• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 全部無効 2項進歩性  G01N
審判 全部無効 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  G01N
管理番号 1385105
総通号数
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2022-06-24 
種別 無効の審決 
審判請求日 2021-07-28 
確定日 2022-05-06 
事件の表示 上記当事者間の特許第6561719号発明「ガスセンサ」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 
理由 第1 手続の経緯
本件は、請求人が、被請求人が特許権者である特許第6561719号(以下「本件特許」という。)の特許請求の範囲の請求項1ないし6に係る発明の特許を無効とすることを求める事件であって、その手続の経緯の概要は、以下のとおりである。

平成27年 9月17日:本件出願(特願2015−184367号;
優先権主張 平成26年10月30日)
令和 元年 8月 2日:特許権の設定登録(特許第6561719号)
令和 3年 7月28日:本件無効審判請求
同年10月27日:審判事件答弁書提出
同年12月15日:審理事項通知(起案日)
令和 4年 1月21日:請求人より口頭審理陳述要領書及び証拠説明書
提出
同日:被請求人より口頭審理陳述要領書提出
同年 2月 4日:口頭審理
同日:請求人より上申書提出
同日:被請求人より上申書2通提出
同月17日:請求人より上申書提出

第2 本件発明
本件特許の請求項1ないし6に係る発明(以下それぞれ請求項の番号に対応して「本件発明1」などといい、これらの発明をまとめて「本件発明」という。)は、特許請求の範囲の請求項1ないし6に記載された事項により特定される、次のとおりのものである。

「【請求項1】
ハウジング(11A,11B)と、
該ハウジング(11A,11B)の内周側に保持された碍子(12)と、
該碍子(12)に挿通された、酸素イオン伝導性を有する固体電解質体(2)を有し、長手方向(L)の先端部(100)が上記碍子(12)の先端面(121)から突出するセンサ素子(10)と、
該センサ素子(10)の上記先端部(100)を覆うよう上記ハウジング(11A,11B)の先端側に取り付けられ、被測定ガス(G)を上記センサ素子(10)の上記先端部(100)に導くためのカバー導入孔(131,132)が形成された保護カバー(13A,13B)と、を備えるガスセンサ(1)において、
上記固体電解質体(2)の上記長手方向(L)の先端部(200)には、被測定ガス(G)に晒されて被測定ガス(G)中の酸素濃度を調整するためのポンプ電極(21)と、被測定ガス(G)に晒されて上記ポンプ電極(21)によって酸素濃度が調整された後の被測定ガス(G)中の特定ガス成分濃度を検出するためのセンサ電極(23)とが設けられており、
該センサ電極(23)の全体は、上記保護カバー(13A,13B)の外周部に形成されたすべての上記カバー導入孔(131,132)よりも上記長手方向(L)の基端側に位置しており、
上記センサ電極(23)の上記長手方向(L)の基端位置(231)は、上記ハウジング(11A,11B)の先端面(111)よりも基端側に位置していることを特徴とするガスセンサ(1)。
【請求項2】
上記センサ電極(23)の全体は、上記保護カバー(13A,13B)の基端位置よりも基端側に位置していることを特徴とする請求項1に記載のガスセンサ(1)。
【請求項3】
上記保護カバー(13A,13B)は、上記ハウジング(11A,11B)の先端部の外周に取り付けられた第1保護カバー(13A)と、該第1保護カバー(13A)の外周に取り付けられた第2保護カバー(13B)とからなり、
上記第1保護カバー(13A)の外周部に形成された上記カバー導入孔(131)は、上記第2保護カバー(13B)の外周部に形成された上記カバー導入孔(132)よりも上記長手方向(L)の先端側に位置することを特徴とする請求項1又は2に記載のガスセンサ(1)。
【請求項4】
上記センサ電極(23)の全体が、上記ハウジング(11A,11B)の先端面(111)よりも基端側に位置して、上記碍子(12)の先端面(121)と上記ハウジング(11A,11B)の内周面(112)とによって形成される凹部(14)内に配置されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のガスセンサ(1)。
【請求項5】
上記センサ素子(10)の上記長手方向(L)の先端位置(103)が、上記ハウジング(11A,11B)の先端面(111)よりも基端側に位置して、上記碍子(12)の先端面(121)と上記ハウジング(11A,11B)の内周面(112)とによって形成される凹部(14)内に配置されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のガスセンサ(1)。
【請求項6】
上記センサ素子(10)は、上記固体電解質体(2)の表面に被測定ガス(G)を導入する被測定ガス空間(101)を有しており、
上記ポンプ電極(21)及び上記センサ電極(23)は、上記被測定ガス空間(101)に導入される被測定ガス(G)に晒されており、
上記センサ素子(10)の先端(103)には、拡散抵抗体(32)を介して上記被測定ガス空間(101)に被測定ガス(G)を導入するための導入口(331)が形成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のガスセンサ(1)。」

第3 請求人の主張
請求人は、本件特許の請求項1ないし6に係る発明についての特許を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、審判請求書(以下「請求書」という。)、令和4年1月21日付け口頭審理陳述要領書(以下「請求人陳述書」という。)、令和4年2月4日付け上申書(以下「請求人上申書1」という。)、令和4年2月17日付け上申書(以下「請求人上申書2」という。)において、おおむね以下のとおり主張している。また、証拠方法として甲第1号証ないし甲第4号証を提出している。

1 無効理由の概要
〔無効理由1〕
本件特許の請求項1ないし6に係る発明は、甲第1号証に記載された発明及び甲第2号証〜甲第4号証の記載事項に基づいて、本件特許に係る出願の優先日前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。
したがって、その特許は同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。
〔無効理由2〕
本件特許の特許請求の範囲の請求項1ないし6の記載は、特許法第36条第6項第1号に規定された要件を満たしていないものである。
したがって、その特許は同法第123条第1項第4号に該当し、無効とすべきものである。
(第1回口頭審理調書)

<証拠方法>
提出された証拠は、以下のとおりである。

甲第1号証:米国特許出願公開第2014/0305188号明細書(以下「甲1」という。)
甲第2号証:特開2011−227061号公報(以下「甲2」という。)
甲第3号証:特開2013−88119号公報(以下「甲3」という。)
甲第4号証:特開2012−52901号公報(以下「甲4」という。)

2 具体的な理由
(1)無効理由1について(進歩性の欠如)
ア 本件発明1について
(ア)甲1の段落[0145]に、甲第1号証のガスセンサ(100)はNOxセンサに適用できると記載されており、NOxセンサがポンプ電極とセンサ電極とを備えることは周知技術であるから、「固定電解質体の長手方向の先端部には、被検出ガスに晒されて被検出ガス中の酸素濃度を調整するためのポンプ電極と、被検出ガス中の特定ガス成分濃度を検出するためのセンサ電極とが設けられている」が記載されているに等しい。(請求書15頁9〜13行)
甲3と甲4は本件特許に係る出願の優先日よりも前に公開されている被請求人のNOxセンサに関する公報であり、いずれの公報にも、ポンプ電極とセンサ電極が固体電解質体に設けられたNOxセンサが記載されており、このようなNOxセンサが周知技術であることは至極当然の事項である。(請求人陳述書7頁17〜20行)
したがって、甲第1号証には、以下の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されている。
「 金属シェル(110)と、
該金属シェル(110)の内周側に保持されたセラミックリング(133)と、
該セラミックリング(133)に挿通された、酸素イオン導電性を有する固体電解質体を有し、長手方向の先端部(121)が上記セラミックリング(133)の先端面から突出する検出素子(120)と、
該検出素子(120)の上記先端部(121)を覆うよう上記金属シェル(110)の先端側に取り付けられ、被検出ガスを上記検出素子(120)の上記先端部(121)に導くためのガス導入孔(167,177)が形成された内側プロテクタ(160)および外側プロテクタ(170)と、を備えたガスセンサ(100)において、
上記固体電解質体の上記長手方向の先端部には、被検出ガスに晒されて被検出ガス中の酸素濃度を調整するためのポンプ電極と、被検出ガス中の特定ガス成分濃度を検出するためのセンサ電極とが設けられていることを特徴とするガスセンサ(100)。」(請求書16頁下から3行〜17頁11行)

(イ)甲第2号証には、以下の発明(以下、「甲2発明」という。)が記載されている。
「測定電極(44)は外部連通部(11)よりも基端側に設けられている。」(請求書17頁17〜19行)

(ウ)本件発明1と甲1発明は以下の2点で相違する。
(相違点1)
本件発明1は、「該センサ電極(23)の全体は、上記保護カバー(13A,13B)の外周部に形成されたすべての上記カバー導入孔(131,132)よりも上記長手方向(L)の基端側に位置している」のに対して、甲1発明はそのような構成を備えるのか否かが不明である点で両者は相違している。
(相違点2)
本件発明1は、「上記センサ電極の上記長手方向の基端位置は、上記ハウジングの先端面よりも基端側に位置している」構成を備えるのに対して、甲1発明はそのような構成が直接的に記載されていない点で両者は相違している。
(請求書18頁9〜16行)

(エ)相違点2について
a 甲第1号証には、本発明は、ガス通気部が、特開2011-227061号公報(甲第2号証)の図3に記載された外部連通部のような、「検出素子の内部に設けられたガス測定室と検出素子の外部とを繋ぐ通路」である場合にも適用することができ、かつ、本明細書の一部を構成するものとして甲第2号証に記載の内容を援用する旨が記載されている(段落[0147]参照)。
b また、甲1発明のガスセンサはNOxセンサに適用できる旨が記載されており(段落[0145]参照)、甲1発明の効果(上述のガスセンサでは、良好な応答性を得ることができる。)と甲2発明の効果(上記のガスセンサでは、測定精度が安定的に保たれる。)は、いずれもガスセンサの品質向上を目的とした効果という点で共通している。したがって、甲1発明のガスセンサをNOxセンサに適用する際、一定の品質を担保するにあたって甲2発明を甲1発明に適用することは当業者にとって容易である。その上で、甲第1号証の段落[0147]には、 本明細書の一部を構成するものとして甲第2号証に記載の内容を援用すると記載されている。そして、甲第2号証には、外部連通部11が測定電極44よりも先端側に配置された構成が記載されている。このことから、甲第1号証の段落[0147]には、この外部連通部11を甲第1号証の図2に記載のガスセンサのガス通気部123に援用した発明、すなわち甲第1号証の図2において「測定電極44がガス通気部123よりも基端側に配置され、測定電極44の長手方向の基端位置が、ハウジングの先端面よりも基端側に位置している」ガスセンサに係る発明が記載されているものと同一視できる。してみると、相違点2は、実質的には甲第1号証の段落[0147]に記載されていると言える。(請求書18頁下から10行〜19頁末行)
c 具体的には、甲1発明には「ガス通気部123の少なくとも一部がハウジング110の先端L1よりも基端側に位置する」配置関係が特定されている。このため、甲1発明において「ガス通気部123よりも基端側にセンサ電極が配置される」配置関係であれば、おのずと「センサ電極の基端位置がハウジングの先端面より基端側に位置する」配置関係となることは言うまでもない。(請求人陳述書2頁11〜15行)
甲2発明における「外部連通部」は甲第1号証における「ガス通気部」に相当し、「測定電極」は「センサ電極」に相当する。したがって、甲第1号証の段落[0147]には、ガス通気部123よりも基端側に配置されたセンサ電極が記載されているといえるから、甲第1号証のFIG.2においてその配置を反映させると、甲第1号証の段落[0147]に記載された構造(以下、「0147記載構造」という。)になる。(請求書20頁1〜5行、請求人陳述書2頁16〜19行、請求人上申書1スライド1頁)

(請求書20頁)
なお、上図の【0147記載構造】は、甲2記載事項の配置関係を甲1発明に記載された配置関係に適用した構造の一例を【0147記載構造】として名付けたものであり、次の(イ)と(ウ)の図面についても【0147記載構造】に当てはまる。(イ)はセンサ電極を基端側にわずかにずらしたものであり、(ウ)はセンサ電極を小さくしたものである。(請求人陳述書2頁20行〜下から2行、請求人上申書1スライド2頁)


(請求人陳述書3頁、請求人上申書1スライド2頁)
【0147記載構造】は、センサ電極の寸法や位置が甲1発明や甲2記載事項から図中のものに特定されることを示すものではなく、上述したように甲2記載事項である『ガス通気部 123より基端側にセンサ電極が配置されるという』配置関係を甲1発明に適用した結果、相違点2を満たすことができる配置関係を例示しているにすぎない。つまり、センサ電極の寸法や位置は図中のものに特定されず、周知技術の範疇においてどのような寸法や位置のものでも問題はない。(請求人陳述書3頁2〜7行)
d また、甲1発明に甲2記載事項を適用した【0147記載構造】は、相違点2を満たすことができる配置関係を示すものであって、主体金具110の先端110b(直線L1)と、ガス通気部123と、センサ電極との配置関係のみを示している。甲2記載事項の配置関係を考慮しながら、甲1発明にNOxセンサを適用するにあたり、甲1発明を例示した図2を用いて【0147記載構造】の一例を説明しただけであり、甲1発明を例示した図2の全領域空燃比センサの検出素子120をそのままNOxセンサの検出素子に変更することを意図しない。(請求人陳述書4頁3〜10行)
e なお、甲第2号証の図1から図4に記載の外部連通部11はセンサ素子101の先端面に開口しているのに対して、甲第1号証のFIG.2に記載のガス通気部123は側面に開口しており、両者は開口の位置が異なるため、甲2発明を甲1発明に適用しても相違点2の構成に至らないとも思われる。しかしながら、甲第2号証の段落[0096]、図5、図6には、センサ素子先端部301aに開口部を有する外部連通部に代えて、センサ素子側部301bに開口部12aを有する外部連通部12が設けられている構成が記載されているから、図5、図6を参照すれば相違点2のように構成することは容易である。(請求書20頁6行〜下から5行)

(オ)相違点1について
a 甲第1号証には、「ガス通気部123の基端部123cがガス導入孔167の先端167bの位置L2に対して基端側に位置すると共に、ガス通気部123の先端部123bがガス導入孔167の基端167cの位置L3に対して先端側に位置する」ことが記載されている。(段落[0105]参照)。
つまりは「ガス通気部123の一部が、ガス導入孔167の先端の位置L2と基端の位置L3との間の範囲に重なるように配置する」ことを示しており、この範囲内であれば、ガス通気部123を先端側や基端側に位置させたとしても、甲第1号証の効果を得られることを示唆している。(請求書20頁下から3行〜21頁13行、請求人陳述書4頁下から5行〜末行)
b 一方、甲第1号証の段落[0009]には、「近年、コスト低減のため、検出素子の長さを短縮することが求められている。検出素子の長さを短縮することで、検出素子に設けられる電極やリード部等を構成する白金の使用量を削減できるからである。」が記載されている。甲第1号証のFIG.lを見ると、検出素子120の基端部129には電極パッド128が形成され、通常、電極パッド128の位置は変わらないから、検出素子120の長さを短縮するとした場合、検出素子120の先端部121の位置を基端側に移動させることになる。
さらに、甲第1号証の段落[0009]においても「検出素子の長さを短くする場合には、検出素子の基端部(接続パッドが設けられている部位)はできる限り先端側に近づけないようにして、検出素子の先端部(ガス通気部が配置されている部位)を基端側(金属シェル側)に近づけるようにするのが好ましい。」こと、および「検出素子の基端部に設けられている接続パッドに接続する接続端子を、ガスセンサの先端側に近づけすぎると、排気管からの熱の影響で接続端子が劣化し、接続パッドと接続端子との電気的導通の信頼性が低下しやすくなるからである。」ことが示唆されている。(請求書21頁14行〜下から3行)
c ガスセンサをより短縮すれば白金の使用量をより削減できることになり、甲1発明の範囲内において検出素子の先端部をできるだけ基端側に配置するようにすることは当業者であれば当然かつ容易に考えつくことであり、甲1発明の一例である図2は検出素子120の長さを最大限短縮したものを示したものではない。(請求人陳述書5頁5〜8行)
d このことから、甲第1号証の発明である「ガス導入孔167の先端の位置L2と基端の位置L3との間の範囲にガス通気部123の一部を配置させる」ことを考慮しつつ、甲第1号証の段落[0009]の記載に基づいて、検出素子120の長さを短縮し、ガス通気部123の先端123bをガス導入孔167の基端の位置L3よりも僅かに先端側に配置させることは、当業者にとって容易に想起し得る事項である。(請求書21頁下から2行〜22頁3行、請求人陳述書5頁11〜15行)
e なお、上記の0147記載構造において検出素子120の先端部121をそのまま基端側に移動させようとすると、検出素子120がセラミックリング133に干渉してしまうため、短縮できる長さはごく僅かであり、0147記載構造の軸線AX方向において検出素子120の基端とセラミックリング133の先端との間の寸法しか移動できないように思われる。しかしながら、 セラミックリング133の位置をFIG.lよりも基端側にずらすことができれば短縮できる長さを十分に確保できる。そこで、甲第1号証のFIG.7を見ると、セラミックリング133は工具係合部317の基端部付近に位置していることが記載されている。つまり、甲第1号証の FIG.7に基づき、FIG.1のセラミックリング133においても、少なくとも工具係合部117の基端部付近までは基端側にずらせることが記載されていると言える。(請求書22頁4行〜下から5行、請求人陳述書5頁16行〜下から5行、請求人上申書1スライド3〜4頁)
f よって、0147記載構造において、甲第1号証の発明を考慮しつつ、甲第1号証の段落[0009]の記載に基づき、検出素子120の長さを短縮した場合、ガス通気部123の先端123bをガス導入孔167の基端の位置L3よりも僅かに先端側に配置させた構造(検出素子短縮構造)となる。

すなわち、0147記載構造において検出素子120の先端部121の位置を基端側にずらすと、これに伴ってガス通気部123の全体が基端側に移動し、ガス通気部123の先端123bが直線L3よりも僅かに先端側に位置した検出素子短縮構造に至り、その結果、「センサ電極の全体は、プロテクタ(160,170)の外周部に形成されたすべてのガス導入孔(167,177)よりも長手方向の基端側に位置している」構成が導き出される。(請求書22頁下から4行〜23頁5行、請求人陳述書4頁下から5行〜5頁下から5行)
g 検出素子短縮構造のガスセンサ100においてはセンサ素子120のガス通気部123の全体が金属シェル110の先端110bよりも基端側に配置されることになる。この配置は甲第1号証の変形形態2(FIG.7からFIG.9)と全く同じ配置である。変形形態2の効果は、段落[0141]に記載されているように、「排気ガス(G)の流れは、ガス導入空間(S2)内に導入された後にプロテクタ(360)のガス導入孔(367)を通過することで整流(層流)になるため、検出素子(120)のガス通気部(123)の周囲において、排気ガス(G)の流れが整流(層流)になる。これにより、排気ガス(G)を、スムーズにガス通気部(123)に通過させることが可能となり、良好な応答性を得ることができる。」というものである。この変形形態2の効果は実施形態の効果と同じであるから、実施形態のガスセンサ100において良好な応答性を維持しつつ、上記検出素子短縮構造を採用することでガス通気部123の全体が金属シェル110の先端110bよりも基端側に配置されるようにすることは当業者にとって容易に想起し得る事項である。(請求書23頁下から5行〜24頁8行、請求人陳述書6頁1〜9行)
h ここで、甲第1号証の請求項1及び[0089]には、それぞれ「ガス導入孔(167)が検出素子(120)の先端(120b)よりも基端側に位置する」ことが記載されているが、これは、検出素子の先端を基準にして、これよりも基端側にガス導入孔の領域が位置していればよいことを示している。【検出素子短縮構造】においては、検出素子120の先端120bの位置よりも基端側にガス導入孔167の領域が配置されている(次の【検出素子短縮構造】において四角で示す領域)。このように、【検出素子短縮構造】は、甲第1号証の請求項1及び[0089]などに記載の「検出素子の先端よりも基端側にガス導入孔が形成されている」構造である。したがって、甲第1号証に記載の検出素子の先端よりも基端側にガス導入孔が形成されていることと、【検出素子短縮構造】における検出素子及びガス導入孔の配置とは整合している。

(請求人上申書2の1頁下から3行〜3頁下から3行)
i 検出素子短縮構造の「センサ電極」は相違点1の「センサ電極」に相当し、同様に「プロテクタ」は「保護カバー」に、「ガス導入孔」は「カバー導入孔」に相当する。
したがって、相違点1は、上記検出素子短縮構造と一致する。(請求書23頁6〜8行)

イ 本件発明2について
本件発明2は、「上記センサ電極(23)の全体は、上記保護カバー(13A,13B)の基端位置よりも基端側に位置している」のに対して、甲第1号証記載発明はそのような構成を備えるのか否かが不明である点で両者は相違する。しかしながら、センサ電極22の全体が保護カバー13A,13Bの基端位置よりも基端側に位置するように配置したところで新たな作用効果を奏するものではなく、本件発明2に対応する効果は明細書中に記載されていないことからも、上記のように構成することは単なる設計変更にすぎず、当業者であれば容易に想到できる事項にすぎない。(請求書24頁17行〜下から5行)

ウ 本件発明3について
本件発明3は、「上記保護カバー(13A,13B)は、上記ハウジング(llA,llB)の先端部の外周に取り付けられた第1保護カバー(13A)と、該第1保護カバー(13A)の外周に取り付けられた第2保護カバー(13B)とからなり、上記第1保護カバー(13A)の外周部に形成された上記カバー導入孔(131)は、上記第2保護カバー(13B)の外周部に形成された上記カバー導入孔(132)よりも上記長手方向(L)の先端側に位置する」のに対して、甲第1号証記載発明はそのような構成を備えるのか否かが不明である点で両者は相違する。しかしながら、保護カバーは第1保護カバー13Aと第2保護カバー13Bとからなり、第1保護カバー13Aのカバー導入孔131は第2保護カバー13Bのカバー導入孔132よりも長手方向の先端側に位置するように配置したところで新たな作用効果を奏するものではなく、本件発明3に対応する効果は明細書中に記載されていないことからも、上記のように構成することは単なる設計変更にすぎず、当業者であれば容易に想到できる事項にすぎない。(請求書24頁末行〜25頁11行)

エ 本件発明4について
本件発明4は、「上記センサ電極(23)の全体が、上記ハウジング(11A,11B)の先端面(111)よりも基端側に位置して、上記碍子(12)の先端面(121)と上記ハウジング(11A.11B)の内周面(112)とによって形成される凹部(14)内に配置されている」のに対して、甲第1号証記載発明はそのような構成を備えるのか否かが不明である点で両者は相違する。
この相違点に関し、甲第1号証の段落[0147]には「the above-noted applications incorporated herein by reference (本明細書の一部を構成するものとして上記出願(甲第2号証)の構成を援用するものとする)」ことが記載されている。甲第2号証には、測定電極44が外部連通部11よりも基端側に配置された構成が記載され、この構成は甲第1号証に記載されているものと解釈されるから、0147記載構造と同一視される。
そして、0147記載構造から導かれる検出素子短縮構造では、センサ電極の全体が、主体金具(110)の先端(11Ob)よりも基端側に位置して、セラミックリング(133)の先端面と主体金具(110)の先端(110b)とによって形成される凹部内に配置されているから、この相違点は解消する。(請求書25頁15行〜下から2行)

オ 本件発明5について
本件特明5は、「上記センサ素子(10)の上記長手方向(L)の先端位置(103)が、上記ハウジング(11A,11B)の先端面(111)よりも基端側に位置して、上記碍子(12)の先端面(121)と上記ハウジング(11A,11B)の内周面(112)とによって形成される凹部(14)内に配置されている」のに対して、甲第1号証記載発明はそのような構成を備えるのか否かが不明である点で両者は相違する。
この相違点に関し、甲第1号証の段落[0147]には「the above-noted applications incorporated herein by reference(本明細書の一部を構成するものとして上記出願(甲第2号証)の構成を援用するものとする)」ことが記載されている。甲第2号証には、測定電極44が外部連通部11よりも基端側に配置された構成が記載され、この構成は甲第1号証に記載されているものと解釈されるから、0147記載構造と同一視される。
そして、甲第1号証の段落[0009]の記載に基づき、検出素子120の長さを短縮した場合、検出素子短縮構造に図示したように、検出素子120の長手方向の先端位置が、主体金具110の先端110bよりも基端側に位置して、セラミックリング133の先端面と主体金具110の先端110bとによって形成される凹部内に配置される構造を採用できる。
なお、センサ素子10の長手方向Lの先端位置103が、ハウジング11A,11Bの先端面111よりも基端側に位置して、碍子12の先端面121とハウジング11A,11Bの内周面112とによって形成される凹部14内に配置されている構成は、甲第1号証のFIG.8にも開示されている。(請求書26頁3〜20行)

カ 本件発明6について
本件発明6は「上記センサ素子(10)は、上記固体電解質体(2)の表面に被測定ガス(G)を導入する被測定ガス空間(101)を有しており、上記ポンプ電極(21)及び上記センサ電極(23)は、上記被測定ガス空間(101)に導入される被測定ガス(G)に晒されており、上記センサ素子(10)の先端(103)には、拡散抵抗体(32)を介して上記被測定ガス空間(101)に被測定ガス(G)を導入するための導入口(331)が形成されている」のに対して、甲第1号証記載発明はそのような構成を備えるのか否かが不明である点で両者は相違する。しかしながら、センサ素子10は、固体電解質体2の表面に被測定ガスGを導入する被測定ガス空間101を有しており、ポンプ電極21及びセンサ電極23は、被測定ガス空間101に導入される被測定ガスGに晒されており、センサ素子10の先端103には、拡散抵抗体32を介して被測定ガス空間101に被測定ガスGを導入するための導入口331が形成されている構成は、甲第2号証の段落[0034]〜段落[0064]に開示された構成を援用する甲第1号証の段落[0147]に記載されている。(請求書26頁下から5行〜27頁7行)

(2)無効理由2について(サポート要件違反)
ア 本件特許の段落[0002]には以下の記載がある。
「ポンプセルを構成する電極及びセンサセルを構成する電極は、適切な温度範囲内に制御する必要がある。具体的には、ポンプセルを構成する電極は、酸素を分解する一方、特定ガス成分を分解しない温度範囲に制御し、センサセルを構成する電極は、特定ガス成分を分解する一方、水を分解しない温度範囲に制御している。」(請求人陳述書8頁12〜16行)
イ 本件発明の課題は
「【0005】
ところで、従来のガスセンサにおいては、センサ素子における、ポンプ電極、センサ電極等が設けられた温度検知部の全体が、ハウジングの先端面よりも先端側に突出する位置に配置されている。そして、センサ素子における、ポンプ電極及びセンサ電極が設けられた部位の周辺には、被測定ガスが衝突しやすい状態が形成されている。また、ガスセンサにおいては、ポンプセルのインピーダンスが温度によって変化することを利用して、センサ素子の温度の制御を行っている。具体的には、ポンプセルのインピーダンスに応じてポンプ電極の温度を制御することによって、センサセルの温度も間接的に制御している。そのため、被測定ガスが、センサ電極が設けられた部位の周辺に衝突しやすい状態が形成されていると、センサ電極の温度に変動が生じやすくなる。
【0006】
本発明は、かかる背景に鑑みてなされたもので、センサ電極の温度変動を抑えて、特定ガス成分濃度の検出精度を高めることができるガスセンサを提供しようとして得られたものである。」
とのことである。
ウ 段落[0005][0006]に記載の通り、請求項1に係る発明は、ポンプセルのインピーダンスに応じてポンプ電極の温度を制御することによって、センサ電極の温度を間接的に制御していることが前提のもと、特定ガス成分濃度の検出精度を高めるためにセンサ電極の位置を特定した発明である。課題も実施形態もこの前提を満たすセンサの記載しかなく、その他の形態(例えばセンサ電極の温度を直接制御する形態等)でもよいという記載もない。なお、請求項2から6においても、その他の形態でもよいことは一切記載されていない。
エ そのため、請求項1から6に係る発明は「ポンプ電極の温度を制御することによって、センサ電極の温度を間接的に制御しているセンサ」ではないセンサ、具体的には上記した「センサ電極の温度を直接制御しているセンサ」や「いずれの電極の温度制御も全く行わないセンサ」までも発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化できるとは言えない。そして、ポンプ電極の温度制御を行わない場合には、特定ガス成分濃度の検出精度がそもそも得られず、まして、ポンプ電極の温度制御を行わずにセンサ電極の位置を特定したとしても、特定ガス成分濃度の検出精度を高めるという効果が得られるとは言えない。(請求書27頁11行〜28頁11行)
本件特許は、センサ電極の温度変動を抑えて、特定ガス成分濃度の検出精度を高めることができるガスセンサを提供するものであるが、その大前提としてポンプセルを構成する電極(ポンプ電極)及びセンサセルを構成する電極(センサ電極)が適切に温度制御されることで初めてガスセンサとしての機能を発揮できることになる。本件特許の請求項1において、ポンプ電極とセンサ電極とが構成要件として特定されていることも両セルの機能が発揮されるには必要不可欠である。ポンプ電極及びセンサ電極が適切に温度制御されていなければ、両セルのそれぞれの機能が満たされず、ガスセンサとして機能しないことは言うまでもない。
エ このように温度制御がなされたとしても温度検知部の全体がハウジングの先端面よりも先端側に突出する位置に配置されていると、被測定ガスが、センサ電極が設けられた部位の周辺に衝突しやすくなってセンサ電極の温度変動が生じやすくなることが段落[0005]に記載されている。したがって、センサ電極の配置のみを工夫したところで、ポンプセルの温度制御が不適切に実行されてしまえば(ポンプ電極の温度変動が激しければ)、センサ電極の温度変動を抑えることはできないのは当然のこと、ガスセンサとして機能しないことになる。これでは発明の課題を解決できないことになる。(請求人陳述書8頁17行〜9頁3行、請求人上申書1スライド5頁)
オ してみると、請求項1から6に係る発明は「発明の課題が解決できることを当業者が認識できるように記載された範囲」を超えていると判断せざるを得ず、請求項1から6に係る発明は、本件特許明細書の発明の詳細な説明に発明として記載されたものを実質的に超えている。(請求書28頁12〜15行)

第4 被請求人の主張
被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求め、令和3年10月27日付け審判事件答弁書(以下「答弁書」という。)、令和4年1月21日付け口頭審理陳述要領書(以下「被請求人陳述書」という。)、令和4年2月4日付け上申書(資料1、2が添付されたもの。以下「被請求人上申書1」という。)、令和4年2月4日付け上申書(3頁からなるもの。以下「被請求人上申書2」という。)において、おおむね以下のとおり主張している。

1 無効理由1について
(1)請求人の甲1発明の認定の誤り
甲第1号証の[0145]には、「本発明は、酸素センサ、NOxセンサ、HCセンサに適用することもできる。」という記載はあるが、「NOxセンサ」は、他の「酸素センサ」及び「HCセンサ」と共に列挙されただけであり、実際にNOxセンサに適用した例は、甲第1号証には全く記載されていない。したがって、甲1発明を、基本構成が異なるNOxセンサに適用した場合において、本件特許の先行技術として関連するような構成のものになるかどうかは、当業者にとっても、容易に判断することはできない。(被請求人上申書1第2頁下から8行〜下から2行)
審判請求書第16頁下から第1行〜第17頁第11行に記載された、請求人が認定する甲1発明のうち、「上記固定電解質体の上記長手方向の先端部には、被検出ガスに晒されて被検出ガス中の酸素濃度を調整するためのポンプ電極と、被検出ガス中の特定ガス成分濃度を検出するためのセンサ電極とが設けられている」は、甲第1号証には、どこにも記載がなく、甲第2号証の記載から引用されたものである。甲第1号証に記載された発明である甲1発明の認定において、甲第1号証に記載のない構成を、あたかも記載されているように認定することは許されない。また、甲第1号証の[0147]の記載に基づいて、甲第2号証の記載のすべてが甲第1号証に記載されているのに等しいという請求人の認識(審判請求書第19頁日本語部分の第9行〜第15行)も誤りである。少なくとも甲1発明は、上記部分の「上記固定電解質体の上記長手方向の先端部には、被検出ガスに晒されて被検出ガス中の酸素濃度を調整するためのポンプ電極と、被検出ガス中の特定ガス成分濃度を検出するためのセンサ電極とが設けられていること」を除いて認定すべきである。(答弁書4頁下から3行〜5頁下から4行)

(2)本件発明1と甲1発明との相違点
本件発明1と甲1発明との相違点は、少なくとも、以下の3つが存在する。

(相違点1(改))
本件特許発明1は、「該センサ電極(23)の全体は、上記保護カバー(13A,13B)の外周部に形成されたすベての上記カバー導入孔(131,132)よりも上記長手方向(L)の基端側に位置している」のに対して、甲1発明(甲第1号証に)はそのような構成は記載されていない点で両者は相違している。

(相違点2(改))
本件特許発明1は、「上記センサ電極の上記長手方向の基端位置は、上記ハウジングの先端面よりも基端側に位置している」構成を備えるのに対して、甲1発明(甲第1号証に)はそのような構成は記載されていない点で両者は相違している。

(相違点3)
本件特許発明1は、「上記固体電解質体の上記長手方向の先端部には、被測定ガスに晒されて被測定ガス中の酸素濃度を調整するためのポンプ電極と、被測定ガスに晒されて上記ポンプ電極によって酸素濃度が調整された後の被測定ガス中の特定ガス成分濃度を検出するためのセンサ電極とが設けられ」ているのに対して、甲1発明(甲第1号証に)はそのような構成が記載されていない点で両者は相違している。
(答弁書5頁下から3行〜7頁2行)

(3)相違点2について
ア 相違点2は、「センサ電極の基端位置」と「ハウジング先端面」との位置関係に関する要件である。上述したように相違点3が存在するところ、請求人はこれを考慮せず、甲第2号証の記載が甲第1号証に記載されているに等しいとし、審判請求書第20頁の【0147記載構造】という図を創作して「センサ電極」を描き、それを根拠に、相違点2のように構成することは容易であると主張している。
しかしながら、【0147記載構造】は、甲第1号証のみならず、甲第2号証にも記載されておらず、明らかに、請求人が作り上げた創作図である。より詳しく見ると、ガス通気部123は、甲第1号証のFIG.2に示されたものと同じ形態で示されており、そこから所定間隔を開けて所定長さで「センサ電極」が追記されている。この図において、なぜ、ガス通気部123がそのままの形態で残されているのか、また、追記された「センサ電極」が、なぜその特定の位置にその特定の大きさで存在するといえるのか、その根拠となる記載はどこにもない。明確な根拠なく請求人が創作した【0147記載構造】を用いて、相違点2の容易性を主張することは不当である。(答弁書7頁3〜18行)

イ 請求人は、甲第2号証が甲第1号証に記載されているに等しいと扱う根拠として、甲第1号証の[0147]の記載をあげている(審判請求書第15頁第9行〜第13行)。[0147]の記載は、日本語訳で示すと、以下の通りである。
「実施形態及び変形形態では、ガス通気部123が、『検出素子120の内部に設けられたガス測定室と検出素子の外部とを繋ぐ通路に設けられた多孔質体』である場合を例示した。・・・さらに、本発明は、ガス通気部が、『検出素子の内部に設けられたガス測定室と検出素子の外部とを繋ぐ通路』である場合にも適用することができる。このような通路は、特開2011−227061号公報に対応する米国特許出願公開第2011/0233060号の図3に記載された外部連通部や、特開2008−298781号公報に対応する米国特許出願公開第2008/0296156号の図1に記載されたガス流通孔を含み、上記出願は、参照によりここに引用される。」(下線は被請求人が付加。)
この[0147]の記載のうち請求人が引用する部分は、当業者であれば自ずと理解できるように、甲第1号証において記載された「ガス通気部123」が「多孔質体」からなるものであるところ、この「多孔質体」に代えて、特開2011−227061号公報(甲第2号証)の図3に記載された「外部連通部」や、特開2008−298781号公報の図1に記載された「ガス流通孔」などの「通路」を採用してもよいことを説明している部分である。そして、最後の文章として、「上記出願は、参照によりここに引用される。」という記載があるが、これは、これら列挙した出願の記載のすべてが、そのまま甲1発明に組み込まれることを意味するものではない。上述したように、あくまでも、甲第1号証の「ガス通気部123」が「多孔質体」であるだけでなく、「外部連通部」等の「通路」であってもよいことを説明するために、甲第2号証を含む複数の文献を引用しているに過ぎない。
ここで、請求人が引用する甲第1号証は米国における公開特許公報であるが、甲第1号証が一つの特許出願として米国で審査される過程においては、いわゆる「Incorporated By Reference」に関する制度が考慮されることになると考えられる。「Incorporated By Reference」に関する制度(CFR1.57)は、被請求人の理解では、米国特許出願の出願人が不注意で明細書に書かなかった事項について、incorporated by referenceの表記で引用される先願に記載された内容に基づいて、米国に継続中の特許出願の明細書、特許請求の範囲等を補正することができる制度であって、補正によって組み込まれずに記載されなかった内容についてまで、記載されているに等しいと解釈するような制度ではない。したがって、米国の特許制度を考慮しても、甲第2号証の記載事項のうち、実際に甲第1号証に記載されていない事項については、これが甲第1号証に記載されているのに等しい、と扱うことはできない。
ましてや、この審判において準拠すべき法規は日本法であり、日本の特許制度において、外国の公開特許公報中に先願を引用するという表記があったとしても、当該公報に実際に記載されていない内容まで記載されているに等しいと扱うべき規定や判決例は存在しないと被請求人は理解している。(答弁書7頁18行〜9頁7行)
したがって、甲第1号証の[0147]の記載における甲第2号証に関する記載は、あくまでも実際に記載された「図3に記載された外部連通部」が、甲第1号証の多孔質体からなるガス通気部123の変形例となりうることを示すのみであり、その他の記載が甲第1号証に記載されているに等しいと扱うことはできず、それを正当化する根拠は見当たらない。それ故、「図3に記載された外部連通部」以外の事項についてまでも、甲第2号証の記載が甲第1号証に記載されているに等しいという誤った前提に基づく請求人の主張は、すべて失当である。(答弁書9頁8〜14行、被請求人上申書1第2頁10−16行)

ウ 請求人は、審判請求書第19頁の日本語部分第1行〜第6行において「また、甲1発明のガスセンサはNOxセンサに適用できる旨が記載されており(段落[0145]参照)、甲1発明の効果(上述のガスセンサでは、良好な応答性を得ることができる。)と甲2発明の効果(上記のガスセンサでは、測定精度が安定的に保たれる。)は、いずれもガスセンサの品質向上を目的とした効果という点で共通している。したがって、甲1発明のガスセンサをNOxセンサに適用する際、一定の品質を担保するにあたって甲2発明を甲1発明に適用することは当業者にとって容易である。」と主張している。
しかしながら、甲1発明の「良好な応答性」という作用効果(課題)と、甲第2号証の「測定精度を安定的に保つ」という作用効果(課題)とは、技術的に見れば異質の概念であり、両者が作用効果(課題)において共通するとまでは言えない。具体的に言えば、甲第2号証は、段落[0006]〜[0009]及び[0072]等に記載されているように、水の付着によって生じるセンサ素子の亀裂が測定精度を低下させてしまう点を課題とし、亀裂を抑制することにより亀裂を原因とする測定精度の低下を抑制するものである。このような課題及び作用効果は、甲1発明の「良好な応答性を得る」という作用効果(課題)とは次元の異なるものと言える。したがって、課題及び作用効果の観点から、甲1発明に甲第2号証に記載の発明を適用する動機づけも存在しない。甲第2号証は、上述したように、甲1発明のガス通気部の変形例として採用しうる「外部連通部」を示すにとどまり、甲第2号証に記載された測定電極44と外部連通部11の位置関係が甲1発明に適用される動機づけはない。(答弁書9頁15行〜10頁9行)
仮に、甲第2号証を参照し、甲第1号証の[0147]において引用されている「外部連通部」を採用したとしても、上述したように、【0147記載構造】において追記された「センサ電極」が、なぜその特定の位置にその特定の大きさで存在するといえるのか、その根拠となる記載はどこにもない。多孔質体のガス通気部123を「外部連通部」に置き換える際に、ガス通気部123の形態をそのままとする一方、甲1発明において全く着目されず図示もされていない「センサ電極」が【0147記載構造】において突如現れ、特定の位置に特定の大きさで配置される根拠や動機づけは、やはりどこにも存在しない。(答弁書10頁11〜18行、被請求人上申書1第2頁末行〜3頁6行)
むしろ、請求人は、審判請求書第20頁の【0147記載構造】の直下の説明文において、甲1発明に甲第2号証の図3を含む図1から図4に記載の構成を適用した場合には、相違点2の構成に至らないことを自認している。すなわち、請求人は、「なお、甲第2号証の図1から図4に記載の外部連通部11はセンサ素子101の先端面に開口しているのに対して、甲第1号証のFIG.2に記載のガス通気部123は側面に開口しており、両者は開口の位置が異なるため、甲2発明を甲1発明に適用しても相違点2の構成に至らないとも思われる。」と主張している。(答弁書10頁下から9行〜下から3行)
甲第1号証の[0147]の記載は、甲第2号証の「図3に記載された外部連通部」をガス通気部123に適用できるという記載であるが、図3(図1及び図2の関連図面)には、検出素子の先端に開口する外部連通部11と、検出素子の内部に設けられた測定電極44(センサ電極)とが記載されている。
請求人が主張するように甲2発明全体を甲1発明の図2の検出素子に適用しようとすると、当業者であれば、まず、ガス通気部123を検出素子の先端面に配置させようとするのが自然である。請求人がそのようにしないのは、甲2発明の図3の構成をそのまま適用すると、甲1発明の要件を具備しなくなり、甲1発明を主引例として利用する理由がなくなってしまうからだと思われる。このことは、審判請求書の第20頁の請求人の記載からも理解できる。(被請求人上申書1第3頁7〜16行)
さらに、請求人は、上記の自認事項を前提として、甲第1号証においては言及のない甲第2号証の図5及び図6の記載から、相違点2のように構成することは容易である旨主張している。しかしながら、依然として、【0147記載構造】において、特定の位置に特定の大きさで追加された「センサ電極」を含む特定の構成が、どのようにして導き得るのか、その根拠は全く示されていない。(答弁書10頁下から2行〜11頁3行)
また、請求人が図3に代えて引用しようとする甲第2号証の図5及び図6に示された外部連通部12の開口部12aは、少なくともその形態や寸法が甲1発明のガス通気部123と比べて大きな差があるように思われる。具体的には、外部連通部12の開口部12aは、甲1発明のガス通気部123に比べて非常に小さい(長さが短い)形態をしている。このような甲2発明の外部連通部12を参酌しながら、甲1発明を全領域空燃比センサからNOxセンサに変更する場合に、そして、併せて、ガス通気部123を多孔質体から単なる空洞に変更する場合に、もとの形態や寸法をそのままにできるという技術的な根拠は不明である。
また、甲第2号証の「外部連通部11」だけでなく、請求人がNOxセンサの周知技術として追加で提出した甲第3号証及び甲第4号証には、ガス通気部123に相当する、「多孔質拡散抵抗11」(甲第3号証)及び「拡散抵抗部3」(甲第4号証)が示されている。
少なくともこれらのNOxセンサにおいては、検出素子内に導入される被測定ガスの「拡散抵抗」という技術的な観点から、被測定ガスの通路の寸法等が規定されることが、甲第2号証だけでなく、甲第3及び4号証にも記載されている(甲第2号証:請求項1その他多数箇所、甲第3号証:請求項1その他多数箇所、甲第4号証:請求項1その他多数箇所)。
NOxセンサの「ガス通気部」を設計するにあたって「拡散抵抗」を考慮することは、甲第2〜4号証の全てに記載されていることから明らかなように、当業者にとって周知の技術であり、この周知技術を参酌すれば、少なくともNOxセンサにおいては、ガス通気部123に相当する部分の寸法は、「拡散抵抗」という技術的な観点から決定される重要な項目であることが理解できる。また、拡散抵抗を考えたとき、多孔質体で構成される場合と単なる空洞で構成される場合とでは、拡散抵抗が同じでないであろうことは、当業者であれば容易に想像できる。
これらの技術的な事項を考慮すると、請求人が主張するように、甲2発明全体を適用して、甲1発明の図2の構成を、センサ電極を有するNOxセンサに変更しようとする場合には、多孔質体のガス通気部123を甲2発明の外部連通部11と同様の空洞の構成にするだけでなく、甲2発明の重要な技術的特徴として記載された、適切な「拡散抵抗」を実現するための最も重要な事項、すなわち、検出素子内の内部空間の寸法等に基づいて、ガス通気部123の厚みや幅を決定するということ(甲第2号証の【0035】〜【0038】、【0085】、【0091】〜【0094】及び【0103】〜【0104】等参照。)を、十分に考慮する必要がある。しかし、甲第1号証には、検出素子内の内部空間の寸法等の開示がなく、変更すべき空洞のガス通気部123の厚みや幅を決定することは不可能である。また、それが故に、変更すべき空洞のガス通気部123の配設位置を決定することも不可能である。甲2発明全体を適用するのであれば、甲2発明における重要な技術的思想を無視することは許されず、少なくとも、その技術思想を満たすガス通気部の大きさや位置を決定する必要がある。しかし、甲第1号証には、根拠となる内部空間の寸法等がまったく記載されておらず、これらを決定することができない。
甲1発明の図2の構成に、NOxセンサ用の新たな空洞のガス通気部123の形態や大きさ、配設位置が特定できなければ、センサ電極の具体的な位置を特定することもできない。すなわち、甲1発明に甲2発明全体を適用しようとしても、【0147記載構造】を導くことは、当業者であっても決して容易ではない。(被請求人上申書1第3頁17行〜5頁8行、被請求人上申書2第2頁10行〜下から3行)
結局のところ、請求人は、相違点2の「上記センサ電極の上記長手方向の基端位置は、上記ハウジングの先端面よりも基端側に位置している」という本件特許発明の構成を知り得た後に、その知恵(後知恵)に基づいて【0147記載構造】を導いたとしか考えられない。このような「後知恵」に基づく請求人の主張は失当である。
本件発明1は、本件特許明細書段落[0005]〜[0006]に記載されているように、「被測定ガスの衝突によるセンサ電極の温度変動を抑えて、特定ガス成分濃度の検出精度を高めることができるガスセンサを提供」することを課題としたものであり、その課題を解決する手段として、「センサ電極」と「カバー導入孔」及び「ハウジング先端面」との位置関係に着目し、甲第1号証にも甲第2号証にも記載がない新規な特定の位置関係(上記C要件(相違点1及び相違点2))を積極的に採用することにより完成させた発明である。
これに対して、甲第1号証及び甲第2号証には、いずれにも、【0147記載構造】についての記載がないだけでなく、本件発明1の上記課題に関する記載も示唆もなく、また、「センサ電極」と「カバー導入孔」及び「ハウジング先端面」との位置関係に着目すべきことについても記載も示唆もないのである。
したがって、仮に、甲第1号証と甲第2号証とを組合わせる動機があるとした場合であっても、甲第1号証及び甲第2号証に本件発明1の課題の記載は無いことから本件発明1の課題を導き出すことは容易ではない。さらに、この課題を解決するための、本件発明1の「センサ電極」と「カバー導入孔」及び「ハウジング先端面」の新規な特定の位置関係を導くことも、そのような位置関係を選択する動機もないことから容易ではないのであるから、甲第1号証と甲第2号証から相違点2の構成を導くことは容易ではない。
以上のように、相違点2の構成は容易に導くことはできず、請求人の主張は失当である。(答弁書11頁4行〜12頁1行)

(4)相違点1について
ア 相違点1は、「センサ電極全体」と「すべてのカバー導入孔」との位置関係に関する要件である。請求人は、この相違点1に関しても、審判請求書第20頁下から第4行〜第24頁第8行において、【検出素子短縮構造】を作成し、これをもとに相違点1の構成が容易に想起できる旨を主張している。しかしながら、甲1発明から請求人の言う【検出素子短縮構造】を導くことは、当業者にとってけっして容易とは言えない。(答弁書12頁3〜8行)

イ 請求人は、審判請求書第20頁下から第4行〜第21頁の引用英文の下の第4行において、「つまりは『ガス通気部123の一部が、ガス導入孔167の先端の位置L2と基端の位置L3との間の範囲に重なるように配置する』ことを示しており、この範囲内であれば、ガス通気部123を先端側や基端側に位置させたとしても、甲第1号証の効果を得られることを示唆している。」(下線は被請求人が付加。)と主張し、【検出素子短縮構造】において、ガス通気部123の先端側のほんの一部のみが、ガス導入孔167の基端側の一部に対向する構成を導いている。この構成において、軸方向に直交する方向で見ると、ガス通気部123がガス導入孔167と対向する領域は、図面上で測定すると、わずか0.6%程度である。
しかしながら、請求人による、上記下線部の主張、つまり、ガス通気部123がガス導入孔167と対向する領域がわずか0.6%程度であっても甲1発明の効果が得られることの記載は、甲第1号証のどこにも見つけることができない。少なくとも、甲第1号証に記載されたFIG.1〜FIG.9に実際に示されているガス通気部123とガス導入孔167との位置関係は、その全てが、ガス通気部123の先端123bがガス導入孔167の先端167bよりも先端側に位置し、かつ、ガス通気部123の基端123cがガス導入孔167の基端167cよりも先端側に位置する構成を採用し、しかも、軸方向に直交する方向でみた重なり領域は、図面上で測定すると、すべて、ガス通気部123の全長の67%〜87%の範囲内となっている。つまり、甲第1号証においては、ガス通気部123の全長寸法の大半がガス導入孔167に対面し、かつ、軸方向でみればその対面状態を維持ししたまま、相対的にガス通気部123がガス導入孔167よりも先端側にシフトした構成を採用している。この構成は、甲第1号証のFIG.3、FIG.6及びFIG.9に表された排気ガスGの流れ方、すなわち、ガス導入空間S2から、ガス導入孔167を介してプロテクタ160(260、360)内に導入された排気ガスGが、これらの図に矢印Gで描かれているように、検出素子120に沿って、基端側から先端側に流れることを甲1発明の特徴とし、その排気ガスGがその流れに沿ってスムーズにガス通気部123に導入されることを期待したものと言える。(答弁書12頁9行〜13頁10行)
請求人が審判請求書(第24頁第1〜第4行)で主張しているように、甲1発明の作用効果を得るには、「検出素子(120)のガス通気部(123)の周囲において、排ガス(G)の流れが整流(層流)になる。」という作用が生じることが必須である。しかし、当業者であれば、【検出素子短縮構造】において、排ガスの流れがそのようになることは考えにくいと解するのが自然である。これは、甲第1号証の図3に示された排ガス(G)の流れ方を見れば、一目瞭然である。(被請求人上申書1第6頁下から8行〜下から3行)
このことを裏付ける記載は、甲第1号証の[0100]〜[0106]等にある。
上記の甲第1号証の記載から明らかなように、甲1発明においては、FIG.3に示された矢印Gの流れに沿って排気ガスGが流れることを前提とし、上記のように、ガス通気部123の周囲においては、軸方向基端側から先端側に向かって整流(層流)となって排気ガスGが流れることにより、排気ガスGをスムーズにガス通気部123を通過させることを可能とし、これによって、良好な応答性を得ていることが明らかである。そして、この甲1発明の作用効果を得るためには、排気ガスGが軸方向基端側から先端側に向かって整流(層流)となって流れる位置に、ガス通気部123を配置することが必須構成となる。
ここで、請求人が示す【検出素子短縮構造】をあらためて見てみると、上述したように、ガス通気部123が、ガス導入孔167に対向する部分をほんの僅かしか持たない状態で、ほとんどその全体がガス導入孔167よりも基端側に位置している。(答弁書13頁11行〜15頁11行)
排ガス(G)の流れは、内側プロテクタ160、外側プロテクタ170、及びこれに設けられたガス導入孔167、177、ガス排出孔166、176の配置や形状等により決定され、これらが変更されていない【検出素子短縮構造】においては、図3に記載された排ガス(G)の流れとほぼ同じ流れが生じると解される。そうすると、【検出素子短縮構造】におけるガス通気部123の周囲において、「排ガス(G)の流れが整流(層流)になる。」という状況が生じることを想像することは非常に困難である。(被請求人上申書1第8頁1〜7行)
このような位置関係においては、例えば甲第1号証のFIG.3に示された矢印Gに沿って排気ガスGが流れると、ガス導入孔167から導入された後、ほとんどガス通気部123に接することなく先端側に流れ、外部に排出されることとなる。これでは、甲1発明の課題である良好な応答性が得られるとは到底考えられない。(答弁書15頁11〜15行)
それにもかかわらず、請求人の主張は、技術的な観点からの説明を避け、甲1発明に関する作用効果の記載を、あたかも、それとは構造が異なる【検出素子短縮構造】の作用効果であるかのように扱うのみであり、全く説得力に欠ける。
作用効果の面からみても、当業者が、甲1発明の変形例として【検出素子短縮構造】を選択することが容易ではないことは、明らかである。(被請求人上申書1第8頁8〜12行、被請求人上申書2第3頁4〜7行)
また、矢印Gの流れをとらず、ガス導入孔167から導入された排気ガスGが、一旦、基端側に流れた後にUターンして先端側に流れることを想定すると、排気ガスGがガス通気部123の周囲を流れることにはなるが、この場合、基端側に流れる排気ガスGとUターンして先端側に流れる排気ガスGとが交じることとなり、上記記載にあるような整流(層流)が実現されるとは考えられない。そして、このような排気ガスGの流れとなった場合に、甲1発明の課題である良好な応答性が得られるとは到底考えられない。甲1発明の作用効果を考慮すると、当業者が、甲1発明の変形例として、【検出素子短縮構造】に示されたような位置関係を選択する可能性は低く、むしろこの構成を避ける方が自然であると解される。(答弁書15頁16行〜下から3行)

ウ 請求人は、甲第1号証の[0009]の記載を根拠に、【検出素子短縮構造】が得られる旨を主張している(審判請求書第21頁〜第22頁)。しかし、甲第1号証の[0009]の記載は、甲1発明の課題の前提を記載している部分であり、すでに甲1発明において解決している部分である。甲1発明の課題は、甲第1号証の[0009]〜[0013]に記載されている。
要約すると、コストの観点から検出素子を短縮することが求められているところ(前提の課題)、検出素子を短縮すると、検出素子の検出部の少なくとも一部が金属シェルの先端よりも基端側に位置することとなるが、そのような構成とすると、応答性が低下する虞がある。そこで、検出素子を短縮して、検出素子の検出部の少なくとも一部が金属シェルの先端よりも基端側に位置する構成(前提の課題を解決した構成)を採用した場合であっても、良好な応答性を発揮しうる、ガスセンサを提供することを、甲1発明の課題としている。
甲1発明は、検出素子を短縮することによって導かれる「検出素子の検出部の少なくとも一部が金属シェルの先端よりも基端側に位置する構成」(前提の課題を解決した構成)を備えることを前提としたものであり、例えばFIG.2に記載された構成が、いわば真の<検出素子短縮構造>を備えたものというべきものである。そして、甲第1号証の記載を見ても、甲1発明の構成よりもさらに検出素子を短くすることへの要請やその示唆は、一切記載されていない。したがって、請求人の【検出素子短縮構造】を導く動機づけは、そもそも、甲第1号証には存在しない。(答弁書15頁下から2行〜16頁下から3行)
さらに、【検出素子短縮構造】は、請求人の主張から明らかなように、甲第1号証の図2に記載されたセラミックリング133を基端側へ移動するという大きな構造的変更を行う必要がある。甲1発明は、過去の課題である素子の短縮化を解決した発明であることは明らかであるが、さらに素子を短縮化する動機づけは、甲第1号証のどこにも記載されていない。
また、そのようなさらなる短縮化を実施するために、「セラミックリング133を基端側へ下げる」という大きな設計変更を行うことの動機づけも、甲第1号証には記載されていない。(被請求人上申書1第6頁6〜13行、被請求人上申書2第2頁下から2行〜3頁3行)

エ 【0147記載構造】が、上述したように「後知恵」に基づくものであるのと同様に、これを基礎として用い、さらに「後知恵」を重ねて創作したのが【検出素子短縮構造】であるといえる。そして、後知恵に基づく進歩性否定の論理づけは、成立し得ない。(答弁書17頁下から2行〜18頁2行、被請求人上申書1第8頁16〜20行、被請求人上申書2第4頁3〜7行)
本件特許発明1の「被測定ガスの衝突によるセンサ電極の温度変動を抑える」という課題も、「センサ電極」と「カバー導入孔」及び「ハウジング先端面」との位置関係として、従来にない特定の位置関係を積極的に採用するという解決手段についても、甲第1号証及び甲第2号証には、その記載も示唆もなく、これらを導く動機づけも存在しない。したがって、甲第1号証及び甲第2号証を参照したとしても、相違点1の構成を容易に導くことはできない。(答弁書18頁3〜9行)

オ 以上のように、相違点1の構成は、容易に導くことはできず、請求人の主張は失当である。(答弁書18頁10〜11行)

(5)上述したように、本件特許発明1と甲1発明との間に存在する相違点1及び相違点2の構成については、いずれも当業者が容易に導くことができないものであり、相違点3の検討をするまでもなく、本件特許発明1は進歩性を有するものである。
本件特許発明2〜6は、上記のごとく進歩性を有する本件特許発明1を引用し従属する発明であり、当然に進歩性を有している。
したがって、無効理由1(進歩性欠如)は理由がない。(答弁書18頁12〜18行)

2 無効理由2について
(1)本件明細書の「背景技術」の【0002】には、「ポンプセルを構成する電極及びセンサセルを構成する電極は、適切な温度範囲内に制御する必要がある。」ことが記載されており、【0003】には、「特許文献1においては、外側ガス導入孔から外側保護カバー内に導入された被測定ガスが内側ガス導入孔を通過する流速が低減されることにより、保護カバー内への被測定ガスの進入によるセンサ素子の温度変動を抑えている。」ことが記載されている。そして、これらの流れをうけて、【0005】が記載されている。(被請求人陳述書3頁8〜14行)
「ガスセンサにおいては各電極が機能する適正な温度範囲内に制御することが大前提となること」については、本件特許明細書【0002】にも記載されているように普通に実施される技術常識であり、当業者であれば、ガスセンサの発明を考えるとき、この「大前提」を前提として考えるのは当然であり、請求項1に電極の温度制御の要件の記載がなくてもそのことに影響を与えることはない。(被請求人上申書1第9頁5〜10行、被請求人上申書2第4頁14〜15行)

(2)【0005】の前段には、「ところで、従来のガスセンサにおいては、センサ素子における、ポンプ電極、センサ電極等が設けられた温度検知部の全体が、ハウジングの先端面よりも先端側に突出する位置に配置されている。そして、センサ素子における、ポンプ電極及びセンサ電極が設けられた部位の周辺には、被測定ガスが衝突しやすい状態が形成されている。」と記載されている。この記載は、背景技術の【0002】及び【0003】に記載されていない、新たに着目した構造的な課題に関する記載といえる。(被請求人陳述書3頁15〜21行)
次に、【0005】の中段には、「また、ガスセンサにおいては、ポンプセルのインピーダンスが温度によって変化することを利用して、センサ素子の温度の制御を行っている。具体的には、ポンプセルのインピーダンスに応じてポンプ電極の温度を制御することによって、センサセルの温度も間接的に制御している。」と記載されている。この記載は、背景技術の【0002】の記載に関連して、電極を適切な温度範囲内に制御する方法の具体例を例示しているものと言える。そして、これにより、電極の基本的な温度制御が可能であるところ、実際には、上述した前段で新たに着目した構造的な課題が存在すれば、たとえ温度制御をしていたとしても、電極の温度変動が生じやすいことは避けられないことを、【0005】の後段で記載している。(答弁書19頁10〜13行、被請求人陳述書3頁下から6行〜4頁4行)
また、「(高温の)被測定ガスが、センサ電極が設けられた部位の周辺に衝突しやすい状態が形成されていると、センサ電極の温度に変動が生じやすくなる。」という現象は、センサ電極の温度制御の有無に関係なく、当然起こりうる、自然法則に基づく現象であり、このことは、当業者であれば、容易に理解することができる。(答弁書19頁17〜21行)

(3)つまり、本件特許の背景技術及び課題は、電極を適切な温度範囲に制御することが必要(【0002】)→特許文献1のような構造的な工夫で温度変動抑制する技術もある(【0003】)→ポンプ電極及びセンサ電極が設けられた部位の周辺には、被測定ガスが衝突しやすい状態が形成されているという新たな構造的な課題への着目(【0005】前段)→(背景技術に戻って考えると)例えばポンプセルのインピーダンスを用いた制御によるセンサ電極の温度制御方法もある(【0005】中段)→「そのため」→(基本的な適正温度制御は可能であるものの、新たに着目した構造的な課題、つまり、)被測定ガスが、センサ電極が設 けられた部位の周辺に衝突しやすい状態が形成されていると、センサ電極の温度に変動が生じやすくなる(【0005】後段)、という流れで記載されていると解するのが自然である。(被請求人陳述書4頁5〜15行)
そして、本件発明の目的(課題)は、【0006】に、「センサ電極の温度変動を抑えて、特定ガス成分濃度の検出精度を高めることができるガスセンサを提供」することと明記されており、センサ電極の温度制御の有無及び方式を問題にするような記載は一切ない。(答弁書19頁下から7行〜下から4行)
【0006】の「かかる背景」については、【0005】の上記記載を受けたものであり、具体的には、後段の「被測定ガスが、センサ電極が設けられた部位の周辺に衝突しやすい状態が形成されていると、センサ電極の温度に変動が生じやすくなる」という背景を示している。さらに補足すれば、本件発明は、従来から公知のセンサ電極の温度制御を採用していたとしても、構造的な課題(被測定ガスが、センサ電極が設けられた部位の周辺に衝突しやすい状態が形成されていると、センサ電極の温度に変動が生じやすくなる。)が存在すれば、特定ガス成分濃度の検出精度をさらに高めることが困難であるという背景に基づいて、問 題となる構造的な課題を、まさに構造的に解決しようとしたものである。上述した本件の背景技術と課題の流れから見てもこのように解するのが自然である。(被請求人陳述書4頁下から5行〜5頁5行)

(4)そもそも、本件発明は、請求項1〜6及び明細書全体の記載から理解できるように、センサ電極の温度制御の有無及び方式の違いを問わず、センサ電極と他の部分との位置関係「構成(配置)」を工夫することによって、センサ電極の温度変動を抑え、検出精度を高めているものである。この「構成(配置)」による作用効果は、センサ電極の温度制御の有無及び方式の違いにかかわらず、この「構成(配置)」を採用さえすれば、自ずと追加される作用効果である。このことは、当業者であれば、特段の説明を加えなくても理解できることである。(答弁書19頁下から3行〜20頁4行)
この構造的な課題を構造的に解決することについては、当業者であれば容易に理解することができる。そして、相違点1及び相違点2に相当する構成を具備しない従来技術とこれらを備える本件特許発明1とが、電極温度制御として同じものを採用していた場合には、それがいかなる方式であったとしても、本件特許発明1の方が、構造的な点から、相対的に、従来技術よりも、センサ電極の温度の変動を抑制することができ、より高い検出精度を得ることができるということを、当業者であれば容易に理解できるはずである。(被請求人上申書1第9頁16行〜下から7行、被請求人上申書2第4頁15行〜下から5行)

(5)したがって、請求人の主張する無効理由2(サポート要件違反)は、理由がない。(答弁書20頁5〜6行)

第5 当審の判断
1 証拠の記載事項
(1)甲1について
ア 甲1には、以下の記載がある(下線は当審で付加した。以下同様。)。
(甲1−ア)「BACKGROUND OF THE INVENTION
[0001] 1. Field of the Invention
[0002] The present invention relates to a gas sensor including a detection element which is exposed to a gas-to-be-detected in order to detect a particular gas component contained in the gas-to-be-detected.
[0003] 2. Description of the Related Art
[0004] A gas sensor has conventionally been known which is attached to an exhaust pipe of an automobile or the like. The gas sensor includes a detection element which generates an electromotive force whose magnitude changes in accordance with the concentration of a particular gas, such as NOx (nitrogen oxides) or oxygen, contained in a gas-to-be-detected (exhaust gas), or which changes as the resistance of the detection element changes in accordance with the concentration of the particular gas. Patent Documents 1 and 2 disclose such a gas sensor which includes a detection element extending from a base end side toward a forward end side in an axial direction thereof; a tubular metallic shell which surrounds the circumference of the detection element; and a tubular protector (inner protector) provided on the forward end side of the metallic shell and surrounding the circumference of a forward end portion of the detection element.
[0005] The forward end portion of the detection element has a detection section which has a gas passage portion which allows the gas-to-be-detected to pass therethrough. The above-described gas sensor detects a particular gas component contained in the gas-to-be-detected which is introduced into the interior of the detection element through the gas passage portion of the detection section. The protector (the inner protector) has gas introduction holes which are located on the base end side with respect to the forward end of the detection element and which introduces the gas-to-be-detected from the outside of the protector into the interior of the protector, and a gas discharge hole which is located on the forward end side with respect to the forward end of the detection element and which discharges the gas-to-be-detected from the interior of the protector to the outside of the protector. Notably, the forward end portion of the detection element projects forward from the metallic shell such that the entire gas passage portion is located on the forward end side with respect to the forward end of the metallic shell.
[0006] [Patent Document 1] Japanese Patent Application Laid-Open (kokai) No. 2009-97868
[0007] [Patent Document 2] DE 10 2008 041 038 A1
[0008] 3. Problems to be Solved by the Invention
[0009] In recent years, there has been demand to decrease the length of the detection element so as to reduce cost. This is because the amount of platinum used to form electrodes, lead portions, etc., on the detection element can be reduced by decreasing the length of the detection element. In the case where the length of the detection element is decreased in the gas sensor disclosed in Patent Document 1, a forward end portion (a portion where a gas passage portion is provided) of the detection element is preferably located closer to the base end side (the side toward the metallic shell), while a rear end portion (a portion where connection pads are provided) of the detection element is arranged as far as possible from the forward end of the metallic shell. This is because, if connection terminals connected to the connection pads provided on the base end portion of the detection element are too close to the forward end of the gas sensor, the connection terminals deteriorate due to the influence of heat from the exhaust pipe, and the reliability of electrical continuity between the connection pads and the connection terminals is more likely to decrease.
[0010] In order to overcome such a drawback, in the gas sensor disclosed in Patent Document 1, a portion of the detection element located on the forward end side thereof is shortened such that at least a portion of the detection section (the gas passage portion) of the detection element is disposed on the base end side with respect to the forward end of the metallic shell. In this case, the detection section (the gas passage portion) of the detection element is disposed on the base end side with respect to the gas introduction holes of the inner protector. Incidentally, the gas-to-be-detected having been introduced into the interior of the inner protector through the gas introduction holes of the inner protector flows toward the forward end side, and is discharged to the outside through the gas discharge hole provided on the forward end side of the inner protector. Therefore, if the gas sensor of Patent Document 1 is configured such that at least a portion of the detection section (the gas passage portion) of the detection element is located on the base end side with respect to the forward end of the metallic shell, it is difficult for the gas-to-be-detected to flow along the detection section (the gas passage portion), and, as a result, the responsiveness of the gas sensor may deteriorate.
[0011] Meanwhile, in the gas sensor disclosed in Patent Document 2, a gas introduction space is formed on the forward end side of the interior of the metallic shell. The gas introduction space is concave toward the base end side. By virtue of this configuration, in the gas sensor disclosed in Patent Document 2, the gas-to-be-detected is introduced into the gas introduction space inside the metallic shell through the gas introduction holes of the inner protector, and then flows toward the forward end side. Therefore, in the gas sensor disclosed in Patent Document 2, even when at least a portion of the detection section (the gas passage portion) of the detection element is disposed on the base end side with respect to the forward end of the metallic shell, after being introduced into the gas introduction space inside the metallic shell through the gas introduction holes of the inner protector, the gas-to-be-detected can flow along the detection section (the gas passage portion) of the detection element.
[0012] However, in the gas sensor disclosed in Patent Document 2, since the gas-to-be-detected is introduced into the gas introduction space inside the metallic shell after passing through the gas introduction holes of the inner protector, conceivably, the gas-to-be-detected flows turbulently in the gas introduction space. Therefore, the gas-to-be-detected flows turbulently around the forward end portion of the detection element as well, and the gas-to-be-detected may fail to smoothly flow along the detection section (the gas passage portion). Therefore, the responsiveness of the gas sensor disclosed in Patent Document 2 is also susceptible to deterioration.
(当審訳:発明の背景
[0001] 1.発明の技術分野
[0002] 本発明は、被測定ガス中の特定ガス成分を検出するために被測定ガス中に晒される検出素子を備えるガスセンサに関する。
[0003] 2.関連技術の説明
[0004] 従来、自動車の排気管等に取り付けられて使用されるガスセンサが知られている。そのようなガスセンサは、被測定ガス(排気ガス)中のNOx(窒素酸化物)や酸素のような特定ガスの濃度に応じて、大きさの異なる起電力を発生する検査素子を備える。又は、特定ガスの濃度変化に応じて検出素子の抵抗値が変化する検出素子を備える。特許文献1及び2は、このようなガスセンサを開示しており、それらは、軸線方向の基端側から先端側に延びる形態をなす検出素子、検出素子の周囲を取り囲む筒状の金属シェル、及び金属シェルの先端側に設けられるとともに検出素子の先端部の周囲を取り囲む筒状のプロテクタ(内側プロテクタ)を備える。
[0005] 検出素子の先端部は、被測定ガスの通気を許容するガス通気部を有する検出部を備える。上述のガスセンサでは、検出部のガス通気部を通じて検出素子内に取り込まれた被測定ガス中の特定ガス成分を検出する。プロテクタ(内側プロテクタ)は、検出素子の先端よりも基端側に位置して被測定ガスを自身の外部から内部に導入するガス導入孔と、検出素子の先端よりも先端側に位置して被測定ガスを自身の内部から外部に排出するガス排出孔を有する。特に、検出素子の先端部は、ガス通気部全体が金属シェルの先端よりも先端側に位置するように、金属シェルから先端側に突出している。
[0006] [特許文献1]特開2009-97868号公報
[0007] [特許文献2]DE 102008041038 A1
[0008] 3.発明が解決しようとする課題
[0009] 近年、コスト低減のため、検出素子の長さを短縮することが求められている。検出素子の長さを短縮することで、検出素子に設けられる電極やリード部等を構成する白金の使用量を削減できるからである。特許文献1に開示されているガスセンサにおいて、検出素子の長さを短くする場合には、検出素子の先端部(ガス通気部が配置されている部位)を基端側に近づけるように(金属シェルに向かう側)配置するのが好ましい。一方で、検出素子の基端部(接続パッドが設けられている部位)はできる限り金属シェルの先端から遠ざけるように配置される。これは、検出素子の基端部に設けられている接続パッドに接続する接続端子を、ガスセンサの先端に近づけすぎると、排気管からの熱の影響で接続端子が劣化し、接続パッドと接続端子との電気的導通の信頼性が低下しやすくなるからである。
[0010] 係る障害を克服するために、特許文献1に開示されているガスセンサにおいて、検出素子の先端側に位置する検出素子の一部を短縮すると、検出素子の検出部(ガス通気部)の少なくとも一部が金属シェルの先端よりも基端側に配置される。この場合、検出素子の検出部(ガス通気部)は、内側プロテクタのガス導入孔よりも基端側に配置されることになる。ところで、内側プロテクタのガス導入孔を通じて内側プロテクタの内部に導入された被測定ガスは、先端側に流れてゆき、内側プロテクタの先端側に配置されているガス排出孔を通じて、外部に排出される。このため、特許文献1に開示されているガスセンサにおいて、検出素子の検出部(ガス通気部)の少なくとも一部が金属シェルの先端よりも基端側に位置すると、被測定ガスが、検出部(ガス通気部)に沿って流れることが困難となり、その結果、ガスセンサの応答性が低下するおそれがあった。
[0011] 一方、特許文献2に開示されているガスセンサでは、金属シェルの内部の先端側に、ガス導入空間を形成している。ガス導入空間は、基端側に向かって凹んでいる。この形状の効果により、特許文献2に開示されているガスセンサでは、被測定ガスは、内側プロテクタのガス導入孔を通じて、金属シェル内のガス導入空間内に導入され、その後、先端側に流れてゆく。このため、特許文献2に開示されているガスセンサでは、検出素子の検出部(ガス通気部)の少なくとも一部が金属シェルの先端よりも基端側に配置される場合でも、内側プロテクタのガス導入孔を通じて、金属シェル内のガス導入空間内に導入された後、被測定ガスは、検出素子の検出部(ガス通気部)に沿って流れることが可能となる。
[0012] しかしながら、特許文献2に開示されているガスセンサでは、被測定ガスが、内側プロテクタのガス導入孔を通過した後、金属シェル内のガス導入空間内に導入されることから、被測定ガスはガス導入空間内で乱流になると考えられる。このため、被測定ガスは検出素子の先端部の周囲においても乱流状態になり、被測定ガスは、スムーズに検出部(ガス通気部)に沿って流れることができなくなると考えられる。このため、特許文献2に開示されているガスセンサでも、応答性が低下するおそれがあった。)

(甲1−イ)「SUMMARY OF THE INVENTION
[0013] The present invention was made to solve the above problems, and an object thereof is to provide a gas sensor which has excellent responsiveness in spite of at least a portion of a detection section of a detection element being located on the base end side with respect to the forward end of a metallic shell.
[0014] The above object of the invention has been achieved by providing (1) a gas sensor comprising a detection element which extends from a base end side to a forward end side in an axial direction, which detects a particular gas component contained in a gas-to-be-detected, and which has a detection section on the forward end side; a tubular metallic shell which surrounds a circumference of the detection element; and a tubular protector which surrounds a circumference of a forward end portion of the detection element. The protector has a gas introduction hole located on the base end side with respect to a forward end of the detection element and which introduces the gas-to-be-detected from outside of the protector into the interior thereof, and a gas discharge hole located on the forward end side with respect to the forward end of the detection element and which discharges the gas-to-be-detected from the interior of the protector to the outside thereof. In the gas sensor, at least a portion of the detection section of the detection element is located on the base end side with respect to a forward end of the metallic shell; the protector is inserted into the interior of the metallic shell in a state in which at least a portion of the gas introduction hole is located on the base end side with respect to the forward end of the metallic shell; a forward-end-side inner surface of the metallic shell and an outer surface of the protector form therebetween a gas introduction space for guiding the gas-to-be-detected from a region on the forward end side with respect to the metallic shell to the gas introduction hole of the protector; and a base end of the detection section of the detection element is located on the base end side with respect to a forward end of the gas introduction hole, and a forward end of the detection section is located on the forward end side with respect to a base end of the gas introduction hole.
[0015] In the above-described gas sensor, at least a portion of the detection section of the detection element is located on the base end side with respect to the forward end of the metallic shell. In other words, the base end of the detection section is located on the base end side with respect to the forward end of the metallic shell. In such a case, as described above with respect to the gas sensor of Patent Document 1, it may be difficult for the gas-to-be-detected to flow along the detection section such that the responsiveness of the gas sensor deteriorates.
[0016] In contrast, in the above-described gas sensor, a base end portion of the protector is inserted into the metallic shell. This configuration enables at least a portion of the gas introduction hole of the protector to be disposed on the base end side with respect to the forward end of the metallic shell (namely, in the interior of the metallic shell).
[0017] In addition, in the above-described gas sensor, the forward-end-side inner surface of the metallic shell and the outer surface of the protector form a gas introduction space (between the forward-end-side inner surface and the outer surface). This gas introduction space is a space for introducing the gas-to-be-detected from a region on the forward end side of the metallic shell into the gas introduction hole of the protector.
[0018] Namely, at least a portion of the gas introduction hole of the protector is exposed to the gas introduction space. In other words, the base end of the gas introduction hole of the protector is located on the base end side with respect to the forward end of the metallic shell, and at least a portion of the gas introduction hole is exposed to the gas introduction space.
[0019] By virtue of such a structure, in the above-described gas sensor, the gas-to-be-detected (at least a portion thereof) can be introduced into the gas introduction space of the metallic shell, and then introduced into the interior of the protector through the gas introduction hole of the protector.
[0020] As a result, in the above-described gas sensor, the gas-to-be-detected introduced from outside into the gas introduction space is introduced into the interior of the protector through the gas introduction hole of the protector, flows along the forward end portion (a portion including the detection section) of the detection element, and is then discharged to the outside of the protector through the gas discharge hole located on the forward end side with respect to the forward end of the detection element. In addition, as viewed in the axial direction of the detection element, the base end of the detection section of the detection element is located on the base end side with respect to the forward end of the gas introduction hole of the protector, and the forward end of the detection section is located on the forward end side with respect to the base end of the gas introduction hole of the protector. By virtue of this positional relation, a portion of the gas-to-be-detected introduced into the interior of the protector through the gas introduction hole can properly flow along the detection section.
[0021] In addition, since the gas-to-be-detected passes through the gas introduction hole of the protector after having been introduced into the gas introduction space, the flow of the gas-to-be-detected assumes a straightened flow (laminar flow). Thus, in the above-described gas sensor, the flow of the gas-to-be-detected assumes a straightened flow (laminar flow) around the detection section of the detection element. This is because, unlike the above-described gas sensor of Patent Document 2, after passing through the gas introduction hole of the protector, the gas-to-be-detected flows toward the detection element (the detection section) without passing through the gas introduction space of the metallic shell. As a result, the gas-to-be-detected can smoothly flow along the detection section. Accordingly, the above-described gas sensor can have excellent responsiveness.
[0022] Notably, the “detection element”of the invention may be a plate-shaped detection element which extends from the base end side to the forward end side in the axial direction or a tubular detection element which extends from the base end side to the forward end side in the axial direction and which has a reference space therein.
[0023] In a preferred embodiment (2), the gas sensor (1) above is configured such that the detection section has a gas passage portion which allows passage of the gas-to-be-detected therethrough; at least a portion of the gas passage portion is located on the base end side with respect to the forward end of the metallic shell; and a base end of the gas passage portion is located on the base end side with respect to the forward end of the gas introduction hole, and a forward end of the gas passage portion is located on the forward end side with respect to the base end of the gas introduction hole.
[0024] The above-described gas sensor provides the following advantageous effects. Even in the case where a detection element having a gas passage portion at the detection section thereof is used, by virtue of the above-described positional relation, a portion of the gas-to-be-detected introduced into the interior of the protector through the gas introduction hole can properly flow along the gas passage portion. In addition, since the flow of the gas-to-be-detected assumes a straightened flow (laminar flow) as a result of passing through the gas introduction hole of the protector after having been introduced into the gas introduction space, in the above-described gas sensor, the flow of the gas-to-be-detected assumes a straightened flow (laminar flow) around the gas passage portion of the detection element. As a result, the gas-to-be-detected can smoothly flow along the gas passage portion. Accordingly, the above-described gas sensor can have excellent responsiveness.
[0025] Notably, the “gas passage portion”of the invention may be a passage which connects together a measurement chamber provided in the detection element and the outside of the detection element, or a porous portion provided in the passage. Alternatively, the gas passage portion may be a porous portion that is exposed on the surface of the detection element and which intervenes between an electrode provided inside the detection element and the outside of the detection element.
[0026] In another preferred embodiment (3), the gas sensor (1) or (2) above is configured such that the forward-end-side inner surface of the metallic shell which forms the gas introduction space has a taper surface whose diameter decreases from the forward end side toward the base end side.
[0027] The above-described gas sensor provides the following advantageous effect. Since the gas-to-be-detected introduced into the gas introduction space is more likely to flow radially inward along the taper surface, the gas-to-be-detected is more likely to be introduced into the interior of the protector through the gas introduction hole of the protector, which is located on the radially inner side of the taper surface. As a result, the responsiveness of the gas sensor is enhanced.
[0028] In yet another preferred embodiment (4), the gas sensor of any of (1) to (3) above is configured such that the base end of the gas introduction hole of the protector is located at a position which is the same as, or is shifted toward the base end side from, the position of a base end of the gas introduction space in the axial direction.
[0029] In the case where a portion of the gas introduction space is present on the base end side with respect to the gas introduction hole of the protector; namely, in the case where the base end of the gas introduction hole of the protector is located on the forward end side with respect to the base end of the gas introduction space, the gas-to-be-detected may stagnate in a portion of the gas introduction space which is located on the base end side with respect to the gas introduction hole of the protector, and the gas-to-be-detected may not be smoothly introduced into the interior of the protect through the gas introduction hole of the protector.
[0030] In contrast, in the above-described gas sensor, as viewed in the axial direction, the base end of the gas introduction hole of the protector is located at a position which is the same as the position of the base end of the gas introduction space (corresponding to the base end of the forward-end-side inner surface of the metallic shell which forms the gas introduction space) or which is shifted toward the base end side from the base end of the gas introduction space. Therefore, in the above-described gas sensor, the gas-to-be-detected introduced into the gas introduction space is more likely to be smoothly introduced into the interior of the protector through the gas introduction hole of the protector. As a result, the responsiveness of the gas sensor is enhanced.
[0031] In yet another preferred embodiment (5), the gas sensor of any one of (1) to (4) above further comprises an outer protector which covers a circumference of the protector and which is welded to the metallic shell, wherein the protector is fixedly press-fitted into the outer protector.
[0032] The circumference of the protector is covered with the outer protector to protect the detection element from being directly exposed to the gas-to-be-detected. Therefore, it is possible to prevent the detection element from cracking, which would otherwise occur if water contained in the gas-to-be-detected were to be adhered to the detection element.
[0033] In addition, the protector and the outer protector are fixed together through press-fitting, and the outer protector is welded to the metallic shell to fix the same. Therefore, the circumference of the protector can be readily covered with the outer protector.
[0034] In yet another preferred embodiment (6), the gas sensor of any of (1) to (5) above is configured such that, as viewed in the axial direction, the forward end of the detection element is disposed on the base end side of a position spaced 5 mm forward from the forward end of the metallic shell.
[0035] In the above-described gas sensor, the projection length by which the forward end of the detection element projects from the forward end of the metallic shell is set to be 5 mm or less. This gas sensor also has excellent responsiveness similar to the above-described gas sensor (1) above.
(当審訳:発明の概要
[0013] 本発明は、上述の問題を解決するためになされたものであって、それゆえ、その目的は、検出素子の検出部の少なくとも一部が金属シェルの先端よりも基端側に位置しつつも、良好な応答性が得られるガスセンサを提供することである。
[0014] 上述の本発明の目的は、以下の構成からなるガスセンサ(1)を提供することにより達成される。軸線方向の基端側から先端側に延びる形態をなし、先端側に検出部を有し、被測定ガス中の特定ガス成分を検出する、検出素子。上記検出素子の周囲を取り囲む筒状の金属シェル。上記検出素子の先端部の周囲を取り囲む筒状のプロテクタ。上記プロテクタは、上記検出素子の先端よりも基端側に位置して上記被測定ガスを自身の外部から内部に導入するガス導入孔と、上記検出素子の先端よりも先端側に位置して上記被測定ガスを自身の内部から外部に排出するガス排出孔を有する。上記ガスセンサにおいて、上記検出素子の上記検出部の少なくとも一部が、上記金属シェルの先端よりも基端側に位置する。上記プロテクタは、上記ガス導入孔の少なくとも一部が上記金属シェルの先端よりも基端側に位置する状態で、上記金属シェルの内側に挿入される。上記金属シェルの先端側内表面と上記プロテクタの外表面とは、両者の間に、上記金属シェルよりも先端側の領域から上記プロテクタの上記ガス導入孔に上記被測定ガスを導くためのガス導入空間を形成する。上記検出素子の上記検出部の基端は、上記ガス導入孔の先端よりも基端側に位置し、かつ、当該検出部の先端は、上記ガス導入孔の基端よりも先端側に位置する。
[0015] 上述のガスセンサでは、検出素子の検出部の少なくとも一部が、金属シェルの先端よりも基端側に位置している。換言すれば、検出部の基端が、金属シェルの先端よりも基端側に位置している。このような場合、特許文献1のガスセンサについて説明したように、被測定ガスが、検出部に沿って流れることが困難となり、ガスセンサの応答性が低下するおそれがあった。
[0016] これに対し、上述のガスセンサでは、プロテクタの基端部が、金属シェルの内側に挿入されている。この形態により、プロテクタのガス導入孔の少なくとも一部を、金属シェルの先端よりも基端側(すなわち、金属シェルの内部)に配置させることができる。
[0017] しかも、上述のガスセンサでは、金属シェルの先端側内表面とプロテクタの外表面とによってガス導入空間(先端側内表面と外表面の間)を形成している。このガス導入空間は、金属シェルよりも先端側の領域からプロテクタのガス導入孔に被測定ガスを導くための空間である。
[0018] つまり、プロテクタのガス導入孔の少なくとも一部は、ガス導入空間に露出している。換言すれば、プロテクタのガス導入孔の基端は、金属シェルの先端よりも基端側に位置し、かつ、当該ガス導入孔の少なくとも一部はガス導入空間に露出している。
[0019] このような構造により、上述のガスセンサでは、被測定ガス(少なくともその一部)を、金属シェルのガス導入空間内に導入させ、その後、プロテクタのガス導入孔を通じてプロテクタ内に導入させることができる。
[0020] これにより、上述のガスセンサでは、外部からガス導入空間内に導入された被測定ガスが、プロテクタのガス導入孔を通じてプロテクタ内に導入され、検出素子の先端部(検出部を含む部位)に沿って流れ、その後、検出素子の先端よりも先端側に位置するガス排出孔を通じてプロテクタの外部に排出されることになる。しかも、検出素子の軸線方向について、検出素子の検出部の基端がプロテクタのガス導入孔の先端よりも基端側に位置し、かつ、当該検出部の先端がプロテクタのガス導入孔の基端よりも先端側に位置している。このような位置関係とすることで、ガス導入孔を通じてプロテクタ内に導入された被測定ガスの一部が、適切に、検出部に沿って流れることができる。
[0021] しかも、被測定ガスがガス導入空間内に導入された後にプロテクタのガス導入孔を通過することで、被測定ガスの流れは、整流(層流)になる。したがって、上述のガスセンサでは、検出素子の検出部の周囲において、被測定ガスの流れが整流(層流)になる。これは、前述の特許文献2のガスセンサと異なり、プロテクタのガス導入孔を通過した後、被測定ガスが、金属シェル内のガス導入空間を経由することなく、検出素子(検出部)に進むからである。これにより、被測定ガスが、スムーズに検出部に沿って流れることが可能となる。したがって、上述のガスセンサでは、良好な応答性を得ることができる。
[0022] とりわけ、本発明の「検出素子」は、軸線方向において基端側から先端側に延びる板状の検出素子であってもよいし、軸線方向において基端側から先端側に延び、その内部に参照空間を有する筒状の検出素子であってもよい。
[0023] 好ましい実施形態(2)において、上述のガスセンサ(1)は、検出部が、被測定ガスが自身を通過することを許容するガス通気部を有するように構成される。上記ガス通気部の少なくとも一部が、上記金属シェルの先端よりも基端側に位置する。上記ガス通気部の基端は、上記ガス導入孔の先端よりも基端側に位置し、かつ、当該ガス通気部の先端は、上記ガス導入孔の基端よりも先端側に位置する。
[0024] 上述のガスセンサは、以下の有利な効果を奏する。その検知部にガス通気部を有する検出素子が使用される場合であっても、上述の位置関係により、ガス導入孔を通じてプロテクタ内に導入された被測定ガスの一部が、適切に、ガス通気部に沿って流れることができる。しかも、上述のガスセンサでは、被測定ガスの流れは、ガス導入空間内に導入された後にプロテクタのガス導入孔を通過することで、整流(層流)になるから、検出素子のガス通気部の周囲において、被測定ガスの流れが整流(層流)になる。これにより、被測定ガスが、スムーズにガス通気部に沿って流れることが可能となる。したがって、上述のガスセンサでは、良好な応答性を得ることができる。
[0025] とりわけ、本発明の「ガス通気部」は、検出素子の内部に設けられた測定室と検出素子の外部とを繋ぐ通路であってもよく、また、この通路に設けられた多孔質部であってもよい。代替的に、ガス通気部は、検出素子の表面に露出するように設けられるとともに、検出素子の内部に設けられた電極と検出素子の外部との間に介在する多孔質部であってもよい。
[0026] 別の好ましい実施形態(3)において、上述のガスセンサ(1)又は(2)は、前記ガス導入空間を形成する前記金属シェルの前記先端側内表面が、先端側から基端側に向かうにしたがって縮径するテーパ面を有するように構成される。
[0027] 上述のガスセンサは、以下の有利な効果を奏する。ガス導入空間に導入された被測定ガスが、テーパ面に沿って径方向内側に進みやすくなるので、被測定ガスが、テーパ面の径方向内側に位置するプロテクタのガス導入孔を通じて、プロテクタ内に導入されやすくなる。これにより、ガスセンサの応答性が向上する。
[0028] 更に別の好ましい実施形態(4)において、上述のガスセンサ(1)〜(3)のいずれかは、前記プロテクタの前記ガス導入孔の基端は、前記軸線方向について、前記ガス導入空間の基端と同位置か、それよりも基端側に位置するように構成される。
[0029] プロテクタのガス導入孔よりも基端側にガス導入空間の一部が存在する場合、すなわち、プロテクタのガス導入孔の基端がガス導入空間の基端よりも先端側に位置する場合は、被測定ガスがプロテクタのガス導入孔よりも基端側に位置するガス導入空間の部分に溜まり、被測定ガスがスムーズにプロテクタのガス導入孔を通じてプロテクタ内に導入されないおそれがある。
[0030] これに対し、上述のガスセンサでは、軸線方向について、プロテクタのガス導入孔の基端が、ガス導入空間の基端(ガス導入空間を形成する金属シェルの先端側内表面の基端に一致する)と同位置か、ガス導入空間の基端よりも基端側に位置している。このため、上述のガスセンサでは、ガス導入空間内に導入された被測定ガスが、よりスムーズにプロテクタのガス導入孔を通じてプロテクタ内に導入されやすくなる。これにより、ガスセンサの応答性が向上する。
[0031] 更に別の好ましい実施形態(5)において、上述のガスセンサ(1)〜(4)のいずれかは、プロテクタの周囲を取り囲み、金属シェルに溶接された外側プロテクタを備え、プロテクタは外側プロテクタ内に圧入固定される。
[0032] プロテクタの周囲は外側プロテクタで覆われ、検出素子が被測定ガスに直接さらされることを防止する。それゆえ、被測定ガスに含まれる水が検出素子に付着して生じる検出素子の亀裂を防止することができる。
[0033] しかも、プロテクタと外側プロテクタは圧入により互いに固定されており、外側プロテクタは金属シェルに溶接される。それゆえ、プロテクタの周囲は予め外側プロテクタにより覆われる。
[0034] 更に別の好ましい実施形態(6)において、上述のガスセンサ(1)〜(5)のいずれかは、前記軸線方向について、前記検出素子の先端は、前記金属シェルの先端から先端側に5mm離れた位置よりも基端側に配置されるように構成される。
[0035] 上述のガスセンサでは、検出素子の先端が金属シェルの先端から突出する突出長さが、5mm以下に設定される。このガスセンサでも、前述のガスセンサ(1)同様に、良好な応答性を得ることができる。)

(甲1−ウ)「BRIEF DESCRIPTION OF THE DRAWINGS
[0036] FIG. 1 is a partial sectional view of a gas sensor according to an embodiment of the invention.
[0037] FIG. 2 is an enlarged sectional view of a forward end portion of the gas sensor of the embodiment.
[0038] FIG. 3 is a view describing a flow of a gas-to-be-detected within the gas sensor of the embodiment.
[0039] FIG. 4 is a partial sectional view of a gas sensor according to a first modified embodiment.
[0040] FIG. 5 is an enlarged sectional view of a forward end portion of the gas sensor of the first modified embodiment.
[0041] FIG. 6 is a view describing a flow of a gas-to-be-detected within the gas sensor of the first modified embodiment.
[0042] FIG. 7 is a partial sectional view of a gas sensor according to a second modified embodiment.
[0043] FIG. 8 is an enlarged sectional view of a forward end portion of the gas sensor of the second modified embodiment.
[0044] FIG. 9 is a view describing a flow of a gas-to-be-detected within the gas sensor of the second modified embodiment.
DESCRIPTION OF REFERENCE NUMERALS
[0045] Reference numerals used to identify various features in the drawings include the following.
[0046] 100, 200, 300: gas sensor
[0047] 110, 310: metallic shell
[0048] 110b, 310b: forward end of the metallic shell
[0049] 113, 313: forward end portion of the metallic shell
[0050] 113b: forward-end-side inner surface (taper surface) of the metallic shell
[0051] 120: detection element
[0052] 121: forward end portion of the detection element
[0053] 123: gas passage portion
[0054] 160, 260: inner protector (protector)
[0055] 160c, 260c: base end portion of the inner protector
[0056] 166, 266: gas discharge hole of the inner protector
[0057] 167, 267: gas introduction hole of the inner protector
[0058] 170: outer protector
[0059] 176: gas discharge hole of the outer protector
[0060] 177: gas introduction hole of the outer protector
[0061] 313b: forward-end-side inner surface of the metallic shell
[0062] 313c: taper surface of the metallic shell
[0063] 360: protector
[0064] 360c: base end portion of the protector
[0065] 366: gas discharge hole of the protector
[0066] 367: gas introduction hole of the protector
[0067] AX: axis
[0068] G: exhaust gas (gas-to-be-detected)
[0069] S2: gas introduction space」
(当審訳:図面の簡単な説明
[0036] 図1は、本発明の実施形態に係るガスセンサの部分断面図である。
[0037] 図2は、同実施形態のガスセンサの先端部の拡大断面図である。
[0038] 図3は、同実施形態のガスセンサ内における被測定ガスの流れを説明する図である。
[0039] 図4は、変形形態1に係るガスセンサの部分断面図である。
[0040] 図5は、同変形形態1のガスセンサの先端部の拡大断面図である。
[0041] 図6は、同変形形態1のガスセンサ内における被測定ガスの流れを説明する図である。
[0042] 図7は、変形形態2に係るガスセンサの部分断面図である。
[0043] 図8は、同変形形態2のガスセンサの先端部の拡大断面図である。
[0044] 図9は、同変形形態2のガスセンサ内における被測定ガスの流れを説明する図である。
参照符号の説明
[0045] 図面において種々の特徴を特定するために使用される参照符号は、以下のものを含む。
[0046] 100,200,300:ガスセンサ
[0047] 110,310:金属シェル
[0048] 110b,310b:金属シェルの先端
[0049] 113,313:金属シェルの先端部
[0050] 113b:金属シェルの先端側内表面(テーパ面)
[0051] 120:検出素子
[0052] 121:検出素子の先端部
[0053] 123:ガス通気部
[0054] 160,260:内側プロテクタ(プロテクタ)
[0055] 160c,260c:内側プロテクタの基端部
[0056] 166,266:内側プロテクタのガス排出孔
[0057] 167,267:内側プロテクタのガス導入孔
[0058] 170:外側プロテクタ
[0059] 176:外側プロテクタのガス排出孔
[0060] 177:外側プロテクタのガス導入孔
[0061] 313b:金属シェルの先端側内表面
[0062] 313c:金属シェルのテーパ面
[0063] 360:プロテクタ
[0064] 360c:プロテクタの基端部
[0065] 366:プロテクタのガス排出孔
[0066] 367:プロテクタのガス導入孔
[0067] AX:軸線
[0068] G:排気ガス(被測定ガス)
[0069] S2:ガス導入空間)

(甲1−エ)「DETAILED DESCRIPTION OF THE PREFERRED EMBODIMENTS
[0070] An embodiment of the present invention will next be described with reference to the drawings. However, the present invention should not be construed as being limited thereto.
[0071] FIG. 1 is a partial sectional view of a gas sensor 100 of the present embodiment. FIG. 2 is an enlarged sectional view of a forward end portion of the gas sensor 100. FIG. 3 is a sectional view showing, on an enlarged scale, a forward end portion of the gas sensor 100 attached to an exhaust pipe of an unillustrated automobile such that the forward end portion of the gas sensor 100 is located within the exhaust pipe. FIG. 3 is a view describing the flow of exhaust gas (gas-to-be-detected) G.
[0072] Notably, in FIGS. 1 to 3, the lower side is an axially forward end side (hereinafter also referred to as the forward end side), and the upper side is an axially base end side (hereinafter also referred to as the base end side). Also, in FIG. 3, the left side is the upstream side (engine side) of the exhaust pipe through which exhaust gas G flows, and the right side is the downstream side of the exhaust pipe.
[0073] The gas sensor 100 is a so-called full range air/fuel ratio sensor which is attached to the exhaust pipe of an unillustrated automobile and which holds therein a detection element 120. A forward end portion 121 of the detection element 120 is exposed to the exhaust gas (gas-to-be-detected) which flows through the exhaust pipe so as to detect the air/fuel ratio of the exhaust gas from the concentration of oxygen (particular gas component) contained in the exhaust gas.
[0074] Notably, in the present embodiment, the forward end portion 121 corresponds to the “detection section” of the invention.
[0075] As shown in FIG. 1, this gas sensor 100 is mainly composed of a tubular metallic shell 110 extending in an axial direction (the direction along an axis AX, the vertical direction in FIG. 1); the plate-shaped detection element 120 held inside the metallic shell 110; an outer tube 151 fixedly provided on the base end side of the metallic shell 110; and an inner protector 160 and an outer protector 170 which are fixedly provided on the forward end side of the metallic shell 110; etc.
[0076] The detection element 120 has a plate-like shape (strip-like shape) extending in the axial direction, and detects the oxygen gas component contained in the exhaust gas G (see FIG. 1). This detection element 120 has a known structure and is formed by bonding together for unification a plate-shaped gas detecting body for detecting oxygen concentration and a plate-shaped heater body for heating the gas detecting body for quick activation thereof. The gas detecting body is composed of a solid electrolyte body which predominantly contains zirconia, and a pair of electrodes (detection and reference electrodes) which predominantly contain platinum. The pair of electrodes are disposed on the forward end portion 121 of the detection element 120.
[0077] At least one gas passage portion 123 is provided at the forward end portion 121 of the detection element 120 so as to introduce the exhaust gas G from outside of the detection element 120 into an interior (gas measurement chamber) thereof, to thereby allow detection of the oxygen component contained in the exhaust gas G. The gas passage portion 123 is formed of a porous material and has a rectangular shape in plan view. In the present embodiment, two gas passage portions 123 having the same dimensions are provided at the same position in the axial direction (the gas passage portion 123 shown in FIG. 1 and another gas passage portion located on the back side thereof are provided). At least a portion of each gas passage portion 123 is located on the base end side (on the upper side in FIGS. 1 and 2) in relation to the forward end 110b of the metallic shell 110. Notably, in FIG. 2, the position of the forward end 110b of the metallic shell 110 in the axial direction is indicated by a straight line L1. FIG. 2 clearly shows that a portion of the gas passage portion 123 is located on the base end side with respect to the straight line L1.
[0078] Five electrode pads 128 (one of which is shown in FIG. 1) for allowing external connection with the electrodes of the gas detecting body and the heater body are formed on a base end portion 129 of the detection element 120.
[0079] In order to protect the detection electrode from poisoning by the exhaust gas, a protection layer 125 is provided on the forward end portion 121 of the detection element 120 such that the protection layer 125 covers the outer surface of the forward end portion 121 (see FIG. 1).
[0080] In the gas sensor 100, a ceramic ring 133 made of alumina, a talc ring 135 formed by compacting a talc powder, and a tubular sleeve 141 are accommodated inside the metallic shell 110 in such a manner that the detection element 120 is inserted through the ceramic ring 133, the talc ring 135 and the sleeve 141. The talc ring 135 is compacted within the metallic shell 110 so as to tightly fill an associated space. As a result, the detection element 120 is positioned and held in the tubular metallic shell 110 which surrounds the circumference of the detection element 120. Notably, in the present embodiment, as viewed in the axial direction, the forward end 120b of the detection element 120 is disposed on the base end side of a position spaced 5 mm forward from the forward end 110b of the metallic shell 100. More specifically, the projection length by which the detection element 120 projects from the forward end 110b of the metallic shell 100 is set to be 5 mm or less.
・・・
[0087] The tubular inner and outer protectors 160 and 170, which surround the circumference of the forward end portion 121 of the detection element 120, are provided on the forward end side of the metallic shell 110. The inner and outer protectors 160 and 170 protect the forward end portion 121 of the detection element 120 from contamination caused by deposits (poisoning adhesive substances such as fuel ash and oil component) contained in exhaust gas and from breakage caused by water adhering thereto.
[0088] Notably, in the present embodiment, the inner protector 160 corresponds to the “protector” of the invention.
[0089] The inner protector 160 has a cylindrical tubular side wall portion 161 which extends in the axial direction (the direction along the axis AX), and a disk-shaped bottom portion 162 which closes the forward end side of the side wall portion 161. Gas introduction holes 167 for introducing the gas-to-be-detected from the outside of the inner protector 160 into the interior thereof are formed in the side wall portion 161 at positions on the base end side (on the upper side in FIGS. 1 and 2) in relation to the forward end 120b of the detection element 120. Notably, in the present embodiment, eight gas introduction holes 167 having the same dimension are formed at equal intervals in the circumferential direction of the side wall portion 161 at the same position in the axial direction. At least a portion of each of these gas introduction holes 167 is located on the base end side with respect to the forward end 110b of the metallic shell 110.
[0090] Further, the inner protector 160 has a gas discharge hole 166 for discharging the gas-to-be-detected from the interior of the inner protector 160 to the outside thereof. The gas discharge hole 166 is located on the forward end side (on the lower side in FIGS. 1 and 2) with respect to the forward end 120b of the detection element 120. More specifically, the gas discharge hole 166 is provided in the bottom portion 162 of the inner protector 160.
[0091] The outer protector 170 is fixed to the metallic shell 110 in a state in which the inner protector 160 is fixed to the inner side of the outer protector 170. Specifically, the outer protector 170 is joined to the metallic shell 110 by laser welding. The outer protector 170 has a first side wall portion 174; a second side wall portion 175 located on the axially forward end side of the first side wall portion 174, a taper wall 172 located on the axially forward end side of the second side wall portion 175, and a bottom portion 173 located on the forward end side of the taper wall 172 (see FIGS. 1 and 2).
[0092] The first side wall portion 174 has a cylindrical tubular shape, and surrounds the circumference of the side wall portion 161 of the inner protector 160 while forming a space S1 between the first side wall portion 174 and the side wall portion 161. The first wall portion 174 has gas introduction holes 177 which penetrate the first wall portion 174 and are located on the axially forward end side with respect to the gas introduction holes 167 of the inner protector 160 (see FIGS. 1 and 2). Notably, in the present embodiment, eight gas introduction holes 177 are formed at equal intervals in the circumferential direction. All the eight gas introduction holes 177 are located on the axially forward end side with respect to the gas introduction holes 167 of the inner protector 160.
[0093] The second wall portion 175 has a cylindrical tubular shape, and has an inner diameter smaller than the inner diameter of the first wall portion 174 and larger than the outer diameter of the side wall portion 161 of the inner protector 160. A forward end portion 161b of the side wall portion 161 of the inner protector 160 is press-fitted into the second side wall portion 175. As a result, the inner protector 160 is fixed to the inner side of the outer protector 170, and the second side wall portion 175 of the outer protector 170 and the forward end portion 161b of the side wall portion 161 of the inner protector 160 are gastightly connected (fitted) together over the entire circumference around the axis AX.
[0094] The taper wall 172 has the shape of a tapered tube (truncated conical tube) whose diameter decreases toward the axially forward end side. The bottom portion 173 has a gas discharge hole 176, which is a forward end opening of the outer protector 170. The taper wall 172 and the bottom portion 173 form a space S4 in cooperation with the bottom portion 162 of the inner protector 160 (see FIG. 2).
[0095] Incidentally, in the gas sensor 100 of the present embodiment, at least a portion of the forward end portion 121 (the gas passage portions 123) of the detection element 120 is located on the base end side (on the upper side in FIG. 2) in relation to the forward end 110b of the metallic shell 110. In other words, the base end of the forward end portion 121 (for example, the base end 123c of each gas passage portion 123) is located on the base end side with respect to the forward end 110b of the metallic shell 110. In this case, as described above, in the case of the gas sensor of Patent Document 1, it is difficult for the gas-to-be-detected to flow along the detection section (pass through the gas passage portion) and reach a gas measurement chamber within the detection element. Therefore, the responsiveness of the gas sensor may deteriorate.
[0096] In contrast, in the case of the gas sensor 100 of the present embodiment, the base end portion 160c of the inner protector 160 is disposed in (inserted into) the space inside the metallic shell 110 as shown in FIG. 2. This configuration enables at least a portion of each gas introduction hole 167 of the inner protector 160 to be disposed on the base end side with respect to the forward end 110b of the metallic shell 110 (namely, in the interior of the metallic shell 110).
[0097] In addition, a forward-end-side inner surface 113b of a forward end portion 113 of the metallic shell 110 is concaved radially outward, and forms a gas introduction space S2 in cooperation with the outer surface 160d of the inner protector 160 (between the forward-end-side inner surface 113b and the outer surface 160d). This gas introduction space S2 is a space for introducing the exhaust gas G (the gas-to-be-detected) from a region on the forward end side of the metallic shell 110 into the gas introduction holes 167 of the inner protector 160.
[0098] Namely, at least a portion of each gas introduction hole 167 of the inner protector 160 is exposed to the gas introduction space S2. In other words, the base end 167c of each gas introduction hole 167 is located on the base end side with respect to the forward end 1106(当審注:前後の文脈から見て、「1106」は「110b」の誤記と認める。) of the metallic shell 110, and at least a portion of the gas introduction hole 167 is exposed to the gas introduction space S2.
[0099] By virtue of such a structure, in the gas sensor 100 of the present embodiment, as indicated by arrows in FIG. 3, the exhaust gas G (at least a portion thereof) can be introduced into the gas introduction space S2 of the metallic shell 110, and then introduced into the interior of the inner protector 160 through the gas introduction holes 167 of the inner protector 160.
[0100] FIG. 3 is a view showing a route (gas route) along which the exhaust gas G within the exhaust pipe flows through the gas sensor 100 (the inner protector 160 and the outer protector 170) of the present embodiment. As shown in FIG. 3, the exhaust gas G having flowed through the exhaust pipe from the upstream side thereof (the left side in FIG. 3) toward the gas sensor 100 is introduced into the space S1 (the space between the first side wall portion 174 of the outer protector 170 and the side wall portion 161 of the inner protector 160) through the gas introduction holes 177 of the outer protector 170.
[0101] The exhaust gas G then flows within the space S1 toward the axially base end side (the upper side in FIG. 3), and is introduced into an internal space S3 of the inner protector 160 through the gas introduction holes 167 of the inner protector 160. Notably, a portion of the exhaust gas G is introduced into the gas introduction space S2 of the metallic shell 110, and is then introduced into the interior of the inner protector 160 through the gas introduction holes 167 of the inner protector 160. After that, the exhaust gas G flows within the internal space S3 toward the axially forward end side (the lower side in FIG. 3), and is discharged to the outside of the inner protector 160 through the discharge hole 166 of the inner protector 160. Subsequently, the exhaust gas G is introduced into a space S4 (the space between the taper wall 172 of the outer protector 170 and the bottom portion 162 of the inner protector 160), and is then discharged to the outside through the gas discharge hole 176 of the outer protector 170.
[0102] Notably, the diameter of the taper wall 172 of the outer protector 170 decreases toward the forward end side in the axial direction. Therefore, as indicated by arrows in FIG. 3, in a region outside the outer protector 170 (within the exhaust pipe), the flow velocity of the exhaust gas G increases in the vicinity of the forward end of the taper wall 172 (in the vicinity of the gas discharge hole 176), and due to the Venturi effect, a strong negative pressure can be produced in the vicinity of the forward end of the taper wall 172 (in the vicinity of the gas discharge hole 176). As a result, the exhaust gas G introduced into the internal space S3 is effectively and quickly discharged to the outside of the outer protector 170 while being drawn toward the gas discharge hole 176 located at the forward end of the taper wall 172.
[0103] As described above, the gas sensor 100 of the present embodiment is configured such that the exhaust gas G introduced from the outside into the gas introduction space S2 is introduced into the interior of the inner protector 160 through the gas introduction holes 167 of the inner protector 160, flows along the forward end portion 121 (a portion including the gas passage portions 123) of the detection element 120, and is then discharged to the outside of the inner protector 160 through the gas discharge hole 166 located on the forward end side with respect to the forward end 120b of the detection element 120 (FIG. 3).
[0104] In addition, as viewed in the axial direction of the detection element 120, the base end of the forward end portion 121 of the detection element 120 is located on the base end side with respect to the forward end 167b of each gas introduction hole 167 of the inner protector 160, and the forward end of the forward end portion 121 is located on the forward end side with respect to the base end 167c of each gas introduction hole 167 of the inner protector 160. In particular, as viewed in the axial direction of the detection element 120, the base end 123c of each gas passage portion 123 of the detection element 120 is located on the base end side with respect to the forward end 167b of each gas introduction hole 167 of the inner protector 160, and the forward end 123b of each gas passage portion 123 is located on the forward end side with respect to the base end 167c of each gas introduction hole 167 of the inner protector 160 (see FIGS. 2 and 3). By virtue of this positional relation, a portion of the exhaust gas G introduced into the interior of the inner protector 160 through the gas introduction holes 167 can be properly directed to flow along the forward end portion 121 (the gas passage portions 123).
[0105] Notably, in FIG. 2, the position of the forward end 167b of each gas introduction hole 167 in the axial direction is indicated by a straight line L2. FIG. 2 clearly shows that the base end 123c of the gas passage portion 123 is located on the base end side with respect to the straight line L2. Further, the position of the base end 167c of each gas introduction hole 167 in the axial direction is indicated by a straight line L3. FIG. 2 clearly shows that the forward end 123b of each gas passage portion 123 is located on the forward end side with respect to the straight line L3.
[0106] In addition, since the exhaust gas G passes through the gas introduction holes 167 of the inner protector 160 after having been introduced into the gas introduction space S2, the flow of the exhaust gas G assumes a straightened flow (laminar flow). Thus, the flow of the exhaust gas G assumes a straightened flow (laminar flow) around the forward end portion 121 (the gas passage portions 123) of the detection element 120. This is because, unlike the above-described gas sensor of Patent Document 2, after passing through the gas introduction holes 167 of the inner protector 160, the exhaust gas G flows toward the forward end portion 121 (the gas passage portions 123) of the detection element 120 without passing through the gas introduction space S2 of the metallic shell 110. As a result, the exhaust gas G can be caused to smoothly flow along the forward end portion 121 (the gas passage portions 123). Accordingly, the gas sensor 100 of the embodiment can have excellent responsiveness.
[0107] Further, in the gas sensor 100 of the present embodiment, the forward-end-side inner surface 113b of the forward end portion 113 of the metallic shell 110, which forms the gas introduction space S2, is a taper surface 113b whose diameter decreases from the forward end side toward the base end side thereof (see FIGS. 2 and 3). Therefore, the exhaust gas G introduced into the gas introduction space S2 is more likely to flow radially inward along the taper surface 113b. Thus, the exhaust gas G is more likely to be introduced into the interior of the inner protector 160 through the gas introduction holes 167 of the inner protector 160, which are located on the radially inner side of the taper surface 113b. This configuration further enhances the responsiveness of the gas sensor.
[0108] Furthermore, as shown in FIG. 2, in the gas sensor 100 of the present embodiment, the base end 167c of each gas introduction hole 167 of the inner protector 160 is located at the same position as the base end S2E of the gas introduction space S2 (corresponding to the base end 113c of the taper surface 113b of the metallic shell 110 which forms the gas introduction space S2) as viewed in the axial direction. Namely, the base end S2E of the gas introduction space S2 (the base end 113c of the taper surface 113b of the metallic shell 110) is located on the straight line L3. Therefore, the exhaust gas G introduced into the gas introduction space S2 is more likely to be smoothly introduced into the interior of the inner protector 160 through the gas introduction holes 167 of the inner protector 160 after flowing radially inward along the taper surface 113b. This enhances the responsiveness of the gas sensor.
[0109] Furthermore, in the gas sensor 100 of the present embodiment, as shown in FIG. 2, the forward end portion 161b of the side wall portion 161 of the inner protector 160 and the second side wall portion 175 of the outer protector 170 surrounding the circumference of the inner protector 160 are fixed together through press-fitting, and the outer protector 170 is welded to the metallic shell 110. This configuration can prevent the detection element 120 from being exposed directly to the gas-to-be-detected, and can prevent cracking which might otherwise occur if water contained in the gas-to-be-detected were to adhere to the detection element. In addition, the circumference of the inner protector 160 can be readily covered with the outer protector 170.」
(当審訳:好ましい実施形態の詳細な説明
[0070] 以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。しかしながら、本発明はそれに限定されると解釈されるべきではない。
[0071] 図1は、本実施形態のガスセンサ100の部分断面図である。図2は、ガスセンサ100の先端部の拡大断面図である。図3は、ガスセンサ100を図示しない自動車の排気管に取り付けた状態において、排気管内のガスセンサ100の先端部を拡大した断面図である。図3は、排気ガス(被測定ガス)Gの流れを説明する図である。
[0072] 特に、図1〜図3において、下側が軸線方向先端側(以下、単に先端側ともいう)であり、上側が軸線方向基端側(以下、単に基端側ともいう)である。また、図3において、左側が、排気ガスGが流れる排気管の上流側(エンジン側)であり、右側が排気管の下流側である。
[0073] ガスセンサ100は、いわゆる全領域空燃比センサであり、図示しない自動車の排気管に取り付けられ、内部に検出素子120を保持する。検出素子120の先端部121が排気管内を流通する排気ガス(被測定ガス)中に晒されて、その排気ガス中の酸素(特定ガス成分)の濃度から排気ガスの空燃比を検出する。
[0074] とりわけ、本実施形態において、先端部121は、本発明の「検出部」に相当する。
[0075] 図1に示すように、このガスセンサ100は、主として、軸線方向(軸線AXに沿う方向、図1において上下方向)に延びる筒状の金属シェル110、この金属シェル110の内側に保持された板状の検出素子120、金属シェル110の基端側に固設された外筒151、並びに、金属シェル110の先端側に固定された内側プロテクタ160及び外側プロテクタ170等から構成されている。
[0076] 検出素子120は、軸線方向に延びる板状(短冊状)をなし、排気ガスG中の酸素ガス成分を検出する(図1参照)。この検出素子120は、公知の構造を有し、酸素濃度の検出を行う板状のガス検出体と、このガス検出体を早期活性化させるために加熱を行う板状のヒータ体とを、互いに貼り合わせて一体化したものである。ガス検出体は、ジルコニアを主体とする固体電解質体、及び、白金を主体とする一対の電極(検出電極及び基準電極)などから構成される。一対の電極は、検出素子120の先端部121に配置されている。
[0077] 排気ガスGを検出素子120の外部から内部(ガス測定室)に導入するように、少なくとも一つのガス通気部123が、検出素子120の先端部121に設けられており、それにより排気ガスG中の酸素成分を検出することを可能とする。ガス通気部123は、多孔質体からなり、平面視矩形状をなしている。本実施形態では、軸線方向について同位置に、同寸法のガス通気部123が2つ設けられている(図1に示すガス通気部123と、その裏側に位置するもう一つのガス通気部)。これらのガス通気部123は、いずれも、その少なくとも一部が、金属シェル110の先端110bよりも基端側(図1、図2において上側)に位置している。とりわけ、図2では、軸線方向に係る金属シェル110の先端110bの位置を、直線L1で示している。図2には、ガス通気部123の一部が直線L1よりも基端側に位置していることが明示されている。
[0078] 検出素子120の基端部129には、ガス検出体やヒータ体の電極を外部接続可能とする5個の電極パッド128(図1ではそのうちの1つを図示している。)が形成されている。
[0079] 検出電極を排気ガスによる被毒から保護するため、検出素子120の先端部121には、保護層125が設けられており、保護層125は先端部121の外表面を覆うようにしている(図1参照)。
[0080] ガスセンサ100では、アルミナ製のセラミックリング133、滑石粉末を圧縮した滑石リング135、及び筒状のスリーブ141が、検出素子120がセラミックリング133、滑石リング135及びスリーブ141に挿通された状態で、金属シェル110の内部に収容されている。滑石リング135は、金属シェル110内で押し潰されて細部にまで充填されている。これにより、検出素子120が、自身の周囲を取り囲む筒状の金属シェル110内で位置決めされて保持されている。特に、本実施形態では、検出素子120の先端120bは、軸線方向について、金属シェル110の先端110bから先端側に5mm離れた位置よりも基端側に配置されている。より具体的には、金属シェル110の先端110bからの検出素子120の突出長さを、5mm以下としている。
・・・
[0087] 金属シェル110の先端側には、検出素子120の先端部121の周囲を取り囲む筒状の内側プロテクタ160及び外側プロテクタ170が設けられている。内側プロテクタ160及び外側プロテクタ170により、検出素子120の先端部121を、排気ガス中の堆積物(燃料灰分やオイル成分など被毒性の付着物質)による汚染や水の付着による破損から保護する。
[0088] とりわけ、本実施形態では、内側プロテクタ160が、本発明の「プロテクタ」に相当する。
[0089] 内側プロテクタ160は、軸線方向(軸線AXに沿った方向)に延びる円筒状の側壁部161、及び側壁部161の先端側を閉塞する円盤状の底部162を有している。側壁部161のうち、検出素子120の先端120bよりも基端側(図1、図2において上側)の位置には、被測定ガスを内側プロテクタ160の外部から内部に導入するガス導入孔167が形成されている。特に、本実施形態では、同寸法の8個のガス導入孔167が、同一の軸線方向位置で、側壁部161の周方向に等間隔で配置されている。これらのガス導入孔167は、いずれも、その少なくとも一部が、金属シェル110の先端110bよりも基端側に位置している。
[0090] さらに、内側プロテクタ160は、被測定ガスを自身の内部から外部に排出するガス排出孔166を有している。このガス排出孔166は、検出素子120の先端120bよりも先端側(図1、図2において下側)に位置している。より具体的には、このガス排出孔166は、内側プロテクタ160の底部162に設けられている。
[0091] 外側プロテクタ170は、外側プロテクタ170の内側に内側プロテクタ160を固定した状態で、金属シェル110に固定されている。具体的には、外側プロテクタ170は、レーザ溶接によって金属シェル110に接合されている。この外側プロテクタ170は、第1側壁部174、第1側壁部174よりも軸線方向先端側に位置する第2側壁部175、第2側壁部175よりも軸線方向先端側に位置するテーパ壁172、及びテーパ壁172の先端側に位置する底部173を有している(図1、図2参照)。
[0092] 第1側壁部174は、円筒状をなし、内側プロテクタ160の側壁部161の周囲を取り囲みつつ、第1側壁部174と側壁部161の間に空間S1を形成している。第1側壁部174は、第1側壁部174を貫通するガス導入孔177を、内側プロテクタ160のガス導入孔167よりも軸線方向先端側に有している(図1、図2参照)。特に、本実施形態では、周方向に等間隔で、8個のガス導入孔177が形成されている。8個のガス導入孔177は、いずれも、内側プロテクタ160のガス導入孔167よりも軸線方向先端側に位置している。
[0093] 第2側壁部175は、円筒状をなし、その内径は、第1側壁部174の内径よりも小径で、かつ内側プロテクタ160の側壁部161の外径よりも大径である。この第2側壁部175には、内側プロテクタ160の側壁部161の先端部161bが圧入されている。これにより、内側プロテクタ160が、外側プロテクタ170の内側に固定されるとともに、外側プロテクタ170の第2側壁部175と内側プロテクタ160の側壁部161の先端部161bとが、軸線AX周りの全周にわたって気密に結合(嵌合)する。
[0094] テーパ壁172は、軸線方向先端側ほど小径となるテーパ筒状(円錐台筒状)をなしている。底部173は、外側プロテクタ170の先端開口であるガス排出孔176を有している。テーパ壁172及び底部173は、内側プロテクタ160の底部162とによって、空間S4を形成している(図2参照)。
[0095] ところで、本実施形態のガスセンサ100では、検出素子120の先端部121(ガス通気部123)の少なくとも一部が、金属シェル110の先端110bよりも基端側(図2において上側)に位置している。換言すれば、先端部121の基端(例えば、各ガス通気部123の基端123c)が、金属シェル110の先端110bよりも基端側に位置している。このような場合、前述のように、特許文献1のガスセンサでは、被測定ガスが、検出部に沿って流れ(ガス通気部123を通過し)て検出素子内のガス測定室内に導入され難くなる。そのため、ガスセンサの応答性が低下するおそれがあった。
[0096] これに対し、本実施形態のガスセンサ100では、図2に示すように、内側プロテクタ160の基端部160cが、金属シェル110の内側の空間に配置(挿入)されている。これにより、内側プロテクタ160のガス導入孔167の少なくとも一部を、金属シェル110の先端110bよりも基端側に(すなわち、金属シェル110の内側に)配置させることが可能となる。
[0097] しかも、金属シェル110の先端部113の先端側内表面113bは、径方向外側に凹んだ形態をなし、内側プロテクタ160の外表面160dとによって(先端側内表面113bと外表面160dとの間に)ガス導入空間S2を形成している。このガス導入空間S2は、金属シェル110よりも先端側から内側プロテクタ160のガス導入孔167に排気ガスG(被測定ガス)を導くための空間である。
[0098] つまり、内側プロテクタ160のガス導入孔167の少なくとも一部は、ガス導入空間S2に露出している。換言すれば、各ガス導入孔167の基端167cは、金属シェル110の先端110bよりも基端側に位置し、かつ、当該ガス導入孔167の少なくとも一部がガス導入空間S2に露出している。
[0099] このような構造とすることで、本実施形態のガスセンサ100では、図3に矢印で示すように、排気ガスG(その少なくとも一部)を、金属シェル110のガス導入空間S2内に導入させ、その後、内側プロテクタ160のガス導入孔167を通じて内側プロテクタ160内に導入させることができる。
[0100] 図3は、排気管内の排気ガスGが、本実施形態のガスセンサ100(内側プロテクタ160及び外側プロテクタ170)の内部を流れる経路(ガス経路)を示す図である。図3に示すように、排気管内を上流側(図3において左側)からガスセンサ100に向かって流れてきた排気ガスGは、外側プロテクタ170のガス導入孔177を通じて、空間S1(外側プロテクタ170の第1側壁部174と内側プロテクタ160の側壁部161との間の空間)に導入される。
[0101] 排気ガスGは、その後、空間S1内を軸線方向基端側(図3において上側)に流れ、内側プロテクタ160のガス導入孔167を通じて、内側プロテクタ160の内部空間S3内に導入される。とりわけ、一部の排気ガスGは、金属シェル110のガス導入空間S2内に導入された後、内側プロテクタ160のガス導入孔167を通じて内側プロテクタ160内に導入される。その後、排気ガスGは、内部空間S3内を軸線方向先端側(図3において下側)に流れ、内側プロテクタ160のガス排出孔166を通じて、内側プロテクタ160の外部に排出される。そして、排気ガスGは、空間S4(外側プロテクタ170のテーパ壁172と内側プロテクタ160の底部162との間の空間)内に導入された後、外側プロテクタ171のガス排出孔176を通じて外部に排出される。
[0102] 特に、外側プロテクタ170のテーパ壁172の直径は、軸線方向先端側に向かうにしたがって小径となる。このため、図3に矢印で示すように、外側プロテクタ171の外部(排気管内)では、排気ガスGの流速は、テーパ壁172の先端付近(ガス排出孔176の付近)において増加し、ベンチュリー効果により、テーパ壁172の先端付近(ガス排出孔176の付近)は強い負圧をとなる。これにより、内部空間S3内に導入された排気ガスGは、テーパ壁172の先端に位置するガス排出孔176側に吸引されるようにして、効率良く速やかに外側プロテクタ170の外部に排出される。
[0103] このように、本実施形態のガスセンサ100では、外部からガス導入空間S2内に導入された排気ガスGが、内側プロテクタ160のガス導入孔167を通じて内側プロテクタ160内に導入された後、検出素子120の先端部121(ガス通気部123を含む部位)に沿って流れ、検出素子120の先端120bよりも先端側に位置するガス排出孔166を通じて内側プロテクタ160の外部に排出されるように構成されている(図3参照)。
[0104] しかも、検出素子120の軸線方向について、検出素子120の先端部121の基端が、内側プロテクタ160の各ガス導入孔167の先端167bよりも基端側に位置し、かつ、先端部121の先端が、内側プロテクタ160の各ガス導入孔167の基端167cよりも先端側に位置している。特に、検出素子120の軸線方向について、検出素子120の各ガス通気部123の基端123cが、内側プロテクタ160の各ガス導入孔167の先端167bよりも基端側に位置し、かつ、各ガス通気部123の先端123bが、内側プロテクタ160の各ガス導入孔167の基端167cよりも先端側に位置している(図2、図3参照)。このような位置関係とすることで、ガス導入孔167を通じて内側プロテクタ160内に導入された排気ガスGの一部が、先端部121(ガス通気部123)に沿って流れるように適切に方向付けられる。
[0105] 特に、図2には、軸線方向に係る各ガス導入孔167の先端167bの位置を、直線L2で示している。図2は、ガス通気部123の基端123cが直線L2よりも基端側に位置していることを明示している。さらに、軸線方向に係る各ガス導入孔167の基端167cの位置を、直線L3で示している。図2は、ガス通気部123の先端123bが直線L3よりも先端側に位置していることを明示している。
[0106] しかも、排気ガスGがガス導入空間S2に導入された後に内側プロテクタ160のガス導入孔167を通過することで、排気ガスGの流れは整流(層流)になる。そのため、検出素子120の先端部121(ガス通気部123)の周囲において、排気ガスGの流れが整流(層流)になる。これは、前述の特許文献2のガスセンサと異なり、排気ガスGが、内側プロテクタ160のガス導入孔167を通過した後、金属シェル110のガス導入空間S2を経由することなく、検出素子120の先端部121(ガス通気部123)に進むからである。これにより、排気ガスGを、スムーズに先端部121(ガス通気部123)に沿って流れさせることが可能となる。したがって、本実施形態のガスセンサ100では、良好な応答性を得ることができる。
[0107] さらに、本実施形態のガスセンサ100では、ガス導入空間S2を形成する金属シェル110の先端部113の先端側内表面113bは、先端側から基端側に向かうにしたがって縮径するテーパ面113bとなっている(図2、図3参照)。このため、ガス導入空間S2に導入された排気ガスGが、テーパ面113bに沿って径方向内側に進みやすくなるの。そして、排気ガスGは、テーパ面113bの径方向内側に位置する内側プロテクタ160のガス導入孔167を通じて、内側プロテクタ160内に導入されやすくなる。これにより、ガスセンサの応答性がより一層向上する。
[0108] さらに、図2に示すように、本実施形態のガスセンサ100では、内側プロテクタ160の各ガス導入孔167の基端167cが、軸線方向について、ガス導入空間S2の基端S2E(ガス導入空間S2を形成する金属シェル110のテーパ面113bの基端113cに一致する)と同位置に位置している。つまり、ガス導入空間S2の基端S2E(金属シェル110のテーパ面113bの基端113c)が、直線L3上に位置している。このため、ガス導入空間S2内に導入された排気ガスGが、テーパ面113bに沿って径方向内側に進んだ後、スムーズに内側プロテクタ160のガス導入孔167を通じて、内側プロテクタ160内に導入されやすくなる。これにより、ガスセンサの応答性が向上する。
[0109] さらに、本実施形態のガスセンサ100では、図2に示すように、内側プロテクタ160の側壁部161の先端部161bと、内側プロテクタ160の周囲を取り囲む外側プロテクタ170の第2側壁部175は、圧入により互いに固定されており、外側プロテクタ170は、金属シェル110に溶接されている。これにより、検出素子120が、被測定ガスに直接さらされることを防止し、被測定ガス中の水が検出素子に付着することにより生じる亀裂を防止することができる。さらに、内側プロテクタ160の周囲は、あらかじめ外側プロテクタ170により覆われている。)

(甲1−オ)「Second Modified Embodiment
[0127] Next, a second modified embodiment of the present invention will be described. A gas sensor 300 of the present second modified embodiment is identical with the gas sensor 100 of the embodiment except for the metallic shell and the protector. Therefore, only those points which differ from the embodiment will be mainly described, and the description of the remaining portions will be omitted or simplified.
[0128] In the gas sensor 100 of the embodiment, two protectors; i.e., the inner protector 160 and the outer protector 170, are provided (see FIG. 1). In contrast, the gas sensor 300 of the present second modified embodiment has a single protector 360 as shown in FIG. 7.
[0129] Also, a metallic shell 310 of the present second modified embodiment is longer than the metallic shell 110 of the embodiment in terms of the axial length (length in the vertical direction in FIG. 7) of a portion located on the base end side of the tool engagement portion 317. Further, the metallic shell 310 of the present second modified embodiment has a lager gas introduction space S2 as compared with the metallic shell 110 of the embodiment.
[0130] As shown in FIGS. 7 and 8, the protector 360 of the present second modified embodiment has a tapered annular flange portion 363 whose diameter increases toward the base end side (the upper side in FIGS. 7 and 8), a cylindrical tubular side wall portion 361 which is located on the forward end side (the lower side in FIGS. 7 and 8) of the flange portion 363 and extends in the axial direction (the direction along the axis AX), a taper wall 365 located on the axially forward end side of the side wall portion 361, and a bottom portion 362 located on the forward end side of the taper wall 365. The taper wall 365 has a tapered tubular shape (truncated conical tubular shape) such that its diameter decreases toward the axially forward end side.
[0131] The protector 360 is fixed to the metallic shell 310 in a state in which its flange portion 363 is sandwiched between the ceramic ring 133 and the metallic shell 310, and the forward end portion 121 of the detection element 120 is disposed in the internal space S3 of the protector 360 (see FIGS. 7 and 8).
[0132] Gas introduction holes 367 for introducing the exhaust gas G (the gas-to-be-detected) from the outside of the protector 360 into the interior thereof are formed in the side wall portion 361 of the protector 360 at positions on the base end side with respect to the forward end 120b of the detection element 120. Notably, in the present second modified embodiment as well, eight gas introduction holes 367 having the same dimension are formed at equal intervals in the circumferential direction of the side wall portion 361 at the same position in the axial direction. At least a portion (the entirety in the present second modified embodiment) of each of these gas introduction holes 367 is located on the base end side with respect to the forward end 310b of the metallic shell 310.
[0133] Further, the protector 360 has a gas discharge hole 366 for discharging the exhaust gas G from the interior of the protector 360 to the outside thereof. The gas discharge hole 366 is located on the forward end side with respect to the forward end 120b of the detection element 120. More specifically, the gas discharge hole 366 is provided in the bottom portion 362 of the protector 360.
[0134] In the present second modified embodiment as well, at least a portion (the entirety in the present second modified embodiment) of the forward end portion 121 (each gas passage portion 123) of the detection element 120 is located on the base end side (on the upper side in FIGS. 7 and 8) in relation to the forward end 310b of the metallic shell 310. Notably, in FIG. 8, the position of the forward end 310b of the metallic shell 310 in the axial direction is indicated by a straight line L1. FIG. 8 clearly shows that the entirety of each gas passage portion 123 is located on the base end side with respect to the straight line L1.
[0135] In the case of the gas sensor 300 of the present second modified embodiment as well, the base end portion 360c of the protector 360 is disposed in (inserted into) the space inside the metallic shell 310 as shown in FIG. 8. This configuration enables at least a portion of each gas introduction hole 367 of the protector 360 to be disposed on the base end side with respect to the forward end 310b of the metallic shell 310 (namely, in the interior of the metallic shell 310).
[0136] In addition, the forward-end-side inner surface 313b of the forward end portion 313 of the metallic shell 310 is concaved radially outward, and forms a gas introduction space S2 in cooperation with the outer surface 360d of the protector 360 (between the forward-end-side inner surface 313b and the outer surface 360d). This gas introduction space S2 is a space for introducing the exhaust gas G (the gas-to-be-detected) from a region on the forward end side of the metallic shell 310 into the gas introduction holes 367 of the protector 360. Namely, at least a portion (the entirety in the present second modified embodiment) of each gas introduction hole 367 of the protector 360 is exposed to the gas introduction space S2. By virtue of such a structure, in the gas sensor 300 of the present second modified embodiment as well, as indicated by arrows in FIG. 9, the exhaust gas G can be introduced into the gas introduction space S2 of the metallic shell 310, and then introduced into the interior of the protector 360 through the gas introduction holes 367 of the protector 360.
[0137] Notably, FIG. 9 is a view showing a route (gas route) along which the exhaust gas G within the exhaust pipe flows through the gas sensor 300 (the metallic shell 310 and the protector 360). As shown in FIG. 9, the exhaust gas G having flowed through the exhaust pipe from the upstream side thereof (the left side in FIG. 9) toward the gas sensor 300 is introduced into the gas introduction space S2 of the metallic shell 310, then flows within the gas introduction space S2 toward the axially base end side (the upper side in FIG. 9), and is introduced into an internal space S3 of the protector 360 through the gas introduction holes 367 of the protector 360. After that, the exhaust gas G flows within the internal space S3 toward the axially forward end side (the lower side in FIG. 9), and is discharged to the outside of the protector 360 through the discharge hole 366 of the protector 360.
[0138] As described above, the gas sensor 300 of the present second modified embodiment is also configured such that the exhaust gas G introduced from the outside into the gas introduction space S2 is introduced into the interior of the protector 360 through the gas introduction holes 367 of the protector 360, flows along the forward end portion 121 (a portion including the gas passage portions 123) of the detection element 120, and is then discharged to the outside of the protector 360 through the gas discharge hole 366 located on the forward end side with respect to the forward end 120b of the detection element 120 (FIG. 9).
[0139] In addition, as viewed in the axial direction of the detection element 120, the base end of the forward end portion 121 of the detection element 120 is located on the base end side with respect to the forward end 367b of each gas introduction hole 367 of the protector 360, and the forward end of the forward end portion 121 is located on the forward end side with respect to the base end 367c of each gas introduction hole 367 of the protector 360. In particular, as viewed in the axial direction of the detection element 120, the base end 123c of each gas passage portion 123 of the detection element 120 is located on the base end side with respect to the forward end 367b of each gas introduction hole 367 of the protector 360, and the forward end 123b of each gas passage portion 123 is located on the forward end side with respect to the base end 367c of each gas introduction hole 367 of the protector 360 (see FIGS. 8 and 9). By virtue of this positional relation, a portion of the exhaust gas G introduced into the interior of the protector 360 through the gas introduction holes 367 can be properly directed to flow along the forward end portion 121 (the gas passage portions 123).
[0140] Notably, in FIG. 8, the position of the forward end 367b of each gas introduction hole 367 in the axial direction is indicated by a straight line L2. FIG. 8 clearly shows that the base end 123c of the gas passage portion 123 is located on the base end side with respect to the straight line L2. Further, the position of the base end 367c of each gas introduction hole 367 in the axial direction is indicated by a straight line L3. FIG. 8 clearly shows that the forward end 123b of each gas passage portion 123 is located on the forward end side with respect to the straight line L3.
[0141] In addition, since the exhaust gas G passes through the gas introduction holes 367 of the protector 360 after having been introduced into the gas introduction space S2, the flow of the exhaust gas G assumes a straightened flow (laminar flow). Thus, the flow of the exhaust gas G assumes a straightened flow (laminar flow) around the gas passage portions 123 of the detection element 120. As a result, the exhaust gas G can be directed to smoothly flow along the forward end portion 121 (the gas passage portions 123). Accordingly, the gas sensor 300 of the present second modified embodiment also can have excellent responsiveness.
[0142] Further, in the gas sensor 300 of the present second modified embodiment, the forward-end-side inner surface 313b of the forward end portion 313 of the metallic shell 310, which forms the gas introduction space S2, has a taper surface 313c whose diameter decreases from the forward end side toward the base end side thereof (see FIGS. 8 and 9). Therefore, the exhaust gas G introduced into the gas introduction space S2 is more likely to flow radially inward along the taper surface 313c. Thus, the exhaust gas G is more likely to be introduced into the interior of the protector 360 through the gas introduction holes 367 of the protector 360, which are located on the radially inner side of the taper surface 313c. This configuration further enhances the responsiveness of the gas sensor.
[0143] Furthermore, as shown in FIG. 8, in the gas sensor 300 of the present second modified embodiment, the base end 367c of each gas introduction hole 367 of the protector 360 is located on the base end side (the upper side in FIG. 8) of the base end S2E of the gas introduction space S2 (corresponding to the base end 313d of the forward-end-side inner surface 313b of the metallic shell 310 which forms the gas introduction space S2) as viewed in the axial direction. Therefore, the exhaust gas G introduced into the gas introduction space S2 is more likely to be smoothly introduced into the interior of the protector 360 through the gas introduction holes 367 of the protector 360 after flowing radially inward along the taper surface 313c. This enhances the responsiveness of the gas sensor.
(当審訳:変形形態2
[0127] 次に、本発明の変形形態2について説明する。本変形形態2のガスセンサ300は、実施形態のガスセンサ100と比較して、金属シェル及びプロテクタが異なり、その他については同様である。したがって、実施形態と異なる点を中心に説明し、その他については説明を省略又は簡略化する。
[0128] 実施形態のガスセンサ100では、2つのプロテクタ、すなわち、内側プロテクタ160と外側プロテクタ170を設けた(図1参照)。これに対し、本変形形態2のガスセンサ300は、図7に示すように、1つのプロテクタ360のみを有している。
[0129] また、本変形形態2の金属シェル310は、実施形態の金属シェル110と比較して、工具係合部317よりも基端側に位置する部位の軸線方向長さ(図7において上下方向の長さ)を長くしている。さらに、本変形形態2の金属シェル310は、実施形態の金属シェル110よりも、ガス導入空間S2を大きくしている。
[0130] 図7及び図8に示すように、本変形形態2のプロテクタ360は、基端側(図7及び図8において上側)に向かうにしたがって拡径するテーパ環状の鍔部363、この鍔部363の先端側(図7及び図8において下側)に位置して軸線方向(軸線AXに沿った方向)に延びる円筒状の側壁部361、側壁部361よりも軸線方向先端側に位置するテーパ壁365、及びテーパ壁365の先端側に位置する底部362を有している。テーパ壁365は、軸線方向先端側ほど小径となるテーパ筒状(円錐台筒状)をなしている。
[0131] このプロテクタ360は、鍔部363が、セラミックリング133と金属シェル310との間に挟まれた態様で、金属シェル310に固定されており、検出素子120の先端部121がプロテクタ360の内部空間S3内に配置されている(図7及び図8参照)。
[0132] プロテクタ360の側壁部361のうち、検出素子120の先端120bよりも基端側の位置には、排気ガスG(被測定ガス)をプロテクタ360の外部から内部に導入するガス導入孔367が形成されている。とりわけ、本変形形態2でも、同寸法の8個のガス導入孔367が、軸線方向の同一位置に、側壁部361の周方向に等間隔で配置されている。これらのガス導入孔367は、いずれも、その少なくとも一部(本変形形態2では全部)が、金属シェル310の先端310bよりも基端側に位置している。
[0133] さらに、プロテクタ360は、排気ガスGをプロテクタ360の内部から外部に排出するためのガス排出孔366を有している。ガス排出孔366は、検出素子120の先端120bよりも先端側に位置している。より具体的には、ガス排出孔366は、プロテクタ360の底部362に設けられている。
[0134] 本変形形態2でも、検出素子120の先端部121(各ガス通気部123)の少なくとも一部(本変形形態2では全部)が、金属シェル310の先端310bよりも基端側(図7及び図8において上側)に位置している。とりわけ、図8では、軸線方向に係る金属シェル310の先端310bの位置を、直線L1で示している。図8は、各ガス通気部123の全部が直線L1よりも基端側に位置していることを明示している。
[0135] 本変形形態2のガスセンサ300でも、図8に示すように、プロテクタ360の基端部360cが、金属シェル310の内側に配置(挿入)されている。これにより、プロテクタ360の各ガス導入孔367の少なくとも一部を、金属シェル310の先端310bよりも基端側に(すなわち、金属シェル310の内部に)配置させることが可能となる。
[0136] しかも、金属シェル310の先端部313の先端側内表面313bは、径方向外側に凹んだ形態をなし、プロテクタ360の外表面360dとによって(先端側内表面313bと外表面360dとの間に)ガス導入空間S2を形成している。このガス導入空間S2は、金属シェル310よりも先端側の領域からプロテクタ360のガス導入孔367に排気ガスG(被測定ガス)を導くための空間である。つまり、プロテクタ360の各ガス導入孔367の少なくとも一部(本変形形態2では全部)は、ガス導入空間S2に露出している。このような構造とすることで、本変形形態2のガスセンサ300でも、図9に矢印で示すように、排気ガスGを、金属シェル310のガス導入空間S2内に導入させ、その後、プロテクタ360のガス導入孔367を通じてプロテクタ360内に導入させることができる。
[0137] 特に、図9は、排気管内の排気ガスGが、ガスセンサ300(金属シェル310及びプロテクタ360)の内部を流れる経路(ガス経路)を示す図である。図9に示すように、排気管内を上流側(図9において左側)からガスセンサ300に向かって流れてきた排気ガスGは、金属シェル310のガス導入空間S2内に導入された後、ガス導入空間S2内を軸線方向基端側(図9において上側)に流れ、プロテクタ360のガス導入孔367を通じて、プロテクタ360の内部空間S3内に導入される。その後、排気ガスGは、内部空間S3内を軸線方向先端側(図9において下側)に流れ、プロテクタ360のガス排出孔366を通じて外部に排出される。
[0138] このように、本変形形態2のガスセンサ300でも、外部からガス導入空間S2内に導入された排気ガスGが、プロテクタ360のガス導入孔367を通じてプロテクタ360内に導入された後、検出素子120の先端部121(ガス通気部123を含む部位)に沿って流れ、その後、検出素子120の先端120bよりも先端側に位置するガス排出孔366を通じてプロテクタ360の外部に排出されるように構成されている(図9参照)。
[0139] しかも、検出素子120の軸線方向について、検出素子120の先端部121の基端が、プロテクタ360の各ガス導入孔367の先端367bよりも基端側に位置し、かつ、先端部121の先端がプロテクタ360の各ガス導入孔367の基端367cよりも先端側に位置している。特に、検出素子120の軸線方向について、検出素子120の各ガス通気部123の基端123cが、プロテクタ360のガス導入孔367の先端367bよりも基端側に位置し、かつ、各ガス通気部123の先端123bがプロテクタ360のガス導入孔367の基端367cよりも先端側に位置している(図8、図9参照)。このような位置関係とすることで、ガス導入孔367を通じてプロテクタ360内に導入された排気ガスGの一部を、先端部121(ガス通気部123)に沿って流れるように適切に方向付けられる。
[0140] 特に、図8では、軸線方向に係る各ガス導入孔367の先端367bの位置を、直線L2で示している。図8は、ガス通気部123の基端123cが、直線L2よりも基端側に位置していることを明示している。さらに、軸線方向に係る各ガス導入孔367の基端367cの位置は、直線L3で示されている。図8は、各ガス通気部123の先端123bが直線L3よりも先端側に位置していることを明示している。
[0141] また、排気ガスGは、ガス導入空間S2内に導入された後にプロテクタ360のガス導入孔367を通過するため、排気ガスGの流れは整流(層流)となる。したがって、検出素子120のガス通気部123の周囲において、排気ガスGの流れは整流(層流)となる。これにより、排気ガスGは、先端部121(ガス通気部123)に沿ってスムーズに流れるように方向付けられる。したがって、本変形形態2のガスセンサ300でも、良好な応答性を得ることができる。
[0142] さらに、本変形形態2のガスセンサ300では、ガス導入空間S2を形成する金属シェル310の先端部313の先端側内表面313bが、先端側から基端側に向かうにしたがって縮径するテーパ面313cを有している(図8、図9参照)。このため、ガス導入空間S2に導入された排気ガスGが、テーパ面313cに沿って径方向内側に進みやすくなる。したがって、排気ガスGは、テーパ面313cの径方向内側に位置するプロテクタ360のガス導入孔367を通じて、プロテクタ360内に導入されやすくなる。この構成により、ガスセンサの応答性がより一層向上する。
[0143] さらに、図8に示すように、本変形形態2のガスセンサ300では、プロテクタ360の各ガス導入孔367の基端367cが、軸線方向について、ガス導入空間S2の基端S2E(ガス導入空間S2を形成する金属シェル310の先端側内表面313bの基端313dに一致する)よりも基端側(図8において上側)に位置している。このため、ガス導入空間S2内に導入された排気ガスGが、テーパ面313cに沿って径方向内側に進んだ後、内側プロテクタ360のガス導入孔367を通じて、よりスムーズに内側プロテクタ360内に導入されやすくなる。これにより、ガスセンサの応答性が向上する。)

(甲1−カ)「[0144] Although the present invention has been described in detail with reference to the above embodiment and first and second modified embodiments, the present invention should not be construed as being limited thereto. It should be apparent to those skilled in the art that various changes in form and detail of the invention as shown and described above may be made. It is intended that such changes be included within the spirit and scope of the claims appended hereto.
[0145] For example, in the embodiment, etc., the gas sensor is a full-range air/fuel ratio sensor. However, the present invention can be applied to oxygen sensors, NOx sensors, HC sensors, etc.
[0146] In the embodiment and the modified embodiments, the inner protector is inserted into (disposed in) the interior of the metallic shell. However, the present invention can be applied to a structure in which the inner protector is press-fitted into the interior of the metallic shell.
[0147] In the embodiment and the modified embodiments, the gas passage portion 123 is a “porous body provided in a passage for establishing communication between the outside of the detection element and a gas measurement chamber provided in the detection element 120. ” However, the present invention can be applied to the case where the gas passage portion is a “porous portion which is provided to be exposed on the surface of a detection element and which intervenes between the electrode provided inside the detection element and the outside of the detection element. ” Examples of such a porous portion include an electrode protection layer described in FIG. 1 of U.S. Publication No. US 2007/0017806 corresponding to Japanese Patent Application Laid-Open (kokai) No. 2007-33114 and a diffusion resistor layer described in FIG. 3 of U.S. Publication No. US 2004/0123642 corresponding to Japanese Patent Application Laid-Open (kokai) No. 2004-191328, the above-noted applications incorporated herein by reference. Also, the present invention can be applied to the case where the gas passage portion is a “passage which connects a gas measurement chamber provided in a detection element and the outside of the detection element. ” Examples of such a passage includes an outside communication portion described in FIG. 3 of U.S. Publication No. US 2011/0233060 corresponding to Japanese Patent Application Laid-Open (kokai) No. 2011-227061 and a gas flow hole described in FIG. 1 of U.S. Publication No. US 2008/0296156 corresponding to Japanese Patent Application Laid-Open (kokai) No. 2008-298781, the above-noted applications incorporated herein by reference.
[0148] In the embodiment and the modified embodiments, a plate-type detection element having gas passage portions 123 at a forward end portion 121 thereof is used. However, the present invention can be applied to a plate-type detection element which has no gas passage portion at a forward end portion thereof and a known tube-type detection element.
(当審訳:[0144] 本発明を上記の実施形態並びに変形形態1及び2に即して詳細に説明したが、本発明はそれらに限定されると解釈されるべきではない。上記で示し説明した本発明の形態や詳細に様々な変更を加えることができることは、当業者には明らかであるはずである。そのような変更は、本明細書に添付された請求項の主旨及び範囲内に含まれることが意図されている。
[0145] 例えば、実施形態等では、ガスセンサは、全領域空燃比センサである。しかしながら、本発明は、酸素センサ、NOxセンサ、HCセンサ等にも適用することができる。
[0146] 実施形態及び変形形態では、内側プロテクタは、金属シェルの内部に挿入される(配置される)。しかしながら、本発明は、内側プロテクタが金属シェルの内部に圧入されている構造に適用することができる。
[0147] 実施形態及び変形形態では、ガス通気部123は、「検出素子の外部と検出素子120の内部に設けられたガス測定室とを繋ぐ通路に設けられた多孔質体」である。しかしながら、本発明は、ガス通気部が、「検出素子の表面に露出するように設けられるとともに、検出素子の内部に設けられた電極と検出素子の外部との間に介在する多孔質部」である場合にも適用することができる。そのような多孔質部の例は、特開2007−33114号として公開された日本特許出願に対応する米国特許出願公開第2007/0017806号明細書の図1に記載された電極保護層、及び、特開2004−191328号として公開された日本特許出願に対応する米国特許出願公開第2004/0123642号明細書の図3に記載された拡散抵抗層を含み、上記の出願は参照により本明細書に組み込まれる。さらに、本発明は、ガス通気部が、「検出素子の内部に設けられたガス測定室と検出素子の外部とを繋ぐ通路」である場合にも適用することができる。そのような通路の例は、特開2011−227061号として公開された日本特許出願に対応する米国特許出願公開第2011/0233060号明細書の図3に記載された外部連通部、及び、特開2008−298781号として公開された日本特許出願に対応する米国特許出願公開第2008/0296156号明細書の図1に記載されたガス流通孔を含み、上記の出願は参照により本明細書に組み込まれる。
[0148] 実施形態及び変形形態では、その先端部121にガス通気部123を有するプレート型検出要素が使用されている。しかしながら、本発明は、その先端部にガス通気部を有さないプレート型検出素子及び既知の管型検出素子に適用することができる。)

(甲1−キ)「[0149] This application is based on Japanese Patent Application No. 2013-084599 filed Apr. 15, 2013, incorporated herein by reference in its entirety.
What is claimed is:
1. A gas sensor comprising:
a detection element which extends from a base end side to a forward end side in an axial direction, which detects a particular gas component contained in a gas-to-be-detected, and which has a detection section on the forward end side thereof;
a tubular metallic shell which surrounds a circumference of the detection element; and
a tubular protector which surrounds a circumference of a forward end portion of the detection element,
the protector having a gas introduction hole located on the base end side with respect to a forward end of the detection element and which introduces the gas-to-be-detected from outside of the protector into the interior thereof, and a gas discharge hole located on the forward end side with respect to the forward end of the detection element and which discharges the gas-to-be-detected from the interior of the protector to the outside thereof, wherein
at least a portion of the detection section of the detection element is located on the base end side with respect to a forward end of the metallic shell;
the protector is inserted into the interior of the metallic shell in a state in which at least a portion of the gas introduction hole is located on the base end side with respect to the forward end of the metallic shell;
a forward-end-side inner surface of the metallic shell and an outer surface of the protector form therebetween a gas introduction space for guiding the gas-to-be-detected from a region on the forward end side with respect to the metallic shell to the gas introduction hole of the protector; and
a base end of the detection section of the detection element is located on the base end side with respect to a forward end of the gas introduction hole, and a forward end of the detection section is located on the forward end side with respect to a base end of the gas introduction hole.
2. The gas sensor as claimed in claim 1, wherein
the detection section has a gas passage portion which allows passage of the gas-to-be-detected therethrough;
at least a portion of the gas passage portion is located on the base end side with respect to the forward end of the metallic shell; and
a base end of the gas passage portion is located on the base end side with respect to the forward end of the gas introduction hole, and a forward end of the gas passage portion is located on the forward end side with respect to the base end of the gas introduction hole.
3. The gas sensor as claimed in claim 1, wherein the forward-end-side inner surface of the metallic shell which forms the gas introduction space has a taper surface whose diameter decreases from the forward end side toward the base end side.
4. The gas sensor as claimed in claim 1, wherein the base end of the gas introduction hole of the protector is located at a position which is the same as, or is shifted toward the base end side from, the position of a base end of the gas introduction space in the axial direction.
5. The gas sensor as claimed in claim 1, further comprising an outer protector which covers a circumference of the protector and which is welded to the metallic shell, wherein the protector is fixedly press-fitted into the outer protector.
6. The gas sensor as claimed in claim 1, wherein, as viewed in the axial direction, the forward end of the detection element projects from the forward end of the metallic shell by a projection length of 5 mm or less.」
(当審訳:[0149] この出願は、2013年4月15日に出願された日本特許出願第2013−084599号に基づいており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
特許請求の範囲は以下のとおり。
請求項1
軸線方向の基端側から先端側に延びる形態をなし、被測定ガス中の特定ガス成分を検出するとともに、その先端部に検出部を有する検出素子、
上記検出素子の周囲を取り囲む筒状の金属シェル、及び、
上記検出素子の先端部の周囲を取り囲む筒状のプロテクタ、を備え、
上記プロテクタは、上記検出素子の先端よりも基端側に位置して上記被測定ガスを自身の外部から内部に導入するガス導入孔、及び、上記検出素子の先端よりも先端側に位置して上記被測定ガスを自身の内部から外部に排出するガス排出孔を有してなり、
上記検出素子の上記検出部の少なくとも一部が、上記金属シェルの先端よりも基端側に位置し、
上記プロテクタは、ガス導入孔の少なくとも一部が上記金属シェルの先端よりも基端側に位置する状態で、上記金属シェルの内側に挿入されており、
上記金属シェルの先端側内表面と上記プロテクタの外表面とは、両者の間に、上記金属シェルよりも先端側の領域から上記プロテクタの上記ガス導入孔に上記被測定ガスを導くためのガス導入空間を形成しており、
上記検出素子の上記検出部の基端が上記ガス導入孔の先端よりも基端側に位置し、かつ、当該検出部の先端が上記ガス導入孔の基端よりも先端側に位置している、
ガスセンサ。
請求項2
上記検出部は、上記被測定ガスの通気を許容するガス通気部を有し、
上記ガス通気部の少なくとも一部は、上記金属シェルの先端よりも基端側に位置し、
上記ガス通気部の基端が上記ガス導入孔の先端よりも基端側に位置し、かつ、当該ガス通気部の先端が上記ガス導入孔の基端よりも先端側に位置している、請求項1に記載のガスセンサ。
請求項3
上記ガス導入空間を形成する上記金属シェルの上記先端側内表面は、先端側から基端側に向かうにしたがって縮径するテーパ面を有する、請求項1に記載のガスセンサ。
請求項4
上記プロテクタの上記ガス導入孔の基端は、上記軸線方向について、上記ガス導入空間の基端位置と同位置か、それよりも基端側に位置する、請求項1に記載のガスセンサ。
請求項5
上記プロテクタの周囲を取り囲み、上記金属シェルに溶接されている外側プロテクタを更に備え、上記プロテクタが上記外側プロテクタに圧入固定されている、請求項1に記載のガスセンサ。
請求項6
上記軸線方向について、上記検出素子の先端は、上記金属シェルの先端から5mm以下の突出長さで突出する、請求項1に記載のガスセンサ。

(甲1−ク)FIG.1(図1)




(甲1−ケ)FIG.2(図2)




(甲1−コ)FIG.3(図3)




(甲1−サ)FIG.7(図7)




(甲1−シ)FIG.8(図8)




(甲1−ス)FIG.9(図9)




イ 甲1に記載された発明
(ア)上記(甲1−ア)から、甲1に記載された発明がなされた背景として、以下のことが読み取れる。
a 従来のガスセンサは、軸線方向の基端側から先端側に延びる形態をなす検出素子、検出素子の周囲を取り囲む筒状の金属シェル、及び金属シェルの先端側に設けられるとともに検出素子の先端部の周囲を取り囲む筒状のプロテクタを備え、検出素子の先端部はガス通気部を有する検出部を備え、プロテクタは、検出素子の先端よりも基端側に位置して被測定ガスを自身の外部から内部に導入するガス導入孔と、検出素子の先端よりも先端側に位置して被測定ガスを自身の内部から外部に排出するガス排出孔を有し、検出素子の先端部は、ガス通気部全体が金属シェルの先端よりも先端側に位置するように、金属シェルから先端側に突出している構成を有している。
b 近年、コスト低減のため、検出素子に設けられる電極やリード部等を構成する白金の使用量の削減を意図して検出素子の長さを短縮することが求められているが、検出素子の先端側に位置する検出素子の一部を短縮すると、検出素子のガス通気部の少なくとも一部が金属シェルの先端よりも基端側に配置され、ガス通気部は、内側プロテクタのガス導入孔よりも基端側に配置されることになり、被測定ガスが、ガス通気部に沿って流れることが困難となり、その結果、ガスセンサの応答性が低下するおそれがある。
c また、被測定ガスが検出素子のガス通気部に沿って流れることが可能となるように、金属シェルの内部の先端側にガス導入空間を形成し、被測定ガスが内側プロテクタのガス導入孔を通じて金属シェル内のガス導入空間内に導入され、その後先端側に流れてゆく構成にすると、被測定ガスはガス導入空間内で乱流になり、検出素子の先端部の周囲においても乱流状態になり、被測定ガスがスムーズにガス通気部に沿って流れることができなくなり、応答性が低下するおそれがある。

(イ)そして、上記(甲1−イ)から、甲1に記載された発明は、検出素子の検出部の少なくとも一部が金属シェルの先端よりも基端側に位置しつつも、良好な応答性が得られるガスセンサを提供することをその目的とすることが読み取れる。

(ウ)ここで、上記(甲1−ク)ないし(甲1−コ)の図1ないし3から、検出素子120の先端部121は、セラミックリング133、滑石リング135及びスリーブ141から先端側に突出していることが見て取れる。

(エ)上記(ウ)を踏まえると、上記(甲1−ア)ないし(甲1−ス)の記載から、上記(イ)の目的を達成するものとして、甲1には、
「 全領域空燃比センサであるガスセンサ100であって、
軸線方向に延びる筒状の金属シェル110、この金属シェル110の内側に保持された板状の検出素子120、金属シェル110の基端側に固設された外筒151、並びに、金属シェル110の先端側に固定された内側プロテクタ160及び外側プロテクタ170等から構成されており、
検出素子120は、軸線方向に延びる板状をなし、酸素濃度の検出を行う板状のガス検出体と、このガス検出体を早期活性化させるために加熱を行う板状のヒータ体とを、互いに貼り合わせて一体化したものであり、ガス検出体は、ジルコニアを主体とする固体電解質体、及び、白金を主体とする一対の検出電極及び基準電極などから構成され、排気ガスGを検出素子120の外部から内部(ガス測定室)に導入するように、検出素子120の先端部121の軸線方向について同位置に、平面視矩形状で同寸法のガス通気部123が2つ設けられており、これらのガス通気部123は、検出素子120の外部と検出素子120の内部に設けられたガス測定室とを繋ぐ通路に設けられた多孔質体であり、いずれも、その少なくとも一部が、金属シェル110の先端110bよりも基端側に位置しており、
アルミナ製のセラミックリング133、滑石粉末を圧縮した滑石リング135、及び筒状のスリーブ141が、金属シェル110の内部に収容されており、
セラミックリング133、滑石リング135及びスリーブ141には、検出素子120がその先端部121が先端側に突出した状態で挿通されており、
金属シェル110の先端側には、検出素子120の先端部121の周囲を取り囲む筒状の内側プロテクタ160及び外側プロテクタ170が設けられており、
内側プロテクタ160の基端部160cが、金属シェル110の内側の空間に挿入されており、金属シェル110の先端部113の先端側内表面113bは、径方向外側に凹んだ形態をなし、内側プロテクタ160の外表面160dとによってガス導入空間S2を形成しており、
内側プロテクタ160の側壁部161のうち、検出素子120の先端120bよりも基端側の位置には、被測定ガスを内側プロテクタ160の外部から内部に導入するガス導入孔167が形成されており、ガス導入孔167は、その少なくとも一部が、金属シェル110の先端110bよりも基端側に位置し、ガス導入空間S2に露出しており、
ガス通気部123の基端123cはガス導入孔167の先端167bよりも基端側に位置し、ガス通気部123の先端123bはガス導入孔167の基端167cよりも先端側に位置しており、
内側プロテクタ160の底部162には、被測定ガスを自身の内部から外部に排出するガス排出孔166が設けられており、
外側プロテクタ170の第1側壁部174は、第1側壁部174を貫通するガス導入孔177を、内側プロテクタ160のガス導入孔167よりも軸線方向先端側に有しており、
外側プロテクタ170の底部173は、先端開口であるガス排出孔176を有しており、
外部からガス導入空間S2内に導入された排気ガスGが、内側プロテクタ160のガス導入孔167を通じて内側プロテクタ160内に導入された後、検出素子120のガス通気部123を含む先端部121に沿って流れ、検出素子120の先端120bよりも先端側に位置するガス排出孔166を通じて内側プロテクタ160の外部に排出されるように構成され、排気ガスGがガス導入空間S2に導入された後に内側プロテクタ160のガス導入孔167を通過することで、排気ガスGの流れは整流(層流)になり、検出素子120の先端部121(ガス通気部123)の周囲において、排気ガスGの流れが整流(層流)になることで、排気ガスGを、スムーズに先端部121(ガス通気部123)に沿って流れさせることが可能となり、良好な応答性を得ることができる、
ガスセンサ100。」
の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されているものと認められる。

(2)甲2について
ア 甲2には、以下の記載がある。
(甲2−ア)「【請求項1】
酸素イオン伝導性の固体電解質を主成分として構成されるセンサ素子を有し、被測定ガス中の所定ガス成分を検出するガスセンサであって、
前記センサ素子は、
外部空間に開口した開口部を有し、外部空間から所定の拡散抵抗の下に前記被測定ガスを導入する外部連通部と、
前記外部連通部と連通する内部空所と、
前記内部空所の表面に形成された第1の電極と前記内部空所とは異なる空間に形成された第2の電極との間に所定電圧を印加することで、前記内部空所中の酸素を汲み出し可能に設けられたポンピングセルと、
を備え、
前記外部連通部の厚みが前記内部空所の厚みに対して50%以上100%以下である、
ことを特徴とするガスセンサ。」

(甲2−イ)「【技術分野】
【0001】
本発明は、センサ素子を備え、被測定ガス成分中の所定ガス成分を測定するガスセンサに関する。」

(甲2−ウ)「【0026】
センサ素子101は、それぞれがジルコニア(ZrO2)等の酸素イオン伝導性固体電解質層からなる第1基板層1と、第2基板層2と、第3基板層3と、第1固体電解質層4と、スペーサ層5と、第2固体電解質層6との6つの層が、図面視で下側からこの順に積層された構造を有する細長な長尺の板状体形状の素子である。また、これら6つの層を形成する固体電界質は緻密な気密のものである。係るセンサ素子101は、例えば、各層に対応するセラミックスグリーンシートに所定の加工および回路パターンの印刷などを行った後にそれらを積層し、得られた積層体を素子単位に切り出したうえで、これを焼成して一体化させることによって製造される。
【0027】
センサ素子101の一先端部側であって、第2固体電解質層6の下面と第1固体電解質層4の上面との間には、外部連通部11と、第1内部空所20と、第1拡散律速部30と、第2内部空所40とが、この順に連通する態様にて隣接形成されてなる。
【0028】
外部連通部11は、スペーサ層5をくり抜いた態様にて設けられた、センサ素子101内部の空間である。外部連通部11は、上部を第2固体電解質層6の下面またはスペーサ層5の内面5aで、下部を第1固体電解質層4の上面またはスペーサ層5の内面5bで、側部をスペーサ層5の側面5c,5dで区画されることによって設けられている。ただし、より詳細には、外部連通部11は、後述するように、窒素酸化物(NOx)濃度の測定に適した拡散抵抗の程度に応じて、形成される位置が調整される。
・・・
【0034】
<ガス流通部および関連部位の詳細>
外部連通部11は、センサ素子先端部101aに形成された開口部11aを通じて外部空間から導入された被測定ガスに対し、窒素酸化物(NOx)濃度の測定に適した所定の拡散抵抗を付与したうえで、該被測定ガスを連通部11bにて連通する第1内部空所20へと導く部位である。
【0035】
外部連通部11のy軸方向の幅aおよびz軸方向の厚みbは、開口部11aから第1内部空所20へ導入される被測定ガスに対して付与しようとする拡散抵抗の程度に応じて規定される。
【0036】
ただし、外部連通部11は、厚みbが、第1内部空所20のz軸方向の厚み(空室厚み)dに対して50%〜100%であり、幅aが、第1内部空所20のy軸方向の幅(空室幅)cに対して5%〜60%(望ましくは、10%〜40%)であることが好適である。
【0037】
厚みbが厚みdに対して50%未満になると、開口部11aの開口面積が小さくなってセンサ素子先端部101aに付着した水が毛細管現象により第1内部空所20内に浸入しやすくなるため好ましくない。また、幅aが幅cに対して5%未満になると、開口部11aの開口面積が小さくなってセンサ素子先端部101aに付着した水が毛細管現象により第1内部空所20内に浸入しやすくなるため好ましくない。一方、幅aが幅cに対して60%を超えると、被測定ガスに対して窒素酸化物(NOx)濃度の測定に適した拡散抵抗を付与することが困難となる。
【0038】
このように、ガスセンサ100においては、外部連通部11の幅aおよび厚みbが上述した範囲内に規定されることで、センサ素子先端部101aに付着した水の第1内部空所20内への浸入が抑制される。
【0039】
第1内部空所20は、外部連通部11を通じて導入された被測定ガス中の酸素分圧を調整するための空間として設けられている。係る酸素分圧は、主ポンプセル21が作動することによって調整される。
【0040】
主ポンプセル21は、第1内部空所20に面する第2固体電解質層6の下面のほぼ全面に設けられた天井電極部22aを有する内側ポンプ電極22と、第2固体電解質層6の上面の天井電極部22aと対応する領域に外部空間に露出する態様にて設けられた外側ポンプ電極23と、これらの電極に挟まれた第2固体電解質層6とによって構成されてなる電気化学的ポンプセルである。
【0041】
内側ポンプ電極22は、第1内部空所20を区画する上下の固体電解質層(第2固体電解質層6および第1固体電解質層4)、および、側壁を与えるスペーサ層5にまたがって形成されている。具体的には、第1内部空所20の天井面を与える第2固体電解質層6の下面には天井電極部22aが形成され、また、底面を与える第1固体電解質層4の上面には底部電極部22bが形成され、そして、それら天井電極部22aと底部電極部22bとを接続するように、側部電極部(図示省略)が第1内部空所20の両側壁部を構成するスペーサ層5の側壁面(内面)に形成されて、該側部電極部の配設部位においてトンネル形態とされた構造において配設されている。
【0042】
内側ポンプ電極22と外側ポンプ電極23とは、多孔質サーメット電極(例えば、Auを1%含むPtとZrO2とのサーメット電極)として形成される。なお、被測定ガスに接触する内側ポンプ電極22は、被測定ガス中のNOx成分に対する還元能力を弱めた、あるいは、還元能力のない材料を用いて形成される。
【0043】
主ポンプセル21においては、内側ポンプ電極22と外側ポンプ電極23との間に所望のポンプ電圧Vp0を印加して、内側ポンプ電極22と外側ポンプ電極23との間に正方向あるいは負方向にポンプ電流Ip0を流すことにより、第1内部空所20内の酸素を外部空間に汲み出し、あるいは、外部空間の酸素を第1内部空所20に汲み入れることが可能となっている。
【0044】
また、第1内部空所20における雰囲気中の酸素濃度(酸素分圧)を検出するために、内側ポンプ電極22と、第2固体電解質6と、スペーサ層5と、第1固体電解質4と、第3基板層3と、基準電極42によって、電気化学的なセンサセル、すなわち、主ポンプ制御用酸素分圧検出センサセル80が構成されている。
【0045】
主ポンプ制御用酸素分圧検出センサセル80における起電力V0を測定することで第1内部空所20内の酸素濃度(酸素分圧)がわかるようになっている。さらに、起電力V0が一定となるようにVp0をフィードバック制御することでポンプ電流Ip0が制御されている。これによって、第1内部空所内20内の酸素濃度は所定の一定値に保つことができる。
【0046】
第1拡散律速部30は、第1内部空所20で主ポンプセル21の動作により酸素濃度(酸素分圧)が制御された被測定ガスに所定の拡散抵抗を付与して、該被測定ガスを第2内部空所40に導く部位である。
【0047】
第2内部空所40は、第1拡散律速部30を通じて導入された被測定ガス中の窒素酸化物(NOx)濃度の測定に係る処理を行うための空間として設けられている。NOx濃度の測定は、主として、補助ポンプセル50により酸素濃度が調整された第2内部空所40において、さらに、測定用ポンプセル41の動作によりNOx濃度が測定される。
【0048】
第2内部空所40では、あらかじめ第1内部空所20において酸素濃度(酸素分圧)が調整された後、第1拡散律速部30を通じて導入された被測定ガスに対して、さらに補助ポンプセル50による酸素分圧の調整が行われるようになっている。これにより、第2内部空所40内の酸素濃度を高精度に一定に保つことができるため、係るガスセンサ100においては精度の高いNOx濃度測定が可能となる。
【0049】
補助ポンプセル50は、第2内部空所40に面する第2固体電解質層6の下面の略全体に設けられた天井電極部51aを有する補助ポンプ電極51と、外側ポンプ電極23(外側ポンプ電極23に限られるものではなく、センサ素子101と外側の適当な電極であれば足りる)と、第2固体電解質層6とによって構成される、補助的な電気化学的ポンプセルである。
【0050】
係る補助ポンプ電極51は、先の第1内部空所20内に設けられた内側ポンプ電極22と同様なトンネル形態とされた構造において、第2内部空所40内に配設されている。つまり、第2内部空所40の天井面を与える第2固体電解質層6に対して天井電極部51aが形成され、また、第2内部空所40の底面を与える第1固体電解質層4には、底部電極部51bが形成され、そして、それらの天井電極部51aと底部電極部51bとを連結する側部電極部(図示省略)が、第2内部空所40の側壁を与えるスペーサ層5の両壁面にそれぞれ形成されたトンネル形態の構造となっている。
【0051】
なお、補助ポンプ電極51についても、内側ポンプ電極22と同様に、被測定ガス中のNOx成分に対する還元能力を弱めた、あるいは、還元能力のない材料を用いて形成される。
【0052】
補助ポンプセル50においては、補助ポンプ電極51と外側ポンプ電極23との間に所望の電圧Vp1を印加することにより、第2内部空所40内の雰囲気中の酸素を外部空間に汲み出し、あるいは、外部空間から第2内部空所40内に汲み入れることが可能となっている。
【0053】
また、第2内部空所40内における雰囲気中の酸素分圧を制御するために、補助ポンプ電極51と、基準電極42と、第2固体電解質層6と、スペーサ層5と、第1固体電解質層4と、第3基板層3とによって電気化学的なセンサセル、すなわち、補助ポンプ制御用酸素分圧検出センサセル81が構成されている。
【0054】
なお、この補助ポンプ制御用酸素分圧検出センサセル81にて検出される起電力V1に基づいて電圧制御される可変電源52にて、補助ポンプセル50がポンピングを行う。これにより第2内部空所40内の雰囲気中の酸素分圧は、NOxの測定に実質的に影響がない低い分圧にまで制御されるようになっている。
【0055】
また、これとともに、そのポンプ電流Ip1が、主ポンプ制御用酸素分圧検出センサセル80の起電力の制御に用いられるようになっている。具体的には、ポンプ電流Ip1は、制御信号として主ポンプ制御用酸素分圧検出センサセル80に入力され、その起電力V0が制御されることにより、第1拡散律速部30から第2内部空所40内に導入される被測定ガス中の酸素分圧の勾配が常に一定となるように制御されている。NOxセンサとして使用する際は、主ポンプセル21と補助ポンプセル50との働きによって、第2内部空所40内での酸素濃度は約0.001ppm程度の一定の値に保たれる。
【0056】
すなわち、ガスセンサ100においては、主ポンプセル21と補助ポンプセル50とを作動させることによって酸素分圧が常に一定の低い値(NOxの測定に実質的に影響がない値)に保たれる。
【0057】
このように第2内部空所40内において酸素濃度が調整された被測定ガスは、測定用ポンプセル41が作動することによってそのNOx濃度を測定される。測定用ポンプセル41は、第2内部空所40に面する第1固体電解質層4の上面に設けられた測定電極44と、外側ポンプ電極23と、第2固体電解質層6と、スペーサ層5と、第1固体電解質層4とによって構成された電気化学的ポンプセルである。
【0058】
測定電極44は、多孔質サーメット電極である。測定電極44は、第2内部空所40内の雰囲気中に存在するNOxを還元するNOx還元触媒としても機能する。さらに、測定電極44は、第2拡散律速部45によって被覆されてなる。
【0059】
第2拡散律速部45は、アルミナ(Al2O3)を主成分とする多孔体にて構成される膜である。第2拡散律速部45は、測定電極44に流入するNOxの量を制限する役割を担うとともに、測定電極44の保護層としても機能する。
【0060】
測定用ポンプセル41においては、測定電極44の周囲の雰囲気中における窒素酸化物の分解によって生じた酸素を汲み出して、その発生量をポンプ電流Ip2として検出することができる。
【0061】
また、測定電極44の周囲の酸素分圧を検出するために、第2固体電界質層6と、スペーサ層5と、第1固体電解質層4と、第3基板層3と、測定電極44と、基準電極42とによって電気化学的なセンサセル、すなわち、測定用ポンプ制御用酸素分圧検出センサセル82が構成されている。測定用ポンプ制御用酸素分圧検出センサセル82にて検出された起電力V2に基づいて可変電源46が制御される。
【0062】
上述したように、第2内部空所40内に導かれた被測定ガスは、酸素分圧が制御された状況下で第2拡散律速部45を通じて測定電極44に到達することとなる。測定電極44の周囲の被測定ガス中の窒素酸化物は還元されて(2NO→N2+O2)酸素を発生する。そして、この発生した酸素は測定用ポンプセル41によってポンピングされることとなるが、その際、測定用ポンプ制御用酸素分圧検出センサセル82にて検出された制御電圧V2が一定となるように可変電源の電圧Vp2が制御される。測定電極44の周囲において発生する酸素の量は、被測定ガス中の窒素酸化物の濃度に比例するものであるから、測定用ポンプセル41におけるポンプ電流Ip2を用いて被測定ガス中の窒素酸化物濃度が算出されることとなる。
【0063】
すなわち、ガスセンサ100においては、被測定ガス中のNOxの濃度に略比例して、NOxの還元によって発生する酸素が測定用ポンプセル41より汲み出されることによって流れるポンプ電流Ip2に基づいて、被測定ガス中のNOx濃度を知ることができるようになっている。
【0064】
また、第2固体電解質層6と、スペーサ層5と、第1固体電解質層4と、第3基板層3と、外側ポンプ電極23と、基準電極42とから電気化学的なセンサセル83が構成されており、このセンサセル83によって得られる起電力Vrefによりセンサ外部の被測定ガス中の酸素分圧を検出可能となっている。」

(甲2−エ)「【0087】
<第3の実施の形態>
第3の実施の形態においては、第1の実施の形態に係るガスセンサ100とは異なる位置に外部連通部が設けられる態様について説明する。
【0088】
図5は、第3の実施の形態に係るガスセンサ300のセンサ素子301の構成の一例を概略的に示した外観斜視図である。図6は、ガス流通部113の構造を説明するために、図5に示す各位置におけるセンサ素子301の断面を概略的に示した断面模式図である。図6においては、単純化のため、ガス流通部113以外の構成は省略している。図6(a)は、図5のA−A´を矢印に沿って切断した断面図である。図6(b)は、図5のB−B´を矢印に沿って切断した断面図である。図6(c)は、図5のC−C´を矢印に沿って切断した断面図である。なお、第1の実施の形態に係るガスセンサ100および第2の実施の形態に係るガスセンサ200と同様の構成については、同一の符号を付してその説明および図示を省略する。
【0089】
センサ素子301は、第1の実施の形態に係るセンサ素子101においてセンサ素子先端部101aに設けられていた外部連通部11に代えて、センサ素子側部301bに外部連通部12が設けられてなる。なお、本実施の形態においては、外部連通部12から第2内部空所40に至る部位をガス流通部113とも称する。
【0090】
外部連通部12は、外部連通部11と同様に、スペーサ層5をくり抜いた態様にて設けられた、センサ素子301内部の空間である。外部連通部12は、上部を第2固体電解質層6の下面またはスペーサ層5の内面5aで、下部を第1固体電解質層4の上面またはスペーサ層5の内面5bで、側部をスペーサ層5の側面5e,5fで区画されることによって設けられている。ただし、より詳細には、外部連通部12は、窒素酸化物(NOx)濃度の測定に適した拡散抵抗の程度に応じて、形成される位置が調整される。
【0091】
外部連通部12のx軸方向の幅eおよびz軸方向の厚みfは、開口部12aから第1内部空所20へ導入される被測定ガスに対して付与しようとする拡散抵抗の程度に応じて規定される。
【0092】
ただし、外部連通部12は、外部連通部11と同様に、厚みfが、第1内部空所20のz軸方向の厚みdに対して50%〜100%であり、幅eが、第1内部空所20のy軸方向の幅cに対して5%〜60%(望ましくは、10%〜40%)であることが好適である。
【0093】
このように、ガスセンサ300においては、外部連通部12の幅eおよび厚みfが上述した範囲内に規定されることで、センサ素子側部301bに付着した水の第1内部空所20内への浸入が抑制される。
【0094】
なお、外部連通部12は、第1内部空所20の素子先端部側の端部から連通部12bに到達するまでのx軸方向の距離t1が、第1内部空所20のx軸方向の長さt2に対して、20%以下であることが好適である。距離t1が20%を超えると、第1内部空所20内において、上述した被測定ガス中の酸素分圧の調整をすることが困難となる。また、t1は0でもよい。より効果的に酸素分圧の調整をすることが出来るからである。
【0095】
上述したように、本実施の形態に係るガスセンサ300では、センサ素子301の側部301bに開口部12aを有する外部連通部12を設けることにより、センサ素子先端部301aに付着した水が毛細管現象によって内部に浸入することが抑制される。さらに、外部連通部12のサイズを好適に定めることにより、センサ素子側部301bに付着した水が毛細管現象によって内部に浸入することも抑制される。その結果、内部空所内にて水が急激に蒸発することによってセンサ素子301に亀裂が生じることが抑制される。
【0096】
加えて、本実施の形態に係るガスセンサ300では、センサ素子先端部301aに開口部を有する外部連通部に代えて、センサ素子側部301bに開口部12aを有する外部連通部12を設けることにより、センサ素子先端部301a近傍の強度が向上する。その結果、センサ素子先端部301aに付着した水により発生する熱応力によってセンサ素子301に亀裂が生じることが抑制される。」

(甲2−オ)【図1】




(甲2−カ)【図2】




(甲2−キ)【図3】




(甲2−ク)【図5】




(甲2−ケ)【図6】




イ 甲2に記載された技術事項
上記(甲2−ア)ないし(甲2−ケ)の記載から、甲2には、
「 被測定ガス成分中の所定ガス成分を測定するガスセンサのセンサ素子101であって、
それぞれがジルコニア(ZrO2)等の酸素イオン伝導性固体電解質層からなる第1基板層1と、第2基板層2と、第3基板層3と、第1固体電解質層4と、スペーサ層5と、第2固体電解質層6との6つの層が、この順に積層された構造を有する細長な長尺の板状体形状であり、
センサ素子101の一先端部側であって、第2固体電解質層6の下面と第1固体電解質層4の上面との間には、外部連通部11と、第1内部空所20と、第1拡散律速部30と、第2内部空所40とが、この順に連通する態様にて隣接形成されてなり、
外部連通部11は、スペーサ層5をくり抜いた態様にて設けられた、センサ素子101内部の空間であり、センサ素子先端部101aに形成された開口部11aを通じて外部空間から導入された被測定ガスに対し、窒素酸化物(NOx)濃度の測定に適した所定の拡散抵抗を付与したうえで、該被測定ガスを連通部11bにて連通する第1内部空所20へと導く部位であり、
主ポンプセル21は、第1内部空所20に面する第2固体電解質層6の下面のほぼ全面に設けられた天井電極部22aを有する内側ポンプ電極22と、第2固体電解質層6の上面の天井電極部22aと対応する領域に外部空間に露出する態様にて設けられた外側ポンプ電極23と、これらの電極に挟まれた第2固体電解質層6とによって構成されてなる電気化学的ポンプセルであり、
第1拡散律速部30は、第1内部空所20で主ポンプセル21の動作により酸素濃度(酸素分圧)が制御された被測定ガスに所定の拡散抵抗を付与して、該被測定ガスを第2内部空所40に導く部位であり、
第2内部空所40は、第1拡散律速部30を通じて導入された被測定ガス中の窒素酸化物(NOx)濃度の測定に係る処理を行うための空間として設けられており、補助ポンプセル50により酸素濃度が調整された第2内部空所40において、さらに、測定用ポンプセル41の動作によりNOx濃度が測定され、
補助ポンプセル50は、第2内部空所40に面する第2固体電解質層6の下面の略全体に設けられた天井電極部51aを有する補助ポンプ電極51と、外側ポンプ電極23と、第2固体電解質層6とによって構成される、補助的な電気化学的ポンプセルであり、
測定用ポンプセル41は、第2内部空所40に面する第1固体電解質層4の上面に設けられた測定電極44と、外側ポンプ電極23と、第2固体電解質層6と、スペーサ層5と、第1固体電解質層4とによって構成された電気化学的ポンプセルであり、
被測定ガスは、主ポンプセル21と補助ポンプセル50とを作動させることによって酸素分圧が常に一定の低い値(NOxの測定に実質的に影響がない値)に保たれ、測定用ポンプセル41が作動することによってそのNOx濃度を測定するものである、
センサ素子101、
又は、センサ素子101においてセンサ素子先端部101aに設けられていた外部連通部11に代えて、センサ素子側部301bに外部連通部12が設けられてなる、
センサ素子301。」
という技術事項(以下「甲2技術事項」という。)が記載されているものと認められる。

(3)甲3について
ア 甲3には、以下の記載がある。
(甲3−ア)「【請求項1】
所定の拡散抵抗の下に被測定ガスが導入される内部空間と、
酸素イオン導電性の固体電解質体の表面に、一方の電極が前記内部空間に面するように設けられた一対の電極を有し、これら一対の電極への通電により前記内部空間に酸素を導入または排出し、該内部空間内の酸素濃度を調整する第一酸素ポンプセルと、
酸素イオン導電性の固体電解質体の表面に、一方の電極が前記内部空間に面するように設けられた一対の電極を有し、これら一対の電極への通電により前記内部空間に酸素を導入または排出し、該内部空間内の酸素濃度を調整する第二酸素ポンプセルと、
酸素イオン導電性の固体電解質体の表面に、一方の電極が前記内部空間に面するように設けられた一対の電極を有し、これら一対の電極に流れる電流値から被測定ガス中の特定ガス成分濃度を検出するセンサセルと、を有するガスセンサ素子であって、
前記第一酸素ポンプセルと前記第二酸素ポンプセルは、前記内部空間に面する前記一方の電極が相対向するように設けられ、前記一対の電極のうち他方の電極は、共通の基準酸素濃度ガスに曝されていることを特徴とするガスセンサ素子。」

(甲3−イ)「【0032】
以下に、本発明を、図面を参照しながら詳細に説明する。図1(a)は、本発明の第の実施形態におけるガスセンサ素子1の先端部の模式的断面図であり、図2は、その分解展開図である。図1(b)は、ガスセンサ素子1を含む内燃機関用ガスセンサの全体構成を示す図であり、ここでは、NOxセンサSは、例えば、内燃機関としての自動車エンジンの排気通路に設置されて、被測定ガスである排ガス中に含まれる特定ガス成分、例えば、NOx(窒素酸化物)を検出する。
・・・
【0035】
図1(a)、図2において、ガスセンサ素子1は、第一酸素ポンプセル2を構成するためのシート状の固体電解質体6と、第二酸素ポンプセル4およびセンサセル3を構成するためのシート状の固体電解質体5と、内部空間7を形成するためのシート状のスペーサ8と、第一基準ガス空間16および第二基準ガス空間17を形成するためのシート状のスペーサ9、91と、これらを加熱するヒータ12とが、順次積層されて構成される。
【0036】
内部空間7は、被測定ガス存在空間より被測定ガスが導入される室であり、図2に示す様に、固体電解質体5、6との間に位置するスペーサ8の抜き穴8aにて形成される。ここでは、被測定ガス存在空間は、図1(b)における素子カバーH3の内部空間であり、内燃機関の排気通路内を流通する排ガスが被測定ガスとして導入されている。
また、内部空間7は、多孔質拡散抵抗11を介して、被測定ガス存在空間と連通している。多孔質拡散抵抗11の形状や気孔率、気孔径は、これを通過して内部空間7に導入される被測定ガスの拡散速度が所定の速度となるように、適宜設計される。
・・・
【0039】
第一酸素ポンプセル2、第二酸素ポンプセル4、センサセル3を構成するための固体電解質体5、6は、ジルコニアやセリア等の酸素イオン導電性を有する電解質よりなる。第一酸素ポンプセル2は、固体電解質体6と、固体電解質体6を挟むように対向配置された一対の電極2a、2bとより構成される。一対の電極2a、2bのうち一方の電極2aは、内部空間7に面するように、固体電解質体6上表面に接して設けられ、他方の電極2bは第一基準ガス空間16に面するように、固体電解質体6下表面に接して設けられている。
【0040】
第二酸素ポンプセル4は、固体電解質体5と、固体電解質体5を挟むように対向配置された一対の電極4a、4bとより構成される。一対の電極4a、4bのうち一方の電極4aは、内部空間7に面するように、固体電解質体5下表面に接して設けられ、他方の電極4bは第二基準ガス空間17に面するように、固体電解質体5上表面に接して設けられている。第二酸素ポンプセル4の電極4aと第一酸素ポンプセル2の電極2aは、内部空間7に面して相対向して、ここでは図1(a)の上下方向に対向する位置に設けられる。
【0041】
センサセル3は、固体電解質体5と、固体電解質体5を挟むように対向配置された一対の電極3a、3bとより構成される。一対の電極3a、3bのうち一方の電極3aは、内部空間7に面するように、固体電解質体5下表面に接して設けられ、他方の電極3bは第二基準ガス空間17に面するように、固体電解質体5上表面に接して設けられている。センサセル3の電極3a、3bは、内部空間7において、第二酸素ポンプセル4より下流側に配置される。なお、本実施形態では、センサセル3の電極3bは、第二酸素ポンプセル4の電極4bと一体的に設けられている。
【0042】
ここで、第一酸素ポンプセル2の一方の電極2aおよび第二酸素ポンプセル4の一方の電極4aには、被測定ガス中のNOxの分解を抑制するために、NOxの分解活性の低い電極を用いると良い。具体的には、主成分としてPt(白金)とAu(金)を含有する多孔質サーメット電極が好適に用いられる。この際、金属成分中のAuの含有量は、0.5〜5重量%程度とするのが良い。また、センサセル3の一方の電極3aには、被測定ガス中のNOxを分解するために、NOxの分解活性の高い電極を用いると良い。具体的には、主成分としてPtとRh(ロジウム)を含有する多孔質サーメット電極が好適に用いられる。この際、金属成分中のRhの含有量は、10〜50重量%程度とするのが良い。第一酸素ポンプセル2、第二酸素ポンプセル4、センサセル3の電極2b、4b、3bには、例えば、Pt多孔質サーメット電極が好適に用いられる。」

(甲3−ウ)「【0063】
図7は、本発明の第2実施形態におけるガスセンサ素子1の先端部の模式的断面図である。本実施形態の基本構成は、上述した第1実施形態と同様であり、ガスセンサ素子1は、第一酸素ポンプセル2を構成するためのシート状の固体電解質体6と、第二酸素ポンプセル4およびセンサセル3を構成するためのシート状の固体電解質体5と、内部空間7を形成するためのシート状のスペーサ8と、第一基準ガス空間16および第二基準ガス空間17を形成するためのシート状のスペーサ9、91と、これらを加熱するヒータ12とが、順次積層されて構成される。
【0064】
本実施形態では、第二酸素ポンプセル4の電極4bと、センサセル3の電極3bとを、分離して形成してある。これにより、センサセル3の電流が、第二酸素ポンプセル4の影響を受け難くなり、検出精度が向上する。その他の構成は同様であり、同一部位には同一符号を付してある。」

(甲3−エ)【図1】(a)




(甲3−オ)【図2】




(甲3−カ)【図7】




イ 甲3に記載された技術事項
(ア)上記(甲3−エ)ないし(甲3−カ)の図1、2及び7から、スペーサ8の先端に多孔質拡散抵抗11が設けられていることが見て取れる。

(イ)上記(ア)を踏まえると、上記(甲3−ア)ないし(甲3−カ)の記載から、甲3には、
「 NOxセンサにおけるガスセンサ素子1であって、
第一酸素ポンプセル2を構成するためのシート状の固体電解質体6と、第二酸素ポンプセル4およびセンサセル3を構成するためのシート状の固体電解質体5と、内部空間7を形成するためのシート状のスペーサ8と、第一基準ガス空間16および第二基準ガス空間17を形成するためのシート状のスペーサ9、91と、これらを加熱するヒータ12とが、順次積層されて構成され、
内部空間7は、スペーサ8の先端に設けられた多孔質拡散抵抗11を介して、被測定ガス存在空間と連通しており、
第一酸素ポンプセル2、第二酸素ポンプセル4、センサセル3を構成するための固体電解質体5、6は、ジルコニアやセリア等の酸素イオン導電性を有する電解質よりなり、
第一酸素ポンプセル2は、固体電解質体6と、固体電解質体6を挟むように対向配置された一対の電極2a、2bとより構成され、
第二酸素ポンプセル4は、固体電解質体5と、固体電解質体5を挟むように対向配置された一対の電極4a、4bとより構成され、
センサセル3は、固体電解質体5と、固体電解質体5を挟むように対向配置された一対の電極3a、3bとより構成され、センサセル3の電極3a、3bは、内部空間7において、第二酸素ポンプセル4より下流側に配置される
ガスセンサ素子1。」
という技術事項(以下「甲3技術事項」という。)が記載されているものと認められる。

(4)甲4について
ア 甲4には、以下の記載がある。
(甲4−ア)「【請求項1】
被測定ガスが導入される被測定ガス室と、該被測定ガス室に所定の拡散抵抗の下に上記被測定ガスを導入するための拡散抵抗部と、酸素イオン伝導性のポンプ用固体電解質体と該ポンプ用固体電解質体における上記被測定ガス室側の面及びその反対側の面にそれぞれ配設された一対のポンプ用電極とを有すると共に上記被測定ガス室内の酸素濃度を調整するポンプセルと、酸素イオン伝導性のセンサ用固体電解質体と該センサ用固体電解質体における上記被測定ガス室側の面及びその反対側の面にそれぞれ配設された一対のセンサ用電極とを有すると共に上記被測定ガス室に導入された被測定ガス中の特定成分濃度を検出するセンサセルとを備えたガスセンサの校正方法であって、
作製した複数の上記ガスセンサのうち、一部の該ガスセンサについて、所定濃度の酸素ガスに対して上記ポンプセルの上記一対のポンプ用電極間に流れるポンプ電流値Ipと、所定濃度の特定成分ガスに対して上記センサセルの上記一対のセンサ用電極間に流れるセンサ電流値Isとを測定し、上記ポンプ電流値Ipと上記センサ電流値Isとの相関関係を求める相関関係作成工程と、
上記複数のガスセンサの基準となる基準ガスセンサについての上記ポンプ電流値Ip及び上記センサ電流値Isである基準ポンプ電流値Ip0及び基準センサ電流値Is0を上記相関関係を満たすように設定する基準電流値設定工程と、
上記所定濃度の酸素ガスである校正用ガスを用いて、上記複数のガスセンサのうち校正対象となる校正ガスセンサについての上記ポンプ電流値Ipであるポンプ電流値Ipnを測定するポンプ電流値測定工程と、
上記ポンプ電流値Ipnから、上記相関関係を利用することにより、上記校正ガスセンサについての上記センサ電流値Isであるセンサ電流値Isnを推定するセンサ電流値推定工程と、
上記センサ電流値Isnと上記基準センサ電流値Is0とを比較し、上記校正ガスセンサのセンサ出力特性が上記基準ガスセンサのセンサ出力特性と同等となるように、上記校正ガスセンサのセンサ出力特性を補正するセンサ出力特性補正工程とを行うことを特徴とするガスセンサの校正方法。」

(甲4−イ)「【0036】
(実施例1)
本発明の実施例にかかるガスセンサ及びその校正方法について、図を用いて説明する。
本例のガスセンサ1は、図1に示すごとく、自動車エンジンの排気系に設置され、被測定ガスである排ガス中の特定成分であるNOx(窒素酸化物)の濃度を検出するNOxセンサに用いられるものである。
ガスセンサ1は、被測定ガスが導入される被測定ガス室2と、被測定ガス室2に所定の拡散抵抗の下に被測定ガスを導入するための拡散抵抗部3と、被測定ガス室2内の酸素濃度を調整するポンプセル4と、被測定ガス室2に導入された被測定ガス中の特定成分(NOx)濃度を検出するセンサセル5とを備えている。
【0037】
同図に示すごとく、ポンプセル4は、酸素イオン伝導性のポンプ用固体電解質体41と、ポンプ用固体電解質体41における被測定ガス室2側の面及びその反対側の面にそれぞれ配設された一対のポンプ用電極421、422とを有する。
センサセル5は、酸素イオン伝導性のセンサ用固体電解質体51と、センサ用固体電解質体51における被測定ガス室2側の面及びその反対側の面にそれぞれ配設された一対のセンサ用電極521、522とを有する。センサ用固体電解質体51は、被測定ガス室2を介してポンプセル4のポンプ用固体電解質体41に対向配置されている。
【0038】
ポンプセル4において、ポンプ用固体電解質体41は、ジルコニア、セリア等の酸素イオン伝導性を有する電解質からなる。
また、被測定ガス室2に面する一方のポンプ用電極421には、被測定ガス中のNOxの分解を抑制するために、NOxの分解活性の低い電極が用いられる。具体的には、Pt−Au(白金−金)合金を含有する多孔質サーメット電極が用いられる。金属成分中のAuの含有量は、0.5〜5重量%程度であることが好ましい。また、他方のポンプ用電極422には、Ptを含有する多孔質サーメット電極が用いられる。
【0039】
センサセル5において、センサ用固体電解質体51は、ジルコニア、セリア等の酸素イオン伝導性を有する電解質からなる。
また、被測定ガス室2に面する一方のセンサ用電極521には、被測定ガス中のNOxを分解するために、NOxの分解活性の高い電極が用いられる。具体的には、Pt−Rh(白金−ロジウム)合金を含有する多孔質サーメット電極が用いられる。金属成分中のRhの含有量は、10〜50重量%程度であることが好ましい。また、他方のセンサ用電極522には、Ptを含有する多孔質サーメット電極が用いられる。
【0040】
同図に示すごとく、被測定ガス室2は、ポンプ用固体電解質体41とセンサ用固体電解質体51との間に形成されている。すなわち、ポンプ用固体電解質体41とセンサ用固体電解質体51との間には、開口部を設けたスペーサ層121を介在させており、このスペーサ層121の開口部において、ポンプ用固体電解質体41とセンサ用固体電解質体51との間に被測定ガス室2が形成されている。スペーサ層121は、アルミナからなる。
【0041】
同図に示すごとく、拡散抵抗部3は、被測定ガス室2の先端側(図1の左側)におけるスペーサ層121の一部に配設されている。拡散抵抗部3は、多孔質のアルミナからなり、ガスセンサ1の先端部において、被測定ガス室2とガスセンサ1の外部とを連通させている。拡散抵抗部3の形状、気孔率、気孔径等は、これを通過して被測定ガス室2に導入される被測定ガスの拡散速度が所定の速度となるように、適宜設計される。
【0042】
同図に示すごとく、被測定ガス室2において、ポンプセル4の一方のポンプ用電極421は、センサセル5の一方のセンサ用電極521よりも拡散抵抗部3に近い位置に配設されている。また、ポンプ用電極421とセンサ用電極521とは、被測定ガス室2において対向しない位置に配設されている。
また、被測定ガス室2において、ポンプセル4とセンサセル5との間は、空間によって連通されている。また、被測定ガス室2の高さは、0.1mm以上である。」

(甲4−ウ)【図1】



(甲4−エ)【図2】




イ 甲4に記載された技術事項
上記(甲4−ア)ないし(甲4−エ)の記載から、甲4には、
「 NOxセンサに用いられるガスセンサ1であって、
被測定ガスが導入される被測定ガス室2と、被測定ガス室2に所定の拡散抵抗の下に被測定ガスを導入するための拡散抵抗部3と、被測定ガス室2内の酸素濃度を調整するポンプセル4と、被測定ガス室2に導入された被測定ガス中の特定成分(NOx)濃度を検出するセンサセル5とを備えており、
ポンプセル4は、酸素イオン伝導性のポンプ用固体電解質体41と、ポンプ用固体電解質体41における被測定ガス室2側の面及びその反対側の面にそれぞれ配設された一対のポンプ用電極421、422とを有し、
センサセル5は、酸素イオン伝導性のセンサ用固体電解質体51と、センサ用固体電解質体51における被測定ガス室2側の面及びその反対側の面にそれぞれ配設された一対のセンサ用電極521、522とを有し、
ポンプ用固体電解質体41とセンサ用固体電解質体51との間には、開口部を設けたスペーサ層121を介在させており、このスペーサ層121の開口部において、ポンプ用固体電解質体41とセンサ用固体電解質体51との間に被測定ガス室2が形成されており、
拡散抵抗部3は、被測定ガス室2の先端側におけるスペーサ層121の一部に配設されていて、多孔質のアルミナからなり、ガスセンサ1の先端部において、被測定ガス室2とガスセンサ1の外部とを連通させており、
被測定ガス室2において、ポンプセル4の一方のポンプ用電極421は、センサセル5の一方のセンサ用電極521よりも拡散抵抗部3に近い位置に配設されていて、ポンプ用電極421とセンサ用電極521とは、被測定ガス室2において対向しない位置に配設されている
ガスセンサ1。」
という技術事項(以下「甲4技術事項」という。)が記載されているものと認められる。

2 無効理由1(進歩性の欠如)について
(1)本件発明1について
ア 本件発明1と甲1発明とを対比する。
(ア)甲1発明の「金属シェル110」は、本件発明1の「ハウジング」に相当する。

(イ)甲1発明の「セラミックリング133、滑石粉末を圧縮した滑石リング135、及び筒状のスリーブ141」は、本件発明1の「碍子」に相当する。
そして、甲1発明の「金属シェル110の内部に収容され」た「セラミックリング133、滑石粉末を圧縮した滑石リング135、及び筒状のスリーブ141」は、本件発明1の「該ハウジングの内周側に保持された碍子」に相当する。

(ウ)甲1発明の「ジルコニアを主体とする固体電解質体」及び「検出素子120」は、それぞれ本件発明1の「酸素イオン伝導性を有する固体電解質体」及び「センサ素子」に相当する。
そして、甲1発明の「ジルコニアを主体とする固体電解質体」「などから構成され」る「ガス検出体」を含み、「セラミックリング133、滑石リング135及びスリーブ141に」「先端部121が先端側に突出した状態で挿通され」た「検出素子120」は、本件発明1の「該碍子に挿通された、酸素イオン伝導性を有する固体電解質体を有し、長手方向の先端部が上記碍子の先端面から突出するセンサ素子」に相当する。

(エ)甲1発明の「内側プロテクタ160」及び「外側プロテクタ170」は、本件発明1の「保護カバー」に相当し、甲1発明の「ガス導入孔167」及び「ガス導入孔177」は、本件発明1の「カバー導入孔」に相当する。
そして、甲1発明では、「排気ガスGが、内側プロテクタ160のガス導入孔167を通じて内側プロテクタ160内に導入された後、検出素子120のガス通気部123を含む先端部121に沿って流れ」る。
すると、甲1発明の「金属シェル110の先端側に」「設けられ」、「検出素子120の先端部121の周囲を取り囲む筒状の内側プロテクタ160及び外側プロテクタ170」であって、「側壁部161のうち、検出素子120の先端120bよりも基端側の位置に」「被測定ガスを内側プロテクタ160の外部から内部に導入するガス導入孔167が形成されて」いる「内側プロテクタ160」及び「第1側壁部174」の「内側プロテクタ160のガス導入孔167よりも軸線方向先端側に」「ガス導入孔177を」「有して」いる「外側プロテクタ170」は、本件発明1の「該センサ素子の上記先端部を覆うよう上記ハウジングの先端側に取り付けられ、被測定ガスを上記センサ素子の上記先端部に導くためのカバー導入孔が形成された保護カバー」に相当する。

(オ)甲1発明の「ガスセンサ100」は、本件発明1の「ガスセンサ」に相当する。

(カ)甲1発明において、「一対の検出電極及び基準電極」は、「ジルコニアを主体とする固体電解質体」の先端部に設けられていると認められる。
すると、甲1発明の「ガス検出体は、ジルコニアを主体とする固体電解質体、及び、白金を主体とする一対の検出電極及び基準電極などから構成され」ていることと、本件発明1の「上記固体電解質体の上記長手方向の先端部には、被測定ガスに晒されて被測定ガス中の酸素濃度を調整するためのポンプ電極と、被測定ガスに晒されて上記ポンプ電極によって酸素濃度が調整された後の被測定ガス中の特定ガス成分濃度を検出するためのセンサ電極とが設けられて」いることとは、「上記固体電解質体の上記長手方向の先端部には、2種類の電極が設けられて」いることで共通する。

(キ)上記(ア)ないし(カ)を踏まえると、本件発明1と甲1発明とは、

「 ハウジングと、
該ハウジングの内周側に保持された碍子と、
該碍子に挿通された、酸素イオン伝導性を有する固体電解質体を有し、長手方向の先端部が上記碍子の先端面から突出するセンサ素子と、
該センサ素子の上記先端部を覆うよう上記ハウジングの先端側に取り付けられ、被測定ガスを上記センサ素子の上記先端部に導くためのカバー導入孔が形成された保護カバーと、を備えるガスセンサにおいて、
上記固体電解質体の上記長手方向の先端部には、2種類の電極が設けられている、
ガスセンサ。」

の発明である点において一致し、次の点において相違する。

(相違点A)
上記固体電解質体の上記長手方向の先端部に設けられた2種類の電極が、本件発明1においては、「被測定ガスに晒されて被測定ガス中の酸素濃度を調整するためのポンプ電極と、被測定ガスに晒されて上記ポンプ電極によって酸素濃度が調整された後の被測定ガス中の特定ガス成分濃度を検出するためのセンサ電極」であり、「該センサ電極の全体は、上記保護カバーの外周部に形成されたすべての上記カバー導入孔よりも上記長手方向の基端側に位置し」、「上記センサ電極の上記長手方向の基端位置は、上記ハウジングの先端面よりも基端側に位置していること」が特定されているのに対し、甲1発明においては、「検出電極及び基準電極」であり、配置の詳細については特定されていない点。

イ 上記相違点Aについて検討する。
(ア)甲1発明は、ガスセンサ100は、全領域空燃比センサであり、「検出電極及び基準電極」を備えているが、上記(甲1−カ)には、全領域空燃比センサのみならず、NOxセンサにも適用できる旨の記載がある。

(イ)ここで、NOxセンサとして、固体電解質体に、被測定ガスに晒されて被測定ガス中の酸素濃度を調整するためのポンプ電極と、被測定ガスに晒されて上記ポンプ電極によって酸素濃度が調整された後の被測定ガス中のNOx成分濃度を検出するためのセンサ電極を設けた構成、及びセンサ素子の先端側にガス通気部に接続されたポンプ電極を備えたポンプセルを配置し、その基端側にセンサ電極を備えたセンサセルを配置する構成は、甲2技術事項ないし甲4技術事項に開示されているように、従来周知(以下、当該周知な構成を「NOxセンサ周知技術」という。)である。

(ウ)してみると、甲1に示唆されたNOxセンサにも適用できるとの記載に基づいて、甲1発明の全領域空燃比センサである部分をNOxセンサに変更した場合には、全領域空燃比センサである部分、すなわち検出電極、基準電極に代えて、NOxセンサ周知技術のように、センサ素子の先端側からポンプ電極、センサ電極の順で配することとなる。

(エ)甲1発明の検出電極、基準電極について、甲1では「ガス検出体は、ジルコニアを主体とする固体電解質体、及び、白金を主体とする一対の電極(検出電極及び基準電極)などから構成される。一対の電極は、検出素子120の先端部121に配置されている。」([0076])と記載されている程度であり、また、図面にも検出電極、基準電極の記載はないことから、先端部に配置されていることを除けば、検出素子における検出電極、基準電極の厳密な位置は、明らかではない。

(オ)したがって、上記(ウ)に説示したように、甲1発明にNOxセンサ周知技術を適用した場合における、ポンプ電極、センサ電極の位置においても、検出素子の先端部に配置されることになると解するのが自然である。

(カ)一方、甲1発明において、ガス通気部123、ガス導入孔167及び金属シェル110の位置関係について、以下の4点が特定されている。
a 「検出素子120の先端120bよりも基端側の位置には、被測定ガスを内側プロテクタ160の外部から内部に導入するガス導入孔167が形成されて」いること(以下「位置関係1」という。)
b 「ガス導入孔167は、その少なくとも一部が、金属シェル110の先端110bよりも基端側に位置し、ガス導入空間S2に露出して」いること(以下「位置関係2」という。)
c 「ガス通気部123の基端123cはガス導入孔167の先端167bよりも基端側に位置し、ガス通気部123の先端123bはガス導入孔167の基端167cよりも先端側に位置して」いること(以下「位置関係3」という。)
d 「ガス通気部123は、」「いずれも、その少なくとも一部が、金属シェル110の先端110bよりも基端側に位置して」いること(以下「位置関係4」という。)

(キ)上記(カ)に記載したように、甲1発明において、位置関係1〜4の特定はなされているものの、検出電極、基準電極との関係までは特定されていない。検出電極、基準電極の技術的な意味から見て、ガス通気部の近傍にあることが望ましいことは技術常識であるから、それらの位置は、ガス通気部123の配された範囲と同様の範囲に配置されるものと推測できるが、NOxセンサ周知技術を適用した場合(すなわち甲1発明においてNOxセンサとした場合)に、検出電極及び基準電極とポンプ電極及びセンサ電極の技術的意味の相違などから、ガス通気部そのものの配置を含め、ポンプ電極、センサ電極は、ガス通気部との関係において、ガス通気部の配された範囲とどのような位置関係に配されることになるのかは明らかではないというべきである。
したがって、ポンプ電極、センサ電極とガス通気部との位置関係が明らかといえない以上、上記位置関係1〜4が特定されているとしても、甲1発明において、相違点Aに係る「該センサ電極の全体は、上記保護カバーの外周部に形成されたすべての上記カバー導入孔よりも上記長手方向の基端側に位置し」、「上記センサ電極の上記長手方向の基端位置は、上記ハウジングの先端面よりも基端側に位置」するようにすること(以下「位置関係相違点」という。)は、当業者が容易に想到しうる事項とはいえない。

(ク)仮に、上記(キ)で説示した事項について、NOxセンサにおけるポンプ電極、センサ電極とガス通気部との位置関係が、ガス通気部の配された範囲にポンプ電極は配置され、センサ電極はガス通気部から離れて、検出素子の基端部側に配置されるなど、技術常識からある程度明らかであるとしても、そのような態様を採用するだけでは、例えば、甲1の図2の態様に適用したとしても、直ちに上記位置関係相違点にはならない。

(ケ)また、甲1発明においては、発明の目的(上記第5の1(1)イ(ア)(イ)参照。)と関連して、
「外部からガス導入空間S2内に導入された排気ガスGが、内側プロテクタ160のガス導入孔167を通じて内側プロテクタ160内に導入された後、検出素子120のガス通気部123を含む先端部121に沿って流れ、検出素子120の先端120bよりも先端側に位置するガス排出孔166を通じて内側プロテクタ160の外部に排出されるように構成され、排気ガスGがガス導入空間S2に導入された後に内側プロテクタ160のガス導入孔167を通過することで、排気ガスGの流れは整流(層流)になり、検出素子120の先端部121(ガス通気部123)の周囲において、排気ガスGの流れが整流(層流)になることで、排気ガスGを、スムーズに先端部121(ガス通気部123)に沿って流れさせることが可能となり、良好な応答性を得ることができる」
こと(以下「ガス流路特定」という。)も特定されている。
上記ガス流路特定は、要約すれば、ガス導入孔167から整流(層流)状態で導入された排気ガスGが、内側プロテクタ160の先端側に流れる途中で、整流(層流)状態のままガス通気部123に沿って流れることで、良好な応答性を得ることができるというものである。
そのため、上記ガス流路特定の構成を満たすためには、排気ガスGを層流の状態でガス通気部123に沿って流れるようにすることが肝要であり、排気ガスGはガス導入孔167から内側プロテクタ160の先端側に流れるという前提に基づけば、ガス導入孔167と内側プロテクタ160の先端の間にガス通気部123があることが、ガス通気部123周辺での排気ガスGの層流状態を維持するためには好ましいことは明らかであり、さらに、ガス通気部123の基端123cは、軸線方向について、ガス導入孔167の基端167cよりも先端側に位置することがより好ましいことは明らかである。このことは、甲1に記載された全ての実施形態において、ガス通気部123の基端123cは、軸線方向について、ガス導入孔167の基端167cよりも先端側に位置していることとも整合する。
一方、ガス通気部123とガス導入孔167がこのような好ましい位置関係を取らないとしても、例えば、ガス通気部123の基端123cがガス導入孔167の基端167cよりも基端側に位置していても、ガス導入孔167から内側プロテクタ160内部に導入された排気ガスGを整流(層流)状態のままガス導入孔167よりも基端側に導くことができれば、良好な応答性を維持しうるとも解されるが、甲1全体の記載を見ても、ガス導入孔167から内側プロテクタ160内部に導入された排気ガスGを整流(層流)状態のままガス導入孔167よりも基端側に導くための構成(以下「層流構成」という。)に関する記載やそれを示唆する記載は見当たらない。また、一般的にそのような層流構成を設けることが技術的に実現可能であるとしても、様々な選択肢があるから、当業者であれば当然採用し得るような一義的な層流構成を特定することはできない。このように、一義的な層流構成を特定することができないから、何らかの層流構成を採用した場合における、NOxセンサのポンプ電極、センサ電極とガス通気部の配置等についても、同様に一義的に特定することは困難というべきである。
すると、甲1発明において、位置関係3で特定されるガス通気部123とガス導入孔167の位置関係の範囲は、上記したようにガス流路特定の構成において、好ましい態様と、好ましくない態様が含まれており、特に好ましくない態様の場合には、様々な選択肢を取り得るから、NOxセンサにおけるポンプ電極、センサ電極とガス通気部の配置について、好ましい態様と同様であるということはできない。
そして、位置関係3において、ガス流路特定の構成における、好ましくない態様、つまりガス通気部123の基端123cがガス導入孔167の基端167cよりも基端側に位置する態様は、NOxセンサのポンプ電極、センサ電極とガス通気部との位置関係がある程度明らかな場合(特に、ガス通気部の配された範囲にポンプ電極は配置され、センサ電極はガス通気部から離れて、検出素子の基端部側に配置される場合)に、上記位置関係相違点を充足する可能性はあるが、この好ましくない態様は、上記したように通常取り得る態様ではなく、ガス流路特定を満たすにあたっては、その具体的な態様、NOxセンサにおけるポンプ電極、センサ電極とガス通気部との位置関係などについて明示的に特定できないものである。
さらに、NOxセンサ周知技術があるとしても、ガス通気部、ポンプ電極、センサ電極の具体的な寸法や両電極間の具体的な間隔についてまで、自明ではないことからも、上記好ましくない態様において、NOxセンサにおけるポンプ電極、センサ電極とガス通気部との位置関係などについて特定できないものというべきである。

(コ)したがって、上記(ク)、(ケ)から、ポンプ電極、センサ電極とガス通気部との位置関係がある程度明らかな場合において、上記位置関係1〜4及びポンプ電極、センサ電極とガス通気部との位置関係について、多くの仮定が重なった結果、起こりうる一態様において、結果的に上記位置関係相違点を充足しうる可能性があるとしても、そもそも甲1発明は、電極の位置関係について着目したものではないことからも、甲1、甲1発明及びNOxセンサ周知技術に触れた当業者が、電極の位置関係に着目し、上記位置関係相違点を選択的に採用する理由はなく、多くの仮定が重なった結果、起こりうる事象についてまで、当業者が容易に想到しうるということはできない。

ウ 以上のとおりであるから、本件発明1は、甲1発明及び甲2技術事項ないし甲4技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

エ 請求人の主張について
(ア)a 請求人は、甲2に記載された「外部連通部」は甲1における「ガス通気部」に相当し、「測定電極」は「センサ電極」に相当するから、甲2に記載された外部連通部11が測定電極44よりも先端側に配置された構成を甲1の図2に記載された構成に組み込んだ「測定電極44がガス通気部123よりも基端側に配置され、測定電極44の長手方向の基端位置が、ハウジングの先端面よりも基端側に位置している」ガスセンサに係る発明(【0147記載構造】)を得ること、すなわち、相違点2のように構成することは容易である旨主張する。

(第3の2(1)ア(エ))

b しかしながら、上記イ(キ)で説示したように、甲1発明においてNOxセンサとした場合に、検出電極及び基準電極とポンプ電極及びセンサ電極の技術的意味の相違などから、ガス通気部そのものの配置を含め、ポンプ電極、センサ電極は、ガス通気部との関係において、ガス通気部の配された範囲とどのような位置関係に配されることになるのかは明らかではないというべきである。そのため、【0147記載構造】を得ることが容易であるとはいえない。また、上記イ(ク)で述べたように、【0147記載構造】のガス通気部の基端側にセンサ電極が配置される構成を有する可能性はあるが、位置関係相違点を満たすことが容易でないことは、上記イ(ケ)(コ)で説示したとおりである。
したがって、請求人の主張は採用することができない。

(イ)a 請求人は、(a)甲1の段落[0105]の「ガス通気部123の基端部123cがガス導入孔167の先端167bの位置L2に対して基端側に位置すると共に、ガス通気部123の先端部123bがガス導入孔167の基端167cの位置L3に対して先端側に位置する」との記載は、「ガス通気部123の一部が、ガス導入孔167の先端の位置L2と基端の位置L3との間の範囲に重なるように配置する」ことを示しており、この範囲内であれば、ガス通気部123を先端側や基端側に位置させたとしても、良好な応答性を得ることができるという甲1の効果を得られることを示唆していること、(b)甲1の段落[0009]に記載の「白金の使用量を削減」、「検出素子の長さを短縮」という要請があること、(c)甲1の図7に記載されたセラミックリング133が工具係合部317の基端部付近に位置していること、(d)甲1の変形形態2(FIG.7からFIG.9)の「排気ガス(G)の流れは、ガス導入空間(S2)内に導入された後にプロテクタ(360)のガス導入孔(367)を通過することで整流(層流)になるため、検出素子(120)のガス通気部(123)の周囲において、排気ガス(G)の流れが整流(層流)になる。これにより、排気ガス(G)を、スムーズにガス通気部(123)に通過させることが可能となり、良好な応答性を得ることができる。」([0141])という効果は、実施形態の効果と同じであること、及び、(e)甲1の請求項1及び[0089]に記載された「ガス導入孔(167)が検出素子(120)の先端(120b)よりも基端側に位置する」ことは、検出素子の先端を基準にして、これよりも基端側にガス導入孔の領域が位置していればよいことを示していると解されることを根拠に、(f)実施形態のガスセンサ100において良好な応答性を維持しつつ、甲1の図1に記載されたセラミックリング133を工具係合部317の基端部付近まで基端側にずらして、検出素子120の長さを短縮し、ガス通気部123の先端123bをガス導入孔167の基端の位置L3よりも僅かに先端側に配置させた構造(「検出素子短縮構造」)を採用することは容易であり、(g)当該「検出素子短縮構造」は、「センサ電極の全体は、プロテクタ(160,170)の外周部に形成されたすべてのガス導入孔(167,177)よりも長手方向の基端側に位置している」構成を満たし、(h)センサ素子120のガス通気部123の全体が金属シェル110の先端110bよりも基端側に配置されることになる旨主張する。

(第3の2(1)ア(オ))

b 請求人の上記主張について検討する。
(a)上記1(1)イ(ア)(イ)で述べたように、甲1は、白金の使用量の削減を意図して検出素子の先端側に位置する検出素子の一部を短縮すると、検出素子のガス通気部の少なくとも一部が金属シェルの先端よりも基端側に配置され、ガス通気部は、内側プロテクタのガス導入孔よりも基端側に配置されることになり、被測定ガスが、ガス通気部に沿って流れることが困難となり、その結果、ガスセンサの応答性が低下するという課題を解決しようとするものであり、甲1発明は、検出素子120を短縮した結果、ガス通気部123の少なくとも一部が、金属シェル110の先端110bよりも基端側に位置するようになったものである。
そのため、甲1発明において、更に検出素子120を短縮する動機があるとはいえない。

(b)甲1発明では、ガス導入孔167の全体は、検出素子120の先端120bよりも基端側の位置に形成されている。これは、上記(甲1−ア)に記載された従来のガスセンサが、検出素子の先端よりも基端側にガス導入孔の全体が配置されたタイプのガスセンサであり、甲1発明は、当該タイプのガスセンサにおいて、検出素子を短縮した場合の応答性の低下という課題に対処しようとする発明であることに起因するものと解される。
してみると、甲1発明は、ガス導入孔167の全体が、検出素子120の先端120bよりも基端側の位置に形成されていることを前提とした発明であるといえるから、甲1発明において、検出素子120の先端120bがガス導入孔167の先端167bよりも基端側に位置する「検出素子短縮構造」を採用する動機があるとはいえない。
この点、請求人は、甲1の請求項1及び[0089]に記載の「ガス導入孔(167)が検出素子(120)の先端(120b)よりも基端側に位置する」は、検出素子の先端を基準にして、これよりも基端側にガス導入孔の領域が位置していることを意味し、ガス導入孔167の一部が検出素子120の先端120bよりも基端側にあれば、ガス導入孔167が、検出素子120の先端120bよりも基端側の位置に形成されていることに含まれる旨主張するが、甲1には、ガス導入孔(167)の少なくとも一部が検出素子(120)の先端(120b)よりも基端側に位置すればよいことを明示する記載はない。そして、一般に「A」は「Bの上端」より「下側」に位置するとの記載は、特段の説明や事情等がなければ、A全体がBの上端よりも下側にあると解することが自然である。そのため、甲1の「ガス導入孔(167)が検出素子(120)の先端(120b)よりも基端側に位置する」との記載が、ガス導入孔167の一部が検出素子120の先端120bよりも基端側にあればよいことを意味するものと解することはできない。

(c)甲1の図7ないし9に記載された変形形態2は、ガス通気部123の全体が金属シェル110の先端110bよりも基端側に配置されているが、変形形態2は、甲1発明に対して単にガス通気部123を含む検出素子120を基端側に移動させたものではなく、金属シェル310の先端側内表面313bとプロテクタ360の外表面360dとで形成されるガス導入空間S2を軸線方向に深く形成するとともに、ガス導入孔367の基端367cがガス導入空間S2の基端S2Eと一致する位置にガス導入孔367を設けている。そのため、この点で「検出素子短縮構造」と図7ないし9に記載された変形形態2とは相違する。
そして、変形形態2である図7ないし9に記載されたガス通気部123とガス導入孔367の軸線方向の位置関係は、実施形態である図1ないし3に記載されたガス通気部123とガス導入孔167の軸線方向の位置関係と同様に、ガス通気部123の基端123cはガス導入孔367の基端367cよりも先端側に位置し、ガス通気部123の先端123bはガス導入孔367の先端367bよりも先端側に位置しており、この配置により、ガス通気部123の全体が金属シェル110の先端110bよりも基端側に配置されても、良好な応答性を維持することができるものと解される。
してみると、甲1に記載された変形形態2が、請求人が提示する「検出素子短縮構造」を採用する動機となるものとはいえない。

(d)確かに、甲1の段落[0105]等には、ガス通気部123の基端123cがガス導入孔167の先端167bの位置よりも基端側に位置し、ガス通気部123の先端123bがガス導入孔167の基端167cの位置よりも先端側に位置している旨の記載があり、同様の記載は、上記(甲1−キ)の請求項1の特定事項にも含まれており、甲1発明も当該位置関係を特定している。
しかしながら、上記イで説示したように、位置関係3があるとしても、多くの仮定が重なった結果起こりうる態様を採用することが容易であるとはいえない。

(e)よって、請求人の上記主張は採用できない。

(2)本件発明2について
ア 本件発明2と甲1発明とを対比する。
本件発明2は、本件発明1に「上記センサ電極の全体は、上記保護カバーの基端位置よりも基端側に位置していること」という特定事項を付加したものである。
よって、上記(1)アの本件発明1と甲1発明の対比を踏まえると、本件発明2と甲1発明とは、次の相違点A’で相違する。
(相違点A’)
上記固体電解質体の上記長手方向の先端部に設けられた2種類の電極が、本件発明1においては、「被測定ガスに晒されて被測定ガス中の酸素濃度を調整するためのポンプ電極と、被測定ガスに晒されて上記ポンプ電極によって酸素濃度が調整された後の被測定ガス中の特定ガス成分濃度を検出するためのセンサ電極」であり、「該センサ電極の全体は、上記保護カバーの外周部に形成されたすべての上記カバー導入孔よりも上記長手方向の基端側に位置し」、「上記センサ電極の上記長手方向の基端位置は、上記ハウジングの先端面よりも基端側に位置し」、「上記センサ電極の全体は、上記保護カバーの基端位置よりも基端側に位置していること」が特定されているのに対し、甲1発明においては、「検出電極及び基準電極」であり、配置の詳細については特定されていない点。

イ 上記相違点A’について検討する。
上記相違点A’は、上記相違点Aに対して「上記センサ電極の全体は、上記保護カバーの基端位置よりも基端側に位置していること」という特定を加えたものである。
したがって、上記(1)イで検討した相違点Aと同じ理由により、相違点A’は、当業者が容易に想到しうる事項とはいえない。

ウ 以上のとおりであるから、本件発明2は、甲1発明及び甲2技術事項ないし甲4技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

(3)本件発明3について
ア 本件発明3と甲1発明とを対比する。
甲1発明の「内側プロテクタ160」、「ガス導入孔167」、「外側プロテクタ170」及び「ガス導入孔177」は、それぞれ本件発明3の「第1保護カバー」、「第1保護カバーの外周部に形成された上記カバー導入孔」、「第2保護カバー」及び「第2保護カバーの外周部に形成された上記カバー導入孔」に相当する。

よって、上記(1)アの本件発明1と甲1発明の対比を踏まえると、本件発明3と甲1発明とは、上記(1)ア(キ)の相違点Aに加えて、次の相違点Bで相違する。
(相違点B)
第1保護カバーの外周部に形成された上記カバー導入孔と第2保護カバーの外周部に形成された上記カバー導入孔との位置関係について、本件発明3は、上記第1保護カバーの外周部に形成された上記カバー導入孔は、上記第2保護カバーの外周部に形成された上記カバー導入孔よりも上記長手方向の先端側に位置するのに対し、甲1発明は、外側プロテクタ170のガス導入孔177が、内側プロテクタ160のガス導入孔167よりも軸線方向先端側にある点。

イ 相違点Aについては、上記(1)イで説示したとおりである。

ウ 上記相違点Bについて検討する。
甲1には、外側プロテクタ170のガス導入孔177と内側プロテクタ160のガス導入孔167の軸線方向における位置関係を逆転させることについて、明示又は示唆する記載はない。
外側プロテクタ170のガス導入孔177と内側プロテクタ160のガス導入孔167の配置は、内側プロテクタ160内における被測定ガスの流線に大きく影響するものであり、それにより検出素子の応答性にも影響するものである。
そのため、外側プロテクタ170のガス導入孔177と内側プロテクタ160のガス導入孔167の配置は、ガスセンサ全体の設計思想に応じて定めるべき事項である。
しかも、甲1発明の内側プロテクタ160のガス導入孔167は、その少なくとも一部が、金属シェル110の先端110bよりも基端側に位置しており、そのようなガス導入孔167よりも基端側に外側プロテクタ170のガス導入孔177を配置するためには、外側プロテクタ170の形状を含めた大幅な変更が必要となる。
したがって、甲1発明において、内側プロテクタ160のガス導入孔167を外側プロテクタ170のガス導入孔177よりも軸線方向先端側に設ける動機があるとはいえない。
よって、甲1発明において、相違点Bに係る本件発明3の発明特定事項を備えたものとすることは、当業者が容易に想到しうることとはいえない。

エ 以上のとおりであるから、本件発明3は、甲1発明及び甲2技術事項ないし甲4技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

(4)本件発明4について
ア 本件発明4と甲1発明とを対比する。
本件発明4は、本件発明1に「上記センサ電極の全体が、上記ハウジングの先端面よりも基端側に位置して、上記碍子の先端面と上記ハウジングの内周面とによって形成される凹部内に配置されていること」という特定事項を付加したものである。
よって、上記(1)アの本件発明1と甲1発明の対比を踏まえると、本件発明4と甲1発明とは、次の相違点A”で相違する。
(相違点A”)
上記固体電解質体の上記長手方向の先端部に設けられた2種類の電極が、本件発明1においては、「被測定ガスに晒されて被測定ガス中の酸素濃度を調整するためのポンプ電極と、被測定ガスに晒されて上記ポンプ電極によって酸素濃度が調整された後の被測定ガス中の特定ガス成分濃度を検出するためのセンサ電極」であり、「該センサ電極の全体は、上記保護カバーの外周部に形成されたすべての上記カバー導入孔よりも上記長手方向の基端側に位置し」、「上記センサ電極の上記長手方向の基端位置は、上記ハウジングの先端面よりも基端側に位置し」、「上記センサ電極の全体が、上記ハウジングの先端面よりも基端側に位置して、上記碍子の先端面と上記ハウジングの内周面とによって形成される凹部内に配置されていること」が特定されているのに対し、甲1発明においては、「検出電極及び基準電極」であり、配置の詳細については特定されていない点。

イ 上記相違点A”について検討する。
上記相違点A”は、上記相違点Aに対して「上記センサ電極の全体が、上記ハウジングの先端面よりも基端側に位置して、上記碍子の先端面と上記ハウジングの内周面とによって形成される凹部内に配置されていること」という特定を加えたものである。
したがって、上記(1)イで検討した相違点Aと同じ理由により、相違点A”は、当業者が容易に想到しうる事項とはいえない。

ウ 以上のとおりであるから、本件発明4は、甲1発明及び甲2技術事項ないし甲4技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

(5)本件発明5について
ア 本件発明5と甲1発明とを対比する。
上記(1)アの本件発明1と甲1発明の対比を踏まえると、本件発明5と甲1発明とは、上記(1)ア(キ)の相違点Aに加えて、次の相違点Cで相違する。
(相違点C)
上記センサ素子の上記長手方向の先端位置について、本件発明5は、上記ハウジングの先端面よりも基端側に位置して、上記碍子の先端面と上記ハウジングの内周面とによって形成される凹部内に配置されているのに対し、甲1発明は、そのような特定はされていない点。

イ 相違点Aについては、上記(1)イで説示したとおりである。

ウ 上記相違点Cについて検討する。
甲1の[0127]〜[0143] に記載された、プロテクタを1つとするとともに、金属シェル110の工具係合部317よりも基端側に位置する部位の軸線方向長さを長くして金属シェル310のガス導入空間S2を大きくした、変形形態2に係る図7〜9から、検出素子120の先端120bが金属シェル110の先端110bよりも基端側に位置し、セラミックリング133の先端面と金属シェル110の内周面とによって形成される凹部内に配置されていることが見て取れる。
すなわち、甲1に記載された変形形態2は、相違点Cに係る本件発明5の発明特定事項を備えている。
したがって、甲1発明を、変形形態2のごとく相違点Cに係る本件発明5の発明特定事項を備えたものとすることは、当業者であれば容易になしうることである。

エ 以上のとおりであるから、本件発明5は、甲1発明及び甲2技術事項ないし甲4技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

(6)本件発明6について
ア 本件発明6と甲1発明とを対比する。
上記(1)アの本件発明1と甲1発明の対比を踏まえると、本件発明6と甲1発明とは、上記(1)ア(キ)の相違点Aに加えて、次の相違点Dで相違する。
(相違点D)
上記センサ素子の構成について、本件発明6は、上記固体電解質体の表面に被測定ガスを導入する被測定ガス空間を有しており、上記ポンプ電極及び上記センサ電極は、上記被測定ガス空間に導入される被測定ガスに晒されており、上記センサ素子の先端には、拡散抵抗体を介して上記被測定ガス空間に被測定ガスを導入するための導入口が形成されているのに対し、甲1発明は、ガス検出体が、ジルコニアを主体とする固体電解質体、及び、白金を主体とする一対の検出電極及び基準電極などから構成され、排気ガスGを検出素子120の外部から内部(ガス測定室)に導入するように、検出素子120の先端部121の軸線方向について同位置に、平面視矩形状で同寸法のガス通気部123が2つ設けられており、これらのガス通気部123は、検出素子120の外部と検出素子120の内部に設けられたガス測定室とを繋ぐ通路に設けられた多孔質体である点。

イ 相違点Aについては、上記(1)イで説示したとおりである。

ウ 上記相違点Dについて検討する。
相違点Dのうち、「上記固体電解質体の表面に被測定ガスを導入する被測定ガス空間を有しており、上記ポンプ電極及び上記センサ電極は、上記被測定ガス空間に導入される被測定ガスに晒されて」いる点は、上記NOxセンサ周知技術と一致する。
また、相違点Dのうち、残りの「上記センサ素子の先端には、拡散抵抗体を介して上記被測定ガス空間に被測定ガスを導入するための導入口が形成されている」点も、甲3技術事項及び甲4技術事項に開示されているように、NOxセンサにおいて従来周知(以下当該周知な構成を「NOxセンサ周知技術2」という。)である。
そこで、NOxセンサ周知技術2を甲1発明に採用することについて検討するに、NOxセンサ周知技術2ではセンサ素子の先端に被測定ガスの導入口が形成されているから、ガス通気部123は検出素子120の先端120bに形成される、つまりガス通気部123は軸線方向に長さを実質的に持たない態様になり、検出素子120の先端120bとガス通気部123の先端123b及び基端123c(先端123b及び基端123cは同じ位置となる)の軸線方向位置は一致することになる。その場合、甲1発明で特定されている「内側プロテクタ160の側壁部161のうち、検出素子120の先端120bよりも基端側の位置には、被測定ガスを内側プロテクタ160の外部から内部に導入するガス導入孔167が形成されて」いることと、「ガス通気部123の基端123cはガス導入孔167の先端167bよりも基端側に位置し」ていることとの双方を同時に満たすことはできない。
したがって、甲1発明、NOxセンサ周知技術及びNOxセンサ周知技術2に触れた当業者といえども、甲1発明を相違点Dに係る本件発明6の発明特定事項を備えたものとすることは、容易になしうることとはいえない。

エ 以上のとおりであるから、本件発明6は、甲1発明及び甲2技術事項ないし甲4技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

(7)まとめ
以上のとおり、本件発明1ないし6は、甲1発明及び甲2技術事項ないし甲4技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえないから、その特許は、無効とすべきものではない。

3 無効理由2(サポート要件違反)について
(1)本件特許の明細書の発明の詳細な説明には、以下の記載がある。
「【技術分野】
【0001】
本発明は、被測定ガス中の特定ガス成分濃度を検出するガスセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関の排気ガス等を被測定ガスとして、被測定ガス中のNOx等の特定ガス成分の濃度を検出するガスセンサにおいては、ポンプセルによって被測定ガス中の酸素濃度を調整し、センサセルによって、酸素濃度が調整された被測定ガス中の特定ガス成分濃度を検出している。
ポンプセルを構成する電極及びセンサセルを構成する電極は、適切な温度範囲内に制御する必要がある。具体的には、ポンプセルを構成する電極は、酸素を分解する一方、特定ガス成分を分解しない温度範囲に制御し、センサセルを構成する電極は、特定ガス成分を分解する一方、水を分解しない温度範囲に制御している。
【0003】
例えば、特許文献1においては、被測定ガス中の特定ガス成分を測定するセンサ素子と、センサ素子の先端部を覆う内側保護カバー及び外側保護カバーとを有するガスセンサについて開示されている。このガスセンサにおいては、内側保護カバーの内側ガス導入孔の合計開口面積A1と外側保護カバーの外側ガス導入孔の合計開口面積A2とが、A1/A2≧1の関係を有することにより、外側ガス導入孔から外側保護カバー内に導入された被測定ガスが内側ガス導入孔を通過する流速が低減される。このように、各ガス導入孔の合計開口面積の比を規定することにより、保護カバー内への被測定ガスの進入によるセンサ素子の温度変動を抑えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−281583号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来のガスセンサにおいては、センサ素子における、ポンプ電極、センサ電極等が設けられた温度検知部の全体が、ハウジングの先端面よりも先端側に突出する位置に配置されている。そして、センサ素子における、ポンプ電極及びセンサ電極が設けられた部位の周辺には、被測定ガスが衝突しやすい状態が形成されている。
また、ガスセンサにおいては、ポンプセルのインピーダンスが温度によって変化することを利用して、センサ素子の温度の制御を行っている。具体的には、ポンプセルのインピーダンスに応じてポンプ電極の温度を制御することによって、センサセルの温度も間接的に制御している。そのため、被測定ガスが、センサ電極が設けられた部位の周辺に衝突しやすい状態が形成されていると、センサ電極の温度に変動が生じやすくなる。
【0006】
本発明は、かかる背景に鑑みてなされたもので、センサ電極の温度変動を抑えて、特定ガス成分濃度の検出精度を高めることができるガスセンサを提供しようとして得られたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、ハウジングと、
該ハウジングの内周側に保持された碍子と、
該碍子に挿通された、酸素イオン伝導性を有する固体電解質体を有し、長手方向の先端部が上記碍子の先端面から突出するセンサ素子と、
該センサ素子の上記先端部を覆うよう上記ハウジングの先端側に取り付けられ、被測定ガスを上記センサ素子の上記先端部に導くためのカバー導入孔が形成された保護カバーと、を備えるガスセンサにおいて、
上記固体電解質体の上記長手方向の先端部には、被測定ガスに晒されて被測定ガス中の酸素濃度を調整するためのポンプ電極と、被測定ガスに晒されて上記ポンプ電極によって酸素濃度が調整された後の被測定ガス中の特定ガス成分濃度を検出するためのセンサ電極とが設けられており、
該センサ電極の全体は、上記保護カバーの外周部に形成されたすべての上記カバー導入孔よりも上記長手方向の基端側に位置しており、
上記センサ電極の上記長手方向の基端位置は、上記ハウジングの先端面よりも基端側に位置していることを特徴とするガスセンサにある。
【発明の効果】
【0008】
上記ガスセンサにおいては、ハウジングの先端面と、センサ素子におけるセンサ電極との位置関係に工夫をしている。
具体的には、センサ素子におけるセンサ電極の長手方向の基端位置を、ハウジングの先端面よりも基端側に位置させている。そして、センサ端子にセンサ電極が設けられた部位の少なくとも一部は、ハウジング内に入っている。
【0009】
ガスセンサによって被測定ガス中の特定ガス成分濃度を検出する際には、被測定ガスは、保護カバーの導入孔から保護カバー内に導入され、センサ素子( 固体電解質体) の長手方向の先端部に接触する。このとき、センサ電極の長手方向の基端位置がハウジングの先端面よりも基端側に位置していることにより、センサ素子における、センサ電極が設けられた部位の周辺に被測定ガスが衝突しにくくなる、あるいは、センサ素子における、センサ電極が設けられた部位の周辺に衝突する被測定ガスの流速が遅くなる。これにより、被測定ガスの温度変化によって、センサ電極の温度が変動しにくくすることができる。
【0010】
それ故、上記ガスセンサによれば、センサ電極の温度変動を抑えることにより、特定ガス成分濃度の検出精度を高めることができる。」

(2)発明の詳細な説明の上記記載から、以下のことが読み取れる。
ア 被測定ガス中のNOx等の特定ガス成分の濃度を検出するガスセンサは、ポンプセルによって被測定ガス中の酸素濃度を調整し、センサセルによって、酸素濃度が調整された被測定ガス中の特定ガス成分濃度を検出している。そのために、ポンプセルを構成する電極は、酸素を分解する一方、特定ガス成分を分解しない温度範囲に制御し、センサセルを構成する電極は、特定ガス成分を分解する一方、水を分解しない温度範囲に制御している。(【0002】)
イ 温度制御の例として、センサ素子を覆う内側保護カバー及び外側保護カバーのガス導入孔の面積比を規定して内側ガス導入孔を通過する被測定ガスの流速を低減し、保護カバー内への被測定ガスの進入によるセンサ素子の温度変動を抑える技術(【0003】)、ポンプセルのインピーダンスが温度によって変化することを利用して、ポンプセルのインピーダンスに応じてポンプ電極の温度を制御することによって、センサセルの温度も間接的に制御する技術(【0005】)がある。
ウ 従来のガスセンサは、センサ素子における、ポンプ電極、センサ電極等が設けられた温度検知部の全体が、ハウジングの先端面よりも先端側に突出する位置に配置されており、ポンプ電極及びセンサ電極が設けられた部位の周辺には、被測定ガスが衝突しやすい状態が形成されている。(【0005】)
エ そのため、センサ素子の温度制御に係る従来の対策を施していても、被測定ガスが、センサ電極が設けられた部位の周辺に衝突しやすい状態が形成されていると、センサ電極の温度に変動が生じやすくなるという問題がある。(【0005】)
オ そこで、本件発明は、センサ素子におけるセンサ電極の長手方向の基端位置を、ハウジングの先端面よりも基端側に位置させる(【0008】、【0009】)ことにより、センサ素子における、センサ電極が設けられた部位の周辺に被測定ガスが衝突しにくくし、あるいは、センサ素子における、センサ電極が設けられた部位の周辺に衝突する被測定ガスの流速が遅くなるようにし、被測定ガスの温度変化があっても、センサ電極の温度が変動しにくくすることで、特定ガス成分濃度の検出精度を高めるものである。(【0009】、【0010】)

(3)すなわち、本件発明は、センサ素子における、ポンプ電極、センサ電極等が設けられた温度検知部の全体が、ハウジングの先端面よりも先端側に突出する位置に配置されるという、被測定ガスがセンサ電極が設けられた部位の周辺に衝突しやすい状態が形成されていると、センサ電極の温度に変動が生じやすくなるという課題を、センサ素子におけるセンサ電極の長手方向の基端位置を、ハウジングの先端面よりも基端側に位置させることにより解決するものと解される。

(4)そこで、本件発明1ないし6を見ると、「上記センサ電極(23)の上記長手方向(L)の基端位置(231)は、上記ハウジング(11A,11B)の先端面(111)よりも基端側に位置していること」が特定されている。
そして、センサ素子の温度制御の態様によらず、センサ素子におけるセンサ電極の長手方向の基端位置を、ハウジングの先端面よりも基端側に位置させることにより、センサ素子におけるセンサ電極の長手方向の基端位置がハウジングの先端面よりも先端側に位置している場合と比較して、センサ電極が設けられた部位の周辺に被測定ガスが衝突しにくくなり、あるいは、センサ素子における、センサ電極が設けられた部位の周辺に衝突する被測定ガスの流速が遅くなり、被測定ガスの温度変化があっても、センサ電極の温度が変動しにくくなることが理解できる。

(5)したがって、本件発明1ないし6は、発明が解決しようとする課題を解決するための手段が反映されているものであって、発明の詳細な説明に記載したものである。

(6)ア 請求人は、本件特許の明細書には「ガスセンサにおいては、ポンプセルのインピーダンスが温度によって変化することを利用して、センサ素子の温度の制御を行っている。具体的には、ポンプセルのインピーダンスに応じてポンプ電極の温度を制御することによって、センサセルの温度も間接的に制御している。そのため、被測定ガスが、センサ電極が設けられた部位の周辺に衝突しやすい状態が形成されていると、センサ電極の温度に変動が生じやすくなる。」(【0005】)と記載されており、本件発明1〜6は、ポンプセルのインピーダンスに応じてポンプ電極の温度を制御することによって、センサ電極の温度を間接的に制御していることが前提のもと、特定ガス成分濃度の検出精度を高めるためにセンサ電極の位置を特定した発明であるところ、発明の詳細な説明には当該前提以外の態様でもよい旨の記載はなく、ポンプ電極の温度制御を行わない場合には、特定ガス成分濃度の検出精度がそもそも得られず、ガスセンサとして機能しないことから、「センサ電極の温度を直接制御しているセンサ」や「いずれの電極の温度制御も全く行わないセンサ」までも含む本件発明1〜6の範囲まで、発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化できるとはいえない旨主張する。(第3の2(2))

イ しかしながら、上記(3)で述べたとおり、本件発明は、センサ素子における、ポンプ電極、センサ電極等が設けられた温度検知部の全体が、ハウジングの先端面よりも先端側に突出する位置に配置されるという、被測定ガスがセンサ電極が設けられた部位の周辺に衝突しやすい状態が形成されていると、センサ電極の温度に変動が生じやすくなるという課題を、センサ素子におけるセンサ電極の長手方向の基端位置を、ハウジングの先端面よりも基端側に位置させることにより解決するものと解され、上記(4)で述べたとおり、センサ素子の温度制御の態様によらず、センサ素子におけるセンサ電極の長手方向の基端位置を、ハウジングの先端面よりも基端側に位置させることにより、センサ素子におけるセンサ電極の長手方向の基端位置がハウジングの先端面よりも先端側に位置している場合と比較して、センサ電極が設けられた部位の周辺に被測定ガスが衝突しにくくなり、あるいは、センサ素子における、センサ電極が設けられた部位の周辺に衝突する被測定ガスの流速が遅くなり、被測定ガスの温度変化があっても、センサ電極の温度が変動しにくくなることが理解できるから、「ポンプセルのインピーダンスに応じてポンプ電極の温度を制御することによって、センサセルの温度も間接的に制御」することが特定されていないことをもって、本件発明1ないし6が発明の詳細な説明に記載したものでないということはできない。
したがって、請求人の主張は採用できない。

(7)以上のとおり、本件発明1ないし6は発明の詳細な説明に記載したものであって、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしているから、その特許は、無効とすべきものではない。

第6 むすび
以上のとおりであるから、本件特許の請求項1ないし6に係る発明についての特許は、無効理由1及び2によっては、無効とすることはできない。
審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、請求人の負担とする。
よって、結論のとおり審決する。
 
別掲 (行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、この審決に係る相手方当事者を被告として、提起することができます。
 
審理終結日 2022-03-09 
結審通知日 2022-03-11 
審決日 2022-03-25 
出願番号 P2015-184367
審決分類 P 1 113・ 537- Y (G01N)
P 1 113・ 121- Y (G01N)
最終処分 02   不成立
特許庁審判長 井上 博之
特許庁審判官 渡戸 正義
蔵田 真彦
登録日 2019-08-02 
登録番号 6561719
発明の名称 ガスセンサ  
代理人 特許業務法人あいち国際特許事務所  
代理人 特許業務法人暁合同特許事務所  
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ