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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G02B
管理番号 1385548
総通号数
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2022-07-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-08-07 
確定日 2022-03-24 
事件の表示 特願2016−556660「光学部品」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 5月 6日国際公開、WO2016/068297〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 事案の概要
1 手続等の経緯
特願2016−556660号(以下「本件出願」という。)は、2015年(平成27年)10月30日(先の出願による優先権主張:平成26年10月30日)を国際出願日とする出願であって、その手続等の経緯の概要は、以下のとおりである。

平成31年 2月 5日付け:拒絶理由通知書
平成31年 4月11日付け:意見書・手続補正書
令和 元年 9月19日付け:拒絶理由通知書
令和 元年11月22日付け:意見書・手続補正書
令和 2年 4月24日付け:拒絶査定
令和 2年 8月 7日付け:審判請求書
令和 2年 8月 7日付け:手続補正書
令和 3年 4月30日付け:拒絶理由通知書
令和 3年 7月 9日付け:意見書・手続補正書
令和 3年 8月19日付け:拒絶理由通知書
令和 3年10月21日付け:意見書
令和 3年10月21日付け:手続補正書

2 本願発明
本件出願の請求項1に係る発明は、令和3年10月21日にした手続補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項によって特定されるとおりの、次のものである(以下「本願発明」という。)。
「 【請求項1】
屋外において使用され、かつレンズを保護する保護窓を備えていない赤外線検出機器用の光学部品であって、
レンズと、
前記レンズの入射面の少なくとも一部を直接被覆するダイヤモンドライクカーボン膜と、
のみからなり、
前記レンズは、両凸レンズであり、
前記レンズは、平面視において円形のレンズであり、
前記レンズは、レンズ中心における厚みが1mm以上11mm以下、レンズ径が2mm以上50mm以下およびレンズ中心における曲率が−0.5mm-1以上0.5mm-1以下であり、
前記レンズの材料は、硫化亜鉛であり、
前記レンズは、10GPa以上200GPa以下のヤング率を有し、
前記レンズは、10MPa以上300MPa以下の曲げ強度を有し、
前記レンズは、2.0g/cm3以上5.5g/cm3以下の密度を有し、
前記レンズは、回折レンズであり、
前記回折レンズは、その表面のうち光学有効領域内の、面粗さRaの平均値が0.05μm以下であり、かつ前記面粗さRaの最大値と最小値との差が0.04μm以下であり、
前記レンズは、前記レンズ中心における厚みと、前記レンズ中心におけるレンズ径とが、下記式(A)の関係を示す、
レンズ径(mm)≦20×厚み(mm)−50 (A)
光学部品。」

3 令和3年8月19日付け拒絶理由通知書により当合議体が通知した拒絶の理由
令和3年8月19日付け拒絶理由通知書により当合議体が通知した拒絶の理由は、請求項1に係る発明は、先の出願前に日本国内又は外国において電気回線を通じて利用可能となった発明に基づいて、先の出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない、という理由を含む。

引用文献5:国際公開第2012/128385号
引用文献1:特開2009−63942号公報
引用文献2:特開2008−268281号公報
引用文献3:上野友之,他7名,「遠赤外線カメラ用途のZnSレンズの開発」,SEIテクニカルレビュー,2009年7月,第175号,p.50〜56
引用文献4:「耐環境型遠赤外線カメラ用ZnSレンズ」,SEIテクニカルレビュー,2010年7月,第177号,p.134〜136
(当合議体注:引用文献5は主引用例である。また、引用文献1〜4は周知技術を例示するための文献である。)

第2 当合議体の判断
1 引用文献5の記載及び引用発明
(1)引用文献5の記載
令和3年8月19日付け拒絶理由通知書により当合議体が通知した拒絶の理由に引用された引用文献5(国際公開第2012/128385号)は、先の出願前に日本国内又は外国において電気回線を通じて利用が可能となった発明が記載されたものであるところ、そこには、以下の記載がある。

ア 「技術分野
[0001] 本発明は、硫化亜鉛焼結体および光学部材、ならびにその製造方法に関し、特に、高い透過率を有する硫化亜鉛焼結体および光学部材、ならびにその製造方法に関する。
背景技術
[0002] 近年の赤外線を利用したセンサー技術の進展等に伴い、赤外線に対して用いられるレンズ、ウィンドウなどの光学部材の開発が進められており、このような光学部材の素材として、硫化亜鉛からなる硫化亜鉛焼結体が注目されている。一般的に、光学部材の基材となる硫化亜鉛焼結体は、硫化亜鉛粉末を所定の形状に成形した後、これを加圧焼結することによって製造される(たとえば、特許文献1)。
[0003] 現在、硫化亜鉛焼結体の光学特性の向上や製造コストの低減、製造効率の向上を目的として、様々な検討がなされている。たとえば、特許文献2には、硫化亜鉛粉末を成形して焼結した後、形成された焼結体を変形させることによって、目的の形状を有する硫化亜鉛焼結体を製造する方法が提案されている。
・・・中略・・・
発明が解決しようとする課題
[0005] しかしながら、いずれの製造方法においても、複数の製造工程を含むため、硫化亜鉛焼結体は、不純物の混入が起こり易い傾向にある。特に、硫化亜鉛焼結体は、波長8μm以上14μm以下の光を透過させることができるが、硫化亜鉛焼結体にわずかに不純物が混入しただけでも、透過率が低下したり、上記波長領域における各波長での透過率がばらついたりする傾向にある。このため、優れた光学特性を有する硫化亜鉛焼結体を歩留まりよく製造するのは困難であるのが実情である。
[0006] したがって、本発明の目的は、波長8μm以上14μm以下の赤外線を透過する際に、高い透過率を有する硫化亜鉛焼結体および光学部材、ならびにその製造方法を提供することにある。
課題を解決するための手段
[0007] 本発明者らは、硫化亜鉛焼結体における波長8μm以上14μm以下の赤外線の透過率を観察したところ、12μm近傍において、透過率が大きく低下する波長領域があることを知見した。そして、この波長近傍における赤外線の透過率を所定値以上とすることにより、波長8μm以上14μm以下の赤外線に対して、透過率のばらつきが少なく、高い透過率を有する硫化亜鉛焼結体を提供しうることを見出し、これに基づいて本発明の完成に至った。
[0008] すなわち、本発明は、硫化亜鉛の原料粉末を焼結してなる硫化亜鉛焼結体であって、厚さが3mmで、対向する両表面の中心線平均粗さ(Ra)が20nm以下の前記硫化亜鉛焼結体について、一方の表面から入射して他方の表面から出射する波長11.5μm以上12.5μm以下の赤外線の透過率が50%以上である、硫化亜鉛焼結体を提供する。本発明において、硫化亜鉛焼結体は、好ましくは、硫化亜鉛粉末を成形した成形体を予備焼結することにより得られる予備焼結体を、対向する一対の押圧部材で加圧焼結することにより得られる。」

イ 「発明を実施するための形態
・・・中略・・・
[0017] <実施の形態1:硫化亜鉛焼結体>
・・・中略・・・
[0025] また、硫化亜鉛焼結体は多結晶体であり、平均粒径が0.1μm〜10μmであることが好ましい。平均粒径は、大径粒子による機械的強度の低下を抑制するために、10μm以下であることが好ましく、さらには5μm以下がより好ましい。この場合、硫化亜鉛焼結体の機械的強度は高く、レンズまたは窓材などの光学部材として、屋外または振動もしくは衝撃の多い環境下で使用しても、表面に傷がつきにくく、耐久性が高い。一方、平均粒径は、原料コストを抑える観点から、0.1μm以上が好ましく、1μm以上がより好ましい。硫化亜鉛焼結体の平均粒径は、走査型電子顕微鏡を用いて倍率5000倍で硫化亜鉛焼結体を撮影し、撮影した写真を用いて、任意の20μmの線分上にある結晶の個数を数え、各5本の線分について、粒径の平均値を算出することによって知ることができる。
・・・中略・・・
[0034] <実施の形態2:光学部材>
以下に、実施の形態2における、赤外線を透過する光学部材について説明する。
[0035] 本実施の形態において、光学部材は上述の硫化亜鉛焼結体を有する。たとえば、光学部材が硫化亜鉛焼結体そのものであってもよく、また、硫化亜鉛焼結体の赤外線が入射または出射される表面の少なくとも一方に反射防止膜を設けた構造であってもよい。反射防止膜としては、たとえば、酸化物薄膜、フッ化物薄膜など、公知の薄膜を用いることができる。さらには、光学部材は、複数の硫化亜鉛焼結体を組み合わせて(たとえば貼り合わせて)構成されたものであっても良い。
・・・中略・・・
[0037] 実施の形態2における赤外線を透過する光学部材の用途としては、物体の表面温度を非接触で測定する表面温度計、地球上の資源分布を上空から検知する資源探査システム、暗視野中で物体を検知する装置、人体検知用センサー、人体検知用センサーとして利用したセキュリティーシステム、ガス分析装置等に組み込まれる光学的な機能を果たす部材、たとえば、窓材、レンズ等の種々の光学部材として利用することができる。
・・・中略・・・
[0038] <実施の形態3:硫化亜鉛焼結体の製造方法>
以下に、図3を参照して、実施の形態3における硫化亜鉛焼結体の製造方法を説明する。
[0039] (原料粉末準備工程)
・・・中略・・・
[0041] (成形工程)
次に、図3のステップS2において、準備した原料粉末を成形して成形体を作製する。成形体の作製に使用する金型の材質は超硬、工具鋼、セラミクス等から適宜選択することが出来る。また、成形体を作製するプレス機は1軸であってもよく複数軸を有した複雑形状を作製可能な機械であっても良い。前記プレス機を用いて硫化亜鉛粉末をプレス成形して所定の形状に成形する。ここでいう所定の形状とは、円柱、角柱、球といった単純形状のものや、上下面が平面の他に曲率を有する部位を含む円柱または角柱であっても良い。
[0042] (予備焼結工程)
・・・中略・・・
[0049] (加圧焼結工程)
・・・中略・・・
[0055] 以上の工程を経て製造された硫化亜鉛焼結体は、様々な窓やレンズ形状といった最終形状に形成され、且つ、硫化亜鉛粉末を成形した成形体を予備焼結することにより得られる予備焼結体を、対向する一対の押圧部材で加圧焼結を行うことにより得られた硫化亜鉛焼結体であるため、これをそのまま光学部材とすることができる。また、製造された硫化亜鉛焼結体に仕上げ加工を行なって、光学部材としても良い。仕上げ加工として、たとえば、硫化亜鉛焼結体の表面に反射防止膜を形成することができる。また、硫化亜鉛焼結体の外周部に機械加工を施しても良い。複数のレンズ形状を1枚の板上に形成した場合は適宜切断を行っても良い。
・・・中略・・・
[0059] また、真空圧下で焼結する際の各種条件のぶれによって、硫化亜鉛焼結体の光学特性がばらつく場合があったが、真空圧状態を経ないように予備焼結体を作製することにより、製造される硫化亜鉛焼結体間での透過率のばらつきを抑制することができるため、優れた光学特性を有する硫化亜鉛焼結体を歩留まりよく製造することができる。原料粉末準備工程から加圧焼結工程において、保管用ケース、袋、搬送用トレイやふるいなどから珪素の混入を低減すべく珪素を使用しない材料を用いるのが好ましい。」

ウ 「実施例
[0060] 以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[0061] (実施例1)
酸素含有量および珪素含有量を十分に低く調節した硫化亜鉛粉末(酸素含有量:2質量%、珪素含有量:1ppm)を作製し、さらに、酸素含有量および珪素含有量に十分に注意しながら、一般的に用いられる、保管ケース、ふるいを用いて、平均粒径が1.5μmの硫化亜鉛粉末を準備した。なお、分粒処理前の硫化亜鉛粉末の酸素含有量は、不活性ガス融解−熱伝導度法を用いて測定し、珪素含有量は、プラズマ発光分光分析を用いて測定した。そして、一軸式金型プレス(冷間プレス)により準備した硫化亜鉛粉末に98MPaの圧力を加圧し、直径20mm、厚さ5mmの円板形状の成形体を12個作製した。
[0062] 次に、作製した12個の成形体を焼結炉内に配置し、焼結炉内を減圧して真空圧(15Pa以下)に制御した後、成形体を700℃で3時間予備焼結した。予備焼結体の一部をサンプルとして採取して寸法密度測定を行ったところ、その相対密度は55%であった。
[0063] 次に、超硬合金にダイヤモンド状カーボンがコーティングされた素材からなり、鏡面研磨された拘束面を有する1対の型(上型および下型)の間であって下型の表面上に作製した予備焼結体を配置した。そして、予備焼結体が1000℃となるように加熱しながら上型を押し下げて予備焼結体を加圧し、予備焼結体の温度が1000℃となり、予備焼結体に加えられる圧力が35MPaとなってから、その状態で5分間保持した。以上のプロセスにより、直径20mm、厚さ3mmの硫化亜鉛焼結体を12個作製した。得られた硫化亜鉛焼結体の対向する両表面の中心線平均粗さ(Ra)は、全て20nm以下であった。得られた焼結体の相対密度は99.7%であった。
[0064] 本実施例1では、通常の工場に求められる環境よりもさらにクリーンな環境下で、また、処理工程中に硫化亜鉛焼結体に酸素や珪素が混入しないように細心の注意を払った上で作業が行なわれた。
・・・中略・・・
[0066] (特性評価)
実施例1および比較例1で得られた硫化亜鉛焼結体について、それぞれの一部をサンプルとして採取し、各サンプルを低温(100℃以上200℃以下の真空条件下)で加熱処理してから、不活性ガス融解−熱伝導度法によって酸素含有量を測定し、実施例1および比較例1おける平均値を算出した。また、各硫化亜鉛焼結体から採取した各サンプルに塩酸および硝酸を加え、180℃で12時間圧力溶解させた後、ICP発光分析によって珪素含有量を測定し、実施例1および比較例1における平均値を算出した。各結果を表1に示す。
[0067] また、日本分光株式会社製のFT−IRを用いて、各硫化亜鉛焼結体の厚み方向に波長8μm以上14μm以下の赤外線を照射して、各波長の赤外線の透過率を測定して各波長の赤外線の透過率を算出した。この結果を図4に示す。さらに、波長8μm以上14μm以下の赤外線に対する透過率を波長0.2μmピッチで平均して平均透過率を算出した。また、実施例1および比較例1において、硫化亜鉛焼結体毎の平均透過率のばらつき(標準偏差)を算出した。各結果を表1に示す。
[0068][表1]

[0069] 図4を参照するとわかるように、実施例1の硫化亜鉛焼結体は、波長11.5μm以上12.5μm以下の赤外線の透過率の最小値が50%を超えているのに対して、比較例1の硫化亜鉛焼結体は、波長11.5μm以上12.5μm以下の赤外線の透過率の最小値が50%未満であった。また、表1を参照して、実施例1の硫化亜鉛焼結体における酸素含有量および珪素含有量はそれぞれ200ppmおよび2ppmであったのに対し、比較例1における酸素含有量および珪素含有量は300ppmおよび7ppmであった。
[0070] 図4を参照するとわかるように、実施例1の硫化亜鉛焼結体は、比較例1の硫化亜鉛焼結体よりも、波長8μm以上14μm以下の赤外線に対して高い透過率を有しており、表1に示されるように、この波長領域における平均透過率も高く、実施例1の硫化亜鉛焼結体は、比較例1の硫化亜鉛焼結体よりも優れた光学特性を有するものであった。また、各硫化亜鉛焼結体間の光学特性のばらつきも、実施例1の方が比較例1よりも小さかった。
[0071] (実施例2)
実施例1と同様の硫化亜鉛粉末(酸素含有量:2質量%、珪素含有量:1ppm)を作製し、素材に珪素を含むふるいを用いて平均粒径が1.5μmの硫化亜鉛粉末を準備した。そして、一軸式金型プレス(冷間プレス)により準備した硫化亜鉛粉末に98MPaの圧力を加圧し、直径20mm、厚さ5mmの円板形状の成形体を30個作製した。
[0072] 次に、作製した30個の成形体を焼結炉内に配置し、焼結炉内に窒素ガスを導入して焼結炉内を非酸化性雰囲気とし、焼結炉内の圧力を大気圧(100kPa)にした状態で、成形体を800℃で5時間予備焼結した。予備焼結体の一部をサンプルとして採取して分析寸法密度測定を行ったところ、その相対密度は60%であった。
[0073] 次に、ガラス状カーボン素材からなり、鏡面研磨された拘束面を有する1対の型(上型および下型)の間であって下型の表面上に作製した予備焼結体を配置した。そして、予備焼結体が1000℃となるように加熱しながら上型を押し下げて予備焼結体を加圧し、予備焼結体の温度が1000℃となり、予備焼結体に加えられる圧力が35MPaとなってから、その状態で400秒間保持した。以上のプロセスにより、直径20mm、厚さ3mmの硫化亜鉛焼結体を30個作製した。得られた硫化亜鉛焼結体の対向する両表面の中心線平均粗さ(Ra)は、全て20nm以下であった。得られた焼結体の相対密度は99.8%であった。
・・・中略・・・
[0075] (特性評価)
実施例2および3における硫化亜鉛焼結体の製造方法によって製造された硫化亜鉛焼結体について、一部をサンプルとして採取し、実施例1と同様の方法により、酸素含有量、珪素含有量を測定し、また、波長8μm以上14μm以下の光の透過率を測定した。各種結果を表2および図4に示す。
[0076]
[表2]

[0077] 図4からわかるように、実施例2および3において製造された硫化亜鉛焼結体において、波長11.5μm以上12.5μm以下の赤外線に対する透過率の最小値は60%以上であった。また、表2からわかるように、実施例2および3において製造された硫化亜鉛焼結体の酸素含有量は100ppmであった。結果的に、図4からわかるように、実施例1よりも波長8μm以上14μm以下の赤外線に対する透過率が高く、表2に示されるように、この波長領域における平均透過率も高く、実施例2,3の硫化亜鉛焼結体は、実施例1の硫化亜鉛焼結体よりも優れた光学特性を有するものであった。これは、実施例2および3の硫化亜鉛焼結体の製造方法において、成形体を常圧で予備焼結したことにより、硫化亜鉛焼結体中の亜鉛酸化物の含有量が低下し、光学特性の優れた硫化亜鉛焼結体を製造することができたものと考えられる。
[0078] また実施例2および3において製造された複数の硫化亜鉛焼結体間でのばらつきは、実施例1の硫化亜鉛焼結体間でのばらつきよりも小さいことがわかった。これは、真空圧下での予備焼結を行なわず、大気圧下での予備焼結を行なったことにより、亜鉛酸化物の生成が抑制され、製造された予備焼結体間での光学特性のばらつきが少なくなったためと考えられる。
[0079] また、表2を参照し、実施例2で製造された硫化亜鉛焼結体における珪素含有量が2ppmであるのに対し、実施例3で製造された硫化亜鉛焼結体における珪素含有量は1ppmであった。これは、実施例3の分粒処理において、素材に珪素を含まないふるいを用いたためと考えられる。
[0080] 以上の実施例1〜3を参照し、実施例2では、予備焼結を大気圧下で行なうことによって、さらに高い透過率を有する硫化亜鉛焼結体を製造することができ、実施例3では、さらに素材に珪素を含まないふるいを用いて分粒処理を行なうことによって、さらに高い透過率を有する硫化亜鉛焼結体を製造できることがわかった。すなわち、実施例2および3において、簡便に、高い歩留まりで、高品質、かつ品質が均一な硫化亜鉛焼結体を製造できることが理解された。
[0081] (実施例4および5)
加圧焼結において、実施例2および3で用いた1対の型とは異なる形状の型を用いた以外は、実施例2および3のそれぞれと同様の方法により、硫化亜鉛焼結体を製造した。製造された硫化亜鉛焼結体は、外径20.3mm、最大厚み4.3mm、および曲率半径21.4mmの両凸形状を有していた。
[0082] 実施例4および5の硫化亜鉛焼結体において、波長8μ以上14μm以下の光に対する波長の透過率を測定したところ、実施例2および3と同様の傾向を示した。また、実施例2および3の各硫化亜鉛焼結体に反射防止膜をコートしても、その傾向に変化はなかった。」

エ 「[請求項1]
硫化亜鉛粉末を焼結してなる硫化亜鉛焼結体であって、
厚さ3mmで、対向する両表面の中心線平均粗さ(Ra)が20nm以下の前記硫化亜鉛焼結体について、一方の表面から入射して他方の表面から出射する波長11.5μm以上12.5μm以下の赤外線の透過率が50%以上である、硫化亜鉛焼結体。
・・・中略・・・
[請求項8]
硫化亜鉛粉末が焼結してなり、厚さ3mmで、対向する両表面の中心線平均粗さ(Ra)が20nm以下であり、且つ、一方の表面から入射して他方の表面から出射する波長11.5μm以上12.5μm以下の赤外線の透過率が50%以上である硫化亜鉛焼結体を含む、赤外線を透過する光学部材。
・・・中略・・・
[請求項12]
硫化亜鉛粉末を加圧成形して成形体を作製する成形工程と、
前記成形体を非酸化性雰囲気で予備焼結して予備焼結体を作製する工程と、
前記予備焼結体を加圧焼結して硫化亜鉛焼結体を得る工程とを有し、
厚さ3mmで、対向する両表面の中心線平均粗さ(Ra)が20nm以下の前記硫化亜鉛焼結体について、一方の表面から入射して他方の表面から出射する波長11.5μm以上12.5μm以下の赤外線の透過率が50%以上である、硫化亜鉛焼結体の製造方法。」

オ 「[図1]



カ 「[図4]



(2)引用文献5に記載された発明
ア 引用実施例2発明
引用文献5の[0071]〜[0073]には、実施例2として、次の「硫化亜鉛焼結体」の発明(以下「引用実施例2発明」という。)が記載されている。
「硫化亜鉛粉末(酸素含有量:2質量%、珪素含有量:1ppm)を作製し、平均粒径が1.5μmの硫化亜鉛粉末を準備し、一軸式金型プレス(冷間プレス)により準備した硫化亜鉛粉末に98MPaの圧力を加圧し、直径20mm、厚さ5mmの円板形状の成形体を作製し、
次に、作製した成形体を焼結炉内に配置し、焼結炉内に窒素ガスを導入して焼結炉内を非酸化性雰囲気とし、焼結炉内の圧力を大気圧(100kPa)にした状態で、成形体を800℃で5時間予備焼結し、
次に、鏡面研磨された拘束面を有する1対の型(上型および下型)の間であって下型の表面上に作製した予備焼結体を配置し、予備焼結体が1000℃となるように加熱しながら上型を押し下げて予備焼結体を加圧し、予備焼結体の温度が1000℃となり、予備焼結体に加えられる圧力が35MPaとなってから、その状態で400秒間保持し、以上のプロセスにより、直径20mm、厚さ3mmの硫化亜鉛焼結体を作製し、得られた硫化亜鉛焼結体の対向する両表面の中心線平均粗さ(Ra)は、20nm以下であり、相対密度は99.8%である、
硫化亜鉛焼結体。」

イ 引用発明
また、引用文献5の[0081]には、実施例4として、「外径20.3mm、最大厚み4.3mm、および曲率半径21.4mmの両凸形状を有」する、「硫化亜鉛焼結体」が記載されている。
また、引用文献5の[0081]及び[0082]の記載によれば、上記「硫化亜鉛焼結体」は、「実施例2」「で用いた1対の型とは異なる形状の型を用いた以外は、実施例2」「と同様の方法により硫化亜鉛焼結体を製造した」ものである。ここで、引用文献5の[0073]の記載から、実施例2で用いた上記型は、引用実施例2発明の「鏡面研磨された拘束面を有する1対の型」に他ならない。
そして、引用文献5の[0002]、[0035]及び[0037]の記載によれば、上記「硫化亜鉛焼結体」は、「赤外線を透過」し、「暗視野中で物体を検知する装置、人体検知用センサー、人体検知用センサーとして利用したセキュリティーシステム」「等に組み込まれる」「レンズ」「として利用することができる」。
以上総合すると、引用文献5には、次の「硫化亜鉛焼結体」の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。

「引用実施例2発明の「鏡面研磨された拘束面を有する1対の型」とは異なる形状の型を用いた以外は、引用実施例2発明と同様の方法により製造した硫化亜鉛焼結体であって、
外径20.3mm、最大厚み4.3mm、および曲率半径21.4mmの両凸形状を有し、
赤外線を透過し、暗視野中で物体を検知する装置、人体検知用センサー、人体検知用センサーとして利用したセキュリティーシステム等に組み込まれるレンズとして利用することができる、
硫化亜鉛焼結体。」

2 対比及び判断
(1)対比
本願発明と引用発明を対比すると、以下のとおりとなる。
ア レンズ
引用発明の「硫化亜鉛焼結体」は、「両凸形状を有」し、「レンズとして利用できる」ものである。
そうしてみると、引用発明の「硫化亜鉛焼結体」は、実質的にみて、本願発明において、「両凸レンズであり」とされる、「レンズ」に相当する。

また、引用発明の「硫化亜鉛焼結体」が、本願発明の「レンズ」における、「平面視において円形のレンズであり」との要件を満たすことは技術的にみて自明である。

イ 材料、厚み、レンズ径、曲率及び式(A)
引用発明の「硫化亜鉛焼結体」は、「外径20.3mm、最大厚み4.3mm、および曲率半径21.4mmの両凸形状を有」する。ここで、引用発明の「外径」が、レンズの直径を意味すること及び引用発明の「曲率半径」の逆数が曲率であることは当業者に明らかである。
以上の点及び上記アの対比結果から、引用発明の「硫化亜鉛焼結体」は、本願発明の「レンズ」における、「前記レンズの材料は、硫化亜鉛であり」、「前記レンズは、レンズ中心における厚みが1mm以上11mm以下、レンズ径が2mm以上50mm以下およびレンズ中心における曲率が−0.5mm-1以上0.5mm-1以下であり」及び「前記レンズは、前記レンズ中心における厚みと、前記レンズ中心におけるレンズ径とが 、下記式(A)の関係を示す、
レンズ径(mm)≦20×厚み(mm)−50 (A)」との要件を満たす。

ウ 光学部品
引用発明の「硫化亜鉛焼結体」は、「赤外線を透過し、暗視野中で物体を検知する装置、人体検知用センサー、人体検知用センサーとして利用したセキュリティーシステム等に組み込まれるレンズとして利用することができる」。ここで、上記「赤外線を透過し、暗視野中で物体を検知する装置」は、赤外線検出機器に該当し、これに「組み込まれるレンズ」は、光学部品といえる。
したがって、引用発明の「硫化亜鉛焼結体」は、本願発明の「光学部品」に相当し、「レンズ」「からなり」「赤外線検出機器用の」という要件を満たす。

(2)一致点及び相違点
ア 一致点
本願発明と引用発明は、次の点で一致する。
「赤外線検出機器用の光学部品であって、
レンズからなり、
前記レンズは、両凸レンズであり、
前記レンズは、レンズ中心における厚みが1mm以上11mm以下、レンズ径が2mm 以上50mm以下およびレンズ中心における曲率が−0.5mm-1以上0.5mm-1以下であり、
前記レンズの材料は、硫化亜鉛であり、
前記レンズは、前記レンズ中心における厚みと、前記レンズ中心におけるレンズ径とが、下記式(A)の関係を示す、
レンズ径(mm)≦20×厚み(mm)−50 (A)
光学部品。」

イ 相違点
本願発明と引用発明は、次の点で相違する。
(相違点1)
「レンズ」が、本願発明では、「平面視において円形のレンズであり」、「10GPa以上200GPa以下のヤング率を有し、」「10MPa以上300MPa以下の曲げ強度を有し」及び「2.0g/cm3以上5.5g/cm3以下の密度を有し」ているのに対して、引用発明では、平面視における形状、ヤング率、曲げ強度及び密度が明らかでない点。

(相違点2)
本願発明では、「レンズの入射面の少なくとも一部」が、「直接被覆するダイヤモンドライクカーボン膜」「を備え」、「光学部品が」が「レンズと、」「ダイヤモンダライクカーボン膜と、のみからな」るのに対して、引用発明は、ダイヤモンドライクカーボン膜を具備していない点。

(相違点3)
「光学部品」が、本願発明は、「屋外において使用され、かつレンズを保護する保護窓を備えていない」のに対して、引用発明では、このように特定されていない点。

(相違点4)
「レンズ」が、本願発明は、「回折レンズであり、前記回折レンズは、その表面のうち光学有効領域内の、面粗さRaの平均値が0.05μm以下であり、かつ前記面粗さRaの最大値と最小値との差が0.04μm以下である」のに対して、引用発明は、回折レンズではない点。

(3)判断
ア 相違点1について
引用発明の「硫化亜鉛焼結体」は、「引用実施例2発明の「鏡面研磨された拘束面を有する1対の型」とは異なる形状の型を用いた以外は、引用実施例2発明と同様の方法により製造した硫化亜鉛焼結体であ」る。そして、引用実施例2発明の「硫化亜鉛焼結体」は、上記「1(2)ア」に示したとおりの一連の「プロセス」で製造されたものである。
引用発明の「硫化亜鉛焼結体」の上記材料及びプロセスと、本件出願の発明の詳細な説明に記載された各実施例の材料及びプロセスからみて、引用発明の「硫化亜鉛焼結体」は、相違点1に係る物理的特性(ヤング率、曲げ強度、密度)を実質的に具備するといえる。あるいは、相違点1に係る上記物理的特性に係る数値範囲は、光学部品に求められる一般的な機械的強度特性として適宜採用し得る事項である。(必要ならば、例えば、引用文献3の51頁右欄の「表1 機械的特性」を参照。)。
加えて、引用発明の「硫化亜鉛焼結体」は、「レンズとして利用することができる」ものである。そして、「レンズ」の平面視における形状として、「円形」形状はきわめてありふれた形状である。
したがって、相違点1は、実質的な相違点ではない。
あるいは、相違点1は、少なくとも当業者が容易に採用し得る事項である。

イ 相違点2及び相違点3について
技術的関連性に鑑み、相違点2及び相違点3を纏めて検討する。
上記アで述べた点に加えて、引用発明の「硫化亜鉛焼結体」の寸法に関する諸条件(厚み、レンズ径、レンズ中心における曲率及び式(A)の充足性等)からみて、引用発明の「硫化亜鉛焼結体」は(光学部品の基体として)本願発明のレンズと同等の機械的強度を具備するものといえる。
また、引用文献2の【請求項1】及び【0018】には、「(レンズが)高硬度の硫化亜鉛で構成され、レンズの一方側の面はDLC膜で覆われているため、レンズの一方側に保護窓を備えることなく、レンズを保護することができる」との記載がある。つまり、光学部品に関して、基体としての機械的強度を具備させておくことのみならず、併せて、表面の機械的強度もDLC膜を用いて向上させておくことが教示されており、両者を備える構成とすることにより、レンズを保護する保護窓を備える必要がなくなることも示されている。さらに、引用文献4の134頁左欄の「2−1 ZnSレンズへのDLCコート」には、「屋外監視カメラや車載カメラ等厳しい環境で使用される赤外光学レンズ等の保護膜として、DLCコートが適用されていることが多い。」と記載されている。
してみると、光学部品の基体として、本願発明のレンズと同等な機械的強度を具備する引用発明の「硫化亜鉛焼結体」において、さらに、その一方側の面をDLC膜で覆って表面の機械的強度をも向上させた構成を採用することによって、「屋外において使用され、かつレンズを保護する保護窓を備えていない」「赤外線検出機器」に用いることは、引用文献2及び4の上記記載に接した当業者にとって、レンズの機械強度向上に加えて、赤外線検出機器の小型化ないしコスト削減の観点から十分に動機づけられる事項といえる。
したがって、引用発明において、引用文献2及び4に記載された事項に基づいて、当業者が相違点2及び3に係る本願発明の構成に想到することは容易になし得ることである。

ウ 相違点4について
引用発明の「硫化亜鉛焼結体」の赤外線検出機器への利用を具現化する当業者が、色収差等の補正や曲率を抑制する等の目的で、引用文献1(【0027】、【0062】〜【0067】等)、引用文献2(【0032】及び【0035】〜【0037】等)及び引用文献3の「4−2 回折(DOE)形状レンズの開発」の記載にしたがって、「レンズ」に回折面ないし回折非球面を設けて、回折レンズとすることは容易に想到し得ることである。
また、「面粗さRaの平均値が0.05μm以下」との構成は、引用実施例2発明の表面粗さ(得られた硫化亜鉛焼結体の対向する両表面の中心線平均粗さ(Ra)は、20nm以下)からみて、引用発明も具備する光学精度であるか、または、少なくとも当業者が遠赤外線機器用ZnSレンズに求める一般的な技術仕様の範囲内であり(必要ならば、例えば、引用文献3の51頁右欄1行〜10行、52頁の図3(a)及び(b)の記載等を参照。)、引用発明のレンズに回折面ないし回折非球面を設けて回折レンズとするときに、同様の光学精度とすることは設計的事項である。
さらに、「面粗さRaの最大値と最小値との差が0.04μm以下」との構成は、レンズ内における面粗さのばらつきを意味しているところ、透過率のむらを軽減し、ひいては、赤外線機器検出の映像品位を高めるとの観点から、当業者が設計仕様に応じて適宜採用し得る設計的事項である。

(4)発明の効果について
本件出願の明細書の【0011】には、発明の効果として、「優れた機械的強度を有するレンズおよび該レンズを用いた光学部品を提供することができる。したがって、レンズを保護するための保護窓の設置が不要となる。」と記載されている。
しかしながら、上記効果は、引用発明から容易に想到し得る発明が奏する効果として当業者に予測可能な範囲にとどまり、格別その程度が顕著なものとも認められない。

(5)請求人の主張について
審判請求人は、令和3年10月21日付の意見書において、以下のような主張をしている。
(主張1)本願明細書の[0042]においては、「回折レンズは、表面のうち光学有効領域内の面粗さRaの平均値が0.05μm以下であることが好ましく、さらに当該表面のうち光学有効領域内における面粗さRaの差が0.04μm以下であることがより好ましい。これによると、回折レンズの光学特性を大幅に向上させることが可能となる。」と説明されています。回折レンズにおいて、面粗さRaの平均値を0.05μm以下とし、さらに面粗さRaの最大値と最小値との差を0.04μm以下とすることにより、回折レンズの光学特性を大幅に向上させることは周知技術ではないと考えられます。

(主張2)引用文献5の焼結体は回折レンズではないと考えられるため、回折レンズの光学特性を向上させたいという課題との関係において、当業者が、焼結体の面粗さRaの平均値、および最大値と最小値との差を調整する動機付けが存在しないと考えられます。さらに、引用文献1、3は、面粗さRaの最大値と最小値との差が0.04μm以下であることを開示しておりません。

上記主張について検討する。
ア 主張1について
請求人が主張するように、本件出願の明細書には、回折レンズの光学レンズの光学特性を大幅に向上させることが可能になる点が記載されているが、具体的にどのように向上させることができるのかについてはこれ以上の記載はない。すなわち、回折レンズを設けたこと自体による効果は、例えば、[0071]の製造例17と製造例23の「軸上(0°)MTFの値」の差としては開示されているが、これは回折レンズの面粗さを特定の数値範囲に限定したことによる効果ではない。
また、面粗さRaの平均値及び面粗さRaの最大値と最小値との差が0.04〜0.05μm程度である点は、設計波長である遠赤外線域(約8〜12μm)と比較して2桁以上小さいことからみて、回折特性の観点から何らかの有意な効果が得られると認められないことは技術的に明らかである。
もっとも、光学特性(例えば、透過率)のばらつきの観点からは、その効果が認められなくもないが、そのような効果は、当業者が予測可能な範囲内のものであって、かつ、効果の程度が格別顕著なものともいえない。
以上によれば、請求人が主張する、「回折レンズの光学特性を大幅に向上させる」という効果は、具体的な内容が不明であるか、認められたとしても進歩性を推認するに足りるものではない。

イ 主張2について
回折レンズの光学特性を向上させるという課題については、本件出願の明細書の記載及び技術常識を参酌しても、その根拠が不明であることは上記アで検討したとおりである。
したがって、当該課題を前提とした主張2も採用すべき理由がない。
なお、面粗さRaの平均値及び最大値と最小値との差を可能な限り小さくする設計することが設計事項であることは、上記「(3)ウ」で検討したとおりである。

以上によれば、請求人の上記主張はいずれも採用すべき理由がない。

(6)小括
本願発明は、引用文献5に記載された発明、引用文献1〜4に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

第3 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用文献5に記載された発明及び引用文献1〜4に記載された事項に基づいて、先の出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本件出願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
別掲 (行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。
 
審理終結日 2021-12-22 
結審通知日 2022-01-04 
審決日 2022-01-31 
出願番号 P2016-556660
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (G02B)
最終処分 02   不成立
特許庁審判長 榎本 吉孝
特許庁審判官 関根 洋之
里村 利光
発明の名称 光学部品  
代理人 特許業務法人深見特許事務所  
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