• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G02B
管理番号 1385784
総通号数
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2022-07-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-04-14 
確定日 2022-01-13 
事件の表示 特願2019−507665「光学積層体」拒絶査定不服審判事件〔平成30年 9月27日国際公開、WO2018/174012〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続等の経緯
特願2019−507665号(以下「本件出願」という。)は、2018年(平成30年)3月19日(先の出願に基づく優先権主張 2017年(平成29年)3月23日)を国際出願日とする出願であって、その手続等の経緯の概要は、以下のとおりである。
令和 2年 5月27日付け:拒絶理由通知書
令和 2年 9月30日提出:意見書
令和 3年 1月 6日付け:拒絶査定
令和 3年 4月14日提出:審判請求書
令和 3年 7月30日付け:拒絶理由通知書
令和 3年 9月29日提出:意見書
令和 3年 9月29日提出:手続補正書


第2 本願発明
本願の請求項1〜6に係る発明は、令和3年9月29日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1〜6に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1及び請求項5の記載は、次のとおりである。以下、請求項1に係る発明を引用する請求項5に係る発明を「本願発明」という。

「【請求項1】
ガラスフィルムと、偏光子と、粘着剤層とをこの順に備え、
ガラス板に対する接着力が、0.1N/25mm〜5N/25mmであり、
該ガラスフィルムの厚みが、20μm〜200μmである、
光学積層体。」

「【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の光学積層体を含む、画像表示装置。」


第3 拒絶の理由
令和3年7月30日付けの当合議体が通知した拒絶理由は、概略、本件出願の請求項1〜7に係る発明は、先の出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線と通じて公衆に利用可能となった発明に基づいて先の出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない、というものである。

引用文献1:国際公開第2013/175767号
引用文献2:特開2015−25125号公報
(当合議体注:引用文献1は、主引用例であり、引用文献2は、副引用例である。)


第4 引用文献1及び引用発明
1 引用文献1の記載事項
当合議体の拒絶の理由で引用文献1として引用され、先の出願前に日本国内又は外国において電気通信回線と通じて公衆に利用可能となった国際公開第2013/175767号(以下、同じく「引用文献1」という。)には、以下の記載がある。なお、下線は当合議体が付与したものであって、引用発明の認定及び判断等で活用した箇所である。

(1)「技術分野
[0001] 本発明は、偏光板、偏光板の製造方法および画像表示装置に関する。
背景技術
[0002] 近年、液晶ディスプレイの市場が急速に拡大している。特に、スマートフォンやタブレットと呼ばれる中小型モバイル機器の市場の拡大が著しい。中小型モバイル機器は、表示画像のコントラストの向上とともに、薄型化や軽量化が求められている。そのため、表示装置の薄型化が検討されている。
[0003] 例えば、液晶表示装置は、液晶セルと、その視認側の面に配置される第一の偏光板と、バックライト側の面に配置される第二の偏光板とを有する。第一の偏光板は、少なくとも第一の偏光子と、その視認側の面に配置される保護フィルムF1とを有する。
[0004] 表示装置を薄型化するために、偏光子の厚みを薄くすることが検討されている。例えば、偏光子を、基材フィルム上にポリビニルアルコール系樹脂を塗布した後、一軸延伸および染色するステップを経て製造する方法が提案されている(例えば特許文献1および2)。これにより、従来の方法で得られる偏光子の厚みが20μm超であるのに対し、10μm以下の厚みの偏光子を得ることができる。
[0005] しかしながら、保護フィルムの厚みは60〜100μmであることから、偏光板の厚みを薄くするためには、偏光子だけでなく、保護フィルムの厚みも薄くする、もしくは省略することが望まれる。
[0006] ところで、表示装置の最も視認側には、通常、透明なガラス基板が設けられる。即ち、第一の偏光板を構成する第一の偏光子と透明なガラス基板とは、通常、保護フィルムF1を介して積層されている。
[0007] そこで、表示装置を薄型化するために、保護フィルムF1を省略すること;具体的には、第一の偏光子と、透明なガラス基板とを、保護フィルムF1を介さずに貼り合わせる方法も検討されている。また、表示装置のガラス基板を超薄膜ガラスとすることも提案されている(例えば特許文献3および4)。超薄膜ガラスは、厚みが200μm以下であることから、ロール状に巻き取ることができ、生産性も良好である。
・・・省略・・・
発明の概要
発明が解決しようとする課題
[0009] 本発明者らは、表示装置をさらに薄型化するために、厚みが薄い偏光子と、(表示装置の最も視認側に配置される)ガラス基板とを、保護フィルムF1を介さずに積層することを検討した。
[0010] しかしながら、厚みが薄い偏光子とガラス基板とを熱硬化性樹脂を介して接着させると、偏光子とガラス基板の熱膨脹係数の差が大きいため、偏光子に熱による歪み(応力)が残留しやすい。それにより、接着後に得られる偏光板が反りやすいだけでなく、偏光板のロール体を高温多湿下で保存すると偏光板が変形しやすく、それにより偏光度のムラが生じやすいという問題があった。さらに、熱による歪みが残留した偏光子を含む表示装置を高温多湿下で保存すると、偏光子が歪んだり、偏光板の反りが生じたりしやすいという問題があった。これらの問題は、偏光子やガラス基板の厚みが薄い場合に顕著であった。
[0011] 本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、表示装置を十分に薄型化でき、かつ偏光板やそれを含む表示装置を高温多湿下で保存したときの、偏光板の変形や反りを抑制しうる偏光板とその製造方法およびそれを含む画像表示装置を提供することを目的とする。
課題を解決するための手段
[0012] [1] 二色性色素を含む、厚み0.5〜10μmの偏光子と、ガラスフィルムと、前記偏光子と前記ガラスフィルムとの間に配置され、活性線硬化性組成物の硬化物からなる接着層とを含む、偏光板。
・・・省略・・・
[6] 前記ガラスフィルムの厚みが、1〜200μmである、[1]〜[5]のいずれかに記載の偏光板。
・・・省略・・・
[13] [1]〜[6]のいずれかに記載の偏光板を含む、画像表示装置。
発明の効果
[0014] 本発明によれば、表示装置を十分に薄型化しつつ、偏光板やそれを含む表示装置を高温・多湿下で保存した際の、偏光板の変形や反りを抑制することができる。」

(2)「発明を実施するための形態
[0016] 1.偏光板
図1は、本発明の偏光板の構成の一例を示す模式図である。図1に示されるように、本発明の偏光板10は、偏光子12と、ガラスフィルム14と、それらの間に配置され、活性線硬化性組成物の硬化物からなる接着層16とを含む。本発明の偏光板10は、特に画像表示装置の視認側に配置される偏光板として好ましく用いられる。
[0017] 偏光子12について
偏光子は、一定方向の偏波面の光のみを通過させる素子である。偏光子は、ポリビニルアルコール系樹脂を含む偏光フィルムであり;具体的には、ポリビニルアルコール系樹脂を含むフィルムを一軸延伸し、かつ二色性染料で染色して得られるフィルムである。
・・・省略・・・
[0027] ガラスフィルム14について
ガラスフィルムの材質は、ソーダライムガラス、珪酸塩ガラスなどであり、珪酸塩ガラスであることが好ましく、シリカガラスまたはホウ珪酸ガラスであることがより好ましい。
・・・省略・・・
[0029] ガラスフィルムの厚みは、300μm以下であることが好ましく、一定の強度を確保しつつ、可撓性を付与してロール状に巻き取りやすくするためには、1〜200μmであることが好ましく、1〜100μmであることがより好ましく、5〜50μmであることがさらに好ましい。ガラスフィルムの厚みが300μm超であると、ガラスフィルムに十分な可とう性を付与できず、ロール状に巻き取りにくい。一方、ガラスフィルムの厚みが1μm未満であると、ガラスフィルムの強度が不足し、破損しやすい。
・・・省略・・・
[0031] 活性線硬化性組成物の硬化物からなる接着層16について
活性線硬化性組成物の硬化物からなる接着層は、前述の偏光子とガラスフィルムとを接着させる機能を有する。活性線硬化性組成物は、後述するように、活性線硬化性化合物を含む。活性線硬化性化合物は、紫外線硬化性化合物であることが好ましい。
・・・省略・・・
[0052] 保護フィルムについて
本発明の偏光板は、必要に応じて偏光子の、活性線硬化性化合物の硬化物からなる接着層とは反対側の面に、保護フィルムをさらに含んでいてもよい。
・・・省略・・・
[0069] 2.本発明の偏光板の製造方法
本発明の偏光板は、A)厚み0.5〜10μmの偏光子を得る工程と、B)偏光子をガラスフィルムに、活性線硬化性組成物層を介して貼り合わせる工程と、C)活性線硬化性組成物層に活性線を照射して、活性線硬化性組成物を硬化させる工程と、を経て製造することができる。
・・・省略・・・
[0126] 3.画像表示装置
本発明の画像表示装置は、本発明の偏光板を含む液晶表示装置または有機EL表示装置でありうる。
[0127] 液晶表示装置は、液晶セルと、それを挟持する第一および第二の偏光板と、バックライトとを有する。少なくとも液晶セルの視認側に配置される第一の偏光板;好ましくは液晶セルの視認側に配置される第一の偏光板とバックライト側に配置される第二の偏光板の両方を、本発明の偏光板としうる。
[0128] 図2は、液晶表示装置の構成の一例を示す模式図である。図2に示されるように、液晶表示装置20は、液晶セル40と、それを挟持する第一の偏光板60および第二の偏光板80と、バックライト90とを有する。同図では、第一の偏光板60と第二の偏光板80の両方を本発明の偏光板とした例を示す。
[0129] 液晶セル40の表示方式は、特に制限されず、TN(Twisted Nematic)方式、STN(Super Twisted Nematic)方式、IPS(In−Plane Switching)方式、OCB(Optically Compensated Birefringence)方式、VA(Vertical Alignment)方式(MVA;Multi−domain Vertical AlignmentやPVA;Patterned Vertical Alignmentも含む)、HAN(Hybrid Aligned Nematic)方式等がある。視野角を広くするためには、IPS方式の液晶セルが好ましい。
[0130] IPS方式の液晶セルは、二つの透明基板と、それらの間に配置され、液晶分子を含む液晶層とを含む。
[0131] 二つの透明基板のうち、一方の透明基板のみに、画素電極と対向電極とが配置される。画素電極と対向電極とが配置される透明基板は、バックライト80側に配置されることが好ましい。
[0132] 液晶層は、負の誘電率異方性(Δε<0)または正の誘電率異方性(Δε>0)を有する液晶分子を含む。液晶分子は、電圧無印加時(画素電極と対向電極との間に電界が生じていない時)には、液晶分子の長軸が、透明基板の表面に対して水平になるように配向している。
[0133] このように構成された液晶セルでは、画素電極に画像信号(電圧)を印加して、画素電極と対向電極との間に基板面に対して電界を生じさせる。それにより、基板面に対して水平配向している液晶分子を、基板面に水平な面内で回転させる。それにより、液晶層を駆動し、各副画素の透過率および反射率を変化させて画像表示を行う。
[0134] 第一の偏光板60は、本発明の偏光板であり、液晶セル40の視認側の面に配置されている。第一の偏光板60は、第一の偏光子62と、その視認側の面に、活性硬化性組成物の硬化物からなる接着層66を介して配置されるガラスフィルム64と、第一の偏光子62の液晶セル40側の面に配置された保護フィルム68(F2)とを有する。
[0135] 同様に、第二の偏光板80は、本発明の偏光板であり、液晶セル40のバックライト90側の面に配置されている。第二の偏光板80は、第二の偏光子82と、そのバックライト90側の面に、活性硬化性組成物の硬化物からなる接着層86を介して配置されるガラスフィルム84と、第二の偏光子82の液晶セル40側の面に配置された保護フィルム88(F3)とを有する。
[0136] 保護フィルム68(F2)と88(F3)の少なくとも一方は、必要に応じて省略されてもよい。
・・・省略・・・
[0139] このように、本発明の液晶表示装置では、少なくとも視認側の偏光板の偏光子とガラスフィルムとが、保護フィルムを介さずに貼り合わされている。そのため、本発明の液晶表示装置は、視認側の偏光板の偏光子とガラスフィルムとが保護フィルムを介して貼り合わされた従来の液晶表示装置よりも薄くされうる。また、偏光子の厚みも従来よりも十分に薄いため、それを含む液晶表示装置の厚みも高度に薄くされうる。
[0140] また、本発明の偏光板に含まれる偏光子には、前述の通り、熱による歪み(応力)が残留していない。そのため、本発明の偏光板を含む表示装置を高温多湿下で保存した後においても、偏光子に残留する歪み(応力)に起因する偏光板の反りを抑制することができる。それにより、表示装置のコントラストムラや表示ムラを抑制することができる。」

(3)「実施例
[0157] 以下において、実施例を参照して本発明をより詳細に説明する。これらの実施例によって、本発明の範囲は限定して解釈されない。
[0158] 1.偏光子の作製
(製造例1)
塗布工程
帯電防止処理が施された、厚さ120μmの非晶性ポリエチレンテレフタレートフィルムの表面をコロナ処理して、基材フィルムとした。一方、ポリビニルアルコール粉末(日本酢ビポバール(株)製、平均重合度2500、ケン化度99.0モル%以上、商品名:JC−25)を、95℃の熱水中に溶解させて、濃度8質量%のポリビニルアルコール水溶液を調製した。得られたポリビニルアルコール水溶液を、基材フィルム上にリップコーターにて塗工し、80℃で20分間乾燥させた。それにより、基材フィルムとポリビニルアルコール樹脂層との積層物を得た。積層物におけるポリビニルアルコール系樹脂層の厚みは12.0μmであった。
[0159] 延伸工程
得られた積層体を、搬送方向(MD方向)に160℃、延伸倍率5.3倍で自由端一軸延伸した。延伸後の積層物におけるポリビニルアルコール樹脂層の厚みは5.6μmであった。
[0160] 染色工程
延伸後の積層物を、60℃の温水浴に60秒間浸漬した後、水100質量部あたり0.05質量部のヨウ素と5質量部のヨウ化カリウムとを含有する水溶液に、温度28℃で60秒間浸漬した。次いで、延伸後の積層物に一定のテンションを加えたまま、当該積層物を、水100質量部あたり7.5質量部のホウ酸と6質量部のヨウ化カリウムとを含有するホウ酸水溶液に、温度73℃で300秒間浸漬した。その後、得られた積層物を、15℃の純水で10秒間洗浄した。得られた積層物に一定のテンションを加えたまま、当該積層物を70℃で300秒間乾燥させて、基材フィルムと偏光子1の積層物を得た。偏光子1の厚みは5.6μmであった。
[0161] 得られた積層物の偏光子1の、ヨウ素で染色された層の厚みを、以下の方法で測定した。即ち、偏光子1の切断面の電子顕微鏡写真を、倍率15000倍で走査電子顕微鏡(SEM)にて撮影した。その結果、偏光子1の基材フィルムと接触していない表層に、厚み2.2μmのヨウ素で染色された層が確認された。
[0162] (製造例2)
厚さ75μmのポリビニルアルコールフィルム(クラレ製ビニロンフィルムVF−P#7500)を、乾式で、搬送方向(MD方向)に、125℃、延伸倍率5.2倍で一軸延伸した。
[0163] 延伸後のポリビニルアルコールフィルムに一定のテンションを加えたまま、当該フィルムを、水100質量部あたり0.05質量部のヨウ素と5質量部のヨウ化カリウムとを含有する水溶液に、温度28℃で60秒間浸漬した。次いで、得られたフィルムに一定のテンションを加えたまま、当該フィルムを、水100質量部あたり7.5質量部のホウ酸と6質量部のヨウ化カリウムとを含有するホウ酸水溶液に、温度73℃で300秒間浸漬した。その後、得られたフィルムを15℃の純水で10秒間洗浄した。得られたフィルムに一定のテンションを加えたまま、当該フィルムを70℃で300秒間乾燥させた。次いで、得られたフィルムの端部を切り落として、幅1300mmの偏光子2(偏光フィルム)を得た。偏光子2(偏光フィルム)の厚さは33μmであった。
[0164] 偏光子2のヨウ素で染色された層の厚みを製造例1と同様にして測定した結果、偏光子2の両面に、それぞれ厚み2.0μmのヨウ素で染色された層が確認された。
[0165] (製造例3)
厚さ30μmのポリビニルアルコールフィルムを用い、かつ延伸倍率を5.7倍とした以外は製造例2と同様にして偏光子3を得た。偏光子3(偏光フィルム)の厚みは9.2μmであった。
[0166] 偏光子3のヨウ素で染色された層の厚みを製造例1と同様にして測定した結果、偏光子3の両面に、それぞれ厚み2.0μmのヨウ素で染色された層が確認された。
[0167] 2.その他材料
1)ガラスフィルム
フロート法で作製された、下記の厚みを有する無アルカリガラスを準備した。
ガラスフィルム1:厚み150μm
ガラスフィルム2:厚み300μm
ガラスフィルム3:厚み88μm
ガラスフィルム4:厚み45μm
[0168] 2)硬化性化合物
cyracureUVR6105(脂環式エポキシ化合物、ユニオンカーバイド社製)
メタクリル酸メチル/メタクリル酸グリシジルの混合物
[0169] 3.偏光板の作製
(実施例1)
下記工程1〜6に従って、製造例3で得られた偏光子3と、ガラスフィルム1とを貼り合わせた。
[0170] 工程1:製造例3で得られた偏光子3の一方の面に、下記組成を有する硬化性組成物1を、硬化後の厚みが15μmとなるように塗布した。
(硬化性組成物1)
cyracureUVR6105(脂環式エポキシ化合物、ユニオンカーバイド社製):87質量部
UVI−6990(光カチオン開始剤、ユニオンカーバイド社製):5.5質量部
L−7604(界面活性剤、日本ユニカー社製):0.5質量部
NACシリコンA−187(γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、日本ユニカー社製):2質量部
チヌビン928(紫外線吸収剤、チバ・ジャパン(株)製):7.0質量部
[0171] 工程2:工程1で得られた硬化性組成物1層上に、ガラスフィルム1を配置した。
工程3:工程2で得られた、偏光子3/硬化性組成物1層/ガラスフィルム1の積層物に、ガラスフィルム1側から高圧水銀灯で紫外線を照射し、硬化性組成物1を硬化させて貼り合わせた。照射は、120W×10m×3パス行い(照射量900mJ)、搬送速度は約2m/分とした。
工程4:工程3で得られた積層物を、80℃の乾燥機中で2分間乾燥させて、偏光板101を得た。
・・・省略・・・
[0204] 3.液晶表示装置の作製
(実施例13)
横電界型スイッチングモード型(IPSモード型)の液晶セルを含む液晶表示装置「東芝(株)製レグザ 47ZG2」を準備した。この液晶表示装置から、液晶パネルを取り出し、液晶セルの両面に配置されていた2つの偏光板を取り除いて、該液晶セルのガラス面(表裏)を洗浄した。
[0205] 第一の偏光板(視認側の偏光板)として偏光板101を、液晶セルの視認側の面に、厚み20μmのアクリル系粘着剤層を介して貼り付けた。偏光板101の貼り付けは、偏光子が液晶セルに接し、かつ偏光子の吸収軸が液晶セルの長辺と平行(0±0.2度)となるように行った。
[0206] 第二の偏光板(バックライト側の偏光板)として偏光板101を、液晶セルのバックライト側の面に、厚み20μmのアクリル系粘着剤層を介して貼り付けた。第二の偏光板の貼り付けは、偏光子が液晶セルに接し、かつ偏光子の吸収軸が、液晶セルの短辺と平行(0±0.2度)となるように行った。それにより、液晶表示装置301を得た。」

(4)図1

(5)図2


2 引用発明
上記1より、引用文献1には、実施例1の偏光板101を、液晶セルに貼り付けた実施例13に記載の作製された液晶表示装置として、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「 第一の偏光板(視認側の偏光板)として偏光板を、液晶セルの視認側の面に、厚み20μmのアクリル系粘着剤層を介して貼り付け、偏光板の貼り付けは、偏光子が液晶セルに接し、かつ偏光子の吸収軸が液晶セルの長辺と平行(0±0.2度)となるように行い、
第二の偏光板(バックライト側の偏光板)として偏光板を、液晶セルのバックライト側の面に、厚み20μmのアクリル系粘着剤層を介して貼り付け、第二の偏光板の貼り付けは、偏光子が液晶セルに接し、かつ偏光子の吸収軸が、液晶セルの短辺と平行(0±0.2度)となるように行い、それにより、得た液晶表示装置。
ここで、偏光板は、偏光子の一方の面に、硬化性組成物を塗布し、得られた硬化性組成物層上に、ガラスフィルムを配置し、得られた偏光子/硬化性組成物層/ガラスフィルムの積層物に、ガラスフィルム側から紫外線を照射し、硬化性組成物を硬化させて貼り合わせ、得られた積層物を乾燥させて得たものであり、ガラスフィルムは、厚み150μmを有する。」


第5 対比
1 本願発明と引用発明との対比
本願発明と引用発明とを対比する。

(1)ガラスフィルムについて
引用発明の「ガラスフィルム」は、「厚み150μmを有する」。
上記構成からみて、引用発明の「ガラスフィルム」は、その文言どおり、本願発明の「ガラスフィルム」に相当する。
また、引用発明の「ガラスフィルム」は、「厚み150μmを有する」ことから、引用発明の「ガラスフィルム」は、本願発明の「ガラスフィルム」の「厚みが、20μm〜200μmである」との要件を満たす。

(2)偏光子について
引用発明の「偏光板」は、「偏光子の一方の面に、硬化性組成物を塗布し、得られた硬化性組成物層上に、ガラスフィルムを配置し、得られた偏光子/硬化性組成物層/ガラスフィルムの積層物に、ガラスフィルム側から紫外線を照射し、硬化性組成物を硬化させて貼り合わせ、得られた積層物を乾燥させて得たものであ」る。
上記製法及び構成からみて、引用発明の「偏光子」は、その文言どおり、本願発明の「偏光子」に相当する。

(3)粘着剤層について
引用発明の「液晶表示装置」は、「第一の偏光板(視認側の偏光板)として偏光板を、液晶セルの視認側の面に、厚み20μmのアクリル系粘着剤層を介して貼り付け、偏光板の貼り付けは、偏光子が液晶セルに接し、かつ偏光子の吸収軸が液晶セルの長辺と平行(0±0.2度)となるように行い、
第二の偏光板(バックライト側の偏光板)として偏光板を、液晶セルのバックライト側の面に、厚み20μmのアクリル系粘着剤層を介して貼り付け、第二の偏光板の貼り付けは、偏光子が液晶セルに接し、かつ偏光子の吸収軸が、液晶セルの短辺と平行(0±0.2度)となるように行い、それにより、得た」ものである。
上記製法及び構成からみて、引用発明の「アクリル系粘着剤層」は、本願発明の「粘着剤層」に相当する。

(4)光学積層体、画像表示装置について
上記(1)の構成並びに(2)及び(3)の製法及び構成より、引用発明の「液晶表示装置」は、「ガラスフィルム」と、「偏光子」と、「アクリル系粘着剤層」とを備える積層体(以下「積層体A」という。)を含むといえる。そうしてみると、引用発明の「積層体A」は、本願発明の「光学積層体」と、「ガラスフィルムと、偏光子と、粘着剤層とを」「備え」との点で共通する。
また、上記(1)〜(3)を総合すると、引用発明の「液晶表示装置」は、本願発明の「画像表示装置」に相当する。さらに、引用発明の「液晶表示装置」は、本願発明の「画像表示装置」の「光学積層体を含む」との要件を満たす。

2 一致点及び相違点
(1)一致点
以上の対比結果を踏まえると、本願発明と引用発明は、以下の点で一致する。
「ガラスフィルムと、偏光子と、粘着剤層とを備え、
該ガラスフィルムの厚みが、20μm〜200μmである、
光学積層体を含む、画像表示装置。」

(2)相違点
本願発明と引用発明は、以下の点で相違するか、一応、相違する。

(相違点1)
「光学積層体」が、本願発明は、「ガラスフィルムと、偏光子と、粘着剤層とをこの順に備え」るのに対して、引用発明の「積層体A」は、「ガラスフィルム」、「偏光子」及び「アクリル系粘着剤層」の順は一応明らかでない点。

(相違点2)
「粘着剤層」が、本願発明は、「ガラス板に対する接着力が、0.1N/25mm〜5N/25mmであ」るのに対して、引用発明の「アクリル系粘着剤層」は、このように特定されていない点。


第6 判断
1 相違点についての判断
上記相違点について検討する。

(1)相違点1について
引用文献1の図2の液晶表示装置から、視認側の第一の偏光板60は、視認側から、ガラスフィルム64、第一の偏光子62をこの順に備えることが看取できる。この点について、引用文献1の実施例13([0204]〜[0206])として記載された液晶表示装置は、引用文献1の[0128]〜[0136]、図2に記載された液晶表示装置を具体化したものであるから、引用文献1の実施例13([0204]〜[0206])として記載された偏光板101も、視認側から、ガラスフィルム、偏光子をこの順に備えているといえる。そして、実施例13として記載された視認側の偏光板としての偏光板101は、液晶セルの視認側にアクリル系粘着剤層を介して貼り付けたものであるから、引用文献1の実施例13として記載された液晶表示装置は、視認側から、ガラスフィルム、偏光子、アクリル系粘着剤層をこの順に備えているといえる。
そうしてみると、引用発明において、「積層体A」は、「ガラスフィルム」と、「偏光子」と、「アクリル系粘着剤層」とをこの順に備えている。
したがって、上記相違点1は、差異ではない。

(2)相違点2について
液晶表示装置において、偏光フィルムが傷ついた場合等、液晶セルから偏光フィルムを剥離するというリワーク性が求められているという課題は、当合議体の拒絶の理由で引用文献2として引用され、先の出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物である特開2015−25125公報(以下、同じく「引用文献2」という。)の【0051】、【0159】にも記載されているように、周知のものである。上記課題を心得た当業者であれば、ガラスフィルムを備える偏光板についても、リワーク性を考慮に入れることは当然想起されるものである。
そして、引用文献1の[0204]及び[0205]には、それぞれ、「液晶セルのガラス面(表裏)を洗浄した。」及び「第一の偏光板(視認側の偏光板)として偏光板101を、液晶セルの視認側の面に、厚み20μmのアクリル系粘着剤層を介して貼り付けた」と記載されていることから、引用発明においても、アクリル系粘着剤層のガラス板に対する接着力について、接着性を確保しつつもリワーク性を考慮して決定する必要があることは明らかである。
さらに、引用発明と引用文献2に記載された偏光フィルムとは、偏光子、アクリル系の粘着剤層を有する薄型の偏光フィルムをガラス板に貼着するという点で共通するものであるから、引用発明においても、引用文献2に記載された接着力を参考にすることはごく自然なことである。実際、引用文献2の【0083】に記載されたガラスに対する粘着剤層の接着力は、「2.0N/25mm幅以上5.0N/25mm幅以下」であり、上記相違点2に係る接着力と重複する。
また、接着力の値を決定するにあたって、接着性を確保するためにある程度の接着力が必要であるから下限が決定され、リワーク性のためには大きい接着力であれば剥離できないから上限が決定されるものである。具体的な数値は、ガラスフィルムの厚みや材質、偏光子の厚みや材質、保護膜の有無や厚みや材質等の諸条件に応じて実験的に求めればよく、当業者にとって適宜選択可能な設計事項にすぎない。
そうしてみると、引用発明において、上記相違点2に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

2 効果について
本願発明に関して、本件明細書の【0008】には、「本発明によれば、ガラスフィルムを備えながら、リワーク性に優れる光学積層体を提供することができる。」と記載されている。また、同【0117】には、リワーク性及び耐久性について実施例が比較例よりも優れていることが記載されている。
しかしながら、このような効果は、引用発明及び引用文献2に記載された事項から予測できる範囲内のものである。

3 審判請求人の主張について
審判請求人は、令和3年9月29日提出の意見書において、「引用文献1は、ガラスフィルムを備える光学積層体のリワーク性の課題を認識してらず、引用文献2は、ガラスを含む光学積層体を記載していません。すなわち、第1には、引用文献1に基づいて、リワーク性の課題を解決すべく構成された本願発明に想到することは容易ではなく、第2には、仮に、引用文献1の発明においてリワーク性の課題を解決しようとしても、ガラスを含む光学積層体を記載していない引用文献2は引用例とはなり得ません。したがって、引用文献1および2を組み合わせて、本願発明に想到することは容易ではありません。」と主張している。
しかしながら、上記1及び2で述べたとおりであるから、審判請求人の上記主張は、採用することができない。

4 小括
本願発明は、引用文献1に記載された発明及び引用文献2に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。


第7 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法29条2項の規定により、特許を受けることができない。
したがって、本件出願は、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
別掲 (行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。
 
審理終結日 2021-11-08 
結審通知日 2021-11-09 
審決日 2021-11-26 
出願番号 P2019-507665
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (G02B)
最終処分 02   不成立
特許庁審判長 榎本 吉孝
特許庁審判官 井口 猶二
関根 洋之
発明の名称 光学積層体  
代理人 籾井 孝文  
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ