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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H01B
管理番号 1386003
総通号数
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2022-07-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-08-16 
確定日 2022-07-12 
事件の表示 特願2018−196861「キャブタイヤケーブルおよびキャブタイヤケーブルの製造方法」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年 4月23日出願公開、特開2020− 64789、請求項の数(1)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成30年10月18日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和元年 7月30日付け 拒絶理由通知書
令和元年11月20日 意見書、手続補正書の提出
令和2年 4月 2日付け 拒絶理由通知書
令和2年11月16日付け 拒絶査定
令和3年 8月16日 審判請求書の提出
令和3年 8月18日 手続補正書の提出
令和4年 2月24日付け 拒絶理由通知書(以下、この拒絶理由通知書
の拒絶理由を「当審拒絶理由」という。)
令和4年 3月31日 意見書、手続補正書の提出

第2 原査定の概要
原査定(令和2年11月16日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

この出願の請求項1ないし4に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の引用文献に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

<引用文献等一覧>
1.特開平11−7837号公報
2.特開昭62−190241号公報
3.特開2000−34375号公報
4.特開2015−17161号公報
5.特開平1−135850号公報
6.特開2010−126668号公報

第3 当審拒絶理由の概要
当審拒絶理由の概要は次のとおりである。

この出願の請求項1ないし3に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の引用文献に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

<拒絶の理由を発見しない請求項>
請求項4に係る発明については,現時点では,拒絶の理由を発見しない。拒絶の理由が新たに発見された場合には拒絶の理由が通知される。

<引用文献一覧>
A 特開平11− 7837号公報(原査定の引用文献1)
B 特開2000−34375号公報(原査定の引用文献3)
C 特開2011−192641号公報
D 特開2015−17161号公報(原査定の引用文献4)

第4 本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、令和4年3月31日にされた手続補正の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるものであり、本願発明は以下のとおりの発明である。

「少なくとも1本の線心と、前記線心を被覆する、ブレンドゴムで形成されたシースと、を備えるキャブタイヤケーブルの製造方法であって、
天然ゴムと、エチレンプロピレンゴムおよびニトリルゴムのカーボンマスターバッチと、スチレンブタジエンゴムのカーボンマスターバッチと、加硫剤および加硫促進剤と、をミキサーに入れて混合することにより、前記シースを形成するブレンドゴムを製造する
ことを特徴とするキャブタイヤケーブルの製造方法。」

第5 引用文献、引用発明等
1 引用文献1について
原査定及び当審拒絶理由の拒絶の理由に引用された上記引用文献1(引用文献A)には、図面とともに次の事項が記載されている。

「【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は化粧被覆を有するケーブルに関する。さらに詳しくは、表面に木目状の模様を有する化粧被覆を有するケーブルに関する。本明細書にいう「ケーブル」とは、社団法人日本電線工業会の電線の分類のうち、「被覆線」、「機器用電線」、「通信用電線・ケーブル」に属するものを意味する。特に被覆線のなかでも軟質の塩化ビニル樹脂で絶縁したビニル絶縁電線、ビニル絶縁ビニルシースケーブル、ビニル絶縁ビニルシース平形ケーブル、その他の屋内用電線、プラスチックキャブタイヤケーブル、平形導体合成樹脂絶縁電線などに適用される。また屋内で使用する通信用電線、例えば電話線、コンピューター用電線、家電用品の引出し線なども包含するものとする。」

「【0006】本発明の化粧被覆を有するケーブルの製造法は、導線に軟質の高分子材料製の絶縁被覆を施したのち、ただちに木質系粉体を含有する高分子化合物を押出し成形して半硬質の化粧被覆を形成することを特徴としている。導線が複数本の場合は、複数本の導線の外周に軟質の高分子化合物製の全体の絶縁被覆を押出し成形して1本にし、引き続きその外周に木質系粉体を含有する高分子化合物を押出し成形して半硬質の化粧被覆を設ける。各導線にはあらかじめ個別の絶縁被覆を設けていてもよい。絶縁被覆の高分子材料と化粧被覆の高分子材料は、同系統の合成樹脂またはゴムとするのが好ましい。
【0007】木質系粉体および顔料を含有する高分子材料としては、すでに幾つかの技術が公開されている。すなわち特公昭63−67489号及び特公昭62−41612号には、ポリ塩化ビニルと木質系粉体の組成物が開示されている。さらに特開平6−41316号、特開平6−254936号には、木材、バカス、稲わらなど、セルロース系材料の微粉末と、酸化チタン、リトポン、ホワイトカーボン、炭酸カルシュームなどの顔料とを樹脂に混合し、押出し成形することが示されている。しかし、これらの技術は、いずれも硬質の樹脂材料ないし成形品に関するものである。本発明はこれらの硬質ないし半硬質の材料を柔軟性ないし屈曲性に富むケーブルへ被覆する点に特徴がある。前述の公知文献の材料は、いずれも本発明の化粧被覆を有するケーブルにおける化粧被覆の材料として採用することができる。
【0008】
【作用】可撓性を有する導線の外周に軟質高分子化合物製の絶縁被覆を押出し成形したもの、すなわち化粧被覆を設ける前の状態は、従来のケーブルと実質的に同じであり、そのため同等の絶縁性能および可撓性を有する。またその外周に木質系粉体および顔料を含有する半硬質高分子化合物を押出し成形して薄い化粧被覆を設けたケーブルは、それ以上の絶縁性を有し、ほぼ同等の可撓性を備えている。なお化粧被覆自体は、可撓性が低いが、その下地が弾力性を有し、化粧被覆が薄いので、ケーブル全体としては充分な可撓性を有し、ある程度の曲率半径で曲げることもでき、耐屈曲性もある。
【0009】木質系微粉体は、一般の添加剤として用いられる微粉体と同様に高分子材料に添加すると補強効果を示す。添加量が増すと補強効果は増大し、硬度は増加する。添加量を減ずれば硬度は低くなるが、木質系微粉体を添加する本来の効果が失われる。
【0010】本発明のケーブルでは、柔軟性を必要とするので、被覆用高分子材料の硬度は、低いほど良い。しかるに木質系微粉体を含有する高分子材料の硬度は通常の電線被覆材料に比べ前記の理由で高いものになり、一般には被覆加工が難しい。そのため被覆の厚みを0.1ないし2.0mmにするのが好ましく、それにより被覆の形成が良好になり、且つ被覆されたケーブルも柔軟性が保たれる。
【0011】木目模様の化粧被覆が形成される過程は複雑である。粘性が低く、硬度の低い軟質の材料では木粉を多量に添加しても木目模様は再現し難い。何となれば、低粘度且つ低硬度の樹脂コンパウンドは押出機のスクリュー中で混練りされやすく、顔料、木粉が均一に混合され、顔料が押出し方向に伸びた線ないし縞などが形成され難い。逆に硬度が高く粘度が高いとスクリュー中での混練り効果を受け難くなり、押出し品の表面に木目調の模様を形成しやすくなる。しかし硬度が高く粘度が高い材料では本発明のケーブルのような柔軟性のある長尺の物品の表面には被覆しても脆く割れ易い被覆しか得られない。
【0012】被覆する材料の常温における硬度は、ショアA硬度で80〜95とするのが好ましく、その場合は被覆の形成が容易になり、表面に木目調の模様が形成される。
【0013】本発明の化粧被覆を有するケーブルを製造するには、一般に電線被覆に用いられる一軸の押出機が好適に用いられる。シリンダーの長さと径の比であるL/Dは20〜25、シリンダー径は40〜90mmが用いられる。押出しの温度は半硬質の塩ビ樹脂コンパウンドの場合で、シリンダーの温度100〜140℃、ヘッドの温度110〜150℃、ダイス温度10〜150℃での範囲が好ましい。被覆厚みと被覆速度から使用する押出機の大きさ(突出量)が決められる。スクリュー形状は混練り作用の大きくないものが好ましい。スクリュー中での混練り作用が大きいと顔料が均一に分散され、木目模様特有の顔料の線状、縞状ないし筋状の模様が発現しにくくなる。」

「【0014】
【発明の実施の形態】つぎに図面を参照しながら本発明の化粧被覆を有するケーブルの実施の形態を説明する。なお以下の実施形態では塩ビ被覆電線について行なった具体例を示すが、本発明はこれに限られるものではない。図1は本発明のケーブルの一実施形態を示す部分斜視図、図2〜6はそれぞれ本発明のケーブルの他の実施形態を示す断面図、図7は本発明のケーブルの表面模様の一実施形態を示す側面図、図8は本発明の製造法の一実施形態を示す平面図である。
【0015】図1に示すケーブルAは、2本の被覆コード1、1と、それらの被覆コード1を纏めて被覆する断面円形の絶縁被覆(以下、全体被覆という)2と、その全体被覆の表面に設けられる化粧被覆3とからなる。被覆コード1は、たとえば複数本の銅撚り線などからなる導体4と、その表面に押出し成形により被覆された絶縁被覆(以下、個別被覆という)5とから構成されている。個別被覆5の材料としては、軟質ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、軟質のポリウレタンなどの合成樹脂、あるいは天然ゴムまたはクロロプレンゴム、エチレンプロピレンゴムなどの合成ゴムがあげられる。
【0016】前記全体被覆2は、シースあるいはキャブタイヤと呼ばれており、被覆コード1を保護している。全体被覆2は適度な柔軟性ないし弾力性を備えている。全体被覆2の材料は、必要とされる絶縁性、耐油性、耐侯性、耐震性に応じて選択されるが、天然ゴムまたはクロロプレンゴム、エチレンプロピレンゴムなどの合成ゴム、あるいは軟質ポリ塩化ビニル、ポリエチレンなどの軟質合成樹脂、あるいはそれらの混合物を押出し成形したものである。個別被覆5および全体被覆2の材料および厚さは、ケーブルの絶縁電圧など、電気特性により定めるが、基本的に従来のケーブルと同じでよい。すなわち被覆コード1および全体被覆2は従来のケーブルと実質的に同じものであり、全体被覆2の表面に設けられる化粧被覆3がケーブルAの特徴部である。なお、各導体4間に充分な間隔を開ける場合、たとえば平形電線などの場合は、個別被覆5を設けずに、直接2本の導体4の周囲に全体被覆2を設けるようにしてもよい。その場合は導体4が請求項1にいう導線となる。」

「【0027】図8は上記ケーブルを製造する方法の一実施例を示している。この例では、2台の押出機17、18を並べ、それぞれにTダイ19、20を設けている。そして1本ないし複数本の被覆コード1を初めのTダイ18に通してその周囲に絶縁被覆を形成し、さらにそれにより得られた半製品(通常のケーブル)21を2台目の押出機18のTダイ20に通して化粧被覆を設け、それを冷却して最終製品(本発明のケーブル)22が完成する。
【0028】上記のように連続して押出し成形すると、1回目の押出し成形の直後で半製品20がまだ冷えないうちに、その周囲に化粧被覆を設けることができるので、両者の接合強度が向上する。この場合、絶縁被覆と化粧被覆の基材とを同じ系統、とくに同一の合成樹脂ないしゴムとするときは、一層接合強度が向上するので、好ましい。」

したがって、上記引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「2本の被覆コード1と、
それらの被覆コード1を纏めて被覆する断面円形の絶縁被覆2と、を備え、
前記全体被覆2は、シースあるいはキャブタイヤと呼ばれており、
全体被覆2の材料は、天然ゴムおよびエチレンプロピレンゴムなどの混合物を押出し成形したものである、
ケーブルAの製造方法。」

2 引用文献2について
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献2には、次の事項が記載されている。

「産業上の利用分野
本発明は、耐油性が改良されたエチレン−プロピレン共重合体系の耐熱耐油性ゴム組成物に関するものである。
従来の技術及び問題点
エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体は良好な電気特性と可とう性を有しかつ、耐熱性にも優れるので高温環境下に使用されるモータ用リード線、自動車のエンジン周囲部品、特に電線などの被覆材としての使用が期待されている。
しかしながら、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体は耐油性に劣り、上記部材等のように油が関与する環境下では実用に耐えないという問題点を有していた。」(第1頁左下欄13行ないし右下欄7行)

「発明の構成要素の例示
本発明において好ましく用いうるエチレン−プロピレン共重合体はエチレン/プロピレンの重量比が55/45〜70/30のものであり、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体はそのジエン成分がエチリデンノルボーネン、ジシクロペンタジエン、1.4−ヘキサジエンなどの環状又は鎖状の非共役ジエンであって、かつ10〜24のヨウ素価を有するものである。もちろんこれらに限定するものでない。本発明において、エチレン−プロピレン共重合体又はエチレン−プロピレン−ジエン共重合体は単独で用いてもよいし、併用してもよい。
なお、本発明の組成物においては、有機過酸化物等の架橋剤を用いて最終的に架橋物とする場合にはエラストマーの状態にあるエチレン−プロピレン共重合体又はエチレン−プロピレン−ジエン共重合体が組成物の調製、架橋処理などの点より好ましく用いられる。
本発明において用いられるフッ素ゴムとしては例えば含フッ素アクリル酸エステル重合体、フッ化ビニリデン共重合体、含フッ素ケイ素ゴム、含フッ素ジエン共重合体、含フッ素ポリエステルゴムなどを代表例としてあげることができ、就中四フッ化エチレン・プロピレン共重合体が好ましく用いられる。100℃におけるムーニー粘度が30〜150の四フッ化エチレン・プロピレン共重合体が特に好ましく用いられる。
本発明において用いられる水添アクリロニトリルゴムとしては例えば「ゼットポール1020」、「ゼットポール2010」、「ゼットポール2020」(いずれも商品名;日本ゼオン社製)などをあげることができる。
本発明の組成物においてフッ素ゴム又は水添アクリロニトリルゴムは単独で用いてもよいし、併用してもよい。その配合量はエチレン−プロピレン共重合体又は/及びエチレン−プロピレン−ジエン共重合体100重量部あたりフッ素ゴム又は/及び水添アクリロニトリルゴム10〜100重量部、就中20〜80重量部が適当である。その配合量が10重量部未満であると耐油性の向上度に乏しいし、100重量部を超えると得られる組成物が押出加工性あるいは電気特性に劣り、また耐油性の向上に対する寄与度が小さくなって経済上好ましくない。
本発明の組成物には有機過酸化物等の架橋剤、アリル化合物、イオウ、マレイミド、オキシム類等の架橋助剤、ミストロンベーパタルク、硫酸バリウム、焼成クレー、焼成シリカ、炭酸カルシウム、硫化亜鉛、酸化亜鉛のような亜鉛化合物等の充填剤、水和アルミナ、水和マグネシウム、炭酸マグネシウム、三酸化アンチモン、赤リン(例えばノーパレット120:商品名;燐化学社製)、MoO3、ZnMoO4、CaO・ZnMoO4のようなモリブデン化合物、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウムのようなホウ酸化合物等の難燃剤、ステアリン酸、ステアリン酸ソーダ等の滑剤、酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等の受酸剤、イミダゾール類、ケトン−アミン縮合物類、フェノール類等の老化防止剤、酸化チタン、フタロシアニンブルー等の顔料などで代表される、公知の配合剤などが添加されてもよい。就中、硫化亜鉛、酸化亜鉛のような亜鉛化合物、焼成シリカ、硫酸バリウム、水和アルミナ、水和マグネシウム、三酸化アンチモン、イミダゾール類、ケトン−アミン縮合物類を適宜に組み合わせて配合した本発明の組成物は耐熱性、耐油性、難燃性の点で特に好ましい。
本発明の組成物は、例えば油が関与する高温雰囲気下で使用される電線における絶縁被覆材、自動車のエンジン周囲に配備される部品の被覆材などとして好適に用いることができる。
発明の効果
本発明によれば特殊なフッ素ゴム又は/及び水添アクリロニトリルゴムを添加したので、エチレン−プロピレン共重合体又は/及びエチレン−プロピレン−ジエン共重合体をベースとする耐油性及び耐熱性に優れ、かつ、実用上満足できる電気特性、可とう性をも兼備する耐熱耐油性ゴム組成物を得ることができる。」(第2頁左上欄9行ないし第3頁左上欄6行)

3 引用文献3について
原査定及び当審拒絶理由の拒絶の理由に引用された上記引用文献3(引用文献B)には、図面とともに次の事項が記載されている。

「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は耐オゾン性に優れ、配合剤のブルーミングがなく、適度な硬度と優れた機械的強度を有する架橋ゴム組成物に関し、詳しくは、成形して電気部品、電線被覆、パッキン、シール用ガスケット、防水シート、ホース、OA機器のゴム部品、静電気式複写機,レーザープリンター,及びファクシミリ等の画像形成装置の紙送りローラに好適に使用されるようにするものである。」

「【0028】EPDMゴムを主成分とするゴム中のEPDMゴム以外の他のゴムとしては、例えば、ブチルゴム、ブタジエンゴム(BR)、イソプレンゴム、スチレンブタジエンゴム(SBR)、クロロプレンゴム(CR)、天然ゴム(NR)、クロロスルホン化ポリエチレンゴム(CSM)、エピクロヒドリン−エチレンオキシド共重合ゴム(CIIC)、エピクロヒドリン単独重合ゴム(CHR)、ニトリルゴム(NBR)の水素化物、塩素化ポリエチレン、ウレタンゴム、シリコン−エチレンプロピレン混合ゴム、1,2−ポリブタジエン、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、エチレンプロピレンゴム(EPM)、アクリルゴム、及びクロロスルフォン化ポリエチエンから選ばれる1種又は2種以上を用いることができる。」

4 引用文献4について
原査定及び当審拒絶理由の拒絶の理由に引用された上記引用文献4(引用文献D)には、図面とともに次の事項が記載されている。

「【技術分野】
【0001】
本発明は、エラストマー組成物、並びにこれを用いた絶縁電線及び絶縁ケーブルに関し、さらに詳しくは、特に、EPゴム絶縁クロロプレンゴムシースキャブタイヤケーブル(PNCT)用として好適なエラストマー組成物、並びにこれを用いた絶縁電線及び絶縁ケーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
エチレン−プロピレンゴム(EPゴム)は、体積固有抵抗が高いことから、電線及びケーブルの絶縁被覆材料として利用されている。例えば、EPゴム絶縁クロロプレンゴムシースキャブタイヤケーブル(PNCT)等を挙げることができる。絶縁層材料として用いられる場合、その構成は、EPゴム、架橋剤、老化防止剤等に加えて、充填剤により構成される。充填剤としては、例えば、クレー、タルク、炭酸カルシウム等を用いることができるが、可とう性、電気絶縁性等を考慮するとタルクを用いることが好ましい(例えば、特許文献1参照)。」

5 引用文献5について
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献5には、次の事項が記載されている。

「[産業上の利用分野]
本発明は、エチレン−プロピレン−ジオレフィン共重合体ゴム(以下EPDMゴムという。)を主成分とし、耐候性や耐熱性とともに耐亀裂成長性や耐摩耗性等にも優れるゴム組成物及びゴム組成物の製造方法に関するものである。」(第2頁左下欄14行ないし19行)

「本発明のゴム組成物の製造方法において、予めEPDMゴム100重量部当たり、10〜100重量部の前記無機充てん剤を配合しておくとは、EPDM重合後、無機充てん剤を添加したのち脱溶媒、乾燥する、いわゆるウェット・マスターバッチてもよいが、予め、EPDMゴムにバンバリーミキサ−等の混練機により無機充てん剤を練り込むことか好ましい。」(第4頁右下欄18行ないし第5頁左上欄5行)

6 引用文献6について
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献6には、図面とともに次の事項が記載されている。

「【技術分野】
【0001】
本発明は、未架橋ゴム組成物の製造方法および架橋ゴム成形品に関する。さらに詳しくは、本発明は、液状ポリマーにフィラーを高充填することでミラブル化したマスターバッチを予め調製することによって加工性や分散性を改良できる未架橋ゴム組成物の製造方法および該未架橋ゴム組成物を成形および架橋してなる架橋ゴム成形品に関する。」

「【0048】
<マスターバッチ>
本発明に用いられる「マスターバッチ」とは、配合の経済性、配合剤のミラブル化または分散、均一性の向上、射出/押し出し成形、計量の容易性等を改善することを目的とし、最終成形材料である未架橋ゴム組成物に対する予備的混合物をいう。
【0049】
より具体的に、「フィラーのマスターバッチ」とは、上記「液状ポリマー」100重量部に対して、上記「フィラー」:5〜250重量部を含む未架橋ゴム組成物を製造するに際して、予め、該液状ポリマーの一部と該フィラーの全量とを、重量比(液状ポリマー/フィラー)で60/40〜20/80(合計100重量%)、好ましくは50/50〜20/80、より好ましくは40/60〜30/70となるように含むものが望ましい。
【0050】
マスターバッチに含まれるフィラーが上記範囲外であると、材料排出性やロール加工性が劣る場合があり、またフィラーの含有量が多くなり過ぎると材料がまとまらず混練性に劣る場合がある。
【0051】
ミラブル化したマスターバッチをプラネタリミキサーや3本ロールミルなどで液状ポリマーと混合すれば、液状化することが可能である。これによりプラネタリミキサーや3本ロールミルのみで混練するよりもフィラーの分散性が向上し、物性が改良される。マスターバッチを液状化する際の混練機には、例えば、3本ロールミル、プラネタリミキサー、プレスミキサーなどの一般的な混練機を用いることができる。
【0052】
このような「フィラーのマスターバッチ」の、ムーニー粘度〔ML〕(125℃,1+4)は、フィラーの分散性の観点から、5〜100が好ましく、10〜80がより好ましい。
【0053】
<配合剤>
本発明の製造方法により得られる未架橋ゴム組成物に含まれる配合剤として、老化防止剤、触媒、反応抑制剤、架橋剤、加工助剤、有機過酸化物および架橋助剤からなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、この他に、無機充填剤、軟化材(可塑化剤)、加硫剤、加硫促進剤、加硫促進助剤、加硫遅延剤、粘着剤、発泡剤、発泡助剤、ヤケ防止剤、着色剤などを、本発明の目的を損なわない範囲において配合してもよい。」

「【0102】
<混練>
まず、上記フィラー(好ましくはカーボンブラック)と上記液状ポリマーとをニーダーやオープンロールにより25〜120℃×5〜30分間混練することにより、充分な分散性を有し、ニーダー排出性・ロール加工性に優れるフィラーのマスターバッチが得られる。なお、上記フィラーのマスターバッチは、プラネタリミキサーや3本ロールミルで混練するとトルクが掛かり過ぎ、ブレードが回転しないなどの問題を生じるため、ニーダーやオープンロール、プレスミキサーなどで混練することが好ましい。
【0103】
次いで、得られたフィラーのマスターバッチと上記液状ポリマーとを混練する際には、プラネタリミキサーや3本ロールを用いて、10〜100rpm×10〜100℃×5〜120分間の条件で混練することにより、下記「未架橋ゴム組成物」を製造することができる。
【0104】
<未架橋ゴム組成物>
本発明の製造方法で製造される「未架橋ゴム組成物」とは、液状ポリマー100重量部に対して、5重量部以上250重量部未満、好ましくは5〜150重量部、より好ましくは10〜150重量部のフィラーを含む未架橋ゴム組成物を製造するに際して、該液状ポリマーの一部の重量を1とするとき、該フィラーの重量が0.67〜4となるように、該液状ポリマーの一部と該フィラーとを含む、フィラーのマスターバッチを調製し、次いで、該液状ポリマーの残部全量と、該マスターバッチ全量とを混練して得られるものである。
【0105】
「未架橋ゴム組成物」は、本発明の目的を損なわない範囲で、公知の他のゴムとブレンドして用いることができる。
このような「他のゴム」としては、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)等のイソプレン系ゴム;ブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)等の共役ジエン系ゴムなどを挙げることができる。
【0106】
さらに、従来公知のエチレン・α−オレフィン系共重合体ゴムを用いることもでき、例えば、エチレン・プロピレンランダム共重合体(EPR)、上記エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体以外のエチレン・α−オレフィン・ポリエン共重合体(例えば、EPDM等)を用いることができる。」

7 引用文献Cについて
当審拒絶理由の拒絶の理由に引用された上記引用文献Cには、図面とともに次の事項が記載されている。

「【技術分野】
【0001】
本発明は、耐放射線性に優れた難燃性樹脂組成物を用いて形成した耐放射線性電線・ケーブルに関するものである。」

「【0019】
図2に示すケーブル20は、図1に示した電線10、すなわち、導体1の外周にナフチレン基を含むポリマーを有する内層絶縁体2(第一の絶縁層)と、架橋ポリオレフィンからなる外層絶縁体3(第二の絶縁層)からなる2層構造の絶縁体を被覆した電線10を撚り合わせ、押え巻きテープ4を施し、最外層にシース5を被覆して形成される。
【0020】
本発明の第一の絶縁層(内層絶縁体2)に用いるナフチレン基を含むポリマーとしては、特に限定はしないが、好ましくは、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンナフタレート(PBN)が挙げられ、これらを単独またはブレンドして用いることができる。
【0021】
第二の絶縁層(外層絶縁体3)に用いる架橋ポリオレフィンからなるポリマーとしては、ハロゲン系、非ハロゲン系ポリマーのどちらかに限定するものではなく、ハロゲン系ポリマーとしては、例えばポリクロロプレン、クロロスルフォン化ポリエチレン、または塩素化ポリエチレン等が挙げられる。非ハロゲン系ポリマーとしては、超低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン等のポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−エチルアクリレート共重合体(EEA)、エチレン−メチルアクリレート共重合体(EMA)、天然ゴム(NR)、エチレン−プロピレンゴム(EPM)、エチレン−プロピレン−ジエンターポリマー(EPDM)、ブチルゴム(IIR)、ニトリルゴム(NBR)等が挙げられる。これらは単独、または2種以上をブレンドして用いることができる。」

第6 対比・判断
1 対比
本願発明と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。
(1)引用発明の「2本の被覆コード1」は、本願発明の「少なくとも1本の線心」に相当する。

(2)引用発明の「それらの被覆コード1を纏めて被覆する断面円形の絶縁被覆2」の材料は、「天然ゴムおよびエチレンプロピレンゴムなどの混合物」であるから、「絶縁被覆2」の材料は、ブレンドゴムであるといえる。
そうすると、引用発明の「それらの被覆コード1を纏めて被覆する断面円形の絶縁被覆2」は、本願発明の「前記線心を被覆する、ブレンドゴムで形成されたシース」に相当する。

(3)引用発明の「全体被覆2の材料は、天然ゴムおよびエチレンプロピレンゴムなどの混合物を押出し成形したものである」から、このことと、本願発明の「天然ゴムと、エチレンプロピレンゴムおよびニトリルゴムのカーボンマスターバッチと、スチレンブタジエンゴムのカーボンマスターバッチと、加硫剤および加硫促進剤と、をミキサーに入れて混合することにより、前記シースを形成するブレンドゴムを製造する」こととは、「天然ゴムと、エチレンプロピレンゴムとを混合することにより、前記シースを形成するブレンドゴムを製造する」点で共通する。

(4)そして、引用発明の「ケーブルA」の「全体被覆2は、シースあるいはキャブタイヤと呼ばれて」いることから、引用発明の「ケーブルA」は、本願発明の「キャブタイヤケーブル」に相当する。

(5)そうすると、引用発明の「ケーブルAの製造方法」は、本願発明の「キャブタイヤケーブルの製造方法」に対応する。

(6)したがって、本願発明と引用発明とは、次の一致点、相違点があるといえる。

[一致点]
「少なくとも1本の線心と、前記線心を被覆する、ブレンドゴムで形成されたシースと、を備えるキャブタイヤケーブルの製造方法であって、
天然ゴムと、エチレンプロピレンゴムとを混合することにより、前記シースを形成するブレンドゴムを製造する
ことを特徴とするキャブタイヤケーブルの製造方法。」

[相違点1]
「ブレンドゴム」について、本願発明は、「天然ゴムと、エチレンプロピレンゴムおよびニトリルゴムのカーボンマスターバッチと、スチレンブタジエンゴムのカーボンマスターバッチと、加硫剤および加硫促進剤と、をミキサーに入れて混合することにより」製造しているのに対して、引用発明は、天然ゴムとエチレンプロピレンゴムを混合するとはいえるものの、「ブレンドゴム」を製造する際に、「天然ゴムと、エチレンプロピレンゴムおよびニトリルゴムのカーボンマスターバッチと、スチレンブタジエンゴムのカーボンマスターバッチと、加硫剤および加硫促進剤と、をミキサーに入れて混合することにより」製造しているとはいえない点。

2 相違点についての当審判断
上記相違点1について検討すると、上記第5の2ないし7に記載のとおり、「ブレンドゴム」を製造する際に、「天然ゴムと、エチレンプロピレンゴムおよびニトリルゴムのカーボンマスターバッチと、スチレンブタジエンゴムのカーボンマスターバッチと、加硫剤および加硫促進剤と、をミキサーに入れて混合すること」は、引用文献2ないし6及びCには記載されておらず、また、「ブレンドゴム」を製造する際に、「天然ゴムと、エチレンプロピレンゴムおよびニトリルゴムのカーボンマスターバッチと、スチレンブタジエンゴムのカーボンマスターバッチと、加硫剤および加硫促進剤と、をミキサーに入れて混合すること」は、周知の技術であるともいえない。
そうすると、当業者といえども、引用発明に、上記相違点1に係る本願発明の製造方法を採用することは、容易に想到することはできない。
したがって、本願発明は、当業者であっても、引用発明並びに引用発明2ないし6及びCに記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

第7 原査定についての判断
令和4年3月31日にされた手続補正により、補正後の請求項1は、「天然ゴムと、エチレンプロピレンゴムおよびニトリルゴムのカーボンマスターバッチと、スチレンブタジエンゴムのカーボンマスターバッチと、加硫剤および加硫促進剤と、をミキサーに入れて混合することにより、前記シースを形成するブレンドゴムを製造する」という技術的事項を有するものとなった。
当該「天然ゴムと、エチレンプロピレンゴムおよびニトリルゴムのカーボンマスターバッチと、スチレンブタジエンゴムのカーボンマスターバッチと、加硫剤および加硫促進剤と、をミキサーに入れて混合することにより、前記シースを形成するブレンドゴムを製造する」は、原査定における引用文献1ないし6には記載されておらず、本願の出願前における周知技術でもないので、本願発明は、当業者であっても、原査定における引用文献1ないし6に基づいて容易に発明できたものではない。
したがって、原査定を維持することはできない。

第8 当審拒絶理由について
令和4年3月31日にされた手続補正により、補正前の請求項1ないし3は削除され、補正後の請求項1は、当審拒絶理由において、「現時点では、拒絶の理由を発見しない」とした、補正前の請求項4に対応するものとなった。
そして、上記のとおり、補正後の請求項1は、
「少なくとも1本の線心と、前記線心を被覆する、ブレンドゴムで形成されたシースと、
を備えるキャブタイヤケーブルの製造方法であって、
天然ゴムと、エチレンプロピレンゴムおよびニトリルゴムのカーボンマスターバッチと、スチレンブタジエンゴムのカーボンマスターバッチと、加硫剤および加硫促進剤と、をミキサーに入れて混合することにより、前記シースを形成するブレンドゴムを製造する
ことを特徴とするキャブタイヤケーブルの製造方法。」
と補正された結果、当審拒絶理由は解消された。

第9 むすび
以上のとおりであるから、原査定の理由及び当審拒絶理由によって、本願を拒絶することはできない。
他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2022-06-27 
出願番号 P2018-196861
審決分類 P 1 8・ 121- WY (H01B)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 辻本 泰隆
特許庁審判官 小田 浩
松永 稔
発明の名称 キャブタイヤケーブルおよびキャブタイヤケーブルの製造方法  
代理人 特許業務法人三枝国際特許事務所  
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