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審決分類 審判 査定不服 特17 条の2 、4 項補正目的 取り消して特許、登録 A23L
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 A23L
管理番号 1385535
総通号数
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2022-07-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-07-17 
確定日 2022-06-21 
事件の表示 特願2015−243521「茶飲料、茶飲料のおいしさの向上方法、茶飲料の苦み又は渋みの抑制方法、及び茶飲料の甘さの向上方法」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 6月22日出願公開、特開2017−108643、請求項の数(7)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯

本願は、平成27年12月14日の出願であって、令和 1年 9月17日付の拒絶理由の通知に対し、同年11月14日に意見書が提出されるとともに手続補正がなされたが、令和 2年 5月 1日付で拒絶査定がなされ、これに対して同年 7月17日に審判の請求がなされると同時に手続補正がなされ、同年10月 9日に上申書が提出されたものである。

第2 令和 2年 7月17日にされた手続補正についての補正の却下の決定

[補正の却下の決定の結論]
令和 2年 7月17日にされた手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 本件補正について(補正の内容)
(1) 本件補正後の特許の範囲の請求項1の記載
本件補正における特許請求の範囲の補正は、請求項1についての次の補正事項を含む。(下線部は、補正箇所である。)
「焙煎麦の抽出液を含み、
前記抽出液に含まれる全グルコース単位のうちの、単糖類又は二糖類からなる低分子糖と、該低分子糖以外のグルコース単位である高分子糖とについて、(A)飲料10mlあたりの全グルコース単位、及び(B)飲料10mlに対してエタノールを90ml加えた後に、10000rpm、20分の条件で遠心分離を行うことにより得られる沈殿物中のグルコース単位が、以下の(a)の条件を満たし、
(C)飲料中の可溶性固形分量(質量%)、及び(D)飲料中のポリフェノール量(質量%)が、以下の(b)の条件を満たす、
茶飲料。
(a)[(A)−(B)]/(A)=0.070〜0.150
(b)(D)/(C)×100=0.5〜2.7」

(2) 本件補正前の特許請求の範囲の請求項1の記載
本件補正前の、令和 1年11月14日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲のうち、請求項1の記載は次のとおりである。
「(A)飲料10mlあたりの全グルコース単位、(B)飲料10mlに対してエタノールを90ml加えた後に、10000rpm、20分の条件で遠心分離を行うことにより得られる沈殿物中のグルコース単位、(C)飲料中の可溶性固形分量(質量%)、及び(D)飲料中のポリフェノール量(質量%)が、以下の(a)及び(b)の条件を満たし、かつ、焙煎麦の抽出液を含む、茶飲料。
(a)[(A)−(B)]/(A)=0.070〜0.150
(b)(D)/(C)×100=0.5〜2.7」

2 補正の適否
本件補正のうち、請求項1についての補正は、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するための事項のうち、「焙煎麦の抽出液を含」むことを冒頭に記載するとともに、「(A)飲料10mlあたりの全グルコース単位、及び(B)飲料10mlに対してエタノールを90ml加えた後に、10000rpm、20分の条件で遠心分離を行うことにより得られる沈殿物中のグルコース単位」が(a)の条件を満たすとの特定に、「前記抽出液に含まれる全グルコース単位のうちの、単糖類又は二糖類からなる低分子糖と、該低分子糖以外のグルコース単位である高分子糖とについて、」との特定を補足することを含む。
しかしながら、「前記抽出液に含まれる全グルコース単位のうちの、単糖類又は二糖類からなる低分子糖と、該低分子糖以外のグルコース単位である高分子糖とについて、(A)飲料10mlあたりの全グルコース単位、及び(B)飲料10mlに対してエタノールを90ml加えた後に、10000rpm、20分の条件で遠心分離を行うことにより得られる沈殿物中のグルコース単位が、以下の(a)の条件を満たし、」との記載は、「抽出液」に含まれる「低分子糖」と「高分子糖」について特定するかの表現であるにもかかわらず、(A)及び(B)は「飲料10ml」についての特定であるから、「前記抽出液に含まれる全グルコース単位のうちの、単糖類又は二糖類からなる低分子糖と、該低分子糖以外のグルコース単位である高分子糖とについて、」との記載は、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である(A)及び(B)について限定を付加するもの、すなわち、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲を減縮を目的とするものではない。
また、請求項の削除、誤記の訂正、明りょうでない記載の釈明(拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてするものに限る)のいずれにもあたらないことは明らかである。

なお、審判請求人は、審判請求書において、「明りょうでない記載の釈明」を目的とする補正に該当するものである旨主張する(審判請求書第3 2.オ.)。
しかし、本件補正後の請求項1は、上記のとおり、「前記抽出液に含まれる全グルコース単位のうちの、単糖類又は二糖類からなる低分子糖と、該低分子糖以外のグルコース単位である高分子糖とについて、」と、「抽出液」に含まれる「低分子糖」と「高分子糖」に関して特定するかの記載であるにも関わらず、続いて、特定される事項(A)及び(B)は「飲料10ml」についての記載であって、「抽出液」についてのものではないから、結局のところ、「前記抽出液に含まれる全グルコース単位のうちの、単糖類又は二糖類からなる低分子糖と、該低分子糖以外のグルコース単位である高分子糖とについて、」との記載を付加することにより何を特定しようとしているのか「明りょうでない記載」となっているものといえる。
よって、審判請求人の上記主張は採用できない。

3 本件補正についての結び
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項に規定する要件を満たしていないものであるから、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 判断

令和 2年 7月17日にされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし7に係る発明は、令和 1年11月14日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし7に記載された事項により特定されるものである。
そして、本願については、原査定の拒絶理由を検討しても、その理由によって拒絶すべきものとすることはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。

 
審決日 2022-06-09 
出願番号 P2015-243521
審決分類 P 1 8・ 121- WY (A23L)
P 1 8・ 57- WY (A23L)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 須藤 康洋
特許庁審判官 植前 充司
大島 祥吾
発明の名称 茶飲料、茶飲料のおいしさの向上方法、茶飲料の苦み又は渋みの抑制方法、及び茶飲料の甘さの向上方法  
代理人 正林 真之  

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