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審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 G06Q
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06Q
管理番号 1385780
総通号数
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2022-07-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-04-12 
確定日 2022-06-21 
事件の表示 特願2020− 60277「提供装置、提供方法及び提供プログラム」拒絶査定不服審判事件〔令和 3年10月 7日出願公開、特開2021−157744、請求項の数(15)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、令和2年3月30日に出願されたものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和 2年 8月 4日:拒絶理由通知(起案日)
令和 2年10月16日:意見書、手続補正書の提出
令和 3年 1月 6日:拒絶査定(原査定)(起案日)
令和 3年 4月12日:審判請求書、手続補正書の提出
令和 4年 2月22日:拒絶理由通知(最後)(起案日)
令和 4年 4月25日:意見書、手続補正書の提出

第2 原査定の理由の概要
原査定(令和3年1月6日付け拒絶査定)の概要は以下のとおりである。
この出願の請求項1−15に係る発明は、以下の引用文献1−3に基づいて、その発明の属する技術分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
1.特開2020−27521号公報
2.「電子地域通貨「さるぼぼコイン」が開く可能性」,月刊ホテル旅館,株式会社柴田書店,2018年3月1日,第55巻,第3号,pp.50-51
3.「087 スマホ 支払いのたびに鳴り響く「ペイペイッ」の音を強制ミュート! PayPayの恥ずかしい決済音を無音化」,ラジオライフ,日本,KK三才ブックス,2020年1月25日,第41巻,第3号,p.61

第3 当審拒絶理由の概要
当審で通知した最後の拒絶理由(以下「当審拒絶理由」という。)の概要は以下のとおりである。
請求項1の「前記提供部は、前記コンテンツとして、前記サービスを利用する際に前記端末装置に表示されるコンテンツであって、当該コンテンツが提供された後において前記利用者により前記サービスが利用されると、前記端末装置により表示態様が変化された状態で表示されるコンテンツを提供する」の記載は、明確でなく、発明の詳細な説明に記載したものでもない。
したがって、請求項1を引用する請求項2−13及び請求項1と同様の記載がある請求項14、15を含めて請求項1−15の記載は、特許法第36条第6項第1号及び第2号に規定する要件を満たしていない。

第4 本願発明
本願の請求項1−15に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」−「本願発明15」という。)は、令和4年4月25日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1−15に記載された事項により特定される発明であり、そのうち本願発明1は、以下のとおりのものである。

【請求項1】
利用者が所定の決済手段を用いて行った決済を検出する検出部と、
前記検出部により検出された決済に関連する決済関連情報に基づいて、前記所定の決済手段に関するサービスを利用する際に用いるコンテンツを、前記利用者が前記サービスの利用に用いる端末装置に提供する提供部と
を有し、
前記提供部は、前記コンテンツとして、前記サービスを利用する際に前記端末装置に表示されるコンテンツであって、当該コンテンツが提供された後において前記利用者により前記サービスを利用して決済が行われた結果所定の条件が満たされると、当該利用後に前記サービスを再度利用する際の初期画面において前記端末装置により表示態様が変化された状態で表示されるコンテンツを提供する
ことを特徴とする提供装置。

なお、本願発明2−15の概要は、以下のとおりである。
本願発明2−13は、本願発明1を減縮した発明である。
本願発明14は、本願発明1に対応する「提供方法」の発明であり、本願発明1とカテゴリ表現が異なるだけの発明である。
本願発明15は、本願発明1を「コンピュータに実行させるための提供プログラム」として表現した発明である。

第5 引用文献、引用発明等
1 引用文献1について
(1)引用文献1の記載事項
引用文献1には、図面とともに以下の事項が記載されている。
「【0010】
〔1.実施形態〕
〔1−1.第1の実施形態における出力処理の一例〕
図1を用いて、本実施形態の出力プログラム等により実現される出力処理を説明する。図1は、第1の実施形態に係る出力処理の一例を示す図である。図1の例では、本実施形態の出力装置の一例である店舗端末200の動作を例に、出力処理を説明する。また、図1に示す例において、実施形態に係る出力処理システム1は、音情報配信サーバ100、店舗端末200及びユーザ端末300を有する。音情報配信サーバ100と、店舗端末200と、ユーザ端末300とは、図示しない所定の通信網を介して、有線又は無線により通信可能に接続される。なお、図1に示す出力処理システム1には、複数台の音情報配信サーバ100や、複数台の店舗端末200、複数台のユーザ端末300が含まれてもよい。
【0011】
図1に示す音情報配信サーバ100は、店舗に設置された店舗端末200と、ユーザが利用するユーザ端末300との間で決済が行われる際に出力される音(以下、「決済音」と記載する場合がある)を示す音情報を配信するサーバ装置である。音情報配信サーバ100は、各店舗の管理者等が設定した決済音を示す音情報を管理し、店舗端末200に配信する。例えば、図1の例において、音情報配信サーバ100は、音情報が示す決済音の再生条件を音情報に対応付けて管理する。また、音情報配信サーバ100は、ユーザ端末300から送信されるユーザ端末300を利用するユーザに関するユーザ情報を管理する。
(中略)
【0020】
続いて、店舗端末200は、店舗Aを識別するための店舗識別情報(店舗ID)、ユーザ識別情報、並びに、ユーザU1による店舗Aへの決済に関する決済情報を音情報配信サーバ100に送信する(ステップS13)。例えば、図1の例において、店舗端末200は、ユーザU1が店舗Aにて購入した商品や、ステップS11において受け付けた決済金額、決済金額を受け付けた日時などの情報を、決済情報として音情報配信サーバ100に送信する。」

「【0030】
〔1−2.第2の実施形態における出力処理の一例〕
次に、図2を用いて、本実施形態の出力プログラム等により実現される出力処理を説明する。図2は、第2の実施形態に係る出力処理の一例を示す図である。図2の例では、本実施形態の出力装置の一例であるユーザ端末300の動作を例に、出力処理を説明する。また、図2に示す例において、実施形態に係る出力処理システム2は、音情報配信サーバ100、店舗端末200及びユーザ端末300を有する。音情報配信サーバ100と、店舗端末200と、ユーザ端末300とは、図示しない所定の通信網を介して、有線又は無線により通信可能に接続される。なお、図2に示す出力処理システム2は、複数台の音情報配信サーバ100や、複数台の店舗端末200、複数台のユーザ端末300が含まれてもよい。
【0031】
図2に示す音情報配信サーバ100は、第1の実施形態に係る音情報配信サーバ100と同様の構成であるため、説明を省略する。
【0032】
図2に示す店舗端末200は、第1の実施形態に係る店舗端末200と同様の構成であるため、説明を省略する。
【0033】
図2に示すユーザ端末300は、第1の実施形態に係るユーザ端末300と同様の構成であるため、説明を省略する。
【0034】
以下、図2を用いて、ユーザ端末300が行う出力処理について説明する。なお、以下の説明では、実店舗である店舗Aに入店したユーザU1がユーザ端末300を用いて、決済代行サーバが提供する決済代行サービスにより店舗Aにて購入する商品の決済を行う例を示す。なお、ステップS21〜ステップS23までの処理は、第1の実施形態におけるステップS11〜ステップS13と同様の処理であるため、詳細な説明は省略する。
【0035】
ユーザ端末300は、ステップS23において店舗端末200が音情報配信サーバ100に送信した情報に基づいて、店舗端末200と、ユーザ端末300との間で決済が行われる際に出力される音(決済音)を示す音情報を音情報配信サーバ100から取得する(ステップS24)。なお、音情報配信サーバ100の記憶部の構成は、第1の実施形態と同様であるため、詳細な説明は省略する。また、ステップS24においてユーザ端末300が行う処理は、第1の実施形態において店舗端末200がステップS14において行う処理と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0036】
続いて、ユーザ端末300は、ユーザU1による店舗Aへの決済が行われる際に、ステップS24において取得した音情報が示す音を出力する(ステップS25)。例えば、ユーザ端末300は、ユーザU1がユーザ端末300を店舗端末200が備える読取装置に読み取らせることによって店舗Aへの決済の要求を決済代行サーバに送信する際に、決済音を出力する。」

「【0048】
〔3.音情報配信サーバの構成〕
次に、図4を用いて、音情報配信サーバ100の構成について説明する。図4は、実施形態に係る音情報配信サーバの構成例を示す図である。図4に示すように、音情報配信サーバ100は、通信部110と、記憶部120と、制御部130とを有する。
(中略)
【0061】
(制御部130について)
制御部130は、コントローラ(controller)であり、例えば、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等によって、音情報配信サーバ100内部の記憶装置に記憶されている各種プログラムがRAMを作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部130は、コントローラであり、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現される。実施形態に係る制御部130は、図4に示すように、受付部131と、配信部132とを有し、以下に説明する情報処理の機能や作用を実現または実行する。
【0062】
(受付部131について)
受付部131は、店舗を識別するための店舗識別情報、ユーザを識別するためのユーザ識別情報、並びに、ユーザによる店舗への決済に関する決済情報を店舗端末200から受け付ける。
【0063】
(配信部132について)
配信部132は、店舗端末200と、ユーザ端末300との間で決済が行われる際に出力される音を示す音情報を、店舗端末200又はユーザ端末300に配信する。例えば、配信部132は、店舗情報記憶部121を参照し、受付部131が店舗端末200から受け付けた情報に合致する再生条件が設定された音情報を店舗端末200又はユーザ端末300に配信する。」

(2)引用発明1
上記(1)の記載事項からみて、引用文献1には、「音情報配信サーバ100、店舗端末200及びユーザ端末300を有する」「出力処理システム2」(段落【0030】)について記載されているところ、そのうちの「音情報配信サーバ100」について、第2の実施形態である「実店舗である店舗Aに入店したユーザU1がユーザ端末300を用いて、決済代行サーバが提供する決済代行サービスにより店舗Aにて購入する商品の決済を行う例」(段落【0034】)に関連して、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているといえる。なお、各構成の符号は省略する。

(引用発明)
店舗端末及びユーザ端末と、所定の通信網を介して通信可能に接続され、受付部と配信部を有する音情報配信サーバであって、(段落【0030】、【0048】、【0061】)
実店舗である店舗に入店したユーザがユーザ端末を用いて、決済代行サーバが提供する決済代行サービスにより店舗にて購入する商品の決済を行う(段落【0034】)場合に、
受付部は、店舗を識別するための店舗識別情報、ユーザを識別するためのユーザ識別情報、並びに、ユーザによる店舗への決済に関する決済情報を店舗端末から受け付け(段落【0020】、【0034】、【0062】)、
配信部は、受付部が店舗端末から受け付けた情報に合致する再生条件が設定された音情報であって、店舗端末と、ユーザ端末との間で決済が行われる際に出力される音を示す音情報をユーザ端末に配信する(段落【0035】、【0063】)ものであり、
ユーザ端末は、ユーザによる店舗への決済が行われる際に、取得した音情報が示す音を出力する(段落【0036】)、
音情報配信サーバ。

2 引用文献2について
(1)引用文献2の記載事項
引用文献2には、次の事項(以下「引用文献2記載事項」という。)が記載されている。
「さるぼぼコインは、スマートフォンにダウンロードしたアプリを使って、キャッシュレスで支払いを行うという仕組みだ。利用者はあらかじめ飛騨信用組合の窓口で1円を1コインとしてチャージしておく(上限10万円)。一方加盟店にはプリントしたQRコードが発行され、それを店頭に掲げてもらう。アプリを起動し、QRコードを撮影すれば手続き開始。画面に支払金額を入力し、店の店員に見せて承認してもらう。この画面をスライドして送信するだけで、支払いが完了する(下図参照)。」(50ページ上欄13〜26行、図面は省略)
「さるぼぼコインはそもそもスマホアプリであるため、クレジットカードや非接触系ICカード(SUICAやおサイフケータイがこれにあたる)のように読み取り機の導入を必要とせず、加盟店舗のイニシャルコストがかからない。」(50ページ下欄1〜7行)

3 引用文献3について
引用文献3には、「スマホ」に関する次の事項(以下「引用文献3記載事項」という。)が記載されている。
「PayPayで支払いをすると、「ペイペイッ」という大きな音が鳴り、静かな店内や格式高い店では恥ずかしい思いをすることも…。この決済音は公式では無音化できませんが、専用アプリを使うことで無理やり消すことができます。」(61頁下段左欄)

第6 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明1を対比すると次のことがいえる。
ア 引用発明の「ユーザ」及び「ユーザ端末」は、それぞれ本願発明1の「利用者」及び「端末装置」に相当する。そして、決済に際し引用発明のユーザが用いる「ユーザ端末」と決済代行サービスを提供する「決済代行サーバ」とを合わせたものが、本願発明1の「所定の決済手段」に相当する。
また、本願明細書には、「検出部42は、事業者端末200が読み取った利用者識別情報が示す利用者IDと、店舗IDとを、事業者端末200に入力された決済金額とを含む決済情報であって、事業者端末200から通知される決済情報が示す決済を検出する」(段落【0056】)と記載されているから、引用発明の「店舗を識別するための店舗識別情報」、「ユーザを識別するためのユーザ識別情報」、並びに、「ユーザによる店舗への決済に関する決済情報」を合わせたものが、本願明細書の「決済情報」といえ、そうすると、引用発明の「受付部」が、前記「店舗識別情報」、前記「ユーザ識別情報」及び前記「決済情報」を店舗端末から受け付けることは、前記「店舗識別情報」、前記「ユーザ識別情報」及び前記「決済情報」が示す決済を検出することといえる。
以上より、引用発明の「実店舗である店舗に入店したユーザがユーザ端末を用いて、決済代行サーバが提供する決済代行サービスにより店舗にて購入する商品の決済を行う場合に、店舗端末から、店舗を識別するための店舗識別情報、ユーザ識別情報、並びに、ユーザによる店舗への決済に関する決済情報を店舗端末から受け付け」る「受付部」は、本願発明1の「利用者が所定の決済手段を用いて行った決済を検出する検出部」に相当する。

イ 引用発明の「音情報」と本願発明1の「コンテンツ」は、下記相違点を有するものの、いずれも「コンテンツ」である点で共通する。
また、引用発明の「受付部が店舗端末から受け付けた情報」は、「ユーザによる店舗への決済に関する情報」を含むから、本願発明1の「決済関連情報」に相当する。
そうすると、引用発明の「音情報」が、「受付部が店舗端末から受け付けた情報に合致する再生条件が設定された」ものであることは、「受付部が店舗端末から受け付けた情報」、すなわち上記アの「ユーザによる店舗への決済に関する決済情報」に基づくものであり、本願発明1と同様の「前記検出部により検出された決済に関連する決済関連情報に基づ」くものといえる。
また、上記アより、引用発明の「決済代行サービス」は、本願発明の「所定の決済手段に関するサービス」といえるから、引用発明の「音情報」が、「店舗端末と、ユーザ端末との間で決済が行われる際に出力される音を示す」ものであることは、「店舗端末と、ユーザ端末との間で決済が行われる際」、すなわち、決済代行サービスを利用する際に出力されるものであり、本願発明1と同様の「前記所定の決済手段に関するサービスを利用する際に用いる」ものといえる。
以上より、下記相違点を除き、引用発明の「受付部が店舗端末から受け付けた情報に合致する再生条件が設定された音情報であって、店舗端末と、ユーザ端末との間で決済が行われる際に出力される音を示す音情報をユーザ端末に配信する」「配信部」は、本願発明1の「前記検出部により検出された決済に関連する決済関連情報に基づいて、前記所定の決済手段に関するサービスを利用する際に用いるコンテンツを、前記利用者が前記サービスの利用に用いる端末装置に提供する提供部」に相当する。

ウ 引用発明の「音情報配信サーバ」は、「音情報」、すなわち「コンテンツ」をユーザ端末に送信する点において本願発明1の「提供装置」に相当する。

エ 上記ア〜ウより、本願発明1と引用発明は、以下の点で一致し、また相違する。

<一致点>
利用者が所定の決済手段を用いて行った決済を検出する検出部と、
前記検出部により検出された決済に関連する決済関連情報に基づいて、前記所定の決済手段に関するサービスを利用する際に用いるコンテンツを、前記利用者が前記サービスの利用に用いる端末装置に提供する提供部と
を有する提供装置。

<相違点>
提供部が提供するコンテンツについて、本願発明1では、「前記サービスを利用する際に前記端末装置に表示されるコンテンツであって、当該コンテンツが提供された後において前記利用者により前記サービスを利用して決済が行われた結果所定の条件が満たされると、当該利用後に前記サービスを再度利用する際の初期画面において前記端末装置により表示態様が変化された状態で表示されるコンテンツ」であるのに対し、引用発明では、「決済が行われる際に出力される音を示す音情報」である点。

(2)判断
上記相違点について検討する。
引用文献2には、上記第5の2に摘記した引用文献2記載事項からみて、さるぼぼコインという、スマートフォンにダウンロードしたアプリを使って、キャッシュレスで支払いを行うという仕組みについて、利用者はあらかじめ飛騨信用組合の窓口で1円を1コインとしてチャージしておき、一方加盟店にはプリントしたQRコードが発行され、それを店頭に掲げてもらい、アプリを起動し、QRコードを撮影すれば手続き開始し、画面に支払金額を入力し、店の店員に見せて承認してもらい、この画面をスライドして送信するだけで、支払いが完了するという特定の決済手段についての事項が記載されている。
また、引用文献3には、上記第5の3に摘記した引用文献3記載事項からみて、スマホでアプリを利用して支払いをするときに、決済音を無音化できることが記載されている。
しかしながら、いずれの文献にも、提供部が「前記サービスを利用する際に前記端末装置に表示されるコンテンツであって、当該コンテンツが提供された後において前記利用者により前記サービスを利用して決済が行われた結果所定の条件が満たされると、当該利用後に前記サービスを再度利用する際の初期画面において前記端末装置により表示態様が変化された状態で表示されるコンテンツ」を提供することは記載されておらず、当該コンテンツは自明な事項でもないから、当業者であっても、引用発明、引用文献2記載事項及び引用文献3記載事項から、相違点に係る構成を容易に想到することができたとはいえない。
そして、本願発明1は、相違点に係る構成を有することで、「利用するための条件や出力態様を変化させるための条件が設定されたコンテンツを提供するため、コンテンツや所定の決済手段の積極的な利用を促すことができる。」(本願明細書段落【0092】)という効果を奏するものである。

よって、本願発明1は、引用発明、引用文献2記載事項及び引用文献3記載事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

2 本願発明2−15について
本願発明2−13は、本願発明1を減縮した発明であって、上記相違点についての構成を有するから、本願発明1と同様の理由により、引用発明、引用文献2記載事項及び引用文献3記載事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
本願発明14は、本願発明1に対応する「提供方法」の発明であり、本願発明1とカテゴリ表現が異なるだけの発明であって、上記相違点についての構成に対応する構成を有するから、本願発明1と同様の理由により、引用発明、引用文献2記載事項及び引用文献3記載事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
本願発明15は、本願発明1を「コンピュータに実行させるための提供プログラム」として表現した発明であって、上記相違点についての構成に対応する構成を有するから、本願発明1と同様の理由により、引用発明、引用文献2記載事項及び引用文献3記載事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

3 原査定の理由について
上記1、2のとおり、本願発明1−15は、引用発明、引用文献2記載事項及び引用文献3記載事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではないから、原査定の理由によって本願を拒絶することはできない。

第7 当審拒絶理由についての判断
令和4年4月25日にされた手続補正により、補正前の請求項1の「前記提供部は、前記コンテンツとして、前記サービスを利用する際に前記端末装置に表示されるコンテンツであって、当該コンテンツが提供された後において前記利用者により前記サービスが利用されると、前記端末装置により表示態様が変化された受胎で表示されるコンテンツを提供する」の記載は、「前記提供部は、前記コンテンツとして、前記サービスを利用する際に前記端末装置に表示されるコンテンツであって、当該コンテンツが提供された後において前記利用者により前記サービスを利用して決済が行われた結果所定の条件が満たされると、当該利用後に前記サービスを再度利用する際の初期画面において前記端末装置により表示態様が変化された状態で表示されるコンテンツを提供する」と補正されたため、請求項1に係る発明及び請求項1を引用する請求項2−13は明確となり、発明の詳細な説明に記載したものとなった。
請求項14及び請求項15についても、同手続補正により補正されたことで、明確となり、発明の詳細な説明に記載したものとなった。
したがって、請求項1−15の記載は、特許法第36条第6項第1号及び第2号に規定する要件を満たし、当審拒絶理由は解消した。

第8 むすび
以上のとおり、原査定の理由及び当審拒絶理由によって本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2022-06-07 
出願番号 P2020-060277
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G06Q)
P 1 8・ 537- WY (G06Q)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 渡邊 聡
特許庁審判官 相崎 裕恒
中野 浩昌
発明の名称 提供装置、提供方法及び提供プログラム  
代理人 特許業務法人酒井国際特許事務所  

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