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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 F02C
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 取り消して特許、登録 F02C
管理番号 1385856
総通号数
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2022-07-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-06-02 
確定日 2022-07-12 
事件の表示 特願2019−168958「効率が向上した動力発生方法およびシステム」拒絶査定不服審判事件〔令和2年5月21日出願公開、特開2020−76398、請求項の数(14)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2015年(平成27年)7月7日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2014年7月8日(US)アメリカ合衆国)を国際出願日とする特願2017−501322号の一部を令和元年9月18日に新たな特許出願としたものであって、令和3年1月28日付けで拒絶査定がされた。これに対し、令和3年6月2日に拒絶査定不服審判が請求された。

第2 本願発明について
1 本願発明
特許請求の範囲の請求項1ないし14に係る発明(以下「本願発明1ないし14」という。)は、願書に最初に添付した特許請求の範囲の請求項1ないし14に記載された事項により特定される以下のとおりのものであると認める。

「【請求項1】
再循環ガス流を加熱するための方法であって、前記方法は、
加熱された排気ガス流を回収熱交換器に通し、そこから熱を回収して冷却されたガス流を形成することと、
前記冷却されたガス流を少なくとも第1の画分および第2の画分に分離することと、
前記冷却されたガス流の第1の画分を圧縮し、圧縮された第1の画分ガス流を形成することと、
前記ガス流の第2の画分を圧縮し、それにより前記ガス流の第2の画分に熱を添加して圧縮された第2の画分ガス流を形成することと、
前記圧縮された第1の画分ガス流および前記圧縮された第2の画分ガス流をまとめ、まとめられた再循環ガス流を形成することと、
前記まとめられた再循環ガス流を、前記圧縮された第1の画分ガス流の圧力よりも大きく、かつ前記圧縮された第2の画分ガス流の圧力よりも大きい圧力までポンプで加圧することと、
を含み、
前記まとめられた再循環ガス流は、前記加熱された排気ガス流から回収された熱、および前記ガス流の第2の画分に添加された熱を用いて加熱される、方法。
【請求項2】
前記圧縮された第2の画分ガス流が100℃乃至400℃の温度にあるように、前記ガス流の第2の画分に熱が添加される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記まとめられた再循環ガス流は、100バール(10MPa)乃至500バール(50MPa)の圧力までポンプで加圧される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ガス流の第2の画分を圧縮することは、中間冷却のない多段圧縮を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ガス流の第2の画分に添加された熱を回収することと、 前記ポンプで加圧することの後に前記まとめられた再循環ガス流に前記熱を提供することと、をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記回収熱交換器は、直列の少なくとも2つの熱交換器または少なくとも2つの熱交換部分を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記ポンプで加圧することの後に前記まとめられた再循環ガス流に熱を添加することであって、その添加された熱は、空気分離ユニットおよびガスタービンの一方または両方から得られることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記方法は、前記まとめられた再循環ガス流を、前記加熱された排気ガス流から回収された熱、および前記ガス流の第2の画分に添加された熱を用いて加熱した後に、前記まとめられた再循環ガス流を、酸素を用いて燃料を燃焼させる燃焼器まで送って燃焼生成物流を形成することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
動力を発生させる方法であって、前記方法は、
圧縮されたCO2含有流をタービンに通して前記CO2含有流を膨張させ、動力を発生させ、かつタービン排気流を形成することと、
前記タービン排気流から熱を回収することと、
前記タービン排気流を分割し、第1のタービン排気部分および第2のタービン排気部分を形成することと、
前記第1のタービン排気部分を圧縮し、主再循環CO2流を形成することと、
前記第2のタービン排気部分を圧縮し、そこに熱を添加して副再循環CO2流を形成することと、
前記主再循環CO2流および前記副再循環CO2流をまとめ、まとめられた再循環CO2流を形成することと、
前記まとめられた再循環CO2流を圧縮することと、
を含み、
前記まとめられた再循環CO2流は、前記タービン排気流から回収された熱、および前記第2のタービン排気部分に添加された熱を用いて加熱される、方法。
【請求項10】
前記CO2含有流は、500℃乃至1,700℃の温度、および100バール(10MPa)乃至500バール(50MPa)の圧力を有する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記タービンの圧力比は5乃至12である、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記タービン排気流からの熱は、回収熱交換器内で回収される、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記副再循環CO2流が100℃乃至400℃の温度にあるように、前記第2のタービン排気部分に熱が添加される、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記第2のタービン排気部分を圧縮することは、圧縮機段の間に中間冷却のない多段圧縮を含む、請求項9に記載の方法。」

2 拒絶査定の理由
拒絶査定の理由は、概略以下のとおりである。

1.(新規性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
2.(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

記 (引用文献等については引用文献等一覧参照)

●理由1(新規性)又は理由2(進歩性)について
・請求項 1、2、5−8
・引用文献等 1

●理由2(進歩性)について
・請求項 3、4
・引用文献等 1

・請求項 9−14
・引用文献等 1−2

<引用文献等一覧>
1.特開2000−337107号公報
2.特開2000−337109号公報(周知技術を示す文献)

3 当審の判断
(1)本願発明1について
ア 引用文献1
引用文献1には、次の事項が記載されている(下線は当審において付与した。)。
(ア)「【0004】図6は水素酸素燃焼器を利用した他のシステムの例であり、図において、低圧圧縮機100、中間冷却器101、高圧圧縮機102からの蒸気は第1熱交換器103を通って水素酸素燃焼器104に入り、ここで高温に加熱されて第1タービン105を駆動して発電機114を回し、発電を行い、第1,第2熱交換器103,106に流入して排熱を与え、第3熱交換器107を通り、一方は第2タービン109を駆動して発電機115を回して発電を行う。第3熱交換器107を出たもう一方の蒸気は第4熱交換器108を通って再び低圧圧縮機100に流入するサイクルを構成している。第2タービン109の低温蒸気は復水器111で復水し、第1給水加熱器117、第2給水加熱器118で加熱され、ポンプ112により第4,第3熱交換器108,107に流入し、ここで排熱により加熱され、更に第2熱交換器106でも加熱されて高温となり、第3タービン110を駆動し、発電機116を回して発電を行い、その低温蒸気は第1タービンの冷却空気に用いられ、残りは高圧圧縮機102の出口側に戻され、第1熱交換器103に流入する。ここで119は第1タービンの冷却蒸気である。このシステムでは圧縮機を高圧比化せずに高効率化するために、水素酸素燃焼器の上流側と第1タービン下流側との熱交換を行う熱交換器を設け、その排熱を有効利用するシステムを構成している。」

(イ)「【0061】図4は本発明の実施の第2形態のクローズドガスタービンに関するもので、図6の従来例と同じ数字記号のものは同等の構成部分を示している。図において、図6と異なる部分は、燃焼器104は炭化水素燃料と酸素を燃焼させ、高温の蒸気やCO2からなるガスを発生させ、作動ガスとするものである。又、第2タービン109の戻りガスは復水器111に戻るが、復水器111において非凝縮性ガスは真空ファン又はポンプ300で外部へ抜き出すようにしている。
【0062】更に、第1タービン105の冷却において、従来と同等の第1タービン冷却蒸気119に加え、第1タービン回収型冷却蒸気120を第3タービン110出口より抽気し、第1タービン105を冷却後、熱交換器103出口ガス(燃焼器104入口ガス)と混合させる回収型冷却系統を追加し、起動時の安全性を高めると共に冷却効率を高めるようにしている。
【0063】上記構成のクローズドガスタービンプラントでは、前記したように第3タービン110から第1タービン105へ回収型冷却系統によって導かれた冷却蒸気は燃焼器104の入口に回収されるので、その分、第1タービン105のガスパス内部へ流れる冷却蒸気119の量が減少し、これによりタービンガスパス内部への冷却蒸気の混入量が減らされ、ガスパス内部流体の冷却蒸気がガスパス内流体と混合するときの圧力損失が減り、また、第1タービン105を冷却して得られた熱を燃焼器104に回収し燃料流量を減少させることができ、これにより発電端効率が向上される。」

(ウ)「【図4】



(エ)(イ)から「高圧圧縮機102を出た再循環ガス流が、第1熱交換器103で第1タービン105を出た後の排気ガス流により加熱されること」、「熱交換器103を出た排気ガス流はさらに第3熱交換器107をとおり低圧圧縮機100への画分と第2タービン109への画分に分離すること」、「低圧圧縮機100への画分を低圧圧縮機100で圧縮すること」、「第2タービン109への画分は第2タービンをとおり復水器111で復水し、ポンプ113をとおること」、「低圧圧縮機100で圧縮された排気ガス流とポンプ113をとおった復水をまとめ、まとめられた再循環ガス流を形成すること」及び「まとめられた再循環ガス流は高圧圧縮機102で圧縮されること」が看取できる。

イ 引用発明
上記記載を総合すると、引用文献1には、以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。

「高圧圧縮機102を出た再循環ガス流が第1熱交換器103で、高温の蒸気やCO2からなる作動ガスが第1タービン105を出た後の排気ガス流により加熱される方法であって、
熱交換器103を出た排気ガス流はさらに第3熱交換器107をとおり低圧圧縮機100への画分と第2タービン109への画分に分離することと、
低圧圧縮機100への画分を低圧圧縮機100で圧縮することと、
第2タービン109への画分は第2タービンをとおり復水器111で復水し、ポンプ113をとおることと、
低圧圧縮機100で圧縮された排気ガス流とポンプ113をとおった復水をまとめ、まとめられた再循環ガス流を形成することと、
まとめられた再循環ガス流は高圧圧縮機102で圧縮されること
を含む方法。」

ウ 本願発明1と引用発明の対比・判断
(ア)対比
本願発明1と引用発明とを対比する。
引用発明の「高圧圧縮機102を出た再循環ガス流が第1熱交換器103で、高温の蒸気やCO2からなる作動ガスが第1タービン105を出た後の排気ガス流により加熱される方法」は、その構成、機能又は技術的意義からみて本願発明1の「再循環ガス流を加熱するための方法であって、」「加熱された排気ガス流を回収熱交換器に通し、そこから熱を回収して冷却されたガス流を形成すること」を含み、「まとめられた再循環ガス流は、前記加熱された排気ガス流から回収された熱」「を用いて加熱される、方法」に相当し、以下同様に「熱交換器103を出た排気ガス流はさらに第3熱交換器107をとおり低圧圧縮機100への画分と第2タービン109への画分に分離すること」は「前記冷却されたガス流を少なくとも第1の画分および第2の画分に分離すること」に、「低圧圧縮機100への画分を低圧圧縮機100で圧縮すること」は「前記冷却されたガス流の第1の画分を圧縮し、圧縮された第1の画分ガス流を形成することと」に、それぞれ相当する。
また、引用発明において「第2タービン109への画分は第2タービンをとおり復水器111で復水し、ポンプ113をとおること」と、本願発明1において「前記ガス流の第2の画分を圧縮し、それにより前記ガス流の第2の画分に熱を添加して圧縮された第2の画分ガス流を形成すること」とは、「ガス流の第2の画分により第2の画分の流体を形成すること」という限りにおいて一致しており、同様に「低圧圧縮機100で圧縮された排気ガス流とポンプ113をとおった復水をまとめ、まとめられた再循環ガス流を形成すること」と「前記圧縮された第1の画分ガス流および前記圧縮された第2の画分ガス流をまとめ、まとめられた再循環ガス流を形成すること」とは、「前記圧縮された第1の画分ガス流および前記第2の画分の流体をまとめ、まとめられた再循環ガス流を形成すること」という限りにおいて一致しており、「まとめられた再循環ガス流は高圧圧縮機102で圧縮されること」と「前記まとめられた再循環ガス流を、前記圧縮された第1の画分ガス流の圧力よりも大きく、かつ前記圧縮された第2の画分ガス流の圧力よりも大きい圧力までポンプで加圧すること」とは、「前記まとめられた再循環ガス流を、前記圧縮された第1の画分ガス流の圧力よりも大きく、かつ前記圧縮された第2の画分の流体の圧力よりも大きい圧力まで加圧すること」という限りにおいて一致している。
したがって、本願発明1と引用発明との一致点及び相違点は、それぞれ以下のとおりである。

<一致点>
「再循環ガス流を加熱するための方法であって、前記方法は、
加熱された排気ガス流を回収熱交換器に通し、そこから熱を回収して冷却されたガス流を形成することと、
前記冷却されたガス流を少なくとも第1の画分および第2の画分に分離することと、
前記冷却されたガス流の第1の画分を圧縮し、圧縮された第1の画分ガス流を形成することと、
前記ガス流の第2の画分により第2の画分の流体を形成することと、
前記圧縮された第1の画分ガス流および前記第2の画分の流体をまとめ、まとめられた再循環ガス流を形成することと、
前記まとめられた再循環ガス流を、前記圧縮された第1の画分ガス流の圧力よりも大きく、かつ前記圧縮された第2の画分の流体の圧力よりも大きい圧力まで加圧することと、
を含み、
前記まとめられた再循環ガス流は、前記加熱された排気ガス流から回収された熱を用いて加熱される、方法。」

<相違点1>
「ガス流の第2の画分により第2の画分の流体を形成すること」について、本願発明1では「前記ガス流の第2の画分を圧縮し、それにより前記ガス流の第2の画分に熱を添加して圧縮された第2の画分ガス流を形成すること」であるのに対して、引用発明では「第2タービン109への画分は第2タービンをとおり復水器111で復水し、ポンプ113をとおること」である点。

<相違点2>
まとめられた再循環ガス流について、本願発明1では「ポンプで加圧する」のに対して、引用発明では「高圧圧縮機102で圧縮」する点。

<相違点3>
本願発明1では、まとめられた再循環ガス流は、前記加熱された排気ガス流から回収された熱、「および前記ガス流の第2の画分に添加された熱」を用いて加熱されるのに対して、引用発明では、まとめられた再循環ガス流は、ガス流の第2の画分に添加された熱を用いて加熱されるものではない点。

(イ)判断
事案に鑑み、上記相違点3について検討する。
引用発明において排気ガス流の第2タービン109への画分をまとめられた再循環ガス流の加熱に用いることについては、引用文献1に記載も示唆もない。さらに排気ガス流の第2タービン109への画分は、第2タービン109で膨張し、復水器111で復水するものであるから、それより下流で高圧圧縮機102で圧縮されたまとめられた再循環ガス流を加熱することは、技術的に考えられないことである。
ゆえに、上記相違点3は実質的な相違点であり、引用発明において、上記相違点3に係る本願発明1の発明特定事項とすることを、当業者が容易に想到することができたともいえない。
したがって、相違点1及び相違点2について検討するまでもなく、本願発明1は引用発明ではなく、引用発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。

(2)本願発明2ないし8について
本願発明2ないし8は、本願発明1を直接に引用するものである。そして、本願発明1は、引用発明ではなく、引用発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、それらを直接に引用する本願発明2ないし8も、引用発明ではなく、引用発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。

(3)本願発明9について
ア 引用文献1、引用発明及び引用文献2記載事項
引用文献1に記載された事項及び引用発明は、上記(1)ア及びイ記載のとおりである。

引用文献2には、次の事項が記載されている。
(ア)「【0028】図4は本発明の実施の第3形態に係る二酸化炭素回収型発電プラントの圧縮機サージ防止システムの系統図である。本実施の第3形態は、図7の従来例の複合発電プラントに図1で示す制御システムを接続して構成したものである。従って符号11〜12は図7に示すものと同じであり、詳しい説明は省略し、そのまま引用して説明する。
【0029】図4において、復水器9とCO2圧縮機8との流路から分岐してCO2高濃度ライン42の一端が接続され、その他端が圧縮機1の入口側へ接続されている。CO2高濃度ライン42の途中には流量調節弁32が設けられ、CO2の流量が調節され、又、ライン42には濃度センサS2、流量センサS4が設けられている。
【0030】又、熱交換器5から圧縮機1の入口側へ戻るタービン3からの既設の戻り流路には、流量調節弁31,濃度センサS1,圧力センサS3が設けられ、H2O高濃度ライン41を構成している。又、圧縮機1の出口側の圧力は圧力センサS5で検出される。
【0031】制御装置30には、これら各センサS1〜S5の検出信号が入力され、制御装置30はこれら各検出信号により、予めメモリに記憶されている圧縮機のサージ特性と現在作動している圧縮機の回転数に伴う作動点とを比較し、圧縮機の作動点がサージラインを越えないようにH2O高濃度ライン41の流量調節弁31、CO2高濃度ライン42の流量調節弁32の開度を調整し、圧縮機1へ流入する作動流体のH2OとCO2の比率を所定の比率にするように制御する。」

(イ)「【図4】



イ 本願発明9と引用発明の対比・判断
(ア)対比
本願発明9と引用発明とを対比する。
引用発明は高温の蒸気やCO2からなる作動ガスをタービンにとおすものであるから、タービンで動力が発生し、再循環ガス流がCO2流となることは明らかである。してみれば、引用発明の「高圧圧縮機102を出た再循環ガス流が第1熱交換器103で、高温の蒸気やCO2からなる作動ガスが第1タービン105を出た後の排気ガス流により加熱される方法」は、その構成、機能又は技術的意義からみて本願発明9の「動力を発生させる方法であって、前記方法は、」「圧縮されたCO2含有流をタービンに通して前記CO2含有流を膨張させ、動力を発生させ、かつタービン排気流を形成することと、」「前記タービン排気流から熱を回収することと、」を含み「前記まとめられた再循環CO2流は、前記タービン排気流から回収された熱」「を用いて加熱される、方法」に相当し、以下同様に「熱交換器103を出た排気ガス流はさらに第3熱交換器107をとおり低圧圧縮機100への画分と第2タービン109への画分に分離すること」は「前記タービン排気流を分割し、第1のタービン排気部分および第2のタービン排気部分を形成すること」に、「低圧圧縮機100への画分を低圧圧縮機100で圧縮すること」は「前記第1のタービン排気部分を圧縮し、主再循環CO2流を形成すること」に、「まとめられた再循環ガス流は高圧圧縮機102で圧縮されること」は「前記まとめられた再循環CO2流を圧縮すること」に、それぞれ相当する。
また、引用発明において「第2タービン109への画分は第2タービンをとおり復水器111で復水し、ポンプ113をとおること」と、本願発明9において「前記第2のタービン排気部分を圧縮し、そこに熱を添加して副再循環CO2流を形成すること」とは、「前記第2のタービン排気部分から流体を形成すること」という限りにおいて一致しており、同様に「低圧圧縮機100で圧縮された排気ガス流とポンプ113をとおった復水をまとめ、まとめられた再循環ガス流を形成すること」と「前記主再循環CO2流および前記副再循環CO2流をまとめ、まとめられた再循環CO2流を形成すること」とは、「前記主再循環CO2流および前記流体をまとめ、まとめられた再循環CO2流を形成することと」という限りにおいて一致している。
したがって、本願発明9と引用発明との一致点及び相違点は、それぞれ以下のとおりである。

<一致点>
「動力を発生させる方法であって、前記方法は、
圧縮されたCO2含有流をタービンに通して前記CO2含有流を膨張させ、動力を発生させ、かつタービン排気流を形成することと、
前記タービン排気流から熱を回収することと、
前記タービン排気流を分割し、第1のタービン排気部分および第2のタービン排気部分を形成することと、
前記第1のタービン排気部分を圧縮し、主再循環CO2流を形成することと、
前記第2のタービン排気部分から流体を形成することと、
前記主再循環CO2流および前記流体をまとめ、まとめられた再循環CO2流を形成することと、
前記まとめられた再循環CO2流を圧縮することと、
を含み、
前記まとめられた再循環CO2流は、前記タービン排気流から回収された熱を用いて加熱される、方法。」

<相違点4>
第2のタービン排気部分から流体を形成することについて、本願発明9では「第2のタービン排気部分を圧縮し、そこに熱を添加して副再循環CO2流を形成する」のに対して、引用発明では「第2タービン109への画分は第2タービンをとおり復水器111で復水し、ポンプ113をとおる」点。

<相違点5>
本願発明9では、前記まとめられた再循環CO2流は、前記タービン排気流から回収された熱、「および前記第2のタービン排気部分に添加された熱」を用いて加熱されるのに対して、引用発明では、まとめられた再循環CO2流は前記第2のタービン排気部分に添加された熱を用いて加熱されるものではない点。

(イ)判断
事案に鑑み、上記相違点5について検討する。
相違点5は実質的に、上記(1)ウ(ア)の相違点3と同じものであるから、上記(1)ウ(イ)で記載したのと同様の理由により、引用発明において、上記相違点5に係る本願発明9の発明特定事項とすることを、当業者が容易に想到することができたとはいえない。
また、引用文献2にも、上記相違点5に係る本願発明9の発明特定事項は記載も示唆もない。
したがって、相違点4について検討するまでもなく、本願発明9は、引用発明及び引用文献2に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(5)本願発明10ないし14について
本願発明10ないし14は、本願発明9を直接に引用するものである。そして、本願発明9は、引用発明及び引用文献2に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、それらを直接に引用する本願発明10ないし14も、引用発明及び引用文献2に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。

(6)小括
したがって、本願発明1ないし14は、特許法第29条第1項第3号又は第2項の規定により特許を受けることができないとはいえない。

第3 まとめ
以上のとおり、拒絶査定の理由によっては本願を拒絶することはできない。
また他に拒絶の理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2022-06-29 
出願番号 P2019-168958
審決分類 P 1 8・ 113- WY (F02C)
P 1 8・ 121- WY (F02C)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 佐々木 正章
特許庁審判官 鈴木 充
山本 信平
発明の名称 効率が向上した動力発生方法およびシステム  
代理人 高橋 香元  
代理人 岩堀 明代  
代理人 小田 直  
代理人 高岡 亮一  
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