• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 G06F
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06F
管理番号 1385906
総通号数
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2022-07-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-06-30 
確定日 2022-07-19 
事件の表示 特願2018−200555「撮像装置、プログラム、およびコンテンツ共有システム」拒絶査定不服審判事件〔平成31年 2月28日出願公開、特開2019− 32887、請求項の数(3)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成28年2月23日に出願された特願2016−32220号の一部を、平成30年10月25日に新たな特許出願としたものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和 2年 1月 8日付け:拒絶理由通知書
令和 2年 3月 9日 :意見書、手続補正書の提出
令和 2年 8月24日付け:拒絶理由(最後の拒絶理由)通知書
令和 2年11月 2日 :意見書、手続補正書の提出
令和 3年 3月31日付け:令和2年11月2日に提出された手続補正
書に係る手続補正の却下の決定、拒絶査定
令和 3年 6月30日 :拒絶査定不服審判の請求、手続補正書の提

令和 4年 3月15日付け:拒絶理由(当審拒絶理由)通知書
令和 4年 4月20日 :意見書、手続補正書の提出

第2 原査定の概要
原査定(令和3年3月31日付け拒絶査定)の概要は、次のとおりである。
本願請求項1〜3に係る発明は、以下の引用文献A〜Cに記載された発明に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献A:特開2011−8638号公報
引用文献B:特開2013−110610号公報
引用文献C:特開2003−298991号公報

第3 当審拒絶理由の概要
当審が令和4年3月15日付けで通知した拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」という。)の概要は次のとおりである。

1 理由1(明確性
この出願は、特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
請求項1に「特定の時間帯に関する条件を含むアップロード条件」と記載されているが、この記載が、「アップロード条件」が「特定の時間帯に関する条件」のみを含む場合を排除しているのか否か不明である。
請求項2にも、請求項1と同様の記載がある。
よって、請求項1,2に係る発明は明確でない。請求項1を引用する請求項3に係る発明も同様に、明確でない。

2 理由2(進歩性
この出願の請求項1〜3に係る発明は、以下の引用文献1〜3に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献1:特開2011−8638号公報(拒絶査定時の引用文献A)
引用文献2:特開2013−110610号公報(拒絶査定時の引用文献B)
引用文献3:特開2003−298991号公報(拒絶査定時の引用文献C)

第4 本願発明
本願請求項1〜3に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」〜「本願発明3」という。)は、令和4年4月20日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1〜3に記載された事項により特定される発明であって、それらのうち、本願発明1,2は次のとおりの発明である(下線は補正箇所を示す。)。

「【請求項1】
撮像素子でイベントを撮影するのに先立って前記イベントが行われる期間に対応する第1の時刻から第2の時刻までの特定の時間帯を入力可能な入力デバイスと、
前記撮像素子が撮影した画像を有するコンテンツを取得し、前記画像が撮影された時刻情報を作成する撮影部と、
前記特定の時間帯に関する条件であるアップロード条件と、前記コンテンツと、前記コンテンツに対応付いた前記時刻情報とが格納される格納部と、
前記コンテンツをアップロードする第一の指示を受け付ける受付部と、
前記格納部に格納された前記コンテンツをサーバにアップロードする送信部と、
前記サーバからダウンロードする前記コンテンツの選択を行わせるための選択画面を出力する出力部と、
前記サーバから他の撮像装置がアップロードした前記コンテンツを受信する受信部と、を具備し、
前記アップロード条件の前記特定の時間帯は、前記撮像素子の撮影のタイミングと独立して、ユーザによって前記第1の時刻と前記第2の時刻とが前記入力デバイスにより入力されて前記格納部に格納されており、
前記格納部には、前記コンテンツを自動的にアップロードする自動アップロードか前記コンテンツを手動によりアップロードする手動アップロードかを示すフラグが格納されており、
前記受付部は、前記アップロード条件が示す前記特定の時間帯において、前記フラグを自動アップロードから手動アップロードに切り替える設定変更を受け付け、
前記受付部が受け付けた前記設定変更に応じた前記フラグの変更により、自動アップロードから手動アップロードへの切り替え可能であり、
前記送信部は、前記フラグが自動的にアップロードすることを示す場合のみ、前記時刻情報の時刻が前記アップロード条件に合致する場合に、自動的に前記コンテンツを前記サーバにアップロードし、かつ前記送信部は、前記フラグが手動によりアップロードすることを示す情報であり、前記受付部が前記第一の指示を受け付けた場合に、前記コンテンツを前記サーバにアップロードし、
前記送信部は、前記フラグが手動アップロードを示す場合には、前記時刻情報の時刻が前記アップロード条件に合致する場合でも、自動的に前記コンテンツを前記サーバにアップロードせず、
前記選択画面は、前記サーバから送信された複数の前記コンテンツに対応する複数のサムネイルが、前記特定の時間帯に開催された前記イベントに応じて、前記イベントを示すイベント名と共に表示されており、
前記受付部は、前記選択画面から所定の前記コンテンツの選択と、選択された前記コンテンツのダウンロードの指示である第二の指示と、を受け付け、
前記送信部は、前記受付部が受け付けた前記第二の指示を前記サーバに送信し、
前記受信部は、前記サーバから、前記第二の指示に応じて選択された前記コンテンツをダウンロードする撮像装置。
【請求項2】
イベントが行われる期間に対応する第1の時刻から第2の時刻までの特定の時間帯に関する条件であるアップロード条件と、コンテンツと、当該コンテンツに対応付いた時刻情報とが格納される格納部にアクセス可能な撮像装置のコンピュータであり、撮像素子でイベントを撮影するのに先立って前記特定の時間帯を入力可能な入力デバイスを有する前記撮像装置のコンピュータを、
前記撮像素子が撮影した画像を有する前記コンテンツを取得し、前記画像が撮影された時刻情報を作成する撮影部と、
前記コンテンツをアップロードする第一の指示を受け付ける受付部と、
前記格納部に格納された前記コンテンツをサーバにアップロードする送信部と、
前記サーバからダウンロードする前記コンテンツの選択を行わせるための選択画面を出力する出力部と、
前記サーバから他の撮像装置がアップロードした前記コンテンツを受信する受信部として機能させるためのプログラムであり、
前記アップロード条件の前記特定の時間帯は、前記撮像素子の撮影のタイミングと独立して、ユーザによって前記第1の時刻と前記第2の時刻とが前記入力デバイスにより入力されて前記格納部に格納されており、
前記格納部には、前記コンテンツを自動的にアップロードする自動アップロードか前記コンテンツを手動によりアップロードする手動アップロードかを示すフラグが格納されており、
前記受付部は、前記アップロード条件が示す前記特定の時間帯において、前記フラグを自動アップロードから手動アップロードに切り替える設定変更を受け付け、
前記受付部が受け付けた前記設定変更に応じた前記フラグの変更により、自動アップロードから手動アップロードへの切り替え可能であり、
前記送信部は、前記フラグが自動的にアップロードすることを示す場合のみ、前記時刻情報の時刻が前記アップロード条件に合致する場合に、自動的に前記コンテンツを前記サーバにアップロードし、かつ前記送信部は、前記フラグが手動によりアップロードすることを示す情報であり、前記受付部が前記第一の指示を受け付けた場合に、前記コンテンツを前記サーバにアップロードし、
前記送信部は、前記フラグが手動アップロードを示す場合には、前記時刻情報の時刻が前記アップロード条件に合致する場合でも、自動的に前記コンテンツを前記サーバにアップロードせず、
前記選択画面は、前記サーバから送信された複数の前記コンテンツに対応する複数のサムネイルが、前記特定の時間帯に開催された前記イベントに応じて、前記イベントを示すイベント名と共に表示されており、
前記受付部は、前記選択画面から所定の前記コンテンツの選択と、選択された前記コンテンツのダウンロードの指示である第二の指示と、を受け付け、
前記送信部は、前記受付部が受け付けた前記第二の指示を前記サーバに送信し、
前記受信部は、前記サーバから、前記第二の指示に応じて選択された前記コンテンツをダウンロードするプログラム。」

なお、本願発明3は、本願発明1を減縮した発明である。

第5 当審拒絶理由の理由1について
令和4年4月20日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1には、「アップロード条件」が「前記特定の時間帯に関する条件である」旨が記載されているから、「アップロード条件」の内容が明確であるといえる。
この点は、請求項2,3の記載についても同様である。
よって、当審拒絶理由の理由1は解消した。

第6 引用文献の記載、引用発明等
1 引用文献1、引用発明1
(1)当審拒絶理由にて引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は当審による。以下同様。)。

「【0014】
[実施例1に係るコンテンツ管理システムの構成]
まず、図1を用いて、実施例1に係るコンテンツ管理システムの構成について説明する。図1は、実施例1に係るコンテンツ管理システムの構成例を示す図である。図1に示すように、実施例1に係るコンテンツ管理システム1は、画像データなどのコンテンツを生成する携帯端末100と、携帯端末100によって生成されたコンテンツを管理する管理サーバ10とを有する。図1に示した例において、管理サーバ10は、ネットワークNと接続されている。また、携帯端末100は、ネットワークNとの間で無線通信を行う。
【0015】
図1に示すように、携帯端末100は、スケジュール記憶部110と、コンテンツ送信部120とを有する。スケジュール記憶部110は、他の携帯端末との間でコンテンツを共有する日時(以下、「共有日時」と言う)を記憶する。コンテンツ送信部120は、スケジュール記憶部110に記憶されている共有日時にコンテンツが生成された場合に、生成されたコンテンツを管理サーバ10へ送信する。
【0016】
また、図1に示すように、管理サーバ10は、コンテンツ記憶部11と、コンテンツ格納部12とを有する。コンテンツ記憶部11は、携帯端末100によって生成されたコンテンツを記憶する記憶領域であり、複数の携帯端末を関連付けた携帯端末グループごとに、コンテンツを記憶するフォルダを有する。コンテンツ格納部12は、携帯端末100から送信されたコンテンツをコンテンツ記憶部11に格納する。このとき、コンテンツ格納部12は、コンテンツ記憶部11が有するフォルダのうち、携帯端末100が所属する携帯端末グループに対応するフォルダにコンテンツを格納する。
【0017】
そして、管理サーバ10は、携帯端末100からコンテンツを取得する旨の要求を受け付けた場合に、携帯端末100へコンテンツを送信する。例えば、管理サーバ10は、携帯端末100によって指定されたフォルダに記憶されているコンテンツの一覧を携帯端末100へ送信する。そして、携帯端末100は、管理サーバ10から受信したコンテンツの一覧のうち、利用者によって選択されたコンテンツを管理サーバ10から取得する。」

「【0025】
次に、上記実施例1において説明したコンテンツ管理システムについて具体例を用いて説明する。実施例2では、実施例1において説明したコンテンツを、携帯端末によって撮影された画像データに適用する例について説明する。なお、上記実施例1において説明した携帯端末グループは、携帯端末および管理サーバによって生成することができる。実施例2では、携帯端末グループを生成する処理についても説明する。
【0026】
[実施例2に係るコンテンツ管理システムの構成]
まず、図2を用いて、実施例2に係るコンテンツ管理システムの構成例について説明する。図2は、実施例2に係るコンテンツ管理システムの構成例を示す図である。図2に示すように、実施例2に係るコンテンツ管理システム2は、携帯端末200aおよび200bと、管理サーバ20とを有する。
・・・(中略)・・・
【0029】
図3に示した例において、実施例2における携帯端末200aは、まず、利用者からスケジュール情報を入力されている(ステップS11)。具体的には、携帯端末200aは、共有日時や、イベント内容、画像データを共有する共有者、共有者が所持する携帯端末を識別するための端末識別情報などが入力される。なお、以下では、共有者が所持する携帯端末を「共有携帯端末」と表記することがある。
【0030】
例えば、携帯端末200aは、共有日時として、「2009年10月1日の10時〜17時」といった情報を受け付ける。また、携帯端末200aは、イベント内容として、例えば、「旅行」といった情報が入力される。また、携帯端末200aは、共有者として、例えば、「妻」といった情報が入力される。また、携帯端末200aは、共有携帯端末の端末識別情報として、例えば、携帯端末200bの電話番号やメールアドレスが入力される。
【0031】
携帯端末200aは、このようにして入力された共有日時や、イベント内容、共有者に関する情報などを記憶する。そして、携帯端末200aは、携帯端末グループを登録する旨の登録要求を管理サーバ20へ送信する(ステップS12)。例えば、携帯端末200aは、携帯端末200aの端末識別情報、携帯端末200bの端末識別情報などを含む登録要求を管理サーバ20へ送信する。
・・・(中略)・・・
【0039】
図4に示すように、携帯端末200aは、利用者によって写真撮影を行う操作が行なわれた場合に、画像データを生成する(ステップS21)。このとき、携帯端末200aは、携帯端末グループ登録処理時に利用者から入力された共有日時に画像データを生成した場合に、生成した画像データを管理サーバ20へ自動的に送信する(ステップS22)。そして、管理サーバ20は、携帯端末200aが属する携帯端末グループに対応するフォルダに、携帯端末200aから受け付けた画像データを格納する(ステップS23)。」

「【0043】
[実施例2における携帯端末の構成]
次に、図5を用いて、実施例2における携帯端末200の構成について説明する。図5は、実施例2における携帯端末200の構成例を示す図である。なお、図5に示した携帯端末200は、図2〜図4に示した携帯端末200aおよび200bに対応する。
【0044】
図5に示すように、携帯端末200は、カメラ210と、入力部220と、出力部230と、インタフェース(以下、「I/F」と言う)240と、画像記憶部250と、スケジュール記憶部260と、制御部270とを有する。
【0045】
カメラ210は、後述するカメラ制御部271によって制御されることにより、静止画や動画を撮影して、画像データを生成する。そして、カメラ210は、生成した画像データをカメラ制御部271へ出力する。
【0046】
入力部220は、各種情報や操作指示を入力するための入力デバイスであり、例えば、数字および文字等を入力するテンキーや、メニュー選択および表示スクロール等に用いられるカーソルキーなどである。出力部230は、各種情報を出力する出力デバイスであり、例えば、液晶ディスプレイやスピーカである。なお、入力部220は、出力部230との組合せにより実現されるタッチパネルであってもよい。
【0047】
上述した入力部220および出力部230は、例えば、スケジュールを登録する際に用いられる。具体的には、入力部220は、利用者によって操作されることにより、共有日時や、イベント内容、共有者、共有携帯端末の端末識別情報が入力される。また、出力部230は、スケジュールを登録するための画面を表示する。
・・・(中略)・・・
【0050】
画像記憶部250は、カメラ210によって生成された画像データを記憶する。図7に、画像記憶部250の一例を示す。図7に示すように、画像記憶部250は、「画像データ」、「生成日時」、「成否情報」といった項目を有する。
・・・(中略)・・・
【0055】
スケジュール記憶部260は、共有日時などのスケジュール情報を記憶する。図8に、スケジュール記憶部260の一例を示す。図8に示すように、スケジュール記憶部260は、「共有日時」、「イベント内容」、「共有番号」といった項目を有する。
【0056】
「共有日時」は、他の携帯端末との間で画像データを共有する日時を記憶する。「イベント内容」は、対応する共有日時に行われるイベントの内容を記憶する。「共有番号」は、携帯端末グループを識別するための識別子を記憶する。
・・・(中略)・・・
【0059】
制御部270は、各種の算出処理手順などを規定したプログラムを記憶するための内部メモリを有し、種々の算出処理を実行する。実施例2における制御部270は、図5に示すように、カメラ制御部271と、スケジュール更新部272と、通信制御部273とを有する。
【0060】
カメラ制御部271は、利用者によって撮影を行う旨の操作が行われた場合に、カメラ210を制御することにより撮影処理を行う。そして、カメラ制御部271は、カメラ210によって生成された画像データと、かかる画像データが生成された生成日時とを対応付けて、画像記憶部250に記憶させる。なお、このとき、カメラ制御部271は、画像記憶部250の成否情報には情報を記憶しない。
【0061】
スケジュール更新部272は、利用者によってスケジュール情報を入力する操作が行われた場合に、入力された共有日時やイベント内容などをスケジュール記憶部260に記憶させる。また、スケジュール更新部272は、管理サーバ20から共有番号を含む登録完了通知を受信した場合に、かかる共有番号をスケジュール記憶部260に記憶させる。
【0062】
例えば、図6に示した例のように、利用者によって、共有日時「2009年5月28日 10時〜17時」、イベント内容「旅行」、共有者「妻」が入力されたものとする。かかる場合、スケジュール更新部272は、図8に示した例のように、共有日時「20090528 10:00〜17:00」、イベント内容「旅行」といった情報を、スケジュール記憶部260に記憶させる。」

「【0100】
また、実施例2に係るコンテンツ管理システム2において、管理サーバ20は、携帯端末グループごとにフォルダを有し、携帯端末200から送信された画像データを、かかる携帯端末200が所属する携帯端末グループに対応するフォルダに格納する。そして、管理サーバ20は、携帯端末200から画像データを取得する旨の要求を受け付けた場合に、例えば、同一の携帯端末グループに属する携帯端末によって生成された画像データの一覧を携帯端末200へ送信する。」

「【図3】


【図4】


【図5】


【図6】



「【図8】



(2)上記(1)の記載において、「実施例2」は、「実施例1において説明したコンテンツを、携帯端末によって撮影された画像データに適用する例」(段落【0025】)であるから、当該「実施例2」に関する段落【0100】に記載されている「画像データの一覧」は、「実施例1」に関する段落【0017】の記載を参照して、「利用者によって選択されたコンテンツ」を「取得」するためのものであることが理解できる。

(3)上記(1)、(2)から、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。

「携帯端末200aおよび200bと、管理サーバ20とを有するコンテンツ管理システム2であって、
携帯端末200aは、利用者からスケジュール情報を入力されており、具体的には、共有日時や、イベント内容、画像データを共有する共有者、共有者が所持する携帯端末を識別するための端末識別情報などが入力され、
例えば、携帯端末200aは、共有日時として、「2009年10月1日の10時〜17時」といった情報を受け付け、また、イベント内容として、例えば、「旅行」といった情報が入力され、
携帯端末200aは、このようにして入力された共有日時や、イベント内容、共有者に関する情報などを記憶し、
携帯端末200aは、利用者によって写真撮影を行う操作が行なわれた場合に、画像データを生成し、このとき、携帯端末200aは、利用者から入力された共有日時に画像データを生成した場合に、生成した画像データを管理サーバ20へ自動的に送信し、
携帯端末200aおよび200bに対応する携帯端末200は、カメラ210と、入力部220と、出力部230と、画像記憶部250と、スケジュール記憶部260と、制御部270とを有し、
入力部220は、各種情報や操作指示を入力するための入力デバイスであり、スケジュールを登録する際に用いられ、
画像記憶部250は、カメラ210によって生成された画像データを記憶し、「画像データ」、「生成日時」、「成否情報」といった項目を有し、
スケジュール記憶部260は、共有日時などのスケジュール情報を記憶し、「共有日時」、「イベント内容」といった項目を有し、「共有日時」は、他の携帯端末との間で画像データを共有する日時を記憶し、「イベント内容」は、対応する共有日時に行われるイベントの内容を記憶し、
制御部270は、カメラ制御部271と、スケジュール更新部272とを有し、
カメラ制御部271は、利用者によって撮影を行う旨の操作が行われた場合に、カメラ210を制御することにより撮影処理を行い、そして、カメラ制御部271は、カメラ210によって生成された画像データと、かかる画像データが生成された生成日時とを対応付けて、画像記憶部250に記憶させ、
スケジュール更新部272は、利用者によってスケジュール情報を入力する操作が行われた場合に、入力された共有日時やイベント内容などをスケジュール記憶部260に記憶させ、
管理サーバ20は、携帯端末200から画像データを取得する旨の要求を受け付けた場合に、同一の携帯端末グループに属する携帯端末によって生成された、利用者によって選択されたコンテンツを取得するための画像データの一覧を携帯端末200へ送信する、
コンテンツ管理システム2における、携帯端末200a。」

2 引用文献2、引用発明2
(1)当審拒絶理由にて引用された引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている。

「【0013】
本発明の通信装置を含むシステムは、図1に示すように、通信装置の一例であるスマートフォンのような画像送信端末100、画像管理サーバ200を備えて構成されている。なお、通信装置は、このような画像送信端末に限定されるものではなく、たとえば、撮像装置であるカメラやデジタルビデオカメラのメモリとして装着可能な、通信機能を備えるSDメモリタイプのWiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)カードであってもよい。
【0014】
まず画像送信端末100は、静止画データや動画データ等の画像データを画像管理サーバ200に送信する機能を有する。画像管理サーバ200は、画像送信端末から画像データを受信し、格納する。」

「【0023】
メモリコントローラ(MC)207は、ブートプログラム、ブラウザソフトウエア、各種のアプリケーション、フォントデータ、ユーザファイル、編集ファイル、各種データ等を記憶するハードディスク(HD)やフロッピー(登録商標)ディスク(FD)或いはPCMCIAカードスロットにアダプタを介して接続されるコンパクトフラッシュ(登録商標)メモリ等の外部メモリ211へのアクセスを制御する。
また、通信装置である画像送信端末100においては、静止画データおよび動画データを含む画像データは、RAM203あるいは外部メモリ211(データ記憶装置に相当)に記憶されているものとする。」

「【0036】
画像送信端末100のCPU201は、画像データの送信設定が自動送信に設定されているか否かを判定する(ステップS401)。ここでいう自動送信とは、画像送信端末100のCPU201が、撮影や、外部からのデータ受信等によって新たに取得した画像データ(請求項中の画像データ取得手段に該当)を、ユーザの送信指示を受け付けることなく、予め設定された送信先に送信する設定のことをいう。例えば、撮影で取得した写真のデータを、自動で画像管理サーバ200の外部メモリ211等に送信、記憶する。
【0037】
画像送信端末100のCPU201は、画像データの送信設定が自動送信に設定されていると判定した場合(ステップS401でYES)、処理をステップS410に移行し、画像データの送信処理を実行する(ステップS410)。画像データの送信処理の詳細については図5の説明にて後述する。
【0038】
画像送信端末100のCPU201は、画像データの送信設定が自動送信に設定されていないと判定した場合(ステップS401でNO)、画像データの送信設定が手動設定であると判断し、画像データの自動送信を実行せず、ユーザの指示を受け付けるまで待機する。
【0039】
前記画像データの送信設定は、図8に示す送信設定画面800のような画面を介して受け付けたユーザからの指示に基づいて設定されるものである。尚、本説明においては、画像送信端末100のCPUがステップS401の判定を行う時点では既に上記設定がなされているものとする。送信設定画面800については、図8を用いて説明する。
【0040】
ここで図8を参照して、本発明の第1の実施形態における、送信設定画面の構成の一例について説明する。図8は、本発明の第1の実施形態における、送信設定画面の構成の一例を示す図である。
【0041】
図8に示す通り、送信設定画面800は、静止画送信設定領域801、動画送信設定領域802、チェックボックス803、送信先804、画像種別入力受付部805、利用回線指定受付部806、「戻る」ボタン807、「ホーム」ボタン808、「決定」ボタン809等から構成されている。」
・・・(中略)・・・
【0044】
チェックボックス803は、送信設定を手動送信に設定するか、自動送信に設定するかを決定するためのチェックボッスである。送信先804は、送信設定が自動送信に設定されている場合に、画像データを送信する送信先を設定するための入力受付部である。
・・・(中略)・・・
【0051】
画像送信端末100のCPU201は、送信設定画面800で「決定」ボタン809の押下を受け付けた場合に、画像送信端末100の外部メモリ211に記憶されている送信設定テーブル600の各項目を更新する。」

「【図1】



「【図8】

」(当審注: 図8中、参照番号802が付加された「静止画」は、段落【0041】の記載から「動画」の誤記と認める。)

(2)上記(1)から、引用文献2には、次の発明(以下、「引用発明2」という。)が記載されていると認められる。

「静止画データや動画データ等の画像データを画像管理サーバ200に送信する機能を有し、
静止画データおよび動画データを含む画像データは、外部メモリ211に記憶され、
画像送信端末100のCPU201は、画像データの送信設定が自動送信に設定されているか否かを判定し、
画像データの送信設定が自動送信に設定されていると判定した場合、画像データの送信処理を実行し、
画像データの送信設定が自動送信に設定されていないと判定した場合、画像データの送信設定が手動設定であると判断し、画像データの自動送信を実行せず、ユーザの指示を受け付けるまで待機し、
前記画像データの送信設定は、送信設定画面800を介して受け付けたユーザからの指示に基づいて設定され、
送信設定画面800は、チェックボックス803、送信先804、「決定」ボタン809等から構成され、
チェックボックス803は、送信設定を手動送信に設定するか、自動送信に設定するかを決定するためのチェックボッスであり、送信先804は、送信設定が自動送信に設定されている場合に、画像データを送信する送信先を設定するための入力受付部であり、
画像送信端末100のCPU201は、送信設定画面800で「決定」ボタン809の押下を受け付けた場合に、外部メモリ211に記憶されている送信設定テーブル600の各項目を更新する、
画像送信端末100。」

3 引用文献3、引用発明3
(1)引用文献3には、図面とともに次の事項が記載されている。

「【0067】ユーザ1はパソコン10によりウェブサーバ23にアクセスし、自身が送信した画像データS0の分類結果を表示させる操作を行うと、分類情報B0が参照されて画像データS0の分類結果がパソコン10に表示される。
【0068】図5はパソコン10に表示された画像データS0の分類結果を示す図である。図5に示すように、分類結果は分類結果表示画面50としてパソコン10に表示される。画面左側50Lは分類結果のフォルダ構造を示し、画面右側50Rは各フォルダに分類された画像の代表画像のサムネイル画像がフォルダに付与された状態で表示されている。ユーザ1は画面右側50Rのフォルダをクリックすることにより、各フォルダに保管された画像データS0のサムネイル画像をパソコン10に表示することができる。なお、図5においては、ディズニーランドフォルダに分類されたサムネイル画像が表示された状態を示している。
【0069】また、図5に示すように、各フォルダには各フォルダの名称がタイトルとして表示されている。なお、フォルダ名称に代えて、夏休みの期間である「7/29〜8/4」をタイトルとして表示してもよく、夏休みの最初と最後の日である「7/29・8/4」をタイトルとして表示してもよい。また、各日付をタイトルとして表示してもよい。なお、例えばイベントの期間が予め定めた期間(例えば1週間)以上となった場合に、イベントの最初の日および最後の日をタイトルとして表示するようにしてもよい。」

「【図5】



(2)上記(1)から、引用文献3には、次の発明(以下、「引用発明3」という。)が記載されていると認められる。

「ウェブサーバ23にアクセスし、自身が送信した画像データS0の分類結果を表示させる操作を行うと、分類情報B0が参照されて画像データS0の分類結果が表示される、パソコン10であって、
画面左側50Lは分類結果のフォルダ構造を示し、画面右側50Rは各フォルダに分類された画像の代表画像のサムネイル画像がフォルダに付与された状態で表示され、ユーザ1は画面右側50Rのフォルダをクリックすることにより、各フォルダに保管された画像データS0のサムネイル画像をパソコン10に表示することができ、
各フォルダには各フォルダの名称がタイトルとして表示される、
パソコン10。」

第7 当審拒絶理由の理由2について(引用発明1との対比・判断)
1 本願発明1について
(1)対比
ア 本願発明1と引用発明1とを対比すると、次のことがいえる。

(ア)引用発明1の「携帯端末200a」は、「利用者からスケジュール情報を入力されており、具体的には、共有日時や、イベント内容、画像データを共有する共有者、共有者が所持する携帯端末を識別するための端末識別情報などが入力され」、「共有日時として、「2009年10月1日の10時〜17時」といった情報を受け付け」るものであり、また、「利用者によって写真撮影を行う操作が行なわれた場合に、画像データを生成し、このとき、携帯端末200aは、利用者から入力された共有日時に画像データを生成した場合に、生成した画像データを管理サーバ20へ自動的に送信」するものである。
また、引用発明1の「携帯端末200aおよび200bに対応する携帯端末200」(すなわち、「携帯端末200aおよび200b」のそれぞれ)は、「カメラ210と、入力部220と」「スケジュール記憶部260と」を「有し」、「入力部220は、各種情報や操作指示を入力するための入力デバイスであり、スケジュールを登録する際に用いられ」、「スケジュール記憶部260は、共有日時などのスケジュール情報を記憶し、「共有日時」、「イベント内容」といった項目を有し、「共有日時」は、他の携帯端末との間で画像データを共有する日時を記憶し、「イベント内容」は、対応する共有日時に行われるイベントの内容を記憶」するものである。
ここで、「イベント」は、「対応する共有日時に行われる」から、「スケジュール情報」における「2009年10月1日の10時〜17時」といった「共有日時」は、「イベント内容」に係るイベントが行われる期間に対応する、特定の時間帯であるといえる。
また、「携帯端末200a」で「写真撮影を行う」のに先立って「共有日時」が「携帯端末200a」の「利用者」により入力されていること、「携帯端末200a」が有する「カメラ210」の撮像素子により「写真撮影」が行われること、「スケジュール情報」の入力が「入力デバイス」である「入力部220」により行われること、がそれぞれ明らかである。
そして、「共有日時」の開始時刻(2009年10月1日の10時)、終了時刻(同17時)は、それぞれ、本願発明1の「第1の時刻」、「第2の時刻」に相当する。
したがって、引用発明1の「携帯端末200a」は、本願発明1の
「撮像素子でイベントを撮影するのに先立って前記イベントが行われる期間に対応する第1の時刻から第2の時刻までの特定の時間帯を入力可能な入力デバイス」
に相当する構成を具備している。

(イ)引用発明1は、「携帯端末200a」が、「利用者によって写真撮影を行う操作が行なわれた場合に、画像データを生成」するものであり、また、「携帯端末200aおよび200bに対応する携帯端末200」が有する「制御部270」の「カメラ制御部271」が、「利用者によって撮影を行う旨の操作が行われた場合に、カメラ210を制御することにより撮影処理を行い、そして、カメラ制御部271は、カメラ210によって生成された画像データと、かかる画像データが生成された生成日時とを対応付けて、画像記憶部250に記憶させ」るものであるから、引用発明1の「携帯端末200a」は、「カメラ210」が「撮影」した、「画像データ」に係る画像を有する「写真」を取得し、前記画像が「撮影」された「生成日時」を作成する「カメラ制御部271」を具備するといえる。
そして、引用発明1の「写真」、「生成日時」、「カメラ制御部271」は、それぞれ、本願発明1の「コンテンツ」、「時刻情報」、「撮影部」に相当する。
以上の点について、上記(ア)も踏まえると、引用発明1の「携帯端末200a」は、本願発明1の
「前記撮像素子が撮影した画像を有するコンテンツを取得し、前記画像が撮影された時刻情報を作成する撮影部」
に相当する構成を具備している。

(ウ)引用発明1では、「携帯端末200aは、利用者によって写真撮影を行う操作が行なわれた場合に、画像データを生成し、このとき、携帯端末200aは、利用者から入力された共有日時に画像データを生成した場合に、生成した画像データを管理サーバ20へ自動的に送信」するから、「携帯端末200a」は、「写真」の「画像データ」の「生成」のタイミングが特定の時間帯(上記(ア))である「共有日時」に合致する(「共有日時」の時間帯に入る)場合に、当該「画像データ」を「管理サーバ20へ自動的に送信」する、すなわち、「共有日時」に関する条件に基づいて「写真」を自動的にアップロードするといえる。そうすると、引用発明1の上記「共有日時」に関する条件は、本願発明1の「前記特定の時間帯に関する条件であるアップロード条件」に相当する。
また、引用発明1の「スケジュール更新部272は、利用者によってスケジュール情報を入力する操作が行われた場合に、入力された共有日時やイベント内容などをスケジュール記憶部260に記憶させ」ることにおける「スケジュール記憶部260」、及び、「カメラ制御部271は、カメラ210によって生成された画像データと、かかる画像データが生成された生成日時とを対応付けて、画像記憶部250に記憶させ」ることにおける「画像記憶部250」には、「共有日時」に関する条件と、「写真」の「画像データ」と、当該「画像データ」に対応付いた「生成日時」が格納されるということができ、「スケジュール記憶部260」と「画像記憶部250」とを併せて、本願発明1の「格納部」に相当する。
以上の点について、上記(ア)、(イ)で検討した点も踏まえると、引用発明1の「携帯端末200a」は、本願発明1の
「前記特定の時間帯に関する条件を含むアップロード条件と、前記コンテンツと、前記コンテンツに対応付いた前記時刻情報とが格納される格納部」
に相当する構成を具備している。

(エ)上記(ウ)で述べた引用発明1の各構成において、「画像記憶部250」に「記憶させ」た「写真」の「画像データ」が、「管理サーバ20へ自動的に送信」されることが明らかであって、「携帯端末200a」は、その「送信」のための手段を(機能的に)具備しているということができ、当該手段は本願発明1の「送信部」に相当し、また、「管理サーバ20」は、本願発明1の「サーバ」に相当する。
この点について、上記(イ)、(ウ)で検討した点も踏まえると、引用発明1の「携帯端末200a」は、本願発明1の
「前記格納部に格納された前記コンテンツをサーバにアップロードする送信部」
に相当する構成を具備している。

(オ)引用発明1は、「携帯端末200aおよび200bに対応する携帯端末200」が「出力部230」を「有し」、「管理サーバ20は、携帯端末200から画像データを取得する旨の要求を受け付けた場合に、同一の携帯端末グループに属する携帯端末によって生成された、利用者によって選択されたコンテンツを取得するための画像データの一覧を携帯端末200へ送信する」するものである。
ここで、画像データの共有に関する技術常識を踏まえれば、「携帯端末200a」の「出力部230」が、「管理サーバ20」から「送信」された、「利用者によって選択されたコンテンツを取得するための画像データの一覧」を表示すること、「携帯端末200a」により「管理サーバ20」から「コンテンツ」(「写真」)の「取得」、すなわちダウンロードがなされ得ること、「コンテンツ」が、「携帯端末200a」以外の他の携帯端末(例えば、「携帯端末200b」)により、上記(ウ)と同様に「管理サーバ20」に「送信」すなわちアップロードされたものであり得ること、「携帯端末200a」が「取得」のために受信手段を具備すること、がそれぞれ明らかである。
そして、引用発明1の「出力部230」、「利用者によって選択されたコンテンツを取得するための画像データの一覧」は、それぞれ、本願発明1の「出力部」、「前記コンテンツの選択を行わせるための選択画面」に相当する。また、上記において、他の携帯端末、受信手段は、それぞれ、本願発明1の「他の撮像装置」、「受信部」に相当する。
以上の点について、上記(イ)、(エ)も踏まえると、引用発明1の「携帯端末200a」は、本願発明1の
「前記サーバからダウンロードする前記コンテンツの選択を行わせるための選択画面を出力する出力部と、
前記サーバから他の撮像装置がアップロードした前記コンテンツを受信する受信部」
に相当する構成を具備している。

(カ)上記(ア)で検討したように、引用発明1では、「携帯端末200a」で「写真撮影を行う」のに先立って「共有日時」が「携帯端末200a」の「利用者」により入力されていることが明らかであるから、「共有日時」は、「撮影」のタイミングと独立して、「利用者」によって入力されるといえる。ここで、「利用者」は、本願発明1の「ユーザ」に相当する。
この点について、上記(ア)で更に検討した点及び上記(ウ)も踏まえると、引用発明1の「携帯端末200a」は、本願発明1の
「前記アップロード条件の前記特定の時間帯は、前記撮像素子の撮影のタイミングと独立して、ユーザによって前記第1の時刻と前記第2の時刻とが前記入力デバイスにより入力されて前記格納部に格納されて」いる
ことに相当する構成を有している。

(キ)上記(ウ)で検討したように、引用発明1の「携帯端末200a」は、「写真」の「画像データ」の「生成」のタイミングが「共有日時」に合致する場合に、当該「画像データ」を「管理サーバ20へ自動的に送信」するといえるところ、上記(エ)の「送信」のための手段が、その「送信」を行うことが明らかである。
また、「画像データ」の「生成」のタイミングが、引用発明1の「カメラ制御部271は、カメラ210によって生成された画像データと、かかる画像データが生成された生成日時とを対応付けて、画像記憶部250に記憶させ」ることにおける「画像データが生成された生成日時」の時刻であることも明らかである。
これらの点について、上記(イ)、及び、上記(ウ)、(エ)で更に検討した点も踏まえると、本願発明1の
「前記送信部は、前記フラグが自動的にアップロードすることを示す場合のみ、前記時刻情報の時刻が前記アップロード条件に合致する場合に、自動的に前記コンテンツを前記サーバにアップロードし、かつ前記送信部は、前記フラグが手動によりアップロードすることを示す情報であり、前記受付部が前記第一の指示を受け付けた場合に、前記コンテンツを前記サーバにアップロード」する
との構成に関して、引用発明1と本願発明1とは、
「前記送信部は、前記時刻情報の時刻が前記アップロード条件に合致する場合に、自動的に前記コンテンツを前記サーバにアップロード」する
という点で共通している。

(ク)上記(オ)で述べた引用発明1の構成において、「利用者によって選択されたコンテンツを取得するための画像データの一覧」は、「管理サーバ20」から「送信」された、複数の「コンテンツ」(「写真」)に対応する複数の選択肢を、「一覧」表示したものであるといえる。
また、「携帯端末200a」の「利用者」は、「コンテンツ」の「選択」と、「選択」された「コンテンツ」を「取得」することの指示を、「携帯端末200a」に入力することが明らかであり、「携帯端末200a」は当該入力を受け付ける手段を当然に備えている。
そして、「携帯端末200a」における、上記(エ)の「送信」のための手段は、上記指示を「管理サーバ20」に送信し、上記(オ)の受信手段は、上記指示に応じて「選択」された「コンテンツ」を「取得」することが明らかである。
ここで、上記の入力を受け付ける手段は、本願発明1の「受付部」に相当する。また、上記指示を「第二の指示」と称することは任意である。
以上の点について、上記(イ)、及び、上記(エ)、(オ)で検討した点も踏まえると、本願発明1の
「前記コンテンツをアップロードする第一の指示を受け付ける受付部」を「具備し」、
「前記選択画面は、前記サーバから送信された複数の前記コンテンツに対応する複数のサムネイルが、前記特定の時間帯に開催された前記イベントに応じて、前記イベントを示すイベント名と共に表示されており、
前記受付部は、前記選択画面から所定の前記コンテンツの選択と、選択された前記コンテンツのダウンロードの指示である第二の指示と、を受け付け、
前記送信部は、前記受付部が受け付けた前記第二の指示を前記サーバに送信し、
前記受信部は、前記サーバから、前記第二の指示に応じて選択された前記コンテンツをダウンロードする」
との構成に関して、引用発明1と本願発明1とは、
「受付部」を「具備し」、
「前記選択画面は、前記サーバから送信された複数の前記コンテンツに対応する複数の選択肢が、表示されており、
前記受付部は、前記選択画面から所定の前記コンテンツの選択と、選択された前記コンテンツのダウンロードの指示である第二の指示と、を受け付け、
前記送信部は、前記受付部が受け付けた前記第二の指示を前記サーバに送信し、
前記受信部は、前記サーバから、前記第二の指示に応じて選択された前記コンテンツをダウンロードする」
という点で共通している。

(ケ)引用発明1の「携帯端末200a」は、後述する相違点は別として、本願発明1の「撮像装置」に相当する。

イ 上記アから、本願発明1と引用発明1とは、以下の点で一致する。
(一致点)
「撮像素子でイベントを撮影するのに先立って前記イベントが行われる期間に対応する第1の時刻から第2の時刻までの特定の時間帯を入力可能な入力デバイスと、
前記撮像素子が撮影した画像を有するコンテンツを取得し、前記画像が撮影された時刻情報を作成する撮影部と、
前記特定の時間帯に関する条件であるアップロード条件と、前記コンテンツと、前記コンテンツに対応付いた前記時刻情報とが格納される格納部と、
受付部と、
前記格納部に格納された前記コンテンツをサーバにアップロードする送信部と、
前記サーバからダウンロードする前記コンテンツの選択を行わせるための選択画面を出力する出力部と、
前記サーバから他の撮像装置がアップロードした前記コンテンツを受信する受信部と、を具備し、
前記アップロード条件の前記特定の時間帯は、前記撮像素子の撮影のタイミングと独立して、ユーザによって前記第1の時刻と前記第2の時刻とが前記入力デバイスにより入力されて前記格納部に格納されており、
前記送信部は、前記時刻情報の時刻が前記アップロード条件に合致する場合に、自動的に前記コンテンツを前記サーバにアップロードし、
前記選択画面は、前記サーバから送信された複数の前記コンテンツに対応する複数の選択肢が、表示されており、
前記受付部は、前記選択画面から所定の前記コンテンツの選択と、選択された前記コンテンツのダウンロードの指示である第二の指示と、を受け付け、
前記送信部は、前記受付部が受け付けた前記第二の指示を前記サーバに送信し、
前記受信部は、前記サーバから、前記第二の指示に応じて選択された前記コンテンツをダウンロードする撮像装置。」

ウ また、本願発明1と引用発明とは、以下の点で相違する。
(相違点1)
本願発明1の「撮像装置」が具備する「格納部」、「受付部」及び「送信部」について、「受付部」は、「前記コンテンツをアップロードする第一の指示を受け付け」、「前記受付部は、前記アップロード条件が示す前記特定の時間帯において、前記フラグを自動アップロードから手動アップロードに切り替える設定変更を受け付け」、「前記受付部が受け付けた前記設定変更に応じた前記フラグの変更により、自動アップロードから手動アップロードへの切り替え可能であ」る、と特定され、一方、「格納部」には、「前記コンテンツを自動的にアップロードする自動アップロードか前記コンテンツを手動によりアップロードする手動アップロードかを示すフラグが格納されて」いる、と特定され、また、「送信部」が「自動的に前記コンテンツを前記サーバにアップロード」するのは、「前記フラグが自動的にアップロードすることを示す場合のみ」であって、かつ、「前記送信部は、前記フラグが手動によりアップロードすることを示す情報であり、前記受付部が前記第一の指示を受け付けた場合に、前記コンテンツを前記サーバにアップロードし」、「前記送信部は、前記フラグが手動アップロードを示す場合には、前記時刻情報の時刻が前記アップロード条件に合致する場合でも、自動的に前記コンテンツを前記サーバにアップロードせず」、と特定されるのに対して、引用発明1の「携帯端末200a」は、「画像データ」を「管理サーバ20へ自動的に送信」する機能を有するのみであって、手動によりアップロードする機能を有しておらず、そのため、「携帯端末200a」が具備する「スケジュール記憶部260」及び「画像記憶部250」、入力を受け付ける手段(上記ア(ク))、並びに「送信」のための手段(上記ア(エ))について、本願発明1のように特定されるものではない点。

(相違点2)
本願発明1の「前記コンテンツの選択を行わせるための選択画面」の表示は、「前記コンテンツの選択」のための選択肢が「サムネイル」であり、また、「前記特定の時間帯に開催された前記イベントに応じて、前記イベントを示すイベント名と共に表示され」るものであるのに対して、引用発明1の「利用者によって選択されたコンテンツを取得するための画像データの一覧」の表示は、「コンテンツ」の「選択」のための選択肢が「サムネイル」であると特定されるものではなく、「イベント名と共に表示され」ると特定されるものでもない点。

(2)判断
そこで、まず相違点1について検討する。
特定の時間帯に関する条件であるアップロード条件に従って自動的にコンテンツをサーバにアップロードする自動アップロードから、前記コンテンツを手動によりアップロードする手動アップロードへの切り替えを、フラグの変更により可能とすることについて、前記アップロード条件が示す前記特定の時間帯において、前記フラグを自動アップロードから手動アップロードに切り替える設定変更を受け付けるものとすることは、引用文献1〜3のいずれにも記載されておらず、本願の原出願日前において周知技術であったともいえない。
引用発明2は、「送信設定を手動送信に設定するか、自動送信に設定するかを決定するためのチェックボックス」である「チェックボックス803」の「設定」を「自動送信」から「手動送信」に変更する時間帯について特定されるものではないから、引用発明1に引用発明2を適用しても、「前記受付部は、前記アップロード条件が示す前記特定の時間帯において、前記フラグを自動アップロードから手動アップロードに切り替える設定変更を受け付け」るとの構成を含む本願発明1の相違点1に係る構成には至らない。
よって、相違点2について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても引用文献1〜3に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

2 本願発明2,3について
本願発明2は、本願発明1に対応するプログラムの発明であり、本願発明3は、本願発明1を減縮した発明であって、いずれも本願発明1に対応する発明特定事項を含んでいる。
そうすると、本願発明2,3も本願発明1と同様の理由により、当業者であっても引用文献1〜3に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

3 小括
以上のことから、当審拒絶理由の理由2は解消した。

第8 原査定についての判断
令和4年4月20日に提出された手続補正書により、請求項1〜3は、「前記受付部は、前記アップロード条件が示す前記特定の時間帯において、前記フラグを自動アップロードから手動アップロードに切り替える設定変更を受け付け」る等の相違点1に係る技術的事項を含むものとなった。当該技術的事項は、原査定における引用文献A〜C(それぞれ、引用文献1〜3)には記載されておらず、本願の原出願日において周知技術であったとも認められないので、本願発明1〜3は、当業者であっても、原査定における引用文献A〜Cに基づいて容易に発明をすることができたものではない。したがって、原査定を維持することはできない。

第9 むすび
以上のとおり、原査定の理由によって、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2022-07-05 
出願番号 P2018-200555
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G06F)
P 1 8・ 537- WY (G06F)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 稲葉 和生
特許庁審判官 富澤 哲生
野崎 大進
発明の名称 撮像装置、プログラム、およびコンテンツ共有システム  
代理人 山本 弘幸  
代理人 谷川 英和  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ