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審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 G06Q
審判 査定不服 特37 条出願の単一性( 平成16 年1 月1 日から) 取り消して特許、登録 G06Q
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06Q
管理番号 1385524
総通号数
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2022-07-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-06-25 
確定日 2022-06-28 
事件の表示 特願2018−526193「ローカル取引認可のためのネットワークブリッジ」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 5月26日国際公開、WO2017/087335、平成30年12月20日国内公表、特表2018−537778、請求項の数(7)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続きの経緯
本願は、2016年(平成28年)11月14日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2015年(平成27年)11月18日、アメリカ合衆国)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
平成30年 7月18日:翻訳文提出
令和 元年 5月22日:拒絶理由通知書(起案日)
令和 元年 9月26日:意見書、手続補正書の提出
令和 2年 2月18日:拒絶査定(起案日)
令和 2年 6月25日:審判請求書、手続補正書の提出
令和 3年 8月12日:拒絶理由通知書(起案日)
令和 3年12月27日:意見書、手続補正書の提出

第2 本願発明
本願の請求項1〜7に係る発明(以下、それぞれを「本願発明1」〜「本願発明7」という。)は、令和3年12月27日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1〜7に記載されたとおりのものであるところ、本願発明1は次のとおりのものである。
「【請求項1】
記憶値カード取引をローカルに処理する装置において、
前記装置は、小売ポイントオブセール(POS)またはホストに近接し、
前記装置は、前記POSまたはホストおよび記憶値カードプロセッサと選択的に通信し、
前記装置は、
前記POSまたはホストとの選択的な通信を可能にするPOSまたはホストインターフェースと、
前記記憶値カードプロセッサとの選択的な通信を可能にする記憶値カードプロセッサインターフェースと、
記憶値カードのアクティブ化要求に対する選択的な承認を可能にする処理モジュールとを具備し、
前記POSまたはホストと前記記憶値カードプロセッサとの通信がタイムアウトしない場合には、前記処理モジュールは、記憶値カードのアクティブ化要求に対する承認を行わずに、このような要求を前記記憶値カードプロセッサに通過させ、
前記POSまたはホストと前記記憶値カードプロセッサとの通信がタイムアウトした場合には、前記処理モジュールは、記憶値カードのアクティブ化要求に対する承認をローカルに行う装置。」

なお、本願発明2〜7は、本願発明1を減縮した発明である。

第3 当審拒絶理由の概要
当審において令和3年8月12日付けで通知した拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」という。)の概要は次のとおりである。
理由1(サポート要件)
請求項1に記載された「記憶値カードプロセッサとの通信の時間の間」、「記憶値カードプロセッサとの非通信の時間の間」が、発明の詳細な説明におけるどの状態に対応するかは不明であるから、この出願は、特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。
理由2(明確性
請求項1における「記憶値カードプロセッサとの通信の時間の間」、「記憶値カードプロセッサとの非通信の時間の間」の通信、非通信とは、記憶値カードプロセッサと何との通信、非通信のことをいうのか明確でないから、この出願は、特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
理由3(進歩性
本願請求項1〜9に係る発明は、引用文献1、2に記載された発明に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献1:特開2014−116712号公報
引用文献2:特表2002−517957号公報

第4 原査定の拒絶理由の概要
原査定(令和2年2月18日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。
理由1(単一性)
この出願は、請求項10〜15に係る発明と請求項1に係る発明との間に、同一の又は対応する特別な技術的特徴は存在しないから、特許法第37条に規定する要件を満たしていない。
理由2(明確性
請求項2、7に記載された「メモリを更新する」の意味が明確でないから、この出願は、特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
理由3(進歩性
本願請求項1、3〜6、8、9に係る発明は、引用文献A〜Dに記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条の規定により特許を受けることができない。
引用文献A:特開2010−026811号公報
引用文献B:特開2008−065408号公報
引用文献C:特開昭63−39099号公報
引用文献D:国際公開第2000/46659号

第5 引用文献、引用発明
1 引用文献1について
当審拒絶理由で引用した引用文献1(特開2014−116712号公報)には、次のとおりの記載がある。下線は、当審が付した。
「【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触通信システムに用いられるリーダーライター装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自ら電波の発生源を持たない通信端末が無線で通信相手となる装置へデータを送信する通信システムとしてRFID(Radio Frequency IDentification)と呼ばれる非接触通信システムが知られている。
【0003】
RFIDシステムは多くの非接触ICカードに適用されている。ICカード・システムは、ICカードに内蔵されたトランスポンダとしての非接触IC媒体と、非接触IC媒体からの情報の読み出しや、又は非接触IC媒体への情報の書込みを行なうリーダーライター装置、そして、リーダーライター装置とデータ通信可能に接続された上位装置とから構成される。
【0004】
かかるICカード・システムは、ICカードとリーダーライター装置間で非接触により情報の読み書きを行なうことから利便性が高い。リーダーライター装置は、最初に電磁波を出力して相互通信を開始する(すなわち通信の主導権を握る)装置であり、「イニシエーター」とも呼ばれる。また、非接触IC媒体などトランスポンダは、イニシエーターからのコマンド(相互通信開始要求)に対してレスポンス(相互通信開始応答)を返す「ターゲット」である。
【0005】
イニシエーターであるリーダーライター装置は、ポーリング処理時に取得している非接触IC媒体の製造パラメータを参照することにより、リーダーライター装置から送信されるコマンドに応じて非接触IC媒体がレスポンスを返すまでに要する時間であるレスポンスタイムアウト時間を算出される。リーダーライター装置から送信されるカードコマンドのリトライ数は、このタイムアウト時間に基づいて、決定されることとなる。(例えば、特開2011−39810号公報等参照。)
【特許文献1】特開2011−39810号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のリーダーライター装置では、非接触IC媒体から取得される製造パラメータに基づいて、求められるタイムアウト時間が、このように求められるタイムアウト時間は余裕を多く含む時間として設定されている。コマンドのリトライはこのタイムアウト時間を待って行われるが、タイムアウト時間が必要以上に長いので、リトライの回数が制限されてしまい、従来のリーダーライター装置においては、非接触IC媒体との間の通信のチャンスが減ってしまい、通信の成功率が減少してしまう、という問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような課題を解決するために、請求項1に係る発明は、上位装置とデータの送受信を行うインターフェイス部と、非接触IC媒体と非接触通信を行う無線通信部を有し、前記無線通信部からのポーリングにより非接触IC媒体を認識すると、非接触IC媒体から内蔵IC種別情報と応答時間情報とからなる製品特定情報を受信するリーダーライターにおいて、内蔵IC種別情報と一対一に対応し、非接触IC媒体から受信する応答時間情報とは異なる疑似応答時間情報を複数記憶するテーブルを有することを特徴とする。」

「【0023】
図1(A)は上位装置10である改札機にリーダーライター装置100が内蔵され、内蔵されたリーダーライター装置100が、ICカードに含まれる非接触IC媒体200と非接触で無線通信する様子を示しており、図1(B)はこれに対応するブロック構成を示す図である。
【0024】
リーダーライター装置100と接続される上位装置10として用い得る得るものは、改札機に限らず、券売機、レジスター、パーソナルコンピューターなどを挙げることができる。リーダーライター装置100には、上位装置10との間でデータの送受を可能とするインターフェイス部(図1には不図示)と、非接触IC媒体200との間で非接触での無線データ通信を可能とする無線通信部(図1には不図示)と、CPU、RAM、ROM、不揮発性メモリなどからなるデータ処理部(図1には不図示)とを有しており、上位装置10からの命令に基づいて、非接触IC媒体200に書き込まれたデータを読み取ったり、非接触IC媒体200に対してデータを書き込んだりする。
【0025】
リーダーライター装置100が非接触IC媒体200に書き込まれたデータを読み取ったり、非接触IC媒体200に対してデータを書き込んだりするにあたっては、リーダーライター装置100から非接触IC媒体200に対して、種々のコマンドが発行され、このコマンドにより指定される処理が、非接触IC媒体200内で実行されるようになっている。
【0026】
非接触IC媒体200は、リーダーライター装置100との間でデータの送受と受電を行うアンテナと、このアンテナから得られる電力に基づき動作するデータ処理部、メモリ部(いずれも不図示)などから構成されている。メモリ部には、リーダーライター装置100から送信されるコマンドに基づいて書き換えることが可能なエリアと、それぞれの非接触IC媒体200に固有のID情報などが書き込まれ、リーダーライター装置100から書き換え不可能なエリアとが存在する。
【0027】
上記のようなリーダーライター装置100及び非接触IC媒体200としては、FeliCa(商標)に代表される非接触通信システムのものを用いることが可能である。
【0028】
ここで、上位装置10、リーダーライター装置100、非接触IC媒体200との間における基本的な一連の動作の流れを図2に基づいて、説明する。
【0029】
ステップS1で上位装置10からリーダーライター装置100に対してポーリング実行命令が発せられると、リーダーライター装置100で定期的にポーリングを実行する。このようなポーリング(ステップS2)時、通信可能な範囲に非接触IC媒体200が存在する場合には、これに呼応するように非接触IC媒体200はリーダーライター装置100に対してレスポンスデータを返信する(ステップS3)。
【0030】
レスポンスデータを受信したリーダーライター装置100は、非接触IC媒体200からレスポンスがあったことを上位装置10に報告する。これに対応して、上位装置10はリーダーライター装置100に所定のコマンド(この例では、リードコマンド)を発行させるべくコマンド実行命令を発する(ステップS5)。
【0031】
これに応じる形で、リーダーライター装置100は、非接触IC媒体200に対して、リードコマンドを発行する。これを受信した非接触IC媒体200は、所定の処理を行った上で、レスポンスデータを返信する(ステップS7)。このレスポンスについては、リーダーライター装置100から上位装置10に対して、ステップS8で報告される。
【0032】
ここで、従来例に係るリーダーライター装置によるコマンドリトライの動作の流れについて図3を参照して説明する。図3においては、ステップS1からステップS5までの流れは図2のものと同様である。
【0033】
ステップSS6−1で、リーダーライター装置100はコマンド実行命令を受けて、非接触IC媒体200に対してリードコマンドを発行するが、図3の例では、非接触IC媒体200との通信が行えず、ステップS6−2からステップS6−nまでリトライを行っている。
【0034】
一方、上位装置10は、リーダーライター装置100に対して、ステップS5でリード実行命令を発した後、リーダーライター装置100からレスポンスの報告がないと、時間Ts経過後にリード中止命令を発し、リーダーライター装置100によるリードコマンドの発行を中止させる。」

イ 上記アの記載から以下のことがいえる。
(ア) 段落【0024】の記載によると、引用文献1には、「レジスター等の上位装置との間でデータの送受を可能とするインターフェイス部と、非接触IC媒体との間で非接触での無線データ通信を可能とする無線通信部と、CPU、RAM、ROM、不揮発性メモリなどからなるデータ処理部とを有し、上位装置からの命令に基づいて、非接触IC媒体に書き込まれたデータを読み取ったり、非接触IC媒体に対してデータを書き込んだりする、リーダーライター装置。」が記載されている。
(イ) 段落【0029】、【0030】、【0031】の記載によると、上記(ア)の「リーダーライター装置」は、上位装置からリーダーライター装置に対してポーリング実行命令が発せられると、定期的にポーリングを実行し、通信可能な範囲に非接触IC媒体が存在する場合に、非接触IC媒体からレスポンスデータを受信し、非接触IC媒体からレスポンスがあったことを上位装置に報告し、これに対応して、上位装置から所定のコマンド(この例では、リードコマンド)を発行するためのコマンド実行命令を受信し、このコマンド実行命令に応じて、非接触IC媒体に対して、リードコマンドを発行し、非接触IC媒体は、リードコマンドに応じた所定の処理を行った後、レスポンスデータを返信し、リーダーライター装置は、受信したレスポンスデータを上位装置に対して報告する。
(ウ) 段落【0033】、【0034】の記載によると、上記(ア)の「リーダーライター装置」は、上記(イ)において、コマンド実行命令を受けて、非接触IC媒体に対してリードコマンドを発行するが、非接触IC媒体との通信が行えなければ、時間Tsが経過するまで、リードコマンドのリトライを行う。
ウ 上記イによると、引用文献1には、
「レジスター等の上位装置との間でデータの送受を可能とするインターフェイス部と、非接触IC媒体との間で非接触での無線データ通信を可能とする無線通信部と、CPU、RAM、ROM、不揮発性メモリなどからなるデータ処理部とを有し、上位装置からの命令に基づいて、非接触IC媒体に書き込まれたデータを読み取ったり、非接触IC媒体に対してデータを書き込んだりする、リーダーライター装置であって、
上位装置からリーダーライター装置に対してポーリング実行命令が発せられると、定期的にポーリングを実行し、通信可能な範囲に非接触IC媒体が存在する場合に、非接触IC媒体からレスポンスデータを受信し、非接触IC媒体からレスポンスがあったことを上位装置に報告し、これに対応して、上位装置から所定のコマンド(この例では、リードコマンド)を発行するためのコマンド実行命令を受信し、このコマンド実行命令に応じて、非接触IC媒体に対して、リードコマンドを発行し、非接触IC媒体は、リードコマンドに応じた所定の処理を行った後、レスポンスデータを返信し、リーダーライター装置は、受信したレスポンスデータを上位装置に対して報告し、
非接触IC媒体に対するリードコマンドの発行に対して、非接触IC媒体との通信が行えなければ、時間Tsが経過するまで、リードコマンドのリトライを行う、
リーダーライター装置。」の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。

(2)引用文献2について
当審拒絶理由で引用した引用文献2(特表2002−517957号公報)には、次のとおりの記載がある。下線は、当審が付した。
「【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、その利得にも関わらず、プリペイドテレホンカードに問題がないわけではない。例えば、プリペイドテレホンカードは、多くの場合、いったん小売販売に表示されると直ちにアクティブで、使用できるようになる。プリペイドテレホンカードは、店舗の棚に載せられて在住する(reside)ため、それらは顧客および店員による盗難および不正使用を受けやすい。この問題と戦うため、プリペイドテレホンカードの卸売り業者は、さもなければ使用できないプラスチックカードを梱包するために追加の梱包費用を被ってきた。さらに、小売業者は、多くの場合、アクティブなカードを厳重に保管した状態で保ち、販売がなされるとそれらを配布しなければならない。従業員のこそ泥行為に適切に対処していないことに加え、これらの問題点は小売業者にとっての管理問題を提示する。
【0006】
このようにして、プリペイドテレホンカードの小売販売にまつわる前記問題点に対処するシステムおよび方法を提供するニーズが存在する。実現性があるためには、このようなシステムおよび方法は、プリペイドテレホンカードを、小売店舗内の販売時点情報管理で活性化し、非活性化することができなければならない。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、従来プリペイドテレホンカードにまつわる該問題点を解決する。すなわち、本発明は、さもなければ使用することができないプリペイドテレホンカードを、不正使用、盗難、および従業員によるこそ泥行為に対する懸念なく小売販売のために陳列できるようにするシステムおよび方法を提供する。このようなシステムおよび方法を提供する上で、小売業者は、現在、安全に多様なプリペイドテレホンカードを仕入れることができる。
【0008】
また、消費者も、販売時点で活性化、非活性化できるプリペイドテレホンカードの恩恵を被るだろう。例えば、消費者は、販売時点でカード再貸し付け動作に従事してよい小売業者に返却することにより使われたテレホンカードを再貸付することができるだろう。さらに、消費者は、現在では、払い戻しおよびそれ以外の信用販売(credits)のために、プリペイドテレホンカードを小売業者に返却し、販売時点で提示することによって部分的に未使用のカードを返却することができる。
【0009】
本発明は、販売時点トランザクション中にプリペイドテレホンカードに関するトランザクションを受け取り、そのトランザクション要求をプリペイドテレホンカード処理システムに伝送するために動作できる販売時点情報管理システムを含む、販売時点トランザクション中にプリペイドテレホンカードを処理するためのシステムを提供することにより、前記利点を提供する。該プリペイドテレホンカード処理システムは、販売時点情報管理システムに結合され、トランザクション要求を受け取り、該トランザクション要求に従ってトランザクションを実行し、販売時点情報管理システムにステータス応答メッセージを伝送するために動作できる。該ステータス応答メッセージは、該トランザクションが、該トランザクション要求に従って実行されたのかどうかを示す。
【0010】
本発明の別の実施形態に従って、販売時点トランザクションの間にプリペイドテレホンカードを処理するための方法が提供される。該方法は、販売時点情報管理システムでプリペイドテレホンカードに関するトランザクション要求を受け取るステップと、該トランザクション要求を伝送するステップと、プリペイドテレホンカード処理システムで該トランザクション要求を受け取るステップと、トランザクション要求に従ってトランザクションを実行するステップと、ステータス応答メッセージを販売時点情報管理システムに伝送するステップを含む。ステータス応答メッセージは、トランザクションがトランザクション要求に従って実行されているかどうかを示す。
【0011】
本発明の別の実施形態に従って、プリペイドテレホンカードに関する状態データを記憶するためのデータ記憶システム、および該データ記憶システムに結合されているプリペイドテレホンカード処理システムを含む、販売時点トランザクション中にプリペイドテレホンカードを処理するためのシステムが提供される。該プリペイドテレホンカード処理システムは、販売時点トランザクション中に該プリペイドテレホンカードに関するトランザクション情報を受け取り、該トランザクション要求に従ってトランザクションを実行し、該トランザクションに基づくデータ記憶システム内に記憶される状態データを変更するように構成される。
【0012】
本発明の別の実施形態に従って、販売時点トランザクション中にプリペイドテレホンカードを処理するための方法が提供される。該方法は、プリペイドテレホンカードに関する状態データを記憶するステップと、販売時点トランザクション中に該プリペイドテレホンカードに関するトランザクション要求を受け取るステップと、該トランザクション要求に従ってトランザクションを実行するステップと、該トランザクションに基づいて該データ記憶システム内に記憶されている該状態データを変更するステップとを含む。」

「【0015】
本発明のコンテキストでは、カードは、インアクティブ(さもなければ使用不可能な)状態で小売業者/再販業者による販売のために陳列されてよい。インアクティブカードは、カードを活性化し、それをカード購入者によって使用できるようにするためにPOSトランザクション中にPOSステーションで卸売業者によって使用されてよい個人識別情報(PIN)番号、またはコード/一意コード番号に関連付けられている。PIN番号(例えば、一意のカード番号)は、カードプロセッサおよびサービスプロバイダによってカードに割り当てられる。活性化およびそれ以外の関連するトランザクション(後述されるように非活性化など)は、カードプロセッサおよびサービスプロバイダ(例えば、市外通信事業者、プリペイドテレホンカードサービスプロバイダ等)に結合されているPOSシステムを通して発生する。カードは、顧客によって使用される前に活性化されなければならない。
【0016】
PINおよびそれ以外のこのような一意のカードコードは、小売業者/再販業者により開始されるカード活性化/非活性化トランザクションを実行できるようにし、カード購入者による適切なカードの使用を可能にするために、カードサービスプロバイダのデータベースおよびデータベース管理システムの中へのキーとしての役割を果たす。このようなPINは、ある特定のpinコード/一意のカード識別子に関する抽象化および気密保護の追加レベルを作成するためにPin追跡調査番号として実現されてよい。したがって、PINに対する任意の参照は、1つまたは複数のPINおよび/またはプリペイドカードに対応してよいPIN追跡調査番号のような、あるいは類似した別のコードに対する参照となってもよい。
【0017】
活性化およびその他の関係する動作とトランザクション(後述されるようなカード非活性化、カード再貸付等)は、POSシステムによって販売時点でフォーマットされ、カードサービスプロバイダによる動作のために処理センタに伝送されるメッセージを含む、メッセージ通信方式を使用して、本発明の中で自動的に実行される。いったん活性化メッセージがカードサービスプロバイダ(例えば、市外通信事業者)によって受け取られると、適切な処理が開始し、応答メッセージが生成され、要求側POSシステムに送り返される。したがって、小売販売が完了した後、カード購入者は、電話サービスを得るために使用されてよい活性化されたカードを所有するだろう。本発明内で通信されるメッセージの種類が、下記に詳細に説明される。」

上記引用文献2の記載によると、引用文献2には、
「店舗の棚で陳列販売されるプリペイドテレホンカードは、そのまま使用できると、顧客、店員による盗難および不正使用を受けやすいという問題があったため、プリペイドテレホンカードを不活性な状態で陳列販売し、顧客によって使用される前に、カードプロセッサおよびサービスプロバイダ(例えば、市外通信事業者、プリペイドテレホンカードサービスプロバイダ等)に結合されているPOSシステムにより、プリペイドテレホンカードを活性化すること」(以下、「引用文献2記載事項」という。)が記載されている。

(3)引用文献Aについて
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献A(特開2010−026811号公報)の段落【0001】〜【0005】、【0008】、【0016】、【0019】、【0026】、【0038】、【0046】、【0078】、【0084】の記載によると、引用文献Aには、次のとおりの発明が記載されている。
「任意のICカードとの通信を行って所定のサービス処理を実行する複数のサービス端末と、該各サービス端末とオンライン接続されたサービス管理センタとからなり、前記各サービス端末が、前記実行したサービス処理に係るサービス履歴情報を前記ICカードに記憶すると共に該実行したサービス処理に係る明細情報を前記サービス管理センタへ送信し、該サービス管理センタが該明細情報に基づいて所定の一括処理を実行するシステムにおいて、
前記サービス端末は、
前記任意のICカードに対するサービス処理を実行する際、自端末がオフライン状態であるか否かを判定する判定手段と、
該判定手段によりオフライン状態であると判定された場合、該オフライン時に実行した前記サービス処理に係る前記明細情報、サービス履歴情報として第1のオフライン明細情報、オフライン・サービス履歴情報を生成して、該第1のオフライン明細情報を蓄積すると共に該オフライン・サービス履歴情報を前記ICカードに記憶するオフライン時サービス処理実行手段と、
前記オフライン状態からオンライン状態に復旧したときに、前記蓄積した第1のオフライン明細情報を前記サービス管理センタへ送信する送信手段と、
前記判定手段によりオフライン状態ではないと判定された場合、該ICカードに前記オフライン・サービス履歴情報が記憶されている場合には、該オフライン・サービス履歴情報に基づいて第2のオフライン明細情報を生成して前記サービス管理センタへ送信するオンライン時サービス処理実行手段とを有し、
前記サービス管理センタは、前記オフライン状態で実行されたサービス処理に関しては、前記第1のオフライン明細情報と前記第2のオフライン明細情報の両方を受信した場合に該明細情報に基づいて前記所定の一括処理を実行する一括処理実行手段を有する、
ICカードサービスシステム。」

(4)引用文献Bについて
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献B(特開2008−065408号公報)には、次のとおりの記載がある。
「【0052】
図8は同実施の形態におけるシステムの処理を示すシーケンス図である。カード使用者は、店舗で買い物をし、レジの店員にカードで支払う旨を伝える。店員は電子マネー決済制御装置1に決済金額等を入力する。ここでの入力は、店員により、POS(Point of Sales System)レジ(図示していない)に金額、カード支払いである等の情報、及びどの会社の決済を利用するかという決済種類情報を入力してもよい。この場合、POSレジは、入力後にこれらの情報を電子マネー決済制御装置1に送信する。」

(5)引用文献Cについて
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献C(特開昭63−39099号公報)には、次の事項が記載されている。
ICカードをICカードリーダ・ライタに電気的に接続し、ICカードに電圧を印加して活性化した後に初期化すると、ICカードは、カード自身が持つ属性をICカード・ライタを介して端末のコントロール部に与え、端末は、取り扱い可能なカードであることを判別できる。(第4頁左上欄第3〜17行)

(6)引用文献Dについて
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献D(国際公開第2000/46659号)には、次の事項が記載されている。
ICカードの活性化は、リーダライタ装置のコンタクト部を介して、ICカードのRST端子をLow、VCC端子を電源供給、I/O端子を受信モード(状態Z)、VPP端子を休止状態(VCC)、CLK端子を初期クロック供給にそれぞれセットすることにより行われる。(明細書第10頁第1〜4行)

第6 当審拒絶理由の理由3(進歩性)について
1 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比する。
ア 引用発明の「非接触IC媒体」は、本願発明1の「記憶値カード」に相当する。
引用発明の「リーダーライター装置」は、上位装置からの命令に基づいて、非接触IC媒体に書き込まれたデータを読み取ったり、非接触IC媒体に対してデータを書き込んだりするから、本願発明1と同様の「記憶値カード取引をローカルに処理する装置」であるといえる。
イ 引用発明の「リーダーライター装置」は、「レジスター等の上位装置との間でデータの送受を可能とする」から、本願発明1の選択的に記載された「小売ポイントオブセール(POS)またはホストに近接し」のうちの一方の「前記装置は、小売ポイントオブセール(POS)に近接し」ていることに相当する。
ウ 引用発明の「レジスター等の上位装置との間でデータの送受を可能とするインターフェイス部と、非接触IC媒体との間で非接触での無線データ通信を可能とする無線通信部」による上位装置と通信すること、及び、非接触IC媒体と通信することは、本願発明1の「前記POSおよび記憶値カードプロセッサと選択的に通信」することに相当する。
よって、引用発明の「レジスター等の上位装置との間でデータの送受を可能とするインターフェイス部」、「非接触IC媒体との間で非接触での無線データ通信を可能とする無線通信部」は、それぞれ、本願発明1の「前記POSとの選択的な通信を可能にするPOSインターフェース」、「前記記憶値カードプロセッサとの選択的な通信を可能にする記憶値カードプロセッサインターフェース」に相当する。
エ 引用発明の「コマンド(この例では、リードコマンド)」と本願発明1の「アクティブ化要求」とは、いずれも、ICカード(記憶値カード)の「処理要求」である点で共通する。
また、引用発明のリードコマンドに対し、リードした結果であるレスポンスデータを返信することと、本願発明1の「選択的な承認」とは、いずれも、処理要求に対する「処理」である点で共通する。
そして、引用発明の「リーダーライター装置」は、「CPU、RAM、ROM、不揮発性メモリなどからなるデータ処理部」を備え、引用発明の「リーダーライター装置」における、上位装置および非接触IC媒体との間で行われる各処理は、このデータ処理部が行っていることは明らかである。
以上によると、引用発明の「上位装置から所定のコマンド(この例では、リードコマンド)を発行するためのコマンド実行命令を受信し、このコマンド実行命令に応じて、非接触IC媒体に対して、リードコマンドを発行し、非接触IC媒体は、リードコマンドに応じた所定の処理を行った後、レスポンスデータを返信」する「データ処理部」と、本願発明1の「記憶値カードのアクティブ化要求に対する選択的な承認を可能にする処理モジュール」とは、「記憶値カードの処理要求に対する処理を可能にする処理モジュール」である点で共通する。

(2)一致点、相違点
上記(1)によると、本願発明1と引用発明とは、次の一致点、相違点を有する。
[一致点]
記憶値カード取引をローカルに処理する装置において、
前記装置は、小売ポイントオブセール(POS)に近接し、
前記装置は、前記POSおよび記憶値カードプロセッサと選択的に通信し、
前記装置は、
前記POSとの選択的な通信を可能にするPOSインターフェースと、
前記記憶値カードプロセッサとの選択的な通信を可能にする記憶値カードプロセッサインターフェースと、
記憶値カードの処理要求に対する処理を可能にする処理モジュールとを具備する、
装置。
[相違点1]
記憶値カードの処理要求が、本願発明1では、アクティブ化要求であるのに対し、引用発明では、リード又はライト要求であり、アクティブ化要求とは特定されていない点。
[相違点2]
記憶値カードの処理要求に対する処理が、本願発明1では、アクティブ化要求に対する選択的な承認であるのに対し、引用発明ではリード又はライトであり、承認ではない点。
[相違点3]
本願発明1が、「前記POSまたはホストと前記記憶値カードプロセッサとの通信がタイムアウトしない場合には、前記処理モジュールは、記憶値カードのアクティブ化要求に対する承認を行わずに、このような要求を前記記憶値カードプロセッサに通過させ、前記POSまたはホストと前記記憶値カードプロセッサとの通信がタイムアウトした場合には、前記処理モジュールは、記憶値カードのアクティブ化要求に対する承認をローカルに行う」のに対し、引用発明はそうではない点。

(3)判断
事案に鑑みて、[相違点3]について先に検討する。
引用文献2記載事項によれば、POSシステムにより、プリペイドテレホンカードを活性化することは、一般に行われている事項であるが、相違点3に係る構成を開示するものではなく、当該構成が本願優先日前において周知技術であったともいえない。
そして、当該構成により、本願発明1は、記憶カードの活性化の代理承認を行うことができるという作用効果を奏するものである。
したがって、本願発明1は、相違点1、2について検討するまでもなく、引用発明及び引用文献2記載事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

2 本願発明2〜7について
本願発明2〜7も、本願発明1の[相違点3]に係る構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、引用発明及び引用文献2記載事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

第7 当審拒絶理由の理由1(サポート要件)、理由2(明確性)について
1 理由1 特許法第36条第6項第1号(サポート要件)について
令和3年12月27日にされた補正により、請求項1の記載は、「前記POSまたはホストと前記記憶値カードプロセッサとの通信がタイムアウトしない場合」、「前記POSまたはホストと前記記憶値カードプロセッサとの通信がタイムアウトした場合」と補正されたことにより、明細書の段落【0025】〜【0028】に記載されたものとなった。
よって、当審拒絶理由の理由1は解消された。

2 理由2 特許法第36条第6項第2号明確性)について
補正前の請求項1に記載された「記憶値カードプロセッサとの通信」は、令和3年12月27日にされた補正により、「前記POSまたはホストと前記記憶値カードプロセッサとの通信」であることが明らかになった。
よって、本願発明1〜7は明確であり、当審拒絶理由の理由2は解消された。

第8 原査定の理由について
1 理由1 特許法第37条(単一性)について
拒絶査定時の請求項10〜15は、審判請求時の補正により削除されたから、本願は特許法第37条の発明の単一性の要件を満たしている。

2 理由2 特許法第36条第6項第2号明確性)について
請求項2の記載は、「メモリ中に記憶されているデータを更新する」であるから、明確である。
よって、拒絶査定の拒絶の理由2は解消された。

3 理由3 特許法第29条第2項進歩性)について
令和3年12月27日にされた補正により、本願発明1〜7は「前記POSまたはホストと前記記憶値カードプロセッサとの通信がタイムアウトしない場合には、前記処理モジュールは、記憶値カードのアクティブ化要求に対する承認を行わずに、このような要求を前記記憶値カードプロセッサに通過させ、前記POSまたはホストと前記記憶値カードプロセッサとの通信がタイムアウトした場合には、前記処理モジュールは、記憶値カードのアクティブ化要求に対する承認をローカルに行う」という事項を有するものとなっており、拒絶査定において引用された引用文献A〜Dに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

4 上記1〜3のとおり、原査定の理由を維持することはできない。

第9 むすび
以上のとおり、原査定の理由及び当審拒絶理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2022-06-14 
出願番号 P2018-526193
審決分類 P 1 8・ 537- WY (G06Q)
P 1 8・ 121- WY (G06Q)
P 1 8・ 65- WY (G06Q)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 渡邊 聡
特許庁審判官 中野 浩昌
高瀬 勤
発明の名称 ローカル取引認可のためのネットワークブリッジ  
代理人 飯野 茂  
代理人 金子 早苗  
代理人 河野 直樹  
代理人 野河 信久  
代理人 蔵田 昌俊  
代理人 井上 正  
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