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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  B01D
審判 全部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備  B01D
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  B01D
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  B01D
管理番号 1385161
総通号数
発行国 JP 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2022-06-24 
種別 異議の決定 
異議申立日 2021-05-10 
確定日 2022-04-04 
異議申立件数
訂正明細書 true 
事件の表示 特許第6782118号発明「多孔質体、フィルタ、フィルターメディア、フィルターデバイス、アクリル系ポリマーの精製方法及び製造方法、並びに感光性樹脂組成物の製造方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6782118号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1、〔2〜15〕について訂正することを認める。 特許第6782118号の請求項2〜15に係る特許を維持する。 特許第6782118号の請求項1に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6782118号の請求項1〜15に係る特許についての出願は、平成28年8月5日を出願日とする出願であり、令和2年10月21日にその特許権の設定登録がされ、同年11月11日に特許掲載公報が発行され、その後、その特許について、令和3年5月10日に特許異議申立人野田澄子(以下、「異議申立人」という。)により、特許異議の申立てがなされ、同年8月24日付けで取消理由が通知され、その指定期間内である同年10月27日に特許権者より意見書の提出及び訂正の請求があり、これに対し、異議申立人に期間を指定して意見を求めたが、その期間内に何らの応答もなされなかったものである。

第2 訂正の適否
令和3年10月27日にされた訂正の請求(以下、「本件訂正請求」といい、本件訂正請求による訂正を「本件訂正」という。)は、特許法第120条の5第4項の規定に従い、一群の請求項を構成する請求項〔1〜15〕を訂正の単位として訂正することを求めるものであり、その内容(訂正事項)は、次のとおりである。なお、訂正箇所に下線を付した。

1 訂正事項
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1を削除する。
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項2に
「前記多孔質体のガーレー透気度が10〜500秒である、請求項1に記載の多孔質体。」
とあるのを、
「BET法による平均孔径が15nm以下であり、ポリイミド、ポリアミドイミド、及びポリエーテルサルフォンからなる群より選択される少なくとも1つの多孔質膜を含み、前記多孔質体のガーレー透気度が10〜500秒である、多孔質体。」
に訂正する(請求項2の記載を引用する請求項3〜6も同様に訂正する。)。
(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項3に
「前記多孔質体の空隙率が50〜90質量%である、請求項1又は2に記載の多孔質体。」
とあるのを、
「前記多孔質体の空隙率が50〜90質量%である、請求項2に記載の多孔質体。」
に訂正する(請求項3の記載を引用する請求項4〜6も同様に訂正する。)。
(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項4に
「アクリル系ポリマーの精製に用いられる、請求項1〜3の何れか1項に記載の多孔質体。」とあるのを、
「アクリル系ポリマーの精製に用いられる、請求項2又は3に記載の多孔質体。」
に訂正する(請求項4の記載を引用する請求項5、6も同様に訂正する。)。
(5)訂正事項5
特許請求の範囲の請求項7に
「請求項1〜6の何れか1項に記載の多孔質体を含む、フィルタ。」
とあるのを、
「BET法による平均孔径が15nm以下であり、ポリイミド、ポリアミドイミド、及びポリエーテルサルフォンからなる群より選択される少なくとも1つの多孔質膜を含む多孔質体を含む、フィルタ。」
に訂正する(請求項7の記載を引用する請求項10〜15も同様に訂正する。)。
(6)訂正事項6
特許請求の範囲の請求項8に
「請求項1〜6の何れか1項に記載の多孔質体を含む、フィルターメディア。」
とあるのを、
「BET法による平均孔径が15nm以下であり、ポリイミド、ポリアミドイミド、及びポリエーテルサルフォンからなる群より選択される少なくとも1つの多孔質膜を含む多孔質体を含む、フィルターメディア。」
に訂正する(請求項8の記載を引用する請求項10〜15も同様に訂正する。)。
(7)訂正事項7
特許請求の範囲の請求項9に
「請求項1〜6の何れか1項に記載の多孔質体を含む、フィルターデバイス。」
とあるのを、
「BET法による平均孔径が15nm以下であり、ポリイミド、ポリアミドイミド、及びポリエーテルサルフォンからなる群より選択される少なくとも1つの多孔質膜を含む多孔質体を含む、フィルターデバイス。」
に訂正する(請求項9の記載を引用する請求項10〜15も同様に訂正する。)。
(8)訂正事項8
特許請求の範囲の請求項10に
「アクリル系ポリマーを含有する液体を請求項1〜6の何れか1項に記載の多孔質体、請求項7に記載のフィルタ、請求項8に記載のフィルターメディア、又は請求項9に記載のフィルターデバイスにより濾過することを含む、アクリル系ポリマーの精製方法。」
とあるのを、
「アクリル系ポリマーを含有する液体を、BET法による平均孔径が15nm以下であり、ポリイミド、ポリアミドイミド、及びポリエーテルサルフォンからなる群より選択される少なくとも1つの多孔質膜を含む多孔質体、請求項7に記載のフィルタ、請求項8に記載のフィルターメディア、又は請求項9に記載のフィルターデバイスにより濾過することを含む、アクリル系ポリマーの精製方法。」
に訂正する(請求項10の記載を引用する請求項11〜15も同様に訂正する。)。

2 訂正の目的の適否、新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(1)訂正事項1について
訂正事項1は、訂正前の請求項1を削除するものであるから、「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであり、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内においてしたものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(2)訂正事項2について
訂正事項2は、訂正前の請求項1との引用関係を解消して、独立形式請求項にするものであるから、「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものであり、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内においてするものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(3)訂正事項3、4について
訂正事項3、4は、いずれも、訂正事項1による請求項の削除に伴い選択的引用請求項の一部を削除するものであるから、「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであり、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内においてしたものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(4)訂正事項5〜8について
訂正事項5〜8は、訂正前の請求項7〜10において、それぞれ、同請求項1を引用する部分のみを独立形式に書き下して引用関係を解消するものであるから、「特許請求の範囲の減縮」及び「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものであり、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内においてするものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

3 小括
以上のとおり、本件訂正請求は、特許法第120条の5第4項の規定に従い、一群の請求項を構成する請求項〔1〜15〕について訂正することを求めるものであるところ、上記2のとおり、本件訂正に係る訂正事項1〜8は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第4号に掲げる事項を目的とするものに該当し、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
そして、本件訂正後の請求項2〜15については、別の訂正単位とする求めがされている。
したがって、本件特許の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1、〔2〜15〕について訂正することを認める。

第3 本件発明
上記第2のとおり、本件訂正は認容し得るものであるから、本件訂正後の請求項2〜15に係る発明(以下、各請求項に係る発明及び特許を項番に対応させて「本件発明2」、「本件特許2」などといい、併せて「本件発明」、「本件特許」ということがある。)は、訂正特許請求の範囲の請求項2〜15に記載された事項により特定される次のとおりのものである。

「【請求項2】
BET法による平均孔径が15nm以下であり、ポリイミド、ポリアミドイミド、及びポリエーテルサルフォンからなる群より選択される少なくとも1つの多孔質膜を含み、前記多孔質体のガーレー透気度が10〜500秒である、多孔質体。
【請求項3】
前記多孔質体の空隙率が50〜90質量%である、請求項2に記載の多孔質体。
【請求項4】
アクリル系ポリマーの精製に用いられる、請求項2又は3に記載の多孔質体。
【請求項5】
前記精製は、前記アクリル系ポリマーの質量平均分子量(Mw)が3万以上である高分子量体を除去する精製である、請求項4に記載の多孔質体。
【請求項6】
前記アクリル系ポリマーは、レジスト膜形成に用いられる樹脂である、請求項4又は5に記載の多孔質体。
【請求項7】
BET法による平均孔径が15nm以下であり、ポリイミド、ポリアミドイミド、及びポリエーテルサルフォンからなる群より選択される少なくとも1つの多孔質膜を含む多孔質体を含む、フィルタ。
【請求項8】
BET法による平均孔径が15nm以下であり、ポリイミド、ポリアミドイミド、及びポリエーテルサルフォンからなる群より選択される少なくとも1つの多孔質膜を含む多孔質体を含む、フィルターメディア。
【請求項9】
BET法による平均孔径が15nm以下であり、ポリイミド、ポリアミドイミド、及びポリエーテルサルフォンからなる群より選択される少なくとも1つの多孔質膜を含む多孔質体を含む、フィルターデバイス。
【請求項10】
アクリル系ポリマーを含有する液体を、BET法による平均孔径が15nm以下であり、ポリイミド、ポリアミドイミド、及びポリエーテルサルフォンからなる群より選択される少なくとも1つの多孔質膜を含む多孔質体、請求項7に記載のフィルタ、請求項8に記載のフィルターメディア、又は請求項9に記載のフィルターデバイスにより濾過することを含む、アクリル系ポリマーの精製方法。
【請求項11】
前記濾過により、前記液体に含有される前記アクリル系ポリマーの質量平均分子量(Mw)が3万以上である高分子量体の一部又は全部が前記液体から除去される、請求項10に記載の精製方法。
【請求項12】
請求項10又は11に記載の精製方法を用いる、アクリル系ポリマーの製造方法。
【請求項13】
前記アクリル系ポリマーが極性基含有樹脂である、請求項12に記載の製造方法。
【請求項14】
前記アクリル系ポリマーが酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する樹脂又はアルカリ可溶性樹脂である、請求項12又は13に記載の製造方法。
【請求項15】
アクリル系ポリマーを含有する感光性樹脂組成物の製造方法であって、
前記アクリル系ポリマーは請求項10若しくは11に記載の精製方法により精製したアクリル系ポリマー又は請求項12〜14のいずれか1項に記載の製造方法により製造したアクリル系ポリマーである、感光性樹脂組成物の製造方法。」

第4 令和3年8月24日付けで通知した取消理由及びこの取消理由において採用しなかった異議申立人による特許異議の申立理由の概要
1 令和3年8月24日付けで通知した取消理由の概要
(1)特許法第29条第1項所定の規定違反(新規性欠如)(以下、「取消理由」という。)
本件訂正前の請求項1に係る発明は、下記2(2)カに記載の甲第1号証、甲第2号証、又は甲第3号証に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、その特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。

2 取消理由において採用しなかった異議申立人による特許異議の申立理由の概要
(1)特許法第29条第1項所定の規定違反(新規性欠如)(以下、「申立理由1」という。)
ア 本件訂正前の請求項2に係る発明は、下記(2)カに記載の甲第1号証に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、その特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。

イ 本件訂正前の請求項1、2、7〜9に係る発明は、下記(2)カに記載の甲第4号証に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、その特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。

(2)特許法第29条第2項所定の規定違反(進歩性欠如)(以下、「申立理由2」という。)
ア 本件訂正前の請求項7〜9に係る発明は、下記カに記載の甲第1号証に記載された発明及び甲第7号証に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるから、その特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。

イ 本件訂正前の請求項7〜9に係る発明は、下記カに記載の甲第1号証に記載された発明及び甲第8号証に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるから、その特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。

ウ 本件訂正前の請求項7〜9に係る発明は、下記カに記載の甲第2号証に記載された発明及び甲第5号証に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるから、その特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。

エ 本件訂正前の請求項7〜9に係る発明は、下記カに記載の甲第3号証に記載された発明及び甲第5号証に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるから、その特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。

オ 本件訂正前の請求項4〜6、10〜15に係る発明は、下記カに記載の甲第9号証に記載された発明及び甲第1〜4号証に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるから、その特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。

カ 異議申立人が提出した証拠方法一覧
甲第1号証:特開2003−201362号公報
甲第2号証:Chemistry of Materials, (米), 2011, 23, p.2250-2261
甲第3号証:米国特許出願公開第2014/0322122号明細書
甲第4号証:国際公開第2015/020101号
甲第5号証:ACS Applied Materials & Interfaces, (米), 2012, 4, p.536-544
甲第6号証:特表2005−533893号公報
甲第7号証:国際公開第2010/038873号
甲第8号証:特開2015−13987号公報
甲第9号証:特開2009−235185号公報
甲第10号証:ウィキペディア(Wikipedia), 「ポリイミド」に関する記載, [online],2019年11月25日最終更新,[2021年4月15日検索], インターネット<URL :
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9D%E3%83%AA%E3%82%A4%E3%83%9F%E3%83%89#:~:text=%E3%83%9D%E3%83%AA%E3%82%A4%E3%83%9F%E3%83%89%20(%E8%8B%B1%3A%20polyimide)%20%E3%81%A8,%E8%8A%B3%E9%A6%99%E6%97%8F%E3%83%9D%E3%83%AA%E3%82%A4%E3%83%9F%E3%83%89%E3%82%92%E6%8C%87%E3%81%99%E3%80%82>
(以下、甲各号証を単に「甲1」などという。)

(3)特許法第36条第6項第1号所定の規定違反(サポート要件違反)(以下、「申立理由3」という。)
ア「本件明細書の実施例には、ポリイミド多孔質体の具体的な製造方法について、「<実施例1及び2> ポリアミド酸とシリカ微粒子とを含むワニスを用いて、上記多孔質体の製造方法により、表1に示すBET法による平均孔径を有するポリイミド多孔質体を得た。なお、実施例1と実施例2とでは、アルカリ溶液によるケミカルエッチング条件を変更してある。」(【0202】)と記載されているのみであり、請求項1−15で規定された構成を備えるポリイミド多孔質体を製造するための具体的な原料、各種条件などが全く記載されていない。
したがって、本件発明1−15は、発明の詳細な説明に記載されたものではなく、サポート要件を充足していない。」(特許異議申立書58頁「XII−1」の項)

イ「本件明細書の【0069】には、以下の通り、本件発明における「ポリイミド」の定義として、ワニスに使用する有機溶剤に溶解可能な可溶性ポリイミドであることが記載されている。

これに対して、本件明細書の実施例においては、前記の通り、単にポリイミド多孔質体を得たと記載されるに留まり、ポリイミドが可溶性ポリイミドであるか否かが確認されていない。
したがって、本件発明1−15は、発明の詳細な説明に記載されたものではなく、サポート要件を充足していない。」(特許異議申立書58、59頁「XII−2」の項。当審注:「…」は省略を表す。以下、同様である。)

ウ「本件発明1には、「BET法による平均孔径が15 nm以下であり、ポリイミド、ポリアミドイミド、及びポリエーテルサルフォンからなる群より選択される少なくとも1つの多孔質膜を含む多孔質体。」と記載されている。
これに対して、本件明細書の実施例(【0202】)においては、前記の通り、単にポリイミド多孔質体を得たと記載されるに留まり、ポリアミドイミド、及びポリエーテルサルフォンについて、BET法による平均孔径が15 nm以下の多孔質膜が製造され得ることが実験によって実証されていない。
したがって、本件発明1−15は、 発明の詳細な説明に記載されたものではなく、サポート要件を充足していない。」(特許異議申立書59頁「XII−3」の項)

エ「本件発明2では、「前記多孔質体のガーレー透気度が10〜500秒である」ことが規定されている。
これに対して、本件明細書の実施例においては、得られたポリイミド多孔質体のガーレー通気度が10〜500秒であることが実証されていない。
したがって、本件発明2−15は、発明の詳細な説明に記載されたものではなく、サポート要件を充足していない。」(特許異議申立書59頁「XII−4」の項)

オ「本件発明3では、「前記多孔質体の空隙率が50 〜 90質量%である」ことが規定されている。
これに対して、本件明細書の実施例においては、多孔質体の空隙率、または樹脂及びシリカ粒子の質量が開示されておらず、空隙率が50 〜 90質量%のポリイミド多孔質体は実証されていない。
したがって、本件発明3−15は、発明の詳細な説明に記載されたものではなく、サポート要件を充足していない。」(特許異議申立書59、60頁「XII−5」の項)

(4)特許法第36条第4項第1号所定の規定違反(実施可能要件違反)(以下、「申立理由4」という。)
ア「請求項1では、「多孔質体の、BET法による平均孔径が15nm以下である」ことが規定されている。
これに対して、本件明細書の実施例には、ポリイミド多孔質体の具体的な製造方法に ついて、「<実施例1及び2 > ポリアミド酸とシリカ微粒子とを含むワニスを用いて、上記多孔質体の製造方法により、表1に示すBET法による平均孔径を有するポリイミド多孔質体を得た。なお、実施例1と実施例2とでは、アルカリ溶液によるケミ カルエッチング条件を変更してある。」(【0202】)と記載されているのみであり、如何にして、平均孔径を15nm以下とするのか、その制御方法が具体的に記載されていない。
したがって、本件特許の発明の詳細な説明の記載は、当業者が本件発明1−15を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されたものではなく、実施可能要件を充足していない。」(特許異議申立書60頁「XIII−1」の項)

イ「本件発明2では、「前記多孔質体のガーレー透気度が10 〜 500秒である」ことが規定されている。
これに対して、本件明細書においては、如何にすれば、ガーレー透気度の範囲を10〜 500秒とすることができるのか、すなわち、ガーレー透気度を制御して所定の範囲とする方法が具体的に記載されていない。
したがって、本件特許の発明の詳細な説明の記載は、当業者が本件発明2−15を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されたものではなく、実施可能要件を充足していない。」(特許異議申立書60、61頁「XIII−2」の項)

(5)特許法第36条第6項第2号所定の規定違反(明確性要件違反)(以下、「申立理由5」という。)
「本件発明3では、「前記多孔質体の空隙率が5 0 〜 9 0質量%である」ことが規定されている。
これに対して、本件明細書の【0022】には、本件発明における多孔質体の「空隙率」の定義として、「上記空隙率は、例えば、多孔質体の製造において使用した樹脂と微粒子との合計質量に対する、微粒子の質量を空隙率(質量%)として算出することができる。」と記載されている。
すなわち、本件発明において、多孔質体の空隙率を求めるためには、多孔質体の製造に用いた微粒子の質量の値が必要となるが、本件発明3の多孔質体には微粒子は含まれていない(【0039】−【0042】及び【0090】の記載からも、製造過程で除去される)ことから、本件発明3に規定された多孔質体について、空隙率を求めることはできない。
換言すれば、本件発明3に規定された多孔質体の空隙率は、この多孔質体に含まれない物質量によって定義されているため、一義的に定めることができない。
したがって、本件発明3−15の記載は、不明確である。」(特許異議申立書61頁「XIV−1」の項)

第5 当審の判断
1 取消理由(特許法第29条第1項第3号新規性欠如))、申立理由1(特許法第29条第1項第3号新規性欠如))及び申立理由2(特許法第29条第2項進歩性欠如))について
事案に鑑み、取消理由(特許法第29条第1項第3号新規性欠如))、申立理由1(特許法第29条第1項第3号新規性欠如))及び申立理由2(特許法第29条第2項進歩性欠如))を併せて判断する。
(1)甲1〜4、9に記載の事項
ア 甲1に記載の事項
甲1には、以下(1a)〜(1c)の記載がある。
(1a)「【特許請求の範囲】
【請求項1】 式a記載の構造であり、Rが下記式b,cの構造からなる多孔質ポリイミドフィルムにおいて、b/(b+c)が0.8〜1.0であることを特徴とする多孔質ポリイミドフィルム。
【化1】

【化2】

【化3】


【請求項5】 請求項1ないし4のいずれか一項に記載の多孔質ポリイミドフィルムにおいて、
窒素吸着法で測定した比表面積が20m2/g以下、または窒素吸着法で測定した細孔容積が0.05m1/g以下であることを特徴とする多孔質ポリイミドフィルム。」

(1b)「【0082】図7は、窒素吸着法を用いて、スキン層を形成した多孔質ポリイミドフィルムと本発明による多孔質ポリイミドフィルムとのサンプルの表面積および細孔容積を測定した結果を示す図である。」

(1c)「【図7】



イ 甲2に記載の事項
甲2には、以下(2a)〜(2e)の記載がある。
(2a)「1. INTRODUCTION
Aerogels are low-density nanoporous solids with high surface area, low thermal conductivity, and high acoustic attenuation.1,2

In that context, interest in polyimide aerogels stems from the high mechanical strength and high thermal stability of the polymer,22 which would render this class of aerogels suitable for high-temperature thermal and acoustic insulation.」(2250頁)
(当審訳:1. はじめに
エーロゲルは、高い表面積、低い熱伝導率、高い音響減衰率を有する低密度のナノポーラス固体である。
...
この文脈において、ポリイミドエーロゲルが注目されているのは、このポリマーの高い機械的強度と高い熱安定性のためであり、このクラスのエーロゲルは、高温の熱および音響の絶縁に適している。)

(2b)「2.3. Synthesis of Polyimide Aerogels from bis-NAD via ROMP. Polyimide aerogels were prepared by mixing two solutions, one containing bis-NAD in NMP and one with moisture-tolerant Grubbs’ catalyst GC-II in toluene. Different sets of samples with different bulk densities were obtained by varying the concentration of bis-NAD. Aerogel samples are abbreviated as bis-NAD-xx, where the extension - xx stands for the weight percentage of bis-NAD in the bis-NAD plus NMP mixture.」(2251頁右欄)
(当審訳:2.3. ROMPによるbis-NADからのポリイミドエーロゲルの合成。ポリイミドエーロゲルは、bis-NADを含むNMP溶液と、耐湿性のあるグラブス触媒GC-IIを含むトルエン溶液の2種類の溶液を混合して調製した。bis-NADの濃度を変化させることで、嵩密度の異なるサンプル群を得た。エーロゲルのサンプルはbis-NAD-xxと略記され、拡張子-xxはbis-NADとNMPの混合物中のbis-NADの重量パーセントを表す。)

(2c)「2.4. Methods. …
Surface areas and pore size distributions were measured by N2 sorption porosimetry, using a Micromeritics ASAP 2020 surface area and porosity analyzer. Samples for surface area and skeletal density determination were outgassed for 24 h at 80 ℃ under vacuum before analysis. Average pore diameters were determined by the 4×VTotal/σ method, where VTotal is the total pore volume per gram of sample and σ, the surface area determined by the Brunauer-Emmett-Teller (BET) method. VTotal can be calculated either from the single highest volume of N2 adsorbed along the adsorption isotherm or from the relationship VTotal = (1ρb) - (1/ρs).」(2252頁左欄)
(当審訳:2.4. 方法。…
表面積および細孔径分布は、Micromeritics ASAP 2020表面積・細孔径分析装置を用いて、N2収着ポロシメトリにより測定した。表面積および骨格密度測定用のサンプルは、分析前に80℃で24時間、真空下でアウトガスを行った。平均孔径は、4 ×VTotal/σ法で求めた。ここで、VTotalはサンプル1gあたりの全細孔容積、σはBrunauer−Emmett−Teller(BET)法で求めた表面積である。VTotalは、吸着等温線に沿って吸着されたN2の最も大きな体積から計算するか、VTotal = (1ρb)− (1/ρs)の関係式から計算することができる。)

(2d)「3.3.b. Microstructural Characterization. Porosity and pore structure are reported as a function of the bulk density (ρb), which, in turn, is related to the monomer concentration in the sol. Results are summarized in Table 2.」(2254頁右欄)
(当審訳:3.3.b. 微細構造の特性評価。空隙率と気孔構造は、バルク密度(ρb)の関数として報告されている。これは、ゾル中のモノマー濃度に関連している。結果は表2にまとめた。)

(2e)「

」(2255頁)
(当審訳(抜粋箇所を対訳表記):
Table 2. Selected Properties of Polyimide Aerogels vis ROMP:表2. ROMPを介したポリイミドエーロゲルの選択された特性
average pore diameter (nm)e:平均孔径(nm)e
d BET surface area of the micropore (by t-plot, using the Harkins and Jura method).:dミクロポアのBET表面積(t−プロット、Harkins and Jura法を使用)。
e By the 4 × VTotal/σ method. For the first number, VTotal was calculated by the single point adsorption method; for the number in brackets, VTotal was calculated via VTotal = (1/ρb)-(1/ρs).:e4 × VTotal/σ法による。最初の数値については、VTotalは1点法により計算された。括弧内の数字については、VTotalは、VTotal = (1/ρb)-(1/ρs)で計算された。)

ウ 甲3に記載の事項
甲3には、以下(3a)〜(3e)の記載がある。
(3a)「[0004] 1. Field
[0005] Aspects herein relate to nanostructured polyimide networks, carbonized derivatives, related materials, uses thereof, and methods of manufacture.」
(当審訳:[0004] 1. フィールド
[0005] 本明細書の側面は、ナノ構造化ポリイミドネットワーク、炭化誘導体、関連材料、その使用、および製造方法に関するものである。)

(3b)「SUMMARY
[0010] Articles and methods for manufacturing three-dimensional porous polyimide networks and three-dimensional porous carbon networks are described.
[0011] Three-dimensional porous polyimide networks can be prepared by mixing a dianhydride and a diisocyanate in a solvent comprising a pyrrolidone and acetonitrile at room temperature to form a sol-gel material and subsequently drying the sol-gel material to form a polyimide aerogel.…」
(当審訳:サマリ
[0010] 三次元多孔質ポリイミドネットワークおよび三次元多孔質カーボンネットワークを製造するための物品および方法について説明する。
[0011] 三次元多孔質ポリイミドネットワークは、二無水物とジイソシアネートとを、ピロリドンとアセトニトリルとを含む溶媒中で室温で混合してゾルゲル材料を形成し、その後、ゾルゲル材料を乾燥させてポリイミドエーロゲルを形成することによって調製することができる。…)

(3c)「[0045] Polyimide aerogels synthesized via a conventional route using diamine (PI-AMN) as compared to routes contemplated by the inventors and described herein using isocyanate (PI-ISO) may have similar surface areas …」
(当審訳:[0045] ジアミン(PI-AMN)を用いた従来の方法で合成されたポリイミドエーロゲルは、本発明者らが考えているイソシアネート(PI-ISO)を用いた方法と比較して、表面積が同等である場合がある。…)

(3d)「[0074] Drying with supercritical fluid CO2 was conducted in an autoclave (SPI-DRY Jumbo Supercritical Point Dryer, SPI Supplies, Inc. West Chester, Pa.). Aerogel bulk densities (ρb) were calculated from the weight and physical dimension of the samples. Skeletal densities (ρs) were determined with helium pycnometry using a Micromeritics AccuPyc II 1340 instrument. Porosities, II, were determined from ρb and ρs according to: P=100×[(1/ρb)−(1/ρs)]/(1/ρb). BET surface areas (σ) and pore size distributions were measured with nitrogen adsorption/desorption porosimetry using a Micromeritics ASAP 2020 Surface Area and Porosity Analyzer. Samples for surface area and skeletal density determination were outgassed for 24 h at 80℃. under vacuum before analysis. Average pore diameters were determined by the 4×VTotal/σ method, where VTotal is the total pore volume per gram of sample. VTotal is calculated either from the single highest volume of N2 adsorbed along the adsorption isotherm or from the relationship VTotal=(1/ρb)−(1/ρs).」
(当審訳:超臨界流体CO2による乾燥は、オートクレーブ(SPI-DRY Jumbo Supercritical Point Dryer, SPI Supplies, Inc. West Chester, Pa.)で行った。エーロゲルのバルク密度(ρb)は、サンプルの重量と物理的寸法から算出した。骨格密度(ρs)は、Micromeritics AccuPyc II 1340装置を用いたヘリウムピクノメトリーで決定した。ρbとρsから次のようにして空隙率IIを求めた。P=100×[(1/ρb)−(1/ρs)]/(1/ρb)。BET法による表面積(σ)および細孔径分布は、Micromeritics ASAP 2020 Surface Area and Porosity Analyzerを用いて、窒素吸着/脱着ポロシメトリー法により測定した。表面積および骨格密度の測定用サンプルは、分析前に真空下で80℃で24時間アウトガスした。平均孔径は、4×VTotal/σ法により決定した。VTotalは、サンプル1gあたりの全細孔容積である。VTotalは、吸着等温線に沿って吸着されたN2の最も高い一点の体積から算出するか、VTotal=(1/ρb)-(1/ρs)の関係から算出する。)

(3e)「Table 1
Materials characterization data for polyimide aerogels



(当審訳(抜粋箇所を対訳表記):
Materials characterization data for polyimide aerogels: ポリイミドエーロゲルの材料特性データ

Average Pore Diameter(nm)h:平均孔径(nm)h
aPI-AMN:Polyimide samples synthesized through the amine route; PI-ISO:polyimide samples synthesized through the isocyanate route; PI- AMN-190: samples cured in NMP at 190℃. before drying; PI-AMN-RT: samples dried supercritically without further curing at 190℃.; PI-ISO-90: samples synthesized at 60−90℃. in NMP; PI-ISO-RT: samples synthesized at room temperature.:
aPI-AMN:アミンルートで合成したポリイミド試料、PI-ISO:イソシアネートルートで合成したポリイミド試料、PI-AMN-190:乾燥前に、NMP中で190℃で硬化させた試料、PI-AMN-RT:190℃でさらに硬化させずに超臨界で乾燥させた試料、PI-ISO-90:NMP中で60−90℃で合成した試料、PI-ISO-RT:室温で合成した試料。
hBy the 4×VTotal/σ method. For the first number, VTotal was calculated by the single-point adsorption method; for the number in brackets, VTotal was calculated via VTotal = (1/ρb)-(1/ρs).:
h4×VTotal/σ法による。最初の数値については、VTotalは1点法により計算された。括弧内の数字については、VTotalは、VTotal = (1/ρb)-(1/ρs)で計算された。)

エ 甲4に記載の事項
甲4には、以下(4a)〜(4d)の記載がある。
(4a)「[請求項1] ポリイミド系樹脂−微粒子複合膜から微粒子を取り除いて多孔質ポリイミド系樹脂膜とする微粒子除去工程を有する多孔質ポリイミド系樹脂膜の製造方法であって、
前記微粒子除去工程前に、前記ポリイミド系樹脂−微粒子複合膜のポリイミド系樹脂部分の少なくとも一部を除去するか、又は、前記微粒子除去工程後に、前記多孔質ポリイミド系樹脂膜の少なくとも一部を除去するポリイミド系樹脂除去工程を有する、多孔質ポリイミド系樹脂膜の製造方法。
[請求項2] 前記ポリイミド系樹脂除去工程後の多孔質ポリイミド系樹脂膜の、厚さを25μmとし、空気の通過量を100mlとした場合におけるガーレー透気度(JIS P 8117)が120秒以内である、請求項1に記載の多孔質ポリイミド系樹脂膜の製造方法。

[請求項4] 請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法で製造される多孔質ポリイミド系樹脂膜。」

(4b)「技術分野
[0001] 本発明は、多孔質ポリイミド系樹脂膜の製造方法、多孔質ポリイミド系樹脂膜、及びそれを用いたセパレータに関する。」

(4c)「背景技術

[0004] 上記リチウム電池の正極及び負極は、多孔性ポリマー膜よりなるセパレータによって隔てられ、電気的な直接的接触を防ぐ構造とされている。従って、二次電池用のセパレータには、膜厚(薄さ)、機械的強度、イオン伝導度(電解液含有時)、電気的絶縁性、耐電解液性、電解液に対する保液性、濡れ性等の種々の特性が要求される。このような性質を有する二次電池用セパレータとしては、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン系の微多孔膜系セパレータが一般的に用いられている。これらの微多孔膜はランダムな細孔を有し、その空孔率が35〜40%程度で、負極にカーボンを用いたリチウム二次電池用のセパレータとして広く用いられている。
[0005] しかし、これら従来から知られたセパレータには、充電/放電サイクルの繰り返しによって、黒鉛負極上にリチウム金属が析出することが知られている。そして、電池の充放電を繰り返すとデンドライト状リチウムが成長して、遂には電池の短絡を引き起こすことから、この問題を解決する必要のあることが知られていた(特許文献1)。一方、セパレータに、耐熱性が高く安全性の高いポリイミドを用いる試みが行われている(特許文献2、3)。

[0007] しかし、従来のポリイミドの膜に形成された孔は、必ずしも開孔率の点で十分ではなく、リチウムイオンの移動が妨げられることがあり、電池の内部抵抗が高くなるという問題があった。
[0008] 本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、高い開孔率を有する多孔質ポリイミド系樹脂膜の製造方法を提供することを目的とする。」

(4d)「実施例

[0102] 実施例及び比較例では、以下に示すテトラカルボン酸二無水物、ジアミン、ポリアミド酸、有機溶剤、分散剤及び微粒子を用いた。なお、各ワニスは最終的な固形分濃度が30質量%となるように調整した。
・テトラカルボン酸二無水物:ピロメリット酸二無水物
・ジアミン:4,4’−ジアミノジフェニルエーテル
・ポリアミド酸:ピロメリット酸二無水物と4,4’−ジアミノジフェニルエーテルとの反応物
・ポリアミドイミド:重合成分として無水トリメリット酸及びo−トリジンジイソシアネートを含むポリアミド(Mw:約3万)。
・有機溶剤(1):N,N−ジメチルアセトアミド:ガンマブチロラクトン(質量比90:10)の混合溶剤
・有機溶剤(2):N−メチル−2−ピロリドン:N,N−ジメチルアセトアミド(質量比70:30)の混合溶剤
・分散剤:ポリオキシエチレン二級アルキルエーテル系分散剤
・微粒子 :シリカ(1):平均粒径700nmのシリカ
シリカ(2):平均粒径200nmのシリカ
シリカ(3):平均粒径300nmのシリカ
[0103][ワニスの調製−1]
ポリアミド酸13.25gと有機溶剤(1)30gとを混合しポリアミド酸溶液を得た。得られたポリアミド酸溶液に、微粒子としてシリカ(2)を、75g添加し撹拌して第一のワニスを調製した。なお、前記第一のワニスにおけるポリアミド酸とシリカ(2)との体積比は22:78(質量比は15:85)である。
[0104][ワニスの調製−2]
ポリアミド酸13.25gと有機溶剤(1)30gとを混合しポリアミド酸溶液を得た。得られたポリアミド酸溶液に、微粒子としてシリカ(1)を、53g添加し撹拌して第二のワニスを調製した。なお、前記第二のワニスにおけるポリアミド酸とシリカ(1)との体積比は28:72(質量比は20:80)である。
[0105][未焼成複合膜の成膜]
上記の第二のワニスを、ガラス板にアプリケーターを用い成膜した。70℃で5分間プリベークして、膜厚25μmの未焼成複合膜を製造した。基材から未焼成複合膜を剥離乾燥して未焼成複合膜(1)を得た。
[0106][未焼成複合膜のイミド化]
上記未焼成複合膜(1)を320℃で15分間加熱処理(ポストべーク)を施し、イミド化を完結させポリイミド−微粒子複合膜(1)を得た。
[0107][多孔質ポリイミド膜の形成]
上記で得たポリイミド−微粒子複合膜(1)を、10%HF溶液中に10分間浸漬することで、膜中に含まれる微粒子を除去した後水洗及び乾燥を行い、多孔質ポリイミド膜(1)を得た。
[0108][2層状の未焼成複合膜の成膜]
上記の第一のワニスを、ガラス板にアプリケーターを用いて成膜した後、70℃1分間でベーク処理をし、膜厚約2μmの第一未焼成複合膜を得た。続いて、前記第一未焼成複合膜上に、第二のワニスを用いて第二未焼成複合膜を成膜した後、70℃で5分間プリベークして、全体の膜厚が約25μmの2層状の未焼成複合膜(2)を得た。
[0109][未焼成複合膜のイミド化]
上記未焼成複合膜(2)を320℃で15分間加熱処理(ポストべーク)を施し、イミド化を完結させポリイミド−微粒子複合膜(2)を得た。
[0110][多孔質ポリイミド膜の形成]
上記で得たポリイミド−微粒子複合膜(2)を、10%HF溶液中に10分間浸漬することで、膜中に含まれる微粒子を除去した後水洗及び乾燥を行い、多孔質ポリイミド膜(2)を得た。
[0111]<実施例1〜8、比較例1〜2>
上記で得た多孔質ポリイミド膜(2)について、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液又はNaOH溶液を用いて下記表1の要領でケミカルエッチングの条件変更による比較を行った。
[0112][ケミカルエッチング]
TMAHの2.38質量%水溶液(表1中、TMAHと記載)、又は、NaOHをメタノール50質量%水溶液で1.04%となるように希釈(表1中、NaOHと記載)して、アルカリ性のエッチング液を作成した。このエッチング液で、多孔質ポリイミド膜を表1に示す時間浸漬してポリイミドの一部を除去した。図7に、表1に示す条件で処理した後の多孔質ポリイミド膜の表面状態をSEMにて観察した結果を示す。
[0113]<実施例9〜12、比較例3〜4>
[ガーレー透気度]
上記実施例1〜8の結果のうち、多孔質ポリイミド膜の一部が取り除かれた際の表面の孔の形状変化が良好だったNaOH含エッチング液を用い、上記で得た多孔質ポリイミド膜(1)(2)に対して、下記表1の要領でケミカルエッチングを行ったうえで、厚さ約25μmのサンプルを、5cm角に切り出した。ガーレー式デンソメーター(東洋精機製)を用いて、JIS P 8117に準じて、100mlの空気が上記サンプルを通過する時間を測定した。その結果を表1に併記する。なお、ケミカルエッチング処理前と処理後の膜厚を接触触針計により測定した結果についても、表1中にそれぞれ処理前膜厚と処理後膜厚として併記する。

[0115] 図7から、ケミカルエッチングによって多孔質ポリイミド膜の一部が取り除かれ、表面の孔の形状が変化することがわかる。また、表1の多孔質ポリイミド膜のガーレー透気度測定から、100mlの空気を通すのに要する時間は、ケミカルエッチングの進行に伴い大幅に短縮され、多孔質ポリイミド膜の表面と裏面との連通度が向上したことが分かった。透過時間と膜厚変化の関係から、ケミカルエッチング処理による透気度の改善効果は膜厚の減少によるものだけでなく、主に開孔率の拡大であることが考えられる。」

オ 甲9に記載の事項
甲9には、以下(9a)〜(9d)の記載がある。
(9a)「【請求項1】
アルカリ不溶性またはアルカリ難溶性の重合体であって酸の作用によりアルカリ可溶性になる重合体を該重合体を溶解する良溶媒に溶解させて重合体溶液とする第1の工程と、
前記重合体を溶解しないが前記良溶媒には相溶する貧溶媒を、前記重合体溶液に、前記重合体による沈殿が析出しない範囲で添加する第2の工程と、
前記第2の工程後の重合体溶液を濾過する第3の工程とを備えることを特徴とする重合体の精製方法。

【請求項3】
前記濾過に使用するフィルターの孔径が1.0μm以下であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の重合体の精製方法。」

(9b)「【技術分野】
【0001】
本発明は、重合体の精製方法および重合体溶液に関し、更に詳しくは、KrFエキシマレーザーあるいはArFエキシマレーザー等の遠紫外線、シンクロトロン放射線等のX線、電子線等の荷電粒子線の如き各種の放射線を使用する微細加工に有用な化学増幅型レジストとして好適に使用できる感放射線性組成物に使用される重合体の精製方法に関する。」

(9c)「【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の課題は、化学増幅型レジストである感放射線性組成物に用いられ、現像欠陥の要因となる低溶解性の成分を除去できる重合体の精製方法、およびこの精製方法により得られる重合体溶液を提供することにある。」

(9d)「【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の実施の最良の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、以下の実施の形態に対し適宜変更、改良等が加えられたものも本発明の範囲に入ることが理解されるべきである。
第1の工程において、アルカリ不溶性またはアルカリ難溶性の重合体であって酸の作用によりアルカリ可溶性になる重合体は、微細パターン形成時に必要とされる解像度、焦点深度に優れたものであれば特に限定されるものではないが、特に解像度、焦点深度に優れた性能を提供する(メタ)アクリル酸エステル系重合体を好適に用いることができる。

【0024】
第3の工程は重合体溶液を濾過する工程である。
濾過に用いるフィルターは、材質は重合体溶液によって劣化しないものであれば特に限定されないが、例として、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリアミド、ポリイミドなどを挙げることができる。また、孔径は0.01μm〜1.0μmであることが望ましく、さらに0.05μm〜0.5μmであることがさらに好ましい。孔径が1.0μmよりも大きい場合、生成した凝集物を除去する能力が乏しくなって濾過の効果が充分得られなくなり、後継が0.01μmよりも小さい場合は、フィルターの目詰まりが生じて濾過が困難になるためである。」

(2)甲1〜4、9に記載された発明
ア 甲1に記載された発明
前記(1)ア(1a)、(1b)の記載を、同(1c)に記載のサンプル29に着目して整理すると、甲1には、以下の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されているといえる。

<甲1発明>
「窒素吸着法により測定される比表面積が12m2/g、細孔容積が0.019(cm3/g)である多孔質ポリイミドフィルム。」

イ 甲2に記載された発明
前記(1)イ(2a)〜(2d)の記載を、同(2e)に記載のsample bis-NAD-15に着目して整理すると、甲2には、以下の発明(以下、「甲2発明」という。)が記載されているといえる。

<甲2発明>
「VTotalをサンプル1gあたりの全細孔容積、σをBrunauer−Emmett−Teller(BET)法で求めた表面積とし、4×VTotal/σ法で求めた平均孔径が14.8nmである、bis-NADから合成されるポリイミドエーロゲル。」

ウ 甲3に記載された発明
前記(1)ウ(3a)〜(3d)の記載を、同(3e)に記載のPI-ISO-90-50に着目して整理すると、甲3には、以下の発明(以下、「甲3発明」という。)が記載されているといえる。

<甲3発明>
「VTotalをサンプル1gあたりの全細孔容積、σをBET法による表面積とし、4×VTotal/σ法で求めた平均孔径が6.3nmである、ポリイミドエーロゲル。」

エ 甲4に記載された発明
前記(1)エ(4a)の請求項1、2、4の記載に着目して整理すると、甲4には、以下の発明(以下、「甲4発明」という。)が記載されているといえる。

<甲4発明>
「ポリイミド系樹脂−微粒子複合膜から微粒子を取り除いて多孔質ポリイミド系樹脂膜とする微粒子除去工程を有する多孔質ポリイミド系樹脂膜の製造方法によって製造される多孔質ポリイミド系樹脂膜であって、
前記微粒子除去工程前に、前記ポリイミド系樹脂−微粒子複合膜のポリイミド系樹脂部分の少なくとも一部を除去するか、又は、前記微粒子除去工程後に、前記多孔質ポリイミド系樹脂膜の少なくとも一部を除去するポリイミド系樹脂除去工程を有し、
前記ポリイミド系樹脂除去工程後の多孔質ポリイミド系樹脂膜の、厚さを25μmとし、空気の通過量を100mlとした場合におけるガーレー透気度(JIS P 8117)が120秒以内である、多孔質ポリイミド系樹脂膜。」

オ 甲9に記載された発明
前記(1)オ(9a)の請求項1、3及び同(9d)の【0024】の記載に着目して整理すると、甲9には、以下の発明(以下、「甲9発明」という。)が記載されているといえる。

<甲9発明>
「アルカリ不溶性またはアルカリ難溶性の重合体であって酸の作用によりアルカリ可溶性になる重合体を該重合体を溶解する良溶媒に溶解させて重合体溶液とする第1の工程と、
前記重合体を溶解しないが前記良溶媒には相溶する貧溶媒を、前記重合体溶液に、前記重合体による沈殿が析出しない範囲で添加する第2の工程と、
前記第2の工程後の重合体溶液を濾過する第3の工程とを備えることを特徴とする重合体の精製方法であって、
前記濾過に使用するフィルターの孔径が1.0μm以下であり、
濾過に用いるフィルターは、材質は重合体溶液によって劣化しないものであれば特に限定されないが、例として、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリアミド、ポリイミドなどを挙げることができる、重合体の精製方法。」

(3)甲1を主引用例とした場合
ア 本件発明2について
(ア)対比
本件発明2と甲1発明とを対比すると、甲1発明における「多孔質ポリイミドフィルム」は、本件発明2の「ポリイミド、ポリアミドイミド、及びポリエーテルサルフォンからなる群より選択される少なくとも1つの多孔質膜を含」む「多孔質体」に相当する。
そうすると、両者は「ポリイミド、ポリアミドイミド、及びポリエーテルサルフォンからなる群より選択される少なくとも1つの多孔質膜を含む多孔質体。」である点で一致し、以下の点で相違している。

<相違点1>
本件発明2においては、「多孔質体」の「BET法による平均孔径が15nm以下」であるのに対し、甲1発明においては、当該特定事項を有するか否か不明な点。

<相違点2>
本件発明2においては、多孔質体のガーレー透気度が10〜500秒と特定されているのに対し、甲1発明においては、当該特定事項を有するか否か不明な点。

(イ)判断
事案に鑑み、上記相違点2について検討する。
甲1には、多孔質体の「ガーレー透気度」に関する記載はないのであるから、相違点2は実質的な相違点であると認められる。
また、甲1発明は、多孔質ポリイミドフィルムに関する発明であるが、甲1発明が属する技術分野は、甲1の【0001】によると、「周波用多孔質ポリイミドフィルムおよび高周波用多孔質ポリイミド回路基板に係り、特に、電子機器などのプリント配線基板や衛星通信,移動体無線,ミリ波レーダ用基板に好適な高周波用多孔質ポリイミド回路基板に関する」ものであると理解できる。また、甲1の【発明が解決しようとする課題】をみると、同【0010】に「本発明の目的は、誘電率,誘電正接が小さく、機械的強度が高く、配線切断等を防止でき、信頼性が高い構造の高周波用多孔質ポリイミドフィルムおよび高周波用多孔質ポリイミド回路基板を提供することである。」と記載され、同【0039】に「より信頼性が高く、高強度,高耐電圧,低誘電特性を有する多孔質ポリイミドフィルムを作成できた」と記載されている。
以上を総合的に考慮すると、甲1発明の「多孔質体」は、高周波用多孔質ポリイミド回路基板用途であって、高強度,高耐電圧,低誘電特性等の効果を発揮することが求められる多孔質体であると理解できる。
しかしながら、甲1には、相違点2に係る構成である多孔質体の「ガーレー透気度」に関する記載はなく、多孔質体のフィルタとしての性能に着目する記載もないのであるから、甲1に、甲1発明において、「ガーレー透気度」を相違点2の係る範囲とする動機付けが内在するとは到底いえない。
そうすると、相違点2に係る本件発明2の事項は、当業者が容易に想到し得るものであるとはいえない。また、上記容易想到性の判断は、提出されている他の証拠をみても、かわりはない。

(ウ)小括
以上のとおり、少なくとも上記相違点2は実質的な相違点であるし、また、上記相違点2に係る本件発明2の事項は、当業者が容易に想到し得るものであるとはいえないから、他の相違点について判断するまでもなく、本件発明2は、甲1発明ではないし、甲1発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。

イ 本件発明7〜9について
(ア)対比
本件発明7〜9と甲1発明とを対比すると、甲1発明における「多孔質ポリイミドフィルム」は、本件発明7〜9の「ポリイミド、ポリアミドイミド、及びポリエーテルサルフォンからなる群より選択される少なくとも1つの多孔質膜を含む多孔質体」に相当する。
そうすると、両者は「ポリイミド、ポリアミドイミド、及びポリエーテルサルフォンからなる群より選択される少なくとも1つの多孔質膜を含む多孔質体。」である点で一致し、相違点1の他、以下の点で相違している。

<相違点3>
本件発明7〜9は、それぞれ、フィルタ、フィルターメディア、フィルターデバイスに関する発明であるのに対し、甲1発明においては、当該特定事項を有するか否か不明な点。

(イ)判断
上記相違点3について検討する。
甲1発明は、上記(3)ア(イ)で述べたとおり、「高周波用多孔質ポリイミドフィルムおよび高周波用多孔質ポリイミド回路基板に係り、特に、電子機器などのプリント配線基板や衛星通信,移動体無線,ミリ波レーダ用基板に好適な高周波用多孔質ポリイミド回路基板に関する」ものであり、フィルタ、フィルターメディア、フィルターデバイス等のフィルタ用途に用いるものではない。
また、甲1には、甲1発明の高周波用回路基板に用いられる多孔質ポリイミドフィルムを、フィルタ、フィルターメディア、フィルターデバイスの多孔質体として用いることを伺わせる動機付けとなるような記載は存在しない。
そうすると、上記相違点3に係る本件発明7〜9の事項は、当業者が容易に想到し得るものであるとはいえない。また、上記容易想到性の判断は、提出されている他の証拠をみても、かわりはない。

(ウ)小括
以上のとおり、上記相違点3は実質的な相違点であるし、また、上記相違点3に係る本件発明7〜9の事項は、当業者が容易に想到し得るものであるとはいえないから、他の相違点について判断するまでもなく、本件発明7〜9は、甲1発明及び甲7、8に記載の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。

(4)甲2を主引用例とした場合
ア 本件発明7〜9について
(ア)対比
本件発明7〜9と甲2発明とを対比すると、甲2発明の「ポリイミドエーロゲル」は「ナノポーラス固体」であるから、本件発明7〜9の「ポリイミド、ポリアミドイミド、及びポリエーテルサルフォンからなる群より選択される少なくとも1つの多孔質膜を含む多孔質体」に相当するといえる。また、甲2発明の「VTotalをサンプル1gあたりの全細孔容積、σをBrunauer−Emmett−Teller(BET)法で求めた表面積とし、4×VTotal/σ法で求めた平均孔径が14.8nm」は、本件発明7〜9の「BET法による平均孔径が15nm以下」の範囲に含まれる。
そうすると、両者は「BET法による平均孔径が15nm以下であり、ポリイミド、ポリアミドイミド、及びポリエーテルサルフォンからなる群より選択される少なくとも1つの多孔質膜を含む多孔質体。」である点で一致し、以下の点で相違している。

<相違点4>
本件発明7〜9は、それぞれ、フィルタ、フィルターメディア、フィルターデバイスに関する発明であるのに対し、甲2発明においては、当該特定事項を有するか否か不明な点。

(イ)判断
甲2の上記(1)イ(2a)によると、甲2発明は、高温の熱および音響の絶縁に適しているポリイミドエーロゲルに関するものであると理解できるものの、当該甲2発明の具体的な用途に関する記載は見当たらない。加えて、当該ポリイミドエーロゲルを、フィルタ、フィルターメディア、フィルターデバイス等のフィルタ用途に用いることに関しても何ら記載も示唆もされていない。
また、甲2には、甲2発明の「ポリイミドエーロゲル」につき、フィルタ用途に使用すること、フィルタ用途に適した物性を有すること等の記載も示唆もないのであって、これを、フィルタ、フィルターメディア、フィルターデバイスの多孔質体として用いる動機付けの根拠となるような記載を見いだすことはできない。
そうすると、上記相違点4に係る本件発明7〜9の事項は、当業者が容易に想到し得るものであるとはいえない。また、上記容易想到性の判断は、提出されている他の証拠をみても、かわりはない。

(ウ)小括
以上のとおり、上記相違点4に係る本件発明7〜9の事項は、当業者が容易に想到し得るものであるとはいえないから、本件発明7〜9は、甲2発明及び甲5に記載の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。

(5)甲3を主引用例とした場合
ア 本件発明7〜9について
(ア)対比
本件発明7〜9と甲3発明とを対比すると、甲3発明の「ポリイミドエーロゲル」は、上記(1)ウ(3b)のとおり「三次元多孔質ポリイミドネットワーク」であるから、それぞれ本件発明7〜9の「ポリイミド、ポリアミドイミド、及びポリエーテルサルフォンからなる群より選択される少なくとも1つの多孔質膜を含む多孔質体」に相当するといえる。また、甲3発明の「VTotalをサンプル1gあたりの全細孔容積、σをBET法による表面積とし、4×VTotal/σ法で求めた平均孔径が6.3nm」であることは、それぞれ本件発明7〜9の「BET法による平均孔径が15nm以下」の範囲に包含される。
そうすると、両者は「BET法による平均孔径が15nm以下であり、ポリイミド、ポリアミドイミド、及びポリエーテルサルフォンからなる群より選択される少なくとも1つの多孔質膜を含む多孔質体。」である点で一致し、以下の点で相違している。

<相違点5>
本件発明7〜9は、それぞれ、フィルタ、フィルターメディア、フィルターデバイスに関する発明であるのに対し、甲3発明においては、当該特定事項を有するか否か不明な点。

(イ)判断
甲3には、ポリイミドエーロゲルの「フィルタ、フィルターメディア、フィルターデバイス」に関する記載はない。
また、甲3発明が属する技術分野は、上記(1)ウ(3a)によると、「ナノ構造化ポリイミドネットワーク、炭化誘導体、関連材料、その使用、および製造方法に関する」ものであると理解できるが、甲3には、甲3発明の「ポリイミドエーロゲル」につき、フィルタ用途に使用すること、フィルタ用途に適した物性を有すること等の記載も示唆もないのであるから、これを、フィルタ、フィルターメディア、フィルターデバイスの多孔質体として用いる動機付けはないというべきである。
そうすると、上記相違点5に係る本件発明7〜9の事項は、当業者が容易に想到し得るものであるとはいえない。また、上記容易想到性の判断は、提出されている他の証拠をみても、かわりはない。

(ウ)小括
以上のとおり、上記相違点5に係る本件発明7〜9の事項は、当業者が容易に想到し得るものであるとはいえないから、本件発明7〜9は、甲3発明及び甲5に記載の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。

(6)甲4を主引用例とした場合
ア 本件発明2について
(ア)対比
本件発明2と甲4発明とを対比すると、甲4発明の「多孔質ポリイミド系樹脂膜」は、本件発明2の「ポリイミド、ポリアミドイミド、及びポリエーテルサルフォンからなる群より選択される少なくとも1つの多孔質膜を含」む「多孔質体」に相当し、甲4発明の「多孔質ポリイミド系樹脂膜」の「厚さを25μmとし、空気の通過量を100mlとした場合におけるガーレー透気度(JIS P 8117)が120秒以内である」ことは、本件発明2の「多孔質体のガーレー透気度が10〜500秒である」ことと、一致する部分を有している。そうすると、両者は「ポリイミド、ポリアミドイミド、及びポリエーテルサルフォンからなる群より選択される少なくとも1つの多孔質膜を含み、多孔質体のガーレー透気度が10〜500秒である多孔質体。」の点で一致し、以下の点で相違する。

<相違点6>
本件発明2においては、「多孔質体」の「BET法による平均孔径が15nm以下」であるのに対し、甲4発明においては、当該特定事項を有するか否か不明な点。

(イ)判断
甲4には、甲4発明の「多孔質体」の「BET法による平均孔径」について記載がないから、相違点6は実質的な相違点である。

(ウ)小括
以上のとおり、少なくとも上記相違点6は実質的な相違点であるから、本件発明2は甲4発明ではない。

イ 本件発明7〜9について
(ア)対比
本件発明7〜9と甲4発明とを対比すると、両者は「ポリイミド、ポリアミドイミド、及びポリエーテルサルフォンからなる群より選択される少なくとも1つの多孔質膜を含む、多孔質体。」である点で一致するものの、以下の点で相違している。

<相違点7>
本件発明7〜9においては、「多孔質体」の「BET法による平均孔径が15nm以下」であるのに対し、甲4発明においては、当該特定事項を有するか否か不明な点。

<相違点8>
本件発明7〜9は、それぞれ、フィルタ、フィルターメディア、フィルターデバイスに関する発明であるのに対し、甲4発明においては、当該特定事項を有するか否か不明な点。

(イ)判断
事案に鑑み、相違点7について検討すると、上記ア(イ)で検討したのと同じ相違点であるから、上記ア(イ)で説示したのと同じ理由により、相違点7は実質的な相違点である。

(ウ)小括
以上のとおり、少なくとも上記相違点7は実質的な相違点であるから、他の相違点について判断するまでもなく、本件発明7〜9は、甲4発明ではない。

(7)甲9を主引用例とした場合
ア 本件発明2について
(ア)対比
あらかじめ、本件発明2と甲9発明との関係をみておくと、これらを対比したとき、両者は「ポリイミド」の点で一致し、少なくとも以下の点で相違するといえる。

<相違点9>
本件発明2は、精製に用いられる「多孔質体」が、「BET法による平均孔径が15nm以下であり、ポリイミド、ポリアミドイミド、及びポリエーテルサルフォンからなる群より選択される少なくとも1つの多孔質膜を含み、前記多孔質体のガーレー透気度が10〜500秒である、多孔質体」であるのに対し、甲9発明は、当該特定事項を有するか否か不明な点。

(イ)判断
上記相違点9について検討する。
甲9には、甲9発明の「重合体の精製方法」に使用する「フィルター」の「BET法による平均孔径」及び「ガーレー透気度」について記載はない。
そして、甲9の上記(1)オ(9b)の記載によると、甲9発明は、KrFエキシマレーザーあるいはArFエキシマレーザー等の遠紫外線、シンクロトロン放射線等のX線、電子線等の荷電粒子線の如き各種の放射線を使用する微細加工に有用な化学増幅型レジストとして好適に使用できる感放射線性組成物に使用される重合体の精製方法に関する技術分野に属するものと理解でき、同(9d)には、精製方法に用いるフィルターについて、「濾過に用いるフィルターは、材質は重合体溶液によって劣化しないものであれば特に限定されないが、例として、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリアミド、ポリイミドなどを挙げることができる。」との記載もある。しかしながら、甲9には、当該フィルターについての具体的な記載はなく、その「BET法による平均孔径」、「ガーレー透気度」に着目した記載は見当たらない。そうすると、甲9に、甲9発明において、「BET法による平均孔径」及び「ガーレー透気度」を所定の範囲とすることを動機付ける記載は存在しないというほかない。
よって、上記相違点9に係る本件発明2の事項は、当業者が容易に想到し得るものであるとはいえない。また、上記容易想到性の判断は、提出されている他の証拠をみても、かわりはない。

(ウ)小括
以上のとおり、上記相違点9に係る本件発明2の事項は、当業者が容易に想到し得るものであるとはいえないから、他の相違点について判断するまでもなく、本件発明2は、甲9発明及び甲1〜甲4に記載の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。

イ 本件発明4〜6について
本件発明4〜6は、「多孔質体」に係る発明であるが、いずれの発明も発明特定事項に、少なくとも本件発明2の「多孔質膜」に係る事項を含むものであるから、本件発明2が、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない以上、本件発明4〜6も、甲9発明及び甲1〜甲4に記載の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。

ウ 本件発明10〜15について
本件発明10〜11は、「アクリル系ポリマーの精製方法」に係る発明であり、本件発明12〜15は、「製造方法」に係る発明であり、いずれの発明も「BET法による平均孔径が15nm以下であり、ポリイミド、ポリアミドイミド、及びポリエーテルサルフォンからなる群より選択される少なくとも1つの多孔質膜」に係る発明特定事項を少なくとも含むが、当該事項は相違点9に係る事項であるから、上記ア(イ)で検討したとおり、上記相違点9は実質的な相違点であって、相違点9に係る構成が、甲9発明及び甲1〜甲4に記載の事項に基づいて当業者が容易に想到し得たものとはいえない以上、本件発明10〜15も、甲9発明及び甲1〜甲4に記載の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

(8)取消理由、申立理由1及び申立理由2に関するまとめ
以上のとおり、本件発明2、4〜15は、特許法第29条第1項第3号又は同法同条第2項の規定に違反してされたものではない。
したがって、取消理由、申立理由1及び申立理由2には理由がない。

2 申立理由3(特許法第36条第6項第1号所定の規定違反(サポート要件違反))について
(1)サポート要件の判断基準
特許請求の範囲の記載が明細書のサポート要件に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載又はその示唆により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か、また、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきものである。

(2)サポート要件に関する判断
ア 本件発明の課題について
本件明細書の記載によれば、従来は、「レジスト膜形成用の樹脂が、その分子量分布において高分子量体(例えば、3万以上の分子量)を含有する場合にレジスト膜を形成すると、現像後に、残渣が生じ易く、レジストパターンに欠陥を生じやすい」という問題があったが(【0006】)、この様な問題を受け、本件発明は、「レジストパターンの欠陥の原因となり得る高分子量体(例えば、Mw3万以上)を、半導体製造工程に用いられる樹脂において低減する多孔質体」を提供すること(【0007】)を発明の課題としている。

イ 本件発明の課題を解決する手段に関する発明の詳細な説明の記載について
本件明細書の【発明を実施するための形態】には、「多孔質体は、BET法による平均孔径が15nm以下である。」(【0015】)、「上記範囲内のBET法による平均孔径を有する多孔質体は、レジストパターンの欠陥の原因となり得る高分子量体(例えば、分子量分布における分子量3万以上の分子)を、半導体製造工程に用いられる樹脂において効果的に低減することができる。これは、BET法による平均孔径が上記範囲内であることにより高分子量体を除去する篩い分けに適した孔径の連通孔等の孔を供することができることによるものと推定される。」(【0016】)、「第1の態様に係る多孔質体は、BET法による平均孔径が15nm以下である限り、ポリイミド及び/又はポリアミドイミド多孔質膜、ポリエーテルサルフォン(PES)多孔質膜、ポリエチレン多孔質膜等いかなる多孔質膜を含んでいてもよいが、ポリイミド及び/又はポリアミドイミド多孔質膜を含むことが好ましい。」(【0022】)と、それぞれ記載されており、これらの記載をから、上記アの発明の課題を解決する手段に関し、多孔質体は、BET法による平均孔径が15nm以下の多孔質膜を含むことで、上記アの発明の課題を解決できると理解できる。
そして、本件明細書の【実施例】の記載によれば、多孔質体がBET法による平均孔径が15nm以下の多孔質膜を含む実施例1は、市販品のナイロンフィルムであって、BET法による平均孔径が15nmよりも大きい比較例1よりも、アクリル系ポリマーについても除去率が高い結果が得られている(【0206】の【表2】)。よって、実施例においても、上記アの発明の課題を、多孔質体がBET法による平均孔径が15nm以下の多孔質膜を含むことにより解決することの裏付けがなされているといえる。

ウ 当業者において本件明細書の発明の詳細な説明に記載される本件発明の課題を解決することができると認識できる範囲と本件発明の対比
上記イで述べたように、「多孔質体がBET法による平均孔径が15nm以下の多孔質膜を含むこと」で、上記アの本件発明の課題を解決することができると、当業者において理解することができる。
そして、本件発明は、上記アの発明の課題を解決するのに必要な手段である「多孔質体がBET法による平均孔径が15nm以下の多孔質膜を含むこと」を特定事項として含んでいる。
そうすると、本件発明は、発明の詳細な説明の記載又はその示唆により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであって、本件明細書の発明の詳細な説明に記載されたものであるといえるから、特許請求の範囲の記載は、サポート要件に適合するものということができる。

(3)申立理由3に関するまとめ
以上のとおり、本件発明について記載した特許請求の範囲の記載は、発明の詳細な説明に記載されたものであり、申立理由3には理由がない。

3 申立理由4(特許法第36条第4項第1号所定の規定違反(実施可能要件違反))について
(1)実施可能要件の判断基準
実施可能要件の判断基準は、以下のとおりである。
発明の詳細な説明の記載が実施可能要件に適合するか否かは、明細書の発明の詳細な説明に、当業者が、明細書の発明の詳細な説明の記載及び出願時の技術常識に基づいて、過度の試行錯誤を要することなく、その発明を実施することができる程度に発明の構成等の記載があるか否かを検討して判断すべきものであるが、ここでいう「実施」とは、物の発明においては、その物を作ることができ、かつ、その物を使用できることである。
そして、発明の詳細な説明の記載が実施可能要件を満たすといえるためには、発明の詳細な説明にその物を生産する方法及び使用する方法についての具体的な記載が必要であるが、そのような記載がなくても、明細書及び図面の記載並びに出願当時の技術常識に基づき、当業者がその物を作ることができ、かつ、その物を使用できるのであれば,実施可能要件を満たすということができる。

(2)実施可能要件に関する判断
本件明細書の発明の詳細な説明には、多孔質体の製造方法について、ポリイミド系樹脂を例として、(ワニスの製造)(【0040】)、(微粒子)(【0041】)、(未焼成複合膜の製造(未焼成複合膜成膜工程))(【0080】)、(ポリイミド系樹脂−微粒子複合膜の製造(焼成工程)(【0086】)、(微粒子除去工程(ポリイミド系樹脂ー微粒子複合膜の多孔質化))(【0090】)、(ポリイミド系樹脂除去工程)(【0091】)が記載されている。そして、これらのポリイミド系樹脂の製造方法に関する記載をもとに、ポリイミドからなる多孔質膜を含む多孔質体を製造できるといえるし、さらに、同様の工程を採用し、ポリアミドイミド、ポリエーテルサルフォンからなる多孔質膜を製造することも、当業者であれば実施することができるといえる。
このように、本件明細書の発明の詳細な説明には、多孔質体の製造方法に関する記載を認めることができるから、これらの記載に照らせば、当業者において、通常期待される以上の過度の試行錯誤を要することなく、本件発明の多孔質体を製造することができるということができる。

(3)申立理由4に関するまとめ
以上のとおり、本件特許は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものではない。
したがって、申立理由4には理由がない。

4 申立理由5(特許法第36条第6項第2号所定の規定違反(明確性要件違反))について
本件発明3には、発明特定事項として「微粒子」を含むものではないが、「空隙率」の定義は本件明細書の【0022】に「例えば、多孔質体の製造において使用した樹脂と微粒子との合計質量に対する、微粒子の質量を空隙率(質量%)として算出することができる。」と記載されており、製造に使用した樹脂と微粒子の合計質量に対する、微粒子分の質量の割合から求めるものと理解できる。このことは、同【0090】に「(微粒子除去工程(ポリイミド系樹脂―微粒子複合膜の多孔質化))」として記載されるとおり、「微粒子を適切な方法を選択して除去することにより、微細孔を有するポリイミド系樹脂多孔質膜」を製造するものであるから、当該製造方法に照らすと、同【0022】の「空隙率」の算出方法を合理的に理解し得る。そうしてみると、本件発明3の多孔質体の空隙率が、この多孔質体に含まれない物質量(微粒子の質量)によって定義されていたとしても、本件発明3における「空隙率」との記載の意味するところは明確に把握できるといえる。
したがって、特許法第36条第6項第2号所定の規定違反(明確性要件違反)に係る申立理由5には、理由がない。

第6 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件請求項2〜15に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項2〜15に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
そして、請求項1は本件訂正により削除されたため、この請求項に係る特許異議の申立てについては対象となる請求項が存在しないものとなったから、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。
よって、結論のとおり決定する。


 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(削除)
【請求項2】
BET法による平均孔径が15nm以下であり、ポリイミド、ポリアミドイミド、及びポリエーテルサルフォンからなる群より選択される少なくとも1つの多孔質膜を含み、前記多孔質体のガーレー透気度が10〜500秒である、多孔質体。
【請求項3】
前記多孔質体の空隙率が50〜90質量%である、請求項2に記載の多孔質体。
【請求項4】
アクリル系ポリマーの精製に用いられる、請求項2又は3に記載の多孔質体。
【請求項5】
前記精製は、前記アクリル系ポリマーの質量平均分子量(Mw)が3万以上である高分子量体を除去する精製である、請求項4に記載の多孔質体。
【請求項6】
前記アクリル系ポリマーは、レジスト膜形成に用いられる樹脂である、請求項4又は5に記載の多孔質体。
【請求項7】
BET法による平均孔径が15nm以下であり、ポリイミド、ポリアミドイミド、及びポリエーテルサルフォンからなる群より選択される少なくとも1つの多孔質膜を含む多孔質体を含む、フィルタ。
【請求項8】
BET法による平均孔径が15nm以下であり、ポリイミド、ポリアミドイミド、及びポリエーテルサルフォンからなる群より選択される少なくとも1つの多孔質膜を含む多孔質体を含む、フィルターメディア。
【請求項9】
BET法による平均孔径が15nm以下であり、ポリイミド、ポリアミドイミド、及びポリエーテルサルフォンからなる群より選択される少なくとも1つの多孔質膜を含む多孔質体を含む、フィルターデバイス。
【請求項10】
アクリル系ポリマーを含有する液体を、BET法による平均孔径が15nm以下であり、ポリイミド、ポリアミドイミド、及びポリエーテルサルフォンからなる群より選択される少なくとも1つの多孔質膜を含む多孔質体、請求項7に記載のフィルタ、請求項8に記載のフィルターメディア、又は請求項9に記載のフィルターデバイスにより濾過することを含む、アクリル系ポリマーの精製方法。
【請求項11】
前記濾過により、前記液体に含有される前記アクリル系ポリマーの質量平均分子量(Mw)が3万以上である高分子量体の一部又は全部が前記液体から除去される、請求項10に記載の精製方法。
【請求項12】
請求項10又は11に記載の精製方法を用いる、アクリル系ポリマーの製造方法。
【請求項13】
前記アクリル系ポリマーが極性基含有樹脂である、請求項12に記載の製造方法。
【請求項14】
前記アクリル系ポリマーが酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する樹脂又はアルカリ可溶性樹脂である、請求項12又は13に記載の製造方法。
【請求項15】
アクリル系ポリマーを含有する感光性樹脂組成物の製造方法であって、
前記アクリル系ポリマーは請求項10若しくは11に記載の精製方法により精製したアクリル系ポリマー又は請求項12〜14のいずれか1項に記載の製造方法により製造したアクリル系ポリマーである、感光性樹脂組成物の製造方法。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2022-03-22 
出願番号 P2016-154718
審決分類 P 1 651・ 121- YAA (B01D)
P 1 651・ 113- YAA (B01D)
P 1 651・ 537- YAA (B01D)
P 1 651・ 536- YAA (B01D)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 日比野 隆治
特許庁審判官 金 公彦
大光 太朗
登録日 2020-10-21 
登録番号 6782118
権利者 東京応化工業株式会社
発明の名称 多孔質体、フィルタ、フィルターメディア、フィルターデバイス、アクリル系ポリマーの精製方法及び製造方法、並びに感光性樹脂組成物の製造方法  
代理人 正林 真之  
代理人 正林 真之  

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