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審決分類 審判 一部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備  A63F
審判 一部申し立て 特29条特許要件(新規)  A63F
審判 一部申し立て 2項進歩性  A63F
審判 一部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  A63F
管理番号 1385231
総通号数
発行国 JP 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2022-06-24 
種別 異議の決定 
異議申立日 2022-02-28 
確定日 2022-05-17 
異議申立件数
事件の表示 特許第6931368号発明「電子ゲームにおけるゲーム媒体自動組合せ装置、ゲーム媒体自動組合せプログラム及びゲーム媒体自動組合せ方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6931368号の請求項に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯

特許第6931368号の請求項1〜11に係る特許についての出願は、平成31年1月31日(優先権主張 平成30年10月1日)に出願され、令和3年8月17日にその特許権の設定登録がされ、同年9月1日に特許掲載公報が発行された。その後、その特許に対し、令和4年2月28日に特許異議申立人粟野浩(以下、「申立人」という。)は特許異議の申立てを行った。


第2 本願発明

特許第6931368号の請求項1〜11に係る特許に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」〜「本願発明11」という。また、これらの発明をまとめて「本願発明」という。)は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1〜11に記載された事項により特定されるものであって、本願発明1、2、10、11は、次のとおりのものである。

「【請求項1】
電子ゲームで使用されるゲーム媒体を自動的に組み合わせてデッキとして提案するゲーム媒体自動組合せ装置であって、
電子ゲームのプレイヤが所有するゲーム媒体のうち1つを軸となるメインゲーム媒体として決定するメインゲーム媒体決定手段と、
電子ゲームで過去に使用されたデッキに含まれるゲーム媒体の組み合わせに関するデータを用いた機械学習処理又は分析処理に基づいて前記メインゲーム媒体が選択された場合に前記メインゲーム媒体と組み合わせて使用されるゲーム媒体をデッキに含める候補として選択するゲーム媒体選択手段と、
を備え、
前記ゲーム媒体選択手段において選択されたゲーム媒体を組み合わせてデッキとして提案することを特徴とするゲーム媒体自動組合せ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のゲーム媒体自動組合せ装置であって、
前記ゲーム媒体選択手段は、電子ゲームで過去に使用されたデッキに含まれるゲーム媒体の組み合わせに関するデータを用いたアソシエーション分析にて(前記メインゲーム媒体と前記メインゲーム媒体以外の対象ゲーム媒体とを共に含むデッキの数)/(前記メインゲーム媒体を含むデッキの数)で表される前記対象ゲーム媒体に対する信頼度に基づいて、前記信頼度が高い順に前記メインゲーム媒体に組み合わせるゲーム媒体を選択することを特徴とするゲーム媒体自動組合せ装置。」

「【請求項10】
電子ゲームで使用されるゲーム媒体を自動的に組み合わせてデッキとして提案するゲーム媒体自動組合せプログラムであって、
コンピュータを、
電子ゲームのプレイヤが所有するゲーム媒体のうち1つを軸となるメインゲーム媒体として決定するメインゲーム媒体決定手段と、
電子ゲームで過去に使用されたデッキに含まれるゲーム媒体の組み合わせに関するデータを用いた機械学習処理又は分析処理に基づいて前記メインゲーム媒体が選択された場合に前記メインゲーム媒体と組み合わせて使用されるゲーム媒体をデッキに含める候補として選択するゲーム媒体選択手段と、
として機能させ、
前記ゲーム媒体選択手段において選択されたゲーム媒体を組み合わせてデッキとして提案することを特徴とするゲーム媒体自動組合せプログラム。
【請求項11】
電子ゲームで使用されるゲーム媒体を自動的に組み合わせてデッキとして提案するゲーム媒体自動組合せ方法であって、
コンピュータを用いて、
電子ゲームのプレイヤが所有するゲーム媒体のうち1つを軸となるメインゲーム媒体として決定するメインゲーム媒体決定工程と、
電子ゲームで過去に使用されたデッキに含まれるゲーム媒体の組み合わせに関するデータを用いた機械学習処理又は分析処理に基づいて前記メインゲーム媒体が選択された場合に前記メインゲーム媒体と組み合わせて使用されるゲーム媒体をデッキに含める候補として選択するゲーム媒体選択工程と、
を実行し、
前記ゲーム媒体選択工程において選択されたゲーム媒体を組み合わせてデッキとして提案することを特徴とするゲーム媒体自動組合せ方法。」


第3 申立理由の概要

申立人は、次の理由に基づき、請求項1、2、10、11に係る特許を取り消すべきものである旨主張する。なお、理由の番号は、当審が付与した。

1 理由1(特許法36条6項1号
(1)請求項1に係る特許は、「電子ゲームで過去に使用されたデッキに含まれるゲーム媒体の組み合わせに関するデータを用いた機械学習処理又は分析処理に基づいて」という記載では、「機械学習」又は「分析処理」について、本件特許明細書【0026】以外のいろいろな処理を包含している。請求項1に係る特許は、アソシエーション分析のために必要な支持度、信頼度(確信度)及びリフトの情報をどのように用いるのか、また、このようなアソシエーション分析に替えてどのような機械学習を用いたのか特定されていないため、課題を解決する手段が記載されておらず、技術常識を参酌しても、多様な要素が関連し、その演算処理の種類が膨大なものとなる分析処理を含むような請求項1に係る特許の範囲まで、発明の詳細な説明に記載された内容を拡張ないし一般化できるとは認められず、特許法36条6項1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してなされたものである。また、同様の理由で、請求項10、11に係る特許も、特許法36条6項1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してなされたものである(理由1−1)。

(2)請求項2に係る特許は、アソシエーション分析では、複数の指標を多角的に評価する必要があるが、信頼度の指標だけに基づいてメインゲーム媒体とゲーム媒体との関連度を分析することはできず不明確である。このため、課題を解決するためには、「信頼度が高い」というだけでは、多角的な評価は不可能であるから、請求項2に係る特許の範囲まで、拡張ないし一般化できるとはいえず、特許法36条6項1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してなされたものである(理由1−2)。

2 理由2(特許法36条6項2号
(1)請求項1に係る特許における「電子ゲームのプレイヤが所有するゲーム媒体のうち1つを軸となるメインゲーム媒体として決定するメインゲーム媒体決定手段」という記載が不明確である。特に、「軸」及び「メインゲーム媒体」の定義が不明確である。
「軸となるメインゲーム媒体」とは、「主要なゲーム媒体」のうち、「軸」となるものという意味となるところ、「軸」の意味は多岐にわたるため、この結果として、「軸となるメインゲーム媒体」がいかなるゲーム媒体であるのか特定できない。このため、請求項1に係る特許は、特許法36条6項2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してなされたものである。また、同様の理由で、請求項10、11に係る特許も、特許法36条6項2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してなされたものである(理由2−1)。

(2)請求項2に係る特許の記載では、ゲーム媒体選択手段が如何にしてゲーム媒体を組み合わせてデッキとして提案するのか不明確である。請求項2に係る特許の記載において、「アソシエーション分析」という用語が用いられているが、アソシエーション分析には、多様な分析手法を意味するところ、ゲーム媒体選択手段において、どのような分析手法が採用されているのか特定できない(「対象ゲーム媒体に対する信頼度に基づいて、前記信頼度が高い順に前記メインゲーム媒体に組み合わせるゲーム媒体を選択する」との規定に留まるため、アソシエーション分析のために複数の指標がどのように多角的に評価されているのか特定できない。)、さらに、請求項2に係る特許における上記記載の「前記メインゲーム媒体と前記メインゲーム媒体以外の対象ゲーム媒体とを共に含むデッキの数」及び「前記メインゲーム媒体を含むデッキの数」との記載があるが、これらがそれぞれどのような「デッキの数」であるのかが特定できない。デッキ数については様々な集計方法が考えられる中で、「デッキの数」の技術的意味が特定できず、数式の意味が不明確である。このため、請求項2に係る特許は、特許法36条6項2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してなされたものである(理由2−2)。

(3)請求項10に係る特許における「電子ゲームで過去に使用されたデッキに含まれるゲーム媒体の組み合わせに関するデータを用いた機械学習処理又は分析処理に基づいて前記メインゲーム媒体が選択された場合に前記メインゲーム媒体と組み合わせて使用されるゲーム媒体をデッキに含める候補として選択するゲーム媒体選択手段」という記載は、不明確である。請求項10に係る特許における「電子ゲームで過去に使用されたデッキに含まれるゲーム媒体の組み合わせに関するデータ」について電気計算機に対してどのような指令により「機械学習処理又は分析処理」を行い、「メインゲーム媒体が選択された場合に前記メインゲーム媒体と組み合わせて使用されるゲーム媒体をデッキに含める候補として選択する」のか特定できない。また、「機械学習処理又は分析処理」においてデータをどのように処理するのかプログラム処理として重要であるにも関わらず、その具体的なプログラム処理が全く特定されていない。このため、請求項10に係る特許は、特許法36条6項2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してなされたものである。また、同様の理由で、請求項11に係る特許の「電子ゲームで過去に使用されたデッキに含まれるゲーム媒体の組み合わせに関するデータを用いた機械学習処理又は分析処理に基づいて前記メインゲーム媒体が選択された場合に前記メインゲーム媒体と組み合わせて使用されるゲーム媒体をデッキに含める候補として選択するゲーム媒体選択工程」も、具体的なプログラム処理が全く特定されていないため、請求項11に係る特許も、特許法36条6項2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してなされたものである(理由2−3)。

3 理由3(特許法36条4項1号
(1)本件特許明細書には、請求項1に係る特許の「電子ゲームで過去に使用されたデッキに含まれるゲーム媒体の組み合わせに関するデータを用いた機械学習処理又は分析処理に基づいて前記メインゲーム媒体が選択された場合に前記メインゲーム媒体と組み合わせて使用されるゲーム媒体をデッキに含める候補として選択するゲーム媒体選択手段」が実施できる程度に記載されていない。本件特許明細書には、支持度、信頼度及びリフトをそれぞれ第1〜第3基準値と比較して、基準値以上となるゲーム媒体を選択するアソシエーション分析(段落【0044】〜【0050】)については記載されているものの、これ以外の分析処理は記載されていない。審査基準に照らして、上記のような特定のアソシエーション分析は、本願発明である「電子ゲームで過去に使用されたデッキに含まれるゲーム媒体の組み合わせに関するデータを用いた機械学習処理又は分析処理」の「一部の下位概念」にすぎない。また、膨大な種類にわたる分析処理に対して、本件特許明細書には、上記特定のアソシエーション分析の実施形態のみしか記載されておらず、他の態様の膨大な種類にわたる分析処理については、実施できる程度に明確かつ十分に説明されているとはいえない。技術常識を参酌しても、本件特許明細書には、「アソシエーション分析に代えて、機械学習を用いてゲーム媒体候補を選択する」という課題を解決するための手段が実施できる程度に明確かつ十分に説明されているとはいえない。このため、請求項1に係る特許は、明細書の記載が、上述した点で不備のため、特許法36条4項1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してなされたものである。また、同様の理由で、請求項10、11に係る特許も、明細書の記載が、上述した点で不備のため、特許法36条4項1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してなされたものである(理由3−1)。

(2)本件特許明細書には、請求項2に係る特許における「前記ゲーム媒体選択手段は、電子ゲームで過去に使用されたデッキに含まれるゲーム媒体の組み合わせに関するデータを用いたアソシエーション分析にて(前記メインゲーム媒体と前記メインゲーム媒体以外の対象ゲーム媒体とを共に含むデッキの数)/(前記メインゲーム媒体を含むデッキの数)で表される前記対象ゲーム媒体に対する信頼度に基づいて、前記信頼度が高い順に前記メインゲーム媒体に組み合わせるゲーム媒体を選択すること」が、実施できる程度に記載されていない。アソシエーション分析(段落【0044】〜【0050】)については記載されているものの、これ以外の分析処理は記載されていない。技術常識を参酌しても、単に「信頼度が高い順」というだけではアソシエーションルールの多角的な評価は不可能である。技術常識を参酌しても、どのような集計により計数されたデッキ数であるのか特定できない。このため、請求項2に係る特許は、明細書の記載が、上述した点で不備のため、特許法36条4項1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してなされたものである(理由3−2)。

4 理由4(特許法29条1項柱書)
(1)請求項10に係る特許は、プログラムの発明であるところ、「電子ゲームで過去に使用されたデッキに含まれるゲーム媒体の組み合わせに関するデータを用いた機械学習処理又は分析処理に基づいて前記メインゲーム媒体が選択された場合に前記メインゲーム媒体と組み合わせて使用されるゲーム媒体をデッキに含める候補として選択するゲーム媒体選択手段」との発明特定事項は、特許法上でいうプログラムとして特定できない。「機械学習処理又は分析処理」については、その具体的な処理が全く定義されていないため、「自然法則を利用した技術的思想の創作」には該当しない。「対象の技術的性質を表す数値、画像等の情報に対してその技術的性質に基づく演算又は処理を施して」という事項が全く定義されていない。このため、請求項10に係る特許は、特許法29条1項柱書に規定する要件を満たしていない特許出願に対してなされたものである。(理由4−1)。

(2)請求項11に係る特許は、上記理由2−3のとおり、プログラムにより実現する内容を特定することができないため、上記(1)と同様の理由により、特許法29条1項柱書に規定する要件を満たしていない特許出願に対してなされたものである(理由4−2)。

5 理由5(特許法29条2項
申立人は、次のとおり、甲第1号証を主たる証拠とし、従たる証拠として甲第2号証〜甲第9号証を提出した。
甲第1号証:DUEL PORTAL、「マジックのエキサイティングな戦いを気軽に体験『マジック2015−デュエルズ・オブ・ザ・プレインズウォーカーズ』登場!」、INTERNET ARCHIVE wayback machines [online]、平成26年(2014年)7月10日、[令和4年2月21日検索]、インターネット
甲第2号証:4Gamer.net、[CEDEC 2017]ゲームの品質管理はA Iに任せる時代!?スクウェア・エニックスが活用法を語る」、INTERNET ARCHIVE wayback machine [online]、平成29年(2017年)9月2日、[令和4年2月21日検索]、インターネット

甲第3号証:株式会社スクウェア・エニックステクノロジー推進部 眞鍋 和子、「遺伝的アルゴリズムによる人工知能を用いたゲームバランス調整」、CEDEC2017、[online]、平成29年(2017年)9月1日、[令和4年2月21日検索]、インターネット
甲第4号証:Will FancherJ’s Blog、「Automatical1y Generating Magic Decks Using Deck Building Strategies(デッキ構築戦略によるマジックデッキの自動生成)」、INTERNET ARCHIVE wayback machine.[online]、平成27年(2015年)9月24日、[令和4年2月24日検索]、インターネット

甲第5号証:ありさじ、「オススメデッキ編成が改良されたらしいが有能なのか検証![パワプロアプリ]」、Hatena Blog [online]、平成29年(2017年)8月29日、[令和4年2月24日検索]、インターネッ卜
甲第6号証:特開2018−143835号公報(平成30年9月20日出願公開)
甲第7号証:特開2013−20390号公報(平成25年1月31日出願公開)
甲第8号証:特開2013−29987号公報(平成25年2月7日出願公開)
甲第9号証:MUSUBUライブラリ「アソシエーション分析とは?顧客単価を上げるためのデータ分析方法」、[online]、令和3年(2021年)5月16日、[令和4年2月21日検索]、インターネット、
なお、以下、甲第1号証〜甲第9号証を、それぞれ、「甲1」〜「甲9」という。
請求項1に係る特許は、甲1〜甲6に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定に違反してされたものである(理由5−1)。
請求項2に係る特許は、甲1〜甲9に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定に違反してされたものである(理由5−4)。
請求項10、11に係る特許は、甲1〜甲6に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定に違反してされたものである(請求項10、11に係る特許のそれぞれについて、理由5−3、理由5−4)。


第4 文献の記載

1 甲1に記載されている事項、甲1に記載されている発明
(1)甲1に記載されている事項
ア 甲1には次の事項が記載されている。
「世界最高峰の戦略トレーディングカードゲーム『Magic: the Gathering』」(1頁見出しの下の本文)

イ 「あなたは、次元を渡り歩く強力な魔法使い「プレインズウォーカー」となり強大な他のプレインズウォーカー達との戦いに身を投じます。
世界中のプレイヤーの他に、あなたが相対する相手がもう1人。」(2頁「次元を渡り歩く魔法使い「プレインズウォーカー」となって戦う」の項)

ウ 「たくさんのカードを集めたなら、集めたカードで最高のデッキを組み上げて他のプレインズウォーカー達と腕試しをしてみましょう。」(5頁上段)

エ 「それすらも難しいというあなたには、自動でデッキを組んでくれる「オートコンプリート」が手を貸してくれます。1枚でも使いたいカードを選べば、そのカードと相性の良いカードを組み合わせ、あなただけのデッキを組んでくれるでしょう。」(5頁下段)

オ 「ゲームの序盤を遊べる体験版のリリースも予定されているので、まずは体験版をダウンロードして、このゲームの楽しさに触れてみましょう。…なお、iPad版は本日先行販売開始!
iPadをお持ちの方は、是非チェックしてみてください。」(6頁「まずは体験版で遊んでみよう」の項)

(2)甲1の記載から把握できる事項
ア 上記(1)アから、「Magic: the Gathering」は、戦略トレーディングカードゲームであり、トレーディングカードを用いて行われるゲームであって、上記(1)イの「世界中のプレイヤー」と対戦すること、上記(1)オの「ダウンロード」をしてゲームを行うことから、「オンラインゲーム」であると認められる。

イ 上記(1)ウから、「Magic: the Gathering」は、集めたトレーディングカードで「デッキ」を組み上げるゲームである。

ウ 上記(1)エから、「Magic: the Gathering」には、1枚でも使いたいカードを選べば、そのカードと相性の良いカードを組み合わせ、あなただけのデッキを自動で組んでくれる「オートコンプリート」機能がある。この機能により、「あなた」が、1枚でも使いたいカードを選ぶと、自動的に、そのカードと相性の良いカードを組み上げられたデッキが提案されるものと認められる。

エ 上記アのとおり、「Magic: the Gathering」は、「オンラインゲーム」であるから、上記(1)オのipadへの体験版ダウンロードは、サーバコンピュータから行われることは技術常識であり、当該サーバコンピュータが、上記(1)エの「オートコンプリート」機能を提供しているものと認められる。

(3)甲1に記載された発明
上記(2)から、甲1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
戦略トレーディングカードゲーム「Magic: the Gathering」で使用されるトレーディングカードを自動的に組み上げられたデッキを提案するサーバコンピュータであって、
戦略トレーディングカードゲーム「Magic: the Gathering」を実行する「あなた」が所有するトレーディングカードのうち、1枚でも使いたいカードを選ぶと、自動的に、そのカードと相性の良いカードを組み上げられたデッキを提案する「オートコンプリート」機能を提供する、
サーバコンピュータ。

2 甲2に記載されている事項
甲2には、次の事項が記載されている。
「 もちろん、進化の末に最適なパーティ編成を獲得するということも、アソシエーション分析(※組み合わせを分析する方法の一種)の結果、分かったという。」(16頁最終段落)



」(17頁)

3 甲3に記載されている事項
甲3には、次の事項が記載されている。


」(38頁)

4 甲4に記載されている事項
甲4には、次の事項が記載されている。
「The New algorithm
For an Nth order aggregation:
●Create a ranking structure.
○This structure keeps track of the number of times any combination of cards
appears in any of the input decks.
○For each input deck D:
■For each combination C of N or less cards in D、 add 1 to C’s rank in the ranking structure.」(2頁5〜11行)

(仮訳)
「新アルゴリズム
N次集計の場合。
●ランキング構造を作成する。
○この構造は、カードの任意の組み合わせが入力デッキのいずれかに出現する回数を記録するものである。
○各入力デッキDについて
■Dに含まれるN枚以下のカードの組み合わせCごとに、ランキング構造におけるCのランクに1を加える。
●入力デッキを1つの集合体にする。」

5 甲5に記載されている事項
甲5には、次の事項が記載されている。


」(2頁)

6 甲6に記載されている事項
甲6には、次の事項が記載されている。
「【0056】
先ず、図5を参照しながらデータベース550を用いる場合について説明する。
ゲームステージをクリア(=攻略に成功)すると、サーバシステム1100は、そのときプレイ過程を記述する情報をクリア事例過程データ551として追加し、更にその時のプレーヤのプレーヤデッキデータ532の複製をクリア事例デッキデータ552としてデータベース550に追加する。つまり、成功事例を集めて登録する。
【0057】
そして、データベース550におけるクリア事例デッキデータ552の登録数が統計的に有意な値に達すると、クリア事例デッキデータ552を統計処理して「統計ベース基準属性配分」を判定する。統計ベース基準属性配分は、例えば、統計的に最多の属性配分や、上位所定数の属性配分、などとしてもよい。そして、判定した統計ベース基準属性配分とプレーヤ2のプレーヤデッキの属性配分とを比較し、前者にあって後者に無い属性を「推奨属性」として決定する。そして、推奨属性が付与されているキャラクタを検索し、検索されたキャラクタすなわち「推奨キャラクタ」をデッキに編入するように推奨する報知30をプレーヤ端末1500で実行させる。」

7 甲7に記載されている事項
甲7には、次の事項が記載されている。
「【0059】
事象データ生成部43eは、電話履歴収集部43a、電子メール履歴収集部43b及び予定情報収集部43cから通知された履歴データを任意の時間幅であるバスケットごとに分類し、分類結果をバスケットDB45に登録する。具体的には、事象データ生成部43eは、まず、電話履歴収集部43a、電子メール履歴収集部43b及び予定情報収集部43cから一定間隔で通知された全ての履歴データを時系列順に並べる。そして、事象データ生成部43eは、一定間隔の全時間幅を予め設定されたバスケットの枠T(時間幅)で等分割し、等分割した各時間区間を識別するバスケットNoを付与する。」
「【0062】
アソシエーション分析部48は、バスケットDB45によって記憶されたバスケットごと分類された情報に対してアソシエーション分析を実行してアソシエーションルールを抽出する。具体的には、まず、アソシエーション分析部48は、バスケットごとに分類された情報から、支持度に基づいて、頻出アイテム集合Fを抽出する。そして、アソシエーション分析部48は、抽出した頻出アイテム集合Fから、信頼度に基づいて、アソシエーションルールを抽出する。なお、支持度とは、条件(X)と結論(Y)とを共に含むトランザクション件数/全トランザクション件数である。また、信頼度とは、条件(X)と結論(Y)とを共に含むトランザクション件数/条件(X)を含むトランザクション件数である。」
「【0067】
図15は、実施例2に係るアソシエーション分析部48による第2の処理を説明するための図である。図15においては、図14にて抽出された頻出アイテム集合Fから、信頼度に基づいて、アソシエーションルールを抽出する処理を実行した例について示す。ここで、図15に示す例では、最小信頼度を0.66(66%)とし、それ以上の信頼度のアイテムIDの組をアソシエーションルールとして抽出する場合について示す。
【0068】
例えば、アソシエーション分析部48は、図15に示すように、まず、図14に示す処理により抽出した頻出アイテム集合Fを、頻出アイテム集合Fに含まれるアイテムIDに基づいてトランザクションに分割し、それぞれに対して処理を行う。アソシエーション分析部48は、トランザクションごとにアイテムIDの組を抽出し、抽出したアイテムIDの組の信頼度を、上述した支持度と同様に算出し、信頼度0.66(66%)以上のアイテムIDの組をアソシエーションルールとして抽出する。
【0069】
例えば、アソシエーション分析部48は、図15に示すように、「アイテムID1、2」と、「アイテムID1、5」と、「アイテムID2、5」とを信頼度0.66(66%)以上のアイテムIDの組であるアソシエーションルールとして抽出する。すなわち、アソシエーション分析部48は、各アイテムIDに対応するイベント種別と相手先との組合せをアソシエーションルールとして抽出して、ルールDB46に登録する。一例を挙げると、アソシエーション分析部48は、「09012345678へのTEL発信」と「08022223333」との組をアソシエーションルールとして抽出し、ルールDB46に登録する。
【0070】
図12に戻って、予測部44aは、ルールDB46に記憶されたアソシエーションルールを参照して、現時点での時間幅にあるアイテムIDを条件部としたアソシエーションルールを抽出し、抽出したアソシエーションルールの帰結部を携帯端末1に提示する。例えば、予測部44aは、現在時刻が図13のバスケットNo3の時間幅に含まれていた場合に、コミュニケーションツールが起動されると、バスケットNo3に含まれるアイテムID5、1、2とアソシエーションルールを持つアイテムIDをバスケットDB45から読み出す。すなわち、予測部44aは、「09012345678へのTEL発信」と、「08022223333からのTEL着信」と、「中村たろうが参加する会議予約」とをアイテムIDの降順に並び替えた連絡先を携帯端末1に提示する。なお、ここでは、それぞれの信頼度が0.66で同値であるため、アイテムIDの降順に並び替えた連絡先を携帯端末1に提示するが、信頼度が異なる場合は、信頼度の高い順に並び替えた連絡先を携帯端末1に提示する。」

8 甲8に記載されている事項
甲8には、次の事項が記載されている。
「【0051】
図13には、図12(b)のデータ例に対してアソシエーション分析を行った結果を例示してある。なお、図13において、支持度は、アイテム集合X(或る機械内部発生コードの集合)とアイテム集合Y(別の機械内部発生コードの集合)を含むトランザクションが全体の中に占める割合を表しており、確信度は、アイテム集合Xとアイテム集合Yを含むトランザクションの数σ(X∪Y)を、アイテム集合Xを含むトランザクションの数σ(X)で割った値を表している。
換言すれば、支持度は、全ての保守作業の事例数に対する、事象コードXと事象コードYが発生した保守作業の事例数の割合(事象コードXと事象コードYが発生した事例が全ての事例に占める割合)を表す。また、確信度は、事象コードXが発生した保守作業の事例数に対する、事象コードXと事象コードYが発生した保守作業の事例数の割合(事象コードXが発生したときに事象コードYが発生した事例の割合)を表す。
図13の例によれば、確信度が0.5以上の組み合わせの中で、分類A−1(現象コード=“75100”(FEED部JAM)、部品コード=“74870B22”の保守情報)では、機械内部発生コード=“75−100”の支持度が高く、また、相関ルールでは、機械内部発生コード=“75−100”と“07−135”の支持度が高くなっている。
【0052】
本例の関連性分析部77では、アソシエーション分析により求められる相関ルールの確信度及び支持度が閾値(本例では、0.5)以上となる2つの機械内部発生コード(事象コード)の組み合わせを抽出するようにしており、図13の例によれば、“75−100”と“07−135”の組み合わせ、及び、“75−100”と“42−106”の組み合わせが抽出される。すなわち、確信度及び支持度が高い組み合わせを特定して抽出する。また、本例では、“()”と“75−100”の組み合わせ(すなわち、“75−100”単独)も抽出している。なお、3以上の事象コードの組み合わせ毎に確信度及び支持度を算出する構成にすれば、関連性を有する3以上の事象コードの組み合わせを抽出することもできる。なお、確信度の閾値と支持度の閾値は、本例では同じ値を用いているが、異なる値を用いてもよい。」

9 甲9について
甲9は、2頁の「投稿日:2021.01.29 更新日:公知日2021.05.16」との記載から、本件特許権の特許出願日前に公知になったものとは認められず、証拠として採用することができない。


第5 当審の判断

1 理由1について
(1)理由1−1について
ア 本願発明1は、「電子ゲームで過去に使用されたデッキに含まれるゲーム媒体の組み合わせに関するデータを用いた機械学習処理又は分析処理に基づいて前記メインゲーム媒体が選択された場合に前記メインゲーム媒体と組み合わせて使用されるゲーム媒体をデッキに含める候補として選択するゲーム媒体選択手段」との記載から、「ゲーム媒体選択手段」が、「電子ゲームで過去に使用されたデッキに含まれるゲーム媒体の組み合わせに関するデータ」「を用いた」「機械学習処理」又は「分析処理」に基づいて「前記メインゲーム媒体が選択された場合」に「前記メインゲーム媒体と組み合わせて使用されるゲーム媒体をデッキに含める候補として選択する」機能を有することを特定するものである。

イ そして、本件特許明細書には、次の事項が記載されている。なお、下線は、当審が付与した。
「【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ゲーム媒体を組み合わせてプレイされる電子ゲームにおいて適切なゲーム媒体の組み合わせを自動的に行うことが望まれている。例えば、電子ゲームのプレイヤに対して自動的に組み合わされたゲーム媒体を提案することによって、電子ゲームをより容易に楽しむことができるようにすることが望まれている。また、例えば、プレイヤとコンピュータとの対戦やコンピュータ同士の対戦を実現するためにコンピュータが使用するゲーム媒体の組み合わせを自動的に決定できることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の1つの態様は、電子ゲームで使用されるゲーム媒体を自動的に組み合わせてデッキとして提案するゲーム媒体自動組合せ装置であって、電子ゲームのプレイヤが所有するゲーム媒体のうち1つを軸となるメインゲーム媒体として決定するメインゲーム媒体決定手段と、電子ゲームで過去に使用されたデッキに含まれるゲーム媒体の組み合わせに関するデータを用いた機械学習処理又は分析処理に基づいて前記メインゲーム媒体が選択された場合に前記メインゲーム媒体と組み合わせて使用されるゲーム媒体をデッキに含める候補として選択するゲーム媒体選択手段と、を備え、前記ゲーム媒体選択手段において選択されたゲーム媒体を組み合わせてデッキとして提案することを特徴とするゲーム媒体自動組合せ装置である。
【0006】
また、本発明の別の態様は、電子ゲームで使用されるゲーム媒体を自動的に組み合わせてデッキとして提案するゲーム媒体自動組合せプログラムであって、コンピュータを、電子ゲームのプレイヤが所有するゲーム媒体のうち1つを軸となるメインゲーム媒体として決定するメインゲーム媒体決定手段と、電子ゲームで過去に使用されたデッキに含まれるゲーム媒体の組み合わせに関するデータを用いた機械学習処理又は分析処理に基づいて前記メインゲーム媒体が選択された場合に前記メインゲーム媒体と組み合わせて使用されるゲーム媒体をデッキに含める候補として選択するゲーム媒体選択手段と、として機能させ、前記ゲーム媒体選択手段において選択されたゲーム媒体を組み合わせてデッキとして提案することを特徴とするゲーム媒体自動組合せプログラムである。
【0007】
また、本発明の別の態様は、電子ゲームで使用されるゲーム媒体を自動的に組み合わせてデッキとして提案するゲーム媒体自動組合せ方法であって、電子ゲームのプレイヤが所有するゲーム媒体のうち1つを軸となるメインゲーム媒体として決定するメインゲーム媒体決定工程と、電子ゲームで過去に使用されたデッキに含まれるゲーム媒体の組み合わせに関するデータを用いた機械学習処理又は分析処理に基づいて前記メインゲーム媒体が選択された場合に前記メインゲーム媒体と組み合わせて使用されるゲーム媒体をデッキに含める候補として選択するゲーム媒体選択工程と、を備え、前記ゲーム媒体選択工程において選択されたゲーム媒体を組み合わせてデッキとして提案することを特徴とするゲーム媒体自動組合せ方法である。」

「【0022】
<ゲーム媒体自動組合せ処理に用いられ情報>
ゲーム媒体自動組合せ装置100に入力されるデータは、ゲーム媒体の出現頻度、ゲーム媒体同士の関係性(支持度、信頼度、リフト)、及びゲーム媒体のリーダとしての出現頻度の情報を含む。
【0023】
これらのデータは、電子ゲームにおいて過去に実際に使用されたデッキの情報から求めることができる。ゲーム媒体自動組合せ装置100は、過去の使用されたデッキに含まれるゲーム媒体の組み合わせの情報を取得し、統計的な処理を行うことによってゲーム媒体の出現頻度、ゲーム媒体同士の関係性(支持度、信頼度、リフト)、及びゲーム媒体のリーダとしての出現頻度を求める。
【0024】
ゲーム媒体の出現頻度は、電子ゲームにおいて各ゲーム媒体が使用される頻度を示すデータである。ゲーム媒体の出現頻度は、ゲーム媒体の種類毎の過去に使用されたゲーム媒体の総数に対する出現数で表される。
【0025】(省略)
【0026】
ゲーム媒体同士の関係性は、複数のゲーム媒体がデッキに含まれる際の関係性を示す情報である。本実施の形態では、ゲーム媒体同士の関係性を示すために過去に使用されたゲーム媒体の組み合わせであるデッキについてアソシエーション分析を適用する。アソシエーション分析によって、電子ゲームのデッキについてゲーム媒体同士の関係性を示す支持度、信頼度(確信度)及びリフトの情報を得ることができる。

「【0041】
ステップS16では、組み合わせるゲーム媒体の設定が行われる。当該ステップにおける処理によって、ゲーム媒体自動組合せ装置100はゲーム媒体選択手段として機能する。当該ステップは、図7に示すフローチャートに沿って、ステップS30〜S36において処理される。
【0042】
ステップS30では、所定の選択ルールに従ってメインゲーム媒体に対して相性の良いゲーム媒体が組み合わせの候補となるゲーム媒体候補として選択される。当該ステップにおける処理によって、ゲーム媒体自動組合せ装置100はゲーム媒体候補選択手段として機能する。
【0043】
本実施の形態では、電子ゲームで過去に使用されたデッキに含まれるゲーム媒体の組み合わせに関するデータに基づいてメインゲーム媒体が選択された場合に当該メインゲーム媒体と組み合わせて使用されるゲーム媒体をデッキに含める候補として選択する。以下の処理では、ユーザが所有するゲーム媒体のうちメインゲーム媒体及び既にデッキに含めるゲーム媒体として選択されたゲーム媒体を除いたゲーム媒体から次のゲーム媒体候補を選択するものとする。
【0044】
具体的には、電子ゲームにおいて過去に使用されたデッキに対するアソシエーション分析に基づいてゲーム媒体候補を求める。上記のように電子ゲームで過去に使用されたデッキに含まれるゲーム媒体の組み合わせに関するデータを用いたアソシエーション分析にて求めた信頼度に基づいてゲーム媒体候補を決定することが好適である。関係性データベースを参照して、メインゲーム媒体を条件部とし、ユーザが所有するゲーム媒体のうちメインゲーム媒体以外のゲーム媒体を結論部とした場合の信頼度に基づいて、当該信頼度が高い順にメインゲーム媒体に組み合わせるゲーム媒体候補を選択することが好適である。
【0045】
このとき、支持度、信頼度及びリフトに基準値を設け、メインゲーム媒体に対してこれらの値のいずれか1つが基準値に対して所定の条件を満たすゲーム媒体からゲーム媒体候補を選択することがより好適である。例えば、関係性データベースを参照して、メインゲーム媒体を条件部とし、ユーザが所有するゲーム媒体のうちメインゲーム媒体以外のゲーム媒体を結論部とした場合の支持度に基づいて、当該支持度が第1基準値以上であるゲーム媒体からゲーム媒体候補を選択することが好適である。第1基準値は、例えば、0.01に設定するとよい。また、例えば、関係性データベースを参照して、メインゲーム媒体を条件部とし、ユーザが所有するゲーム媒体のうちメインゲーム媒体以外のゲーム媒体を結論部とした場合の信頼度に基づいて、当該信頼度が第2基準値以上であるゲーム媒体からゲーム媒体候補を選択することが好適である。第2基準値は、例えば、0.01に設定することが好適である。また、例えば、関係性データベースを参照して、メインゲーム媒体を条件部とし、ユーザが所有するゲーム媒体のうちメインゲーム媒体以外のゲーム媒体を結論部とした場合のリフトに基づいて、当該リフトの値が第3基準値以上であるゲーム媒体からゲーム媒体候補を選択することが好適である。第3基準値は、例えば、0.09に設定することが好適である。
【0046】
これらの支持度、信頼度及びリフトに対する条件は、それぞれ単独で適用してもよいし、2つ以上の条件を組み合わせて適用してもよい。例えば、メインゲーム媒体に対する支持度が第1基準値以上であり、信頼度が第2基準値以上であり、リフトの値が第3基準値以上であるゲーム媒体から信頼度が高い順にメインゲーム媒体に組み合わせるゲーム媒体候補を選択することが好適である。」

ウ 本件特許明細書には、上記【0005】〜【0007】のとおり「課題を解決するための手段」が記載されているところ、上記イ記載のとおり、ゲーム媒体を組み合わせてプレイされる電子ゲームにおいて適切なゲーム媒体の組み合わせを自動的に行うことを解決すべき課題としており、電子ゲームにおいて過去に実際に使用されたデッキの情報を用いて、ゲーム媒体をデッキに含める候補として選択することで、上記課題を解決するための手段が記載されており、アソシエーション分析は、電子ゲームにおいて過去に実際に使用されたデッキの情報の分析処理の好適な例として本件特許明細書に記載されるものである。
そして、本願発明1は、電子ゲームにおいて過去に実際に使用されたデッキの情報である「電子ゲームで過去に使用されたデッキに含まれるゲーム媒体の組み合わせに関するデータ」「を用いた」「分析処理に基づいて前記メインゲーム媒体が選択された場合に前記メインゲーム媒体と組み合わせて使用されるゲーム媒体をデッキに含める候補として選択する」ものであるから、上記課題を解決するための手段を含んでおり、発明の詳細な説明に記載された内容を拡張ないし一般化するものではないことも明らかである。

エ また、「機械学習」について、本件特許明細書には、次の事項が記載されている。
「【0051】
また、アソシエーション分析に代えて、機械学習を用いてゲーム媒体候補を選択するようにしてもよい。この場合、過去にデッキとして組み合わせて使用されたゲーム媒体の情報を入力として、どのような組み合わせの頻度がより高いかを機械学習させる。そして、その結果得られたモデルを用いてメインゲーム媒体に対してゲーム媒体候補を選択するようにしてもよい。」
このように、本件特許明細書には、機械学習の場合、「過去にデッキとして組み合わせて使用されたゲーム媒体の情報」を入力データとして用いることで、「どのような組み合わせの頻度がより高いか」との出力結果が得られる、いわゆる学習済みモデルを生成することが記載されている。そして、この学習済みモデルに基づくことで、メインゲーム媒体に対してゲーム媒体候補を選択することができるものである。このため、本件特許明細書における「機械学習」は、「教師あり学習」であることは当業者にとって明らかな事項である。
そして、本願発明1は、「電子ゲームで過去に使用されたデッキに含まれるゲーム媒体の組み合わせに関するデータを用いた機械学習」「に基づいて前記メインゲーム媒体が選択された場合に前記メインゲーム媒体と組み合わせて使用されるゲーム媒体をデッキに含める候補として選択する」ものであるから、課題を解決する手段を含んでおり、発明の詳細な説明に記載された内容を拡張ないし一般化するものではないことも明らかである。
本願発明1とカテゴリー表現のみ異なる本願発明10、11も、同様の理由で、課題を解決する手段を含んでおり、発明の詳細な説明に記載された内容を拡張ないし一般化するものではないことも明らかである。

(2)理由1−2について
本願発明2は、本願発明1を引用する発明である。そして、上記(1)のとおり、本願発明1は、課題を解決する手段を含んでおり、発明の詳細な説明に記載された内容を拡張ないし一般化するものではないことも明らかであるから、そのような本願発明1を減縮する本願発明2も、課題を解決する手段を含んでおり、発明の詳細な説明に記載された内容を拡張ないし一般化するものではないことも明らかである。

(3)小括
以上のとおりであるから、本願発明1、2、10、11は、発明の詳細な説明に記載されたものであるから、特許法36条6項1号に規定された要件を満たす特許出願に対してなされたものである。

2 理由2について
(1)理由2−1について
本願発明1は、「軸となるメインゲーム媒体」と記載していることから、「軸」と「メインゲーム媒体」をそれぞれ独立して定義付ける必要ない。そして、本願発明1は、「前記メインゲーム媒体が選択された場合に前記メインゲーム媒体と組み合わせて使用されるゲーム媒体をデッキに含める候補として選択する」とあることから、メインゲーム媒体は、デッキに必ず含まれるカード媒体であり、そのようなゲーム媒体を「軸となる」と表現しているにすぎず、申立人が主張する「軸」の意味の範囲内であることも明らかであるから、本願発明1の「電子ゲームのプレイヤが所有するゲーム媒体のうち1つを軸となるメインゲーム媒体として決定するメインゲーム媒体決定手段」は明確である。
本願発明1とカテゴリー表現のみ異なる本願発明10、11も、同様の理由で、明確である。

(2)理由2−2について
本願発明2は、「前記ゲーム媒体選択手段は、電子ゲームで過去に使用されたデッキに含まれるゲーム媒体の組み合わせに関するデータを用いたアソシエーション分析にて(前記メインゲーム媒体と前記メインゲーム媒体以外の対象ゲーム媒体とを共に含むデッキの数)/(前記メインゲーム媒体を含むデッキの数)で表される前記対象ゲーム媒体に対する信頼度」に基づいて、「前記信頼度が高い順に前記メインゲーム媒体に組み合わせるゲーム媒体を選択する」とするもので、その技術的範囲は明確であり、複数の指標を多角的に評価することを必要とするものではないことは、当業者に明らかな事項である。
また、「デッキの数」について、本願発明2は、「(前記メインゲーム媒体と前記メインゲーム媒体以外の対象ゲーム媒体とを共に含むデッキの数)/(前記メインゲーム媒体を含むデッキの数)」とするものであるから、単なる「デッキの数」として解釈するのではなく、「前記メインゲーム媒体と前記メインゲーム媒体以外の対象ゲーム媒体とを共に含むデッキの数」、「前記メインゲーム媒体を含むデッキの数」としてその意味を解釈すべきである。
念のため、本件特許明細書を参照すると、「信頼度(Confidence)は、確信度とも呼ばれ、ある種類のゲーム媒体が出現する割合の中で当該種類のゲーム媒体と他の種類のゲーム媒体との組み合わせが出現する割合を示す。例えば、種類Aのゲーム媒体がデッキに含まれている割合の中で、種類Aのゲーム媒体と他の種類Bのゲーム媒体とを共に含むデッキが出現する割合である。条件部(A)及び結論部(B)に対する信頼度は数式(2)で表される。」(【0028】)とあり、「種類Aのゲーム媒体がデッキに含まれている割合」は、種類Aのゲーム媒体を含むデッキの数÷総デッキの数であることは明らかであり、「種類Aのゲーム媒体と他の種類Bのゲーム媒体とを共に含むデッキが出現する割合」は、種類Aのゲーム媒体と他の種類Bのゲーム媒体とを共に含むデッキの数÷総デッキの数であることも明らかである。このように、種類Aのゲーム媒体と他の種類Bのゲーム媒体とを共に含むデッキの数、及び、種類Aのゲーム媒体を含むデッキの数は、具体的な集計処理を記載するまでもなく、その技術的意味は明確である。
よって、本願発明2の、上記2つの「デッキの数」の意味は明確である。
以上のとおりであるから、本願発明2は、明確である。

(3)理由2−3について
明確性の要件は、発明が明確であるか否かであるから、コンピュータプログラムの発明の、指令の具体的な内容や、具体的なプログラム処理が記載されないことのみをもって、ただちに明確要件違反になるものではない。
そして、本願発明10は、コンピュータを「電子ゲームで過去に使用されたデッキに含まれるゲーム媒体の組み合わせに関するデータを用いた機械学習処理又は分析処理に基づいて前記メインゲーム媒体が選択された場合に前記メインゲーム媒体と組み合わせて使用されるゲーム媒体をデッキに含める候補として選択するゲーム媒体選択手段」として機能させるプログラムであることが特定されており、明確である。
本願発明10とカテゴリー表現のみ異なる本願発明11も、同様の理由で、明確である。

(4)小括
以上のとおりであるから、本願発明1、2、10、11は明確であるから、特許法36条6項2号に規定された要件を満たす特許出願に対してなされたものである。

3 理由3について
(1)理由3−1について
本願発明1、10、11に対応する本件特許明細書の記載について、上記理由1−1のとおり、ゲーム媒体を組み合わせてプレイされる電子ゲームにおいて適切なゲーム媒体の組み合わせを自動的に行うことを解決すべき課題とし、電子ゲームにおいて過去に実際に使用されたデッキの情報を用いて、ゲーム媒体をデッキに含める候補として選択することで、上記課題を解決することが記載されており、アソシエーション分析は、電子ゲームにおいて過去に実際に使用されたデッキの情報の分析処理の好適な例として本件特許明細書に記載されるものであり、他の例として「機械学習」も記載されている。
このように、本件特許明細書には、電子ゲームにおいて過去に実際に使用されたデッキの情報に基づき、アソシエーション分析によって、ゲーム媒体を組み合わせてプレイされる電子ゲームにおいて適切なゲーム媒体の組み合わせを自動的に行う複数の例が記載されており、ゲーム媒体を組み合わせてプレイされる電子ゲームにおいて適切なゲーム媒体の組み合わせを自動的に行う他の分析処理が考えられるとしても、本件特許明細書には、電子ゲームにおいて過去に実際に使用されたデッキの情報の具体的な例が示されていることから、分析処理の内容は、情報の内容に応じて自由に決定できる程度のものであることから、アソシエーション分析が、分析処理の一部の下位概念として区別することに意味はない。
また、上記理由1−1のとおり、本願発明1、10、11の「機械学習」の技術的意味も明確であり、本件特許明細書【0051】の記載に接した当業者であれば、発明を実施することができることも明らかである。
よって、本件特許明細書の発明の詳細な説明は、本願発明1、10、11について、当業者が実施することができる程度に明確かつ十分に記載したものである。

(2)理由3−2について
上記理由2−2のとおり、本件特許明細書【0028】を参照すれば、具体的な集計処理の記載がなくとも、当業者であれば、「前記メインゲーム媒体と前記メインゲーム媒体以外の対象ゲーム媒体とを共に含むデッキの数」、「前記メインゲーム媒体を含むデッキの数」の技術的意味を理解することができ、実施することができることも明らかである。
よって、本件特許明細書の発明の詳細な説明は、本願発明2について、当業者が実施することができる程度に明確かつ十分に記載したものである。

(3)小括
以上のとおりであるから、発明の詳細な説明の記載は、当業者が、本願発明1、2、10、11を実施することができる程度に明確かつ十分に記載したものであるから、特許法36条4項1号に規定された要件を満たす特許出願に対してなされたものである。

4 理由4について
(1)理由4−1について
ア 上記理由1−1のとおり、本件特許明細書には、ゲーム媒体を組み合わせてプレイされる電子ゲームにおいて適切なゲーム媒体の組み合わせを自動的に行うことを解決すべき課題とすることが記載されており、当該課題を解決するために、本願発明10のとおり「電子ゲームで使用されるゲーム媒体を自動的に組み合わせてデッキとして提案するゲーム媒体自動組合せプログラム」が、「コンピュータ」という技術的手段を「電子ゲームのプレイヤが所有するゲーム媒体のうち1つを軸となるメインゲーム媒体として決定するメインゲーム媒体決定手段と、/ 電子ゲームで過去に使用されたデッキに含まれるゲーム媒体の組み合わせに関するデータを用いた機械学習処理又は分析処理に基づいて前記メインゲーム媒体が選択された場合に前記メインゲーム媒体と組み合わせて使用されるゲーム媒体をデッキに含める候補として選択するゲーム媒体選択手段」(スラッシュ“/”は改行。)として機能させるものである。そしてこれにより、ゲーム媒体を組み合わせてプレイされる電子ゲームにおいて適切なゲーム媒体の組み合わせを自動的に行うことができるという効果を奏するものである。
よって、本願発明10は、前提とする技術的課題、その課題を解決するための技術的手段の構成及びその構成から導かれる効果等の技術的意義に照らし、全体として考察した結果、「自然法則を利用した技術的思想の創作」に該当するといえる。

イ 本願発明10が「ゲーム媒体自動組合せプログラム」であるから、コンピュータソフトウエア関連発明であると観点から検討をする。
「特許・実用新案審査ハンドブック」「附属書B 「特許・実用新案審査基準」の特定技術分野への適用例」「第1章 コンピュータソフトウエア関連発明」における、コンピュータソフトウエア関連発明の「発明該当性」の判断は、「2.1.1.2 ソフトウエアの観点に基づく考え方」に示される、「ソフトウエアとハードウエア資源とが協働することによって、使用目的に応じた特有の情報処理装置又はその動作方法が構築されるか否かにより、「自然法則を利用した技術的思想の創作」の要件を判断する。」とあり、具体的には、「請求項に係る発明が、ソフトウエアとハードウエア資源とが協働した具体的手段又は具体的手順によって、使用目的に応じた特有の情報の演算又は加工が実現されているものであるか否かを、判断すればよい。」とあり、このように行えばよい。
そうすると、上述したように、本願発明10は、「プログラム」というソフトウエアと、「コンピュータ」というハードウエア資源とが協働することによって、「適切なゲーム媒体の組み合わせ」を「自動的に行う」という使用目的に応じた特有の情報処理装置又はその動作方法が構築されていることは明らかである。
なお、申立人が引用する「特許・実用新案審査ハンドブック」「附属書B 「特許・実用新案審査基準」の特定技術分野への適用例」「第1章 コンピュータソフトウエア関連発明」の「2.1.1.1(1)」は、「ソフトウエア関連発明であっても、以下の(i)又は(ii)のように、全体として自然法則を利用しており、「自然法則を利用した技術的思想の創作」と認められるものは、ソフトウエアという観点から検討されるまでもなく、「発明」に該当する。」とするものであるから、これに該当しないことを理由として、本願発明10が発明に該当しないとする主張は失当である。
よって、本願発明10は、「発明」に該当する。

(2)理由4−2について
本願発明11は、プログラムの発明である本願発明10とカテゴリー表現のみ異なる「方法」の発明であるから、上記理由4−1と同様に、本願発明11は、「発明」に該当する。
なお、「特許法上でいうプログラムにより実現する内容を特定できない。」ことは、発明該当性の要件ではない。

(3)小括
よって、本願発明10、11は、特許法29条1項柱書に規定する要件を満たす特許出願に対してなされたものである。

5 理由5について
(1)理由5−1(本願発明1)について
ア 本願発明1と引用発明との対比
(ア)引用発明の「戦略トレーディングカードゲーム「Magic: the Gathering」」、「トレーディングカード」、「デッキ」は、それぞれ、本願発明1の「電子ゲーム」、「電子ゲームで使用されるゲーム媒体」、「デッキ」に相当する。そして、引用発明の「戦略トレーディングカードゲーム「Magic: the Gathering」で使用されるトレーディングカードを自動的に組み上げられたデッキを提案する」ことは、本願発明1の「電子ゲームで使用されるゲーム媒体を自動的に組み合わせてデッキとして提案する」ことに相当する。さらに、引用発明の「サーバコンピュータ」は、オンライン上でのカードゲームにおいて、自動的に組み上げたデッキを提案するものであるから、後述する相違点は別にして、本願発明1の「電子ゲームで使用されるゲーム媒体を自動的に組み合わせてデッキとして提案するゲーム媒体自動組合せ装置」に相当する。

(イ)引用発明の「あなた」は、トレーディングカードを所有しており、戦略トレーディングカードゲーム「Magic: the Gathering」をプレイする者であるから、本願発明1「電子ゲームのプレイヤ」に相当する。また、引用発明の「「あなた」が所有するトレーディングカードのうち、1枚でも使いたいカードを選ぶ」ことで選ばれたカードは、デッキに必ず含まれることから、本願発明1の「電子ゲームのプレイヤが所有するゲーム媒体のうち1つを軸となるメインゲーム媒体」に相当し、引用発明の、当該「あなた」がカードを選ぶことは、「人」である「あなた」がカードを「選ぶ」点で、「装置」がカードを「決定」するものではないものの、本願発明1の「電子ゲームのプレイヤが所有するゲーム媒体のうち1つを軸となるメインゲーム媒体として決定する」ことと、「電子ゲームのプレイヤが所有するゲーム媒体のうち1つを軸となるメインゲーム媒体として特定する」との点で共通する。

(ウ)引用発明の「そのカードと相性の良いカード」は、本願発明1の「前記メインゲーム媒体と組み合わせて使用されるゲーム媒体」に相当する。そして、引用発明の「「あなた」が所有するトレーディングカードのうち、1枚でも使いたいカードを選ぶと、自動的に、そのカードと相性の良いカードを組み上げられたデッキを提案する「オートコンプリート」機能」は、デッキを提案するために、そのカードと相性の良いカードを選択していると認められる点で、本願発明1の「前記メインゲーム媒体が選択された場合に前記メインゲーム媒体と組み合わせて使用されるゲーム媒体をデッキに含める候補として選択する」ことに相当する。そして、引用発明の「オートコンプリート」を実現する手段は、本願発明1の「前記メインゲーム媒体が選択された場合に前記メインゲーム媒体と組み合わせて使用されるゲーム媒体をデッキに含める候補として選択するゲーム媒体選択手段」に相当する。

(エ)引用発明の「そのカードと相性の良いカードを組み上げられたデッキを提案する」ことは、本願発明1の「前記ゲーム媒体選択手段において選択されたゲーム媒体を組み合わせてデッキとして提案すること」に相当する。

(オ)以上より、本願発明1と引用発明とは、次の点で、一致又は相違する。
<一致点>
電子ゲームで使用されるゲーム媒体を自動的に組み合わせてデッキとして提案するゲーム媒体自動組合せ装置であって、
電子ゲームのプレイヤが所有するゲーム媒体のうち1つを軸となるメインゲーム媒体として特定し、
前記メインゲーム媒体が選択された場合に前記メインゲーム媒体と組み合わせて使用されるゲーム媒体をデッキに含める候補として選択するゲーム媒体選択手段と、
を備え、
前記ゲーム媒体選択手段において選択されたゲーム媒体を組み合わせてデッキとして提案するゲーム媒体自動組合せ装置。

<相違点>
(相違点1)
電子ゲームのプレイヤが所有するゲーム媒体のうち1つを軸となるメインゲーム媒体として特定することが、本願発明1は、「電子ゲームのプレイヤが所有するゲーム媒体のうち1つを軸となるメインゲーム媒体として決定する」ことであって「メインゲーム媒体決定手段」の機能であるのに対し、引用発明は、「あなた」がカードを選ぶことである点。

(相違点2)
本願発明1は、「電子ゲームで過去に使用されたデッキに含まれるゲーム媒体の組み合わせに関するデータを用いた機械学習処理又は分析処理に基づいて」前記メインゲーム媒体が選択された場合に前記メインゲーム媒体と組み合わせて使用されるゲーム媒体をデッキに含める候補として選択する構成であるのに対し、引用発明は、そのカードと相性の良いカードを組み上げられたデッキを提案するための候補の選択を、「電子ゲームで過去に使用されたデッキに含まれるゲーム媒体の組み合わせに関するデータを用いた機械学習処理又は分析処理に基づいて」行っていることが特定されていない点

相違点の判断
(ア)相違点1について
引用発明において、「あなた」が、オートコンプリート機能を利用して自動的にデッキを提案してもらうために、トレーディングカードを選ぶことは、「あなた」が使用している端末装置にその情報を入力することを意味する。そして、このようにして入力された情報は、デッキに必ず含まれるようにサーバに登録されることは明らかであるから、引用発明も、「電子ゲームのプレイヤが所有するゲーム媒体のうち1つを軸となるメインゲーム媒体として決定するメインゲーム媒体決定手段」を有しているといえる。よって、当該相違点1は、表現上の差異にすぎない。

(イ)相違点2について
甲2及び甲3には、「アソシエーション分析」を行った結果のテーブルが記載されている。しかしながら、このような結果を得るための分析に用いたデータがどのようなデータであるか記載されておらず、示唆もされていない。特に、甲2には、「もちろん、進化の末に最適なパーティ編成を獲得するということも、アソシエーション分析(※組み合わせを分析する方法の一種)の結果、分かったという。」とあり「進化の末に「最適な」パーティ編成を獲得する」とは、甲2で最適化処理である遺伝的アルゴリズムで得られた結果を意味することは明らかであり、アソシエーション分析は、その検証に用いられたものと認められる。しかしながら、そのような背景を考慮しても、検証のために、アソシエーション分析で使用されたデータが、「電子ゲームで過去に使用されたデッキに含まれるゲーム媒体の組み合わせに関するデータ」を用いていることまでは特定できない。なお、甲3は、公知日を特定することはできないものの、甲2を考慮して、一応、本件特許出願日前に公知であると仮定をして判断を行った。
また、甲4〜甲8にも、「電子ゲームで過去に使用されたデッキに含まれるゲーム媒体の組み合わせに関するデータを用いた機械学習処理又は分析処理に基」づく処理は、記載されておらず、示唆もされていない。なお、甲9は、一般的なアソシエーション分析を説明するものであって、上記相違点2の構成は記載も示唆もされていない。
さらに、引用発明の「オートコンプリート」機能は、何らかの処理を行うことで、自動的に、そのカードと相性の良いカードを組み上げられたデッキを提案するものであることは明らかであるが、具体的な処理を示唆するものではないことから、引用発明に、「電子ゲームで過去に使用されたデッキに含まれるゲーム媒体の組み合わせに関するデータ」を用いて「機械学習又は分析処理」に基づき、デッキを提案する構成にしようとする動機もない。
そして、上記相違点2の構成とすることで、電子ゲームのプレイヤに対して、ゲーム媒体の出現頻度が考慮され、自動的に組み合わされたゲーム媒体を提案することができる(本件特許明細書【0004】、【0024】、【0051】参照)という、効果を奏するものである。

(ウ)理由5−1のまとめ
よって、本願発明1は、引用発明及び甲2〜甲8に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(2)理由5−2(本願発明2)について
本願発明2は、本願発明1を引用する発明であるから、本願発明1の「電子ゲームで過去に使用されたデッキに含まれるゲーム媒体の組み合わせに関するデータを用いた機械学習処理又は分析処理に基づいて」前記メインゲーム媒体が選択された場合に前記メインゲーム媒体と組み合わせて使用されるゲーム媒体をデッキに含める候補として選択することと同一の構成を備えるものである。
よって、本願発明1と同じ理由により、引用発明及び甲2証〜甲8に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。なお、

(3)理由5−3(本願発明10)、理由5−4(本願発明11)について
本願発明10及び11は、本願発明1に対応する、それぞれ、「ゲーム媒体自動組合せプログラム」、「ゲーム媒体自動組合せ方法」の発明であって、本願発明1の「電子ゲームで過去に使用されたデッキに含まれるゲーム媒体の組み合わせに関するデータを用いた機械学習処理又は分析処理に基づいて」前記メインゲーム媒体が選択された場合に前記メインゲーム媒体と組み合わせて使用されるゲーム媒体をデッキに含める候補として選択することに対応する構成を備えるものであるから、本願発明1と同様の理由により、引用発明及び甲2〜甲8に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(4)小括
本願発明1、2、10、11は、甲1〜甲8に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、本件特許出願前に当業者が容易に発明をすることができたとすることはできないから、特許法29条2項の規定に違反してされたものではない。なお、甲9を考慮したとしても、上記判断に影響を与えるものではない。

第6 むすび

請求項1、2、10、11に係る特許は、特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては取り消すことはできない。
また、他に請求項1、2、10、11に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。

 
異議決定日 2022-04-27 
出願番号 P2019-015495
審決分類 P 1 652・ 121- Y (A63F)
P 1 652・ 1- Y (A63F)
P 1 652・ 536- Y (A63F)
P 1 652・ 537- Y (A63F)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 藤本 義仁
特許庁審判官 吉村 尚
松田 直也
登録日 2021-08-17 
登録番号 6931368
権利者 株式会社 ディー・エヌ・エー
発明の名称 電子ゲームにおけるゲーム媒体自動組合せ装置、ゲーム媒体自動組合せプログラム及びゲーム媒体自動組合せ方法  
代理人 特許業務法人YKI国際特許事務所  
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