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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06F
管理番号 1385040
総通号数
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2022-06-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-09-03 
確定日 2022-05-31 
事件の表示 特願2017−168261「ネットワークシステム、情報処理方法、サーバ、および装置」拒絶査定不服審判事件〔平成31年 3月22日出願公開、特開2019− 46132、請求項の数(5)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は,平成29年9月1日の出願であって,その手続の経緯は以下のとおりである。

令和3年 2月16日付け 拒絶理由通知
令和3年 3月23日 意見書・手続補正書 提出
令和3年 8月 3日付け 拒絶査定
令和3年 9月 3日 審判請求書・手続補正書 提出
令和3年10月26日付け 前置報告

第2 原査定の概要

原査定(令和3年8月3日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

進歩性)この出願の請求項1−8に係る発明は,下記の引用文献1に記載された発明および引用文献2ないし6に記載された周知技術等に基いて,その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから,いずれも,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

<引用文献等一覧>
1.特開2003−111160号公報
2.特開2014−072865号公報
3.特開2016−063415号公報
4.特表2017−523492号公報
5.特開2006−033017号公報
6.特開2002−009818号公報

第3 本願発明

本願の請求項1ないし5に係る発明(以下,「本願発明1」ないし「本願発明5」という。)は,令和3年9月3日提出の手続補正書により補正された以下の特許請求の範囲の請求項1ないし請求項5に記載された事項により特定されるとおりの発明である。

「【請求項1】
文字列からなる複数の選択肢から少なくとも1つの選択肢を選択する指示を受け付けて,当該少なくとも1つの選択肢の文字列をカナにしたテキストデータをユーザに選択された命令として送信する装置と,
前記装置の実行中のコマンドを格納し,前記複数の選択肢として前記文字列からなる複数のテキストデータを前記装置に送信し,前記装置から前記カナのテキストデータを受信して前記装置が実行中のコマンドに基づいて当該カナのテキストデータに対応する処理を行うためのサーバと,を備えるネットワークシステム。
【請求項2】
前記装置は,複数のハードウェアボタンを含み,いずれかのハードウェアボタンが押された際に,当該いずれかのハードウェアボタンに対応するカナのテキストデータを前記サーバに送信する,請求項1に記載のネットワークシステム。
【請求項3】
前記装置は,前記装置の状態に対応するカナのテキストデータを前記サーバに送信する,請求項1または2に記載のネットワークシステム。
【請求項4】
前記装置は,前記複数のテキストデータに対応付けて音声データも受信し,前記複数の選択肢を選択可能に表示する際に,前記音声データに基づいて音声も出力する,請求項1から3のいずれか1項に記載のネットワークシステム。
【請求項5】
サーバが,装置の実行中のコマンドを格納し,複数の選択肢として文字列からなる複数のテキストデータを前記装置に送信するステップと,
前記装置が,前記複数のテキストデータに対応する前記複数の選択肢から少なくとも1つの選択肢を選択する指示を受け付けるステップと,
前記装置が,前記少なくとも1つの選択肢の文字列をカナにしたテキストデータをユーザに選択された命令として前記サーバに送信するステップと,
前記サーバが,前記装置から前記カナのテキストデータを受信して,前記装置が実行中のコマンドに基づいて当該カナのテキストデータに対応する処理を行うステップと,を備える情報処理方法。」

第4 引用文献

1 引用文献1および引用発明

(1)引用文献1の記載事項

原査定の拒絶理由に引用された引用文献1には,図面とともに次の事項が記載されている(下線は,当審が付加した。以下同様。)。

ア 「【発明の属する技術分野】この発明は,家電機器(家庭用電気機器)をサーバ装置からダウンロードされるマニュアル画面に基づいて操作することができるようにした家電制御システム,家電端末装置,サーバ装置および家電制御方法に関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】近年,家電機器が多機能化・高機能化しており,この機能を使いこなすためには,長い手順の複雑な操作を覚えていなければならないようになってきている。しかし,多くの利用者はその操作に習熟していない。家電機器には,冊子のマニュアル(操作説明書)が付属しており,このマニュアルを参照して操作方法を知ることができるが,冊子のマニュアルを常に家電機器のそばに置いておく必要がある。冊子から目的のページを探す作業と家電機器を操作する作業は全く別のものであり,これを一緒にしなければならないため面倒であるなどの問題点があった。
【0003】また,マニュアルで表現されている操作が家電機器の操作部をどのように操作することかが分からない場合もあり,マニュアルの表現が分かりにくい場合もあった。
【0004】また,家電機器のマニュアルは機器とともに利用者に配付されたのちは,内容が変更されることはなく,利用者がよく参照する項目の記載順位が後ろのほうであったり,利用者にとって分かりにくい内容があったとしてもそのままであった。また,家電機器の制御プログラムがファームウェアなどで更新された場合でもマニュアルはそのままであった。
【0005】この発明は,利用者が操作方法を知らない場合でも,操作説明書を見ないで家電機器を直接操作して所望の制御をすることができる家電制御システム,家電端末装置,サーバ装置および家電制御方法を提供することを目的とする。」

イ 図1


ウ 「【0014】
【発明の実施の形態】図面を参照してこの発明の実施形態である家電制御システムについて説明する。図1は同家電制御システムの構成図である。家電端末装置に対してマニュアル情報であるウェブページを提供するとともに家電端末装置に対してコマンドを送信するサーバ装置1はインターネット2に接続されており,インターネット2を介して家電端末装置から送信されてくる選択情報に応じてウェブページやコマンドを送信する。また,インターネット2には家庭のホームゲートウェイ装置3が接続されている。ホームゲートウェイ3には,各種の家電端末装置が接続されている。
【0015】同図において,接続されている家電端末装置は,電子レンジ4,留守番電話機5,AVアンプ6,このAVアンプ用のリモコン装置7などである。」

エ 図3


オ 「【0020】このマニュアルのウェブページは,図3などに示すような各種の操作項目をリスト表示したメニューの画面であり,冊子のマニュアル(操作説明書)の目次や索引に対応する画面である。そして,各項目にはリンクが掛けられており,利用者が所望の項目を選択すると,家電端末装置は,サーバ装置1に対してその項目に対応するリンク情報(選択情報)を送信する。サーバ装置1はこのリンク情報を受信し,そのリンク先のウェブページまたはコマンドを家電端末装置に対して返信する。ウェブページを受信した家電端末装置は,先のウェブページに代えてこのウェブページを表示手段に表示する。コマンドを受信した場合には,これをマイコンに入力して家電機能処理プログラムにおいてこのコマンドを実行する。家電機能処理プログラムは,家電端末装置に予め記憶されている当該家電装置本来の機能を実行するプログラムであり,上記コマンドや操作部の操作などに応じて制御部が実行するものである。家電装置本来の機能とは,たとえば留守番電話機であれば,掛かってきた電話に自動応答する機能やメッセージを録音,消去する機能などである。
【0021】同図において,サーバ装置1は,家電端末装置のうち留守番電話機5を制御するためのデータ群の簡略な例を示している。サーバ装置1は,マニュアル情報であるウェブページを記憶するとともに,そのウェブページの各項目にはリンク情報が含まれている。このリンク情報は次の階層のウェブページにリンクされている場合もあるが,家電端末装置を制御するコマンドにリンクされている場合もある。
【0022】利用者は,留守番電話機5のネットボタンをオンしてサーバ装置1にアクセスする。そうすると,マニュアル情報のウェブページが留守番電話機5にダウンロードされ,それが(同図のように)ディスプレイに表示される。利用者は,ポインティングデバイス(この電話機の場合には上下左右のカーソルキーがこれに対応する)でカーソルを移動させ所望のメニューにカーソルが移動したところでエンターキーをオンすると,そのカーソルが指し示しているメニューに対応するリンク情報がサーバ装置1に送信される。
【0023】サーバ装置1は,このリンク情報を受信すると,そのリンク先の情報を送信する。この図においては,リンク先はウェブページではなくコマンドである。同図で暗証番号登録が選択された場合にはCOMMAND4が送信され,録音メッセージ消去が選択された場合にはCOMMAND2が送信される。留守番電話機5は,このコマンドを受信してこのコマンドに応じた処理を実行する。すなわち,予め電話機内に記憶されている前記コマンドに対応するプログラムを実行し,録音メッセージを消去したり,暗証番号登録したりする。
【0024】このように,利用者は冊子のマニュアルに記載されている手順(キーシーケンス)で電話機などの家電端末装置を操作しなくてもサーバ装置1にアクセスしてマニュアル情報のウェブページをダウンロードし,そのマニュアル情報のウェブページの項目を選択することでページを辿ってゆき,所望の操作項目が表示されたときそれを選択すれば,その操作をするためのコマンドがサーバ装置1からダウンロードされ,家電端末装置がそのように操作されるため,わざわざ冊子のマニュアルを読まなくても,直接家電端末装置を操作しながら操作手順を知らない家電端末装置の機能を制御することができる。なお,各家電端末装置は,従来どおりの操作手順(キーシーケンス)で機能を制御することも可能である。この図では,留守番電話機5について説明したが,他の家電端末(電子レンジ4,AVアンプ6,リモコン装置7)についても同様である。」

カ 図2


キ 「【0028】図2は上記家電制御システムにおける家電端末装置とサーバ装置との通信手順を示すフローチャートである。まず,利用者が,家電端末装置をサーバ装置1に接続するためのボタンであるウェブ接続ボタン(NETボタン)をオンする(s1)。そうすると家電端末装置はサーバ装置1にアクセスしてマニュアル情報のトップページであるメニュー画面を要求する。サーバ装置1はこの家電端末装置のアクセスに対応して,その家電端末装置に対応するマニュアル情報のトップページであるメニュー画面を送信する(s11)。
【0029】家電端末装置は,このメニュー画面を受信してディスプレイに表示する(s2)。利用者によってカーソルキーやトラックボールなどの選択手段が操作され,所望の項目が選択されると(s3),その項目に対するリンク情報(選択情報)をサーバ装置1に対して送信する。これに対応してサーバ装置1はこのリンク情報でリンクされているコマンドを家電端末装置に対して送信する(s12)。
【0030】このコマンドを受信した家電端末装置は,このコマンドに基づいて,プログラム領域に記憶しているプログラムを実行し(s4),所望の動作を完了する(s5)。
【0031】また,サーバ装置では,要求されたコマンドを送信したのち,どの機種からどのコマンドが要求されたかのログを記録する(s13)。このログを集計することによって,今後のメニュー画面の表示や冊子のマニュアルを作成する資料とする。具体的には,各機種毎に要求されたコマンドを集計し(s14),これによってメニュー画面を表示するときの優先順位を変更するとともに(s15),これを(プリント)出力して冊子を編集するときの参考にする(s16)。」

(2)引用発明

上記(1)の,特に下線を付加した記載に着目すると,引用文献1には,以下の発明(以下,「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「家電機器(家庭用電気機器)をサーバ装置からダウンロードされるマニュアル画面に基づいて操作することができるようにした家電制御システムであって,
家電端末装置に対してマニュアル情報であるウェブページを提供するとともに家電端末装置に対してコマンドを送信するサーバ装置1はインターネット2に接続されており,インターネット2を介して家電端末装置から送信されてくる選択情報に応じてウェブページやコマンドを送信しており,
インターネット2には家庭のホームゲートウェイ装置3が接続されており,
ホームゲートウェイ3には,各種の家電端末装置が接続されており,
接続されている家電端末装置は,電子レンジ4,留守番電話機5,AVアンプ6,このAVアンプ用のリモコン装置7などであり,
マニュアルのウェブページは,各種の操作項目をリスト表示したメニューの画面であり,冊子のマニュアル(操作説明書)の目次や索引に対応する画面であり,
利用者が,家電端末装置をサーバ装置1に接続するためのボタンであるウェブ接続ボタン(NETボタン)をオンすると家電端末装置はサーバ装置1にアクセスしてマニュアル情報のトップページであるメニュー画面を要求し,
サーバ装置1はこの家電端末装置のアクセスに対応して,その家電端末装置に対応するマニュアル情報のトップページであるメニュー画面を送信し,
家電端末装置は,このメニュー画面を受信してディスプレイに表示し,
利用者によってカーソルキーやトラックボールなどの選択手段が操作され,所望の項目が選択されると,その項目に対するリンク情報(選択情報)をサーバ装置1に対して送信し,
これに対応してサーバ装置1はこのリンク情報でリンクされているコマンドを家電端末装置に対して送信し,
このコマンドを受信した家電端末装置は,このコマンドに基づいて,プログラム領域に記憶しているプログラムを実行し,所望の動作を完了し,
サーバ装置では,要求されたコマンドを送信したのち,どの機種からどのコマンドが要求されたかのログを記録し,
各機種毎に要求されたコマンドを集計し,これによってメニュー画面を表示するときの優先順位を変更するとともに,これを(プリント)出力して冊子を編集するときの参考にする
家電制御システム。」

2 引用文献2ないし6

(1)引用文献2の記載事項

原査定の拒絶理由に引用された引用文献2には,図面とともに次の事項が記載されている。

ア 「【技術分野】
【0001】
本発明は,メッセージ発信サーバ,プログラム,メッセージ発信システム,およびメッセージ発信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在では,家庭内電気機器(以下,家電機器と称す)は広く浸透し,多種多様な家電機器が人々の生活を取り巻いている。これらの家電機器の操作は,ユーザにすべて委ねられているのが現状である。例えば,テレビの電源のオン/オフ,空調装置の設定温度の変更等は,ユーザが各家電機器のリモコン等を操作することによって実現されている。
【0003】
この際,各家電機器等に設けられているセンサが生成したセンサ情報(例えば,室温情報,湿度情報等)や各家電機器が生成した当該家電機器の動作情報は,ユーザが当該センサから直接収集する必要がある。また,各家電機器を操作するにあたり必要となる外部情報(例えば,天気予報等の環境情報)の収集に関しても,ユーザ自身が収集する必要がある。
【0004】
例えば特許文献1には,ネットワークを介して外部の環境情報を取得し,当該外部環境を盛り込んだ生成文を作成して出力することにより,ユーザと擬人化エージェントとの電子的コミュニケーションを支援する電子コミュニケーション装置が開示されている。当該電子コミュニケーション装置を利用すれば,ユーザ自身が外部情報を収集する必要がなくなる。」

イ 図6


ウ 「【0058】
(家庭内電気機器制御の実施例−1)
家庭内電気機器制御システム100が,家電機器の動作制御を行う方法の具体例を挙げる。なお,以下の実施例はあくまで一例であり,本発明に係る家庭内電気機器制御システム100は,以下の実施例のみに限定されるわけではない。
【0059】
図6(a)および(b)は,家庭内電気機器制御システム100が家電機器の動作制御を行う時の家族伝言板のメッセージM6〜M11をタイムライン表示している画面の表示例を示す図である。登録されたグループのメンバー間におけるコミュニケーションのための家族伝言板が図6(a)に示されている。最初の3つのメッセージM6〜M8は,家族伝言板上における家族間の一般的なやり取りである。
【0060】
家庭内には,温度センサが設けられたエアコンが配置されている。制御サーバ1の機器情報取得部12は,管理サーバ3を介して,エアコンに設けられた温度センサから現在の室温情報を取得する。また,外部情報取得部13は,外部情報サーバ4からその日の天気予報の情報(気温変化等)を取得する。解析部15は,第1テーブルを用いて,エアコンに設けられた温度センサからの情報と,外部情報サーバ4から取得した情報とを解析する。仮に現在の室温が高く,なおかつ県内全域に熱中症警報が出ているとする。本実施例の場合,第1テーブルでは,「現在の室温が高い」というセンサからの情報および「県内全域に熱中症警報が出ている」という外部情報の組み合わせに対して,「室温を下げる(すなわち,エアコンをつける)」という解析結果が対応付けられている。そこで,解析部15は,「室温を下げる(すなわち,エアコンをつける)」という解析結果を導き出し,その解析結果をメッセージ生成部16に送る。
【0061】
メッセージ生成部16は,第3テーブルを用いて,「室温を下げる(すなわち,エアコンをつける)」という解析結果に応じたメッセージを作成する。本実施例の場合,第3テーブルでは,「室温を下げる(すなわち,エアコンをつける)」という解析結果に対して,「部屋の温度が上がっています。県内全域に熱中症警報が出ています。エアコンをつけますか?」というメッセージが対応付けられている。そこで,メッセージ生成部16は,「部屋の温度が上がっています。県内全域に熱中症警報が出ています。エアコンをつけますか?」というメッセージを生成し,そのメッセージを,通信部11を介して家族伝言板サーバ2に送る。
【0062】
家族伝言板サーバ2では,制御サーバ1から受信したメッセージ,すなわち「部屋の温度が上がっています。県内全域に熱中症警報が出ています。エアコンをつけますか?」というメッセージM9を家族伝言板に書き込む。
【0063】
家族伝言板に書き込まれたメッセージM9を見たメンバーは,エアコンをつけるか否かの判断を行い,それに応じたメッセージを家族伝言板に書き込む。図6(a)では,エアコンをつける操作指示を記載したメッセージM10がメンバーにより家族伝言板に書き込まれている。制御サーバ1のメッセージ取得部14は,家族伝言板サーバ2を介して,メンバーによって書き込まれたメッセージM10を取得する。解析部15は,第2テーブルを用いて,メッセージM10を解析する。本実施例の場合,第2テーブルでは,「エアコン」「つけて」という単語の組み合わせに対して,「エアコンをつける」という操作指示が対応付けられている。そこで,解析部15は,「エアコンをつける」という操作指示を導き出し,その操作指示を,通信部11を介して管理サーバ3に送る。
【0064】
そして,管理サーバ3が,制御サーバ1から受信した操作指示に従って家電機器の動作制御を行った後,解析部15は,操作指示をメッセージ生成部16に送る。メッセージ生成部16は,第4テーブルを用いて,「エアコンをつける」という操作指示に応じた応答メッセージを作成する。本実施例の場合,第4テーブルでは,「エアコンをつける」という操作指示に対して,「エアコンをつけました」という応答メッセージが対応付けられている。そこで,メッセージ生成部16は,「エアコンをつけました」という応答メッセージを生成し,その応答メッセージを,通信部11を介して家族伝言板サーバ2に送る。
【0065】
図6(b)に示すように,家族伝言板サーバ2では,制御サーバ1から受信した応答メッセージ,すなわち「エアコンをつけました」というメッセージM11を家族伝言板に書き込む。
【0066】
このように,家族伝言板サーバ2によって,家族伝言板にはエアコンの温度センサが生成したセンサ情報と,外部情報取得サーバ4から取得した天気予報の情報とに応じたメッセージが書き込まれる。これにより,現在の室温の情報をメンバー自らが収集したり,インターネット等を介して得られる天気予報の情報をメンバー自らが収集したりする必要がない。」

(2)引用文献3の記載事項

原査定の拒絶理由に引用された引用文献3には,図面とともに次の事項が記載されている。

ア 「【技術分野】
【0001】
本発明は,家電から出力される音をサーバから制御するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から,冷蔵庫やエアコンなどの家電に音声を出力させるための技術が提案されている。たとえば,特開2005−103679号公報(特許文献1)には,ロボット装置が開示されている。特開2005−103679号公報(特許文献1)によると,ロボット装置のシステムコントローラは,スケジュール管理情報記憶部に記憶されたスケジュール管理情報に従って,ユーザ毎にその行動をサポートするためのスケジュール管理処理を実行する。スケジュール管理情報記憶部には,ユーザ識別情報と,当該ユーザ識別情報で指定されるユーザが実行すべき行動と,当該行動の開始条件とが対応付けて記憶されている。システムコントローラは,開始条件で指定される条件が成立した場合,その成立した開始条件に対応するユーザ識別情報で指定されるユーザに対して,そのユーザの行動をサポートするためのサポート処理を実行する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】 特開2005−103679号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら,従来のネットワークシステムでは,ユーザを識別するために家電などに精度が高いカメラやマイクなどを搭載する必要があった。また,顔画像や音声のマッチング処理も煩雑なものであった。そこで,本発明の目的は,精度の高いカメラやマイクを有さずとも,あるいは顔画像や音声のマッチングをせずとも,ユーザまたは状況などに適した音声を出力することができるネットワークシステム,音声出力方法,サーバ,機器,およびプログラムを提供することにある。」

イ 図6


ウ 「 <機器200のハードウェア構成>
【0058】
次に,機器200のハードウェア構成の一態様について説明する。図6は,本実施の形態にかかる機器200のハードウェア構成を表わすブロック図である。
【0059】
図6を参照して,機器200は,主たる構成要素として,プロセッサ210と,メモリ220と,各種ライト230と,各種スイッチ240と,通信インターフェイス260と,スピーカ270と,機器駆動部290とを含む。
【0060】
プロセッサ210は,メモリ220あるいは外部の記憶媒体に記憶されているプログラムを実行することによって,機器200の各部を制御する。すなわち,プロセッサ210は,メモリ220に格納されているプログラムを実行することによって,後述する各種の処理を実行する。
【0061】
メモリ220は,各種のRAM,各種のROM,フラッシュメモリーなどによって実現される。メモリ220は,プロセッサ210によって実行されるプログラムや,プロセッサ210によるプログラムの実行により生成されたデータ,入力されたデータ,音声出力サーバ100から受信したデータなどを記憶する。
【0062】
ライト230は,プロセッサ210からの信号によって点灯・点滅・消灯することによって,機器200の各種の状態を外部に伝える。
【0063】
スイッチ240は,ユーザからの命令を受け付けて,当該命令をプロセッサ210に入力する。
【0064】
通信インターフェイス260は,プロセッサ210からのデータ,たとえば,機器が検知した各種の状態および機器がユーザからリモコンを介して受け付けた命令など,をアダプタ300に送信する。換言すれば,通信インターフェイス160は,上記データをアダプタ300,ルータ400,インターネットなどを介して音声出力サーバ100および音声作成サーバ700に送信する。通信インターフェイス260は,インターネット,ルータ400,アダプタ300などを介して音声出力サーバ100からのデータ,音声作成サーバ700からのデータ,他の端末からの制御命令,音声データ,発話命令および閲覧命令を受信してプロセッサ210に受け渡す。
【0065】
スピーカ270は,プロセッサ210からの音声信号に基づいて音声,音楽などの様々な音声を出力する。
【0066】
リモコン受光部280は,リモコンからの赤外線信号やその他の電波信号を受光して,当該信号をプロセッサ110に入力する。
【0067】
機器駆動部290は,プロセッサ210からの制御命令に基づいて,モータ,アクチュエータ,センサなどを制御することによって,機器200の主要な役割を果たす。
【0068】
機器200は,その他にも,カメラなどの画像センサ,マイクなどの音声センサ,温度センサ,人感センサなどを搭載してもよい。そして,プロセッサ210は,当該センサを介して取得した各種の情報を,通信インターフェイス260を介して,サーバ100に送信する。」

(3)引用文献4の記載事項

原査定の拒絶理由に引用された引用文献4には,図面とともに次の事項が記載されている。

ア 「【技術分野】
【0002】
本出願は概して自然言語処理に関し,より具体的には,電子デバイスを制御する自然言語処理を有する仮想アシスタントの使用に関する。
【背景技術】
【0003】
携帯電話,タブレットコンピュータ,ラップトップコンピュータ,デスクトップコンピュータ等のコンピューティングデバイス上で実行されるソフトウェアアプリケーションを使用して遠隔で制御され得る家庭用電子デバイスが次第に普及している。例えば,数多くの製造業者が,電球の明るさ及び/又は色を調整する,携帯電話上で実行されるソフトウェアアプリケーションによって制御され得る電球を作製している。類似した制御を有する,ドアの鍵,サーモスタット等の他のデバイスも提供されている。
【0004】
これらのデバイスは,より高度な制御及び利便性をユーザに提供し得るが,家庭内の遠隔で制御されるデバイスの数及び遠隔で制御されるデバイスの種類の数が増加するにしたがって,これらのデバイスを管理することが非常に難しくなる場合がある。例えば,典型的な家は,家の様々な部屋の至る所に配置された40〜50個の電球を備え得る。従来のソフトウェアアプリケーションを使用した場合,各電球には一意識別子が付与され,これらのデバイスのうちの1つを制御することを試みるユーザは,グラフィカルユーザインタフェース内の利用可能なデバイスのリストから適切な識別子を選択する必要がある。特定の電球の正しい識別子を記憶し,40〜50個の識別子のリストからその識別子を見つけることは,難しくかつ時間のかかる作業になることがある。大量の遠隔で制御されるデバイスを管理及び制御することの難しさに加えて,通常,各製造業者は,そのそれぞれのデバイスを制御するために使用される必要がある,異なるソフトウェアアプリケーションを
提供する。そのため,ユーザはそれらの電球をオン/オフにする1つのソフトウェアアプリケーションを見つけて開き,その後,それらのサーモスタットの温度を設定する別のソフトウェアアプリケーションを見つけて開く必要がある。
【発明の概要】
【0005】
仮想アシスタントを使用して電子デバイスを制御するシステム及び処理が提供される。1つの例示的な処理では,ユーザは,1つ以上の電子デバイスを制御するために,自然言語形式で入力をユーザデバイスへと発語してもよい。ユーザデバイスは,そのユーザ発語を,テキスト表現へと変換するためにサーバへと送信してもよい。サーバはテキスト表現に基づき,1つ以上の電子デバイス,及び1つ以上の電子デバイスによって実行される適切なコマンドを特定してもよい。特定された1つ以上のデバイス及び実行されるコマンドは,ユーザデバイスへと返送されてもよく,それにより,そのコマンドを,実行のために適切な1つ以上の電子デバイスへと転送してもよい。コマンドを受信に応じて,1つ以上の電子デバイスはコマンドを実行し,それらの現在の状態をユーザデバイスへと送信してもよい。」

イ 図1


ウ 「 システムの概要
【0024】
図1は,様々な実施例に係る,電子デバイスを制御する仮想アシスタントを実装する例示的なシステム100を示す。用語「仮想アシスタント」,「デジタルアシスタント」,「インテリジェント自動アシスタント」,又は「自動デジタルアシスタント」は,発語及び/又はテキスト形式の自然言語入力を解釈してユーザ意図を推測し,推測されたユーザ意図に基づきアクションを実行する任意の情報処理システムを指してもよい。例えば,推測されたユーザ意図に基づきアクションを実行するために,システムは,推測されたユーザ意図を実現するように設計されたステップ及びパラメータを含むタスクフローを特定すること,推測されたユーザ意図からの具体的な要件をタスクフローへと入力すること,プログラム,方法,サービス,API等を呼び出すことによってタスクフローを実行すること,及びユーザへの出力応答を可聴(例えば,発語)及び/又は視覚形式で生成することのうちの1つ以上を実行してもよい。
【0025】
仮想アシスタントは,自然言語コマンド,要求,陳述,叙述,及び/又は照会の形式で少なくとも部分的にユーザ要求を受け入れることができてもよい。通常,ユーザ要求は仮想アシスタントによる情報回答又はタスクの実行のいずれかを求める。ユーザ要求への満足な応答は,要求された情報回答の提供,要求されたタスクの実行のいずれか,又はその2つの組み合わせを含んでもよい。例えば,ユーザは仮想アシスタントに「私は今どこにいますか?」等の質問をしてもよい。ユーザの現在の場所に基づき,仮想アシスタントは,「あなたはセントラルパーク内にいます」と回答してもよい。ユーザはまた,例えば,「今日午後4時に母に電話することを私に思い出させてください」と,タスクの実行を要求してもよい。それに応じて,仮想アシスタントは要求を認識し,次に,ユーザの電子スケジュール内に適当なリマインダ項目を作成してもよい。要求されたタスクの実行中,仮想アシスタントは,長時間にわたって複数回の情報の交換を伴う連続的なダイアログにおいて,ユーザと対話してもよい。情報又は様々なタスクの実行を要求するために仮想アシスタントと対話する方法は他にも数多く存在する。言葉による応答を提供し,プログラムされたアクションを取ることに加えて,仮想アシスタントは,他の視覚又はオーディオ形式の応答を(例えば,テキスト,警報,音楽,ビデオ,アニメーション等として)提供してもよい。」

(4)引用文献5の記載事項

原査定の拒絶理由に引用された引用文献5には,図面とともに次の事項が記載されている。

ア 「【技術分野】
【0001】
本発明は,第1の携帯電話により指定された画像データまたは音楽データを第2の携帯電話へ送信することができる携帯電話,携帯電話サーバおよび携帯電話システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来,携帯電話では,メッセージとともに画像データや音楽データを添付して電子メールを希望する受信者に送信することができた。特開2003−348160号公報(特許文献1)には,画像メールに音楽を添付して送信することができる携帯電話システムが開示されている。この携帯電話システムでは,携帯電話から送信された画像データに対して,指定された音楽の種類に基づいて曲が自動的に作成され,その曲の音楽データが画像データとともに指定されたメールアドレスへ送信される。
【特許文献1】 特開2003−348160号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら,携帯電話の機種によっては,メールに画像や音楽を添付して送信する機能を備えていないものがある。また,特許文献1に開示されるような音楽の種類に基づいて自動的に作成された曲は,音楽としての魅力に乏しく,むしろよく知られている曲の方が喜ばれることが多い。しかし,よく知られた曲は,著作権の保護を目的として,メールに添付して希望する受信者に送信することができない場合がある。つまり,メールで受信した映像や音楽データを携帯電話が記憶し,さらに第三者へ転送することになれば,著作権侵害となるので,著作権を有する楽曲は,試聴することはできるが,メールに添付して送信することができないように設定されている。
【0004】
また,携帯電話の種類は増え,携帯電話により機能や性能が異なるので,送信側では,受信側の携帯電話の機能や性能を認識できないために,受信側では最適な状態で表示あるいは再生できない場合があるという問題点があった。例えば,音楽データについては,MIDI(Musical Instrument Digital Interface)のような,音色や音高および発音の開始や停止の指示である音符情報に応じて楽音を形成する音源や,所定のサンプリング周波数で標本化されたサンプリングデータを入力して楽音を発生するものなどがある。よって,サンプリングデータを入力して楽音を発生する音源を備えていない携帯電話が,サンプリングデータを受信しても再生することができない。同様に,音符に対応する楽音を発生する音源を備えていない携帯電話の場合には,音符情報を受信しても再生することができない。
【0005】
また,音符情報に対応する楽音を発生する音源のタイプの場合には,機種により,音色を指定する情報と,その情報に応じて発生される音色との対応関係が異なる場合があり,機種により異なった音色で発音されることになる。よって,同じ音符情報を受信する場合には,ある機種では,良好な音楽が再生されても,別の機種では音色が異なるために,違和感のある音楽が再生されることになる。また,いわゆる同時発音数といわれる同時に形成できる楽音の数は,機種により異なるので,同時発音数が多い機種に合わせて作成された演奏データを,同時発音数が少ない音源に入力すると,メロディが途切れるなどの不具合を発生するという問題点がある。
【0006】
また,サンプリングデータを入力して発音するタイプの音源では,サンプリング周波数が異なると,正常に発音できないという問題点がある。
【0007】
また,画像データについても,画像を表示する機能がないものや,画像を表示する機能を有する場合には,白黒画像を表示できるがカラー画像を表示できないものもある。また,表示器の画素数が機種により異なり,受信する携帯電話の機種に応じた画像データでなければ良好に表示できないという問題点があった。
【0008】
本発明は,上記問題点を解決するためになされたものであり,携帯電話サーバに記憶されている画像または音楽データを受信者へ送信することができる携帯電話,携帯電話サーバおよび携帯電話システムを提供することを目的とする。」

イ 図4


ウ 「【0042】
つぎに,携帯電話1のCPU10により実行される処理について説明する。図4は,携帯電話1により実行される処理を示すフローチャートである。この処理は,送信側の携帯電話1において,送信者がメールを送信する機能を選択した場合に実行される処理である。まず,送信者によりメッセージが作成される。送信者は,携帯電話1のテンキーなどの操作子を操作して文字を入力し,携帯電話1はその入力された文字を順次ディスプレイに表示する。必要に応じて,平仮名をカタカナや漢字に変換し,メッセージが作成され,そのメッセージは,RAM13に記憶される(S1)。
【0043】
次に,送信者が送信相手に画像を送信するか否かを確認する(S2)。送信者が画像を送信することを選択した場合(S2:Yes),携帯電話サーバ2に対し携帯電話サーバ2のハードディスク34に記憶されている多数の画像データのリストの送信要求を送信する。その送信要求に応じて携帯電話サーバ2から送信されたリスト中から,送信者は送信する画像を選択し,携帯電話1は,その選択された画像を認識する(S3)。リストを要求する場合に,送信者が画像のジャンル(例えば,人物,風景,イベントなど)を指定し,そのジャンルに応じたリストを要求するようにしてもよい。また,必要に応じて画像データの送信要求を携帯電話サーバ2に送信し,送信された画像データをディスプレイ18に表示して送信者が確認し,決定してもよい。
【0044】
携帯電話1は,その選択された画像を指定する画像番号をRAM13に記憶する(S4)。なお,画像データとして,携帯電話1に備えられているデジタルカメラ17により撮影された画像データを携帯電話サーバ2に送信し,その画像データに対応する画像番号をRAM13に記憶してもよい。
【0045】
画像番号を記憶した場合(S4)および送信者が画像を送信しないことを選択した場合(S2:No)は,つぎに携帯電話サーバ2が記憶している多数の音楽データの中から選択して受信者に送信するか否かを確認する(S5)。送信者が音楽データを送信することを選択した場合は(S5:Yes),携帯電話サーバ2のハードディスク34に記憶されている多数の音楽データのリストの送信要求を送信する。その送信要求に応じて携帯電話サーバ2から送信されたリスト中から,送信者が受信者に送信する曲を選択し,携帯電話1は,その選択された曲を認識する(S6)。画像の場合と同様に,リストを要求する場合に,送信者が曲のジャンル(例えばクラシック,ロック,ジャズなど)を指定し,そのジャンルに応じたリストを要求してもよい。また,必要に応じて曲データの送信要求を携帯電話サーバ2に送信し,送信された曲データを再生し,送信者が曲を試聴してから決定してもよい。
【0046】
携帯電話1は,選択された曲を指定する曲番号をRAM13に記憶する(S7)。なお,曲データとして,携帯電話1に備えられているテンキー等を用いて入力された自作曲を携帯電話サーバ2に送信し,その音楽データに対応する曲番号をRAM13に記憶してもよい。
【0047】
曲番号を記憶した場合(S7)およびS5の処理において画像を送信しないことを選択した場合(S5:No)は,つぎに送信相手のメールアドレスを設定する。そのために,フラッシュROM12に記憶しているアドレス帳の名前のリストをディスプレイ18に表示する。そのリストの中から送信者が選択すると携帯電話1は,受信する携帯電話1のメールアドレスを認識し(S8),そのメールアドレスをRAM13に記憶する。
【0048】
メールアドレスの設定が終了すると,RAM13に記憶されたメッセージと画像番号と曲番号と受信者の携帯電話1のメールアドレスとを,携帯電話サーバ2へ送信し(S9)処理を終了する。
【0049】
このように,携帯電話1においては,受信者に送るメッセージを作成し,携帯電話サーバ2が記憶している画像データおよび音楽データの中から所望の画像データまたは音楽データを指定して,さらに受信者を指定すると,携帯電話サーバ2に,そのメッセージと,
画像データまたは音楽データを指定する指定情報と,受信者の携帯電話のメールアドレスとが送信される。」

(5)引用文献6の記載事項

原査定の拒絶理由に引用された引用文献6には,図面とともに次の事項が記載されている。

ア 「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は,通信媒体を介して文書を送受信するシステムに関し,特に,インターネットを介して電子メールを送受信する際の中継部位における電子メールの加工処理に関する。
【0002】
【従来の技術】近年,いわゆる簡易携帯電話(PHS)も含めた携帯電話が急速に普及し,インターネットとの連携もあって,そのユーザは,時と場所を問わず,多種多様なサービスを利用できるようになってきた。これは,携帯電話に限らず,通信機能を有するPDAやカーナビゲーション装置,ゲーム機,テレビのセットトップ端末,など種々の通信端末と呼べる装置においても,このような傾向に拍車がかかっている。
【0003】この種の通信端末において利用できるサービスに,メッセージ通信がある。メッセージ通信には,いわゆる直送型とセンター型が知られている。センター型は,メッセージデータをセンターと呼ばれる設備で一旦当該メッセージデータを受信,保存し,その宛先の通信端末へ送信するものである。一方,直送型は,通信端末から通信回線を介して,センターを経由することなく直接,相手方にメッセージデータを送信するものである。インターネット上の通常の電子メールは,センター型のメッセージ通信といえる。
【0004】センター型のメッセージ通信であるインターネット上の電子メールであっても,最近の携帯電話では,メールの着信を音や表示でユーザに知らせる機能が付属しており,発信者のメールの発信とほぼリアルタイムにそのメールを受け取ることができる。
【0005】特に,携帯電話等で扱うメッセージ通信では,センター型の方が直通型に比べて通常送信文字数が大きく,また,インターネット上のパーソナルコンピュータ(以下,パソコンという)等の任意の他の通信端末との間でメッセージのやりとりが行えるという利点がある。また,相手の携帯電話の電源が切れていたり,圏外にある場合にも,メッセージはセンターに保管され,確実に相手に届けられるという利点もある。このように,携帯電話等での電子メールは,極めて利便性の高い通信手段であると言える。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで,電子メールを取り扱うメール作成ソフトウェアには,メールを受信した相手に対してそのメールの返信を行う場合に,相手のメール内容をそのまま引用文として本文に追加する機能を持つものが一般的である。このような引用機能は,ユーザがその都度手動により行ったり,初期設定によって自動的に行ったりできるようになっている。引用機能は,パソコン搭載用のソフトでは常識であり,携帯電話等でも付属しているものがある。
【0007】この引用機能は,引用された文書を送信した者にとって,その返信メールが自分のどのような内容の文書に対して返答されているかを即座に認識する上で有用である。また,返信者が,相手のメール内容に対して部分的に引用しながら,個々の項目に対して応答/回答していく場合にも,返信者がいちいちその文言を手入力する手間が省け,かつ,その返信メールを受信する者にとっても内容の理解が容易になるという利点がある。
【0008】全文の引用であれ,部分の引用であれ,それが引用文であることは,引用文の各行の先頭に”>”のような所定の文字(予約語)をシステムが自動的に付すことにより,ユーザが引用文とそのメールの本文内容と識別できるようになっている。
【0009】このような事情から,通常,パソコンに対して携帯電話から送ったメールに対して,その受信者が引用文として本文に付加している場合がしばしばある。
【0010】しかしながら,特定の通信端末,特にデータ記憶容量が比較的小さい携帯電話のような通信端末では,受信できるデータ量に上限を設けているものがある。このような通信端末では,その上限を超えた文書部分は欠落してしまい内容を認識することができない,という問題があった。返信者の返信の仕方にもよるが,返信メールの本文の最初に引用文を配置し,それに続けて自分の返答文を記載しているような場合,引用文の存在のためにデータ容量が増加し,肝心の返信の内容が途中で途切れるというような事態が生じうる。
【0011】また,携帯電話の種類によっては,メールの受信時にもデータ量や時間に応じて課金される場合がある。このような場合には,受信データ量は小さいことが好ましい。
【0012】本発明は,このような背景においてなされたものであり,その目的は,電子メールを受信する側の通信端末に対して送信されたメールのデータ量を縮小することができる電子メールの処理方法を提供することにある。
【0013】本発明の他の目的は,電子メールを受信する側の通信端末において受信データ量の制限がある場合に,その制限に合わせてデータ量を縮小することができる電子メールの処理方法,およびこの方法を実施するメールサーバ,並びに通信端末を提供することにある。」

イ 図11


ウ 「【0072】次に,具体的なメッセージ例を挙げて,そのデータ量が本実施の形態においてどのように縮小されるかを示す。図11は,漢字,かな,英数字,飾り文字,定型文等を含む具体的なメッセージ例である。」

エ 図12


オ 「【0073】図12は,このメッセージに対して,縮小ルールとして,全角かな英数字の対応半角文字への置換,空白行の削除,「株式会社」「TEL:」「FAX:」等の特定の用語の対応する特殊1文字への置換,飾り文字の削減,を適用した結果を示す。この例では,ひらがなの半角文字を持たないために,全角ひらがなは対応する半角カタカナに置換されている。しかし,ひらがなの半角文字を持つ場合には,当然ながら全角ひらがなは半角ひらがなに置換することができる。このような縮小処理により,メッセージのデータ量をかなり縮小することができ,上限メール容量に納めることが容易となる。この例では,783バイトから470バイトへデータ量が縮小されている。同時に,このデータ量低減により通信コストの低減が図れる。」

3 引用文献7および8

(1)引用文献7の記載事項

前置報告で周知技術を示すものとして引用された引用文献7には,図面とともに次の事項が記載されている。

ア 「【技術分野】
【0001】
本発明は,病院などにおいて受診者の問診を自動で行う自動問診システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の自動問診システムとしては,特許文献1−3に記載のものが公知である。
【0003】
特許文献1には,健康管理提供者があらかじめ設定した質問に関する第1のデータ,および前記第1のデータに関連した第2のデータを蓄積するサーバと,通信ネットワークを介し,前記サーバから前記第1のデータを読み出して第1の表示手段に表示するとともに,健康管理対象者が前記第1の表示手段に表示された質問に対して音声または画像で行った回答を音声データまたは画像データに変換し,この変換データを,前記通信ネットワークを介し,前記第2のデータとして前記サーバに転送する第1の端末と,前記通信ネットワークを介し,前記サーバから前記第1および第2のデータを読み出し,少なくとも前記第2のデータである音声データまたは画像データを音声または画像に変換する第2の端末とを備えた健康データ収集装置が記載されている。
【0004】
上記特許文献1の健康データ収集装置は,問診の際の質問は,第1の端末に備えられた第1の表示手段に表示され,受診者はその質問を読んで,音声又はタッチパネルにより回答するように構成されている。この場合,特に高齢者のように弱視者には質問を目読するのが困難な場合が多いという問題がある。
【0005】
それに対して,上記特許文献2,3には,医療関係者側に置かれる医療側情報処理装置及び利用者側に置かれる健康管理支援端末がネットワークによってサーバに接続され,前記健康管理支援端末は,音声合成又は音声データに基づいて音声出力を行う音声出力手段を備えることで利用者に予め固定的に記憶している質問及び/又は前記サーバによって追加された質問を与え,利用者から返される情報を取得する情報取得手段にてその回答を取得し,この回答データを前記サーバに自動送信するように構成され,前記サーバは,利用者毎の質問リストを保持し,追加の質問データを前記健康管理支援端末に送信し,回答データを利用者毎に管理して成る利用者健康関連情報を少なくとも蓄積し,前記医療側情報処理装置からの要求に応じて少なくとも前記利用者健康関連情報を当該装置に送信すると共に,前記医療側情報処理装置から入力された利用者毎の追加の質問の受信を行うように構成されたことを特徴とする健康管理支援システムが記載されている。
【0006】
この健康管理支援システムでは,問診の際の質問は音声により行われ,それに対する受診者の回答も音声により行われる。従って,対話形式で問診が行われるため,高齢者のような弱視者にとっても適切な問診を行うことが可能である。
【0007】
図19は,特許文献2に記載の健康管理支援システムの動作を表すフローチャートである。このシステムでは,1日に3〜4問の問診を行い,1週間で一巡することを基本としている。例えば,問診数が23問の場合,1週間の各日の問診数は4,4,3,3,3,3,3というようになる。図19のステップS101〜S105は,1回の問診を行う際の質問の選択等の前処理である。1回の問診を行う際の問診動作は,図19のステップS106〜S116である。
【0008】
まず,ステップS106,107で,質問が読み出され,利用者側の健康管理支援端末(ペット型健康管理支援端末)において問診言葉が発話される。この問診に対する利用者の「はい」「いいえ」による回答の待ち時間は10秒とされる(S109)。10秒経過しても回答のない場合はもう一度発話する。これを3回まで繰り返す(S111)。3回実行しても音声入力のない場合には,その問診に対する回答は「いいえ」とされる(S113)。
【0009】
「はい」の回答があった場合(S110),健康管理支援端末において,要注意回答に対する報知である「糖尿病の症状かもしれません。サーバに登録してもいいですか」という質問が発話され,これに対する利用者の回答が「はい」ならば「登録可」として処理し(ステップS114における「Yes」),ステップS115において「サーバ登録可」の情報が格納される。ステップS114で利用者の回答が「いいえ」の場合,ステップS115において「サーバ登録不可」の情報が格納される。
ステップS108−S110において,利用者が問診内容を聞き取れない場合に利用者が「もう一度」という応答をした場合,ステップS107に戻って再度問診内容が発話される。
【0010】
再度の発話でも回答のない場合は,「答えが『はい』ならペットに向かって『はい』を,答えが『いいえ』ならペットに向かって『いいえ』と言ってください。」というガイドを流す。それでも回答が得られない場合は,「問診を中止しますか。」と発話して「はい」の回答が得られると(ステップS110で「中止」),問診タスクを終了する。答えが「いいえ」なら再度同じ問診項目を発話する。
【0011】
そして,当日分の問診予定を終了したかどうかを判断し(S116),終了したなら問診タスクを終了し,終了していないならステップS106へ戻る。
【特許文献1】 特開2008−18136号公報
【特許文献2】 特開2003−122846号公報
【特許文献3】 特開2003−122847号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら,上記特許文献2の問診システムでは,ステップS107−S110の対話処理において,利用者が「はい」「いいえ」「もう一度」のような規定された応答をしてくれることを前提としているため,利用者が想定外の応答をした場合の処理が考慮されていない。従って,利用者が想定外の応答の場合,ステップS109で応答なしと判定されるため,同じ問診内容の問診発話が3回繰り返された後に,回答を「いいえ」とみなされて(S113),その質問は終了することになる。
【0013】
利用者が,このようなシステムの動作を理解していない場合,利用者が想定外の応答を繰り返すことになり,結局,正確な問診結果を得ることができないという問題がある。特に,高齢者のように複雑なシステムの使用を不得意とする利用者の場合に,このような事態が生じることが予想される。
【0014】
そこで,本発明の目的は,問診に対して利用者が想定される回答以外の回答をする場合には,利用者が想定回答をするように誘導することの可能な自動問診システムを提供することにある。」

イ 図5


ウ 「【0041】
図5は,本発明の実施例1に係る自動問診システム1の動作を表すフローチャートである。
【0042】
まず,受診者側端末装置4は,タッチパネル8の画面上に,図6に示したような名前及び受診者IDの入力画面を表示する。受診者は,受診者側端末装置4において,タッチパネル8から名前と受診者IDを入力する(S1)。受診者側端末装置4は,入力された名前及び受診者IDを,管理サーバ2に送信する。尚,受診者IDについては必須ではない。」

エ 図6


オ 「【0043】
管理サーバ2は,名前及び受診者IDに基づいて,受診者を特定し,その受診者に対して行う問診の問診対話シナリオの種類(例えば,「ストレスチェック」,「健康調査票」,「HAD尺度」,「TAS−20」等)を受診者側端末装置4に送信する。受診者側端末装置4の質問群選択部16は,タッチパネル8の画面上に,図7に示したような問診票の選択画面を表示する。受診者は,この選択画面から,問診を受ける問診票(質問群)を選択する(S2)。問診票が選択されると,受診者側端末装置4は次のステップS3の動作に移る。ここで,問診票が選択されるまで待つか,または「名前の入力に戻る」が選択された場合,受診者側端末装置4は問診票の選択画面を閉じて,ステップS1に戻る。」

カ 図7


キ 「【0044】
選択された問診票(質問群)の特定情報を受信すると,受診者側端末装置4のガイド出力部22は,まず,問診の進め方を説明するガイド文を,音声出力部14に出力し,音声出力部14は当該ガイド文をスピーカ6により受診者に発話出力する(S3)。これにより,受診者は,自動問診システム1の操作方法を理解することができる。
【0045】
この「ガイド文」としては,例えば,「(ストレスチェック)を始めます。これから(13)個の質問をしますので,(あてはまる,あてはまらない,どちらともいえない,)どれか一つでお答えください。答えをこちらで繰り返しますので,答えが違っていた場合は,マイクに向かって『前に戻る』というか,タッチパネルの『前に戻る』ボタンを押してください。それでは始めます。」のような文が出力される。上記ガイド文において,( )で囲まれた部分は,質問群に応じて適宜変更される箇所である。
【0046】
次に,質問読出部17は,ネットワーク5を介して,質問情報記憶部11に記憶された質問情報を質問情報レコード群から順次読み出す。この場合,質問群が特定されているので,その特定された質問群に属する質問情報レコードを,質問IDの小さい順から読み出していく。そして,質問読出部17は,音声出力部14によりスピーカ6から,読み出した質問情報レコードの質問文を発話出力するとともに,該質問情報レコードの想定回答に基づいてタッチパネル8に図8や図9に示すような質問ガイドを表示する(S4)。」

ク 図8


ケ 図9


コ 「【0047】
ここで,質問文は,受診者に対して複数の選択肢から選択回答を求めるような質問文であり,受診者は,提示された選択肢から1つの選択肢を選択して回答する。選択肢は2以上あり,例えば,選択肢が2つの場合にはタッチパネル8には図8のような画面表示がされ,選択肢が3つの場合にはタッチパネル8には図9のような画面表示がされる。
【0048】
図8,図9において,画面表示の上部枠には質問文(例えば,図8では「神経質な方ですか,人からそういわれますか。」と表示された部分)が表示され,中央部には選択肢として選択可能な回答文(例えば,図8では「はい」「いいえ」が表示された部分)と選択ボタン(例えば,図8では「はい」「いいえ」と囲む円形のボタン)が表示される。受診者がこれらの選択ボタンを指で触れることで,質問文に対する回答がタッチパネル8に入力されることになる。一方,スピーカ6からも同じ質問文(例えば,図8では「神経質な方ですか,人からそういわれますか。」という質問文)が発話されるため,視力の弱い受診者にも質問内容を伝達することができる。受診者は,質問文に対して,マイク7から声により選択肢を入力することも可能である。
【0049】
更に,画面表示の下部には,割込制御指示文(例えば,図8,図9では「前に戻る」「質問をきく」「最初から」の文)と割込制御指示ボタン(例えば,図8,図9では「前に戻る」「質問をきく」「最初から」の文を囲む帯直円形のボタン)が表示される。例えば,図8,図9において,受診者が割込制御指示ボタンを指で触れることで,割り込み制御指示がタッチパネル8に入力されることになる。
【0050】
次に,回答判別部18は,受診者から質問文に対する回答が入力されるのを待ち,回答が入力されるとその内容の判別を行う(S5)。尚,マイク7から回答が入力された場合には,音声認識部15が入力された音声をテキスト形式に変換し,回答判別部18に入力し,回答判別部18はその回答文に特定のキーワードが含まれるか否かを判定することで判別を行う。
【0051】
回答判別部18は,回答が質問文に対して想定された想定回答であった場合には,その回答内容に従って,ステップS6,S7,S8の何れかに遷移する。
【0052】
想定回答の内容が肯定(「はい」)の場合,回答保存部19は,ネットワーク5を介して問診結果保存部19の問診結果テーブルに,新規レコードを作成し,そのレコードに新たな問診結果IDを格納し,受診者ID,質問IDとともに肯定(「はい」)を表す回答番号(この場合は「1」)を格納する(S6)。想定回答の内容が否定(「いいえ」)の場合,回答保存部19は,ネットワーク5を介して問診結果保存部19の問診結果テーブルに,新規レコードを作成し,そのレコードに新たな問診結果IDを格納し,受診者ID,質問IDとともに否定(「いいえ」)を表す回答番号(この場合は「2」)を格納する(S7)。想定回答の内容が肯定・否定以外(「どちらともいえない」)の場合,回答保存部19は,ネットワーク5を介して問診結果保存部19の問診結果テーブルに,新規レコードを作成し,そのレコードに新たな問診結果IDを格納し,受診者ID,質問IDとともに不定(「どちらともいえない」)を表す回答番号(この場合は「3」)を格納する(S8)。
【0053】
ステップS6,S7,S8の後,この質問文が最終質問でなければ(S9),質問文読出部17は,次の質問を選択してステップS4の処理に戻る。一方,最終質問の場合(S9),ガイド出力部22は,質問が終了した旨のガイド文を音声出力部14を介してスピーカ6から出力すると共に,タッチパネル8の画面に図10に示したような終了画面を出力し(S11),処理を終了する。」

サ 図10


シ 「【0054】
ステップS5において,回答が割込制御指示であった場合には,その割込制御指示に応じた処理を行う。
【0055】
「質問をきく」の割込制御指示が入力された場合,同じ質問文を再度発話出力すべく,ステップS4に戻り,質問読出部17は音声出力部14を介して,スピーカ6から同じ質問文を発話出力する。
【0056】
「前に戻る」の割込制御指示が入力された場合,前回の質問文を出力すべく,質問読出部17は前回読み出した質問情報レコードを質問情報レコード群から読み出し(S13),ステップS4に戻り,質問読出部17は音声出力部14を介して,スピーカ6から前回の質問文を発話出力するとともに,前回の質問をタッチパネル8に画面出力する。
【0057】
「最初から」の割込制御指示が入力された場合,最初の質問文から出力すべく,質問読出部17は現在の質問群の最初の(質問IDが最も小さい)質問情報レコードを質問情報レコード群から読み出し(S14),ステップS4に戻り,質問読出部17は音声出力部14を介して,スピーカ6から最初の質問文を発話出力するとともに,最初の質問をタッチパネル8に画面出力する。
【0058】
ステップS5において,回答が想定回答,割込制御指示以外の想定外回答であった場合には,ガイド出力部22は,その質問文の選択肢の種別に応じて,ガイド情報記憶部21に記憶されたガイド情報を読み出し,当該ガイド情報を音声出力部14によりスピーカ6から発話出力する(S15)。そして,同じ質問文を再度発話出力すべく,ステップS4に戻り,質問読出部17は音声出力部14を介して,スピーカ6から同じ質問文を発話出力する。このように,質問文に対して受診者が想定外の応答をした場合,ガイド出力部22が,質問文に対する正しい選択回答を行うように誘導するためのガイド文を読み上げて,再度の応答を促すため,機械の使用を不得意とする受診者であっても,対話により問診に対する想定された回答を正しく選択するように誘導することが可能となり,問診結果の精度を高めることが可能となる。」

(2)引用文献8の記載事項

前置報告で周知技術を示すものとして引用された引用文献8には,図面とともに次の事項が記載されている。

ア 「【技術分野】
【0001】
本発明は,複数の入力装置と,当該入力装置に対してユーザが行った操作に基づいて所定の情報処理を行う情報処理装置とからなる情報処理システム,および,情報処理プログラムに関し,より特定的には,画面に表示された文字を読み上げる情報処理システム,および,情報処理プログラムに関する。

【背景技術】
【0002】
従来,画面に表示されるテキストを読み上げる文章読み上げ装置が存在していた(例えば,特許文献1)。このような文章読み上げ装置は,表示制御部を複数設け,1つのディスプレイ上に複数の文章を同時に表示する,読み上げ部は1つのみ設け,読み上げ部が文章の読み上げ中でないときは表示制御部からの読み上げ対象の作品の変更要求を受け付け,文章の読み上げ中は変更要求を拒否する。
【特許文献1】 特開平9−282137号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら,上述したような特許文献1に開示された読み上げ装置においては,2以上の文章が同時に読み上げられることがない。そのため,複数の文章を同時に表示可能であるにも関わらず,それらを同時に利用することができないという問題があった。例えば,複数のユーザが同時に利用すること等ができない。
【0004】
それ故に,本発明の目的は,複数のユーザが同時に,それぞれが所望する箇所の文字読み上げを行うことが可能な情報処理システムを提供することである。」

イ 図20


ウ 「【0099】
図20は,上記ステップS4で示した当たり判定処理の詳細を示すフローチャートである。図20において,まず,CPU10は,コントローラIDがnのコントローラ7(以下,単にコントローラnと呼ぶ。例えば,nが1の場合は,コントローラIDが「1」,すなわち,プレイヤ1のコントローラ7aを示す。)から送信されてくる操作データを取得する。そして,当該操作データに基づいて,当該コントローラnの指示位置,すなわち,ポインティング座標を算出する(ステップS31)。ここで,当該ポインティング座標の算出方法はどのようなものであってもよいが,例えば次に示す方法が考えられる。
【0100】
以下,ポインティング座標の算出方法の一例を説明する。コントローラnから取得される操作データには,上記マーカ座標を示すデータが含まれる。当該データは,マーカ8Lおよび8Rに対応する2つのマーカ座標(図8参照)を示すので,まずCPU10は,2つのマーカ座標の中点を算出する。この中点の位置は,撮像画像に対応する平面上の位置を表すための上記xy座標系によって表現される。次に,CPU10は,当該中点の位置を示す座標を,テレビ2の画面上の位置を表すための座標系(x’y’座標系とする)の座標に変換する。この変換は,ある撮像画像から算出される中点の座標を,当該撮像画像が撮像される時のコントローラnの実際の指示位置に対応する画面上の座標に変換する関数を用いて行うことができる。その際,コントローラnの指示位置と,撮像画像内でのマーカ座標の位置とは逆方向に移動することになるので,上下左右が反転するような変換を行う。以上のようにして算出されたx’y’座標値により示される値がコントローラnのポインティング座標となる。
【0101】
次に,CPU10は,コントローラデータ128にアクセスする。そして,算出したポインティング座標を,コントローラnのポインティング座標1282に格納する。更に,CPU10は,当該ポインティング座標1282で示される画面上の位置に,コントローラn用のカーソルオブジェクト(図9のカーソル102a,102bに相当)を配置する。
【0102】
次に,CPU10は,ポインティング座標1282で示される画面上の位置が,いずれかの当たり判定オブジェクト111の表示されている領域(但し,当たり判定オブジェクト111は透明色であるため,プレイヤは視認できない)内に含まれているか否かを判定する(ステップS32)。つまり,プレイヤがルビ付単語を指示しているか否かの判定を行う。当該判定は,例えば,当たり判定オブジェクト111の座標をスクリーン座標へ変換した値で示される画面上の領域内に,当該ポインティング座標1282が含まれているか否かで判定する。つまり,2次元座標系で,ポインティング座標1282と当たり判定オブジェクト111との当たり判定が行われる。上述した図10の画面を例にとると,プレイヤ1のポインティング座標は,「実力」という単語の表示領域に重ねられている当たり判定オブジェクト111に含まれている。また,プレイヤ2のポインティング座標は,「隠す」という単語の表示領域に重ねられている当たり判定オブジェクト111に含まれている。
【0103】
当該判定の結果,コントローラnの指示位置が,いずれかの当たり判定オブジェクト111の表示領域内に含まれているときは(ステップS32でYES),CPU10は,直前の処理ループ(1フレーム前における処理ループ)において指示されていた当たり判定オブジェクトとは異なる当たり判定オブジェクトが指示されているか否かを判定する(ステップS33)。これは,異なる読みの単語(複数の当たり判定オブジェクト111)が密接して表示されているような場合に,直前のフレームと今回のフレームとで,読みが異なる単語を指示したか否かを判定するためである。つまり,コントローラnの指示位置が,いずれかの当たり判定オブジェクト111の領域内に含まれている状態を維持しつつ,別の単語が指示されたか否かを判定するものである。この判定の結果,異なる単語が指示されていなければ(ステップS33でNO),CPU10は,コントローラデータ128にアクセスし,当該コントローラnの送信済みフラグ1283がオンであるか否かを判定する(ステップS34)。例えば,n=1の場合は,コントローラ7a(コントローラIDは「1」)から送信された操作データに基づくポインティング座標1282,つまり,プレイヤ1のポインティング座標1282が当たり判定オブジェクト111の表示領域内に含まれていれば,CPU10は,コントローラデータ128からコントローラIDが「1」のデータを検索する。そして,検索したデータの送信済みフラグ1283がオンであるか否かを判定する。
【0104】
上記ステップS34の判定の結果,送信済みフラグ1283がオンのときは(ステップS34でYES),CPU10は,当たり判定処理を終了する,一方,送信済みフラグ1283がオンではないときは(ステップS34でNO),まだ音声データの生成および送信が行われていないことになる。そのため,CPU10は,次に,読み仮名の音声データを生成してコントローラnに送信するための音声データ送信処理を行う(ステップS39)。
【0105】
一方,上記ステップS33の判定で,別の当たり判定オブジェクト111が指示されたときは(ステップS33でYES),送信済みフラグをオフに設定したうえで(ステップS40),ステップS34の処理に進む。その結果,ステップS34においてNOと判定され,新たに指示された単語の読み仮名についての音声データ送信処理が行われることになる。」

第5 対比・判断

1 本願発明1について

(1)対比

本願発明1と引用発明とを対比すると,次のことが認められる。

ア 引用発明は,「マニュアルのウェブページは,各種の操作項目をリスト表示したメニューの画面であり,冊子のマニュアル(操作説明書)の目次や索引に対応する画面であり,」「家電端末装置は,このメニュー画面を受信してディスプレイに表示し,利用者によってカーソルキーやトラックボールなどの選択手段が操作され,所望の項目が選択されると,その項目に対するリンク情報(選択情報)をサーバ装置1に対して送信し」ているとされている。

ここで,引用発明の「冊子のマニュアル(操作説明書)の目次や索引に対応する画面であ」る「各種の操作項目をリスト表示したメニューの画面」における「各種の操作項目」は,本願発明1の「文字列からなる複数の選択肢」に相当する。

また,引用発明の「利用者によってカーソルキーやトラックボールなどの選択手段が操作され,所望の項目が選択される」ことは,本願発明1の「1つの選択肢を選択する指示を受け付け」ることに相当する。

さらに,引用発明の「マニュアルのウェブページ」において,「利用者によってカーソルキーやトラックボールなどの選択手段が操作され,所望の項目が選択されると,その項目に対するリンク情報(選択情報)をサーバ装置1に対して送信」される「リンク情報(選択情報)」は,URLとして表記される英数字列から構成されるテキストデータであることは当業者にとって明らかであるから,引用発明の「所望の項目が選択されると,その項目に対するリンク情報(選択情報)」と,本願発明1の「1つの選択肢の文字列をカナにしたテキストデータ」とは,「1つの選択肢の文字列」に対応する「テキストデータ」である点で共通しているといえる。

そして,引用発明の「家電端末装置」が,「項目に対するリンク情報(選択情報)をサーバ装置1に対して送信」すると,「サーバ装置1はこのリンク情報でリンクされているコマンドを家電端末装置に対して送信」していることから,「項目に対するリンク情報(選択情報)」は,「サーバ装置1」に対して,「リンク情報でリンクされているコマンドを家電端末装置に対して送信」するように指示する命令であるといえるから,引用発明の「家電端末装置」も,本願発明1の「装置」と同様に,「テキストデータをユーザに選択された命令として送信」しているといえる。

また,引用発明は,「家電端末装置」と「サーバ装置1」とが,「ホームゲートウェイ装置3」「インターネット2」を介して相互に「接続されて」構成される「家電制御システム」であり,ネットワークで相互接続されたシステムであるといえるから,引用発明の「家電制御システム」も,本願発明1と同様に,「装置」「を備えるネットワークシステム」であるといえる。

したがって,本願発明1と引用発明とは,「文字列からなる複数の選択肢から少なくとも1つの選択肢を選択する指示を受け付けて,当該少なくとも1つの選択肢の文字列」に対応する「テキストデータをユーザに選択された命令として送信する装置」「を備えるネットワークシステム」である点で共通しているといえる。

しかし,本願発明1では,「ユーザに選択された命令として送信する」「1つの選択肢の文字列」に対応する「テキストデータ」が「選択肢の文字列を」「カナにした」ものであるのに対して,引用発明の「リンク情報(選択情報)」は,「選択肢の文字列を」「カナにした」ものではない点で相違している。

イ 引用発明において,「サーバ装置1はこのリンク情報でリンクされているコマンドを家電端末装置に対して送信し,このコマンドを受信した家電端末装置は,このコマンドに基づいて,プログラム領域に記憶しているプログラムを実行し,」「サーバ装置では,要求されたコマンドを送信したのち,どの機種からどのコマンドが要求されたかのログを記録し」ているとされている。

ここで,引用発明の「家電端末装置」および「サーバ装置」は,それぞれ,本願発明1の「装置」および「サーバ」に対応する。

したがって,引用発明の「サーバ装置」も,本願発明1の「サーバ」と同様に,「装置の実行中のコマンドを格納し」ているといえる。

ウ 引用発明において,「サーバ装置1はインターネット2に接続されており,インターネット2を介して家電端末装置から送信されてくる選択情報に応じてウェブページやコマンドを送信しており,」「マニュアルのウェブページは,各種の操作項目をリスト表示したメニューの画面であり,冊子のマニュアル(操作説明書)の目次や索引に対応する画面であ」るとされている。

ここで,引用発明の「各種の操作項目をリスト表示したメニューの画面」における「各種の操作項目」は,本願発明1の「複数の選択肢」に対応する。

また,ウェブページは,一般にHTML等のテキストデータで記述されていることは技術常識であるから,引用発明の「マニュアルのウェブページ」である「各種の操作項目をリスト表示したメニューの画面」も,HTML等のテキストデータで記述されているといえる。

したがって,引用発明の「サーバ装置」も,本願発明1の「サーバ」と同様に,「複数の選択肢として」「文字列からなる複数のテキストデータを前記装置に送信し」ているといえる。

エ 「家電端末装置は,このメニュー画面を受信してディスプレイに表示し,利用者によってカーソルキーやトラックボールなどの選択手段が操作され,所望の項目が選択されると,その項目に対するリンク情報(選択情報)をサーバ装置1に対して送信し,これに対応してサーバ装置1はこのリンク情報でリンクされているコマンドを家電端末装置に対して送信」しているとされている。

ここで,上記アで述べたように,引用発明の「所望の項目が選択されると,その項目に対するリンク情報(選択情報)」と,本願発明1の「1つの選択肢の文字列をカナにしたテキストデータ」とは,「1つの選択肢の文字列」に対応する「テキストデータ」である点で共通しているから,引用発明の「サーバ装置」も,本願発明1の「サーバ」と同様に,「前記装置から」「テキストデータを受信して」いるといえる。

また,引用発明の「サーバ装置」が「リンク情報でリンクされているコマンドを家電端末装置に対して送信」していることは,本願発明1の「サーバ」が「テキストデータに対応する処理を行う」に対応するといえる。

したがって,引用発明の「サーバ装置」も,本願発明1の「サーバ」と同様に,「前記装置から」「テキストデータを受信して」「当該」「テキストデータに対応する処理を行」っているといえる。

しかし,本願発明1の「サーバ」は,「テキストデータに対応する処理を行う」際に,「前記装置が実行中のコマンドに基づいて」いるのに対し,引用発明の「サーバ装置」は,(家電端末)装置が実行中のコマンドに基づいているのか否か明らかでない点で相違している。

(2)一致点・相違点

本願発明1と,引用発明とは,以下アの点で一致し,以下イの点で相違する。

ア 一致点

「文字列からなる複数の選択肢から少なくとも1つの選択肢を選択する指示を受け付けて,当該少なくとも1つの選択肢の文字列に対応するテキストデータをユーザに選択された命令として送信する装置と,
前記装置の実行中のコマンドを格納し,前記複数の選択肢として前記文字列からなる複数のテキストデータを前記装置に送信し,前記装置から前記テキストデータを受信して当該テキストデータに対応する処理を行うためのサーバと,を備えるネットワークシステム。」

イ 相違点

(ア) 相違点1

本願発明1では,「ユーザに選択された命令として送信する」「1つの選択肢の文字列」に対応する「テキストデータ」が「選択肢の文字列を」「カナにした」ものであるのに対して,引用発明の「リンク情報(選択情報)」は,「選択肢の文字列を」「カナにした」ものではない点。

(イ) 相違点2

本願発明1の「サーバ」は,「テキストデータに対応する処理を行う」際に,「前記装置が実行中のコマンドに基づいて」いるのに対し,引用発明の「サーバ装置」は,(家電端末)装置が実行中のコマンドに基づいているのか否か明らかでない点。

(3)相違点についての判断

ア 本願発明1の相違点1に係る「ユーザに選択された命令として送信する」「1つの選択肢の文字列」に対応する「テキストデータ」を「選択肢の文字列を」「カナにした」ものとする構成について,引用文献1ないし8には,いずれも,記載も示唆も無く,当該構成が周知であったとも認められない。

イ 特に,拒絶査定において,相違点1にかかる構成に関するものとして提示された引用文献5には,上記第4の2(4)ウで示したように,「送信者は,携帯電話1のテンキーなどの操作子を操作して文字を入力し,携帯電話1はその入力された文字を順次ディスプレイに表示する。必要に応じて,平仮名をカタカナや漢字に変換し,メッセージが作成され」ることは記載されているものの,人間が読み書きするメッセージを必要に応じて,平仮名やカタカナに変換することが開示されているにとどまり,「ユーザに選択された命令として送信する」「1つの選択肢の文字列」に対応する「テキストデータ」を「選択肢の文字列を」「カナにした」ものとする点について,記載も示唆も無い。

ウ 同様に,拒絶査定において,相違点1にかかる構成に関するものとして提示された引用文献6には,上記第4の2(5)オで示したように,「メッセージに対して,縮小ルールとして,全角かな英数字の対応半角文字への置換,空白行の削除,「株式会社」「TEL:」「FAX:」等の特定の用語の対応する特殊1文字への置換,飾り文字の削減,を適用した結果を示す。この例では,ひらがなの半角文字を持たないために,全角ひらがなは対応する半角カタカナに置換されている。しかし,ひらがなの半角文字を持つ場合には,当然ながら全角ひらがなは半角ひらがなに置換することができる。このような縮小処理により,メッセージのデータ量をかなり縮小することができ,上限メール容量に納めることが容易となる。この例では,783バイトから470バイトへデータ量が縮小されている。」と記載されており,人間が読み書きするメッセージのデータ量を削減するために,「全角ひらがな」を「対応する半角カタカナに置換」することが開示されているにとどまり,「ユーザに選択された命令として送信する」「1つの選択肢の文字列」に対応する「テキストデータ」を「選択肢の文字列を」「カナにした」ものとする点について,記載も示唆も無い。

一方,引用発明の「所望の項目が選択され」た際に,「サーバ装置1に対して送信」される「その項目に対するリンク情報(選択情報)」は,HTMLで記述されたウェブページに埋め込まれたURLであることは,当業者にとって明らかであり,URLは,一般に,英数字からなるテキストデータで構成されている。

ここで,URLとして,ひらがなやカタカナなどの仮名文字を含めて記述することは可能であるが,そのようなURLにおける,ひらがなやカタカナなどの仮名文字の文字コードは,制御コードと重複することとなり,そのままURLとして送信することができないため,端末からサーバへ送信される際に,URLエンコード処理がされ,「%」記号で始まる半角英数字からなるテキストデータに変換されることが技術常識である。たとえば,「あ」という文字は「%E3%81%82」というURLコードに変換される。

すると,データ量を削減することを目的とした引用文献6に接した当業者は,仮に,引用文献6に記載された事項をデータ量削減を目的として引用発明に適用し,引用発明の「所望の項目が選択され」た際に,「サーバ装置1に対して送信」される「その項目に対するリンク情報(選択情報)」において,HTMLで記述されたウェブページに埋め込まれたURLとして,ひらがなやカタカナなどの仮名文字の文字コードを用いると,一般的な英数字列からなるテキストデータをURLとして用いる場合と比べて,かえってデータ量が増大してしまい,データ量削減という効果を奏し得ないと理解できる。

したがって,引用発明および引用文献6に基づいて,当業者は本願発明1の相違点1に係る構成を想到することには,阻害事由があるといえる。

エ 小括

したがって,上記相違点2について判断するまでもなく,本願発明1は,引用発明および引用文献2ないし8に基づいて,当業者が容易に発明できたものであるとはいえない。

2 本願発明2ないし本願発明4について

本願発明2ないし本願発明4は,いずれも,本願発明1を減縮したものであって,本願発明1と同一の構成を備えるものであるから,本願発明1と同じ理由により,引用発明および引用文献2ないし8に基づいて,当業者が容易に発明できたものであるとはいえない。

3 本願発明5について

本願発明5は,概ね,本願発明1の発明のカテゴリを,単に,システムの発明から方法の発明へと変更したものであり,上記相違点1に係る構成と同様の以下の構成を備えているから,本願発明1と同様に,引用発明および引用文献2ないし8に基づいて,当業者が容易に発明できたものであるとはいえない。

「前記装置が,前記少なくとも1つの選択肢の文字列をカナにしたテキストデータをユーザに選択された命令として前記サーバに送信するステップと,
前記サーバが,前記装置から前記カナのテキストデータを受信して,前記装置が実行中のコマンドに基づいて当該カナのテキストデータに対応する処理を行うステップ」


第6 原査定について

令和3年3月23日の補正により,本願発明1ないし本願発明5は,いずれも,「1つの選択肢に対応する少なくとも1つのテキストデータ」を
「1つの選択肢の文字列をカナにしたテキストデータ」と限定していることから,当該補正後の本願発明1ないし本願発明5は,原査定において引用された引用文献1に記載された発明および引用文献2ないし6に記載された周知技術等に基いて,当業者が容易に発明できたものであるとはいえない。

したがって,原査定の理由(進歩性)は,維持することはできない。

第7 むすび

以上のとおり,原査定の理由によっては,本願を拒絶することはできない。
また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。

 
審決日 2022-05-10 
出願番号 P2017-168261
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G06F)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 ▲吉▼田 耕一
特許庁審判官 林 毅
野崎 大進
発明の名称 ネットワークシステム、情報処理方法、サーバ、および装置  
代理人 山内 聡  

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