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審決分類 審判 訂正 3項(134条5項)特許請求の範囲の実質的拡張 訂正する H01M
審判 訂正 ただし書き1号特許請求の範囲の減縮 訂正する H01M
審判 訂正 4項(134条6項)独立特許用件 訂正する H01M
管理番号 1385098
総通号数
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2022-06-24 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2021-09-09 
確定日 2022-03-25 
訂正明細書 true 
事件の表示 特許第6854836号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第6854836号の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項12について訂正することを認める。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6854836号(以下、「本件特許」という。)の請求項1〜13に係る特許についての出願は、2007年(平成19年)10月23日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2006年11月17日 (US)アメリカ合衆国)を国際出願日とする特願2009−537259号の一部を、平成26年 8月15日に新たな特許出願とした特願2014−165350号の一部を、平成29年 5月10日に新たな特許出願とした特願2017-093517号の一部を、平成31年 1月31日に新たな特許出願(特願2019−15046号。以下「本願」という。)としたものであって、令和 3年 3月18日にその特許権の設定登録がされたものである。
本件は、その後、令和3年 9月 9日に請求された訂正審判であって、同年11月24日に手続補正(方式)がなされたものである。

第2 請求の趣旨
本件訂正審判の請求の趣旨は、特許第6854836号の特許請求の範囲を、本件審判請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項12について訂正することを認める、との審決を求めるものであり、請求人が求めている訂正(以下、「本件訂正」という。)の内容は、以下のとおりである。なお、下線部分は訂正箇所であり、当審が付与したものである。また、「・・・」は、記載の省略を示す。

1 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項12の「前記層が、少なくとも二つのポリプロピレンの層と一つのポリエチレンの層とを含む」との記載を「前記層が、二つのポリプロピレンの層と一つのポリエチレンの層のみを含む」に訂正する。

第3 当審の判断
1 訂正事項1について
(1)訂正の目的の適否
訂正事項1に係る訂正は、訂正前の請求項12における「層」の範囲を、「少なくとも二つのポリプロピレンの層と一つのポリエチレンの層とを含む」から「二つのポリプロピレンの層と一つのポリエチレンの層のみを含む」に限定するものであるから、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。

(2)新規事項の有無
本願の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「本件明細書等」という。)には、以下の事項が記載されている。なお、「・・・」は記載の省略を表す。
ア 「
【0009】
本発明の電池セパレーターは、共押出しされた、多層電池セパレーターである。「共押出しされた(co-extruded)」とは、複数のポリマーが押出しダイの中に同時に送り込まれて、ダイから成形品の形(本明細書においては一般的に平面構造である)で押し出されるプロセスに関連し、その成形品は、分離された少なくとも二つの層を有し、その分離された層の界面で、その分離された層の界面を形成する異種のポリマーの混合によって、相互に結合されている。その押出しダイは、フラットシート(またはスロット)ダイであっても、あるいはインフレーション(または環状)ダイであってもよい。共押出しプロセスについては、以下においてさらに詳しく説明する。「多層」とは、セパレーターが少なくとも2層を有することに関連する。「多層」とはさらに、3、4、5、6、7、またはそれ以上の層を有する構造であることにも関連する。それぞれの層は、その押出しダイの中にフィードされる個別のポリマー流れによって形成される。それらの層は、異なった厚みを有していてよい。そのフィード流れの少なくとも二つが異種のポリマーである場合が、大部分である。「異種のポリマー」とは、異種の化学的特性を有するポリマー(たとえば、PEとPP、あるいはPEとPEのコポリマーは、異種の化学的特性を有するポリマーである)・・・」

イ 「
【実施例】
【0024】
ここまでの発明について、以下の実施例でさらに説明する。表1には、本発明の上述の説明に従って製造された11種のサンプルを示している。表2には、セパレーターの溶融完全性を改良するための各種の物質の使用を、そのような物質を含まないセパレーターに対比させて示している。表3には、セパレーターの各種の性質を改良するための、その他の前述の物質の使用を示している。それらの表の中の情報を得るために使用した試験手順を以下に説明する。」

ウ 「
【0039】
【表1】



エ 「
【0040】
【表2】



オ 「
【0041】
【表3】



カ ここで、「PE」はポリエチレンの略称であり、「PP」はポリプロピレンの略称であるものと認められ、これらは本願の出願前から慣用的に用いられているものである。なお、この点に関して、段落【0010】に「ポリエチレン(たとえば、LDPE、LLDPE、HDPE、UHDPEを含む)」と記載されており、PEはポリエチレンの略称であることが示されている。

キ そうすると、上記ア〜カから、本件明細書等には、表1〜3にサンプルの「内容」として「PP/PE/PP」と記載されているものがあることからして、ポリプロピレン(PP)/ポリエチレン(PE)/ポリプロピレン(PP)の三層のもの、すなわち、二つのポリプロピレンの層と一つのポリエチレンの層のみを含むものが記載されていると認められる。

ク 以上から、訂正事項1に係る訂正は、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第126条第5項の規定に適合する。

(3)特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項1に係る訂正は、訂正前の請求項12における「層」の範囲を、「少なくとも二つのポリプロピレンの層と一つのポリエチレンの層とを含む」から「二つのポリプロピレンの層と一つのポリエチレンの層のみを含む」に限定するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第126条第6項の規定に適合する。

(4)独立特許要件について
本件訂正後の請求項12に係る発明については、特許出願の際独立して特許を受けることができないとする理由は見いだせない。
よって、訂正事項1に係る訂正は、特許法第126条第7項の規定に適合する。

第4 むすび
以上のとおり、本件訂正は、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第5項ないし第7項の規定に適合する。

よって、結論のとおり審決する。

 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
共押出しされたポリオレフィン系ミクロポーラス多層のドライ延伸された膜である、リチウムイオン電池のための電池セパレーターであって、
前記共押出しされたポリオレフィン系ミクロポーラス多層膜が、4〜50μmの範囲の厚みを有し、異なるポリマーの少なくとも二層を有し、厚みの標準偏差が0.37μm以上0.80μm未満として定義される均一な厚みを有する、電池セパレーター。
【請求項2】
一つの層が、それに添加される物質をさらに含む、請求項1に記載の電池セパレーター。
【請求項3】
前記物質が:前記ポリマーの溶融温度を低下させること;前記膜の溶融完全性を改良すること;前記膜の靱性又は強度を改良すること;前記膜の帯電防止性を改良すること;前記セパレーターの表面濡れ性を改良すること;前記セパレーターの表面摩擦性能を改良すること;前記ポリマーの加工性を改良すること;前記膜の難燃性を改良すること;前記ポリマーの核形成を促進させること;前記膜の層を着色させること;およびそれらの組合せ、を目的として適応される物質の群から選択される、請求項2に記載の電池セパレーター。
【請求項4】
厚みの標準偏差が0.65μm以下である、請求項1に記載の電池セパレーター。
【請求項5】
厚みの標準偏差が0.60μm以下である、請求項1に記載の電池セパレーター。
【請求項6】
厚みの標準偏差が0.55μm以下である、請求項1に記載の電池セパレーター。
【請求項7】
厚みの標準偏差が0.37μmから0.65μmの範囲にある、請求項1に記載の電池セパレーター。
【請求項8】
一層がポリエチレンから作られている、請求項1に記載の電池セパレーター。
【請求項9】
一層がポリエチレンから作られ、他の一層がポリプロピレンから作られている、請求項1に記載の電池セパレーター。
【請求項10】
層間の界面が、界面を形成するポリマーの混合を含む、請求項1に記載の電池セパレーター。
【請求項11】
前記層が、少なくとも二つのポリプロピレンの層を含む、請求項1に記載の電池セパレーター。
【請求項12】
前記層が、二つのポリプロピレンの層と一つのポリエチレンの層のみを含む、請求項1に記載の電池セパレーター。
【請求項13】
一層がポリプロピレンからなる、請求項1に記載の電池セパレーター。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2022-02-22 
結審通知日 2022-02-28 
審決日 2022-03-14 
出願番号 P2019-015046
審決分類 P 1 41・ 854- Y (H01M)
P 1 41・ 856- Y (H01M)
P 1 41・ 851- Y (H01M)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 池渕 立
特許庁審判官 太田 一平
土屋 知久
登録日 2021-03-18 
登録番号 6854836
発明の名称 共押出しされた、多層電池セパレーター  
代理人 大野 浩之  
代理人 大野 浩之  

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