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審決分類 |
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H04W 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H04W |
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管理番号 | 1385500 |
総通号数 | 7 |
発行国 | JP |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2022-07-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2020-05-07 |
確定日 | 2022-06-14 |
事件の表示 | 特願2018−540843「UL/DL伝送リソースの割り当て方法及び装置」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 8月10日国際公開、WO2017/133444、平成31年 2月28日国内公表、特表2019−506085〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、2017年(平成29年)1月17日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2016年2月3日 中国、2016年12月30日 中国)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。 平成30年 8月 3日 手続補正書の提出 令和 元年 6月28日付け 拒絶理由通知書 令和 元年10月 8日 意見書の提出 令和 元年12月25日付け 拒絶査定 令和 2年 5月 7日 拒絶査定不服審判の請求、手続補正書の提 出 令和 2年 6月25日 上申書の提出 令和 2年10月29日付け 拒絶理由通知書(当審) 令和 3年 2月 2日 意見書、手続補正書の提出 令和 3年 3月18日付け 拒絶理由通知書(当審) 令和 3年 7月13日 意見書、手続補正書の提出 第2 本願発明について 本願の請求項1ないし16に係る発明は、令和3年7月13日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし16に記載された事項により特定されるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、以下のとおりのものと認める。 「 第1チャネル送信周期に基づき、前記第1チャネル送信周期内の所定時間・周波数リソースにおいて、第1チャネルを伝送し、前記第1チャネルは、前記第1チャネルの有効な時間帯におけるアップリンク伝送リソース及びダウンリンク伝送リソースの割り当て情報を通知するのに用いられ、 前記第1チャネルは、少なくとも、前記第1チャネルの有効な時間帯内の各々第1時間ユニットにおけるアップリンク伝送リソース及びダウンリンク伝送リソースの割り当て情報の通知に用いられ、ここで、前記第1時間ユニットの長さは、1個のサブフレーム、または、B2個のシンボル、または、1個のスロット、または、1個のマイクロスロットに事前に定義され、B2は1以上14以下の整数であることを特徴とするUL/DL伝送リソースの割り当て方法。」 第3 拒絶の理由 令和3年3月18日付けで当審が通知した拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」という。)の概要は、 「1.(新規性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。 2.(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。」という理由を含むものであり、令和3年2月2日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1及び請求項5に対して国際公開第2014/006994号(以下、引用例2という。)が引用されている。そして、令和3年7月13日にされた手続補正により、請求項1は、令和3年2月2日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の一部に、請求項5の発明特定事項の一部を追加し数値範囲を減縮したものとなっている。 第4 引用発明について 当審拒絶理由で引用された国際公開第2014/006994号(引用例2)には、次の記載がある。(下線は当審が付与。) 1.「[0002] 近年、LTE(Long Term Evolution)方式と呼ばれる高速なセルラ無線通信方式が実用化されている。LTE方式は、複信方式の違いに基づいて、FD−LTE方式及びTD−LTE方式に分類される。FD−LTE方式は複信方式として周波数分割複信(FDD;Frequency Division Duplex)を採用し、アップリンク及びダウンリンクが互いに異なる周波数帯上で運用される。TD−LTE方式は複信方式として時分割複信(TDD;Time Division Duplex)を採用し、アップリンク及びダウンリンクが同じ周波数帯上で運用される。FD−LTE方式及びTD−LTE方式の双方とも、それぞれ1msecの時間長を有する10個のサブフレームから(10msecの時間長を有する)1つの無線フレームが構成されるというフレームフォーマットを用いる。FD−LTE方式では、同じ周波数帯においてリンク方向が時間的に変化しないのに対し、TD−LTE方式では、サブフレーム単位でリンク方向が変化し得る。 [0003] TD−LTE方式において、各無線フレームについてのサブフレーム単位のリンク方向のセット(即ち、10個のサブフレームのリンク方向の組合せ)を、リンク方向コンフィギュレーション(あるいはUL−DLコンフィギュレーション)という。下記非特許文献1によれば、Configuration0からConfiguration6までの7種類のリンク方向コンフィギュレーションが定義されている。無線基地局(LTE方式におけるeNB)は、各無線フレームに設定されるリンク方向コンフィギュレーションを、SIB1(System Information Block Type 1)の中でブロードキャストすることにより、端末装置(LTE方式におけるUE)へシグナリングする。現在の標準仕様では、SIB1を用いて行われるリンク方向コンフィギュレーションの更新の周期は、640msecである。下記非特許文献2は、この周期を320msecに短縮することを提案している。」 2.「[0016] <1.概要> [1−1.リンク方向コンフィギュレーションの設定] 図1は、TD−LTEにおけるリンク方向コンフィギュレーションの一例について説明するための説明図である。図1を参照すると、LTE方式において採用される無線フレームのフレームフォーマットが示されている。1つの無線フレーム(radio frame)は、10個のサブフレーム(#0〜#9)を含む。各サブフレームの時間長は1msecでり、1つの無線フレームの時間長は10msecである。リンク方向は、サブフレーム単位で設定される。図1の例において、「D」とラベリングされたサブフレームのリンク方向はダウンリンクであり、当該サブフレームをダウンリンクサブフレームという。「U」とラベリングされたサブフレームのリンク方向はアップリンクであり、当該サブフレームをアップリンクサブフレームという。「S」とラベリングされたサブフレームは、TD−LTEに特有のスペシャルサブフレームである。図1に例示したように、基地局(eNB)から送信されるダウンリンク信号は、遅延dTと共に端末装置(UE)へ到達する。端末装置は、基地局へ到達するアップリンク信号の遅延dTを考慮に入れて、基地局のアップリンクサブフレームのタイミングよりも先行してアップリンク信号を送信する。スペシャルサブフレームは、ダウンリンクサブフレームからアップリンクサブフレームへの切替えのタイミングで挿入され、端末装置でのダウンリンク信号の受信及びアップリンク信号の送信のタイミングが重ならないようにする緩衝期間としての役割を有する。スペシャルサブフレームは、UEによりダウンリンク信号が受信されるダウンリンクパイロットタイムスロットと、ガード期間(Guard Period)と、UEによりアップリンク信号が送信されるアップリンクパイロットタイムスロットとを含む。なお、スペシャルサブフレームにおいても基地局から端末装置へダウンリンクデータは送信され得る。その意味において、スペシャルサブフレームはダウンリンクサブフレームの一種であると見なすこともできる。 [0017] 図2は、上記非特許文献1において定義されている、TD−LTEにおいて設定可能な7種類のリンク方向コンフィギュレーションの一覧を示している。図2から理解されるように、0番目のサブフレーム(#0)及び5番目のサブフレーム(#5)は、いずれのコンフィギュレーションにおいてもダウンリンクサブフレームに設定される。1番目のサブフレーム(#1)は、いずれのコンフィギュレーションにおいてもスペシャルサブフレームに設定される。2番目のサブフレーム(#2)は、いずれのコンフィギュレーションにおいてもアップリンクサブフレームに設定される。残りのサブフレームの設定は、コンフィギュレーションごとに異なる。」 3.「[0025] 図4の下段には、ダイナミックTDD端末が周期C2(<C1)でダイナミックコンフィギュレーションメッセージを周期的に受信する様子が示されている。ダイナミックコンフィギュレーションメッセージは、その時点でダイナミックTDD端末のために設定されているリンク方向コンフィギュレーションの識別子(図2に例示したコンフィギュレーション番号0〜6のいずれか)を含む。このリンク方向コンフィギュレーションに従って、ダイナミックTDD端末は、自らの無線通信回路のリンク方向をサブフレーム単位で設定する。ダイナミックコンフィギュレーションメッセージのシグナリング周期C2は、10msecの整数倍であってよい。例えば、シグナリング周期C2=40msecであれば、リンク方向コンフィギュレーションとUL−DLトラフィック比との間のミスマッチが継続する期間は、最悪のケースでも40msecである。 [0026] 図4から理解されるように、本開示に係る技術において、基地局は、SIメッセージを用いてレガシー端末へ第1のリンク方向コンフィギュレーションをシグナリングし、ダイナミックコンフィギュレーションメッセージを用いてダイナミックTDD端末へ第2のリンク方向コンフィギュレーションをシグナリングする。本明細書において、周期C1で更新され得る第1のリンク方向コンフィギュレーションを、レガシー用コンフィギュレーションという。また、周期C2で更新され得る第2のリンク方向コンフィギュレーションを、ダイナミックTDD用コンフィギュレーションという。基地局は、これら2つのコンフィギュレーションをシグナリングするものの、実際には、後に説明するようにダイナミックTDD用コンフィギュレーションに従って動作する。」 4.「[0037] 時刻T11において、レガシー端末は、SIメッセージM01を受信し、SIメッセージM01において指定されたConfiguration0を自らの無線通信回路に設定する。ここで設定されたレガシー端末のリンク方向コンフィギュレーションは、次のSIメッセージM02が受信される時刻T14まで維持される。一方、ダイナミックTDD端末は、時刻T11において、ダイナミックコンフィギュレーションメッセージM11を受信し、メッセージM11において指定されたConfiguration0を自らの無線通信回路に設定する。その後、ダイナミックTDD端末は、時刻T12において、ダイナミックコンフィギュレーションメッセージM12を受信し、メッセージM12において指定されたConfiguration1を自らの無線通信回路に設定する。ここで設定されたダイナミックTDD端末のリンク方向コンフィギュレーションは、次のダイナミックコンフィギュレーションメッセージM13が受信される時刻T13まで維持される。Configuration1において、Configuration0の4番目及び9番目のアップリンクサブフレームがダウンリンクサブフレームに置き換えられている。従って、時刻T12から時刻T13までの期間において、4番目及び9番目のサブフレームでのレガシー端末のアップリンク送信は許可されない。時刻T13において、ダイナミックTDD端末は、ダイナミックコンフィギュレーションメッセージM13を受信し、メッセージM13において指定されたConfiguration6を自らの無線通信回路に設定する。ここで設定されたダイナミックTDD端末のリンク方向コンフィギュレーションは、次のダイナミックコンフィギュレーションメッセージが受信される時刻まで維持される。Configuration6において、Configuration0の9番目のアップリンクサブフレームがダウンリンクサブフレームに置き換えられている。従って、ダイナミックTDD用コンフィギュレーションとしてConfiguration6が設定されている期間において、9番目のサブフレームでのレガシー端末のアップリンク送信は許可されない。」 5.「[0047] 図12は、ダイナミックコンフィギュレーションメッセージが送信される制御情報領域の一例について説明するための説明図である。図12を参照すると、各無線フレームの0番目のサブフレーム及び5番目のサブフレームの概略的なフォーマットが示されている。5番目のサブフレームのPDSCHの帯域中央には、SIB1が設けられている。ダイナミックコンフィギュレーションメッセージは、例えば、0番目又は5番目のサブフレームのPDSCHの帯域内に設けられるE−PDCCH(Enhanced-Physical Downlink Control Channel)上で送信されてよい。その代わりに、ダイナミックコンフィギュレーションメッセージは、PDCCH内に新たに定義される制御情報領域上で送信されてもよい。E−PDCCH又はPDCCH内にダイナミックコンフィギュレーションメッセージを送信するための新たな制御情報領域を定義することにより、最短で10msecの周期でリンク方向コンフィギュレーションをシグナリングすることが可能となる。」 6.図1 「 」 7.図2 「 」 上記記載及び当業者における技術常識からみて、 (1)上記「3」の段落26に「基地局は、・・・ダイナミックコンフィギュレーションメッセージを用いてダイナミックTDD端末へ第2のリンク方向コンフィギュレーションをシグナリングする。」と記載されていることから、基地局はダイナミックTDD端末へダイナミックコンフィギュレーションメッセージを用いてリンク方向コンフィギュレーションをシグナリングしている。 また、上記「2」の段落16に「図1を参照すると、LTE方式において採用される無線フレームのフレームフォーマットが示されている。1つの無線フレーム(radio frame)は、10個のサブフレーム(#0〜#9)を含む。各サブフレームの時間長は1msecでり、1つの無線フレームの時間長は10msecである。」と記載されていることから、#0で表される0番目のサブフレームの周期は1つの無線フレームの時間長の10msecの周期であるといえる。そして、上記「5」の段落47に「ダイナミックコンフィギュレーションメッセージは、・・・0番目・・・のサブフレームのPDSCHの帯域内に設けられるE−PDCCH(Enhanced-Physical Downlink Control Channel)上で送信されてよい。・・・E−PDCCH・・・内にダイナミックコンフィギュレーションメッセージを送信するための新たな制御情報領域を定義することにより、最短で10msecの周期でリンク方向コンフィギュレーションをシグナリングすることが可能となる。」と記載されていることから、ダイナミックコンフィギュレーションメッセージが最短では10msecの周期で送信され、ダイナミックコンフィギュレーションメッセージが送信される0番目のサブフレームは10msecの周期内の0番目のサブフレームのPDSCHの帯域内のE−PDCCH(Enhanced-Physical Downlink Control Channel)上で送信されるといえる。したがって、10msecの周期内の0番目のサブフレームのPDSCHの帯域内に設けられるE−PDCCH(Enhanced-Physical Downlink Control Channel)上でダイナミックコンフィギュレーションメッセージが10msecの周期で送信される。 よって、基地局はダイナミックTDD端末へ、10msecの周期内の0番目のサブフレームのPDSCHの帯域内に設けられるE−PDCCH(Enhanced-Physical Downlink Control Channel)上でダイナミックコンフィギュレーションメッセージを10msecの周期で送信する。 (2)上記「4」の段落37に「ダイナミックTDD端末は、時刻T12において、ダイナミックコンフィギュレーションメッセージM12を受信し、メッセージM12において指定されたConfiguration1を自らの無線通信回路に設定する。ここで設定されたダイナミックTDD端末のリンク方向コンフィギュレーションは、次のダイナミックコンフィギュレーションメッセージM13が受信される時刻T13まで維持される。」と記載されていることから、ダイナミックTDD端末はダイナミックコンフィギュレーションメッセージを受信し、次のダイナミックコンフィギュレーションメッセージが受信される時刻までリンク方向コンフィギュレーションは維持される。よって、基地局では次のダイナミックコンフィグレーションが送信されるまでの時刻の間はリンク方向コンフィギュレーションが維持されるといえる。 そして、上記「5」の段落47に「最短で10msecの周期でリンク方向コンフィギュレーションをシグナリングすることが可能となる。」と記載されていることから、10msec周期でダイナミックコンフィギュレーションメッセージが送信される場合には、次のダイナミックコンフィグレーションが送信されるまでの時刻である10msecの間はリンク方向コンフィギュレーションが維持されるといえる。 (3)上記「3」の段落25に「ダイナミックコンフィギュレーションメッセージは、その時点でダイナミックTDD端末のために設定されているリンク方向コンフィギュレーションの識別子(図2に例示したコンフィギュレーション番号0〜6のいずれか)を含む。」と記載されていることから、ダイナミックコンフィギュレーションメッセージは、リンク方向コンフィギュレーションの識別子を含む。そして、リンク方向コンフィグレーションの識別子とは上記「7」の図2に例示したコンフィギュレーション番号0〜6のいずれかである。 ここで、上記「2」の段落17に「図2から理解されるように、0番目のサブフレーム(#0)及び5番目のサブフレーム(#5)」と記載されていることから、上記「7」の図2の#0〜#9はサブフレーム0〜サブフレーム9であることは明らかである。よって、図2のコンフィギュレーション番号0〜6で示されるリンク方向コンフィギュレーションの識別子は、10個のサブフレームの各サブフレームが「D」、「U」、「S」のいずれに割り当てられているかを表していることが読み取れる。 そして、上記「1」の段落2に「FD−LTE方式及びTD−LTE方式の双方とも、それぞれ1msecの時間長を有する10個のサブフレームから(10msecの時間長を有する)1つの無線フレームが構成されるというフレームフォーマットを用いる。」と記載されていることから、1サブフレームは1msecであるから、10個のサブフレームは10msecであるといえる。 また、上記「2」の段落16の「「D」とラベリングされたサブフレームのリンク方向はダウンリンクであり、当該サブフレームをダウンリンクサブフレームという。「U」とラベリングされたサブフレームのリンク方向はアップリンクであり、当該サブフレームをアップリンクサブフレームという。「S」とラベリングされたサブフレームは、TD−LTEに特有のスペシャルサブフレームである。・・・スペシャルサブフレームは、UEによりダウンリンク信号が受信されるダウンリンクパイロットタイムスロットと、ガード期間(Guard Period)と、UEによりアップリンク信号が送信されるアップリンクパイロットタイムスロットとを含む。」と記載されていることから、図2の「U」はアップリンクサブフレーム、「D」はダウンリンクサブフレーム、そして「S」はアップリンク及びダウンリンク両方を有するサブフレームである。 よって、ダイナミックコンフィギュレーションメッセージは、リンク方向コンフィギュレーションの識別子を含み、コンフィギュレーション番号0〜6で示されるリンク方向コンフィギュレーションの識別子は10msecである10個のサブフレームの各サブフレームがアップリンクサブフレーム、ダウンリンクサブフレーム、又は、アップリンク及びダウンリンク両方を有するサブフレームのいずれかに割り当てられていることを表している。 (4)上記「(1)」で説示したように、基地局はダイナミックTDD端末へダイナミックコンフィギュレーションメッセージを用いてリンク方向コンフィギュレーションをシグナリングしていることから、引用例2には、基地局がダイナミックTDD端末へリンク方向コンフィギュレーションをシグナリングする方法が記載されているといえる。 以上を総合すると、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「基地局はダイナミックTDD端末へ、10msecの周期内の0番目のサブフレームのPDSCHの帯域内に設けられるE−PDCCH(Enhanced-Physical Downlink Control Channel)上でダイナミックコンフィギュレーションメッセージを10msecの周期で送信し、 次のダイナミックコンフィグレーションが送信されるまでの時刻である10msecの間はリンク方向コンフィギュレーションが維持され、 ダイナミックコンフィギュレーションメッセージは、リンク方向コンフィギュレーションの識別子を含み、コンフィギュレーション番号0〜6で示されるリンク方向コンフィギュレーションの識別子は10msecである10個のサブフレームの各サブフレームがアップリンクサブフレーム、ダウンリンクサブフレーム、又は、アップリンク及びダウンリンク両方を有するサブフレームのいずれかに割り当てられていることを表す、 基地局がダイナミックTDD端末へリンク方向コンフィギュレーションをシグナリングする方法。」 第5 対比及び判断 本願発明と引用発明とを対比する。 1.引用発明の「0番目のサブフレームのPDSCHの帯域内に設けられるE−PDCCH(Enhanced-Physical Downlink Control Channel)」はチャネルであるから、本願発明と同様に、「第1チャネル」といえる。また、引用発明では「10msecの周期内の0番目のサブフレームのPDSCHの帯域内に設けられるE−PDCCH(Enhanced-Physical Downlink Control Channel)上でダイナミックコンフィギュレーションメッセージを10msecの周期で送信し」ていることから、引用発明の「10msecの周期」は本願発明の「第1チャネル送信周期」に相当する。そして、引用発明の「10msecの周期内の0番目のサブフレームのPDSCHの帯域内に設けられるE−PDCCH上でダイナミックコンフィギュレーションメッセージを・・・送信」することは、0番目サブフレーム内のE−PDCCHの設けられる所定の時間・周波数のリソース上でダイナミックコンフィギュレーションメッセージを含むE−PDCCHを送信するという意味であることは明らかであるから、引用発明の「10msecの周期内の0番目のサブフレームのPDSCHの帯域内に設けられるE−PDCCH(Enhanced-Physical Downlink Control Channel)」の設けられる所定の時間・周波数のリソースは、本願発明の「第1チャネル送信周期内の所定時間・周波数リソース」に含まれ、引用発明の「10msecの周期内の0番目のサブフレームのPDSCHの帯域内に設けられるE−PDCCH上でダイナミックコンフィギュレーションメッセージを・・・送信」することは、本願発明の「第1チャネル送信周期内の所定時間・周波数リソースにおいて、第1チャネルを伝送」することに含まれる。 そして、引用発明の「10msecの周期内の0番目のサブフレームのPDSCHの帯域内に設けられたE−PDCCH(Enhanced-Physical Downlink Control Channel)上でダイナミックコンフィギュレーションメッセージを10msecの周期で送信」することは、10msecの周期で0番目のサブフレームのE−PDCCHを送信することであるから、本願発明の「第1チャネル送信周期に基づき、・・・第1チャネルを伝送」することに含まれる。 よって、引用発明の「10msecの周期内の0番目のサブフレームのPDSCHの帯域内に設けられるE−PDCCH(Enhanced-Physical Downlink Control Channel)上でダイナミックコンフィギュレーションメッセージを10msecの周期で送信」することは、本願発明の「第1チャネル送信周期に基づき、前記第1チャネル送信周期内の所定時間・周波数リソースにおいて、第1チャネルを伝送」することに含まれる。 また、引用発明の0番目のサブフレームのE−PDCCHは「10msecの周期」で設けられ、0番目のサブフレームのE−PDCCH上で送信されるダイナミックコンフィギュレーションメッセージに含まれる「コンフィギュレーション番号0〜6で示されるリンク方向コンフィギュレーションの識別子は10msecである10個のサブフレームの各サブフレームがアップリンクサブフレーム、ダウンリンクサブフレーム、又は、アップリンク及びダウンリンク両方を有するサブフレームのいずれかに割り当てられていることを表す」ことから、0番目のサブフレームのE−PDCCHの有効な時間は10msecであるといえ、更に引用発明では「次のダイナミックコンフィグレーションが送信されるまでの時刻である10msecの間はリンク方向コンフィギュレーションが維持され」ることからも0番目のサブフレームのE−PDCCHの有効な時間は10msecであるといえる。よって、引用発明の0番目のサブフレームのE−PDCCHの有効な時間である「次のダイナミックコンフィグレーションが送信されるまでの時刻である10msecの間」は本願発明の「第1チャネルの有効な時間帯」に含まれる。 そして、引用発明の0番目のサブフレームのE−PDCCH上で送信される「ダイナミックコンフィギュレーションメッセージは、リンク方向コンフィギュレーションの識別子を含み、コンフィギュレーション番号0〜6で示されるリンク方向コンフィギュレーションの識別子は10msecである10個のサブフレームの各サブフレームがアップリンクサブフレーム、ダウンリンクサブフレーム、又は、アップリンク及びダウンリンク両方を有するサブフレームのいずれかに割り当てられていることを表」している。ここで、サブフレームがアップリンクサブフレームに割り当てられているとは、サブフレームが、アップリンク伝送リソースはあるが、ダウンリンク伝送リソースがないと割り当てられているということである。また、サブフレームがダウンリンクサブフレームに割り当てられているとは、サブフレームが、アップリンク伝送リソースはないが、ダウンリンク伝送リソースがあると割り当てられているということである。そして、サブフレームがアップリンク及びダウンリンク両方を有するサブフレームに割り当てられているとは、サブフレームが、アップリンク伝送リソース及びダウンリンク伝送リソースがあると割り当てられているということである。よって、引用発明の0番目のサブフレームのE−PDCCH上で送信されるダイナミックコンフィギュレーションメッセージに含まれるリンク方向コンフィギュレーションの識別子は、10msecである10個のサブフレームの各サブフレームのアップリンク伝送リソース及びダウンリンク伝送リソースの割り当て情報を表しているといえる。 したがって、引用発明の「次のダイナミックコンフィグレーションが送信されるまでの時刻である10msecの間」は、本願発明の「第1チャネルの有効な時間帯」に含まれることから、引用発明の0番目のサブフレームのE−PDCCH上で送信されるダイナミックコンフィギュレーションメッセージに含まれるリンク方向コンフィギュレーションの識別子は、第1チャネルである0番目のサブフレームのE−PDCCHの有効な時間帯である10msecの10個のサブフレームにおける各サブフレームのアップリンク伝送リソース及びダウンリンク伝送リソースの割り当て情報を表しているといえる。 よって、引用発明の「リンク方向コンフィギュレーションの識別子」は、本願発明の「第1チャネルの有効な時間帯におけるアップリンク伝送リソース及びダウンリンク伝送リソースの割り当て情報」に含まれる。 そして、引用発明のリンク方向コンフィギュレーションの識別子を含むダイナミックコンフィギュレーションメッセージは0番目のサブフレームのE−PDCCH上で送信されることから、引用発明の0番目のサブフレームのE−PDCCHはリンク方向コンフィギュレーションの識別子を送信するのに用いられている。よって、引用発明の0番目のサブフレームのE−PDCCHは、本願発明と同様に、「第1チャネル」といえ、また、「前記第1チャネルの有効な時間帯におけるアップリンク伝送リソース及びダウンリンク伝送リソースの割り当て情報を通知するのに用いられ」ているといえる。 2.上記「1」で説示したように、引用発明の0番目のサブフレームのE−PDCCHは、本願発明と同様に、「第1チャネル」といえ、また、「前記第1チャネルの有効な時間帯におけるアップリンク伝送リソース及びダウンリンク伝送リソースの割り当て情報を通知するのに用いられ」ているといえるから、本願発明と同様、「前記第1チャネルは、少なくとも、前記第1チャネルの有効な時間帯内におけるアップリンク伝送リソース及びダウンリンク伝送リソースの割り当て情報の通知に用いられ」るといえる。 次に、本願発明では「前記第1時間ユニットの長さは、1個のサブフレーム、または、B2個のシンボル、または、1個のスロット、または、1個のマイクロスロットに事前に定義され、B2は1以上14以下の整数である」ので、第1時間ユニットの長さには1個のサブフレームが含まれている。そうすると、引用発明の「サブフレーム」は、1個のサブフレームであるから、本願発明の「第1時間ユニット」に含まれる。よって、引用発明の「サブフレーム」の長さは、1個のサブフレームに事前に定義されているといえることから、本願発明の「前記第1時間ユニットの長さは、1個のサブフレーム、または、B2個のシンボル、または、1個のスロット、または、1個のマイクロスロットに事前に定義され、B2は1以上14以下の整数である」ことに含まれる。 そして、「1」で説示したように、引用発明の「次のダイナミックコンフィグレーションが送信されるまでの時刻である10msecの間」は本願発明の「第1チャネルの有効な時間帯」に含まれ、引用発明の「サブフレーム」は、1個のサブフレームであって、本願発明の「第1時間ユニット」に含まれることから、引用発明の「10msecである10個のサブフレームの各サブフレーム」は本願発明の「第1チャネルの有効な時間帯内の各々第1時間ユニット」に含まれる。 よって、引用発明の0番目のサブフレームのE−PDCCHは、本願発明の「第1チャネル」と同様に、「少なくとも、前記第1チャネルの有効な時間帯内の各々第1時間ユニットにおけるアップリンク伝送リソース及びダウンリンク伝送リソースの割り当て情報の通知に用いられ」るといえる。 以上のことから、引用発明の0番目のサブフレームのE−PDCCHは、本願発明の「第1チャネル」と同様に、「少なくとも、前記第1チャネルの有効な時間帯内の各々第1時間ユニットにおけるアップリンク伝送リソース及びダウンリンク伝送リソースの割り当て情報の通知に用いられ、ここで、前記第1時間ユニットの長さは、1個のサブフレーム、または、B2個のシンボル、または、1個のスロット、または、1個のマイクロスロットに事前に定義され、B2は1以上14以下の整数である」に含まれる。 3.引用発明の「基地局がダイナミックTDD端末へリンク方向コンフィギュレーションをシグナリングする方法」では、上記「2」で説示したように、0番目のサブフレームのE−PDCCHは、本願発明の「第1チャネル」と同様に、「少なくとも、前記第1チャネルの有効な時間帯内の各々第1時間ユニットにおけるアップリンク伝送リソース及びダウンリンク伝送リソースの割り当て情報の通知に用いられ」ることから、引用発明の方法はアップリンク伝送リソース及びダウンリンク伝送リソースの割り当てについての方法といえる。してみれば、引用発明の方法は、本願発明の「UL/DL伝送リソースの割り当て方法」に含まれる。 以上のことから、本願発明と引用発明とは以下の点で一致し、相違するところはない。 (一致点) 「 第1チャネル送信周期に基づき、前記第1チャネル送信周期内の所定時間・周波数リソースにおいて、第1チャネルを伝送し、前記第1チャネルは、前記第1チャネルの有効な時間帯におけるアップリンク伝送リソース及びダウンリンク伝送リソースの割り当て情報を通知するのに用いられ、 前記第1チャネルは、少なくとも、前記第1チャネルの有効な時間帯内の各々第1時間ユニットにおけるアップリンク伝送リソース及びダウンリンク伝送リソースの割り当て情報の通知に用いられ、ここで、前記第1時間ユニットの長さは、1個のサブフレーム、または、B2個のシンボル、または、1個のスロット、または、1個のマイクロスロットに事前に定義され、B2は1以上14以下の整数であるUL/DL伝送リソースの割り当て方法。」 したがって、本願発明は、引用発明であり、また、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 (請求人の主張について) 請求人は令和3年7月13日に提出された意見書において、本願発明について以下のように主張している。 「3.拒絶理由1(特許法第29条第1項第3号)について (3−1)本願請求項1の発明特定事項「前記第1チャネルは、少なくとも、前記第1チャネルの有効な時間帯内の各々第1時間ユニットにおけるアップリンク伝送リソース及びダウンリンク伝送リソースの割り当て情報の通知に用いられ、ここで、前記第1時間ユニットの長さは、1個のサブフレーム、または、B2個のシンボル、または、1個のスロット、または、1個のマイクロスロットに事前に定義され、B2は1以上14以下の整数である」は、引用文献2には記載されておらず、周知慣用技術でもありません。」 「4.拒絶理由2(特許法第29条第2項)について」の「(4−3)」において、 「 引用文献2と本願発明とを比較すると、以下の点で相違します。 相違点1:引用文献2は、サブフレームまたはタイムスロット内のシンボルに対するアップリンクとダウンリンクのダイナミックコンフィギュレーションではなく、無線フレーム内の10個のサブフレームに関するアップリンクサブフレームとダウンリンクサブフレームのダイナミックコンフィギュレーションに関するものです。 これに対し、本願発明では、有効な時間帯内の第1時間ユニットの長さは、1個のサブフレーム、または、B2個のシンボル、または、1個のスロット、または、1個のマイクロスロットであり、B2は1以上14以下の整数です。 相違点2:引用文献2では、時刻T12において、ダイナミックコンフィギュレーションメッセージM12を受信し、次のダイナミックコンフィギュレーションメッセージM13が受信される時刻T13まで維持されることのみ記載されており、有効な時間の期間であるT12とT13の間に含まれる無線フレームの数が全く記載されておりません。また、複数のフレームである場合、それぞれの無線フレームの各自のアップリンクとダウンリンクのダイナミックコンフィギュレーションそれぞれが異なるか、または複数のフレームは、同じアップリンクとダウンリンクのダイナミックコンフィギュレーションを有するのかについても、全く記載されておりません。 これに対し、本願発明では、「第1チャネルの有効な時間帯内の各々第1時間ユニットにおけるアップリンク伝送リソース及びダウンリンク伝送リソースの割り当て情報」と明記されており、各第1時間ユニットのアップリンク伝送リソース及びダウンリンク伝送リソースの割り当てを別々に示す必要があります。」 しかしながら、「3.拒絶理由1(特許法第29条第1項第3号)について」の(3−1)の主張については、上記「2」で説示したとおり、引用発明の0番目のサブフレームのE−PDCCHは、本願発明の「第1チャネル」と同様に、「少なくとも、前記第1チャネルの有効な時間帯内の各々第1時間ユニットにおけるアップリンク伝送リソース及びダウンリンク伝送リソースの割り当て情報の通知に用いられ、ここで、前記第1時間ユニットの長さは、1個のサブフレーム、または、B2個のシンボル、または、1個のスロット、または、1個のマイクロスロットに事前に定義され、B2は1以上14以下の整数である」に含まれるといえる。 また、「4.拒絶理由2(特許法第29条第2項)について」の「(4−3)」の相違点1及び相違点2の本願発明の発明特定事項についても、上記「2」で説示したとおり、引用発明の発明特定事項であるといえる。 更に、請求人は、「4.拒絶理由2(特許法第29条第2項)について」の「(4−3)」の相違点2の主張において、「引用文献2では、時刻T12において、ダイナミックコンフィギュレーションメッセージM12を受信し、次のダイナミックコンフィギュレーションメッセージM13が受信される時刻T13まで維持されることのみ記載されており、有効な時間の期間であるT12とT13の間に含まれる無線フレームの数が全く記載されておりません。また、複数のフレームである場合、それぞれの無線フレームの各自のアップリンクとダウンリンクのダイナミックコンフィギュレーションそれぞれが異なるか、または複数のフレームは、同じアップリンクとダウンリンクのダイナミックコンフィギュレーションを有するのかについても、全く記載されておりません。」と主張しているが、上記「第4」の「1.引用例2」の「(5)」の段落47に「最短で10msecの周期でリンク方向コンフィギュレーションをシグナリングすることが可能となる。」と記載されていることから、引用文献2の有効な時間の期間であるT12とT13の間に含まれる無線フレームの数は1無線フレーム(10msecである10個のサブフレーム)とすることが示唆されており、本願発明はT12とT13の間に含まれる無線フレームの数は1無線フレームの場合が含まれていることから、出願人の主張は認められない。 以上のことから、出願人の主張は採用できない。 第6 むすび 以上のとおり、本願発明は、引用例2に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。 また、本願発明は、当業者が引用例2に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
(行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。 審判長 廣川 浩 出訴期間として在外者に対し90日を附加する。 |
審理終結日 | 2022-01-06 |
結審通知日 | 2022-01-11 |
審決日 | 2022-01-26 |
出願番号 | P2018-540843 |
審決分類 |
P
1
8・
113-
WZ
(H04W)
P 1 8・ 121- WZ (H04W) |
最終処分 | 02 不成立 |
特許庁審判長 |
廣川 浩 |
特許庁審判官 |
中木 努 國分 直樹 |
発明の名称 | UL/DL伝送リソースの割り当て方法及び装置 |
代理人 | 村山 靖彦 |
代理人 | 阿部 達彦 |
代理人 | 実広 信哉 |