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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1385942
総通号数
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2022-07-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-07-15 
確定日 2022-06-10 
事件の表示 特願2019−140598「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔令和 1年11月28日出願公開、特開2019−202176〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成24年1月26日(以下、「遡及日」という。)に出願した特願2012−13719の一部を平成28年4月22日に新たな特許出願(特願2016−86526)とし、さらにその一部を平成30年11月1日に新たな特許出願(特願2018−206908)とし、さらにその一部を令和1年7月31日に新たな特許出願(特願2019−140598)としたものであって、令和2年2月12日に手続補正書が提出され、同年7月21日付けで拒絶の理由が通知され、同年8月7日に意見書及び手続補正書が提出され、令和3年1月20日付けで最後の拒絶の理由が通知され、同年2月24日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、同年6月25日付け(送達日:同月30日)で、同年2月24日付け手続補正が却下されるとともに拒絶査定がなされ、それに対して、同年7月15日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされたものである。


第2 令和3年7月15日にされた手続補正(以下、「本件補正」という。)についての補正の却下の決定

[補正の却下の決定の結論]

本件補正を却下する。

[理由]

1 本件補正について
本件補正は、特許請求の範囲を補正する内容を含んでおり、本件補正により、特許請求の範囲は、
(補正前:令和2年8月7日付け手続補正書でした手続補正)
「【請求項1】
遊技の進行に応じた演出音を出力する音出力手段と、
遊技演出を表示可能な表示手段と、
前記音出力手段から出力される演出音の音量レベルを設定可能な設定手段と、
前記設定手段によって設定された演出音の音量レベルを遊技者が変更可能な遊技者音量変更手段と、を備えた遊技機において、
前記遊技者音量変更手段による音量レベルの変更は、客待ち状態中に可能とされており、
前記遊技者音量変更手段によって前記設定手段にて設定されていた音量レベルが変更されると、変更された音量レベルで確認音が前記音出力手段から出力されるとともに、
前記遊技者音量変更手段による音量レベルの変更は、変更されえる音量レベルが視覚的に認識可能となるように音量レベルに応じた表示がレベル表示として表示された状態において実行可能とされているとともに、音量レベルに応じて表示されている前記レベル表示を変更すると前記レベル表示の変更に伴い前記確認音が変更された前記レベル表示に応じた音量レベルで出力され、
前記設定手段によって設定された音量レベルが前記遊技者音量変更手段によって変更がされていない状態において、前記遊技者音量変更手段による音量レベルの変更を開始した場合に表示される前記レベル表示は、前記設定手段によって設定された音量レベルに応じた表示がされる
ことを特徴とする遊技機。」から、

(補正後:令和3年7月15日付け手続補正書でした手続補正)
「【請求項1】
遊技の進行に応じた演出音を出力する音出力手段と、
遊技演出を表示可能な表示手段と、
前記音出力手段から出力される演出音の音量レベルを設定可能な設定手段と、
前記設定手段によって設定された演出音の音量レベルを遊技者が変更可能な遊技者音量変更手段と、を備えた遊技機において、
前記設定手段は、前記遊技者音量変更手段と異なり遊技者が操作することができない箇所に設けられており、
前記遊技者音量変更手段による音量レベルの変更は、客待ち状態中に可能とされており、
前記遊技者音量変更手段によって前記設定手段にて設定されていた音量レベルが変更されると、変更された音量レベルで確認音が前記音出力手段から出力されるとともに、
前記遊技者音量変更手段による音量レベルの変更は、変更されえる音量レベルが視覚的に認識可能となるように音量レベルに応じた表示がレベル表示として表示された状態において実行可能とされているとともに、音量レベルに応じて表示されている前記レベル表示を変更すると前記レベル表示の変更に伴い前記確認音が変更された前記レベル表示に応じた音量レベルで出力され、
前記設定手段によって設定された音量レベルが前記遊技者音量変更手段によって変更がされていない状態において、前記遊技者音量変更手段による音量レベルの変更を開始した場合に表示される前記レベル表示は、前記設定手段によって設定された音量レベルに応じた表示がされ、
前記遊技者音量変更手段によって音量レベルの変更がなされた状態において、前記遊技者音量変更手段によって音量レベルの変更を開始した場合に表示される前記レベル表示は、前記設定手段による設定が表示されることなく、前記遊技者音量変更手段によって変更されている音量レベルに応じた表示がされ、
初期化条件が成立したときに前記遊技者音量変更手段によって変更されている音量レベルを前記設定手段によって設定されていた音量レベルに再設定する演出音再設定手段を有している
ことを特徴とする遊技機。」に補正された(下線は、補正箇所を明示するために当審で付した。)。

2 補正の適否
(1)本件補正
本件補正による特許請求の範囲の請求項1についての補正は、発明を特定するために必要な事項である「設定手段」について、「前記設定手段は、前記遊技者音量変更手段と異なり遊技者が操作することができない箇所に設けられて」いるという限定を加えるとともに、発明を特定するために必要な事項である「遊技者音量変更手段」による音量レベルの変更について、「前記遊技者音量変更手段によって音量レベルの変更がなされた状態において、前記遊技者音量変更手段によって音量レベルの変更を開始した場合に表示される前記レベル表示は、前記設定手段による設定が表示されることなく、前記遊技者音量変更手段によって変更されている音量レベルに応じた表示がされ」るという限定を加え、さらに、同「遊技者音量変更手段」により変更された音量レベルについて、「初期化条件が成立したときに前記遊技者音量変更手段によって変更されている音量レベルを前記設定手段によって設定されていた音量レベルに再設定する演出音再設定手段を有している」という限定を加えるものである。

(2)補正目的
本件補正のうち、上記(1)の補正は、補正前の発明特定事項に限定を加えるものであって、補正後の請求項1に係る発明は、補正前の請求項1に係る発明と、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とする補正に該当する。

(3)新規事項
本件補正は、願書に最初に添付した明細書の【0660】、【1244】、【1246】の記載からみて新規事項を追加するものではないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たす。

3 本件補正発明の独立特許要件についての検討
上記2(2)のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とする補正であるから、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下、「本件補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(1)本件補正発明
本件補正発明は、本件補正により補正された次のとおりのものである(符号A〜Fは、当審にて分説して付した。)。

本件補正発明
「【請求項1】
A 遊技の進行に応じた演出音を出力する音出力手段と、
B 遊技演出を表示可能な表示手段と、
C 前記音出力手段から出力される演出音の音量レベルを設定可能な設定手段と、
D 前記設定手段によって設定された演出音の音量レベルを遊技者が変更可能な遊技者音量変更手段と、を備えた遊技機において、
C1 前記設定手段は、前記遊技者音量変更手段と異なり遊技者が操作することができない箇所に設けられており、
D1 前記遊技者音量変更手段による音量レベルの変更は、客待ち状態中に可能とされており、
D2 前記遊技者音量変更手段によって前記設定手段にて設定されていた音量レベルが変更されると、変更された音量レベルで確認音が前記音出力手段から出力されるとともに、
D3 前記遊技者音量変更手段による音量レベルの変更は、変更されえる音量レベルが視覚的に認識可能となるように音量レベルに応じた表示がレベル表示として表示された状態において実行可能とされているとともに、音量レベルに応じて表示されている前記レベル表示を変更すると前記レベル表示の変更に伴い前記確認音が変更された前記レベル表示に応じた音量レベルで出力され、
C2 前記設定手段によって設定された音量レベルが前記遊技者音量変更手段によって変更がされていない状態において、前記遊技者音量変更手段による音量レベルの変更を開始した場合に表示される前記レベル表示は、前記設定手段によって設定された音量レベルに応じた表示がされ、
D4 前記遊技者音量変更手段によって音量レベルの変更がなされた状態において、前記遊技者音量変更手段によって音量レベルの変更を開始した場合に表示される前記レベル表示は、前記設定手段による設定が表示されることなく、前記遊技者音量変更手段によって変更されている音量レベルに応じた表示がされ、
E 初期化条件が成立したときに前記遊技者音量変更手段によって変更されている音量レベルを前記設定手段によって設定されていた音量レベルに再設定する演出音再設定手段を有している
F ことを特徴とする遊技機。」

(2)引用文献1に記載された発明
原査定の拒絶理由において引用され、本願の出願前に頒布又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2011−200511号公報(以下、「引用文献1」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている(下線は当審にて付した。以下同様。)。
ア 記載事項
(ア)「【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、これら特許文献1〜3の遊技機にあっては、遊技機からの出力音の音量を、遊技者が自身の好みに応じた音量に変更できることから、遊技者の利便性を高められるものの、これら遊技者による変更によって、遊技場が想定していない大きな音量や小さな音量に変更されてしまう虞れがあるという問題があった。
【0005】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、遊技者の利便性を高めつつ、遊技場が想定していない音量の音が出力されてしまうことを防止することのできる遊技機を提供することを目的とする。」

(イ)「【図面の簡単な説明】
【0011】
・・・
【図12】演出制御用マイクロコンピュータ81が実行する音量変更処理の処理内容を示すフローチャートである。
・・・
【図22】演出制御用マイクロコンピュータ81が実行する演出制御メイン処理を示すフローチャートである。
・・・」

(ウ)「【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の実施例を以下に説明する。
【実施例】
【0013】
まず、本発明の遊技機の一例であるパチンコ遊技機の全体の構成について説明する。図1はパチンコ遊技機1(以下、パチンコ遊技機1と略称する)を正面からみた正面図であり、図2はパチンコ機を示す背面図である。尚、以下の説明において、図1の手前側をパチンコ機の前面側、奥側を背面側として説明する。尚、本実施例におけるパチンコ機の前面とは、遊技者側からパチンコ遊技機1を見たときに該遊技者と対向する対向面である。
【0014】
図1は、本発明が適用されたパチンコ機を示す正面図である。パチンコ遊技機1は、縦長の方形状に形成された外枠100(図2参照)と、外枠100に開閉可能に取り付けられた前面枠101(図2参照)と、で主に構成されている。・・・
【0015】
図1に示すように、ガラス扉枠102の下方に取り付けられた下扉枠103の前面上部には、遊技媒体(遊技球)としてのパチンコ球(打球)を貯留可能な遊技球貯留部としての打球供給皿(上皿とも言う)3が上面に形成された上皿部3aが、パチンコ遊技機1の前方(パチンコ遊技機1の前面方向)に向けて突設されている。また、この上皿部3aの下方には、後述する操作レバー600が揺動自在に軸支されるとともに、上面に余剰球貯留皿(下皿とも言う)4が形成された下皿部4a(突出部)が、パチンコ遊技機1の前方(パチンコ遊技機1の前面方向)に向けて突設されている。その右側方には、パチンコ球を発射する打球操作ハンドル(操作ノブ)5が設けられている。
・・・
【0017】
ガラス扉枠102の背面には、前面枠101に対して着脱可能に取り付けられた遊技盤6が配置されている。なお、遊技盤6は、それを構成する板状体と、その板状体に取り付けられた種々の部品とを含む構造体である。また、遊技盤6の前面には遊技領域7が形成されている。
【0018】
遊技領域7の中央付近には、それぞれが演出用の飾り図柄を変動表示する複数の変動表示領域を含む変動表示装置(飾り図柄表示装置)9が設けられている。また、遊技盤6の所定箇所には、各々を識別可能な複数種類の識別情報としての特別図柄を変動表示する特別図柄表示器(特別図柄表示装置)8(図3参照)が設けられている。変動表示装置9には、たとえば「左」、「中」、「右」の3つの変動表示領域(図柄表示エリア)がある。変動表示装置9は、特別図柄表示器8による特別図柄の変動表示期間中に、装飾用(演出用)の図柄であって、各々を識別可能な複数種類の識別情報としての飾り図柄の変動表示を行う。変動表示装置9は、後述する演出制御基板80に搭載されている演出制御用マイクロコンピュータ81(図3参照)によって制御される。特別図柄表示器8は表示部が小型であるので、変動表示の態様および変動表示の表示結果が変動表示装置9と比べて見づらいため、遊技者は主として変動表示装置9の方に注目する。」

(エ)「【0028】
遊技領域7の外側の左右上部には、エラー音や演出用の効果音(演出音)を発する2つのスピーカ27L,27Rが設けられ、左右下部にも、同様にエラー音や演出用の効果音を発する2つのスピーカ27a,27bが設けられている。
【0029】
また、スピーカ27aの上部位置には、スピーカ27L,27R,27a,27bから出力される音の音量を変更する際に遊技者が操作する音量変更ボタンスイッチ61と、イアホンを装着可能なイアホン端子装着部62とが設けられており、これら音量変更ボタンスイッチ61とイアホン端子装着部62等が、下扉枠103の内部に装着されるイアホン用基板60に実装されている。
・・・」

(オ)「【0048】
また、変動表示装置9については、大当りを発生させる契機となる変動表示において、大当りとなる可能性がある旨ことを報知する大当り予告演出が行なわれる場合がある。尚、この大当り予告演出の種類や内容に関しては後述することとする。」

(カ)「【0052】
次に、パチンコ遊技機1の背面(裏面)の構造について図2を参照して説明する。図2は、パチンコ機を示す背面図である。
【0053】
図2に示すように、パチンコ遊技機1裏面側では、変動表示装置9を制御する演出制御用マイクロコンピュータが搭載された演出制御基板80を含む変動表示制御ユニット49、遊技制御用マイクロコンピュータ等が搭載された遊技制御基板(主基板)31、音声出力基板70、LEDドライバ基板(図示省略)、および、球払出制御を行う払出制御用マイクロコンピュータ等が搭載された払出制御基板37等の各種基板が設置されている。
・・・
【0060】
尚、変動表示制御ユニット49の上部位置には、図2に示すように、演出制御基板80上に実装された音量範囲設定部83(図11参照)が変動表示制御ユニット49の表面に露出することで遊技場の関係者が操作可能に設けられている。」

(キ)「【0110】
本実施の形態における音量範囲設定部83を図11に示す。音量範囲設定部83には、図11に示すように、3つの設定回転子83a、83b、83cが設けられている。
【0111】
設定回転子83cは、遊技場の関係者(係員)が遊技者による音量の変更を許諾するか否かを設定する部分であり、該設定回転子83c回転させて外周突起部をONの位置とすることで、音量変更ボタンスイッチ61の操作が有効とされて、遊技者による音量変更が可能とされる一方、該設定回転子83c回転させて外周突起部をOFFの位置とすることで、音量変更ボタンスイッチ61の操作が無効とされて、遊技者による音量変更が不能とされる。
【0112】
設定回転子83aは、スピーカ27L,27R、27a,27bから出力される音の音量範囲と初期音量を、遊技場の関係者(係員)が設定する部分であり、図11(b)に示すように、外周突起部の色が異なる円盤状の3つの回転ボリュームが同軸に積層された構造とされていて、遊技者が変更可能な音量の下限音量(下段の回転ボリューム;外周突起部の色が白)、初期(デフォルト)音量(中段の回転ボリューム;外周突起部の色が黒)、遊技者が変更可能な音量の上限音量(上段の回転ボリューム;外周突起部の色が赤)をそれぞれ、個別に設定できるとともに、これら上限音量、下限音量、初期音量の関係を、目視によって正確に把握できるようになっている。
【0113】
尚、上限音量を設定する上段の回転ボリュームには、該回転ボリュームの外周突起の位置よりも大音量側に中段の回転ボリュームの外周突起が回転されることを規制する図示しない規制部が設けられているとともに、下限音量を設定する下段の回転ボリュームにも、該回転ボリュームの外周突起の位置よりも小音量側に中段の回転ボリュームの外周突起が回転されることを規制する図示しない規制部が設けられていることで、下限音量以上で、且つ上限音量以下の音量が初期音量として設定されるようになっている。」

(ク)「【0278】
コマンド9F00(H)は、客待ちデモンストレーション時の表示を指定する演出制御コマンド(客待ちデモ指定コマンド)である。尚、この客待ちデモ指定コマンドは、本発明の不在条件の成立となる打球操作ハンドル(操作ノブ)5の操作がなされなくなってから所定時間が経過したことに応じて送出され、該客待ちデモ指定コマンドが演出制御基板80に対して送出されたときには、変動表示装置9に所定の客待ちデモ画面が表示されるとともに、図14(c)に示すように、音声出力基板70に対して初期音量(スピーカ、イアホンの双方)が出力されて該初期音量が設定されることで、該客待ちデモ指定コマンドが送出される以前において音声出力基板70に設定されていた音量設定、つまり、該時点の前に遊技していた遊技者により変更された音量設定が消去される。
・・・
【0286】
演出制御基板80に搭載されている演出制御用マイクロコンピュータ81は、主基板31に搭載されている遊技制御用マイクロコンピュータ156から上述した演出制御コマンドを受信すると、内容に応じて変動表示装置9の表示状態を画像音声生成用LSI262と共動して変更するとともに、ランプの表示状態を変更し、サウンド部264に音番号データを出力して、変動表示装置9に表示される画像に対応した効果音(演出音)を音声出力基板70に対して出力させる。なお、上記演出制御コマンド以外の演出制御コマンドも主基板31から演出制御基板80に送信される。例えば、変動表示装置9に大当り中の入賞球数を表示する場合はカウントスイッチ23のカウント数を指定する演出制御コマンドなども主基板31から演出制御基板80に送信される。
【0287】
次に、演出制御基板80における動作を説明する。演出制御基板80では、電源基板から電源電圧の供給を受けると、演出制御用マイクロコンピュータ81が起動し、CPU86が図22のフローチャートに示すような演出制御メイン処理を実行する。・・・
・・・
【0289】
次いで、RAM85の演出制御フラグ設定部に設けられたタイマ割込みフラグを監視して、そのフラグがオンとなったか否かを判定する(ステップSa54)。そして、タイマ割込みが発生せずにタイマ割込みフラグがオフである場合には(ステップSa54;No)、タイマ割込みが発生するまでループ処理を実行して待機する。他方、タイマ割込みの発生によりタイマ割込みフラグがオンとなった場合には(ステップSa54;Yes)、そのフラグをクリアしてオフ状態とした後(ステップSa55)、主基板31から送信された演出制御コマンドを解析するためのコマンド解析処理を実行する(ステップSa56)。
【0290】
ステップSa56のコマンド解析処理では、まず、受信コマンドバッファをチェックして主基板31から送信された演出制御コマンドの受信があるか否かの判定が行われる。そして、受信コマンドありと判定したときには、そのコマンドを受信コマンドバッファから読み出す。これに続いて、読み出された受信コマンドに対応する各種の処理が実行される。
【0291】
コマンド解析処理を実行した後には、飾り図柄プロセス処理を実行する(ステップSa57)。この飾り図柄プロセス処理では、変動表示装置9の表示画面にて行われる飾り図柄の可変表示の進行状況並びに操作レバー600の操作に応じて、変動表示装置9の表示出力、スピーカ27L,27R、27a,27bからの音声出力、各種LEDの点灯動作などにより各種の演出動作を実行するための設定が行われる。・・・さらに、異常の発生等を変動表示装置9等の演出装置における表示やスピーカ27L,27R、27a,27bからのエラー音の出力により報知を行う報知制御処理(ステップSa59)や、音量変更ボタンスイッチ61の操作に応じてスピーカ27L,27R、27a,27bやイアホン端子装着部62からの出力音量を遊技者が変更する図12に示す音量変更処理(ステップSa60)を実行した後、ステップSa54に戻る。
【0292】
また、演出制御用マイクロコンピュータ81では、所定時間が経過する毎に発生するタイマ割込みとは別に、主基板31から演出制御コマンドを受信するための割込みが発生する。この割込みは、例えば主基板31からの演出制御INT信号がオン状態となることにより発生する割込みである。・・・」

(ケ)「【0321】
CPU86は、変動表示装置9の図柄変動に応じて様々な演出を実行可能であるとともに、前述した大当り抽選に当選し、特別図柄表示器8において特定表示結果としての大当り図柄が停止して大当りとなり、遊技者にとって有利となる大当り遊技状態に移行する可能性がある旨を報知する大当り予告演出を、変動表示装置9にて行う。この大当り予告演出は、大当り抽選に当選したときにのみ行われるものではなく、当選しなかった場合にも行われるようになっている。つまり、大当り抽選に当選したときに、大当り抽選に当選しなかったときよりも高い確率で実行される演出である。」

(コ)「【0395】
次に、図12〜図14に基づいて、本実施の形態のパチンコ機2において遊技者が音量を変更する流れについて説明する。
【0396】
遊技者が、スピーカ27L,27R、27a,27bから出力される音量や、イアホン端子装着部62から出力される音量を変更したい場合には、音量変更ボタンスイッチ61を操作すれば良い。
・・・
【0399】
Sh2のステップにおいては、音量範囲設定部83において、ユーザー設定がオンか否か、つまり、遊技者による音量変更が許諾されているか否かを判定する。ユーザー設定がオンではない場合(つまりOFF)は、当該処理を終了する一方、ユーザー設定がオンの場合にはSh3のステップに進む。
【0400】
Sh3のステップにおいては、飾り図柄プロセスフラグの値が”0”であるか、つまり、変動表示装置9において可変表示や大当り等の演出表示等が実施されていない状態であるか否かを判定する。飾り図柄プロセスフラグの値が”0”でない場合には当該処理を終了する一方、飾り図柄プロセスフラグの値が”0”である場合にはSh4のステップに進む。
・・・
【0402】
Sh5のステップにおいては、主基板31から受信した未解析のコマンドデータが、受信コマンドバッファに存在するか否かを判定する。受信コマンドバッファに未解析のコマンドデータが存在する場合には当該処理を終了する一方、未解析のコマンドデータが存在しない場合にはSh6のステップに進む。
【0403】
つまり、Sh2〜Sh5の条件である、ユーザー設定がONであり、飾り図柄プロセスフラグの値が”0”であり、保留記憶数が0であり、未解析のコマンドデータが存在しない場合においてのみ、遊技者による音量の変更が許諾される。
・・・
【0406】
一方、イアホン端子装着部62にイアホンが装着されていない場合には、Sh9のステップに進み、音量範囲設定部83の設定回転子83aにて設定されている上限音量と下限音量、並びにRAM85の所定領域に格納されている現在において設定されているスピーカ音量(これらスピーカ音量が格納されていないときには、音量範囲設定部83の設定回転子83aにて設定されている初期音量)を特定し、該特定した上限音量と下限音量と、設定されているスピーカ音量とが表示された図13(b)に示すスピーカ音量設定画面を変動表示装置9に表示する制御を行い(ステップSh8)、Sh11のステップに進む。
【0407】
Sh11のステップにおいては、座標特定用DSP266に対してレバー操作許諾指示を出力して、該座標特定用DSP266から、操作レバー600の操作による座標データの出力を開始させ、操作レバー600の操作を有効とする。
【0408】
そして、Sh12のステップとSh13のステップとを巡回実施することで、レバー操作があったか(X座標の変更があったか)、設定終了条件が成立したか否かを判定する。
【0409】
Sh12のステップにおいて、X座標の変更によりレバー操作があったと判定された場合には、Sh16のステップに進んで、該X座標の変更に対応する新たな音量が、上下限音量の範囲内であるか否かを判定する。
【0410】
該判定において、上下限音量の範囲内である場合にはSh17のステップに進んで、操作方向(音量大方向または音量小方向)に所定レベルだけ設定音量表示(黒バー)を移動させる表示制御を実施するとともに、該移動後の音量による所定の調整音をスピーカ27L,27R、27a,27b又はイアホン端子装着部62から出力させる制御を行った後、Sh12のステップに戻る。
【0411】
尚、Sh16のステップにおける判定において、上下限音量の範囲内でない場合には、Sh17、Sh18のステップを実施することなく、Sh12のステップに戻ることで、上下限音量の範囲外の音量への移動(設定)が不能とされる。
【0412】
つまり、遊技者は、図13(a)のイアホン音量設定画面や、図13(b)のスピーカ音量設定画面が表示されたことに応じて、操作レバー600を、音量を小さくしたい場合にはパチンコ機2に向かって左方向に操作し、音量を大きくしたい場合にはパチンコ機2に向かって右方向に操作すれば良く、これら操作に応じて出力される調整音の音量を確認して、所望の音量を選択すれば良い。そして、該選択した音量を設定する場合には、音量変更ボタンスイッチ61を操作すれば良い。
【0413】
この音量設定画面の表示中における音量変更ボタンスイッチ61の操作により、Sh13のステップにおいて設定終了条件が成立したと判断されてSh14のステップに進み、RAM85の所定領域に格納されているイアホン音量或いはスピーカ音量のデータが更新(格納)されるともに、図14(b)に示すように、これら更新後のイアホン音量或いはスピーカ音量が、画像音声生成用LSI262を介して音声出力基板70に対して出力されて設定されるとともに、各音量設定画面の表示が終了される。そして、座標特定用DSP266に対してレバー操作無効指示を出力して座標データの出力を終了させて(ステップSh15)、操作レバー600の操作を有効として当該処理を終了する。
・・・
【0415】
つまり、遊技者は、音量変更の操作を終えた段階で遊技を開始することで、音量変更ボタンスイッチ61を操作することなく、これら操作により選択された音量が更新記憶されるようになるので、音量の変更後において迅速に遊技を開始できる。」

(サ)「【0465】
また、前記実施例では、音量範囲設定手段となる音量範囲設定部83を、遊技機であるパチンコ機2の営業使用時において、遊技者による操作が不可能な位置となるパチンコ機2の背面側に設けることで、該パチンコ機2の前面枠101を開放することが可能な遊技場の関係者(係員)のみが、音量範囲設定部83を操作して音量範囲の設定や初期音量の設定を変更可能とされているが、・・・」

(シ)図12
「【図12】



(ス)図22
「【図22】



イ 認定事項
・認定事項1
(ア)引用文献1の【0052】には、「次に、パチンコ遊技機1の背面(裏面)の構造について図2を参照して説明する。図2は、パチンコ機を示す背面図である。」と記載されていて、引用文献1において、パチンコ遊技機1の「背面」と「裏面」という用語は言い換え可能な同義として用いられていることから、パチンコ遊技機1の「背面側」と「裏面側」も同義であると認められる。
また、「パチンコ機」及び「パチンコ遊技機」という用語について、引用文献1には、例えば、次の(イ)に示すように、「パチンコ遊技機」、「パチンコ遊技機1」、「パチンコ機」、「パチンコ機2」といった表記が混在している。

(イ)
・「【0012】
本発明の実施例を以下に説明する。
【実施例】
【0013】
まず、本発明の遊技機の一例であるパチンコ遊技機の全体の構成について説明する。図1はパチンコ遊技機1(以下、パチンコ遊技機1と略称する)を正面からみた正面図であり、図2はパチンコ機を示す背面図である。尚、以下の説明において、図1の手前側をパチンコ機の前面側、奥側を背面側として説明する。尚、本実施例におけるパチンコ機の前面とは、遊技者側からパチンコ遊技機1を見たときに該遊技者と対向する対向面である。
【0014】
図1は、本発明が適用されたパチンコ機を示す正面図である。パチンコ遊技機1は、縦長の方形状に形成された外枠100(図2参照)と、外枠100に開閉可能に取り付けられた前面枠101(図2参照)と、で主に構成されている。・・・」
・「【0395】
次に、図12〜図14に基づいて、本実施の形態のパチンコ機2において遊技者が音量を変更する流れについて説明する。」
・「【0465】
また、前記実施例では、音量範囲設定手段となる音量範囲設定部83を、遊技機であるパチンコ機2の営業使用時において、遊技者による操作が不可能な位置となるパチンコ機2の背面側に設けることで、該パチンコ機2の前面枠101を開放することが可能な遊技場の関係者(係員)のみが、音量範囲設定部83を操作して音量範囲の設定や初期音量の設定を変更可能とされているが、・・・」

(ウ)一方、図面においては、図1、図2、図28に、明細書の「パチンコ遊技機1」を示す符号「1」が付されているところ、明細書及び図面の記載を総合しても、少なくとも、「パチンコ機」という用語、「パチンコ遊技機1」という用語及び「パチンコ機2」という用語を区別して記載しているとは認められないので、引用発明の認定においては、「パチンコ機」、「パチンコ機2」、「パチンコ遊技機1」について、「パチンコ遊技機1」という統一した用語を用いて認定する(認定事項1−1)。

(エ)そうすると、【0053】の「・・・パチンコ遊技機1裏面側では、変動表示装置9を制御する演出制御用マイクロコンピュータが搭載された演出制御基板80を含む変動表示制御ユニット49・・・が設置され・・・」という記載における「裏面側」を「背面側」と言い換えて、【0060】には、「尚、変動表示制御ユニット49の上部位置には、図2に示すように、演出制御基板80上に実装された音量範囲設定部83(図11参照)が変動表示制御ユニット49の表面に露出することで遊技場の関係者が操作可能に設けられている。」と、【0465】には、「また、前記実施例では、音量範囲設定手段となる音量範囲設定部83を、遊技機であるパチンコ機2の営業使用時において、遊技者による操作が不可能な位置となるパチンコ機2の背面側に設けることで、該パチンコ機2の前面枠101を開放することが可能な遊技場の関係者(係員)のみが、音量範囲設定部83を操作して音量範囲の設定や初期音量の設定を変更可能とされている・・・」と記載されていることを併せると、引用文献1には、パチンコ遊技機1背面側では、変動表示装置9を制御する演出制御用マイクロコンピュータが搭載された演出制御基板80を含む変動表示制御ユニット49が設置され、演出制御基板80上に実装され、変動表示制御ユニット49の表面に露出する音量範囲設定部83は、該パチンコ遊技機1の前面枠101を開放することが可能な遊技場の関係者(係員)のみが、音量範囲設定部83を操作して音量範囲の設定や初期音量の設定を変更可能とされていて、パチンコ遊技機1の営業使用時において、遊技者による操作が不可能な位置に設けられていることが記載されていると認められる(認定事項1−2)。

・認定事項2
引用文献1の【0287】に、「次に、演出制御基板80における動作を説明する。演出制御基板80では、電源基板から電源電圧の供給を受けると、演出制御用マイクロコンピュータ81が起動し、CPU86が図22のフローチャートに示すような演出制御メイン処理を実行する。・・・」と記載され、【0289】に、「次いで、RAM85の演出制御フラグ設定部に設けられたタイマ割込みフラグを監視して、そのフラグがオンとなったか否かを判定する(ステップSa54)。・・・他方、タイマ割込みの発生によりタイマ割込みフラグがオンとなった場合には(ステップSa54;Yes)、そのフラグをクリアしてオフ状態とした後(ステップSa55)、主基板31から送信された演出制御コマンドを解析するためのコマンド解析処理を実行する(ステップSa56)。」と、【0290】に、「ステップSa56のコマンド解析処理では、まず、受信コマンドバッファをチェックして主基板31から送信された演出制御コマンドの受信があるか否かの判定が行われる。・・・」と、【0291】に、「コマンド解析処理を実行した後には、飾り図柄プロセス処理を実行する(ステップSa57)。この飾り図柄プロセス処理では、変動表示装置9の表示画面にて行われる飾り図柄の可変表示の進行状況並びに操作レバー600の操作に応じて、変動表示装置9の表示出力、スピーカ27L,27R、27a,27bからの音声出力、各種LEDの点灯動作などにより各種の演出動作を実行するための設定が行われる。・・・さらに、・・・音量変更ボタンスイッチ61の操作に応じてスピーカ27L,27R、27a,27bやイアホン端子装着部62からの出力音量を遊技者が変更する図12に示す音量変更処理(ステップSa60)を実行した後、ステップSa54に戻る。」と記載されている。
そして、図22の記載から、「タイマ割込フラグオン?」(ステップSa54)というステップの後に、「コマンド解析処理」(ステップSa56)、「飾り図柄プロセス処理」(ステップSa57)及び「音量変更処理」(ステップSa60)等を経て、ステップSa54に戻ることが看取される。ここで、「タイマ割込フラグオン?」(ステップSa54)というステップは、【0289】に記載の「RAM85の演出制御フラグ設定部に設けられたタイマ割込みフラグを監視して、そのフラグがオンとなったか否かを判定する(ステップSa54)」ステップと同じステップを意味することは明らかであって、図22に示される演出制御メイン処理のフローチャートは、演出制御基板80が、電源基板から電源電圧の供給を受けている間に実行される処理である(【0287】)から、上記「タイマ割込みフラグを監視して、そのフラグがオンとなったか否かを判定する」ステップに続く「音量変更処理」(ステップSa60)は、演出制御基板80が、電源基板から電源電圧の供給を受けている間に、タイマ割込みの発生によりタイマ割込みフラグがオンとなった場合に(ステップSa54;Yes)、繰り返し実行される処理であると認められる。

そうすると、引用文献1には、演出制御基板80では、電源基板から電源電圧の供給を受けると、演出制御用マイクロコンピュータ81が起動し、CPU86が演出制御メイン処理を実行し、演出制御メイン処理は、RAM85の演出制御フラグ設定部に設けられたタイマ割込みフラグを監視して、タイマ割込みの発生によりタイマ割込みフラグがオンとなった場合には(ステップSa54;Yes)、主基板31から送信された演出制御コマンドを解析するためのコマンド解析処理(ステップSa56)及び変動表示装置9の表示画面にて行われる飾り図柄の可変表示の進行状況並びに操作レバー600の操作に応じて、変動表示装置9の表示出力、スピーカ27L,27R、27a,27bからの音声出力、各種LEDの点灯動作などにより各種の演出動作を実行するための設定が行われる飾り図柄プロセス処理(ステップSa57)等を実行してから、音量変更ボタンスイッチ61の操作に応じてスピーカ27L,27R、27a,27bやイアホン端子装着部62からの出力音量を遊技者が変更する音量変更処理(ステップSa60)を実行した後、ステップSa54に戻ることが記載され、これより、
音量変更処理は、演出制御基板80が、電源基板から電源電圧の供給を受けている間に、タイマ割込みの発生によりタイマ割込みフラグがオンとなった場合に、繰り返し実行される処理であることが記載されていると認められる(認定事項2)。

・認定事項3
(ア)引用文献1の【0395】には、「次に、図12〜図14に基づいて、本実施の形態のパチンコ機2において遊技者が音量を変更する流れについて説明する。」と、【0396】には、「遊技者が、スピーカ27L,27R、27a,27bから出力される音量や、イアホン端子装着部62から出力される音量を変更したい場合には、音量変更ボタンスイッチ61を操作すれば良い。」と、【0403】には、「つまり、Sh2〜Sh5の条件である、ユーザー設定がONであり、飾り図柄プロセスフラグの値が”0”であり、保留記憶数が0であり、未解析のコマンドデータが存在しない場合においてのみ、遊技者による音量の変更が許諾される。」と記載されている。
ここで、「ユーザー設定がONであ」ることは、【0399】に、「Sh2のステップにおいては、音量範囲設定部83において、ユーザー設定がオンか否か、つまり、遊技者による音量変更が許諾されているか否かを判定する。」と記載されていることから、音量範囲設定部83において、ユーザー設定がオンとされ、遊技者による音量変更が許諾されている場合を表している。

(イ)また、「飾り図柄プロセスフラグの値が”0”であ」ることは、【0400】に、「Sh3のステップにおいては、飾り図柄プロセスフラグの値が”0”であるか、つまり、変動表示装置9において可変表示や大当り等の演出表示等が実施されていない状態であるか否かを判定する。」と記載されていることから、変動表示装置9において可変表示や大当り等の演出表示等が実施されていない状態であることを表している。

(ウ)「未解析のコマンドデータが存在しない場合」とは、【0402】に、「Sh5のステップにおいては、主基板31から受信した未解析のコマンドデータが、受信コマンドバッファに存在するか否かを判定する。」と記載されるとともに、図12の「音量変更処理」は、上記イより、図22に示された、演出制御用マイクロコンピュータ8が実行する演出制御メイン処理のひとつのステップである「音量変更処理(ステップSa60)」であるから、主基板31から受信した未解析のコマンドデータが、演出制御基板80の受信コマンドバッファに存在しない場合を表している。

(エ)さらに、【0278】には、「コマンド9F00(H)は、客待ちデモンストレーション時の表示を指定する演出制御コマンド(客待ちデモ指定コマンド)である。尚、この客待ちデモ指定コマンドは、本発明の不在条件の成立となる打球操作ハンドル(操作ノブ)5の操作がなされなくなってから所定時間が経過したことに応じて送出され、該客待ちデモ指定コマンドが演出制御基板80に対して送出されたときには、変動表示装置9に所定の客待ちデモ画面が表示されるとともに、図14(c)に示すように、音声出力基板70に対して初期音量(スピーカ、イアホンの双方)が出力されて該初期音量が設定されることで、該客待ちデモ指定コマンドが送出される以前において音声出力基板70に設定されていた音量設定、つまり、該時点の前に遊技していた遊技者により変更された音量設定が消去される。」と記載されている。
ここで、客待ちデモ画面が表示されるのは、「不在条件の成立となる打球操作ハンドル(操作ノブ)5の操作がなされなくなってから所定時間が経過した」ときであり、かつ、「該客待ちデモ指定コマンドが演出制御基板80に対して送出されたとき」である。前者の「不在条件の成立となる打球操作ハンドル(操作ノブ)5の操作がなされなくなってから所定時間が経過した」ときとは、遊技者による遊技がなされず、遊技球が発射されなくなってから所定時間が経過したときと言い換えることができるので、結果的に、上記イの、変動表示装置9において可変表示や大当り等の演出表示等が実施されていない状態である「飾り図柄プロセスフラグの値が”0”であ」る場合に該当し、また、「保留記憶数が0であ」る場合にも該当し、さらに、「該客待ちデモ指定コマンド」が解析されて「客待ちデモ画面が表示され」ているので、「未解析のコマンドデータが存在しない場合」にも該当することとなる。
そうすると、引用文献1においては、客待ちデモ画面が表示されているときは、飾り図柄プロセスフラグの値が”0”であり、保留記憶数が0であり、未解析のコマンドデータが存在しない状態であるといえ、音量範囲設定部83において、ユーザー設定がオンとされていれば、遊技者による音量の変更が許諾されていると認められる。

(オ)上記(ア)〜(エ)の検討を踏まえると、引用文献1には、遊技者が、スピーカ27L,27R、27a,27bから出力される音量や、イアホン端子装着部62から出力される音量を変更したい場合には、音量変更ボタンスイッチ61を操作すれば良く、音量範囲設定部83において、ユーザー設定がオンとされ、遊技者による音量変更が許諾され、変動表示装置9において可変表示や大当り等の演出表示等が実施されていない状態であり、保留記憶数が0であり、主基板31から受信した未解析のコマンドデータが、演出制御基板80の受信コマンドバッファに存在しない場合においてのみ、遊技者による音量の変更が許諾され、客待ちデモ画面が表示されているときにも、遊技者による音量の変更が許諾されていることが記載されていると認められる(認定事項3)。

・認定事項4
【0412】に、「該選択した音量を設定する場合には、音量変更ボタンスイッチ61を操作すれば良い。」と、【0413】に、「この音量設定画面の表示中における音量変更ボタンスイッチ61の操作により、Sh13のステップにおいて設定終了条件が成立したと判断されてSh14のステップに進み、RAM85の所定領域に格納されているイアホン音量或いはスピーカ音量のデータが更新(格納)されるともに、」と、【0415】に、「つまり、遊技者は、音量変更の操作を終えた段階で遊技を開始することで、音量変更ボタンスイッチ61を操作することなく、これら操作により選択された音量が更新記憶されるようになるので、」と記載されるので、引用文献1には、音量設定画面の表示中に音量変更ボタンスイッチ61を操作するか、または、遊技を開始することで、RAM85の所定領域に格納されているスピーカ音量のデータが格納されて選択した音量が設定されることが記載されていると認められる(認定事項4)。

ウ 引用発明
上記アの記載事項及び上記イの認定事項に基づき、引用文献1には次の引用発明が記載されていると認められる(符号a〜fは、本件補正発明の分説A〜Fにおおむね対応させて、当審が付した。)。

引用発明
「a 遊技領域7の外側の左右上部に設けられ、変動表示装置9に表示される画像に対応した演出用の効果音を発する2つのスピーカ27L,27R、及び、遊技領域7の外側の左右下部に設けられ、変動表示装置9に表示される画像に対応した演出用の効果音を発する2つのスピーカ27a,27bと(【0028】、【0286】)、

b 遊技盤6の前面に形成されている遊技領域7の中央付近に設けられ、特別図柄表示器8による特別図柄の変動表示期間中に、装飾用(演出用)の図柄であって、各々を識別可能な複数種類の識別情報としての飾り図柄の変動表示を行うとともに、図柄変動に応じて様々な演出を実行可能であって大当りを発生させる契機となる変動表示において、大当りとなる可能性があることを報知する大当り予告演出が行なわれる場合がある変動表示装置9と(【0017】、【0018】、【0048】、【0321】)、

c 遊技場の関係者(係員)が遊技者による音量の変更を許諾するか否かを設定する部分であり、回転させて外周突起部をONの位置とすることで、音量変更ボタンスイッチ61の操作が有効とされて、遊技者による音量変更が可能とされる一方、該設定回転子83cを回転させて外周突起部をOFFの位置とすることで、音量変更ボタンスイッチ61の操作が無効とされて、遊技者による音量変更が不能とされる設定回転子83cと、
スピーカ27L,27R、27a,27bから出力される音の音量範囲と初期音量を、遊技場の関係者(係員)が設定する部分であり、外周突起部の色が異なる円盤状の3つの回転ボリュームが同軸に積層された構造とされていて、下段の回転ボリュームにより遊技者が変更可能な音量の下限音量を、中段の回転ボリュームにより初期音量を、上段の回転ボリュームにより遊技者が変更可能な音量の上限音量を、それぞれ、個別に、かつ、下限音量以上で、且つ上限音量以下の音量が初期音量として設定できる設定回転子83aとを含む、3つの設定回転子83a、83b、83cが設けられた音量範囲設定部83と(【0110】〜【0113】)、

d スピーカ27aの上部位置に設けられたスピーカ27L,27R,27a,27bから出力される音の音量を変更する際に遊技者が操作する音量変更ボタンスイッチ61と、パチンコ遊技機1の前方に向けて突設されている上皿部3aの下方に揺動自在に軸支され、遊技者は、音量を小さくしたい場合にはパチンコ遊技機1に向かって左方向に操作し、音量を大きくしたい場合にはパチンコ遊技機1に向かって右方向に操作する操作レバー600と(【0015】、【0029】、【0412】、認定事項1−1)、を備えたパチンコ遊技機1において(【0013】)、

c1 パチンコ遊技機1背面側では、変動表示装置9を制御する演出制御用マイクロコンピュータが搭載された演出制御基板80を含む変動表示制御ユニット49が設置され、演出制御基板80上に実装され、変動表示制御ユニット49の表面に露出する音量範囲設定部83は、該パチンコ遊技機1の前面枠101を開放することが可能な遊技場の関係者(係員)のみが、音量範囲設定部83を操作して音量範囲の設定や初期音量の設定を変更可能とされていて、パチンコ遊技機1の営業使用時において、遊技者による操作が不可能な位置に設けられ(認定事項1−2)、

d1 音量変更処理は、演出制御基板80が、電源基板から電源電圧の供給を受けている間に、タイマ割込みの発生によりタイマ割込みフラグがオンとなった場合に、繰り返し実行される処理であって(認定事項2)、
遊技者が、スピーカ27L,27R、27a,27bから出力される音量や、イアホン端子装着部62から出力される音量を変更したい場合には、音量変更ボタンスイッチ61を操作すれば良く、音量範囲設定部83において、ユーザー設定がオンとされ、遊技者による音量変更が許諾され、変動表示装置9において可変表示や大当り等の演出表示等が実施されていない状態であり、保留記憶数が0であり、主基板31から受信した未解析のコマンドデータが、演出制御基板80の受信コマンドバッファに存在しない場合においてのみ、遊技者による音量の変更が許諾され、客待ちデモ画面が表示されているときにも、遊技者による音量の変更が許諾されていて(認定事項3)、

d2、d3、c2、d4 イアホン端子装着部62にイアホンが装着されていない場合には、音量範囲設定部83の設定回転子83aにて設定されている上限音量と下限音量、並びにRAM85の所定領域に格納されている現在において設定されているスピーカ音量(これらスピーカ音量が格納されていないときには、音量範囲設定部83の設定回転子83aにて設定されている初期音量)を特定し、該特定した上限音量と下限音量と、設定されているスピーカ音量とが表示されたスピーカ音量設定画面を変動表示装置9に表示する制御を行い、操作レバー600の操作を有効とし、遊技者は、スピーカ音量設定画面が表示されたことに応じて、操作レバー600を、音量を小さくしたい場合にはパチンコ遊技機1に向かって左方向に操作し、音量を大きくしたい場合にはパチンコ遊技機1に向かって右方向に操作し、レバー操作が上下限音量の範囲内である場合には、操作方向(音量大方向または音量小方向)に所定レベルだけ設定音量表示(黒バー)を移動させる表示制御を実施するとともに、該移動後の音量による所定の調整音をスピーカ27L,27R、27a,27b又はイアホン端子装着部62から出力させる制御を行って、これら操作に応じて出力される調整音の音量を確認して、所望の音量を選択して、該選択した音量を設定する場合には、(【0406】〜【0410】、【0412】、認定事項1−1)、音量設定画面の表示中に音量変更ボタンスイッチ61を操作するか、または、遊技を開始することで、RAM85の所定領域に格納されているスピーカ音量のデータが格納されて選択した音量が設定され(認定事項4)、

e 不在条件の成立となる打球操作ハンドル5の操作がなされなくなってから所定時間が経過したことに応じて送出される客待ちデモ指定コマンドが演出制御基板80に対して送出されたときには、音声出力基板70に対してスピーカの初期音量が出力されて該初期音量が設定されることで、該客待ちデモ指定コマンドが送出される以前において音声出力基板70に設定されていた音量設定、つまり、該時点の前に遊技していた遊技者により変更された音量設定が消去される(【0278】)、

f パチンコ遊技機1(【0013】)。」

(3)対比
分説にしたがい、本件補正発明と引用発明を対比する。
ア 構成Aについて
引用発明の「変動表示装置9に表示される画像に対応した演出用の効果音」、「発する」こと、「スピーカ27L,27R」及び「スピーカ27a,27b」は、それぞれ、本件補正発明の「遊技の進行に応じた演出音」、「出力する」こと、「音出力手段」に相当する。
してみれば、引用発明の構成aは、本件補正発明の構成Aに相当する。

イ 構成Bについて
引用発明の「装飾用(演出用)の図柄であって、各々を識別可能な複数種類の識別情報としての飾り図柄の変動表示を行う」こと、及び、「図柄変動に応じて様々な演出を実行可能であって大当りを発生させる契機となる変動表示において、大当りとなる可能性があることを報知する大当り予告演出が行なわれる」ことは、本件補正発明の「遊技演出を表示」することに相当し、引用発明の「変動表示装置9」は、本件補正発明の「表示手段」に相当する。
してみれば、引用発明の構成bは、本件補正発明の構成Bに相当する。

ウ 構成Cについて
上記アより、引用発明の「スピーカ27L,27R」及び「スピーカ27a,27b」が、本件補正発明の「音出力手段」に相当することに加え、引用発明の「音量」は、「変動表示装置9に表示される画像に対応した演出用の効果音」の「音量」であることは明らかである。
そうすると、引用発明の「スピーカ27L,27R、27a,27bから出力される音の音量範囲と初期音量を、遊技場の関係者(係員)が設定する部分であり、外周突起部の色が異なる円盤状の3つの回転ボリュームが同軸に積層された構造とされていて、下段の回転ボリュームにより遊技者が変更可能な音量の下限音量を、中段の回転ボリュームにより初期音量を、上段の回転ボリュームにより遊技者が変更可能な音量の上限音量を、それぞれ、個別に、かつ、下限音量以上で、且つ上限音量以下の音量が初期音量として設定できる設定回転子83a」「を含む、」「3つの設定回転子83a、83b、83cが設けられた音量範囲設定部83」は、本件補正発明の「演出音の音量レベルを設定可能な設定手段」に相当する。
してみれば、引用発明の構成cは、本件補正発明の構成Cに相当する。

エ 構成D、Fについて
引用発明の構成cにおける「音量範囲設定部83」(本件補正発明の「設定手段」に相当。)に含まれる、「遊技場の関係者(係員)が設定する部分であ」る「外周突起部の色が異なる円盤状の3つの回転ボリュームが同軸に積層された構造とされてい」る「設定回転子83a」のうち、「中段の回転ボリュームにより」設定される「初期音量」、及び、引用発明の構成d2、d3、c2、d4の「音量範囲設定部83の設定回転子83aにて設定されている初期音量」のいずれもが、本件補正発明の「前記設定手段によって設定された演出音の音量レベル」に相当する。
そして、引用発明における「スピーカ27aの上部位置に設けられたスピーカ27L,27R,27a,27bから出力される音の音量を変更する際に遊技者が操作する音量変更ボタンスイッチ61と、パチンコ遊技機1の前方に向けて突設されている上皿部3aの下方に揺動自在に軸支され、操作レバー600を、音量を小さくしたい場合にはパチンコ遊技機1に向かって左方向に操作し、音量を大きくしたい場合にはパチンコ遊技機1に向かって右方向に操作する操作レバー600」は、本件補正発明の演出音の音量レベルを「遊技者が変更可能な遊技者音量変更手段」に相当し、引用発明の「パチンコ遊技機1」は、本件補正発明の「遊技機」に相当する。
そうすると、引用発明において、「音量範囲設定部83」に含まれる、「遊技場の関係者(係員)が設定する部分であ」る「外周突起部の色が異なる円盤状の3つの回転ボリュームが同軸に積層された構造とされてい」る「設定回転子83a」のうち、「中段の回転ボリュームにより」設定される「初期音量」、すなわち、「音量範囲設定部83の設定回転子83aにて設定されている初期音量」を変更するために、「スピーカ27aの上部位置に設けられたスピーカ27L,27R,27a,27bから出力される音の音量を変更する際に遊技者が操作する音量変更ボタンスイッチ61と、パチンコ遊技機1の前方に向けて突設されている上皿部3aの下方に揺動自在に軸支され、操作レバー600を、音量を小さくしたい場合にはパチンコ遊技機1に向かって左方向に操作し、音量を大きくしたい場合にはパチンコ遊技機1に向かって右方向に操作する操作レバー600と」「を備えたパチンコ遊技機1」は、本件補正発明の「前記設定手段によって設定された演出音の音量レベルを遊技者が変更可能な遊技者音量変更手段と、を備えた遊技機」に相当するので、引用発明は、本件補正発明の構成D、Fに相当する構成を備えている。

オ 構成C1について
上記ウより、引用発明の「音量範囲設定部83」は、本件補正発明の「設定手段」に相当し、引用発明の構成c1より、当該「音量範囲設定部83」は、「該パチンコ遊技機1の前面枠101を開放することが可能な遊技場の関係者(係員)のみが、音量範囲設定部83を操作して音量範囲の設定や初期音量の設定を変更可能とされていて、パチンコ遊技機1の営業使用時において、遊技者による操作が不可能な位置に設けられ」ていることは、本件補正発明の「前記設定手段」が、「遊技者が操作することができない箇所に設けられて」いることに相当する。
また、上記エより、引用発明の構成dの、「スピーカ27aの上部位置に設けられた」「音量変更ボタンスイッチ61」、及び、「パチンコ遊技機1の前方に向けて突設されている上皿部3aの下方に揺動自在に軸支され」た「操作レバー600」(本件補正発明における演出音の音量レベルを「遊技者が変更可能な遊技者音量変更手段」に相当。)は、いずれも遊技者が操作するものであるから、「パチンコ遊技機1の営業使用時において、遊技者による操作が不可能な位置に設けられ」ている「音量範囲設定部83」とは、それぞれの設置箇所が、遊技者の操作が可能な位置であるか否かという点で異なっている。
そうすると、遊技者が操作する「音量変更ボタンスイッチ61」及び「操作レバー600」とは異なり、「音量範囲設定部83」が、「該パチンコ機2の前面枠101を開放することが可能な遊技場の関係者(係員)のみが、音量範囲設定部83を操作して音量範囲の設定や初期音量の設定を変更可能とされていて、パチンコ遊技機1の営業使用時において、遊技者による操作が不可能な位置に設けられ」ている引用発明は、本件補正発明の構成C1に相当する構成を備えている。

カ 構成D1について
上記エより、引用発明の「音量変更ボタンスイッチ61」と「操作レバー600」は、本件補正発明の演出音の音量レベルを「遊技者が変更可能な遊技者音量変更手段」に相当することを踏まえると、引用発明において、「遊技者が、スピーカ27L,27R、27a,27bから出力される音量」「を変更したい場合には、音量変更ボタンスイッチ61を操作すれば良く、」「客待ちデモ画面が表示されているときにも、遊技者による音量の変更が許諾されてい」ることは、本件補正発明の「前記遊技者音量変更手段による音量レベルの変更は、客待ち状態中に可能とされて」いることに相当する。
してみれば、引用発明の構成d1は、本件補正発明の構成D1に相当する。

キ 構成D2、D3について
(ア)上記エより、引用発明の「音量変更ボタンスイッチ61」と「操作レバー600」が、本件補正発明の演出音の音量レベルを「遊技者が変更可能な遊技者音量変更手段」に相当する。

(イ)引用発明の構成d2、d3、c2、d4では、「音量範囲設定部83の設定回転子83aにて設定されている上限音量と下限音量、並びにRAM85の所定領域に格納されている現在において設定されているスピーカ音量(これらスピーカ音量が格納されていないときには、音量範囲設定部83の設定回転子83aにて設定されている初期音量)を特定し、該特定した上限音量と下限音量と、設定されているスピーカ音量とが表示されたスピーカ音量設定画面を変動表示装置9に表示する制御を行い、操作レバー600の操作を有効とし、レバー操作が上下限音量の範囲内である場合には、・・・遊技者は、スピーカ音量設定画面が表示されたことに応じて、操作レバー600を、音量を小さくしたい場合にはパチンコ遊技機1に向かって左方向に操作し、音量を大きくしたい場合にはパチンコ遊技機1に向かって右方向に操作し、これら操作に応じて出力される調整音の音量を確認して、所望の音量を選択して、・・・音量設定画面の表示中に音量変更ボタンスイッチ61を操作するか、または、遊技を開始することで、RAM85の所定領域に格納されているスピーカ音量のデータが格納されて選択した音量が設定され」る構成である。
これより、引用発明の構成d2、d3、c2、d4において、「これらスピーカ音量が格納されていないとき」とは、「RAM85の所定領域に格納されている現在において設定されているスピーカ音量」が存在しないとき、すなわち、構成cの、「音量範囲設定部83」に設けられた「設定回転子83a」の「中段の回転ボリュームにより」「スピーカ27L,27R、27a,27bから出力される音の」「初期音量を」、「遊技場の関係者(係員)が設定」した後、構成dの、「遊技者」の「操作レバー600」の操作による「所望の音量」が「選択」されることなく、「初期音量」のままであるときか、あるいは、構成eの「客待ちデモ指定コマンドが演出制御基板80に対して送出されたときには、音声出力基板70に対してスピーカの初期音量が出力されて該初期音量が設定され」たときを含んでいる。

(ウ)そして、引用発明の構成d2、d3、c2、d4の「遊技者は、スピーカ音量設定画面が表示されたことに応じて、操作レバー600を、音量を小さくしたい場合にはパチンコ遊技機1に向かって左方向に操作し、音量を大きくしたい場合にはパチンコ遊技機1に向かって右方向に操作し、」「所望の音量を選択」することは、本件補正発明の構成D2の「音量レベルが変更される」ことに相当し、上記アより、引用発明の「スピーカ27L,27R」及び「スピーカ27a,27b」が、本件補正発明の「音出力手段」に相当するから、引用発明において、「これら操作に応じて」「スピーカ27L,27R」及び「スピーカ27a,27b」から「確認音」が「出力される」ことは、本件補正発明の構成D2の「変更された音量レベルで確認音が前記音出力手段から出力される」ことに相当する。

(エ)加えて、引用発明の構成d2、d3、c2、d4において、「遊技者は、スピーカ音量設定画面が表示されたことに応じて、操作レバー600を、音量を小さくしたい場合にはパチンコ遊技機1に向かって左方向に操作し、音量を大きくしたい場合にはパチンコ遊技機1に向かって右方向に操作し、」「所望の音量を選択」するとき(本件補正発明の「音量レベルが変更される」ことに相当。)に、「上限音量と下限音量と、設定されているスピーカ音量とが表示されたスピーカ音量設定画面を変動表示装置9に表示する」ことは、本件補正発明の構成D3の「変更されえる音量レベルが視覚的に認識可能となるように音量レベルに応じた表示がレベル表示として表示された状態において実行可能とされている」ことに相当する。

(オ)してみれば、引用発明は、本件補正発明の構成D2、D3に相当する構成を備えている。

ク 構成C2について
上記キ(イ)の検討より、引用発明において、「初期音量を」、「遊技場の関係者(係員)が設定」した後、「遊技者」の「操作レバー600」の操作による「所望の音量」が「選択」されることなく、「初期音量」のままであるときには、「RAM85の所定領域に格納されている現在において設定されているスピーカ音量」が存在せず、「音量範囲設定部83の設定回転子83aにて設定されている初期音量」が「特定」され、当該「特定」された「初期音量」が、「変動表示装置9」の「スピーカ音量設定画面」に表示されることは、本件補正発明の「前記設定手段によって設定された音量レベルが前記遊技者音量変更手段によって変更がされていない状態において、前記遊技者音量変更手段による音量レベルの変更を開始した場合に表示される前記レベル表示は、前記設定手段によって設定された音量レベルに応じた表示がされ」ることに相当する。
してみれば、引用発明は、本件補正発明の構成C2に相当する構成を備えている。

ケ 構成D4について
(ア)引用発明の構成d2、d3、c2、d4において、「遊技者は、スピーカ音量設定画面が表示されたことに応じて、操作レバー600を、音量を小さくしたい場合にはパチンコ遊技機1に向かって左方向に操作し、音量を大きくしたい場合にはパチンコ遊技機1に向かって右方向に操作し、」「所望の音量を選択して、」「音量設定画面の表示中に音量変更ボタンスイッチ61を操作するか、または、遊技を開始することで、RAM85の所定領域に格納されているスピーカ音量のデータが格納されて選択した音量が設定され」ることは、本件補正発明の「前記遊技者音量変更手段によって音量レベルの変更がなされた状態」であることに相当する。

(イ)また、上記エより、引用発明の「音量変更ボタンスイッチ61」と「操作レバー600」が、本件補正発明の演出音の音量レベルを「遊技者が変更可能な遊技者音量変更手段」に相当する。ここで、引用発明の構成d1において、「遊技者が、スピーカ27L,27R、27a,27bから出力される音量」「を変更したい場合には、音量変更ボタンスイッチ61を操作すれば良」いところ、「遊技者が」、本件補正発明の「遊技者が変更可能な遊技者音量変更手段」に相当する手段の一部をなす「音量変更ボタンスイッチ61を操作」して、同構成d2、d3、c2、d4における「操作レバー600の操作を有効と」することは、本件補正発明の「前記遊技者音量変更手段によって音量レベルの変更を開始した場合」に相当する。

(ウ)加えて、引用発明の構成d2、d3、c2、d4において、「操作レバー600の操作を有効と」するに際し、「変動表示装置9に表示する制御」が行われる「スピーカ音量設定画面」では、「設定されているスピーカ音量」が表示されるところ、当該「設定されているスピーカ音量」について、「RAM85の所定領域に格納されている現在において設定されているスピーカ音量」が特定される一方、当該「現在において設定されているスピーカ音量」が「格納されていないときには、音量範囲設定部83の設定回転子83aにて設定されている初期音量」が特定されている。
ここで、上記(ア)より、引用発明において、「音量設定画面の表示中に音量変更ボタンスイッチ61を操作するか、または、遊技を開始することで、RAM85の所定領域に格納されているスピーカ音量のデータが格納されて選択した音量が設定され」ることが、本件補正発明の「前記遊技者音量変更手段によって音量レベルの変更がなされた状態」であることに相当する。
また、引用発明の構成d2、d3、c2、d4において、当該「現在において設定されているスピーカ音量」が「格納されていないときには、音量範囲設定部83の設定回転子83aにて設定されている初期音量」が特定されることは、換言すると、「現在において設定されているスピーカ音量」が格納されているときには、「初期音量」が特定されることはなく、「設定されているスピーカ音量」として、「初期音量」が「スピーカ音量設定画面」に表示されないものと認められるので、引用発明は、本件補正発明の構成D4の「前記設定手段による設定が表示されること」がないことに相当する構成を備えているといえる。

(エ)上記(ア)〜(ウ)より、引用発明において、「遊技者は、スピーカ音量設定画面が表示されたことに応じて、操作レバー600を、音量を小さくしたい場合にはパチンコ遊技機1に向かって左方向に操作し、音量を大きくしたい場合にはパチンコ遊技機1に向かって右方向に操作し、」「所望の音量を選択して、」「音量設定画面の表示中に音量変更ボタンスイッチ61を操作するか、または、遊技を開始することで、RAM85の所定領域に格納されているスピーカ音量のデータが格納されて選択した音量が設定され」てから更に、「遊技者が、スピーカ27L,27R、27a,27bから出力される音量」「を変更したい場合には、音量変更ボタンスイッチ61を操作すれば良」く、「遊技者による音量の変更が許諾され」ていれば、「操作レバー600の操作を有効と」する際に、「音量設定画面の表示中に音量変更ボタンスイッチ61を操作するか、または、遊技を開始することで、RAM85の所定領域に格納されているスピーカ音量のデータが格納されて選択した音量が設定され」ていれば、「RAM85の所定領域に格納されている現在において設定されているスピーカ音量」が特定され、「設定されているスピーカ音量」「が表示されたスピーカ音量設定画面を変動表示装置9に表示する制御を行」うことは、本件補正発明において、「前記遊技者音量変更手段によって音量レベルの変更がなされた状態において、前記遊技者音量変更手段によって音量レベルの変更を開始した場合に表示される前記レベル表示は、前記設定手段による設定が表示されることなく、前記遊技者音量変更手段によって変更されている音量レベルに応じた表示がされ」ることに相当する。

(オ)してみれば、引用発明は、本件補正発明の構成D4に相当する構成を備えている。

コ 構成Eについて
引用発明の「不在条件の成立となる打球操作ハンドル5の操作がなされなくなってから所定時間が経過したことに応じて送出される客待ちデモ指定コマンドが演出制御基板80に対して送出されたとき」は、本件補正発明の「初期化条件が成立したとき」に相当し、引用発明の「該客待ちデモ指定コマンドが送出される以前において音声出力基板70に設定されていた音量設定、つまり、該時点の前に遊技していた遊技者により変更された音量設定が消去され」て、「音声出力基板70に対してスピーカの初期音量が出力されて該初期音量が設定される」ことは、本件補正発明の「前記遊技者音量変更手段によって変更されている音量レベルを前記設定手段によって設定されていた音量レベルに再設定する」ことに相当し、引用発明の「演出制御基板80」は、本件補正発明の「演出音再設定手段」に相当する。
してみれば、引用発明の構成eは、本件補正発明の構成Eに相当する。

(4)当審の判断
上記(3)によれば、本件補正発明と引用発明は、
「A 遊技の進行に応じた演出音を出力する音出力手段と、
B 遊技演出を表示可能な表示手段と、
C 前記音出力手段から出力される演出音の音量レベルを設定可能な設定手段と、
D 前記設定手段によって設定された演出音の音量レベルを遊技者が変更可能な遊技者音量変更手段と、を備えた遊技機において、
C1 前記設定手段は、前記遊技者音量変更手段と異なり遊技者が操作することができない箇所に設けられており、
D1 前記遊技者音量変更手段による音量レベルの変更は、客待ち状態中に可能とされており、
D2 前記遊技者音量変更手段によって前記設定手段にて設定されていた音量レベルが変更されると、変更された音量レベルで確認音が前記音出力手段から出力されるとともに、
D3 前記遊技者音量変更手段による音量レベルの変更は、変更されえる音量レベルが視覚的に認識可能となるように音量レベルに応じた表示がレベル表示として表示された状態において実行可能とされているとともに、音量レベルに応じて表示されている前記レベル表示を変更すると前記レベル表示の変更に伴い前記確認音が変更された前記レベル表示に応じた音量レベルで出力され、
C2 前記設定手段によって設定された音量レベルが前記遊技者音量変更手段によって変更がされていない状態において、前記遊技者音量変更手段による音量レベルの変更を開始した場合に表示される前記レベル表示は、前記設定手段によって設定された音量レベルに応じた表示がされ、
D4 前記遊技者音量変更手段によって音量レベルの変更がなされた状態において、前記遊技者音量変更手段によって音量レベルの変更を開始した場合に表示される前記レベル表示は、前記設定手段による設定が表示されることなく、前記遊技者音量変更手段によって変更されている音量レベルに応じた表示がされ、
E 初期化条件が成立したときに前記遊技者音量変更手段によって変更されている音量レベルを前記設定手段によって設定されていた音量レベルに再設定する演出音再設定手段を有している
F 遊技機。」
の点で一致し、相違するところはない。
してみれば、本件補正発明は、引用発明である。

(5)まとめ
したがって、本件補正発明は、引用発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許出願の際独立して特許を受けることができない。

4 むすび
上記3において検討したことからみて、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。


第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、令和2年8月7日付け手続補正書により補正された、上記「第2の1」「(補正前:令和2年8月7日付け手続補正書でした手続補正)」に示した特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりのものである。

2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、概略、次の理由を含んでいる。
新規性)この出願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
<引用文献>
1. 特開2011−200511号公報

3 引用文献1に記載の事項
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1の記載事項は、上記「第2の3(2)」に記載したとおりである。

4 対比・判断
本願発明は、上記「第2の2(1)」において検討したとおり、本件補正発明において、
発明を特定するために必要な事項である「設定手段」について、「前記設定手段は、前記遊技者音量変更手段と異なり遊技者が操作することができない箇所に設けられて」いるという限定を省くとともに、
発明を特定するために必要な事項である「遊技者音量変更手段」による音量レベルの変更について、「前記遊技者音量変更手段によって音量レベルの変更がなされた状態において、前記遊技者音量変更手段によって音量レベルの変更を開始した場合に表示される前記レベル表示は、前記設定手段による設定が表示されることなく、前記遊技者音量変更手段によって変更されている音量レベルに応じた表示がされ、」という限定を省き、さらに、同「遊技者音量変更手段」により変更された音量レベルについて、「初期化条件が成立したときに前記遊技者音量変更手段によって変更されている音量レベルを前記設定手段によって設定されていた音量レベルに再設定する演出音再設定手段を有している」という限定を省いたものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに、「設定手段」、「遊技者音量変更手段」による音量レベルの変更、及び、「遊技者音量変更手段」により変更された音量について、より限定されたものである本件補正発明が、上記「第2の3(4)」において記載したとおり、引用発明と相違するところがないから、上記の限定を省いた本願発明と引用発明とは、相違するところはない。

5 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないので、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
別掲 (行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。
 
審理終結日 2022-04-12 
結審通知日 2022-04-13 
審決日 2022-04-26 
出願番号 P2019-140598
審決分類 P 1 8・ 113- Z (A63F)
P 1 8・ 575- Z (A63F)
最終処分 02   不成立
特許庁審判長 石井 哲
特許庁審判官 ▲吉▼川 康史
澤田 真治
発明の名称 遊技機  
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