色形成領域58が、モノリシック構造を有するアレイチップではない点。

(4) 当審の判断
ア 相違点についての判断
上記相違点について検討する。
前記(2)イの「(イ)周知技術の認定」において示したとおり、「自己発光型画像ディスプレイにおいて、複数の発光体をモノリシックに形成したアレイチップ構造を採用すること。」は、本願優先日前に周知である。
よって、引用発明の「独立してアドレス可能な4つの部分を有し、それぞれの部分は示される4つの画素の1つにおけるサブ画素として機能する」「色形成領域58」を構成する際に、前記周知技術を適用し、上記4つの部分をモノリシックに形成したアレイチップ構造として、上記相違点に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

そして、本件補正発明によって奏される効果は、引用発明及び周知技術から当業者が予測し得る程度のものにすぎない。

よって、本件補正発明は、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。

イ 請求人の主張について
請求人は、審判請求の理由において、次の主張をしている。

(審判請求書4頁8行〜5頁6行)
「まず、引用文献1は、OLED装置100が複数の画素に対し適切に配列された複数のILEDアレイチップを含むことについて開示も示唆もしていません。
この点は、同文献の図3及び明細書中の対応する説明箇所(段落0036〜0040)等から明らかです。

また、同文献の図13に示されたサブ画素の構成は、本願の例えば図5、明細書段落0066等に明示された構成を開示又は示唆するものではありません。すなわち、引用文献1の図13は、別個の画素において隣り合うサブ画素が含まれる構成を示しているのみであり、本願発明に係る、複数のILEDアレイチップが複数の画素に対して適切に配列されていること、そして各ILEDアレイチップが複数のサブピクセルエミッタを含み、これらサブピクセルの各々が、別の表示ピクセルに対して光を結合させるのに使用されることについて、開示も示唆もしていません。すなわち、引用文献1は、各ILEDアレイチップがモノリシック構造を有するという本願発明の構造的な特徴についても、開示も示唆もしていません。

本願発明は、上述のように複数の画素に対して適切に配列された複数のILEDアレイチップを含み、且つ各ILEDアレイチップにモノリシック構造を採用していることにより、例えば明細書段落0067、0068、0070等に記載されているような、製造面における複雑さを低減し、高いコスト競争力を可能にすると共に、効率性の高いディスプレイを実現することができるという非常に優れた技術的効果を奏するものです。

上述のとおり、引用文献1には、別個の画素において隣り合うサブ画素が含まれた構成(図13等)が開示されているにすぎず、複数画素に対して適切に配列された複数のILEDアレイチップを含むこと、そして各ILEDアレイチップがモノリシック構造を有することについて開示も示唆も一切されていません。

よって、周知技術を考慮に入れたとしても、引用文献1に記載の技術に基づいて、当業者が本願補正後の請求項1に係る発明の特徴的な技術的構成、及び当該構成により奏される技術的効果に容易に想到することは到底できません。」

請求人の主張は、要するに、引用文献1には、複数画素に対して適切に配列された複数のILEDアレイチップを含むこと、各ILEDアレイチップがモノリシック構造を有すること、すなわち上記相違点に係る構成について開示も示唆もされていないというものである。
しかしながら、引用発明に周知技術を適用し、上記相違点に係る構成とすることは、「ア 相違点についての判断」で検討したとおり、当業者が容易に想到し得たことである。
したがって、当該主張は採用できない。

(5) まとめ
以上のとおり、本件補正は、特許法17条の2第6項で準用する同法126条7項の規定に違反するものであり、同法159条1項で読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下されるべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。


第3 本願発明
本件補正は上記第2において説示したとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、令和2年12月1日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された次の事項により特定されるとおりのものと認める。

「 【請求項1】
表示装置であって、
それぞれが前記表示装置の異なるピクセルのサブピクセルを提供する第1の無機発光ダイオード(ILED)エミッタを含む、第1のILEDアレイチップ、および
それぞれが前記表示装置の異なるピクセルのサブピクセルを提供する第2のILEDエミッタを含む、第2のILEDアレイチップを備え、前記第1および第2のILEDアレイチップは、前記表示装置のピクセルが前記第1のILEDアレイチップからの第1のILEDエミッタおよび前記第2のILEDアレイチップからの第2のILEDエミッタを含むように配置される、表示装置。」


第4 原査定における拒絶の理由
原査定の拒絶の理由のうち、請求項1に係る発明に対する理由については、次のとおりである。

本願発明は、下記引用文献1に記載された発明及び周知技術に基づいて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。



引用文献1.特表2009−533810号公報


第5 引用文献に記載された発明の認定等
引用文献1に記載された発明は、前記第2の3(2)アの「(イ) 引用発明の認定」において、引用発明として示したとおりである。


第6 対比・判断
本願発明は、本件補正発明(前記第2の3の「(1) 本件補正発明」参照。)から、「前記第1および第2の各ILEDアレイチップはモノリシック構造を有する」との限定を省いたものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに当該発明特定事項の一部を限定したものに相当する本件補正発明が、前記第2の3の「(4) 当審の判断」において説示したとおり、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、同様の理由により、本願発明も引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。


第7 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について審理するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。




 
別掲 (行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。

審判長 中塚 直樹
出訴期間として在外者に対し90日を附加する。
 
審理終結日 2021-12-02 
結審通知日 2021-12-07 
審決日 2021-12-20 
出願番号 P2019-136322
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G09F)
P 1 8・ 575- Z (G09F)
最終処分 02   不成立
特許庁審判長 中塚 直樹
特許庁審判官 清水 靖記
濱本 禎広
発明の名称 ピクセル数の多い表示装置用の有色無機LEDディスプレイ  
代理人 特許業務法人World IP  
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