• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 取り消して特許、登録 G06F
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06F
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 G06F
管理番号 1385818
総通号数
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2022-07-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-05-10 
確定日 2022-06-28 
事件の表示 特願2017− 81766「触感呈示デバイス用トップパネル及び触感呈示デバイス」拒絶査定不服審判事件〔平成30年11月15日出願公開、特開2018−181082、請求項の数(6)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成29年4月18日の出願であって、令和2年11月9日付けで拒絶理由が通知され、令和3年1月8日付けで手続補正がされるとともに意見書が提出され、令和3年2月5日付けで拒絶査定がされ、これに対し、令和3年5月10日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正がされ、その後、令和4年1月12日付けで当審より拒絶理由が通知され(以下、「当審拒絶理由(1)」という。)、令和4年3月8日に手続補正がされるとともに意見書が提出され、令和4年4月1日付けで当審より拒絶理由(最後)(以下、「当審拒絶理由(2)」という。)が通知され、令和4年5月9日に手続補正がされるとともに意見書が提出されたものである。

第2 原査定の概要
原査定(令和3年2月5日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

理由1 (新規性)本願請求項1−3、7に係る発明は、以下の引用文献Aに記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。

理由2 (進歩性)本願請求項1−7に係る発明は、以下の引用文献A−Cに基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
A.国際公開第2016/157491号
B.特開2016−184391号公報
C.米国特許出願公開第2010/0207895号明細書

第3 当審拒絶理由の概要
1 当審拒絶理由(1)の概要
理由1 (サポート要件)この出願は、特許請求の範囲の請求項1−6の記載が、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。

理由2 (進歩性)本願請求項1−6に係る発明は、引用文献1−4に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
1.国際公開第2016/157491号(拒絶査定時の引用文献A)
2.特開2016−102045号公報(当審において新たに引用した文献)
3.特開2016−184391号公報(拒絶査定時の引用文献B)
4.米国特許出願公開第2010/0207895号明細書(拒絶査定時の引用文献C)

2 当審拒絶理由(2)の概要
理由1 (サポート要件)この出願は、特許請求の範囲の請求項1−5、7の記載が、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。

理由2 (明確性)この出願は、特許請求の範囲の請求項1−5、7の記載が、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

第4 本願発明
本願請求項1−6に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」−「本願発明6」という。)は、令和4年5月9日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1−6に記載された事項により特定される発明であって、本願発明1、本願発明6は以下のとおりの発明である。

「【請求項1】
アクチュエータにより超音波を印加する触感呈示デバイスに用いられる触感呈示デバイス用トップパネルであって、
前記触感呈示デバイス用トップパネルが、ガラスによって構成されており、
内部摩擦が、1.0×10−4以上、1.0×10−3以下であり、
ヤング率が、77GPa以上である、触感呈示デバイス用トップパネル。」

「【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の触感呈示デバイス用トップパネルと、
前記触感呈示デバイス用トップパネルに超音波を印加するアクチュエータと、
を備える、触感呈示デバイス。」

なお、本願発明2−5は、本願発明1を減縮した発明である。

第5 各引用文献、引用発明等
1 引用文献1及び引用発明
(1) 引用文献1
当審拒絶理由(1)の理由2において引用した引用文献1には、図面とともに、以下の記載がある(下線は、特に着目した箇所を示す。以下同様。)。

ア [図3]




イ 段落[0013]
「電子機器100は、一例として、タッチパネルを入力操作部とする、スマートフォン端末機、又は、タブレット型コンピュータである。電子機器100は、タッチパネルを入力操作部とする機器であればよいため、例えば、携帯情報端末機、又は、ATM(Automatic Teller Machine)のように特定の場所に設置されて利用される機器であってもよい。」

ウ 段落[0018]
「電子機器100は、筐体110、トップパネル120、両面テープ130、振動素子140、タッチパネル150、ディスプレイパネル160、及び基板170を含む。」

エ 段落[0020]
「トップパネル120は、平面視で長方形の薄い平板状の部材であり、透明なガラス、又は、ポリカーボネートのような強化プラスティックで作製される。トップパネル120の表面(Z軸正方向側の面)は、電子機器100の利用者が操作入力を行う操作面の一例である。」

オ 段落[0037]
「電子機器100は、超音波帯の定在波を発生させることにより、トップパネル120を通じて利用者に触感を提供する。」

カ 段落[0044]−[0045]
「図4の(A)、(B)に示す定在波は、一例として、周期数kが10の場合の波形である。例えば、トップパネル120として、長辺の長さlが140mm、短辺の長さが80mm、厚さtが0.7mmのGorilla(登録商標)ガラスを用いる場合には、周期数kが10の場合に、固有振動数fは33.5[kHz]となる。この場合は、周波数が33.5[kHz]の駆動信号を用いればよい。
トップパネル120は、平板状の部材であるが、振動素子140(図2及び図3参照)を駆動して超音波帯の固有振動を発生させると、図4の(A)、(B)に示すように撓むことにより、表面に定在波が生じる。」

キ 段落[0047]−[0049]
「また、トップパネル120に生じる振動の反射又は減衰等の影響により、実際の電子機器100のトップパネル120に発生する定在波が、理想的な定在波の波形とは少し分布が異なる場合があり得る。
このような場合に、実際の電子機器100のトップパネル120に発生する定在波の分布が、理想的な定在波の波形の分布に近づくように振動特性を改善又は矯正できれば、利用者により良好な触感を提供することができる。
また、実際の電子機器100のトップパネル120に理想的な定在波の波形を発生させることができる場合であっても、より少ない消費電力で、より大きな振幅が得られるように振動特性を改善又は矯正することができれば、利用者により良好な触感を提供することができる。」

ク 段落[0054]
「図5は、電子機器100のトップパネル120に生じさせる超音波帯の固有振動により、操作入力を行う指先に掛かる動摩擦力が変化する様子を説明する図である。図5の(A)、(B)では、利用者が指先でトップパネル120に触れながら、指をトップパネル120の奥側から手前側に矢印に沿って移動する操作入力を行っている。なお、振動のオン/オフは、振動素子140(図2及び図3参照)をオン/オフすることによって行われる。」

ケ 段落[0060]
「ここで、トップパネル120に超音波帯の固有振動を生じさせると、トップパネル120の表面と指との間にスクイーズ効果による空気層が介在し、指でトップパネル120の表面をなぞったときの動摩擦係数が低下する。」

コ 段落[0180]
「なお、以上では、振動素子140A1〜140B3を超音波帯の駆動信号で駆動する形態について説明したが、振動素子140A1〜140B3を可聴域の周波数帯の駆動信号で駆動してもよい。可聴域の周波数帯とは、例えば、20kHz未満の周波数帯であり、人間が聴くことができる周波数帯である。」

(2) 引用発明
よって、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が開示されているものと認められる。

「電子機器100は、一例として、タッチパネルを入力操作部とする、スマートフォン端末機、又は、タブレット型コンピュータであり、
電子機器100は、トップパネル120、両面テープ130、振動素子140、タッチパネル150、ディスプレイパネル160、及び基板170を含み、
トップパネル120は、平面視で長方形の薄い平板状の部材であり、透明なガラス、又は、ポリカーボネートのような強化プラスティックで作製され、
電子機器100は、超音波帯の定在波を発生させることにより、トップパネル120を通じて利用者に触感を提供し、
トップパネル120として、長辺の長さlが140mm、短辺の長さが80mm、厚さtが0.7mmのGorillaガラスを用いる場合には、周波数が33.5[kHz]の駆動信号を用い、
トップパネル120に生じる振動の反射又は減衰等の影響により、実際の電子機器100のトップパネル120に発生する定在波が、理想的な定在波の波形とは少し分布が異なる場合があり、このような場合に、実際の電子機器100のトップパネル120に発生する定在波の分布が、理想的な定在波の波形の分布に近づくように振動特性を改善又は矯正できれば、利用者により良好な触感を提供することができ、また、実際の電子機器100のトップパネル120に理想的な定在波の波形を発生させることができる場合であっても、より少ない消費電力で、より大きな振幅が得られるように振動特性を改善又は矯正することができれば、利用者により良好な触感を提供することができ、
トップパネル120に超音波帯の固有振動を生じさせると、トップパネル120の表面と指との間にスクイーズ効果による空気層が介在し、指でトップパネル120の表面をなぞったときの動摩擦係数が低下し、
振動素子140A1〜140B3を可聴域の周波数帯の駆動信号で駆動してもよい、
電子機器100。」

2 引用文献2について
当審拒絶理由(1)の理由2において引用した引用文献2には、以下の記載がある。

(1) 段落【0001】−【0010】
「【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラスに関し、具体的には携帯電話、デジタルカメラ、PDA(携帯端末)、太陽電池、チップサイズパッケージ(CSP)、電荷結合素子(CCD)、等倍近接型固体撮像素子(CIS)のカバーガラス、特にタッチパネルディスプレイのカバーガラスに好適なガラスに関する。

・・・(中略)・・・

【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、カバーガラスには、(1)傷が付き難いこと、(2)落下衝撃強度が高いことが要求される。従来のカバーガラスは、上記(1)、(2)の特性を満たすために、イオン交換処理により、表面に圧縮応力層を有する強化ガラスとされている。

・・・(中略)・・・

【0009】
更に、近年では、大型テレビにもカバーガラスを用いることが検討されており、そのカバーガラスには、強化ガラスが使用されている。しかし、従来の強化ガラスは、十分に軽量であるとは言えず、大型デバイスの軽量化に資するものではない。
【0010】
本発明は、上記事情に鑑み成されたものであり、その技術的課題は、イオン交換処理しなくても、傷が付き難く、落下衝撃強度が高く、しかも軽量なガラスを創案することである。」

(2) 段落【0066】−【0076】
「【0066】
本発明のガラスは、以下の特性を有することが好ましい。

・・・(中略)・・・

【0076】
内部摩擦は、0.01以下、0.002以下、0.001以下、特に0.0008以下であることが好ましい。」

3 引用文献3、引用文献4について
(1) 引用文献3について
当審拒絶理由(1)の理由2において引用した引用文献3には、以下の記載がある。

ア 段落【0022】
「【0022】
この問題に対して、本願発明者は、接触面の形態が異なる各種触覚提示装置を作成し、各々の触覚提示装置において、操作者がテクスチャ感を知覚可能な最低電圧、即ち検出閾電圧を調べた。その結果、接触面にアンチグレア処理を施す(絶縁層の接触面を粗くする)と、提示された触覚が極めて分かりやすくなること、即ち、提示された触覚刺激を操作者が極めて知覚しやすくなること(第1の知見)を見出した。」

イ 段落【0039】
「【0039】
図7のグラフを参照すると、整理番号1の触覚提示装置より低い検出閾電圧の触覚提示装置、例えば検知閾電圧が150V以下の触覚提示装置を設計したい場合、表面粗さRaを0.01μm〜0.3μmの範囲に設定することが望ましい。また、整理番号1の触覚提示装置の検知閾電圧である178.4Vより低い検知閾電圧を有する触覚提示装置を設計したい場合、表面粗さRaを0.01μm〜0.4μmの範囲に設定することが望ましい。」

(2) 引用文献4について
当審拒絶理由(1)の理由2において引用した引用文献4には、以下の記載がある。

ア 段落[0066]
「Next, as illustrated in FIG. 9 , the surface of the touchscreen 110 e can be formed in a corrugated shape from one end to the other. The touchscreen 110 e can be formed with a convexly curving part and a concavely curving part repeating in an alternating manner, and this corrugated shape can be formed over the entire surface of the touchscreen 110 e from one end to the other end.」
(訳:
次に、図9に示すように、タッチスクリーン110の表面には、一端から他端まで凹凸状に形成することができる。タッチパネル110eは、凸状湾曲部とを交互に繰り返し、凹状湾曲部を形成し、この波形形状は、一方の端部から他方の端部まで、タッチパネル110eの全面に亘って形成することができる。)

イ 図9




第6 対比・判断
1 本願発明1について
(1) 対比
本願請求項1に係る発明(以下、「本願発明1」という。)と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。

ア 引用発明の「電子機器100」は、「超音波帯の定在波を発生させることにより、トップパネル120を通じて利用者に触感を提供し」ているから、本願発明1の「触感呈示デバイス」に相当する。
よって、引用発明の「電子機器100」の「トップパネル120」は、本願発明1の「触感呈示デバイスに用いられる触感呈示デバイス用トップパネル」に相当する。

イ 引用発明の「トップパネル120」が、「透明なガラス、又は、ポリカーボネートのような強化プラスティックで作製され」ることは、本願発明1の「前記触感呈示デバイス用トップパネルが、ガラスによって構成されて」いることに相当する。

ウ よって、本願発明1と引用発明との一致点・相違点は次のとおりであるといえる。

[一致点]
「触感呈示デバイスに用いられる触感呈示デバイス用トップパネルであって、
前記触感呈示デバイス用トップパネルが、ガラスによって構成されている、
触感呈示デバイス用トップパネル。」

[相違点1]
[相違点1]
本願発明1の「触感呈示デバイス用トップパネル」は、「内部摩擦が、1.0×10−4以上、1.0×10−3以下であり、ヤング率が、77GPa以上である」ことが特定されているのに対して、引用発明では、「トップパネル120」の「内部摩擦」の下限値と上限値、及び、「ヤング率」の下限値が特定されていない点。

(2) 当審の判断
上記[相違点1]について検討する。
本願発明1の上記[相違点1]に係る、「触感呈示デバイス用トップパネル」の「内部摩擦が、1.0×10−4以上、1.0×10−3以下であり、ヤング率が、77GPa以上である」ことについては、上記引用文献1−4には記載されておらず、本願出願前において周知技術であるともいえない。

特に、上記引用文献2には、「携帯電話」や「PDA(携帯端末)」などのカバーガラスとして、「イオン交換処理なしに、傷が付き難く、落下衝撃強度が高く、しかも軽量なガラス」を提供するという課題を解決するために、内部摩擦が、「0.01以下、0.002以下、0.001以下、特に0.0008以下であることが好ましい」、すなわち、「1.0×10−2以下、2.0×10−2以下、1.0×10−3以下、特に8.0×10−4以下であることが好ましい」カバーガラスを採用するという技術的事項が記載されている。
そして、一般に、ユーザが持ち運ぶ携帯機器のカバーガラス(「トップパネル」)を、より「軽くて丈夫」にするという課題は、周知かつ当然の課題であるから、引用発明の「スマートフォン端末機、又は、タブレット型コンピュータ」などを含む電子機器の「トップパネル120」にも、上記課題は、当然に該当するといえる。
また、引用文献2の記載事項は、引用発明の、例えば「ゴリラガラス」である(当審注:これが「イオン交換処理」を用いた強化ガラスの一種であることは明らかである。)「トップパネル120」を、より「軽くて丈夫」にするのに適した内容と考えられるから、当業者であれば、引用発明に、引用文献2に記載された事項を組み合わせる事を試みる十分な動機付けがあるといえる。
しかしながら、引用発明に引用文献2に記載された事項を組み合わせる場合に、さらに、「触感呈示デバイス用トップパネル」の「ヤング率が、77GPa以上である」ものとすることまでは、当業者であっても、引用発明、引用文献2−4に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。

なお、上記引用文献3、引用文献4には、それぞれ、タッチパネルのタッチ面に凹凸を設ける周知技術は開示されているが、本願発明1の上記[相違点1]に係る構成は開示されていない。

よって、当業者といえども、引用発明及び引用文献2−4に記載された技術的事項から、本願発明1の上記[相違点1]に係る構成を容易に想到することはできない。
したがって、本願発明1は、当業者であっても引用発明及び引用文献2−4に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

2 請求項2−6について
本願発明2−6も、本願発明1の上記[相違点1]に係る、「触感呈示デバイス用トップパネル」の「内部摩擦が、1.0×10−4以上、1.0×10−3以下であり、ヤング率が、77GPa以上である」ことと、同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用発明、引用文献2−4に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。

第7 当審拒絶理由(2)の理由1−2について
1 理由1(サポート要件)について
令和4年5月9日付けの補正により、補正後の請求項1−6は、「触感呈示デバイス用トップパネル」の「内部摩擦が、1.0×10−4以上、1.0×10−3以下であり、ヤング率が、77GPa以上である」という技術的事項を有するものとなった。したがって、請求項1の「触感呈示デバイス用トップパネル」の「内部摩擦が、1.0×10−4以上、1.0×10−3以下であり、ヤング率が、70GPa以上である」ことを構成として有する発明は、発明の詳細な説明に記載したものではないことに基づく、当審拒絶理由(2)の理由1は解消した。

2 理由2(明確性)について
令和4年5月9日付けの補正により、補正後の請求項1−6は、「ヤング率が、77GPa以上である」と補正された。したがって、請求項1の「ヤング率が、70GPa以上である」との記載が不明確であることに基づく、当審拒絶理由(2)の理由2は解消した。

第8 当審拒絶理由(1)の理由1−2について
1 理由1(サポート要件)
令和4年5月9日付けの補正により、補正後の請求項1−6は、「アクチュエータにより超音波を印加する触感呈示デバイスに用いられる触感呈示デバイス用トップパネル」という技術的事項を有するものとなった。したがって、請求項1の「触感呈示デバイスに用いられる触感呈示デバイス用トップパネル」を構成として有する発明は、発明の詳細な説明に記載したものではないことに基づく、当審拒絶理由(1)の理由1は解消した。

2 理由2(進歩性)について
令和4年5月9日付けの補正により、補正後の請求項1−6は、「触感呈示デバイス用トップパネル」の「内部摩擦が、1.0×10−4以上、1.0×10−3以下であり、ヤング率が、77GPa以上である」という技術的事項を有するものとなった。上記「第5」のとおり、当該技術的事項は、当審拒絶理由(1)における引用文献1−4には記載されておらず、周知技術でもないので、本願発明1−6は、当業者であっても、当審拒絶理由(1)における引用文献1−4に基づいて容易に発明をすることができたものではない。したがって、この拒絶の理由は解消した。

第8 原査定についての判断
令和4年5月9日付けの補正により、補正後の請求項1−6は、本願発明1の上記[相違点1]に係る、「触感呈示デバイス用トップパネル」の「内部摩擦が、1.0×10−4以上、1.0×10−3以下であり、ヤング率が、77GPa以上である」という技術的事項を有するものとなった。当該技術的事項は、原査定における引用文献A−Cには記載されておらず、周知技術でもないので、本願発明1−6は、当業者であっても、原査定における引用文献A−Cに基づいて容易に発明をすることができたものではない。したがって、原査定を維持することはできない。

第9 むすび
以上のとおり、原査定の理由によって、本願を拒絶することはできない。
他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2022-06-14 
出願番号 P2017-081766
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G06F)
P 1 8・ 537- WY (G06F)
P 1 8・ 113- WY (G06F)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 ▲吉▼田 耕一
特許庁審判官 稲葉 和生
林 毅
発明の名称 触感呈示デバイス用トップパネル及び触感呈示デバイス  
代理人 特許業務法人 宮▲崎▼・目次特許事務所  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ