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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06K
管理番号 1385045
総通号数
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2022-06-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-09-09 
確定日 2022-06-07 
事件の表示 特願2018−533685「極低温ストローおよび凍結保存された標本を識別するためのシステム」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 6月29日国際公開、WO2017/109153、平成31年 2月21日国内公表、特表2019−505042、請求項の数(12)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2016年(平成28年)12月23日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2015年12月23日、欧州特許庁)を国際出願日とする出願であって、令和2年11月9日付けで拒絶理由通知がされ、令和3年2月17日付けで手続補正がされ、令和3年4月28日付けで拒絶査定(原査定)がされ、これに対し、令和3年9月9日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正がされ、令和3年12月22日に前置報告がされ、令和4年1月20日に上申書が提出されたものである。

第2 原査定の概要
原査定(令和3年4月28日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

1.本願請求項1−13に係る発明は、以下の引用文献1、2に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
1.特開2013−114587号公報
2.特開2011−041201号公報

第3 審判請求時の補正について
審判請求時の補正は、特許法第17条の2第3項から第6項までの要件に違反しているものとはいえない。
審判請求時の補正によって請求項1に「前記極低温ストローの長手方向において延在し、」という事項を追加する補正は、補正前の請求項1の発明特定事項である「アンテナ」を限定的に減縮するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、また、補正後の請求項1の「前記極低温ストローは、密閉状態で摺動可能に前記極低温ストローの内部に係合する密閉要素をさらに含み、前記集積回路は前記密閉要素に埋め込まれている、」という事項は、補正前の請求項2で特定されていた事項であるから、補正後の請求項1は補正前の請求項2に対応するものであり、審判請求時の補正によって補正前の請求項1を削除したものとみることができるから、請求項の削除を目的とするものである。
また、「前記極低温ストローの長手方向において延在し、」という事項は、当初明細書の段落0025及び図6に記載されており、「前記極低温ストローは、密閉状態で摺動可能に前記極低温ストローの内部に係合する密閉要素をさらに含み、前記集積回路は前記密閉要素に埋め込まれている、」という事項は、当初明細書の段落0043及び図6に記載されているから、当初明細書等に記載された事項であり、新規事項を追加するものではないといえる。
そして、「第4 本願発明」から「第6 対比・判断」までに示すように、補正後の請求項1−12に係る発明は、独立特許要件を満たすものである。

第4 本願発明
本願請求項1−12に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」−「本願発明12」という。)は、令和3年9月9日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1−12に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1は以下のとおりの発明である。

「 【請求項1】
無線周波数識別システムを含む極低温ストローであって、
前記無線周波数識別システムは、
− 情報を格納し、かつ、30MHz〜3GHzの周波数範囲の無線周波数信号を生成するよう構成された、少なくとも1つの集積回路、および、
− 導電糸を含む少なくとも1つのアンテナを含み、
− 前記少なくとも1つのアンテナは極低温ストローの側壁に一体化(例えばモールド成型)され、前記極低温ストローの長手方向において延在し、
− 前記少なくとも1つのアンテナは前記少なくとも1つの集積回路に対して電磁的に、ワイヤレスで接続され、
前記極低温ストローは、密閉状態で摺動可能に前記極低温ストローの内部に係合する密閉要素をさらに含み、前記集積回路は前記密閉要素に埋め込まれている、極低温ストロー。」

また、本願発明2−12は、本願発明1を減縮した発明である。

第5 引用文献、引用発明等
1.引用文献1について
(1)原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1(特開2013−114587号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている。(下線は当審で付加したものである。以下同様。)

ア 「【0018】
本発明のRFIDタグ付き医療用品は次のような効果がある。
(1)物体を特定するための特定情報(ID)が記憶されたICチップを備えたRFIDタグが取付けられているため、医療用品を正確に識別でき、従前のような記載ミスやバーコードラベルの貼り間違え等による作業ミスが発生しない。また、判読困難、判読不能となることもなく、医療用品の取り扱い間違いや使用間違い等を防止することができる。
(2)医療用品に取付けたRFIDタグを防液構造にすれば、水濡れや薬液濡れなどによる損傷がなく、リーダによる読み取り違いもなく、医療用品の取り扱い間違いや使用間違いを防止することができる。
(3)医療用品の容器や包装に太陽電池を取付ければ、その太陽電池で発電された電気を電源としてアクティブ型、セミアクティブ型のRFIDタグを駆動することもできる。
(4)医療用品の容器や包装に温度センサを設け、その温度センサで検知された温度をICチップに記憶させて、冷蔵保存或いは冷凍保存が必要な医療用品が冷蔵或いは冷凍で保存されていたか否かをトレーサビリティすることもできる、所定品質の医療用品を必要部署に搬送することができる。」

イ 「【0022】
(RFIDタグ付き医療用品の実施形態)
本発明のRFIDタグ付き医療用品の実施形態の一例を図5(a)〜(d)を参照して説明する。本発明における医療用品は、検体が収容された検体入り容器、血液が充填された血液パック、点滴用栄養剤等が充填された点滴パック、医薬品が包装された包装医薬品、検体検査に使用されるプレパラート、スライドガラス、カバーガラス、シャーレ、血液検査に使用される試験管、注射器、手術用の鋏、ガーゼ、採取した検体や血液等を収容する空容器といった医療に関連する各種用品の全てを含む。
【0023】
医療用品の一例として図1(a)、(b)に示すものは、採取した検体が容器1に収容された医療用品2であり、容器1は樹脂製或いはガラス製といった各種材質製の上面開口の容器本体3とその開口部を閉塞する蓋4を備える。蓋4は前記開口部を閉塞できるものであればネジ式でも他の方式でもよい。
【0024】
図1(a)、(b)は容器本体3の外周にケース入りRFIDタグ13を取付けたものである。このケース入りRFIDタグ13は図4(a)に示すRFIDタグ5が、図5(a)〜(d)に示す粒状、チューブ状のケース12内に収容されているものである。
【0025】
RFIDタグ5の一例として図4(a)に示すものは、糸6の表面に導電塗料を印刷とか金属メッキなどで細長に設けた二本のアンテナ(ダイポールアンテナ)7にICチップ8を接続したものである。アンテナ7は細長の絶縁性フィルムや紙の表面に導電材を細長に設けたものであっても、金属細線であってもよい。アンテナ7の長さはRFIDタグ5のICチップ8とリーダとの無線通信に使用される電波の周波数に応じて設計することができる。小型化の面からは幅0.2mm〜1mm、長さ数mm〜数10mm程度が適する。ICチップ8には超小型のものが適し、例えば0.4mm×0.4mm程度のものが適する。使用周波数帯としては、RFIDタグで使用されている各種周波数帯が使用可能であるが、2.45GHz〜5.8GHzのマイクロ波帯が適する。」

ウ 「【0032】
医療用品2へのRFIDタグ5の取付けは接着剤や両面テープなどによる貼り付け等の各種取付け手段によることができるが、医療用品2の容器に埋め込むこともできる。容器が樹脂製或いはガラス製といった成型品の場合は図8のように容器1の成型時に容器1の周壁にRFIDタグ5を埋め込んで成型するとか、成型時に容器1に穴や窪み等の収容部を成しておきその収容部にRFIDタグ5を収容して密封したりすることができる。取付けるRFIDタグ5の形状は、図5(a)、(b)のようなものでもよく、取付箇所は他の箇所、例えば底面に取付けることもできる。」


エ 「図1



オ 「図4



カ 「図5



キ 「図8



(2)引用発明
引用文献1の上記記載について検討する。

ア 上記(1)イの段落0023の「医療用品の一例として図1(a)、(b)に示すものは、採取した検体が容器1に収容された医療用品2であり、容器1は樹脂製或いはガラス製といった各種材質製の上面開口の容器本体3とその開口部を閉塞する蓋4を備える。蓋4は前記開口部を閉塞できるものであればネジ式でも他の方式でもよい。」との記載、及び上記(1)エに摘記した図1の記載から、引用文献1には、“採取した検体が容器1に収容された医療用品2における容器1であって、前記容器1は樹脂製或いはガラス製といった各種材質製の上面開口の容器本体3とその開口部を閉塞する蓋4を備え、前記蓋4は前記開口部を閉塞できるものであればよ”いことが記載されていると認められる。

イ 上記(1)イの段落0025の「RFIDタグ5の一例として図4(a)に示すものは、糸6の表面に導電塗料を印刷とか金属メッキなどで細長に設けた二本のアンテナ(ダイポールアンテナ)7にICチップ8を接続したものである。」との記載、及び上記(1)オに摘記した図4の記載から、引用文献1には、“RFIDタグ5は、糸6の表面に導電塗料を印刷又は金属メッキなどで細長に設けた二本のアンテナ(ダイポールアンテナ)7にICチップ8を接続したものであ”ることが記載されていると認められる。

ウ 上記(1)イの段落0024の「図1(a)、(b)は容器本体3の外周にケース入りRFIDタグ13を取付けたものである。このケース入りRFIDタグ13は図4(a)に示すRFIDタグ5が、図5(a)〜(d)に示す粒状、チューブ状のケース12内に収容されているものである。」との記載、上記(1)エに摘記した図1の記載、上記(1)オに摘記した図4の記載、及び上記(1)カに摘記した図5(c)、(d)の記載から、引用文献1には、“RFIDタグ5がチューブ状のケース12内に収容されているケース入りRFIDタグ13を容器本体3の外周に取付け”ることが記載されていると認められる。
ここで、図4(a)のRFIDタグ5の構造からみて、RFIDタグ5のアンテナ7は、RFIDタグ5の長尺方向に延びているものであるから、これをチューブ状のケース12内に収容した「ケース入りRFIDタグ13」においても、アンテナ7は、「ケース入りRFIDタグ13」の長尺方向に延びているといえる。そして、図1(b)の記載から、容器1の長手方向に「ケース入りRFIDタグ13」が延在していることが読み取れるから、上記の検討も合わせると、「RFIDタグ5のアンテナ7は、容器1の長手方向に延在している」といえる。
したがって、引用文献1には、“RFIDタグ5がチューブ状のケース12内に収容されているケース入りRFIDタグ13を容器本体3の外周に取付け、その際、RFIDタグ5のアンテナ7は、容器1の長手方向に延在して”いることが記載されていると認められる。

エ 上記(1)アの段落0018の「医療用品の容器や包装に温度センサを設け、その温度センサで検知された温度をICチップに記憶させて、冷蔵保存或いは冷凍保存が必要な医療用品が冷蔵或いは冷凍で保存されていたか否かをトレーサビリティすることもできる」との記載、及び上記(1)イの段落0023の「採取した検体が容器1に収容された医療用品2」との記載から、引用文献1には、“採取した検体が容器1に収容された医療用品2は、冷蔵保存或いは冷凍保存が必要な場合もあ”ることが記載されていると認められる。

オ 上記(1)イの段落0025の「使用周波数帯としては、RFIDタグで使用されている各種周波数帯が使用可能であるが、2.45GHz〜5.8GHzのマイクロ波帯が適する。」との記載から、引用文献1には、“使用周波数帯としては、RFIDタグで使用されている各種周波数帯が使用可能であり、2.45GHz〜5.8GHzのマイクロ波帯が適して”いることが記載されていると認められる。

カ 上記(1)ウの段落0032の「医療用品2へのRFIDタグ5の取付けは接着剤や両面テープなどによる貼り付け等の各種取付け手段によることができるが、医療用品2の容器に埋め込むこともできる。容器が樹脂製或いはガラス製といった成型品の場合は図8のように容器1の成型時に容器1の周壁にRFIDタグ5を埋め込んで成型するとか、成型時に容器1に穴や窪み等の収容部を成しておきその収容部にRFIDタグ5を収容して密封したりすることができる。」との記載、及び上記(1)キに摘記した図8の記載から、引用文献1には、“医療用品2へのRFIDタグ5の取付けは、医療用品2の容器1に埋め込むこともでき、容器1が樹脂製或いはガラス製といった成型品の場合は、容器1の成型時に容器1の周壁にRFIDタグ5を埋め込んで成型することができる”ことが記載されていると認められる。

キ 上記ア〜カの検討から、上記引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「採取した検体が容器1に収容された医療用品2における容器1であって、(段落0023、図1)
前記容器1は樹脂製或いはガラス製といった各種材質製の上面開口の容器本体3とその開口部を閉塞する蓋4を備え、(段落0023、図1)
前記蓋4は前記開口部を閉塞できるものであればよく、(段落0023、図1)
RFIDタグ5は、糸6の表面に導電塗料を印刷又は金属メッキなどで細長に設けた二本のアンテナ(ダイポールアンテナ)7にICチップ8を接続したものであり、(段落0025、図4)
RFIDタグ5がチューブ状のケース12内に収容されているケース入りRFIDタグ13を容器本体3の外周に取付け、その際、RFIDタグ5のアンテナ7は、容器1の長手方向に延在しており、(段落0024、図1、図4、図5)
採取した検体が容器1に収容された医療用品2は、冷蔵保存或いは冷凍保存が必要な場合もあり、(段落0018、0023)
使用周波数帯としては、RFIDタグで使用されている各種周波数帯が使用可能であり、2.45GHz〜5.8GHzのマイクロ波帯が適しており、(段落0025)
医療用品2へのRFIDタグ5の取付けは、医療用品2の容器1に埋め込むこともでき、容器1が樹脂製或いはガラス製といった成型品の場合は、容器1の成型時に容器1の周壁にRFIDタグ5を埋め込んで成型することができる(段落0032、図8)
容器1。」

2.引用文献2について
(1)原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2(特開2011−041201号公報)には、次の事項が記載されている。(下線は当審で付加したものである。以下同様。)

ア 「【0012】
本発明の非接触通信部内蔵型金属製筐体によれば、金属製の表装材が外周面を形成するとともに、内部に収納空間が形成された金属製の筐体と、前記収納空間内に配置され、ICチップおよびアンテナを具備してなる非接触通信部とを備えた非接触通信部内蔵型金属製筐体であって、前記アンテナから延出させた導電体が、前記筐体の内部から前記筐体の外部まで延在し、前記導電体と前記筐体が対向する部分には、前記導電体と前記筐体の間に絶縁基材が介在しているので、導電体の筐体から突出した部分がアンテナの延長部として機能するから、金属製の筐体の収納空間内に非接触通信部を配置したまま、導電体の筐体から突出した部分を介して、非接触通信部のICチップに対する情報の読取りまたは書込みを行うことができる。」

イ 「【0042】
また、この実施形態では、アンテナ23を構成する放射素子24の一方と連続して、導電体13が設けられた場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、図4に示すように、非接触型ICタグ12の一端部の外周に、導電体34が巻き付けられて、放射素子24の一端部に導電体34の一端部が対向するように配置され、導電体34の他端側が、筐体11の内部から筐体11の外部まで延在するように配置されていてもよい。」

ウ 「図2



エ 「図4




オ 上記ア〜エの記載から、引用文献2には、「非接触型ICタグ12の放射素子24の一端部に導電体34の一端部が対向するように配置され、導電体34の他端側が、筐体11の内部から筐体11の外部まで延在するように配置されることで、金属製の筐体の収納空間内に非接触通信部を配置したまま、導電体の筐体から突出した部分を介して、非接触通信部のICチップに対する情報の読取りまたは書込みを行うことができること。」との技術的事項が記載されている。

3.引用文献3について
(1)前置報告書において引用された引用文献3(米国特許出願公開第2008/220507号明細書)には、次の事項が記載されている。(下線は当審で付加したものである。以下同様。)

ア 「[0109] The ballast weight is a slug 24 having a first portion 25 with a round section and a second portion 26 crushed to an oval section. A portion of the section 26 delimited by the surface 27 projects relative to the portion 25. This slug is made from a material of greater density than the cryogenic liquid agent, metal in the example shown.
[0110] The oval cross section portion 26 has a maximum transverse dimension slightly greater than the inside diameter Di of the thin tube 6 in order for the projecting portion, during the operation of introduction of the slug 24 into the sheathing 2, to come to bear against the internal surface of the thin tube 6, deforming the thin tube 6 locally to act like a positioning brake and to retain the slug 24 by preventing any unintentional sliding movement of that slug under its own weight inside the thin tube 6.
[0111] The operation of introduction of the slug 24 into the thin tube 6 is described next with the aid of FIGS. 10 and 11.
[0112] The slug 24 is introduced into the thin tube 6 before the weld 10 is executed, with a gap remaining between the ballast weight 24 and the end 9 of the tube 6.
[0113] Once the slug has been introduced, the weld 10 is produced in the end portion of the thin tube 6 situated between the end 9 and the slug 24.
[0114] The slug is then pushed by means of a rod (not represented in the figures) introduced via the end 8 so that it comes to abut against the weld 10 of the thin tube 6 as shown in FIG. 10.
[0115] The slug 24 has dimensions such that it can abut against the weld 10 in the space situated between the end 22 of the support 3 (once this has been introduced into the sheathing and placed in position with the aid of the pusher member 4) and the weld 10 with a gap remaining between it and the end 22.
[0116] In this example, the ballast weight has a length L4 of 10 mm, the gap between the end 21 of the support 3 and the adjacent end 8 of the tube 6 is 8 mm, and the gap between the opposite end 22 of the support 3 and the ballast weight 24 is 5 mm.
[0117] This ballast weight tends to cause the sealed sheathing to be immersed vertically in the liquid nitrogen, thus preventing air trapped in the sheathing and causing it to float on the surface of the liquid nitrogen.
[0118] The sheathing is therefore surrounded very quickly and over the whole of its surface with liquid nitrogen, and the biological substance is then vitrified homogeneously and quasi-instantaneously.
[0119] The ballast weight situated at the end of the thin tube 6 does not interfere with the cooling of the substance to be vitrified.
[0120] This quasi-instantaneous and homogeneous cooling of the biological substance ensures vitrification of a quality that minimizes the risks of destruction of the microorganisms or cells present in the biological substance.
[0121] In the sheathing 202 shown in FIG. 14, the ballast weight is a metal ball 28 of diameter slightly greater than the inside diameter Di of the thin tube 6. The ball 28 is disposed in the thin tube 6 against the weld 10 by the same method as described for introduction of the slug 24 into the thin tube 6.
[0122] In the case of a ballast weight disposed inside the thin tube, two welds such as the welds 10 can be produced on respective opposite sides of the ballast weight to prevent any contact with the biological substance.
[0123] An alternative is to use an annular ballast weight like that represented in FIG. 15. The ballast weight of the sheathing 302 is a metallic ring 29 threaded around the thin tube 6. The ring 29 has an inside diameter slightly less than the outside diameter De of the thin tube 6 in order for the ring 29 to bear against the external surface of the thin tube 6 and deform the tube locally.
[0124] In the embodiments represented in FIGS. 16 and 17, means for identifying the biological substance that the thin tube contains are associated with the ballast weight 24. The identification means 30 represented in FIG. 16 are visual and consist of a color code, a bar code or a string of characters.
[0125] The identification means 31 represented in FIG. 17 are electronic, for example an RFID microchip or an electromagnetic patch stuck to the ballast weight or integrated into it.」
(当審訳:[0109] バラスト錘は、丸い断面を有する第1の部分25と、楕円形の断面に潰された第2の部分26とを有するスラグ24である。表面27によって区切られた部分26の一部は、部分25に対して相対的に突出している。このスラグは、極低温液体剤よりも大きな密度の材料、図示の例では金属から作られる。
[0110] 楕円形断面部分26は、スラグ24のシース2への導入操作中に、突出部分が細管6の内面に当たって、細管6を局所的に変形させて位置決めブレーキのように作用し、細管6内部でのそのスラグの自重による意図しないスライド移動を防止してスラグ24を保持できるように、細管6の内径Diよりもわずかに大きい最大横断寸法を有している。
[0111] 次に、スラグ24の細管6への導入操作について、図10及び図11を援用しながら説明する。
[0112] スラグ24は、溶接10が実行される前に、バラスト錘24と管6の端部9との間に隙間が残った状態で細管6内に導入される。
[0113] スラグが導入されると、溶接部10は、端部9とスラグ24との間に位置する細管6の端部において生成される。
[0114] 次に、スラグは、図10に示すように、細管6の溶接部10に突き当たるように、端部8を介して導入されたロッド(図には表れていない)により押される。
[0115] スラグ24は、支持体3の端部22(これがシース内に導入され、プッシャー部材4の助けを借りて所定の位置に配置されると)と溶接部10との間に隙間を残して位置する空間において、溶接部10に対して付勢できるような寸法を有している。
[0116] この例では、バラスト錘は10mmの長さL4を有し、支持体3の端部21と管6の隣接端部8との間の隙間は8mmであり、支持体3の反対側の端部22とバラスト錘24との間の隙間は5mmである。
[0117] このバラスト錘は、密閉されたシースを液体窒素中に垂直に浸漬させるため、シース内に空気が閉じ込められるのを防ぎ、液体窒素の表面に浮遊させる傾向がある。
[0118] このため、被覆は、極めて迅速に、その表面全体を液体窒素で囲まれ、生体物質は、均質かつ準瞬間的にガラス化される。
[0119] 細管6の端部に位置するバラスト錘は、ガラス化される物質の冷却を妨げることはない。
[0120] 生物学的物質のこの準瞬間的かつ均質な冷却は、生物学的物質中に存在する微生物または細胞の破壊のリスクを最小にする品質のガラス化を保証する。
[0121] 図14に示すシース202において、バラスト錘は、細管6の内径Diより僅かに大きい直径の金属球28である。このボール28は、スラグ24の細管6への導入について説明したのと同様の方法により、溶接部10に対して細管6内に配置される。
[0122] 細管内に配置されたバラスト錘の場合、生体物質との接触を防ぐために、バラスト錘のそれぞれの反対側に溶接部10のような2つの溶接部を製造することができる。
[0123] 代替案として、図15に表されるような環状バラスト錘を使用することもできる。シース302のバラスト錘は、細管6の周りにねじ込まれた金属リング29である。リング29は、リング29が細管6の外面に対して耐え、管を局所的に変形させるために、細管6の外径Deよりわずかに小さい内径を有している。
[0124] 図16及び図17に表される実施形態では、細管が含む生体物質を識別するための手段が、バラスト錘24に関連付けられる。図16に表される識別手段30は視覚的なものであり、カラーコード、バーコード、または文字列から構成される。
[0125] 図17に表される識別手段31は電子的なものであり、例えばRFIDマイクロチップや電磁パッチがバラスト錘に貼り付けられたり、一体化されたりしている。)

イ 「図10



ウ 「図17



エ 上記ア〜ウの記載から、引用文献3には、「バラスト錘は、金属から作られ、バラスト錘の楕円形断面部分26は、細管6の内径Diよりもわずかに大きい最大横断寸法を有し、細管が含む生体物質を識別するための手段がバラスト錘24に関連付けられ、RFIDマイクロチップがバラスト錘に一体化される。」との技術的事項が記載されている。


第6 対比・判断
1.本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。

ア 引用発明の「RFIDタグ5は、糸6の表面に導電塗料を印刷又は金属メッキなどで細長に設けた二本のアンテナ(ダイポールアンテナ)7にICチップ8を接続したものであ」り、「使用周波数帯としては、RFIDタグで使用されている各種周波数帯が使用可能であり、2.45GHz〜5.8GHzのマイクロ波帯が適して」いるものであるところ、引用発明の「ICチップ8」は、RFIDタグ5が保持すべき“情報を格納”するものであるといえ、2.45GHz〜3GHzを含む、「RFIDタグで使用されている各種周波数帯」の“無線周波数信号を生成するように構成され”ていることは自明であるから、引用発明の「ICチップ8」と本願発明1の「情報を格納し、かつ、30MHz〜3GHzの周波数範囲の無線周波数信号を生成するよう構成された、少なくとも1つの集積回路」とは、“情報を格納し、かつ、2.45GHz〜3GHzの周波数範囲の無線周波数信号を生成するよう構成された、少なくとも1つの集積回路”である点で共通している。

イ 引用発明の「糸6の表面に導電塗料を印刷又は金属メッキなどで細長に設けた二本のアンテナ(ダイポールアンテナ)7」は、“導電性”を持たせた“糸”で形成した“アンテナ”であるから、本願発明1の「導電糸を含む少なくとも1つのアンテナ」に相当する。

ウ 引用発明の「RFIDタグ5」は、「糸6の表面に導電塗料を印刷又は金属メッキなどで細長に設けた二本のアンテナ(ダイポールアンテナ)7」と「ICチップ8」を含むものであるから、本願発明1の「集積回路」および「アンテナ」を含む「無線周波数識別システム」に対応する。

エ 本願明細書の段落0014の「極低温ストローまたは凍結保存ストローとは、標本(通常は、試験管内受精用の精子)を極低温格納するために使用される小型の格納装置である。本開示における極低温ストローは、この目的のための任意の容器に対して広範な従来の意味において使用される。通常、極低温ストローは実質的に管状であり、その形状において細い。」との記載からすると、本願発明の「極低温ストロー」は、標本を極低温で格納するための容器のことである。
そうすると、引用発明の「採取した検体が」「収容された」「容器1」と本願発明1の「極低温ストロー」とは、“容器”である点で共通している。

オ 引用発明の「容器1」は、その容器本体3の外周に「RFIDタグ5がチューブ状のケース12内に収容されているケース入りRFIDタグ13」が取付けられているから、「容器1」は、「RFIDタグ5」を“含む”ものである。
したがって、上記ウ、エの検討も踏まえると、引用発明の「RFIDタグ5」を“含む”「容器1」と本願発明1の「無線周波数識別システムを含む極低温ストロー」とは、“無線周波数識別システムを含む容器”である点で共通している。

カ 引用発明の「RFIDタグ5」は、医療用品2の「容器1」に埋め込むこともでき、「容器1」が樹脂製或いはガラス製といった成型品の場合は、「容器1」の成型時に「容器1」の周壁に「RFIDタグ5」を埋め込んで成型することができるものである。
ここで、引用発明の容器1の「周壁」は、本願発明1の極低温ストローの「側壁」に対応するものであり、引用発明の「容器1」の「周壁」に「RFIDタグ5」を埋め込んで成型すれば、「RFIDタグ5」の“少なくとも1つのアンテナ”が、「容器1の周壁」に“一体化”されることになるといえる。
また、引用発明において、RFIDタグ5の「アンテナ7」は、容器1の長手方向に延在しているから、本願発明1の「少なくとも1つのアンテナ」とは、「容器の長手方向において延在し」ている点で共通している。
したがって、引用発明と本願発明1とは、“前記少なくとも1つのアンテナは容器の側壁に一体化され、前記容器の長手方向において延在し”ている点で共通している。

キ 上記ア〜カの検討から、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。

(一致点)
無線周波数識別システムを含む容器であって、
前記無線周波数識別システムは、
− 情報を格納し、かつ、2.45GHz〜3GHzの周波数範囲の無線周波数信号を生成するよう構成された、少なくとも1つの集積回路、および、
− 導電糸を含む少なくとも1つのアンテナを含み、
− 前記少なくとも1つのアンテナは容器の側壁に一体化され、前記容器の長手方向において延在している、
容器。

(相違点)
(相違点1)本願発明1の容器は、「極低温ストロー」であるのに対して、引用発明の容器1は、そのようなものではない点。

(相違点2)集積回路が生成する無線周波数信号の周波数範囲が、本願発明1は、「30MHz〜3GHz」であるのに対して、引用発明は、「2.45GHz〜3GHz」である点。

(相違点3)本願発明1では、「前記少なくとも1つのアンテナは前記少なくとも1つの集積回路に対して電磁的に、ワイヤレスで接続され」ているのに対して、引用発明はそのようになっていない点。

(相違点4)本願発明1では、「前記極低温ストローは、密閉状態で摺動可能に前記極低温ストローの内部に係合する密閉要素をさらに含み、前記集積回路は前記密閉要素に埋め込まれている」のに対して、引用発明はそのようになっていない点。

(2)相違点についての判断
事案に鑑み、上記相違点3及び相違点4について先に検討する。
本願発明は、極低温ストローの内部で密閉状態で摺動する密閉要素に集積回路を埋め込む一方、アンテナを極低温ストローの側壁に長手方向に延在させて設けることによって、「密閉部は、極低温ストローの内部に配置されているかぎり、好適には極低温ストローの側壁にキャスト成型されたアンテナに対してワイヤレス接続状態にあり得る。」(本願明細書の段落0023)という作用効果を奏するものと認められる。
一方、引用発明は、耐液性や耐薬品性に優れ、医療用品の管理に適したRFIDタグ付き医療用品と、医療用品へ取付けるのに適したケース入りRFIDタグと、検体、血液等の収容に適したRFIDタグ付き医療用品用空容器を提供する(段落0008)ことを課題としてなされたものであり、引用発明の蓋4は、容器内を摺動するように構成されたものではなく、また、RFIDタグ5は、蓋4に設けられたものではない。
そして、引用文献1には、「引用発明の蓋4を、容器内を密閉状態で摺動するように構成することや、そのように構成した蓋4にRFIDタグ5を設けたうえで、容器の周壁にアンテナを設けること」(以下、「引用発明を改変すること」という。)について、記載も示唆もされておらず、また、引用文献2の「非接触型ICタグ12の放射素子24の一端部に導電体34の一端部が対向するように配置され、導電体34の他端側が、筐体11の内部から筐体11の外部まで延在するように配置されることで、金属製の筐体の収納空間内に非接触通信部を配置したまま、導電体の筐体から突出した部分を介して、非接触通信部のICチップに対する情報の読取りまたは書込みを行うことができること。」との技術的事項は、ICチップに対向させた導体を介して信号を取り出すことを記載するものの、引用発明の蓋4にRFIDタグ5を設けるような改変を記載ないし示唆するものではなく、また、引用文献3の「バラスト錘は、金属から作られ、バラスト錘の楕円形断面部分26は、細管6の内径Diよりもわずかに大きい最大横断寸法を有し、細管が含む生体物質を識別するための手段がバラスト錘24に関連付けられ、RFIDマイクロチップがバラスト錘に一体化される。」との技術的事項は、細管内の錘にRFIDマイクロチップを設けるものであるから、これも、引用発明を改変することを記載ないし示唆するものではない。
加えて、引用発明を改変することが当該技術分野における周知技術であったということもできない。
そうすると、引用発明に引用文献2、3に記載の技術的事項を適用して上記相違点3、4に係る構成とすることは、当業者であっても容易に想到し得たことであるとはいえない。
したがって、相違点1、2について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても引用発明及び引用文献2、3に記載の技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

2.本願発明2−12について
本願発明2−12は、本願発明1を減縮した発明であり、本願発明1の上記相違点3、4に係る構成と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2、3に記載の技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

第7 原査定について
<理由1(特許法第29条第2項)について>
令和3年9月9日付けの手続補正で補正された請求項1−12は、上記相違点3、4に係る構成を有するものであり、上記のとおり、本願発明1−12は、上記引用文献1に記載された発明及び引用文献2、3に記載の技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明できたものではない。したがって、原査定を維持することはできない。

第8 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。

 
審決日 2022-05-24 
出願番号 P2018-533685
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G06K)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 田中 秀人
特許庁審判官 須田 勝巳
山崎 慎一
発明の名称 極低温ストローおよび凍結保存された標本を識別するためのシステム  
代理人 高岡 亮一  
代理人 岩堀 明代  
代理人 高橋 香元  
代理人 小田 直  
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