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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06F
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 G06F
管理番号 1385778
総通号数
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2022-07-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-04-09 
確定日 2022-07-15 
事件の表示 特願2018−109086「情報処理装置」拒絶査定不服審判事件〔平成30年 9月13日出願公開、特開2018−142374、請求項の数(40)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2008年(平成20年)9月12日(優先権主張平成19年9月14日)を国際出願日とする特願2009−532251号の一部を、平成25年3月25日に新たな特許出願(特願2013−62836号)とし、その一部を、平成27年4月23日に新たな特許出願(特願2015−88432号)とし、その一部を、平成29年5月1日に新たな特許出願(特願2017−91468号)とし、その一部を、平成30年6月6日に新たな特許出願(特願2018−109086号)としたものであって、その後の手続の概要は、以下のとおりである。
令和元年 8月28日付け:拒絶理由通知書
令和元年11月 5日: 意見書、手続補正書の提出
令和2年 6月19日付け:拒絶理由(最後の拒絶理由)通知書
令和2年 8月14日: 意見書、手続補正書の提出
令和3年 1月 7日付け:令和2年8月14日の手続補正についての補
正の却下の決定、拒絶査定
令和3年 4月 9日: 審判請求書、手続補正書の提出
令和4年 1月 5日付け:拒絶理由通知書(以下、「当審拒絶理由」と
いう。)
令和4年 3月 4日: 意見書、手続補正書の提出

第2 原査定の概要
原査定(平成3年1月7日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

理由1(明確性) この出願は、特許請求の範囲の請求項1−41の記載が、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

理由2(サポート要件) この出願は、特許請求の範囲の請求項1−41の記載が、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。

理由3(進歩性) 本願請求項1−41に係る発明は、以下の引用文献1に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
1.特開2005−190465号公報

第3 当審拒絶理由の概要
当審拒絶理由の概要は次のとおりである。

理由1(サポート要件) この出願は、特許請求の範囲の請求項1−40の記載が、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。

理由2(明確性) この出願は、特許請求の範囲の請求項1−40の記載が、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

第4 本願発明
本願請求項1−40に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」−「本願発明40」という。)は、令和4年3月4日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)で補正された特許請求の範囲の請求項1−40に記載された事項により特定される発明であって、本願発明1−2は以下のとおりの発明である。

「【請求項1】
錯触力覚デバイス、及びCPUを備える錯触力覚インターフェース装置であって、
(1)前記錯触力覚デバイスにより提示される運動量を含む物理量と、刺激と人間の感覚との間の関係を示す特性と、取得されたコンテンツの情報とのうちの少なくとも1つを備えるデータ、及び/又は
(2)前記錯触力覚デバイスへの操作情報を備えるデータ、
に応じて前記CPUを制御して非線形感覚を備える錯触力覚を誘起し、
ここで、前記錯触力覚インターフェース装置の少なくとも一部の要素の形状、方向、位相、位置、速度、角度、角速度、角加速度、配列、配置の少なくとも1つが変化することによって、前記非線形感覚を備える錯触力覚が誘起され、
前記錯触力覚インターフェース装置は、誘起される前記錯触力覚に含まれる断続的な力の方向とは反対方向の力の感覚を提示し、
前記反対方向の力の感覚の提示は、バーチャル物体の形状、摩擦感覚、及び粗さ感覚を提示することを含む、錯触力覚インターフェース装置。

【請求項2】
CPUを備える錯触力覚インターフェース装置であって、
(1)実物体、バーチャル物体、表示される物体の少なくとも一つの情報を備えるデータ、及び/又は
(2)実物体、バーチャル物体、表示される物体への少なくとも一つへの操作情報を備えるデータ
に応じて前記CPUを制御して非線形感覚を備える錯触力覚を誘起し、
ここで、前記錯触力覚インターフェース装置の少なくとも一部の要素の形状、方向、位相、位置、速度、角度、角速度、角加速度、配列、配置の少なくとも1つが変化することによって、前記非線形感覚を備える錯触力覚が誘起され、
前記錯触力覚インターフェース装置は、誘起される前記錯触力覚に含まれる断続的な力の方向とは反対方向の力の感覚を提示し、
前記反対方向の力の感覚の提示は、前記バーチャル物体の形状、摩擦感覚、及び粗さ感覚を提示することを含む、錯触力覚インターフェース装置。」

なお、本願発明3−40は、本願発明1または本願発明2を減縮した発明である。

第5 引用文献1及び引用発明
1 引用文献1
原査定の拒絶理由に引用された引用文献1には、図面とともに、以下の記載がある(下線は、特に着目した箇所を示す。以下同様。)。

(1) 段落【0033】−【0036】
「【0033】
図41において、触力覚情報提示システム4101は、触力覚提示機4110、制御装置4120及び入力装置4130から構成される。触力覚提示機4110は、中にモータによって回転される1個以上の回転子4180を有し、制御装置4120からの制御によって回転する。回転子4180の駆動には、ステッピングモータやサーボモータ等を適用可能である。制御装置4120は、CPU(central processing unit)4160、RAM(random access memory)4170、ROM(read only memory)4140等を有する。

・・・(中略)・・・

【0036】
或いは、入力装置4130は、後述される筋電を検知するための周知の筋電検知器や周知の角加速度センサ等のデバイスである。CPU4160は、筋電検知器からの筋電発生のトリガ信号や角加速度センサからの角加速度の信号が制御装置4120へ入力されると、その入力をフィードバッグした触力覚提示機4110の制御を行う。角加速度センサのような入力装置4130は、触力覚提示機4110と共に触力覚提示機4110内部に含まれる構成としてもよい。」

(2) 図41




(3) 段落【0039】−【0044】
「【0039】
感覚特性211は主に刺激である物理量212に対してその感覚量213は対数などの非線形特性である場合が多い。図2−1は感覚特性211が対数関数的な特性の場合を模式化したものである。この感覚特性211上の、動作点A214で正のトルクを発生し、動作点B215で逆方向の負のトルクを発生した場合を考えると、トルク感覚224は図2−2のように表わされる。トルク223は回転子の回転速度(角速度)222の時間微分に比例する。動作点A214、および動作点B215で動作させると、トルク感覚224が知覚される。トルク223は、物理的に1サイクルで初期状態228に戻り、その積分値はゼロとなっている。しかし、感覚量であるトルク感覚224の感覚的積分値はゼロになるとは限らない。動作点A214および動作点B215を適切に選択して、動作点A継続時間225および動作点B継続時間226を適切に設定することで、任意の方向に自在にトルク感覚を提示し続けることができる。
【0040】
以上のことは、感覚特性211が指数関数的な場合などの非線形特性を示す時にも成立する。

・・・(中略)・・・

【0043】
図4中の(図4−1)〜(図4−3)は、力覚に関するヒステリシス的感覚特性を用いた触力覚情報提示方法を示す図である。
【0044】
感覚特性は、筋肉を伸ばす時と縮める時など、変位312が増加する時と減少する時において等方的でなく、ヒステリシス的感覚特性311を示す場合が多い。(図4−1)のヒステリシス的感覚特性311は感覚特性のヒステリシス的な特性を模式化したものである。このヒステリシス的感覚特性311上の、動作経路A314で正のトルクを発生し、動作経路B315で逆方向の負のトルクを発生した場合を考えると、これらの挙動は(図4−2)のように表わされ、トルク感覚334は(図4−3)のように表わされる。トルク333は回転子の回転速度332の時間微分に比例する。動作経路A314、および動作経路B315で動作させると、トルク感覚334が知覚される。トルク333は、物理的に1サイクルで初期状態338に戻り、その積分値はゼロとなっている。しかし、感覚量であるトルク感覚334の感覚的積分値はゼロになるとは限らない。動作経路A314および動作経路B315を適切に選択して、動作経路A継続時間335および動作経路B継続時間336を適切に設定することで、任意の方向に強いトルク感覚を断続的に連続して提示し続けることができる。」

(4) 図4



(5) 段落【0081】−【0083】
「【0081】
さらに、図21のように、掌に提示する抗力1193の空間的な強度分布を適切に調整することで、球状抗力1191や立方体状抗力1192などを提示することによって、掌に球や立方体などの3次元形状感覚、あるいは弾力感覚およびプニョプニョ感などの触覚感覚を提示することができる。
【0082】
さらに、図22のように、掌に提示する抗力1193の空間的な強度分布を時間的に変化させることによって、力が掌上を伝わって行く感覚1195、物が掌上を転がっていく感覚、力が掌を通過していく力感覚1196を提示することができる。同様に、せん断力、トルクなどを変化させることによって、表面粗さなどの仮想物体表面のテクスチャーを提示することができる。
【0083】
図19〜図22に示した以上の提示方法によれば、掌の動きに合わせて力感覚の空間分布を適切に変化させることによって、仮想的な物体の存在、形状、弾性、テクスチャーなどの物体に関する様々な触力覚情報を提示することができる。」

(6) 図21−図22





2 引用発明
したがって、上記引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「触力覚情報提示システム4101は、触力覚提示機4110、制御装置4120及び入力装置4130から構成され、制御装置4120は、CPU4160、等を有し、
入力装置4130は、筋電を検知するための周知の筋電検知器や周知の角加速度センサ等のデバイスであり、
CPU4160は、筋電検知器からの筋電発生のトリガ信号や角加速度センサからの角加速度の信号が制御装置4120へ入力されると、その入力をフィードバックした触力覚提示機4110の制御を行い、
感覚特性211は主に刺激である物理量212に対してその感覚量213は対数などの非線形特性である場合が多く、
ヒステリシス的感覚特性311上の、動作経路A314で正のトルクを発生し、動作経路B315で逆方向の負のトルクを発生した場合、トルク333は回転子の回転速度332の時間微分に比例し、トルク333は、物理的に1サイクルで初期状態338に戻り、その積分値はゼロとなっているが、感覚量であるトルク感覚334の感覚的積分値はゼロになるとは限らず、動作経路A314および動作経路B315を適切に選択して、動作経路A継続時間335および動作経路B継続時間336を適切に設定することで、任意の方向に強いトルク感覚を断続的に連続して提示し続けることができ、
掌に提示する抗力1193の空間的な強度分布を適切に調整することで、球状抗力1191や立方体状抗力1192などを提示することによって、掌に球や立方体などの3次元形状感覚、あるいは弾力感覚およびプニョプニョ感などの触覚感覚を提示することができ、
掌に提示する抗力1193の空間的な強度分布を時間的に変化させることによって、力が掌上を伝わって行く感覚1195、物が掌上を転がっていく感覚、力が掌を通過していく力感覚1196を提示することができ、同様に、せん断力、トルクなどを変化させることによって、表面粗さなどの仮想物体表面のテクスチャーを提示することができ、
掌の動きに合わせて力感覚の空間分布を適切に変化させることによって、仮想的な物体の存在、形状、弾性、テクスチャーなどの物体に関する様々な触力覚情報を提示することができる、
触力覚情報提示システム4101。」

第6 対比・判断
1 本願発明1について
(1) 対比
本願発明1と、引用発明とを対比すると、以下のことがいえる。

ア 引用発明の「触力覚情報提示システム4101」は、「触力覚提示機4110、制御装置4120及び入力装置4130から構成され、制御装置4120は、CPU4160、等を有し」ており、「掌の動きに合わせて力感覚の空間分布を適切に変化させることによって、仮想的な物体の存在、形状、弾性、テクスチャーなどの物体に関する様々な触力覚情報を提示することができる」から、本願発明1の「錯触力覚デバイス、及びCPUを備える錯触力覚インターフェース装置」に相当する。

イ 引用発明において、「CPU4160は、筋電検知器からの筋電発生のトリガ信号や角加速度センサからの角加速度の信号が制御装置4120へ入力されると、その入力をフィードバックした触力覚提示機4110の制御を行い、感覚特性211は主に刺激である物理量212に対してその感覚量213は対数などの非線形特性である場合が多く」、「掌の動きに合わせて力感覚の空間分布を適切に変化させることによって、仮想的な物体の存在、形状、弾性、テクスチャーなどの物体に関する様々な触力覚情報を提示することができる」ことは、本願発明1の「(1)前記錯触力覚デバイスにより提示される運動量を含む物理量」「を備えるデータ」「に応じて前記CPUを制御して非線形感覚を備える錯触力覚を誘起し」ていることに相当する。
引用発明において、「CPU4160は、筋電検知器からの筋電発生のトリガ信号や角加速度センサからの角加速度の信号が制御装置4120へ入力され」、「感覚特性211は主に刺激である物理量212に対してその感覚量213は対数などの非線形特性である場合が多く」、「掌の動きに合わせて力感覚の空間分布を適切に変化させることによって、仮想的な物体の存在、形状、弾性、テクスチャーなどの物体に関する様々な触力覚情報を提示することができる」ことは、本願発明1の「(2)前記錯触力覚デバイスへの操作情報を備えるデータ」「に応じて前記CPUを制御して非線形感覚を備える錯触力覚を誘起し」ていることに相当する。
よって、引用発明の「CPU4160は、筋電検知器からの筋電発生のトリガ信号や角加速度センサからの角加速度の信号が制御装置4120へ入力されると、その入力をフィードバックした触力覚提示機4110の制御を行い、感覚特性211は主に刺激である物理量212に対してその感覚量213は対数などの非線形特性である場合が多く」、「掌の動きに合わせて力感覚の空間分布を適切に変化させることによって、仮想的な物体の存在、形状、弾性、テクスチャーなどの物体に関する様々な触力覚情報を提示することができる」ことは、本願発明1の「(1)前記錯触力覚デバイスにより提示される運動量を含む物理量と、刺激と人間の感覚との間の関係を示す特性と、取得されたコンテンツの情報とのうちの少なくとも1つを備えるデータ、及び/又は
(2)前記錯触力覚デバイスへの操作情報を備えるデータ、
に応じて前記CPUを制御して非線形感覚を備える錯触力覚を誘起し」ていることに相当する。

ウ 引用発明の「ヒステリシス的感覚特性311上の、動作経路A314で正のトルクを発生し、動作経路B315で逆方向の負のトルクを発生した場合、トルク333は回転子の回転速度332の時間微分に比例し、トルク333は、物理的に1サイクルで初期状態338に戻り、その積分値はゼロとなっているが、感覚量であるトルク感覚334の感覚的積分値はゼロになるとは限らず、動作経路A314および動作経路B315を適切に選択して、動作経路A継続時間335および動作経路B継続時間336を適切に設定することで、任意の方向に強いトルク感覚を断続的に連続して提示し続けることができ、
掌に提示する抗力1193の空間的な強度分布を適切に調整することで、球状抗力1191や立方体状抗力1192などを提示することによって、掌に球や立方体などの3次元形状感覚、あるいは弾力感覚およびプニョプニョ感などの触覚感覚を提示することができ、
掌に提示する抗力1193の空間的な強度分布を時間的に変化させることによって、力が掌上を伝わって行く感覚1195、物が掌上を転がっていく感覚、力が掌を通過していく力感覚1196を提示することができ、同様に、せん断力、トルクなどを変化させることによって、表面粗さなどの仮想物体表面のテクスチャーを提示することができ、
掌の動きに合わせて力感覚の空間分布を適切に変化させることによって、仮想的な物体の存在、形状、弾性、テクスチャーなどの物体に関する様々な触力覚情報を提示することができる」ことは、本願発明1の「ここで、前記錯触力覚インターフェース装置の少なくとも一部の要素の形状、方向、位相、位置、速度、角度、角速度、角加速度、配列、配置の少なくとも1つが変化することによって、前記非線形感覚を備える錯触力覚が誘起され」ることに相当する。

エ 本願発明1は、「前記錯触力覚インターフェース装置は、誘起される前記錯触力覚に含まれる断続的な力の方向とは反対方向の力の感覚を提示し、
前記反対方向の力の感覚の提示は、バーチャル物体の形状、摩擦感覚、及び粗さ感覚を提示することを含む」のに対して、引用発明は、「ヒステリシス的感覚特性311上の、動作経路A314で正のトルクを発生し、動作経路B315で逆方向の負のトルクを発生した場合、トルク333は回転子の回転速度332の時間微分に比例し、トルク333は、物理的に1サイクルで初期状態338に戻り、その積分値はゼロとなっているが、感覚量であるトルク感覚334の感覚的積分値はゼロになるとは限らず、動作経路A314および動作経路B315を適切に選択して、動作経路A継続時間335および動作経路B継続時間336を適切に設定することで、任意の方向に強いトルク感覚を断続的に連続して提示し続けることができ、
掌に提示する抗力1193の空間的な強度分布を適切に調整することで、球状抗力1191や立方体状抗力1192などを提示することによって、掌に球や立方体などの3次元形状感覚、あるいは弾力感覚およびプニョプニョ感などの触覚感覚を提示することができ、
掌に提示する抗力1193の空間的な強度分布を時間的に変化させることによって、力が掌上を伝わって行く感覚1195、物が掌上を転がっていく感覚、力が掌を通過していく力感覚1196を提示することができ、同様に、せん断力、トルクなどを変化させることによって、表面粗さなどの仮想物体表面のテクスチャーを提示することができ、
掌の動きに合わせて力感覚の空間分布を適切に変化させることによって、仮想的な物体の存在、形状、弾性、テクスチャーなどの物体に関する様々な触力覚情報を提示することができる」ものである一方、「前記錯触力覚インターフェース装置は、誘起される前記錯触力覚に含まれる断続的な力の方向とは反対方向の力の感覚を提示し、
前記反対方向の力の感覚の提示は、バーチャル物体の形状、摩擦感覚、及び粗さ感覚を提示することを含む」ことは、開示されていない。よって、この点は、相違点である。

オ よって、本願発明1と引用発明との一致点・相違点は次のとおりであるといえる。

[一致点]
「錯触力覚デバイス、及びCPUを備える錯触力覚インターフェース装置であって、
(1)前記錯触力覚デバイスにより提示される運動量を含む物理量と、刺激と人間の感覚との間の関係を示す特性と、取得されたコンテンツの情報とのうちの少なくとも1つを備えるデータ、及び/又は
(2)前記錯触力覚デバイスへの操作情報を備えるデータ、
に応じて前記CPUを制御して非線形感覚を備える錯触力覚を誘起し、
ここで、前記錯触力覚インターフェース装置の少なくとも一部の要素の形状、方向、位相、位置、速度、角度、角速度、角加速度、配列、配置の少なくとも1つが変化することによって、前記非線形感覚を備える錯触力覚が誘起される、
錯触力覚インターフェース装置。」

[相違点1]
本願発明1では、「前記錯触力覚インターフェース装置は、誘起される前記錯触力覚に含まれる断続的な力の方向とは反対方向の力の感覚を提示し、
前記反対方向の力の感覚の提示は、バーチャル物体の形状、摩擦感覚、及び粗さ感覚を提示することを含む」のに対して、引用発明では、「錯触力覚に含まれる断続的な力の方向とは反対方向の力の感覚」の提示により、「バーチャル物体の形状、摩擦感覚、及び粗さ感覚」を提示することが特定されていない点。

(2) 当審の判断
上記[相違点1]について検討すると、上記[相違点1]に係る、本願発明1の「前記錯触力覚インターフェース装置は、誘起される前記錯触力覚に含まれる断続的な力の方向とは反対方向の力の感覚を提示し、
前記反対方向の力の感覚の提示は、バーチャル物体の形状、摩擦感覚、及び粗さ感覚を提示することを含む」という構成は、上記引用文献1には記載されておらず、周知技術であるともいえない。
したがって、本願発明1は、当業者であっても、上記引用発明に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

2 請求項2について
本願発明2も、本願発明1の上記[相違点1]に係る、本願発明1の「前記錯触力覚インターフェース装置は、誘起される前記錯触力覚に含まれる断続的な力の方向とは反対方向の力の感覚を提示し、
前記反対方向の力の感覚の提示は、バーチャル物体の形状、摩擦感覚、及び粗さ感覚を提示することを含む」という構成を備えるものであるから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、上記引用発明に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

3 請求項3−40について
本願発明3−40も、本願発明1の上記[相違点1]に係る、本願発明1の「前記錯触力覚インターフェース装置は、誘起される前記錯触力覚に含まれる断続的な力の方向とは反対方向の力の感覚を提示し、
前記反対方向の力の感覚の提示は、バーチャル物体の形状、摩擦感覚、及び粗さ感覚を提示することを含む」という構成を備えるものであるから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、上記引用発明に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

第7 原査定についての判断
1 理由1(特許法第36条第6項第2号)について
(1) 請求項1、3−40について
本件補正により、
「(1)錯触力覚デバイスの物理量、刺激を備える物理量、運動量、コンテンツの情報のうちの少なくとも1つを備えるデータ、及び/又は
(2)錯触力覚デバイスへの操作情報を備えるデータ、をCPUを制御して非線形感覚を備える感覚を誘起し」という記載は、「(1)前記錯触力覚デバイスにより提示される運動量を含む物理量と、刺激と人間の感覚との間の関係を示す特性と、取得されたコンテンツの情報とのうちの少なくとも1つを備えるデータ、及び/又は
(2)前記錯触力覚デバイスへの操作情報を備えるデータ、
に応じて前記CPUを制御して非線形感覚を備える錯触力覚を誘起し」に補正され、
「CPUを制御して非線形感覚を備える感覚を誘起し、ここで、前記非線形感覚を備える錯触力覚を誘起して提示された感覚によって」という記載は、「前記CPUを制御して非線形感覚を備える錯触力覚を誘起し、
ここで、前記錯触力覚インターフェース装置の少なくとも一部の要素の形状、方向、位相、位置、速度、角度、角速度、角加速度、配列、配置の少なくとも1つが変化することによって、前記非線形感覚を備える錯触力覚が誘起される」に補正され、
「錯触力覚を誘起して媒体に伝達して提示する装置」という記載は、「錯触力覚インターフェース装置」に補正された結果、原査定の理由1(1)は解消した。

(2) 請求項2、3−40について
本件補正により、「(1)実物体、バーチャル物体、表示物体の少なくとも一つの情報を備えるデータ、及び/又は
(2)実物体、バーチャル物体、表示物体への少なくとも一つへの操作情報を備えるデータをCPUを制御して非線形感覚を備える感覚を誘起し」という記載は、「(1)実物体、バーチャル物体、表示される物体の少なくとも一つの情報を備えるデータ、及び/又は
(2)実物体、バーチャル物体、表示される物体への少なくとも一つへの操作情報を備えるデータ、
に応じて前記CPUを制御して非線形感覚を備える錯触力覚を誘起し」に補正され、
「CPUを制御して非線形感覚を備える感覚を誘起し、ここで、前記非線形感覚を備える錯触力覚を誘起して提示された感覚によって」という記載は、「前記CPUを制御して非線形感覚を備える錯触力覚を誘起し、
ここで、前記錯触力覚インターフェース装置の少なくとも一部の要素の形状、方向、位相、位置、速度、角度、角速度、角加速度、配列、配置の少なくとも1つが変化することによって、前記非線形感覚を備える錯触力覚が誘起され」に補正され、
「錯触力覚を誘起して媒体に伝達して提示する装置」という記載は、「錯触力覚インターフェース装置」に補正された結果、原査定の理由1(2)は解消した。

2 理由2(特許法第36条第6項第1号)について
請求項1、請求項2に記載された「前記非線形感覚を備える錯触力覚を誘起して提示された感覚によって、錯触力覚インターフェース装置の形状、方向、位相、位置、速度、角度、角速度、角加速度、配列、配置の少なくとも1つが可変される」という記載が、発明の詳細な説明のいずれの記載と対応するのか不明瞭である点で、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない旨の、原査定の理由2は、本件補正により、請求項1、請求項2において、「前記錯触力覚インターフェース装置の少なくとも一部の要素の形状、方向、位相、位置、速度、角度、角速度、角加速度、配列、配置の少なくとも1つが変化することによって、前記非線形感覚を備える錯触力覚が誘起され」ると補正された結果、解消した。

3 理由3(特許法第29条第2項)について
上記「第6」のとおり、本件補正後の、本願発明1−40は、「前記錯触力覚インターフェース装置は、誘起される前記錯触力覚に含まれる断続的な力の方向とは反対方向の力の感覚を提示し、
前記反対方向の力の感覚の提示は、バーチャル物体の形状、摩擦感覚、及び粗さ感覚を提示することを含む」という事項を有するものとなっており、当業者であっても、拒絶査定において引用された引用文献1に基づいて、容易に発明できたものとはいえない。したがって、原査定の理由3を維持することはできない。

第8 当審拒絶理由の理由1(明確性)、理由2(サポート要件)についての判断

1 理由1(サポート要件)について
(1) 請求項1、3−40について
当審では、請求項1には、「錯触力覚デバイス、錯触力覚インターフェース装置、及びCPUを備える装置であって」との記載があるから、「錯触力覚デバイス」と、「錯触力覚インターフェース装置」と、「CPU」のそれぞれを、並列に、いずれも構成要素として含むような「装置」に係る発明が記載されていると解し得る点で、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない旨の拒絶の理由を通知しているが、本件補正により、「錯触力覚デバイス、及びCPUを備える錯触力覚インターフェース装置」と補正された結果、この拒絶の理由は解消した。

(2) 請求項2、3−40について
当審では、請求項2には、「錯触力覚インターフェース装置、及びCPUを備える装置であって」との記載があるから、「錯触力覚インターフェース装置」と、「CPU」を、並列に、いずれも構成要素として含むような「装置」に係る発明が記載されていると解し得る点で、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない旨の拒絶の理由を通知しているが、本件補正により、「CPUを備える錯触力覚インターフェース装置」と補正された結果、この拒絶の理由は解消した。

2 理由2(明確性)について
当審では、請求項1−40について、
(1) 請求項1の「(1)前記錯触力覚デバイスの物理量、刺激を備える物理量、運動量、コンテンツの情報のうちの少なくとも1つを備えるデータ」との記載、
(2) 請求項1の「ここで、前記錯触力覚インターフェース装置の形状、方向、位相、位置、速度、角度、角速度、角加速度、配列、配置の少なくとも1つが変化することによって、前記非線形感覚を備える錯触力覚が誘起され」との記載、
(3) 請求項1の「前記錯触力覚デバイス又は前記錯触力覚インターフェース装置は、誘起される前記錯触力覚に含まれる断続的な力の方向とは反対方向の力の感覚を提示し」との記載
(4) 請求項2の「(1)実物体、バーチャル物体、表示物体の少なくとも一つの情報を備えるデータ」との記載、
(5) 請求項6の「前記錯触力覚インターフェース装置は、モータ、駆動装置、視聴覚ディスプレイ、立体映像、立体音像、シミュレータ、ゲーム機、加減速機構装置、パネル、ボタン、ペン、トレーニング装置、体感装置、筆記用具、日用雑貨品、玩具のいずれか1つに設けられる」との記載は、不明確である旨の拒絶の理由を通知しているが、本件補正後の請求項1−40に係る発明は、
(1) 請求項1について、「(1)前記錯触力覚デバイスにより提示される運動量を含む物理量と、刺激と人間の感覚との間の関係を示す特性と、取得されたコンテンツの情報とのうちの少なくとも1つを備えるデータ」と補正され、
(2) 請求項1について、「ここで、前記錯触力覚インターフェース装置の少なくとも一部の要素の形状、方向、位相、位置、速度、角度、角速度、角加速度、配列、配置の少なくとも1つが変化することによって、前記非線形感覚を備える錯触力覚が誘起され」と補正され、
(3) 請求項1について、「前記錯触力覚インターフェース装置は、誘起される前記錯触力覚に含まれる断続的な力の方向とは反対方向の力の感覚を提示し」と補正され、
(4) 請求項2について、「(1)実物体、バーチャル物体、表示される物体の少なくとも一つの情報を備えるデータ」と補正され、
(5) 請求項6について、「前記錯触力覚インターフェース装置は、駆動装置、視聴覚ディスプレイ、シミュレータ、ゲーム機、パネル、ボタン、ペン、トレーニング装置、体感装置、筆記用具、日用雑貨品、玩具のいずれか1つに設けられることを特徴とする」と補正された結果、この拒絶の理由は解消した。

第9 むすび
以上のとおり、原査定の理由によって、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2022-07-05 
出願番号 P2018-109086
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G06F)
P 1 8・ 537- WY (G06F)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 ▲吉▼田 耕一
特許庁審判官 稲葉 和生
野崎 大進
発明の名称 情報処理装置  
代理人 大貫 敏史  
代理人 佐藤 睦  
代理人 江口 昭彦  
代理人 稲葉 良幸  
代理人 内藤 和彦  
代理人 稲葉 良幸  
代理人 大貫 敏史  
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