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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1384986
総通号数
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2022-06-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-07-20 
確定日 2022-05-19 
事件の表示 特願2017− 85707号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成30年11月22日出願公開、特開2018−183300号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯の概要
本願は、平成29年4月24日の特許出願であって、令和3年1月29日付けで拒絶の理由が通知され、同年3月17日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、同年4月26日付け(謄本送達日:同年5月11日)で拒絶査定(以下「原査定」という。)がなされ、それに対して、同年7月20日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされたものである。

第2 令和3年7月20日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和3年7月20日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 補正の内容
本件補正は、令和3年3月17日付け手続補正書の特許請求の範囲の
「【請求項1】
可変表示手段において変動表示する複数の識別情報が遊技者の操作に基づいて停止表示されることにより、1回の遊技が終了し、当該可変表示手段における複数の識別情報の停止表示態様に応じて遊技価値を付与可能な遊技機において、
遊技状態を遊技者に有利な特別遊技状態に制御することが可能な遊技状態制御手段と、
1回の遊技における複数の識別情報の停止表示態様に対応する当選役を決定可能な当選役決定手段と、
前記遊技価値とは異なる、遊技者に有利な特典を付与可能な特典付与手段と、
を備え、
前記可変表示手段は、
前記特別遊技状態において、複数の識別情報のうち、所定数の識別情報が変動表示している状態で、前記特典の付与が確定する確定停止表示態様で一の識別情報を停止表示することが可能であり、
前記当選役決定手段は、
前記確定停止表示態様で一の識別情報を停止表示することが可能な当選役として、第1当選役と第2当選役とを決定可能であり、
前記当選役決定手段により前記第1当選役が決定された場合、前記確定停止表示態様の停止表示に基づいて特定演出を実行する特定演出実行手段を備え、
前記特定演出実行手段は、
前記当選役決定手段により前記第2当選役が決定された場合、前記確定停止表示態様の停止表示に基づいて前記特定演出を実行しない
ことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記可変表示手段は、
前記当選役決定手段により前記第1当選役が決定された場合、第1停止表示態様で全ての識別情報を停止表示可能であり、
前記当選役決定手段により前記第2当選役が決定された場合、前記第1停止表示態様とは異なる第2停止表示態様で全ての識別情報を停止表示可能である
ことを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
前記特定演出実行手段により実行される前記特定演出は、音声による演出である
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の遊技機。
【請求項4】
前記特典付与手段は、
前記当選役決定手段によって、前記第1当選役が決定された場合よりも、前記第2当選役が決定された場合の方が、遊技者にとって有利度合いの高い特典を付与可能である
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の遊技機。」を、
審判請求時に提出された手続補正書(令和3年7月20日付け)の特許請求の範囲の
「【請求項1】
可変表示手段において変動表示する複数の識別情報が遊技者の操作に基づいて停止表示されることにより、1回の遊技が終了し、当該可変表示手段における複数の識別情報の停止表示態様に応じて遊技価値を付与可能な遊技機において、
遊技状態を遊技者に有利な特別遊技状態に制御することが可能な遊技状態制御手段と、
1回の遊技における複数の識別情報の停止表示態様に対応する当選役を決定可能な当選役決定手段と、
前記遊技価値とは異なる、遊技者に有利な特典を付与可能な特典付与手段と、
を備え、
前記可変表示手段は、
前記特別遊技状態において、複数の識別情報のうち、所定数の識別情報が変動表示している状態で、前記特典の付与が確定する確定停止表示態様で一の識別情報を停止表示することが可能であり、
前記当選役決定手段は、
前記確定停止表示態様で一の識別情報を停止表示することが可能な当選役として、第1当選役と第2当選役とを決定可能であり、
前記特典付与手段は、
前記当選役決定手段によって、前記第1当選役が決定された場合よりも、前記第2当選役が決定された場合の方が、遊技者にとって有利度合いの高い特典を付与可能であり、
前記当選役決定手段により前記第1当選役が決定された場合、前記確定停止表示態様の停止表示に基づいて、前記特典付与手段により特典が付与されることを示唆する特定演出を実行する特定演出実行手段を備え、
前記特定演出実行手段は、
前記当選役決定手段により前記第2当選役が決定された場合、前記確定停止表示態様の停止表示に基づいて前記特定演出を実行しない
ことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記可変表示手段は、
前記当選役決定手段により前記第1当選役が決定された場合、第1停止表示態様で全ての識別情報を停止表示可能であり、
前記当選役決定手段により前記第2当選役が決定された場合、前記第1停止表示態様とは異なる第2停止表示態様で全ての識別情報を停止表示可能である
ことを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
前記特定演出実行手段により実行される前記特定演出は、音声による演出である
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の遊技機。」
にする補正を含むものである(下線は、補正箇所を明示するために当審にて付した。)。

2 補正の適否
2−1 補正の目的及び新規事項について
本件補正は、補正前の請求項4に記載した遊技機のうち請求項1の記載を引用した遊技機を特定するために必要な事項である「特定演出」に関して、「前記特典付与手段により特典が付与されることを示唆する」と限定するものを含むものである。
そして、補正後の請求項1に係る発明は、補正前の請求項4に係る発明のうち補正前の請求項1の記載を引用する発明と、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、本件補正のうち特許請求の範囲の請求項1についてする補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とする補正に該当する。
また、本件補正の補正事項は、願書に最初に添付した明細書の段落【0190】、の記載に基づくものであり、新規事項を追加するものではないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たす。

2−2 独立特許要件について
そこで、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本件補正発明」という。)が特許出願の際に独立して特許を受けることができるものであるか否か、すなわち、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか否かについて、以下に検討する。

(1)本件補正発明
本件補正発明は、次のとおりのものであると認める(記号A〜Jは、分説するため当審にて付した。)。

「【請求項1】
A 可変表示手段において変動表示する複数の識別情報が遊技者の操作に基づいて停止表示されることにより、1回の遊技が終了し、当該可変表示手段における複数の識別情報の停止表示態様に応じて遊技価値を付与可能な遊技機において、
B 遊技状態を遊技者に有利な特別遊技状態に制御することが可能な遊技状態制御手段と、
C 1回の遊技における複数の識別情報の停止表示態様に対応する当選役を決定可能な当選役決定手段と、
D 前記遊技価値とは異なる、遊技者に有利な特典を付与可能な特典付与手段と、
を備え、
E 前記可変表示手段は、
E1 前記特別遊技状態において、複数の識別情報のうち、所定数の識別情報が変動表示している状態で、前記特典の付与が確定する確定停止表示態様で一の識別情報を停止表示することが可能であり、
F 前記当選役決定手段は、
F1 前記確定停止表示態様で一の識別情報を停止表示することが可能な当選役として、第1当選役と第2当選役とを決定可能であり、
G 前記特典付与手段は、
G1 前記当選役決定手段によって、前記第1当選役が決定された場合よりも、前記第2当選役が決定された場合の方が、遊技者にとって有利度合いの高い特典を付与可能であり、
H 前記当選役決定手段により前記第1当選役が決定された場合、前記確定停止表示態様の停止表示に基づいて、前記特典付与手段により特典が付与されることを示唆する特定演出を実行する特定演出実行手段を備え、
I 前記特定演出実行手段は、
I1 前記当選役決定手段により前記第2当選役が決定された場合、前記確定停止表示態様の停止表示に基づいて前記特定演出を実行しない
J ことを特徴とする遊技機。」

(2)引用例1の記載事項、引用発明
原査定の拒絶の理由に引用文献1として引用され、本願の出願前に頒布され公衆に利用可能となった、「魔法少女まどか☆マギカ2」,パチスロ必勝本2016年11月号,辰巳出版株式会社,2016年11月 1日,p.6-27(以下「引用例1」という。)には、以下の事項が記載されている(下線は当審にて付した。以下同じ。)。

ア 6頁下部の「SLOT魔法少女まどか☆マギカ2」との見出しから引用例1はパチスロ機である「SLOT魔法少女まどか☆マギカ2」という機種に関する記事であることが看取できる。

イ 第6頁右下「



ウ 第7頁「



エ 第9頁左下部「



オ 第14頁左上「



カ 第14頁左下「



(3)引用例1の認定事項
記載事項イ〜カから、引用例1には、次の技術事項が記載されていると認められる(引用発明の認定に関連する部分について当審で下線を付した。)。

ア 記載事項イから、パチスロ機の分野の技術常識を考慮すると、スタートレバーレバー、ストップスイッチ、複数の図柄を有するリールの図柄を見ることができる窓部を備えたパチスロ機を看取できる。

イ 記載事項ウの左下部の「!重要」の欄の「BIG中の打ち方」の欄には、「赤7を狙えナビ発生時は全リールに赤7を狙う。それ以外は適当打ちでOK(後告知選択時は逆押しで消化)」と記載されており、また、記載事項ウの下部中央の「ボーナス&小役払い出し構成」の欄には、チェリーの絵の欄には「3or8」、「8」、スイカの絵の欄には「5」、ベルの絵の欄には「8」と記載されており、これらの記載とパチスロ分野の技術常識を考慮すると、変動している複数の図柄が遊技者の操作で停止されることで1回の遊技が終了し、停止表示された図柄に応じたメダルを付与するパチスロ機を看取できる。

ウ 記載事項ウの上部の「ART突入までの流れ」の欄の「通常時」の欄の「まずはCZ・ボーナス当選を目指す」の記載、「全て150枚獲得 ボーナス」の欄の「消化中に(赤い7の絵)が揃えばART確定」の記載、及び、パチスロ機の技術常識を考慮すると、遊技状態が、通常時から150枚獲得できるボーナスに移行可能なパチスロ機を看取できる。

エ 記載事項ウの右下部の「ボーナス・ART初当たり確率&機械割」の表、記載事項エの「通常時 小役出現率」の表で、ボーナス・ART初当たり、小役の出現確率が記載されていること、及び、パチスロ機の技術常識を考慮すると、ボーナス・ART初当たり、小役に対応する役を抽選する抽選手段を備えたパチスロ機を看取できる。

オ 記載事項オの「ビッグボーナス中は(赤7の絵)揃いでART確定」の記載、「中段(赤7の絵)揃い」の欄には「通常時 (三角の記号)ART確定」と、「右下がり(赤7の絵)揃い」の欄には「通常時 (三角の記号)ART+上乗せゾーン確定」と記載されていること、及び、パチスロ機の技術常識を考慮すると、赤7の「中段揃い」の図柄で停止表示されるとART、「右下がり揃い」の図柄で停止表示されるとART及び上乗せゾーンを付与可能なパチスロ機を看取できる。

カ 記載事項カの「(赤7の絵)揃いの確定目アリ!」の欄の「1確!」の記載と「一足先に(赤7の絵)揃いが分かる!」の記載、「ボーナス中の赤7揃いは、右リール第1停止(=逆押し)以外なら揃えることが可能。実戦上、1確ボイスの雰囲気がシリアス調(セリフは同じ)なら右下がり赤7揃いの期待大となったぞ」の記載、及び、パチスロ機の技術常識を考慮すると、ボーナス中に赤7揃いの1確となる場合があり、1確ボイスの雰囲気がシリアス調(セリフは同じ)なら右下がり赤7揃いの期待大となるパチスロ機を看取できる。

(4)上記(2)及び(3)の事項からすると、引用例1には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている(分説a〜fのうちa〜eは、本件補正発明の分説A〜Eに対応させて付与した。括弧内には根拠となる箇所を記載した。)。

「a スタートレバー、ストップスイッチ、複数の図柄を有するリールの図柄を見ることができる窓部を備え(認定事項ア)、変動している複数の図柄が遊技者の操作で停止されることで1回の遊技が終了し、停止表示された図柄に応じたメダルを付与する(認定事項イ)「SLOT魔法少女まどか☆マギカ2」という機種のパチスロ機(記載事項ア)であって、
b 通常時から150枚獲得できるボーナスに移行可能(認定事項ウ)であり、
c ボーナス・ART初当たり、小役に対応する役を抽選する抽選手段を備え(認定事項エ)、
d、f1、g1 赤7の「中段揃い」の図柄で停止表示されるとART、「右下がり揃い」の図柄で停止表示されるとART及び上乗せゾーンを付与可能であり(認定事項オ)、
e〜i ボーナス中に赤7揃いの1確となる場合があり、1確ボイスの雰囲気がシリアス調(セリフは同じ)なら右下がり赤7揃いの期待大となる(認定事項カ)
j 「SLOT魔法少女まどか☆マギカ2」という機種のパチスロ機(記載事項ア)。」

(5)周知例の記載事項、周知技術
ア 周知例1
本願の出願前に頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2007−330576号(平成19年12月27日公開)(以下「周知例1」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。

(ア)「【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
本発明の好適な実施の形態を、遊技機としてスロットマシンを例に、図面に基づき説明する。
・・・・」

(イ)「【0050】
(当選抽選手段110)
当選抽選手段110は、予め定めた抽選確率に基づいて当選役に係わる抽選を行うものである。そして、当選抽選手段110による抽選の結果、所定の当選役に当選である場合に当選フラグが成立し、この当選フラグ成立中に、回転リール40の停止図柄の組み合わせが予め定められた当選図柄と一致したことを条件に入賞し、遊技者にメダルの払い出しや、特別遊技等の利益が付与されるように設定されている。
・・・」

(ウ)「【0056】
なお、各検知部の検知信号に異常を発見した場合、あるいはCPUの不具合を検知した場合には、後述する遊技中止手段123及び演出制御装置22にエラー信号が出力される。
(告知エラー決定手段122)
告知エラー決定手段122は、当選抽選手段110による抽選の結果、予め定められた特定の当選役が当選した場合には、遊技エラー検知手段121がエラー検知をしていない場合でも、エラー信号を出力させるためのものである。
すなわち、本実施の形態においては、特定当選役が当選した場合には、スロットマシン10に不具合が生じていなくても擬似的にエラー状態にして、このエラーを当選報知(エラー告知演出)とするようにしてある。」

(エ)「【0066】
ここで、偽エラー信号に基づくエラー表示が行われていた場合において、前記演出決定手段130が特定当選役の確定報知演出の実行を決定している場合には、エラー表示の終了に伴い再開される演出は、特定当選役の確定報知演出を含むものとなる。確定報知演出としては、当選した特定当選役の種類(BB、RB)や当選図柄(「7」「BAR」)を画像表示装置67に表示したり、音声出力により「あたったよ〜」などと何らかの当選役が当選したことを知らせたりするものとすることができる。これにより、遊技者は特定当選役の当選を知ることとなる。
・・・」

(オ)上記(ア)〜(エ)の記載事項から周知例1には次の事項が記載されている(以下「周知例1の記載事項」という。)

「予め定めた抽選確率に基づいて当選役に係わる抽選を行い、当選抽選手段110による抽選の結果、所定の当選役に当選である場合に当選フラグが成立し、この当選フラグ成立中に、回転リール40の停止図柄の組み合わせが予め定められた当選図柄と一致したことを条件に入賞し、遊技者にメダルの払い出しや、特別遊技等の利益が付与されるスロットマシンであって、
当選抽選手段110による抽選の結果、予め定められた特定の当選役が当選した場合には、遊技エラー検知手段121がエラー検知をしていない場合でも、エラー信号を出力させ、偽エラー信号に基づくエラー表示が行われていた場合において、前記演出決定手段130が特定当選役の確定報知演出の実行を決定している場合には、エラー表示の終了に伴い再開される演出は、特定当選役の確定報知演出を含み、確定報知演出としては、当選した特定当選役の種類(BB、RB)や当選図柄(「7」「BAR」)を画像表示装置67に表示するスロットマシン。」

イ 周知例2
本願の出願前に頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2016−150012号公報(平成28年8月22日公開)(以下「周知例2」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。

(ア)「【0013】
以下、図面等を参照して、本発明の一実施形態について説明する。
<第1実施形態>
図1は、スロットマシン10(遊技機)を示す外観斜視図である。
・・・」

(イ)「【0126】
役抽選手段62bは、遊技ごとに、遊技開始時に、役の抽選を行うものである。
ここで、本実施形態の役、図柄の組合せ等について説明する。
図14は、本実施形態におけるリール31の図柄配列を示す図である。図14では、図柄番号を併せて図示している。たとえば、左リール31において、図柄番号20番の図柄は、「ベル」である。」

(ウ)「【0133】
図16及び図17は、本実施形態における役(役抽選手段62bで抽選される役)の種類、払出し枚数等、及び図柄の組合せを示す図である。
本実施形態の役は、大別して、特別役、小役、リプレイを有する。
そして、各役に対応する図柄の組合せ及び入賞時の払出し枚数等が定められている。すべてのリール31の停止時に、いずれかの役に対応する図柄の組合せが有効ラインに停止する(役が入賞する。以下同じ。)と、その役に対応する枚数のメダルが払い出される。」

(エ)「【0766】
図76は、第5実施形態において、複合ベル又はリプレイ重複当選時に、獲得数表示LED72に表示する内容を示す図である。図76に示すように、第5実施形態では、各複合ベル当選ごと及びリプレイ重複当選ごとに固有の報知内容を割り当てておき、ART当選後、RT1遊技でのリプレイ重複当選時、並びにRT2遊技及びRT3遊技での複合ベル当選時やリプレイ重複当選時に、図76のような報知を行う。たとえば、複合ベルA1当選時には、獲得数表示LED72に「A1」と報知する。さらに、このとき、サブ制御基板80’側では、画像表示装置23に、正解押し順である「中左右」と報知する。」

(オ)「【0819】
第5実施形態の場合には、図76に示すように、当選役(条件装置)と、報知内容とが一対一であったので、たとえば報知内容が「A7」であるとき、当選役は、複合ベルC1であると判断可能となる。
これに対し、第6実施形態では、当選役と報知内容とは対応しておらず、押し順のみを報知するものである。したがって、たとえば複合ベルA1当選時において正解押し順が「中左右」であるときと、複合ベルA2当選時において正解押し順が「中左右」であるときとでは、同一の報知内容(「○○●●」)となる。
・・・」

(カ)上記(ア)〜(オ)の記載事項から周知例2には次の事項が記載されている(以下「周知例2の記載事項」という。)

「役抽選手段62bは、遊技ごとに、遊技開始時に、役の抽選を行いすべてのリール31の停止時に、いずれかの役に対応する図柄の組合せが有効ラインに停止すると、その役に対応する枚数のメダルが払い出されるスロットマシン10であって、
各複合ベル当選ごと及びリプレイ重複当選ごとに固有の報知内容を割り当て報知を行い、当選役(条件装置)と、報知内容とが一対一であるスロットマシン10。」

ウ 周知技術
上記ア(オ)の周知例1の記載事項における「特定当選役の確定報知演出」として「当選した特定当選役の種類(BB、RB)や当選図柄(「7」「BAR」)を画像表示装置67に表示する」ことは、「当選役の報知演出を当選役と一対一として確定報知する」こと、であるといえ、それと、上記ア(オ)の周知例1の記載事項及びイ(カ)の周知例2の記載事項とを総合すると、
「当選役の報知演出を当選役と一対一として確定報知とするスロットマシン。」は本願出願前に周知(以下「周知技術」という。)であると認められる。

(6)対比
本件補正発明と引用発明とを対比する。

ア 構成A及びJについて
引用発明の構成aの「リールの図柄を見ることができる窓部」、「変動している複数の図柄」、「遊技者の操作で停止されること」、「1回の遊技が終了」すること、「停止表示された図柄」、「メダル」、「「SLOT魔法少女まどか☆マギカ2」という機種のパチスロ機」は、ぞれぞれ本件補正発明の「可変表示手段」、「変動表示する複数の識別情報」、「遊技者の操作に基づいて停止表示されること」、「1回の遊技が終了」すること、「複数の識別情報の停止表示態様」、「遊技価値」、「遊技機」に相当する。
よって、引用発明は本件補正発明の構成A及びJに相当する構成を備えている。

イ 構成Bについて
引用発明の構成bの「通常時」や「ボーナス」の状態、「ボーナス」の状態は、ぞれぞれ本件補正発明の「遊技状態」、「遊技者に有利な特別遊技状態」に相当する。
そして、引用発明の構成bでは「通常時から150枚獲得できるボーナスに移行可能であ」ることから、引用発明が本件補正発明の「特別遊技状態に制御することが可能な遊技状態制御手段」に相当する構成を備えることは明らかである。
よって、引用発明は本件補正発明の構成Bに相当する構成を備えている。

ウ 構成Cについて
引用発明の構成cの「役」、「抽選手段」は、それぞれ本件補正発明の「当選役」、「当選役決定手段」に相当する。
そして、引用発明の構成cでは「ボーナス・ART初当たり、小役に対応する役を抽選する抽選手段を備え」ており、役の抽選を1回の遊技毎に決定していることは、パチスロ機の技術常識から明らかである。
よって、引用発明は本件補正発明の構成Cに相当する構成を備えている。

エ 構成Dについて
パチスロ機の技術常識から、ARTや上乗せゾーンは、押し順ナビをすることにより遊技者にとって有利な遊技状態とするものであり、払い出されるメダル(遊技価値)自体ではない、メダルが払い出されやすくなる状態であることから、引用発明の構成d、f1、g1の「ART」及び「上乗せゾーン」は、本件補正発明の「前記遊技価値とは異なる、遊技者に有利な特典」に相当する。
そして、引用発明の構成では「赤7の「中段揃い」でART、「右下がり揃い」でART及び上乗せゾーンを付与可能であ」ることから、本件補正発明の「特典付与手段」に相当する構成を備えることは明らかである。
よって、引用発明は本件補正発明の構成Dに相当する構成を備えている。

オ 構成E及びE1について
引用発明の構成e〜iでは「ボーナス中に赤7揃いの1確となる場合があ」って、それは、「複数の図柄を有するリールの図柄を見ることができる窓部」で表示されることは明らかである。
また、1確とは、1リール確定目のことで、リールが1つ停止した時点で当たりだと分かることであることは、パチスロ分野の技術常識であるので、引用発明は、ボーナス中に1つの図柄が停止表示された場合に、赤7の「中段揃い」又は「右下がり揃い」のいずれかの当たりだと分かる状態となるといえる。
そうすると、引用発明で「1確となる場合」におけるリールが1つ停止すること、ボーナス中に1つの図柄が停止表示された場合、赤7の「中段揃い」又は「右下がり揃い」のいずれかの当たりだと分かる状態となることは、それぞれ本件補正発明の「前記特典の付与が確定する確定停止表示態様で一の識別情報を停止表示する」こと、「前記特別遊技状態において、複数の識別情報のうち、所定数の識別情報が変動表示している状態」、「前記特典の付与が確定する確定停止表示態様で一の識別情報を停止表示することが可能であ」ることに相当する。
よって、引用発明は本件補正発明の構成E及びE1に相当する構成を備えている。

カ 構成F及びF1について
引用発明の構成d、f1、g1の「赤7の「中段揃い」」の役、「赤7の「右下がり揃い」」の役は、それぞれ本件補正発明の「第1当選役」、「第2当選役」に相当する。
よって、引用発明は本件補正発明の構成F及びF1に相当する構成を備えている。

キ 構成G及びG1について
引用発明の構成d、f1、g1では「赤7の「中段揃い」の図柄で停止表示され」た「ART」、「右下がり揃い」の図柄で停止表示され」た「ART」及び「上乗せゾーンを付与可能であ」り、赤7の「右下がり揃い」では、上乗せゾーンが付与可能であるため、赤7の「中段揃い」よりも遊技者にとって有利度合いが高い特典を付与しているといえる。
そして、上記カで説示したとおり、引用発明の「赤7の「中段揃い」」の役、「赤7の「右下がり揃い」」の役は、それぞれ本件補正発明の「第1当選役」、「第2当選役」に相当するから、引用発明は本件補正発明の構成G及びG1に相当する構成を備えている。

ク 構成Hについて
引用発明の構成e〜iでは「ボーナス中に赤7揃いの1確となる場合があり、1確ボイスの雰囲気がシリアス調(セリフは同じ)なら右下がり赤7揃いの期待大となる」ことから、赤7の「右下がり揃い」の場合は、1確ボイスとして雰囲気がシリアス調の報知がなされることが分かり、「(セリフは同じ)」との記載から、二つある赤7揃いのうち、「右下がり揃い」ではない赤7揃い、すなわち「中段揃い」の場合には、シリアス調ではない報知がなされることは明らかであり、引用発明では「1確ボイス」で報知することから、本件補正発明の特定演出実行手段に相当する構成を備えることは明らかである。
そうすると、引用発明の、シリアス調ではない「1確ボイス」は、本件補正発明の「前記特典付与手段により特典が付与されることを示唆する特定演出」に相当するといえるものの、引用発明では「1確ボイスの雰囲気がシリアス調(セリフは同じ)なら右下がり赤7揃いの期待大となる」ことから、1確ボイスの雰囲気がシリアス調のものが、右下がり赤7揃いを確定的に報知していないといえ、また、シリアス調ではない「1確ボイス」についても、中段揃いの赤7揃いを確定的に報知していないため、引用発明のe〜iと、本件補正発明の構成Hとは、「前記当選役決定手段により前記第1当選役が決定された場合、前記確定停止表示態様の停止表示に基づいて、前記特典付与手段により特典が付与されることを示唆する特定演出を実行する場合がある特定演出実行手段を備え」る点で共通する。

ケ 構成I及びI1について
上記クで説示したとおり、引用発明の構成e〜iでは「ボーナス中に赤7揃いの1確となる場合があり、1確ボイスの雰囲気がシリアス調(セリフは同じ)なら右下がり赤7揃いの期待大とな」り、「中段揃い」の場合には、シリアス調ではない報知がなされていることから、「右下がり揃い」の場合は、1確ボイスとして、「右下がり揃い」が期待大となるように「雰囲気がシリアス調の報知」がなされ、「右下がり揃い」が期待大とならない「雰囲気がシリアス調ではない報知」は「右下がり揃い」が期待大となるようにはなされていないこととなる。
そうすると、上記クのとおり、引用発明の、シリアス調ではない「1確ボイス」は、本件補正発明の「前記特典付与手段により特典が付与されることを示唆する特定演出」に相当するから、引用発明の「シリアス調」の「1確ボイス」は、本件補正発明の「前記特典付与手段により特典が付与されることを示唆する特定演出」ではないので、赤7の右下がり揃い(第2当選役)が決定された場合には、赤7の中段揃い(第1当選役)が決定された場合のように赤7の中段揃いが期待大となるような確率では、シリアス調ではない「1確ボイス」(前記特定演出)を実行していないといえる。
よって、引用発明e〜iと、本件補正発明の構成I及びI1とは、「前記特定演出実行手段は、前記当選役決定手段により前記第2当選役が決定された場合、前記確定停止表示態様の停止表示に基づいて前記特定演出を実行しない場合がある」点で共通する。

上記ア〜ケによれば、本件補正発明と引用発明は、
<一致点>
「A 可変表示手段において変動表示する複数の識別情報が遊技者の操作に基づいて停止表示されることにより、1回の遊技が終了し、当該可変表示手段における複数の識別情報の停止表示態様に応じて遊技価値を付与可能な遊技機において、
B 遊技状態を遊技者に有利な特別遊技状態に制御することが可能な遊技状態制御手段と、
C 1回の遊技における複数の識別情報の停止表示態様に対応する当選役を決定可能な当選役決定手段と、
D 前記遊技価値とは異なる、遊技者に有利な特典を付与可能な特典付与手段と、
を備え、
E 前記可変表示手段は、
E1 前記特別遊技状態において、複数の識別情報のうち、所定数の識別情報が変動表示している状態で、前記特典の付与が確定する確定停止表示態様で一の識別情報を停止表示することが可能であり、
F 前記当選役決定手段は、
F1 前記確定停止表示態様で一の識別情報を停止表示することが可能な当選役として、第1当選役と第2当選役とを決定可能であり、
G 前記特典付与手段は、
G1 前記当選役決定手段によって、前記第1当選役が決定された場合よりも、前記第2当選役が決定された場合の方が、遊技者にとって有利度合いの高い特典を付与可能であり、
H’ 前記当選役決定手段により前記第1当選役が決定された場合、前記確定停止表示態様の停止表示に基づいて、前記特典付与手段により特典が付与されることを示唆する特定演出を実行する場合がある特定演出実行手段を備え、
I 前記特定演出実行手段は、
I1’前記当選役決定手段により前記第2当選役が決定された場合、前記確定停止表示態様の停止表示に基づいて前記特定演出を実行しない場合がある
J 遊技機。」
の点で一致し、以下の点で一応相違する。

<相違点>(構成H、I及びI1)
「特定演出実行手段」について、
本件補正発明では、「H 前記当選役決定手段により前記第1当選役が決定された場合、前記確定停止表示態様の停止表示に基づいて、前記特典付与手段により特典が付与されることを示唆する特定演出を実行」し「I1 前記当選役決定手段により前記第2当選役が決定された場合、前記確定停止表示態様の停止表示に基づいて前記特定演出を実行しない」のに対して、
引用発明では、1確ボイスの雰囲気がシリアス調(セリフは同じ)なら右下がり赤7揃い(第2当選役)の期待大となり、すなわち、二つある赤7揃いのうち、「右下がり揃い」ではない赤7揃い(第1当選役)、すなわちシリアス調ではない報知(特定演出)がなされた場合には、「中段揃い」の期待大となる点。

(7)判断
上記相違点について検討する。
引用発明では、1確ボイスの雰囲気がシリアス調(セリフは同じ)なら右下がり赤7揃いの期待大となり、二つある赤7揃いのうち、「右下がり揃い」ではない赤7揃い、すなわちシリアス調ではない報知がなされた場合、「中段揃い」の期待大となっている。
そして、本件補正発明の構成H、I及びI1において、「前記特典付与手段により特典が付与されることを示唆する特定演出を実行する」のは「前記当選役決定手段により前記第1当選役が決定された場合」のみと、「前記確定停止表示態様の停止表示に基づいて前記特定演出を実行しない」のは「前記当選役決定手段により前記第2当選役が決定された場合」のみ、とはそれぞれ特定されていないことから、引用発明において、「赤7の「中段揃い」」(第1当選役)が決定された場合に、(常にではないが)シリアス調ではない1確ボイスによる報知(特定演出)がなされ、「赤7の「右下がり揃い」」(第2当選役)が決定された場合に、(常にではないが)シリアス調の1確ボイスによる報知がなされる(特定演出を実行しない)ものである。
したがって、上記相違点は実質的な相違点ではない。
よって、本件補正発明と引用発明とに実質的な相違点は存在せず、本件補正発明は引用発明である。

次に、本件補正発明において、「前記特典付与手段により特典が付与されることを示唆する特定演出を実行する」のは「前記当選役決定手段により前記第1当選役が決定された場合」のみ、「前記確定停止表示態様の停止表示に基づいて前記特定演出を実行しない」のは「前記当選役決定手段により前記第2当選役が決定された場合」のみ、であると限定的に解釈して、上記相違点が実質的な相違点であるとした場合について検討する。
上記相違点が実質的な相違点とした場合であっても、パチスロ機の技術分野において、報知演出を当選役と一対一として確定報知とすることは上記(5)ウのとおり周知技術である。
そして、引用発明及び上記周知技術ともに、遊技機の報知演出に関する分野に属するものであり、ともに当選役に関する報知をすることにより遊技者の興趣を向上させるという潜在的な課題を有する点で共通することから、引用発明の1確ボイスの報知として、上記周知技術を採用して、「赤7の「中段揃い」」(第1当選役)が決定された場合には、シリアス調ではない1確ボイスによる確定的な報知(特定演出)がなされ、「赤7の「右下がり揃い」」(第2当選役)が決定された場合に、シリアス調の1確ボイスによる確定的な報知がなされる(特定演出を実行しない)ようにして、本件補正発明の上記相違点に係る構成とすることは当業者が適宜なし得たことである。

また、本件補正発明の奏する効果は、引用発明の奏する効果及び上記周知技術の奏する効果から予測することができた程度のものである。

(8)請求人の主張について
請求人は、令和3年7月20日付けの審判請求書において、次の点について主張をする。
「(2)本願発明の内容及び引用文献との対比
(a)請求項1
補正後の請求項1に係る発明は、「特典の付与が確定する確定停止表示態様で一の識別情報が停止表示した場合、決定された当選役が第1当選役の場合には、特典付与を示唆する演出(以下、特定演出)を実行し、決定された当選役が第1当選役よりも有利度合いの高い特典が付与される第2特定役の場合は、特定演出を実行しない」ことを特徴とするものです。
このような構成を備えることにより、遊技者に対して遊技の興趣を高めることが可能となります。
例えば、一の識別情報が確定停止表示態様で停止表示した状態において、特定演出を実行することで、相対的に有利度合いの低い特典が付与されることを遊技者に示唆することができ、一方、一の識別情報が確定停止表示態様で停止表示した状態において、特定演出を一切実行しないことで、遊技者に違和感を与え、相対的に有利度合いの高い特典が付与されることを遊技者に示唆することができます。
これにより、第2当選役の当選を契機として、一の識別情報が確定停止表示態様で停止表示した際に、特定演出が実行されない方が、有利度合いの高い特典が付与される期待が高まるため、遊技の興趣を向上させることができます。
このような補正後の請求項1に係る特有の構成や、これによってもたらされる効果は、ご指摘の引用文献1には、開示も示唆もされておりません。
引用文献1には、審査官殿のご指摘のとおり、本願発明における「第1当選役」に対応する「右下がり赤7揃い」が当選した場合でも、本願発明における「第2当選役」に対応する「中段赤7揃い」が当選した場合でも、「1確ボイスによる演出」を実行するものです。すなわち、「第1当選役」及び「第2当選役」に当選した場合に、特典の付与を示唆する演出を実行することが開示されております。
しかしながら、本願発明のように、第2当選役が当選した場合、特典の付与を示唆する演出を一切実行しないものではありません。このため、引用文献1に係る発明では、「特典の付与を示唆する演出を一切実行しないことで遊技者に違和感を与え、相対的に有利度合いの高い特典が遊技者に付与されることを示唆することができる」といった本願発明による効果を奏することが出来ません。
以上のように、本願の補正後の請求項1に係る発明は、引用文献1には開示も示唆もされていない特徴的構成を有し、格別な効果を奏する発明であり、引用文献1の記載に基づいて容易に想到できるものではないと思料致します。
よって、補正後の請求項1と、その従属項である請求項2−3に係る本願発明は、引用文献1に対して進歩性を有する発明であり、原査定で認定された拒絶理由はいずれも解消しているものと思料致しますので、何卒特許査定を賜りますようお願い申し上げます。」

そこで、請求人の上記主張について検討する。
請求人は、「例えば、一の識別情報が確定停止表示態様で停止表示した状態において、特定演出を実行することで、相対的に有利度合いの低い特典が付与されることを遊技者に示唆することができ、一方、一の識別情報が確定停止表示態様で停止表示した状態において、特定演出を一切実行しないことで、遊技者に違和感を与え、相対的に有利度合いの高い特典が付与されることを遊技者に示唆することができます。」及び「本願発明のように、第2当選役が当選した場合、特典の付与を示唆する演出を一切実行しないものではありません。」と主に主張しているものの、本件補正発明では、「前記当選役決定手段により前記第2当選役が決定された場合、前記確定停止表示態様の停止表示に基づいて前記特定演出を実行しない」と特定していることから、「第2当選役が当選した場合、特典の付与を示唆する演出を一切実行しない」点は本件補正発明の特定事項に反映されておらず、上記(6)ケで説示したとおり、その点において、引用発明とは相違しない。
したがって、請求人の上記主張を採用することはできない。

(9)まとめ
以上のように、本件補正発明は、引用発明であり、又は、当業者が、引用発明及び上記周知技術に基づいて容易に発明できたものである。
したがって、本件補正発明は、特許法第29条第1項第3号に該当し、または、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

3 むすび
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1〜4に係る発明(そのうち、請求項1の記載を引用する請求項4に係る発明を、以下「本願発明」という。)は、令和3年3月17日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1〜4に記載された事項により特定される次のとおりのものである。

「【請求項1】
可変表示手段において変動表示する複数の識別情報が遊技者の操作に基づいて停止表示されることにより、1回の遊技が終了し、当該可変表示手段における複数の識別情報の停止表示態様に応じて遊技価値を付与可能な遊技機において、
遊技状態を遊技者に有利な特別遊技状態に制御することが可能な遊技状態制御手段と、
1回の遊技における複数の識別情報の停止表示態様に対応する当選役を決定可能な当選役決定手段と、
前記遊技価値とは異なる、遊技者に有利な特典を付与可能な特典付与手段と、
を備え、
前記可変表示手段は、
前記特別遊技状態において、複数の識別情報のうち、所定数の識別情報が変動表示している状態で、前記特典の付与が確定する確定停止表示態様で一の識別情報を停止表示することが可能であり、
前記当選役決定手段は、
前記確定停止表示態様で一の識別情報を停止表示することが可能な当選役として、第1当選役と第2当選役とを決定可能であり、
前記当選役決定手段により前記第1当選役が決定された場合、前記確定停止表示態様の停止表示に基づいて特定演出を実行する特定演出実行手段を備え、
前記特定演出実行手段は、
前記当選役決定手段により前記第2当選役が決定された場合、前記確定停止表示態様の停止表示に基づいて前記特定演出を実行しない
ことを特徴とする遊技機。
・・・略・・・
【請求項4】
前記特典付与手段は、
前記当選役決定手段によって、前記第1当選役が決定された場合よりも、前記第2当選役が決定された場合の方が、遊技者にとって有利度合いの高い特典を付与可能である
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の遊技機。」

2 原査定の拒絶の理由の概要
原査定の拒絶の理由の概要は、次のとおりである。

2.(進歩性)この出願の下記の請求項1〜4に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献1:「魔法少女まどか☆マギカ2」,パチスロ必勝本2016年11月号,辰巳出版株式会社,2016年11月 1日,p.6-27

3 引用文献1に記載された事項
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1である「魔法少女まどか☆マギカ2」,パチスロ必勝本2016年11月号,辰巳出版株式会社,2016年11月 1日,p.6-27の記載事項及び引用発明の認定については、前記「第2 2 2−2(2)引用発明」に記載したとおりである。

4 対比・判断
本願発明は、上記「第2〔理由〕2の2−1」において検討したとおり、本件補正発明(上記第2〔理由〕2の2−2(1))から、「特定演出」に関して、「前記特典付与手段により特典が付与されることを示唆する」という事項を省いたものである。
そうすると、本願発明と引用発明とは、上記「第2〔理由〕2の2−2(6)対比」において検討した、上記相違点のみで相違するから、本願発明も上記第2〔理由〕2の2−2(7)で示した理由と同様の理由により、当業者が、引用発明及び上記周知技術に基いて、容易に発明をすることができたものである。

5 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、他の請求項について検討するまでもなく、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
別掲 (行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。
 
審理終結日 2022-03-08 
結審通知日 2022-03-15 
審決日 2022-03-29 
出願番号 P2017-085707
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63F)
P 1 8・ 575- Z (A63F)
最終処分 02   不成立
特許庁審判長 鉄 豊郎
特許庁審判官 澤田 真治
太田 恒明
発明の名称 遊技機  
代理人 特許業務法人平和国際特許事務所  
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