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審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63F
管理番号 1385852
総通号数
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2022-07-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-05-31 
確定日 2022-06-09 
事件の表示 特願2019−167852「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔令和2年2月20日出願公開、特開2020−25887〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、令和1年9月15日の出願であって、令和2年6月18日付けで拒絶の理由が通知され、同年8月26日に意見書及び手続補正書が提出され、同年10月14日付けで最後の拒絶の理由が通知され、同年12月22日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、令和3年2月18日付け(送達日:同年3月9日)で、令和2年12月22日付け手続補正が却下されるとともに拒絶査定がなされ、それに対して、令和3年5月31日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされ、これに対し、当審において、同年12月15日付けで拒絶の理由が通知され、令和4年2月15日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。

第2 本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、令和4年2月15日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである(なお、符号A等は、分説するため当審が付した。分説された本願発明の発明特定事項を、符号に基づき以下「特定事項A」等という。)。

「A 種々の画像を表示可能な表示手段を備える遊技機であって、
B 複数の演出モードのうちいずれか一の演出モードを選択することができるように前記複数の演出モードのそれぞれの種類を示す画像を含む選択部画像を前記表示手段に表示する場合において、前記複数の演出モードのうち一の演出モードが選択されるごとに、選択されている演出モードの種類を示す画像を前記選択部画像の特定領域へ移動するとともに、選択されている演出モードと対応する演出画像を前記表示手段に表示する第1の演出と、
C 未だ遊技に使用されていない保留球に関する情報である保留情報に当たりが含まれている可能性を示唆する画像であって、前記複数の演出モードのそれぞれの種類を示す画像と異なる特別画像を前記表示手段に表示する第2の演出と、のうち少なくとも一方を実行可能であり、
D 前記第2の演出を実行する時期が到来すると、前記第1の演出による前記表示手段への前記選択部画像の表示が阻止され前記特別画像が表示される、
E ことを特徴とする遊技機。」

第3 当審拒絶理由の概要
当審拒絶理由は、概略、次の理由を含むものである。
進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

・請求項1
・引用文献等
引用文献1 特開2018−139694号公報
引用文献2 特開2019−115442号公報

第4 引用文献の記載、引用発明、周知技術
1 当審拒絶理由で引用文献1として引用され、本願の出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2018−139694号公報(平成30年9月13日公開)には、遊技機(発明の名称)に関し、次の事項が図とともに記載されている。なお、下線は合議体が付した。以下同じ。

(1)「【0024】
図1(a)に示すように、遊技機の一種であるパチンコ機50は、縦長の固定外郭保持枠をなす外枠51にて構成の各部を保持する構造である。外枠51の左側上下には、ヒンジ53が設けられており、該ヒンジ53の他方側には図3に記載する内枠70が取り付けられており、内枠70は外枠51に対して開閉可能な構成になっている。前枠52には、板ガラス61が取り外し自在に設けられており、板ガラス61の奥には図2に記載する遊技盤1が内枠70に取り付けられている。」

(2)「【0047】
サブ統合制御装置83と演出図柄制御装置82とは双方向通信が可能である。
演出図柄制御装置82は、サブ統合制御装置83から受信したデータ及びコマンド(共に主制御装置80から送信されてきたものとサブ統合制御装置83が生成したものとがある)に基づいて演出図柄表示装置6を制御して、演出図柄等の演出画像を演出図柄表示装置6の画面に表示させる。
なお、本実施例では、サブ統合制御装置83及び演出図柄制御装置82は別々の装置に分かれているが、1つの装置にまとめる構成にしてもよい。」

(3)「【0064】
S50の入賞確認処理は図6に示すようなもので、主制御装置80は、第1始動口スイッチ11aの検出信号に基づいて、第1始動口11に遊技球が入球したか否かを判断する(S100)。肯定判断なら(S100:yes)、大当り決定用乱数、大当り図柄決定用乱数、リーチ判定用乱数、変動パターン決定用乱数等を該当の各カウンタから読み込んで、第1保留記憶が満杯(本実施例では4個)か否かを判断する(S105)。
【0065】
第1保留記憶が満杯でなければ(S105:no)、上記の各乱数を第1保留記憶として記憶し、第1特別図柄保留数表示装置18の点灯数を1増加させ(S110)、第1先読み判定処理(S112)を行い、S115に移行する。
なお、S110では、主制御装置80からサブ統合制御装置83へ、第1保留記憶に記憶された保留個数を示す保留個数コマンドが送信される。そして、サブ統合制御装置83が該保留個数コマンドを受信し、演出図柄表示装置6の画面に第1保留記憶に対応する保留図柄を表示する。
【0066】
S112の第1先読み判定処理では、第1特別図柄の保留記憶に記憶された当否判定用乱数が大当りに対応するものか否かを判定している。なお、大当りに対応するものであると判定した場合には、主制御装置80からサブ統合制御装置83へ、大当り判定を示す先読みコマンドが送信される。大当りに対応するものでもないと判定された場合には、主制御装置80からサブ統合制御装置83へ、リーチ外れ(外れであるがリーチ表示有り)か、スーパーリーチハズレ(ハズレであるがスーパーリーチ表示有り)か、リーチ表示無しの外れかなどのデータが含まれた先読みコマンドを送信する。
先読みコマンドは、前述した保留個数コマンドと合体して1つのコマンドとして送信する構成でも良い。送信タイミングが同一であり、保留図柄で演出を行う場合は関連性も高いため好適である。
・・・
【0068】
S115において、主制御装置80は、第2始動口スイッチ12aの検出信号に基づいて、第2始動口12に遊技球が入球したか否かを判断する。肯定判断(S115:yes)なら、大当り決定用乱数、大当り図柄決定用乱数、リーチ判定用乱数、変動パターン決定用乱数等を該当の各カウンタから読み込んで、第2保留記憶が満杯(本実施例では4個)か否かを判断する(S120)。
【0069】
第2保留記憶が満杯でなければ(S120:no)、上記の各乱数を第2保留記憶として記憶し、第2特別図柄保留数表示装置19の点灯数を1増加させ(S125)、第2先読み判定処理(S127)を行い、入賞確認処理を終了(リターン)する。
なお、S125では、主制御装置80からサブ統合制御装置83へ、第2保留記憶に記憶された保留個数を示す保留個数コマンドが送信される。そして、サブ統合制御装置83が該保留個数コマンドを受信し、演出図柄表示装置6に第2保留記憶に対応する保留図柄を表示する。
【0070】
S127の第2先読み判定処理では、第2特別図柄の保留記憶に記憶された当否判定用乱数が大当りに対応するものか否かを判定している。なお、大当りに対応するものであると判定した場合には、主制御装置80からサブ統合制御装置83へ、大当り判定を示す先読みコマンドが送信される。大当りに対応するものでもないと判定された場合には、主制御装置80からサブ統合制御装置83へリーチ外れ(外れであるがリーチ表示有り)、スーパーリーチハズレ(ハズレであるがスーパーリーチ表示有り)、リーチ表示無しの外れのいずれかを示す先読みコマンドを送信する。
先読みコマンドは、前述した保留個数コマンドと合体して1つのコマンドとして送信する構成でも良い。送信タイミングが同一であり、保留図柄で演出を行う場合は関連性も高いため好適である。」

(4)「【0094】
本実施例のパチンコ機50は、図17で例示するように「達吉モード」、「空手モード」及び「ボクシングモード」の3種類の演出モードを備えている。3種類の演出モードは、其々演出内容、演出表示のモチーフ、背景表示、及び各演出モードでのリーチ演出や予告演出が異なっている。
「達吉モード」は、熊の達吉が常に表示され、達吉の表情により大当りの期待度や表示演出の期待度の高さを示唆するモードとなっている。変動演出としては、演出図柄の変動態様にバリエーションを持たせ、演出図柄の動きで楽しむことができる。
「空手モード」は空手家の達吉が空手の試合を行なうモチーフの演出モードで、キャラクタ同士による試合展開で大当りの期待度を示し、キャラクタの動きで楽しむことができる。
「ボクシングモード」は空手家の達吉がボクサーのキャラクタと試合を行なうモチーフの演出モードで、これもキャラクタ同士による試合展開で大当りの期待度を示すものとなる。
【0095】
本実施例では、十字キー中ボタン69eの押下操作を行うことで、十字キー左ボタン69c又は十字キー右ボタン69dの操作によって好みの演出モードを選択することが可能となる。十字キー中ボタン69eの押下操作が行われると、演出図柄表示装置6の画面に演出モード選択画面1011が表示される。演出モード選択画面1011には、モードの選択変更が可能であること示す表示や、演出モードの選択が有効となる有効期間を示すメータ表示などが表示される。演出モードの選択が有効となる有効期間(十字キー中ボタン69eの押下操作を行ってから60秒)を経過すると、その有効期間の経過時に選択されていた演出モードへの変更の決定が確定されることになる。」

(5)「【0110】
3種類の演出モードのうち、「達吉モード」が設定されている場合に、十字キー中ボタン69eの押下操作がおこなわれると、図18(a)に示すように、演出図柄表示装置6の画面左上方には、演出モード選択画面1011が表示される。演出モード選択画面1011には、符号1007が示す表示、モード選択表示1008及びメータ表示1009が表示されている。符号1007が示す表示には、「モード変更中」と表示されている。モード選択表示1008には、「空手モード」と表示されている。モード選択表示1008を表示することで、選択中の演出モードが「空手モード」であることを報知している。メータ表示1009は、十字キー中ボタン69eの押下操作が行われてから、カウンタ100によりカウントされた時間の経過を示し、演出モードの選択が有効となる期間を示すものである。演出図柄1000が「725」で停止し、遊技者にハズレとなったことを報知している。演出図柄表示装置6の画面左下方には、保留図柄1001が4個表示されている。」

(6)「【0124】
図20を用いて、上述した構成において、演出モードの選択中に、所定の演出表示(例えば、リーチ演出)が行われる場合に、演出図柄表示装置6の画面にて表示される演出表示について説明する。
図20(a)に示すように、演出図柄表示装置6の画面左上方に、演出モード選択画面1011が表示されている。演出モード選択画面1011には、符号1007が示す表示、モード選択表示1008及びメータ表示1009が表示されている。符号1007が示す表示には、「モード変更中」と表示されている。また、モード選択表示1008には、「空手モード」と表示されており、選択中の演出モードは「空手モード」であることを報知している。演出図柄表示装置6の画面左下方には、保留図柄1001が4個表示されている。
【0125】
図20(b)へと移行すると、演出図柄1000のうち、左演出図柄及び右演出図柄が「7」で停止し、中演出図柄が変動中であることからリーチであることを遊技者に報知している。そして、演出図柄表示装置6の画面中央には、演出キャラクタ1003の「熊の達吉」が表示される。図20(b)に示すように、演出図柄表示装置6の画面に配置されていた演出モード選択画面1011が消去される。リーチ演出が行われると、演出モード選択画面1011が消去され、演出モードの選択変更が一時的に中断されることになる。」

(7)「【0136】
次に、図22を用いて、十字キー中ボタン69eの押下操作が行われて、演出モードの選択が行われる場合に、演出図柄表示装置6の画面に表示される演出表示について説明する。
【0137】
3種類の演出モードのうちの「達吉モード」の設定中に、十字キー中ボタン69eが操作されると、図22(a)に示す演出表示へ移行する。演出図柄表示装置6の画面左上方には、演出モード選択画面1011が表示される。演出モード選択画面1011には、符号1007が示す表示、モード選択表示1008、符号1010が示す表示が表示されている。符号1007が示す表示には、「モード変更中」と表示されている。また、モード選択表示1008には、「空手モード」と表示されている。これにより、選択中の演出モードが「空手モード」であることを報知している。
符号1010が示す表示には、「モードを十字キーの左右ボタンで選択して、中ボタンを押すと決定だよ♪」と表示されている。また、図22(a)に示すように、演出図柄1000が「725」で停止し、ハズレであることを遊技者に報知している。保留図柄1001が4個表示されている。
【0138】
図22(a)に示す演出図柄表示装置6の画面の左下方に表示されていた保留図柄に対応する最も古い保留記憶が消化されて、次の特別図柄の変動が開始されると、図22(b)へ移行する。特別図柄の変動に対応して、演出図柄表示装置6の画面に表示されている演出図柄1000が変動を開始する。演出図柄表示装置6の画面左下方にて保留図柄1001が3個表示されている。モード選択表示1008にて、「ボクシングモード」と表示されており、「ボクシングモード」が選択中であることを報知している。
【0139】
十字キー左ボタン69c又は十字キー右ボタン69dの押下操作を行い、「ボクシングモード」を選択して、十字キー中ボタン69eの押下操作が行われると、選択した演出モードへの変更の決定が確定される。その後、図22(c)へ移行する。
・・・」

(8)上記(1)ないし(7)からみて、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。なお、引用箇所の段落番号を併記した。

「第1始動口11に遊技球が入球し、第1保留記憶が満杯でなければ、大当り決定用乱数、大当り図柄決定用乱数、リーチ判定用乱数、変動パターン決定用乱数等の各乱数を第1保留記憶として記憶し、サブ統合制御装置83へ、第1保留記憶に記憶された保留個数を示す保留個数コマンドを送信し、第1特別図柄の保留記憶に記憶された当否判定用乱数が大当りに対応するものか否かを判定する第1先読み判定処理を行い、大当りに対応するものであると判定した場合には、サブ統合制御装置83へ、大当り判定を示す先読みコマンドを送信し、
第2始動口12に遊技球が入球し、第2保留記憶が満杯でなければ、大当り決定用乱数、大当り図柄決定用乱数、リーチ判定用乱数、変動パターン決定用乱数等の各乱数を第2保留記憶として記憶し、サブ統合制御装置83へ、第2保留記憶に記憶された保留個数を示す保留個数コマンドを送信し、第2特別図柄の保留記憶に記憶された当否判定用乱数が大当りに対応するものか否かを判定する第2先読み判定処理を行い、大当りに対応するものであると判定した場合には、サブ統合制御装置83へ、大当り判定を示す先読みコマンドを送信する主制御装置80と、
主制御装置80からの保留個数コマンドを受信し、演出図柄表示装置6の画面に第1保留記憶または第2保留記憶に対応する保留図柄を表示するサブ統合制御装置83を備え、
先読みコマンドは、保留個数コマンドと合体して1つのコマンドとして送信する構成にすると、送信タイミングが同一であり、保留図柄で演出を行う場合は好適であり(【0064】〜【0066】、【0068】〜【0070】)、
演出図柄等の演出画像を画面に表示する演出図柄表示装置6を備えるパチンコ機50であって(【0024】、【0047】)、
「達吉モード」、「空手モード」及び「ボクシングモード」の3種類の演出モードを備え、3種類の演出モードは、各演出モードでのリーチ演出や予告演出が異なっており(【0094】)、
十字キー中ボタン69eの押下操作を行うことで、十字キー左ボタン69c又は十字キー右ボタン69dの操作によって好みの演出モードを選択することが可能となり、十字キー中ボタン69eの押下操作が行われると、演出図柄表示装置6の画面に演出モード選択画面1011が表示され(【0095】)、
演出モード選択画面1011には、「モード変更中」の表示、モード選択表示1008が表示され、モード選択表示1008を表示することで、選択中の演出モードを報知し(【0110】)、
十字キー中ボタン69eの押下操作が行われて、演出モードの選択が行われる場合に、演出図柄表示装置6の画面に表示される演出表示では(【0136】)、
3種類の演出モードのうちの「達吉モード」の設定中に、十字キー中ボタン69eが操作されると、演出図柄表示装置6の画面左上方には、演出モード選択画面1011が表示され、演出モード選択画面1011には、「モード変更中」と表示され、モード選択表示1008には、「空手モード」と表示され、選択中の演出モードが「空手モード」であることを報知し(【0137】)、
十字キー左ボタン69c又は十字キー右ボタン69dの押下操作を行うと、モード選択表示1008にて、「ボクシングモード」と表示し、「ボクシングモード」が選択中であることを報知し(【0138】、【0139】)、
演出モードの選択中に、所定の演出表示(例えば、リーチ演出)が行われる場合に、演出図柄表示装置6の画面にて表示される演出表示では、
演出図柄表示装置6の画面左上方に、演出モード選択画面1011が表示され、演出モード選択画面1011には、「モード変更中」と表示され、モード選択表示1008には、「空手モード」と表示され、選択中の演出モードは「空手モード」であることを報知し(【0124】)、
リーチであることが遊技者に報知されると、演出図柄表示装置6の画面中央には、演出キャラクタ1003の「熊の達吉」が表示され、演出図柄表示装置6の画面に配置されていた演出モード選択画面1011が消去される(【0125】)、
パチンコ機50(【0024】)。」

2 当審拒絶理由で引用文献2として引用され、本願の出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2019−115442号公報(令和1年7月18日公開)には、遊技機(発明の名称)に関し、次の事項が図とともに記載されている。

(1)「【0589】
(特徴部89AKに関する説明)
パチンコ遊技機1は、上記で説明した基本的構成ないし特徴部に加え又は代えて、演出を遊技者に選択させる特徴部89AKを備えてもよい。遊技者が選択可能な演出としては、例えば、楽曲、予告演出、リーチ演出などが挙げられる。以下では、当該遊技者が選択可能な演出として、楽曲を採用した場合について図21−1〜図21−6等を参照して説明する(図21−1等参照)。
【0590】
(特徴部89AKの構成)
・・・
【0593】
演出制御用CPU120は、ファンファーレの開始時(演出制御プロセスフラグが3から6に更新されてから最初に実行されるステップS176)において、ファンファーレの開始を表示制御部123に指示する。当該指示を受けた表示制御部123は、まず、大当り遊技状態の開始を報知する演出(例えば、大当り開始!などの画像表示)を実行する(画像表示装置5への演出画像の表示の他、スピーカ8L、8Rからの音声出力、遊技効果ランプ9の点灯等を適宜含む。以下他の演出等についても同じ)。当該演出は3秒間実行され、当該演出の実行後、表示制御部123は、図21−2(A)に示す選択画面を表示する。
【0594】
図21−2(A)の選択画面には、ラウンド遊技中に再生される楽曲の選択を促す文字列(「ラウンド中の楽曲を選択してください」)と、選択肢89AK001〜89AK004と、が含まれている。選択肢89AK001は、楽曲Aの名称を表示することで、当該楽曲Aを表す。選択肢89AK002は、楽曲Bの名称を表示することで、当該楽曲Bを表す。選択肢89AK003は、楽曲Cの名称を表示することで、当該楽曲Cを表す。選択肢89AK004は、楽曲Dを本来表すが、ここでは楽曲Dを再生可能とする条件(詳細は後述)を満たしていないため、「???」(対応する楽曲が不明であることを表す)として表示されている。選択肢89AK001〜89AK004のうち、選択肢89AK001は現在選択されている選択肢として最も手前に明るく表示され、他の選択肢89AK002〜004(選択されていない選択肢)は、その後ろに並んで暗く表示される。
・・・
【0598】
図21−2(A)の選択画面が表示されているときにおいて、スティックコントローラ31Aに対する操作が行われると、当該操作は、コントローラセンサユニット35Aに検出され、コントローラセンサユニット35Aは、当該操作の内容を示す検出信号を演出制御用CPU120に供給する。演出制御用CPU120は、当該検出信号が示す操作の内容がスティックコントローラ31Aを引くものであった場合、選択される選択肢の変更を表示制御部123に指示する(ここでは、他の操作については無効化される)。表示制御部123は、当該指示があった場合には、現在選択されている選択肢89AK001を最も後ろに移動させ、選択肢89AK001の後ろの選択肢89AK002〜004を順次手前に移動させる(図21−2(B))。これにより、選択肢89AK002が最も手前に明るく表示され、当該選択肢89AK002(つまり、楽曲B)が新たに選択されたことになる。なお、選択肢89AK001を移動させるとき、示唆表示89AK001Aは、消去される。」

(2)「【0618】
(特徴部89AKの変形例)
・・・
【0619】
(変形例1)
楽曲の選択は、他のタイミングで行うものであってもよい。例えば、客待ちデモ演出又は大当り遊技状態のエンディング(ラウンド遊技終了後)において行われもよい(この場合には、例えば、可変表示中に再生される楽曲が選択される)。また、選択の対象は、楽曲に限らず、リーチ演出、演出モード、予告演出などの各種の演出であってもよい。これらの場合、演出に関する選択肢等の演出表示を表示し、選択可能とすればよい。さらに、画像表示装置5上では、演出表示に対応する演出(リーチ演出等)をプレビュー画像として、プレビュー再生するとよい(例えば、図21−7のプレビュー画像89AK010参照)。選択は、遊技者の動作(操作等)により行われるものの他、抽選等のランダムにより行われるものであってもよい。」

(3)「【図21−2】



(4)「【図21−7】



(5)【0594】には、「図21−2(A)の選択画面には、ラウンド遊技中に再生される楽曲の選択を促す文字列(「ラウンド中の楽曲を選択してください」)と、選択肢89AK001〜89AK004と、が含まれている。選択肢89AK001は、楽曲Aの名称を表示することで、当該楽曲Aを表す。選択肢89AK002は、楽曲Bの名称を表示することで、当該楽曲Bを表す。選択肢89AK003は、楽曲Cの名称を表示することで、当該楽曲Cを表す。選択肢89AK004は、楽曲Dを本来表す」と記載され、図21−2(A)には、「選択肢89AK001〜89AK004」のそれぞれが四角い画像であることが見て取れる。
これらの記載から、「選択肢89AK001〜89AK004」のそれぞれの画像に表示された「楽曲A」、「楽曲B」、「楽曲C」、「楽曲D」は、「ラウンド遊技中に再生される楽曲」を示していると認められる。
また、【0590】に「(特徴部89AKの構成)」と記載され、【0618】に「(特徴部89AKの変形例)」と記載されていることから見て、図21−7に「演出A」、「演出B」、「演出C」、「演出D」と記載された四角い画像は、それぞれ、図21−2に記載された「選択肢89AK001」〜「選択肢89AK004」に相当する選択肢画像と認められる。
さらに、【0619】に「選択の対象は、楽曲に限らず、リーチ演出、演出モード、予告演出などの各種の演出であってもよい」と記載されていることから、図21−7の「演出A」、「演出B」、「演出C」、「演出D」と記載された四角い画像は、それぞれ、「リーチ演出、演出モード、予告演出などの各種の演出」として「演出A」を選択する「選択肢89AK001」の画像、「リーチ演出、演出モード、予告演出などの各種の演出」として「演出B」を選択する「選択肢89AK002」の画像、「リーチ演出、演出モード、予告演出などの各種の演出」として「演出C」を選択する「選択肢89AK003」の画像、「リーチ演出、演出モード、予告演出などの各種の演出」として「演出D」を選択する「選択肢89AK004」の画像と認められる。
よって、引用文献2には、「リーチ演出、演出モード、予告演出などの各種の演出として「演出A」を選択する選択肢89AK001の画像、同じく各種の演出として「演出B」を選択する選択肢89AK002の画像、同じく各種の演出として「演出C」を選択する選択肢89AK003の画像、同じく各種の演出として「演出D」を選択する選択肢89AK004の画像が含まれる選択画面」が示されていると認められる(認定事項(5))。


(6)【0594】には、「選択肢89AK001は現在選択されている選択肢として最も手前に明るく表示され」と記載され、図21−2(A)には、「楽曲A」と記載された選択肢89AK001が明るく表示されていることが見て取れる。
また、【0590】に「(特徴部89AKの構成)」と記載され、【0618】に「(特徴部89AKの変形例)」と記載されていることから見て、図21−7において、最も手前に明るく表示されている「演出A」と記載された四角い選択肢画像は、「現在選択されている選択肢」が「演出A」であることを示しているといえる。
さらに、【0619】には、「画像表示装置5上では、演出表示に対応する演出(リーチ演出等)をプレビュー画像として、プレビュー再生するとよい(例えば、図21−7のプレビュー画像89AK010参照)。」と記載され、図21−7の「89AK010」には「演出Aのプレビュー画像」と記載されている。
以上のことから、引用文献2には、「画像表示装置5上では、現在選択されている選択肢の演出表示に対応する演出(リーチ演出等)のプレビュー画像を表示する」ことが記載されていると認められる(認定事項(6))。

(7)上記(1)ないし(6)からみて、引用文献2には、次の事項(以下「引用文献2記載の事項」という。)が記載されている。なお、引用箇所の段落番号等を併記した。

「遊技者が予告演出、リーチ演出などを選択可能なパチンコ遊技機1であって(【0589】)、
画像表示装置5に表示される選択画面には、選択肢89AK001〜89AK004が含まれ、選択肢89AK001〜89AK004のうち、選択肢89AK001は現在選択されている選択肢として最も手前に明るく表示され、他の選択肢89AK002〜004(選択されていない選択肢)は、その後ろに並んで暗く表示され(【0593】、【0594】、図21−2(A))、
選択される選択肢の変更の指示があった場合には、現在選択されている選択肢89AK001を最も後ろに移動させ、選択肢89AK001の後ろの選択肢89AK002〜004を順次手前に移動させ、これにより、選択肢89AK002が最も手前に明るく表示され、当該選択肢89AK002が新たに選択されたことになるものであり(【0598】、図21−2(B))、
選択画面には、リーチ演出、演出モード、予告演出などの各種の演出として「演出A」を選択する選択肢89AK001の画像、同じく各種の演出として「演出B」を選択する選択肢89AK002の画像、同じく各種の演出として「演出C」を選択する選択肢89AK003の画像、同じく各種の演出として「演出D」を選択する選択肢89AK004の画像が含まれ(認定事項(5))、
画像表示装置5上では、現在選択されている選択肢の演出表示に対応する演出(リーチ演出等)のプレビュー画像を表示する(認定事項(6))、
パチンコ遊技機1(【0589】)。」

3 本願の出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2017−42356号公報(平成29年3月2日公開)には、遊技機(発明の名称)に関し、次の事項が図とともに記載されている。

(1)「【0322】
図34(1)は、先読み契機保留が大当りの場合に実行される先読み連続予告演出(つまり、大当りする先読み連続予告演出)のタイムチャートの例である。図34(2)及び(3)は、先読み契機保留がハズレの場合に実行される先読み連続予告演出(つまり、ハズレる先読み連続予告演出)のタイムチャートの例である。また、図34(1)〜(3)では、変動パターン(報知演出実行時間)8秒のハズレの保留が1つ存在する状態で変動パターン13.5秒のハズレの報知演出が実行されているときに先読み契機保留が発生して(つまり、始動口入賞して)先読み連続予告演出が実行された場合を示している。また、図34(1)〜(3)のタイムチャートでは、白抜き矢印が指す時点の具体的な表示画面を示す図面番号を記載している。
・・・
【0324】
図34(1)に示すように、先読み契機保留の発生直前には、図35(1)に示すように通常遊技状態で変動パターン13.5秒のハズレの報知演出が実行されている。なお、図35(1)の消化保留画像KI(RI0)は図34の13.5秒の報知演出が実行中であることを示し、図35(1)の保留画像RI1は図34の8秒の報知演出の保留を示している。ここで、図35(1)に示すように、この時点では先読み連続予告演出が開始されていないので、通常通り、変動パターン13.5秒に対応する即ハズレの演出パターン(図16参照)で報知演出が実行されている。
【0325】
その後、先読み契機保留が発生して、先読み連続予告演出の実行可能条件の全てが満たされており、抽選により先読み連続予告演出の実行が決定されたタイミングで(つまり、先読み契機保留の発生タイミングで)、実行中の13.5秒の報知演出が上書きされて先読み連続予告演出が開始され、図35(2)に示すように、先読み連続予告演出の開始演出(「バトルゲームスタート!」と記載された画像mが画面中央に表示されると共に装飾図柄DIが画面左上に縮小表示される演出)が所定時間(7秒間)実行される。また、図35(2)では、先読み契機保留を示す保留画像RI2(以下、「先読み契機保留画像RI2」という場合がある)がステージST2上に追加表示されている。なお、図35及び図36では、説明の便宜のために、先読み契機保留画像RI2、および、先読み契機保留画像RI2が消去された消化保留画像KI(RI2)を、太丸で表す。」

(2)「【図35】



4 本願の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2013−56097号公報(平成25年3月28日公開)には、遊技機(発明の名称)に関し、次の事項が図とともに記載されている。

(1)「【0355】
図38(A)に示すように、演出表示装置9の表示画面における図柄表示エリア9L,9C,9Rにおいて左中右の演出図柄が停止表示されている状態から、図38(B)に示すように、変動(可変表示)が開始されると、左中右の演出図柄が変動表示される。その後、図38(C)に示すように、演出表示装置9の表示画面に、予告演出(通常予告演出)としてのステップアップ予告演出が開始されることを示唆する画像9sが表示される。
【0356】
そして、図38(D)に示すように、ステップアップ予告演出が開始される。図38(D)に示す演出態様は、第1段階のステップアップ予告演出である。また、ステップアップ予告演出は、ステップアップ予告演出用の画像9bが表示画面に表示されることによって実行される。また、ステップアップ予告演出用の画像9bは、特定のモチーフ(特定の概念を想起させるものであるが、例えば、模様)にもとづく枠画像9fを含む。
【0357】
この実施の形態では、第1段階のステップアップ予告演出(ステップ1の演出)が開始されるタイミングにおいて、図38(D2)に示すように、ステップアップ予告演出に代えて、先読み予告演出が実行されることがある。先読み予告演出は、以後の変動において大当り図柄が停止表示されることを示唆するような画像9aが表示画面に表示されることによって実行される。先読み予告演出が実行された後、左中右の演出図柄が停止表示される(図38(D3)参照)。」

(2)「【図38】



5 上記3ないし4からみて、以下の事項が周知であると認められる。
「先読み予告演出において、以降の変動において大当たりとなる場合、演出開始のタイミングになったら大当たりを示唆する画像を表示手段の画面中央に表示する演出を行うこと。」(以下「周知技術」という。)

第5 対比
本願発明と引用発明を対比する。

1 引用発明の「演出図柄等の演出画像」、「演出図柄表示装置6」、「パチンコ機50」は、それぞれ、本願発明の「種々の画像」、「表示手段」、「遊技機」に相当する。
よって、引用発明は、本願発明の特定事項A、Eを備える。

2(1)引用発明は「「達吉モード」、「空手モード」及び「ボクシングモード」の3種類の演出モードを備え」、「好みの演出モードを選択することが可能」なものであるから、本願発明の「複数の演出モードのうちいずれか一の演出モードを選択することができる」ことという構成を備えているといえる。
また、引用発明は、「「達吉モード」、「空手モード」及び「ボクシングモード」の3種類の演出モードを備え」、「「達吉モード」の設定中に」、「演出モードの選択が行われる場合に」、「選択中の演出モードが「空手モード」である」ときには、「モード選択表示1008には、「空手モード」と表示され」、「「ボクシングモード」が選択中である」ときには、「モード選択表示1008にて、「ボクシングモード」と表示」することから、「空手モード」の設定中、または、「ボクシングモード」の設定中に、演出モードの選択が行われる場合に、選択中の演出モードが「達吉モード」であれば、モード選択表示1008に「達吉モード」と表示されるものである。
そうすると、引用発明において、「演出モードの選択が行われる場合に」、「モード選択表示1008」には、「達吉モード」の「表示」、「空手モード」の「表示」、及び、「ボクシングモード」の「表示」のいずれかが表示されるといえる。
そして、引用発明の「達吉モード」、「空手モード」、及び、「ボクシングモード」のそれぞれは、「演出モード」の「種類」といえるから、引用発明の「達吉モード」の「表示」、「空手モード」の「表示」、及び、「ボクシングモード」の「表示」は、いずれも、本願発明の「前記複数の演出モードのそれぞれの種類を示す画像」に相当する。
また、引用発明の「演出モードの選択が行われる場合に」、「達吉モード」の「表示」、「空手モード」の「表示」、及び、「ボクシングモード」の「表示」のいずれかが表示される「モード選択表示1008が表示され」る「演出モード選択画面1011」を「演出図柄表示装置6」に「表示」することは、本願発明の「前記複数の演出モードのそれぞれの種類を示す画像を含む選択部画像を前記表示手段に表示する」ことに相当し、引用発明の「演出モード選択画面1011」は、本願発明の「選択部画像」に相当する。
よって、引用発明は、本願発明の特定事項Bのうち「複数の演出モードのうちいずれか一の演出モードを選択することができるように前記複数の演出モードのそれぞれの種類を示す画像を含む選択部画像を前記表示手段に表示する場合」を備えるものである。

(2)引用発明は、「十字キー左ボタン69c又は十字キー右ボタン69dの押下操作を行い、「ボクシングモード」を選択すると、モード選択表示1008にて、「ボクシングモード」と表示し、「ボクシングモード」が選択中であることを報知」するのであるから、引用発明は「「達吉モード」、「空手モード」及び「ボクシングモード」の3種類の演出モード」のうち「「ボクシングモード」を選択する」と、「ボクシングモード」の「表示」を「演出モード選択画面1011」の「モード選択表示1008」に「表示」するものである。
引用発明の「「達吉モード」、「空手モード」及び「ボクシングモード」の3種類の演出モード」のうち「「ボクシングモード」 を選択する」ことは、本願発明の「前記複数の演出モードのうち一の演出モード」を「選択」することに相当し、引用発明の「演出モード選択画面1011」は、本願発明の「選択部画像」に相当するから、引用発明の「選択」された「「ボクシングモード」の「表示」を「表示」する「演出モード選択画面1011」の「モード選択表示1008」は、本願発明の「特定領域」に相当する。
よって、引用発明は、本願発明の特定事項Bのうち「前記複数の演出モードのうち一の演出モードが選択されるごとに、選択されている演出モードの種類を示す画像を前記選択部画像の特定領域へ移動する」ことと、「前記複数の演出モードのうち一の演出モードが選択されると、選択されている演出モードの種類を示す画像を前記選択部画像の特定領域へ表示する」点で共通する。

(3)引用発明の「演出モードの選択が行われる場合に、演出図柄表示装置6の画面に」「演出モード選択画面1011が」「表示される演出表示」は、「演出」といえる。

(4)以上のことから、引用発明は、本願発明の特定事項Bの「第1の演出」と、「複数の演出モードのうちいずれか一の演出モードを選択することができるように前記複数の演出モードのそれぞれの種類を示す画像を含む選択部画像を前記表示手段に表示する場合において、前記複数の演出モードのうち一の演出モードが選択される」と、「選択されている演出モードの種類を示す画像を前記選択部画像の特定領域へ」表示「する」点で共通する。

3 遊技機の技術分野において「リーチ演出」が「当たり」の「可能性を示唆する」「演出」であることは技術常識であるから、引用発明の「リーチであることが遊技者に報知されると」「表示される」「演出キャラクタ1003の「熊の達吉」」は、本願発明の「当たり」の「可能性を示唆する画像」に相当する。
また、上記2より、引用発明の「達吉モード」の「表示」、「空手モード」の「表示」、及び、「ボクシングモード」の「表示」が、本願発明の「複数の演出モードのそれぞれの種類を示す画像」に相当し、引用発明の「演出キャラクタ1003の「熊の達吉」」は、「達吉モード」の「表示」、「空手モード」の「表示」、及び、「ボクシングモード」の「表示」とは異なる画像といえるから、引用発明の「演出キャラクタ1003の「熊の達吉」」は、本願発明の「前記複数の演出モードのそれぞれの種類を示す画像と異なる」「画像」に相当するといえる。
さらに、引用発明の「演出図柄表示装置6の画面中央に」「演出キャラクタ1003の「熊の達吉」が表示され」ることは、「演出」といえる。
そして、上記2の説示を踏まえると、引用発明の「パチンコ機50」は、「演出モードの選択が行われる場合に、演出図柄表示装置6の画面に」「演出モード選択画面1011が」「表示される演出表示」を行い、「リーチ演出」「が行われる場合に」「演出図柄表示装置6の画面中央に」「演出キャラクタ1003の「熊の達吉」が表示され」る「演出表示」を行うのであるから、引用発明は、本願発明の「第1の演出と」、「第2の演出と、のうち少なくとも一方を実行可能であ」るという構成を備えているといえる。
よって、引用発明は、本願発明の特定事項Cの「第2の演出」と、「当たり」の「可能性を示唆する画像であって、前記複数の演出モードのそれぞれの種類を示す画像と異なる」「画像を前記表示手段に表示する」点で共通する。
また、引用発明は、本願発明の特定事項B、Cのうち「第1の演出と」、「第2の演出と、のうち少なくとも一方を実行可能であ」る構成を備える。

4 上記3より、引用発明の「リーチ演出」「が行われる場合」、は、本願発明の「前記第2の演出を実行する時期が到来する」ときに相当するから、引用発明の「リーチ演出」「が行われる場合に」、「演出キャラクタ1003の「熊の達吉」が表示され」ることは、本願発明の「前記第2の演出を実行する時期が到来すると」、「画像が表示される」ことに相当する。
また、上記2より、引用発明の「演出モードの選択中」は、本願発明の「第1の演出」の実行中に相当する。
同じく上記2より、引用発明の「演出モード選択画面1011」には、「モード選択表示1008が表示され」、「モード選択表示1008には」、「「達吉モード」の「表示」、「空手モード」の「表示」、及び、「ボクシングモード」の「表示」のいずれかが表示される」から、引用発明において、「演出モードの選択中に、」「リーチ演出」「が行われる場合に」、「演出図柄表示装置6の画面に配置されていた演出モード選択画面1011(本願発明の「選択部画像」に相当する。)が消去される」と、「モード選択表示1008」の「「達吉モード」の「表示」、「空手モード」の「表示」、及び、「ボクシングモード」の「表示」のいずれか」の「表示」(本願発明の「演出モード画像」に相当する。)も消去されることは明らかである。
そうすると、引用発明の「演出モード選択画面1011が消去される」ことは、本願発明の「前記選択部画像の表示が阻止され」ることに相当する。
以上のことから、引用発明は、本願発明の特定事項Dと、「前記第2の演出を実行する時期が到来すると、前記第1の演出による前記表示手段への前記選択部画像の表示が阻止され」「画像が表示される」点で共通する。

5 以上のことから、本願発明と引用発明は、
「A 種々の画像を表示可能な表示手段を備える遊技機であって、
B’複数の演出モードのうちいずれか一の演出モードを選択することができるように前記複数の演出モードのそれぞれの種類を示す画像を含む選択部画像を前記表示手段に表示する場合において、前記複数の演出モードのうち一の演出モードが選択されると、選択されている演出モードの種類を示す画像を前記選択部画像の特定領域へ表示する第1の演出と、
C’当たりの可能性を示唆する画像であって、前記複数の演出モードのそれぞれの種類を示す画像と異なる画像を前記表示手段に表示する第2の演出と、のうち少なくとも一方を実行可能であり、
D’前記第2の演出を実行する時期が到来すると、前記第1の演出による前記表示手段への前記選択部画像の表示が阻止され画像が表示される、
E 遊技機。」の点で一致し、以下の点で相違する。

[相違点1](特定事項B)
「第1の演出」に関し、
「複数の演出モードのうちいずれか一の演出モードを選択することができるように前記複数の演出モードのそれぞれの種類を示す画像を含む選択部画像を前記表示手段に表示する場合において」、
本願発明は、「前記複数の演出モードのうち一の演出モードが選択されるごとに、選択されている演出モードの種類を示す画像を前記選択部画像の特定領域へ移動するとともに、選択されている演出モードと対応する演出画像を前記表示手段に表示する」のに対し、
引用発明は、「「達吉モード」、「空手モード」及び「ボクシングモード」の3種類の演出モード」のうち「「ボクシングモード」を選択する」と、「ボクシングモード」の「表示」を「演出モード選択画面1011」の「モード選択表示1008」に「表示」する点。

[相違点2](特定事項C、D)
「第2の演出」に関し、
本願発明は、「未だ遊技に使用されていない保留球に関する情報である保留情報に当たりが含まれている可能性を示唆する画像であって、前記複数の演出モードのそれぞれの種類を示す画像と異なる特別画像を前記表示手段に表示する第2の演出」を「実行可能であり」、
「前記第2の演出を実行する時期が到来すると、前記第1の演出による前記表示手段への前記選択部画像の表示が阻止され前記特別画像が表示される」のに対し、
引用発明は、「「リーチであることが遊技者に報知されると」、「達吉モード」の「表示」、「空手モード」の「表示」、及び、「ボクシングモード」の「表示」とは異なる「演出キャラクタ1003の「熊の達吉」」が表示され、
「演出モードの選択中に、」「リーチ演出」「が行われる場合に」、「演出図柄表示装置6の画面に配置されていた演出モード選択画面1011が消去され」、「演出キャラクタ1003の「熊の達吉」が表示され」る点。

第6 判断
1 相違点1について
引用文献2記載の事項の「「演出A」を選択する選択肢89AK001の画像」、「「演出B」を選択する選択肢89AK002の画像」、「「演出C」を選択する選択肢89AK003の画像」、「演出D」を選択する選択肢89AK004の画像」のそれぞれは、本願発明の「演出モードの種類を示す画像」に相当し、引用文献2記載の事項の「「演出A」を選択する選択肢89AK001の画像」、「「演出B」を選択する選択肢89AK002の画像」、「「演出C」を選択する選択肢89AK003の画像」、「演出D」を選択する選択肢89AK004の画像が含まれ」る「選択画面」は、本願発明の「前記複数の演出モードのそれぞれの種類を示す画像を含む選択部画像」に相当する。
そして、引用文献2記載の事項の「現在選択されている選択肢」は、本願発明の「選択されている演出モードの種類を示す画像」に相当するから、引用文献2記載の事項の「現在選択されている選択肢」が「明るく表示され」る「最も手前」の部分は、本願発明の「特定領域」に相当する。
そうすると、引用発明2記載の事項の「選択される選択肢の変更の指示があった場合には、現在選択されている選択肢89AK001を最も後ろに移動させ、選択肢89AK001の後ろの選択肢89AK002〜004を順次手前に移動させ、これにより、」「当該選択肢89AK002が新たに選択され」、「選択肢89AK002が最も手前に明るく表示され」ることは、本願発明の「前記複数の演出モードのうち一の演出モードが選択されるごとに、選択されている演出モードの種類を示す画像を前記選択部画像の特定領域へ移動する」ことに相当する。
また、引用文献2記載の事項の「現在選択されている選択肢の演出表示に対応する演出(リーチ演出等)のプレビュー画像」は、本願発明の「選択されている演出モードと対応する演出画像」に相当する。
以上のことから、引用文献2記載の事項は、本願発明の「第1の演出」に相当する事項を備えているといえる。
そして、引用発明も引用文献2記載の事項も、いずれも、リーチ演出や予告演出において、複数の演出モードを備え、複数の演出モードのうちいずれか一の演出モードを選択することができるように前記複数の演出モードのそれぞれの種類を示す画像を含む選択部画像を前記表示手段に表示する場合において、前記複数の演出モードのうち一の演出モードが選択されると、選択されている演出モードの種類を示す画像を前記選択部画像の特定領域へ表示する遊技機である点で共通するから、引用発明の「演出図柄表示装置6」の「演出モード選択画面1011」において表示を選択する演出に代えて、引用文献2記載の事項の「画像表示装置5に表示される選択画面」において「選択肢」を選択する演出を適用して、上記相違点1に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。

2 相違点2について
先読み予告演出において、以降の変動において大当たりとなる場合、演出開始のタイミングになったら大当たりを示唆する画像を表示手段の画面中央に表示する演出を行うことは、上記周知技術に示されるとおり遊技機の技術分野において周知である。
引用発明も周知技術も、先読み判定処理及び予告演出を行う遊技機であり、大当たりを示唆する画像を表示手段の画面中央に表示する遊技機である点で共通するから、引用発明において、先読み演出として、保留図柄で演出を行うものに代えて、あるいは、加えて、周知技術のように、以降の変動において大当たりとなる場合、演出開始のタイミングになったら「演出図柄表示装置6の画面中央に」大当たりを示唆する画像を表示する先読み予告演出を行うように構成することは、当業者が容易に想到し得たことであって、その際、「リーチであることが遊技者に報知される」場合と同様に、大当たりを示唆する画像の表示を画面中央で行う場合に「演出モード選択画面1011が消去」されることは自明であり、自明ではなかったとしても当業者が適宜なし得た事項にすぎない。
よって、引用発明及び周知技術に基づいて、上記相違点2に係る本願発明の構成のようにすることは、当業者が容易になし得たことである。

3 本願発明の奏する効果について
本願発明の奏する効果は、引用発明、引用文献2記載の事項及び周知技術の奏する効果から、予測することができた程度のものである。

4 小括
したがって、本願発明は、引用発明、引用文献2記載の事項及び周知技術に基づいて当業者が容易に想到し得たものである。

5 請求人の主張について
請求人は、令和4年2月15日提出の意見書における4(1)(1−3)で、以下のとおり主張する(下線は当審にて付与した。)。

「しかし、引用文献1に記載される発明においては、例えば、3種類の演出モードのうちの「達吉モード」の設定中に、十字キー中ボタン69eが操作されると、演出図柄表示装置6の画面左上方には、演出モード選択画面1011が表示され、演出図柄表示装置6の画面右上方には、現在設定されている演出モードと対応する演出キャラクタ1003の「熊の達吉」が表示され、当該変動において、リーチであることを遊技者に報知するときに、現在設定されている演出モードである「達吉モード」と対応する演出キャラクタ1003の「熊の達吉」の表示位置を、演出図柄表示装置6の画面右上方から演出図柄表示装置6の画面中央へ切り替え、演出キャラクタ1003の「熊の達吉」の大きさを大きく表示しているに過ぎず、演出キャラクタ1003の「熊の達吉」により、現在設定されている演出モードを遊技者に分かり易く伝えるものに過ぎません。
つまり、引用文献1に記載される発明においては、演出キャラクタ1003の「熊の達吉」は、現在設定されている演出モードをキャラクタにより遊技者に分かり易く伝えるためのものであって、リーチの有無に関係なく表示されるものであり、リーチであることを遊技者に報知するときに現在設定されている演出モードと対応する演出キャラクタ1003の大きさを単に大きく表示して現在設定されている演出モードを伝えるという技術的思想に基づくものであると審判請求人(出願人)としては考えます。言い換えると、引用文献1に記載される発明においては、演出キャラクタ1003を、リーチであることを遊技者に報知するときになって、はじめて表示するという技術的思想が全く存在しないと審判請求人(出願人)としては考えます。」
「これにより、未だ遊技に使用されていない保留球に関する情報である保留情報に当たりが含まれている可能性が示唆されるときには、複数の演出モードの種類を示す画像の表示が阻止され、複数の演出モードのそれぞれの種類を示す画像と異なる特別画像が表示されるようになっています。つまり、未だ遊技に使用されていない保留球に関する情報である保留情報に当たりが含まれている可能性が示唆されるまで、特別画像が表示されることが全くありませんので、特別画像を表示するときに複数の演出モードの種類を示す画像が目障りとならず、特別画像の表示によって当たりの期待感を遊技者に付与することができるという顕著な効果を奏することができます。」

しかしながら、上記第5 2(1)にて対比したように、引用発明の「演出モード選択画面1011」が、本願発明の「選択部画像」に相当し、引用発明の「達吉モード」の「表示」、「空手モード」の「表示」、及び、「ボクシングモード」の「表示」は、いずれも、本願発明の「前記複数の演出モードのそれぞれの種類を示す画像」に相当する。
よって、引用発明の「演出キャラクタ1003の「熊の達吉」」は、引用発明の「達吉モード」の「表示」、「空手モード」の「表示」、及び、「ボクシングモード」の「表示」と異なる画像であるのだから、本願発明の「複数の演出モードのそれぞれの種類を示す画像と異なる」「画像」といえる。
さらに、引用文献1に記載された、演出図柄表示装置6の画面右上方に表示される演出キャラクタ1003の「熊の達吉」は、「演出モード選択画面1011」に表示されるものではないから、本願発明の「複数の演出モードのそれぞれの種類を示す画像」には相当しない。
また、引用発明の「演出キャラクタ1003の「熊の達吉」」は、「リーチ演出」「が行われる場合に」「演出図柄表示装置6の画面中央に」「表示され」るのであるから、演出キャラクタ1003の「熊の達吉」がリーチの有無に関係なく演出図柄表示装置6に表示されるものであったとしても、引用発明の「リーチ演出」「が行われる場合に」「演出図柄表示装置6の画面中央に」「表示され」る「演出キャラクタ1003の「熊の達吉」」は、演出図柄表示装置6の画面右上方に表示される演出キャラクタ1003の「熊の達吉」とは異なり、「画面中央に」「表示され」ることにより、当たりの可能性を示唆するものである。
よって、引用発明は、「演出図柄表示装置6の画面中央には、演出キャラクタ1003の「熊の達吉」が表示され、演出図柄表示装置6の画面に配置されていた演出モード選択画面1011が消去される」ことにより、本願発明の「特別画像を表示するときに複数の演出モードの種類を示す画像が目障りとならず、特別画像の表示によって当たりの期待感を遊技者に付与することができる」という効果と同様の効果を奏するものと認められる。
したがって、本願発明が格別の効果を奏するものとは認められない。
以上のとおりであるから、請求人の主張は採用できない。

第7 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明、引用文献2記載の事項及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
別掲 (行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。
 
審理終結日 2022-03-29 
結審通知日 2022-04-05 
審決日 2022-04-19 
出願番号 P2019-167852
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (A63F)
P 1 8・ 537- WZ (A63F)
最終処分 02   不成立
特許庁審判長 鉄 豊郎
特許庁審判官 鷲崎 亮
蔵野 いづみ
発明の名称 遊技機  
代理人 田邊 淳也  

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